物品処理設備
【課題】物品搬送装置の構成をできるだけ変更することなく、物品収納部に収納されている物品を効率よく物品搬送装置に戻すことができる物品処理設備を提供すること。
【解決手段】棚前面側が下位となるように傾斜した搬送面にて物品Bを載置支持した状態で物品Bを搬送する搬送手段5を備えた物品収納部Tが配置された物品収納棚1と、物品収納棚1の背面側において物品Bを搬送自在でかつ物品収納部Tにおける搬送面の上端側に位置する投入部WTから物品収納部Tに対して物品Bを受け渡し自在な物品搬送装置2とが設けられている物品処理設備であって、搬送手段5が、搬送面の傾斜下り方向に物品Bを搬送する正搬送状態と、搬送面の傾斜上り方向に物品Bを搬送する逆搬送状態とに切換え自在に構成され、物品搬送装置2が、逆搬送状態で搬送される物品Bを投入部WTから受け取り可能に構成されている物品処理設備。
【解決手段】棚前面側が下位となるように傾斜した搬送面にて物品Bを載置支持した状態で物品Bを搬送する搬送手段5を備えた物品収納部Tが配置された物品収納棚1と、物品収納棚1の背面側において物品Bを搬送自在でかつ物品収納部Tにおける搬送面の上端側に位置する投入部WTから物品収納部Tに対して物品Bを受け渡し自在な物品搬送装置2とが設けられている物品処理設備であって、搬送手段5が、搬送面の傾斜下り方向に物品Bを搬送する正搬送状態と、搬送面の傾斜上り方向に物品Bを搬送する逆搬送状態とに切換え自在に構成され、物品搬送装置2が、逆搬送状態で搬送される物品Bを投入部WTから受け取り可能に構成されている物品処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚前面側が下位となるように傾斜した搬送面にて物品を載置支持した状態で搬送する搬送手段を備えた物品収納部が配置された物品収納棚と前記物品収納棚の背面側において物品を搬送自在でかつ前記物品収納部における前記搬送面の上端側に位置する投入部から前記物品収納部に対して物品を受け渡し自在な物品搬送装置とが設けられている物品処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品処理設備は、例えば、物品搬送装置にて倉庫等から搬送され物品収納部に収納されたダンボールケースやバケット等の保管容器に納められた個別商品等を、作業者が物品収納棚の棚前面側から取り出すピッキング作業に用いられる。
【0003】
上記物品処理設備の従来例として、搬送手段が、物品搬送装置から受け渡された物品を傾斜下り方向にだけ搬送作動するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。ちなみに、特許文献1では、搬送手段がフリーローラコンベヤにて構成されており、搬送手段は物品の自重により搬送作動するようになっている。
【0004】
【特許文献1】実公昭61−41682号公報(図4及び図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の構成であると、搬送手段が、傾斜下り方向にだけ搬送作動するものであるから、一旦物品収納部の投入部に物品が投入されて物品が収納された状態となると、その物品を物品搬送装置に戻すことはできない。
【0006】
そのため、当該物品収納部に収納された物品を入れ替えるためには、棚前面側から作業者が物品を取り出すなどして当該物品収納部に収納された物品を人手により取り除かなければならない。
【0007】
そこで、従来から、上記のような物品の入替え作業を行わずに済むように、物品収納棚に物品収納部を多数配置して、処理(例えばピッキング作業)が発生する可能性のある全ての物品のそれぞれを各別に物品収納部に収納して、収納棚の前面側の作業者が必要に応じてそれらの物品に対する処理ができるようにしている。
【0008】
ところが、従来の物品処理設備では、上述のように、物品収納棚に多数の物品収納部を配置して処理対象物品を分散して収納することになるので、収納棚の前面側で作業する作業者にとっての作業対象範囲が広くなってしまい、物品処理時に多くの移動を伴うことで作業効率が低下するおそれがある。
【0009】
もっとも、物品収納部における物品を自動で入れ替えることができるように、物品搬送装置に、物品収納部に収納されている物品に保持作用する突出位置から保持した物品を物品搬送装置に位置させる引退位置まで出退作動自在な出退保持具を備えた引き寄せ装置により物品収納部に収納されている物品を回収することが考えられる。
【0010】
しかしながら、物品収納部に収納されている物品を上述のような引き寄せ装置にて物品搬送装置に引き寄せるためには、引退位置に位置する出退保持具を突出位置に突出させて物品を保持しなければならないので、例えば、搬送手段の搬送方向に並ぶ状態で同時に複数の物品を収納できるように、又は、ピッキング作業を行い易いよう収納されている物品ができるだけ作業者に近く位置するようにするために、搬送手段の搬送距離を棚前面側に向かって長くした場合には、物品収納部における物品の収納位置が投入部から斜め下方に離れることになり、引き寄せ装置の出退保持具を物品に保持作用させることが困難になる。このように、出退保持具を備えた引き寄せ装置を用いて物品収納部の物品を回収するものであると、搬送距離が長い搬送手段の下位側の端部に収納されている物品を回収することは困難である。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、搬送手段の搬送距離が長い物品収納部に収納されている物品を不都合なく回収することができる物品処理設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、本発明にかかる物品処理設備は、棚前面側が下位となるように傾斜した搬送面にて物品を載置支持した状態で物品を搬送する搬送手段を備えた物品収納部が配置された物品収納棚と前記物品収納棚の背面側において物品を搬送自在でかつ前記物品収納部における前記搬送面の上端側に位置する投入部から前記物品収納部に対して物品を受け渡し自在な物品搬送装置とが設けられているものであって、
その第1特徴構成は、前記搬送手段が、前記搬送面の傾斜下り方向に物品を搬送する正搬送状態と、前記搬送面の傾斜上り方向に物品を搬送する逆搬送状態とに切換え自在に構成され、前記物品搬送装置が、前記逆搬送状態で搬送される物品を前記投入部から受け取り可能に構成されている点にある。
【0013】
すなわち、搬送手段が、搬送面の傾斜下り方向に物品を搬送する正搬送状態と、搬送面の傾斜上り方向に物品を搬送する逆搬送状態とに切換え自在に構成されているので、搬送手段を逆搬送状態にて搬送作動させることで、物品搬送装置にて物品を直接保持することなく、物品収納部に収納されている物品をその物品収納部の投入部まで移動させることができる。
【0014】
したがって、搬送手段の搬送距離が長い物品収納部に物品が収納されていても、物品をその搬送距離に対応した量だけ搬送手段を逆搬送状態で搬送作動させることで、物品をその物品収納部の投入部まで移動させることができる。
【0015】
そして、物品搬送装置が、逆搬送状態で搬送される物品を投入部から受け取り可能に構成されているので、逆搬送状態で搬送作動する搬送手段にて投入部まで搬送された物品を物品搬送装置が受け取って、当該物品を物品搬送装置に回収することができる。
【0016】
このように、本発明の第1特徴構成によると、搬送手段の搬送距離が長い物品収納部に収納されている物品を不都合なく回収することができる物品処理設備を得るに至った。
【0017】
本発明にかかる物品処理設備の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記搬送手段が、前記正搬送状態において、物品の自重により搬送作動するように構成されている点にある。
【0018】
すなわち、物品が物品搬送装置にて投入部に受け渡されると、搬送手段に物品の自重が掛かり、搬送手段が正搬送状態で搬送作動するので、搬送手段を搬送作動させる電力等を利用した駆動手段を設けずに済むので構成の簡素化や省エネルギー化を図ることができる。
【0019】
本発明にかかる物品処理設備の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、前記搬送手段が、前記逆搬送状態において、前記物品搬送装置から伝達される動力により搬送作動するように構成されている点にある。
【0020】
すなわち、搬送手段は、物品搬送装置から伝達される動力により逆搬送状態にて搬送作動するので、物品収納棚側に搬送手段を逆搬送状態で搬送作動させるための動力源を設けずに済む。したがって、物品収納棚の構成の簡素化を図ることができる。
【0021】
特に、搬送手段が、正搬送状態において、物品の自重により搬送作動するように構成されている場合には、物品収納棚側に搬送手段を搬送作動させるための動力源を全く設けずに、正搬送状態及び逆搬送状態の双方で搬送作動させることができる。
【0022】
また、物品収納棚に物品収納部が複数配置される場合には、各物品収納部の搬送手段が物品搬送装置から伝達される動力により搬送作動するので、各物品収納部の搬送手段ごとに動力源を設けたり、各物品収納部の搬送手段に対して動力を分配伝達する手段を設けずに済むので、物品収納棚の構成の簡素化が一層顕著になる。
【0023】
本発明にかかる物品処理設備の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれかにおいて、前記搬送手段が、前記搬送面にて載置支持されている物品の傾斜下り方向への移動を規制する系止部を備え、前記逆搬送状態において、前記系止部がように構成されている点にある。
【0024】
すなわち、系止部が、搬送面にて載置支持されている物品の傾斜下り方向への移動を規制するので、棚前面側が下位となるように搬送面が傾斜していても、搬送面に載置支持されている物品を傾斜下り方向である棚前面側へ移動させないようにすることができる。
【0025】
そして、系止部が傾斜上り方向に移動するに伴って搬送面の傾斜上り方向に物品を搬送するので、搬送面に載置支持された物品は、棚前面側への移動が規制された状態で、棚前面側から背面側に向かって搬送される。
【0026】
このように、本発明の第4特徴構成によると、棚前面側が下位となるように傾斜した搬送面に載置支持された物品を、棚前面側から背面側に向かって確実に搬送することができる。
【0027】
本発明にかかる物品処理設備の第5特徴構成は、第4特徴構成において、前記搬送手段が、ベルトコンベヤ及びローラコンベヤを搬送幅方向に並べて構成され、前記ベルトコンベヤが、その巻回経路が前記ローラコンベヤの搬送作用面よりも側面視で下方に位置するように巻回され、かつ、前記逆搬送状態において前記ローラコンベヤの前記搬送作用面よりも側面視で上方側に突出する突起部を前記系止部として備えて構成されている点にある。
【0028】
すなわち、ベルトコンベヤの巻回経路がローラコンベヤの搬送作用面よりも側面視で下方に位置するように巻回されているので、搬送手段の搬送面は、ローラコンベヤの搬送作用面にて形成され、搬送作用面は、棚前面側が下位となるように傾斜したものとなる。したがって、物品が投入部にて受け渡されると、その物品はローラコンベヤに載置支持された状態となり、ローラコンベヤを正搬送状態にて搬送作動させることで、当該物品は底面がベルトコンベヤの上部巻回経路部分と接触することなく、物品収納棚の背面側から棚前面側に円滑に搬送される。
【0029】
なお、ローラコンベヤが正搬送状態で物品を搬送する間は、ベルトコンベヤの突起部を、ローラコンベヤの搬送作用面の上方側に突出しない位置、例えば、ベルトコンベヤの巻回経路の傾斜下位側端部又は傾斜上位側端部若しくは下部側経路部分のいずれかの箇所に位置させておけばよい。
【0030】
一方、ベルトコンベヤには、ローラコンベヤの搬送作用面よりも側面視で上方側に突出する突起部を系止部として備えているので、ベルトコンベヤを逆搬送方向に設定された回転方向に回転駆動することで、この突起部をローラコンベヤの搬送作用面から突出させた状態を維持しながら搬送面に沿って傾斜上り方向に移動させることができる。したがって、ローラコンベヤの搬送作用面に載置支持された物品は逆搬送状態にて棚前面側から背面側に搬送される。
【0031】
なお、ベルトコンベヤを回転駆動するための駆動力を物品搬送装置から伝達されるように構成する場合、ベルトコンベヤの棚背面側の端部に駆動力を入力すればベルトコンベヤ全体を駆動させることができるので、物品搬送装置から近い位置に対して駆動力を入力すれば済むことになり、物品搬送装置に設けるべき駆動力伝達機構の構成をコンパクトに構成することができる。
【0032】
また、ベルトコンベヤ及びローラコンベヤが搬送幅方向に並べられるので、搬送手段は搬送幅方向に正搬送用部分と逆搬送用部分とが振り分け配置されることになるので、搬送手段の搬送方向の横幅を極力拡大することなく、正搬送状態及び逆搬送状態による搬送作動を行うことができ、従来のように傾斜下り方向にだけ物品を搬送する搬送装置を備えた物品収納部の幅方向の寸法との共通化を図ることができ、本発明における物品収納棚の汎用性を極力維持することができる。
【0033】
このように、本発明の第5特徴構成によると、本発明の好適な実施形態を得るに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、物品処理設備としてのピッキング設備には、前後一対の収納棚1が間隔を隔てて設けられ、それらの収納棚1の間に、スタッカークレーン2が配置されている。
【0035】
前後一対の収納棚1のうち前方側の収納棚1における下方側部分に、ピッキング作業者がピッキング作業をする物品Bを作業者側が下位となるような傾斜状態で収納する傾斜収納部Tを棚横幅方向に複数個並べ且つ上下方向に3段に並べる状態で備える作業用棚1Aが構成されている。
【0036】
前後一対の収納棚1のうちの前記作業用棚1Aが装備される箇所以外の部分には、作業用棚1Aに供給する物品Bを略水平状態で収納する水平収納部Uが、棚横幅方向及び上下方向に複数並置する状態で備えられている。
【0037】
そして、前記スタッカークレーン2が、物品入出庫コンベヤ3から供給される物品Bを収納棚1に収納することになり、また、スタッカークレーン2は、作業用棚1Aの背面側において物品Bを搬送自在に配備されて、各傾斜収納部Tに対する物品供給位置に移動して傾斜収納部Tの上端側に位置する搬送投入部WTから傾斜収納部Tに対して物品Bを受け渡し自在な物品搬送装置として機能するようになっている。
【0038】
また、スタッカークレーン2は傾斜収納部Tに物品Bを投入する投入処理及び傾斜収納部Tから物品Bを回収する回収処理並びに水平収納部Uに物品Bを移載する卸し処理及び水平収納部Uから物品Bを移載する掬い処理を行って、ピッキング対象の品物が入った物品Bを水平収納部Uから移載して傾斜収納部Tに投入し、また、必要数の品物のピッキングが完了した物品Bを傾斜収納部Tから回収して水平収納部Uに移載することを、ピッキング作業の進捗に応じて適宜行うようになっている。
【0039】
なお、前記物品Bは、ダンボール箱やブラスチック製バケット等のケース内に各種の品物を収納する形態となっている。
【0040】
傾斜収納部Tには、ピッキング作業エリアが位置する棚前面側が下位となるように傾斜した搬送面Sにて物品Bを載置支持した状態で物品Bを搬送する搬送手段としての正逆搬送コンベヤ5が備えられている。
【0041】
各傾斜収納部Tに備えられた正逆搬送コンベヤ5は、図3及び図4に示すように、作業用棚1Aの背面側の搬送投入部WTから投入された物品Bを棚前面側の搬送下端部に向かって傾斜下り方向に自重移動させるフリーローラコンベヤ5Aと、棚前面側の搬送下端部から背面側の搬送投入部WTに向かって傾斜上り方向に系止搬送する突起部付きベルトコンベヤ5Bとが搬送幅方向に並べて構成されている。図4は、棚前面側から傾斜上り方向を臨む正逆搬送コンベヤ5の縦断正面図である。
【0042】
そして、搬送投入部WTから物品Bが投入されると、物品Bの自重によりフリーローラコンベヤ5Aが搬送作動して、物品Bが搬送面Sの傾斜下り方向に搬送される。また、詳しくは後述するが、傾斜収納部Tに対する物品供給位置に位置するスタッカークレーン2から伝達される動力によりベルトコンベヤ5Bが搬送作動して、物品Bが搬送面Sの傾斜上り方向に搬送される。
【0043】
このように、正逆搬送コンベヤ5は、物品Bを搬送面Sの傾斜下り方向に物品を搬送する正搬送状態と、物品Bを搬送面Sの傾斜上り方向に物品Bを搬送する逆搬送状態とに切換え自在に構成されている。
【0044】
また、前記ベルトコンベヤ5Bは、その巻回経路がフリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scよりも側面視で下方に位置するように巻回され、かつ、逆搬送状態において前記フリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scよりも側面視で上方側に突出する突起部6を備えて構成されている。
【0045】
以下、正逆搬送コンベヤ5の構成について説明を加える。フリーローラコンベヤ5Aは、正逆搬送コンベヤ5の搬送面Sに沿って略等間隔に配置された複数のローラ支持軸7を備え、これらの複数のローラ支持軸7にて、横軸心周りに遊転自由な回転ローラ8が相対回転自在に支持されている。回転ローラ8は、ローラ支持軸7の左端部側部分7Lにて遊転自在に支持される左端部ローラ8L、右端部側部分7Rにて遊転自在に支持される右端部ローラ8R、及び、中間部分7Mに位置する中間部ローラ8Mが、搬送幅方向に隙間D2を開けて並べて構成されている。なお、回転ローラ8同士の搬送幅方向の隙間D2は、ベルトコンベヤ5Bの搬送幅Tbに対応する長さとなっている。
【0046】
傾斜搬送面Sの上端及び下端に位置する上端ローラ支持軸7T及び下端ローラ支持軸7Bには、コンベヤベルト巻回用のローラ9(以下、ベルト巻回用ローラ9という。)がローラ支持軸7と一体回転自在に設けられている。ベルト巻回用ローラ9は、上端ローラ支持軸7T及び下端ローラ支持軸7Bにおける、左端部ローラ8Lと中間部ローラ8Mとの隙間、及び、右端部ローラ8R及び中間部ローラ8Mとの隙間に位置している。つまり、ベルトコンベヤ5Bは左右一対のベルトコンベヤからなり、これらは、中間部ローラ8Mの長さだけ間隔を隔てて設置されている。
【0047】
ベルト巻回用ローラ9の幅は、上端ローラ支持軸7Tの右端部側部分7Rに位置する駆動力入力用ローラを兼ねる幅広ローラ9W以外は、コンベヤベルト10の幅に対応した幅となっている。幅広ローラ9Wは、スタッカークレーン2の物品移載装置4が備えるベルト駆動装置11により駆動力が入力される駆動力入力部分9Dの幅だけ、他のベルト巻回用ローラ9の幅よりも幅広となっている。
【0048】
ベルト巻回用ローラの直径R9は、回転ローラ8の直径R8より小さく構成してあり、これらのベルト巻回用ローラ9にベルトコンベヤ5Bのコンベヤベルト10が巻回されて、コンベヤベルト10の巻回上側部分のベルト外側表面10sは、フリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scよりも側面視で距離D1だけ下方に位置するようになっている。
【0049】
コンベヤベルト10は、公知の自然復帰ベルトにて構成されている。自然復帰ベルトは、樹脂等の弾性素材にてリング状に形成される無端ベルト本体を巻回経路方向の位置によって異なる厚みに厚肉成形する等して、巻回経路方向でのベルトの弾性係数を敢えて不均一に構成することで、張力のバランスが取れる巻回位置(以下、中立位置φnという)に自然復帰するように構成したものである。
【0050】
つまり、コンベヤベルト10は、図6に示すように、各一対の肉厚部分10aと肉薄部分10bとを巻回方向で交互に並べて形成されている。巻回周方向に沿った肉厚部分10aの長さLaは、上端ローラ支持軸7T及び下端ローラ支持軸7Bの設置間隔Ltbに対応させた長さとなっており、巻回周方向に沿った肉薄部分10bの長さLbは、ベルト巻回用ローラ9の外周長L9の半分の長さに対応した長さである。
【0051】
そして、コンベヤベルト10の巻回全周長の半分の距離を隔てて巻回全周長を二等分する対向二箇所、より具体的には、各肉薄部分10bにおける巻回周方向で中心箇所に、ベルト幅方向に沿った桟状の突起部6が、巻回外向きに突出する状態で一体形成により一対だけ設けられている。
【0052】
そして、コンベヤベルト10は自然復帰ベルトにて構成されているので、コンベヤベルト10を回動させる外力がなくても、中立位置φnを中心に正逆方向に略等量の幅を持つ復帰可能位相範囲Zφ内の位相から中立位置φnになるように回動し、中立位置φnにて位置保持するようになっている。したがって、後述するように、スタッカークレーン2の物品移載装置4に備えられた出退式のベルト駆動装置11から伝達される回動力にてコンベヤベルト10を復帰可能位相範囲Zφ内の中立位置φn付近の位相まで回転駆動した後は、ベルト駆動装置11からの動力を伝達しなくても、コンベヤベルト10が中立位置φn付近から図6示す中立位置φnに回動するようになっている。
【0053】
突起部6のベルト外側表面10sからの突出量D3は、コンベヤベルト10の巻回上側部分のベルト外側表面10sとフリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scとの側面視の距離D1よりも長いので、図5に示すように、突起部6が巻回経路の上側部分に位置していると、突起部6の先端部分が搬送作用面Scよりも上方側に突き出た状態となって、フリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scにて載置支持されている物品Bの棚前面側の側面の下部に突起部6の先端部が当接して、物品Bが正逆搬送コンベヤ5の搬送面Sに沿って傾斜下り方向へ移動することが規制される。つまり、突起部6は、系止部として機能する。
【0054】
突起部6はベルトコンベヤ5Bに一体形成により設けられているので、中立位置φnのベルトコンベヤ5Bを図6の側面視で時計回りに巻回作動させることで、図5に示すように、突起部6を巻回経路の上側部分に移動させ、さらに、巻回経路の上側部分において搬送面Sの傾斜上り方向に移動させることができる。これにより、突起部6が物品Bの棚前面側の底部側部分に当接した状態を維持しながら、物品Bを搬送面Sの傾斜上り方向に搬送することができるようになっている。
【0055】
このように、正逆搬送コンベヤ5は、逆搬送状態において、突起部6が搬送面Sの傾斜上り方向に移動するに伴って搬送面Sの傾斜上り方向に物品を搬送するように構成されている。
【0056】
前記作業用棚1Aの前方側には、物品収集用のケースKを搬送する物品収集用コンベヤCが設けられ、各棚部分Tの下端部には、図3に示すように、物品Bの滑落を防止するストッパー48が設けられている。ストッパー48には、ベルトコンベヤ5Bの一対のコンベヤベルト10の設置間隔に対応させて溝部48gが一対形成されており、ベルトコンベヤ5Bのコンベヤベルト10が回動する場合に、突起部6が溝部48gを通過することでストッパー48に接触することがないようになっている。
【0057】
ストッパー48の棚前面側の端面には、棚前面側でピッキング作業を行う作業者に対してケースK内に投入する物品数量を数値表示する数値表示部49a、当該作業者が必要数の物品の投入が完了したことを指令する完了指令スイッチ49bを備える表示部49が設けられている。
【0058】
前記スタッカークレーン2は、走行車体2Aに左右一対の昇降マスト2Cに沿って昇降自在な昇降台2Bを備えて構成されているものであり、昇降台2Bには、移載対象箇所との間で物品Bを授受するための物品移載装置4が装備されている。
【0059】
図7〜図9に基づいて、物品移載装置4の構成について説明する。図7は、物品移載装置4の平面図を示しており、図8は、走行車体2Aの走行方向に対して直交する移載方向視での物品移載装置4の側面図を示しており、図9は、移載方向に直交する方向視での物品移載装置4の側面図を示している。
【0060】
物品移載装置4は、搬送面が略水平に設定されたコンベヤ23を備えて、このコンベヤ23に載置した物品Bを自重移動式の傾斜収納部Tの搬送投入部WTに投入できるように構成され、正逆搬送コンベヤ5にて逆搬送状態で搬送される物品Bを投入部搬送投入部WTからからコンベヤ23に受け取り可能に構成されている。また、物品移載装置4は、コンベヤ23の外側部に、水平収納部Uに対する物品Bの出し入れや、物品入出庫コンベヤ3に対する物品Bの授受を行うために、物品Bを左右から挟持する一対の挟持体24を出退自在に備えている。
【0061】
前記物品移載装置4は、移載方向と直交する方向に接近離間自在で且つコンベヤ23側に引退させた引退位置と外部の移載対象箇所側に突出させた突出位置とに出退自在な一対の挟持体24と、一対の挟持体24を接近作動させて物品Bを両横から挟持する挟持状態と一対の挟持体24を離間作動させて物品Bに対する挟持を解除する解除状態とに切換自在な挟持状態切換手段25と、一対の挟持体24を引退位置と突出位置とに出退駆動させる出退駆動手段26とを備えて構成されている。そして、この物品移載装置4は、一対の挟持体24にて物品Bを両横から挟持して出退することにより、コンベヤ23と移載対象箇所との間で物品Bを移載するサイドクランプ式にて構成されている。
【0062】
前記コンベヤ23は、移載方向に対して左右両側に振り分けて配設した一対のフレーム27L、27Rに回転自在に支持された複数のローラ28を備えたローラコンベヤにて構成されている。図7に示すように、各ローラ28の右側端部(作業用棚1Aの作業者側から物品移載装置4を見た向きを基準にしている。)には受動歯輪29が一体的に設けられ、コンベヤ用電動モータ30の出力軸には駆動歯輪31が設けられている。そして、駆動歯輪31、各受動歯輪29、及び、案内歯輪32にわたって伝動チェーン33が掛けられている。
【0063】
前記コンベヤ用電動モータ30を回転駆動させると、伝動チェーン33が回転駆動されて複数のローラ28を回転駆動させ、物品Bを移載方向に搬送するように構成されている。そして、コンベヤ用電動モータ30を正転方向に回転駆動させることによって、物品Bを前方側の収納棚1の傾斜収納部Tの搬送投入部WTに投入するべく、移載方向に沿って押し出し搬送するように構成され、かつ、コンベヤ用電動モータ30を逆転方向に回転駆動させることによって、物品Bを前方側の収納棚1の傾斜収納部Tの搬送投入部WTから受け取るべく、移載方向に沿って引き込み搬送するように構成されている。
【0064】
前記一対の挟持体24は、互いに対向する内面にて物品Bの横側面を挟持する板状に形成されており、移載方向に対して左右両側に振り分けて配設された一対の可動体34に支持されている。そして、可動体34は、図9に示すように、挟持体24の被ガイド部を案内支持するガイド部34aを備えて、挟持体24を移載方向に出退自在に支持している。また、可動体34を支持する一対の支持台35が左右両側に振り分けられており、この一対の支持台35が、接近離間自在に設けられている。
【0065】
前記挟持状態切換手段25は、一対の挟持体24を接近作動及び離間作動させるべく、一対の支持台35を接近移動及び離間移動させる接近離間用電動モータ36を備え、一対の支持台35を接近移動させることにより可動体34と一体的に一対の挟持体24を接近作動させて物品Bを両横から挟持する挟持状態と、一対の支持台35を離間移動させることにより可動体34と一体的に一対の挟持体24を離間作動させて物品Bに対する挟持を解除する解除状態とに切り換えるように構成されている。
【0066】
前記支持台35は、移載方向の中央部分において移載方向と直交する方向に沿って配設されたガイドレール37にスライド移動自在に設けられている。図7に示すように、一対の支持台35の一方側には、接近離間用電動モータ36の出力軸に設けられた駆動輪体38が配設され、一対の支持台35の他方側には、受動輪体39が遊転自在に配設されている。そして、駆動輪体38と受動輪体39とにわたって無端伝導体40が掛けられており、この無端伝導体40の途中経路部分が、一対の支持台35の夫々に振り分けて連結されている。
【0067】
前記接近離間用電動モータ36を回転駆動させることによって、無端伝動体40を回転駆動させ、ガイドレール37にて支持案内して一対の支持台35を接近移動させる。このように一対の支持台35を接近移動させることによって、一対の挟持体24と一対の可動体34とを一体的に接近作動させて挟持状態に切り換える。また、接近離間用電動モータ36を逆方向に回転駆動させることによって、無端伝動体40を逆方向に回転駆動させ、ガイドレール37にて支持案内して一対の支持台35を離間移動させる。このように支持台35を離間移動させることによって、一対の挟持体24と一対の可動体34とを一体的に離間作動させて解除状態に切り換える。
【0068】
前記出退駆動手段26は、挟持体24を可動体34に対して突出移動及び引退移動させる出退用電動モータ41を備えて構成されている。前記出退用電動モータ41の出力軸には、図7及び図9に示すように、巻き掛け連動装置42を介して出退駆動軸43が連動連結されており、出退駆動軸43は、移載方向の中央部分において、移載方向と直交する方向に沿って一対の支持台35を貫通する状態で配設されている。
【0069】
前記出退駆動軸43は、支持台35の接近離間移動範囲に相当する部分がスプライン軸部にて構成され、一対の支持台35の夫々には、出退駆動軸43におけるスプライン軸部にスプライン嵌合された駆動歯輪44が回転自在に設けられている。一対の可動体34の夫々には、図9に示すように、その長手方向の両端部に受動歯輪45が遊転自在に設けられている。そして、駆動歯輪44、受動歯輪45、及び、案内歯輪46にわたって無端チェーン47が掛けられており、この無端チェーン47の途中経路部分が、挟持体24に連結されている。
【0070】
前記出退用電動モータ41を回転駆動させることによって、巻き掛け連動装置42及び出退駆動軸43を介して無端チェーン47を回転駆動させ、可動体34のガイド部34aにて案内支持して挟持体24を引退位置から突出位置に突出作動させる。また、出退用電動モータ41を逆方向に回転駆動させることによって、巻き掛け連動装置42及び出退駆動軸43を介して無端チェーン47を逆方向に回転駆動させ、可動体34のガイド部34aにて案内支持して挟持体24を突出位置から引退位置に引退作動させる。
【0071】
物品移載装置4の右フレーム27Rには、正逆搬送コンベヤ5の突起付きベルトコンベヤ5Bを回動させる動力を伝達するベルト駆動装置11が設けられている。
【0072】
ベルト駆動装置11は、ウレタン樹脂等を用いてローラ表面の摩擦係数が高くなるように構成された動力伝達ローラ12を備え、動力伝達ローラ12がベルトコンベヤ5Bの幅広ローラ9Wの駆動力入力部分9Dに当接して動力を伝達する当接位置と、当接しない離間位置とに亘って、位置切換え自在に構成されている。
【0073】
説明を加えると、コンベヤ23の動力を取り出すべく、作業用棚1A側の搬送端部に位置する端部ローラ28tの駆動軸を右フレーム27Rから外側に延出し、その端部にこの駆動軸と一体回転する駆動ギア13を設け、端部ローラ28tの回転駆動軸に対して相対回転自在な扇状の揺動板14を、右フレーム27Rの外側面に沿うように設けている。右フレーム27Rの下端には、揺動板14に設けられたラック部14rに噛み合うピニオンギア15を回転駆動させる揺動用電動モータ16がモータ取付ブラケット16Bを介して設けられている。
【0074】
揺動板14には、揺動半径外側寄りに、動力伝達ローラ12の回転駆動軸であるローラ支持軸17が回転自在に挿通され、揺動半径内側寄りに、第1中継ギア18及び第2中継ギア19を一体回転自在に支持する中間軸21が立設されている。そして、ローラ支持軸17には、第3中継ギア20が設けられており、ローラ支持軸17の第3中継ギア20が中間軸21の第2中継ギア19と噛み合うように構成されている。また、中間軸21の第1中継ギア18は、駆動ギア13と揺動無端チェーン22により連動連結されている。
【0075】
以上の構成により、端部ローラ28tがコンベヤ用電動モータ30により回転駆動されると、その駆動力により動力伝達ローラ12が反対向きの回転方向にて回転作動する。そして、動力伝達ローラ12は、コンベヤ23の作業用棚1A側の搬送端部に位置する端部ローラ23tの軸心周りにコンベヤ23の下方で当接位置と離間位置とに亘って揺動操作される。
【0076】
傾斜収納部Tに物品Bを投入する場合は、図11に示すように、傾斜収納部Tに対応した物品供給位置にスタッカークレーン2の走行車体2A及び昇降台2Bを位置させ、物品移載装置4のコンベヤ用電動モータ30を正転方向に回転駆動させればよい。
【0077】
これにより、コンベヤ23が押し出し方向に搬送作動し、物品Bが物品移載装置4から搬送投入部WTへ向かって略水平方向に搬送され、その後、物品Bが水平姿勢から傾斜姿勢に自重により変化して物品Bが正逆搬送コンベヤ5におけるフリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scに載置支持されると、物品Bの自重により正逆搬送コンベヤ5が正搬送状態で搬送作動して、搬送投入部WTから搬送下端部まで搬送面Sの傾斜下り方向に沿って搬送される。物品Bは、ストッパー48にて位置決めされ、搬送下端部に停止する。
【0078】
傾斜収納部Tに収納されている物品Bを回収する場合は、図12に示すように、傾斜収納部Tに対応した物品供給位置にスタッカークレーン2の走行車体2A及び昇降台2Bを位置させ、物品移載装置4の揺動用電動モータ16を作動させてベルト駆動装置11の動力伝達ローラ12を当接位置に切り換えてから、コンベヤ用電動モータ30を逆転方向に回転駆動させればよい。
【0079】
これにより、コンベヤ23が引き込み方向に搬送作動すると同時に、ベルト駆動装置11の動力伝達ローラ12にて、駆動力入力部分9Dから正逆搬送コンベヤ5における突起付きベルトコンベヤ5Bに動力が伝達され、正逆搬送コンベヤ5が逆搬送状態で搬送作動する。
【0080】
すなわち、駆動力入力部分9Dから入力された動力により、中立位置φnのコンベヤベルト10が回動する。コンベヤベルト10の回動に伴って、ストッパー48にて位置保持されて搬送下端部にてフリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scに載置支持され状態の物品Bの棚前面側の側面底部の左右2箇所に、コンベヤベルト10の左右一対の突起部6が当接する。コンベヤベルト10の回動が進行するに伴って、突起部6がフリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scよりも上側に突出したまま、搬送面Sの傾斜上り方向に移動する。これにより、物品Bは、フリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scに載置支持され状態で、かつ、棚前面側の側面底部の左右2箇所をベルトコンベヤ5Bの突起部6に系止された状態で、搬送下端部から搬送投入部WTまで搬送面Sの傾斜上り方向に沿って搬送される。
【0081】
物品Bが搬送投入部WTまで搬送されると、物品Bは自重により傾斜姿勢から水平姿勢に変化して物品Bが物品移載装置4におけるコンベヤ23に載置支持される状態となり、引き込み方向に搬送作動するコンベヤ23により略水平方向に搬送される。
【0082】
こうして、物品Bが傾斜収納部Tから回収されると、ベルト駆動装置11の動力伝達ローラ12が当接位置に切り換えられて、ベルトコンベヤ5Bに対する動力が入力されなくなるが、そのときのコンベヤベルト10の回動位相が中立位置φnから多少ずれていても、復帰可能位相範囲Zφ内であれば、コンベヤベルト10は自然と中立位置φnに復帰する。これにより、次に当該傾斜収納部Tに物品Bを投入するときに、コンベヤベルト10の突起部6と投入しようとする物品Bの底部とが干渉することがなく、次回の投入処理を円滑に行うことができる。
【0083】
なお、上述した物品Bの投入処理や回収処理においては、コンベヤ用電動モータ30や揺動用電動モータ16の作動は、物品Bの物品移載装置4における物品Bの位置を検出する各種センサや動作時間制限タイマなどを用いて図外の制御装置によって適切に制御される。
【0084】
以上のように、本実施形態のピッキング設備では、作業収納棚1Aに正逆搬送コンベヤ5を設けて、物品移載装置4にベルト伝動装置11を設けることで、スタッカークレーン2の構成をできるだけ変更することなく、傾斜収納部Tに収納されている物品Bを効率よくスタッカークレーン2に戻すことができるようになっている。
【0085】
そして、傾斜収納部Tに収納されている物品Bについての必要数の品物のピッキングが完了したことが完了指令スイッチ48bにて指令されると、傾斜収納部Tに収納されているピッキングが完了した物品Bと水平収納部Uに収納されている未作業のピッキングすべき物品Bとを入れ替えることを自動的に行うことができるので、ピッキング間口を数多く取らずに少めに設定して、ピッキング作業者が棚前面側でピッキングのために間口間を移動する範囲を狭くすることでピッキング作業者の作業効率を向上させることができる。
【0086】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0087】
(1)上記実施形態では、物品の横幅寸法については特に説明していないが、搬送手段にて搬送可能な横幅であればよく、複数の異なる横幅の物品を処理するものであってもよい。
【0088】
(2)上記実施形態では、物品搬送装置がスタッカークレーン2にて構成されたものを例示したが、これに限らず、例えば、物品搬送装置が昇降装置を備えた自走台車などでもよく、物品搬送装置の具体構成は適宜選択可能である。
【0089】
(3)上記実施形態では、物品収納部が収納棚の一部に設けられているものを例示したが、これに限らず、物品収納部が収納棚の全部に設けられているものであってもよい。
【0090】
(4)上記実施形態では、搬送手段が、正搬送状態において物品の自重により搬送作動するものを例示したが、これに代えて、搬送手段が、正搬送状態において、物品搬送装置から伝達される動力又は収納棚に設けた棚側駆動手段の動力により搬送作動するものであってもよい。
【0091】
(5)上記実施形態では、搬送手段が、逆搬送状態において物品搬送装置から伝達される動力により搬送作動するものを例示したが、これに代えて、搬送手段が、逆搬送状態において、収納棚に設けた棚側駆動手段の動力により搬送作動するものであってもよい。
【0092】
(6)上記実施形態では、物品搬送装置から駆動ローラとの摩擦により動力が伝達されるものを例示したが、これに限らず、例えば、物品搬送装置から駆動ギヤとの歯合により動力が伝達されるものであってよく、動力の伝達形態は種々変更可能である。
【0093】
(7)上記実施形態では、搬送手段が備える系止部が突起部であるものを例示したが、これに代えて、系止部がマグネットであるものであってもよい。
【0094】
(8)上記実施形態では、ベルトコンベヤが搬送幅方向に並べて設けられた左右一対のコンベヤベルトを備えて構成されたものを例示したが、これに代えて、ベルトコンベヤが単体のコンベヤベルトを備えて構成さえたものや、搬送幅方向に並ぶ三本以上のコンベヤベルトを備えて構成されたものであってもよい。
【0095】
(9)上記実施形態では、ベルトコンベヤに備えられたコンベヤベルトが自然復帰ベルトにて構成されたものを例示したが、これに限らず、コンベヤベルトが巻回方向の厚みが均一な通常のベルトにて構成されたものであってもよい。
【0096】
(10)上記実施形態では、ローラコンベヤがフリーローラコンベヤにて構成されたものを例示したが、これに限らず、ローラコンベヤが駆動ローラコンベヤにて構成されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】ピッキング設備の縦断側面図
【図2】ピッキング設備の横断平面図
【図3】正逆搬送コンベヤの斜視図
【図4】傾斜収納部の正面図
【図5】傾斜収納部の一部拡大側面図
【図6】コンベヤベルトの縦断断面図
【図7】物品移載装置の平面図
【図8】物品移載装置の一部拡大正面図
【図9】物品移載装置の縦断右側面図
【図10】物品投入処理の説明図
【図11】物品回収処理の説明図
【符号の説明】
【0098】
B 物品
S 搬送面
Sc 搬操作用面
T 物品収納部
WT 投入部
1A 物品収納棚
2 物品搬送装置
5 搬送手段
5A コーラコンベヤ
5B ベルトコンベヤ
6 系止部、突起部
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚前面側が下位となるように傾斜した搬送面にて物品を載置支持した状態で搬送する搬送手段を備えた物品収納部が配置された物品収納棚と前記物品収納棚の背面側において物品を搬送自在でかつ前記物品収納部における前記搬送面の上端側に位置する投入部から前記物品収納部に対して物品を受け渡し自在な物品搬送装置とが設けられている物品処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品処理設備は、例えば、物品搬送装置にて倉庫等から搬送され物品収納部に収納されたダンボールケースやバケット等の保管容器に納められた個別商品等を、作業者が物品収納棚の棚前面側から取り出すピッキング作業に用いられる。
【0003】
上記物品処理設備の従来例として、搬送手段が、物品搬送装置から受け渡された物品を傾斜下り方向にだけ搬送作動するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。ちなみに、特許文献1では、搬送手段がフリーローラコンベヤにて構成されており、搬送手段は物品の自重により搬送作動するようになっている。
【0004】
【特許文献1】実公昭61−41682号公報(図4及び図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の構成であると、搬送手段が、傾斜下り方向にだけ搬送作動するものであるから、一旦物品収納部の投入部に物品が投入されて物品が収納された状態となると、その物品を物品搬送装置に戻すことはできない。
【0006】
そのため、当該物品収納部に収納された物品を入れ替えるためには、棚前面側から作業者が物品を取り出すなどして当該物品収納部に収納された物品を人手により取り除かなければならない。
【0007】
そこで、従来から、上記のような物品の入替え作業を行わずに済むように、物品収納棚に物品収納部を多数配置して、処理(例えばピッキング作業)が発生する可能性のある全ての物品のそれぞれを各別に物品収納部に収納して、収納棚の前面側の作業者が必要に応じてそれらの物品に対する処理ができるようにしている。
【0008】
ところが、従来の物品処理設備では、上述のように、物品収納棚に多数の物品収納部を配置して処理対象物品を分散して収納することになるので、収納棚の前面側で作業する作業者にとっての作業対象範囲が広くなってしまい、物品処理時に多くの移動を伴うことで作業効率が低下するおそれがある。
【0009】
もっとも、物品収納部における物品を自動で入れ替えることができるように、物品搬送装置に、物品収納部に収納されている物品に保持作用する突出位置から保持した物品を物品搬送装置に位置させる引退位置まで出退作動自在な出退保持具を備えた引き寄せ装置により物品収納部に収納されている物品を回収することが考えられる。
【0010】
しかしながら、物品収納部に収納されている物品を上述のような引き寄せ装置にて物品搬送装置に引き寄せるためには、引退位置に位置する出退保持具を突出位置に突出させて物品を保持しなければならないので、例えば、搬送手段の搬送方向に並ぶ状態で同時に複数の物品を収納できるように、又は、ピッキング作業を行い易いよう収納されている物品ができるだけ作業者に近く位置するようにするために、搬送手段の搬送距離を棚前面側に向かって長くした場合には、物品収納部における物品の収納位置が投入部から斜め下方に離れることになり、引き寄せ装置の出退保持具を物品に保持作用させることが困難になる。このように、出退保持具を備えた引き寄せ装置を用いて物品収納部の物品を回収するものであると、搬送距離が長い搬送手段の下位側の端部に収納されている物品を回収することは困難である。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、搬送手段の搬送距離が長い物品収納部に収納されている物品を不都合なく回収することができる物品処理設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、本発明にかかる物品処理設備は、棚前面側が下位となるように傾斜した搬送面にて物品を載置支持した状態で物品を搬送する搬送手段を備えた物品収納部が配置された物品収納棚と前記物品収納棚の背面側において物品を搬送自在でかつ前記物品収納部における前記搬送面の上端側に位置する投入部から前記物品収納部に対して物品を受け渡し自在な物品搬送装置とが設けられているものであって、
その第1特徴構成は、前記搬送手段が、前記搬送面の傾斜下り方向に物品を搬送する正搬送状態と、前記搬送面の傾斜上り方向に物品を搬送する逆搬送状態とに切換え自在に構成され、前記物品搬送装置が、前記逆搬送状態で搬送される物品を前記投入部から受け取り可能に構成されている点にある。
【0013】
すなわち、搬送手段が、搬送面の傾斜下り方向に物品を搬送する正搬送状態と、搬送面の傾斜上り方向に物品を搬送する逆搬送状態とに切換え自在に構成されているので、搬送手段を逆搬送状態にて搬送作動させることで、物品搬送装置にて物品を直接保持することなく、物品収納部に収納されている物品をその物品収納部の投入部まで移動させることができる。
【0014】
したがって、搬送手段の搬送距離が長い物品収納部に物品が収納されていても、物品をその搬送距離に対応した量だけ搬送手段を逆搬送状態で搬送作動させることで、物品をその物品収納部の投入部まで移動させることができる。
【0015】
そして、物品搬送装置が、逆搬送状態で搬送される物品を投入部から受け取り可能に構成されているので、逆搬送状態で搬送作動する搬送手段にて投入部まで搬送された物品を物品搬送装置が受け取って、当該物品を物品搬送装置に回収することができる。
【0016】
このように、本発明の第1特徴構成によると、搬送手段の搬送距離が長い物品収納部に収納されている物品を不都合なく回収することができる物品処理設備を得るに至った。
【0017】
本発明にかかる物品処理設備の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記搬送手段が、前記正搬送状態において、物品の自重により搬送作動するように構成されている点にある。
【0018】
すなわち、物品が物品搬送装置にて投入部に受け渡されると、搬送手段に物品の自重が掛かり、搬送手段が正搬送状態で搬送作動するので、搬送手段を搬送作動させる電力等を利用した駆動手段を設けずに済むので構成の簡素化や省エネルギー化を図ることができる。
【0019】
本発明にかかる物品処理設備の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、前記搬送手段が、前記逆搬送状態において、前記物品搬送装置から伝達される動力により搬送作動するように構成されている点にある。
【0020】
すなわち、搬送手段は、物品搬送装置から伝達される動力により逆搬送状態にて搬送作動するので、物品収納棚側に搬送手段を逆搬送状態で搬送作動させるための動力源を設けずに済む。したがって、物品収納棚の構成の簡素化を図ることができる。
【0021】
特に、搬送手段が、正搬送状態において、物品の自重により搬送作動するように構成されている場合には、物品収納棚側に搬送手段を搬送作動させるための動力源を全く設けずに、正搬送状態及び逆搬送状態の双方で搬送作動させることができる。
【0022】
また、物品収納棚に物品収納部が複数配置される場合には、各物品収納部の搬送手段が物品搬送装置から伝達される動力により搬送作動するので、各物品収納部の搬送手段ごとに動力源を設けたり、各物品収納部の搬送手段に対して動力を分配伝達する手段を設けずに済むので、物品収納棚の構成の簡素化が一層顕著になる。
【0023】
本発明にかかる物品処理設備の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれかにおいて、前記搬送手段が、前記搬送面にて載置支持されている物品の傾斜下り方向への移動を規制する系止部を備え、前記逆搬送状態において、前記系止部がように構成されている点にある。
【0024】
すなわち、系止部が、搬送面にて載置支持されている物品の傾斜下り方向への移動を規制するので、棚前面側が下位となるように搬送面が傾斜していても、搬送面に載置支持されている物品を傾斜下り方向である棚前面側へ移動させないようにすることができる。
【0025】
そして、系止部が傾斜上り方向に移動するに伴って搬送面の傾斜上り方向に物品を搬送するので、搬送面に載置支持された物品は、棚前面側への移動が規制された状態で、棚前面側から背面側に向かって搬送される。
【0026】
このように、本発明の第4特徴構成によると、棚前面側が下位となるように傾斜した搬送面に載置支持された物品を、棚前面側から背面側に向かって確実に搬送することができる。
【0027】
本発明にかかる物品処理設備の第5特徴構成は、第4特徴構成において、前記搬送手段が、ベルトコンベヤ及びローラコンベヤを搬送幅方向に並べて構成され、前記ベルトコンベヤが、その巻回経路が前記ローラコンベヤの搬送作用面よりも側面視で下方に位置するように巻回され、かつ、前記逆搬送状態において前記ローラコンベヤの前記搬送作用面よりも側面視で上方側に突出する突起部を前記系止部として備えて構成されている点にある。
【0028】
すなわち、ベルトコンベヤの巻回経路がローラコンベヤの搬送作用面よりも側面視で下方に位置するように巻回されているので、搬送手段の搬送面は、ローラコンベヤの搬送作用面にて形成され、搬送作用面は、棚前面側が下位となるように傾斜したものとなる。したがって、物品が投入部にて受け渡されると、その物品はローラコンベヤに載置支持された状態となり、ローラコンベヤを正搬送状態にて搬送作動させることで、当該物品は底面がベルトコンベヤの上部巻回経路部分と接触することなく、物品収納棚の背面側から棚前面側に円滑に搬送される。
【0029】
なお、ローラコンベヤが正搬送状態で物品を搬送する間は、ベルトコンベヤの突起部を、ローラコンベヤの搬送作用面の上方側に突出しない位置、例えば、ベルトコンベヤの巻回経路の傾斜下位側端部又は傾斜上位側端部若しくは下部側経路部分のいずれかの箇所に位置させておけばよい。
【0030】
一方、ベルトコンベヤには、ローラコンベヤの搬送作用面よりも側面視で上方側に突出する突起部を系止部として備えているので、ベルトコンベヤを逆搬送方向に設定された回転方向に回転駆動することで、この突起部をローラコンベヤの搬送作用面から突出させた状態を維持しながら搬送面に沿って傾斜上り方向に移動させることができる。したがって、ローラコンベヤの搬送作用面に載置支持された物品は逆搬送状態にて棚前面側から背面側に搬送される。
【0031】
なお、ベルトコンベヤを回転駆動するための駆動力を物品搬送装置から伝達されるように構成する場合、ベルトコンベヤの棚背面側の端部に駆動力を入力すればベルトコンベヤ全体を駆動させることができるので、物品搬送装置から近い位置に対して駆動力を入力すれば済むことになり、物品搬送装置に設けるべき駆動力伝達機構の構成をコンパクトに構成することができる。
【0032】
また、ベルトコンベヤ及びローラコンベヤが搬送幅方向に並べられるので、搬送手段は搬送幅方向に正搬送用部分と逆搬送用部分とが振り分け配置されることになるので、搬送手段の搬送方向の横幅を極力拡大することなく、正搬送状態及び逆搬送状態による搬送作動を行うことができ、従来のように傾斜下り方向にだけ物品を搬送する搬送装置を備えた物品収納部の幅方向の寸法との共通化を図ることができ、本発明における物品収納棚の汎用性を極力維持することができる。
【0033】
このように、本発明の第5特徴構成によると、本発明の好適な実施形態を得るに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、物品処理設備としてのピッキング設備には、前後一対の収納棚1が間隔を隔てて設けられ、それらの収納棚1の間に、スタッカークレーン2が配置されている。
【0035】
前後一対の収納棚1のうち前方側の収納棚1における下方側部分に、ピッキング作業者がピッキング作業をする物品Bを作業者側が下位となるような傾斜状態で収納する傾斜収納部Tを棚横幅方向に複数個並べ且つ上下方向に3段に並べる状態で備える作業用棚1Aが構成されている。
【0036】
前後一対の収納棚1のうちの前記作業用棚1Aが装備される箇所以外の部分には、作業用棚1Aに供給する物品Bを略水平状態で収納する水平収納部Uが、棚横幅方向及び上下方向に複数並置する状態で備えられている。
【0037】
そして、前記スタッカークレーン2が、物品入出庫コンベヤ3から供給される物品Bを収納棚1に収納することになり、また、スタッカークレーン2は、作業用棚1Aの背面側において物品Bを搬送自在に配備されて、各傾斜収納部Tに対する物品供給位置に移動して傾斜収納部Tの上端側に位置する搬送投入部WTから傾斜収納部Tに対して物品Bを受け渡し自在な物品搬送装置として機能するようになっている。
【0038】
また、スタッカークレーン2は傾斜収納部Tに物品Bを投入する投入処理及び傾斜収納部Tから物品Bを回収する回収処理並びに水平収納部Uに物品Bを移載する卸し処理及び水平収納部Uから物品Bを移載する掬い処理を行って、ピッキング対象の品物が入った物品Bを水平収納部Uから移載して傾斜収納部Tに投入し、また、必要数の品物のピッキングが完了した物品Bを傾斜収納部Tから回収して水平収納部Uに移載することを、ピッキング作業の進捗に応じて適宜行うようになっている。
【0039】
なお、前記物品Bは、ダンボール箱やブラスチック製バケット等のケース内に各種の品物を収納する形態となっている。
【0040】
傾斜収納部Tには、ピッキング作業エリアが位置する棚前面側が下位となるように傾斜した搬送面Sにて物品Bを載置支持した状態で物品Bを搬送する搬送手段としての正逆搬送コンベヤ5が備えられている。
【0041】
各傾斜収納部Tに備えられた正逆搬送コンベヤ5は、図3及び図4に示すように、作業用棚1Aの背面側の搬送投入部WTから投入された物品Bを棚前面側の搬送下端部に向かって傾斜下り方向に自重移動させるフリーローラコンベヤ5Aと、棚前面側の搬送下端部から背面側の搬送投入部WTに向かって傾斜上り方向に系止搬送する突起部付きベルトコンベヤ5Bとが搬送幅方向に並べて構成されている。図4は、棚前面側から傾斜上り方向を臨む正逆搬送コンベヤ5の縦断正面図である。
【0042】
そして、搬送投入部WTから物品Bが投入されると、物品Bの自重によりフリーローラコンベヤ5Aが搬送作動して、物品Bが搬送面Sの傾斜下り方向に搬送される。また、詳しくは後述するが、傾斜収納部Tに対する物品供給位置に位置するスタッカークレーン2から伝達される動力によりベルトコンベヤ5Bが搬送作動して、物品Bが搬送面Sの傾斜上り方向に搬送される。
【0043】
このように、正逆搬送コンベヤ5は、物品Bを搬送面Sの傾斜下り方向に物品を搬送する正搬送状態と、物品Bを搬送面Sの傾斜上り方向に物品Bを搬送する逆搬送状態とに切換え自在に構成されている。
【0044】
また、前記ベルトコンベヤ5Bは、その巻回経路がフリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scよりも側面視で下方に位置するように巻回され、かつ、逆搬送状態において前記フリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scよりも側面視で上方側に突出する突起部6を備えて構成されている。
【0045】
以下、正逆搬送コンベヤ5の構成について説明を加える。フリーローラコンベヤ5Aは、正逆搬送コンベヤ5の搬送面Sに沿って略等間隔に配置された複数のローラ支持軸7を備え、これらの複数のローラ支持軸7にて、横軸心周りに遊転自由な回転ローラ8が相対回転自在に支持されている。回転ローラ8は、ローラ支持軸7の左端部側部分7Lにて遊転自在に支持される左端部ローラ8L、右端部側部分7Rにて遊転自在に支持される右端部ローラ8R、及び、中間部分7Mに位置する中間部ローラ8Mが、搬送幅方向に隙間D2を開けて並べて構成されている。なお、回転ローラ8同士の搬送幅方向の隙間D2は、ベルトコンベヤ5Bの搬送幅Tbに対応する長さとなっている。
【0046】
傾斜搬送面Sの上端及び下端に位置する上端ローラ支持軸7T及び下端ローラ支持軸7Bには、コンベヤベルト巻回用のローラ9(以下、ベルト巻回用ローラ9という。)がローラ支持軸7と一体回転自在に設けられている。ベルト巻回用ローラ9は、上端ローラ支持軸7T及び下端ローラ支持軸7Bにおける、左端部ローラ8Lと中間部ローラ8Mとの隙間、及び、右端部ローラ8R及び中間部ローラ8Mとの隙間に位置している。つまり、ベルトコンベヤ5Bは左右一対のベルトコンベヤからなり、これらは、中間部ローラ8Mの長さだけ間隔を隔てて設置されている。
【0047】
ベルト巻回用ローラ9の幅は、上端ローラ支持軸7Tの右端部側部分7Rに位置する駆動力入力用ローラを兼ねる幅広ローラ9W以外は、コンベヤベルト10の幅に対応した幅となっている。幅広ローラ9Wは、スタッカークレーン2の物品移載装置4が備えるベルト駆動装置11により駆動力が入力される駆動力入力部分9Dの幅だけ、他のベルト巻回用ローラ9の幅よりも幅広となっている。
【0048】
ベルト巻回用ローラの直径R9は、回転ローラ8の直径R8より小さく構成してあり、これらのベルト巻回用ローラ9にベルトコンベヤ5Bのコンベヤベルト10が巻回されて、コンベヤベルト10の巻回上側部分のベルト外側表面10sは、フリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scよりも側面視で距離D1だけ下方に位置するようになっている。
【0049】
コンベヤベルト10は、公知の自然復帰ベルトにて構成されている。自然復帰ベルトは、樹脂等の弾性素材にてリング状に形成される無端ベルト本体を巻回経路方向の位置によって異なる厚みに厚肉成形する等して、巻回経路方向でのベルトの弾性係数を敢えて不均一に構成することで、張力のバランスが取れる巻回位置(以下、中立位置φnという)に自然復帰するように構成したものである。
【0050】
つまり、コンベヤベルト10は、図6に示すように、各一対の肉厚部分10aと肉薄部分10bとを巻回方向で交互に並べて形成されている。巻回周方向に沿った肉厚部分10aの長さLaは、上端ローラ支持軸7T及び下端ローラ支持軸7Bの設置間隔Ltbに対応させた長さとなっており、巻回周方向に沿った肉薄部分10bの長さLbは、ベルト巻回用ローラ9の外周長L9の半分の長さに対応した長さである。
【0051】
そして、コンベヤベルト10の巻回全周長の半分の距離を隔てて巻回全周長を二等分する対向二箇所、より具体的には、各肉薄部分10bにおける巻回周方向で中心箇所に、ベルト幅方向に沿った桟状の突起部6が、巻回外向きに突出する状態で一体形成により一対だけ設けられている。
【0052】
そして、コンベヤベルト10は自然復帰ベルトにて構成されているので、コンベヤベルト10を回動させる外力がなくても、中立位置φnを中心に正逆方向に略等量の幅を持つ復帰可能位相範囲Zφ内の位相から中立位置φnになるように回動し、中立位置φnにて位置保持するようになっている。したがって、後述するように、スタッカークレーン2の物品移載装置4に備えられた出退式のベルト駆動装置11から伝達される回動力にてコンベヤベルト10を復帰可能位相範囲Zφ内の中立位置φn付近の位相まで回転駆動した後は、ベルト駆動装置11からの動力を伝達しなくても、コンベヤベルト10が中立位置φn付近から図6示す中立位置φnに回動するようになっている。
【0053】
突起部6のベルト外側表面10sからの突出量D3は、コンベヤベルト10の巻回上側部分のベルト外側表面10sとフリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scとの側面視の距離D1よりも長いので、図5に示すように、突起部6が巻回経路の上側部分に位置していると、突起部6の先端部分が搬送作用面Scよりも上方側に突き出た状態となって、フリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scにて載置支持されている物品Bの棚前面側の側面の下部に突起部6の先端部が当接して、物品Bが正逆搬送コンベヤ5の搬送面Sに沿って傾斜下り方向へ移動することが規制される。つまり、突起部6は、系止部として機能する。
【0054】
突起部6はベルトコンベヤ5Bに一体形成により設けられているので、中立位置φnのベルトコンベヤ5Bを図6の側面視で時計回りに巻回作動させることで、図5に示すように、突起部6を巻回経路の上側部分に移動させ、さらに、巻回経路の上側部分において搬送面Sの傾斜上り方向に移動させることができる。これにより、突起部6が物品Bの棚前面側の底部側部分に当接した状態を維持しながら、物品Bを搬送面Sの傾斜上り方向に搬送することができるようになっている。
【0055】
このように、正逆搬送コンベヤ5は、逆搬送状態において、突起部6が搬送面Sの傾斜上り方向に移動するに伴って搬送面Sの傾斜上り方向に物品を搬送するように構成されている。
【0056】
前記作業用棚1Aの前方側には、物品収集用のケースKを搬送する物品収集用コンベヤCが設けられ、各棚部分Tの下端部には、図3に示すように、物品Bの滑落を防止するストッパー48が設けられている。ストッパー48には、ベルトコンベヤ5Bの一対のコンベヤベルト10の設置間隔に対応させて溝部48gが一対形成されており、ベルトコンベヤ5Bのコンベヤベルト10が回動する場合に、突起部6が溝部48gを通過することでストッパー48に接触することがないようになっている。
【0057】
ストッパー48の棚前面側の端面には、棚前面側でピッキング作業を行う作業者に対してケースK内に投入する物品数量を数値表示する数値表示部49a、当該作業者が必要数の物品の投入が完了したことを指令する完了指令スイッチ49bを備える表示部49が設けられている。
【0058】
前記スタッカークレーン2は、走行車体2Aに左右一対の昇降マスト2Cに沿って昇降自在な昇降台2Bを備えて構成されているものであり、昇降台2Bには、移載対象箇所との間で物品Bを授受するための物品移載装置4が装備されている。
【0059】
図7〜図9に基づいて、物品移載装置4の構成について説明する。図7は、物品移載装置4の平面図を示しており、図8は、走行車体2Aの走行方向に対して直交する移載方向視での物品移載装置4の側面図を示しており、図9は、移載方向に直交する方向視での物品移載装置4の側面図を示している。
【0060】
物品移載装置4は、搬送面が略水平に設定されたコンベヤ23を備えて、このコンベヤ23に載置した物品Bを自重移動式の傾斜収納部Tの搬送投入部WTに投入できるように構成され、正逆搬送コンベヤ5にて逆搬送状態で搬送される物品Bを投入部搬送投入部WTからからコンベヤ23に受け取り可能に構成されている。また、物品移載装置4は、コンベヤ23の外側部に、水平収納部Uに対する物品Bの出し入れや、物品入出庫コンベヤ3に対する物品Bの授受を行うために、物品Bを左右から挟持する一対の挟持体24を出退自在に備えている。
【0061】
前記物品移載装置4は、移載方向と直交する方向に接近離間自在で且つコンベヤ23側に引退させた引退位置と外部の移載対象箇所側に突出させた突出位置とに出退自在な一対の挟持体24と、一対の挟持体24を接近作動させて物品Bを両横から挟持する挟持状態と一対の挟持体24を離間作動させて物品Bに対する挟持を解除する解除状態とに切換自在な挟持状態切換手段25と、一対の挟持体24を引退位置と突出位置とに出退駆動させる出退駆動手段26とを備えて構成されている。そして、この物品移載装置4は、一対の挟持体24にて物品Bを両横から挟持して出退することにより、コンベヤ23と移載対象箇所との間で物品Bを移載するサイドクランプ式にて構成されている。
【0062】
前記コンベヤ23は、移載方向に対して左右両側に振り分けて配設した一対のフレーム27L、27Rに回転自在に支持された複数のローラ28を備えたローラコンベヤにて構成されている。図7に示すように、各ローラ28の右側端部(作業用棚1Aの作業者側から物品移載装置4を見た向きを基準にしている。)には受動歯輪29が一体的に設けられ、コンベヤ用電動モータ30の出力軸には駆動歯輪31が設けられている。そして、駆動歯輪31、各受動歯輪29、及び、案内歯輪32にわたって伝動チェーン33が掛けられている。
【0063】
前記コンベヤ用電動モータ30を回転駆動させると、伝動チェーン33が回転駆動されて複数のローラ28を回転駆動させ、物品Bを移載方向に搬送するように構成されている。そして、コンベヤ用電動モータ30を正転方向に回転駆動させることによって、物品Bを前方側の収納棚1の傾斜収納部Tの搬送投入部WTに投入するべく、移載方向に沿って押し出し搬送するように構成され、かつ、コンベヤ用電動モータ30を逆転方向に回転駆動させることによって、物品Bを前方側の収納棚1の傾斜収納部Tの搬送投入部WTから受け取るべく、移載方向に沿って引き込み搬送するように構成されている。
【0064】
前記一対の挟持体24は、互いに対向する内面にて物品Bの横側面を挟持する板状に形成されており、移載方向に対して左右両側に振り分けて配設された一対の可動体34に支持されている。そして、可動体34は、図9に示すように、挟持体24の被ガイド部を案内支持するガイド部34aを備えて、挟持体24を移載方向に出退自在に支持している。また、可動体34を支持する一対の支持台35が左右両側に振り分けられており、この一対の支持台35が、接近離間自在に設けられている。
【0065】
前記挟持状態切換手段25は、一対の挟持体24を接近作動及び離間作動させるべく、一対の支持台35を接近移動及び離間移動させる接近離間用電動モータ36を備え、一対の支持台35を接近移動させることにより可動体34と一体的に一対の挟持体24を接近作動させて物品Bを両横から挟持する挟持状態と、一対の支持台35を離間移動させることにより可動体34と一体的に一対の挟持体24を離間作動させて物品Bに対する挟持を解除する解除状態とに切り換えるように構成されている。
【0066】
前記支持台35は、移載方向の中央部分において移載方向と直交する方向に沿って配設されたガイドレール37にスライド移動自在に設けられている。図7に示すように、一対の支持台35の一方側には、接近離間用電動モータ36の出力軸に設けられた駆動輪体38が配設され、一対の支持台35の他方側には、受動輪体39が遊転自在に配設されている。そして、駆動輪体38と受動輪体39とにわたって無端伝導体40が掛けられており、この無端伝導体40の途中経路部分が、一対の支持台35の夫々に振り分けて連結されている。
【0067】
前記接近離間用電動モータ36を回転駆動させることによって、無端伝動体40を回転駆動させ、ガイドレール37にて支持案内して一対の支持台35を接近移動させる。このように一対の支持台35を接近移動させることによって、一対の挟持体24と一対の可動体34とを一体的に接近作動させて挟持状態に切り換える。また、接近離間用電動モータ36を逆方向に回転駆動させることによって、無端伝動体40を逆方向に回転駆動させ、ガイドレール37にて支持案内して一対の支持台35を離間移動させる。このように支持台35を離間移動させることによって、一対の挟持体24と一対の可動体34とを一体的に離間作動させて解除状態に切り換える。
【0068】
前記出退駆動手段26は、挟持体24を可動体34に対して突出移動及び引退移動させる出退用電動モータ41を備えて構成されている。前記出退用電動モータ41の出力軸には、図7及び図9に示すように、巻き掛け連動装置42を介して出退駆動軸43が連動連結されており、出退駆動軸43は、移載方向の中央部分において、移載方向と直交する方向に沿って一対の支持台35を貫通する状態で配設されている。
【0069】
前記出退駆動軸43は、支持台35の接近離間移動範囲に相当する部分がスプライン軸部にて構成され、一対の支持台35の夫々には、出退駆動軸43におけるスプライン軸部にスプライン嵌合された駆動歯輪44が回転自在に設けられている。一対の可動体34の夫々には、図9に示すように、その長手方向の両端部に受動歯輪45が遊転自在に設けられている。そして、駆動歯輪44、受動歯輪45、及び、案内歯輪46にわたって無端チェーン47が掛けられており、この無端チェーン47の途中経路部分が、挟持体24に連結されている。
【0070】
前記出退用電動モータ41を回転駆動させることによって、巻き掛け連動装置42及び出退駆動軸43を介して無端チェーン47を回転駆動させ、可動体34のガイド部34aにて案内支持して挟持体24を引退位置から突出位置に突出作動させる。また、出退用電動モータ41を逆方向に回転駆動させることによって、巻き掛け連動装置42及び出退駆動軸43を介して無端チェーン47を逆方向に回転駆動させ、可動体34のガイド部34aにて案内支持して挟持体24を突出位置から引退位置に引退作動させる。
【0071】
物品移載装置4の右フレーム27Rには、正逆搬送コンベヤ5の突起付きベルトコンベヤ5Bを回動させる動力を伝達するベルト駆動装置11が設けられている。
【0072】
ベルト駆動装置11は、ウレタン樹脂等を用いてローラ表面の摩擦係数が高くなるように構成された動力伝達ローラ12を備え、動力伝達ローラ12がベルトコンベヤ5Bの幅広ローラ9Wの駆動力入力部分9Dに当接して動力を伝達する当接位置と、当接しない離間位置とに亘って、位置切換え自在に構成されている。
【0073】
説明を加えると、コンベヤ23の動力を取り出すべく、作業用棚1A側の搬送端部に位置する端部ローラ28tの駆動軸を右フレーム27Rから外側に延出し、その端部にこの駆動軸と一体回転する駆動ギア13を設け、端部ローラ28tの回転駆動軸に対して相対回転自在な扇状の揺動板14を、右フレーム27Rの外側面に沿うように設けている。右フレーム27Rの下端には、揺動板14に設けられたラック部14rに噛み合うピニオンギア15を回転駆動させる揺動用電動モータ16がモータ取付ブラケット16Bを介して設けられている。
【0074】
揺動板14には、揺動半径外側寄りに、動力伝達ローラ12の回転駆動軸であるローラ支持軸17が回転自在に挿通され、揺動半径内側寄りに、第1中継ギア18及び第2中継ギア19を一体回転自在に支持する中間軸21が立設されている。そして、ローラ支持軸17には、第3中継ギア20が設けられており、ローラ支持軸17の第3中継ギア20が中間軸21の第2中継ギア19と噛み合うように構成されている。また、中間軸21の第1中継ギア18は、駆動ギア13と揺動無端チェーン22により連動連結されている。
【0075】
以上の構成により、端部ローラ28tがコンベヤ用電動モータ30により回転駆動されると、その駆動力により動力伝達ローラ12が反対向きの回転方向にて回転作動する。そして、動力伝達ローラ12は、コンベヤ23の作業用棚1A側の搬送端部に位置する端部ローラ23tの軸心周りにコンベヤ23の下方で当接位置と離間位置とに亘って揺動操作される。
【0076】
傾斜収納部Tに物品Bを投入する場合は、図11に示すように、傾斜収納部Tに対応した物品供給位置にスタッカークレーン2の走行車体2A及び昇降台2Bを位置させ、物品移載装置4のコンベヤ用電動モータ30を正転方向に回転駆動させればよい。
【0077】
これにより、コンベヤ23が押し出し方向に搬送作動し、物品Bが物品移載装置4から搬送投入部WTへ向かって略水平方向に搬送され、その後、物品Bが水平姿勢から傾斜姿勢に自重により変化して物品Bが正逆搬送コンベヤ5におけるフリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scに載置支持されると、物品Bの自重により正逆搬送コンベヤ5が正搬送状態で搬送作動して、搬送投入部WTから搬送下端部まで搬送面Sの傾斜下り方向に沿って搬送される。物品Bは、ストッパー48にて位置決めされ、搬送下端部に停止する。
【0078】
傾斜収納部Tに収納されている物品Bを回収する場合は、図12に示すように、傾斜収納部Tに対応した物品供給位置にスタッカークレーン2の走行車体2A及び昇降台2Bを位置させ、物品移載装置4の揺動用電動モータ16を作動させてベルト駆動装置11の動力伝達ローラ12を当接位置に切り換えてから、コンベヤ用電動モータ30を逆転方向に回転駆動させればよい。
【0079】
これにより、コンベヤ23が引き込み方向に搬送作動すると同時に、ベルト駆動装置11の動力伝達ローラ12にて、駆動力入力部分9Dから正逆搬送コンベヤ5における突起付きベルトコンベヤ5Bに動力が伝達され、正逆搬送コンベヤ5が逆搬送状態で搬送作動する。
【0080】
すなわち、駆動力入力部分9Dから入力された動力により、中立位置φnのコンベヤベルト10が回動する。コンベヤベルト10の回動に伴って、ストッパー48にて位置保持されて搬送下端部にてフリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scに載置支持され状態の物品Bの棚前面側の側面底部の左右2箇所に、コンベヤベルト10の左右一対の突起部6が当接する。コンベヤベルト10の回動が進行するに伴って、突起部6がフリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scよりも上側に突出したまま、搬送面Sの傾斜上り方向に移動する。これにより、物品Bは、フリーローラコンベヤ5Aの搬送作用面Scに載置支持され状態で、かつ、棚前面側の側面底部の左右2箇所をベルトコンベヤ5Bの突起部6に系止された状態で、搬送下端部から搬送投入部WTまで搬送面Sの傾斜上り方向に沿って搬送される。
【0081】
物品Bが搬送投入部WTまで搬送されると、物品Bは自重により傾斜姿勢から水平姿勢に変化して物品Bが物品移載装置4におけるコンベヤ23に載置支持される状態となり、引き込み方向に搬送作動するコンベヤ23により略水平方向に搬送される。
【0082】
こうして、物品Bが傾斜収納部Tから回収されると、ベルト駆動装置11の動力伝達ローラ12が当接位置に切り換えられて、ベルトコンベヤ5Bに対する動力が入力されなくなるが、そのときのコンベヤベルト10の回動位相が中立位置φnから多少ずれていても、復帰可能位相範囲Zφ内であれば、コンベヤベルト10は自然と中立位置φnに復帰する。これにより、次に当該傾斜収納部Tに物品Bを投入するときに、コンベヤベルト10の突起部6と投入しようとする物品Bの底部とが干渉することがなく、次回の投入処理を円滑に行うことができる。
【0083】
なお、上述した物品Bの投入処理や回収処理においては、コンベヤ用電動モータ30や揺動用電動モータ16の作動は、物品Bの物品移載装置4における物品Bの位置を検出する各種センサや動作時間制限タイマなどを用いて図外の制御装置によって適切に制御される。
【0084】
以上のように、本実施形態のピッキング設備では、作業収納棚1Aに正逆搬送コンベヤ5を設けて、物品移載装置4にベルト伝動装置11を設けることで、スタッカークレーン2の構成をできるだけ変更することなく、傾斜収納部Tに収納されている物品Bを効率よくスタッカークレーン2に戻すことができるようになっている。
【0085】
そして、傾斜収納部Tに収納されている物品Bについての必要数の品物のピッキングが完了したことが完了指令スイッチ48bにて指令されると、傾斜収納部Tに収納されているピッキングが完了した物品Bと水平収納部Uに収納されている未作業のピッキングすべき物品Bとを入れ替えることを自動的に行うことができるので、ピッキング間口を数多く取らずに少めに設定して、ピッキング作業者が棚前面側でピッキングのために間口間を移動する範囲を狭くすることでピッキング作業者の作業効率を向上させることができる。
【0086】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0087】
(1)上記実施形態では、物品の横幅寸法については特に説明していないが、搬送手段にて搬送可能な横幅であればよく、複数の異なる横幅の物品を処理するものであってもよい。
【0088】
(2)上記実施形態では、物品搬送装置がスタッカークレーン2にて構成されたものを例示したが、これに限らず、例えば、物品搬送装置が昇降装置を備えた自走台車などでもよく、物品搬送装置の具体構成は適宜選択可能である。
【0089】
(3)上記実施形態では、物品収納部が収納棚の一部に設けられているものを例示したが、これに限らず、物品収納部が収納棚の全部に設けられているものであってもよい。
【0090】
(4)上記実施形態では、搬送手段が、正搬送状態において物品の自重により搬送作動するものを例示したが、これに代えて、搬送手段が、正搬送状態において、物品搬送装置から伝達される動力又は収納棚に設けた棚側駆動手段の動力により搬送作動するものであってもよい。
【0091】
(5)上記実施形態では、搬送手段が、逆搬送状態において物品搬送装置から伝達される動力により搬送作動するものを例示したが、これに代えて、搬送手段が、逆搬送状態において、収納棚に設けた棚側駆動手段の動力により搬送作動するものであってもよい。
【0092】
(6)上記実施形態では、物品搬送装置から駆動ローラとの摩擦により動力が伝達されるものを例示したが、これに限らず、例えば、物品搬送装置から駆動ギヤとの歯合により動力が伝達されるものであってよく、動力の伝達形態は種々変更可能である。
【0093】
(7)上記実施形態では、搬送手段が備える系止部が突起部であるものを例示したが、これに代えて、系止部がマグネットであるものであってもよい。
【0094】
(8)上記実施形態では、ベルトコンベヤが搬送幅方向に並べて設けられた左右一対のコンベヤベルトを備えて構成されたものを例示したが、これに代えて、ベルトコンベヤが単体のコンベヤベルトを備えて構成さえたものや、搬送幅方向に並ぶ三本以上のコンベヤベルトを備えて構成されたものであってもよい。
【0095】
(9)上記実施形態では、ベルトコンベヤに備えられたコンベヤベルトが自然復帰ベルトにて構成されたものを例示したが、これに限らず、コンベヤベルトが巻回方向の厚みが均一な通常のベルトにて構成されたものであってもよい。
【0096】
(10)上記実施形態では、ローラコンベヤがフリーローラコンベヤにて構成されたものを例示したが、これに限らず、ローラコンベヤが駆動ローラコンベヤにて構成されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】ピッキング設備の縦断側面図
【図2】ピッキング設備の横断平面図
【図3】正逆搬送コンベヤの斜視図
【図4】傾斜収納部の正面図
【図5】傾斜収納部の一部拡大側面図
【図6】コンベヤベルトの縦断断面図
【図7】物品移載装置の平面図
【図8】物品移載装置の一部拡大正面図
【図9】物品移載装置の縦断右側面図
【図10】物品投入処理の説明図
【図11】物品回収処理の説明図
【符号の説明】
【0098】
B 物品
S 搬送面
Sc 搬操作用面
T 物品収納部
WT 投入部
1A 物品収納棚
2 物品搬送装置
5 搬送手段
5A コーラコンベヤ
5B ベルトコンベヤ
6 系止部、突起部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚前面側が下位となるように傾斜した搬送面にて物品を載置支持した状態で物品を搬送する搬送手段を備えた物品収納部が配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の背面側において物品を搬送自在でかつ前記物品収納部における前記搬送面の上端側に位置する投入部から前記物品収納部に対して物品を受け渡し自在な物品搬送装置とが設けられている物品処理設備であって、
前記搬送手段が、前記搬送面の傾斜下り方向に物品を搬送する正搬送状態と、前記搬送面の傾斜上り方向に物品を搬送する逆搬送状態とに切換え自在に構成され、
前記物品搬送装置が、前記逆搬送状態で搬送される物品を前記投入部から受け取り可能に構成されている物品処理設備。
【請求項2】
前記搬送手段が、前記正搬送状態において、物品の自重により搬送作動するように構成されている請求項1記載の物品処理設備。
【請求項3】
前記搬送手段が、前記逆搬送状態において、前記物品搬送装置から伝達される動力により搬送作動するように構成されている請求項1又は2記載の物品処理設備。
【請求項4】
前記搬送手段が、前記搬送面にて載置支持されている物品の傾斜下り方向への移動を規制する系止部を備え、前記逆搬送状態において、前記系止部が傾斜上り方向に移動するに伴って前記搬送面の傾斜上り方向に物品を搬送するように構成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の物品処理設備。
【請求項5】
前記搬送手段が、ベルトコンベヤ及びローラコンベヤを搬送幅方向に並べて構成され、
前記ベルトコンベヤが、その巻回経路が前記ローラコンベヤの搬送作用面よりも側面視で下方に位置するように巻回され、かつ、前記逆搬送状態において前記ローラコンベヤの前記搬送作用面よりも側面視で上方側に突出する突起部を前記系止部として備えて構成されている請求項4記載の物品処理設備。
【請求項1】
棚前面側が下位となるように傾斜した搬送面にて物品を載置支持した状態で物品を搬送する搬送手段を備えた物品収納部が配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の背面側において物品を搬送自在でかつ前記物品収納部における前記搬送面の上端側に位置する投入部から前記物品収納部に対して物品を受け渡し自在な物品搬送装置とが設けられている物品処理設備であって、
前記搬送手段が、前記搬送面の傾斜下り方向に物品を搬送する正搬送状態と、前記搬送面の傾斜上り方向に物品を搬送する逆搬送状態とに切換え自在に構成され、
前記物品搬送装置が、前記逆搬送状態で搬送される物品を前記投入部から受け取り可能に構成されている物品処理設備。
【請求項2】
前記搬送手段が、前記正搬送状態において、物品の自重により搬送作動するように構成されている請求項1記載の物品処理設備。
【請求項3】
前記搬送手段が、前記逆搬送状態において、前記物品搬送装置から伝達される動力により搬送作動するように構成されている請求項1又は2記載の物品処理設備。
【請求項4】
前記搬送手段が、前記搬送面にて載置支持されている物品の傾斜下り方向への移動を規制する系止部を備え、前記逆搬送状態において、前記系止部が傾斜上り方向に移動するに伴って前記搬送面の傾斜上り方向に物品を搬送するように構成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の物品処理設備。
【請求項5】
前記搬送手段が、ベルトコンベヤ及びローラコンベヤを搬送幅方向に並べて構成され、
前記ベルトコンベヤが、その巻回経路が前記ローラコンベヤの搬送作用面よりも側面視で下方に位置するように巻回され、かつ、前記逆搬送状態において前記ローラコンベヤの前記搬送作用面よりも側面視で上方側に突出する突起部を前記系止部として備えて構成されている請求項4記載の物品処理設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−214987(P2009−214987A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59812(P2008−59812)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
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