説明

物品管理システム、無線タグ、及び無線タグ情報読み取り装置

【課題】物品管理時の管理者が、少ない操作負担や労力で各物品の配置・収納位置を確実に認識でき、利便性を向上する。
【解決手段】物品管理システムSは、管理対象の薬品1に貼付されて関連して取り扱われ、物品タグIDと自己品種コードと自己品種管理位置とをそれぞれ記憶した複数の無線タグ回路素子Toと、これら無線タグ回路素子Toと無線通信により情報の送受信を行うための装置側アンテナ4を介して無線タグ回路素子Toに記憶された自己品種管理位置を取得し、この自己品種管理位置を表示部9に表示するための信号を出力する携帯管理装置2とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理対象物に備えられた無線タグに保持された情報を読み取ることで物品管理を行う物品管理システム、これに用いる無線タグ、及び読み取りを行う情報読み取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品管理を行う際に、管理対象の物品に情報保持部(バーコードや無線タグ等)を設け、その保持された情報を非接触で読み取る情報読み取り装置が、既に知られている。例えば、情報保持部として無線タグを設ける場合、RFID(Radio Frequency Identification)システムと称される。
【0003】
このシステムにおいては、例えばラベル状の無線タグに備えられた無線タグ回路素子が、所定の無線タグ情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されて情報の送受信を行うアンテナとを備えており、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても、リーダ/ライタ側よりIC回路部の無線タグ情報に対してアクセス(情報の読み取り/書き込み)が可能であり、既に様々な分野において実用化されている。
【0004】
ここで、無線タグ回路素子のIC回路部に所定の識別情報(タグID)を記憶させておき、これに対応する対象物の物品情報(=対象物情報)を(又はその一部を)別のデータベースに格納保持しておく手法が既に知られている。この場合、例えば対象物に関わる無線タグ回路素子の識別情報をリーダにて読み取り、その読みとった識別情報に基づきデータベースを検索することにより、当該対象物に関わる対象物情報を適宜データベースより取得する。
【0005】
このような従来技術の一例としては、例えば特許文献1に記載の物品管理システムがある。この物品管理システム(蔵書管理システム)は、位置特定対象となる図書それぞれに図書用無線タグ回路素子が設けられる一方、図書の移動管理を行うために書架の各棚に位置情報を与えるための棚用無線タグ回路素子が設けられている。そして、図書用無線タグ回路素子のタグID(第1タグ識別情報)と書籍情報との相関情報(ひも付け情報)、及び、棚用無線タグ回路素子のタグID(第2タグ識別情報)と棚情報との相関情報(ひも付け情報)を格納保持したデータベースが設けられ、操作端末(処理コンピュータ)がこのデータベースを検索可能に接続されている。
【特許文献1】特開2005−8346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術においては、例えば所定期間ごとに各図書の移動、持ち出し等を検出して管理を行う際には、管理者は、携帯用の読み取り装置を用いて書架の各図書に設けられた図書用無線タグ回路素子の第1タグ識別情報を棚の一方側から他方側へと順次読み取るとともに、棚の端まで来たら上記棚用無線タグ回路素子の第2タグ識別情報を読み取り、これら2種類のタグ識別情報はともに無線通信を介して操作端末に送られる。その後、上記のようにして読み取り装置から送られてきた第1タグ識別情報と第2タグ識別情報とを、管理者が操作端末で適宜の操作を介してデータ編集や加工を行うことで関連づけ、これによって各図書の名称や内容等の書籍情報と当該図書の位置情報(棚情報)とが対応付けられて、データベースへ格納され、データ更新されるようになっている。
【0007】
1つの図書が配置・収納されるべき位置を知りたい場合、管理者は、携帯用の読み取り装置で図書用無線タグ回路素子より第1タグ識別情報を読み取った後、操作用端末を用いて、その図書用無線タグ回路素子の第1タグ識別情報をキーとしてデータベースにアクセスし、対応する棚用無線タグ回路素子の第2タグ識別情報を取得する作業を行わねばならなかった。このため、物品(図書)管理時の操作負担が煩雑で労力が大きく、利便性が低かった。
【0008】
本発明は、物品管理時の管理者が少ない操作負担や労力で物品の配置・収納位置を確実に認識でき、利便性を向上できる物品管理システム、無線タグ、及び無線タグ情報読み取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明は、管理対象物品に関連して取り扱われ、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグ側アンテナとを有し、前記IC回路部に、タグ識別情報と前記管理対象物品の自己対象物情報とをそれぞれ記憶した複数の無線タグ回路素子と、前記無線タグ回路素子と無線通信により情報の送受信を行うための通信手段、この通信手段を介し前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された前記管理位置情報を取得するための位置情報取得手段、及び、この位置情報取得手段で取得した前記管理位置情報を表示手段に表示するための信号を出力する位置情報表示出力手段を備えた無線タグ情報読み取り装置とを有することを特徴とする。
【0010】
本願第1発明の物品管理システムにおいては、管理対象物品に対し無線タグ回路素子が添付、貼り付け、同梱等、関連して取り扱われるようになっており、その無線タグ回路素子のIC回路部に、当該管理対象物品の(自己)対象物情報と管理位置情報とが記憶されている。無線タグ情報読み取り装置の通信手段により無線タグ回路素子と無線通信が行われると、位置情報取得手段で管理位置情報が取得され、これに対応する信号が位置情報表示出力手段から表示手段へ出力される。この結果、当該無線タグ回路素子に関連付けられた管理対象物品の管理位置情報を表示手段で表示することが可能となる。
【0011】
このようにして、管理対象物品の無線タグ情報の読み取りを行うだけで、(特にデータベースアクセス等を行うことなく)当該物品が配置・収納されるべき位置が表示されるので、操作者(管理者)は各物品の配置・収納位置を確実に認識することができ、物品管理における利便性を向上することができる。
【0012】
第2発明は、上記第1発明において、前記無線タグ情報読み取り装置は、前記自己対象物情報を含む問いかけ信号を用いて、当該自己対象物情報に対応する前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された前記タグ識別情報を取得する第1タグ識別情報取得手段を有することを特徴とする。
【0013】
自己対象物情報を指定して問いかけ信号により問いかけを行うことにより、これに無線タグ回路素子の応答があれば、当該無線タグ回路素子に関連付けられた管理対象物品が、探したい物品であることになる。そこで、応答した無線タグ回路素子のタグ識別情報を第1タグ識別情報取得手段で取得することにより、この取得結果に基づきタグ識別情報を用いて当該無線タグ回路素子を特定することができる。この結果、その特定した無線タグ回路素子に対し位置情報取得手段で管理対象物品の管理位置情報を取得し、当該物品の配置・収納位置を特定することができる。
【0014】
第3発明は、上記第2発明において、前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、対応する管理対象物品の入出荷履歴を表す自己入出荷履歴情報を前記IC回路部に記憶しており、前記無線タグ情報読み取り装置は、前記IC回路部に記憶された前記自己入出荷履歴情報を取得する第1履歴情報取得手段を有することを特徴とする。
【0015】
自己対象物情報を指定した問いかけ信号に応答した無線タグ回路素子から自己入出荷履歴情報を取得することにより、探したい物品の入出荷履歴を確認することができ、さらに利便性が向上する。
【0016】
第4発明は、上記第2又は第3発明のいずれかにおいて、前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、対応する管理対象物品の総在庫数を表す自己総在庫情報を前記IC回路部に記憶しており、前記無線タグ情報読み取り装置は、前記IC回路部に記憶された前記自己総在庫情報を取得する第1総在庫情報取得手段を有することを特徴とする。
【0017】
自己対象物情報を指定した問いかけ信号に応答した無線タグ回路素子から自己総在庫情報を取得することにより、探したい物品の総在庫数を確認することができ、さらに利便性が向上する。
【0018】
第5発明は、上記第2乃至第4発明のいずれかにおいて、前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、対応する管理対象物品の使用予約の有無を表す自己予約情報を前記IC回路部に記憶しており、前記無線タグ情報読み取り装置は、前記IC回路部に記憶された前記自己予約情報を取得する第1予約情報取得手段を有することを特徴とする。
【0019】
自己対象物情報を指定した問いかけ信号に応答した無線タグ回路素子から自己予約情報を取得することにより、探したい物品が、既に使用予定として予約されているかどうかを確認することができるので、さらに利便性が向上する。
【0020】
第6発明は、上記第2乃至第5発明のいずれかにおいて、前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、前記IC回路部に、近傍所定範囲内に位置する他の無線タグ回路素子に対応した隣接対象物情報を記憶しており、前記無線タグ情報読み取り装置は、前記隣接対象物情報を含む問いかけ信号を用いて、当該隣接対象物情報を記憶した前記IC回路部を備えた無線タグ回路素子の前記タグ識別情報を取得する第2タグ識別情報取得手段
を有することを特徴とする。
【0021】
隣接対象物情報を指定した問いかけ信号により問いかけを行うことにより、これに応答する他の無線タグ回路素子があれば、(自己対象物情報を指定した問いかけ信号に応答がなかった場合でも)当該無線タグ回路素子に関連付けられた管理対象物品は、探したい物品と配置・収納位置が近い物品であることになる。応答した無線タグ回路素子のタグ識別情報を第2タグ識別情報取得手段で取得することで、この取得結果に基づきタグ識別情報を用いて当該無線タグ回路素子を特定することができる。これにより、その特定した無線タグ回路素子に対し位置情報取得手段で管理位置情報を取得することで、当該物品(探したい物品の近くにある物品)の配置・収納位置を特定することができる。
【0022】
第7発明は、上記第6発明において、前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、前記他の無線タグ回路素子に対応する前記管理対象物品の入出荷履歴を表す隣接入出荷履歴情報を前記IC回路部に記憶しており、前記無線タグ情報読み取り装置は、前記IC回路部に記憶された前記隣接入出荷履歴情報を取得する第2履歴情報取得手段を有することを特徴とする。
【0023】
これにより、探したい物品が所定の配置・収納位置になく自己対象物情報を指定した問いかけ信号に応答する無線タグ回路素子がなかったとしても、隣接対象物情報を指定した問いかけ信号に応答した無線タグ回路素子があった場合、その隣接入出荷履歴情報(=探したい物品の自己入出荷履歴情報に相当)を取得することができる。この結果、探したい物品の入出荷履歴を確認することができるので、管理対象物品不在状態でも管理が可能となり、さらに利便性を向上することができる。
【0024】
第8発明は、上記第6又は第7発明において、前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、前記他の無線タグ回路素子に対応する前記管理対象物品の総在庫数を表す隣接総在庫情報を前記IC回路部に記憶しており、前記無線タグ情報読み取り装置は、前記IC回路部に記憶された前記隣接総在庫情報を取得する第2総在庫情報取得手段を有することを特徴とする。
【0025】
これにより、探したい物品が所定の配置・収納位置になく自己対象物情報を指定した問いかけ信号に応答する無線タグ回路素子がなかったとしても、隣接対象物情報を指定した問いかけ信号に応答した無線タグ回路素子があった場合、その隣接総在庫情報(=探したい物品の自己総在庫情報に相当)を取得することができる。この結果、探したい物品の総在庫数を確認することができるので、管理対象物品不在状態でも管理が可能となり、さらに利便性を向上することができる。
【0026】
第9発明は、上記第6乃至第8発明のいずれかにおいて、前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、前記他の無線タグ回路素子に対応する前記管理対象物品の使用予約の有無を表す隣接予約情報を前記IC回路部に記憶しており、前記無線タグ情報読み取り装置は、前記IC回路部に記憶された前記隣接予約情報を取得する第2予約情報取得手段を有することを特徴とする。
【0027】
これにより、探したい物品が所定の配置・収納位置になく自己対象物情報を指定した問いかけ信号に応答する無線タグ回路素子がなかったとしても、隣接対象物情報を指定した問いかけ信号に応答した無線タグ回路素子があった場合、その隣接予約情報(=探したい物品の自己予約情報に相当)を取得することができる。この結果、探したい物品が、既に使用予定として予約されているかどうかを確認することができるので、管理対象物品不在状態でも管理が可能となり、さらに利便性を向上することができる。
【0028】
第10発明は、上記第6乃至第9発明のいずれかにおいて、前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、対応する管理対象物品の、前記他の無線タグ回路素子に対応した前記管理対象物品との互換性情報を前記IC回路部に記憶しており、前記無線タグ情報読み取り装置は、前記IC回路部に記憶された前記互換性情報を取得する互換性情報取得手段と、この互換性情報取得手段で取得した前記互換性情報を表示手段に表示するための信号を出力する互換性情報表示出力手段とを有することを特徴とする。
【0029】
これにより、探したい物品が所定の配置・収納位置になく自己対象物情報を指定した問いかけ信号に応答する無線タグ回路素子がなかったとしても、隣接対象物情報を指定した問いかけ信号に応答した無線タグ回路素子があった場合、その互換性情報を取得し表示させることができる。この結果、探したい物品に代えて別の物品によって代用できるかどうかを確認することができるので、さらに利便性を向上することができる。
【0030】
上記目的を達成するために、第11発明は、管理対象物品に関連して取り扱われ、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグ側アンテナとを備えた無線タグ回路素子を有する無線タグであって、前記IC回路部は、タグ識別情報と、前記管理対象物品の自己対象物情報と、前記管理対象物品の管理位置情報と
を記憶保持していることを特徴とする。
【0031】
本願第11発明の無線タグは、管理対象物品に対して添付、貼り付け、同梱等、関連して取り扱われるともに、無線タグ回路素子のIC回路部に、当該管理対象物品の(自己)対象物情報と管理位置情報とが記憶されている。これにより、無線タグ情報読み取り装置側と無線通信が行われることで装置側で管理位置情報が取得され、管理対象物品の管理位置情報を表示することが可能となる。
【0032】
このようにして、管理対象物品の無線タグ情報の読み取りを行うだけで、(特にデータベースアクセス等を行うことなく)当該物品が配置・収納されるべき位置を表示させることができるので、操作者(管理者)は各物品の配置・収納位置を確実に認識することができ、物品管理における利便性を向上することができる。
【0033】
第12発明は、上記第11発明において、前記IC回路部は、近傍所定範囲内に位置する他の無線タグ回路素子に対応した隣接対象物情報を記憶保持している
ことを特徴とする。
【0034】
これにより、無線タグ情報読み取り装置側からの自己対象物情報を指定した問いかけ信号に応答がなかった場合であっても、隣接対象物情報を指定した問いかけ信号により問いかけを行うことで、応答した無線タグ回路素子に関連付けられた管理対象物品は探したい物品と配置・収納位置が近い物品であることになる。この結果、探したい物品の近くにある物品の配置・収納位置を特定することができる。
【0035】
上記目的を達成するために、第13発明は、管理対象物品に関連して取り扱われ、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグ側アンテナとを有し、前記IC回路部に、タグ識別情報と前記管理対象物品の自己対象物情報及び管理位置情報とをそれぞれ記憶した複数の無線タグ回路素子と無線通信により情報の送受信を行うための通信手段と、この通信手段を介し前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された前記管理位置情報を取得するための位置情報取得手段と、この位置情報取得手段で取得した前記管理位置情報を表示手段に表示するための信号を出力する位置情報表示出力手段と、前記自己対象物情報を含む問いかけ信号を用いて、当該自己対象物情報に対応する前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された前記タグ識別情報を取得する第1タグ識別情報取得手段とを有することを特徴とする。
【0036】
本願第13発明においては、管理対象物品に対し無線タグ回路素子が添付、貼り付け、同梱等、関連して取り扱われるようになっており、その無線タグ回路素子のIC回路部に、タグ識別情報と当該管理対象物品の(自己)対象物情報及び管理位置情報とが記憶されている。そして、通信手段によって無線タグ回路素子と無線通信が行われる。このとき、自己対象物情報を指定して問いかけ信号により問いかけを行うことにより、これに無線タグ回路素子の応答があれば、当該無線タグ回路素子に関連付けられた管理対象物品が、探したい物品であることになる。
【0037】
そこで、応答した無線タグ回路素子のタグ識別情報を第1タグ識別情報取得手段で取得することにより、この取得結果に基づきタグ識別情報を用いて当該無線タグ回路素子を特定することができる。この結果、その特定した無線タグ回路素子に対し位置情報取得手段で管理対象物品の管理位置情報を取得し、これに対応する信号を位置情報表示出力手段で表示手段へ出力することができる。このようにして、探したい物品の管理位置情報を表示手段で表示させ、当該物品の配置・収納位置を特定することができる。
【0038】
以上のように、管理対象物品の無線タグ情報の読み取りを行うだけで、(特にデータベースアクセス等を行うことなく)、操作者(管理者)は各物品の配置・収納位置を確実に認識することができ、物品管理における利便性を向上することができる。
【0039】
第14発明は、上記第13発明において、前記通信手段は、近傍所定範囲内に位置する他の無線タグ回路素子に対応した隣接対象物情報をさらに前記IC回路部に記憶した前記無線タグ回路素子と無線通信により情報の送受信を行い、前記隣接対象物情報を含む問いかけ信号を用いて、当該隣接対象物情報を記憶した前記IC回路部を備えた無線タグ回路素子の前記タグ識別情報を取得する第2タグ識別情報取得手段を設けたことを特徴とする。
【0040】
隣接対象物情報を指定した問いかけ信号により問いかけを行うことにより、これに応答する他の無線タグ回路素子があれば、(自己対象物情報を指定した問いかけ信号に応答がなかった場合でも)当該無線タグ回路素子に関連付けられた管理対象物品は、探したい物品と配置・収納位置が近い物品であることになる。そこで、応答した無線タグ回路素子のタグ識別情報を第2タグ識別情報取得手段で取得することにより、この取得結果に基づきタグ識別情報を用いて当該無線タグ回路素子を特定することができる。これにより、その特定した無線タグ回路素子に対し位置情報取得手段で管理位置情報を取得することで、当該物品(探したい物品の近くにある物品)の配置・収納位置を特定することができる。
【0041】
第15発明は、上記第13発明又は第14発明において、前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、対応する管理対象物品の総在庫数を表す自己総在庫情報を前記IC回路部に記憶しており、前記管理対象物品の入出荷に対応して更新した前記自己総在庫情報を、前記通信手段を介し、対応する前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に書き込む第1書き込み手段を有することを特徴とする。
【0042】
これにより、管理対象物品の入出荷に応じて自己総在庫情報が変動したとき、これを確実に反映させ、常に最新の情報を各無線タグ回路素子に記憶させることができる。
【0043】
第16発明は、上記第13乃至第15発明のいずれかにおいて、前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、前記他の無線タグ回路素子に対応する前記管理対象物品の総在庫数を表す隣接総在庫情報を前記IC回路部に記憶しており、前記他の無線タグ回路素子に対応する前記管理対象物品の入出荷に対応して更新した前記隣接総在庫情報を、前記通信手段を介し、対応する前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に書き込む第2書き込み手段を有すること特徴とする。
【0044】
これにより、管理対象物品の入出荷に応じて隣接総在庫情報が変動したとき、これを確実に反映させ、常に最新の情報を各無線タグ回路素子に記憶させることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、物品管理時の管理者が、少ない操作負担や労力で各物品の配置・収納位置を確実に認識することができ、物品管理における利便性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明の物品管理システムを消費材などの物品の在庫を管理する在庫管理システムに適用した場合の実施形態である。
【0047】
図1は、本実施形態の在庫管理システムの外観を表す斜視図である。
【0048】
この図1において、この在庫管理システム(物品管理システム)Sは、この例で縦に3段の載置段(上から下へ順に上段載置段101、中段載置段102、下段載置段103)を有する保管棚100において、各載置段101,102,103に載置保管されている物品の在庫状態の管理を行うものである。この例では、消費材である物品は容器に収容された薬品(管理対象物品)1であり、保管棚100の各載置段別にそれぞれ同じ品種の薬品1が区別されて保管される。各載置段101,102,103にそれぞれ保管される薬品1の品種の配置は予め設定されており、この例では保管棚100の上段載置段101に品種Aの薬品1A、中段載置段102に品種Bの薬品1B、下段載置段103に品種Cの薬品1Cがそれぞれ保管されている。そして、使用者(操作者、管理者)Mは在庫管理システムSを使用して薬品1の在庫管理処理を行うことにより、任意の品種の薬品1を任意の個数で持ち出し(出荷)、持ち出しの予約、及び補充(入荷)を行うことができる。
【0049】
この図1に示すように、在庫管理システムSは、使用者Mが所持する人物タグTjと、本実施形態による無線タグとして各薬品1の容器に貼付される物品タグラベルTbと、これら人物タグTj及び物品タグラベルTbに対して無線通信を介し各種無線タグ情報のアクセス(読み取り又は書き込み)を行う、本実施形態による無線タグ情報読み取り装置としての携帯管理装置2とから構成されている。
【0050】
図2は、本実施形態の在庫管理システムSの概略を表すシステム構成図である。
【0051】
この図2において、前述したように、在庫管理システムSは、上記人物タグTjと、上記物品タグラベルTbと、上記携帯管理装置2とから構成されている。
【0052】
携帯管理装置2は、装置本体3と、装置側アンテナ(通信手段)4とを有している。装置本体3は、CPU(中央演算装置)5と、タグラベル作成部6と、例えばRAMやROM等からなるメモリ7と、使用者(携帯管理装置の操作者)からの指示や情報が入力される操作部8と、各種情報やメッセージを表示する表示部(表示手段)9と、装置側アンテナ4を介し物品タグラベルTb及び人物タグTjとの無線通信の制御を行うRF通信制御部10とを備えている。
【0053】
CPU5は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって物品タグラベルTb及び人物タグTjの検出処理やそれらに記憶されている無線タグ情報の読み取りと書き込み、さらに対応する情報の管理処理を行い、またタグラベル作成部6に対し物品タグラベルTbを作成する処理を行うようになっている。
【0054】
物品タグラベルTbは、タグ側アンテナ151とIC回路部150とを備える無線タグ回路素子Toを、物品に貼付可能なタグテープに設けた構成のものである。
【0055】
人物タグTjは、使用者が所持するIDカード(例えば社員証や身分証明証など)に、上記物品タグラベルTbに備えられているものと同じ構成の無線タグ回路素子Toを設けたものである。
【0056】
上記の在庫管理システムSにおいて、薬品1の持ち出し操作時には、使用者Mが持ち出そうとする品種の薬品1の管理位置付近で携帯管理装置2を操作する。そして、持ち出し対象の品種の薬品1に貼付されている物品タグラベルTbの無線タグ回路素子To、又は、その持ち出し対象の品種の薬品1に隣接して保管されている他品種の薬品1の物品タグラベルTbの無線タグ回路素子To(他の無線タグ回路素子To)から、持ち出し対象品種の薬品1の管理状態に関する情報(管理位置に関する情報も含む)を読み取り、使用者Mはその情報に基づいて薬品1の持ち出し又は持ち出し予約を行う。そして、それによって変化した管理状態に対応するよう各物品タグラベルTbに対して新しい管理状態の情報に変更する書き換えを行う。この際に、薬品1の持ち出し又は予約した使用者Mに関する情報(名前など)を人物タグTjから読み取り、上記物品タグラベルTbへの書き換えに反映させる。
【0057】
また、薬品1の補充操作時には、上記持ち出し操作時と同じく補充対象の品種の薬品1の管理位置付近で携帯管理装置2を操作する。そして、補充対象品種の薬品1の物品タグラベルTb、又はその補充対象品種の薬品1に隣接して保管されている他品種の薬品1の物品タグラベルTbから補充対象品種の薬品1の管理状態に関する情報を読み取り、携帯管理装置2はその情報に基づいて補充しようとする薬品1の個体に貼付する物品タグラベルTbを新規に作成する。この際、補充対象品種及びそれに隣接する品種のそれぞれの管理状態の情報を新規の物品タグラベルTbに書き込む。そして、補充によって変化した管理状態に対応するよう各物品タグラベルTbに対して新しい管理状態の情報に変更する書き換えを行う。
【0058】
図3は、上記携帯管理装置2におけるCPU5、RF通信制御部10、及び装置側アンテナ4の詳細構成を表す機能ブロック図である。この図3において、携帯管理装置2のRF通信制御部10は上記装置側アンテナ4を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報(タグIDを含む無線タグ情報;詳しくは後述する)へアクセスするものであり、また携帯管理装置2のCPU5は無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするためのアクセス情報を生成する機能を含み、携帯管理装置2全体の動作を制御するものである。
【0059】
RF通信制御部10は、装置側アンテナ4を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部212と、装置側アンテナ4により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部213と、送受分離器214とから構成される。
【0060】
送信部212は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスする (この例では読み取り及び書き込み)ための搬送波を発生させるよう水晶振動子215A、CPU5の制御により所定の周波数の信号を発生させるPLL(Phase Locked Loop)215B、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)215Cと、上記CPU5から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例ではCPU5からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216(但し「TX_ASK信号」の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例ではCPU5からの「TX_PWR」信号によって決定される増幅率で増幅)する可変送信アンプ217とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、例えばUHF帯又はマイクロ波帯の周波数を用いており、上記送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介し装置側アンテナ4に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0061】
受信部213は、装置側アンテナ4で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを乗算して復調する受信第1乗算回路218と、その受信第1乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219と、この第1バンドパスフィルタ219の出力を増幅する受信第1アンプ221と、この受信第1アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220と、上記装置側アンテナ4で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器227により位相を90°遅らせた搬送波とを乗算する受信第2乗算回路222と、その受信第2乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223と、この第2バンドパスフィルタ223の出力を増幅する受信第2アンプ225と、この受信第2アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224とを備えている。そして、上記第1リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記CPU5に入力されて処理される。
【0062】
また、受信第1アンプ221及び受信第2アンプ225の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」がCPU5に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態の携帯管理装置2では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
【0063】
図4は、タグラベル作成部6の概略構成を表す概念的説明図である。この図4において、このタグラベル作成部6は、後述する無線タグ回路素子Toを所定間隔で備えたタグテープ303をタグテープロール304に巻回してこのタグテープ303を連続的に供給するカートリッジ300を着脱可能なカートリッジホルダ308と、このタグテープロール304から繰り出されたタグテープ303(又はこのタグテープ303に貼り合わされる図示しない被印字媒体)のうち各無線タグ回路素子Toに対応した所定領域に所定の印字を行う印字ヘッド305と、無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行うための作成部アンテナ306及び高周波回路(通信手段)301と、入出力インタフェース310を介して上記CPU5等に接続された制御回路302と、タグテープ303への印字及び無線タグ回路素子Toへの上記情報書き込みが終了したタグテープ303を所定の長さに切断して上記タグラベルTb,Thとするカッタ307と、印字ヘッド305に対向して設けられ、制御回路302により制御されてタグテープ303を搬送する搬送装置(搬送手段)309とを有する。
【0064】
タグラベル作成部6が備える高周波回路301及び制御回路302は、詳細な説明を省略するが、前述した上記携帯管理装置2のRF通信制御部10及びCPU5とほぼ同等の機能を備えるものであり、無線タグ回路素子(物品タグラベルTb又は人物タグTjに備えられる無線タグ回路素子To)ToのIC回路部150への無線タグ情報(タグ識別情報であるタグIDを含む)を前記作成部アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に対して情報書き込みを行う。なお、タグラベル作成部6の高周波回路301及び制御回路302は、上記携帯管理装置2のRF通信制御部10及びCPU5を利用しても良い。
【0065】
図5は、上記物品タグラベルTb及び人物タグTjに共通して備えられた上記無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
【0066】
図5において、無線タグ回路素子Toは、上述したように携帯管理装置2の装置側アンテナ4や作成部アンテナ306と例えばUHF帯、マイクロ波、短波帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行うタグ側アンテナ151と、このタグ側アンテナ151に接続されたIC回路部150とを有している。
【0067】
IC回路部150は、タグ側アンテナ151により受信された搬送波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された搬送波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部153と、上記タグ側アンテナ151により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部(後述)157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部155と、上記タグ側アンテナ151に接続された変復調部156と、上記整流部152、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための制御部157とを備えている。
【0068】
変復調部156は、タグ側アンテナ151により受信された上記携帯管理装置2の装置側アンテナ4(又は作成部アンテナ306)からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部157からの返信信号に基づき、装置側アンテナ4(又は作成部アンテナ306)より受信された搬送波を変調し、タグ側アンテナ151より反射波として再送信する。
【0069】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部156により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0070】
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部157にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の速度に対応したクロックを制御部157に供給する。
【0071】
なお、メモリ部155には少なくとも物品タグラベルTb及び人物タグTjをそれぞれ個体別に識別するためのタグIDが記憶されており、これらタグIDについては、物品タグラベルTbと人物タグTjとを区別できるデータ構成の情報となっている。またこれに対応して携帯管理装置2は、物品タグラベルTbと人物タグTjとを区別して検出できるようになっている。
【0072】
図6は、上記物品タグラベルTbの全体概略構造の一例を表す図であり、図6(a)は物品グラベルTbの上面図、図6(b)は物品タグラベルTbの下面図である。これら図6(a)及び図6(b)において、タグラベルTbは、例えば略シート形状のラベル本体149の中央に無線タグ回路素子Toを配置している。
【0073】
図6(a)に示すように、物品タグラベルTbのラベル本体149の表側(上面)には、貼付対象の薬品1の品種名(この例では「薬品A」)とその貼付対象の個体の登録番号(この例では「00275」;この自己個体登録番号については後述する)からなる印字文字Rが印字される印字領域Pが設けられている。なお、この印字文字Rのうち登録番号が印字に必須な項目であり、他に薬品1の容器に品種名が記載されているラベルなどが貼付されている場合には、物品タグラベルTbへの品種名の印字は省略してもよい。
【0074】
以上において、本実施形態の最も大きな特徴は、管理対象物品である薬品1に貼付する物品タグラベルTbにその薬品1の管理位置に関する情報を記憶させていることで、物品タグラベルTbから当該薬品1の配置・収納位置を直接読み取ることができ、確実に認識できることにある。以下、その詳細を順次説明する。
【0075】
まず、本実施形態の例において、物品タグラベルTbの無線タグ回路素子Toに記憶させる無線タグ情報の構成について説明する。
【0076】
図7は、物品タグラベルTbの無線タグ回路素子Toに記憶させる無線タグ情報の一例を概念的に表す図である。なお、この図7に示している例は、図1中の保管棚100の上段載置段101に載置保管される品種Aの薬品1Aに貼付される物品タグラベルTbに記憶される無線タグ情報である。この図示する例の無線タグ情報は、多数個のデータやパラメータからなる情報群であり、大別して自己絶対情報、自己補足情報、隣接絶対情報、隣接補足情報の4つに分類されている。
【0077】
自己絶対情報は、当該物品タグラベルTbが貼付される物品(この例では薬品1A;以下同様)に直接関係する情報であって、最初の物品タグラベルTbの新規作成時に記録した後には書き換えることのない(書き換え不可とする)固定情報群である。図示する例の自己絶対情報は、当該物品タグラベルTbに備えられている無線タグ回路素子Toを全ての無線タグ回路素子Toにおいて一意に特定するためのタグ識別情報である物品タグIDと、当該物品タグラベルTbが貼付される物品(以下、自己物品という)の品種(この例では品種「A」)に対応する自己品種コード(自己対象物情報)と、自己物品の品種のうちで例えば保管棚100に補充される順に連番で登録される各個体についての自己個体登録番号(自己対象物情報。上記物品タグIDに一対一に対応する)と、各個体ごとの自己個体製造年月日及び自己個体有効期限と、各個体(各個体に対応する品種)が保管される管理位置(この例では図1中に示す保管棚100の上段載置段101)を示す自己品種管理位置(管理位置情報)とで構成されている。なお、物品タグIDについては、使用者(又は上記タグテープ303の製造メーカにより)あらかじめ各無線タグ回路素子Toに記録されているものとする。
【0078】
自己補足情報は、自己物品の管理状態に関係する情報であって、物品タグラベルTbの新規作成時に記録した後でも物品の管理状態が変化(持ち出し、予約、補充)する度に書き換えられる可変情報群である。図示する例の自己補足情報としては、自己物品の品種の管理状態の変化により自己補足情報を最後に更新した日時を示す自己品種更新日時(自己入出荷履歴情報)と、自己物品の品種の管理位置に現在保管されている在庫数を示す自己品種在庫数(自己総在庫情報)と、自己物品各個体ごとの管理状態(予約されているか、持ち出されているか等)を示す自己個体状態フラグ(自己予約情報)と、各個体が持ち出し又は予約された場合のその使用者Mを示す自己個体使用者ID及び自己個体使用者名とで構成されている。
【0079】
そのうちの自己個体状態フラグについては、例えば、「0」である場合には当該個体が管理位置に予約されずに保管中の状態であることを示し、「1」である場合には当該個体が管理位置に載置されているもののすでに誰かが将来的に持ち出しを予約している状態であることを示し、「2」である場合には当該個体がすでに誰かに管理位置から持ち出されている状態であることを示している。また、自己品種在庫数は保管中(「0」)の物品と予約済み(「1」)の物品との合計を示している。
【0080】
隣接絶対情報は、当該物品タグラベルTbが貼付される物品の管理位置の近傍所定範囲(この例では上下方向に隣接する段)に保管されている物品(以下、隣接物品という)に直接関係する情報であって、上記自己絶対情報と同様に新規作成時以外では書き換えることのない固定情報群である。図示する例の隣接絶対情報は、隣接物品の品種(この例では品種「B」)に対応する隣接品種コード(隣接対象物情報)と、隣接物品の品種が保管される管理位置(この例では図1中に示す保管棚100の中段載置段102)を示す隣接品種管理位置と、隣接物品の品種と自己物品の品種との使用の互換性の有無を示す隣接品種互換性フラグ(互換性情報)とで構成されている。
【0081】
そのうちの隣接品種互換性フラグについては、例えば自己物品と隣接物品がともに同一物品(この例では薬品1Aと薬品1Bでありともに「薬品」で共通)の場合において、隣接物品に対して自己物品が代替的に使用できるかどうかの互換性を示すパラメータである。例えば、互換性の有無を「0」と「1」の2段階だけで示してもよいし、または互換性の程度に応じて複数のレベルで段階的に示してもよいし、または複数の使用用途別に対応してそれぞれの互換性を示すようにしてもよい。
【0082】
隣接補足情報は、当該物品タグラベルTbが貼付される物品の管理位置に隣接する位置に保管されている物品の管理状態に関係する情報であって、上記自己補足情報と同様に新規作成時以外でも隣接する物品の管理状態が変化する度に書き換えられる可変情報群である。図示する例の隣接補足情報は、隣接物品の品種の管理状態の変化により隣接補足情報を最後に更新した日時を示す隣接品種更新日時(隣接入出荷履歴情報)と、隣接物品の品種の管理位置に現在保管されている在庫数を示す隣接品種在庫数(隣接総在庫情報)と、隣接物品の個体の管理状態を示す隣接個体状態テーブル(後述の図8参照)とで構成されている。
【0083】
図8は、物品タグラベルTbの無線タグ回路素子Toに記憶させる隣接個体状態テーブルの一例を概念的に表す図である。この図8に示す例の隣接個体状態テーブルは、現在までに隣接位置に保管された隣接物品の各個体の隣接個体登録番号に対応して、隣接個体状態フラグ(隣接予約情報)、隣接個体使用者ID、及び隣接個体使用者名が格納される相関情報の形式で構成されている。
【0084】
そのうちの隣接個体状態フラグは、この例では、上記自己個体状態フラグと同様にその内容が「0」である場合には保管中の状態であることを示し、「1」である場合には予約済みの状態であることを示し、「2」である場合にはすでに管理位置から持ち出し済みの状態であることを示している。また、隣接個体使用者IDと隣接個体使用者名については、隣接物品の個体が持ち出し又は予約された際にその使用者Mを特定するための識別情報であり、この例では当該使用者Mが所持している人物タグTjから読み取った人物タグIDと使用者名(これらは後に詳述する)がそれぞれ適用されて記録される。
【0085】
なお、上記図7で示した無線タグ情報は、前述したように、図1中の保管棚100の上段載置段101に載置保管される品種Aの薬品1Aに対応する無線タグ情報の場合を例にとって示している。このため、隣接物品は中段載置段102に載置保管される品種Bの薬品1Bだけとなり、したがって隣接絶対情報と隣接保管情報は(1品種に対応する)一つのみ示している。しかし、中段載置段102に載置保管される品種Bの薬品1Bの場合については、隣接物品は上段載置段101と下段載置段103にそれぞれ載置保管される品種Aと品種Cの薬品1Cの2種類となるため、無線タグ回路素子Toのメモリ部155の記憶容量が十分に大きい場合には、それら2種類(2品種)の隣接物品にそれぞれ対応して隣接絶対情報及び隣接補足情報を2つずつ記憶するようにするとよい。
【0086】
また、特に図示しないが、人物タグTjの無線タグ回路素子Toに記憶される無線タグ情報としては、当該人物タグTjに備えられている無線タグ回路素子Toを全ての無線タグ回路素子Toにおいて一意に特定するための識別情報である人物タグIDと、当該人物タグTjを所持する使用者Mの使用者名とで構成されている。また、携帯管理装置2のメモリ7には、管理対象となる全ての薬品1の品種におけるそれぞれの品種コードと、品種名と、当該品種における最新の自己個体登録番号とが対応して記憶されている。
【0087】
図9は、上記携帯管理装置2のCPU5によって実行される在庫管理処理の制御手順を表すフローチャートである。
【0088】
この図9において、使用者Mが携帯管理装置2の電源を投入するとこのフローが開始される。なお、以下に説明する本実施形態の全ての制御手順は、図1に示す保管棚100の上段載置段101を管理位置とする品種Aの薬品1Aを在庫管理(持ち出し、予約、補充)の主対象物品(自己物品)とした例で説明する。すなわち、隣接物品が中段載置段102の品種Bの薬品1Bのみである場合を例にとっている。
【0089】
まずステップS5において、使用者Mが操作部8を介して持ち出し操作処理と補充操作処理のいずれを選択入力する操作が行われたか否かを判定する。いずれかの操作処理の選択入力が行われるまでループして待機し、選択入力が行われた場合、判定が満たされ、次のステップS10へ移る。
【0090】
ステップS10では、上記ステップS5において選択入力された操作処理が持ち出し操作処理であるか否かを判定する。持ち出し操作処理が選択入力されている場合、判定が満たされ、ステップS100の持ち出し操作処理を行った後にステップS15へ移る。一方、補充操作処理が選択入力されている場合、判定が満たされず、ステップS300の補充操作処理を行った後にステップS15へ移る。
【0091】
ステップS15では、操作部8においてこの在庫管理処理のフローを終了させる操作がなされたか否かを判定する。終了操作がなされていない場合、判定が満たされず、ステップS5に戻りこのフローを最初から繰り返す。一方、終了操作がなされていた場合、判定が満たされ、このフローを終了する。
【0092】
図10、図11は、携帯管理装置2のCPU5が図9中のステップS100において実行する持ち出し操作処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【0093】
図10において、まずステップS105において、使用者Mが持ち出し(持ち出しの予約も含む)を行う対象の薬品1(自己物品)の品種名を選択指定する入力操作が操作部8を介して行われたか否かを判定する。なお、この選択指定の際には、メモリ7に記憶している全ての薬品1の品種名を列記表示(メニュー表示)してそこから選択できるようにしてもよい。そして、いずれかの薬品1の品種名を選択指定する入力操作が行われるまでループして待機し、入力操作が行われた場合、判定が満たされ、次のステップS110へ移る。
【0094】
ステップS110では、上記ステップS105で指定入力された品種名に対応する品種コード(この例では品種Aに対応する品種コードA;以下同様)をメモリ7から取得し、次のステップS115へ移る。
【0095】
ステップS115では、保管棚100に保管されている多数個の薬品1にそれぞれ貼付されている物品タグラベルTbの無線タグ回路素子Toに対して、RF通信制御部10及び装置側アンテナ4を介し自己品種コードがこの例の品種コードAである物品タグラベルTbを探索する。ここで、この「探索」とは、問いかけ信号を用いて特定の条件(上記の場合、自己品種コードが品種コードA)を満たす無線タグ回路素子ToからそのタグIDを取得することであり、以下において同様とする。
【0096】
次にステップS120へ移り、上記ステップS115の探索によって対応する物品タグラベルTbが検出されたか(装置側アンテナ4及びRF通信制御部10を介し上記問いかけ信号に対応する応答信号が受信されたか)否かを判定する。対応する物品タグラベルTb、すなわち自己品種コードがこの例の品種コードAである物品タグラベルTbが一つでも検出された場合、判定が満たされ、すなわち使用者Mが持ち出し又は予約しようとしている目的の品種Aの薬品1Aの個体が保管棚100に少なくとも一つは保管されているものとみなされ、ステップS125へ移る。
【0097】
ステップS125では、上記ステップS115の探索により検出された物品タグラベルTbからの上記応答信号に含まれる自己絶対情報と自己補足情報とを取得する。なお、ステップS115の探索により複数の物品タグTbが検出された場合は公知の手法で1つずつ別々に処理を行えばよい。
【0098】
なお、この例では上記ステップS120での問いかけ信号に対応する応答信号に自己絶対情報及び自己補足情報、さらには後述のように隣接絶対情報及び隣接補足情報も含まれている場合を例にとって説明しているが、これに限られない。すなわち応答信号には例えば識別情報(タグID)のみ等が含まれ、上記自己絶対情報、自己補足情報、隣接絶対情報、及び隣接補足情報が含まれていない場合には、上記ステップS120での応答信号により取得したタグIDを用いて対象無線タグ回路素子Toを特定して、再度情報要求信号をRF通信制御部10及び装置側アンテナ4を介して送信し、その応答信号に含まれる上記自己絶対情報、自己補足情報、隣接絶対情報、及び隣接補足情報を取得するようにしてもよい(以下同様)。
【0099】
次のステップS130では、上記ステップS125で取得された自己補足情報に含まれている自己個体状態フラグの内容が「0」であるか否か、すなわち検出した物品タグラベルTbに貼付されている薬品1Aの個体がすでに誰かにその持ち出しが予約されているか否かを判定する。
【0100】
自己個体状態フラグの内容が「1」である場合、すなわち対応する自己物品の個体がすでに予約済みであって持ち出しできない状態である場合、判定が満たされず、ステップS135へ移る。
【0101】
ステップS135では、表示部9に制御信号を出力して上記ステップS125で読み取った自己絶対情報のうちの自己個体登録番号とそれに対応する個体の薬品1Aがすでに予約済みであることを表示部9に表示し、ステップS115へ戻って物品タグラベルTbの探索を再度行い同様の手順を繰り返す。なお、ステップS130で自己個体状態フラグの内容が「2」である場合は、対応する薬品1Aの個体はすでに保管棚100から持ち出されて不在の状態を意味する。したがって、上記ステップS135において、上記同様に不在である旨の表示を表示部9に行わせるようにしてもよい。
【0102】
なお、この2度目以降のステップS115での探索においては、それまでに検出した物品タグラベルTbを除いた同じ自己品種コードAの他の物品タグラベルTbを探索し、その次のステップS120でそのような他の物品タグラベルTbの検出の有無を判定するようにしてもよい。これにより、予約済みの状態の物品タグラベルTbを除いた持ち出し可能又は新たに予約可能な状態の物品タグラベルTbのみを効率よく検出することができる。
【0103】
また一方、上記ステップS130の判定において、自己個体状態フラグの内容が「0」である場合、すなわち検出された物品タグラベルTbが貼付されている薬品1Aが持ち出し可能に保管されている状態である場合、判定が満たされ、ステップS140へ移る。
【0104】
ステップS140では、表示部9に制御信号を出力して上記ステップS125で取得した自己絶対情報と自己補足情報を表示部9に表示する。これにより、最も新しく検出した物品タグラベルTbが貼付されている薬品1Aの個体が現在持ち出し又は予約が可能な物品の候補であるものとしてそれに関する情報を使用者Mに示すことができる。
【0105】
次にステップS145へ移り、使用者Mが上記ステップS140で表示された薬品1Aの個体を持ち出す又は予約することを指示する入力操作が操作部8を介して行われたか否かを判定する。ここで、使用者Mは表示部9に表示された自己絶対情報と自己補足情報を参照して対応する薬品1Aの個体を持ち出す又は予約するか否かを決定することができる。使用者Mが当該薬品1Aの個体を持ち出すことを指示しない入力操作が行われた場合、判定は満たされず、すなわち使用者Mは当該薬品1Aの個体の使用を拒否したものとみなされ、そのままこのフローを終了する。なお、この場合にステップS115へ戻って物品タグラベルTbの探索からやり直してもよい。
【0106】
また一方、使用者Mが当該薬品1Aの個体を持ち出すことを指示する入力操作が行われた場合、判定が満たされ、ステップS150へ移る。ステップS150では、使用者Mが所持している人物タグTjの無線タグ回路素子Toに対してそのメモリ部155に記憶されている人物タグIDと使用者名を読み取る。すなわち、前述と同様、RF通信制御部10及び装置側アンテナ4を介し人物タグTjに係る無線タグ回路素子Toに問いかけ信号を送信し、装置側アンテナ4及びRF通信制御部10を介し上記問いかけ信号に対応する応答信号を受信し、受信信号より使用者名情報を取得する。なお、この例では問いかけ信号に対応する応答信号に使用者名情報も含まれている場合を例にとって説明しているが、前述と同様、応答信号により取得したタグIDを用いて対象無線タグ回路素子Toを特定して、再度情報要求信号をRF通信制御部10及び装置側アンテナ4を介して送信し、その応答信号に含まれる上記使用者名情報を取得するようにしてもよい(以下同様)。
【0107】
その後、次のステップS155で表示部9に制御信号を出力してそれら人物タグIDと使用者名を表示し、使用者Mに確認をうながす。
【0108】
次にステップS160へ移り、表示された人物タグIDと使用者名が正しいことを使用者Mが確認した入力操作が行われたか否かを判定する。正しいと確認した入力操作が行われない場合、すなわち表示された人物タグIDと使用者名が間違っているとの入力操作が行われた場合、判定が満たされず、すなわち人物タグTjの付け間違いや本来の使用者M以外の他の者の人物タグTjを誤って読み取るなどの誤作動等が生じたものとみなされ、ステップS150へ戻り同様の手順を繰り返す。一方、表示された人物タグIDと使用者名が正しいと確認した入力操作が行われた場合、判定が満たされ、次のステップS400で自己物品の個体の管理状態に関する情報の変更を行う自己物品情報変更処理を行い、このフローを終了する。
【0109】
また一方、上記ステップS120の判定において、上記ステップS115の探索によって自己品種コードがこの例の品種コードAである(かつ予約済みではない)物品タグラベルTbが一つも検出されなかった場合、判定は満たされず、すなわち使用者Mの目的とするこの例の品種Aの薬品1Aで持ち出し又は予約が可能な個体が保管棚100に一つも保管されていないものとみなされ、ステップS165以降の制御手順へ移る(ステップS165以降は図11を参照)。
【0110】
図11は、ステップS165以下の制御手順を表している。ここで、以下に説明するステップS165以降の制御手順は、本来使用者Mが使用目的としているこの例の品種Aの薬品1Aで持ち出し又は予約が可能な個体が保管棚100に不在である場合に、その品種Aと隣接する管理位置(この場合は中段載置段102)に保管されている品種Bの薬品1Bに対して品種Aとの使用互換性を確認しつつ持ち出し操作の処理を行うものである。
【0111】
図11において、まずステップS165では、保管棚100に保管されている多数個の薬品1にそれぞれ貼付されている物品タグラベルTbの無線タグ回路素子Toに対して、RF通信制御部10及び装置側アンテナ4を介し隣接品種コードがこの例の品種コードAである物品タグラベルTbを一つだけ探索する。なおこの例では、自己品種コードが品種コードAである物品タグラベルTbを貼付している品種Aの薬品1Aは、保管棚100の上段載置段101(最上端位置)に保管されているため、隣接品種コードが品種コードAである物品タグラベルTbとして検出されるものは保管棚100の中段載置段102に保管されている品種Bの薬品1Bに貼付された物品タグラベルTbとなる。
【0112】
次にステップS170へ移り、上記ステップS165の探索によって対応する物品タグラベルTbが検出されたか(装置側アンテナ4及びRF通信制御部10を介し上記問いかけ信号に対応する応答信号が受信されたか)否かを判定する。対応する物品タグラベルTb、すなわち隣接品種コードがこの例の品種コードAである物品タグラベルTbが一つでも検出された場合、判定が満たされ、すなわち本来使用者Mが持ち出し又は予約しようとしている目的の品種Aの薬品1Aに隣接する管理位置の薬品(この例の品種Bの薬品1B)で持ち出し又は予約が可能な個体が保管棚100に少なくとも一つは保管されているものとみなされ、ステップS175へ移る。なお、一方で、対応する物品タグラベルTbが一つも検出されない場合、判定は満たされず、このフローを終了する。
【0113】
ステップS175では、上記ステップS165の探索により検出された一つの物品タグラベルTbからの上記応答信号に含まれる自己絶対情報、自己補足情報、隣接絶対情報、及び隣接補足情報を取得する。
【0114】
次のステップS180では、その自己補足情報に含まれている自己個体状態フラグの内容が「0」であるか否か、すなわち検出した物品タグラベルTbに貼付されているこの例の品種Bの薬品1Bの個体がすでに誰かにその持ち出しが予約されているか否かを判定する。
【0115】
自己個体状態フラグの内容が「1」である場合、すなわち対応する自己物品の個体(つまり検出されたこの例の品種Bの薬品1Bの個体)がすでに予約済みであって持ち出しできない状態である場合、判定が満たされず、ステップS185へ移る。
【0116】
ステップS185では、上記ステップS135と同様の表示を表示部9に行い、ステップS165へ戻って物品タグラベルTbの探索を再度行い同様の手順を繰り返す。
【0117】
なお、この2度目以降のステップS165での探索においても、上記ステップS115と同様に、それまでに検出した物品タグラベルTbを除いた同じ自己品種コードB(つまり隣接品種コードA)である他の物品タグラベルTbを探索するようにしてもよい。
【0118】
また一方、上記ステップS180の判定において、自己個体状態フラグの内容が「0」である場合、すなわち検出された物品タグラベルTbが貼付されている薬品1Bの個体が持ち出し可能に保管されている状態である場合、判定が満たされ、ステップS190へ移る。
【0119】
ステップS190では、上記ステップS175で読み取った自己絶対情報に含まれる自己品種コードのこの例の品種コードBに対応する品種名Bをメモリ7から取得し、次のステップS195へ移る。
【0120】
ステップS195では、表示部9に制御信号を出力して上記ステップS190で取得したこの例の品種名Bと、上記ステップS175で読み取った自己絶対情報、自己補足情報、隣接絶対情報、及び隣接補足情報を表示部9に表示する。これにより、最も新しく検出した物品タグラベルTbが貼付されている薬品1Bの個体に関する情報を使用者Mに示すことができる。
【0121】
次にステップS200へ移り、使用者Mが上記ステップS195で表示された薬品1Bの個体を持ち出す又は予約することを指示する入力操作が操作部8を介して行われたか否かを判定する。ここで、使用者Mは表示部9に表示された自己絶対情報、自己補足情報、隣接絶対情報、及び隣接補足情報を参照して対応する薬品1Bの個体を持ち出す又は予約するか否かを決定することができる。特に、隣接絶対情報に含まれる隣接品種互換性フラグを使用者Mが参照することにより、本来使用者Mが目的としていたこの例の品種Aの薬品1Aの代わりに、検出されたこの例の品種Bの薬品1Bを使用可能であるかの使用互換性を確認し、持ち出し又は予約するか否かを検討することができる。
【0122】
使用者Mが当該品種Bの薬品1Bの個体を持ち出すことを指示しない入力操作が行われた場合、判定は満たされず、すなわち使用者Mは当該品種Bの薬品1Bの個体の使用を拒否したものとみなされ、そのままこのフローを終了する。なお、この場合にステップS165へ戻って物品タグラベルTbの探索からやり直してもよい。
【0123】
また一方、使用者Mが当該品種Bの薬品1Bの個体を持ち出すことを指示する入力操作が行われた場合、判定が満たされ、ステップS205へ移る。ここで、以降に続くステップS205、ステップS210、及びステップS215は、それぞれ上記ステップS150、ステップS155、及びステップS160と同様に使用者Mの人物タグTjから読み取った人物タグIDと使用者名を使用者Mに確認させる手順であり、ここではその説明を省略する。
【0124】
そしてステップS215の判定において、表示された人物タグIDと使用者名が正しいと確認した入力操作が行われた場合、判定が満たされ、次のステップS500へ移り、この例の品種Bの薬品1B(本来使用者Mの目的であるこの例の品種Aの薬品1Aに対する隣接物品)の個体の管理状態に関する情報の変更を行う隣接物品情報変更処理を行い、このフローを終了する。
【0125】
図12は、携帯管理装置2のCPU5が図10中のステップS400において実行する自己物品情報変更処理の詳細手順を表すフローチャートである。なお、以下の説明で頭文字に「仮〜」が付帯する仮変数は、本実施形態を説明する便宜上、いずれも無線タグ情報の変更書き換えに用いる変数であり、書き込みが行われるまでは、仮の値として、例えば上記メモリ7のRAM等に記憶されているものとする。
【0126】
図12において、まずステップS405において、使用者Mが上記図10のステップS145で持ち出しを決定したこの例の品種Aの薬品1Aに対し実際に保管棚100から持ち出すのか、又はこの時点では予約だけにするのかを選択入力する操作が操作部8を介して行われたか否かを判定する。いずれかの選択入力が行われるまでループして待機し、選択入力が行われた場合、判定が満たされ、次のステップS410へ移る。
【0127】
ステップS410では、上記ステップS405において予約が選択されたか否かを判定する。持ち出しが選択されている場合、判定が満たされず、ステップS415へ移り、仮個体状態フラグに「2」(持ち出し済み)を代入する。仮品種在庫数に上記図10のステップS125で取得した自己品種在庫数から1を減算した値を代入してステップS425へ移る。また一方、予約が選択されている場合、ステップS410の判定が満たされ、ステップS420へ移り、仮個体状態フラグに「1」(予約済み)を代入し、仮品種在庫数に上記図10のステップS125で取得した自己品種在庫数をそのまま代入してステップS425へ移る。
【0128】
ステップS425では、仮品種更新日時にその時点での現在日時を代入し、仮個体使用ID及び仮個体使用者名にそれぞれ上記図10のステップS150で読み取った人物タグID(人物を特定する識別情報として使用)と使用者名を代入する。
【0129】
次にステップS430へ移り、検出された物品タグラベルTbの自己補足情報に上記設定済みの仮変数を変更情報としてそれぞれ対応させて書き込む。すなわち、上記図10のステップS115で検出特定されてステップS145で使用者Mにより持ち出し又は予約を決定された物品タグラベルTbの無線タグ回路素子Toに対し、RF通信制御部10及び装置側アンテナ4を介して公知の「Program」信号等の書き込み信号を送信することにより、当該無線タグ回路素子Toに記憶されている上記自己品種更新日時を仮品種更新日時で置き換え、自己品種在庫数を仮品種在庫数で置き換え、自己個体状態フラグを仮個体状態フラグで置き換え、自己個体使用者IDを仮個体使用者IDで置き換え、自己個体使用者名を仮個体使用者名で置き換える(変更する)ように書き込みを行う。
【0130】
次にステップS435へ移り、前述のステップS115と同様にして、上記ステップS430で書き込んだ物品タグラベルTb以外で自己品種コードがこの例の品種コードAである物品タグラベルTbを探索する。
【0131】
その後、次のステップS440において、上記ステップS435で探索され検出特定された物品タグラベルTbの無線タグ回路素子Toに関し、RF通信制御部10及び装置側アンテナ4を介して公知の「Program」信号等の書き込み信号を送信することによりその記憶した自己補足情報に対し上記仮品種更新日時及び仮品種在庫数をそれぞれ対応させて書き込む。なお、ステップS435の探索により複数の物品タグTbが検出された場合は公知の手法で1つずつ別々に処理を行えばよい。これにより、この例の品種Aの薬品1Aに貼付されているすべての物品タグラベルTbに対して必要な情報の更新が行われることになる。
【0132】
次にステップS445へ移り、前述のステップS165と同様にして、隣接品種コードがこの例の品種コードAである物品タグラベルTb(つまりこの例では品種Bの薬品1Bに貼付されている自己品種コードBの物品タグラベルTb)を探索する。
【0133】
そして次のステップS450で、上記ステップS445で探索され検出特定された物品タグラベルTbの無線タグ回路素子Toに関し、RF通信制御部10及び装置側アンテナ4を介して公知の「Program」信号等の書き込み信号を送信することによりその記憶した隣接補足情報に対して上記設定済みの仮変数を変更情報としてそれぞれ対応させて書き込む。すなわち、隣接品種更新日時を仮品種更新日時で置き換え、隣接品種在庫数を仮品種在庫数で置き換え、隣接個体状態フラグを仮個体状態フラグで置き換え、隣接個体使用者IDを仮個体使用者IDで置き換え、隣接個体使用者名を仮個体使用者名で置き換える(変更する)ように書き込みを行う。なお、仮個体状態フラグ、仮個体使用者ID、及び仮個体使用者名は、それぞれ隣接個体状態テーブル中で隣接個体登録番号に対応させて書き込む。なお、ステップS445の探索により複数の物品タグTbが検出された場合は公知の手法で1つずつ別々に処理を行えばよい。これにより、この例の品種Bの薬品1B(この例の品種Aの薬品1Aに対する隣接物品)に貼付されている全ての物品タグラベルTbに対して必要な情報の更新が行われることになる。そしてこのフローを終了する。
【0134】
図13は、携帯管理装置2のCPU5が図11中のステップS500において実行する隣接物品情報変更処理の詳細手順を表すフローチャートであり、機能的には上記図12に対応する図である。
【0135】
この図13のフローに機能は概略的に図12のフローとほぼ同じであり、相違点として図12のステップS435、ステップS445に代えてそれぞれ図13のステップS535、ステップS545を行う点で異なっている。以下その相違する手順のみ説明する。
【0136】
図13において、ステップS535では、前述のステップS115と同様にして、ステップS530で書き込んだ物品タグラベルTb以外で自己品種コードがこの例の品種コードBである物品タグラベルTbを探索する。そして次のステップS540で、上記ステップS535で探索され検出特定された物品タグラベルTbの自己補足情報に対して上記同様に書き込み信号を送信することにより仮品種更新日時及び仮品種在庫数をそれぞれ対応させて書き込む。なお、ステップS535の探索により複数の物品タグTbが検出された場合は公知の手法で1つずつ別々に処理を行えばよい。これにより、この例の品種Bの薬品1Bに貼付されている全ての物品タグラベルTbに対して必要な情報の更新が行われることになる。
【0137】
次にステップS545へ移り、前述のステップS165と同様にして、隣接品種コードが品種コードBである物品タグラベルTb(つまりこの例では品種Aの薬品1Aで予約済み状態の個体、及び品種Cの薬品1Cに貼付されている自己品種コードA,Cの物品タグラベルTb)を探索する。
【0138】
そして次のステップS550で、上記ステップS545で探索され検出特定された物品タグラベルTbの無線タグ回路素子Toに関し、RF通信制御部10及び装置側アンテナ4を介して公知の「Program」信号等の書き込み信号を送信することによりその記憶した隣接補足情報に対して仮品種更新日時、仮品種在庫数、仮個体状態フラグ、仮個体使用者ID、及び仮個体使用者名を変更情報としてそれぞれ対応させて書き込む。なお、ステップS545の探索により複数の物品タグTbが検出された場合は公知の手法で1つずつ別々に処理を行えばよい。これにより、この例の品種Aの薬品1A及び品種Cの薬品1C(この例の品種Bの薬品1Bに対する隣接物品)に貼付されている全ての物品タグラベルTbに対して必要な情報の更新が行われることになる。他の手順については、図12と同様であり、説明を省略する。
【0139】
図14は、携帯管理装置2のCPU5が図9中のステップS300において実行する補充操作処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【0140】
図14において、まずステップS305において、使用者Mが補充を行う対象の薬品1の品種名を選択指定する入力操作が操作部8を介して行われたか否かの判定をする。なお、この選択指定の際には、メモリ7に記憶している全ての薬品1の品種名を列記表示(メニュー表示)してそこから選択できるようにしてもよい。そして、いずれかの薬品1の品種名を選択指定する入力操作が行われるまでループして待機し、入力操作が行われた場合、判定が満たされ、次のステップS310へ移る。
【0141】
ステップS310では、上記ステップS305で指定入力された品種名に対応する品種コード(この例では品種Aに対応する品種コードA)と最新の自己個体登録番号(=それまでに保管された品種Aの薬品1Aの総個体数)をメモリ7から取得し、次のステップS315へ移る。
【0142】
ステップS315では、保管棚100に保管されている多数個の薬品1にそれぞれ貼付されている物品タグラベルTbの無線タグ回路素子Toに対して、RF通信制御部10及び装置側アンテナ4を介し自己品種コードがこの例の品種コードAである物品タグラベルTbを探索する。
【0143】
次にステップS320へ移り、上記ステップS315の探索によって検出した物品タグラベルTbのうちの一つから自己絶対情報、自己補足情報、隣接絶対情報、及び隣接補足情報を読み取る。すなわち、前述と同様、RF通信制御部10及び装置側アンテナ4を介し物品タグラベルTbに係る無線タグ回路素子Toに問いかけ信号を送信し、装置側アンテナ4及びRF通信制御部10を介し上記問いかけ信号に対応する応答信号を受信し、受信信号より自己絶対情報、自己補足情報、隣接絶対情報、及び隣接補足情報を取得する。前述のように、1回目の応答信号により取得したタグIDを用いて対象無線タグ回路素子Toを特定して、再度情報要求信号を送信し、その応答信号に含まれる上記自己絶対情報、自己補足情報、隣接絶対情報、及び隣接補足情報を取得するようにしてもよい。
【0144】
次にステップS325へ移り、表示部9に制御信号を出力して使用者Mに対し補充しようとする薬品1Aの個体の製造年月日と有効期限を入力するよう表示する。
【0145】
次にステップS330へ移り、使用者Mが操作部8を介して上記の製造年月日と有効期限の各パラメータを入力する操作が行われたか否かを判定する。そして、両方のパラメータの入力操作が行われるまでループして待機し、入力操作が行われた場合、判定が満たされ、次のステップS335へ移る。
【0146】
ステップS335では、仮個体登録番号に上記ステップS310で取得した最新の自己個体登録番号に1を加算した値を代入し、仮個体製造年月日と仮個体有効期限に上記ステップS330で入力された製造年月日と有効期限をそれぞれ対応させて代入し、仮品種更新日時にその時点での現在日時を代入し、仮品種在庫数に、上記ステップS315の探索で検出した(この例の自己品種コードAである)物品タグラベルTbの検出数に1を加算した値を代入する。
【0147】
次にステップS340へ移り、携帯管理装置2のメモリ7に記憶されていて補充対象のこの例の品種Aに対応する最新の自己個体登録番号を仮個体登録番号で置き換え(変更し)、登録する。
【0148】
次にステップS345へ移り、補充しようとする薬品1Aの個体に貼付する物品タグラベルTbを新規に作成する。これは、まず、上記ステップS320で読み取ったこの例の品種コードAの物品タグラベルTbの無線タグ情報(自己絶対情報、自己補足情報、隣接絶対情報、及び隣接補足情報)を仮無線タグ情報とし、これに対して上記設定済みの各仮変数を変更情報としてそれぞれ対応させて変更を行う。
【0149】
すなわち、先に例えばRAM等のメモリ7において仮に設定され記憶されている自己個体登録番号を仮個体登録番号で置き換え、自己個体製造年月日を仮個体製造年月日で置き換え、自己個体有効期限を仮個体有効期限で置き換え、自己品種更新日時を仮品種更新日時で置き換え、自己品種在庫数を仮品種在庫数で置き換える(変更する)ように書き込みを行う。なおこのとき、自己個体状態フラグ、自己個体使用者ID、及び自己個体使用者名はそれぞれ初期値(自己個体状態フラグは「0」に、自己個体使用者ID及び自己個体使用者名は無記入)に設定する。また、この場合は読み取り元の物品タグラベルTbに無線通信を介して書き込むのではなく、携帯管理装置2のメモリ7内での変更設定だけとなる。
【0150】
そして、このように設定した仮無線タグ情報とこの例の品種Aの品種名をタグラベル作成部6の入出力インターフェース310に出力する。これにより、前述と同様にして、補充する薬品1Aに係る新規に作成する物品タグラベルTbに用いるタグテープ303の無線タグ回路素子Toに対し、制御回路302、高周波回路301、及び作成部アンテナ306を介して公知の「Program」信号等の書き込み信号を送信することにより、当該無線タグ回路素子Toに上記仮無線タグ情報を書き込むとともに、印字ヘッド305の作動によってタグテープ303の所定の印字領域Pにこの例の品種Aの品種名と仮個体登録番号を印字する(図6参照)。なお、物品タグIDだけについては書き込みをせず、前述したようにあらかじめタグテープ303の製造メーカによって無線タグ回路素子Toに記録されているタグIDをそのまま利用するようにしてもよい。使用者Mは、このようにして作成された物品タグラベルTbを、補充しようとする薬品1Aの個体に貼付することで保管棚100の管理位置に補充することができる。
【0151】
次にステップS350へ移り、上記ステップS315で探索され検出特定された物品タグラベルTb(この例では保管棚100に現存する自己品種コードAの物品タグラベルTb)の無線タグ回路素子Toに関し、RF通信制御部10及び装置側アンテナ4を介して公知の「Program」信号等の書き込み信号を送信することによりその記憶した自己補足情報に対して上記設定済みの仮変数を変更情報としてそれぞれ対応させて書き込む。すなわち、自己品種更新日時を仮品種更新日時で、自己品種在庫数を仮品種在庫数でそれぞれ置き換えるようにして書き込みを行う。なお、ステップS320の探索により複数の物品タグTbが検出された場合は公知の手法で1つずつ別々に処理を行えばよい。
【0152】
次にステップS355へ移り、前述のステップS165と同様にして、隣接品種コードがこの例の品種コードAである物品タグラベルTbを探索する。
【0153】
そして次のステップS360で、上記ステップS355で探索され検出特定された物品タグラベルTbの無線タグ回路素子Toに関し、RF通信制御部10及び装置側アンテナ4を介して公知の「Program」信号等の書き込み信号を送信することによりその記憶した隣接補足情報に対して上記設定済みの仮変数を変更情報としてそれぞれ対応させて書き込む。すなわち、隣接品種更新日時を仮品種更新日時で置き換え、隣接品種在庫数を仮品種在庫数で置き換え、隣接個体状態フラグを仮個体状態フラグで置き換え、隣接個体使用者IDを仮個体使用者IDで置き換え、隣接個体使用者名を仮個体使用者名で置き換える(変更する)ように書き込みを行う。なお、ステップS355の探索により複数の物品タグTbが検出された場合は公知の手法で1つずつ別々に処理を行えばよい。これにより、この例の品種Bの薬品1B(この例の品種Aの薬品1Aに対する隣接物品)に貼付されている全ての物品タグラベルTbに対して必要な情報の更新が行われることになる。そしてこのフローを終了する。
【0154】
以上において、上記図10のフローにおけるステップS115及びステップS125の手順が、装置側アンテナ4を介し無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された自己品種管理位置を取得するための位置情報取得手段として機能する。また、上記図10のステップS115、図12のステップS435、図13のステップS535の手順が、自己品種コードを含む問いかけ信号を用いて、当該自己品種コードに対応する無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された物品タグIDを取得する第1タグ識別情報取得手段として機能する。
【0155】
また、ステップS125の手順が、IC回路部150に記憶された自己品種更新日時を取得する第1履歴情報取得手段、IC回路部150に記憶された自己品種在庫数を取得する第1総在庫情報取得手段、及びIC回路部150に記憶された自己個体状態フラグを取得する第1予約情報取得手段として機能する。
【0156】
また、上記図10のフローにおけるステップS140の手順が、上記取得した自己品種管理位置を表示部9に表示するための信号を出力する位置情報表示出力手段として機能する。
【0157】
また、上記図11のフローにおけるステップS165及びステップS175の手順も、装置側アンテナ4を介し無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された自己品種管理位置を取得するための位置情報取得手段として機能する。また、上記図11のステップS165、図12のステップS445、図13のステップS545の手順が、隣接品種コードを含む問いかけ信号を用いて、当該隣接品種コードを記憶したIC回路部150を備えた無線タグ回路素子Toの物品タグIDを取得する第2タグ識別情報取得手段として機能する。
【0158】
また、ステップS175の手順が、IC回路部150に記憶された隣接品種更新日時を取得する第2履歴情報取得手段、IC回路部150に記憶された隣接品種在庫数を取得する第2総在庫情報取得手段、IC回路部150に記憶された隣接個体状態フラグを取得する第2予約情報取得手段、及びIC回路部150に記憶された隣接品種互換性フラグを取得する互換性情報取得手段として機能する。
【0159】
また、上記図11のフローにおけるステップS195の手順も、上記取得した自己品種管理位置を表示部9に表示するための信号を出力する位置情報表示出力手段として機能するとともに、上記取得した隣接品種互換性フラグを表示部9に表示するための信号を出力する互換性情報表示出力手段としても機能する。
【0160】
また、上記図12のフローにおけるステップS430及びステップS440、上記図13のフローにおけるステップS530及びステップS540の手順が、薬品の入出荷に対応して更新した自己品種在庫数を、装置側アンテナ4を介し、当該品種の薬品の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に書き込む第1書き込み手段として機能する。
【0161】
また、上記図12のフローにおけるステップS450の手順、及び上記図13のフローにおけるステップS550の手順が、薬品の入出荷に対応して更新した隣接品種在庫数を、装置側アンテナ4を介し、当該品種の薬品の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に書き込む第2書き込み手段として機能する。
【0162】
以上のように構成した本実施形態においては、管理対象の品種の薬品1に対し無線タグ回路素子Toを備えた物品タグラベルTbが関連して取り扱われる(この例では貼付。その他同梱、添付等でもよい。)ようになっており、その無線タグ回路素子ToのIC回路部150に、当該薬品1の自己品種コードと自己品種管理位置とが記憶されている。携帯管理装置2の装置側アンテナ4により無線タグ回路素子Toと無線通信が行われると、上記図10のフローにおけるステップS125の手順で自己品種管理位置が取得され、これに対応する信号が上記図10のフローにおけるステップS140の手順で表示部9へ出力され、当該無線タグ回路素子Toに関連付けられた品種の薬品1の自己品種管理位置(保管棚100における載置段の位置)を表示部9で表示される。
【0163】
このようにして、管理対象の品種の薬品1に貼付されている物品タグラベルTbの無線タグ情報の読み取りを行うだけで、(特にデータベースアクセス等を行うことなく)当該品種の薬品1が配置・収納されるべき位置が表示されるので、使用者M(操作者、管理者)は各品種の薬品1の配置・収納位置を確実に認識することができ、物品管理における利便性を向上することができる。
【0164】
また、この実施形態では特に、自己品種コードを指定して問いかけ信号により問いかけを行うことにより、これに無線タグ回路素子Toの応答があれば、当該無線タグ回路素子Toに関連付けられた管理対象の品種の薬品1が、探したい物品であることになる。そこで、応答した無線タグ回路素子Toの物品タグIDを上記図10のフローにおけるステップS115の手順で取得することにより、この取得結果に基づき物品タグIDを用いて当該無線タグ回路素子Toを特定することができる。この結果、その特定した無線タグ回路素子Toに対し上記図10のフローにおけるステップS125の手順で管理対象の品種の薬品1の自己品種管理位置を取得し、当該品種の薬品1の配置・収納位置を特定することができる。
【0165】
また、この実施形態では特に、自己品種コードを指定した問いかけ信号に応答した無線タグ回路素子Toから自己品種更新日時を取得することにより、探したい品種の薬品1の持ち出し、持ち出しの予約、及び補充の履歴を確認することができる。また同様に、問いかけ信号に応答した無線タグ回路素子Toから自己品種在庫数を取得することにより、探したい品種の薬品1の在庫数を確認することができる。このとき、薬品1の入出荷に応じて自己品種在庫数を更新して無線タグ回路素子Toに書き込むことにより、在庫が変動したときにこれを確実に反映させ、常に最新の情報を各無線タグ回路素子Toに記憶させることができる。また同様、自己品種コードを指定した問いかけ信号に応答した無線タグ回路素子Toから自己個体状態フラグを取得することにより、探したい品種の薬品1の個体が、既に使用予定として予約されているかどうかを確認することができる。これらにより、さらに利便性を向上することができる。
【0166】
また、この実施形態では特に、隣接品種コードを指定した問いかけ信号により問いかけを行うことにより、これに応答する無線タグ回路素子Toがあれば、(自己対象物情報を指定した問いかけ信号に応答がなかった場合でも)当該無線タグ回路素子Toに関連付けられた管理対象物品は、探したい物品と配置・収納位置が近い物品であることになる。携帯管理装置2の装置側アンテナ4により当該無線タグ回路素子Toと無線通信が行われると、上記図11のフローにおけるステップS175の手順で自己品種管理位置が取得され、これに対応する信号が上記図11のフローにおけるステップS195の手順で表示部9へ出力される。この結果、当該無線タグ回路素子Toに関連付けられた品種の薬品1の自己品種管理位置(保管棚100における載置段の位置)を表示部9で表示することができる。
【0167】
そして応答した無線タグ回路素子Toの物品タグIDを上記図11のフローにおけるステップS165の手順で取得することで、この取得結果に基づき物品タグIDを用いて当該無線タグ回路素子Toを特定することができる。これにより、その特定した無線タグ回路素子Toに対し上記図11のフローにおけるステップS175の手順で自己品種管理位置を取得することで、当該物品(探したい物品の近くにある物品)の配置・収納位置を特定することができる。
【0168】
また、この実施形態では特に、探したい品種の薬品1が所定の配置・収納位置になくそれに対応する自己品種コードを指定した問いかけ信号に応答する無線タグ回路素子Toがなかったとしても、隣接品種コードを指定した問いかけ信号に応答した無線タグ回路素子Toがあった場合、その隣接品種更新日時(=探したい品種の薬品1の自己品種更新日時に相当)を取得することができる。この結果、探したい品種の薬品1の更新日時(入出荷履歴)を確認することができるので、探したい品種の薬品1が不在状態でも管理が可能となり、さらに利便性を向上することができる。
【0169】
また、この実施形態では特に、隣接品種コードを指定した問いかけ信号に応答した無線タグ回路素子Toがあった場合、その隣接品種在庫数(=探したい品種の薬品1の自己品種在庫数に相当)を取得することができるため、探したい品種の薬品1の在庫数を確認することができるので、探したい品種の薬品1が不在状態でも管理が可能となる。このとき、薬品1の入出荷に応じて隣接品種在庫数を更新して無線タグ回路素子Toに書き込むことにより、在庫が変動したときにこれを確実に反映させ、常に最新の情報を各無線タグ回路素子Toに記憶させることができる。同様に、問いかけ信号に応答した無線タグ回路素子Toがあった場合、その隣接個体状態フラグ(=探したい品種の薬品1の個体の自己個体状態フラグに相当)を取得することができる。この結果、探したい品種の薬品1が、既に持ち出し予定として予約されているかどうかを確認することができる。また同様に、問いかけ信号に応答した無線タグ回路素子Toがあった場合、その隣接互換性フラグを取得し表示させることができる。この結果、探したい品種の薬品1に代えて別の品種の薬品1によって代用できるかどうかを確認することができる。これらにより、さらに利便性を向上することができる。
【0170】
なお、上記においては、管理対象物品の薬品1が所定の箇所(各段の載置棚)にあっても、それが予約されているものであるかどうかを判定するようにしたが、これに限られない。このような薬品1の予約を行わず、持ち出して不在となっているか、持ち出されておらず現存しているか、のみに応じて管理を行うようにしてもよい。
【0171】
なお、以上で用いた「Program」信号等は、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
【0172】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0173】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明の物品管理システムを適用した在庫管理システムの外観を表す斜視図である。
【図2】在庫管理システムの概略を表すシステム構成図である。
【図3】携帯管理装置におけるCPU、RF通信制御部、及び装置側アンテナの詳細構成を表す機能ブロック図である。
【図4】タグラベル作成部の概略構成を表す概念的説明図である。
【図5】物品タグラベル及び人物タグに共通して備えられた無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図6】物品タグラベルの全体概略構造の一例を表す上面図と下面図である。
【図7】物品タグラベルの無線タグ回路素子に記憶させる無線タグ情報の一例を概念的に表す図である。
【図8】物品タグラベルの無線タグ回路素子に記憶させる隣接個体状態テーブルの一例を概念的に表す図である。
【図9】携帯管理装置のCPUによって実行される在庫管理処理の制御手順を表すフローチャートである。
【図10】携帯管理装置のCPUが図9中のステップS100において実行する持ち出し操作処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図11】携帯管理装置のCPUが図9中のステップS100において実行する持ち出し操作処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図12】携帯管理装置のCPUが図10中のステップS400において実行する自己物品情報変更処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図13】携帯管理装置のCPUが図11中のステップS500において実行する隣接物品情報変更処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図14】携帯管理装置のCPUが図9中のステップS300において実行する補充操作処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0175】
1A 薬品(管理対象物品)
1B 薬品(管理対象物品)
1C 薬品(管理対象物品)
2 携帯管理装置(無線タグ情報読み取り装置)
3 装置本体
4 装置側アンテナ
5 CPU
6 タグラベル作成部
7 メモリ
8 操作部
9 表示部(表示手段)
10 RF通信制御部
100 保管棚
101 上段載置段
102 中段載置段
103 下段載置段
S 在庫管理システム(物品管理システム)
M 使用者(操作者)
Tb 物品タグラベル
Tj 人物タグ
To 無線タグ回路素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象物品に関連して取り扱われ、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグ側アンテナとを有し、前記IC回路部に、タグ識別情報と前記管理対象物品の自己対象物情報及び管理位置情報とをそれぞれ記憶した複数の無線タグ回路素子と、
前記無線タグ回路素子と無線通信により情報の送受信を行うための通信手段、この通信手段を介し前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された前記管理位置情報を取得するための位置情報取得手段、及び、この位置情報取得手段で取得した前記管理位置情報を表示手段に表示するための信号を出力する位置情報表示出力手段を備えた無線タグ情報読み取り装置と
を有することを特徴とする物品管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の物品管理システムにおいて、
前記無線タグ情報読み取り装置は、
前記自己対象物情報を含む問いかけ信号を用いて、当該自己対象物情報に対応する前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された前記タグ識別情報を取得する第1タグ識別情報取得手段
を有することを特徴とする物品管理システム。
【請求項3】
請求項2記載の物品管理システムにおいて、
前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、対応する管理対象物品の入出荷履歴を表す自己入出荷履歴情報を前記IC回路部に記憶しており、
前記無線タグ情報読み取り装置は、
前記IC回路部に記憶された前記自己入出荷履歴情報を取得する第1履歴情報取得手段
を有することを特徴とする物品管理システム。
【請求項4】
請求項2又は請求項3のいずれか1項記載の物品管理システムにおいて、
前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、対応する管理対象物品の総在庫数を表す自己総在庫情報を前記IC回路部に記憶しており、
前記無線タグ情報読み取り装置は、
前記IC回路部に記憶された前記自己総在庫情報を取得する第1総在庫情報取得手段
を有することを特徴とする物品管理システム。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の物品管理システムにおいて、
前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、対応する管理対象物品の使用予約の有無を表す自己予約情報を前記IC回路部に記憶しており、
前記無線タグ情報読み取り装置は、
前記IC回路部に記憶された前記自己予約情報を取得する第1予約情報取得手段
を有することを特徴とする物品管理システム。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれか1項記載の物品管理システムにおいて、
前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、前記IC回路部に、近傍所定範囲内に位置する他の無線タグ回路素子に対応した隣接対象物情報を記憶しており、
前記無線タグ情報読み取り装置は、
前記隣接対象物情報を含む問いかけ信号を用いて、当該隣接対象物情報を記憶した前記IC回路部を備えた無線タグ回路素子の前記タグ識別情報を取得する第2タグ識別情報取得手段
を有することを特徴とする物品管理システム。
【請求項7】
請求項6記載の物品管理システムにおいて、
前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、前記他の無線タグ回路素子に対応する前記管理対象物品の入出荷履歴を表す隣接入出荷履歴情報を前記IC回路部に記憶しており、
前記無線タグ情報読み取り装置は、
前記IC回路部に記憶された前記隣接入出荷履歴情報を取得する第2履歴情報取得手段
を有することを特徴とする物品管理システム。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載の物品管理システムにおいて、
前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、前記他の無線タグ回路素子に対応する前記管理対象物品の総在庫数を表す隣接総在庫情報を前記IC回路部に記憶しており、
前記無線タグ情報読み取り装置は、
前記IC回路部に記憶された前記隣接総在庫情報を取得する第2総在庫情報取得手段
を有することを特徴とする物品管理システム。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか1項記載の物品管理システムにおいて、
前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、前記他の無線タグ回路素子に対応する前記管理対象物品の使用予約の有無を表す隣接予約情報を前記IC回路部に記憶しており、
前記無線タグ情報読み取り装置は、
前記IC回路部に記憶された前記隣接予約情報を取得する第2予約情報取得手段
を有することを特徴とする物品管理システム。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれか1項記載の物品管理システムにおいて、
前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、対応する管理対象物品の、前記他の無線タグ回路素子に対応した前記管理対象物品との互換性情報を前記IC回路部に記憶しており、
前記無線タグ情報読み取り装置は、
前記IC回路部に記憶された前記互換性情報を取得する互換性情報取得手段と、
この互換性情報取得手段で取得した前記互換性情報を表示手段に表示するための信号を出力する互換性情報表示出力手段と
を有することを特徴とする物品管理システム。
【請求項11】
管理対象物品に関連して取り扱われ、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグ側アンテナとを備えた無線タグ回路素子を有する無線タグであって、
前記IC回路部は、
タグ識別情報と、
前記管理対象物品の自己対象物情報と、
前記管理対象物品の管理位置情報と
を記憶保持していることを特徴とする無線タグ。
【請求項12】
請求項11記載の無線タグにおいて、
前記IC回路部は、
近傍所定範囲内に位置する他の無線タグ回路素子に対応した隣接対象物情報を記憶保持している
ことを特徴とする無線タグ。
【請求項13】
管理対象物品に関連して取り扱われ、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグ側アンテナとを有し、前記IC回路部に、タグ識別情報と前記管理対象物品の自己対象物情報及び管理位置情報とをそれぞれ記憶した複数の無線タグ回路素子と無線通信により情報の送受信を行うための通信手段と、
この通信手段を介し前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された前記管理位置情報を取得するための位置情報取得手段と、
この位置情報取得手段で取得した前記管理位置情報を表示手段に表示するための信号を出力する位置情報表示出力手段と、
前記自己対象物情報を含む問いかけ信号を用いて、当該自己対象物情報に対応する前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に記憶された前記タグ識別情報を取得する第1タグ識別情報取得手段と
を有することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項14】
請求項13記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記通信手段は、
近傍所定範囲内に位置する他の無線タグ回路素子に対応した隣接対象物情報をさらに前記IC回路部に記憶した前記無線タグ回路素子と無線通信により情報の送受信を行い、
前記隣接対象物情報を含む問いかけ信号を用いて、当該隣接対象物情報を記憶した前記IC回路部を備えた無線タグ回路素子の前記タグ識別情報を取得する第2タグ識別情報取得手段
を設けたことを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項15】
請求項13又は請求項14記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、対応する管理対象物品の総在庫数を表す自己総在庫情報を前記IC回路部に記憶しており、
前記管理対象物品の入出荷に対応して更新した前記自己総在庫情報を、前記通信手段を介し、対応する前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に書き込む第1書き込み手段
を有することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項16】
請求項13乃至請求項15のいずれか1項記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記複数の無線タグ回路素子のそれぞれは、前記他の無線タグ回路素子に対応する前記管理対象物品の総在庫数を表す隣接総在庫情報を前記IC回路部に記憶しており、
前記他の無線タグ回路素子に対応する前記管理対象物品の入出荷に対応して更新した前記隣接総在庫情報を、前記通信手段を介し、対応する前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に書き込む第2書き込み手段
を有することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−143669(P2008−143669A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333734(P2006−333734)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】