説明

特に駆動機械と被駆動部との間の出力伝達のための動力伝達装置

本発明は、特に駆動機械と被駆動部との間の出力伝達のための動力伝達装置であって、ダンパ装置が設けられており、該ダンパ装置が、直列接続可能な少なくとも2つのダンパと、回転数適応型の動吸振器とを備えている形式のものに関する。本発明は、回転数適応型の動吸振器が、当該動力伝達装置を経由する少なくとも1つの動力伝達方向で前記ダンパの間に配置されていることにより特徴付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に駆動機械(動力装置、原動機)と被駆動部(動力取出し部)との間の出力伝達のための動力伝達装置であって、入力側と、出力側と、該入力側と該出力側との間に配置されたダンパ装置とが設けられており、該ダンパ装置が、直列に接続可能な少なくとも2つのダンパと、回転数適応型(drehzahladaptiv)の動吸振器(Tilger)とを備えている形式のものに関する。
【0002】
駆動機械と被駆動部との間のパワートレーンに設けられた動力伝達装置は、公知先行技術に基づき種々の構成が知られている。駆動機械として内燃機関が使用される場合、クランクシャフトには、回転運動に重畳するねじれ運動が発生する。このねじれ運動の振動数はシャフトの回転数と共に変化する。振動低減のためには、動吸振器を備えた吸振装置が使用される。吸振装置は、ばね系を介して振動系に結合されている付加質量体である。動吸振器の作用形式は、特定の励起振動数において主質量体は静止したままとなり、付加質量体が、強制された振動を実施することに基づいている。しかし、励起振動数は駆動機械の回転数と共に変化するが、動吸振器の固有振動数は一定のままとなるので、この吸振効果は特定の回転数においてしか生じない。このような装置は、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第10236752号明細書に基づき公知である。この公知の装置では、駆動機械が、少なくとも1つの始動エレメント、特にクラッチまたはハイドロダイナミック式(流体動力学式)の回転数/トルクコンバータを介して1つまたは複数の伝動装置部分に結合されている。この場合、パワートレーンには、振動可能なばね−質量系が直列に結合されているのではなく、パワートレーンに対して並列接続されている。これにより、パワートレーンの弾性は損なわれない。この振動可能なばね−質量系は動吸振器として働く。この動吸振器は特に有利な実施態様では、コンバータロックアップクラッチと相俟って、コンバータロックアップクラッチの締結時に場合によっては生じる力衝撃を回避するために、該コンバータロックアップクラッチに対応配置されている。さらに別の改良形によれば、始動エレメントに、2つのトーションダンパ段を備えたトーションダンパが後置接続される。この場合、このトーションダンパはパワートレーンの動力伝達経路内に位置している。ばね−質量系は第1のトーションダンパ段と第2のトーションダンパ段との間に配置され、これにより特に良好な伝達特性を得ようとしている。ばね−質量系は広い振動数帯内での使用のために可変の固有振動数を有することができ、この場合、固有振動数には開ループ制御または閉ループ制御を介して影響を与えることができる。
【0003】
さらに、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19781582号明細書に基づき、液体クラッチと、この液体クラッチをバイパスするためのロックアップ装置とを有する動力伝達装置が公知である。この場合、この出力伝達装置の入力装置と出力装置との間の相対ねじれを制御するために働く機構アッセンブリが設けられている。
【0004】
駆動機械の広い回転数範囲、有利には全回転数範囲にわたり励振の作用を抑制するために、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19831160号明細書に記載の構成では、回転数適応型の動吸振器がパワートレーンに設けられる。固有振動数が回転数に対して比例することにより、この回転数適応型の動吸振器は比較的大きな回転数範囲にわたりねじり振動を吸振し、理想的には駆動機械の全回転数範囲にわたりねじり振動を吸振することができる。この回転数適応型の動吸振器は、良く知られているように内燃機関のためのクランクシャフト振動を吸振するために既に使用されている遠心力分野における円錐振り子(Kreispendel)もしくは遠心力振り子(Fliehkraftpendel)の原理に基づき作動する。この遠心振り子では、複数の慣性質量体が1つの回転軸線を中心にして振り子式に揺動可能に支承されている。これらの慣性質量体は、ねじり運動が導入されると、この回転軸線の周りをできるだけ大きな間隔を置いて公転しようとしている。ねじり振動はこれらの慣性質量体の振り子式に揺動する相対運動を生ぜしめる。この場合、慣性質量体がトルク導入軸線に対して相対的に純並進的に円形の運動軌道を描くように運動するか、またはドイツ連邦共和国特許出願公開第19831160号明細書に記載されているように、この運動軌道が、中心の位置からの慣性質量体の変位の増大と共に少なくとも所定の区分において変化する曲率半径を有しているような、種々異なるシステムが知られている。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19926696号明細書に基づき、ハイドロダイナミック式の回転数/トルクコンバータと、このハイドロダイナミック式の回転数/トルクコンバータを経由する出力伝達をバイパスするためのロックアップ装置とを有する始動ユニットが公知である。この始動ユニットは少なくとも1つの付加質量体を有しており、この付加質量体の重心は、伝動装置エレメントの相対的な位置に関連して、トルク伝達経路の回転軸線に対して半径方向に変位可能である。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102006028556号明細書に基づき、駆動機械と被駆動部との間のトルク伝達のための自動車のパワートレーンに設けられたトルク伝達装置が公知である。このトルク伝達装置は切換可能なクラッチ装置の他に、少なくとも1つのねじり振動減衰装置を有している。このねじり振動減衰装置には、遠心力振り子装置が対応配置されている。この遠心力振り子装置は複数の振り子質量体を有しており、これらの振り子質量体は振り子質量体支持装置に設けられた転動ローラを用いてこの振り子質量体支持装置に対して相対的に運動可能に枢着されている。
【0007】
しばしば、動力伝達ユニットにおいては多重ダンパが使用される。この多重ダンパは特に個々の回転数範囲において作用し、これらの個々の回転数範囲に合わせて最適に調整可能である。しかし、このような多重ダンパを用いても、別個にかかる著しい手間なしに、かつ部分的は構成スペースが原因となって、駆動機械の回転数範囲全体を振動減衰に関して満足し得る形でカバーすることは不可能である。
【0008】
したがって、本発明の根底を成す課題は、冒頭で述べた形式の動力伝達装置、特に少なくとも1つの動力伝達方向で見て直列に接続された少なくとも2つのダンパを備えた多重ダンパ装置を備えた動力伝達装置を改良して、該動力伝達装置における回転不整率(Drehungleichfoermigkeit)が駆動機械の運転範囲全体にわたって低減されるか、または完全に解消されるような動力伝達装置を提供することである。
【0009】
本発明における解決手段は請求項1の特徴部に記載の特徴、すなわち回転数適応型の動吸振器が、当該動力伝達装置を経由する少なくとも1つの動力伝達方向で前記ダンパの間に配置されていることにより特徴付けられている。請求項2以下には、本発明の有利な構成が記載されている。
【0010】
直列接続可能な少なくとも2つのダンパと、1つの回転数適応型の動吸振器とを備えたダンパ装置を有する、特に動力装置もしくは駆動機械と被駆動部との間の出力伝達のための本発明により形成された動力伝達装置は、回転数適応型の動吸振器が、ダンパ装置を経由する少なくとも1つの動力伝達方向で前記ダンパの間に配置されていることにより特徴付けられている。
【0011】
本発明において「回転数適応型の動吸振器」とは、トルクを伝達するのではなく、駆動機械の極めて広い範囲、有利には完全な回転数範囲にわたって励振を抑制するために適している装置を意味する。回転数適応型の動吸振器の固有振動数は、回転数、特に励振源となる機械の回転数に対して比例している。
【0012】
本発明における解決手段は、特に、有利には常に主作業範囲において使用される動力伝達方向において、パワートレーン内への回転むらもしくは回転不整の導入の低減または回避を可能にする。さらに、減衰システム全体を、吸振したいねじり振動に、個々のダンパの著しい付加的な改良なしに良好に適合させることができる。
【0013】
本発明による動力伝達装置は種々様々に形成されていてよい。特に有利な実施態様では、動力伝達装置が、組み合わされた始動ユニットである。この始動ユニットは多機能ユニットとしても使用され得る。この始動ユニットはハイドロダイナミック式のコンポーネントを有しており、このハイドロダイナミック式のコンポーネントはポンプ車として働く少なくとも1つの一次車と、タービン車として働く二次車とを備えており、一次車と二次車とが一緒になって1つの作業室を形成しており、タービン車が、少なくとも間接的に相対回動不能に、当該動力伝達装置の出力側に結合されており、連結が、ダンパ装置のダンパのうちの少なくとも1つのダンパを介して行われており、回転数適応型の動吸振器が、少なくとも間接的に相対回動不能に二次車に結合されている。「少なくとも間接的に」とは、連結が、別の伝達エレメントの中間接続なしに直接に行われ得るか、あるいはまた別の伝達エレメントとの連結によって、もしくは別の伝達エレメントを介して間接的に行われ得ることを意味する。
【0014】
回転数適応型の動吸振器をタービン車に対応させることにより、タービン車はパワートレーン、特にダンパ装置へのタービン車の結合に基づき、有利には全ての運転状態において有効になり得る。
【0015】
特に有利な実施態様では、回転数適応型の動吸振器が、直接に相対回動不能に二次車に結合されている。これにより、ダンパ装置とは無関係に実現することのできる配置が可能となる。しかし、二次車とダンパ装置との連結に基づき、作用は損なわれない。
【0016】
さらに別の実施態様では、回転数適応型の動吸振器が、ダンパ装置の1つのダンパに結合されている。この実施態様により、減衰システムに対する直接的な対応配置が可能になる。この場合、連結は、一方のダンパの、二次車に直接的に相対回動不能に結合されているエレメントまたは他方のダンパの、一方のダンパの、二次車に相対回動不能に結合されたダンパエレメントに結合されているエレメントと直接的に行われ得る。これにより、回転数適応型の動吸振器のための種々の配置可能性が得られる。この場合、与えられた構成スペース条件に関連して、機能を損なうことなしに最適な配置が選択可能となる。
【0017】
回転数適応型の動吸振器は、別個に前組付け可能な構成部分として形成され得る。これにより、規格化されたコンポーネントの改良が必要となることなしに、回転数適応型の動吸振器を、これらの規格化されたコンポーネントと組み合わせることができる。さらに、簡単な交換も与えられる。回転数適応型の動吸振器はさらに、予め前組立てしておいて、ストックしておくこともできる。
【0018】
第2の構成では、回転数適応型の動吸振器もしくはこの回転数適応型の動吸振器の構成要素、特に慣性質量体支持装置の構成要素が、接続エレメントの構成要素として形成される。この場合、接続エレメントはダンパ装置の1つのダンパの1エレメントにより形成されるか、または二次車もしくはタービン車への直接的な結合の場合にはタービン車によって形成される。このような構成は、たしかに相応する接続エレメントの所要の改良によって特徴付けられているが、しかしこれにより特に組込み位置における軸方向において、入力側から出力側に向かって見て、構成スペースが節約される。なぜならば、回転数適応型の動吸振器がもはや別のエレメントの間に別個のエレメントとして配置されなくて済むからである。
【0019】
回転数適応型の動吸振器の別個の構成では、該回転数適応型の動吸振器を統合時に固定エレメントを介して、もともと存在している接続エレメントに結合することができる。この場合、回転数適応型の動吸振器の接続範囲はこれらの接続エレメントの間の固定範囲へ設置され、そして有利にはもともと必要とされている固定エレメントが、回転数適応型の動吸振器の結合のために利用される。
【0020】
個々のダンパ自体の構成に関しては多数の可能性が存在している。ダンパ装置は、既に説明したように、少なくとも一方の動力伝達方向において直列ダンパとして形成されている。ダンパ装置の個々のダンパは個別のダンパとして、あるいはまた直列ダンパ装置または並列ダンパ装置として形成されていてよい。これにより、個々の実現可能な減衰段に、これらの減衰段を用いて達成可能な減衰特性線に関して、さらに影響を与えることができ、こうしてこれらの減衰段を場合によっては特定の要件に合わせて一層最適に調整することができる。
【0021】
ダンパの配置に関しては、多数の可能性が存在する。しかし、これらの可能性は個々のダンパの具体的な構成に関連している。この場合、ダンパの配置に関しては、機能的および空間的な方向において区別される。空間的な方向、特に動力伝達装置の入力側と出力側との間での軸方向において見て、ダンパ装置内部でのダンパの互いに相対的な空間的な配置を軸方向および/または半径方向において互いにずらして行うことができる。有利には、常に半径方向にずらされた配置が選択される。なぜならば、この場合、重ね合わされた配置による一層最適な構成スペース利用が可能になるからである。さらに、半径方向におけるずらされた配置に基づき、一方のダンパの外周面の範囲では、第2のダンパの半径方向における延長上で見て、複数の間隙が生じる。これらの感激は理想的には、回転数適応型の動吸振器の配置のために利用され得るので、スペース節約的な配置が可能になる。
【0022】
純機能的には、前記ダンパのうちの少なくとも一方のダンパが、具体的に出力分岐路のうちの一方の出力分岐路に、他方の出力分岐路において弾性的なカップリングとして作用することなしに配置されていてよい。この場合には、このダンパが他方の出力分岐路において純然たる吸振器として働く。これに関しては2つの構成が区別される。この場合、第1の構成は、入力側から出力側への動力伝達経路において動力伝達方向で見て第1のダンパが機械的な出力分岐路に配置されていることにより特徴付けられており、第2の事例では配置が流体動力学的な出力分岐路、つまりハイドロダイナミック的な出力分岐路において行われる。その場合、ダンパ装置の第2のダンパは両分岐路に機能的にはたしかに直列に後置接続されているが、しかし吸振器として働く。これにより、入力側から出力側への動力伝達方向で見て、常に1つのダンパが有効となる。このダンパには、特に有利な実施態様では、回転数適応型の動吸振器も対応配置される。
【0023】
回転数適応型の動吸振器自体の構成は種々様々に行うことができる。全ての構成にとって共通していることは、これらの構成が、半径方向に延在する慣性質量体支持装置により特徴付けられていることである。この場合、延在は平坦なディスクエレメントとして行われ得るか、または相応して成形された構成部分として行われ得る。この構成部分は動力伝達装置の回転軸線に対して同軸的に配置されている。この回転軸線を中心にして、慣性質量体支持装置には、複数の慣性質量体が振り子式に揺動可能に支承されており、この場合、有利にはそれぞれ慣性質量体支持装置の両側に、相応する慣性質量体が、互いに相対的なずれなしに配置されている。このような振り子式に揺動可能に支承された慣性質量体は、遠心力の影響を受けて半径方向における変位を受ける。遠心力振り子と同様に機能する回転数適応型の動吸振器の基本原理は、慣性質量体支持装置における振り子式に揺動可能に支承された質量体により特徴付けられている。これらの質量体は、たとえば騒音発生を改善するか、またはその可能な作用範囲を拡張させるために、付加手段によってさらに改良され得る。このような構成は、公知先行技術に基づき十分に知られている。それゆえに、本明細書中では遠心力振り子の構成について詳細には説明しない。
【0024】
回転数適応型の動吸振器はこの場合、空間的にダンパ装置の手前、ダンパ装置の背後、またはダンパ装置の個々のダンパの間に配置され得る。これらの配置はそれぞれ、与えられた具体的な条件に関して特に重要となり得る。しかし、両ダンパの間での配置は、もともと存在しかつ事情によっては利用されない構成スペースを最適に利用することができるようにすることを目標とされ得る。
【0025】
特に有利な実施態様では、回転数適応型の動吸振器が、常に駆動ユニット、特に駆動機械の励振の次数(Ordnung)に合わせて設計されている。この場合、ハイドロダイナミック式のコンポーネントを備えた動力伝達装置において、個々の慣性質量体に対する、遠心オイル圧によって減じられた遠心力影響が一緒に考慮される。このような考慮は、回転数適応型の動吸振器を有しない構成よりも、すなわち乾式に働く動吸振器を有しない構成よりも>0.05〜0.5の範囲だけ高い次数に合わせた構成および設計によって行われる。
【0026】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】回転数適応型の動吸振器の機能的な配置を有する本発明による動力伝達装置の基本構造を示す概略図である。
【図1b】回転数適応型の動吸振器を備えたダンパ装置を有する本発明による動力伝達装置の有利な構成を示す概略図である。
【図1c】回転数適応型の動吸振器を備えたダンパ装置を有する本発明による動力伝達装置の別の有利な構成を示す概略図である。
【図1d】回転数適応型の動吸振器を備えたダンパ装置を有する本発明による動力伝達装置のさらに別の有利な構成を示す概略図である。
【図2】本発明により形成された動力伝達装置の第1の実施形態を示す軸方向断面図である。
【図3】本発明により形成された動力伝達装置の第2の実施形態を示す軸方向断面図である。
【図4】回転数適応型の動吸振器の1構成を例示的に示す側面図である。
【図5】回転数適応型の動吸振器とタービン車との直接的な連結の1構成を示す断面図である。
【図6a】回転数適応型の動吸振器のための種々の結合可能性を有するダンパ装置の配置構成を示す概略図である。
【図6b】回転数適応型の動吸振器のための種々の結合可能性を有するダンパ装置の別の配置構成を示す概略図である。
【図6c】回転数適応型の動吸振器のための種々の結合可能性を有するダンパ装置のさらに別の配置構成を示す概略図である。
【図6d】回転数適応型の動吸振器のための種々の結合可能性を有するダンパ装置の配置構成を示す概略図である。
【図7】回転数適応型の動吸振器を有しない構成に対する本発明の構成の利点を示す線図である。
【0028】
図1aには、本発明の構成により形成された、パワートレーン、特に車両のパワートレーンにおける出力伝達のための動力伝達装置1の基本構造が概略的に図示されている。この動力伝達装置1は、たとえば内燃機関として形成されていてよい駆動機械100と、被駆動部101との間での出力伝達のために働く。このためには、動力伝達装置1が少なくとも1つの入力側Eと少なくとも1つの出力側Aとを有している。入力側Eは少なくとも間接的に駆動機械100に結合されており、出力側Aは少なくとも間接的に、被駆動部101のユニット、たとえば変速機の形のユニットに結合されている。「少なくとも間接的に」とは、連結が直接的に、つまり中間接続された別の伝達エレメントなしに行われ得るか、または間接的に別の伝達エレメントを介して行われ得ることを意味する。用語「入力側」および「出力側」は、駆動機械から被駆動部へ向かう動力伝達方向で見て機能的に表現した用語であるに過ぎず、特定の構造的な細部構成に限定されるものではない。
【0029】
動力伝達装置1はダンパ装置2を有している。このダンパ装置2は入力側Eと出力側Aとの間に配置されている。ダンパ装置2は、ダンパ段を形成する直列接続可能な少なくとも2つのダンパ3,4と、1つの回転数適応型の動吸振器5とを有している。「回転数適応型の動吸振器5」とは、回転むらもしくは回転不整を抑制するための装置を意味する。この装置を介して出力伝達が行われるのではなく、この装置を介して大きな回転数範囲、有利には全回転数範囲にわたってねじり振動が吸振され得るようになる。この場合、慣性質量体は遠心力に基づいて、トルク導入軸線の周りを最大間隔を置いて、いわば「公転」しようと努めている。回転数適応型の動吸振器5はこの場合、遠心力振り子装置によって形成される。回転数適応型の動吸振器5の固有振動数は、励振源となるユニット、特に駆動機械100の回転数に対して比例する。回転運動がねじれ振動によって重畳されることにより、慣性質量体の振り子式の揺動相対運動が生ぜしめられる。本発明によれば、回転数適応型の動吸振器5が、動力伝達経路において、理論的に可能となる動力伝達方向のうちの少なくとも1つの動力伝達方向で見てダンパ装置2の両ダンパ3,4の間に中間接続されている。個々のダンパ3,4を介した振動の減衰に並んで、回転数適応型の動吸振器5はこの場合、種々異なる振動数において作動する。
【0030】
ダンパ装置2のダンパ3,4の構成およびこれらのダンパ3,4と、動力伝達装置1における別のコンポーネントとの結合のためには、多数の可能性が存在する。この場合、特に流体動力学的なコンポーネント、つまりハイドロダイナミック式のコンポーネント6と、このハイドロダイナミック式のコンポーネント6を少なくとも部分的にバイパスするためのロックアップ装置7とを備えた構成においては、機能的に両出力分岐路において弾性的なカップリング、つまりトルク伝達および減衰を行うカップリングとして働くダンパ3,4の直接接続を有する構成、または少なくとも前記コンポーネントのうちの1つのコンポーネントを介して行われる出力伝達の場合に弾性的なカップリングとして働くダンパ3,4の直列接続を有する構成と、他方のコンポーネントを介して行われる出力伝達の場合に両ダンパ3,4のうちの一方のダンパ3;4が弾性的なカップリングとして働き、他方のダンパ4;3が動吸振器として働く構成との間で区別される。
【0031】
図1bには、組み込まれた回転数適応型の動吸振器5を備えたダンパ装置2を有する動力伝達装置1の特に有利な構成が示されている。この動力伝達装置1は少なくとも1つのハイドロダイナミック式のコンポーネント6と、このハイドロダイナミック式のコンポーネント6を経由する動力伝達路を少なくとも部分的に迂回するためのロックアップ装置7とを有している。ハイドロダイナミック式のコンポーネント6は、入力側Eとの連結時に入力側Eから出力側Aへの動力伝達方向でポンプ車(ポンプインペラ)Pとして働く少なくとも1つの一次車と、少なくとも間接的に出力側Aに相対回動不能に連結されかつ入力側Eから出力側Aへの出力伝達時にタービン車(タービンランナ)Tとして働く二次車とを有している。一次車と二次車とは1つの作業室ARを形成している。ハイドロダイナミック式のコンポーネント6は、回転数変換によって作動するハイドロダイナミック式のクラッチとして形成されているか、あるいはまた特に有利な構成ではハイドロダイナミック式の回転数/トルクコンバータとして形成されていてよい。この場合、ハイドロダイナミック式の回転数/トルクコンバータを経由する出力伝達の際には回転数変換とトルク変換とが常に同時に行われる。この場合には、ハイドロダイナミック式のコンポーネント6が少なくとももう1つの別の案内車(ステータ)Lを有している。この場合、この案内車Lは構成に応じて位置固定的に支承されているか、または回転可能に支承されていてよい。さらに、案内車Lはフリーホイールを介して支持され得る。ハイドロダイナミック式のコンポーネント6はこの場合、入力側Eと出力側Aとの間に配置されている。ハイドロダイナミック式のコンポーネント6は、このハイドロダイナミック式のコンポーネント6を経由する入力側Eと出力側Aとの間の動力伝達経路において見て、第1の出力分岐路Iを描いている。ハイドロダイナミック式のコンポーネント6を迂回するためのロックアップ装置7は、いわゆるロックアップクラッチの形に形成されていると有利である。ロックアップクラッチは最も簡単な事例では、切換可能なクラッチ装置である。この切換可能なクラッチ装置は、同期的に切換可能なクラッチ装置として形成されていてよい。しかし、一般にこの切換可能なクラッチ装置は摩擦接続式のクラッチ、有利にはディスク構造のクラッチとして形成される。クラッチ装置は同じく入力側Eと出力側Aとの間に配置されていて、このクラッチ装置を経由する出力伝達の際に第2の出力分岐路IIを描く。この第2の出力分岐路IIでは、出力伝達が機械的に行われる。この場合、ダンパ装置2は入力側Eから出力側Aへの動力伝達方向においてロックアップ装置7およびハイドロダイナミック式のコンポーネント6に後置されている。これによって、回転数適応型の動吸振器5は入力側Eから出力側Aへの動力伝達方向で見てハイドロダイナミック式のコンポーネント6にも、機械的なロックアップクラッチにも、後置接続されている、すなわち入力側Eから出力側Aへの動力伝達方向で見てハイドロダイナミック式のコンポーネント6および機械的なロックアップクラッチの下流側に接続されている。このことは、回転数適応型の動吸振器5が遠心力振り子の形で少なくとも間接的に、ハイドロダイナミック式のコンポーネント6の、少なくとも1つの所定の運転状態においてタービン車Tとして働く二次車に相対回動不能に結合され、さらにロックアップ装置7の出力側にも相対回動不能に結合されていることにより達成される。
【0032】
図1aおよび図1bには、直列接続可能な2つのダンパ3,4の間の回転数適応型の動吸振器5を備えた本発明による動力伝達装置1における基本配置が、概略的に著しく簡略化された図面で図示されている。両ダンパ3,4は動力伝達方向の少なくとも一方の方向、この場合には両方向において直列に接続されていて、振動を減衰するための装置として、すなわちいわば弾性的なカップリングとして、個々のダンパ3,4が実際にはどのように形成されているのかとは無関係に作用する。
【0033】
図1cおよび図1dには、図1bに相応する概略的に著しく簡略化された図面で、本発明により形成された別の動力伝達装置が示されている。しかしこの場合、両ダンパ3,4はそれぞれ一方の動力伝達方向においてのみ、出力分岐路IまたはIIにおいて機能的に弾性的なカップリングとして直列に接続されている。図1cに示した構成では、直列接続された両ダンパ3,4から成る装置が、動力伝達経路で動力伝達方向において入力側Eと出力側Aとの間で見て常に機械的な出力分岐路IIに後置されている。ハイドロダイナミック式のコンポーネント6、特にタービン車Tの結合はこの場合、両ダンパ3,4の間で行われる。回転数適応型の動吸振器5は動力伝達方向において、この場合にもハイドロダイナミック式のコンポーネント6に後置されている。この動吸振器5は同じく両ダンパ3,4の間に配置されており、この場合、結合は直接にタービン車Tにおいて行われるか、あるいはまた接続部もしくはダンパ4へのタービン車Tの結合部の範囲において行われる。
【0034】
それに対して、図1dには、両ダンパ3,4が直列接続において入力側Eから出力側Aへの動力伝達経路で常にハイドロダイナミック式のコンポーネント6に後置されている構成が図示されている。この場合、機械的な出力伝達時にダンパ3は動吸振器として働き、ダンパ4は完全に、弾性的なカップリングの形の振動を減衰するための装置として働く。この場合にも、回転数適応型の動吸振器5の結合は直接にダンパ4に前置されていて、これによってハイドロダイナミック式のコンポーネント6を経由した出力伝達時にタービン車Tに少なくとも間接的に、この場合にはダンパ3を介して間接的に連結されている。さらに、この構成では、第2の機械的な出力分岐路IIにおける純機械的な出力伝達時においても、回転数適応型の動吸振器5が常に有効となる。なぜならば、この動吸振器5はダンパ4と一緒に接続されているからである。
【0035】
図2および図3には、図1cに示した配置構成の本発明により形成された動力伝達装置1の特に有利な2つの実施形態が、この動力伝達装置1の軸方向断面の一部につき例示的に図示されている。
【0036】
図2には、回転数適応型の動吸振器5の別個の構成およびダンパ装置2への結合を有する実施形態が示されている。この回転数適応型の動吸振器5は遠心力振り子装置8として形成されていて、1つの慣性質量体、有利には複数の慣性質量体9.1,9.2を有している。これらの慣性質量体9.1,9.2は慣性質量体支持装置10に、この慣性質量体支持装置10に対して相対的に運動可能に支承されている。この場合、たとえば支承は転動ローラ11を介して行われる。慣性質量体支持装置10はこの場合、ディスク形のエレメントとして形成されている。このディスク形のエレメントはハブ部分12を形成している。このハブ部分12は半径方向において回転軸線Rに関してディスク形のエレメントの半径方向内側の範囲に形成されているか、あるいはまたこのようなハブ部分12に結合されていてもよい。慣性質量体支持装置10は、平坦なディスク形のエレメントまたは少なくとも環状ディスク形のエレメントとして形成されていると有利である。また、横断面で見て加工成形された形状を有する構成、たとえば金属薄板成形部分の形の構成も考えられる。慣性質量体支持装置10の両側に慣性質量体9.1,9.2が設けられていると有利である。これらの慣性質量体9.1,9.2は慣性質量体支持装置10の半径方向外側の直径の範囲で転動軌道もしくは転動ローラ11を介してこの慣性質量体支持装置10に振り子式に揺動するように支承されていると有利である。遠心力の影響に基づき、慣性質量体9.1,9.2は少なくとも半径方向外側に向かって移動し、さらに少なくとも1つの慣性質量体9.1,9.2は、動力伝達装置1の回転軸線Rに相当する中心軸線Mからの重心Sの最大間隔が生ぜしめられる真ん中の位置を起点としてハブ部分12に対して相対的に所定の運動軌道に沿って変位位置において往復運動することができる。この場合、前記少なくとも1つの慣性質量体9.1,9.2の重心Sの間隔は真ん中の位置に対して変化する。慣性質量体支持装置10はこの場合、別個のエレメントにより形成される。これによって、遠心力振り子装置8全体は別個に前組立て可能となるので、遠心力振り子装置8全体を構成ユニットとして別個に保管しかつ取り扱うことができる。
【0037】
動力伝達装置1はハイドロダイナミック式のコンポーネント6を有している。この場合、図面には、タービン車Tとして働く二次車の一部しか図示されていない。この二次車は少なくとも間接的に出力側Aに相対回動不能に連結されている。出力側Aは、たとえば自動車のためのパワートレーンにおける使用時では同時に変速機入力軸によって形成され得るシャフト29によって形成され得るか、またはこのシャフト29と相対回動不能に連結可能であるエレメント、特にハブ部分12によって形成される。ハブ12はダンパハブとも呼ばれる。タービン車Tと出力側Aとの連結は、ダンパ装置2、特に第2のダンパ4を介して行われる。ダンパ装置2は、直列接続可能な2つのダンパ3,4を有しており、この場合、これらのダンパ3,4はそれぞれ1つのダンパ段を形成しており、両ダンパ段は半径方向において互いにずらされて配置されており、したがって外側の第1のダンパ段と内側の第2のダンパ段とを形成している。ダンパ3,4はこの場合、個別ダンパとして形成されている。しかし、ダンパ3,4を直列ダンパまたは並列ダンパとして形成することも考えられる。この場合、場所や構成スペースを節約する配置を実現するためには、半径方向の第1のダンパ段が半径方向外側のダンパ段として形成されていると有利である。すなわち、半径方向外側のダンパ段は、半径方向内側の第2のダンパ段よりも大きな直径を有する円周に沿って配置されている。両ダンパ3,4もしくはこれらのダンパ3,4により形成されたダンパ段は、入力側Eと出力側Aとの間の動力伝達経路で見て、ロックアップクラッチの形のハイドロダイナミック式のコンポーネント6を迂回するためのロックアップ装置7を介して直列に接続されている。ロックアップクラッチの形のハイドロダイナミック式のコンポーネント6を迂回するためのロックアップ装置7はこの場合、第1のクラッチ部分13と、第2のクラッチ部分14とを有している。第1のクラッチ部分13と第2のクラッチ部分14とは、少なくとも間接的に互いに相対回動不能に作用結合にもたらされるようになっており、すなわち直接的にまたは間接的に別の伝達エレメントを介して互いに相対回動不能に作用結合にもたらされるようになっている。連結はこの場合、第1のクラッチ部分13と第2のクラッチ部分14とにより形成される摩擦対偶を介して行われる。第1のクラッチ部分13は少なくとも間接的に入力側Eに、有利には直接的に入力側Eに相対回動不能に結合されており、それに対して第2のクラッチ部分14は少なくとも間接的にダンパ装置2に、特に第1のダンパ3に相対回動不能に連結されていて、有利には直接的に第1のダンパ3の入力側に連結されている。第1のクラッチ部分13および第2のクラッチ部分14は、図示の事例では内側摩擦板ユニットおよび外側摩擦板ユニットを有しており、この場合、図示の事例では内側摩擦板ユニットが、軸方向で内側摩擦板支持体に支承された複数の内側摩擦板から成っている。これらの内側摩擦板は軸方向に向けられた面範囲を形成しており、これらの面範囲は、これらの面範囲に対して相補的な、第1のクラッチ部分13の外側摩擦板支持体に配置された複数の外側摩擦板に設けられた面範囲と作用結合にもたらされるようになっている。このためには、内側摩擦板の少なくとも一部および外側摩擦板の少なくとも一部が、軸方向において各摩擦板支持体に移動可能に支承されている。第2のクラッチ部分14は、入力側Eから出力側Aへ向かう動力伝達方向において第1のダンパ3の入力部分として機能するエレメントと連結されている。このエレメントは一次部分15と呼ばれる。さらに、第1のダンパ3は二次部分16を有しており、この場合、一次部分15もしくは二次部分16はトルク伝達のための手段17と、減衰カップリングのための手段18とを介して互いに連結されている。この場合、減衰カップリングのための手段18はトルク伝達のための手段17および最も単純な事例では弾性的なエレメント19、特にばねユニット20によって形成される。一次部分15および二次部分16はこの場合、周方向において互いに対して相対的に制限された範囲内で回動可能である。このことは、同様に第2のダンパ4にも云える。第2のダンパ4はこの場合、半径方向内側に位置するダンパとして、つまり内側のダンパとして形成されている。この第2のダンパ4は同じく一次部分21と二次部分22とを有しており、一次部分21と二次部分22とはトルク伝達のための手段23と、減衰カップリングのための手段24とを介して互いに連結されている。一次部分21と二次部分22とは互いに同軸的に配置されていて、互いに対して相対的に制限された範囲内で周方向で互いに回動可能である。この場合にも、トルク伝達のための手段23は減衰カップリングのための手段24によって形成され得るか、もしくはこれらの手段は1つの構成エレメントに、有利にはばねユニット25の形の構成ユニットに機能的に統合され得る。両ダンパ3,4の一次部分15および二次部分16もしくは一次部分21および二次部分22は、単一部分から一体に形成されているか、または複数の部分から形成されていてよい。有利には、両部分のそれぞれ一方の部分が、互いに相対回動不能に連結された2つのディスクエレメントから形成されており、両ディスクエレメントの間にそれぞれ他方の部分、つまり二次部分22,16または一次部分21,15が配置されている。
【0038】
図示の事例では、それぞれ一次部分15;21が、入力側Eと出力側Aとの間の出力伝達時に入力部分として働き、二次部分16;22は各ダンパ3,4の出力部分として働く。入力部分、つまり第1のダンパ3の一次部分15は、連行フランジ32の形のディスク形のエレメントによって形成される。二次部分16は、連行ディスク33とも呼ばれる2つのディスク形のエレメントによって形成される。両エレメントは軸方向において一次部分15の両側に配置されていて、相対回動不能に互いに連結されている。この場合、第1のダンパ3の二次部分16は第2のダンパ4の一次部分21に相対回動不能に結合されているか、または第2のダンパ4の一次部分21と共に1つの構成ユニットを形成している。この場合、第2のダンパ4の一次部分21と第1のダンパ3の二次部分16との間での一体の構成も可能である。第2のダンパ4の一次部分21は、連行ディスク35とも呼ばれる2つのディスク形のエレメントによって形成され、二次部分22は、両連行ディスク35の間に軸方向で配置された1つのディスク形のエレメント、特に連行フランジ34によって形成される。すなわち、二次部分22は、出力側A、この場合には特にハブ12に相対回動不能に結合されている中間ディスクによって形成される。さらに、第2のダンパ4の一次部分21はタービン車T、特にハイドロダイナミック式のコンポーネント6の二次車に相対回動不能に結合されている。連結部30における連結は最も単純な事例では、摩擦接続的な結合および/または形状接続的な結合、つまり係合に基づいた嵌合による結合を介して行われる。図示の事例では、リベット結合の形の結合が選択されており、この場合、リベットは押出成形されたリベットまたは別個のリベットとして形成されていてよい。さらに、二次部分22とタービン車Tとの間の結合は、回転数適応型の動吸振器5との連結部31を実現するために利用される。回転数適応型の動吸振器5、特にディスク形のエレメントの形の慣性質量体支持装置10は、軸方向において第2のダンパ4の、連行ディスク35により形成された一次部分21と、タービン車Tもしくはこのタービン車Tと相対回動不能に連結されたエレメントとの間に配置されて結合されている。この構成では、別個の構造に基づき、ダンパ装置2の構成において特別な規格は必要にならない。この場合、回転数適応型の動吸振器5の分だけ補うことのできる規格化された構成部分を選択することができる。したがって、回転数適応型の動吸振器5を、別個に取扱い可能な構成ユニットとして組立てすることができ、かつ交換することもできる。さらに、回転数適応型の動吸振器5もしくはその一部、特に慣性質量体9.1,9.2は、第2のダンパ4の上の半径方向における構成スペースを利用して配置され得る。回転数適応型の動吸振器5の配置はこの場合、軸方向で見て空間的にダンパ装置2とハイドロダイナミック式のコンポーネント6との間で行われる。
【0039】
これに対して、図3には、図2に示した実施形態の特に有利な改良形が示されている。この場合、回転数適応型の動吸振器5はダンパ装置2のエレメントの構成要素、特に第2のダンパ4の一次部分21の構成要素である。この改良形では、一次部分21の少なくとも1つの連行ディスク35と、慣性質量体支持装置10とが、1つの構成ユニットを形成しているか、もしくは1つの構成部分により形成される。このためには、連行ディスク35が、半径方向において内周面36の方向へ延長されていて、その延在長さが、半径方向において第1のダンパ3の外周面28の範囲にまで、またはこの範囲を超えるまで延びている。したがって、特に図3に図示された、軸方向および半径方向におけるオフセット、つまりずれを有する両ダンパ3,4の配置形式では、これにより取得された構成スペースもしくは自由に提供されている構成スペースを自由に利用することができる。
【0040】
回転数適応型の動吸振器の構成は、種々様々の形で行うことができる。この場合、代表的なものとしては、とりわけドイツ連邦共和国特許出願公開第102006028556号明細書ならびにドイツ連邦共和国特許出願公開第19831160号明細書に記載の構成が挙げられる。したがって、これらの刊行物に開示されている回転数適応型の動吸振器の構成に関する内容は十分に本願の内容に取り込まれる。振動吸振器が駆動機械の大きな回転数範囲にわたって、理想的には回転数範囲全体にわたって回転振動もしくはねじり振動を吸振し得る場合、この振動吸振器は回転数適応型であると云える。慣性質量体9.1,9.2は遠心力に基づいて、トルク導入軸線に対してできるだけ大きな半径を描いて運動しようと努める。回転運動がねじり振動によって重畳されることにより、慣性質量体9.1,9.2の振り子式に揺動する相対運動が生じる。この振り子式に揺動する相対運動はその位置において単独に遠心力もしくはその重量に基づいてのみ生じる。このことは戻しにも云える。別個の戻し力は存在しない。さらに、固有振動数は回転数に対して比例するので、シャフト回転数nに同様に比例する振動数を有するねじり振動は大きな回転数範囲にわたり吸振可能となる。この場合、動吸振器5においては、慣性質量体9.1,9.2がハブ部分に対して相対的に、円形の運動軌道に沿って純並進的に運動する。ドイツ連邦共和国特許出願公開第19831160号明細書に基づき公知の構成では、この運動軌道が、たとえばさらに、中心位置からの慣性質量体9.1,9.2の変位の増大と共に少なくとも所定の区分にわたり変化する曲率半径によって特徴付けられている。このことは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102006028556号明細書に基づき公知の構成にも云える。このような構成は、回転数適応型の動吸振器5の構成として図4に側面図で例示的に図示されている。このことは1例である。別の構成も考えられる。この場合、慣性質量体支持装置10として環状ディスク形のエレメントが形成されており、そしてこの慣性質量体支持装置10に周方向で均一に分配されて配置された個々の慣性質量体9.1,9.nが形成されていることが判る。図示の事例では、4つの慣性質量体が振り子質量体9.11〜9.14の形で運動可能に設けられている。これらの振り子質量体9.11〜9.14は被覆された段付きピン26と、転動ローラ27とによって運動可能に振り子質量体のための慣性質量体支持装置10に保持される。
【0041】
図2および図3には、動力伝達装置1における特に有利な使用可能性が示されているが、さらに別の配置形式も考えられる。図5には、回転数適応型の動吸振器5とハイドロダイナミック式のコンポーネント6のタービン車Tとの直接的な連結が、概略的な簡略化された図面で示されている。ハイドロダイナミック式のコンポーネント6のタービン車Tは第2のダンパ4の一次部分21に、直接的にまたは別の中間エレメントを介して相対回動不能に結合されているので、この場合にも入力側Eと出力側Aとの間の動力伝達経路には両ダンパ3,4の間での動吸振器5の中間接続が与えられている。タービン車Tにおける配置はタービン車Tの半径方向の外周面37の範囲において行われ得るが、この場合、この配置はタービン車Tの半径方向の延在長さ(タービン車Tが半径方向に延在する長さ寸法)に等しいか、またはそれよりも大きな半径を描くように行われ得るか、またはタービン車Tの半径方向の延在長さよりも小さくかつ軸方向でいわばタービン車Tに並んで行われ得る。
【0042】
図6a〜図6dには、さらに別の結合形式が概略的に記載されている。図6aに示した構成では、たとえば第1のダンパ3が、図2および図3につき説明した構成に類似して形成されている。第2のダンパ4は、一次部分21が中間ディスクによって形成され、出力側Aと相対回動不能に連結されている二次部分22が、軸方向で中間の連行ディスク34に並んで配置された2つの側方の連行ディスク35によって形成されることによって特徴付けられている。この場合には、回転数適応型の動吸振器5が、連行ディスク33の形の第1のダンパ3の二次部分16と、第2のダンパ4の二次部分22の形の中間ディスク34との間の結合部と共に相対回動不能に配置されていて、有利には連行ディスク33に相対回動不能に結合されている。このことは、タービン車Tにも同様に云える。
【0043】
別の構成では、ダンパ装置2の第1のダンパ3において、一次部分15が、たとえば少なくとも間接的に入力側Eと連結されている2つの連行ディスク33によって形成され、二次部分16が、連行フランジ32の形の中間ディスクにより形成される。このような構成では、二次部分16の連結が、連行ディスク35として形成された一次部分21と行われ得るか、または第2のダンパ4の、中間ディスクもしくはフランジ34によって形成された一次部分21と行われ得る。図6bに示した構成では、第2のダンパ4の一次部分21が、図2および図3につき説明した構成に類似して形成されている。すなわち、一次部分21は2つもしくは1つの連行ディスク35によって形成される。二次部分22はフランジ34によって形成される。第1のダンパ3の一次部分15は、互いに相対回動不能に連結された2つの連行ディスク33により形成され、二次部分16はフランジ32によって形成される。フランジ32の形の二次部分16は連行ディスク35もしくはこれらの連行ディスク35のうちの1つ、ひいては第2のダンパ4の一次部分21と共に1つの構成ユニットを形成している。また、これらの構成部分を別個のエレメントによって形成し、かつ相対回動不能に互いに連結することも考えられる。また、第1のダンパ3の連行ディスク33も、第2のダンパ4の連行ディスク35も、それぞれ相対回動不能に互いに連結されており、この場合、連結は種々様々に行うことができる。ハイドロダイナミック式のコンポーネント6のタービン車Tはこの構成では一次部分21、特に連行ディスク35と連結されている。回転数適応型の動吸振器5の配置に関しては、この場合にも多数の可能性が存在する。回転数適応型の動吸振器5は直接にタービン車T、第2のダンパの一次部分21、特に連行ディスク35のうちの1つと連結されていてよいか、または第1のダンパ3のフランジ32と連結されていてもよい。個々の配置可能性は図面には破線で描かれている。
【0044】
それに対して図6cには、図6bに示した第1のダンパ3の構成が示されているが、ただしこの場合、第2のダンパ4の一次部分21はフランジ34によって形成される。二次部分22は連行ディスク35によって形成される。タービン車Tの結合はこの場合にはフランジ34において行われる。その場合、回転数適応型の動吸振器5は直接にタービン車Tと連結されるか、またはフランジ34と連結され、このフランジ34はそれと同時に第1のダンパ3のフランジ32をも形成している。
【0045】
図6cに示した構成では、第2のダンパ4が、ハイドロダイナミック的(流体動力学的)な出力分岐路において弾性的なカップリングとして働き、第1のダンパ3が動吸振器として働く。このことは、図6aおよび図6bに示した構成にも同様に言える。
【0046】
図6aおよび図6bに示した構成では、軸方向における両ダンパの配置が、空間的に動力伝達装置1の入力側Eから出力側Aに向かって見て互いにずらされて配置されている。図6cには、両ダンパ段が同一の軸方向平面に配置されている構成が示されている。
【0047】
図6a〜図6cには、さらに流体動力学的な、つまりハイドロダイナミック的な出力伝達時において第1のダンパ3が動吸振器として作用する構成が示されている。これとは異なり、図6dには、両ダンパ3,4が両出力分岐路において弾性的なカップリングとして機能する構成が示されている。この構成では、両ダンパ3,4の一次部分15,21ならびに両ダンパ3,4の二次部分16,22が、それぞれ同じ構成エレメントによって形成される。直列接続は周方向での両ダンパにおける自由角度もしくは隙間角度(Freiwinkel)により実現される。たとえば、外側のダンパ3に設けられた、トルク伝達のための手段を支持しかつ周方向でストッパを形成する開口が、負荷されていない状態において所定の隙間角度範囲を備えており、内側のダンパ4に設けられた開口は、トルク伝達のための手段、特にばねエレメント35が常に接触するように形成されている。図示の事例では、たとえば一次部分15,21が、2つの連行ディスク33;35によって形成され、二次部分16,22は、両連行ディスクの間に配置されたフランジ34;32によって形成され、このフランジが出力側Aと相対回動不能に連結されている。ロックアップ装置7の結合も、タービン車Tの結合も、それぞれ両連行ディスク33,35のうちの一方の連行ディスクにおいて行われ、この場合、ダンパ装置2は軸方向において空間的に見てロックアップ装置7とハイドロダイナミック式のコンポーネント6との間に配置されている。回転数適応型の動吸振器5の結合はこの場合、両連行ディスク33,35のうちの一方の連行ディスク、有利にはタービン車側の連行ディスクにおいて行われる。
【0048】
入力側Eと出力側Aとの間での空間的な配置は、図6a〜図6cに示したほぼ全ての構成において、個々のダンパ3,4の配置に関連して軸方向および半径方向におけるずれ(オフセット)を持って行われる。ずれが与えられていると、半径方向における中間スペースを回転数適応型の動吸振器5の配置のために最適に利用することができる。さもないと、回転数適応型の動吸振器5の配置は軸方向で個々のダンパに隣接して行われる。
【0049】
図1〜図6に示したダンパ装置2では、個々のダンパ3,4が、たとえば、圧縮ばねまたは円弧ばねダンパとして形成されている機械的なダンパの形の「個別ダンパ」により形成される。すなわち、トルク伝達のための手段17,13および減衰カップリングのための手段18,24は、円弧ばねまたは圧縮ばねの形のばねユニット20,25によって形成される。しかし、別のダンパコンセプト、たとえば組み合わされた機械式・ハイドロリック式(液圧式)のダンパも考えられる。
【0050】
さらに、本発明の解決手段を多重ダンパ装置において使用することも考えられる。多重ダンパ装置では、個々のダンパ3,4が既にそれ自体1つのダンパ段を形成していて、並列ダンパまたは直列ダンパの形の多重ダンパとして形成されている。
【0051】
図7には、パワートレーンにおける回転不整とエンジン回転数nとの関係を示す線図につき、回転数適応型の動吸振器5を有しない動力伝達装置1の構成(破線)と、回転数適応型の動吸振器5を備えた動力伝達装置1の構成(実線)とが対峙して示されている。この線図から判るように、パワートレーンにおける回転不整は、慣用の解決手段においては著しく大きくなり、それに対して、たとえば図3に示した構成における出力伝達では、特に臨界的な回転数範囲において著しく小さな回転不整しか生じない。
【符号の説明】
【0052】
1 動力伝達装置
2 ダンパ装置
3 ダンパ
4 ダンパ
5 回転数適応型の動吸振器
6 ハイドロダイナミック式のコンポーネント
7 ハイドロダイナミック式のコンポーネントをバイパスするためのロックアップ装置
8 遠心力振り子装置
9 慣性質量体
9.1,9.2,9.11,9.12,9.13,9.14 慣性質量体
10 慣性質量体支持装置
11 転動ローラ
12 ハブ部分
13 第1のクラッチ部分
14 第2のクラッチ部分
15 一次部分
16 二次部分
17 トルク伝達のための手段
18 減衰カップリングのための手段
19 弾性的なエレメント
20 ばねユニット
21 一次部分
22 二次部分
23 トルク伝達のための手段
24 減衰カップリングのための手段
25 ばねユニット
26 段付きピン
27 転動ローラ
28 外周面
29 シャフト
30 連結部
31 連結部
32 連行フランジ
33 連行ディスク
34 連行フランジ
35 連行ディスク
36 内周面
37 外周面
100 駆動機械
101 被駆動部
E 入力側
A 出力側
P ポンプ車
T タービン車
AR 作業室
L 案内車
I 第1の出力分岐路
II 第2の出力分岐路
R 回転軸線
S 重心
M 中心軸線
n エンジン回転数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に駆動機械(100)と被駆動部(101)との間の出力伝達のための動力伝達装置(1)であって、ダンパ装置(2)が設けられており、該ダンパ装置(2)が、直列接続可能な少なくとも2つのダンパ(3,4)と、回転数適応型の動吸振器(5)とを備えている形式のものにおいて、回転数適応型の動吸振器(5)が、当該動力伝達装置(1)を経由する少なくとも1つの動力伝達方向で前記ダンパ(3,4)の間に配置されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
当該動力伝達装置(1)が、ポンプ車(P)として働く少なくとも1つの一次車と、タービン車(T)として働く少なくとも1つの二次車とを備えたハイドロダイナミック式のコンポーネント(6)を有しており、一次車と二次車とが、一緒になって1つの作業室(AR)を形成しており、タービン車(T)が、少なくとも間接的に相対回動不能に、当該動力伝達装置(1)の出力側(A)に結合されており、連結が、ダンパ装置(2)のダンパのうちの少なくとも1つのダンパ(4)を介して行われており、回転数適応型の動吸振器(5)が、少なくとも間接的に相対回動不能に二次車に結合されている、請求項1記載の動力伝達装置。
【請求項3】
回転数適応型の動吸振器(5)が、直接に相対回動不能に二次車(SR)に結合されている、請求項2記載の動力伝達装置。
【請求項4】
回転数適応型の動吸振器(5)が、ダンパ装置(2)の、ハイドロダイナミック式のコンポーネント(6)の二次車に相対回動不能に結合されたエレメントに結合されている、請求項2記載の動力伝達装置。
【請求項5】
回転数適応型の動吸振器(5)が、ダンパ装置(2)の1つのダンパ(4)の、ハイドロダイナミック式のコンポーネント(6)の二次車に相対回動不能に直接的に結合されたエレメントに結合されている、請求項4記載の動力伝達装置。
【請求項6】
回転数適応型の動吸振器(5)が、ダンパ装置(2)の他方のダンパ(4)の、ハイドロダイナミック式のコンポーネント(6)の二次車に直接的に結合されたエレメントに結合されているダンパ(3)のエレメントと連結されている、請求項4記載の動力伝達装置。
【請求項7】
当該動力伝達装置(1)が、ハイドロダイナミック式のコンポーネント(6)を経由する出力伝達を少なくとも部分的にバイパスするためのロックアップ装置(7)を有しており、該ロックアップ装置(7)が、ダンパ装置(2)の少なくとも1つのダンパ(3,4)を介して当該動力伝達装置(1)の出力側(A)に結合されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項8】
ダンパ装置(2)が、入力側(E)と出力側(A)との間の動力伝達経路において、ハイドロダイナミック式のコンポーネント(6)および該ハイドロダイナミック式のコンポーネント(6)を迂回するためのロックアップ装置(7)とに対して直列に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項9】
動力伝達経路においてハイドロダイナミック式のコンポーネント(6)に対して少なくとも直列に配置されるようにするために、ダンパ装置(2)が形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項10】
動力伝達経路においてハイドロダイナミック式のコンポーネント(6)を迂回するための装置(7)に対して少なくとも直列に配置されるようにするために、ダンパ装置(2)が形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項11】
それぞれ他方のコンポーネント、すなわちハイドロダイナミック式のコンポーネント(6)を迂回するためのロックアップ装置(7)またはハイドロダイナミック式のコンポーネント(6)が、ダンパ装置(2)の両ダンパ(3,4)の接続部と連結されている、請求項9または10記載の動力伝達装置。
【請求項12】
ダンパ装置(2)のダンパ(3,4)が、ダンパ部分装置を有する直列ダンパまたは並列ダンパとして形成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項13】
1つのダンパ(3,4)の個々のダンパ部分装置が、1つの共通の直径を有する円周に沿って配置されている、請求項12記載の動力伝達装置。
【請求項14】
1つのダンパ(3,4)の個々のダンパ部分装置が、互いに異なる直径を有する円周に沿って配置されている、請求項12記載の動力伝達装置。
【請求項15】
前記ダンパ(3,4)のうちの少なくとも1つのダンパが、個別ダンパとして形成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項16】
個々のダンパ(3,4)が、半径方向で互いにずらされて配置されている、請求項15記載の動力伝達装置。
【請求項17】
個々のダンパ(3,4)が、軸方向で互いにずらされて配置されている、請求項1から16までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項18】
回転数適応型の動吸振器(5)が、遠心力振り子装置として形成されており、該遠心力振り子装置が、少なくとも1つの慣性質量体支持装置(10)と、少なくとも1つ、有利には多数の慣性質量体(9.1,9.2,9.11,9.12,9.13,9.14)とを有しており、該慣性質量体が、半径方向で慣性質量体支持装置(10)に、該慣性質量体支持装置(10)に対して相対的に運動可能に、特に振り子式に揺動するように支承されている、請求項1から17までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項19】
回転数適応型の動吸振器(5)が、軸方向で空間的に当該動力伝達装置(1)の入力側(E)と出力側(A)との間で見て、ダンパ装置(2)とハイドロダイナミック式のコンポーネント(6)との間に配置されている、請求項1から18までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項20】
回転数適応型の動吸振器(5)が、軸方向で空間的に2つのダンパ(3,4)の間に配置されている、請求項1から18までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項21】
回転数適応型の動吸振器(5)が、軸方向で空間的に、当該動力伝達装置(1)の入力側(E)と出力側(A)との間で見て、ダンパ装置(2)の2つのダンパ(3,4)の手前に配置されている、請求項1から18までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項22】
個々の慣性質量体(9.1,9.2,9.11,9.12,9.13,9.14)が、半径方向でダンパ装置(2)の延在長さの範囲に配置されている、請求項1から21までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項23】
各ダンパ(3,4)が、それぞれ少なくとも1つの一次部分(15,21)と二次部分(22,16)とを有しており、一次部分(15,21)または二次部分(16,22)が、フランジエレメント(32,34)または該フランジエレメント(32,34)の両側に配置された連行ディスク(33,35)とによって形成されて、互いに同心的に配置されており、かつ周方向で互いに対して相対的に、制限された範囲で回動可能であって、トルク伝達のための手段(17,23)と、減衰カップリングのための手段(18,24)とを介して互いに連結されている、請求項1から22までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項24】
回転数適応型の動吸振器(5)の構成要素が、接続エレメント、特にダンパ装置(2)の1つのダンパ(3,4)または二次車の構成要素と共に1つの構成ユニットを形成しているか、またはこれらの構成要素と一体に形成されている、請求項1から23までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項25】
ダンパ装置(2)の個々のダンパ(3,4)が、機械式のダンパとして形成されている、請求項1から24までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項26】
ダンパ装置(2)の個々のダンパ(3,4)が、組み合わされた機械式・液圧式のダンパとして形成されている、請求項1から21までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項27】
ハイドロダイナミック式のコンポーネント(6)が、少なくとも1つの案内車(L)を有するハイドロダイナミック式の回転数―/トルクコンバータとして形成されている、請求項2から26までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項28】
ハイドロダイナミック式のコンポーネント(6)が、案内車(L)を有しないハイドロダイナミック式のクラッチとして形成されている、請求項2から26までのいずれか1項記載の動力伝達装置。
【請求項29】
回転数適応型の動吸振器が、駆動ユニット、特に駆動機械の励振の次数に合わせて設計されており、個々の慣性質量体(9.1,9.2,9.11,9.12,9.13,9.14)に対する、遠心オイル圧によって減じられた遠心力影響が、回転数適応型の動吸振器を有しない構成よりも>0.05〜0.5の範囲だけ高い次数に合わせた設計によって考慮されている、請求項1から28までのいずれか1項記載の動力伝達装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−504986(P2011−504986A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535207(P2010−535207)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001900
【国際公開番号】WO2009/067987
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau  Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3, D−77815 Buehl, Germany