説明

物品製造方法、物品製造システム、および物品

【課題】メッセージを伝達する媒体は、物品と比べて耐久性が低いので、贈与者が贈与物品とともに伝えたいと願うメッセージをそのまま永年保存して受贈者の手元に残すことは困難であった。
【解決手段】贈与者から受贈者に物品とともに送られるメッセージを暗号化するとともに、暗号化されたメッセージを物品に刻印する物品製造方法、物品製造システム、および物品を提供する。物品製造システムは、一般向けウェブサーバ、演算暗号装置、発行済み暗号値データベース、専用ウェブサーバ、およびアーカイブデータベース、および刻印装置を有する。物品製造システムは、物品とともに贈与者から受贈者に贈られるオリジナルメッセージを取得するメッセージ取得部と、オリジナルメッセージから抽出された演算対象メッセージをハッシュ関数で短縮して演算暗号値を生成する演算暗号装置と、物品への演算暗号値の刻印を制御する刻印制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品製造方法、物品製造システム、および物品に関する。本発明は、特に、贈与者から受贈者に物品とともに送られるメッセージを暗号化するとともに、暗号化されたメッセージを物品に刻印する物品製造方法、物品製造システム、および物品に関する。また贈与当時者に対して、通信網を通じて刻印暗合値自身とメッセージの演算暗合値とが一致することを検証できる手段を提供することにより、贈与にともなうメッセージの真正性を確認できる物品製造方法、物品製造システム、および物品に関する。
【背景技術】
【0002】
贈与者が受贈者へ贈る物品にメッセージを付帯する場合、ギフトカード、手紙、電子メールなどの物品とは異なる媒体にメッセージを記録して、物品とともに受贈者に渡していた。媒体にメッセージを記録しない場合、口頭などの伝達方法を利用してメッセージを伝えていた。送信者側から暗号化されたメッセージを受信者側に送信する技術、および受信者側において復号化する技術が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2003−288424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、メッセージを伝達する媒体は、物品と比べ環境への耐久性が低い。例えば貴金属のような物品と比べると、メッセージを伝達する媒体の環境への耐久性は低い。それゆえに、メッセージを記録する媒体は、物品に比べ脆弱かつ短命となる。メッセージを伝達する媒体が失われてしまうと、贈与者が贈与行為とともに伝えたいと願うメッセージをそのまま永年保存して受贈者の手元に残すことは困難であった。さらには、親から子供へ、子供から孫へなど、後世代に継承する耐久性の高い物品に伴う後世代へのメッセージを永年当該物品に付帯して継承することは困難であった。
【0004】
また、物品に付帯されるメッセージは物品とは別の媒体に記録されるので、受贈者にとって贈与者が本来伝えたいメッセージの効果が減衰する。また、極端な場合は忘却されることがあった。
【0005】
メッセージをそのまま物品に刻印することで、メッセージを受贈者の手元に残してもよいが、物品の刻印できるスペースは限定されるので、記述可能な情報量には制約がある。結果として、贈与者の本来の希望に比べ、情報量の少ないメッセージしか刻印できなかった。
【0006】
また、贈与者がメッセージに秘匿性を持たせたいと考える場合は、本来伝えたいメッセージを物品にそのまま刻印することで表現することは回避される。
【0007】
また、物品を紛失した場合、第三者より発見の届け出があったとしても当該販売店が贈与当事者を特定することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明における物品に付帯して贈与者から受贈者へ贈るメッセージを暗号化して前記物品に刻印する物品製造方法は、オリジナルメッセージを取得するメッセージ取得ステップと、オリジナルメッセージの少なくとも一部を演算対象メッセージとして、販売店ごとに特定された関数演算で短縮して演算暗号値を取得する演算暗号処理ステップと、演算暗号値を刻印暗号値として物品に刻印する刻印ステップとを備える。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、物品製造システムを有する販売店と、物品の贈与者、受贈者、および物品の継承者との間のネットワーク構成を示す模式図である。販売店は、オリジナルメッセージの少なくとも一部を暗号化して物品に刻印する物品製造システム100を有する。物品製造システム100は、贈与者端末70、受贈者端末80、および継承者端末85と通信網20を介して接続されている。
【0012】
物品製造システム100は、一般向けウェブサーバ10、演算暗号装置30、発行済み暗号値データベース40、専用ウェブサーバ50、アーカイブデータベース60、および刻印装置90を有する。一般向けウェブサーバ10は、通信網20上で販売店によって運営される。贈与者端末70は、一般向けウェブサーバ10に記憶された贈与にかかわるメッセージを短縮・暗号化して刻印することが可能な物品から、贈与者によって選択された物品の情報と、物品に付帯させるオリジナルメッセージの情報とを電子メールなどで販売店の一般向けウェブサーバ10に渡す。
【0013】
演算暗号装置30は、販売店によって運営され、販売店ごとに特定された関数演算でメッセージを暗号化する。演算暗号装置30は、贈与に関わるオリジナルメッセージの一部または全部を短縮・暗号化して演算暗号値を生成する。発行済み暗号値データベース40は、刻印暗号値として刻印された演算暗号値、贈与者の氏名、住所等の贈与者顧客情報、受贈者の氏名、住所等の受贈者顧客情報を格納する。
【0014】
刻印装置90は、生成された演算暗号値を刻印暗号値として物品に刻印する。物品製造システム100は、少なくとも贈与者端末70から送られたオリジナルメッセージおよび演算対象メッセージを識別する情報を電子媒体に記録する。受贈者には、刻印暗号値が刻印された物品と、電子媒体とが届けられる。
【0015】
物品は、貴金属、宝石、時計、耐久家具、彫刻物など耐久年数の長いものが好ましい。物品の贈与者から受贈者への贈与行為に付帯して贈られるオリジナルメッセージ、または婚約・結婚などの限定されたメンバー間で共有したいオリジナルメッセージは、贈与者端末70においてデジタル化される。販売店に贈与者からオリジナルメッセージが持ち込まれた場合には、物品製造システム100がオリジナルメッセージをデジタル化する。
【0016】
演算暗号装置30は、贈与者から取得したオリジナルメッセージの少なくとも一部を演算対象メッセージとして一定の暗号化演算をするとともに、物品に刻印可能な程度に短縮する。刻印装置90は、販売店が自ら発行する唯一無二の暗号値として刻印暗号値を物品に刻印する。物品は、受贈者または婚約・結婚などの限定されたメンバーなどに提供される。
【0017】
受贈者端末80は、一般向けウェブサーバ10に対して、受贈者から入力された確認メッセージを送信する。一般向けウェブサーバ10は、演算暗号装置30に受贈者端末80から送信された確認メッセージを送る。一般向けウェブサーバ10は、演算暗号装置30において確認メッセージに基づいて生成された確認演算暗号値を受贈者端末80に出力する。受贈者は、受贈者端末80に出力された確認演算暗号値と物品に刻印された刻印暗号値とが同一であることを確認する。これにより、受贈者は、刻印暗号値について、贈与者から贈られた演算対象メッセージが暗号化されたものと理解する。
【0018】
アーカイブデータベース60は、刻印暗号値をアクセス鍵の一部として、贈与者から受贈者に送られたオリジナルメッセージ、演算対象メッセージの識別子、アクセスを許可されたメンバーの識別情報、長期保存情報、保存期間、を格納している。専用ウェブサーバ50は、贈与者端末70、受贈者端末80、または継承者端末85から専用ウェブページまたは継承ウェブページへのアクセスの認証を受け付ける。専用ウェブサーバ50は、アクセスの認証が正しいと判断された場合に、アクセスの認証に基づいて、アーカイブデータベース60に格納された情報を取得する。専用ウェブサーバ50は、アーカイブデータベース60に格納された情報を含む専用ウェブページまたは継承ウェブページを作成する。専用ウェブサーバ50は、アクセスの認証が送信された贈与者端末70、受贈者端末80、または継承者端末85に専用ウェブページまたは継承ウェブページを提供する。
【0019】
贈与に付帯するメッセージの象徴が消滅することなく贈与品とともに永年存続する効果がある。物品に直接オリジナルメッセージを刻印する場合に比べ、オリジナルメッセージの情報量を大きくすることができる。これにより、物品に付帯するオリジナルメッセージを表現豊かな創造物とすることができる。また、物品に付帯させるオリジナルメッセージに、テキスト以外に音声、画像、写真、動画などの情報も組み込むことができる。
【0020】
贈与者間のメッセージに第三者に対しての秘匿性を持たせることができる効果がある。理由は第三者が贈与品の刻印暗合値からオリジナルのメッセージを復号化することができない事による。これにより、贈与当事者間、メンバー間でしか知りえない、他人が復号できない共通の秘密を共有することの心理的効果が生じ、当事者間の贈与行為の価値を高める。
【0021】
また、贈与者と受贈者との間のオリジナルメッセージの象徴が贈与物に刻印暗号値として刻印され身近に存在感を与えるので、贈与者の伝えたいオリジナルメッセージが長期間受贈者の心の中に深く入り込む効果が生じる。その結果、贈与行為の本来の目的である贈与当事者間の意思の伝達がより効果的に達成され、物品の価値が増加する。特に、指輪、ペンダント、ベルトのバックル等、受贈者が日常で保持する物品の場合、贈与者と受贈者との間のオリジナルメッセージを日常体感する効果を強めることができる。
【0022】
販売店は、ハッシュ関数を用いた販売店独自の演算ルーチンを使用できる。更に贈与発効日毎に異なる演算ルーチンを用い、永遠の時間の中での贈与行為の発生した時間の特定化を図り、贈与当事者、物品の継承者にとって当該贈与行為に特別な意味を加えることができる。また、これにより、贈与者および受贈者がメッセージの演算暗号値と刻印暗号値との照合を販売店のサイトにてのみ実現可能とする事ができる。このことにより販売店は顧客の囲い込みと、販売店の永年の存続を願う顧客との継続した信頼関係の維持ができる。贈与者と受贈者とが互いの意思に反して相互に連絡できない状況になった場合においても、物品の刻印暗号値に基づく販売店の物品製造システムに登録された贈与者および受贈者の情報から、当事者の同意の下に再び交信可能にすることができる。
【0023】
図2は、物品製造システム100の内部構成を示すブロック図である。一般向けウェブサーバ10は、メッセージ取得部102、メッセージ受付部104、刻印制御部106、セキュリティコード出力部108、演算暗号値出力部110、およびメディア記録部112を有する。演算暗号装置30は、ハッシュ関数保持部302を有する。専用ウェブサーバ50は、アクセス鍵受付部502、セキュリティコード受付部504、認証部506、継承ウェブページ作成部508、継承ウェブページ出力部510、専用ウェブページ作成部512、および専用ウェブページ出力部514を有する。
【0024】
メッセージ取得部102は、物品とともに贈与者から受贈者に贈られるオリジナルメッセージを取得する。例えば、メッセージ取得部102は、少なくとも文字列を含むオリジナルメッセージを取得するのが好ましい。メッセージ取得部102は、オリジナルメッセージをアーカイブデータベース60に格納するか否かを選択する情報を取得するとともに、格納することを選択する情報を受け取った場合に、オリジナルメッセージをアーカイブデータベース60に格納する。
【0025】
メッセージ取得部102はさらに、専用ウェブページまたは継承ウェブページにアクセスを認められたメンバーが長期に保存を希望する所定の保存情報を取得した場合に、アーカイブデータベース60にアクセスが許可されるメンバーの認証情報、保存情報を格納する。すなわち、メッセージ取得部102は、贈与者端末70により、専用ウェブページまたは継承ウェブページにアクセスする選択がされたことを取得する。アーカイブデータベース60は、保存情報として、日誌、文学的創作物、言い伝え、家系図、音声メッセージ、家族の写真、画像、または動画などを格納する。
【0026】
演算暗号装置30は、演算対象メッセージをハッシュ関数で短縮して演算暗号値を生成する。ハッシュ関数保持部302は、販売店ごとに特定されるハッシュ関数および算出されたハッシュ値を変換する関数を保持する。また、演算暗号装置30は、物品の発行日ごとに異なるハッシュ値の変換関数を生成して、ハッシュ関数保持部302に保持させてもよい。
【0027】
演算暗号装置30は、発行済み暗号値データベース40に格納された発行済みの刻印暗号値を参照する。演算暗号装置30は、演算対象メッセージより生成された演算暗号値と同一の発行済みの刻印暗号値がある場合、演算対象メッセージのテキスト文に含まれるブランクの位置の変更またはブランクの加減をする。文字列のブランク以外の文字を変更することなく異なる最終演算対象メッセージを生成することで、発行済み暗号値データベース40に存在しないユニークな最終演算暗号値を生成する。
【0028】
販売店は、自らが発行する全ての刻印暗号値を唯一無二の値とすることができる。これにより、贈与者および受贈者は、物品に付帯される刻印暗号値が、販売店が発行する物品の中で、世界中で唯一無二であることを心理的に実感できる。また、物品に刻印された暗号値から販売店が贈与者および受贈者を特定できる。したがって、受贈者が物品を紛失した場合、拾得者が販売店に連絡することにより、販売店が拾得物の刻印暗号値から贈与当事者を特定することができる。
【0029】
販売店の物品の模造品に例えばランダムな16進数が刻印されたとしても、販売店が保有する発行済み暗号値データベース40を参照することにより、販売店が既に発行した演算暗号値か否かを判断できる。刻印暗号値が衝突する場合を除き、模造品であることを証明できる。
【0030】
演算暗号装置30は、メッセージ取得部102が、贈与者端末70からオリジナルメッセージを保存することを選択する情報を受け取った場合に、演算暗号値を生成するとともに、専用ウェブページまたは継承ウェブページへのアクセスを認めるセキュリティコードを生成する。演算暗号装置30は、演算対象メッセージをハッシュ関数で短縮・暗号化してセキュリティコードを生成する。なお、演算暗号装置30は、演算暗号値と、セキュリティコードとを異なる値に生成するのが好ましい。
【0031】
刻印制御部106は、物品への演算暗号値を刻印暗号値として刻印する刻印装置90を制御するとともに、刻印された刻印暗号値を、発行済み暗号値データベース40に格納する。メッセージ取得部102が、オリジナルメッセージまたは保存情報をアーカイブデータベース60に格納する選択を取得している場合、刻印制御部106は、発行済み暗号値データベース40およびアーカイブデータベース60に刻印暗号値を格納する。
【0032】
メディア記録部112は、メッセージ取得部102によって取得されたオリジナルメッセージと、演算対象メッセージを識別する情報と、セキュリティコード出力部108によって出力されたセキュリティコードとを電子媒体に記録する。電子媒体は、刻印暗号値が刻印された物品とともに、受贈者に届けられる。
【0033】
メッセージ受付部104は、受贈者または継承者から入力された確認メッセージを受け付ける。演算暗号装置30は、販売店ごとに特定されたハッシュ関数および算出されたハッシュ値を変換する演算関数にて、確認メッセージから確認演算暗号値を生成する。演算暗号値出力部110は、確認演算暗号値を受贈者端末80または継承者端末85に送信する。
【0034】
メッセージ取得部102が、アーカイブデータベース60に格納された保存情報を含む専用ウェブページに贈与者または受贈者がアクセスを希望する選択を取得した場合、アクセス鍵受付部502は、専用ウェブページへのアクセス鍵の入力を受け付ける。アクセス鍵受付部502は、物品に刻印された刻印暗号値を、アクセス鍵として受け付ける。また、セキュリティコード受付部504は、セキュリティコードを受贈者端末80または贈与者端末70から受け付ける。
【0035】
贈与者と受贈者との間のやり取りを受け付ける専用ウェブページを作成する場合、アクセス鍵受付部502は、専用ウェブページへのアクセス鍵の入力を受け付ける。また、セキュリティコード受付部504は、贈与者端末70または受贈者端末80からセキュリティコードを受け付ける。認証部506は、受け付けたアクセス鍵、セキュリティコード、および発行済み暗号値データベース40に格納されたセキュリティコードに基づいて、専用ウェブページへのアクセスを認証する。
【0036】
専用ウェブページ作成部512は、アクセス鍵およびセキュリティコードに基づいて、アーカイブデータベース60に格納された贈与者情報および受贈者情報を取得する。専用ウェブページ作成部512は、取得した贈与者情報および受贈者情報に基づいて、専用ウェブページを作成する。専用ウェブページ出力部514は、生成された専用ウェブページを、セキュリティコードを送信した贈与者端末70または受贈者端末80に出力する。専用ウェブページ出力部514は、専用ウェブページを介して贈与者端末70または受贈者端末80から入力があった場合、入力をアーカイブデータベース60に格納してもよい。
【0037】
なお、専用ウェブページ作成部512は、アクセス鍵をURL(Uniform Resource Locator)に含めてもよい。専用ウェブページ作成部512は、アーカイブデータベース60に格納されたファイルのアドレスをアクセス鍵で特定してもよい。
【0038】
専用ウェブページ出力部514は、受贈者から返礼メッセージの入力があった場合、メッセージ取得部102に返礼メッセージを転送してもよい。演算暗号装置30は、返礼メッセージのうち、少なくともテキスト文を含む返礼演算対象メッセージをハッシュ関数により短縮して返礼演算暗号値を生成してもよい。刻印装置90は、贈与者に返礼として贈る返礼物品に返礼演算暗号値を返礼刻印暗号値として刻印してもよい。
【0039】
例えば、専用ウェブサーバ50は、登録後1年間を贈与当事者向けの専用サイト保持期間として、その間を贈与者と受贈者とのメッセージのやり取り、テキスト、音声、画像、写真、動画などの貼り付け等をできる期間とする。専用ウェブサーバ50は、保持期間を専用ウェブサイトにて受贈者から贈与者への返礼・返答メッセージを受け付ける期間とする。
【0040】
メディア記録部112は、贈与者および受贈者に送る電子媒体に、専用ウェブサイトにおける返答受付期間を記録してもよい。この場合、セキュリティコード出力部108は、メッセージ取得部102により贈与者端末70から取得される返答受付期間に基づいて、メディア記録部112に返答受付期間を出力する。メッセージ取得部102は、贈与者端末70から専用ウェブサーバサイトへのアクセスを希望する選択を受け付けるとともに、返答受付期間の入力を取得してもよい。
【0041】
このように、一般向けウェブサーバ10は、贈与者および受贈者に、返答受付期間が1年であることを知らせるので、その間に返答が無い場合、贈与者は受贈者の返信がないことを知ることとなる。メッセージ取得部102は、返答受付期間を延長することを贈与者端末70から取得してもよい。例えば、メッセージ取得部102は、贈与者が1年以上に渡り長期に保存させたい場合、贈与者端末70から返答受付期間を延長することを取得する。メッセージ取得部102は、アーカイブデータベース60に格納された返答受付期間を延長する。これにより、贈与者の「待ち」の期間が長くなり、受贈者に贈与者が受贈者の返信を待っているというメッセージが伝わることになる。
【0042】
これにより、贈与者と受贈者との間で、返礼のメッセージを含むテキスト、音声、画像、写真、および動画などをセキュアに更新できる。また、受贈者は、専用ウェブページでテキスト、音声、写真などを含む贈与者のオリジナルメッセージを再現、確認できる。また、演算暗号装置30を利用して、物品と共に送られたメッセージを暗号化することで、刻印暗号値と一致することを確認できるので、オリジナルメッセージの真正性を確認できる。また、受贈者は、刻印された暗号値の意味を贈与者のメッセージとして解読することができる。物品製造システム100は、受贈者端末80から贈与者へ返信するメッセージと物品とをさらに受け付けてもよい。
【0043】
メッセージ取得部102が、アーカイブデータベース60に格納された保存情報を含む継承ウェブページに贈与者、受贈者、または継承者がアクセスを希望する選択を取得した場合、アクセス鍵受付部502は、継承ウェブページへのアクセス鍵の入力を受け付ける。アクセス鍵受付部502は、物品に刻印された刻印暗号値を、アクセス鍵として受け付ける。また、セキュリティコード受付部504は、セキュリティコードを贈与者端末70、受贈者端末80、または継承者端末85から受け付ける。
【0044】
認証部506は、アーカイブデータベース60から、演算暗号値を含む認証情報を取得する。認証部506は、アクセス鍵およびセキュリティコードと認証情報とを認証して、前記継承ウェブページへのアクセスを許可する。また、認証部506は、アクセス鍵およびセキュリティコードと認証情報とを認証して、保存情報の変更を許可する。
【0045】
継承ウェブページ作成部508は、保存情報を含む継承ウェブページを作成する。継承ウェブページ出力部510は、贈与者端末70、受贈者端末80、または継承者端末85に対して、作成された継承ウェブページを出力する。なお、継承ウェブページ出力部510は、継承者端末85から保存情報に追記する情報を受け付けて、アーカイブデータベース60に格納された保存情報を更新してもよい。
【0046】
物品に刻印された暗号値をアクセス鍵の一部として保存情報へのアクセスを認め、子孫に末永く伝承したい家族の日誌、文学的創作物、言い伝え、家系図、音声メッセージ、家族の写真、画像、動画などの保存情報を販売店が長期にわたりコンピュータに保存することができる。これにより、貴金属などの永年存続する物品を継承する子孫に、刻印暗号値をアクセス鍵の一部として保存情報へのアクセスを認めることができる。その結果、贈与者の子孫の代まで販売店との一体感が生まれ、販売店は長期に渡り事業体の永年の存続を願う顧客層を獲得できる。更に販売店のコンピュータシステムが冗長性を有しかつ耐災害性を備えた場合は、贈与当事者の家族の情報を長期にわたって確実に保全でき、家族に関わる保存情報のアーカイブサービスを提供することが可能となる。
【0047】
図3は、刻印暗号値が刻印された物品を示す模式図である。物品3000は、刻印暗号値3010を有する。刻印暗号値3010は、演算対象メッセージがハッシュ関数によって短縮された値として、物品3000に刻印される。例えば、刻印暗号値は、「010cf0349」の値を有する。
【0048】
図4は、物品に演算暗号値を刻印する場合のフローチャートを示す。贈与者は贈与行為に当たり、店頭またはインターネットにて販売店が提供する暗号の刻印が可能な物品リストの中から物品を選ぶ。例えば、一般向けウェブサーバ10は、贈与者端末70に対して、物品を注文する注文受付サイトを作成する。贈与者端末70は、注文受付サイトへとアクセスする(ステップ990)。贈与者端末70は、贈与者から入力される、演算暗号値を刻印できる物品の選択入力を一般向けウェブサーバ10に送る(ステップ1000)。
【0049】
次に贈与者は物品に付帯したいと思うテキスト、音声、写真などの受贈者へのメッセージデータを販売店に手渡すか、または通信網20経由にて「贈与メッセージ受け入れフォーマット」に入力し販売店に送信する。例えば、贈与者端末70は、物品の選択入力とともに、物品とともに受贈者に贈るオリジナルメッセージの入力を一般向けウェブサーバ10に送る(ステップ1100)。
【0050】
一般向けウェブサーバ10は、オリジナルメッセージが贈与者本人から発信されたことを確認するための本人確認をする。一般向けウェブサーバ10は、図示しない本人確認部を有してもよい。本人確認部は、贈与者端末70に対して、物品の選択入力を受け付けた場合にIDおよびパスワードを発行する。本人確認部は、オリジナルメッセージを受け付けた場合に、発行されたIDおよびパスワードを認証してもよい。これは贈与行為に付帯するメッセージが本来の贈与の目的以外に悪用されることを未然に防ぐためであってもよい。
【0051】
メッセージ取得部102は、オリジナルメッセージの内容を受信した後、演算対象となる演算対象メッセージを確認するとともに、演算対象メッセージの内容をチェックする(ステップ1200)。すなわち、販売店は贈与者から受け取ったオリジナルメッセージが受贈者への脅迫、中傷でないことを確認する。メッセージ取得部102は、演算対象メッセージが脅迫、中傷の類に属する場合、贈与者端末70に対して取引不可であることを伝える情報を送信する(ステップ1210)。そして、一般向けウェブサーバ10は、贈与者との取引を開始しない(ステップ1300)。
【0052】
物品製造システム100は、ハッシュ関数の一方向性を利用するので、刻印暗号値からオリジナルデータを復元できないことにより、悪用され、時として脅迫・中傷のメッセージ、あるいは品位を欠くメッセージとなる可能性がある。したがって、販売店は贈与行為が脅迫・中傷行為などとなることを排除することを宣言し顧客の同意と信頼を得る。これは本実施形態を具現化する場合の販売店におけるプロセスであり、販売店は本実施形態を使った物品を販売する場合、当該フィルタリングすることを事前に顧客の同意を得る。
【0053】
メッセージ取得部102は、演算対象メッセージのうち、テキスト文に誤植がないことをチェックする(ステップ1400)。メッセージ取得部102は、誤植を発見した場合に、贈与者端末70に誤植があることと、訂正することを伝える。メッセージ取得部102は、贈与者端末70から訂正の同意が送信された場合に、テキスト文を訂正する。これにより、メッセージ取得部102は、暗号化する演算対象メッセージを確定する(ステップ1500)。
【0054】
メッセージ取得部102は、贈与者端末70から、専用ウェブサーバ50を介して、専用ウェブページまたは継承ウェブページへアクセスするか否かの選択を受け付ける。すなわち、メッセージ取得部102は、オリジナルメッセージをアーカイブデータベース60に格納するかを贈与者端末70から取得する。メッセージ取得部102は、専用ウェブページまたは継承ウェブページへのアクセスをするとの選択を取得した場合、贈与者端末70から、専用ウェブページまたは継承ウェブページを提供する期間、および料金の負担方法の入力を取得する。
【0055】
メッセージ取得部102は、専用ウェブページまたは継承ウェブページへアクセスする選択を取得した場合、確定したオリジナルメッセージと演算対象メッセージとを識別する情報をアーカイブデータベース60へ格納する。また、メッセージ取得部102は、贈与者端末70から保存情報を受け付けて、アーカイブデータベース60へ保存する。
【0056】
また、メッセージ取得部102は、メッセージを記述するギフトカード、ギフト盾などのオプション物品の選択および、支払い方法、届け先情報、納品方法、納期、価格などの顧客注文情報を取得する。メッセージ取得部102は、贈与者および受贈者の顧客情報を贈与者情報として取得し、受け付けた情報を、図示しないストレージ装置に記録する。メッセージ取得部102は、専用ウェブページまたは継承ウェブページへアクセスする選択を取得した場合、贈与者情報および受贈者情報をアーカイブデータベース60に格納する。
【0057】
演算暗号装置30は、ハッシュ関数を利用して、少なくともテキスト文を含む演算対象メッセージの短縮および暗号化をする。これにより、演算暗号装置30は、演算暗号値を生成する(ステップ1600)。
【0058】
演算暗号装置30が演算対象メッセージを暗号化する場合に、異なる贈与者の演算対象メッセージが偶然同一となり、同一の演算暗号値が生成されることを避けるのが好ましい。そこで、テキスト文をユニークなものとすることを販売店は推奨する。例えば、贈与日の日付を文字列として付与することを推奨してもよい。
【0059】
販売店は贈与者と協議の上、暗号化演算対象として含むファイルタイプとファイルを決定することで演算対象メッセージを確定する。演算暗号装置30は、暗号化にハッシュ関数を利用することで、電子化されたテキスト、音声、画像、動画などのファイルのそれぞれから、それぞれのハッシュ値を求めることができる。しかしながら、刻印暗号値の真正性を確認する過程において贈与当事者が作業に手間取ることを考慮すると、販売店はテキスト文を演算対象とすることを勧めることが好ましい。
【0060】
演算暗号装置30により生成された演算暗号値と同一の演算暗号値が、発行済み暗号値データベースに格納されている場合(ステップ1610)、演算暗号装置30は、演算対象メッセージに含まれるテキスト文のブランク位置を変更または加減する。演算暗号装置30は、発行済みのすべての刻印暗号値と異なる最終演算暗号値を生成する演算対象メッセージを生成するとともに、その演算暗号値を確定する。(ステップ1700)。
【0061】
メッセージ取得部102が、贈与者端末70から専用ウェブページにアクセスする選択を受け取っている場合、演算暗号装置30は、演算暗号値とともに、専用ウェブサイトへアクセスするためのセキュリティコードを生成する。演算暗号装置30は、セキュリティコードをセキュリティコード出力部108へ送る。刻印制御部106は、発行済み暗号値データベース40およびアーカイブデータベース60に、演算暗号値を格納する。
【0062】
メディア記録部112は、メッセージ取得部102からオリジナルメッセージと演算対象メッセージを識別する情報を取得した後、電子媒体3100に記録する。メディア記録部112は、セキュリティコードが出力される場合、セキュリティコード出力部108からセキュリティコードを取得した後、電子媒体に記録する。また、メディア記録部112は、専用ウェブサーバ50へのアクセス方法、ID、およびパスワードをさらに記録してもよい。販売店は、ガイドブックに、専用ウェブサーバ50へのアクセス方法、ID、パスワード、およびセキュリティコードを記載して贈与者および受贈者に渡してもよい。
【0063】
メッセージ取得部102が、専用ウェブページまたは継承ウェブページにアクセスしない選択を贈与者端末70から取得している場合、刻印制御部106は、贈与者情報および受贈者情報を演算暗号値とともに発行済み暗号値データベース40に格納する。これにより、将来の刻印暗号値の重複発行を回避できるとともに、物品の紛失の届けがあった場合に、贈与者に連絡できる。
【0064】
物品3000、オリジナルメッセージを記録した電子媒体、オプションのギフトカード、およびギフト盾は、ギフトセットとして受贈者へ配達されるか、または贈与者に配達された後、贈与者から受贈者へ手渡される(ステップ1910)。また、贈与者端末70または受贈者端末80が、販売店の暗合化システムの一般向けウェブサーバ10に接続する方法が、ギフトセットと共に受贈者に提供される。贈与者端末70または受贈者端末80が、一般向けウェブサーバ10を介して演算暗号装置30にアクセスする場合、贈与者端末70または受贈者端末80から、贈与者に係る物品の刻印暗号値、贈与発行日、贈与者名などの情報を入力させてもよい。一般向けウェブサーバ10は、入力された情報と図示しないストレージ装置に記録された情報とを認証して、演算暗号装置30にアクセスを許可してもよい。これにより、販売店は、模造品の製造を防止できる。
【0065】
メッセージ取得部102が、贈与者端末70から継承ウェブページまたは専用ウェブページへのアクセスをする選択を取得した場合、メッセージ取得部102は贈与者から保存情報を取得する。メッセージ取得部102は、保存情報とともに、オリジナルメッセージをアーカイブデータベース60に格納する(ステップ1900)。
【0066】
図5は、演算対象メッセージから暗号を生成する場合の模式図である。演算暗号装置30は、演算対象メッセージ2000を、例えば、ハッシュ関数SHA−256を用いて64桁16進数の第1ハッシュ値2100に短縮・暗号化する。演算暗号装置30は、販売店ごとに特定された関数として、第1ハッシュ値2100に、それぞれの16進数に1を加える演算をした後に、生成された値の一桁目を並べ中間演算値2200とする。なお、販売店ごとに特定される関数は、どのような関数であってもよく、物品製造システムごとに特定される関数であってもよい。
【0067】
演算暗号装置30は、中間演算値2200を、ハッシュ関数CRC32(Cyclic Redundancy Check 32)を用いて8桁の第2ハッシュ値2300を作成する。演算暗号装置30は、第2ハッシュ値2300に第1ハッシュ値2100の最初の1字を演算暗号値の9桁目2500として添え、合計9桁の最終的な演算暗号値2400を生成する。これに限定されず、演算暗号装置30は、ハッシュ関数を用いて短縮・暗号化する関数の組み合わせであればいかなるものを用いても構わない。
【0068】
上述の16進数9桁のハッシュ演算値が、異なるオリジナルデータから偶然同一のものとなる確率、すなわち、ハッシュ衝突の確率は、16の9乗分の1、即ち687億1947万6736分の1となる。刻印暗号値の発行数を毎年十万と仮定した場合、100年で累計1000万の発行数となり、101年目のハッシュ衝突の可能性は約0.0146%となる。したがって101年目の十万の新規発行に対して約14.6の贈与にかかわる演算暗号対象のメッセージがハッシュ衝突の期待値となる。1年目のハッシュ衝突の確率0.000146%であり、十万の新規発行に対して約0.146個がハッシュ衝突の期待値となる。
【0069】
演算暗号装置30が、以前に生成した演算暗号値と異なる演算暗号値を生成するには、贈与者端末から取得したオリジナルメッセージに基づく演算対象メッセージの修正をする。この場合、演算暗号装置30は、演算対象メッセージに含まれるテキストのブランクの位置を調整した後、演算暗号値を生成する。また、演算暗号装置30は、SHA−256演算結果の2桁目から5桁目までの4桁の16進数2500をセキュリティコードとする。
【0070】
セキュリティコードにより第三者のアクセスを阻止することと、オリジナルメッセージの真正性確認能力の強化と、セキュリティコードを忘れたときに再現する方法とを贈与者、受贈者、および販売店が知ることにより、セキュリティ強化ができる。また、第1ハッシュ値2100の例として表現された、SHA−256演算暗号値の中の4文字をセキュリティコードとすることにより、真正性を確認する能力は、16の4乗倍強化できる。
【0071】
なお、演算暗号装置30は、刻印暗号値の桁数を増やすことができる。一例として、演算暗号装置30は、演算対象メッセージのSHA−256演算暗号値の中から新規に追加する桁を選ぶことにより容易に桁数を増加しハッシュ衝突の可能性を減じることができる。
【0072】
メディア記録部112は、オリジナルメッセージと演算対象メッセージを識別する情報を電子媒体3100に記録する。電子媒体3100およびギフトカード・ギフト盾3200は、物品3000のオプションとして、贈与者および受贈者に提供される。
【0073】
メッセージ受付部104は、贈与者端末70、受贈者端末80、または継承者端末85から、電子媒体3100に記録された演算対象メッセージのコピー、または手入力されたメッセージを取得する。演算暗号装置30は、取得したメッセージに基づいて演算暗号値を求め、演算暗号値出力部110に出力する。贈与者、受贈者または継承者は、出力された演算暗号値と刻印暗号値とが一致することを確認することでメッセージの真正性を確認できる。
【0074】
図6は、演算対象メッセージの一例である。演算暗号装置30は、ハッシュ関数SHA−256により、表1の演算結果を得る。
【0075】
【表1】

【0076】
また、演算暗号装置30は、ハッシュ関数SHA−256の演算結果の各桁に1を加えて、表2の演算結果を得る。
【0077】
【表2】

【0078】
また、演算暗号装置30は、ハッシュ関数CRC32により、「010cf034」の演算結果を得る。そして、演算暗号装置30は、演算暗号値として、「010cf0349」を得る。また、演算暗号装置30は、セキュリティコードとして、「f868」を得る。
【0079】
図7は、第1メッセージのブランクが変更された場合の一例である。演算暗号装置30は、ハッシュ関数SHA−256により、表3の演算結果を得る。
【0080】
【表3】

【0081】
また、演算暗号装置30は、ハッシュ関数SHA−256の演算結果の各桁に1を加えて、表4の演算結果を得る。
【0082】
【表4】

【0083】
また、演算暗号装置30は、ハッシュ関数CRC32により、「72105867」の演算結果を得る。そして、演算暗号装置30は、演算暗号値として、「72105867a」を得る。また、演算暗号装置30は、セキュリティコードとして、「c4c8」を得る。
【0084】
図8は、受贈者から贈与者への返答メッセージの一例である。演算暗号装置30は、ハッシュ関数SHA−256により、表5の演算結果を得る。
【0085】
【表5】

【0086】
また、演算暗号装置30は、ハッシュ関数SHA−256の演算結果の各桁に1を加えて、表6の演算結果を得る。
【0087】
【表6】

【0088】
また、演算暗号装置30は、ハッシュ関数CRC32により、「46e6ca23」の演算結果を得る。そして、演算暗号装置30は、演算暗号値として、「46e6ca23d」を得る。
【0089】
図9は、異なるファイル形式のファイルを暗号化する場合の演算暗号装置30の処理の一例である。演算暗号装置30は、複数のファイルから演算暗号値を求める場合、まず、それぞれのファイルをハッシュ関数SHA−256により暗号化してそれぞれの第1ハッシュ値を得る。その後、演算暗号装置30は、それぞれの第1ハッシュ値を結合して、第2ハッシュ値として、演算暗号値を得る。
【0090】
図10は、専用ウェブページまたは継承ウェブページの表示画面の一例である。専用ウェブサーバ50は、贈与者端末70および受贈者端末80に、テキスト、画像、または音声等を選択可能に提供する。
【0091】
一般向けウェブサーバ10は、受贈者端末80から、贈与者への返信とともに物品の選択とがあった場合、アーカイブデータベース60に格納された贈与者からのメッセージと返信とを合わせて演算暗号値を生成してもよい。これにより、贈与者と受贈者との間でそれぞれのメッセージを互いに共有でき、一体感の意識を高めることができる。
【0092】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】物品製造システムを有する販売店と、物品の贈与者、受贈者、および物品の継承者との間のネットワーク構成を示す模式図である。
【図2】物品製造システム100の内部構成を示すブロック図である。
【図3】刻印暗号値が刻印された物品を示す模式図である。
【図4】物品に刻印暗号値を刻印する場合のフローチャートを示す。
【図5】演算対象メッセージから暗号を生成する場合の模式図である。
【図6】演算対象メッセージの一例である。
【図7】演算対象メッセージのテキスト文中のブランクが変更された場合の一例である。
【図8】受贈者から贈与者への返礼メッセージの一例である。
【図9】異なるファイル形式のファイルを暗号化する場合の演算暗号装置30の処理の一例である。
【図10】専用ウェブページまたは継承ウェブページの表示画面の一例である。
【符号の説明】
【0094】
10 一般向けウェブサーバ、20 通信網、30 演算暗号装置、40 発行済み暗号値データベース、50 専用ウェブサーバ、60 アーカイブデータベース、70 贈与者端末、80 受贈者端末、85 継承者端末、90 刻印装置、100 物品製造システム、102 メッセージ取得部、104 メッセージ受付部、106 刻印制御部、108 セキュリティコード出力部、110 演算暗号値出力部、112 メディア記録部、302 ハッシュ関数保持部、502 アクセス鍵受付部、504 セキュリティコード受付部、506 認証部、508 継承ウェブページ作成部、510 継承ウェブページ出力部、512 専用ウェブページ作成部、514 専用ウェブページ出力部、3000 物品、3010 刻印暗号値、3100 電子媒体、3200 ギフトカード・ギフト盾

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に付帯して贈与者から受贈者へ贈るオリジナルメッセージの少なくとも一部を暗号化して前記物品に刻印する物品製造方法であって、
(a)前記オリジナルメッセージを取得するオリジナルメッセージ取得ステップと、
(b)前記オリジナルメッセージの少なくとも一部を演算対象メッセージとして、ハッシュ関数で短縮して演算暗号値を取得する演算暗号処理ステップと、
(c)前記演算暗号値を刻印暗号値として前記物品に刻印する刻印ステップと
を備える物品製造方法。
【請求項2】
演算暗号処理ステップは、
前記演算対象メッセージからハッシュ値を演算するハッシュ値演算ステップと、
前記ハッシュ値に任意の関数演算をして、中間演算値を求める中間演算値演算ステップと、
前記中間演算値から前記演算暗号値を演算する演算暗号値生成ステップと
を有する請求項1に記載の物品製造方法。
【請求項3】
(d)前記受贈者および前記物品を継承した継承者から入力された確認メッセージを受け付けるメッセージ受付ステップと、
(e)前記確認メッセージが、前記演算対象メッセージと同一である場合において、前記刻印暗号値と同一の確認演算暗号値を出力する確認演算暗号値出力ステップと
をさらに備える請求項1に記載の物品製造方法。
【請求項4】
(f)前記贈与者と前記受贈者との間のやり取りを受け付ける専用ウェブページを作成する専用ウェブページ作成ステップと、
(g)前記演算対象メッセージを前記ハッシュ関数で短縮して生成した前記専用ウェブページへのアクセスを認めるセキュリティコードを出力するセキュリティコード出力ステップと、
(h)前記贈与者または前記受贈者からセキュリティコードを受け付けるセキュリティコード受付ステップと、
(i)受け付けたセキュリティコードに基づいて、前記専用ウェブページへのアクセスを認証する認証ステップと
をさらに備える請求項1に記載の物品製造方法。
【請求項5】
(j)前記贈与者、前記受贈者、および前記物品を継承した継承者が保存を希望する所定の保存情報を格納するアーカイブデータベース格納ステップと、
(k)前記贈与者、前記受贈者、および前記継承者ごとに前記保存情報を含む継承ウェブページを作成する継承ウェブページ作成ステップと、
(l)前記継承ウェブページへのアクセス鍵の入力を受け付けるアクセス鍵受付ステップと、
(m)前記演算対象メッセージを、前記ハッシュ関数で短縮して生成した前記継承ウェブページへのアクセスを認めるセキュリティコードを出力するセキュリティコード出力ステップと、
(n)前記セキュリティコードを受け付けるセキュリティコード受付ステップと、
(o)受け付けた前記セキュリティコードに基づいて、前記アクセス鍵と前記演算暗号値を含む認証情報とを認証して、前記継承ウェブページへのアクセスおよび前記保存情報の変更を許可する認証ステップと
をさらに備える請求項1に記載の物品製造方法。
【請求項6】
物品に付帯して贈与者から受贈者へ贈るオリジナルメッセージの少なくとも一部を暗号化して前記物品に刻印する物品製造システムであって、
前記オリジナルメッセージを取得するオリジナルメッセージ取得部と、
前記オリジナルメッセージの少なくとも一部を演算対象メッセージとして、ハッシュ関数で短縮して演算暗号値を取得する演算暗号処理部と、
前記演算暗号値を刻印暗号値として前記物品に刻印する刻印装置と
を備える物品製造システム。
【請求項7】
贈与者から受贈者に贈られる物品であって、
前記贈与者から前記受贈者に前記物品とともに贈られるオリジナルメッセージの少なくとも一部をハッシュ関数により暗号化した刻印暗号値が刻印された物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−245413(P2009−245413A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197533(P2008−197533)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【分割の表示】特願2008−520653(P2008−520653)の分割
【原出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(508117097)
【Fターム(参考)】