物体検出法及び装置
物体の検出方法と装置に関する。1実施例では、保護領域に進入する人物を低パワー偏光電波で照射する。人物から反射される異なる偏光波を収集する。反射信号の多様なパラメータを測定し、これらの多様な選択された相違を計算して隠蔽武器を検出する。これらの相違は時間機能としてプロットされるとパターンを創出する。訓練された人工知能ネットワークパターン認識プログラムを使用してこれらのパターンを評価し、自動的に武器の存在を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は2003年11月25日出願の米国仮特許願60/525637「偏光(偏向)並び人工知能処理を利用した物体検出法及び装置」の優先権を主張する。本願はまた2003年1月9日出願の米国特許願10/340016「物体検出システムのための信号処理法」の一部継続出願でもある。これは2002年1月29日出願の米国特許願10/060641の一部継続出願であり、2004年11月30日に米国特許6825456となった。これは1999年5月25日出願の米国特許願09/318196「物体検出システム」の一部継続出願であり、2002年1月29日に米国特許6342696となったものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、限定はしないが銃器や爆弾等の隠蔽された武器等の物体の存在を遠隔で検出する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
以下の説明はいくつかの出版物や文献に言及する。そのような解説は科学的原理の詳細な説明のためであり、特許の特許性に関わる従来技術を構成するものではない。
【0004】
1999年4月20日、コロラド州リトルトンのコロンバイン高校の2学生は級友や教師に向けて銃を乱射した。12名の10代の学生と1名の教師が射殺され、他に何十名もが怪我をした。この大量殺人事件のような犯罪による悲劇は今日の米国においては稀ではない。FBIは毎年、米国の犯罪者が240万件の強盗、560万件の暴力、並びに165000件の性的暴行に銃器を使用すると報告する(連邦承認銃器販売者全国協会発行「米国銃器産業誌」参照)。疾病監視センターは、1986年から1992年にかけて米国内で247979件の銃器による死亡例が報告されているというデータを収集した(拳銃暴力防止センターによるデータ)。さらに、近年、新たな脅威が発生した。人間爆弾である。これらはさらに危険であり、さらに破壊的である。その武器の特性により、離れたところで検出することが必須である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
銃器の違法使用による脅威を減少させようとする過去の多くの努力の成果は限定的であった。この20年間で、非常に高価なX線装置が大空港に設置された。この機械は非常に特殊な閉鎖環境で金属銃器を検出できる。この種の装置は機械の固定設置や、大スペースを必要とし、検査には近接を条件とし、数十万ドル、数百万ドルの費用がかかった。
【0006】
商業市場から現在入手が可能な複雑な隠蔽武器検出装置のいずれもがコンパクトではなく、重厚で、持ち運べず、利用法が複雑で、離れた対象は検出できず、信頼度も低い。それら弱点を克服する装置の開発は革命的な成果であり、法律執行機関や安全保障分野が長く待ち望んだものである。
【0007】
本発明の初期版は、2001年6月5日発行米国特許6243036「対象物検出システムのための信号処理法」、2002年3月19日発行米国特許6359582「隠蔽武器検出システム」、国際特許願PCT/US97/16944「隠蔽武器検出システム」(WO98/12573;1988年3月26日)、国際特許願PCT/US00/14509「対象物検出システムのための信号処理法」(WO00/75892;2000年12月14日)で解説されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本発明は標的と関連する対象物の存在を決定する方法に関する。この方法は、偏光放射線で標的を照射し、偏光放射線と同一偏光性を有した標的から反射する第1放射線を収集し、偏光放射線と反対偏光性を有した標的から反射する第2放射線を収集し、第1放射線と第2放射線の加重された複数の基準を利用して対象物の存在を決定する。好適には、その利用ステップは、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換された収集放射線の加重された複数の基準を用いる。好適には、その利用ステップは、複数時間で、第1放射線と第2放射線の一方あるいは両方の振幅スプレッドを利用する。好適には利用ステップはさらに、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換した後の0時での第1放射線の第1振幅、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換した後の0時での第2放射線の第2振幅、及び第1振幅と第2振幅の相違でなる群より選択される複数の基準の利用を含む。この利用ステップはオプションで第1放射線と第2放射線の到着時間の相違及び/又は時間ドメインあるいは周波数ドメインでの第1放射線と第2放射線の一方または両方の曲線形状の測定値の相違、好適には曲線のピーク値と曲線下側の全面積の比を含む。
【0009】
好適にはこの方法は複数回反復され、各成果の結果を組み合わせるステップをさらに含む。好適には方法はキャリブレーションデータで人工知能ネットワークをトレーニングするステップをさらに含み、好適には利用ステップはその人工知能ネットワークを利用して自動的に対象物の存在を判定するステップをさらに含む。
【0010】
好適には標的は人物であり、好適には対象物は隠蔽武器であり、好適にはナイフ、銃器、爆弾、起爆装置、あるいは人間爆弾である。
【0011】
本発明は標的に関連する対象物を検出する装置にも関する。この装置は偏光放射線で標的を照射するための送信アンテナと、放射線と同一偏光性を有する標的から反射した第1放射線を収集するための第1受信アンテナと、放射線とは反対偏光性を有する標的から反射した第2放射線を収集するための第2受信アンテナと、対象物の存在を判定するために第1放射線と第2放射線の加重された複数の基準を利用するためのプロセッサーとを含んでいる。好適にはプロセッサーはチャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換された受信放射線の加重された複数の基準を利用し、好適には複数の時間で第1放射線と第2放射線の一方または両方の振幅スプレッドを利用する。好適にはプロセッサーは、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換後の0時での第1放射線の第1振幅、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換後の0時での第2放射線の第2振幅及び第1振幅と第2振幅との相違から選択される複数の基準を利用する。
【0012】
好適にはプロセッサーはさらに、第1放射線と第2放射線の到着時間差を利用し、好適には時間ドメインまたは周波数ドメインの第1放射線と第2放射線の一方または両方の曲線の形状を利用し、好適には第1放射線と第2放射線の一方または両方の時間的変動を利用する。好適にはプロセッサーは標的への複数回の放射線照射からの結果を組み合わせる。1体の双偏光アンテナはオプションで第1受信アンテナと第2受信アンテナを含む。
【0013】
好適には標的は人物である。好適には対象物は隠蔽された武器であり、ナイフ、銃器、爆弾、起爆装置あるいは人間爆弾である。好適にはプロセッサーは自動的に対象物の存在を検出する人工知能ネットワークを利用し、好適には基準のそれぞれの値を振り当て、基準の値の組み合わせに基づいて対象物の存在を判定する。
【0014】
本発明の1目的は、好適にはコンパクトで軽量であり、長い距離で利用でき、持運び式及びバッテリー式の検出装置の提供である。これで好適実施例の装置を持ち運び可能とし、司法当局者や軍隊または警備員に使用させ、特定人物が武器を保有しているか否かを判定する。
【0015】
本発明の利点は、本発明で放射されるパワーレベルは、好適には空港や法廷等の入口で対象物を検出するのに現在使用されている従来のレーダ装置及びX線または他の画像化装置よりも大幅に小さいことである。本発明においては、標的に照射される平均パワー強度は非イオン化放射線の安全基準を下回る強度である。
【0016】
本発明の他の目的、利点及び新規な特徴並びにさらなる利用性は添付図面の説明を通して以下で提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
好適実施例の解説
(好適実施例)
本発明は離れた対象物の有無を検出するための方法と装置とに関する。本発明の1実施例は人物によって運搬される隠蔽銃器及び/又は爆弾を発見するために使用できる。本発明は学校、銀行、大使館、刑務所、裁判所、オフィースビル、小売店あるいは居住地のごとき安全が重要な場所(セーフゾーン)から武器を締め出すのに利用できる。“セーフゾーン”とは出願人の商標である。
【0018】
好適には対象物はドアに接近する人物である標的と関連し、好適には偏光された低パワー無線波を使用する。ここで使用する「標的」なる用語は放射線(無線波)が照射される対象であり、人物、リュックサック、手荷物、バッグ等である。「対象物」とは、標的物により運搬される物、着用物、隠蔽物、搭載可能なもの等であり、武器、ナイフ、銃器、拳銃、ピストル、ライフル、爆弾、人間爆弾用ジャケット、榴散弾、導火線等である。
【0019】
無線波(電波)が空中で伝播する様は、大洋面を移動する波に似ている。単純な無線信号の形状は図1aのように反復する上下の動き、すなわち振動波である。この無線波の上下運動は三次元で発生する。単純波(W)は伝播する。伝播平面に対して平行に偏光する無線波は水平偏光波と呼称される。伝播面に対して垂直に偏光する無線波は垂直偏光波と呼称される。波Wの高さ、すなわち強度は波の振幅(A)と呼称される。
【0020】
図1bは垂直に偏光した無線波を示し、図1cは水平に偏光した無線波を示す。垂直偏光波と水平偏光波は直交形態の偏光である。垂直偏光波と水平偏光波の間の関係を述べるのに使用される他の用語は、垂直、反対、クロス偏光、あるいは主副偏光波である。直交偏光を表すのに本文で主として使用される用語は、クロス偏光またはX偏光である。偏光のアイデアは、マイクロ波周波数の電波やフラッシュライトのごとき光波等、全ての形態の電磁波に適用される。
【0021】
本発明で照射されるパワーレベルは、空港や裁判所の入口で対象物の検出に使用される普通のレーダーや、X線や他の画像化装置のものより小さい。事実、本発明の好適実施例の平均標的照射密度は、非イオン化放射線の安全制限以下である。
【0022】
好適には本発明はGHz周波数領域で操作される。異なる周波数の放射線は対象物検出に異なる利点と弱点を提供する。米国では電波装置の作動周波数は連邦通信委員会(FCC)で規制されている。世界中の国は無線スペクトルの使用を認可して管理する同様な機関を有している。本文は特定周波数領域に言及するが、本システムは多様な電磁放射線バンドを使用でき、特定開示範囲に限定されない。
【0023】
図2は本発明の好適実施例を実行させる回路の概略ブロック図の非限定例である。低パワー電波トランスミッター12は第1方向カップラー13を介してモジュレータ14、フィルター16及びトランスミッター出力アンプ18にカップリングされている。それは送信/受信スイッチ20と予備セレクター22を介して送信/受信アンテナ80に接続されている。送信/受信スイッチ20はコントローラー26を介してレンジゲートスイッチ90と同調する。送信/受信アンテナ80と受信アンテナ82は直交偏光でエネルギーを検出し、標的から反射するエネルギーを収集する。あるいは、1体の2偏光アンテナがオプションで使用できる。受信パスの偏光性選択スイッチ24は水平または垂直偏光アンテナあるいはポートを選択する。好適には送信/受信アンテナ80は水平偏光で信号を送信し、反射する水平または共偏光信号を受信し、好適には受信アンテナ82は、垂直またはX偏光信号を垂直偏光で受信する。偏光スイッチ24は、どの信号がどの時間に受信装置に提供されたか判定する。予備セレクター22、23はバンドパスフィルターであり、バンドから外れる信号が受信装置に入って見せかけのレスポンスを出したりアンプを飽和状態にして通常の操作を妨げることを防止する。共偏光パスの予備セレクターフィルター22は送信装置から送られる不都合な調波を弱める。
【0024】
好適にはコントローラーまたはプロセッサー26はスタート/ストップ/スローププログラムを含んでおり、オシレータ30と共にトランスミッター12をコントロールするのに使用される。パルス波形発生装置28の出力部はモジュレータ14に接続されている。オシレータ30の出力は第2方向カップラー11を介してミキサー32に提供される。送信/受信スイッチ20の出力も偏光選択スイッチ24、フィルター36及び受信低ノイズアンプ34を介してミキサー32に供給される。好適にはプロセッサー26からのデジタル出力は中間周波数利得コントロールアンプ40に送られる。アンプはバンドパスフィルター41を介してミキサー32からの主信号入力を受信する。アンプ40の出力はレンジゲートスイッチ90及びハイパスフィルタ42を通ってパワー分割装置44に通じる。レンジゲートコントロール21とレンジゲートスイッチ90はタイムゲートを提供し、装置から望む距離にあるリフレクター(すなわち標的または対象物)からの信号のみが処理される。他の時間に到着する対象物からの信号は無視される。パワー分割装置44は信号を2つの出力に分割する。1つの出力は検出器46で復調された振幅であり、フィルター48、ビデオアンプ50、ゲートサンプル及びホールドストレッチャー52を通過する狭いパルスを発生させ、プロセッサー26に戻される前にアナログ・デジタル変換器54でデジタル化される。パワー分割装置44からの2番目の出力はスプリッター64を介して位相検出装置65、66に入力され、戻った信号の位相シフトは振幅と同時に測定される。
【0025】
位相情報は時間ドメイン変換にコンプレックス周波数を実施するために非常に重要であるため、好適には反射信号の位相が測定される。位相は相対用語であるため、これは、送信サンプルとローカルオシレータ信号をミックスさせることで参考信号をまず確立して達成される。トランスミット信号のサンプルは方向カップラー13を通じてトランスミッター12から取られ、方向性カップラー11を介したローカルオシレータ30からのローカルオシレータ信号のサンプルと共にミキサー9に供給される。ミキサー9の出力はフィルター8でバンドパスフィルターされ、リミターアンプ7でリミットされてその振幅をチューニングレンジにより安定させる。リミット信号は、強度が同一であるが、互いに90°位相がずれている2つの信号を出力する直角位相ハイブリッド72に供給される。出力の1つは第1位相検出器65に供給され、他方は第2位相検出器66に供給される。2つのオフセット位相検出器が使用され、明確に360°の範囲をカバーする。位相検出器65、66の出力はアナログであり、後にアナログ・デジタル変換器68、70でデジタル化される。デジタル信号はコントローラー26に供給され、後の処理をする。
【0026】
測定ユニット“dBsm”が使用され、反射放射線を定量化に使用される。デシベルは、放射あるいは反射された2レベルのパワーを比較するのに使用される。1例として、もしラジオを聴く人物が無線局のアンテナタワーに接近すれば、パワーレベルは非常に高くなる。もし、同一人物が遠くに離れていたら、受信する無線波はずっと小さくなる。デシベルはこのパワー比を1つの数字で定量化する。通常の分数とは異なり、デシベルはログ形態の測定であり、有用である。なぜなら、それは非常に大きな差を数値で比較できるからである。パワーレベルは大きく変わるのでログが使用される。2つのパワーレベルのデシベルでの相違は次のように計算される。
【0027】
【0028】
Pxは最初のパワーレベルであり、Pyは第2のパワーレベルである。2つの受信電波信号はデシベルを使用して比較される。距離が遠く離れたところで受信するパワーの減少は、近い場所のパワーレベルよりどれだけデシベルが低いかで表す。
【0029】
“レーダー断面”(RCS)は対象物のサイズの測定値である。無線波(電波)が発生されて物体に向けて方向付けられると、送信された電波の一部は物体を通り、他の一部は吸収され、他の一部は反射する。反射波が大きければ大きいほど、レーダー断面は大きくなる。比較的に大きなレーダー断面の対象物は、断面が小さいものと較べて検出が比較的容易である。対象物の測定レーダー断面の大きさはその反射率及び空間オリエンテーションによって定まる。例えば、海岸で近くの船舶を探しているとしよう。海岸に平行に移動する船は、沖に向かっている小さな船よりも検出しやすい。なぜなら、船の横腹から反射するレーダーは、遠ざかる船の船尾に当たって反射するものより強度が強いからである。よって、レーダー波に対して“横断方向”に移動する船は、レーダー波に対して縦方法に移動する船よりも大きなレーダー断面を提供する。
【0030】
本発明が拳銃のごとき対象物の検出に利用されるとき、拳銃が検出器に対して比較的に大きなレーダー断面を提供する場合には検出はさらに容易に行われるであろう。例えば、拳銃が腰に対して平坦となるように人物のベルトバックルに収められていると、地面に銃口が向けられ、グリップが前方あるいは後方に向けられるようにお尻に拳銃をもっている人物に較べて大きなレーダー断面を有する。図3は2人の人物が拳銃を持ち歩いている様を図示する。左側で人物はベルトの前または後ろに拳銃を入れている。右側では人物は拳銃をバッグ、パウチあるいはホルスターに入れている。両方のポジションでレーダー断面が類似するためには、図を回すか、あるいは検出器に対して異なる方向に向けなければならない。
【0031】
1平方メートルと比較したレーダー断面はデシベルdBsmの単位で現される。
【0032】
【0033】
Aは標的の面積(平方メートル)であり、Gは反射に対する標的の利得である。この式は、面積が操作波長に対して平坦で、均質に電波で照射されていると想定する。もし正方形の1辺がaであれば、面積はaの2乗になる。操作波形に対して平坦な表面は、
であり、波長λは0.3/fメートルであり、fは周波数(GHz)である。よって、
となる。
【0034】
この式は、もしサイズ“a”が2倍になれば、反射は12dBsm増加し(一次単位)、断面は16倍になる。もし、周波数が2倍になれば、反射は6dBsm大きくなる。すなわち一次単位で4倍になる。dBsmでのRCSは20log(f)として増加する。複雑なエッジ効果はここでは無視する。例えば、1GHzでレーダー断面6インチx6インチのプレートは−11.3dBsmになる。Gまたは利得はf2で増加するので、1から10GHzの増加は値を8.7dBsm増加させ、20dBの差になる。しかし、典型的な武器形状はレーダー波長に対して非平坦であるため、ほとんど増加は感じられない。
【0035】
表1のデータは、幾つかの周波数バンドでの電磁波により照射された金属375キャリバー拳銃のレーダー断面である。データはディテクター装置をキャリブレートし、参照測定を提供するために作成された。テスト形態は、1ポートRCS測定、16平均、時間ドメインゲートにて減少したIFバンド幅。
【0036】
【表1】
【0037】
同様に図4aは、2650MHzから3000MHzにわたる周波数範囲の電波のための357キャリバー拳銃のレーダー断面(RCS)に関するデータを提供する。曲線は広い側のポジションにある拳銃のレーダー断面を示す。すなわち、拳銃の最長寸法は電波の平面で延び、RCSはこの周波数範囲で約−8dBsmから−11dBsmまで変動する。図4bは身体の戻りを表し、あるいは拳銃を持たない人のRCSを図4aと同じ周波数で示す。そのバンドの平均レーダー断面は−3dBsm、あるいは約8dB平均拳銃戻りである−11dBより強力である。
【0038】
図5と図6は試験チャンバーの人物の電波反射測定値を提供する。図5は人物が電波で照射されると、2.59GHzから3.95GHzの間で約63%の電波エネルギーが身体から戻るという経験データを含む。図6は約32%が7.0GHzから10.66GHzで反射することを示す。
【0039】
好適には、一般的に本発明は反射の物理的現象に依存する。水平偏光入射電波は垂直偏光電波として部分反射する。垂直偏光へのエネルギー変換率は入射方向に垂直な平面での対象物の形状による。もし対象物が垂直と水平の成分を有する断面形状を有していれば、垂直偏光成分は、対象物が水平偏光波で照射されていても実現されるであろう。この垂直偏光成分は“クロス偏光”といい、水平偏光反射は“共偏光”である。これら用語はもし、標的と対象物が垂直偏光入射電波で照射されると反対となる。
【0040】
前述したように、357キャリバー拳銃と人体間のバックスキャターの差は平均で約−8dBである。数学的にはこれは組み合わされた拳銃と人体の信号は拳銃のない場合と較べて1.4dB多いだけである。人体の相違は6dB程度であり、拳銃の検出が困難であるのは理解できる。人体の太い骨は垂直であり、入射垂直偏光ではレーダー断面はさらに大きいことは不思議ではない。これは衣服の大抵のファスナーでも当てはまる。
【0041】
もし、入射水平偏光が使用されると、身体の断面は約6dB減少し、垂直偏光断面も同様に減少する。しかし、武器のクロス偏光は比較的に一定である。すなわち、1.4dBの相違は平均で7.4dBになり、1身体から別身体への変化の影響を減少させる。よって、標的が人体である場合、水平偏光電波を送信し、水平偏光電波と垂直偏光電波の両方を受信することが望ましい。
【0042】
図7は本発明の好適実施例の典型的な操作を図示する。保護地域あるいはセーフゾーンに入る人物は、例えば水平偏光されている電波で照射される。この電波の一部は吸収されるが、いくらかは反射してトランスミッターに戻る。トランスミッターが拳銃を持たない人物を照射すると、図7の上グラフ2つの曲線となる。この2本の曲線はチャープZ変換を適用した後の時間ドメインで、検出器に反射してきた水平偏光エネルギーの振幅(上曲線“α”)を表し、検出器に戻る垂直偏光エネルギーの振幅(下曲線“β”)を表す。
【0043】
図7の下側のグラフは時間ドメインで検出器によって探知された拳銃を人物が携帯しているときに得られた2曲線を含む。上グラフの場合と同様に、これら2曲線は時間ドメインで人物から反射した水平偏光電波のエネルギーレベル(上曲線“λ”)と、人物から反射した垂直偏光電波のエネルギーレベル(下曲線“σ”)を表す。曲線の最大値間の間隔“デルタB”は上のグラフの“デルタA”よりも幾分狭い。一般的に、人物が拳銃を持っているときには、あるいは相当な反射を引き起こす物体を保持しているときには、対象物から反射して戻る垂直偏光エネルギー成分は増加する。
【0044】
図8と図9は、拳銃検出実験中に発生した2対の波形の測定時間ドメイン試験装置プロットである。図8に示すグラフでは、人物は拳銃を持っておらず、2曲線の最大値は29.6dB離れている。入射偏光電波は水平であり、よって、受信水平偏光電波は受信垂直偏光電波よりも大きい。図9では同一人物が拳銃を所有しており、2曲線の最大値間の距離は7.9dBだけであり、拳銃を所持していることが分かる。
【0045】
2つの受信偏光電波間の振幅差の減少がこの試験では顕著であったが、他の場合には非常に小さいかも知れない。よって、この測定は必ずしも信頼できない。武器の存在を確認するには追加のパラメータあるいは基準を考察しなければならない。さらに、録音室ではない実際の世界では、地面の反射や環境よる拡散で引き起こされる多経路現象で信号は徐々に弱くなる。好適には多経路現象は上述のように幅広い周波数にわたってレーダーにスイープさせることで最少化できる。なぜなら、1つの周波数でのキャンセルが別周波数では同じとは限らないからである。幅広い周波数のスイープで追加の利点が提供される。すなわち、周波数ドメインで使用されるスペクトルが幅広いほど、適当な変換が実行された後には時間ドメインで時間と振幅の解像度が良くなるからである。
【0046】
本発明に好適に使用される別の基準は2つの戻り信号のピークの相対的タイミングである。人物が拳銃や爆弾を所持していると、ほとんどが拳銃で提供される垂直偏光信号の大部分が水平戻り信号に相対的な時間で前方に移動する。水平戻り信号は主として身体からの反射である。このような時間シフトは別のパラメータであり、武器検出の可能性向上に貢献する
【0047】
さらに、それら偏光戻り電波の両方の形状は人物が武器を携帯しているとさらに広がる傾向がある。なぜなら反射の一部は武器からで、一部は人体からのものだからである。よって、各戻り電波の曲線下側の面積に対するピーク値の比は好適には対象物検出の可能性の判定に貢献する。
【0048】
最後に、共偏光戻り電波(典型的には水平偏光)の絶対振幅は、人物が武器を携行しているときには武器からの反射によって大きくなる傾向がある。しかし、これはそれ自体重要なパラメータではない。なぜなら、人物が異なればサイズが異なるからである。もし共偏光戻り電波が非常に大きな人物にとって普通である値よりも大幅に大きいならば、それのみで特定個人の異常性を示しており、隠蔽対象物の存在を示している可能性がある。このパラメータは人物が榴散弾を含んだ爆弾を着用していれば非常に意味がある。
【0049】
好適には本発明は、隠蔽された武器を持っていない人物から反射する信号を表す標準セットの保存値を使用するアルゴリズムを解くことで実行される。好適には多数の人物を使用して測定しコンパイルされるこのデータは図7と図8の上グラフで表された情報を提供する。隠蔽された武器を携帯する人物から反射された信号を表す標準セットの保存値も使用される。多くの人の測定及びコンパイルされたこのデータは図7と図9の下グラフで表される情報を提供する。本発明の進歩した実施法では、検出器は少しずつ継続的に、セーフゾーンに入る多くの武器を携帯しない人物で作成された反射信号を学習することでその環境に適応できる。これは多数の学習システムの1つ、例えば人工知能ネットワークを利用することで達成される。
【0050】
本発明の拳銃検出スキームの最も困難な問題の1つは人体サイズの多様性である。今までに示された全てのデータは、測定された周波数ドメインから表示される時間ドメインプロットに変換するために振幅入力を使用した。しかし、前述のように、武器等の存在の信頼できる表示を提供するには不十分である。
【0051】
米国特許6342696「対象物検出装置」は隠蔽武器の検出のための新規な方法と装置を開示する。これは、標的地域からの共偏光戻り電波とクロス偏光戻り電波との間の振幅差が武器の存在の判定に使用される時間ドメイン法の利用を含む。コンプレックスチャープZ変換(CZT)を採用するアルゴリズムは位相情報を変換に利用することで振幅データと位相データの両方に対処でき、好適には対象物の検出感度を改善させるように利用される。CZTは数学的表現であり、周波数に関する情報を時間に関する情報に変換するのに利用される。すなわち、周波数ドメインから時間ドメインへの変換に利用される。CZTはZ変換の一般化であり、ラプラス変換のディスクリート形態である。
【0052】
隠蔽武器を所持する人物から反射する偏光波の位相の測定は重要である。なぜなら、隠された武器から反射する偏光波と人間から反射する偏光波は非常に異なる振る舞いをするからである。一般的に、武器からの反射波は一定ではなく、比較的に限られた範囲で変動する。一方、人体からの反射波は時間で変動する。なぜなら、身体は深度があり、反射は身体の様々な深度から発生するので非平坦型となる。変換された戻り波の質量中心は身体表面の下の1点である。好適には本発明は、一般的には人体からの時間/距離変動信号から、隠蔽武器からの相対的にコンパクト化された信号を区別する信号処理方法を使ってこの特性を利用する。非平面データを使用した結果、人体からの戻り波の減少が起こり、システムの感度が増大し、本発明の武器検出能力が向上した。よってCZTは、対象物から反射した放射線によって発生された第1信号を、人体のごとき標的から反射した放射線によって発生された第2信号から分離することを助ける。
【0053】
コンプレックス変換は各周波数成分の相対位相シフトの知識を必要とする。従って、CZTを利用するために、振幅情報と位相情報の両方が測定期間中に収集されなければならない。よって位相検出器が導入された。図2参照。位相検出器は2つの部分で構築されている。それぞれの部分には互いから90°オフセットされた同一信号が与えられる。そのような直交検出器は、ひとつの部分ユニットが円の異なる1/4部分で値を反復するので位相検出器の不明確性を排除する必要がある。所定の時間には1つの周波数のみが存在するので、位相をトランスミッター信号に関して測定することが好ましい。好適にはクロス偏光戻り信号の位相測定は、好適にはIF信号で実行される。あるいは、大きな相違を発生させずに位相測定は無線周波数(RF)信号で実行できる。しかし、RFで正確な測定値を得ることはさらに困難で、高価である。どちらの場合でも、位相識別器が使用され、送信された信号に対する戻り信号の位相が測定される。しかし、IFでコヒーレンシーを維持することに関して問題がある。
【0054】
好適にはこのようなコヒーレンシーは、戻り信号の正確なIFで基準を提供するために追加チャンネルを採用することで維持できる。好適にはこのことはトランスミットオシレータとローカルオシレータの両方をサンプリングし、それらを混成して位相検出器基準を創出することで達成される。ノイズは最少化される。なぜなら、標的に近いために戻り信号受信の遅れはナノ秒程度だからである。好適には1つの位相検出チャンネルが使用され、時分割多重化されて共偏光及びクロス偏光チャンネルの別々な位相測定をさせる。安定した基準を創出する別方法は、IFで作動する安定オシレータを使用し、IF基準を使用してローカルオシレータを合成し、オシレータを送信することである。
【0055】
サンプルクロス偏光振幅と人体からの位相反応の概略図は図10で提供されている。この情報はコンプレックスチャープZ変換を使用して処理される。図10の波形は次のように定義できる。
【0056】
【0057】
対象の周波数バンドはセグメントあるいはビンに分割される。ビン数“N”は0から無限大に近いいくつであっても構わない。
【0058】
レーダー信号から得られたデータは各周波数での反射信号の振幅と位相で成る。有用にするため、これら値は振幅対時間を表す値に変換されなければならない。次はレーダーパラメータの定義である。
【0059】
N=測定が実行される周波数サンプル数
F_step=サンプル間の周波数ステップのサイズ
F_span=全周波数スパン(NxF_step)
【0060】
周波数信号を時間に変換する標準的な方法は逆ディスクリートフーリエ変換(IDFT)を使用することである。IDFTはN個の周波数サンプルをN個の時間サンプルに変換する。得られた時間サンプルは時間0から時間=1/F_stepで均等に間隔があけられている。解像度は1/F_spanである。
【0061】
IDFTは次のように定義される。
X(k)はN個の周波数サンプル(コンプレックス)であり、x(n)はN個の時間サンプルである。
【0062】
例えば、N=128とF_step=7.8125MHzで、IDFTは128個の時間サンプルを提供する。それぞれ時間0から128ナノ秒まで1ナノ秒の間隔で提供される。しかし、この方法は次の2つの理由で不適当である。第1に、0から128までの全時間には興味がなく、標的と対象物からの反射が存在する非常に小さい(10ナノ秒まで)時間に興味があるだけである。次に、1ナノ秒解像度は粗すぎて、本発明にとって好ましい正確な時間測定ができない。
【0063】
これら2つの弱点はチャープZ変換を使用して周波数から時間に変換することで解消される。チャープZ変換はIDFTと同一の原理で働くが、対象の領域にズームインすることができる。前方(時間から周波数)チャープZ変換は次の式で与えられる。
【0064】
A=A0ej2πθ0
W=W0ej2πθ0
k=0,1・・・・・・M−1
A0はチャープZ当初半径を決定する。
W0はチャープZ変換の“螺旋係数”を決定する。
θ0は全間隔の一部としての開始位置を決定する。
Φ0は全間隔の一部としてのステップサイズを決定する。
Nは入力(時間)値の数である。
Mは出力(周波数)値の数である。
【0065】
上出の式を使用し、A0、W0、θ0、Φ0、N及びMの適当な値を選択して、変換の間隔と解像度が選択可能になる。本発明においては、A0とW0は好適には1にセットされる。
【0066】
上出の式は前方(時間から周波数)チャープZ変換である。逆チャープZ変換は周波数データの共役複素数の変換の共役複素数をとることで計算される。例えば、30ナノ秒から40ナノ秒の時間で、N=128、M=64として計算すると、θ0=30/128(開始時間を全時間で割る)とΦ0=(10/128)/64(時間スイープを全時間で割ったものを出力サンプル数で割る)となるであろう。
【0067】
CWDシステムのデータ処理は好適には次のステップを含む。
1.周波数振幅と位相値を得る。
2.ハミングウィンドーを値に適用する。
3.振幅と位相値を実数値と虚数値に変換する。
4.共役複素値を得る。
5.チャープZ変換を実行する。
6.結果を共役させる。
7.実数値と虚数値からの結果を振幅値に変換する。
【0068】
次の参考文献はチャープZ変換のさらなる詳細を解説する。「チャープZ変換アルゴリズムとその適用」L.タニナー他、MITリンカン図書館、ベルシステムジャーナル、1969年5月−6月号;「類似したレーダー信号の時間ドメイン分析のための逆チャープZ変換の使用」ディーンAフリッキ、アイダホ国立技術研究所;「ディスクリートフーリエ変換の計算に対する一次フィルターアプローチ」Lブルーステイン、GT&E、IEEE「音響と電気音響の交流」1970年12月;フレドリック ドクーロン「信号理論と処理」。
【0069】
ファストフーリエ変換に勝るチャープZ変換の主な利点は、何十ピコ秒の解像度で非常に正確な時間シフトデータを利用できる点である。1インチ以下の解像度で、共偏光戻りに関するクロス偏光戻りの発生の空間的位置についての情報を提供する。その後、クロス偏光は人体内または人体の前方あるいは表面からの発生したものかどうかについての情報を提供する。後述の人工知能ネットワークは好適にはこの情報を決定プロセスの一部として利用する。
【0070】
異なる偏光性である標的からの2つのレーダー戻りを分離するため、本発明の好適実施例の1つは、2つの供給装置を有するアンテナを利用する。1方は共偏光のためのもので、他方はクロス偏光のためのものであり、2つのアンテナを使用する。第1アンテナは好適には水平偏光波を送信し、同一の偏光性(共偏光)で受信する。第2アンテナは好適には反対の偏光性(クロス偏光)で受信するだけで、送信はしない。通常、このようなレーダーは2つの受信チャンネルを使用し、2つの受信信号を分離させておく。一方、本装置は信号を多様化し、電磁波スイッチを使用して受信チャンネルを交互に各アンテナに接続し、第2受信装置のコストを節約する。この節約は非常に重要である。このアプローチをそれぞれの偏光に別々の供給装置を使用するアンテナの設計にも適用できる。
【0071】
時間多重化は好適には、各入力部が各アンテナによって供給される受信装置への入力部においてSP2Tスイッチを追加して達成される。送信された信号は好適には、1パルスではなく約1マイクロ秒等の時間で区切られたパルスのバーストである。グループの各パルスからの戻りは平均化され、あらゆる不可解な読取を無効にする。3パルスから5パルスのグループが望ましい。
【0072】
人体の移動にかかる時間に対する測定速度のため、1セットが、好適には1ミリ秒である任意時間以下で完了する限り、読取は多様なシーケンスで実施できる。よってシステムを最も簡単な形態で設計できる。共偏光及びクロス偏光が各周波数で測定されるか、あるいは全共偏光が先ずある周波数スイープで測定され、その後クロス偏光が交互の周波数スイープで測定されるかは問題とならない。後者の方法では偏光スイッチを使用することができ、共偏光戻りの後にクロス偏光を選択し、1つの受信機のみを使用して両方の測定ができる。スイッチ時間が50から100ナノ秒である比較的遅いスイッチを使用できる。好適にはおよそ10KHzである反復速度で測定スイープを適当な時間内に完了できるであろう。
【0073】
加重関数を多様な収集データに適用することが望ましい。時間ドメインへの変換後の0時におけるクロス偏光信号振幅と、時間ドメインへの変換後の0時における共偏光信号振幅との間の相違に加えて、他にも重要なデータが存在する。例えば、共偏光及びクロス偏光戻りの振幅及び位相値は共に、大柄な人物が小柄な人物よりも約3dB大きい戻りを提供しようと、人物が携帯する金属(あるいはその他のレーダー反射材)の量についての表示を提供する。しかし、爆弾を付帯する人物は大柄な人物よりも多量の戻りを提供する可能性がある。さらに、約300ミリ秒の間に、各読取において複数の周波数スイープを利用し、平均値を計算することが望ましい。安全な対象物(武器なし)が5つの値の大きな変動(大きな標準偏差)を提供するのに対し、武器を携帯する人物はずっと狭いパターンを創出する。前者が5またはそれ以上のdB範囲であるのに対し、後者は典型的には3dB以下の範囲を示す。このように標準偏差は貴重なデータである。
【0074】
本発明は好適には数々のパラメータにポイントを提供するが、他のパラメータを使用してもよい。先ず1つ目の好適パラメータは共偏光戻りの振幅である。これ自身は弱い識別指標であるが、他のパラメータへの参考となる。対象物との異常な関連を示し、値が非常に高い場合のみ、ポイントがパラメータに提供される。例えば、共偏光振幅が−47dBよりも大きい場合には3ポイントを、−50dBよりも大きい場合には2ポイントを、−55dBより大きい場合には1ポイントを提供できる。dBm単位は1ミリワットに対するパワーの絶対測定値である。2つ目の好適パラメータは複合クロス偏光戻りの振幅である。例えば、クロス偏光振幅が−60dBよりも大きい場合には2ポイント、−62dBよりも大きい場合には1ポイントが提供できる。3つ目の好適パラメータは共偏光と複合クロス偏光戻りとの間の結果的相違である。例えば、相違が5dB以下である場合には4ポイントが、8dB以下である場合には2ポイントが、10dB以下である場合には1ポイントが提供できる。4つ目の好適パラメータは、クロス偏光と共偏光信号間の時間シフトである。5つ目の好適パラメータは、クロス偏光波形であり、変形信号時間の広がりが大きいほど、戻りが対象物からのいくつかの重要な反射物の結果である可能性が大きくなる。経験的に決定された閾値に関するこれらパラメータの測定値によって、それぞれにポイントが与えられる。
【0075】
それぞれの好適パラメータへのポイントは加算され、合計が任意的あるいは統計的に決定された上限閾値を超える場合、人物が武器または他の対象物体を保持すると判断できる。合計が下限閾値と上限閾値の間である場合、警告(すなわち再テスト)が報告されることが望ましい。合計が下限閾値以下である場合、人物は安全であると判断できる。好適には2回連続の“警告”で武器または対象物体保持の判断となる。
【0076】
好適には標的の3連続の“スナップショット”がとられることが望ましい。スナップショットは約1/4秒増分でとられることが望ましい。このように、“スナップショット”のセットは好適には3秒以下で完了し、人物がレンジゲートを移動するにつれて僅かに異なる位置で撮影される。これは、武器がある位置では見過ごされても別の位置で検出される可能性があるため、重要である。あるいは、オプションとして標的に例えば120度等の一定の範囲を回転するように要請し、各位置でスナップショットをとる。あるいは、1以上の装置を異なる位置に設置して、好適には異なる方向から標的に同時に照射することもできる。3つのスナップショットの内のどれか1つが武器を検出すれば、武器を保持すると判断できる。3連続のスナップショットが合計されれば、判断の正確性が遥かに向上する。オプションとして、武器保持の判断は、各スナップショットが3連続スナップショットに対するポイントの最低ポイントを有するという基準に従って決定することもできる。
【0077】
前述のプロセスは、パターン認識システムの手動実施について述べている。それぞれのパラメータに与えられたポイントとそれらのパラメータ値の変動は、主観的な判定の結果として手動的に与えられる。パラメータ値の加重を決定(ポイント付与)するさらに正確な方法のための次のステップは、人工知能あるいは好適には人工神経回路ネットワーク処理であるパターン認識技術の使用である。本発明は、“パターン認識ワークベンチ(PRW)”ソフトウエアを利用しているが、あらゆる同様のソフトウエアが利用できる。プログラムはデータ及びその正解を入力して訓練される。プログラムはデータを評価し、それぞれのパラメータの適正加重を決定して精度を最良化させる。標的の少数サンプル(例:人物)で、データセットを100%正確にできる。出力は実際に処理を行うコンピュータ内に保存されたコンピュータコードとなる。内部コンピュータは“ハンズオフ”モードで作動し、あらゆる新規蓄積データに対して決定を提供する。実施結果は驚くべきもので、予想正解率は手動選択加重での約80%から人工知能選択加重での98%以上である。多くの異なるサイズと体格の人物がテストされ、何人かが既存パターンに合致しない場合等、エラーが存在する場合は、神経ネットワークが学習するためである。
【0078】
調査が進むと、追加基準が開発並びに改良される。複数(例:3体)のアンテナを利用するシステムに守られたエントリーを提供することがこの開発の最終目的である。このようなシステムでは対象物体を様々な観点から、同時又は少なくとも互いにマイクロ秒以内に審査できる。多様な観点からのデータの入手は追加パラメータを提供し、決定を信頼できるものにする。人体にかなりの大きさの物体が隠蔽されていることを示す追加の表示として、反射間の小さな時間相違の測定への共偏光リファレンスの正確性を向上させるためにポーリングを含むこともできる。
【0079】
図11は、本発明の好適実施例を示すフローチャートである。
【0080】
隠蔽武器検出に関する本発明の好適実施例について説明したが、本発明は個別形状の商品または在庫管理や万引き防止システムとして商品に付けられた安価タグに限らず、あらゆる数の物体の検出に利用することができる。本発明をオプションとして、自動ドア開閉又はロック装置を含む装置等、自動ドア制御システムへ組み入れてもよい。本システムを爆弾または爆発物検出装置に利用することもできる。その他の物体の検出に関しては、どの周波数帯が対象の物体の最大情報を提供し、人工神経回路ネットワークを訓練するために十分なデータを蓄積するかの決定による。
【0081】
実施例1
検出用にテストされた標的には多様な武器が含まれ、22口径ピストル、グロック9mm半自動式ピストル、ウージー攻撃用ライフル、及び榴散弾としての釘、榴散弾としてのスリングショットボール及び榴散弾を含まない爆発性シミュレーションパケットを含む多様なテロリスト型爆弾を含んでいる。表2は、9.5から10.7GHz周波数帯を用いて水平偏光で照射した場合の、本発明による多様な武器の検出に関するサンプルテストデータを示している。このデータは前面のみを照射したものである。データはサイズと体重が約100ポンドから220ポンド、身長は約5フィート0インチ から6フィート2インチの異なる12人の人物を用いて得られたものである。表に示す如く、システムは116テストのうちの115テストで正確な判断を示し、ただ1件の間違った陽性と283の武器に対してゼロ件の間違った陰性を示した。(NAは該当なしを指す)
【0082】
【表2】
【0083】
本発明を好適実施例と共に詳細に説明したが、他の実施例でも同じ結果を達成できる。本発明の請求の範囲から逸脱することなく、本発明を多様に変形することは可能である。本発明の多様な変形は当業者には自明のことであり、変形や同等の発明は本発明の範囲に含まれる。前述の回路構成要素は特定の好適実施例について説明するためのものであって、本発明や請求の範囲を制限するものではない。好適実施例では特定のハードウエア形状または周波数帯について強調して説明したが、本発明は多様な回路構成要素または周波数範囲で実施可能である。チャープZ変換を強調して特定の信号処理方法並びに装置について説明したが、その他多様な数学的方法を用いた本発明の別の実施例も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1a】図1aは単純波を図示する。
【図1b】図1bは垂直に偏光した単純波を図示する。
【図1c】図1cは水平に偏光した単純波を図示する。
【図2】図2はトランスミッション及び検出回路の1実施例のブロック図である。
【図3】図3は身体の異なる部位で拳銃を運搬する人物を図示する。
【図4a】図4aは拳銃のレーダ断面図であり、dBsmと周波数で反射エネルギーを示す。
【図4b】図4bは人体のレーダ断面図であり、dBsmと周波数で反射エネルギーを示す。
【図5−6】図5と図6は、2.59から3.95GHzと7.0から10.66周波数バンドの無線波で照射されたときの人体の反射に関する情報を供給するグラフである。
【図7】図7は本発明方法の好適実施例を図示する。右側の2つのグラフは武器等の対象物が、異なる偏光性を有した反射放射線に対応する2セットの波形の振幅の時間ドメイン差を比較することで検出できることを示す。上下の両グラフで、2つの波形は検出器に反射して戻る垂直偏光放射線と水平偏光放射線を表す。
【図8−9】図8と図9は拳銃検出実験中に発生した2対の時間ドメイン波形の実際の装置プロットである。図8では人物は拳銃を持っていなかった。図9では同一人物が拳銃を持っていた。2曲線の最大値間の距離は大幅に狭い。
【図10】図10は本発明の好適実施例で利用されたコンプレックスチャープZ変換で使用された位相と振幅の反応を図示する、
【図11】図11は本発明の好適実施例の操作システムフロー図である。
【符号の説明】
【0085】
80 送信/受信アンテナ
82 受信アンテナ
26 プロセッサー
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は2003年11月25日出願の米国仮特許願60/525637「偏光(偏向)並び人工知能処理を利用した物体検出法及び装置」の優先権を主張する。本願はまた2003年1月9日出願の米国特許願10/340016「物体検出システムのための信号処理法」の一部継続出願でもある。これは2002年1月29日出願の米国特許願10/060641の一部継続出願であり、2004年11月30日に米国特許6825456となった。これは1999年5月25日出願の米国特許願09/318196「物体検出システム」の一部継続出願であり、2002年1月29日に米国特許6342696となったものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、限定はしないが銃器や爆弾等の隠蔽された武器等の物体の存在を遠隔で検出する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
以下の説明はいくつかの出版物や文献に言及する。そのような解説は科学的原理の詳細な説明のためであり、特許の特許性に関わる従来技術を構成するものではない。
【0004】
1999年4月20日、コロラド州リトルトンのコロンバイン高校の2学生は級友や教師に向けて銃を乱射した。12名の10代の学生と1名の教師が射殺され、他に何十名もが怪我をした。この大量殺人事件のような犯罪による悲劇は今日の米国においては稀ではない。FBIは毎年、米国の犯罪者が240万件の強盗、560万件の暴力、並びに165000件の性的暴行に銃器を使用すると報告する(連邦承認銃器販売者全国協会発行「米国銃器産業誌」参照)。疾病監視センターは、1986年から1992年にかけて米国内で247979件の銃器による死亡例が報告されているというデータを収集した(拳銃暴力防止センターによるデータ)。さらに、近年、新たな脅威が発生した。人間爆弾である。これらはさらに危険であり、さらに破壊的である。その武器の特性により、離れたところで検出することが必須である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
銃器の違法使用による脅威を減少させようとする過去の多くの努力の成果は限定的であった。この20年間で、非常に高価なX線装置が大空港に設置された。この機械は非常に特殊な閉鎖環境で金属銃器を検出できる。この種の装置は機械の固定設置や、大スペースを必要とし、検査には近接を条件とし、数十万ドル、数百万ドルの費用がかかった。
【0006】
商業市場から現在入手が可能な複雑な隠蔽武器検出装置のいずれもがコンパクトではなく、重厚で、持ち運べず、利用法が複雑で、離れた対象は検出できず、信頼度も低い。それら弱点を克服する装置の開発は革命的な成果であり、法律執行機関や安全保障分野が長く待ち望んだものである。
【0007】
本発明の初期版は、2001年6月5日発行米国特許6243036「対象物検出システムのための信号処理法」、2002年3月19日発行米国特許6359582「隠蔽武器検出システム」、国際特許願PCT/US97/16944「隠蔽武器検出システム」(WO98/12573;1988年3月26日)、国際特許願PCT/US00/14509「対象物検出システムのための信号処理法」(WO00/75892;2000年12月14日)で解説されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本発明は標的と関連する対象物の存在を決定する方法に関する。この方法は、偏光放射線で標的を照射し、偏光放射線と同一偏光性を有した標的から反射する第1放射線を収集し、偏光放射線と反対偏光性を有した標的から反射する第2放射線を収集し、第1放射線と第2放射線の加重された複数の基準を利用して対象物の存在を決定する。好適には、その利用ステップは、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換された収集放射線の加重された複数の基準を用いる。好適には、その利用ステップは、複数時間で、第1放射線と第2放射線の一方あるいは両方の振幅スプレッドを利用する。好適には利用ステップはさらに、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換した後の0時での第1放射線の第1振幅、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換した後の0時での第2放射線の第2振幅、及び第1振幅と第2振幅の相違でなる群より選択される複数の基準の利用を含む。この利用ステップはオプションで第1放射線と第2放射線の到着時間の相違及び/又は時間ドメインあるいは周波数ドメインでの第1放射線と第2放射線の一方または両方の曲線形状の測定値の相違、好適には曲線のピーク値と曲線下側の全面積の比を含む。
【0009】
好適にはこの方法は複数回反復され、各成果の結果を組み合わせるステップをさらに含む。好適には方法はキャリブレーションデータで人工知能ネットワークをトレーニングするステップをさらに含み、好適には利用ステップはその人工知能ネットワークを利用して自動的に対象物の存在を判定するステップをさらに含む。
【0010】
好適には標的は人物であり、好適には対象物は隠蔽武器であり、好適にはナイフ、銃器、爆弾、起爆装置、あるいは人間爆弾である。
【0011】
本発明は標的に関連する対象物を検出する装置にも関する。この装置は偏光放射線で標的を照射するための送信アンテナと、放射線と同一偏光性を有する標的から反射した第1放射線を収集するための第1受信アンテナと、放射線とは反対偏光性を有する標的から反射した第2放射線を収集するための第2受信アンテナと、対象物の存在を判定するために第1放射線と第2放射線の加重された複数の基準を利用するためのプロセッサーとを含んでいる。好適にはプロセッサーはチャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換された受信放射線の加重された複数の基準を利用し、好適には複数の時間で第1放射線と第2放射線の一方または両方の振幅スプレッドを利用する。好適にはプロセッサーは、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換後の0時での第1放射線の第1振幅、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換後の0時での第2放射線の第2振幅及び第1振幅と第2振幅との相違から選択される複数の基準を利用する。
【0012】
好適にはプロセッサーはさらに、第1放射線と第2放射線の到着時間差を利用し、好適には時間ドメインまたは周波数ドメインの第1放射線と第2放射線の一方または両方の曲線の形状を利用し、好適には第1放射線と第2放射線の一方または両方の時間的変動を利用する。好適にはプロセッサーは標的への複数回の放射線照射からの結果を組み合わせる。1体の双偏光アンテナはオプションで第1受信アンテナと第2受信アンテナを含む。
【0013】
好適には標的は人物である。好適には対象物は隠蔽された武器であり、ナイフ、銃器、爆弾、起爆装置あるいは人間爆弾である。好適にはプロセッサーは自動的に対象物の存在を検出する人工知能ネットワークを利用し、好適には基準のそれぞれの値を振り当て、基準の値の組み合わせに基づいて対象物の存在を判定する。
【0014】
本発明の1目的は、好適にはコンパクトで軽量であり、長い距離で利用でき、持運び式及びバッテリー式の検出装置の提供である。これで好適実施例の装置を持ち運び可能とし、司法当局者や軍隊または警備員に使用させ、特定人物が武器を保有しているか否かを判定する。
【0015】
本発明の利点は、本発明で放射されるパワーレベルは、好適には空港や法廷等の入口で対象物を検出するのに現在使用されている従来のレーダ装置及びX線または他の画像化装置よりも大幅に小さいことである。本発明においては、標的に照射される平均パワー強度は非イオン化放射線の安全基準を下回る強度である。
【0016】
本発明の他の目的、利点及び新規な特徴並びにさらなる利用性は添付図面の説明を通して以下で提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
好適実施例の解説
(好適実施例)
本発明は離れた対象物の有無を検出するための方法と装置とに関する。本発明の1実施例は人物によって運搬される隠蔽銃器及び/又は爆弾を発見するために使用できる。本発明は学校、銀行、大使館、刑務所、裁判所、オフィースビル、小売店あるいは居住地のごとき安全が重要な場所(セーフゾーン)から武器を締め出すのに利用できる。“セーフゾーン”とは出願人の商標である。
【0018】
好適には対象物はドアに接近する人物である標的と関連し、好適には偏光された低パワー無線波を使用する。ここで使用する「標的」なる用語は放射線(無線波)が照射される対象であり、人物、リュックサック、手荷物、バッグ等である。「対象物」とは、標的物により運搬される物、着用物、隠蔽物、搭載可能なもの等であり、武器、ナイフ、銃器、拳銃、ピストル、ライフル、爆弾、人間爆弾用ジャケット、榴散弾、導火線等である。
【0019】
無線波(電波)が空中で伝播する様は、大洋面を移動する波に似ている。単純な無線信号の形状は図1aのように反復する上下の動き、すなわち振動波である。この無線波の上下運動は三次元で発生する。単純波(W)は伝播する。伝播平面に対して平行に偏光する無線波は水平偏光波と呼称される。伝播面に対して垂直に偏光する無線波は垂直偏光波と呼称される。波Wの高さ、すなわち強度は波の振幅(A)と呼称される。
【0020】
図1bは垂直に偏光した無線波を示し、図1cは水平に偏光した無線波を示す。垂直偏光波と水平偏光波は直交形態の偏光である。垂直偏光波と水平偏光波の間の関係を述べるのに使用される他の用語は、垂直、反対、クロス偏光、あるいは主副偏光波である。直交偏光を表すのに本文で主として使用される用語は、クロス偏光またはX偏光である。偏光のアイデアは、マイクロ波周波数の電波やフラッシュライトのごとき光波等、全ての形態の電磁波に適用される。
【0021】
本発明で照射されるパワーレベルは、空港や裁判所の入口で対象物の検出に使用される普通のレーダーや、X線や他の画像化装置のものより小さい。事実、本発明の好適実施例の平均標的照射密度は、非イオン化放射線の安全制限以下である。
【0022】
好適には本発明はGHz周波数領域で操作される。異なる周波数の放射線は対象物検出に異なる利点と弱点を提供する。米国では電波装置の作動周波数は連邦通信委員会(FCC)で規制されている。世界中の国は無線スペクトルの使用を認可して管理する同様な機関を有している。本文は特定周波数領域に言及するが、本システムは多様な電磁放射線バンドを使用でき、特定開示範囲に限定されない。
【0023】
図2は本発明の好適実施例を実行させる回路の概略ブロック図の非限定例である。低パワー電波トランスミッター12は第1方向カップラー13を介してモジュレータ14、フィルター16及びトランスミッター出力アンプ18にカップリングされている。それは送信/受信スイッチ20と予備セレクター22を介して送信/受信アンテナ80に接続されている。送信/受信スイッチ20はコントローラー26を介してレンジゲートスイッチ90と同調する。送信/受信アンテナ80と受信アンテナ82は直交偏光でエネルギーを検出し、標的から反射するエネルギーを収集する。あるいは、1体の2偏光アンテナがオプションで使用できる。受信パスの偏光性選択スイッチ24は水平または垂直偏光アンテナあるいはポートを選択する。好適には送信/受信アンテナ80は水平偏光で信号を送信し、反射する水平または共偏光信号を受信し、好適には受信アンテナ82は、垂直またはX偏光信号を垂直偏光で受信する。偏光スイッチ24は、どの信号がどの時間に受信装置に提供されたか判定する。予備セレクター22、23はバンドパスフィルターであり、バンドから外れる信号が受信装置に入って見せかけのレスポンスを出したりアンプを飽和状態にして通常の操作を妨げることを防止する。共偏光パスの予備セレクターフィルター22は送信装置から送られる不都合な調波を弱める。
【0024】
好適にはコントローラーまたはプロセッサー26はスタート/ストップ/スローププログラムを含んでおり、オシレータ30と共にトランスミッター12をコントロールするのに使用される。パルス波形発生装置28の出力部はモジュレータ14に接続されている。オシレータ30の出力は第2方向カップラー11を介してミキサー32に提供される。送信/受信スイッチ20の出力も偏光選択スイッチ24、フィルター36及び受信低ノイズアンプ34を介してミキサー32に供給される。好適にはプロセッサー26からのデジタル出力は中間周波数利得コントロールアンプ40に送られる。アンプはバンドパスフィルター41を介してミキサー32からの主信号入力を受信する。アンプ40の出力はレンジゲートスイッチ90及びハイパスフィルタ42を通ってパワー分割装置44に通じる。レンジゲートコントロール21とレンジゲートスイッチ90はタイムゲートを提供し、装置から望む距離にあるリフレクター(すなわち標的または対象物)からの信号のみが処理される。他の時間に到着する対象物からの信号は無視される。パワー分割装置44は信号を2つの出力に分割する。1つの出力は検出器46で復調された振幅であり、フィルター48、ビデオアンプ50、ゲートサンプル及びホールドストレッチャー52を通過する狭いパルスを発生させ、プロセッサー26に戻される前にアナログ・デジタル変換器54でデジタル化される。パワー分割装置44からの2番目の出力はスプリッター64を介して位相検出装置65、66に入力され、戻った信号の位相シフトは振幅と同時に測定される。
【0025】
位相情報は時間ドメイン変換にコンプレックス周波数を実施するために非常に重要であるため、好適には反射信号の位相が測定される。位相は相対用語であるため、これは、送信サンプルとローカルオシレータ信号をミックスさせることで参考信号をまず確立して達成される。トランスミット信号のサンプルは方向カップラー13を通じてトランスミッター12から取られ、方向性カップラー11を介したローカルオシレータ30からのローカルオシレータ信号のサンプルと共にミキサー9に供給される。ミキサー9の出力はフィルター8でバンドパスフィルターされ、リミターアンプ7でリミットされてその振幅をチューニングレンジにより安定させる。リミット信号は、強度が同一であるが、互いに90°位相がずれている2つの信号を出力する直角位相ハイブリッド72に供給される。出力の1つは第1位相検出器65に供給され、他方は第2位相検出器66に供給される。2つのオフセット位相検出器が使用され、明確に360°の範囲をカバーする。位相検出器65、66の出力はアナログであり、後にアナログ・デジタル変換器68、70でデジタル化される。デジタル信号はコントローラー26に供給され、後の処理をする。
【0026】
測定ユニット“dBsm”が使用され、反射放射線を定量化に使用される。デシベルは、放射あるいは反射された2レベルのパワーを比較するのに使用される。1例として、もしラジオを聴く人物が無線局のアンテナタワーに接近すれば、パワーレベルは非常に高くなる。もし、同一人物が遠くに離れていたら、受信する無線波はずっと小さくなる。デシベルはこのパワー比を1つの数字で定量化する。通常の分数とは異なり、デシベルはログ形態の測定であり、有用である。なぜなら、それは非常に大きな差を数値で比較できるからである。パワーレベルは大きく変わるのでログが使用される。2つのパワーレベルのデシベルでの相違は次のように計算される。
【0027】
【0028】
Pxは最初のパワーレベルであり、Pyは第2のパワーレベルである。2つの受信電波信号はデシベルを使用して比較される。距離が遠く離れたところで受信するパワーの減少は、近い場所のパワーレベルよりどれだけデシベルが低いかで表す。
【0029】
“レーダー断面”(RCS)は対象物のサイズの測定値である。無線波(電波)が発生されて物体に向けて方向付けられると、送信された電波の一部は物体を通り、他の一部は吸収され、他の一部は反射する。反射波が大きければ大きいほど、レーダー断面は大きくなる。比較的に大きなレーダー断面の対象物は、断面が小さいものと較べて検出が比較的容易である。対象物の測定レーダー断面の大きさはその反射率及び空間オリエンテーションによって定まる。例えば、海岸で近くの船舶を探しているとしよう。海岸に平行に移動する船は、沖に向かっている小さな船よりも検出しやすい。なぜなら、船の横腹から反射するレーダーは、遠ざかる船の船尾に当たって反射するものより強度が強いからである。よって、レーダー波に対して“横断方向”に移動する船は、レーダー波に対して縦方法に移動する船よりも大きなレーダー断面を提供する。
【0030】
本発明が拳銃のごとき対象物の検出に利用されるとき、拳銃が検出器に対して比較的に大きなレーダー断面を提供する場合には検出はさらに容易に行われるであろう。例えば、拳銃が腰に対して平坦となるように人物のベルトバックルに収められていると、地面に銃口が向けられ、グリップが前方あるいは後方に向けられるようにお尻に拳銃をもっている人物に較べて大きなレーダー断面を有する。図3は2人の人物が拳銃を持ち歩いている様を図示する。左側で人物はベルトの前または後ろに拳銃を入れている。右側では人物は拳銃をバッグ、パウチあるいはホルスターに入れている。両方のポジションでレーダー断面が類似するためには、図を回すか、あるいは検出器に対して異なる方向に向けなければならない。
【0031】
1平方メートルと比較したレーダー断面はデシベルdBsmの単位で現される。
【0032】
【0033】
Aは標的の面積(平方メートル)であり、Gは反射に対する標的の利得である。この式は、面積が操作波長に対して平坦で、均質に電波で照射されていると想定する。もし正方形の1辺がaであれば、面積はaの2乗になる。操作波形に対して平坦な表面は、
であり、波長λは0.3/fメートルであり、fは周波数(GHz)である。よって、
となる。
【0034】
この式は、もしサイズ“a”が2倍になれば、反射は12dBsm増加し(一次単位)、断面は16倍になる。もし、周波数が2倍になれば、反射は6dBsm大きくなる。すなわち一次単位で4倍になる。dBsmでのRCSは20log(f)として増加する。複雑なエッジ効果はここでは無視する。例えば、1GHzでレーダー断面6インチx6インチのプレートは−11.3dBsmになる。Gまたは利得はf2で増加するので、1から10GHzの増加は値を8.7dBsm増加させ、20dBの差になる。しかし、典型的な武器形状はレーダー波長に対して非平坦であるため、ほとんど増加は感じられない。
【0035】
表1のデータは、幾つかの周波数バンドでの電磁波により照射された金属375キャリバー拳銃のレーダー断面である。データはディテクター装置をキャリブレートし、参照測定を提供するために作成された。テスト形態は、1ポートRCS測定、16平均、時間ドメインゲートにて減少したIFバンド幅。
【0036】
【表1】
【0037】
同様に図4aは、2650MHzから3000MHzにわたる周波数範囲の電波のための357キャリバー拳銃のレーダー断面(RCS)に関するデータを提供する。曲線は広い側のポジションにある拳銃のレーダー断面を示す。すなわち、拳銃の最長寸法は電波の平面で延び、RCSはこの周波数範囲で約−8dBsmから−11dBsmまで変動する。図4bは身体の戻りを表し、あるいは拳銃を持たない人のRCSを図4aと同じ周波数で示す。そのバンドの平均レーダー断面は−3dBsm、あるいは約8dB平均拳銃戻りである−11dBより強力である。
【0038】
図5と図6は試験チャンバーの人物の電波反射測定値を提供する。図5は人物が電波で照射されると、2.59GHzから3.95GHzの間で約63%の電波エネルギーが身体から戻るという経験データを含む。図6は約32%が7.0GHzから10.66GHzで反射することを示す。
【0039】
好適には、一般的に本発明は反射の物理的現象に依存する。水平偏光入射電波は垂直偏光電波として部分反射する。垂直偏光へのエネルギー変換率は入射方向に垂直な平面での対象物の形状による。もし対象物が垂直と水平の成分を有する断面形状を有していれば、垂直偏光成分は、対象物が水平偏光波で照射されていても実現されるであろう。この垂直偏光成分は“クロス偏光”といい、水平偏光反射は“共偏光”である。これら用語はもし、標的と対象物が垂直偏光入射電波で照射されると反対となる。
【0040】
前述したように、357キャリバー拳銃と人体間のバックスキャターの差は平均で約−8dBである。数学的にはこれは組み合わされた拳銃と人体の信号は拳銃のない場合と較べて1.4dB多いだけである。人体の相違は6dB程度であり、拳銃の検出が困難であるのは理解できる。人体の太い骨は垂直であり、入射垂直偏光ではレーダー断面はさらに大きいことは不思議ではない。これは衣服の大抵のファスナーでも当てはまる。
【0041】
もし、入射水平偏光が使用されると、身体の断面は約6dB減少し、垂直偏光断面も同様に減少する。しかし、武器のクロス偏光は比較的に一定である。すなわち、1.4dBの相違は平均で7.4dBになり、1身体から別身体への変化の影響を減少させる。よって、標的が人体である場合、水平偏光電波を送信し、水平偏光電波と垂直偏光電波の両方を受信することが望ましい。
【0042】
図7は本発明の好適実施例の典型的な操作を図示する。保護地域あるいはセーフゾーンに入る人物は、例えば水平偏光されている電波で照射される。この電波の一部は吸収されるが、いくらかは反射してトランスミッターに戻る。トランスミッターが拳銃を持たない人物を照射すると、図7の上グラフ2つの曲線となる。この2本の曲線はチャープZ変換を適用した後の時間ドメインで、検出器に反射してきた水平偏光エネルギーの振幅(上曲線“α”)を表し、検出器に戻る垂直偏光エネルギーの振幅(下曲線“β”)を表す。
【0043】
図7の下側のグラフは時間ドメインで検出器によって探知された拳銃を人物が携帯しているときに得られた2曲線を含む。上グラフの場合と同様に、これら2曲線は時間ドメインで人物から反射した水平偏光電波のエネルギーレベル(上曲線“λ”)と、人物から反射した垂直偏光電波のエネルギーレベル(下曲線“σ”)を表す。曲線の最大値間の間隔“デルタB”は上のグラフの“デルタA”よりも幾分狭い。一般的に、人物が拳銃を持っているときには、あるいは相当な反射を引き起こす物体を保持しているときには、対象物から反射して戻る垂直偏光エネルギー成分は増加する。
【0044】
図8と図9は、拳銃検出実験中に発生した2対の波形の測定時間ドメイン試験装置プロットである。図8に示すグラフでは、人物は拳銃を持っておらず、2曲線の最大値は29.6dB離れている。入射偏光電波は水平であり、よって、受信水平偏光電波は受信垂直偏光電波よりも大きい。図9では同一人物が拳銃を所有しており、2曲線の最大値間の距離は7.9dBだけであり、拳銃を所持していることが分かる。
【0045】
2つの受信偏光電波間の振幅差の減少がこの試験では顕著であったが、他の場合には非常に小さいかも知れない。よって、この測定は必ずしも信頼できない。武器の存在を確認するには追加のパラメータあるいは基準を考察しなければならない。さらに、録音室ではない実際の世界では、地面の反射や環境よる拡散で引き起こされる多経路現象で信号は徐々に弱くなる。好適には多経路現象は上述のように幅広い周波数にわたってレーダーにスイープさせることで最少化できる。なぜなら、1つの周波数でのキャンセルが別周波数では同じとは限らないからである。幅広い周波数のスイープで追加の利点が提供される。すなわち、周波数ドメインで使用されるスペクトルが幅広いほど、適当な変換が実行された後には時間ドメインで時間と振幅の解像度が良くなるからである。
【0046】
本発明に好適に使用される別の基準は2つの戻り信号のピークの相対的タイミングである。人物が拳銃や爆弾を所持していると、ほとんどが拳銃で提供される垂直偏光信号の大部分が水平戻り信号に相対的な時間で前方に移動する。水平戻り信号は主として身体からの反射である。このような時間シフトは別のパラメータであり、武器検出の可能性向上に貢献する
【0047】
さらに、それら偏光戻り電波の両方の形状は人物が武器を携帯しているとさらに広がる傾向がある。なぜなら反射の一部は武器からで、一部は人体からのものだからである。よって、各戻り電波の曲線下側の面積に対するピーク値の比は好適には対象物検出の可能性の判定に貢献する。
【0048】
最後に、共偏光戻り電波(典型的には水平偏光)の絶対振幅は、人物が武器を携行しているときには武器からの反射によって大きくなる傾向がある。しかし、これはそれ自体重要なパラメータではない。なぜなら、人物が異なればサイズが異なるからである。もし共偏光戻り電波が非常に大きな人物にとって普通である値よりも大幅に大きいならば、それのみで特定個人の異常性を示しており、隠蔽対象物の存在を示している可能性がある。このパラメータは人物が榴散弾を含んだ爆弾を着用していれば非常に意味がある。
【0049】
好適には本発明は、隠蔽された武器を持っていない人物から反射する信号を表す標準セットの保存値を使用するアルゴリズムを解くことで実行される。好適には多数の人物を使用して測定しコンパイルされるこのデータは図7と図8の上グラフで表された情報を提供する。隠蔽された武器を携帯する人物から反射された信号を表す標準セットの保存値も使用される。多くの人の測定及びコンパイルされたこのデータは図7と図9の下グラフで表される情報を提供する。本発明の進歩した実施法では、検出器は少しずつ継続的に、セーフゾーンに入る多くの武器を携帯しない人物で作成された反射信号を学習することでその環境に適応できる。これは多数の学習システムの1つ、例えば人工知能ネットワークを利用することで達成される。
【0050】
本発明の拳銃検出スキームの最も困難な問題の1つは人体サイズの多様性である。今までに示された全てのデータは、測定された周波数ドメインから表示される時間ドメインプロットに変換するために振幅入力を使用した。しかし、前述のように、武器等の存在の信頼できる表示を提供するには不十分である。
【0051】
米国特許6342696「対象物検出装置」は隠蔽武器の検出のための新規な方法と装置を開示する。これは、標的地域からの共偏光戻り電波とクロス偏光戻り電波との間の振幅差が武器の存在の判定に使用される時間ドメイン法の利用を含む。コンプレックスチャープZ変換(CZT)を採用するアルゴリズムは位相情報を変換に利用することで振幅データと位相データの両方に対処でき、好適には対象物の検出感度を改善させるように利用される。CZTは数学的表現であり、周波数に関する情報を時間に関する情報に変換するのに利用される。すなわち、周波数ドメインから時間ドメインへの変換に利用される。CZTはZ変換の一般化であり、ラプラス変換のディスクリート形態である。
【0052】
隠蔽武器を所持する人物から反射する偏光波の位相の測定は重要である。なぜなら、隠された武器から反射する偏光波と人間から反射する偏光波は非常に異なる振る舞いをするからである。一般的に、武器からの反射波は一定ではなく、比較的に限られた範囲で変動する。一方、人体からの反射波は時間で変動する。なぜなら、身体は深度があり、反射は身体の様々な深度から発生するので非平坦型となる。変換された戻り波の質量中心は身体表面の下の1点である。好適には本発明は、一般的には人体からの時間/距離変動信号から、隠蔽武器からの相対的にコンパクト化された信号を区別する信号処理方法を使ってこの特性を利用する。非平面データを使用した結果、人体からの戻り波の減少が起こり、システムの感度が増大し、本発明の武器検出能力が向上した。よってCZTは、対象物から反射した放射線によって発生された第1信号を、人体のごとき標的から反射した放射線によって発生された第2信号から分離することを助ける。
【0053】
コンプレックス変換は各周波数成分の相対位相シフトの知識を必要とする。従って、CZTを利用するために、振幅情報と位相情報の両方が測定期間中に収集されなければならない。よって位相検出器が導入された。図2参照。位相検出器は2つの部分で構築されている。それぞれの部分には互いから90°オフセットされた同一信号が与えられる。そのような直交検出器は、ひとつの部分ユニットが円の異なる1/4部分で値を反復するので位相検出器の不明確性を排除する必要がある。所定の時間には1つの周波数のみが存在するので、位相をトランスミッター信号に関して測定することが好ましい。好適にはクロス偏光戻り信号の位相測定は、好適にはIF信号で実行される。あるいは、大きな相違を発生させずに位相測定は無線周波数(RF)信号で実行できる。しかし、RFで正確な測定値を得ることはさらに困難で、高価である。どちらの場合でも、位相識別器が使用され、送信された信号に対する戻り信号の位相が測定される。しかし、IFでコヒーレンシーを維持することに関して問題がある。
【0054】
好適にはこのようなコヒーレンシーは、戻り信号の正確なIFで基準を提供するために追加チャンネルを採用することで維持できる。好適にはこのことはトランスミットオシレータとローカルオシレータの両方をサンプリングし、それらを混成して位相検出器基準を創出することで達成される。ノイズは最少化される。なぜなら、標的に近いために戻り信号受信の遅れはナノ秒程度だからである。好適には1つの位相検出チャンネルが使用され、時分割多重化されて共偏光及びクロス偏光チャンネルの別々な位相測定をさせる。安定した基準を創出する別方法は、IFで作動する安定オシレータを使用し、IF基準を使用してローカルオシレータを合成し、オシレータを送信することである。
【0055】
サンプルクロス偏光振幅と人体からの位相反応の概略図は図10で提供されている。この情報はコンプレックスチャープZ変換を使用して処理される。図10の波形は次のように定義できる。
【0056】
【0057】
対象の周波数バンドはセグメントあるいはビンに分割される。ビン数“N”は0から無限大に近いいくつであっても構わない。
【0058】
レーダー信号から得られたデータは各周波数での反射信号の振幅と位相で成る。有用にするため、これら値は振幅対時間を表す値に変換されなければならない。次はレーダーパラメータの定義である。
【0059】
N=測定が実行される周波数サンプル数
F_step=サンプル間の周波数ステップのサイズ
F_span=全周波数スパン(NxF_step)
【0060】
周波数信号を時間に変換する標準的な方法は逆ディスクリートフーリエ変換(IDFT)を使用することである。IDFTはN個の周波数サンプルをN個の時間サンプルに変換する。得られた時間サンプルは時間0から時間=1/F_stepで均等に間隔があけられている。解像度は1/F_spanである。
【0061】
IDFTは次のように定義される。
X(k)はN個の周波数サンプル(コンプレックス)であり、x(n)はN個の時間サンプルである。
【0062】
例えば、N=128とF_step=7.8125MHzで、IDFTは128個の時間サンプルを提供する。それぞれ時間0から128ナノ秒まで1ナノ秒の間隔で提供される。しかし、この方法は次の2つの理由で不適当である。第1に、0から128までの全時間には興味がなく、標的と対象物からの反射が存在する非常に小さい(10ナノ秒まで)時間に興味があるだけである。次に、1ナノ秒解像度は粗すぎて、本発明にとって好ましい正確な時間測定ができない。
【0063】
これら2つの弱点はチャープZ変換を使用して周波数から時間に変換することで解消される。チャープZ変換はIDFTと同一の原理で働くが、対象の領域にズームインすることができる。前方(時間から周波数)チャープZ変換は次の式で与えられる。
【0064】
A=A0ej2πθ0
W=W0ej2πθ0
k=0,1・・・・・・M−1
A0はチャープZ当初半径を決定する。
W0はチャープZ変換の“螺旋係数”を決定する。
θ0は全間隔の一部としての開始位置を決定する。
Φ0は全間隔の一部としてのステップサイズを決定する。
Nは入力(時間)値の数である。
Mは出力(周波数)値の数である。
【0065】
上出の式を使用し、A0、W0、θ0、Φ0、N及びMの適当な値を選択して、変換の間隔と解像度が選択可能になる。本発明においては、A0とW0は好適には1にセットされる。
【0066】
上出の式は前方(時間から周波数)チャープZ変換である。逆チャープZ変換は周波数データの共役複素数の変換の共役複素数をとることで計算される。例えば、30ナノ秒から40ナノ秒の時間で、N=128、M=64として計算すると、θ0=30/128(開始時間を全時間で割る)とΦ0=(10/128)/64(時間スイープを全時間で割ったものを出力サンプル数で割る)となるであろう。
【0067】
CWDシステムのデータ処理は好適には次のステップを含む。
1.周波数振幅と位相値を得る。
2.ハミングウィンドーを値に適用する。
3.振幅と位相値を実数値と虚数値に変換する。
4.共役複素値を得る。
5.チャープZ変換を実行する。
6.結果を共役させる。
7.実数値と虚数値からの結果を振幅値に変換する。
【0068】
次の参考文献はチャープZ変換のさらなる詳細を解説する。「チャープZ変換アルゴリズムとその適用」L.タニナー他、MITリンカン図書館、ベルシステムジャーナル、1969年5月−6月号;「類似したレーダー信号の時間ドメイン分析のための逆チャープZ変換の使用」ディーンAフリッキ、アイダホ国立技術研究所;「ディスクリートフーリエ変換の計算に対する一次フィルターアプローチ」Lブルーステイン、GT&E、IEEE「音響と電気音響の交流」1970年12月;フレドリック ドクーロン「信号理論と処理」。
【0069】
ファストフーリエ変換に勝るチャープZ変換の主な利点は、何十ピコ秒の解像度で非常に正確な時間シフトデータを利用できる点である。1インチ以下の解像度で、共偏光戻りに関するクロス偏光戻りの発生の空間的位置についての情報を提供する。その後、クロス偏光は人体内または人体の前方あるいは表面からの発生したものかどうかについての情報を提供する。後述の人工知能ネットワークは好適にはこの情報を決定プロセスの一部として利用する。
【0070】
異なる偏光性である標的からの2つのレーダー戻りを分離するため、本発明の好適実施例の1つは、2つの供給装置を有するアンテナを利用する。1方は共偏光のためのもので、他方はクロス偏光のためのものであり、2つのアンテナを使用する。第1アンテナは好適には水平偏光波を送信し、同一の偏光性(共偏光)で受信する。第2アンテナは好適には反対の偏光性(クロス偏光)で受信するだけで、送信はしない。通常、このようなレーダーは2つの受信チャンネルを使用し、2つの受信信号を分離させておく。一方、本装置は信号を多様化し、電磁波スイッチを使用して受信チャンネルを交互に各アンテナに接続し、第2受信装置のコストを節約する。この節約は非常に重要である。このアプローチをそれぞれの偏光に別々の供給装置を使用するアンテナの設計にも適用できる。
【0071】
時間多重化は好適には、各入力部が各アンテナによって供給される受信装置への入力部においてSP2Tスイッチを追加して達成される。送信された信号は好適には、1パルスではなく約1マイクロ秒等の時間で区切られたパルスのバーストである。グループの各パルスからの戻りは平均化され、あらゆる不可解な読取を無効にする。3パルスから5パルスのグループが望ましい。
【0072】
人体の移動にかかる時間に対する測定速度のため、1セットが、好適には1ミリ秒である任意時間以下で完了する限り、読取は多様なシーケンスで実施できる。よってシステムを最も簡単な形態で設計できる。共偏光及びクロス偏光が各周波数で測定されるか、あるいは全共偏光が先ずある周波数スイープで測定され、その後クロス偏光が交互の周波数スイープで測定されるかは問題とならない。後者の方法では偏光スイッチを使用することができ、共偏光戻りの後にクロス偏光を選択し、1つの受信機のみを使用して両方の測定ができる。スイッチ時間が50から100ナノ秒である比較的遅いスイッチを使用できる。好適にはおよそ10KHzである反復速度で測定スイープを適当な時間内に完了できるであろう。
【0073】
加重関数を多様な収集データに適用することが望ましい。時間ドメインへの変換後の0時におけるクロス偏光信号振幅と、時間ドメインへの変換後の0時における共偏光信号振幅との間の相違に加えて、他にも重要なデータが存在する。例えば、共偏光及びクロス偏光戻りの振幅及び位相値は共に、大柄な人物が小柄な人物よりも約3dB大きい戻りを提供しようと、人物が携帯する金属(あるいはその他のレーダー反射材)の量についての表示を提供する。しかし、爆弾を付帯する人物は大柄な人物よりも多量の戻りを提供する可能性がある。さらに、約300ミリ秒の間に、各読取において複数の周波数スイープを利用し、平均値を計算することが望ましい。安全な対象物(武器なし)が5つの値の大きな変動(大きな標準偏差)を提供するのに対し、武器を携帯する人物はずっと狭いパターンを創出する。前者が5またはそれ以上のdB範囲であるのに対し、後者は典型的には3dB以下の範囲を示す。このように標準偏差は貴重なデータである。
【0074】
本発明は好適には数々のパラメータにポイントを提供するが、他のパラメータを使用してもよい。先ず1つ目の好適パラメータは共偏光戻りの振幅である。これ自身は弱い識別指標であるが、他のパラメータへの参考となる。対象物との異常な関連を示し、値が非常に高い場合のみ、ポイントがパラメータに提供される。例えば、共偏光振幅が−47dBよりも大きい場合には3ポイントを、−50dBよりも大きい場合には2ポイントを、−55dBより大きい場合には1ポイントを提供できる。dBm単位は1ミリワットに対するパワーの絶対測定値である。2つ目の好適パラメータは複合クロス偏光戻りの振幅である。例えば、クロス偏光振幅が−60dBよりも大きい場合には2ポイント、−62dBよりも大きい場合には1ポイントが提供できる。3つ目の好適パラメータは共偏光と複合クロス偏光戻りとの間の結果的相違である。例えば、相違が5dB以下である場合には4ポイントが、8dB以下である場合には2ポイントが、10dB以下である場合には1ポイントが提供できる。4つ目の好適パラメータは、クロス偏光と共偏光信号間の時間シフトである。5つ目の好適パラメータは、クロス偏光波形であり、変形信号時間の広がりが大きいほど、戻りが対象物からのいくつかの重要な反射物の結果である可能性が大きくなる。経験的に決定された閾値に関するこれらパラメータの測定値によって、それぞれにポイントが与えられる。
【0075】
それぞれの好適パラメータへのポイントは加算され、合計が任意的あるいは統計的に決定された上限閾値を超える場合、人物が武器または他の対象物体を保持すると判断できる。合計が下限閾値と上限閾値の間である場合、警告(すなわち再テスト)が報告されることが望ましい。合計が下限閾値以下である場合、人物は安全であると判断できる。好適には2回連続の“警告”で武器または対象物体保持の判断となる。
【0076】
好適には標的の3連続の“スナップショット”がとられることが望ましい。スナップショットは約1/4秒増分でとられることが望ましい。このように、“スナップショット”のセットは好適には3秒以下で完了し、人物がレンジゲートを移動するにつれて僅かに異なる位置で撮影される。これは、武器がある位置では見過ごされても別の位置で検出される可能性があるため、重要である。あるいは、オプションとして標的に例えば120度等の一定の範囲を回転するように要請し、各位置でスナップショットをとる。あるいは、1以上の装置を異なる位置に設置して、好適には異なる方向から標的に同時に照射することもできる。3つのスナップショットの内のどれか1つが武器を検出すれば、武器を保持すると判断できる。3連続のスナップショットが合計されれば、判断の正確性が遥かに向上する。オプションとして、武器保持の判断は、各スナップショットが3連続スナップショットに対するポイントの最低ポイントを有するという基準に従って決定することもできる。
【0077】
前述のプロセスは、パターン認識システムの手動実施について述べている。それぞれのパラメータに与えられたポイントとそれらのパラメータ値の変動は、主観的な判定の結果として手動的に与えられる。パラメータ値の加重を決定(ポイント付与)するさらに正確な方法のための次のステップは、人工知能あるいは好適には人工神経回路ネットワーク処理であるパターン認識技術の使用である。本発明は、“パターン認識ワークベンチ(PRW)”ソフトウエアを利用しているが、あらゆる同様のソフトウエアが利用できる。プログラムはデータ及びその正解を入力して訓練される。プログラムはデータを評価し、それぞれのパラメータの適正加重を決定して精度を最良化させる。標的の少数サンプル(例:人物)で、データセットを100%正確にできる。出力は実際に処理を行うコンピュータ内に保存されたコンピュータコードとなる。内部コンピュータは“ハンズオフ”モードで作動し、あらゆる新規蓄積データに対して決定を提供する。実施結果は驚くべきもので、予想正解率は手動選択加重での約80%から人工知能選択加重での98%以上である。多くの異なるサイズと体格の人物がテストされ、何人かが既存パターンに合致しない場合等、エラーが存在する場合は、神経ネットワークが学習するためである。
【0078】
調査が進むと、追加基準が開発並びに改良される。複数(例:3体)のアンテナを利用するシステムに守られたエントリーを提供することがこの開発の最終目的である。このようなシステムでは対象物体を様々な観点から、同時又は少なくとも互いにマイクロ秒以内に審査できる。多様な観点からのデータの入手は追加パラメータを提供し、決定を信頼できるものにする。人体にかなりの大きさの物体が隠蔽されていることを示す追加の表示として、反射間の小さな時間相違の測定への共偏光リファレンスの正確性を向上させるためにポーリングを含むこともできる。
【0079】
図11は、本発明の好適実施例を示すフローチャートである。
【0080】
隠蔽武器検出に関する本発明の好適実施例について説明したが、本発明は個別形状の商品または在庫管理や万引き防止システムとして商品に付けられた安価タグに限らず、あらゆる数の物体の検出に利用することができる。本発明をオプションとして、自動ドア開閉又はロック装置を含む装置等、自動ドア制御システムへ組み入れてもよい。本システムを爆弾または爆発物検出装置に利用することもできる。その他の物体の検出に関しては、どの周波数帯が対象の物体の最大情報を提供し、人工神経回路ネットワークを訓練するために十分なデータを蓄積するかの決定による。
【0081】
実施例1
検出用にテストされた標的には多様な武器が含まれ、22口径ピストル、グロック9mm半自動式ピストル、ウージー攻撃用ライフル、及び榴散弾としての釘、榴散弾としてのスリングショットボール及び榴散弾を含まない爆発性シミュレーションパケットを含む多様なテロリスト型爆弾を含んでいる。表2は、9.5から10.7GHz周波数帯を用いて水平偏光で照射した場合の、本発明による多様な武器の検出に関するサンプルテストデータを示している。このデータは前面のみを照射したものである。データはサイズと体重が約100ポンドから220ポンド、身長は約5フィート0インチ から6フィート2インチの異なる12人の人物を用いて得られたものである。表に示す如く、システムは116テストのうちの115テストで正確な判断を示し、ただ1件の間違った陽性と283の武器に対してゼロ件の間違った陰性を示した。(NAは該当なしを指す)
【0082】
【表2】
【0083】
本発明を好適実施例と共に詳細に説明したが、他の実施例でも同じ結果を達成できる。本発明の請求の範囲から逸脱することなく、本発明を多様に変形することは可能である。本発明の多様な変形は当業者には自明のことであり、変形や同等の発明は本発明の範囲に含まれる。前述の回路構成要素は特定の好適実施例について説明するためのものであって、本発明や請求の範囲を制限するものではない。好適実施例では特定のハードウエア形状または周波数帯について強調して説明したが、本発明は多様な回路構成要素または周波数範囲で実施可能である。チャープZ変換を強調して特定の信号処理方法並びに装置について説明したが、その他多様な数学的方法を用いた本発明の別の実施例も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1a】図1aは単純波を図示する。
【図1b】図1bは垂直に偏光した単純波を図示する。
【図1c】図1cは水平に偏光した単純波を図示する。
【図2】図2はトランスミッション及び検出回路の1実施例のブロック図である。
【図3】図3は身体の異なる部位で拳銃を運搬する人物を図示する。
【図4a】図4aは拳銃のレーダ断面図であり、dBsmと周波数で反射エネルギーを示す。
【図4b】図4bは人体のレーダ断面図であり、dBsmと周波数で反射エネルギーを示す。
【図5−6】図5と図6は、2.59から3.95GHzと7.0から10.66周波数バンドの無線波で照射されたときの人体の反射に関する情報を供給するグラフである。
【図7】図7は本発明方法の好適実施例を図示する。右側の2つのグラフは武器等の対象物が、異なる偏光性を有した反射放射線に対応する2セットの波形の振幅の時間ドメイン差を比較することで検出できることを示す。上下の両グラフで、2つの波形は検出器に反射して戻る垂直偏光放射線と水平偏光放射線を表す。
【図8−9】図8と図9は拳銃検出実験中に発生した2対の時間ドメイン波形の実際の装置プロットである。図8では人物は拳銃を持っていなかった。図9では同一人物が拳銃を持っていた。2曲線の最大値間の距離は大幅に狭い。
【図10】図10は本発明の好適実施例で利用されたコンプレックスチャープZ変換で使用された位相と振幅の反応を図示する、
【図11】図11は本発明の好適実施例の操作システムフロー図である。
【符号の説明】
【0085】
80 送信/受信アンテナ
82 受信アンテナ
26 プロセッサー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的と関連する対象物の存在を決定する方法であって、
偏光(偏向)放射線で標的を照射するステップと、
前記偏光放射線と同一偏光性を有した前記標的から反射する第1放射線を収集するステップと、
前記偏光放射線と反対偏光性を有した前記標的から反射する第2放射線を収集するステップと、
前記第1放射線と前記第2放射線の加重された複数の基準を利用するステップと、
を含んでいることを特徴とする対象物の存在を決定する方法。
【請求項2】
利用ステップは、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換された収集放射線の加重された複数の基準の利用を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
利用ステップは、複数時間で第1放射線と第2放射線の一方あるいは両方の振幅スプレッドを利用するステップを含んでいることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
利用ステップは、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換した後の0時での第1放射線の第1振幅、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換した後の0時での第2放射線の第2振幅、及び前記第1振幅と前記第2振幅の相違で成る群より選択される複数の基準の利用を含んでいることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項5】
利用ステップは、第1放射線と第2放射線の到着時間の相違の利用を含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
利用ステップは、時間ドメインあるいは周波数ドメインでの第1放射線と第2放射線の一方または両方の曲線形状の測定値の利用を含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項7】
測定値は曲線のピーク値と曲線下側の全面積との比を含んでいることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
方法は複数回反復され、各結果を組み合わせるステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
キャリブレーションデータで人工知能ネットワークをトレーニングするステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項10】
利用ステップは人工知能ネットワークを利用して自動的に対象物の存在を判定するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
標的は人物を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
対象物は隠蔽武器を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
隠蔽武器はナイフ、銃器、爆弾、起爆装置、及び人間爆弾から成る群から選択されることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
標的に関連する対象物を検出する装置であって、
偏光放射線で標的を照射するための送信アンテナと、
前記照射放射線と同一偏光性を有する前記標的から反射した第1放射線を収集するための第1受信アンテナと、
前記照射放射線とは反対偏光性を有する前記標的から反射した第2放射線を収集するための第2受信アンテナと、
対象物の存在を判定するために前記第1放射線と前記第2放射線の加重された複数の基準を利用するためのプロセッサーと、
を含んでいることを特徴とする装置。
【請求項15】
プロセッサーはチャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換された収集放射線の加重された複数の基準を利用することを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
プロセッサーは複数の時間で第1放射線と第2放射線の一方または両方の振幅スプレッドを利用することを特徴とする請求項15記載の装置。
【請求項17】
プロセッサーはチャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換された後の0時での第1放射線の第1振幅、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換された後の0時での第2放射線の第2振幅、及び前記第1振幅と前記第2振幅との相違から成る群から選択される複数の基準を利用することを特徴とする請求項15記載の装置。
【請求項18】
プロセッサーは第1放射線と第2放射線の到着時間差を利用することを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項19】
プロセッサーは時間ドメインまたは周波数ドメインの第1放射線と第2放射線の一方または両方の曲線の形状を利用することを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項20】
プロセッサーは第1放射線と第2放射線の一方または両方の時間的変動を利用することを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項21】
1体の双偏光アンテナが第1受信アンテナと第2受信アンテナを含んでいることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項22】
プロセッサーは標的への複数回の放射線照射からの結果を組み合わせることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項23】
標的は人物であることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項24】
対象物は隠蔽武器であることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項25】
隠蔽武器はナイフ、銃器、爆弾、起爆装置、及び人間爆弾から成る群から選択されることを特徴とする請求項24記載の装置。
【請求項26】
プロセッサーは人工知能ネットワークを使用して自動的に対象物の存在を検出することを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項27】
プロセッサーは基準のそれぞれの値を振り当て、該基準の値の組み合わせに基づいて対象物の存在を判定することを特徴とする請求項26記載の装置。
【請求項1】
標的と関連する対象物の存在を決定する方法であって、
偏光(偏向)放射線で標的を照射するステップと、
前記偏光放射線と同一偏光性を有した前記標的から反射する第1放射線を収集するステップと、
前記偏光放射線と反対偏光性を有した前記標的から反射する第2放射線を収集するステップと、
前記第1放射線と前記第2放射線の加重された複数の基準を利用するステップと、
を含んでいることを特徴とする対象物の存在を決定する方法。
【請求項2】
利用ステップは、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換された収集放射線の加重された複数の基準の利用を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
利用ステップは、複数時間で第1放射線と第2放射線の一方あるいは両方の振幅スプレッドを利用するステップを含んでいることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
利用ステップは、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換した後の0時での第1放射線の第1振幅、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換した後の0時での第2放射線の第2振幅、及び前記第1振幅と前記第2振幅の相違で成る群より選択される複数の基準の利用を含んでいることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項5】
利用ステップは、第1放射線と第2放射線の到着時間の相違の利用を含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
利用ステップは、時間ドメインあるいは周波数ドメインでの第1放射線と第2放射線の一方または両方の曲線形状の測定値の利用を含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項7】
測定値は曲線のピーク値と曲線下側の全面積との比を含んでいることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
方法は複数回反復され、各結果を組み合わせるステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
キャリブレーションデータで人工知能ネットワークをトレーニングするステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項10】
利用ステップは人工知能ネットワークを利用して自動的に対象物の存在を判定するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
標的は人物を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
対象物は隠蔽武器を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
隠蔽武器はナイフ、銃器、爆弾、起爆装置、及び人間爆弾から成る群から選択されることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
標的に関連する対象物を検出する装置であって、
偏光放射線で標的を照射するための送信アンテナと、
前記照射放射線と同一偏光性を有する前記標的から反射した第1放射線を収集するための第1受信アンテナと、
前記照射放射線とは反対偏光性を有する前記標的から反射した第2放射線を収集するための第2受信アンテナと、
対象物の存在を判定するために前記第1放射線と前記第2放射線の加重された複数の基準を利用するためのプロセッサーと、
を含んでいることを特徴とする装置。
【請求項15】
プロセッサーはチャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換された収集放射線の加重された複数の基準を利用することを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
プロセッサーは複数の時間で第1放射線と第2放射線の一方または両方の振幅スプレッドを利用することを特徴とする請求項15記載の装置。
【請求項17】
プロセッサーはチャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換された後の0時での第1放射線の第1振幅、チャープZ変換プロセスで時間ドメインに変換された後の0時での第2放射線の第2振幅、及び前記第1振幅と前記第2振幅との相違から成る群から選択される複数の基準を利用することを特徴とする請求項15記載の装置。
【請求項18】
プロセッサーは第1放射線と第2放射線の到着時間差を利用することを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項19】
プロセッサーは時間ドメインまたは周波数ドメインの第1放射線と第2放射線の一方または両方の曲線の形状を利用することを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項20】
プロセッサーは第1放射線と第2放射線の一方または両方の時間的変動を利用することを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項21】
1体の双偏光アンテナが第1受信アンテナと第2受信アンテナを含んでいることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項22】
プロセッサーは標的への複数回の放射線照射からの結果を組み合わせることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項23】
標的は人物であることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項24】
対象物は隠蔽武器であることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項25】
隠蔽武器はナイフ、銃器、爆弾、起爆装置、及び人間爆弾から成る群から選択されることを特徴とする請求項24記載の装置。
【請求項26】
プロセッサーは人工知能ネットワークを使用して自動的に対象物の存在を検出することを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項27】
プロセッサーは基準のそれぞれの値を振り当て、該基準の値の組み合わせに基づいて対象物の存在を判定することを特徴とする請求項26記載の装置。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−515628(P2007−515628A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541729(P2006−541729)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/039628
【国際公開番号】WO2006/001821
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(506176515)ザ マカリース カンパニーズ,インク.デー.ビー.エイ.セイフ ゾーン システムズ (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/039628
【国際公開番号】WO2006/001821
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(506176515)ザ マカリース カンパニーズ,インク.デー.ビー.エイ.セイフ ゾーン システムズ (2)
【Fターム(参考)】
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