説明

物品管理方法及びその方法を用いた物品管理システム

【課題】予めRFIDタグに位置情報を記録する必要なく、また、GPS装置のような付属装置を接続しなくても、RFIDタグが取り付けられた物品の所在を認識出来る物品管理システムを提供する。
【解決手段】電波により情報の読み書きを行うRFIDシステムにより物品を管理する物品管理システムにおいて、書き込みコマンド、読み出しコマンド、比較照合コマンドを出力する制御装置1と、制御装置1に接続されたアンテナ2と、アンテナ2から出力される電波により所定の動作を行うRFIDタグ3と、を備え、RFIDタグ3は、制御装置1から出力されるコマンドを振り分ける制御手段5と、予め物品情報を記録したメモリ6と、制御手段5で振り分けられたコマンドとメモリ6に記録された物品情報を照合し、照合結果を出力する出力手段8と、出力手段8の出力を受けて利用者に物品の所在を報知する報知手段7と、を含む構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品管理方法及びその方法を用いた物品管理システムに係り、特に、電波により情報の読み書きを行うことができる電波方式認識により物品を管理する物品管理方法及びその方法を用いた物品管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency IDentification:電波方式認識)システムの導入が様々な分野で進んでいる。RFIDシステムは、「RFIDタグ」と呼ばれる小型の情報記録媒体と、「リーダー」と呼ばれる質問器との間で非接触の情報交信を行う技術であり、例えば商品を取り出さずに検品ができる等の利点から、倉庫等において物品を管理するのに有用な技術である。
【0003】
このRFIDシステムに使用されるRFIDタグは、非接触ICチップを用いた記録媒体及びアンテナが埋め込まれたプレート(タグ)であり、この記録媒体には、UID(Uniqu IDentify)と呼ばれる各用途に応じた固有値が書き込まれている。通常、このRFIDタグは、商品に取り付けられて使用され、このRFIDタグが取り付けられた商品の商品識別番号、あるいは商品個体番号等の物品情報は、そのRFIDタグに格納されたUIDに関連付けて外部のデータベースに保管される。そして、店員等の利用者は、リーダーを用いてRFIDタグからUIDを読み取り、読み取ったUIDをこのデータベースの情報と照合することにより、そのRFIDタグが取り付けられている商品の商品識別番号・商品個体番号等の物品情報を知ることができる。
【0004】
このRFIDシステムを用いることにより、倉庫等に保管される商品に取り付けられたRFIDタグから品目情報を収集し、収集した品目情報から様々な在庫管理プロセスを実行する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、製品に関連する読み取り/書き込みRFIDタグに情報を記憶することにより、このタグから情報を読み取り、読み取った情報を生産管理及び操作管理に用いる技術がある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
更に、所在確認対象物に装着され自発的に発信するRFIDタグと、管理装置から読取信号を受信してRFIDタグのタグ認識データを読み取るRFIDタグデータ読取機と、RFIDタグデータ読取機からタグ認識データ、RFIDタグデータ読取機の固有番号、及びタグ認識データ読取時刻を読み出し、予め記憶させておいたタグ認識データと対応させて所在確認対象物の所在確認を行う管理装置を備えた所在確認システムにおいて、RFIDタグデータ読取機を、GPS装置を搭載した移動搬送体に設け、RFIDタグデータ読取機と管理装置を無線による通信ネットワークにより接続し、所在確認対象物に装着されたRFIDタグのタグ認識データを読み取ると共に、GPS装置により移動搬送体の所在位置情報読み取り、これらを管理装置に送信して所在確認対象物の所在確認を行う所在確認システムがある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特表2005−515947号公報(要約の欄、図2)
【特許文献2】特表2002−536726号公報(段落0025、図1)
【特許文献3】特開2002−216086号公報(段落0007〜0008、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来のRFIDシステムは、RFIDタグ情報の読み取り、及びRFIDタグ情報の書き込みのみが出来るシステムであるため、例えば、倉庫あるいは一次保管場所に物品を保管した場合、どこに物品を保管したかを知るために、予めRFIDタグにロケーション番号、即ち、位置情報を記録しておく必要があり、記録するための位置情報を確定しておく必要がある。また、書き込んだ位置情報と一致したところにRFIDタグが取り付けられた物品が存在しない場合は所在不明となる課題がある。
【0009】
更に、位置情報をGPS装置から取得するRFIDシステムにおいては、GPS装置の電波が必ず受信出来ないと使用できないため、このRFIDシステムを使用できる場所が限定される。また、GPS装置の精度が近年良好となり、数十cmまでの精度があるが、RFIDタグが取り付けられた物品が、数十cmのなかに複数あった場合、その複数のRFIDタグの情報を再度読み込みして、ひとつひとつ特定していかなければならない課題がある。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、予めRFIDタグに位置情報を記録しておく必要がなく、あるいはGPS装置のような付属装置を接続しなくても、RFIDタグが取り付けられた物品の所在を利用者が認識出来る物品管理方法及びその方法を用いた物品管理システムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る物品管理方法は、電波により情報の読み書きを行うことができるRFIDシステムにより物品を管理する物品管理方法であって、制御装置から出力される書き込みコマンドを含む情報、読み出しコマンドを含む情報、比較照合コマンドを含む情報を受信し、上記受信した情報のコマンドを処理するステップと、上記受信した情報のコマンドが書き込みコマンドの場合は受信した情報をメモリに書き込むステップと、上記受信した情報のコマンドが読み出しコマンド、もしくは比較照合コマンドの場合は予めメモリに記録されている情報を読み出すステップと、上記受信した情報のコマンドが読み出しコマンドの場合は上記メモリから読み出した情報を上記制御装置に返信するステップと、上記受信した情報のコマンドが比較照合コマンドの場合は上記受信した情報と上記メモリより読み出した情報とを照合するステップと、上記受信した情報と上記メモリより読み出した情報とを照合した結果が一致した場合は物品の所在を利用者に報知するステップと、を含むステップからなることを特徴とするものである。
【0012】
また、別の発明に係る物品管理システムは、電波により情報の読み書きを行うことができるRFIDシステムにより物品を管理する物品管理システムにおいて、書き込みコマンドを含む情報、読み出しコマンドを含む情報、比較照合コマンドを含む情報を出力する制御装置と、上記制御装置に接続されたアンテナと、上記アンテナから出力される電波により所定の動作を行うRFIDタグと、を備え、上記RFIDタグは、上記制御装置から出力される情報に含まれるコマンドを処理する制御手段と、予め物品情報を記録したメモリと、上記制御手段で処理されたコマンドが含まれた情報と上記メモリに記録された物品情報を照合し、照合結果を出力する出力手段と、上記出力手段の出力を受けて利用者に物品の所在を報知する報知手段と、を含む構成にしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、RFIDタグの制御装置からRFIDタグに記録されている物品情報をRFIDタグに対して発信することにより、RFIDタグがRFIDタグのメモリに記録されている物品情報と照合し、この物品情報が一致すれば、報知手段により利用者にRFIDタグが取り付けられた物品の所在を知らせるので、予めRFIDタグに位置情報を記録しておく必要がなく、あるいはGPS装置のような付属装置を接続しなくても、RFIDタグが取り付けられた物品の所在を利用者が認識出来る効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る物品管理方法及びその方法を用いた物品管理システムについて好適な実施の形態を説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る物品管理システムの構成図を示し、この図において、質問器等の制御装置1はアンテナ2よりRFIDタグ3と通信するための電波を出力し、情報伝送を行う。この制御装置1は、読み出しコマンドを含む情報、及び書き込みコマンドを含む情報に加えて比較照合コマンドを含む情報の3種類の情報を出力するように構成されている。
【0016】
RFIDタグ3は、アンテナ2より出力された情報を受信するアンテナ4と、受信した情報に含まれるコマンドの処理を実行する制御手段5と、情報を記録しておくメモリ6と、メモリ6に予め記録されている所定のコードと制御手段5が受信した情報に含まれるコードとを比較照合し、照合した結果を報知手段7に伝達する出力手段8を備えている。なお、報知手段7は、ブザー9、あるいはランプ10等の出力端の定格により、小さな装置となったり、大掛かりな装置となったりするので、図1では外付けの報知手段7としているが、小さな出力端であれば、RFIDタグ3の内部に実装することも可能である。
【0017】
実施の形態1に係る物品管理システムは上記のように構成されており、次に動作について図2のフローチャートにより説明する。
制御装置1により出力された情報を、RFIDタグ3がアンテナ4により受信し、制御手段5によりそのコマンドの処理を行う(ステップ10)。従来のRFIDタグは、読み出し、書き込みコマンドの2種類を処理するのみであるが、実施の形態1によるRFIDタグ3および制御装置1は、比較照合コマンドが新たに追加され、3種類のコマンドを処理する。
【0018】
制御装置1から出力される情報のコマンドが、読み出しコマンド、あるいは比較照合コマンドの場合は、メモリ6に予め記録した情報を読み出す(ステップ20)。ステップ20で受信した情報のコマンドが読み出しコマンドか比較照合コマンドかを判断し(ステップ30)、読み出しコマンドの場合は、ステップ20でメモリ6から読み出した情報を制御装置1へ返信して処理を終了する。
【0019】
また、ステップ20で受信した情報のコマンドが比較照合コマンドの場合は、受信したコマンドが含まれる情報とステップ20でメモリ6から読み出した情報との比較照合を行い(ステップ40)、照合結果を判定し(ステップ50)、比較照合が一致した場合は出力手段8により報知手段7への動作指令を行い(ステップ60)、終了する。比較照合が一致しない場合は出力装置7への動作指令を行うことなく終了する。
【0020】
ステップ10において受信した情報のコマンドが書き込みコマンドの場合は、受信した書き込みコマンドが含まれる情報をメモリ6に記録し(ステップ70)、終了する。
【0021】
この発明の実施の形態1に係る物品管理システムは上記のように構成され、動作するので、従来技術のようにRFIDタグへの情報の書き込み、あるいはRFIDタグに記録されている情報の読み取りに加えて、RFIDタグが取り付けられている物品がどこにあるかを認識することができる。次に具体的な実施例について説明する。
【実施例】
【0022】
例えば、印刷物の版は、何百〜何万の版が棚に本と同じように格納、保管されており、どの版がどの棚にあるかを管理することが非常に煩雑である。この印刷物の版に本実施形態のRFIDタグ3を取り付けることにより、版を取り出そうとする作業者が、制御装置1に版のコードを入力することで、予めRFIDタグ3に記録した版コードと一致したRFIDタグがブザー9あるいはランプ10で知らせるため、そのブザー9の音、あるいはランプ10の光を見つけることで容易に版を見つけることができる。更に、RFIDタグなので、版コードだけでなく、そのほかの情報も記録することが可能であり、RFIDタグに記録されている版コー以外の情報を読み出すことで、その版の詳細情報である何回版が使用されたか、版の製造日付を確認することも、RFIDタグ3の記録媒体6の容量により可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように、この発明に係る物品管理方法及びその方法を用いた物品管理システムは、例えば、印刷物の版を管理する場合のように、多数の物品を管理する管理方法あるいは管理システムとしての利用可能性が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態1に係る物品管理システムの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る物品管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0025】
1 制御装置 2,4 アンテナ
3 RFIDタグ 5 制御手段
6 メモリ 7 報知手段
8 出力手段 9 ブザー
10 ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波により情報の読み書きを行うことができるRFIDシステムにより物品を管理する物品管理方法であって、
制御装置から出力される書き込みコマンドを含む情報、読み出しコマンドを含む情報、比較照合コマンドを含む情報を受信し、上記受信した情報のコマンドを処理するステップと、
上記受信した情報のコマンドが書き込みコマンドの場合は受信した情報をメモリに書き込むステップと、
上記受信した情報のコマンドが読み出しコマンド、もしくは比較照合コマンドの場合は予めメモリに記録されている情報を読み出すステップと、
上記受信した情報のコマンドが読み出しコマンドの場合は上記メモリから読み出した情報を上記制御装置に返信するステップと、
上記受信した情報のコマンドが比較照合コマンドの場合は上記受信した情報と上記メモリより読み出した情報とを照合するステップと、
上記受信した情報と上記メモリより読み出した情報とを照合した結果が一致した場合は物品の所在を利用者に報知するステップと、を含むステップからなることを特徴とする物品管理方法。
【請求項2】
電波により情報の読み書きを行うことができるRFIDシステムにより物品を管理する物品管理システムにおいて、
書き込みコマンドを含む情報、読み出しコマンドを含む情報、比較照合コマンドを含む情報を出力する制御装置と、上記制御装置に接続されたアンテナと、上記アンテナから出力される電波により所定の動作を行うRFIDタグと、を備え、
上記RFIDタグは、上記制御装置から出力される情報に含まれるコマンドを処理する制御手段と、予め物品情報を記録したメモリと、上記制御手段で処理されたコマンドが含まれた情報と上記メモリに記録された物品情報を照合し、照合結果を出力する出力手段と、上記出力手段の出力を受けて利用者に物品の所在を報知する報知手段と、を含む構成にしたことを特徴とする物品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−94588(P2008−94588A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280122(P2006−280122)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】