物質を解放できるように貯蔵するための容器システム
本発明は、物質を解放できるように貯蔵する容器システムを提供する。この容器システムは、サンプル収容用のチャンバーをもつバイアルと蓋の中の膜を貫通するための貫通部材を含み、この膜は貫通部材によって膜に穴が開けられるまで蓋の中の貯蔵部内の物質をシールする。この容器システムは漏斗を選択的に含む。上記容器システムを使用するための方法とキットも提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、概して、物質(substance)を解放できるように貯蔵するための容器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体や固体、気体、これらの混合物などの物質と他の物質とを混合する前に、液体や固体、気体、これらの混合物などの物質を容器中に貯蔵しておくことが望ましいことが多い。例えば、化合物を他の物質と混ぜ合わせる前に、流通および/または安全な保管および取り扱いのためにパッケージ化して貯蔵することが望ましい場合がある。毒性化合物を解毒物質と混ぜ合わせる前に、容器中にパッケージ化して貯蔵することが望ましい場合がある。また、濃縮活性成分を使用直前まで希釈剤から隔離して貯蔵することが望ましいことが多い。
【0003】
さらに、診断に用いる組成物および/または核酸を保存する組成物を、生体サンプルと混ぜ合わせる前に貯蔵し、および/または流通することが望ましい場合がある。
【0004】
また、ドナーの生体サンプルが採集されるまで、ある物質をドナーから隔絶して貯蔵することが望ましい場合がある。これは、ドナーがその物質を偶然に取り込んだり、または流出させたりすることを防ぐことに役立つ。
【0005】
生体サンプル中の病原体/感染粒子を、そのサンプルの保管および/または流通および/または取り扱いの前に、貯蔵された物質と混合することによって不活性化することが望ましい場合もある。
【0006】
診断に用いる組成物および/または核酸を保存する組成物を生体サンプルと混合した後に貯蔵し、および/または流通することが望ましい場合がある。
【0007】
複数の物質を隔離して保持するための容器であり、物質を混合するために隔離を解除することができるような仕組みの、多様な容器がある。典型的に、これらの容器は、物質が隔離して貯蔵される二つの分室を有するシステムを有し、容器内の隔離を解除することにより物質が混合される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
国際公開第2003/104251号パンフレットには、生体サンプルを被験者から採集し、その後、サンプルの成分を安定化させたり、保存したり、または回収しやすくするための物質と混合するための容器が記載されている。この容器は、生体サンプルを採集するための第1の領域と、核酸を保存するための物質を収容する第2の領域と、第1の領域と第2の領域の間の隔壁(閉位置にあるときサンプルと物質とを隔離する)とを有する。国際公開第2003/104251号パンフレットに例示された隔壁は、旋回式の仕切りである。隔壁は、容器に蓋を装着することによって、容器を橋渡しし、(spanning container)、第1の領域と第2の領域を隔離する元の閉位置から、両領域が互いに開放し、一方の領域に収容されていた物質と、他方の領域に収容されていた生体サンプルとの接触を可能にする開位置へと旋回する。この容器の欠点は、多数のパーツ(例えば、蓋、バイアル、ディスク、ロッド、ロッド・ホルダー)を含むことから、容器の製造コストがかさむということである。さらに加えて、ディスクは摩擦かみ合わせ(friction fit)によって所定の位置に保持されるので、容器の構成部材を製造する際の精度が高くなければならない。
【0009】
依然として解放できるように、かつ確実に物質を貯蔵するための改良された容器システムが求められている。
【0010】
この背景情報は、出願者によって本発明に関係する可能性があると考えられた情報を知らせるために記載されたものである。上記の情報のいずれかが本発明に対する先行技術を構成することを必ずしも認めるつもりはなく、またそう解釈すべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、概して、物質を解放できるように貯蔵するための容器システムに関する。
本発明の一つの態様によれば、a)サンプルを受け入れる(receive)ための第1の開放端部(open end)、サンプル収容用のチャンバーを備える第2の端部、および貫通部材を具備するバイアルと、b)前記バイアルに着脱可能にはめ合わせうるように構成された蓋であり、物質(substance)を保持するための貯蔵部、および前記貯蔵部内の物質をシールする貫通可能な膜を備える前記蓋と、を具備する物質を解放できるように貯蔵するための容器システムが提供される。前記システムが前記バイアルと前記蓋との着脱可能なはめ合わせによって閉じられているとき、前記バイアルおよび前記蓋は、貫通位置(前記貫通部材が前記貫通可能な膜を貫通(disrupt)し、前記貯蔵部と前記チャンバーとの間の流体連通(fluid communication)を可能にする位置)へ相対移動(move)することができ、貫通位置ではチャンバーは、容器システムの外部への漏出が起こらないようにシールされる。
【0012】
本発明の別の態様によれば、a)サンプルを保持するためのチャンバーを備えるバイアルと、b)物質を保持するための貯蔵部および、前記貯蔵部内の物質をシールする貫通可能な膜を備える蓋と、c)前記サンプルを受け入れるための第1の開放端部、貫通部材、および前記第1の開放端部から第2の開放端部へ延在し、前記チャンバーと流体連通する通路を備える漏斗であって、前記第1の開放端部で前記蓋に着脱可能に装着されることができ、前記第2の端部において前記バイアルと着脱可能にまたは恒久的に装着される前記漏斗と、を具備する物質を解放できるように貯蔵するための容器システムが提供される。前記システムが前記蓋と前記漏斗との着脱可能なはめ合わせによって閉じられているとき、前記システムは、貫通位置(前記貫通部材が前記貫通可能な膜を貫通し、前記通路を介して前記貯蔵部と前記チャンバーの間の流体連通を可能にする位置)へ相対移動することができ、貫通位置においてチャンバーは容器システムの外部への漏出が起こらないようにシールされる。
【0013】
本発明の別の態様によれば、(a)ここに記述される容器システムを準備するステップと、(b)バイアル中のチャンバーにサンプルを供給するステップと、(c)バイアルまたは漏斗に蓋を着脱可能に装着することによって前記容器システムを閉じるステップと、(d)当該システムを前記貫通位置へ相対移動することにより、前記物質を前記チャンバー内へ解放するように膜に穴を開けるステップと、を含む物質と生体サンプルとを混合する方法が提供される。
【0014】
本発明の別の態様によれば、a)ここに記述される容器システムと、b)その使用のための指示事項と、を含む物質を解放できるように貯蔵するためのキットが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の容器システムは、従来の容器よりもパーツの数が少ないことから、低コストかつ、製造がより簡便である。それに加えて、隔離可能な分室を有する従来の容器に比べて、本発明の容器システムでは製造の際の許容誤差をそれほど精密にしなくてもよい。また、本発明は、製造コストを下げ、シールされた物質が偶発的に破裂(disruption)する可能性を下げる。さらに、本発明の一つの実施例では、容器システムは、サンプルのその後の処理および/またはロボット・システムでの使用に適した取外し可能なバイアルを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下にさらに詳しく説明するように、本発明は物質を解放できるように貯蔵する容器システムを提供する。
【0017】
本発明の容器システムは、バイアルおよび蓋を具備する。容器システムは、さらに漏斗を任意に具備する。漏斗は恒久的(permanently)にまたは着脱可能(removably)にバイアルに装着されるとともに、蓋にはめ合わされシールする。蓋には物質が貯蔵され、その蓋がバイアルまたは漏斗に装着されシールされているとき、蓋から物質が解放されることができる状態になるように構成される。使用時には、蓋がバイアルまたは漏斗(存在すれば)に装着されているとき、蓋の内部に貯蔵されていた物質がバイアル内に解放される。
【0018】
本発明の特定の実施形態によれば、蓋は、生体サンプル内の核酸を安定化させたり、保存したり、または回収しやすくするための物質を貯蔵することに適している。関連した実施形態によれば、バイアル、または漏斗とバイアルとの組み合わせは、被検者から生体サンプルを採集することに適している。
【0019】
図1〜11および図22〜24を参照すると、容器システム300は、蓋100およびバイアル1を備える。
【0020】
[蓋]
蓋100は物質を解放できるように貯蔵する。蓋100は、少なくとも一つの開放端部をもち、通常は円柱状に成形される。蓋100の形状は様々であり、ユーザの必要性または嗜好および/または利用上の意図された用途によって決められる。蓋100の内面は、蓋100の内部に配置された壁104を含む。壁104は、液体、固体、半固体、気体、これらの混合物等の物質を保持するための貯蔵部102を規定する。壁104は、貯蔵部102の外周の全部または一部を規定する。壁104は、貫通可能な膜160に密着(attach)しシールするためのシール面106を含む。
【0021】
貫通可能な膜160(図19に示す)は、シール面106に密着したとき、貯蔵部102内に物質を解放できるように貯蔵するための物理的な隔壁の役割を果たす。貫通可能な膜160は、貯蔵部内に貯蔵される物質に対して不活性である材料から作られる。貫通可能な膜160は、時間が経過しても貫通可能な膜160を通じて、物質をほとんどまたはまったく拡散させない。貫通可能な膜160は、意図された処理、保管、および/または輸送の条件に適した材料から作られる。特定の実施形態では、貫通可能な膜160は、高温および低温耐性であり、約−80°Cから約+70°Cまでの範囲の温度でも、原型を保つことができ、貫通されることができる。特定の実施形態では、貫通可能な膜160は、貫通可能な膜160が減圧によって破裂(disrupt)しないように、シール面106に十分にしっかりと密着されうる。貫通可能な膜160は、ポリプロピレンを含む多様な材料から製造されうる。貫通可能な膜160は、望ましくは、壁104と同じ材料から作られる。貫通可能な膜160の厚さは、利用上の用途やユーザの嗜好に応じて変化しうる。貫通可能な膜160は、望ましくは、約1000分の2インチの厚さを有する。しかし、膜の具体的な厚さは、物質の性質、サンプルの性質、容器システムの全体寸法および膜の化学的組成などの因子によって決定される。
【0022】
貫通可能な膜160をシール面106に密着するためには、様々な方法が利用可能である。その方法は蓋100の材料、貯蔵部102内に貯蔵される物質、および/または膜160の特性によって選択される。上記の密着方法は、接着剤、ヒートシール処理、固定具またはこれらのいずれかの組み合わせなどを含む。貫通可能な膜160をシール面106に密着させるには、望ましくは、ヒートシールを使用する。当業者には明白であろうが、貫通可能な膜の種類、貫通可能な膜の物理的および/または化学的特性は、貯蔵される組成物にある程度依存する。望ましくは、貫通可能な膜160は、容器システムの意図された用途、貯蔵された物質およびサンプルに対して不活性である。
【0023】
各図に示した具合的な実施形態では、蓋100は外周壁110の内側表面に螺旋状の雌ねじ108を具備する。雌ねじはバイアル1の壁12の外側表面の螺旋状の雄ねじ18とかみ合うように構成されている。当業者には理解されるであろうが、以下にさらに詳しく述べるように、蓋100およびバイアル1が貫通位置へ相対移動することができるのであれば、蓋100をバイアル1に着脱可能に装着するための代替的な手段が、本発明の容器システムにおいて使用されうる。
【0024】
蓋100および貯蔵部102の寸法は、一定の範囲の体積の物質を収容するように定められることができる。物質が唾液サンプルに使用される核酸保存剤である特定の実施形態では、貯蔵部102は、約1ml〜約4mlの物質を収容する。蓋100の材料の選択は、製造上の制約条件、化学的適合性等を含むいくつかの因子に依存する。物質が唾液サンプルに使用される核酸保存剤である特定の実施形態では、蓋100は、ポリプロピレン、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン等のプラスチックから作られる。望ましくは、蓋100の材料はポリプロピレンである。蓋100の材料は、所望の用途に応じて不透明、透明または半透明でありうる。例えば、不透明な材料は、光に敏感な組成物を貯蔵するために使用されうる。透明または半透明な材料は、貯蔵された物質に可視の(例えば、色)指標が存在する場合に望ましい。蓋100と貯蔵部102は、貯蔵部102内に貯蔵された物質の量を明確にするための目盛り(gradation)を含むように製造されうる。蓋100の外表面は、ユーザが蓋の中身を識別するためのラベル付け領域を含むこともできる。蓋100の外表面は、ロゴおよび/またはその他のマーキングを貼るまたはエンボス加工するための領域を含んでもよい。
【0025】
本発明の一つの実施形態によれば、壁104は、蓋100の内部に納まるように寸法を決められ、通常、円柱の形状を有する。壁104の形状および寸法は、容器システムの意図された用途に依存することは明白であろう。蓋100は、壁104を含む一片(a single piece)の材料から構成されてもよいし、または、壁104を着脱可能に蓋100に取り付けてもよい。望ましくは、蓋100は一片の材料から形成される。
【0026】
[バイアル]
本発明の一つの実施形態によれば、バイアル1は少なくとも一つの開放端部をもち、通常、円柱状に成形される。バイアル1の形状は、様々であり、ユーザの必要性または嗜好および/または利用上の用途によって決められる。バイアル1の内部は、液体、固体、半固体、これらの混合物等のサンプルを収容する(receive)ためのチャンバー2を備える。望ましくは、チャンバー2は、例えば、唾液等の唾サンプルなど、生体サンプルを収容するように構成される。
【0027】
バイアル1は、前記サンプルを受け入れるための第1の開放端部と、チャンバー2を備える第2の端部とを有する。一例では、前記第2の端部は第2の閉じた端部である。別の例では、前記第2の端部は、第2の開放端部である。
【0028】
一つの例では、バイアル1の第1の開放端部の幅は、第2の端部の幅と略同一(equivalent)である。
【0029】
別の例では、バイアル1の第1の開放端部は、通常(generally)、バイアル1の第2の端部よりも広い。この例では、より広い第1の開放端部は、例えば、漏斗と同様の働きをし、サンプルの採集を容易にする。
【0030】
一つの実施形態によれば、図22〜24に示すように、容器システム300は、バイアル1に固定的(fixedly)に装着された、またはバイアル1と一体化された漏斗を具備する。漏斗がバイアル1に固定的に装着されている場合、またはバイアル1と一体化されている場合、バイアルは、サンプルを受け入れるための広い口の開口を有するという特徴を有していてもよい。広い口または漏斗の特徴によって、被検者がサンプルを供給しやすくなる。
【0031】
バイアル1およびチャンバー2の寸法は、一定の範囲の体積のサンプルを収容するように定められることができる。物質が唾液サンプルに使用される核酸保存剤である特定の実施形態では、チャンバー2は、約1ml〜約4mlのサンプルを収容する。別の特定の実施形態では、チャンバー2は、約1ml〜約16mlのサンプルを収容する。
【0032】
バイアル1は、少なくとも一つの貫通部材6を具備する。図1〜11に示した特定の実施形態では、貫通部材6はチャンバー2の底部表面から延出(extend)している。一つの例では、貫通部材6は底部から略垂直に延出している。別の例では、貫通部材6はバイアル1の開放端部方向に対して内側または外側へ傾いている。代替的に、貫通部材6は前記バイアルの内側表面から延出している。一つの例では、貫通部材6は前記バイアルの内側表面から延出し、バイアル1の開放端部方向に対して内側または外側へ傾いている。
【0033】
一つの例では、チャンバー2内に1つの貫通部材6が存在する。代替的な例では、例えば、2つ、3つまたは4つ以上の貫通部材というように、複数の貫通部材6が存在する。一つの例では、各貫通部材は通常半円形状(semicircular fashion)に配置される。図9、10および23に示すような、3つの貫通部材が存在する具体的な例では、各貫通部材は、通常、半円形状に配置される。
【0034】
貫通部材6は、略台形の形状にすることができる。貫通部材6は、台形の一つの角に鋭端(pointed end)30を有し、台形の第2の角に第2の端を有する第1の刃(cutting edge)33を含み、台形の第2の角において刃(cutting edge)32と側壁34とが交わる。側壁34は、任意に刃32からの延びる刃33をも含む。
【0035】
容器システム300は、蓋1をバイアル1に装着しシールするための手段をさらに含む。このようなシール手段は、蓋100がバイアル1に装着されたとき、バイアル1の中身をチャンバー2とともに確実に密封状態に保つ。
【0036】
一つの例では、蓋100およびバイアル1は開放位置と貫通位置との間を相対移動することができる。具体的な例では、ひねり動作により雌ねじ108と、雄ねじ18とを、螺嵌(threadingly engaging)することにより、蓋100は、まずバイアル1に装着される。蓋100とバイアル1とは、まず螺合(threadingly connect)されるが、貫通部材6は貫通可能な膜160を貫通せず、壁12の端部30はシール壁120に係合する。例えば、図9に示すように、シール壁120は蓋100の内面から下向きかつ外側へ延出している。この種のシール機構は、当業者には周知であろうワイプシール(wipe seal)と同様のものである。したがって、はじめは、チャンバー2は、貫通可能な膜160によって貯蔵部102との流体連通(fluid communication)がない状態に保たれる。
【0037】
代替的な例では、蓋100およびバイアル1は、第1位置と貫通位置との間を相対移動することができる。具体的な例では、まずひねり動作により雌ねじ108と雄ねじ18とを螺嵌(threadingly engaging)することにより、第1位置まで相対移動され、蓋100は、まずバイアル1に装着される。蓋100およびバイアル1を第1位置まで相対移動したとき、蓋100とバイアル1は螺合されるが、貫通部材6は貫通可能な膜160を貫通しない。第1位置において、壁12の端部30はシール壁120に係合しシールする。図9に示すように、シール壁120は、例えば蓋100の内面から下向きかつ外側へ延出している。この種のシール機構は、当業者には周知であろうワイプシール(wipe seal)と同様のものである。したがって、第1位置においては、壁12がシール壁120に係合しシールすることにより、チャンバー2から容器システムの外部への漏出が起こらないように密封され、貫通可能な膜160によって貯蔵部102との流体連通がない状態に保たれる。
【0038】
当業者は、容器システムの外部への漏出が起こらないようにチャンバー2を密封することを確実にすることができ、かつ本システムに取り入れることが可能な既知の代替のシール構造があることを認識しているであろう。そのような代替物は、本発明の範囲に入るものとみなされる。
【0039】
ひねり動作を継続すると、蓋100およびバイアル1は、開放位置または第1位置から貫通位置へ相対移動する。このとき、蓋100およびバイアル1の両者の相対移動によって、貫通部材6が貫通可能な膜160を貫通し、貯蔵部102内の物質がチャンバー2内へ解放される。
【0040】
貫通位置へ相対移動する操作において、貫通部材6の鋭端31が貫通可能な膜160に接触して貫通可能な膜160を貫通する。ひねり動作を継続すると、刃32が貫通可能な膜160を通過して移動し、貫通可能な膜160を破壊する。これによりシール膜に開口が形成され、物質がチャンバー2へ入り込める。2つ以上の貫通部材が存在する場合、開口を形成するための、蓋100とバイアル1のひねり動作はより少なくてすむことは明白であろう。3つの貫通部材があるとき、適当な開口が、約4分の1回転で得られる。望ましくは、貫通可能な膜160はシール面106から完全に除去されない。このように、貫通位置では、貫通部材6は、貯蔵部102とチャンバー2との間の流体連通を可能にするように貫通可能な膜160を貫通する。
【0041】
貫通部材6と壁104の間の距離は、ユーザの必要性と嗜好により変化する。貫通部材6と壁104の間の距離は、互いの面が概ね重なる状態から互いに概ね離れた状態まで変化しうる。
【0042】
貫通部材6の長さおよび剛性などは、蓋100およびバイアル1が貫通位置にあるときには、貫通可能な膜160を貫通するために十分であるように、また蓋100とバイアル1が開放または第1位置にあるときには、貫通可能な膜160を貫通しないように選定されることは当業者には明白であろう。
【0043】
バイアル1の材料の選択は、製造上の制約条件および化学的適合性などを含むいくつかの因子に依存する。さらに、蓋1の構成材料は、貯蔵部6を作るために使用される材料と同じでも、異なってもよい。物質が唾液サンプルに使用される核酸保存剤である特定の実施形態では、バイアル1は、ポリプロピレン、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン等のプラスチックから作られる。望ましくは、バイアル1の材料は、HDPEである。
【0044】
本発明の別の態様によれば、容器システムは、蓋、漏斗およびバイアルを具備する。
図12〜21を参照すると、容器システム600は、蓋100、漏斗400およびバイアル500を具備する。
【0045】
[蓋]
蓋100は、上述したように、物質を解放できるように貯蔵する。
【0046】
[漏斗]
漏斗400は、サンプルを受けいれるための第1の開放端部と、バイアル500に着脱可能にまたは固定的(fixed)に装着するための第2の開放端部とを含む。一つの実施形態では、漏斗400はバイアル500と一体化されている。漏斗400は、内部に延在する内部通路422を備える。内部通路422は、第1の開放端部と第2の開放端部との間の流体連通を確保し、液体、固体、半固体、これらの混合物等のサンプルを受け入れる。漏斗400の形状は様々であり、ユーザの必要性または嗜好および/または利用上の用途によって決定される。内部通路422は、望ましくは、生体サンプルを受け入れることができるように構成される。生体サンプルは、例えば唾液等の唾サンプルである。内部通路422の寸法は、一定の範囲の体積のサンプルを収容できるように定められることができる。
【0047】
各図に示した具体的な実施形態では、蓋100は外周壁110の内側表面に螺旋状の雌ねじ108を具備する。雌ねじは漏斗400の壁412の外側表面の螺旋状の雄ねじ418とかみ合うように形成される。当業者には理解されるであろうが、詳細に上述したように、蓋100および漏斗400が、貫通位置へ相対移動することができるのであれば、蓋100を漏斗400に着脱可能に装着するための代替的な手段が本発明の容器システムにおいて使用されうる。
【0048】
漏斗400は、少なくとも一つの貫通部材6を具備する。図12〜21に示した実施形態によれば、貫通部材6は漏斗400の内側表面(内側の壁420)から延出している。一つの例では、貫通部材6は貫通可能な膜160方向に対して内側または外側に傾いている。当業者にはすでに理解しているだろうが、貫通部材6は、これ以外の形状を有していてもよい。
【0049】
一つの例では、内部通路422内に1つの貫通部材6が存在する。代替的な例では、例えば、2つ、3つ、または4つ以上の貫通部材というように、複数の貫通部材が存在する。貫通部材が3つの場合、図18に示すように、各貫通部材は、望ましくは略半円形状に配置される。
【0050】
前述のとおり、貫通部材6の形状は、略台形でありうる。貫通部材6は、台形の一つの角に鋭端(pointed end)30を有し、台形の第2の角に第2の端を有する第1の刃(cutting edge)33を含み、台形の第2の角において刃(cutting edge)32と側壁34とが交わる。側壁34は、任意に刃32から延びた刃33をも含む。
【0051】
容器システム600は、蓋100を漏斗400に装着しシールするための手段をさらに含む。このようなシール手段は、漏斗400およびバイアル500がバイアル1に装着されたとき、バイアル1の中身をチャンバー2とともに確実に密封状態に保つ。
【0052】
漏斗400は、任意に外側に延出したリブ402を含み、ユーザはリブを利用して漏斗400および蓋100、および/または漏斗400およびバイアル500をひねることができる。
【0053】
漏斗400の材料の選択は、製造上の制約条件および化学的適合性等を含むいくつかの因子に依存する。さらに、漏斗400の構成材料は、蓋100および採集用バイアル500の材料と同じでもよいし、異なってもよい。物質が唾液サンプルに使用される核酸保存剤である特定の実施形態では、漏斗400は、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン、中密度ポリエチレン(MDPE)、またはこれらのいずれかの組み合わせ等のプラスチックから作られる。望ましくは、バイアル1の材料はHDPEである。
【0054】
具体的な例では、蓋100はポリプロピレンであり、バイアル500はポリプロピレンであり、漏斗400はHDPEである。
【0055】
[バイアル]
バイアル500(または採集用バイアル500)は、通常、円柱状に成形され、漏斗400の第2端部に着脱可能にまたは固定的に装着するための開放端部、およびサンプルを収容するためのチャンバー530を有する。バイアル500の形状は様々であり、ユーザの必要性または嗜好および/または利用上の用途によって決定されうる。バイアル500は、本発明の容器システムに使用するために特別に製造されてもよいし、または市販のバイアルを利用してもよい。前述したように、一つの実施形態では、漏斗400、はバイアル500と一体化される。容器システムが試験用途に使用される場合、バイアル500の寸法は、望ましくは、生体サンプル処理に一般に使用される標準的な試験管立てに収まるように定められる。一つの例では、バイアル500の寸法は、採血管の業界標準寸法(例えば、13mm×75mm)と一致する。望ましくは、バイアル500は、ロボットによるDNA精製システム(例えば、Beckman BioMekO FX)を用いた用途に適合する。望ましくは、バイアル500はSimport Plastics Limitedから市販されているもの(例えば、T501 tubes)である。
【0056】
図21に示すように、バイアル500の開放端部も、標準のキャップ520の取り付け(attachment)を確保できるように構成される。キャップ520は、ねじ込み式、スナップフィット等によって固定されうる。
【0057】
バイアル500は、ラベルを貼るためのおよび/またはユーザが握りやすい摩擦抵抗を与えるための適した表面502を任意に含む。
【0058】
バイアル500は、様々なロッキング機構(locking mechanism)により漏斗400に着脱可能に装着されうる。本発明の一つの実施形態によれば、ロッキング機構は螺旋状のねじである。代替的に、ロッキング機構はスナップフィットである。代替的に、バイアル500は漏斗400に固定的に装着されたり、または漏斗400と一体化される。
【0059】
一つの例では、蓋100およびバイアル1について上述したように、蓋100および漏斗400は、開放位置と貫通位置との間を相対移動することができる。具体的な例では、ひねり動作で雌ねじ108と雄ねじ18とを螺嵌することにより、蓋100は、まず、漏斗400に装着される。蓋100と漏斗400とは、まず螺合されるが、貫通部材6は貫通可能な膜160を貫通せず、壁12の端部30はシール壁120に係合する。例えば、図9および16に示すように、シール壁120は蓋100の内面から下向きかつ外側へ延出している。この種のシール機構は、当業者には周知であろうワイプシール(wipe seal)と同様のものである。したがって、はじめは、内部通路422は、貫通可能な膜6によって前記貯蔵部102との流体連通がない状態に保たれる。
【0060】
代替的な例では、蓋100および漏斗400は、蓋100およびバイアル1について上述したように、第1位置と貫通位置との間を相対移動することができる。具体的な例では、蓋100は、まずひねり動作で雌ねじ108と雄ねじ18とを螺嵌することにより、漏斗400に装着される。蓋100および漏斗400を第1位置まで相対移動することにより、蓋100と漏斗400とは、螺合されるが、貫通部材6は貫通可能な膜160を貫通しない。第1位置において、壁12の端部30はシール壁120に係合しシールする。例えば、図9および16に示すように、シール壁120は蓋100の内面から下向きかつ外側へ延出している。この種のシール機構は、当業者には周知であろうワイプシール(wipe seal)と同様のものである。したがって、第1位置においては、内部通路422から容器システムの外部への漏出が起こらないように密封され、貫通可能な膜6によって前記貯蔵部102との流体連通がない状態に保たれる。
【0061】
ひねり動作を継続すると、蓋100および漏斗400は開放位置または第1位置のいずれかから貫通位置へ相対移動する。このとき、蓋100およびバイアル1の両者の動きにより、貫通部材6が貫通可能な膜160を貫通し、貯蔵部102内の物質がチャンバー2およびバイアル500内へ解放される。
【0062】
貫通位置へ相対移動する操作において、鋭端30が貫通可能な膜160に接触して、その後に貫通可能な膜160を貫通する。ひねり動作を継続すると、刃32が、貫通可能な膜160を通過して移動し、貫通可能な膜160を貫通する。これにより貫通可能な膜160に開口が形成され、物質が内部通路422へ入り込める。2つ以上の貫通部材がある場合、開口を形成するための蓋100とバイアル1のひねり動作はより少なくてすむ。3つの貫通部材があるとき、適当な開口が、約4分の1回転で得られる。このように、貫通位置では、貫通部材6は、貯蔵部102と内部通路422の間の流体連通を可能にするように貫通可能な膜160を貫通する。
【0063】
貫通部材6と壁104の間の距離は、ユーザの必要性および嗜好により変化する。貫通部材6と壁104の間の距離は、互いの面が概ね重なる状態から互いに概ね離れた状態まで変化しうる。
【0064】
貫通部材6の長さおよび剛性などは、蓋100およびバイアル1が貫通位置にあるときには、貫通可能な膜160を貫通するために十分であるように、また蓋100とバイアル1が開放または第1位置にあるときには、貫通可能な膜160を貫通しないように選定されることは当業者には明白であろう。
【0065】
[方法]
本発明の一つの実施形態によれば、本発明の容器システムは、生体サンプル内の核酸を安定化させたり、保存したり、または回収しやすくするための物質を解放できるように貯蔵するために適している。生体サンプルは、体液および/または体組織を含んでもよい。
【0066】
望ましくは、バイアル1および/または漏斗400の寸法は、被検者からの生体サンプル採集に適合するように定められる。生体サンプルの非限定的な例は、皮膚、毛髪、糞便、体液、組織、細胞等を含む。
【0067】
本文書で使用される「体液」という用語は、唾液、痰唾、血清、血漿、血液、咽頭分泌物、鼻/鼻咽頭分泌物、副鼻腔分泌物、尿、粘液、胃液、膵液、糞便、精液、泌乳または生理の生成物、涙、またはリンパ液等の人間または動物から自然に発生する流体を意味する。
【0068】
本文書で使用される「体組織」または「組織」という用語は、植物または動物の構成要素の一つを形成する、細胞間物質を含む通常は特定の種類の細胞の集合体を意味し、動物では、結合組織、上皮組織、筋肉組織、神経組織等を含む。
【0069】
本文書で使用される「核酸」という用語は、染色体、クロマチン、ミトコンドリア、リボソーム、細胞質、細胞核、微生物またはウイルスに一般的に確認される、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)を含むヌクレオチドの鎖を意味する。
【0070】
本文書で使用される「リボ核酸」または「RNA」という用語は、これらに限定されないが高分子RNA,大サブユニットおよび小サブユニットのリボソームRNA、メッセンジャーRNA、プリメッセンジャーRNA、小型機能性RNA(small regulatory RNA)、RNAウイルス(一本鎖および二本鎖、正鎖または負鎖の)を含む広範囲なRNA種を意味する。RNAは、これらに限定されないが、ヒト、非ヒト、ウイルス、バクテリア、菌、原生動物、寄生生物、単細胞、多細胞、in vitro、in vivo、自然のおよび/または人工のソースを含む多様なソースから得ることができる。
【0071】
任意に、体液は唾液である。本文書で使用される「唾液」という用語は、口の内側を覆う多数の小さな口唇腺、頬腺、および口蓋腺からの分泌物と任意に混合される、耳下腺、顎下腺、および舌下腺を含む唾液腺のいずれかからの分泌物または分泌物の組み合わせを意味する。
【0072】
本文書で使用される「被検者」という用語は、動物または人間をさす。望ましくは、被検者は、核酸の安定化および/または検出を目的とする唾液を生み出すことができる哺乳類である。
【0073】
使用時には、生体サンプル内の核酸を安定化させたり、保存したり、または回収しやすくするための組成物等の物質が、貫通可能な膜によって貯蔵部102に密封される。適当な組成物は、国際公開第2003/104251号パンフレット、国際出願CA2006/000380号、米国出願第60/828,563号または60/866,985号(これらの内容はすべて、それらの全体を参照することにより本書に援用される)に記載された組成物を含む。望ましくは、組成物は、OrageneODNA保存溶液である。その他の適当な組成物は、当業者には周知であろう。
【0074】
一つの例では、使用時において、被検者からの唾液のサンプルはバイアル1のチャンバー2内に収容される。代替的に、バイアル500は漏斗400に装着され、唾液のサンプルは、漏斗400のチャンバー2に収容される。
【0075】
一つの例では、被検者から唾液を採集するために、被検者は、直前の食事の後30〜60分間待つように指示される。可能であれば、被検者は(練り歯磨きを使用せずに)歯をブラッシングする。可能であれば、被検者は50mlの水で口をゆすぐ。被検者は口から水がなくなるまで5〜10分間待つように要求される。唾を吐くことができる被検者には、唾液面が1または2mlのマークに達するまで、特別な採集用バイアルに唾液を吐くように指示される。直前の食事の後に待機すること、および口をゆすぐことは望ましいが、必ずしも必要ではない。唾液の採集には数分かかる可能性がある。被検者は、十分な唾液を吐き出せないと感じたら、咀嚼するためにテーブル・シュガーを数粒、与えられる。そして、少量の砂糖をバイアルに吐いたとしても気にすることはないと告げられる。唾を吐くことができない被検者(例えば、幼児、低年齢小児、障害者)には、用具(例えば、スワブ、メスピペット)をサンプル採集のために使用することができる。さらに、被検者の口と喉をうがいするための液体(例えば、うがい薬、水、生理食塩水)または被検者の鼻腔を洗い流すための生理食塩水を被験者に提供してもよい。前記液体と共に採集されたサンプルは、採集用バイアルに供給される。
【0076】
核酸および唾液を安定化させたり、保存したり、または回収しやすくする組成物等の物質が、蓋100の貯蔵部102内に貯蔵される。
【0077】
蓋100は次にバイアル1に装着され、貫通位置に相対移動され、物質はチャンバー2の唾液と混じり合う。
【0078】
代替的に、蓋100は漏斗400に装着され、貫通位置に動かされ、物質は内部530の唾液と混じり合う。
【0079】
核酸を安定化させたり、保存したり、または回収しやすくするための組成物と唾液の混合物は、次に、例えば、検出または定量のための標準的な核酸試験反応に使用することができる。代替的に、容器システム300または600内に混合物を貯蔵しておき、例えば、唾液内に含まれた核酸の検出のために後で使用してもよい。代替的に、漏斗400をバイアル500から取り外して、キャップ520をバイアル500の開放端部に取り付ける。この例では、バイアル500内に混合物を貯蔵しておき、例えば、唾液内に含まれた核酸の検出のために後で使用することができる。
【0080】
本発明の一つの態様では、容器システム300および容器システム600の寸法は、流通のために定められる。一つの例では、容器システム300のバイアル1と蓋100の寸法は、しっかり装着(securely attach)された状態での流通のために定められる。一つの例では、容器システム600の蓋1、漏斗400および採集用バイアル500の寸法は、蓋1、漏斗400および採集用バイアル500がしっかり装着された状態での流通のために定められる。別の例では、容器システム300のバイアル1と蓋100の寸法は、バイアル1と蓋100とが分離した状態での流通のために定められる。別の例では、容器システム600の蓋1、漏斗400および採集用バイアル500の寸法は、蓋1、漏斗400および採集用バイアル500が分離した状態での流通のために定められる。当然のことながら、様々な流通の方法が考えられる。流通の非限定的な例は、手による輸送、陸上輸送、空輸、船舶、動物を使った輸送等、またはこれらの組み合わせによる流通を含む。望ましくは、容器システム300または容器システム600の大きさは、標準の郵送用包装内に収まる程度である。一つの例では、容器システム300または容器システム600の大きさは、ヨーロッパの標準の郵便物の投入口に入るサイズの包装内に収まる程度である。具体的な例では、ヨーロッパの標準の郵便物の投入口は約3cmの幅をもつ。代替的に、容器システム300または容器システム600の大きさは、カナダおよび/またはアメリカ合衆国の標準の郵便物の投入口に入るサイズの包装内に収まる程度である。
【0081】
本発明の別の態様は、物質を解放できるように貯蔵するための器具の製造方法を提供する。この製造方法は、本発明による容器システムを準備することを含む。
【0082】
本発明の別の態様は、物質を生体サンプルと混合する方法を提供する。この方法は、物質を含む本発明による容器システムを準備すること、および生体サンプルを供給することを含む。
【0083】
本発明の別の態様は、生体サンプル中の核酸を保存する方法を提供する。この方法は、生体サンプル中の核酸を保存するための物質を含む本発明による容器システムを準備することを含む。
【0084】
本発明の別の態様は、生体サンプルを長期間保存する方法を提供する。望ましくは、保存は室温で保存する。この方法は、本発明による容器システムを準備すること、および生体サンプルを保存するための物質を準備することを含む。一つの例では、長期保存は、約1週間を超える間、約2週間、約3週間、約1か月間、約1ヶ月を超える期間、約1年間、室温で保存する。
【0085】
[キット]
本発明の別の態様は、サンプルを採集し、そのサンプルを物質と混合するためのキットを提供する。当該キットは、本発明による容器システムとその使用のための指示事項を含み、選択的に容器システムの蓋の内部に貯蔵した物質を有する。
【0086】
本明細書で言及したすべての刊行物、特許および特許出願は、本発明が関係する技術における当業者の技術レベルを示すものであり、各々の刊行物、特許または特許出願が参照により援用されることが明確に個別に指示されていたとすれば、その指示と同一範囲で参照することにより本書に援用される。
【0087】
上述のとおり発明を説明したが、同じことを様々にやり方を変えることができることは明らかであろう。このような変形は、本発明の精神と範囲から逸脱するとみなすべきものではない。このような変形はすべて、当業者には明らかであろうが、請求項の範囲に含まれる。
【0088】
図面におけるボールド体活字の番号は、本発明の様々な実施形態を図示する図面において説明および参照される構成部品を識別するために用いられる。本発明の様々な実施形態を説明する上で、同じ参照番号を同じまたは同等の要素を識別するために使用したことに注意されたい。さらに、簡便にするために、図面のいつかの図からは部品を省略してある。
【0089】
[関連出願]
本出願は、2005年12月9日に出願された米国出願第60/748,977号の優先権を主張し、その内容は、その全体を参照することにより本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】装着された蓋とバイアルを示す、本発明の一つの実施形態による容器システムの断面図である。
【図2】図1に示した容器システムの蓋の内部の斜視図である。
【図3】図1に示した容器システムのバイアルの内部の斜視図である。
【図4】本発明の一つの実施形態による容器システムの斜視図である。
【図5】図4に示した容器システムの上面図である。
【図6】図4に示した容器システムの側面図である。
【図7】図4に示した容器システムの側面図である。
【図8】図4に示した容器システムの底面図である。
【図9】図5におけるA−A線に沿った、図4の容器システムの断面図である。
【図10】分離された蓋とバイアルを示す、図4に示した容器システムの上面斜視図である。
【図11】分離された蓋とバイアルを示す、図4に示した容器システムの底面斜視図である。
【図12】本発明の一つの実施形態による容器システムの側面斜視図である。
【図13】図12に示した容器システムの上面図である。
【図14】図12に示した容器システムの底面図である。
【図15】図12に示した容器システムの側面図である。
【図16】図15におけるB−B線に沿った、図12の容器システムの断面図である。
【図17】図12に示した容器システムの側面図である。
【図18】分離された蓋と漏斗を示す、図12に示した容器システムの上面斜視図である。
【図19】分離された蓋と漏斗を示す、図12に示した容器システムの底面斜視図である。
【図20】図9に示した容器システムのバイアルとキャップの側面図である。
【図21】分離された蓋、漏斗、およびバイアルを示す、図12に示した容器システムの側面図である。
【図22】本発明の一つの実施形態による容器システムの側面斜視図である。
【図23】バイアルを示す、図22に示した容器システムのバイアル部分の上面斜視図である。
【図24】図22に示した容器システムの蓋の断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、概して、物質(substance)を解放できるように貯蔵するための容器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体や固体、気体、これらの混合物などの物質と他の物質とを混合する前に、液体や固体、気体、これらの混合物などの物質を容器中に貯蔵しておくことが望ましいことが多い。例えば、化合物を他の物質と混ぜ合わせる前に、流通および/または安全な保管および取り扱いのためにパッケージ化して貯蔵することが望ましい場合がある。毒性化合物を解毒物質と混ぜ合わせる前に、容器中にパッケージ化して貯蔵することが望ましい場合がある。また、濃縮活性成分を使用直前まで希釈剤から隔離して貯蔵することが望ましいことが多い。
【0003】
さらに、診断に用いる組成物および/または核酸を保存する組成物を、生体サンプルと混ぜ合わせる前に貯蔵し、および/または流通することが望ましい場合がある。
【0004】
また、ドナーの生体サンプルが採集されるまで、ある物質をドナーから隔絶して貯蔵することが望ましい場合がある。これは、ドナーがその物質を偶然に取り込んだり、または流出させたりすることを防ぐことに役立つ。
【0005】
生体サンプル中の病原体/感染粒子を、そのサンプルの保管および/または流通および/または取り扱いの前に、貯蔵された物質と混合することによって不活性化することが望ましい場合もある。
【0006】
診断に用いる組成物および/または核酸を保存する組成物を生体サンプルと混合した後に貯蔵し、および/または流通することが望ましい場合がある。
【0007】
複数の物質を隔離して保持するための容器であり、物質を混合するために隔離を解除することができるような仕組みの、多様な容器がある。典型的に、これらの容器は、物質が隔離して貯蔵される二つの分室を有するシステムを有し、容器内の隔離を解除することにより物質が混合される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
国際公開第2003/104251号パンフレットには、生体サンプルを被験者から採集し、その後、サンプルの成分を安定化させたり、保存したり、または回収しやすくするための物質と混合するための容器が記載されている。この容器は、生体サンプルを採集するための第1の領域と、核酸を保存するための物質を収容する第2の領域と、第1の領域と第2の領域の間の隔壁(閉位置にあるときサンプルと物質とを隔離する)とを有する。国際公開第2003/104251号パンフレットに例示された隔壁は、旋回式の仕切りである。隔壁は、容器に蓋を装着することによって、容器を橋渡しし、(spanning container)、第1の領域と第2の領域を隔離する元の閉位置から、両領域が互いに開放し、一方の領域に収容されていた物質と、他方の領域に収容されていた生体サンプルとの接触を可能にする開位置へと旋回する。この容器の欠点は、多数のパーツ(例えば、蓋、バイアル、ディスク、ロッド、ロッド・ホルダー)を含むことから、容器の製造コストがかさむということである。さらに加えて、ディスクは摩擦かみ合わせ(friction fit)によって所定の位置に保持されるので、容器の構成部材を製造する際の精度が高くなければならない。
【0009】
依然として解放できるように、かつ確実に物質を貯蔵するための改良された容器システムが求められている。
【0010】
この背景情報は、出願者によって本発明に関係する可能性があると考えられた情報を知らせるために記載されたものである。上記の情報のいずれかが本発明に対する先行技術を構成することを必ずしも認めるつもりはなく、またそう解釈すべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、概して、物質を解放できるように貯蔵するための容器システムに関する。
本発明の一つの態様によれば、a)サンプルを受け入れる(receive)ための第1の開放端部(open end)、サンプル収容用のチャンバーを備える第2の端部、および貫通部材を具備するバイアルと、b)前記バイアルに着脱可能にはめ合わせうるように構成された蓋であり、物質(substance)を保持するための貯蔵部、および前記貯蔵部内の物質をシールする貫通可能な膜を備える前記蓋と、を具備する物質を解放できるように貯蔵するための容器システムが提供される。前記システムが前記バイアルと前記蓋との着脱可能なはめ合わせによって閉じられているとき、前記バイアルおよび前記蓋は、貫通位置(前記貫通部材が前記貫通可能な膜を貫通(disrupt)し、前記貯蔵部と前記チャンバーとの間の流体連通(fluid communication)を可能にする位置)へ相対移動(move)することができ、貫通位置ではチャンバーは、容器システムの外部への漏出が起こらないようにシールされる。
【0012】
本発明の別の態様によれば、a)サンプルを保持するためのチャンバーを備えるバイアルと、b)物質を保持するための貯蔵部および、前記貯蔵部内の物質をシールする貫通可能な膜を備える蓋と、c)前記サンプルを受け入れるための第1の開放端部、貫通部材、および前記第1の開放端部から第2の開放端部へ延在し、前記チャンバーと流体連通する通路を備える漏斗であって、前記第1の開放端部で前記蓋に着脱可能に装着されることができ、前記第2の端部において前記バイアルと着脱可能にまたは恒久的に装着される前記漏斗と、を具備する物質を解放できるように貯蔵するための容器システムが提供される。前記システムが前記蓋と前記漏斗との着脱可能なはめ合わせによって閉じられているとき、前記システムは、貫通位置(前記貫通部材が前記貫通可能な膜を貫通し、前記通路を介して前記貯蔵部と前記チャンバーの間の流体連通を可能にする位置)へ相対移動することができ、貫通位置においてチャンバーは容器システムの外部への漏出が起こらないようにシールされる。
【0013】
本発明の別の態様によれば、(a)ここに記述される容器システムを準備するステップと、(b)バイアル中のチャンバーにサンプルを供給するステップと、(c)バイアルまたは漏斗に蓋を着脱可能に装着することによって前記容器システムを閉じるステップと、(d)当該システムを前記貫通位置へ相対移動することにより、前記物質を前記チャンバー内へ解放するように膜に穴を開けるステップと、を含む物質と生体サンプルとを混合する方法が提供される。
【0014】
本発明の別の態様によれば、a)ここに記述される容器システムと、b)その使用のための指示事項と、を含む物質を解放できるように貯蔵するためのキットが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の容器システムは、従来の容器よりもパーツの数が少ないことから、低コストかつ、製造がより簡便である。それに加えて、隔離可能な分室を有する従来の容器に比べて、本発明の容器システムでは製造の際の許容誤差をそれほど精密にしなくてもよい。また、本発明は、製造コストを下げ、シールされた物質が偶発的に破裂(disruption)する可能性を下げる。さらに、本発明の一つの実施例では、容器システムは、サンプルのその後の処理および/またはロボット・システムでの使用に適した取外し可能なバイアルを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下にさらに詳しく説明するように、本発明は物質を解放できるように貯蔵する容器システムを提供する。
【0017】
本発明の容器システムは、バイアルおよび蓋を具備する。容器システムは、さらに漏斗を任意に具備する。漏斗は恒久的(permanently)にまたは着脱可能(removably)にバイアルに装着されるとともに、蓋にはめ合わされシールする。蓋には物質が貯蔵され、その蓋がバイアルまたは漏斗に装着されシールされているとき、蓋から物質が解放されることができる状態になるように構成される。使用時には、蓋がバイアルまたは漏斗(存在すれば)に装着されているとき、蓋の内部に貯蔵されていた物質がバイアル内に解放される。
【0018】
本発明の特定の実施形態によれば、蓋は、生体サンプル内の核酸を安定化させたり、保存したり、または回収しやすくするための物質を貯蔵することに適している。関連した実施形態によれば、バイアル、または漏斗とバイアルとの組み合わせは、被検者から生体サンプルを採集することに適している。
【0019】
図1〜11および図22〜24を参照すると、容器システム300は、蓋100およびバイアル1を備える。
【0020】
[蓋]
蓋100は物質を解放できるように貯蔵する。蓋100は、少なくとも一つの開放端部をもち、通常は円柱状に成形される。蓋100の形状は様々であり、ユーザの必要性または嗜好および/または利用上の意図された用途によって決められる。蓋100の内面は、蓋100の内部に配置された壁104を含む。壁104は、液体、固体、半固体、気体、これらの混合物等の物質を保持するための貯蔵部102を規定する。壁104は、貯蔵部102の外周の全部または一部を規定する。壁104は、貫通可能な膜160に密着(attach)しシールするためのシール面106を含む。
【0021】
貫通可能な膜160(図19に示す)は、シール面106に密着したとき、貯蔵部102内に物質を解放できるように貯蔵するための物理的な隔壁の役割を果たす。貫通可能な膜160は、貯蔵部内に貯蔵される物質に対して不活性である材料から作られる。貫通可能な膜160は、時間が経過しても貫通可能な膜160を通じて、物質をほとんどまたはまったく拡散させない。貫通可能な膜160は、意図された処理、保管、および/または輸送の条件に適した材料から作られる。特定の実施形態では、貫通可能な膜160は、高温および低温耐性であり、約−80°Cから約+70°Cまでの範囲の温度でも、原型を保つことができ、貫通されることができる。特定の実施形態では、貫通可能な膜160は、貫通可能な膜160が減圧によって破裂(disrupt)しないように、シール面106に十分にしっかりと密着されうる。貫通可能な膜160は、ポリプロピレンを含む多様な材料から製造されうる。貫通可能な膜160は、望ましくは、壁104と同じ材料から作られる。貫通可能な膜160の厚さは、利用上の用途やユーザの嗜好に応じて変化しうる。貫通可能な膜160は、望ましくは、約1000分の2インチの厚さを有する。しかし、膜の具体的な厚さは、物質の性質、サンプルの性質、容器システムの全体寸法および膜の化学的組成などの因子によって決定される。
【0022】
貫通可能な膜160をシール面106に密着するためには、様々な方法が利用可能である。その方法は蓋100の材料、貯蔵部102内に貯蔵される物質、および/または膜160の特性によって選択される。上記の密着方法は、接着剤、ヒートシール処理、固定具またはこれらのいずれかの組み合わせなどを含む。貫通可能な膜160をシール面106に密着させるには、望ましくは、ヒートシールを使用する。当業者には明白であろうが、貫通可能な膜の種類、貫通可能な膜の物理的および/または化学的特性は、貯蔵される組成物にある程度依存する。望ましくは、貫通可能な膜160は、容器システムの意図された用途、貯蔵された物質およびサンプルに対して不活性である。
【0023】
各図に示した具合的な実施形態では、蓋100は外周壁110の内側表面に螺旋状の雌ねじ108を具備する。雌ねじはバイアル1の壁12の外側表面の螺旋状の雄ねじ18とかみ合うように構成されている。当業者には理解されるであろうが、以下にさらに詳しく述べるように、蓋100およびバイアル1が貫通位置へ相対移動することができるのであれば、蓋100をバイアル1に着脱可能に装着するための代替的な手段が、本発明の容器システムにおいて使用されうる。
【0024】
蓋100および貯蔵部102の寸法は、一定の範囲の体積の物質を収容するように定められることができる。物質が唾液サンプルに使用される核酸保存剤である特定の実施形態では、貯蔵部102は、約1ml〜約4mlの物質を収容する。蓋100の材料の選択は、製造上の制約条件、化学的適合性等を含むいくつかの因子に依存する。物質が唾液サンプルに使用される核酸保存剤である特定の実施形態では、蓋100は、ポリプロピレン、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン等のプラスチックから作られる。望ましくは、蓋100の材料はポリプロピレンである。蓋100の材料は、所望の用途に応じて不透明、透明または半透明でありうる。例えば、不透明な材料は、光に敏感な組成物を貯蔵するために使用されうる。透明または半透明な材料は、貯蔵された物質に可視の(例えば、色)指標が存在する場合に望ましい。蓋100と貯蔵部102は、貯蔵部102内に貯蔵された物質の量を明確にするための目盛り(gradation)を含むように製造されうる。蓋100の外表面は、ユーザが蓋の中身を識別するためのラベル付け領域を含むこともできる。蓋100の外表面は、ロゴおよび/またはその他のマーキングを貼るまたはエンボス加工するための領域を含んでもよい。
【0025】
本発明の一つの実施形態によれば、壁104は、蓋100の内部に納まるように寸法を決められ、通常、円柱の形状を有する。壁104の形状および寸法は、容器システムの意図された用途に依存することは明白であろう。蓋100は、壁104を含む一片(a single piece)の材料から構成されてもよいし、または、壁104を着脱可能に蓋100に取り付けてもよい。望ましくは、蓋100は一片の材料から形成される。
【0026】
[バイアル]
本発明の一つの実施形態によれば、バイアル1は少なくとも一つの開放端部をもち、通常、円柱状に成形される。バイアル1の形状は、様々であり、ユーザの必要性または嗜好および/または利用上の用途によって決められる。バイアル1の内部は、液体、固体、半固体、これらの混合物等のサンプルを収容する(receive)ためのチャンバー2を備える。望ましくは、チャンバー2は、例えば、唾液等の唾サンプルなど、生体サンプルを収容するように構成される。
【0027】
バイアル1は、前記サンプルを受け入れるための第1の開放端部と、チャンバー2を備える第2の端部とを有する。一例では、前記第2の端部は第2の閉じた端部である。別の例では、前記第2の端部は、第2の開放端部である。
【0028】
一つの例では、バイアル1の第1の開放端部の幅は、第2の端部の幅と略同一(equivalent)である。
【0029】
別の例では、バイアル1の第1の開放端部は、通常(generally)、バイアル1の第2の端部よりも広い。この例では、より広い第1の開放端部は、例えば、漏斗と同様の働きをし、サンプルの採集を容易にする。
【0030】
一つの実施形態によれば、図22〜24に示すように、容器システム300は、バイアル1に固定的(fixedly)に装着された、またはバイアル1と一体化された漏斗を具備する。漏斗がバイアル1に固定的に装着されている場合、またはバイアル1と一体化されている場合、バイアルは、サンプルを受け入れるための広い口の開口を有するという特徴を有していてもよい。広い口または漏斗の特徴によって、被検者がサンプルを供給しやすくなる。
【0031】
バイアル1およびチャンバー2の寸法は、一定の範囲の体積のサンプルを収容するように定められることができる。物質が唾液サンプルに使用される核酸保存剤である特定の実施形態では、チャンバー2は、約1ml〜約4mlのサンプルを収容する。別の特定の実施形態では、チャンバー2は、約1ml〜約16mlのサンプルを収容する。
【0032】
バイアル1は、少なくとも一つの貫通部材6を具備する。図1〜11に示した特定の実施形態では、貫通部材6はチャンバー2の底部表面から延出(extend)している。一つの例では、貫通部材6は底部から略垂直に延出している。別の例では、貫通部材6はバイアル1の開放端部方向に対して内側または外側へ傾いている。代替的に、貫通部材6は前記バイアルの内側表面から延出している。一つの例では、貫通部材6は前記バイアルの内側表面から延出し、バイアル1の開放端部方向に対して内側または外側へ傾いている。
【0033】
一つの例では、チャンバー2内に1つの貫通部材6が存在する。代替的な例では、例えば、2つ、3つまたは4つ以上の貫通部材というように、複数の貫通部材6が存在する。一つの例では、各貫通部材は通常半円形状(semicircular fashion)に配置される。図9、10および23に示すような、3つの貫通部材が存在する具体的な例では、各貫通部材は、通常、半円形状に配置される。
【0034】
貫通部材6は、略台形の形状にすることができる。貫通部材6は、台形の一つの角に鋭端(pointed end)30を有し、台形の第2の角に第2の端を有する第1の刃(cutting edge)33を含み、台形の第2の角において刃(cutting edge)32と側壁34とが交わる。側壁34は、任意に刃32からの延びる刃33をも含む。
【0035】
容器システム300は、蓋1をバイアル1に装着しシールするための手段をさらに含む。このようなシール手段は、蓋100がバイアル1に装着されたとき、バイアル1の中身をチャンバー2とともに確実に密封状態に保つ。
【0036】
一つの例では、蓋100およびバイアル1は開放位置と貫通位置との間を相対移動することができる。具体的な例では、ひねり動作により雌ねじ108と、雄ねじ18とを、螺嵌(threadingly engaging)することにより、蓋100は、まずバイアル1に装着される。蓋100とバイアル1とは、まず螺合(threadingly connect)されるが、貫通部材6は貫通可能な膜160を貫通せず、壁12の端部30はシール壁120に係合する。例えば、図9に示すように、シール壁120は蓋100の内面から下向きかつ外側へ延出している。この種のシール機構は、当業者には周知であろうワイプシール(wipe seal)と同様のものである。したがって、はじめは、チャンバー2は、貫通可能な膜160によって貯蔵部102との流体連通(fluid communication)がない状態に保たれる。
【0037】
代替的な例では、蓋100およびバイアル1は、第1位置と貫通位置との間を相対移動することができる。具体的な例では、まずひねり動作により雌ねじ108と雄ねじ18とを螺嵌(threadingly engaging)することにより、第1位置まで相対移動され、蓋100は、まずバイアル1に装着される。蓋100およびバイアル1を第1位置まで相対移動したとき、蓋100とバイアル1は螺合されるが、貫通部材6は貫通可能な膜160を貫通しない。第1位置において、壁12の端部30はシール壁120に係合しシールする。図9に示すように、シール壁120は、例えば蓋100の内面から下向きかつ外側へ延出している。この種のシール機構は、当業者には周知であろうワイプシール(wipe seal)と同様のものである。したがって、第1位置においては、壁12がシール壁120に係合しシールすることにより、チャンバー2から容器システムの外部への漏出が起こらないように密封され、貫通可能な膜160によって貯蔵部102との流体連通がない状態に保たれる。
【0038】
当業者は、容器システムの外部への漏出が起こらないようにチャンバー2を密封することを確実にすることができ、かつ本システムに取り入れることが可能な既知の代替のシール構造があることを認識しているであろう。そのような代替物は、本発明の範囲に入るものとみなされる。
【0039】
ひねり動作を継続すると、蓋100およびバイアル1は、開放位置または第1位置から貫通位置へ相対移動する。このとき、蓋100およびバイアル1の両者の相対移動によって、貫通部材6が貫通可能な膜160を貫通し、貯蔵部102内の物質がチャンバー2内へ解放される。
【0040】
貫通位置へ相対移動する操作において、貫通部材6の鋭端31が貫通可能な膜160に接触して貫通可能な膜160を貫通する。ひねり動作を継続すると、刃32が貫通可能な膜160を通過して移動し、貫通可能な膜160を破壊する。これによりシール膜に開口が形成され、物質がチャンバー2へ入り込める。2つ以上の貫通部材が存在する場合、開口を形成するための、蓋100とバイアル1のひねり動作はより少なくてすむことは明白であろう。3つの貫通部材があるとき、適当な開口が、約4分の1回転で得られる。望ましくは、貫通可能な膜160はシール面106から完全に除去されない。このように、貫通位置では、貫通部材6は、貯蔵部102とチャンバー2との間の流体連通を可能にするように貫通可能な膜160を貫通する。
【0041】
貫通部材6と壁104の間の距離は、ユーザの必要性と嗜好により変化する。貫通部材6と壁104の間の距離は、互いの面が概ね重なる状態から互いに概ね離れた状態まで変化しうる。
【0042】
貫通部材6の長さおよび剛性などは、蓋100およびバイアル1が貫通位置にあるときには、貫通可能な膜160を貫通するために十分であるように、また蓋100とバイアル1が開放または第1位置にあるときには、貫通可能な膜160を貫通しないように選定されることは当業者には明白であろう。
【0043】
バイアル1の材料の選択は、製造上の制約条件および化学的適合性などを含むいくつかの因子に依存する。さらに、蓋1の構成材料は、貯蔵部6を作るために使用される材料と同じでも、異なってもよい。物質が唾液サンプルに使用される核酸保存剤である特定の実施形態では、バイアル1は、ポリプロピレン、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン等のプラスチックから作られる。望ましくは、バイアル1の材料は、HDPEである。
【0044】
本発明の別の態様によれば、容器システムは、蓋、漏斗およびバイアルを具備する。
図12〜21を参照すると、容器システム600は、蓋100、漏斗400およびバイアル500を具備する。
【0045】
[蓋]
蓋100は、上述したように、物質を解放できるように貯蔵する。
【0046】
[漏斗]
漏斗400は、サンプルを受けいれるための第1の開放端部と、バイアル500に着脱可能にまたは固定的(fixed)に装着するための第2の開放端部とを含む。一つの実施形態では、漏斗400はバイアル500と一体化されている。漏斗400は、内部に延在する内部通路422を備える。内部通路422は、第1の開放端部と第2の開放端部との間の流体連通を確保し、液体、固体、半固体、これらの混合物等のサンプルを受け入れる。漏斗400の形状は様々であり、ユーザの必要性または嗜好および/または利用上の用途によって決定される。内部通路422は、望ましくは、生体サンプルを受け入れることができるように構成される。生体サンプルは、例えば唾液等の唾サンプルである。内部通路422の寸法は、一定の範囲の体積のサンプルを収容できるように定められることができる。
【0047】
各図に示した具体的な実施形態では、蓋100は外周壁110の内側表面に螺旋状の雌ねじ108を具備する。雌ねじは漏斗400の壁412の外側表面の螺旋状の雄ねじ418とかみ合うように形成される。当業者には理解されるであろうが、詳細に上述したように、蓋100および漏斗400が、貫通位置へ相対移動することができるのであれば、蓋100を漏斗400に着脱可能に装着するための代替的な手段が本発明の容器システムにおいて使用されうる。
【0048】
漏斗400は、少なくとも一つの貫通部材6を具備する。図12〜21に示した実施形態によれば、貫通部材6は漏斗400の内側表面(内側の壁420)から延出している。一つの例では、貫通部材6は貫通可能な膜160方向に対して内側または外側に傾いている。当業者にはすでに理解しているだろうが、貫通部材6は、これ以外の形状を有していてもよい。
【0049】
一つの例では、内部通路422内に1つの貫通部材6が存在する。代替的な例では、例えば、2つ、3つ、または4つ以上の貫通部材というように、複数の貫通部材が存在する。貫通部材が3つの場合、図18に示すように、各貫通部材は、望ましくは略半円形状に配置される。
【0050】
前述のとおり、貫通部材6の形状は、略台形でありうる。貫通部材6は、台形の一つの角に鋭端(pointed end)30を有し、台形の第2の角に第2の端を有する第1の刃(cutting edge)33を含み、台形の第2の角において刃(cutting edge)32と側壁34とが交わる。側壁34は、任意に刃32から延びた刃33をも含む。
【0051】
容器システム600は、蓋100を漏斗400に装着しシールするための手段をさらに含む。このようなシール手段は、漏斗400およびバイアル500がバイアル1に装着されたとき、バイアル1の中身をチャンバー2とともに確実に密封状態に保つ。
【0052】
漏斗400は、任意に外側に延出したリブ402を含み、ユーザはリブを利用して漏斗400および蓋100、および/または漏斗400およびバイアル500をひねることができる。
【0053】
漏斗400の材料の選択は、製造上の制約条件および化学的適合性等を含むいくつかの因子に依存する。さらに、漏斗400の構成材料は、蓋100および採集用バイアル500の材料と同じでもよいし、異なってもよい。物質が唾液サンプルに使用される核酸保存剤である特定の実施形態では、漏斗400は、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン、中密度ポリエチレン(MDPE)、またはこれらのいずれかの組み合わせ等のプラスチックから作られる。望ましくは、バイアル1の材料はHDPEである。
【0054】
具体的な例では、蓋100はポリプロピレンであり、バイアル500はポリプロピレンであり、漏斗400はHDPEである。
【0055】
[バイアル]
バイアル500(または採集用バイアル500)は、通常、円柱状に成形され、漏斗400の第2端部に着脱可能にまたは固定的に装着するための開放端部、およびサンプルを収容するためのチャンバー530を有する。バイアル500の形状は様々であり、ユーザの必要性または嗜好および/または利用上の用途によって決定されうる。バイアル500は、本発明の容器システムに使用するために特別に製造されてもよいし、または市販のバイアルを利用してもよい。前述したように、一つの実施形態では、漏斗400、はバイアル500と一体化される。容器システムが試験用途に使用される場合、バイアル500の寸法は、望ましくは、生体サンプル処理に一般に使用される標準的な試験管立てに収まるように定められる。一つの例では、バイアル500の寸法は、採血管の業界標準寸法(例えば、13mm×75mm)と一致する。望ましくは、バイアル500は、ロボットによるDNA精製システム(例えば、Beckman BioMekO FX)を用いた用途に適合する。望ましくは、バイアル500はSimport Plastics Limitedから市販されているもの(例えば、T501 tubes)である。
【0056】
図21に示すように、バイアル500の開放端部も、標準のキャップ520の取り付け(attachment)を確保できるように構成される。キャップ520は、ねじ込み式、スナップフィット等によって固定されうる。
【0057】
バイアル500は、ラベルを貼るためのおよび/またはユーザが握りやすい摩擦抵抗を与えるための適した表面502を任意に含む。
【0058】
バイアル500は、様々なロッキング機構(locking mechanism)により漏斗400に着脱可能に装着されうる。本発明の一つの実施形態によれば、ロッキング機構は螺旋状のねじである。代替的に、ロッキング機構はスナップフィットである。代替的に、バイアル500は漏斗400に固定的に装着されたり、または漏斗400と一体化される。
【0059】
一つの例では、蓋100およびバイアル1について上述したように、蓋100および漏斗400は、開放位置と貫通位置との間を相対移動することができる。具体的な例では、ひねり動作で雌ねじ108と雄ねじ18とを螺嵌することにより、蓋100は、まず、漏斗400に装着される。蓋100と漏斗400とは、まず螺合されるが、貫通部材6は貫通可能な膜160を貫通せず、壁12の端部30はシール壁120に係合する。例えば、図9および16に示すように、シール壁120は蓋100の内面から下向きかつ外側へ延出している。この種のシール機構は、当業者には周知であろうワイプシール(wipe seal)と同様のものである。したがって、はじめは、内部通路422は、貫通可能な膜6によって前記貯蔵部102との流体連通がない状態に保たれる。
【0060】
代替的な例では、蓋100および漏斗400は、蓋100およびバイアル1について上述したように、第1位置と貫通位置との間を相対移動することができる。具体的な例では、蓋100は、まずひねり動作で雌ねじ108と雄ねじ18とを螺嵌することにより、漏斗400に装着される。蓋100および漏斗400を第1位置まで相対移動することにより、蓋100と漏斗400とは、螺合されるが、貫通部材6は貫通可能な膜160を貫通しない。第1位置において、壁12の端部30はシール壁120に係合しシールする。例えば、図9および16に示すように、シール壁120は蓋100の内面から下向きかつ外側へ延出している。この種のシール機構は、当業者には周知であろうワイプシール(wipe seal)と同様のものである。したがって、第1位置においては、内部通路422から容器システムの外部への漏出が起こらないように密封され、貫通可能な膜6によって前記貯蔵部102との流体連通がない状態に保たれる。
【0061】
ひねり動作を継続すると、蓋100および漏斗400は開放位置または第1位置のいずれかから貫通位置へ相対移動する。このとき、蓋100およびバイアル1の両者の動きにより、貫通部材6が貫通可能な膜160を貫通し、貯蔵部102内の物質がチャンバー2およびバイアル500内へ解放される。
【0062】
貫通位置へ相対移動する操作において、鋭端30が貫通可能な膜160に接触して、その後に貫通可能な膜160を貫通する。ひねり動作を継続すると、刃32が、貫通可能な膜160を通過して移動し、貫通可能な膜160を貫通する。これにより貫通可能な膜160に開口が形成され、物質が内部通路422へ入り込める。2つ以上の貫通部材がある場合、開口を形成するための蓋100とバイアル1のひねり動作はより少なくてすむ。3つの貫通部材があるとき、適当な開口が、約4分の1回転で得られる。このように、貫通位置では、貫通部材6は、貯蔵部102と内部通路422の間の流体連通を可能にするように貫通可能な膜160を貫通する。
【0063】
貫通部材6と壁104の間の距離は、ユーザの必要性および嗜好により変化する。貫通部材6と壁104の間の距離は、互いの面が概ね重なる状態から互いに概ね離れた状態まで変化しうる。
【0064】
貫通部材6の長さおよび剛性などは、蓋100およびバイアル1が貫通位置にあるときには、貫通可能な膜160を貫通するために十分であるように、また蓋100とバイアル1が開放または第1位置にあるときには、貫通可能な膜160を貫通しないように選定されることは当業者には明白であろう。
【0065】
[方法]
本発明の一つの実施形態によれば、本発明の容器システムは、生体サンプル内の核酸を安定化させたり、保存したり、または回収しやすくするための物質を解放できるように貯蔵するために適している。生体サンプルは、体液および/または体組織を含んでもよい。
【0066】
望ましくは、バイアル1および/または漏斗400の寸法は、被検者からの生体サンプル採集に適合するように定められる。生体サンプルの非限定的な例は、皮膚、毛髪、糞便、体液、組織、細胞等を含む。
【0067】
本文書で使用される「体液」という用語は、唾液、痰唾、血清、血漿、血液、咽頭分泌物、鼻/鼻咽頭分泌物、副鼻腔分泌物、尿、粘液、胃液、膵液、糞便、精液、泌乳または生理の生成物、涙、またはリンパ液等の人間または動物から自然に発生する流体を意味する。
【0068】
本文書で使用される「体組織」または「組織」という用語は、植物または動物の構成要素の一つを形成する、細胞間物質を含む通常は特定の種類の細胞の集合体を意味し、動物では、結合組織、上皮組織、筋肉組織、神経組織等を含む。
【0069】
本文書で使用される「核酸」という用語は、染色体、クロマチン、ミトコンドリア、リボソーム、細胞質、細胞核、微生物またはウイルスに一般的に確認される、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)を含むヌクレオチドの鎖を意味する。
【0070】
本文書で使用される「リボ核酸」または「RNA」という用語は、これらに限定されないが高分子RNA,大サブユニットおよび小サブユニットのリボソームRNA、メッセンジャーRNA、プリメッセンジャーRNA、小型機能性RNA(small regulatory RNA)、RNAウイルス(一本鎖および二本鎖、正鎖または負鎖の)を含む広範囲なRNA種を意味する。RNAは、これらに限定されないが、ヒト、非ヒト、ウイルス、バクテリア、菌、原生動物、寄生生物、単細胞、多細胞、in vitro、in vivo、自然のおよび/または人工のソースを含む多様なソースから得ることができる。
【0071】
任意に、体液は唾液である。本文書で使用される「唾液」という用語は、口の内側を覆う多数の小さな口唇腺、頬腺、および口蓋腺からの分泌物と任意に混合される、耳下腺、顎下腺、および舌下腺を含む唾液腺のいずれかからの分泌物または分泌物の組み合わせを意味する。
【0072】
本文書で使用される「被検者」という用語は、動物または人間をさす。望ましくは、被検者は、核酸の安定化および/または検出を目的とする唾液を生み出すことができる哺乳類である。
【0073】
使用時には、生体サンプル内の核酸を安定化させたり、保存したり、または回収しやすくするための組成物等の物質が、貫通可能な膜によって貯蔵部102に密封される。適当な組成物は、国際公開第2003/104251号パンフレット、国際出願CA2006/000380号、米国出願第60/828,563号または60/866,985号(これらの内容はすべて、それらの全体を参照することにより本書に援用される)に記載された組成物を含む。望ましくは、組成物は、OrageneODNA保存溶液である。その他の適当な組成物は、当業者には周知であろう。
【0074】
一つの例では、使用時において、被検者からの唾液のサンプルはバイアル1のチャンバー2内に収容される。代替的に、バイアル500は漏斗400に装着され、唾液のサンプルは、漏斗400のチャンバー2に収容される。
【0075】
一つの例では、被検者から唾液を採集するために、被検者は、直前の食事の後30〜60分間待つように指示される。可能であれば、被検者は(練り歯磨きを使用せずに)歯をブラッシングする。可能であれば、被検者は50mlの水で口をゆすぐ。被検者は口から水がなくなるまで5〜10分間待つように要求される。唾を吐くことができる被検者には、唾液面が1または2mlのマークに達するまで、特別な採集用バイアルに唾液を吐くように指示される。直前の食事の後に待機すること、および口をゆすぐことは望ましいが、必ずしも必要ではない。唾液の採集には数分かかる可能性がある。被検者は、十分な唾液を吐き出せないと感じたら、咀嚼するためにテーブル・シュガーを数粒、与えられる。そして、少量の砂糖をバイアルに吐いたとしても気にすることはないと告げられる。唾を吐くことができない被検者(例えば、幼児、低年齢小児、障害者)には、用具(例えば、スワブ、メスピペット)をサンプル採集のために使用することができる。さらに、被検者の口と喉をうがいするための液体(例えば、うがい薬、水、生理食塩水)または被検者の鼻腔を洗い流すための生理食塩水を被験者に提供してもよい。前記液体と共に採集されたサンプルは、採集用バイアルに供給される。
【0076】
核酸および唾液を安定化させたり、保存したり、または回収しやすくする組成物等の物質が、蓋100の貯蔵部102内に貯蔵される。
【0077】
蓋100は次にバイアル1に装着され、貫通位置に相対移動され、物質はチャンバー2の唾液と混じり合う。
【0078】
代替的に、蓋100は漏斗400に装着され、貫通位置に動かされ、物質は内部530の唾液と混じり合う。
【0079】
核酸を安定化させたり、保存したり、または回収しやすくするための組成物と唾液の混合物は、次に、例えば、検出または定量のための標準的な核酸試験反応に使用することができる。代替的に、容器システム300または600内に混合物を貯蔵しておき、例えば、唾液内に含まれた核酸の検出のために後で使用してもよい。代替的に、漏斗400をバイアル500から取り外して、キャップ520をバイアル500の開放端部に取り付ける。この例では、バイアル500内に混合物を貯蔵しておき、例えば、唾液内に含まれた核酸の検出のために後で使用することができる。
【0080】
本発明の一つの態様では、容器システム300および容器システム600の寸法は、流通のために定められる。一つの例では、容器システム300のバイアル1と蓋100の寸法は、しっかり装着(securely attach)された状態での流通のために定められる。一つの例では、容器システム600の蓋1、漏斗400および採集用バイアル500の寸法は、蓋1、漏斗400および採集用バイアル500がしっかり装着された状態での流通のために定められる。別の例では、容器システム300のバイアル1と蓋100の寸法は、バイアル1と蓋100とが分離した状態での流通のために定められる。別の例では、容器システム600の蓋1、漏斗400および採集用バイアル500の寸法は、蓋1、漏斗400および採集用バイアル500が分離した状態での流通のために定められる。当然のことながら、様々な流通の方法が考えられる。流通の非限定的な例は、手による輸送、陸上輸送、空輸、船舶、動物を使った輸送等、またはこれらの組み合わせによる流通を含む。望ましくは、容器システム300または容器システム600の大きさは、標準の郵送用包装内に収まる程度である。一つの例では、容器システム300または容器システム600の大きさは、ヨーロッパの標準の郵便物の投入口に入るサイズの包装内に収まる程度である。具体的な例では、ヨーロッパの標準の郵便物の投入口は約3cmの幅をもつ。代替的に、容器システム300または容器システム600の大きさは、カナダおよび/またはアメリカ合衆国の標準の郵便物の投入口に入るサイズの包装内に収まる程度である。
【0081】
本発明の別の態様は、物質を解放できるように貯蔵するための器具の製造方法を提供する。この製造方法は、本発明による容器システムを準備することを含む。
【0082】
本発明の別の態様は、物質を生体サンプルと混合する方法を提供する。この方法は、物質を含む本発明による容器システムを準備すること、および生体サンプルを供給することを含む。
【0083】
本発明の別の態様は、生体サンプル中の核酸を保存する方法を提供する。この方法は、生体サンプル中の核酸を保存するための物質を含む本発明による容器システムを準備することを含む。
【0084】
本発明の別の態様は、生体サンプルを長期間保存する方法を提供する。望ましくは、保存は室温で保存する。この方法は、本発明による容器システムを準備すること、および生体サンプルを保存するための物質を準備することを含む。一つの例では、長期保存は、約1週間を超える間、約2週間、約3週間、約1か月間、約1ヶ月を超える期間、約1年間、室温で保存する。
【0085】
[キット]
本発明の別の態様は、サンプルを採集し、そのサンプルを物質と混合するためのキットを提供する。当該キットは、本発明による容器システムとその使用のための指示事項を含み、選択的に容器システムの蓋の内部に貯蔵した物質を有する。
【0086】
本明細書で言及したすべての刊行物、特許および特許出願は、本発明が関係する技術における当業者の技術レベルを示すものであり、各々の刊行物、特許または特許出願が参照により援用されることが明確に個別に指示されていたとすれば、その指示と同一範囲で参照することにより本書に援用される。
【0087】
上述のとおり発明を説明したが、同じことを様々にやり方を変えることができることは明らかであろう。このような変形は、本発明の精神と範囲から逸脱するとみなすべきものではない。このような変形はすべて、当業者には明らかであろうが、請求項の範囲に含まれる。
【0088】
図面におけるボールド体活字の番号は、本発明の様々な実施形態を図示する図面において説明および参照される構成部品を識別するために用いられる。本発明の様々な実施形態を説明する上で、同じ参照番号を同じまたは同等の要素を識別するために使用したことに注意されたい。さらに、簡便にするために、図面のいつかの図からは部品を省略してある。
【0089】
[関連出願]
本出願は、2005年12月9日に出願された米国出願第60/748,977号の優先権を主張し、その内容は、その全体を参照することにより本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】装着された蓋とバイアルを示す、本発明の一つの実施形態による容器システムの断面図である。
【図2】図1に示した容器システムの蓋の内部の斜視図である。
【図3】図1に示した容器システムのバイアルの内部の斜視図である。
【図4】本発明の一つの実施形態による容器システムの斜視図である。
【図5】図4に示した容器システムの上面図である。
【図6】図4に示した容器システムの側面図である。
【図7】図4に示した容器システムの側面図である。
【図8】図4に示した容器システムの底面図である。
【図9】図5におけるA−A線に沿った、図4の容器システムの断面図である。
【図10】分離された蓋とバイアルを示す、図4に示した容器システムの上面斜視図である。
【図11】分離された蓋とバイアルを示す、図4に示した容器システムの底面斜視図である。
【図12】本発明の一つの実施形態による容器システムの側面斜視図である。
【図13】図12に示した容器システムの上面図である。
【図14】図12に示した容器システムの底面図である。
【図15】図12に示した容器システムの側面図である。
【図16】図15におけるB−B線に沿った、図12の容器システムの断面図である。
【図17】図12に示した容器システムの側面図である。
【図18】分離された蓋と漏斗を示す、図12に示した容器システムの上面斜視図である。
【図19】分離された蓋と漏斗を示す、図12に示した容器システムの底面斜視図である。
【図20】図9に示した容器システムのバイアルとキャップの側面図である。
【図21】分離された蓋、漏斗、およびバイアルを示す、図12に示した容器システムの側面図である。
【図22】本発明の一つの実施形態による容器システムの側面斜視図である。
【図23】バイアルを示す、図22に示した容器システムのバイアル部分の上面斜視図である。
【図24】図22に示した容器システムの蓋の断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)サンプルを受け入れるための第1の開放端部、サンプル収容用のチャンバーを備える第2の端部、および貫通部材を具備するバイアルと、
b)物質を保持するための貯蔵部、および前記貯蔵部内の前記物質をシールする貫通可能な膜を備え、前記バイアルに着脱可能にはめ合わせうるように構成された蓋と、
を具備する前記物質を解放できるように貯蔵するための容器システムであって、
前記システムは、前記バイアルと前記蓋との着脱可能なはめ合わせによって閉じられたとき、前記バイアルおよび前記蓋は、貫通位置へ相対移動することができ、ここで、貫通位置とは前記貫通部材が前記貫通可能な膜を貫通し、前記貯蔵部と前記チャンバーとの間の流体連通を可能にする位置であり、
前記貫通位置では、チャンバーは、容器システムの外部への漏出が起こらないようにシールされる、容器システム。
【請求項2】
前記蓋は前記貯蔵部の外周の全部または一部を規定する壁を備え、前記壁は前記貫通可能な膜に密着しシールするためのシール面を有する、請求項1に記載の容器システム。
【請求項3】
前記貯蔵部は、約1ml〜約4mlの前記物質を保持するように構成される、請求項1または2に記載の容器システム。
【請求項4】
前記貫通可能な膜は不活性である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項5】
前記貫通可能な膜は、約−80°Cから約70°Cまでの温度において原型を保ち、かつ貫通可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項6】
前記貫通可能な膜は、接着剤、ヒートシール処理、固定具またはこれらのいずれかの組み合わせによって前記シール面に密着されシールする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項7】
前記第1の端部の幅は、前記第2の端部の幅と略同一である、請求項1に記載の容器システム。
【請求項8】
前記第1の端部は、前記第2の端部よりも概ね広い、請求項1に記載の容器システム。
【請求項9】
前記チャンバーは、約1ml〜約16mlのサンプルを収容するように構成される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項10】
前記チャンバーは、約1ml〜約4mlのサンプルを収容するように構成される、請求項9に記載の容器システム。
【請求項11】
前記貫通部材は前記チャンバーの底部表面から延出している、請求項1〜10のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項12】
前記貫通部材は前記底部から略垂直に延出している、請求項11に記載の容器システム。
【請求項13】
前記貫通部材は前記バイアルの前記第1の開放端部方向に対して内側または外側へ傾いている、請求項11に記載の容器システム。
【請求項14】
前記貫通部材は、側壁と、第1の鋭端部から第2の端部まで延出する第1の刃とを備え、前記第2の端部は、前記刃と前記側壁との交点である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項15】
前記側壁は、第2の刃をさらに含む、請求項14に記載の容器システム。
【請求項16】
前記バイアルは、2以上の前記貫通部材を備える、請求項1〜15のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項17】
前記バイアルは3つの前記貫通部材を備える、請求項16に記載の容器システム。
【請求項18】
前記バイアルは2つの前記貫通部材を備える、請求項16に記載の容器システム。
【請求項19】
前記システムは、前記チャンバーをシールするためのシール手段を備え、
前記シール手段は、前記容器システムが前記貫通位置へ相対移動したときに、前記容器システムの外部への漏出が起こらないように前記チャンバーをシールする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項20】
前記シール手段は、前記蓋の内周の周りにシール壁を備え、前記シール壁は前記システムが前記貫通位置にあるとき前記バイアルの表面に係合しシールする、請求項19に記載の容器システム。
【請求項21】
前記バイアルおよび前記蓋の寸法は、未装着状態および装着状態のいずれもの流通形態に適合している、請求項1〜20のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項22】
a)サンプルを保持するためのチャンバーを備えるバイアルと、
b)物質を保持するための貯蔵部および前記貯蔵部内の前記物質をシールする貫通可能な膜を備える蓋と、
c)前記サンプルを受け入れるための第1の開放端部、貫通部材、および前記第1の開放端部から第2の開放端部へ延在し、前記チャンバーに流体連通する通路を備える漏斗であって、前記第1の開放端部において前記蓋に着脱可能に装着可能であり、前記第2の端部において前記バイアルと着脱可能にまたは恒久的に装着される漏斗と、
を具備する前記物質を解放できるように貯蔵するための容器システムであって、
前記システムが、前記蓋と前記漏斗との着脱可能なはめ合わせによって閉じられたとき、前記システムは、貫通位置へ相対移動することができ、ここで貫通位置とは前記貫通部材が前記貫通可能な膜を貫通し、前記通路を介して前記貯蔵部と前記チャンバーとの間の流体連通を可能にする位置であり、
前記貫通位置においてチャンバーは容器システムの外部への漏出が起こらないようにシールされる、容器システム。
【請求項23】
前記蓋は前記貯蔵部の外周の全部または一部を規定し、前記貫通可能な膜に密着しシールするためのシール面を含む壁を備える、請求項22に記載の容器システム。
【請求項24】
前記貯蔵部は、約1ml〜約4mlの前記物質を保持するように構成される、請求項22または23に記載の容器システム。
【請求項25】
前記貫通可能な膜は不活性である、請求項22〜24のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項26】
前記貫通可能な膜は、約−80°Cから約70°Cまでの温度において、原型を保ち、かつ貫通可能である、請求項22〜25のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項27】
前記貫通可能な膜は、接着剤、ヒートシール処理、固定具またはこれらのいずれかの組み合わせによって前記シール面に密着されシールする、請求項22〜26のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項28】
前記貫通部材は前記漏斗の内側表面から延出している、請求項22〜27のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項29】
前記貫通部材は前記漏斗の前記第1の開放端部方向に対して内側または外側へ傾いている、請求項28に記載の容器システム。
【請求項30】
前記貫通部材は、側壁と、第1の鋭端部から第2の端部まで延在する第1の刃とを備え、前記第2の端部は、前記刃と前記側壁との交点である、請求項22〜29のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項31】
前記側壁は、第2の刃を含む、請求項30に記載の容器システム。
【請求項32】
前記漏斗は、2以上の前記貫通部材を備える、請求項22〜31のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項33】
前記漏斗は3つの前記貫通部材を備える、請求項32に記載の容器システム。
【請求項34】
前記漏斗は2つの前記貫通部材を備える、請求項32に記載の容器システム。
【請求項35】
前記システムは、前記容器システムの外部への漏出が起こらないように前記チャンバーをシールするためのシール手段を備える、請求項22〜34のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項36】
前記シール手段は、前記蓋の内周の周りにシール壁を備え、前記シール壁は前記システムが前記貫通位置にあるとき前記バイアルの表面に係合しシールする、請求項35に記載の容器システム。
【請求項37】
前記バイアルは、前記漏斗に着脱可能に装着され、前記バイアルの寸法は、前記漏斗から着脱時のキャップへの装着に適合するように定められる、請求項22〜36のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項38】
前記バイアルは、標準的な試験装置における使用に適合するように構成される、請求項22〜37のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項39】
前記バイアルは、採血管の業界標準寸法に一致する寸法を有する、請求項38に記載の容器システム。
【請求項40】
前記バイアルは、T501 tubeである、請求項38または39に記載の容器システム。
【請求項41】
前記チャンバーの寸法は、約1ml〜約16ml保持できるように定められる、請求項22〜40のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項42】
前記物質は、生体サンプル内の核酸の安定化および回収に用いる組成物である、請求項1〜41のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項43】
前記核酸は、DNAまたはRNAである、請求項42に記載の容器システム。
【請求項44】
物質と生体サンプルとを混合する方法であり、
(a)請求項1〜21のいずれか一項に記載の容器システムを準備するステップと、
(b)前記バイアル中の前記チャンバーにサンプルを供給するステップと、
(c)前記バイアルに前記蓋を着脱可能に装着することによって前記容器システムを閉じるステップと、
(d)前記蓋および前記バイアルを前記貫通位置へ相対移動することにより、前記物質を前記チャンバー内へ解放するように前記膜に穴を開けるステップと、
を含む、方法。
【請求項45】
物質と生体サンプルとを混合する方法であり、
(a)請求項22〜41のいずれか一項に記載の容器システムを準備するステップと、
(b)前記漏斗を介して前記バイアル中の前記チャンバーにサンプルを供給するステップと、
(c)前記漏斗の前記第1の開放端部に前記蓋を着脱可能に装着することによって前記容器システムを閉じるステップと、
(d)前記システムを前記貫通位置へ相対移動することにより、前記物質を前記チャンバー内へ解放するように前記膜に穴を開けるステップと、
を含む、方法。
【請求項46】
前記物質は核酸を保存するための物質である、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記サンプルは生体サンプルである、請求項44〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記サンプルを保存するための、請求項44〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
a)請求項1〜43のいずれか一項に記載の容器システムと、
b)その使用のための指示事項と、
を含む、サンプルの採集および貯蔵のためのキット。
【請求項50】
実質的にここに記述された容器システム。
【請求項1】
a)サンプルを受け入れるための第1の開放端部、サンプル収容用のチャンバーを備える第2の端部、および貫通部材を具備するバイアルと、
b)物質を保持するための貯蔵部、および前記貯蔵部内の前記物質をシールする貫通可能な膜を備え、前記バイアルに着脱可能にはめ合わせうるように構成された蓋と、
を具備する前記物質を解放できるように貯蔵するための容器システムであって、
前記システムは、前記バイアルと前記蓋との着脱可能なはめ合わせによって閉じられたとき、前記バイアルおよび前記蓋は、貫通位置へ相対移動することができ、ここで、貫通位置とは前記貫通部材が前記貫通可能な膜を貫通し、前記貯蔵部と前記チャンバーとの間の流体連通を可能にする位置であり、
前記貫通位置では、チャンバーは、容器システムの外部への漏出が起こらないようにシールされる、容器システム。
【請求項2】
前記蓋は前記貯蔵部の外周の全部または一部を規定する壁を備え、前記壁は前記貫通可能な膜に密着しシールするためのシール面を有する、請求項1に記載の容器システム。
【請求項3】
前記貯蔵部は、約1ml〜約4mlの前記物質を保持するように構成される、請求項1または2に記載の容器システム。
【請求項4】
前記貫通可能な膜は不活性である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項5】
前記貫通可能な膜は、約−80°Cから約70°Cまでの温度において原型を保ち、かつ貫通可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項6】
前記貫通可能な膜は、接着剤、ヒートシール処理、固定具またはこれらのいずれかの組み合わせによって前記シール面に密着されシールする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項7】
前記第1の端部の幅は、前記第2の端部の幅と略同一である、請求項1に記載の容器システム。
【請求項8】
前記第1の端部は、前記第2の端部よりも概ね広い、請求項1に記載の容器システム。
【請求項9】
前記チャンバーは、約1ml〜約16mlのサンプルを収容するように構成される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項10】
前記チャンバーは、約1ml〜約4mlのサンプルを収容するように構成される、請求項9に記載の容器システム。
【請求項11】
前記貫通部材は前記チャンバーの底部表面から延出している、請求項1〜10のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項12】
前記貫通部材は前記底部から略垂直に延出している、請求項11に記載の容器システム。
【請求項13】
前記貫通部材は前記バイアルの前記第1の開放端部方向に対して内側または外側へ傾いている、請求項11に記載の容器システム。
【請求項14】
前記貫通部材は、側壁と、第1の鋭端部から第2の端部まで延出する第1の刃とを備え、前記第2の端部は、前記刃と前記側壁との交点である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項15】
前記側壁は、第2の刃をさらに含む、請求項14に記載の容器システム。
【請求項16】
前記バイアルは、2以上の前記貫通部材を備える、請求項1〜15のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項17】
前記バイアルは3つの前記貫通部材を備える、請求項16に記載の容器システム。
【請求項18】
前記バイアルは2つの前記貫通部材を備える、請求項16に記載の容器システム。
【請求項19】
前記システムは、前記チャンバーをシールするためのシール手段を備え、
前記シール手段は、前記容器システムが前記貫通位置へ相対移動したときに、前記容器システムの外部への漏出が起こらないように前記チャンバーをシールする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項20】
前記シール手段は、前記蓋の内周の周りにシール壁を備え、前記シール壁は前記システムが前記貫通位置にあるとき前記バイアルの表面に係合しシールする、請求項19に記載の容器システム。
【請求項21】
前記バイアルおよび前記蓋の寸法は、未装着状態および装着状態のいずれもの流通形態に適合している、請求項1〜20のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項22】
a)サンプルを保持するためのチャンバーを備えるバイアルと、
b)物質を保持するための貯蔵部および前記貯蔵部内の前記物質をシールする貫通可能な膜を備える蓋と、
c)前記サンプルを受け入れるための第1の開放端部、貫通部材、および前記第1の開放端部から第2の開放端部へ延在し、前記チャンバーに流体連通する通路を備える漏斗であって、前記第1の開放端部において前記蓋に着脱可能に装着可能であり、前記第2の端部において前記バイアルと着脱可能にまたは恒久的に装着される漏斗と、
を具備する前記物質を解放できるように貯蔵するための容器システムであって、
前記システムが、前記蓋と前記漏斗との着脱可能なはめ合わせによって閉じられたとき、前記システムは、貫通位置へ相対移動することができ、ここで貫通位置とは前記貫通部材が前記貫通可能な膜を貫通し、前記通路を介して前記貯蔵部と前記チャンバーとの間の流体連通を可能にする位置であり、
前記貫通位置においてチャンバーは容器システムの外部への漏出が起こらないようにシールされる、容器システム。
【請求項23】
前記蓋は前記貯蔵部の外周の全部または一部を規定し、前記貫通可能な膜に密着しシールするためのシール面を含む壁を備える、請求項22に記載の容器システム。
【請求項24】
前記貯蔵部は、約1ml〜約4mlの前記物質を保持するように構成される、請求項22または23に記載の容器システム。
【請求項25】
前記貫通可能な膜は不活性である、請求項22〜24のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項26】
前記貫通可能な膜は、約−80°Cから約70°Cまでの温度において、原型を保ち、かつ貫通可能である、請求項22〜25のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項27】
前記貫通可能な膜は、接着剤、ヒートシール処理、固定具またはこれらのいずれかの組み合わせによって前記シール面に密着されシールする、請求項22〜26のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項28】
前記貫通部材は前記漏斗の内側表面から延出している、請求項22〜27のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項29】
前記貫通部材は前記漏斗の前記第1の開放端部方向に対して内側または外側へ傾いている、請求項28に記載の容器システム。
【請求項30】
前記貫通部材は、側壁と、第1の鋭端部から第2の端部まで延在する第1の刃とを備え、前記第2の端部は、前記刃と前記側壁との交点である、請求項22〜29のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項31】
前記側壁は、第2の刃を含む、請求項30に記載の容器システム。
【請求項32】
前記漏斗は、2以上の前記貫通部材を備える、請求項22〜31のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項33】
前記漏斗は3つの前記貫通部材を備える、請求項32に記載の容器システム。
【請求項34】
前記漏斗は2つの前記貫通部材を備える、請求項32に記載の容器システム。
【請求項35】
前記システムは、前記容器システムの外部への漏出が起こらないように前記チャンバーをシールするためのシール手段を備える、請求項22〜34のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項36】
前記シール手段は、前記蓋の内周の周りにシール壁を備え、前記シール壁は前記システムが前記貫通位置にあるとき前記バイアルの表面に係合しシールする、請求項35に記載の容器システム。
【請求項37】
前記バイアルは、前記漏斗に着脱可能に装着され、前記バイアルの寸法は、前記漏斗から着脱時のキャップへの装着に適合するように定められる、請求項22〜36のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項38】
前記バイアルは、標準的な試験装置における使用に適合するように構成される、請求項22〜37のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項39】
前記バイアルは、採血管の業界標準寸法に一致する寸法を有する、請求項38に記載の容器システム。
【請求項40】
前記バイアルは、T501 tubeである、請求項38または39に記載の容器システム。
【請求項41】
前記チャンバーの寸法は、約1ml〜約16ml保持できるように定められる、請求項22〜40のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項42】
前記物質は、生体サンプル内の核酸の安定化および回収に用いる組成物である、請求項1〜41のいずれか一項に記載の容器システム。
【請求項43】
前記核酸は、DNAまたはRNAである、請求項42に記載の容器システム。
【請求項44】
物質と生体サンプルとを混合する方法であり、
(a)請求項1〜21のいずれか一項に記載の容器システムを準備するステップと、
(b)前記バイアル中の前記チャンバーにサンプルを供給するステップと、
(c)前記バイアルに前記蓋を着脱可能に装着することによって前記容器システムを閉じるステップと、
(d)前記蓋および前記バイアルを前記貫通位置へ相対移動することにより、前記物質を前記チャンバー内へ解放するように前記膜に穴を開けるステップと、
を含む、方法。
【請求項45】
物質と生体サンプルとを混合する方法であり、
(a)請求項22〜41のいずれか一項に記載の容器システムを準備するステップと、
(b)前記漏斗を介して前記バイアル中の前記チャンバーにサンプルを供給するステップと、
(c)前記漏斗の前記第1の開放端部に前記蓋を着脱可能に装着することによって前記容器システムを閉じるステップと、
(d)前記システムを前記貫通位置へ相対移動することにより、前記物質を前記チャンバー内へ解放するように前記膜に穴を開けるステップと、
を含む、方法。
【請求項46】
前記物質は核酸を保存するための物質である、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記サンプルは生体サンプルである、請求項44〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記サンプルを保存するための、請求項44〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
a)請求項1〜43のいずれか一項に記載の容器システムと、
b)その使用のための指示事項と、
を含む、サンプルの採集および貯蔵のためのキット。
【請求項50】
実質的にここに記述された容器システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2009−518244(P2009−518244A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543626(P2008−543626)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【国際出願番号】PCT/CA2006/002009
【国際公開番号】WO2007/068094
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(507306090)ディーエヌエー ジェノテック インク (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【国際出願番号】PCT/CA2006/002009
【国際公開番号】WO2007/068094
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(507306090)ディーエヌエー ジェノテック インク (4)
【Fターム(参考)】
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