説明

物品ハンドリング装置

【課題】物品を順次搬入する物品搬入コンベアから物品を取り上げ、物品受け止め部に積み込むという作業を能率良く遂行することができる物品ハンドリング装置を提供する。
【解決手段】物品ハンドリング装置10において、複数の物品1を順次搬入する物品搬入コンベア11から、移載ロボット12の第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14が交互に物品1を1個ずつ吸着し、第1物品受け止め部16または第2物品受け止め部17に積み込む。第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14を独立して三次元移動させる制御装置15は、第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14の一方が物品搬入コンベア11から物品受け止め部16、17に向かい、他方が物品受け止め部16、17から物品搬入コンベア11に向かうとき、相互を安全距離に保つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品ハンドリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の大量生産を行う製造ラインでは、完成した物品の箱詰めも自動化装置で行われる。最近ではロボット等の物品ハンドリング装置で箱詰めを行う装置も多く見受けられるようになっている。その例を特許文献1、2に見ることができる。
【0003】
特許文献1には、包装体を吸着する吸着部と包装体の耳部を折り曲げる耳折り部を備えたロボットハンドにより、ガゼット付き包装体を箱に供給する箱詰め装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、起函用ハンドで起函したケースに、集積された物品を保持用ハンドで保持して充填するロボット式ケーサが記載されている。
【0005】
物品のハンドリングに、双腕型ロボットが使用されることもある。双腕型ロボットの例を特許文献3、4に見ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−127027号公報
【特許文献2】特開2005−119730号公報
【特許文献3】特開2010−120102号公報
【特許文献4】特開2007−130733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、物品を順次搬入する物品搬入コンベアから物品を取り上げ、物品受け止め部に積み込むという作業を能率良く遂行することができる物品ハンドリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、物品ハンドリング装置は、複数の物品を順次搬入する物品搬入コンベアと、それぞれ前記物品搬入コンベア上の前記物品を吸着する吸着具を備えた第1ピッキングヘッド及び第2ピッキングヘッドと、前記第1ピッキングヘッドと前記第2ピッキングヘッドを独立して三次元移動させる移載ロボットと、前記第1ピッキングヘッドと前記第2ピッキングヘッドが前記搬入コンベアから取り上げてきた前記物品を受け止める物品受け止め部と、前記ピッキングヘッド及び前記移載ロボットの制御装置を備え、前記制御装置は、前記物品搬入コンベアから前記物品を取り上げて前記物品受け止め部の所定の位置に下ろす動作を前記第1ピッキングヘッドと前記第2ピッキングヘッドに交互に行わせるものであり、前記第1ピッキングヘッドと前記第2ピッキングヘッドの一方が前記物品搬入コンベアから前記物品受け止め部に向かい、他方が前記物品受け止め部から前記物品搬入コンベアに向かうとき、相互を安全距離に保つ。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の物品ハンドリング装置において、前記制御装置は、前記第1ピッキングヘッドと前記第2ピッキングヘッドの高さを異ならせて前記安全距離を確保する。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の物品ハンドリング装置において、前記第1ピッキングヘッドと前記第2ピッキングヘッドは、それぞれ上方から垂下したロボットアームの下端にカンチレバーの形で支持されるものであり、前記第1ピッキングヘッドとそれに組み合わせられる前記ロボットアームの連結位置と、前記第2ピッキングヘッドとそれに組み合わせられる前記ロボットアームの連結位置は、正反対である。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の物品ハンドリング装置において、前記第1ピッキングヘッドと前記第2ピッキングヘッドには、前記物品をその軸線まわりに回動させる姿勢変更装置が付属しており、前記制御装置は、前記物品が前記物品受け止め部に受け止められた後にもう一つの前記物品が下ろされるとき、後の前記物品を前の前記物品の上に重ならせ、且つ後の前記物品をその軸線回りに回動させて角度をつけてから下ろす制御を行うことにより、前記物品をドミノ倒し状態に並べる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の物品ハンドリング装置において、前記物品受け止め部には前記物品搬入コンベアを挟むように配置された第1物品受け止め部と第2物品受け止め部があり、前記制御装置は前記第1物品受け止め部に対する前記物品の積み込みと前記第2物品受け止め部に対する前記物品の積み込みを交互に遂行する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の物品ハンドリング装置において、前記物品受け止め部には前記物品搬入コンベアの片側に配置された第1物品受け止め部と第2物品受け止め部があり、前記制御装置は前記第1物品受け止め部に対する前記物品の積み込みと前記第2物品受け止め部に対する前記物品の積み込みを交互に遂行する。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の物品ハンドリング装置において、前記第1物品受け止め部と前記第2物品受け止め部の一方に対し物品積み込み動作が遂行されている間、他方に対しては物品積み出し動作が遂行される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、物品搬入コンベアから物品を吸着して物品受け止め部の所定の位置に下ろす動作を第1ピッキングヘッドと第2ピッキングヘッドに交互に行わせるものであるから、作業をきわめて能率良く遂行することができる。また、第1ピッキングヘッドと第2ピッキングヘッドの一方が物品搬入コンベアから物品受け止め部に向かい、他方が物品受け止め部から物品搬入コンベアに向かうとき、相互が安全距離に保たれるから、移載ロボット自体あるいは物品が衝突して破損するおそれはない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る物品ハンドリング装置の概念を示す斜視図である。
【図2】物品受け止め部の断面図である。
【図3】第1ピッキングヘッドとそれを支えるロボットアームの側面図である。
【図4】第1ピッキングヘッドとそれを支えるロボットアームの正面図である。
【図5】第1ピッキングヘッドとそれを支えるロボットアームの正面図であって、図4と異なる状態を示すものである。
【図6】第2ピッキングヘッドとそれを支えるロボットアームの正面図である。
【図7】第1ピッキングヘッドと第2ピッキングヘッドを並べて示す側面図である。
【図8】並べられた第1ピッキングヘッドと第2ピッキングヘッドの下面図である。
【図9】第1ピッキングヘッドと第2ピッキングヘッドの動作説明図である。
【図10】図9と同様の動作説明図にして、物品ハンドリング装置の第2実施形態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。物品ハンドリング装置10がハンドリングの対象とするのは物品1である。物品1としては、複数種類のフィルムを積層した気密性ラミネートフィルムからなる自立型パウチに流動物を封入したものを想定する。物品1は、物品搬入コンベア11の上に、長手方向をコンベア走行方向に整列させる形で、互いに所定間隔を保って1列に並べられ、順次送られてくる。
【0018】
物品搬入コンベア11が順次搬入する物品1を、移載ロボット12が1個ずつ取り上げる。移載ロボット12は双腕ロボットの一種であり、図1では第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14によりロボットの機構部分を代表させている。移載ロボット12としては、一般的に用いられている産業用ロボット(直角座標型、水平多関節型、垂直多関節型、パラレルリンク型など)を用いればよく、特に形式は限定されない。
【0019】
第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14はそれぞれ下面に複数個ずつの吸着具を有し、真空吸着で物品1をピッキングする。制御装置15が移載ロボット12を制御する。制御装置15は物品ハンドリング装置10全体を制御するものでもある。
【0020】
物品搬入コンベア11の両側(左右)に第1物品受け止め部16と第2物品受け止め部17が配置される。第1物品受け止め部16と第2物品受け止め部17は、偏平な八角形断面の筒を軸線が水平になるように横倒しにして、上部を切り開き、水平方向の一端(図1において手前側の端)を、物品1の束を放出する放出口16a、17aとした、という構造になっている。なお第1物品受け止め部16と第2物品受け止め部17の断面形状は、後述する梱包箱2の平面形状が偏平な八角形であることに合わせたものであり、梱包箱2の平面形状が矩形であれば、第1物品受け止め部16と第2物品受け止め部17の断面形状も矩形で構わない。
【0021】
移載ロボット12は、第1物品受け止め部16と第2物品受け止め部17の一方に対し集中的に物品1の積み込みを行い、それが完了したら他方の物品受け止め部に対し集中的に物品1の積み込みを行う、という動作を繰り返す。移載ロボット12は、第1物品受け止め部16と第2物品受け止め部17に対し、物品1を1個ずつ、総個数が6個になるまで(図2参照)、束状に重ねる形で積み込みを行う。
【0022】
所定個数(図では6個としたが、これに限定されるものではない)の物品1を束状に重ねて受け止めた、すなわち満載状態となった第1物品受け止め部16または第2物品受け止め部17に、段ボール製の梱包箱2を嵌合させる。梱包箱2は所定形状に打ち抜かれた段ボールシートをサック貼りしたものであって、完成状態では平面形状が偏平な八角形となる。梱包箱2はその周壁部分が第1物品受け止め部16または第2物品受け止め部17の外側にすっぽりと被さる寸法とされている。
【0023】
梱包箱2は、サックを起函した上で、使用時に底面となる側の口を閉ざし、使用時に天面となる側の口は開いたままにする。その状態の梱包箱2が、開いた口が第1物品受け止め部16または第2物品受け止め部17に向くように横倒しにされて梱包箱搬入コンベア18に載置され、互いに所定間隔を保ちつつ梱包箱搬入コンベア18により搬入される。
【0024】
梱包箱搬入コンベア18上の梱包箱2は、満載状態となった第1物品受け止め部16または第2物品受け止め部17に向けて押し出され、その口の中に、放出口16a、17aの側から第1物品受け止め部16または第2物品受け止め部17を取り込んで行く。
【0025】
第1物品受け止め部16または第2物品受け止め部17と、その外側に嵌合させた梱包箱2を、梱包箱2の口が上になるように姿勢変更する。すると、第1物品受け止め部16または第2物品受け止め部17の中の物品1は、放出口16aまたは放出口17aから梱包箱2の中に落とし込まれる。その後、姿勢変更された第1物品受け止め部16または第2物品受け止め部17は高さがそのままに保たれた状態で、梱包箱2のみ降下させる。すると、物品1を移された梱包箱2が第1物品受け止め部16または第2物品受け止め部17から離れる。第1物品受け止め部16または第2物品受け止め部17から離れた梱包箱2は梱包箱搬出コンベア19に載置され、次工程へと運び去られる。
【0026】
続いて、移載ロボット12のより詳細な構造を、図3から図8までの図面に基づき説明する。
【0027】
第1ピッキングヘッド13は、上方から垂下する第1ロボットアーム20の下端に、カンチレバーの形で水平に支持されている。第1ピッキングヘッド13は、平面形状長方形のヘッド本体13aと、ヘッド本体13aの一端から、ヘッド本体13aの長手方向と直角な面内において斜め上方に突き出す連結管13bを備える。連結管13bは軸21で第1ロボットアーム20に連結されており、第1ピッキングヘッド13は軸21を中心に垂直面内で回動可能である。
【0028】
第1ピッキングヘッド13のヘッド本体13aの下面から、複数の吸着具22が突き出す。吸着具22は軟質の合成樹脂またはゴムからなる蛇腹状の部品であり、図8に示すように計8個が2列で千鳥状に配置される。各吸着具22は、ヘッド本体13aの内部と連結管13bを通じて真空吸引ホース23に連通している。8個の吸着具22は、図7に示す通り、物品1の形状に合わせてそれぞれの下端の高さが設定されている。
【0029】
第1ピッキングヘッド13には姿勢変更装置24が付属する。姿勢変更装置24は、第1ロボットアーム20と連結管13bを連結するエアシリンダ25により構成される。エアシリンダ25はクレビスタイプであり、エアシリンダ本体25aは第1ロボットアーム20に回動可能に取り付けられ、ロッド25bの先端は連結管13bに回動可能に取り付けられている。
【0030】
図4の状態ではエアシリンダ25はロッド25bを引っ込めており、第1ピッキングヘッド13は、吸着具22が真下を向くように保持されている。図5の状態ではエアシリンダ25がロッド25bを押し出し、第1ピッキングヘッド13を軸21を中心に図において反時計方向に回動させる。これにより、吸着具22は斜め下を向く。
【0031】
第2ピッキングヘッド14の支持の仕方も第1ピッキングヘッド13と同様である。すなわち図6に示すように、第2ピッキングヘッド14は、上方から垂下する第2ロボットアーム30の下端に、カンチレバーの形で水平に支持されている。第2ピッキングヘッド14は、平面形状長方形のヘッド本体14aと、ヘッド本体14aの一端から、ヘッド本体14aの長手方向と直角な面内において斜め上方に突き出す連結管14bを備える。連結管14bは軸31で第2ロボットアーム30に連結されており、第2ピッキングヘッド14は軸31を中心に垂直面内で回動可能である。
【0032】
第2ピッキングヘッド14のヘッド本体14aの下面から、複数の吸着具32が突き出している。吸着具33は軟質の合成樹脂またはゴムからなる蛇腹状の部品であり、図8に示すように計8個が2列で千鳥状に配置される。各吸着具32は、ヘッド本体14aの内部と連結管14bを通じて真空吸引ホース33に連通している。8個の吸着具32は、図7に示す通り、物品1の形状に合わせてそれぞれの下端の高さが設定されている。
【0033】
第2ピッキングヘッド14には姿勢変更装置34が付属する。姿勢変更装置34は、第2ロボットアーム30と連結管14bを連結するエアシリンダ35により構成される。エアシリンダ35はクレビスタイプであり、エアシリンダ本体35aは第2ロボットアーム30に回動可能に取り付けられ、ロッド35bの先端は連結管14bに回動可能に取り付けられている。
【0034】
第2ピッキングヘッド14は第1ピッキングヘッド13に対し「逆勝手」であり、正面から見たとき、連結管14bの突き出し方向が第1ピッキングヘッド13の連結管13bとは逆になっている。また、第1ピッキングヘッド13の姿勢変更装置24は第1ロボットアーム20の左側に配置されていたのに対し、第2ピッキングヘッド14の姿勢変更装置34は第2ロボットアーム31の右側に配置されている。
【0035】
図6の状態ではエアシリンダ35はロッド35bを引っ込めており、第2ピッキングヘッド14は、吸着具32が真下を向くように保持されている。エアシリンダ35がロッド35bを押し出すと、第2ピッキングヘッド14が軸31を中心に図において時計方向に回動する。これにより、吸着具32は斜め下を向く。
【0036】
図7において、連結管13bは左側にあり、連結管14bは右側にあることからわかるように、第1ピッキングヘッド13と第1ロボットアーム20の連結位置は図7において左側であり、第2ピッキングヘッド14と第2ロボットアーム30の連結位置はその正反対の右側である。すなわち、第1ロボットアーム20と第2ロボットアーム30は互いに離れていて、そこから、第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14が向かい合わせに突き出す形になっている。このような配置により、吸着具22と吸着具32は、姿勢変更装置24と姿勢変更装置34によって傾けられたとき、同じ方向を向くことになる。
【0037】
制御装置15は、第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14を次のように動作させる。
【0038】
制御装置15は、第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14を独立して三次元移動させる。そして第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14に、物品搬入コンベア11の上から物品1を1個ずつ取り上げさせ、第1物品受け止め部16または第2物品受け止め部17に積み込ませる。第1物品受け止め部16と第2物品受け止め部17への物品1の積み込みは、一方が満載になってから他方への積み込みを開始するという形で、交互に行う。
【0039】
第1物品受け止め部16と第2物品受け止め部17の一方に積み込みを行っている間、その前のシーケンスで満載にされた他方からの物品1の積み出し動作が遂行される。この場合の積み出し動作は、梱包箱2への物品1の移し替えということになる。
【0040】
第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14は、休みなしで第1物品受け止め部16と第2物品受け止め部17の一方に物品1を積み込む。これにより、物品1の積み込み能率が向上する。
【0041】
第1物品受け止め部16と第2物品受け止め部17の一方に物品1を積み込む動作を図9に基づき説明する。図9は物品搬入コンベア11を走行方向における手前側から見た状態を示す。すなわち図1とは視点が逆転している。物品1の長手方向は紙面と垂直になっている。
【0042】
図9は、第2物品受け止め部17に対し物品1の積み込みが行われている状態を示している。第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14は、物品搬入コンベア11から物品1を吸着して取り上げ、第2物品受け止め部17の所定の位置に下ろすという第1のゲートモーションと、物品1を第2物品受け止め部17に下ろした後、上昇して物品搬入コンベア11の上に戻り、降下するという第2のゲートモーションを、交互に繰り返す。
【0043】
第2のゲートモーションの水平移動高さは第1のゲートモーションの水平移動高さより高く設定されている。高さの差は、第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14が、物品搬入コンベア11と第2物品受け止め部17の中間地点で、全く接触することなく安全に交錯できる値に設定されている。すなわち、第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14の高さの違いをもって、第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14の安全距離が確保される。
【0044】
第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14は、長手方向を物品1の長手方向に一致させて物品1を吸着する。姿勢変更装置24、34が第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14の角度を変えれば、物品1は長手方向の軸線まわりに回動することになる。
【0045】
制御装置15は、物品1が第2物品受け止め部17に受け止められた後にもう一つの物品1が下ろされるとき、後の物品1を前の物品1の上に重ならせ、且つ後の物品1をその軸線回りに回動させて角度をつけてから下ろす制御を行う。これにより、図9に示すように、物品1は第2物品受け止め部17の内部でドミノ倒し状態に並ぶことになる。物品1をこのように並べられるということは、複数の物品1を束状にまとめる上で便利である。
【0046】
移載ロボット12は、第1物品受け止め部16と第2物品受け止め部17の一方に対し集中的に物品1の積み込みを行い、それが完了したら他方の物品受け止め部に対し集中的に物品1の積み込みを行う、という動作を繰り返すものであって、第1ピッキングヘッド13と第2ピッキングヘッド14の動きは片時も止まることがない。このため、物品搬入コンベア11を一時停止させるなどして物品1を物品搬入コンベア11の上で待機させるといった制御は不要であり、能率良く物品1の積み込みを行うことができる。
【0047】
図10に物品ハンドリング装置10の第2実施形態を示す。第1実施形態と異なるのは第1物品受け止め部16と第2物品受け止め部17の配置である。第1実施形態では物品搬入コンベア11の両側に第1物品受け止め部16と第2物品受け止め部17が配置されていたが、第2実施形態では物品搬入コンベア11の片側に第1物品受け止め部16と第2物品受け止め部17が横並びに配置されている。移載ロボット12が、第1物品受け止め部16と第2物品受け止め部17の一方に対し集中的に物品1の積み込みを行い、それが完了したら他方の物品受け止め部に対し集中的に物品1の積み込みを行う、という動作を繰り返す点は第1実施形態と変わらない。
【0048】
以上本発明の実施形態を説明したが、この他、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。例えば、梱包箱そのものを物品受け止め部として用いるといった変更が可能である。また、第1ピッキングヘッドと第2ピッキングヘッドを安全距離に保つのに、双方の水平方向間隔を変えるといった変更も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、物品ハンドリング装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 物品
2 梱包箱
10 物品ハンドリング装置
11 物品搬入コンベア
12 移載ロボット
13 第1ピッキングヘッド
14 第2ピッキングヘッド
15 制御装置
16 第1物品受け止め部
17 第2物品受け止め部
18 梱包箱搬入コンベア
19 梱包箱搬出コンベア
20 第1ロボットアーム
24 姿勢変更装置
30 第2ロボットアーム
34 姿勢変更装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を順次搬入する物品搬入コンベアと、
それぞれ前記物品搬入コンベア上の前記物品を吸着する吸着具を備えた第1ピッキングヘッド及び第2ピッキングヘッドと、
前記第1ピッキングヘッドと前記第2ピッキングヘッドを独立して三次元移動させる移載ロボットと、
前記第1ピッキングヘッドと前記第2ピッキングヘッドが前記搬入コンベアから取り上げてきた前記物品を受け止める物品受け止め部と、
前記ピッキングヘッド及び前記移載ロボットの制御装置を備え、
前記制御装置は、前記物品搬入コンベアから前記物品を取り上げて前記物品受け止め部の所定の位置に下ろす動作を前記第1ピッキングヘッドと前記第2ピッキングヘッドに交互に行わせるものであり、前記第1ピッキングヘッドと前記第2ピッキングヘッドの一方が前記物品搬入コンベアから前記物品受け止め部に向かい、他方が前記物品受け止め部から前記物品搬入コンベアに向かうとき、相互を安全距離に保つことを特徴とする物品ハンドリング装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1ピッキングヘッドと前記第2ピッキングヘッドの高さを異ならせて前記安全距離を確保することを特徴とする請求項1に記載の物品ハンドリング装置。
【請求項3】
前記第1ピッキングヘッドと前記第2ピッキングヘッドは、それぞれ上方から垂下したロボットアームの下端にカンチレバーの形で支持されるものであり、前記第1ピッキングヘッドとそれに組み合わせられる前記ロボットアームの連結位置と、前記第2ピッキングヘッドとそれに組み合わせられる前記ロボットアームの連結位置は、正反対であることを特徴とする請求項1または2に記載の物品ハンドリング装置。
【請求項4】
前記第1ピッキングヘッドと前記第2ピッキングヘッドには、前記物品をその軸線まわりに回動させる姿勢変更装置が付属しており、前記制御装置は、前記物品が前記物品受け止め部に受け止められた後にもう一つの前記物品が下ろされるとき、後の前記物品を前の前記物品の上に重ならせ、且つ後の前記物品をその軸線回りに回動させて角度をつけてから下ろす制御を行うことにより、前記物品をドミノ倒し状態に並べるものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の物品ハンドリング装置。
【請求項5】
前記物品受け止め部には前記物品搬入コンベアを挟むように配置された第1物品受け止め部と第2物品受け止め部があり、前記制御装置は前記第1物品受け止め部に対する前記物品の積み込みと前記第2物品受け止め部に対する前記物品の積み込みを交互に遂行することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の物品ハンドリング装置。
【請求項6】
前記物品受け止め部には前記物品搬入コンベアの片側に配置された第1物品受け止め部と第2物品受け止め部があり、前記制御装置は前記第1物品受け止め部に対する前記物品の積み込みと前記第2物品受け止め部に対する前記物品の積み込みを交互に遂行することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の物品ハンドリング装置。
【請求項7】
前記第1物品受け止め部と前記第2物品受け止め部の一方に対し物品積み込み動作が遂行されている間、他方に対しては物品積み出し動作が遂行されることを特徴とする請求項5または6に記載の物品ハンドリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−111501(P2012−111501A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259679(P2010−259679)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000141886)株式会社京都製作所 (83)
【Fターム(参考)】