説明

物体探知装置

【課題】対象物および基準面に沿って等間隔で配列された非対象物の中から対象物のみを検出することができる物体探知装置を提供する。
【解決手段】各アンテナ位置で受信された受信信号の強度をサンプリングタイミングごとに強度データとし、強度データのアンテナ位置ごとの集合を位置毎データ列として記憶部5に記憶するサンプリング手段9と、位置毎データ列に基づいて各非対象物にそれぞれ対応するアンテナ位置の集合が1区画となるように、複数のアンテナ位置を複数の区画に区画化する区画化手段13と、複数の区画について位置毎データ列を平均化したものを各区画にそれぞれ当て嵌めることでパターンデータ列を生成するパターン生成手段14と、位置毎データ列からパターンデータ列を減算して補正反射波成分を算出する補正反射波算出手段15と、補正反射波成分から対象物の状態を検出する解析手段16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物中または地中に埋設された対象物や、構造物の裏側に存在する対象物を電磁波により探知する物体探知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄筋コンクリート壁などの構造物中または地中に埋設された対象物(たとえば埋設管など)を電磁波により探知する技術として、パルス状の電磁波を送受信するアンテナ部を構造物表面または地表面からなる基準面に沿う複数のアンテナ位置に移動させ、各アンテナ位置においてアンテナ部から送信され対象物で反射された電磁波をアンテナ部で受信し電気信号である受信信号に変換することにより、対象物を探知することが知られている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
この種の物体探知においてアンテナ部で受信される受信信号には、基準面の奥に存在する物体で反射された電磁波に相当する反射波成分だけでなく、基準面で反射された電磁波などの不要波成分が含まれている。不要波成分は、通常、各アンテナ位置で共通し、且つ測定環境が大きく変化しない限り定常的な値をとる。
【0004】
ここにおいて、各アンテナ位置で受信された受信信号の強度を所定間隔のサンプリングタイミングごとに強度データとし、当該強度データのアンテナ位置ごとの集合を位置毎データ列として記憶部に記憶し、複数のアンテナ位置における同一のサンプリングタイミングの強度データの平均値を算出することにより、当該平均値の複数のサンプリングタイミング分の集合を不要波成分と想定することが考えられている。この場合に、算出した不要波成分を各アンテナ位置における位置毎データ列からそれぞれ減算することにより反射波成分を算出する。
【0005】
なお、特許文献1に記載の発明では、全アンテナ位置における強度データの平均値を不要波成分とするのではなく、反射波成分の算出対象とするアンテナ位置およびその前後の複数のアンテナ位置における強度データの平均値を不要波成分としている。
【特許文献1】特開平10−132950号公報(第4−5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、たとえば鉄筋コンクリート壁においてはコンクリート中に基準面に沿って複数の鉄筋が等間隔で配列されている。そのため、鉄筋コンクリート壁中に存在する樹脂配管等を対象物として探知する場合には、アンテナ部から送波された電磁波は対象物以外の非対象物(ここでは鉄筋)でも反射されることになる。つまり、反射波成分には非対象物での反射波に相当し等間隔のアンテナ位置で規則的に現れる非対象反射成分と、対象物での反射波に相当し対象物に対応するアンテナ位置に現れる対象反射成分との2つの成分が含まれる。したがって、複数の非対象物と対象物とが混在している場合、対象反射成分が非対象反射成分に埋もれてしまうことで、対象物を探知できなくなる可能性がある。特に、たとえば樹脂配管などの対象物が鉄筋のように相対的に反射率の高い非対象物よりも奥に存在する場合など、反射波成分において対象反射成分の強度が非対象反射成分の強度よりも小さくなる場合、対象物の探知が極めて困難になる。
【0007】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、対象物および基準面に沿って等間隔で配列された非対象物の中から対象物のみを検出することができる物体探知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、探知領域内に設定された基準面に沿う複数のアンテナ位置においてアンテナ部から基準面に向けて電磁波を間欠的に送信し、前記基準面の奥に存在する探知の対象物および前記基準面に沿って等間隔で配列された複数の非対象物により反射された電磁波を前記アンテナ部で受信し電気信号である受信信号に変換することにより前記対象物を探知する物体探知装置であって、各アンテナ位置で受信された受信信号の強度を所定間隔のサンプリングタイミングごとに強度データとし、当該強度データの前記アンテナ位置ごとの集合を位置毎データ列として記憶部に記憶するサンプリング手段と、前記位置毎データ列に基づいて各非対象物にそれぞれ対応する前記アンテナ位置の集合が1区画となるように、複数の前記アンテナ位置を複数の区画に区画化する区画化手段と、複数の前記区画について相対的な位置関係が同一の各アンテナ位置同士でそれぞれ前記位置毎データ列の平均値を取ることで求まる平均受信波群を、各区画にそれぞれ当て嵌めることによりパターンデータ列を生成するパターン生成手段と、前記位置毎データ列から前記パターンデータ列を減算することにより、前記対象物で反射された電磁波に相当する対象反射成分が強調された補正反射波成分を算出する補正反射波算出手段と、複数の前記アンテナ位置における前記補正反射波成分の強度に基づいて前記対象物の状態を検出する解析手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、パターン生成手段で生成されるパターンデータ列は、基準面で反射された電磁波などに相当し全アンテナ位置で定常的に現れる不要波成分に、基準面に沿って等間隔で配列されたたとえば鉄筋コンクリート中の鉄筋などの非対象物で反射された電磁波に相当する非対象反射成分を加えたものとなる。したがって、補正反射波算出手段において、位置毎データ列からパターンデータ列を減算することにより算出される補正反射波成分では、対象物で反射された電磁波に相当する対象反射成分が強調される。これにより、たとえば樹脂配管などの対象物が鉄筋のように相対的に反射率の高い非対象物よりも奥に存在する場合など、反射波成分において対象反射成分の強度が非対象反射成分の強度よりも小さくなる場合でも、解析手段は補正反射波成分の強度に基づいて対象物の状態を検出することができる。すなわち、対象物および基準面に沿って等間隔で配列された非対象物の中から対象物のみを検出することができるという利点がある。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記パターン生成手段が、前記平均受信波群を求める前に、複数の前記区画において前記非対象物で反射された電磁波に相当する非対象反射成分の前記サンプリングタイミングが揃うように各区画における前記位置毎データ列を補正する補正手段を有することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、各区画における位置毎データ列の波形の形状を精度よく再現した平均受信波群を求めることができるから、補正反射波成分において対象反射成分を精度よく再現でき、結果的に探知精度の向上につながるという利点がある。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記パターン生成手段は、前記位置毎データ列に前記対象反射成分が含まれる前記区画を除く前記区画について前記位置毎データ列の平均値を取ることにより前記平均受信波群を求めることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、対象反射成分の影響を除いたパターンデータ列を生成することができ、結果的に、補正反射波成分において対象反射成分を精度よく再現できて探知精度の向上につながるという利点がある。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、対象物で反射された電磁波に相当する対象反射成分が強調された補正反射波成分の強度に基づいて対象物の状態を検出するから、対象物および基準面に沿って等間隔で配列された非対象物の中から対象物のみを検出することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施形態1)
本実施形態の物体探知装置は、アンテナで電気信号である送信信号を受けて電磁波を送信するとともに、前記アンテナで電磁波を受信し電気信号である受信信号に変換するアンテナ部1(図1(a)参照)を備え、図2に示すように、構造物表面もしくは地表面からなる基準面20に沿った複数箇所(ここではn箇所)のアンテナ位置X1〜Xnにおいてアンテナ部1から基準面20に向けて電磁波を間欠的に送信し、基準面20よりも奥に存在する対象物21により反射された電磁波をアンテナ部1で受信することにより対象物21を探知するものである。なお、本実施形態では複数箇所のアンテナ位置X1〜Xnにおいてアンテナ部1で電磁波の送受波を行うためにアンテナ部1を基準面20に沿って移動させており、図2ではアンテナ部1の移動方向を矢印aで表している。
【0016】
物体探知装置は、図1(a)に示すように、前記送信信号および電磁波の送信後の受波期間を定めるタイミング信号を生成して出力する信号生成部2と、信号生成部2から出力された送信信号を信号処理してアンテナ部1からパルス状の電磁波を送信させる第1の信号処理部3と、各アンテナ位置X1〜Xnにおいて前記受波期間にアンテナ部1からの受信信号をそれぞれ受けて各受信信号を信号処理し、対象物21を探知する第2の信号処理部4とを備える。さらに、第2の信号処理部4での信号処理に用いる各種データを記憶する記憶部5と、第2の信号処理部4での検知結果などを出力する出力部6と、信号生成部2および各信号処理部3,4の信号処理方法(出力部6での出力内容を含む)を制御する制御部7と、制御部7に各種の指示を与えるように操作される入力部8とが設けられている。
【0017】
ここにおいて、信号生成部2は、制御部7からの制御信号に基づいて送信信号およびタイミング信号を生成し、送信信号を第1の信号処理部3に与えるとともにタイミング信号を第2の信号処理部4に与える。第1の信号処理部3は、入力された送信信号に対して増幅などの処理を行いアンテナ部1から電磁波を送信させる。
【0018】
第2の信号処理部4は、図1(b)に示すように、アンテナ部1からの受信信号を増幅するとともに増幅後の受信信号の強度を所定間隔のサンプリングタイミングごとにデジタルの強度データに変換して記憶部5に記憶するサンプリング手段9と、記憶部5に格納された強度データを用いて対象物21を探知する演算部10とを備えている。第2の信号処理部4の各手段は、たとえばマイクロコンピュータに適宜プログラムを施すことで実現されるが、マイクロコンピュータに限らず、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を用いても実現可能である。記憶部5内には、各アンテナ位置X1〜Xnと各サンプリングタイミングとが対にされ各強度データにそれぞれ対応付けて格納されており、強度データは実質的にアンテナ位置X1〜Xnとサンプリングタイミングとについて2次元配置されたデータマップを形成する。ここに、記憶部5内における強度データのアンテナ位置X1〜Xnごとの集合を位置毎データ列と定義する。
【0019】
さらに以下の説明では、アンテナ位置X1で受信された受信信号に相当する位置毎データ列をA1、アンテナ位置X2で受信された受信信号に相当する位置毎データ列をA2とするように、各アンテナ位置X1〜Xnで受信された受信信号に相当する位置毎データ列をそれぞれ位置毎データ列A1〜Anとする。図3(a)は、アンテナ部1がアンテナ位置X3にあるときの位置毎データ列A3を表している。図3(a)では、横軸を電磁波の送波時点からの経過時間を意味する伝播時間とし、縦軸を強度としている。
【0020】
各位置毎データ列A1〜Anは、サンプリング手段9でサンプリングされることによりそれぞれ複数個の強度データの集合で表されることとなる。ここでは、サンプリングタイミングの時間間隔を図3(b)に示すようにΔt〔s〕とすることにより、各位置毎データ列A1〜Anがそれぞれ計m個の強度データ(要素)で表されるものとする。すなわち、位置毎データ列A1=〔強度データA1(1)、強度データA1(2)、・・・、強度データA1(m)〕、位置毎データ列A2=〔強度データA2(1)、強度データA2(2)、・・・、強度データA2(m)〕、・・・、位置毎データ列An=〔強度データAn(1)、強度データAn(2)、・・・、強度データAn(m)〕となる。
【0021】
ところで、図4(c)に示す位置毎データ列A1〜Anは、図4(a)の不要波成分と図4(b)の反射波成分とが合成されたものである。図4では、横軸を伝播時間、縦軸を強度として、複数のアンテナ位置X1〜Xnに対応する各波形を縦軸方向に並べている。ここでいう不要波成分とは、対象物21で反射されたのではなく、基準面20や物体探知装置の表面で反射された電磁波を意味する。電磁波を送信する送信アンテナと電磁波を受信する受信アンテナとを別に有したアンテナ部1を用いる場合には、送信アンテナから受信アンテナに直接伝播する直接波も不要波成分に含まれる。これら不要波成分は、全てのアンテナ位置X1〜Xnで均一に現れ、且つ測定環境が大きく変化しない限り定常的な値をとる。
【0022】
反射波成分は、基準面20よりも奥の物体で反射された電磁波に相当する。ここで、反射波成分に含まれるのは探知の対象となる対象物21で反射されたものに限らない。すなわち、たとえば図2に示すように、鉄筋コンクリート壁に埋設された樹脂配管等を対象物21とする場合、コンクリートからなる媒質22中には多数の非対象物である鉄筋が基準面20に沿って等間隔で規則的に配列されているので、アンテナ部1から送波された電磁波は対象物(ここでは樹脂配管等)21以外の多数の非対象物(ここでは鉄筋)23でも反射されることになる。結果的に、反射波成分には非対象物23での反射波に相当し等間隔のアンテナ位置X1〜Xnで規則的に現れる非対象反射成分と、対象物21での反射波に相当し対象物21に対応するアンテナ位置X1〜Xnに現れる対象反射成分との2つの成分が含まれる。なお、ランダムに発生する熱雑音等の雑音成分が不要波成分として位置毎データ列A1〜Anに含まれることもあるが、反射波成分に比べて雑音成分が無視できる大きさであれば、不要波成分における雑音成分は無視する。雑音成分が無視できない場合には、適切なフィルタ処理を行って雑音成分を取り除くようにすればよい。フィルタとしては、IIR(Infinite Impulse Response)フィルタやFIR(Finite Impulse Response)フィルタ、または、これらにハミング窓(Hamming Window)などの窓関数やチェビシェフ(Chebyshev)近似などを適用したものなど多くの選択肢があり、これらを適宜採用すればよい。
【0023】
演算部10は、各アンテナ位置X1〜Xnで共通の不要波成分を求める不要波算出手段11と、位置毎データ列A1〜Anから前記不要波成分を減算することにより反射波成分を求める不要波除去手段12と、前記反射波成分を用いることでそれぞれ非対象物23に対応する位置を含む複数の区画にアンテナ位置X1〜Xnを区画化する区画化手段13と、複数の区画について位置毎データ列A1〜Anを平均化したものを各区画にそれぞれ当て嵌めることによりパターンデータ列を生成するパターン生成手段14と、位置毎データ列A1〜Anから前記パターンデータ列を減算することにより対象反射成分を強調した補正反射波成分を算出する補正反射波算出手段15と、複数のアンテナ位置X1〜Xnにおける前記補正反射波成分の強度に基づいて対象物21の状態を検出する解析手段16とを備えている。
【0024】
以下に、本実施形態の物体探知装置の動作について図5のフローチャートを参照して説明する。ここでは、図2に示すように非対象物(鉄筋)23を等間隔で配列してある鉄筋コンクリート壁に埋設された樹脂配管を、対象物21として探知する場合について説明する。
【0025】
図5におけるステップS1は初期化であって、ここで設定される各種パラメータ(i=0、雑音成分算出方法の設定など)は、予め定められていてもよく、入力部8で取り込まれた値であってもよい。
【0026】
続いて、ステップS2,S3においては各アンテナ位置X1〜Xnの位置毎データ列A1〜Anを個別に記憶部5に取り込む。位置毎データ列A1〜Anは必要なデータ列数(つまりアンテナ位置X1〜Xnの数n)に達するまで取り込まれる(S4,S5)。ここで、新しい位置毎データ列A1〜Anを取り込む度に、既に取り込んだ位置毎データ列A1〜Anを1列ずつシフトする(S2)。これにより、位置毎データ列A1〜Anがデータ列数nだけ一旦取り込まれ後述の解析手段16により解析結果が得られた以降は、新しい位置毎データ列A1〜Anが1つ取り込まれる度に、その位置毎データ列A1〜Anのみが更新された状態で新たに解析手段16での解析が可能になる。すなわち、最も新しい位置毎データ列A1〜Anを最も古い位置毎データ列A1〜Anと入れ替えることができる。位置毎データ列A1〜Anの取り込みには、同様に新旧の位置毎データ列A1〜Anの入れ替えが可能な他の信号処理方法を用いてもよい。
【0027】
強度データは、記憶部5内において同一のサンプリングタイミング(同一の伝播時間)ごとにも格納され、それぞれ時間毎データ列B1〜Bmを構成する。すなわち、受信された各位置毎データ列A1〜Anにおける最初のサンプリングタイミングの強度データの集合〔強度データA1(1)、強度データA2(1)、・・・、強度データAn(1)〕が時間毎データ列B1となり、以降、時間毎データ列B2=〔強度データA1(2)、強度データA2(2)、・・・、強度データAn(2)〕、・・・、時間毎データ列Bm=〔強度データA1(m)、強度データA2(m)、・・・、強度データAn(m)〕となる。
【0028】
ステップS6では、位置毎データ列A1〜Anから不要波成分Y1を算出するために、不要波算出手段11が、まず記憶部5から強度データを時間毎データ列B1〜Bmごとに取り出す。各時間毎データ列B1〜Bmは、それぞれ図4(c)における位置毎データ列A1〜Anを同一のサンプリングタイミング(同一の伝播時間)で切断した断面1、2、・・・、N、・・・mに相当する。ここで、各時間毎データ列B1〜Bmについて、それぞれ強度データの平均値Y1(j)を代表値として求める。つまり、時間毎データ列B1については{A1(1)+A2(1)+・・・+An(1)}/nによって表される平均値Y1(1)を求め、同様の処理を全ての時間毎データ列B2〜Bmについて繰り返す。不要波算出手段11は、このように算出された平均値Y1(j)の全サンプリングタイミング分の集合〔Y1(1)、Y1(2)、・・・、Y1(m)〕を不要波成分Y1として出力する。このとき、不要波成分Y1に対して適切なフィルタ処理を施すことで雑音成分を取り除くことができる。フィルタとしては上述したものを用いればよい。なお、不要波成分Y1を算出するために求める各時間毎データ列B1〜Bmの代表値は、強度データの平均値に限るものではなく、強度データの中央値(メディアン値)や最頻値などであってもよいが、強度データの平均値を代表値として用いる方法が最も単純であるため、信号処理速度を速くできるという利点がある。
【0029】
ステップS7では、不要波除去手段12が、記憶部5内の位置毎データ列A1〜Anから不要波算出手段11の出力(不要波成分Y1)を減算することにより、各アンテナ位置X1〜Xnでの反射波成分C1を求める。
【0030】
ただし、ステップS7で求まる反射波成分C1には、上述したように等間隔のアンテナ位置X1〜Xnで規則的に現れる非対象反射成分と、対象物21に対応するアンテナ位置X1〜Xnに現れる対象反射成分との2つの成分が含まれており、これら2つの成分を含む反射波成分C1から対象物21のみを探知することは困難である。そこで、本実施形態では以下に説明する処理により、上述の反射波成分C1を用いて、対象反射成分が強調された補正反射波成分C2を算出するようにしている。
【0031】
ここではまず、区画化手段13が反射波成分C1に基づいて位置毎データ列A1〜Anを区画化するために、ステップS8において、各アンテナ位置X1〜Xnに関して反射波成分C1の最大値となる強度データ(以下、「最大データ」という)と、各最大データの伝播時間とを検出する。図6(a)では、縦軸をアンテナ位置X1〜Xnとし、横軸を伝播時間とし、最大データを黒点で表している。ここでいう最大データは、各反射波成分C1の中で強度データを比較した場合にそれぞれ最大となる強度データであってもよいが、基準の波形に対して各反射波成分C1の相関をとり、このとき相関値が最大となる強度データを最大データとしてもよい。以下では、アンテナ部1が移動する順に並べたアンテナ位置X1〜Xnの集合をQ1(=〔X1、X2、・・・、Xn〕)で表し、集合Q1に対応する最大データの集合をP1(=〔p1(1)、p1(2)、・・・、p1(n)〕)、集合P1に対応する伝播時間の集合をT1(=〔t1(1)、t1(2)、・・・、t1(n)〕)と定義する。
【0032】
次のステップS9においては、区画化手段13は、図6(b)に示すように集合P1に含まれる最大データをアンテナ位置X1〜Xnと同じ順番に並べたときに強度の極大(図6(b)に「p2」で示す)となるアンテナ位置X3、・・・、X(n−1)を検出する(図6の例では8箇所検出される)。図6(b)では横軸をアンテナ位置X1〜Xnとし、縦軸を強度としている。このとき検出されたアンテナ位置X3、・・・、X(n−1)の集合をQ2(=〔X3、・・・、X(n−1)〕)で表し、集合Q2に対応する最大データの集合をP2(=〔p2(3)、・・・、p2(n−1)〕)、集合P2に対応する伝播時間の集合をT2(=〔t2(3)、・・・、t2(n−1)〕)と定義する。
【0033】
さらに、集合P2の中で図6(b)に示すように強度が所定範囲W1内となる最大データp2(3)、・・・、p2(n−1)に対応し、且つ、集合T2の中で図6(a)、(c)に示すように時間が所定範囲W2内となる伝播時間t2(3)、・・・、t2(n−1)に対応するアンテナ位置X3、・・・、X(n−1)を基準位置として検出する。なお、図6(c)では横軸をアンテナ位置X1〜Xnとし、縦軸を伝播時間として、集合T1に含まれる最大データの伝播時間を表している。ここでは、集合P2、集合T2のそれぞれについて半数以上の要素が分布している範囲を前記所定範囲W1,W2としており、基準位置はk箇所検出されると仮定する(図6の例ではk=5)。このとき検出された基準位置の集合をQ3(=〔X3、・・・、X(n−1)〕)で表し、集合Q3に対応する最大データの集合をP3(=〔p3(3)、・・・、p3(n−1)〕)、集合P3に対応する伝播時間の集合をT3(=〔t3(3)、・・・、t3(n−1)〕)と定義する。このように求められる集合Q3の各基準位置は、等間隔で配列された非対象物(ここでは鉄筋)23の位置を表すこととなる。
【0034】
そして、区画化手段13は、図7(a)に示すように、各基準位置および各基準位置の前後L箇所のアンテナ位置X1〜Xnをそれぞれ含む複数の区画D(r)にアンテナ位置X1〜Xnを区分する(ここではr=1、2、・・・、k)。ここにおいて、全てのアンテナ位置X1〜Xnがいずれかの区画D(r)に含まれるように、LはL≧{(Q3において隣接する基準位置同士の最大の間隔)/2}の条件を満たすように設定される。このとき、位置毎データ列A1〜Anについてもアンテナ位置の区画D(r)ごとに集合R3(r)を作るように区画化し、各集合R3(r)をそれぞれ受信波群と定義する。すなわち、ある基準位置Xu(ここでは1≦u≦n)を含む区画D(r)に対応する受信波群R3(r)は、R3(r)=〔A(u−L)、A(u−L+1)、・・・、A(u−1)、A(u)、A(u+1)、・・・、A(u+L)〕のように2L+1個の位置毎データ列の集合で表される。k箇所の基準位置が検出された場合には、このような受信波群R3(r)がk個存在することになる。なお、図7(a)では、横軸を伝播時間とし、縦軸を強度として、複数のアンテナ位置X1〜Xnに対応する各波形(左側が位置毎データ列A1〜An、右側が反射波成分)を縦軸方向に並べている。
【0035】
次のステップS10においては、パターン生成手段14が、ステップS9で求めた複数の受信波群R3(r)を平均化して平均受信波群R4を求める。すなわち、図7(b)に示すk個の受信波群R3(r)について、各基準位置に対する相対的な位置関係が同一のアンテナ位置X1〜Xn間でそれぞれ位置毎データ列A1〜Anの強度の平均値を取ることで、図7(c)に示す平均受信波群R4(={R3(1)+R3(2)+・・・+R3(k)}/k)を算出する。この平均受信波群R4は、1つの区画D(r)について、全アンテナ位置X1〜Xnで定常的に現れる不要波成分Y1に、反射波成分のうち非対象物23で反射された電磁波に相当する非対象反射成分を加えたものとなる。なお、平均受信波群R4に対しても適切なフィルタ処理を施すことで雑音成分を取り除くことが望ましい。
【0036】
続くステップS11では、パターン生成手段14が、上記平均受信波群R4を上述したアンテナ位置X1〜Xnの各区画D(r)にそれぞれ当て嵌めることにより、図7(d)に示すように平均受信波群R4をアンテナ位置X1〜Xnの並ぶ方向に複数並べた形のパターンデータ列Y2を生成する。平均受信波群R4は、それぞれ中心のアンテナ位置X1〜Xnを、各区画D(r)の中心となる基準位置に合わせるように当て嵌められる。ここで、上述したように全てのアンテナ位置X1〜Xnがいずれかの区画D(r)に含まれるようにLを設定していると、パターンデータ列Y2は全てのアンテナ位置X1〜Xnに対応することとなるものの、基準位置が等間隔からずれている場合などに、隣接する区画D(r)同士の一部が重複することとなる。そこで、隣接する区画D(r)同士の重複部分に関しては、両区画D(r)の基準位置の中間となるアンテナ位置X1〜Xnを平均受信波群R4を当て嵌める際の区切りとする処理や、重複する平均受信波群R4の平均値をとる処理などを適用する。
【0037】
このようにパターン生成手段14で求められるパターンデータ列Y2は、全てのアンテナ位置X1〜Xnについて、全アンテナ位置X1〜Xnで定常的に現れる不要波成分Y1に、反射波成分のうち等間隔に現れる非対象反射成分(非対象物23で反射された電磁波に相当する)を加えたものとなる。したがって、次のステップS12で、補正反射波算出手段15が、記憶部5内の位置毎データ列A1〜Anからパターン生成手段14の出力(パターンデータ列Y2)を減算することにより、各アンテナ位置X1〜Xnについて反射波成分C1に含まれる対象反射成分を強調した補正反射波成分C2を抽出することができる。
【0038】
たとえば、位置毎データ列A1〜Anに対して実際には図8(a)に示すような反射波成分(以下、「実反射波成分」という)が含まれている場合、各アンテナ位置X1〜Xnに関して上記反射波成分C1の最大値となる最大データを、縦軸が強度、横軸がアンテナ位置X1〜Xnとなるように並べると、図8(b)に示すように対象反射成分と非対象反射成分との両方が山部として現れることとなる(図中破線で囲んだ部分が対象反射成分)。そのため、図8(b)の状態では、対象反射成分と非対象反射成分との区別が付かない。なお、図8(a)、(c)、(e)では、横軸を伝播時間、縦軸を強度として、複数のアンテナ位置X1〜Xnに対応する各波形を縦軸方向に並べている。
【0039】
ここで、背景技術の欄で説明した従来例のように、位置毎データ列A1〜Anから不要波成分を減算することで反射波成分を求める構成では、反射波成分は図8(c)に示すように図8(a)の実反射波成分に類似する。そのため、各アンテナ位置X1〜Xnに関して上記反射波成分の最大値となる最大データを、縦軸が強度、横軸がアンテナ位置X1〜Xnとなるように並べても、図8(d)に示すように図8(b)と同様に対象反射成分と非対象反射成分との両方が山部として現れることとなり(図中破線で囲んだ部分が対象反射成分)、依然として対象反射成分と非対象反射成分との区別が付かない。したがって、これら2つの成分を含む反射波成分から対象物21のみを探知することは困難である。なお、この従来例において求まる反射波成分は、本実施形態のステップS7までの処理で求まる反射波成分C1(つまり、位置毎データ列A1〜Anから不要波成分Y1を減算したもの)に相当する。
【0040】
これに対して、ステップS12で求まる補正反射波成分C2(つまり、位置毎データ列A1〜Anからパターンデータ列Y2を減算したもの)は、図8(e)に示すように非対象反射成分が減衰したものとなるため、各アンテナ位置X1〜Xnに関して上記補正反射波成分C2の最大値となる最大データを、縦軸が強度、横軸がアンテナ位置X1〜Xnとなるように並べると、図8(f)に示すように対象反射成分が強調されることとなり(図中破線で囲んだ部分が対象反射成分)、対象物21のみを容易に探知可能となる。
【0041】
本実施形態の解析手段16は、上述のように補正反射波算出手段15で求まった複数のアンテナ位置X1〜Xnについての補正反射波成分C2をステップS13において解析し、補正反射波成分C2の強度が所定の閾値を超えるか否かによって対象物21の有無を検出する。ここに、補正反射波成分C2の強度は対象物21での電磁波の反射率により変化し、当該反射率は対象物21の材質により変化するので、前記閾値を特定の材質の対象物21における電磁波の反射率に合わせて設定しておくことによって、対象物21よりも電磁波の反射率の小さい物体を無視して特定の材質の対象物21のみを検出することができる。なお、解析手段16は、補正反射波成分C2に基づいて対象物21の有無以外の状態を検出する構成であってもよく、たとえば、電磁波が送信されてから受信されるまでの経過時間に基づいて求まる対象物21までの距離や、対象物21の大きさや形状あるいは材質、さらにはアンテナ部1と対象物21との間に存在する媒質(壁材等)22の特性(たとえば誘電率)などを解析手段16に検出させることが考えられる。実際には、電磁波はその伝播距離によって減衰量が異なるため、電磁波がアンテナ部1より送信されてからアンテナ部1で受信されるまでに要した時間と電磁波の速度からその伝播距離を算出し、減衰効果を考慮することで、各特性をより高精度に検出することが可能となる。また、媒質22によって電磁波の伝播速度は異なるから、媒質22の材質が分かる場合には媒質22の特性(電気的特性)に基づいて、より高精度に伝播距離を算出することが可能である。この場合、想定される媒質22の特性を予め記憶部5に記憶しておいてもよいが、入力部8から自由に設定できるようにしてもよい。
【0042】
ここにおいて、本実施形態の構成によれば上述したように対象反射成分が強調された補正反射波成分C2を算出することができるので、解析手段16で当該補正反射波成分C2を解析することにより得られる各種解析結果は、非対象物23の影響を受けにくくなる。
【0043】
解析手段16で求められた各種解析結果はステップS14において出力部6から出力される。出力部6は、解析結果を視認可能な形で映像表示する表示用モニタ(図示せず)を備えているが、この他、音声出力するためのスピーカ等の機器や、解析結果を記憶するための記憶装置や、更なる詳細な分析を行うための演算装置などを付加し、様々な出力形態に対応させてもよい。なお、ほとんどのアプリケーションでは、各アンテナ位置X1〜Xnの位置毎データ列A1〜Anを記憶部5に取り込む処理(S2)から解析結果の出力(S14)までのプロセスを1回行うだけでなく、繰り返し行う。この場合に、再びステップS2から処理が繰り返される(S15)。
【0044】
ところで、構造物表面もしくは地表面からなる基準面20の奥に存在する対象物21を探知する場合には、一般的に、上述したように複数のアンテナ位置X1〜Xnにおいて電磁波の送受信を行い受信信号を収集する。本実施形態では、複数のアンテナ位置X1〜Xnで電磁波の送受信を行うために、アンテナ部1が各アンテナ位置X1〜Xnに移動するように(図2参照)物体探知装置自体を移動させる移動手段(図示せず)を備えている。移動手段としては、基準面20上を転動する車輪を有した構成を採用するが、この構成に限るものではなく、たとえば複数のアンテナ位置X1〜Xnを通るレールに沿って物体探知装置を移動させる構成などが考えられる。ここに、アンテナ部1は、1個のアンテナから電磁波を送信するとともに当該アンテナで電磁波を受信するように構成されており、アンテナ部1の小型化を図っている。
【0045】
また、アンテナ部1は、電磁波を送信する送信アンテナと電磁波を受信する受信アンテナとを1個ずつ備える構成であってもよく、この場合にも、アンテナ部1を各アンテナ位置X1〜Xnに移動させる移動手段が設けられる。さらにまた、アンテナ部1は、電磁波の送受信を行うアンテナを複数個備えるか、あるいは送信アンテナと受信アンテナとの組を複数組備えていてもよく、この場合でも、移動手段によってアンテナ部1を各アンテナ位置X1〜Xnに移動させる移動手段が設けられる。
【0046】
ここにおいて、送信アンテナと受信アンテナとの組が各アンテナ位置X1〜Xnにそれぞれ配置されている場合、あるいはそれぞれ電磁波の送受信を行うアンテナが各アンテナ位置X1〜Xnにそれぞれ配置されている場合には、送信アンテナと受信アンテナとを1組ずつ使用し(あるいはアンテナを1個ずつ使用し)、且つ使用する送信アンテナと受信アンテナとの組(あるいは使用するアンテナ)を順に切り替えていくことにより、アンテナ部1を移動させることなくアンテナ位置X1〜Xnを切り替えることができるので、移動手段を省略することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、鉄筋コンクリート中の樹脂配管を対象物21として探知する例を示したが、この例に限らず、たとえば埋込ボックスやコンクリートの劣化、亀裂など、様々なものを対象物21として探知することができる。
【0048】
(実施形態2)
本実施形態の物体探知装置は、パターン生成手段14が平均受信波群R4を求める前に、複数の区画D(r)において非対象反射成分のサンプリングタイミングが揃うように各区画D(r)における位置毎データ列A1〜Anを補正する補正手段(図示せず)を有する点が実施形態1の物体探知装置と相違する。
【0049】
すなわち、基準面20に沿って等間隔で配列された非対象物23が鉄筋などの場合、基準面20から非対象物23までの距離がばらついていることがある。この場合、反射波成分において各非対象物23での反射波に相当する非対象反射成分は、伝播時間方向にばらつきを生じることとなるものの、波形の形状自体は略同一とみなすことができる。そこで、本実施形態では、補正手段が、各基準位置における最大データの伝播時間を揃えるように、集合T3の各要素に基づいて受信波群R3(r)の各成分(位置毎データ列A1〜An)を伝播時間方向(つまり図6(c)の上下方向)にシフトさせるように補正している。このように受信波群R3(r)の各成分を補正してから平均受信波群R4を算出するようにすれば、各受信波群R3(r)の波形の形状を精度よく再現した平均受信波群R4を求めることができるので、結果的に、補正反射波成分C2において対象反射成分を精度よく再現でき、探知精度の向上につながるという利点がある。
【0050】
なお、ステップS11においてパターンデータ列Y2を生成する際には、非対象物23までの距離のばらつきだけでなく、非対象物23の大きさのばらつきによって現れる強度のばらつきや伝播時間のずれも影響するので、これらの影響もなくすように位置毎データ列A1〜Anを補正してもよい。
【0051】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0052】
(実施形態3)
本実施形態の物体探知装置は、パターン生成手段14が平均受信波群R4を求めるステップS10において、集合Q3の構成要素(基準位置)を含む区画D(r)に対応した全ての受信波群R3(r)から平均受信波群R4を求めるのではなく、対象反射成分を含む受信波群R3(r)を除外した残りの受信波群R3(r)を用いて平均受信波群R4を求めるようにした点が実施形態1の物体探知装置と相違する。
【0053】
具体的には、集合Q2に含まれるアンテナ位置X1〜Xnであって基準位置に該当しない(つまり集合Q3に含まれない)もののうち対象物21の位置に対応すると判断されたアンテナ位置X1〜Xnを除外基準とし、除外基準あるいは除外基準の前後数箇所のアンテナ位置X1〜Xnを含む区画D(r)に対応する受信波群R3(r)は、平均受信波群R4の算出時に除外する。ここで、集合Q2に含まれるアンテナ位置X1〜Xnが対象物21の位置に対応するか否かは、たとえば当該アンテナ位置X1〜Xnと前後数箇所のアンテナ位置X1〜Xnとに関する最大データが双曲線状に並んでいれば対応する、並んでいなければ対応しないものとして判断される。
【0054】
要するに、受信波群R3(r)は全てのアンテナ位置X1〜Xnにおいて抽出されるので、一部の受信波群R3(r)には反射波成分のうちの対象反射成分も含まれることとなる。そのため、全ての受信波群R3(r)を平均化して平均受信波群R4を求めると、この平均受信波群R4を用いて生成されるパターンデータ列Y2には対象反射成分が影響し、補正反射波成分C2において対象反射成分のみを精度よく強調することができなくなるが、本実施形態の構成によれば、対象反射成分の影響を除いたパターンデータ列Y2を生成することができ、結果的に、補正反射波成分C2において対象反射成分を精度よく再現でき、探知精度の向上につながるという利点がある。なお、本実施形態の構成を実施形態2の構成と組み合わせることも可能である。
【0055】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態1を示し、(a)は概略ブロック図、(b)は要部の概略ブロック図である。
【図2】同上の動作説明図である。
【図3】(a)は同上の位置毎データ列を示す説明図、(b)は(a)の一部Zを拡大した説明図である。
【図4】同上の動作説明図であって、(a)は不要波成分を示す説明図、(b)は反射波成分を示す説明図、(c)は位置毎データ列を示す説明図である。
【図5】同上の動作を示すフローチャートである。
【図6】同上の動作説明図である。
【図7】同上の動作説明図である。
【図8】同上の動作説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1 アンテナ部
5 記憶部
9 サンプリング手段
13 区画化手段
14 パターン生成手段
15 補正反射波算出手段
16 解析手段
20 基準面
21 対象物
23 非対象物
A1〜An 位置毎データ列
C2 補正反射波成分
R4 平均受信波群
X1〜Xn アンテナ位置
Y2 パターンデータ列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
探知領域内に設定された基準面に沿う複数のアンテナ位置においてアンテナ部から基準面に向けて電磁波を間欠的に送信し、前記基準面の奥に存在する探知の対象物および前記基準面に沿って等間隔で配列された複数の非対象物により反射された電磁波を前記アンテナ部で受信し電気信号である受信信号に変換することにより前記対象物を探知する物体探知装置であって、各アンテナ位置で受信された受信信号の強度を所定間隔のサンプリングタイミングごとに強度データとし、当該強度データの前記アンテナ位置ごとの集合を位置毎データ列として記憶部に記憶するサンプリング手段と、前記位置毎データ列に基づいて各非対象物にそれぞれ対応する前記アンテナ位置の集合が1区画となるように、複数の前記アンテナ位置を複数の区画に区画化する区画化手段と、複数の前記区画について相対的な位置関係が同一の各アンテナ位置同士でそれぞれ前記位置毎データ列の平均値を取ることで求まる平均受信波群を、各区画にそれぞれ当て嵌めることによりパターンデータ列を生成するパターン生成手段と、前記位置毎データ列から前記パターンデータ列を減算することにより、前記対象物で反射された電磁波に相当する対象反射成分が強調された補正反射波成分を算出する補正反射波算出手段と、複数の前記アンテナ位置における前記補正反射波成分の強度に基づいて前記対象物の状態を検出する解析手段とを備えていることを特徴とする物体探知装置。
【請求項2】
前記パターン生成手段は、前記平均受信波群を求める前に、複数の前記区画において前記非対象物で反射された電磁波に相当する非対象反射成分の前記サンプリングタイミングが揃うように各区画における前記位置毎データ列を補正する補正手段を有することを特徴とする請求項1記載の物体探知装置。
【請求項3】
前記パターン生成手段は、前記位置毎データ列に前記対象反射成分が含まれる前記区画を除く前記区画について前記位置毎データ列の平均値を取ることにより前記平均受信波群を求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物体探知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−8454(P2009−8454A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168198(P2007−168198)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】