説明

物品搬送装置

【課題】塵埃の発生を防止できしかも作業者用移載箇所で作業者が怪我をし難い物品搬送装置を提供すること。
【解決手段】作業者用移載箇所Pと非作業者用移載箇所Qとに亘る移動経路を往復移動自在な往復移動体と、移動経路の全長に亘って移動する往復移動体の上方を覆うカバー体22と、往復移動体から上方側に延びてカバー体に形成されたスリット24を上下方向に貫通する状態で設けられた連結部にて往復移動体と連結されて、カバー体よりも上方側で移動経路方向に移動する物品載置体20とが設けられ、スリットは、往復移動体が移動経路に沿って移動するときに連結部がカバー体に対して非接触状態に維持されるように形成され、カバー体のうちスリットの作業者用移載箇所側の端部を形成する端部形成部分22Eに、弾性変形自在で柔軟性のある弾性カバー部22Sを備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者により物品が移載される作業者用移載箇所と非作業者用移載箇所とに亘って設定された有端形態の移動経路に沿って往復移動自在な往復移動体と、前記移動経路の全長に亘って移動する前記往復移動体の上方を覆うカバー体と、前記往復移動体から上方側に延びて前記カバー体に形成されたスリットを上下方向に貫通する状態で設けられた連結部にて前記往復移動体と連結されて、前記往復移動体が前記移動経路に沿って往復移動するに伴って、前記カバー体よりも上方側において前記移動経路方向に移動自在な物品載置用の物品載置体とが設けられている物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記物品搬送装置は、搬送対象の物品を物品搬送装置に供給したり、物品搬送装置にて搬送された物品を受け取ったりする移載作業を作業者が行う作業者用移載箇所と、搬送対象の物品を物品搬送装置に供給したり、物品搬送装置にて搬送された物品を受け取ったりする移載作業を自動機が行う非作業者用移載箇所との間で物品を載置搬送するものである。
【0003】
上記物品搬送装置では、往復移動体が往復移動する移動経路内への異物の進入や、往復移動体の駆動部分で発生する塵埃や駆動部に注油された潤滑油の蒸気の発散を防ぐこと等を目的として、往復移動体の上方はカバー体にて覆われている。このカバー体には移動経路に沿ったスリットが形成されており、物品載置体と往復移動体とを連結する連結部が、カバー体に形成されたスリットを上下方向に貫通するように往復移動体から上方側に延びている。そして、往復移動体がカバー体の下方で移動経路に沿って往復移動することで、連結部により往復移動体と連結された物品載置用の物品載置体が移動経路方向に移動するようになっている。
【0004】
上記物品搬送装置の従来例として、往復移動体が移動経路に沿って移動するときに連結部がカバー体に対して接触状態に維持されるようにスリットが形成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1の物品搬送装置では、カバー体におけるスリットを形成する部分が、スリットの全長に亘ってスリットを閉じる側に弾性付勢された両縁部を備えて構成されており、往復移動体の移動に伴って移動する連結部が両縁部の対応箇所を押し広げることで、連結部の位置に応じてスリット幅が拡大変更されるようになっている。特許文献1の物品搬送装置では、連結部が両縁部を押し広げながら移動する際の連結部とカバー体との接触抵抗を小さくするために、両縁部の端部に摩擦係数が小さくかつ耐摩耗性に優れた硬質の樹脂材料から形成することが好ましいとされている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−231010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例の構成であると、連結部がカバー体に対して接触したまま移動するので、カバー体と連結体との摩擦により発生する塵埃の発生を全く無くすことはできない。そのため、例えば、僅かな塵埃の発生でも問題となる半導体製造工場におけるクリーンルームなどに設置する場合には、好ましくない点として評価される。
【0007】
また、往復移動体が移動経路の作業者用移載箇所側の端部に位置するときには、カバー体のうち作業者用移載箇所側の上方に物品載置体が位置するため、作業者用移載箇所付近に位置する作業者が、カバー体のうち作業者用移載箇所側部分に誤って手を置いていると、往復移動体が作業者用移載箇所側の端部付近に接近する際に、カバー体と物品載置体との間に手指を挟んで怪我をする可能性がある。しかも、塵埃防止のためにスリットの幅を十分広く形成すると、スリットの全長に亘ってカバー体のスリット形成部分と連結体との間に隙間が形成されることになり、往復移動体が非作業者用移載箇所側から作業者用移載箇所に移動するときに、作業者用移載箇所に位置する作業者の手指が、作業者用移載箇所側のスリット端部付近に置かれていると、カバー体と連結体との間やカバー体と物品載置体との間に手指を挟まれる虞がある。
【0008】
ちなみに、上記のような怪我を防止するためには、カバー体の上方空間に作業者の手指等の異物が進入したことを検出する複数のセンサ等からなる検出手段を設けて、検出手段が異物の進入を検出すると物品搬送装置の作動を停止させる構成が考えられる。しかしながら、作業者の手指の進入を検出しようとした場合、特定の方向からだけでなく様々な方向から手指が進入する可能性を考慮する必要があり、検出手段として広範囲の検出領域をもつものを用いなければならず、検出手段の大型化や設置上の不利や高機能化によるコスト面での不利がある。また、カバー体の上方空間に作業者が手指を進入させる動作は予想外のものであるため、カバー体の上方空間への作業者の手指の進入を確実に検出することは困難である。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、塵埃の発生を防止できしかも作業者用移載箇所で作業者が怪我をし難い物品搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる物品搬送装置は、作業者により物品が移載される作業者用移載箇所と非作業者用移載箇所とに亘って設定された有端形態の移動経路に沿って往復移動自在な往復移動体と、前記移動経路の全長に亘って移動する前記往復移動体の上方を覆うカバー体と、前記往復移動体から上方側に延びて前記カバー体に形成されたスリットを上下方向に貫通する状態で設けられた連結部にて前記往復移動体と連結されて、前記往復移動体が前記移動経路に沿って往復移動するに伴って、前記カバー体よりも上方側において前記移動経路方向に移動自在な物品載置用の物品載置体とが設けられているものであって、その第1特徴構成は、前記スリットは、前記往復移動体が前記移動経路に沿って移動するときに前記連結部が前記カバー体に対して非接触状態に維持されるように形成され、前記カバー体のうち前記スリットの前記作業者用移載箇所側の端部を形成する端部形成部分に、弾性変形自在で柔軟性のある弾性カバー部を備えて構成されている点にある。
【0011】
すなわち、スリットは、往復移動体が移動経路に沿って移動するときに、連結部がカバー体に対して非接触状態に維持されるように構成されているので、連結部が移動経路のどの位置に位置していても、連結部とカバー体の間に隙間が形成されることになり、往復移動体が移動経路に沿って移動しても連結部がカバー体に対して接触することはない。したがって、往復移動体が移動経路に沿って移動するときに連結部がカバー体に接触して擦れることによる塵埃の発生を防止できる。
【0012】
また、連結部がカバー体に対して非接触状態に維持されるようにスリットを構成すると、連結部とカバー体との間に隙間が形成されるが、カバー体のうちスリットの作業者用移載箇所側の端部を形成する端部形成部分に、弾性変形自在で柔軟性のある弾性カバー部を備えているので、往復移動体が移動経路の作業者用移載箇側の端部に位置するときには、物品載置体の下方に弾性カバー部が位置することになる。したがって、往復移動体が非作業者用移載箇所側から作業者用移載箇所まで移動するときに、作業者用移載箇所に位置する作業者が誤ってカバー体における端部形成部分に手指を置いていた場合、カバー体と連結部との間やカバー体と物品載置体との間に手指を挟まれそうになっても、連結体や物品載置体により手指が押圧されることでその手指にて弾性カバー部が弾性変形して、手指は弾性変形した柔軟性のある弾性カバー部と物品載置体の間に位置することになり、作業者は怪我をし難い。
【0013】
このように、本発明の第1特徴構成によると、塵埃の発生を防止できしかも作業者用移載箇所で作業者が怪我をし難い物品搬送装置を得るに至った。
【0014】
本発明にかかる物品搬送装置の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記端部形成部分の一部が前記弾性カバー部にて構成され、この弾性カバー部は、前記スリットの前記作業者用移載箇所側の端部となる切り欠きが形成された板状弾性体にて構成され、前記端部形成部分の前記弾性カバー部以外の部分が、前記弾性カバー部の周囲に位置する非弾性カバー部にて構成され、前記弾性カバー部と前記非弾性カバー部とが円弧状に接続されている点にある。
【0015】
すなわち、カバー体における端部形成部分の一部が弾性カバー部にて構成され、この弾性カバー部は、スリットの作業者用移載箇所側の端部となる切り欠きが形成された板状弾性体にて構成されているので、作業者用移載箇所に位置する作業者の手指が連結体や物品載置体により押圧されたときに、板状に付き変形しやすい弾性カバー部が簡単に弾性変形する。したがって、作業者の手指がカバー体と連結体との間やカバー体と物品載置体との間に挟まれそうになった場合に、カバー体のうち板状弾性体にて構成された弾性カバー部が、作業者の手指に押圧されて適切に変形する。これにより、作業者の手指は適切に保護される。
【0016】
また、端部形成部分の弾性カバー部以外の部分が、弾性カバー部の周囲に位置する非弾性カバー部にて構成され、弾性カバー部と非弾性カバー部とが円弧状に接続されているので、板状弾性体にて構成された弾性カバー部は、スリットの作業者用移載箇所側の端部から放射状に広がった箇所にてカバー体の非弾性カバー部と接続されることになり、スリットの作業者用移載箇所側の端部から非弾性カバー部までの距離が一様化される。したがって、板状弾性体が弾性変形する際に、弾性変形させる力が変形部分において一様に分散することで板状弾性体が局所的に変形することを極力回避して板状弾性体の破れ等の破損を極力防止することができる。
【0017】
このように、本発明の第2特徴構成によると、弾性カバー部を変形し易くして作業者の手指を適切に保護でき、しかも、弾性カバー部の破損を極力防止することができる。
【0018】
本発明にかかる物品搬送装置の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、前記物品載置体が、前記往復移動体に備えられた昇降手段により上昇位置と下降位置とに昇降自在で、かつ、前記移動経路の横幅方向の長さが搬送対象の物品についての前記移動経路の横幅方向の長さよりも短い板状の載置台にて構成され、搬送対象の物品を載置支持する物品受け台が、前記作業者用移載箇所に設けられ、前記物品受け台が、前記下降位置に位置する前記載置台の上面よりも高くかつ前記上昇位置に位置する前記載置台の下面よりも低い高さの載置面が形成された一対の荷受部を、前記作業者用移載箇所に位置する前記載置台の前記移動経路横幅方向の両側に位置する一対の側面の夫々に外方から近接する状態で備えて構成され、前記載置台が前記上昇位置に位置するときの前記載置台の下面と前記一対の荷受部の載置面との間に形成される隙間を閉塞する一対の板状体が、前記載置台に設けられている点にある。
【0019】
すなわち、物品載置体は、往復移動体に備えられた昇降手段により上昇位置と下降位置とに昇降自在で、かつ、移動経路の横幅方向の長さが同方向についての搬送対象の物品の横幅方向の長さよりも短い板状の載置台にて構成されているので、搬送対象の物品は移動経路の横幅方向の中央部分が載置台に載置支持された状態で、昇降手段により昇降操作される。また、作業者用移載箇所に設けられた物品受け台は、下降位置に位置する載置台の上面よりも高くかつ上昇位置に位置する載置台の下面よりも低い高さの載置面が形成された一対の荷受部を、作業者用移載箇所に位置する載置台の両側部の夫々に外方から近接する状態で一対備えて構成されているので、搬送対象の物品は、移動経路の横幅方向の両側部分が一対の荷受部の載置面に載置される状態で、一対の荷受部にて載置支持される。
【0020】
したがって、物品を載置支持している載置台を上昇位置に位置させながら往復移動体を作業者用移載箇所まで移動させると、一対の荷受部の載置面の上方に物品の底面が位置する状態とすることができる。この状態から昇降手段を作動させて載置台を上昇位置から下降位置に下降操作すると、物品の底面における移動経路の横幅方向での両端部が一対の荷受部に載置支持され、載置台は、物品の底面から離間した状態で下降位置に位置することになる。
【0021】
また、往復移動体の移動経路の横幅方向での物品の底面における両端部が一対の荷受部に載置支持された状態で物品を物品受け台に載置支持させておいて、載置台を下降位置に位置させながら往復移動体を作業者用移載箇所まで移動させると、物品の底面における往復移動体の移動経路の横幅方向での中央部分の下方に、載置台が位置する状態とすることができる。この状態から昇降手段を作動させて載置台を下降位置から上昇位置に上昇操作すると、載置台の上面が一対の荷受部の載置面より高くなることで、載置台が物品の底面に当接したのち物品が一対の荷受部から離間して、物品は、物品受け台の上方において底面を載置台に載置支持された状態になる。
【0022】
このように、作業者用移載箇所に設置された物品受け台に対して物品を載置支持しておくことで、当該物品を載置台にて掬い取って非作業者用移載箇所まで搬送させることができる。また、物品受け台に物品を載置させずに空き状態にしておくことで、載置台に載置支持された物品を非作業者用移載箇所から作業者用移載箇所まで搬送させて物品受け台に対して物品を供給しておき、載置台や往復移動体を次の搬送作動に適切な位置に位置させることができる。
【0023】
また、載置台には、載置台が上昇位置に位置するときの載置台の下面と一対の荷受部の載置面との間に形成される隙間を閉塞する一対の板状体が設けられているので、載置台が上昇位置に位置するときには、載置台の下面と荷受部の載置面との間に形成される移動経路方向に沿った隙間を閉じた状態とすることができる。そして、こらの板状体は載置台に設けられているので、載置台を上昇位置から下降位置まで下降操作すると、載置台の下面と荷受部の載置面との間に形成される移動経路方向に沿った隙間を閉じた状態のまま載置台及び板状体が一体的に下降する。
【0024】
したがって、物品受け台に対して物品載置台に載置支持されている物品を供給する場合や、往復移動体を移動経路の作業者用移載箇所側の端部に予め移動させておいた状態で物品受け台に物品が作業者により移載されるのを待機する場合のように、往復移動体が作業者用移載箇所に位置している状態で載置台を下降させる際には、載置台の下面が、物品受け台の各荷受部の上面より高くなっている状態から低くなっている状態に変化するが、上述の通り、載置台を上昇位置から下降位置まで下降する間、載置台の下面と荷受部の載置面との間に形成される移動経路方向に沿った隙間は閉じた状態に維持されているから、作業者の手指が下降する載置台と荷受部の載置面とに挟まれることはない。
【0025】
このように、本発明の第3特徴構成によると、荷受部を介して物品の移載を行わせることができるので使い勝手がよいものとなり、しかも、下降する載置台の下面と荷受部の載置面との間に作業者が手指を挟まれることのない物品搬送装置を得るに至った。
【0026】
本発明にかかる物品搬送装置の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成の何れかにおいて、前記作業者用移載箇所が、複数の物品を収納する物品収納体の外部に位置し、前記非作業者用移載箇所が、前記物品収納体の内部に位置する点にある。
【0027】
すなわち、作業者用移載箇所が複数の物品を収納する物品収納体の外部に位置し、非作業者用移載箇所が物品収納体の内部に位置するので、物品収納体の内部と外部との間で物品を搬送することができる。したがって、作業者は、物品収納体の外部に位置する作業者用移載箇所において物品を扱うだけで、物品収納体の内部への物品の搬入及び物品収納体の外部への物品の搬出を簡単に行うことができる。
【0028】
このように、本発明の第4特徴構成によると、物品収納対に対する物品の搬入作業及び搬出作業を簡素化できる物品搬送装置を得るに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の物品搬送装置の実施形態について図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、物品搬送装置としてのコンベヤ1は、半導体基板を複数枚収納する樹脂製の容器2(本願の物品の一例)を物品収納体としてのストッカー3の内部と外部との間に亘って搬入及び搬出するものである。
【0030】
ストッカー3の外部に位置するコンベヤ1の端部側箇所は、ストッカー3から搬出する容器2をストッカー3外で卸す卸し移載や、ストッカー3に搬入する容器2をストッカー3外で掬う掬い移載が行われる作業者用移載箇所Pである。また、ストッカー3の内部に位置するコンベヤ1の端部側箇所は、ストッカー3から搬出する容器2をストッカー3内で掬う掬い移載や、ストッカー3に搬入する容器2をストッカー3内で卸す卸し移載が行われる非作業者用移載箇所Qである。そして、作業者は作業者用移載箇所P付近においてコンベヤ1の作業者用移載箇所Pに位置する容器2を受け取ったりコンベヤ1の作業者用移載箇所Pに容器2を供給したりする移載作業を立った姿勢で行う。
【0031】
ストッカー3及びコンベヤ1は空気浄化手段を備えたクリーンルーム内に設置されている。クリーンルームの床側には、スラブ床5から上方に間隔を隔てた状態で多孔状のグレーチング床6が設けられ、クリーンルームの天井側には天井から下方に間隔を隔ててHEPAフィルタなどからなる図外のエアーフィルタが設けられている。空気浄化手段は、グレーチング床6の下方側に形成された吸気室と、エアーフィルタの上方側に形成されたチャンバー室と、吸気室及びチャンバー室を連通する循環路とを備え、循環路には、通風ファン及びプレフィルタが備えられている。そして、空気浄化手段の通風ファンを作動させることにより天井側から床側に清浄空気のダウンブローが形成されるようになっている。
【0032】
ストッカー3の内部には、昇降式の庫内移載装置4が設置されている。庫内移載装置4は、グレーチング床6に立設された庫内昇降ガイド7に沿って昇降自在な昇降体8と、この昇降体8に旋回台9及びリンク機構10を介して取り付けられた庫内移載用載置台11とを備えている。
【0033】
昇降体8は、バランスウェイト12の下端部及び上端部に連結され図外の上下プーリーに巻回されているタイミングベルトにて構成された昇降用ベルト13によりその上部及び下部が連結された状態で、吊り下げ支持されている。なお、昇降体8の上端部及び下端部には、庫内昇降ガイド7に上下方向に沿って形成された平坦なガイド面に当接する横軸心ガイドローラ14が複数設けられており、昇降用ベルト13を正逆双方向に巻回作動させることで、昇降体8は庫内昇降ガイド7に沿って上昇及び下降することができるようになっている。なお、図2の17は昇降体8の作動用電力や制御線等のケーブル類を支持するケーブルベアである。
【0034】
ストッカー3の内部には、容器2を載置支持する複数の収納台15が設けられており、夫々の収納台15の上部空間に容器2を収納する収納部16が形成されている。収納部16は、上下多段に、かつ、平面視で庫内移載装置4を取り囲むように放射状に配列されている。なお、収納台15の上面には、載置支持対象の容器2の底面に設けられた系合用の溝に系合して収納台15における容器2の載置位置を位置決めする位置決め用のピン15aが突設されている。
【0035】
そして、昇降体8の昇降作動、旋回台9の旋回作動、及び、リンク機構10の屈伸作動を組み合わせることにより庫内移載用載置台11の位置を移動させかつ平面視姿勢を変更させて、収納台15にて載置支持された状態で収納部16に収納されている容器2を掬い取ってコンベヤ1の非作業者用移載箇所Qに設けられた庫内コンベヤ載置台18に載置支持させる搬出用持込み作業や、庫内コンベヤ載置台18に載置支持されている容器2を掬い取って空き状態の収納部16における収納台15に載置支持させる搬入用持ち出し作業を行うことができるようになっている。
【0036】
コンベヤ1は、グレーチング床6から作業者の腰の高さに合わせた設定高さだけ上方に設置されており、作業者用移載箇所Pにて容器2の持込み作業や持ち出し作業をする作業者の腰の高さ付近に位置する水平方向の搬送面に沿って往復移動する後述の載置台20にて、搬送対象の容器2が作業者移載箇所P及び非作業者用移載箇所Qとの間で載置搬送されるようになっている。そして、作業者用移載箇所Pや非作業者用移載箇所Qにおいて、載置台20を、その上面が搬送面に一致する搬送用上昇位置Upと、この搬送用上昇位置Upよりも下方に位置する移載用下降位置Dwとに昇降させることにより、作業者用移載箇所Pにおいて容器2を載置台20と庫内コンベヤ載置台18との間で移載したり、非作業者用移載箇所Qにおいて容器2を載置台20と物品受け台Dとの間で移載したりすることができるようになっている。
【0037】
コンベヤ1はストッカー3の壁面に並設された一対の出し入れ口19の夫々に対応させて一対設けられているが、両者は、非作業者用移載箇所Qにおける載置構造が異なる等の差異はあるが、主要部分は同一の構成であるので、以下、一方のコンベヤ1についてのみ説明する。
【0038】
コンベヤ1は、図3〜図5に示すように、コンベヤ1の上面は大半がアルミ製の天板22にて覆われており、天板22の下部に形成されたコンベヤ内部空間には、有端形態の移動経路Lに沿って往復移動自在な往復移動体としての自走車23が備えられている。つまり、天板22は、移動経路Lの全長に亘って移動する自走車23の上方を覆っており、本願のカバー体を構成している。図4は、作業者用移載箇所P側から非作業者用移載箇所Q側を臨む方向視での縦断正面図である。図4(a)は天板22より上方側で昇降自在な載置台20が上昇位置Upに位置する場合を示し、図4(b)は載置台20が下降位置Dwに位置する場合を示している。
【0039】
自走車23には、載置台20を昇降操作する昇降手段としての昇降モータ25が備えられている。昇降モータ25は、モータシャフトの回転軸心が縦向きとなるように設置され、モータシャフトと軸心を一致させて一体回転自在に連結させたボールネジ軸を備えており、このボールネジ軸の先端寄りの部分には、ボールを介して螺合するナット及びこのナットに固着された移動ブラケット25aを備えている。
【0040】
図6に示すように、昇降モータ25のモーターカバー25bの一側面にはガイドレール26及びガイドブロック27からなる転がり直動案内軸受け28が取り付けられている。転がり直動案内軸受け28は、その案内方向が移動ブラケット25aの移動方向と平行になるようにガイドレール26及びガイドブロック27の取付け位置が調整されている。昇降モータ25が備える移動ブラケット25aは、載置台20の底面における中心箇所に連結されており、転がり直動案内軸受け28のガイドブロック27は、連結部材29を介して載置台20の底面に連結されている。このように構成することで、昇降モータ25を回転駆動させて移動ブラケット26をモータシャフト及びボールネジ軸の回転軸心方向に上下に移動させると、載置台20が昇降操作することができるようになっている。
【0041】
昇降台20は、移動ブラケット25a及び連結部材29が接続された円盤状の基板20aと、この基板20aにクロスローラーベアリング30を介して相対回転自在に設けられた載置台本体20bとから構成されている。載置台本体20bの底部には、基板20aと中心を一致させた環状の突部21が形成されており、この環状突部21の外周面にはギヤの歯が形成されている。自走車23のシャーシに備えられた旋回用モータ31のモータシャフトにはピニオンギヤ32がスプライン結合により昇降自在にかつ一体回転自在に取り付けられており、このピニオンギヤ32とスパーギヤとしての環状突部21の外周面とが歯合するように構成されている。このように構成することで、旋回用モータ31を正逆転に回転駆動させると、載置台本体20bが基板20aの中心を回転軸心として水平面内で基準姿勢と旋回姿勢とに回転操作されるようになっている。なお、載置台本体20bの回転操作は非作業者用移載箇所Qにおいて行なわれる。
【0042】
自走車23のシャーシの底部における走行方向で前後左右の各箇所には、コンベヤ内部空間の底部を形成する走行面Fに接地する4つの従動車輪33が設けられている。コンベヤ内部空間の走行面Fには移動経路Lに沿って走行案内レール34が敷設され、自走車23のシャーシの底部に走行方向で前後に分散して二対設けられた縦軸心の走行ガイドローラ35が、走行案内レール34を左右から挟み込むように当接している(図4参照)。コンベヤ内部空間には、作業者用移載箇所P側及び非作業者用移載箇所Q側の壁部において走行面Fより上方かつ天板22より下方で両端を接続された走行用歯付ベルト36が設けられており、自走車23の走行用モータ38にて回転駆動される歯付駆動プーリー37a並びにガイドプーリー37b及びテンションプーリー37cによりこの歯付ベルト36を引込み操作及び送り出し操作することで、自走車23が、走行ガイドローラ35にて走行案内レール34に案内されながら、移動経路Lに沿って往復走行することができるようになっている。
【0043】
載置台20は、上述のように、連結部としての移動ブラケット25a及び連結部材29にて自走車23と連結されて、自走車23が移動経路Lに沿って往復移動するに伴って、カバー体よりも上方側において移動経路方向に移動自在となっており、載置台20は本願の物品載置体を構成している。
【0044】
前述の天板22の設置高さは、自走車23と載置台20との間に位置している。したがって、自走車23に対して載置台20を昇降自在に連結支持する連結体としての移動ブラケット25a及び連結部材29は自走車23から上方側に延びて、天板22に移動経路Lに沿って形成されたスリット24を上下方向に貫通している。また、スリット24は、その開口幅が移動ブラケット25a及び連結部材29についての自走車23の移動経路横幅方向の寸法より大きく形成されているので、自走車23が移動経路Lに沿って移動するときに天板22に対して非接触状態が維持される。したがって、自走車23が走行移動しても、移動ブラケット25a及び連結部材29が天板22に接触することがないので、塵埃の発生を防止できる。
【0045】
図3に示すように、天板22の作業者用移載箇所P側部分においてスリット24の作業者用移載箇所P側の端部を形成する端部形成部分22Eの一部は、弾性変形自在で柔軟性のある弾性カバー部22Sにて構成されている。弾性カバー部22Sは、長手方向に沿った矩形状の切り欠き部が形成された平面視馬蹄形乃至長円形のシリコンゴム製の板状弾性体にて構成されている。この板状弾性体の長手方向に沿った矩形状の切り欠き部がスリット24の作業者用移載箇所P側の端部となっている。弾性カバー部22Sは、天板22の作業者用移載箇所P側部分を平面視馬蹄形乃至長円形に切り欠いて、切り欠いたその周縁部22gをフランジ加工して(図4参照)、周縁部22gに沿った複数箇所において、外周部をネジ止めして天板22の弾性カバー部22S以外の非弾性カバー部22Hに取り付けられている。弾性カバー部22Sとしての板状弾性体は、周縁部22gと平面視形状が同形状でかつ取り付け用のネジ穴を上記複数箇所に対応して備えた金属製の押さえ付けフレーム39を上面に添える状態で皿ネジ40にて周縁部22gにネジ止めされている。ネジ止め箇所は、隣接するもの同士の間隔ができるだけ等間隔になるように分散して設けられている。
【0046】
このように、端部形成部分22Eの一部が弾性カバー部22Sにて構成され、この弾性カバー部22Sは、スリット24の作業者用移載箇所P側の端部となる切り欠きが形成された板状弾性体にて構成され、端部形成部分22Eの弾性カバー部22S以外の部分が、弾性カバー部の周囲に位置する非弾性カバー部22Hにて構成され、弾性カバー部22Sと非弾性カバー部22Hとが円弧状に接続されている。
【0047】
これにより、載置台20が作業者用移載箇所Pに位置するときには、載置台20の下方に弾性カバー部22Sが位置するようになっている。しかも、弾性カバー部22Sと非弾性カバー部22Hとの接続箇所のうち少なくとも作業者用移載箇所P側の部分では、弾性カバー部22Sと非弾性カバー部22Hとが円弧状に接続されている。
【0048】
また、図4に示すように、載置台本体20bの移動経路Lの横幅方向の長さは、容器2についての移動経路Lの横幅方向の長さよりも短く構成されている。このように、載置台20は、移動経路Lの横幅方向の長さが容器2についての移動経路Lの横幅方向の長さよりも短い板状に構成されている。
【0049】
作業者用移載箇所Pに設けられた物品受け台Dについて説明する。物品受け台Dは一対の荷受部41にて構成されており、各荷受部41は、長手方向が移動経路Lに沿う直方体形状をしており、互いに平行な姿勢で天板22上に固定されている。物品受け台Dの上面41sは、移載用下降位置Dwに位置する載置台20の上面よりも高くかつ搬送用上昇位置Upに位置する載置台20の下面よりも低くなっている。各荷受部41の内側面41in同士の間隔は、載置台20が各荷受部41の間を接触せずに移動できるように、天板22上を往復移動する載置台20についての移動経路Lの横幅方向の長さより若干広くなっている。
【0050】
このように、物品受け台Dは、移載用下降位置Dwに位置する載置台20の上面よりも高くかつ搬送用上昇位置Upに位置する載置台20の下面よりも低い高さの載置面41sが形成された一対の荷受部41を、作業者用移載箇所Pに位置する載置台20の移動経路横幅方向の両側に位置する一対の側面の夫々に外方から近接する状態で備えて構成されている。
【0051】
荷受部41の載置面41sには、作業者用移載箇所P側端部の外側面41out側に面受け体42が位置調節機能付きの面受け体取付けブラケット42bを介して取り付けられ、面受け体42よりも、非作業者用移載箇所Q寄りの内側面41in側には荷受部側位置決めピン43が位置調節機能付きのピン取付けブラケット43bを介して取り付けられている。これにより、物品受け台Dが容器2を載置支持するときは、一対の面受け体42が容器2の底面の縁部を支持し、一対の荷受部側位置決めピン43が、容器2の底面の中心箇所に放射状に形成された3つの凹入状係合用長穴のうち両側部側の2つに係合することで、容器2が作業者用移載箇所Pにおける移載用位置に位置決めされるようになっている。図3における符号45は、作業者用移載箇所Pにおける移載用位置に存在している容器2を検出する庫外在荷センサである。庫外在荷センサ45は、位置調整機能付きの庫外センサ取付ブラケット45bにて検出光が斜め上方に向くように位置調整された状態で取り付けられている。
【0052】
載置台20の載置台本体20bにおける上面には、3つの載置台側位置決めピン44が突設されている。これらの位置決めピン44は、容器2の底面に放射状に形成された3つの凹入状係合用長穴の夫々に係合するように配置されている。そして、往復移動する載置台20が最も作業者用移載箇所P側の位置(図3において紙面上方にて鎖線にて示された載置台20の位置)に位置するときには、3つの位置決めピン44のうち載置台20の往復移動方向の左右両側に位置する側部ピン44sの夫々と、前述の荷受部側位置決めピン43の対応するものとの平面視における並び方向が、作業者用移載箇所Pにおける移載用位置に位置する容器2の両側部側の対応する凹入状係合用長穴の長手方向に一致するようになっている。
【0053】
これにより、搬送用上昇位置Upに位置する載置台20に載置支持されている容器20は、作業者用移載箇所Pにおいて載置台20を下降操作することにより、両側部側の凹入状係合用長穴に対して底面の中心寄りの内方箇所及び底面外周寄りの外方箇所において側部ピン44s及び荷受部側位置決めピン43の双方の位置決めピンが係合した状態を経て、作業者用移載箇所Pにおける移載用位置に位置決めされた状態で物品受け台Dに載置支持されるようになっている。また、逆に、作業者用移載箇所Pにおける移載用位置に位置決めされた状態で物品受け台Dに載置支持されている容器20は、移載用下降位置Dwに位置する載置台20を作業者用移載箇所Pにおいて上昇操作することにより、両側部側の凹入状係合用長穴に対して底面中心寄りの内方箇所及び底面外周寄りの外方箇所において側部ピン44s及び荷受部側位置決めピン43の双方の位置決めピンが係合した状態を経て、3つの載置台側位置決めピン44にて位置決めされた状態で載置台20に載置支持されるようになっている。
【0054】
なお、コンベヤ1における非作業者用移載位置Q側の端部には、3つの庫内位置決めピン46が、位置調整機能付きのピン取付ブラケット46bにて位置調整された状態で取り付けられており、これら3つの庫内位置決めピン46が容器2の底面における3つの凹入状係合用長穴に各別に係合することで、容器2が非作業者用移載箇所Qにおける移載用位置に位置決めされるようになっている。そして、作業者用移載箇所Pにおける場合と同様に、載置台20から非作業者用移載箇所Qにおける移載用位置に、また、非作業者用移載箇所Qにおける移載用位置から載置台20に容器20を移載することができるようになっている。なお、図3における47は、非作業者用移載箇所Qにおける移載用位置に存在する容器2を検出する庫内在荷センサである。庫内在荷センサ47は、検出が位置調整機能付きの反射板取付ブラケット47Rbにて取り付けられた反射板47Rに照射されるように、位置調整機能付きの庫内センサ取付ブラケット47bにて位置調整された状態で取り付けられている。
【0055】
載置台20の移動経路Lの横幅方向の両側に位置する一対の側面20sには、載置台20が作業者用移載箇所Pにおいて搬送用上昇位置Upに位置するときの載置台20の下面と、一対の荷受部41の載置面41sとの距離tよりも長く載置台20の下面から下方側に延び、かつ、載置台20の一対の側面20sについての移動経路L方向の長さからなる一対の板状体48が取り付けてある。板状体48は、載置台20の厚みに相当する重なり部分の側面20sの長手方向に沿った複数個所でネジ止めして取り付けられている。この板状体48を取り付けることにより、荷受部41と載置台20との間に形成される隙間に作業者が手指が入り込むことがないので、載置台20が図4(a)に示す搬送用上昇位置Upから図4(b)に示す移載用下降位置Dwまで下降したときに荷受部41と載置台20との間で手指を挟み込んで怪我するという事故の防止が図られる。
【0056】
以上の構成のコンベヤ1の動作について図6に基づいて説明する。なお、以下のコンベヤ1の動作は、各種のセンサ類やエンコーダ類の検出情報に基づいて制御装置が各アクチュエータを作動させることにより行われる。
【0057】
まず、容器2をストッカー3に搬入するときの動作を説明する。非作業者用移載箇所Qに容器2が載置されていない状態で載置台20を基準姿勢にして搬送用上昇位置Upに位置させた状態で自走車23を移動経路Lの作業者用移載箇所P側の端部まで走行させる(図6(a)参照)。載置台20を移載用下降位置Dwに下降させて(図6(b)参照)、作業者により容器2が物品受け台Dにセットされるまで待機する。自走車23が移動経路Lの非作業者用移載箇所Q側の端部に位置している時点で容器2がセットされている場合は、載置台20を移載用下降位置Dwに下降させた状態で、自走車23を移動経路Lの作業者用移載箇所P側の端部まで走行させればよい。いずれにしても、移載用下降位置Dwに下降している載置台20の上方に容器2がセットされた状態(図6(c)参照)になると、載置台20を搬送用上昇位置Upまで上昇させて容器20を掬い取る。そして、自走車23を移動経路Lの非作業者用移載箇所Q側の端部まで走行させた後、載置台20を旋回姿勢に切り換えてから、移載用下降位置Dwまで下降させて、非作業者用移載箇所Qにおける移載用位置に容器2を卸す。その後は、庫内移載装置4が作動して容器2を空状態の収納部16から選択された目標収納部に収納する。
【0058】
次に、容器2をストッカー3から搬出するときの動作を説明する。庫内移載装置4が搬出対象の容器2を収納部16から掬い取って、非作業者用移載箇所Qにおける移載用位置に容器2を卸す。このとき、自走車23が移動経路Lの非作業者用移載箇所Q側の端部に位置しているときは、載置台23は旋回姿勢で移載用下降位置Dwに下降させておく。自走車23が移動経路Lの非作業者用移載箇所Q側の端部に位置していなければ、容器2が非作業者用移載箇所Qにおける移載用位置にセットされた後に、自走車23を移動経路Lの非作業者用移載箇所Q側の端部まで走行させることになるが、その場合は、予め載置台23は移載用下降位置Dwに下降させておき、非作業者用移載箇所Q側の端部に停止後、載置台23を旋回姿勢に切り換える。いずれにしても、非作業者用移載箇所Qにおいて旋回姿勢で移載用下降位置Dwに下降している載置台20の上方に容器2がセットされた状態になると、載置台20を搬送用上昇位置Upまで上昇させて容器20を掬い取る。そして、載置台20を基準姿勢に切り換えてから、自走車23を移動経路Lの作業者用移載箇所P側の端部まで走行させた後、移載用下降位置Dwまで下降させて、作業者用移載箇所Pにおける移載用位置に容器2を卸す。その後は、作業者が容器2を持ち出す。
【0059】
以上のような容器2のストッカー3への搬入作業者やストッカー3からの搬出作業時には、作業者が作業者用移載箇所P付近にてコンベヤ1の天板22上に手を掛けたりすることがあるが、天板22の作業者用移載箇所P側部分においてスリット24の作業者用移載箇所P側の端部を形成する端部形成部分22Eは、弾性変形自在で柔軟性のある弾性カバー部22Sとしてのシリコンゴム製の板状弾性体にて構成されているので、天板22における作業者用移載箇所P側箇所に作業者が不用意に手指を置いた場合に自走車23の走行による載置台20の移動や載置台20の昇降作動により手指が押圧されることがあっても、弾性カバー部22Sが弾性変形することにより手指を怪我し難い。
【0060】
〔別実施形態〕以下、別実施形態を列記する。
【0061】
(1)上記実施形態では、弾性カバー部が板状弾性体で構成したものを例示したが、これに限らず、縦断面が管状であるチューブ状弾性体や櫛歯状に形成された弾性体で構成してもよい。
【0062】
(2)上記実施形態では、弾性カバー部と非弾性カバー部とを円弧状に接続したものを例示したが、これに限らず、弾性カバー部と非弾性カバー部との接続形態は、例えば、コの字状やV字状やU字状など形態であってもよい。
【0063】
(3)上記実施形態では、連結部が移動ブラケット25a及び連結部材29の2つの部材で構成したものを例示したが、これに限らず、連結部を3つ以上又は単一の部材で構成してもよい。
【0064】
(4)上記実施形態では、昇降手段としてボールねじ軸及び移動ブラケットを備えた昇降モータにて構成したものを例示したが、これに限らず、電動シリンダやラックアンドピニオン機構を備えた電動モータにて構成する等、昇降手段の具体構成は適宜変更可能である。
【0065】
(5)上記実施形態では、天板がアルミ製のものを例示したが、天板としては、例えば、ステンレス等の他の金属やプラスチック等の硬質の樹脂で形成したものであってもよい。
【0066】
(6)上記実施形態では、往復移動体として走行用の駆動手段が移動体本体に設けられたものを例示したが、これに限らず、往復移動体としては、移動体本体に走行用の駆動手段を備えず、固定側に走行用の駆動手段を備えて、移動体本体にチェーンやベルトを接続して、これらを巻回駆動や繰り出し及び巻き取り駆動させる等して、往復移動体を走行作動させるものであってもよい。
【0067】
(7)上記実施形態では、載置体が旋回及び昇降自在な載置台20にて構成されたものを例示したが、載置台としては、旋回作動しないものや、昇降作動しないものであってもよく、また、載置体は、載置台で構成せず、枠構造を持つ枠体で構成してもよい。
【0068】
(8)上記実施形態では、折り曲げ加工していない板状体48を載置台20の側面20sにねじ止めして取り付けたものを例示したが、これに代えて、板状体48をL字加工してフランジ部を形成し、フランジ部を載置台の底面に溶着又はネジ止めして取り付けたものであってもよい。
【0069】
(9)上記実施形態では、カバー体の端部形成部分が、弾性カバー部と非弾性カバー部とで構成されたものを例示したが、カバー体の端部形成部分の全体が弾性カバー部にて構成されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】ストッカー及びコンベヤの全体側面図
【図2】庫内移載装置及びコンベヤの全体概略平面図
【図3】コンベヤの全体平面図
【図4】コンベヤの縦断正面図
【図5】コンベヤの縦断一部側面図
【図6】コンベヤの作動を説明する図
【符号の説明】
【0071】
P 作業者用移載箇所
Q 非作業者用移載箇所
L 移動経路
D 物品受け台
2 物品
3 物品収納体
20 載置台(物品載置体)
22 カバー体
22E 端部形成部分
22H 非弾性カバー部
22S 弾性カバー部(板状弾性体)
23 往復移動体
24 スリット
25 昇降手段
25a,29 連結部
41 荷受部
41s 載置面
48 板状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者により物品が移載される作業者用移載箇所と非作業者用移載箇所とに亘って設定された有端形態の移動経路に沿って往復移動自在な往復移動体と、
前記移動経路の全長に亘って移動する前記往復移動体の上方を覆うカバー体と、
前記往復移動体から上方側に延びて前記カバー体に形成されたスリットを上下方向に貫通する状態で設けられた連結部にて前記往復移動体と連結されて、前記往復移動体が前記移動経路に沿って往復移動するに伴って、前記カバー体よりも上方側において前記移動経路方向に移動自在な物品載置用の物品載置体とが設けられている物品搬送装置であって、
前記スリットは、前記往復移動体が前記移動経路に沿って移動するときに前記連結部が前記カバー体に対して非接触状態に維持されるように形成され、
前記カバー体のうち前記スリットの前記作業者用移載箇所側の端部を形成する端部形成部分に、弾性変形自在で柔軟性のある弾性カバー部を備えて構成されている物品搬送装置。
【請求項2】
前記端部形成部分の一部が前記弾性カバー部にて構成され、この弾性カバー部は、前記スリットの前記作業者用移載箇所側の端部となる切り欠きが形成された板状弾性体にて構成され、
前記端部形成部分の前記弾性カバー部以外の部分が、前記弾性カバー部の周囲に位置する非弾性カバー部にて構成され、
前記弾性カバー部と前記非弾性カバー部とが円弧状に接続されている請求項1記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記物品載置体が、前記往復移動体に備えられた昇降手段により上昇位置と下降位置とに昇降自在で、かつ、前記移動経路の横幅方向の長さが搬送対象の物品についての前記移動経路の横幅方向の長さよりも短い板状の載置台にて構成され、
搬送対象の物品を載置支持する物品受け台が、前記作業者用移載箇所に設けられ、
前記物品受け台が、
前記下降位置に位置する前記載置台の上面よりも高くかつ前記上昇位置に位置する前記載置台の下面よりも低い高さの載置面が形成された一対の荷受部を、前記作業者用移載箇所に位置する前記載置台の前記移動経路横幅方向の両側に位置する一対の側面の夫々に外方から近接する状態で備えて構成され、
前記載置台が前記上昇位置に位置するときの前記載置台の下面と前記一対の荷受部の載置面との間に形成される隙間を閉塞する一対の板状体が、前記載置台に設けられている請求項1又は2記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記作業者用移載箇所が、複数の物品を収納する物品収納体の外部に位置し、前記非作業者用移載箇所が、前記物品収納体の内部に位置する請求項1〜3の何れか1項記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−132381(P2010−132381A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307898(P2008−307898)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】