説明

物品保管装置及び物品移載方法

【課題】レールの位置決めを容易に行うことができ、重量物の保管又は移載に好適な物品保管装置及び物品移載方法を提供する。
【解決手段】物品Aを格納するラック21を有する格納庫2と、格納庫2に沿って移動可能に構成されたクレーン3と、クレーン3に昇降可能に吊下されたケージ4と、ケージ4とラック21との間を走行可能にケージ4上に配置された台車5と、ラック21に向かって伸縮可能かつ係止可能にケージ4上に配置されたアウトリガー6と、ラック21のアウトリガー6が係止される部分に配置された第一係止部7と、第一係止部7と隣接して配置された第二係止部8と、を有し、第二係止部8は、アウトリガー6を位置決め可能に構成され、台車5を走行させる方向に配置された第二係止部8にアウトリガー6の一つを係止させ、残りのアウトリガー6を第一係止部7に係止させるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の入出庫を自動化した物品保管装置及び物品移載方法に関し、特に、重量物の保管又は移載に適した物品保管装置及び物品移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、重量物の移載に適した装置として、特許文献1に記載された移載装置が既に提案されている。特許文献1に記載された移載装置は、スタッカークレーンの昇降テーブル上に、レールを介して台車を移動可能に設けるとともに、倉庫側の各収納部に前記レールと連絡して前記台車を移動させ得るレールを設け、台車に複数の昇降シリンダを介して荷の支持体を昇降可能に設け、台車の側部に沿ってラック又はチェーンを固設するとともに、昇降テーブルには少なくとも台車の前後位置で前記ラック又はチェーンと噛合すべき複数のピニオン又はスプロケットホイールとその駆動装置とを設けたものである。
【0003】
また、かかる移載装置には、昇降テーブルの前後左右の位置に、昇降テーブルを倉庫側に正確に位置決めするための位置決めピンが、シリンダ装置により倉庫方向に出没可能に設けられている。かかる位置決めピンは、倉庫側収納部の底部上面等に係合させることにより昇降テーブルの位置決めを行うものであり、特許文献1には、収納部側にこの位置決めピンを係合せしめるための係合部を別途設けるようにしてもよい旨も記載されている。
【0004】
また、物品の移載時にハンドリング機構(移載装置)を棚に対して位置決めするための位置決め機構を有する搬送システムも提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載された位置決め機構は、ハンドリング機構のフレームの四隅部に配置され、側方に突出する状態と非突出状態とに変位可能となった脚部材と、この脚部材を作動する作動手段とを有する。そして、前記脚部材が非突出状態とされるとハンドリング機構の昇降が許容され、前記脚部材が突出状態とされると両側のラックの棚に対して係止可能となる。また、特許文献2には、脚部材が先細りに形成された断面三角形状(V字形状)の位置決め面を有し、棚が位置決め面に嵌合可能な凹部を有し、ハンドリング機構の位置決めの際には、脚部材の位置決め面を棚の凹部によりガイドさせるようにした実施形態が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平3−78325号公報
【特許文献2】特開平6−321316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載されたように、クレーン(昇降テーブル)側のレールと収納部側のレールとの間で台車を走行させて重量物を移載する移載装置では、移載時におけるレールの位置決めが重要となる。しかしながら、特許文献1に記載された移載装置では、位置決めピンに関する記載はあるものの、具体的な記載がなされていない。例えば、5〜10トン以上の重量物を移載する際には、レールにかかる負荷が大きいことから、正確な位置決めを行わない場合には、台車を走行させることができない、レールや台車が損傷してしまう等の問題が生じることとなるため、レールの位置決めは重要な要素である。
【0007】
また、上述した特許文献2に記載された位置決め機構では、フレームの四隅に配置された脚部材と、ハンドリング機構(移載装置)の両側に配置された棚との間で位置決めしていることから、脚部材及び凹部の取付精度が要求される。特に、棚自体が正対するように配置されているとは限らないため、棚ごとに個別に異なる取付位置を調整しなければならない。したがって、位置決め機構の配置に多大な時間と労力を要する。
【0008】
また、かかる位置決め機構を、特許文献1に記載されたような重量物の移載装置に適用した場合において、位置決め機構の精度が整わない場合には、レールががたつくこととなり、台車を走行させることができない、レールや台車が損傷してしまう等の問題が生じることとなる。
【0009】
本発明は、上述した問題点に鑑み創案されたものであり、レールの位置決めを容易に行うことができ、重量物の保管又は移載に好適な物品保管装置及び物品移載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、物品を格納する複数のラックを有する格納庫と、該格納庫に沿って移動可能に構成されたクレーンと、該クレーンに昇降可能に吊下されたケージと、該ケージと前記ラックとの間を走行可能に前記ケージ上に配置された台車と、を有する物品保管装置において、前記ケージは、前記ラックに向かって伸縮可能かつ前記ラックに係止可能に構成された複数のアウトリガーを有し、前記ラックは、前記アウトリガーが係止される部分に配置された第一係止部と、該第一係止部と前記アウトリガーの伸縮方向に隣接して配置された第二係止部と、を有し、該第二係止部は、前記アウトリガーを位置決め可能に構成されており、前記台車を走行させる方向に配置された前記第二係止部に前記アウトリガーの一つを係止させ、残りのアウトリガーを前記第一係止部に係止させるようにした、ことを特徴とする物品保管装置が提供される。
【0011】
前記ケージは、前記クレーンの柱部材を構成する複数のマストの間で昇降可能に構成されるとともに、前記マストに当接可能かつ離間可能に構成された複数のガイドローラを有し、該ガイドローラは、前記アウトリガーを前記第二係止部に位置決めする際に、前記マストから離間されているようにしてもよい。
【0012】
前記ガイドローラは、前記マストに当接して転動可能なローラと、該ローラを回転可能に支持するアームと、該アームの前記ローラと反対側の端部を回動可能に支持する支持部材と、前記アームを前記ローラの当接位置と離間位置との間で回動させる駆動手段と、を有していてもよい。
【0013】
前記アウトリガーは、先端に車輪が配置されており、該車輪により前記第一係止部又は前記第二係止部に係止されるように構成されていてもよい。
【0014】
前記第二係止部は、前記アウトリガーを位置決め可能なV字状溝を有していてもよい。
【0015】
前記第一係止部は、前記第二係止部に位置決めされた前記アウトリガーと前記第一係止部に載置された前記アウトリガーとが同じ高さとなるように構成されていてもよい。
【0016】
また、本発明によれば、物品を格納する複数のラックを有する格納庫と、該格納庫に沿って移動可能に構成されたクレーンと、該クレーンに昇降可能に吊下されたケージと、該ケージと前記ラックとの間を走行可能に前記ケージ上に配置された台車と、を有する物品保管装置における物品移載方法であって、前記ケージは、前記ラックに向かって伸縮可能かつ前記ラックに係止可能に構成された複数のアウトリガーを有し、前記ラックは、前記アウトリガーが係止される部分に配置された第一係止部と、該第一係止部と前記アウトリガーの伸縮方向に隣接して配置された第二係止部と、を有し、該第二係止部は、前記アウトリガーを位置決め可能に構成されており、前記物品を移載したいラックよりも上方の位置で前記ケージを停止させるケージ停止工程と、前記台車を走行させる方向のアウトリガーの一つを前記第二係止部に載置させるとともに残りのアウトリガーを前記第一係止部に載置させるように前記アウトリガーを延伸させるアウトリガー延伸工程と、前記ケージを降下させて前記アウトリガーを前記第一係止部及び前記第二係止部に載置して前記ラックに係止させるアウトリガー係止工程と、前記台車を走行させて前記ラックに移動させる台車移動工程と、を有し、前記台車の移動によって前記物品を前記ケージと前記ラックとの間で移載する、ことを特徴とする物品移載方法が提供される。
【0017】
前記ケージは、前記クレーンの柱部材を構成する複数のマストの間で昇降可能に構成されるとともに、前記マストに当接可能かつ離間可能に構成された複数のガイドローラを有し、前記アウトリガー延伸工程の前又は後に、前記ガイドローラを前記マストから離間させるガイドローラ退避工程を有していてもよい。
【発明の効果】
【0018】
上述した本発明に係る物品保管装置及び物品移載方法によれば、台車の走行方向に延伸するアウトリガーのうちの一つにより位置決めし、残りのアウトリガーは位置決め時に拘束されていないことから、一つのアウトリガーを位置決めすることによってケージ全体が位置決めされ、ケージのレールとラックのレールとを容易に位置決めすることができる。したがって、保管対象の物品が重量物の場合であっても円滑に移載することができ、重量物の保管又は移載に好適な物品保管装置及び物品移載方法を提供することができる。
【0019】
また、ケージがマストに当接するガイドローラを有する場合には、かかるガイドローラをケージの位置決め時にマストから離間するように退避させることによって、アウトリガーの位置決め時に、ケージがマストやガイドローラに拘束されることがなく、ケージの位置決めを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一実施形態に係る物品保管装置を含む自動倉庫の概略全体構成図である。
【図2】図1に示した物品保管装置の平面図である。
【図3】図2に示したガイドローラの詳細説明図であり、(a)は当接状態を示す側面図、(b)は当接状態を示す正面図、(c)は退避状態を示す側面図、である。
【図4】図2に示したアウトリガーの詳細説明図であり、(a)は収縮した状態を示す部分断面側面図、(b)は第一係止部まで延伸した状態を示す部分断面側面図、(c)は図4(b)におけるC−C断面矢視図、(d)は第二係止部まで延伸した状態を示す部分断面側面図、(e)は図4(d)におけるE矢視図、である。
【図5】ケージの位置決め工程を示す図であり、(a)はケージ停止工程、(b)はガイドローラ退避工程、(c)及び(d)はアウトリガー延伸工程、を示している。
【図6】本発明の実施形態に係る物品移載方法による荷置き工程を示す図であり、(a)はケージ停止工程、(b)はリフトアップ工程、(c)はアウトリガー延伸工程、(d)はアウトリガー係止工程、(e)は台車移動工程、(f)はリフトダウン工程、(g)は台車引戻工程、(h)はアウトリガー収縮工程、を示している。
【図7】本発明の実施形態に係る物品移載方法による荷取り工程を示す図であり、(a)はケージ停止工程、(b)はアウトリガー延伸工程、(c)はアウトリガー係止工程、(d)は台車移動工程、(e)はリフトアップ工程、(f)は台車引戻工程、(g)はリフトダウン工程、(h)はアウトリガー収縮工程、を示している。
【図8】本発明の他の実施形態に係る物品保管装置を示す平面図であり、(a)は第二実施形態、(b)は第三実施形態、(c)は第四実施形態、(d)は第五実施形態、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第一実施形態に係る物品保管装置について、図1乃至図4を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の第一実施形態に係る物品保管装置を含む自動倉庫の概略全体構成図である。図2は、図1に示した物品保管装置の平面図である。図3は、図2に示したガイドローラの詳細説明図であり、(a)は当接状態を示す側面図、(b)は当接状態を示す正面図、(c)は退避状態を示す側面図、である。図4は、図2に示したアウトリガーの詳細説明図であり、(a)は収縮した状態を示す部分断面側面図、(b)第一係止部まで延伸した状態を示す部分断面側面図、(c)は図4(b)におけるC−C断面矢視図、(d)は第二係止部まで延伸した状態を示す部分断面側面図、(e)は図4(d)におけるE矢視図、である。
【0022】
本発明の第一実施形態に係る物品保管装置1は、図1及び図2に示したように、物品Aを格納する複数のラック21を有する格納庫2と、格納庫2に沿って移動可能に構成されたクレーン3と、クレーン3に昇降可能に吊下されたケージ4と、ケージ4とラック21との間を走行可能にケージ4上に配置された台車5と、を有し、ケージ4は、ラック21に向かって伸縮可能かつラック21に係止可能に構成された複数のアウトリガー6を有し、ラック21は、アウトリガー6が係止される部分に配置された第一係止部7と、第一係止部7とアウトリガー6の伸縮方向に隣接して配置された第二係止部8と、を有し、第二係止部8は、アウトリガー6を位置決め可能に構成されており、台車5を走行させる方向に配置された第二係止部8にアウトリガー6の一つを係止させ、残りのアウトリガー6を第一係止部7に係止させるようにしている。
【0023】
図1に示したように、本実施形態に係る物品保管装置1は、いわゆる自動倉庫に適用される。物品Aは、約5〜10トン以上(例えば、40〜50トン程度)の重量物である金型であり、プレス機で取り外された金型は、金型交換装置、搬送台車、クレーン等により、物品保管装置1の入出庫口22に搬送され、台車5に載せ換えられる。物品Aを積載した台車5は、クレーン3及びケージ4の移動により、所望のラック21の前まで搬送され、物品Aをラック21に預け、物品Aを保管する。また、所望の金型(物品A)が必要になった場合には、空の台車5を所望の金型(物品A)が保管されたラック21の前まで搬送し、物品Aを台車5に載せ換えて入出庫口22に搬送し、金型交換装置、搬送台車、クレーン等に載せ換えてプレス機に所望の金型を供給する。なお、物品Aは、金型に限定されるものではなく、鋼材、鋼板、各種部品、各種製品等の他の重量物であってもよい。
【0024】
前記格納庫2は、例えば、図1に示したように、多段高層に配置されたラック21を有する。かかる多段高層のラック21が、クレーン3の走行方向に沿って複数並列に配置されることによって、格納庫2が構成される。また、格納庫2は、例えば、複数の支柱23と、複数のサイドフレーム24と、によって構成されたフレーム構造体である。ラック21は、フレーム構造体に配置され台車5を走行可能の支持するレール25と、物品Aを載置したパレットPの両側部を支持可能な支持部材26と、を有する。かかるラック21は、クレーン3を挟んで両側に配置され、一台のクレーン3で両方のラック21に物品Aを移載できるように構成されることが多い。また、ラック21間のクレーン3が走行する部分には、レール27が敷設されている。なお、かかる格納庫2及びラック21の構成は単なる一例であり、図示したものに限定されず、従来から使用されている種々の構造体を使用することができる。特に、物品Aが重量物の場合には、格納庫2は、多段高層に構成されている必要はなく、一段又は低層に構成されていてもよい。
【0025】
前記クレーン3は、例えば、レール27上を走行可能な走行手段31と、走行手段31の四隅に立設されたマスト32と、マスト32の上部に配置された昇降駆動源33と、昇降駆動源33のチェーンスプロケット33aに掛け回されたチェーン34と、チェーン34の一端の接続されたカウンターウェイト35と、を有する。チェーン34の他端には、ケージ4が接続される。かかる構成により、レール27に沿ってクレーン3を平面移動させることができ、昇降駆動源33によりチェーンスプロケット33aを回転させてケージ4を任意に昇降させることができる。したがって、任意のラック21にケージ4を搬送することができる。なお、かかるクレーン3の構成は単なる一例であり、図示したものに限定されず、従来から使用されている種々の構成のものを使用することができる。
【0026】
前記ケージ4は、図1に示したように、クレーン3のチェーン34により昇降可能に吊下されている。図2に示したように、ケージ4は、例えば、複数のフレームにより構成されたフレーム構造体である。また、ケージ4は、クレーン3の柱部材を構成する複数のマスト32の間で昇降可能に構成されるとともに、マスト32に当接可能かつ離間可能に構成された複数のガイドローラ41を有している。
【0027】
ガイドローラ41は、図3(a)〜(c)に示したように、マスト32に当接して転動可能なローラ41aと、ローラ41aを回転可能に支持するアーム41bと、アーム41bのローラ41aと反対側の端部を回動可能に支持する支持部材41cと、アーム41bをローラ41aの当接位置と離間位置との間で回動させる駆動手段41dと、を有している。支持部材41cは、図3(b)に示したように、ケージ4上に立設された一対の板材により構成されている。アーム41bは、支持部材41cにピン結合された一対の板材により構成されている。アーム41bの先端にはローラ41aがピン結合されている。かかる構成により、ローラ41aは回転可能にアーム41bに支持され、アーム41bは支持部材41cに回動可能に支持される。
【0028】
駆動手段41dは、例えば、ケージ4上に立設された支持フレーム41eに揺動可能に支持されたアクチュエータである。駆動手段41dには、例えば、油圧シリンダ、気圧シリンダ、電動シリンダ等のアクチュエータを任意に選択して使用することができる。駆動手段41dの先端は、ピン結合された固定部材を介してアーム41bに接続されている。したがって、図3(c)に示すように、アクチュエータを伸縮させることにより、アーム41bを回動させることができ、ローラ41aの位置を図3(a)に示した当接位置と図3(c)に示した離間(退避)位置とに変更することができる。
【0029】
このように、駆動手段41dをアーム41b等の上方に配置することにより、限られたケージ4の平面を有効に利用することができ、少ない設置面積でローラ41aの位置を変更することができる。また、マスト32にローラ41aを当接させる際に、マスト32とローラ41aとの間に十分な隙間がない場合であっても、上方からローラ41aを押し込むことができ、ケージ4の位置を調整しながらローラ41aを当接位置に確実に配置することができる。なお、ガイドローラ41の構成は、図示したものに限定されず、例えば、駆動手段41dの先端に回転可能にローラ41aを配置し、駆動手段41dをマスト32に対して垂直な方向に伸縮可能となるように配置し、駆動手段41dの伸縮によりローラ41aを当接位置と離間(退避)位置とを水平方向に変更するようにしてもよい。
【0030】
また、図2に示したように、ケージ4は、対向するラック21に向かって伸縮可能に配置された一対のアウトリガー6を有する。ここでは、ケージ4の両側にラック21が配置されているので、二対(四本)のアウトリガー6がケージ4上に配置されている。
【0031】
アウトリガー6は、図4に記載されたように、先端に車輪61が配置されており、車輪61により第一係止部7又は第二係止部8に係止されるように構成されている。具体的には、アウトリガー6は、車輪61を回転可能に支持する支持部材62と、支持部材62をスライドさせる駆動手段63と、支持部材62のスライドを案内するガイド部材64と、を有する。支持部材62は、例えば、角柱又は円柱の鋼材である。また、ガイド部材64は、例えば、支持部材62を挿通可能な筒部材である。駆動手段63は、例えば、ケージ4上に配置された、油圧シリンダ、気圧シリンダ、電動シリンダ等のアクチュエータである。かかる駆動手段63の伸縮により、車輪61の位置を、図4(a)に示した収縮状態、図4(b)に示した延伸状態、図4(d)に示した延伸状態、に任意に変更することができる。
【0032】
ところで、ラック21の上面には、図2及び図4(a)に示したように、第一係止部7及び第二係止部8が配置されている。第一係止部7及び第二係止部8は、ガイドローラ41をマスト32に当接させた状態で、各アウトリガー6と対峙する位置に配置されている。第一係止部7は、図2及び図4(c)に示したように、上面が略平坦に形成された平板部材であって、全てのアウトリガー6に対応するように配置されている。第一係止部7は、アウトリガー6の車輪61の移動を許容するように上面が略平坦状に形成されている。
【0033】
第二係止部8は、図2及び図4(e)に示したように、アウトリガー6の車輪61を位置決め可能なV字状溝を有する平板部材であって、各ラック21の一箇所の第一係止部7と隣接するように配置される。第二係止部8のV字状溝は、車輪61の移動を拘束できる形状であればよく、例えば、U字状溝であってもよいし、矩形状溝であってもよい。
【0034】
ここで、図5は、ケージ4の位置決め工程を示す図であり、(a)はケージ停止工程、(b)はガイドローラ退避工程、(c)及び(d)はアウトリガー延伸工程、を示している。なお、各図において、台車5の図を省略してある。
【0035】
図5(a)に示したように、所定のラック21の前にケージ4が搬送され、停止した状態では、ケージ4のガイドローラ41は、マスト32に当接した状態である。そして、図5(b)に示したように、ガイドローラ41を退避させてマスト32からローラ41aを離間させる。次に、図5(c)に示した矢印方向のラック21に台車5を搬送したい場合には、矢印方向のラック21に配置された第二係止部8に車輪61を載置させるようにアウトリガー6を延伸させる。残りの三本のアウトリガー6については、第一係止部7に車輪61を載置させるようにアウトリガー6を延伸させる。その後、ケージ4を降下させることによって、ラック21にアウトリガー6を係止させる。
【0036】
ここで、図4(b)及び(c)は、第一係止部7上にアウトリガー6の車輪61を載置した状態を示している。また、図4(d)及び(e)は、第二係止部8上にアウトリガー6の車輪61を載置した状態を示している。図5(c)に示したように、一つのアウトリガー6のみ第二係止部8に係止(載置)させ、残りのアウトリガー6を第一係止部7に係止(載置)させることから、第一係止部7は、第二係止部8に位置決めされたアウトリガー6と第一係止部7に載置されたアウトリガー6とが同じ高さとなるように、第一係止部7の高さhが設定されている。かかる構成により、アウトリガー6をラック21に係止させた場合であってもケージ4ががたつくことがなく、円滑に台車5を走行させることができる。
【0037】
また、アウトリガー6がラック21に係止した状態において、一つのアウトリガー6のみが位置決め可能な第二係止部8に載置され、残りのアウトリガー6が第一係止部7に載置されることから、第二係止部8に係止されたアウトリガー6を中心にしてケージ4は位置決めされ、第一係止部7に係止されたアウトリガー6によってケージ4の位置ずれを吸収することができる。さらに、ガイドローラ41は、アウトリガー6を第二係止部8に位置決めする際に、マスト32から離間されていることから、ケージ4の位置決め時において、マスト32によりケージ4の移動が拘束されることがなく、自由に位置決めすることができる。
【0038】
また、図5(d)に示した矢印方向のラック21に台車5を搬送したい場合には、矢印方向のラック21に配置された第二係止部8に車輪61を載置させるようにアウトリガー6を延伸させる。残りの三本のアウトリガー6については、第一係止部7に車輪61を載置させるようにアウトリガー6を延伸させる。その後、ケージ4を降下させることによって、ラック21にアウトリガー6を係止させる。このように、台車5を走行させたい方向の配置された第二係止部8にアウトリガー6を係止させることにより、ラック21のレール25とケージ4のレールとの位置決めを正確に行うことができる。
【0039】
前記台車5は、図2に示したように、ケージ4上に配置されたレール(図では一点鎖線で表示している)上に載置されている。台車5は、ケージ4と同様に、例えば、複数のフレームにより構成されたフレーム構造体である。台車5は、複数の車輪51を有し、一部の車輪51は駆動手段52によりレール上を自走できるように構成されている。また、一対のレールのうち片側のレールに載置される車輪51は、レールに形成された溝や突起に案内される環状の突起や溝を有していてもよい(本実施形態では、図の左側の車輪51に突起や溝が形成される)。駆動手段52には、電動モータ、ベルト機構、チェーンスプロケット機構、ラックピニオン機構等、種々の形式のものを使用することができる。また、駆動手段52は、減速機構を有していてもよい。また、台車5は、台車5上に載置された物品AをパレットPごと昇降させる昇降手段53を有する。昇降手段53は、例えば、略鉛直方向に伸縮可能に配置された昇降台53aと、昇降台53aを昇降させる駆動手段53bと、を有する。ここでは、駆動手段53bとして油圧ユニットを図示している。なお、駆動手段53bは電動式であってもよいし、昇降手段53はパンタグラフ式であってもよい。
【0040】
続いて、上述した第一実施形態の物品保管装置1を使用した物品移載方法について説明する。ここで、図6は、本発明の実施形態に係る物品移載方法による荷置き工程を示す図であり、(a)はケージ停止工程、(b)はリフトアップ工程、(c)はアウトリガー延伸工程、(d)はアウトリガー係止工程、(e)は台車移動工程、(f)はリフトダウン工程、(g)は台車引戻工程、(h)はアウトリガー収縮工程、を示している。また、図7は、本発明の実施形態に係る物品移載方法による荷取り工程を示す図であり、(a)はケージ停止工程、(b)はアウトリガー延伸工程、(c)はアウトリガー係止工程、(d)は台車移動工程、(e)はリフトアップ工程、(f)は台車引戻工程、(g)はリフトダウン工程、(h)はアウトリガー収縮工程、を示している。なお、上述した第一実施形態の物品保管装置1と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0041】
図6及び図7に図示した物品保管装置1は、上述したように、物品Aを格納する複数のラック21を有する格納庫2と、格納庫2に沿って移動可能に構成されたクレーン3と、クレーン3に昇降可能に吊下されたケージ4と、ケージ4とラック21との間を走行可能にケージ4上に配置された台車5と、を有し、ケージ4は、ラック21に向かって伸縮可能かつラック21に係止可能に構成された複数のアウトリガー6を有し、ラック21は、アウトリガー6が係止される部分に配置された第一係止部7と、第一係止部7とアウトリガー6の伸縮方向に隣接して配置された第二係止部8と、を有し、第二係止部8は、アウトリガー6を位置決め可能に構成されている。
【0042】
本発明の実施形態に係る物品移載方法は、図6及び図7に示したように、物品Aを移載したいラック21よりも上方の位置でケージ4を停止させるケージ停止工程と、台車5を走行させる方向のアウトリガー6の一つを第二係止部8に載置させるとともに残りのアウトリガー6を第一係止部7に載置させるようにアウトリガー6を延伸させるアウトリガー延伸工程と、ケージ4を降下させてアウトリガー6を第一係止部7及び第二係止部8に載置してラック21に係止させるアウトリガー係止工程と、台車5を走行させてラック21に移動させる台車移動工程と、を有し、台車5の移動によって物品Aをケージ4とラック21との間で移載することを特徴とする。
【0043】
以下、図6に示した本発明の実施形態に係る物品移載方法による荷置き工程と、図7に示した本発明の実施形態に係る物品移載方法による荷取り工程と、に分けて詳細に説明する。なお、荷置き工程は、物品Aを所定のラック21に保管する工程であり、荷取り工程は、ラック21に保管された物品Aを取り出して外部に供給する工程である。
【0044】
本発明の実施形態に係る物品移載方法による荷置き工程は、図6(a)に示したケージ停止工程と、図6(b)に示したリフトアップ工程と、図6(c)に示したアウトリガー延伸工程と、図6(d)に示したアウトリガー係止工程と、図6(e)に示した台車移動工程と、図6(f)に示したリフトダウン工程と、図6(g)に示した台車引戻工程と、図6(h)に示したアウトリガー収縮工程と、を有する。
【0045】
図6(a)に示したケージ停止工程は、所望のラック21の前でケージ4を停止させる工程である。ケージ4の停止位置は、アウトリガー6を延伸させたときにラック21と干渉しないように、物品Aを移載したいラック21よりも上方の位置に設定される。
【0046】
図6(b)に示したリフトアップ工程は、台車5上の物品Aを載置したパレットPを昇降手段53(図2参照)により持ち上げる工程である。パレットPは、ラック21の支持部材26よりも上方の位置に配置されるようにリフトアップされる。なお、パレットPを予めリフトアップした状態でケージ4を走行させた場合には、図6(a)に示したケージ停止工程の段階で、図6(b)に示したリフトアップ工程後の状態になっている。
【0047】
図6(c)に示したアウトリガー延伸工程は、アウトリガー6をラック21に係止できる位置まで延伸させる工程である。具体的には、台車5を走行させる方向のアウトリガー6の一つを第二係止部8に載置させるとともに残りのアウトリガー6を第一係止部7に載置させるようにアウトリガー6を延伸させる(図5(c)又は(d)参照)。
【0048】
このとき、ケージ4が、クレーン3の柱部材を構成する複数のマスト32の間で昇降可能に構成されるとともに、マスト32に当接可能かつ離間可能に構成された複数のガイドローラ41を有する場合には、図6(c)に示したアウトリガー延伸工程の前又は後に、ガイドローラ41をマスト32から離間させるガイドローラ退避工程を挿入することが好ましい(図5(b)参照)。
【0049】
図6(d)に示したアウトリガー係止工程は、アウトリガー6をラック21に係止させる工程である。具体的には、ケージ4を降下させてアウトリガー6を第一係止部7及び第二係止部8に載置してラック21に係止させる。このとき、台車5を走行させたい方向のラック21に配置された第二係止部8にアウトリガー6を係止させるようにする。残りのアウトリガー6は第一係止部7に係止させる。
【0050】
図6(e)に示した台車移動工程は、台車5をケージ4からラック21に移動させる工程である。上述したように、アウトリガー6をラック21に係止させることによって、ケージ4のレールとラック21のレール25とを正確に位置決めすることができ、台車5を円滑に走行させることができる。特に、物品Aが重量物の場合であっても、レールが正確に位置決めされていることから、台車5の走行不能や装置の故障等の不具合を抑制することができる。
【0051】
図6(f)に示したリフトダウン工程は、台車5上の物品Aを載置したパレットPを降下させる工程である。具体的には、パレットPは、台車5からラック21の支持部材26に載せ換えられるようにリフトダウンされる。かかる工程により、物品AはパレットPごと台車5からラック21に移載される。
【0052】
図6(g)に示した台車引戻工程は、空になった台車5をケージ4上に引き戻す工程である。この場合も、ケージ4のレールとラック21のレール25とが正確に位置決めされていることから、台車5を円滑に走行させることができる。
【0053】
図6(h)に示したアウトリガー収縮工程は、アウトリガー6を収縮させてケージ4をラック21から解放させる工程である。具体的には、図6(c)に示したケージ4の停止位置までケージ4を上昇させることにより、アウトリガー6を第一係止部7及び第二係止部8から離間させ、その後、図6(h)に示したように、アウトリガー6を収縮させて退避させる。このように、アウトリガー6を退避させる前に、僅かに上昇させることによって、アウトリガー6の引っ掛かりを抑制し、アウトリガー6の負荷を最小限にすることができ、故障等を予防することができる。なお、荷置き時におけるアウトリガー収縮工程では、台車5は空であることから重量が軽くなっているため、ケージ4の上昇工程を省略してそのままの位置でアウトリガー6を収縮して退避させるようにしてもよい。
【0054】
本発明の実施形態に係る物品移載方法による荷取り工程は、図7(a)に示したケージ停止工程と、図7(b)に示したアウトリガー延伸工程と、図7(c)に示したアウトリガー係止工程と、図7(d)に示した台車移動工程と、図7(e)に示したリフトアップ工程と、図7(f)に示した台車引戻工程と、図7(g)に示したリフトダウン工程と、図7(h)に示したアウトリガー収縮工程と、を有する。
【0055】
図7(a)に示したケージ停止工程は、取り出したい物品Aが保管されたラック21の前でケージ4を停止させる工程である。ケージ4の停止位置は、アウトリガー6を延伸させたときにラック21と干渉しないように、対象のラック21よりも上方の位置に設定される。
【0056】
図7(b)に示したアウトリガー延伸工程は、アウトリガー6をラック21に係止できる位置まで延伸させる工程である。具体的には、台車5を走行させる方向のアウトリガー6の一つを第二係止部8に載置させるとともに残りのアウトリガー6を第一係止部7に載置させるようにアウトリガー6を延伸させる(図5(c)又は(d)参照)。
【0057】
このとき、ケージ4が、クレーン3の柱部材を構成する複数のマスト32の間で昇降可能に構成されるとともに、マスト32に当接可能かつ離間可能に構成された複数のガイドローラ41を有する場合には、図7(b)に示したアウトリガー延伸工程の前又は後に、ガイドローラ41をマスト32から離間させるガイドローラ退避工程を挿入することが好ましい(図5(b)参照)。
【0058】
図7(c)に示したアウトリガー係止工程は、アウトリガー6をラック21に係止させる工程である。具体的には、ケージ4を降下させてアウトリガー6を第一係止部7及び第二係止部8に載置してラック21に係止させる。このとき、台車5を走行させたい方向のラック21に配置された第二係止部8にアウトリガー6を係止させるようにする。残りのアウトリガー6は第一係止部7に係止させる。
【0059】
図7(d)に示した台車移動工程は、台車5をケージ4からラック21に移動させる工程である。上述したように、アウトリガー6をラック21に係止させることによって、ケージ4のレールとラック21のレール25とを正確に位置決めすることができ、台車5を円滑に走行させることができる。
【0060】
図7(e)に示したリフトアップ工程は、ラック21の支持部材26上に載置されているパレットPを物品Aとともに持ち上げる工程である。具体的には、ラック21上の移動した台車5の昇降手段53(図2参照)により、物品Aを載置したパレットPを持ち上げて、ラック21からパレットP及び物品Aをリフトアップする。かかる工程により、物品Aをラック21から台車5に載せ換えることができる。
【0061】
図7(f)に示した台車引戻工程は、物品Aを支持した台車5をケージ4上に引き戻す工程である。この場合も、ケージ4のレールとラック21のレール25とが正確に位置決めされていることから、台車5を円滑に走行させることができる。特に、物品Aが重量物の場合であっても、レールが正確に位置決めされていることから、台車5の走行不能や装置の故障等の不具合を抑制することができる。
【0062】
図7(g)に示したリフトダウン工程は、台車5上の物品Aを載置したパレットPを降下させる工程である。具体的には、パレットPが、台車5の上面全体に載置されるようにリフトダウンされる。かかる工程により、物品AはパレットPごとラック21から台車5に移載される。なお、荷取り後の物品Aの搬送先(例えば、入出庫口22、他のラック21等)において、パレットPをリフトアップする必要がある場合には、リフトダウン工程を省略し、パレットPをリフトダウンせずに、次工程に移るようにしてもよい。
【0063】
図7(h)に示したアウトリガー収縮工程は、アウトリガー6を収縮させてケージ4をラック21から解放させる工程である。具体的には、図7(b)に示したケージ4の停止位置までケージ4を上昇させることにより、アウトリガー6を第一係止部7及び第二係止部8から離間させ、その後、図7(h)に示したように、アウトリガー6を収縮させて退避させる。このように、アウトリガー6を退避させる前に、ケージ4を僅かに上昇させることによって、アウトリガー6の引っ掛かりを抑制し、アウトリガー6の負荷を最小限にすることができ、故障等を予防することができる。特に、荷取り時には、重量物である物品Aを載置していることからアウトリガー6にかかる負荷が高いため、ケージ4の上昇工程を経てからアウトリガー6を収縮して退避させることが好ましい。
【0064】
上述した本発明に係る物品保管装置1及び物品移載方法によれば、台車5の走行方向に延伸するアウトリガー6のうちの一つにより位置決めし、残りのアウトリガー6は位置決め時に拘束されていないことから、一つのアウトリガー6を位置決めすることによってケージ4全体が位置決めされ、ケージ4のレールとラック21のレール25とを容易に位置決めすることができる。したがって、保管対象の物品Aが重量物の場合であっても円滑に移載することができ、重量物の保管又は移載に好適な物品保管装置1及び物品移載方法を提供することができる。
【0065】
また、ケージ4がマスト32に当接するガイドローラ41を有する場合には、かかるガイドローラ41をケージ4の位置決め時にマスト32から離間するように退避させることによって、アウトリガー6の位置決め時に、ケージ4がマスト32やガイドローラ41に拘束されることがなく、ケージ4の位置決めを容易に行うことができる。
【0066】
最後に、本発明の他の実施形態に係る物品保管装置1について説明する。ここで、図8は、本発明の他の実施形態に係る物品保管装置を示す平面図であり、(a)は第二実施形態、(b)は第三実施形態、(c)は第四実施形態、(d)は第五実施形態、を示している。なお、各図において、台車5の図は省略してある。また、上述した第一実施形態の物品保管装置1と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0067】
図8(a)〜(d)に示した実施形態は、第一係止部7及び第二係止部8の配置を変更したものである。図8(a)に示した第二実施形態は、第一実施形態の第一係止部7の配置はそのままにした状態で、第二係止部8を対角線上に配置したものである。図8(b)に示した第三実施形態は、第一実施形態において隣接した第一係止部7と第二係止部8との位置を入れ替えたものである。これらの配置であっても、第一実施形態と同様にアウトリガー6によってケージ4を正確に位置決めすることができる。
【0068】
また、図8(c)に示した第四実施形態は、全ての第一係止部7と隣接する位置に第二係止部8を配置したものである。このように、全てのラック21側の係止部を第一係止部7と第二係止部8との組合せによって構成することにより、台車5を走行させる側のアウトリガー6のうち、任意に選択した一つのアウトリガー6を第二係止部8に係止させることができる。したがって、第二係止部8に拘束させるアウトリガー6を、例えば、交互に入れ替えることによって、アウトリガー6にかかる負荷を均等にすることができ、一部のアウトリガー6の消耗や故障を抑制することができる。
【0069】
また、図8(d)に示した第五実施形態は、ケージ4の一対のレール42のうち片側のレール42に載置される車輪51が、レール42に形成された溝42a(又は突起)に案内される環状の突起(又は溝)を有し、そのレール42と対応するラック21側のレール25にも同様の溝25a(又は突起)が形成されている場合において、溝25aや突起を有するレール25から離れた側(図の右側)の第一係止部7に第二係止部8を隣接したものである。かかる構成によれば、アウトリガー6が第二係止部8に係止される位置と車輪51が係止される位置が離れていることから、台車5の位置決め精度が第一実施形態よりも僅かに低下する可能性はあるが、実質的に第一実施形態と同様の効果を奏する。
【0070】
なお、上述した第一実施形態は、図8(d)を参酌すれば、ケージ4の一対のレール42のうち片側のレール42に載置される車輪51が、レール42に形成された溝42a(又は突起)に案内される環状の突起(又は溝)を有し、そのレール42と対応するラック21側のレール25にも同様の溝25a(又は突起)が形成されており、溝25aや突起を有するレール25に近い側(図の左側)の第一係止部7に第二係止部8が隣接されているものといえる。かかる構成によれば、アウトリガー6が第二係止部8に係止される位置と車輪51が係止される位置が近接していることから、溝42aや突起を有するケージ4のレール42と、同様の溝25aや突起を有するラック21のレール25とを正確に位置決めすることができ、円滑に環状の突起や溝を有する車輪51を備えた台車5を走行させることができる。
【0071】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
1 物品保管装置
2 格納庫
3 クレーン
4 ケージ
5 台車
6 アウトリガー
7 第一係止部
8 第二係止部
21 ラック
32 マスト
41 ガイドローラ
41a ローラ
41b アーム
41c 支持部材
41d 駆動手段
61 車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を格納する複数のラックを有する格納庫と、該格納庫に沿って移動可能に構成されたクレーンと、該クレーンに昇降可能に吊下されたケージと、該ケージと前記ラックとの間を走行可能に前記ケージ上に配置された台車と、を有する物品保管装置において、
前記ケージは、前記ラックに向かって伸縮可能かつ前記ラックに係止可能に構成された複数のアウトリガーを有し、
前記ラックは、前記アウトリガーが係止される部分に配置された第一係止部と、該第一係止部と前記アウトリガーの伸縮方向に隣接して配置された第二係止部と、を有し、該第二係止部は、前記アウトリガーを位置決め可能に構成されており、前記台車を走行させる方向に配置された前記第二係止部に前記アウトリガーの一つを係止させ、残りのアウトリガーを前記第一係止部に係止させるようにした、ことを特徴とする物品保管装置。
【請求項2】
前記ケージは、前記クレーンの柱部材を構成する複数のマストの間で昇降可能に構成されるとともに、前記マストに当接可能かつ離間可能に構成された複数のガイドローラを有し、該ガイドローラは、前記アウトリガーを前記第二係止部に位置決めする際に、前記マストから離間されている、ことを特徴とする請求項1に記載の物品保管装置。
【請求項3】
前記ガイドローラは、前記マストに当接して転動可能なローラと、該ローラを回転可能に支持するアームと、該アームの前記ローラと反対側の端部を回動可能に支持する支持部材と、前記アームを前記ローラの当接位置と離間位置との間で回動させる駆動手段と、を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の物品保管装置。
【請求項4】
前記アウトリガーは、先端に車輪が配置されており、該車輪により前記第一係止部又は前記第二係止部に係止されるように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の物品保管装置。
【請求項5】
前記第二係止部は、前記アウトリガーを位置決め可能なV字状溝を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の物品保管装置。
【請求項6】
前記第一係止部は、前記第二係止部に位置決めされた前記アウトリガーと前記第一係止部に載置された前記アウトリガーとが同じ高さとなるように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の物品保管装置。
【請求項7】
物品を格納する複数のラックを有する格納庫と、該格納庫に沿って移動可能に構成されたクレーンと、該クレーンに昇降可能に吊下されたケージと、該ケージと前記ラックとの間を走行可能に前記ケージ上に配置された台車と、を有する物品保管装置における物品移載方法であって、
前記ケージは、前記ラックに向かって伸縮可能かつ前記ラックに係止可能に構成された複数のアウトリガーを有し、
前記ラックは、前記アウトリガーが係止される部分に配置された第一係止部と、該第一係止部と前記アウトリガーの伸縮方向に隣接して配置された第二係止部と、を有し、該第二係止部は、前記アウトリガーを位置決め可能に構成されており、
前記物品を移載したいラックよりも上方の位置で前記ケージを停止させるケージ停止工程と、
前記台車を走行させる方向のアウトリガーの一つを前記第二係止部に載置させるとともに残りのアウトリガーを前記第一係止部に載置させるように前記アウトリガーを延伸させるアウトリガー延伸工程と、
前記ケージを降下させて前記アウトリガーを前記第一係止部及び前記第二係止部に載置して前記ラックに係止させるアウトリガー係止工程と、
前記台車を走行させて前記ラックに移動させる台車移動工程と、
を有し、前記台車の移動によって前記物品を前記ケージと前記ラックとの間で移載する、ことを特徴とする物品移載方法。
【請求項8】
前記ケージは、前記クレーンの柱部材を構成する複数のマストの間で昇降可能に構成されるとともに、前記マストに当接可能かつ離間可能に構成された複数のガイドローラを有し、前記アウトリガー延伸工程の前又は後に、前記ガイドローラを前記マストから離間させるガイドローラ退避工程を有する、ことを特徴とする請求項7に記載の物品移載方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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