説明

特に自動車のマルチメディアシステムに用いられる操作エレメント

本発明は、回動/押圧アクチュエータであって、環状のロータリエンコーダ(5)が設けられており、該ロータリエンコーダ(5)が、内側リングと、該内側リングを取り囲んで1つの軸線(z)を中心として回動可能な、操作部(1)を備えた回動リングとを有していて、軸線(z)に沿って線形に移動可能にハウジング(11)に対して配置されており、さらに、内側部分(タッチパッド2)が設けられており、該内側部分(タッチパッド2)が、環状のロータリエンコーダ(5)の内室(12)に配置されていて、軸線(z)に沿って線形に環状のロータリエンコーダ(5)と一緒にハウジング(11)に対して移動可能であり、操作部(1)のかつ/または内側部分(タッチパッド2)の線形の移動によって、フィーラ機能がトリガ可能である形式のものに関する。本発明によれば、ロータリエンコーダ(5)と内側部分(タッチパッド2)とが、ポット状のガイドエレメント(7)内に配置されており、該ガイドエレメント(7)が、軸線(z)に沿って線形に移動可能にハウジング(11)内に配置されており、ロータリエンコーダ(5)の内側リングが、回動防止されてガイドエレメント(7)内に配置されており、ロータリエンコーダ(5)と内側部分(タッチパッド2)とが、軸線(z)に沿って移動不能にガイドエレメント(7)に結合されており、該ガイドエレメント(7)が、フィーラ機能の実現のためにフィーラ(9)に作用するようになっていることが提案されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動/押圧アクチュエータであって、環状のロータリエンコーダが設けられており、該ロータリエンコーダが、内側リングと、該内側リングを取り囲んで1つの軸線を中心として回動可能な、操作部を備えた回動リングとを有していて、軸線に沿って線形に移動可能にハウジングに対して配置されており、さらに、内側部分が設けられており、該内側部分が、環状のロータリエンコーダの内室に配置されていて、軸線に沿って線形に環状のロータリエンコーダと一緒にハウジングに対して移動可能であり、操作部のかつ/または内側部分の線形の移動によって、フィーラ機能がトリガ可能である形式のものに関する。
【0002】
このような形式の操作エレメントは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10120691号明細書に基づき公知である。この公知の操作エレメントは1つの軸線を中心として回動可能であり、この回動軸線に沿って移動可能であり、この軸線における所定の位置に係止可能である。回動運動を検出するために、環状エンコーダが設けられている。この環状エンコーダは、内側リングと、この内側リングに対して回動可能な外側リングとを有している。環状エンコーダの自由な内室には、タッチパッドを配置することができる。このタッチパッドによって、ディスプレイ上でのポインタ運動または文字認識が可能となる。操作エレメントにはジョイスティックが配置されている。このジョイスティックは、傾倒によるX−Y平面での運動を検出し、相応の電気的な信号を送出する。さらに、ジョイスティックはフィーラとして形成されている。このフィーラは、操作エレメントの押圧による取付け部の運動を検出する。ドイツ連邦共和国特許出願公開第10120691号明細書に記載された操作エレメントの構造は、極めて費用がかかると分かった。
【0003】
したがって、本発明の課題は、簡単なひいてはより廉価な構造を有する、自動車のマルチメディアシステムまたはナビゲーションシステムに用いられる操作エレメントを提供することである。
【0004】
この課題は、冒頭で述べた形式の回動/押圧アクチュエータにおいて、本発明によれば、ロータリエンコーダと内側部分とが、ポット状のガイドエレメント内に配置されており、該ガイドエレメントが、軸線に沿って線形に移動可能であり、ロータリエンコーダの内側リングが、回動防止されてガイドエレメント内に配置されており、ロータリエンコーダと内側部分とが、軸線に沿って移動不能にガイドエレメントに結合されており、該ガイドエレメントが、フィーラ機能の実現のためにフィーラに作用するようになっていることによって解決される。
【0005】
ロータリエンコーダと内側部分とをポット状の移動可能なガイドエレメント内に配置することによって、押圧アクチュエータ機能に対して、ガイドエレメントが作用するフィーラを簡単に使用することができる。運転席の肘掛けの延長部への操作エレメントの配置に対する人間工学的に有利な構成を保証するためには、操作部の直径が、タッチパッドのジオメトリ/寸法に関連して、たとえば40〜100mmの間で形成されてよい。内側部分に別の機能エレメント、特にタッチパッドを組み込むという要求に応じるために、環状のロータリエンコーダの使用が提案されている。内側に位置する中心の回動軸を備えたロータリエンコーダは、課せられた要求を満たすことができない。ロータリエンコーダは、特にいわゆる「環状エンコーダ」として形成されていてよい。このような形式の環状エンコーダは、フィーラを操作することができるようにするために、自体押圧機能を有していない。この押圧機能を実現するためには、ロータリエンコーダとタッチパッドとから成るアッセンブリがポット状のガイドエレメント内に嵌め込まれている。このガイドエレメントは軸線に沿って可動にハウジング内に支承されていて、ガイドエレメントの下方に配置されたフィーラを操作することができる。少なくとも1つの戻しエレメントによって、戻し力がガイドエレメントに加えられ、このガイドエレメントが静止位置にもたらされる。ポット状のガイドエレメントの使用によって、押圧機能を種々異なる形式のロータリエンコーダで実現することが可能となる。
【0006】
操作エレメントは、特にマルチメディアシステムまたはナビゲーションシステムを操作するために自動車に使用する目的で設けられている。この場合、操作エレメントの回動を介して、たとえばメニュポイントの初期選択を行うことができる。その後、このメニュポイントが操作エレメントの押圧によって最終選択される。さらに、操作エレメントを介して、この操作エレメントと別個に配置された表示ユニットに表示された数字または文字を最終選択することができる。こうして、たとえば電話番号または町もしくは通りの名前を入力することができる。
【0007】
タッチパッドもメニュガイドのために使用することができる。たとえば、タッチパッド上での指の動きによって、表示ユニット上のポインタを動かすことができる。その後、操作エレメントの押圧によって、初期選択されたメニュポイントを最終選択することができる。さらに、タッチパッドは、入力された記号または文字の筆跡認識のために使用することもできる。こうして、特に簡単に電話番号または名前を入力することができる。入力された文字または入力された記号が、操作エレメントによって操作される機器から音響的に再生されると特に有利である。この場合、運転者は、入力された記号に関する即座の応答を獲得する。この場合、運転者は表示ユニットを見る必要がなく、交通から逸れない。さらに、目的地入力のためのナビゲーションシステムでの使用時には、文字順序が一義的にただ1つの目的場所に対応し得る場合に、この目的場所をすでに少ない文字の入力後に音響的に出力することができる。したがって、完全な町名を入力することが不要となる。
【0008】
操作エレメントは、有利には、別のコンポーネントを有する操作ユニットの構成要素である。操作ユニットを運転席の肘掛けの延長部に配置することは人間工学的に特に有利である。この場合、特に回動/押圧アクチュエータを中心として半径方向に複数の操作キーが配置されている。これらの操作キーは、個々のコンポーネント、たとえば電話コンポーネントまたはナビゲーションコンポーネントを直接初期選択することができる操作キーであってよい。
【0009】
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0010】
操作エレメントは操作部1を有している。この操作部1はスペースリング6を介してロータリエンコーダ5の回動リングに係止されている。このロータリエンコーダ5は環状エンコーダである。この環状エンコーダは、内側リングを中心として回動可能な回動リングを有している。このような形式の環状エンコーダは自体公知である。したがって、内側リングおよび回動リングの図示は省略した。z軸を中心とした操作部1の回動によって、回転がロータリエンコーダ5の回動リングに伝達される。
【0011】
収容シリンダ4はセンタリングウェブを介してロータリエンコーダ5の定置の内側の領域に圧入されている。収容シリンダ4の上側の領域にはタッチパッド2が配置されている。このタッチパッド2は保持リング3によって位置固定される。この配置形式によって、タッチパッドの位置が規定されている。この場合、このタッチパッド2は操作部1の回動時に連動させられない。環状のロータリエンコーダ5の使用によって、タッチパッド2を配置するための所要の自由な内室12が保証される。
【0012】
スペースリング6を備えた操作部1と、収容シリンダ4および保持リング3を備えたタッチパッド2とは、ロータリエンコーダ5に取り付けられていて、このロータリエンコーダ5と一緒にアッセンブリを形成している。
【0013】
ロータリエンコーダ5はポット状のガイドエレメント7にねじ込まれている。このガイドエレメント7はハウジング11内で円筒状の取付け部を介してガイドされる。したがって、全アッセンブリがz方向に移動可能となる。ガイドエレメント7はハウジングに対してz軸を中心として回動防止されている。ガイドエレメント7の下方にはプリント配線板8が配置されている。このプリント配線板8はハウジング11にねじ締結されている。プリント配線板8には、フィーラ9が中心で取り付けられている。したがって、上述したアッセンブリを備えたガイドエレメント7は単純なプッシュボタンのように機能する。このプッシュボタンはフィーラ9に作用する。プリント配線板8とガイドエレメント7との間の戻しエレメント10を介して、全アッセンブリがz方向でハウジングストッパにゼロ位置に向かって押圧される。
【0014】
力を操作部1またはタッチパッド2に負のz方向で加えると、ガイドエレメント7に配置された全アッセンブリが負のz方向でフィーラ9に向かって運動させられ、このフィーラ9に作用する。この場合、戻しエレメント10の力が上回られ、フィーラ9が切換過程を実施する。力が加えられた後、ガイドエレメント7が戻しエレメント10の力によって再びその出発位置に引き戻される。
【0015】
したがって、操作者によって、操作エレメントの以下の運動:すなわち、
−押圧による負のz方向への移動と、
−戻しエレメント10によるz方向への自動的な戻りと、
−z軸を中心とした無段的な360゜回転と
を実施することができる。
【0016】
操作エレメントのこれらの運動時には、タッチパッドがz方向に連動させられるのに対して、このタッチパッド2はz軸を中心とした回動時には連動させられない。
【0017】
図2には、操作ユニット15に設けられた本発明による回動/押圧アクチュエータ13の配置形式が示してある。操作ユニット15は回動/押圧アクチュエータ13のほかに別の操作キー14を有している。この操作キー14は回動/押圧アクチュエータ13を中心として半径方向に配置されている。この回動/押圧アクチュエータ13は40〜100mmの直径を有しており、これによって、この回動/押圧アクチュエータ13は運転者の手によって快適に把持することができる。手が回動/押圧アクチュエータ13に載置している場合には、運転者の指を介して、半径方向に配置された操作キー14に人間工学的に有利に到達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による操作エレメントの機械的な構造を示す図である。
【図2】本発明による操作エレメントを備えた操作ユニットを示す図である。
【符号の説明】
【0019】
1 操作部、 2 タッチパッド、 3 保持リング、 4 収容シリンダ、 5 ロータリエンコーダ、 6 スペースリング、 7 ガイドエレメント、 8 プリント配線板、 9 フィーラ、 10 戻しエレメント、 11 ハウジング、 12 内室、 13 回動/押圧アクチュエータ、 14 操作キー、 15 操作ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動/押圧アクチュエータであって、環状のロータリエンコーダ(5)が設けられており、該ロータリエンコーダ(5)が、内側リングと、該内側リングを取り囲んで1つの軸線(z)を中心として回動可能な、操作部(1)を備えた回動リングとを有していて、軸線(z)に沿って線形に移動可能にハウジング(11)に対して配置されており、さらに、内側部分が設けられており、該内側部分が、環状のロータリエンコーダ(5)の内室(12)に配置されていて、軸線(z)に沿って線形に環状のロータリエンコーダ(5)と一緒にハウジング(11)に対して移動可能であり、操作部(1)のかつ/または内側部分の移動によって、フィーラ機能がトリガ可能である形式のものにおいて、
−ロータリエンコーダ(5)と内側部分とが、ポット状のガイドエレメント(7)内に配置されており、該ガイドエレメント(7)が、軸線(z)に沿って線形に移動可能であり、
−ロータリエンコーダ(5)の内側リングが、回動防止されてガイドエレメント(7)内に配置されており、
−ロータリエンコーダ(5)と内側部分とが、軸線(z)に沿って移動不能にガイドエレメント(7)に結合されており、
−該ガイドエレメント(7)が、フィーラ機能の実現のためにフィーラ(9)に作用するようになっている
ことを特徴とする、回動/押圧アクチュエータ。
【請求項2】
内側部分が、タッチパッド(2)を有している、請求項1記載の回動/押圧アクチュエータ。
【請求項3】
少なくとも1つの戻しエレメント(10)が設けられており、該戻しエレメント(10)が、ガイドエレメント(7)に作用するようになっている、請求項1または2記載の回動/押圧アクチュエータ。
【請求項4】
内室(12)に、タッチパッド(2)を保持する収容シリンダ(4)が回動しないように結合されているかまたは一緒に回動するように結合されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の回動/押圧アクチュエータ。
【請求項5】
フィーラ(9)が、プリント配線板(8)に配置されており、該プリント配線板(8)が、軸線(z)に対して垂直に延びており、ガイドエレメント(7)が、プリント配線板(8)に対して平行に延びる底面を有しており、該底面がフィーラに作用するようになっている、請求項1から4までのいずれか1項記載の回動/押圧アクチュエータ。
【請求項6】
自動車構成要素に用いられる操作ユニットにおいて、当該操作ユニットが、請求項1から5までのいずれか1項記載の回動/押圧アクチュエータ(13)を有していることを特徴とする、自動車構成要素に用いられる操作ユニット。
【請求項7】
当該操作ユニットが、運転席の肘掛けの延長部に配置されている、請求項6記載の操作ユニット。
【請求項8】
回動/押圧アクチュエータ(13)を中心として半径方向に複数の操作キー(14)が配置されている、請求項6または7記載の操作ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2007−504625(P2007−504625A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525800(P2006−525800)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051584
【国際公開番号】WO2005/024540
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】