説明

物理量検出素子、物理量検出装置、および電子機器

【課題】複数の振動腕を音響結合させて、1つの発振回路でそれぞれの振動腕の振動を励起でき、物理量検出の感度向上が図れる物理量検出素子を提供する。
【解決手段】ジャイロ素子(物理量検出素子)1は、基部2からX軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出した連結部31と、連結部31の付け根6からY軸に沿った方向またはX軸に対して斜め方向へ延出し駆動信号電極7を有して駆動振動をする第1駆動振動腕41乃至第8駆動振動腕48と、基部2からX軸に対して斜め方向へ延出し検出信号電極8を有する第1検出振動腕51乃至第4検出振動腕54と、を備え、第5駆動振動腕45と第1駆動振動腕41とが逆位相で振動し、第6駆動振動腕46と第2駆動振動腕42、第7駆動振動腕47と第3駆動振動腕43、および第8駆動振動腕48と第4駆動振動腕44、のそれぞれも逆位相で振動し、S字振動が可能である、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動片を利用して物理量を検出することが可能な素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物理量検出素子として、例えば特許文献1には、基部と、基部からX軸方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出した支持部と、支持部の各先端において、Y軸方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出した駆動アーム(駆動振動腕)と、基部からY軸方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出したY軸用検出振動アームと、同じく、基部からY軸方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出したZ軸用検出振動アームと、を備えた振動片(当該文献における振動子)が開示されている。この振動片によれば、Z軸まわりの角速度に起因するY軸用検出振動アームの寄生振動を抑制し、角速度の測定値の誤差を減少させることが可能である。
【0003】
また、例えば特許文献2に開示されているような振動片(当該文献における慣性センサー素子)もある。この振動片は、複数本の脚部を有する振動部を有し、振動部は、基部から第1の方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出し、さらに、基部から第1の方向と直交する第2の方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出している、簡易な構成である。第1の方向に沿う振動部は、一方に励振電極が設けられ、他方には、検出電極が設けられていて、第1の方向まわりの角速度(物理量)を検出することが可能である。同様に、第2の方向に沿う振動部は、第2の方向まわりの角速度を検出することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−108053号公報
【特許文献2】特開2006−267094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1および特許文献2において、これら振動片は、駆動アームまたは励振電極を有する振動部が基部から別々に伸びている構成のため、各々の振動モードの音響結合が弱いため、2つの発振回路によって、それぞれを励起させなくてはならない、という課題があり、回路構成部の面積が大きくなってしまい、小型化が困難であった。また、これら振動片では、駆動振動と検出振動の周波数を所定値に合わせこむ微調整が煩わしい、という課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例または形態として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る物理量検出素子は、基部と、前記基部の重心位置である原点を通るX軸と、前記原点を通り、前記X軸と直交するY軸と、前記原点を通り、前記X軸および前記Y軸と直交するZ軸と、を有する座標軸を定義し、X座標とY座標とがともに正の値をとる領域を第1象限、X座標が負でY座標が正の値をとる領域を第2象限、X座標とY座標とがともに負の値をとる領域を第3象限、X座標が正でY座標が負の値をとる領域を第4象限、と定義した場合、前記基部と連結し、前記X軸に沿って、前記基部の両側に設けられている第1連結部および第2連結部と、前記第1連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第1駆動振動腕および第2駆動振動腕と、前記第2連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第3駆動振動腕および第4駆動振動腕と、前記第1駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第1象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第5駆動振動腕と、前記第2駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第4象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第6駆動振動腕と、前記第3駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第2象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第7駆動振動腕と、前記第4駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第3象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第8駆動振動腕と、前記基部の第1象限側から、前記第1象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第1検出振動腕と、前記基部の第4象限側から、前記第4象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第2検出振動腕と、前記基部の第2象限側から、前記第2象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第3検出振動腕と、前記基部の第3象限側から、前記第3象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第4検出振動腕と、を備え、前記第5駆動振動腕は、前記第1駆動振動腕と逆位相で駆動振動し、前記第6駆動振動腕は、前記第1駆動振動腕と逆位相で駆動振動する前記第2駆動振動腕と逆位相で駆動振動し、前記第7駆動振動腕は、前記第1駆動振動腕と逆位相で駆動振動する前記第3駆動振動腕と逆位相で駆動振動し、前記第8駆動振動腕は、前記第3駆動振動腕と逆位相で駆動振動する前記第4駆動振動腕と逆位相で駆動振動する、ことを特徴とする。
【0008】
本適用例の物理量検出素子によれば、第1駆動振動腕と第5駆動振動腕とは互いの励振に寄与しあって音響結合性が高められていて、同様に、第2駆動振動腕と第6駆動振動腕、第3駆動振動腕と第7駆動振動腕、第4駆動振動腕と第8駆動振動腕、においても音響結合性が高められている。そのため、これら駆動振動腕から連結部へ振動が伝わる、いわゆる振動漏れを抑制して、物理量検出素子としてのインピーダンスを下げQ値を高くすることが可能な構成となっている。このような構成の物理量検出素子は、駆動振動腕の音響結合性が高く、駆動振動腕それぞれの固有共振周波数を合わせて音響結合を高めるというような微調整が不要であり、1つの発振回路で2つの駆動モードを励起することが可能である。この場合、駆動振動腕の振動は、X軸およびY軸によって形成される平面に沿う、いわゆる駆動振動である。また、物理量検出素子は、X軸まわりに回転した場合、駆動振動をしている第5駆動振動腕乃至第8駆動振動腕にはZ軸方向のコリオリ力が生じ、これら駆動振動腕は、このコリオリ力に応じて検出振動をする。そして、この検出振動が第1検出振動腕乃至第4検出振動腕に伝わることにより、X軸まわりの角速度等の物理量が検出される。一方、物理量検出素子がY軸まわりに回転した場合、第1象限の第1駆動振動腕と第5駆動振動腕とが逆位相で振動し、他象限の駆動振動腕同士も逆位相で振動していることにより、連結部および駆動振動腕がY軸を中心にしてS字状に振動することが可能である。そして、このS字状振動に対応して検出振動腕が検出振動をし、物理量検出素子は、Y軸まわりの角速度等の物理量を検出する。ここで、物理量検出素子においては、駆動振動と検出振動との周波数の差が大きいほど、物理量の検出感度が低下する傾向にあるため、駆動振動腕における駆動振動と検出振動との周波数の差を小さくすることが好ましい、とされている。一方、本適用例の物理量検出素子では、Y軸まわりの物理量の検出において、各駆動振動腕が上述した位相で振動することにより、Y軸を中心にしたS字振動を励振することが可能である。このS字振動では、第1駆動振動腕乃至第4駆動振動腕における検出振動の周波数を駆動振動の周波数と大きく離反させても、S字振動の周波数には影響を与えないことが知見されており、物理量検出素子は、当該駆動振動腕の周波数調整が容易な構成となっている。また、物理量検出素子におけるS字振動の周波数は、連結部の長さによって調節することができ、検出感度の大きい設定にすることが容易である。このように、物理量検出素子は、物理量の検出感度、特にY軸まわりの物理量の検出感度を大きくすることが可能であり、X軸およびY軸まわりの角速度等の物理量を検出して、単体で2軸まわりの物理量の検出が可能である。
【0009】
[適用例2]上記適用例に記載の物理量検出素子において、前記第5駆動振動腕乃至前記第8駆動振動腕は、それぞれの腕幅がZ軸方向の厚さよりも大きい構成であり、それぞれの先端に幅広の錘部を有している、ことが好ましい。
【0010】
この構成によれば、第5駆動振動腕乃至第8駆動振動腕は、それぞれの腕の先端に腕幅より幅広の錘部を有している。この構成では、錘部を有する駆動振動腕の周波数が下がるため、腕幅を厚さより大きくして駆動周波数を上げ、駆動振動の周波数を保つことが可能である。さらに、当該駆動振動腕においては、面外振動の周波数を下げることができ、このため、面外振動の周波数は、駆動振動の周波数に対して、所定周波数だけ離れた値に容易に設定される。これにより、物理量検出素子は、当該駆動振動腕における駆動振動と面外振動との周波数の差を所定値にすると共に、当該駆動振動腕と第1駆動振動腕乃至第4駆動振動腕との周波数を離すことにより、面外振動の結合を防いで、検出振動腕へ面外振動が伝わりやすくなる。すなわち、物理量の検出感度を高めることが可能である。さらに、当該駆動振動腕は、錘部および腕形状の調整により小型化が図れ、物理量検出素子の小型化にも貢献することが可能である。
【0011】
[適用例3]上記適用例に記載の物理量検出素子において、前記第1駆動振動腕乃至前記第4駆動振動腕は、それぞれの腕幅がZ軸方向の厚さよりも大きい構成であり、それぞれの先端に幅広の錘部を備えている、ことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第1駆動振動腕乃至第4駆動振動腕は、それぞれの腕の先端に腕幅より幅広の錘部を有している。この構成では、錘部を有する駆動振動腕の周波数が下がるため、腕幅を厚さより大きくして駆動周波数を上げ、駆動振動の周波数を保つと共に、当該駆動振動腕においては、面外振動の周波数を下げることが可能である。このため、物理量検出素子は、当該駆動振動腕と第5駆動振動腕乃至第8駆動振動腕との周波数を離すことにより、面外振動の結合を防いで検出振動腕へ面外振動が伝わりやすくなる。すなわち、物理量の検出感度を高めることが可能である。
【0013】
[適用例4]上記適用例に記載の物理量検出素子において、前記第1駆動振動腕乃至前記第8駆動振動腕は、駆動信号電極を備え、前記第1検出振動腕乃至前記第4検出振動腕は、検出信号電極を備えている、ことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、駆動振動腕(第1駆動振動腕乃至第8駆動振動腕)と検出振動腕(第1検出振動腕乃至第4検出振動腕)とを個別に設定することにより、駆動振動腕には駆動用の電極のみを配線すればよく、検出振動腕には検出用の電極のみを配線すればよいため、電極のスペースを大きくとることができ、物理量の検出感度を向上させることが可能である。また、駆動振動腕と検出振動腕とが基部からそれぞれ個別に延出していることにより、駆動振動腕の駆動信号が検出振動腕の検出信号に静電的にのってしまう、いわゆる静電漏れを抑制することが可能である。
【0015】
[適用例5]上記適用例に記載の物理量検出素子において、前記第5駆動振動腕および前記第6駆動振動腕は、前記第1連結部の延長線上を避けた位置から延出し、前記第7駆動振動腕および前記第8駆動振動腕は、前記第2連結部の延長線上を避けた位置から延出している、ことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第5駆動振動腕および第6駆動振動腕は、基部から延出している第1連結部をそのまま延長した延長線上には形成されておらず、第1駆動振動腕または第2駆動振動腕から分岐して延出し、この分岐点が該延長線上を避けた位置となっている。これにより、第5駆動振動腕および第6駆動振動腕は、第1駆動振動腕または第2駆動振動腕との音響結合性を第1連結部から離れた位置で高めることが可能である。また、第7駆動振動腕および第8駆動振動腕も、同様に、第3駆動振動腕または第4駆動振動腕における該延長線上を避けた位置から延出していて、第3駆動振動腕または第4駆動振動腕との音響結合性を第2連結部から離れた位置で高めることが可能である。これにより、物理量検出素子は、第1駆動振動腕乃至第8駆動振動腕から基部方向への振動漏れを、より一層確実に抑制すると共に振動の振幅を増大することが可能である。
【0017】
[適用例6]上記適用例に記載の物理量検出素子において、六方晶の結晶構造を有する圧電性材を用いている、ことが好ましい。
【0018】
この構成によれば、六方晶の圧電性材は、例えば、水晶のように、機械軸、電気軸および光軸を有し、印加された駆動信号により正確に振動し、且つ、加えられた力に応じて屈曲して検出信号を発生する。物理量検出素子の形成に、このような圧電性材を用いれば、角速度等の物理量の検出を精度良く行なうことが可能である。また、物理量検出素子における好ましい一例として、第1駆動振動腕と第6駆動振動腕、第2駆動振動腕と第5駆動振動腕、第3駆動振動腕と第8駆動振動腕、および第4駆動振動腕と第7駆動振動腕、のそれぞれが120度の角度をなす構成が考えられる。この場合、六方晶の圧電性材は内角がそれぞれ120度である3本の電気軸(X軸)を有していることにより、該一例である物理量検出素子のような腕構成であっても、容易に形成することが可能である。さらに、該一例である構成例を含む物理量検出素子は、付け根における結合性が高いため、駆動振動腕の振動が励起されると、対応する駆動振動腕の励振に、より寄与しやすくなる。このような音響結合性の高い構成である物理量検出素子は、例えば、2方向の振動モードを得るのに1つの駆動回路でシステムを構成することが可能であり、小型化・低コスト化の面で、より有利である。
【0019】
[適用例7]本適用例の物理量検出装置は、前記第1駆動振動腕乃至前記第8駆動振動腕へ駆動信号を供給する駆動回路と、前記第1検出振動腕乃至前記第8検出振動腕からの物理量検出信号を検出する検出回路と、を備える、ことを特徴とする。
【0020】
この物理量検出装置によれば、S字振動をすること等により物理量の検出感度を高めることが可能な、物理量検出素子を有し、さらに、駆動回路および検出回路によって物理量検出素子を制御することにより、角速度等をはじめとした物理量の検出精度を、大きく向上させることが可能である。この場合、本適用例のような構成の物理量検出装置であれば、複数の腕を有していても、1つの駆動回路で振動を励起することが可能であり、装置の小型化も図れる。
【0021】
[適用例8]上記適用例に記載の物理量検出装置において、前記検出回路は、前記第1検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第2検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、前記第3検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第4検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、を差動させて前記物理量検出信号を検出する、ことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、第1検出振動腕および第2検出振動腕による検出信号と、第3検出振動腕および第4検出振動腕による検出信号と、のそれぞれの和の差動をとる、いわゆる差動検出方式を用いることにより、この場合、Y軸まわりの角速度等の物理量を検出することが可能である。
【0023】
[適用例9]上記適用例に記載の物理量検出装置において、前記検出回路は、前記第1検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第3検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、前記第2検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第4検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、を差動させて前記物理量検出信号を検出する、ことが好ましい。
【0024】
この構成によれば、第1検出振動腕および第3検出振動腕による検出信号と、第2検出振動腕および第4検出振動腕による検出信号と、のそれぞれの和の差動をとる、いわゆる差動検出方式を用いることにより、この場合、X軸まわりの角速度等の物理量を検出することが可能である。
【0025】
[適用例10]本適用例の電子機器は、上記の物理量検出素子を備えている、ことを特徴とする。
【0026】
この電子機器によれば、S字振動をすること等により物理量の検出感度を高めることが可能な、物理量検出素子を備えていることにより、高精度なセンサー機能を発揮することができ、電子機器としての性能向上を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態1におけるジャイロ素子の構成を示す平面図。
【図2】(a)(b)駆動振動腕の駆動振動を示す平面図。
【図3】ジャイロ素子のS字振動を示す斜視図。
【図4】(a)ジャイロ素子におけるX軸まわりの角速度の検出を示す平面図、(b)ジャイロ素子におけるY軸まわりの角速度の検出を示す平面図。
【図5】実施形態2におけるジャイロ素子の構成を示す平面図。
【図6】実施形態3におけるジャイロ素子の構成を示す平面図。
【図7】(a)ジャイロ素子を備えたジャイロ装置を示す平面図、(b)ジャイロ素子を備えたジャイロ装置を示す断面図。
【図8】(a)ジャイロ素子を備えたデジタルビデオカメラを示す斜視図、(b)ジャイロ素子を備えた携帯電話を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の物理量検出素子について、添付図面を参照して説明する。ここでは、好適な一例として、振動特性の良好な圧電性材である水晶を素材として形成された、ジャイロ素子(物理量検出素子)について述べる。
【0029】
最初に、ジャイロ素子の素材である水晶について説明する。物理量検出素子としてのジャイロ素子は、六角柱をなす水晶柱から切り出され、この水晶柱は、柱の長手方向に光軸であるz軸と、z軸に垂直な電気軸であるx軸および機械軸であるy軸とを有していて、いわゆる六方晶の性質を有している。ここでx軸は、z軸に垂直な六角形面であるx−y面において、それぞれ内角が120度の等角度で3本あって、これらのx軸で形成される各面内では、エッチング方向によるエッチング速さ等が同じである、という性質を有している。このような水晶柱において、ジャイロ素子は、x−y平面を、x軸とy軸との交点(座標原点)からみてx軸まわりに角度5度傾けた平面に沿う、水晶z板から切り出されたものである。即ち、水晶柱から切り出されたジャイロ素子の座標軸は、x(請求項におけるX軸),y’(請求項におけるY軸),z’(請求項におけるZ軸)となる。以下では、まず、ジャイロ素子の形状に係る実施形態について説明する。
(実施形態1)
【0030】
図1は、実施形態1におけるジャイロ素子の構成を示す平面図である。図1に示すように、ジャイロ素子(物理量検出素子)1は、基部2の重心(この場合基部2の中央位置)を原点とするX,Y,Z座標において、X−Y平面に沿って腕等が延出する形態をなしている。なお、このX,Y,Z座標は、原点を通るX軸と、原点を通りX軸と直交するY軸と、原点を通りX軸およびY軸と直交するZ軸と、を有する座標軸である。また、この座標軸において、X座標とY座標とがともに正の値をとる領域を第1象限、X座標が負でY座標が正の値をとる領域を第2象限、X座標とY座標とがともに負の値をとる領域を第3象限、X座標が正でY座標が負の値をとる領域を第4象限、と定義する。そして、ここでいうX軸,Y軸,Z軸は、請求項におけるX軸,Y軸,Z軸に該当する。
【0031】
ジャイロ素子1は、座標軸の原点を中心とする四角形状の基部2と、基部2の両側に設けられている連結部3の一方であり、基部2からプラスX軸方向へ延出している第1連結部31と、第1連結部31の先端から、X軸に対して直角をなしてプラスY軸方向へ延出している、駆動振動腕4の1つである第1駆動振動腕41と、第1連結部31の先端から、X軸に対して直角をなしてマイナスY軸方向へ延出している第2駆動振動腕42と、を有している。さらに、ジャイロ素子1は、基部2から、第1連結部31と反対方向であるマイナスX軸方向へ、延出している第2連結部32と、第2連結部32の先端から、X軸に対して直角をなしてプラスY軸方向へ延出している第3駆動振動腕43と、第2連結部32の先端から、X軸に対して直角をなしてマイナスY軸方向へ延出している第4駆動振動腕44と、を有している。
【0032】
また、ジャイロ素子1は、駆動振動腕4として、第1駆動振動腕41乃至第4駆動振動腕44に加え、第1連結部31と第1駆動振動腕41との交点部である付け根6aから、X軸に対して30度の角度で、第1象限の方向へ斜めに延出している第5駆動振動腕45と、第1連結部31と第2駆動振動腕42との交点部でもある付け根6aから、X軸に対して30度の角度で、第4象限の方向へ斜めに延出している第6駆動振動腕46と、第2連結部32と第3駆動振動腕43との交点部である付け根6bから、X軸に対して30度の角度で、第2象限の方向へ斜めに延出している第7駆動振動腕47と、第2連結部32と第4駆動振動腕44との交点部でもある付け根6bから、X軸に対して30度の角度で、第3象限の方向へ斜めに延出している第8駆動振動腕48と、を有している。
【0033】
そして、ジャイロ素子1は、四角形状をなす基部2の第1象限側の角部から、X軸に対して30度の角度で、第1象限の方向へ斜めに延出している、検出振動腕5の1つである第1検出振動腕51と、基部2の第4象限側の角部から、X軸に対して30度の角度で、第4象限の方向へ斜めに延出している第2検出振動腕52と、基部2の第2象限側の角部から、X軸に対して30度の角度で、第2象限の方向へ斜めに延出している第3検出振動腕53と、基部2の第3象限側の角部から、X軸に対して30度の角度で、第3象限の方向へ斜めに延出している第4検出振動腕54と、を有している。これらすべての各腕は、それぞれの断面が矩形状をなしている。
【0034】
ここで、駆動振動腕4(第1駆動振動腕41乃至第8駆動振動腕48)は、各腕の駆動振動を励起するための駆動信号電極7をそれぞれ有し、検出振動腕5(第1検出振動腕51乃至第4検出振動腕54)は、ジャイロ素子1に加えられた回転等による角速度等(物理量)を検出するための検出信号電極8をそれぞれ有している。
【0035】
このような構成のジャイロ素子1において、駆動信号電極7に電圧が印加されると、駆動振動腕4は、屈曲して駆動振動をする。図2(a)(b)は、駆動振動腕の駆動振動を示す平面図である。この駆動振動は、X軸およびY軸で形成されるX−Y平面に沿って振動する、いわゆる面内振動である。駆動振動腕4は、図2(a)に示す平面視において、第1駆動振動腕41が右回転するようにしてプラスX側へ屈曲すると、第5駆動振動腕45はX軸から離反する側へ屈曲し、同時に、第2駆動振動腕42が、第1駆動振動腕41と逆位相で、プラスX軸側へ屈曲し、第6駆動振動腕46がX軸から離反する側へ屈曲する。この時、図示していない第3駆動振動腕43と第7駆動振動腕47、および第4駆動振動腕44と第8駆動振動腕48、のそれぞれも同様な屈曲状態となっている。そして、図2(b)に示すように、第1駆動振動腕41が左回転するようにしてマイナスX側へ屈曲すると、第5駆動振動腕45はX軸側へ屈曲し、同時に、第2駆動振動腕42が、第1駆動振動腕41と逆位相で、マイナスX軸側へ屈曲し、第6駆動振動腕46がX軸側へ屈曲する。この時、図示していない第3駆動振動腕43と第7駆動振動腕47、および第4駆動振動腕44と第8駆動振動腕48、のそれぞれも同様な屈曲状態となっている。第1駆動振動腕41乃至第8駆動振動腕48は、図2(a)および図2(b)に示す屈曲を交互に繰り返すことによって、駆動振動をする。
【0036】
これは、請求項に言う、第5駆動振動腕45は、第1駆動振動腕41と逆位相で駆動振動し、第6駆動振動腕46は、第1駆動振動腕41と逆位相で駆動振動する第2駆動振動腕42と逆位相で駆動振動し、第7駆動振動腕47は、第1駆動振動腕41と逆位相で駆動振動する第3駆動振動腕43と逆位相で駆動振動し、第8駆動振動腕48は、第3駆動振動腕43と逆位相で駆動振動する第4駆動振動腕44と逆位相で駆動振動する、状態に該当する。
【0037】
(ジャイロ素子の動作原理)
このような構成のジャイロ素子1において、物理量の検出に関わる動作原理について、第1面外振動および第2面外振動を含めて、説明する。図3は、S字振動を示す斜視図である。また、図4(a)は、ジャイロ素子におけるX軸まわりの角速度の検出を示す平面図、図4(b)は、ジャイロ素子におけるY軸まわりの角速度の検出を示す平面図である。図4(b)では、ジャイロ素子1が図3に示すS字振動をしている。
【0038】
まず、図4(a)を参照して、ジャイロ素子1におけるX軸まわりの角速度(物理量)の検出について説明する。図1に示すような構成のジャイロ素子1に、X軸まわりに回転等が加えられると、駆動振動をしている第5駆動振動腕45および第7駆動振動腕47には、Z軸方向のコリオリ力が働き、Z軸方向の検出振動、即ち第1面外振動が発生する。同様に、第6駆動振動腕46および第8駆動振動腕48には、第5駆動振動腕45および第7駆動振動腕47と反対方向のZ軸方向にコリオリ力が働き、Z軸方向の第1面外振動が発生する。そして、第1検出振動腕51は、第5駆動振動腕45の第1面外振動に呼応して、第5駆動振動腕45と同じようにZ軸方向に検出振動をし、第3検出振動腕53は、第7駆動振動腕47の第1面外振動に呼応して、第7駆動振動腕47と同じようにZ軸方向に検出振動をする。また、第2検出振動腕52は、第6駆動振動腕46の第1面外振動に呼応して、第1検出振動腕51と反対方向のZ軸方向に検出振動をし、第4検出振動腕54は、第8駆動振動腕48の第1面外振動に呼応して、第3検出振動腕53と反対方向のZ軸方向に検出振動をする。
【0039】
このように、ジャイロ素子1において、第1検出振動腕51および第3検出振動腕53と、第2検出振動腕52および第4検出振動腕54とは、互いに異なる位相で検出振動をすることになる。ジャイロ素子1では、第1検出振動腕51および第3検出振動腕53のそれぞれの検出振動に基づく検出信号の和を算出し、さらに、第2検出振動腕52および第4検出振動腕54のそれぞれの検出振動に基づく検出信号の和を算出し、それらの和を差動させることにより、コリオリ力の大きさを知得できる。
【0040】
ここで、ジャイロ素子1では、駆動振動腕4における駆動振動の周波数と検出振動の周波数とを同じ周波数にした場合、最も高感度に物理量を検出できるが、駆動振動と検出振動との周波数に相違が生じた場合、検出感度のバラツキが大きくなってしまう、という課題があった。その対策としては、予め駆動振動と検出振動との周波数に差をつけることで、周波数の差にバラツキが生じても、検出感度のバラツキを抑制することが知られている。但し、駆動振動と検出振動とが音響結合していなければならないので、両振動が音響結合する範囲内で周波数の差を設けることが好ましい。
【0041】
具体的には、ジャイロ素子1において、X軸に対して直角に延出する第1駆動振動腕41乃至第4駆動振動腕44と、X軸に対して斜めに延出する第5駆動振動腕45乃至第8駆動振動腕48と、が音響結合しやすいように、それぞれの面内振動、即ち駆動振動の差を2kHz以下としている。加えて、第1駆動振動腕41乃至第4駆動振動腕44と、第5駆動振動腕45乃至第8駆動振動腕48と、の面外振動の周波数差を、3kHz以上にしている。両面外振動の差を3kHz以上にしなければ、X軸まわりの物理量の検出において、例えば、第1駆動振動腕41、第2駆動振動腕42、第5駆動振動腕45、第6駆動振動腕46の4本のアームだけで、コリオリ力に起因する検出振動が結合して完結してしまい、第1検出振動腕51および第2検出振動腕52へ検出振動が伝わり難くなり、検出感度が著しく低下することになる。従って、第1駆動振動腕41乃至第4駆動振動腕44と、第5駆動振動腕45乃至第8駆動振動腕48と、の面内振動の周波数の数差を2kHz以内に保ちつつ、面外振動の周波数の差を3kHz以上にする構成とすることにより、ジャイロ素子1は、X軸まわりの物理量の検出感度を大きくすることができる。
【0042】
次に、図4(b)を参照して、ジャイロ素子1におけるY軸まわりの角速度(物理量)の検出について説明するが、その前に、ジャイロ素子1にY軸まわりの回転等が加えられた場合に生じる、第2面外振動について説明する。図3に示すように、ジャイロ素子1に、Y軸まわりに回転等が加えられると、ジャイロ素子1は、Y軸を中心にして、S字振動をする。このS字振動は、連結部31、第5駆動振動腕45、第6駆動振動腕46がプラスZ側へ屈曲し、第1駆動振動腕41および第2駆動振動腕42がマイナスZ側へ屈曲すると、連結部32、第7駆動振動腕47、第8駆動振動腕48がマイナスZ側へ屈曲し、第3駆動振動腕43および第4駆動振動腕44がプラスZ側へ屈曲して、Y軸を中心にしてS字状に屈曲をする。そして、連結部31、第5駆動振動腕45、第6駆動振動腕46がマイナスZ側へ屈曲し、第1駆動振動腕41および第2駆動振動腕42がプラスZ側へ屈曲すると、連結部32、第7駆動振動腕47、第8駆動振動腕48がプラスZ側へ屈曲し、第3駆動振動腕43および第4駆動振動腕44がマイナスZ側へ屈曲して、Y軸を中心にしてS字状に屈曲をする。これら屈曲を交互にすることで、ジャイロ素子1は、S字振動をすることになる。これは、既述したように、第1駆動振動腕41と第5駆動振動腕45とが互いに逆位相で駆動振動をし、同様に、第2駆動振動腕42と第6駆動振動腕46、第3駆動振動腕43と第7駆動振動腕47、第4駆動振動腕44と第8駆動振動腕48、の組合せのそれぞれが互いに逆位相で駆動振動していることによる。
【0043】
この場合、連結部31、第1駆動振動腕41、第2駆動振動腕42、第5駆動振動腕45および第6駆動振動腕46によるZ軸方向に沿う振動と、連結部32、第3駆動振動腕43、第4駆動振動腕44、第7駆動振動腕47および第8駆動振動腕48によるZ軸に沿う振動と、が第2面外振動である。図4(b)に戻って、第1駆動振動腕41、第2駆動振動腕42、第5駆動振動腕45および第6駆動振動腕46による第2面外振動に呼応して、第1検出振動腕51および第2検出振動腕52は、Y軸まわりのモーメントのバランスを取るべく、連結部31、第5駆動振動腕45、第6駆動振動腕46と同じZ軸方向へ検出振動する。また、連結部32、第3駆動振動腕43、第4駆動振動腕44、第7駆動振動腕47および第8駆動振動腕48による第2面外振動に呼応して、第3検出振動腕53および第4検出振動腕54は、Y軸まわりのモーメントのバランスを取るべく、連結部32、第7駆動振動腕47、第8駆動振動腕48と同じZ軸方向、即ち第1検出振動腕51および第2検出振動腕52の検出振動とは異なる方向、へ検出振動する。
【0044】
ジャイロ素子1では、第1検出振動腕51および第2検出振動腕52のそれぞれの検出振動に基づく検出信号の和を算出し、さらに、第3検出振動腕53および第4検出振動腕54のそれぞれの検出振動に基づく検出信号の和を算出し、それらの和を差動させる、いわゆる差動検出方式によって、ジャイロ素子1に加えられたY軸まわりの角速度(物理量)の大きさを認識することができる。
【0045】
このようなジャイロ素子1における周波数の値は、一例として、面内振動である駆動振動の周波数が25kHzであり、第5駆動振動腕45乃至第8駆動振動腕48によるX軸まわりの角速度等の物理量を検出するための面外振動である、第1面外振動の周波数を26kHzとし、また、Y軸まわりの角速度等の物理量を検出するためのS字振動である、第2面外振動の周波数を24kHzとしている。つまり、駆動振動の周波数に対して、第1面外振動の周波数と第2面外振動の周波数を各々1kHz離間させた値に設定されている。
【0046】
ここで、Y軸まわりの角速度等の物理量を検出するための振動がS字振動でない場合、第1駆動振動腕41乃至第4駆動振動腕44の面外振動が第2面外振動に該当し、この第1駆動振動腕乃至第4駆動振動腕の面外振動の周波数は、駆動振動の周波数と大きく離反させることができない。それは、ジャイロ素子において、物理量の検出感度は、駆動振動と検出振動である面外振動との周波数の差が大きいほど低下する傾向にあるためである。これに対して、S字振動をするジャイロ素子1では、第1駆動振動腕乃至第4駆動振動腕における面外振動の周波数を駆動振動の周波数と大きく離反させても、S字振動の周波数には影響を与えないため、第1駆動振動腕41乃至第4駆動振動腕44の周波数の設定が容易な構成となっている。さらに、物理量検出素子1では、S字振動の周波数を連結部3の長さによって調節することができるため、より検出感度の大きい設定にすること等も容易に行なえる。
(実施形態2)
【0047】
次に、ジャイロ素子の他の形態について説明する。図5は、実施形態2におけるジャイロ素子の構成を示す平面図である。実施形態2におけるジャイロ素子1Aは、駆動振動腕4A(第1駆動振動腕41a乃至第8駆動振動腕48a)の構成が、実施形態1におけるジャイロ素子1の駆動振動腕4とは異なっている。一方、ジャイロ素子1Aの機能は、ジャイロ素子1とほぼ同様であって、X軸およびY軸まわりの角速度等を検出するのに好適な素子である。
【0048】
ジャイロ素子1Aは、図5に示すように、実施形態1におけるジャイロ素子1と同様な形態の、基部2、第1連結部31、第2連結部32、第1検出振動腕51、第2検出振動腕52、第3検出振動腕53、第4検出振動腕54を有している。
【0049】
そして、ジャイロ素子1Aの駆動振動腕4Aは、第1連結部31の先端から、X軸に対して直角をなしてプラスY軸方向へ延出している第1駆動振動腕41aと、第1連結部31の先端から、X軸に対して直角をなしてマイナスY軸方向へ延出している第2駆動振動腕42aと、第2連結部32の先端から、X軸に対して直角をなしてプラスY軸方向へ延出している第3駆動振動腕43aと、第2連結部32の先端から、X軸に対して直角をなしてマイナスY軸方向へ延出している第4駆動振動腕44aと、を有している。これら第1駆動振動腕41a乃至第4駆動振動腕44aにおいて、それぞれの腕は、断面が矩形状をなしていて、X軸およびY軸で形成されるX−Y平面に沿って振動する駆動振動の方向に沿う腕幅がmであり、Z軸方向の厚さがtである。図示していないが、ジャイロ素子1Aでは、検出振動腕5も、同一の断面形状を有している。
【0050】
さらに、ジャイロ素子1Aは、駆動振動腕4Aとして、第1駆動振動腕41a乃至第4駆動振動腕44aに加え、第1連結部31と第1駆動振動腕41aとの交点部である付け根6aから、X軸に対して30度の角度で、第1象限の方向へ斜めに延出している第5駆動振動腕45aと、第1連結部31と第2駆動振動腕42との交点部でもある付け根6aから、X軸に対して30度の角度で、第4象限の方向へ斜めに延出している第6駆動振動腕46aと、第2連結部32と第3駆動振動腕43との交点部である付け根6bから、X軸に対して30度の角度で、第2象限の方向へ斜めに延出している第7駆動振動腕47aと、第2連結部32と第4駆動振動腕44との交点部でもある付け根6bから、X軸に対して30度の角度で、第3象限の方向へ斜めに延出している第8駆動振動腕48aと、を有している。
【0051】
これら第5駆動振動腕45a乃至第8駆動振動腕48aは、それぞれの腕の断面が矩形状をなしていて、その腕幅は、第1駆動振動腕41aの腕幅mより大きい値のnであり、厚さは、第1駆動振動腕41aと同じtである。さらに、第5駆動振動腕45a乃至第8駆動振動腕48aは、それぞれの先端に、腕幅nより幅広の錘部49aを有し、付け根6aまたは付け根6bから延出する長さは、錘部49aを含めても、ジャイロ素子1の第5駆動振動腕45乃至第8駆動振動腕48より短くなっている。
【0052】
このような錘部49aを有する第5駆動振動腕45a乃至第8駆動振動腕48aは、その駆動振動の周波数が錘部49aのない場合に比べて下がる。しかし、駆動振動のような面内振動は、腕幅が振動数に対して大きく寄与するため、第5駆動振動腕45a乃至第8駆動振動腕48aは、腕幅nを厚さtより大きくすること,即ち第1駆動振動腕41aの腕幅mより大きくすることにより、駆動周波数を上げることができる。その結果、第5駆動振動腕45a乃至第8駆動振動腕48aは、駆動振動の周波数を、第1駆動振動腕41a乃至第4駆動振動腕44aに対してほぼ同等、この場合2kHz以下の差、に保つことができる。一方、第5駆動振動腕45a乃至第8駆動振動腕48aにおける面外振動は、腕幅の影響が少ないため、その周波数が下がった状態となっている。これにより、ジャイロ素子1Aは、第5駆動振動腕45a乃至第8駆動振動腕48aの面外振動の周波数を、第1駆動振動腕41a乃至第4駆動振動腕44aの面外振動の周波数に対して、例えば3kHz以上離れた値に、容易に、調整することができる。つまり、ジャイロ素子1Aにおいて、面内振動である駆動振動と、第5駆動振動腕45a乃至第8駆動振動腕48aの面外振動と、第1駆動振動腕41a乃至第4駆動振動腕44aの面外振動と、を所定の振動数に容易に設定することができ、且つ、S字振動もジャイロ素子1と同様にすることができ、角速度等の物理量の検出感度を高めることができる。加えて、第5駆動振動腕45a乃至第8駆動振動腕48aは、錘部49aおよび腕長さの調整により小型化を図ることも可能で、ジャイロ素子1Aの小型化にも貢献することができる。
(実施形態3)
【0053】
次に、ジャイロ素子の他の形態について説明する。図6は、実施形態3におけるジャイロ素子の構成を示す平面図である。実施形態3におけるジャイロ素子1Bは、駆動振動腕4B(第1駆動振動腕41b乃至第8駆動振動腕48b)の構成が、実施形態1におけるジャイロ素子1の駆動振動腕4とは異なっている。一方、ジャイロ素子1Bの機能は、ジャイロ素子1とほぼ同様であって、X軸およびY軸まわりの角速度等を検出するのに好適な素子である。
【0054】
ジャイロ素子1Bは、図6に示すように、実施形態1におけるジャイロ素子1と同様な形態の、基部2、第1連結部31、第2連結部32、第1検出振動腕51、第2検出振動腕52、第3検出振動腕53、第4検出振動腕54を有している。
【0055】
そして、ジャイロ素子1Bの駆動振動腕4Bは、第1連結部31の先端から、X軸に対して直角をなしてプラスY軸方向へ延出している第1駆動振動腕41bと、第1連結部31の先端から、X軸に対して直角をなしてマイナスY軸方向へ延出している第2駆動振動腕42bと、第2連結部32の先端から、X軸に対して直角をなしてプラスY軸方向へ延出している第3駆動振動腕43bと、第2連結部32の先端から、X軸に対して直角をなしてマイナスY軸方向へ延出している第4駆動振動腕44bと、を有している。
【0056】
これら第1駆動振動腕41b乃至第4駆動振動腕44bは、それぞれの腕の断面が矩形状をなしていて、その腕幅は、実施形態2における第5駆動振動腕45a乃至第8駆動振動腕48aと同じnであり、厚さは、tである。さらに、第1駆動振動腕41b乃至第4駆動振動腕44bは、それぞれの先端に、腕幅nより幅広の錘部49bを有し、付け根6aまたは付け根6bから延出する長さは、錘部49bを含めても、ジャイロ素子1の第1駆動振動腕41乃至第4駆動振動腕44より短くなっている。
【0057】
さらに、ジャイロ素子1Bは、駆動振動腕4Bとして、第1駆動振動腕41b乃至第4駆動振動腕44bに加え、第5駆動振動腕45bが、第1駆動振動腕41bから斜めに延出している。この第5駆動振動腕45bの延出位置は、付け根6aより距離sだけプラスY軸方向へ離れた位置である。また、第5駆動振動腕45bの延出方向は、実施形態1における第5駆動振動腕45と同じで、X軸に対して30度の角度をなし、第1象限の方向である。同様に、第6駆動振動腕46bは、付け根6aより距離sだけマイナスY軸方向へ離れた位置から斜めに延出し、その延出方向は、実施形態1における第6駆動振動腕46と同じように第4象限の方向であり、第7駆動振動腕47bは、付け根6bより距離sだけプラスY軸方向へ離れた位置から斜めに延出し、その延出方向は、実施形態1における第7駆動振動腕47と同じように第2象限の方向であり、第8駆動振動腕48bは、付け根6bより距離sだけマイナスY軸方向へ離れた位置から斜めに延出し、その延出方向は、実施形態1における第8駆動振動腕48と同じように第3象限の方向である。これら第5駆動振動腕45b乃至第8駆動振動腕48bにおいて、それぞれの腕は、断面が矩形状をなしていて、実施形態2における第1駆動振動腕41aと同じ腕幅mおよび厚さtである。図示していないが、ジャイロ素子1Bでは、第5駆動振動腕45b乃至第8駆動振動腕48bおよび検出振動腕5は、腕幅がm(図5)、厚さがtの断面形状を有している。
【0058】
このような錘部49bを有する第1駆動振動腕41b乃至第4駆動振動腕44bは、その駆動振動の周波数が錘部49bのない場合に比べて下がる。しかし、駆動振動のような面内振動は、腕幅が振動数に対して大きく寄与するため、第1駆動振動腕41b乃至第4駆動振動腕44bは、腕幅を、ジャイロ素子1Aの第1駆動振動腕41aの腕幅mより大きいnにすることにより、駆動周波数を上げることができる。その結果、第1駆動振動腕41b乃至第4駆動振動腕44bは、駆動振動の周波数を、第5駆動振動腕45b乃至第8駆動振動腕48bに対してほぼ同等に、この場合2kHz以下の差に、保つことができる。一方、第1駆動振動腕41b乃至第4駆動振動腕44bにおける面外振動は、腕幅の影響が少ないため、その周波数が下がった状態となっている。これにより、ジャイロ素子1Bは、第1駆動振動腕41a乃至第4駆動振動腕44aの面外振動の周波数を、第5駆動振動腕45a乃至第8駆動振動腕48aの面外振動の周波数に対して、例えば3kHz以上離れた値に、容易に、調整することができる。つまり、ジャイロ素子1Bにおいて、面内振動である駆動振動と、第1駆動振動腕41b乃至第4駆動振動腕44bの面外振動と、第5駆動振動腕45b乃至第8駆動振動腕48bの面外振動と、を所定の振動数に容易に設定することができ、且つ、S字振動もジャイロ素子1と同様にすることができる。これにより、ジャイロ素子1Bは、角速度等の物理量の検出感度を高めることができる。
【0059】
また、ジャイロ素子1Bは、第5駆動振動腕45bおよび第6駆動振動腕46bが、基部2から延出した第1連結部31をプラスX軸方向へそのまま延長した場合の延長線上には形成されておらず、つまり、付け根6aの位置から延出していない。これにより、第5駆動振動腕45bおよび第6駆動振動腕46bは、第1駆動振動腕41bまたは第2駆動振動腕42bとの結合性を第1連結部31から離間した状態で高めることができる。同様に、第7駆動振動腕47bおよび第8駆動振動腕48bも、第3駆動振動腕43bまたは第4駆動振動腕44bとの結合性を第2連結部32から離間した状態で高めることができる。これにより、ジャイロ素子1Bは、第1駆動振動腕41b乃至第8駆動振動腕48bから、第1連結部31または第2連結部32を介して、基部2の方向へ振動が漏れる振動漏れを、ほぼ抑制することができ、角速度等の物理量の検出感度を高めることができる。
【0060】
(ジャイロ装置)
次に、ジャイロ素子1,1A,1Bのいずれかを用いて、角速度を検出するジャイロ装置(物理量検出装置)の構成について説明する。図7(a)は、ジャイロ素子を備えたジャイロ装置を示す平面図である。また、図7(b)は、ジャイロ素子を備えたジャイロ装置を示す断面図であり、図7(a)におけるE−E断面を示している。この場合、図7では、ジャイロ素子1を備えた場合のジャイロ装置100を示していて、図7(a)では、説明のために蓋体72を省略して示してある。
【0061】
図7に示すように、ジャイロ装置100は、ジャイロ素子1と、ジャイロ素子1をリード80(80a,80b,80c,80d,80e,80f)を介して支持する支持基板78と、支持基板78を固定する固定基板である収容体71を有するセラミックパッケージ70と、IC(Integrated Circuit)チップ90と、収容体71内を気密に封止するための蓋体72とを備えている。セラミックパッケージ70に収容されているICチップ90は、セラミックパッケージ70のボンディングパッド77に金線などの金属ワイヤー91によって接続されている。このICチップ90には、駆動信号を供給してジャイロ素子1を励振させる駆動回路90aと、角速度等の物理量を検出する検出回路90bと、が含まれている。この場合、ジャイロ素子1を備えたジャイロ装置100であれば、一つの駆動回路90aで複数の駆動振動腕4を励起することが可能であり、装置の小型化が図れる。
【0062】
また、セラミックパッケージ70における収容体71には棚部74が形成され、その面に接続端子75が形成されている。棚部74には、支持基板78が接着固定されていて、この接着固定には導電性接着剤79が用いられている。そして、セラミックパッケージ70の外周部には外部接続端子76が形成され、外部接続端子76と接続端子75およびボンディングパッド77の一部とが導通する構成となっている。また、支持基板78にはリード80が設けられ、各リード80a,80b,80c,80dの先端は、ジャイロ素子1の基部2に形成された、検出電極パッド81の対応するパッドにそれぞれ接合され、リード80e,80fの先端は、ジャイロ素子1の基部2に形成された駆動電極パッド82の対応するパッドにそれぞれ接合されている。これらリード80により、ジャイロ素子1は他部品と接触しないように空中に支持されている。なお、検出電極パッド81は、検出振動を検出するためのものであり、駆動電極パッド82は、駆動振動を励振させるためのものである。このような構成のセラミックパッケージ70は、収容体71にシームリング73が固着され、シームリング73に蓋体72をシーム溶接することで、セラミックパッケージ70内が減圧された状態で封止されている。なお、セラミックパッケージ70内は、減圧状態ではなく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが封入された状態でも良い。
【0063】
そして、支持基板78の中央部は、開口となっていて、この開口には導体パターンであるリード80が延出している。リード80において、検出電極パッド81または駆動電極パッド82と反対側の先端は、セラミックパッケージ70の接続端子75と接続されている。このジャイロ装置100は、例えば、以下に説明する電子機器等に搭載されて、X軸およびY軸まわりの角速度等を検出する、優れたジャイロ機能を発揮する。なお、ジャイロ装置としては、ジャイロ素子1を備えた構成の他、ジャイロ素子1Aまたはジャイロ素子1Bを備えたものも、優れたジャイロ機能を発揮する。
【0064】
(電子機器)
次に、ジャイロ素子1,1A,1Bのいずれかを用いた構成の電子機器について説明する。図8(a)は、ジャイロ素子を備えたデジタルビデオカメラを示す斜視図、図8(b)は、ジャイロ素子を備えた携帯電話を示す斜視図である。これらの電子機器は、一例として、ジャイロ素子1を搭載している。まず、図8(a)に示すように、ビデオカメラ300は、受像部301と、操作部302と、音声入力部303と、表示ユニット304と、を備えている。このビデオカメラ300は、ジャイロ素子1と、ジャイロ素子1を制御する駆動回路90aおよび検出回路90bを有するICチップ90と、を備えており、X軸およびY軸まわりの角速度を検出して、手ぶれ補正機能を発揮することができ、鮮明な動画映像を記録することができる。この場合、ジャイロ素子1は、ジャイロ装置100の一部として組み込まれた形態であることが好ましい。同様に、ビデオカメラ300がジャイロ素子1Aまたはジャイロ素子1Bを備えている場合も、X軸およびY軸まわりの角速度を検出して、手ぶれ補正機能を発揮することができる。
【0065】
また、図8(b)に示すように、携帯電話機400は、複数の操作ボタン401と、表示ユニット402と、カメラ機構403と、シャッターボタン404と、を備えている。この携帯電話機400は、ジャイロ素子1と、ジャイロ素子1を制御する駆動回路90aおよび検出回路90bを有するICチップ90と、を備えており、X軸、Y軸およびZ軸の3軸まわりの角速度を検出して、カメラ機構403が手ぶれ補正機能を発揮することができ、鮮明な画像を記録することができる。この場合、ジャイロ素子1は、ジャイロ装置100の一部として組み込まれた形態であることが好ましい。同様に、携帯電話機400がジャイロ素子1Aまたはジャイロ素子1Bを備えている場合も、X軸およびY軸まわりの角速度を検出して、手ぶれ補正機能を発揮することができる。
【0066】
なお、電子機器としては、ビデオカメラ300や携帯電話機400に限定されず、ナビゲーション装置、車体姿勢検出装置、ゲームコントローラー、ヘッドマウンテンディスプレイ、ポインティングデバイス、掃除ロボット等が挙げられる。
【0067】
以上説明したジャイロ素子1,1A,1Bは、各実施形態における形態に限定されるものではなく、次に挙げる変形例のような形態であっても、実施形態と同様な効果が得られる。
【0068】
(変形例1)ジャイロ素子1において、第5駆動振動腕45乃至第8駆動振動腕48および第1検出振動腕51乃至第4検出振動腕54は、X軸に対して30度の角度をなして延出しているが、30度の角度に限定されることなく、他の角度であっても良い。この構成は、ジャイロ素子1A,1Bにおいても可能である。
【0069】
(変形例2)ジャイロ素子1Aにおいて、第5駆動振動腕45a乃至第8駆動振動腕48aは、付け根6aまたは付け根6bから延出しているが、付け根6a,6bから離反した位置から延出する構成であっても良い。また、ジャイロ素子1Bにおいて、第5駆動振動腕45b乃至第8駆動振動腕48bは、付け根6aまたは付け根6bから距離sだけ離反した位置から延出しているが、付け根6a,6bの位置から延出する構成であっても良い。
【0070】
(変形例3)ジャイロ素子1Aの第5駆動振動腕45a乃至第8駆動振動腕48a、およびジャイロ素子1Bの第1駆動振動腕41b乃至第4駆動振動腕44bは、錘部49aまたは錘部49bを有しているが、錘部49a,49bを設ける代わりに、腕の長さを短くするか、あるいは長くしても良い。腕を短くした場合は、駆動振動の周波数が上がるため、腕幅を小さくし、腕を長くした場合は、駆動振動の周波数が下がるため、腕幅を大きくして、同じ周波数を保つ構成とする。
【0071】
(変形例4)ジャイロ素子1,1A,1Bは、圧電性材である水晶から形成されているが、水晶に限定されることなく、水晶以外のニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン鉛(PZT)等を用いても良い。更に、ジャイロ素子1,1A,1Bは、圧電性材に限定されるものではなく、シリコンやゲルマニウムなどの非圧電性材料であっても良く、この場合、駆動信号電極には圧電性材を組み合わせて振動可能な構成にしておく。これにより、ジャイロ素子1,1A,1Bにおいて、要求特性や用途等に応じて、適切な材料を選ぶことができ選択肢が拡大する。
【符号の説明】
【0072】
1…物理量検出素子としてのジャイロ素子、2…基部、3…連結部、4…駆動振動腕、5…検出振動腕、7…駆動信号電極、8…検出信号電極、49…錘部、90…ICチップ、90a…駆動回路、90b…検出回路、100…物理量検出装置としてのジャイロ装置、300…電子機器としてのビデオカメラ、400…電子機器としての携帯電話。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部の重心位置である原点を通るX軸と、前記原点を通り、前記X軸と直交するY軸と、前記原点を通り、前記X軸および前記Y軸と直交するZ軸と、を有する座標軸を定義し、X座標とY座標とがともに正の値をとる領域を第1象限、X座標が負でY座標が正の値をとる領域を第2象限、X座標とY座標とがともに負の値をとる領域を第3象限、X座標が正でY座標が負の値をとる領域を第4象限、と定義した場合、
前記基部と連結し、前記X軸に沿って、前記基部の両側に設けられている第1連結部および第2連結部と、
前記第1連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第1駆動振動腕および第2駆動振動腕と、
前記第2連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第3駆動振動腕および第4駆動振動腕と、
前記第1駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第1象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第5駆動振動腕と、
前記第2駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第4象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第6駆動振動腕と、
前記第3駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第2象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第7駆動振動腕と、
前記第4駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第3象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第8駆動振動腕と、
前記基部の第1象限側から、前記第1象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第1検出振動腕と、
前記基部の第4象限側から、前記第4象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第2検出振動腕と、
前記基部の第2象限側から、前記第2象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第3検出振動腕と、
前記基部の第3象限側から、前記第3象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第4検出振動腕と、を備え、
前記第5駆動振動腕は、前記第1駆動振動腕と逆位相で駆動振動し、前記第6駆動振動腕は、前記第1駆動振動腕と逆位相で駆動振動する前記第2駆動振動腕と逆位相で駆動振動し、前記第7駆動振動腕は、前記第1駆動振動腕と逆位相で駆動振動する前記第3駆動振動腕と逆位相で駆動振動し、前記第8駆動振動腕は、前記第3駆動振動腕と逆位相で駆動振動する前記第4駆動振動腕と逆位相で駆動振動する、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項2】
請求項1に記載の物理量検出素子において、
前記第5駆動振動腕乃至前記第8駆動振動腕は、それぞれの腕幅がZ軸方向の厚さよりも大きい構成であり、それぞれの先端に幅広の錘部を有している、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項3】
請求項1に記載の物理量検出素子において、
前記第1駆動振動腕乃至前記第4駆動振動腕は、それぞれの腕幅がZ軸方向の厚さよりも大きい構成であり、それぞれの先端に幅広の錘部を備えている、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の物理量検出素子において、
前記第1駆動振動腕乃至前記第8駆動振動腕は、駆動信号電極を備え、
前記第1検出振動腕乃至前記第4検出振動腕は、検出信号電極を備えている、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の物理量検出素子において、
前記第5駆動振動腕および前記第6駆動振動腕は、前記第1連結部の延長線上を避けた位置から延出し、
前記第7駆動振動腕および前記第8駆動振動腕は、前記第2連結部の延長線上を避けた位置から延出している、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の物理量検出素子において、
六方晶の結晶構造を有する圧電性材を用いている、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の物理量検出素子と、
前記第1駆動振動腕乃至前記第8駆動振動腕へ駆動信号を供給する駆動回路と、
前記第1検出振動腕乃至前記第4検出振動腕からの物理量検出信号を検出する検出回路と、を備える、ことを特徴とする物理量検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の物理量検出装置において、
前記検出回路は、前記第1検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第2検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、前記第3検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第4検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、を差動させて前記物理量検出信号を検出する、ことを特徴とする物理量検出装置。
【請求項9】
請求項7に記載の物理量検出装置において、
前記検出回路は、前記第1検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第3検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、前記第2検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第4検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、を差動させて前記物理量検出信号を検出する、ことを特徴とする物理量検出装置。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載の物理量検出素子を備えている、ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−96882(P2013−96882A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240911(P2011−240911)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】