説明

特定の結晶性水和物、その医薬組成物、ならびにその調製方法および使用方法

(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物、例えば、以下の式を有するもの。ここで、yは、1/12〜1の範囲の数である。また、このような結晶性水和物を調製する方法、このような結晶性水和物を含む医薬組成物、その使用方法も提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年11月4日に出願した米国仮特許出願第61/257,924号、名称「CERTAIN CRYSTALLINE HEMI−HYDRATES,PHARMACEUTICAL COMPOSITIONS THEREOF AND METHODS FOR PREPARATION AND USE THEREOF」の利益を主張する。
[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの特定の結晶性水和物、特定的には、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの特定の結晶性水和物、その医薬組成物、ならびにその調製方法および使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
現在、多剤耐性グラム陽性菌によって引き起こされる感染の有効な治療法を見つけることは、有効な抗菌剤の数が限られているため、困難な課題である。それに加え、病原菌の薬物耐性機序は常に変化しており、臨床治療の困難性が増している。したがって、有効な抗菌剤が必要とされている。
【0003】
オキサゾリジノン抗生物質は、グラム陽性菌に対して広い抗菌スペクトルを示す能力がある。例えば、ある種のオキサゾリジノン抗生物質は、メチシリン耐性ブドウ球菌、バンコマイシン耐性ブドウ球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、ペニシリン耐性肺炎球菌、嫌気性菌に対し抗菌活性を有することが知られている。
【0004】
あるオキサゾリジノン抗生物質は、高レベルの生物学的活性を示すことがあるが、その物理化学的性質は理想には届かず、バイオアベイラビリティも理想には届かない場合がある。オキサゾリジノン抗生物質から塩を作ることによって、この物質の物理化学的性質を高めることができるだろう。しかし、臨床用途に適した塩を作り、選択し、特性を評価する信頼性高いプロセスを開発することは、かなり困難な課題であろう。例えば、(S)−N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドまたはその結晶性水和物の塩形態を作る条件は、まだ見つかっていない。また、その塩形態の全般的な性質も、予測できないだろう。
【発明の概要】
【0005】
本願発明者らは、(S)−N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの新規結晶性水和物を開発した。この新規水和物は、(S)−N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの無水物形態と比較して、熱安定性を高め、溶解度を高くすることができる。さらに、開示する結晶性水和物は、良好なバイオアベイラビリティおよび薬効を得ることができ、また、比較的低コストで製造することもできる。
【0006】
したがって、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物を提供する。望ましくは、少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも99%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではなく、また、少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも95%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではなくてもよく、さらに、少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではなくてもよく、さらにまた、少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも80%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではなくてもよく、さらにまた、少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも70%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではなくてもよく、さらにまた、少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも60%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではなくてもよく、さらにまた、少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも50%より多くが(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではなくてもよい。
【0007】
また、少なくとも1つの結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物を調製する方法も提供する。
【0008】
また、本明細書に記載のいずれかの方法による生成物も提供する。
【0009】
さらに、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドと、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物とを含み、この少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない混合物も提供する。
【0010】
また、治療に有効な量の本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物と、1つ以上の医薬的に許容される希釈剤および/または賦形剤を配合して医薬組成物を得ることによって調製される医薬組成物も提供する。
【0011】
また、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物を、細菌感染の治療が必要な被検体に投与することを含む、細菌に感染し、その治療が必要であると認識されている被検体を治療する方法も提供する。
【0012】
また、治療に有効な量の本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物と、1つ以上の医薬的に許容される希釈剤および/または賦形剤を配合して医薬組成物を得ることによって調製される医薬組成物を投与することを含む、細菌に感染し、その治療が必要であると認識されている被検体を治療する方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド無水物のX線回折図である。
【図2】図2は、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド無水物のTGA図である。
【図3】図3は、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド無水物の1H−NMRスペクトルである。
【図3−1】図3−1は、図3の3〜5ppmの拡大図である。
【図3−2】図3−2は、図3の6〜9ppmの拡大図である。
【図4】図4は、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド無水物の13C−NMRスペクトルである。
【図4−1】図4−1は、図4の100〜140ppmの拡大図である。
【図5】図5は、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド無水物のIRスペクトルである。
【図6】図6は、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド無水物のDSC熱分析図である。
【図7】図7は、実施例2で調製した結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物のX線回折図である。
【図8】図8は、実施例2で調製した結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物のTGA図である。
【図9】図9は、実施例2で調製した結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物のIRスペクトルである。
【図10】図10は、実施例2で調製した(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物の1H−NMRスペクトルである。
【図10−1】図10−1は、図10の3〜5ppmの拡大図である。
【図10−2】図10−2は、図10の6〜9ppmの拡大図である。
【図11】図11は、実施例2で調製した(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物の13C−NMRスペクトルである。
【図11−1】図11−1は、図11の100〜140ppmの拡大図である。
【図12】図12は、実施例2で調製した(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物の質量スペクトルである。
【図13】図13は、実施例2で調製した(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物のDSCスペクトルである。
【図14】図14は、実施例3で調製した(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物のX線回折図である。
【図15】図15は、実施例106で調製した(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/7水和物のX線回折図である。
【図16】図16は、実施例106で調製した(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/7水和物のTGA図である。
【図17】図17は、実施例162で調製した(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/5水和物のX線回折図である。
【図18】図18は、実施例162で調製した(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/5水和物のTGA図である。
【図19】図19は、実施例253で調製した(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/12水和物のX線回折図である。
【図20】図20は、実施例253で調製した(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/12水和物のTGA図である。
【図21】図21は、実施例337で調製した(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド3/4水和物のX線回折図である。
【図22】図22は、実施例337で調製した(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド3/4水和物のTGA図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の省略形および用語は、全体的に以下に示す意味を示す。
【0015】
「多形」は、International Conference on Harmonization(ICH)Guideline Q6A Guideline:Specifications for New Drug Substances and Products:Chemical Substances(1999年10月)の通りに定義され、同じ薬物基質の異なる固体形態が生じることを指す。多形は、溶媒和していない結晶化形態または溶媒和(例えば、水和)した結晶形態であってもよい。溶媒和していない結晶形態は、結晶構造に溶媒が組み込まれていない結晶であり、無水結晶形態(すなわち、無水物)を含む。溶媒和した結晶形態(すなわち、溶媒和物)は、結晶構造に組み込まれた化学量論量または非化学量論量の溶媒分子を含む結晶性固体付加物である。組み込まれた溶媒が水である場合、溶媒和物は、一般的に、水和物としても知られている。アモルファス固体は、不規則な分子配列をもち、識別可能な結晶格子をもたない。
【0016】
用語「溶液」は、1種類以上の溶媒中、1種類以上の溶質の混合物を意味する。溶液は、均質な混合物や不均一な混合物(例えば、スラリーまたは不溶解性(溶解しない)物質の懸濁物を含む他の混合物)を包含することを意図している。
【0017】
「検出可能な量」とは、任意の少なくとも1つの適切な分析技術(例えば、HPLC、XRPDまたは他の手段)によって、必ずしも化合物を定量する必要はなく、陽性であると特定するのに十分な量を意味する。
【0018】
用語「有機溶媒」は、広く任意の有機溶媒を意味することを意図している。
【0019】
本明細書に開示する少なくとも1つの結晶性水和物を、さまざまな同位体が豊富な(例えば、2H、3H、11C、13Cおよび/または14Cの含有量が豊富な)形態で使用してもよい。一実施形態では、化合物は、重水素化されている。このような重水素化形態は、米国特許第5,846,514号および第6,334,997号に記載されている手順によって製造することができる。米国特許第5,846,514号および第6,334,997号に記載されているように、重水素化すると、薬物の効能を高め、作用期間を延ばすことができる。Dean、Dennis C編集:Recent Advances in the Synthesis and Applications of Radiolabeled Compounds for Drug Discovery and Development.[Curr.、Pharm.Des.、2000;6(10)、110pp.];Kabalka、George W.;Varma、Rajender S:The Synthesis of Radiolabeled Compounds via Organometallic Intermediates、Tetrahedron、1989、45(21)、pp.6601−21;およびEvans、E.Anthony:Synthesis of radiolabeled Compounds、J.Radioanal.Chem.、1981、64(1−2)、pp.9−32に記載されるような種々の方法を用い、重水素置換された化合物を合成することができる。
【0020】
本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物の「治療に有効な量」との用語は、必要性が認識されている被検体(例えば、ヒト患者または非ヒト患者)に投与したとき、細菌感染の症状を緩和するか、細菌感染の進行を止めるのに有効な量を意味する。
【0021】
用語「(S)−N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド」または「(S)−N−[3−(3’−フルオロ−4’−(4”−(フェニル)−ピペラジニル)−フェニル)−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]−メチル]アセトアミド」または「(S)−N−((3−(3−フルオロ−4−(4−フェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−2−オキソオキサリジン−5−イル)メチル)アセトアミド」は、以下の構造を有する化学部分を指す。
【0022】
【化1】

【0023】
(S)−N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物を提供する。
【0024】
さらに、以下の式を有する、(S)−[N−3−(3’−フルオロ− 4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物も提供し、
【0025】
【化2】

式中、yは、1/12〜1の範囲の数であり、例えば、yは、1/12、2/7、2/5、1/2および3/4から選択される。
【0026】
ある実施形態では、本明細書に記載する少なくとも1つの結晶性水和物の含水量は、本明細書に記載する少なくとも1つの結晶性水和物が通常の温度にさらされたとしても実質的に変化しないままである。例えば、ある実施形態では、本明細書に記載する少なくとも1つの結晶性水和物の含水量は、通常の温度にさらされた場合、変化量が約10%未満、さらに例えば、約5%未満、例えば、ある実施形態では約2%未満であり、ある実施形態では、約1%未満のこともある。
【0027】
ある実施形態では、少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、または少なくとも80%が、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。ある他の実施形態では、少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも70%、または少なくとも60%が、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。さらなる他の実施形態では、少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも50%より多くが、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。
【0028】
ある実施形態では、上の式を有する本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物は、例えば、yが1より大きいか、または1/12未満のとき、任意の他の多形形態を約50重量より多く含まない。ある実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物は、任意の他の多形形態を約10重量%より多く含まない。ある実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物は、任意の他の多形形態を約5重量%より多く含まない。ある実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物は、任意の他の多形形態を約1重量%より多く含まない。
【0029】
ある実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物は、化学純度が約95%より大きい。他の実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物は、化学純度が約98%より大きい。さらに他の実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物は、化学純度が約99%より大きい。化学純度は、任意の少なくとも1つの適切な分析技術、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって確認することができる。
【0030】
ある実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物は、任意の1つ以上の固体状態分析法によって同定されてもよい。例えば、少なくとも1つの結晶性水和物を、例えば、X線回折、水和物の単結晶から得られる格子定数、フーリエ変換赤外分光法、示差走査熱量測定の曲線データ、固体核磁気共鳴分光法、ラマン分光法のいずれか1つ以上によって解析してもよい。
【0031】
本明細書に記載の任意の少なくとも1つの方法によってサンプルが結晶性水和物であると解析される場合、上に記載の任意の他の方法によって得られる結果が一致しないか、または矛盾するものであっても、サンプルは、結晶性水和物であるとする。それに加え、特定の一連の実験条件下、上の任意の少なくとも1つの方法によって結晶性水和物であると解析される場合、異なる一連の実験条件下、同じ方法によって得られる結果が一致しないか、または矛盾するものであっても、サンプルは、結晶性水和物であるとする。
【0032】
ある実施形態では、少なくとも1つの結晶性水和物を融点によって解析してもよい。例えば、毛細管(すなわち、融点装置)によって測定される場合、融点が210℃〜215℃の範囲の少なくとも1つの結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物の一実施形態も提供される。
【0033】
ある実施形態では、少なくとも1つの結晶性水和物をX線粉末回折によって解析してもよい。例えば、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド無水物のX線粉末回折図は、結晶性の(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物のX線粉末回折図とは区別することができる。例えば、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド無水物のX線粉末回折図は、CuKa照射によって測定すると、ピーク(2θ)が、おおよそ4.37、10.50、15.92、17.12、22.40、26.11の値から選択されてもよく、この回折角は、それぞれ、±0.02°(2θ)である。少なくとも1つの結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物のX線粉末回折図は、これとは対照的に、これらのピークをもたない場合がある。本明細書に記載する異なるバッチの水和物のX線粉末回折図の強度は、例えば、好ましい配向または水和状態が異なるために、さまざまに変わることがある。さらに、本明細書に記載する水和物のX線粉末回折図では、X線回折測定中の測定装置および試験条件の違いによって、測定ピークに違いがある場合がある。例えば、本明細書に記載する実験は、Chengdu Center for Analysis and Testing,Chinese Academy of Sciences製のX線回折機DX−1000を使用し、この装置の精度にしたがって、2θ値の測定誤差は、±0.02 2θである。それに加え、以下に記載する実施例では、水和物のX線粉末回折を測定するために選ばれる条件は、CuKα照射、1.54モノクロメーター、管電圧40kV、管電流25mAであった。しかし、実験誤差および機械の誤差や、好ましい配向のような原理にかかわらず、当業者は、本明細書に提示されているXRPDデータから、特定の結晶性水和物を同定するのに十分な情報を見い出すことができる。言い換えると、水和物を同定するのに、回折図から得たすべてのデータが必要なわけではない。
【0034】
また、CuKα照射によって測定すると、XRPDが、おおよそ4.04、16.09、18.66、20.16から選択されるピーク(2θ)を少なくとも有し、回折角が、それぞれ±0.02°(2θ)である少なくとも1つの結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物の一実施形態を提供する。
【0035】
また、少なくとも1つの結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物を調製する方法であって、
−(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドを、例えば、水、非酸性有機溶媒、酸性有機溶媒および酸性無機溶媒から選択される酸性溶媒から選ばれる少なくとも1つの適切な溶媒を用いて溶解させることによって、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液を作成することと;
−この溶液を適切な温度、例えば、30℃〜90℃、例えば、35℃〜70℃、さらに例えば35℃〜60℃で、適切な時間、例えば、少なくとも1時間、さらに例えば、1時間〜36時間、例えば、1時間〜10時間、さらになお、例えば、約1時間〜5時間撹拌することと;
−この溶液から、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物を結晶化させることとを含む方法も提供する。
【0036】
ある実施形態では、この方法は、結晶化させる前に、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液を濾過することをさらに含む。
【0037】
ある実施形態では、この方法は、滅菌または脱色のために、撹拌および/または結晶化させている間に(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液に活性炭を加えることをさらに含む。
【0038】
ある実施形態では、この方法は、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物を減圧乾燥させることをさらに含む。
【0039】
(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液から、少なくとも1つの(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物を結晶化させる方法が、本明細書に例示されている。
【0040】
ある実施形態では、結晶化は、上の溶液を、溶液から少なくとも1つの結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物が生成するのに十分な時間放置することを含む。
【0041】
ある実施形態では、結晶化は、上の溶液に、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドを十分に溶解しない少なくとも1つの溶媒(本明細書では、「貧溶媒」と呼ぶ)を加えること、または、上の溶液から少なくとも1つの結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物を結晶化させるために、上の溶液を少なくとも1つの貧溶媒に注ぐことを含む。
【0042】
ある実施形態では、結晶化は、結晶性水和物の生成を促進するために、上の溶液に、適切な量の(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物を種晶として加えることを含む。(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物が入手できれば、播種するのに適した量は、当業者なら容易に決定することができる。
【0043】
一実施形態では、少なくとも1つの結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物を調製する方法は、
−(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドを、例えば、水、非酸性有機溶媒、酸性有機溶媒および酸性無機溶媒から選択される酸性溶媒から選ばれる少なくとも1つの適切な溶媒を用いて溶解させることによって、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液を作成することと;
−この溶液を35℃〜70℃の範囲の温度で1〜5時間撹拌することと;
−この溶液を濾過することと;
−この溶液を、結晶を生成するのに十分な時間放置することによって、または、この溶液に適切な量の少なくとも1つの貧溶媒を加えることによって、この溶液から(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物を結晶化させることとを含む。
【0044】
別の実施形態では、少なくとも1つの結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物を調製する方法は、
−(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドを、水、非酸性有機溶媒、酸性溶媒から選ばれる少なくとも1つの適切な溶媒を用いて溶解させることによって、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液を作成することと;
−この溶液を35℃〜60℃の範囲の温度で1〜5時間撹拌することと;
−この溶液を濾過することと;
−この溶液を、結晶を生成するのに十分な時間放置することによって、または、この溶液に少なくとも1つの貧溶媒を加えることによって、この溶液から(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物を結晶化することとを含む。
【0045】
(A.(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物(「半水和物」))
本明細書に開示する結晶性水和物の1つは、以下の式を有する(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物である。
【0046】
【化3】

【0047】
ある実施形態では、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物の融点は、毛細管によって測定した場合、210℃〜215℃の範囲である。
【0048】
ある実施形態では、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物の含水量は、TGAによって測定した場合、約2.10±0.15%である。
【0049】
また、ある実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物のX線粉末回折図は、CaKα照射によって測定すると、ピーク(2θ)が、おおよそ4.07、12.00、16.06、18.56、40.88から選択され、この回折角は、それぞれ、±0.02°(2θ)である。
【0050】
ある実施形態では、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物のX線粉末回折図は、CaKα照射によって測定すると、ピーク(2θ)が、おおよそ4.04、7.71、8.05、8.46、10.98、12.06、14.16、16.09、18.66、20.16、21.47、22.15、23.32、24.19、25.98、27.07、28.48、31.40、32.25、33.15、35.36、36.44、37.81、39.55、40.94、43.17、43.76、45.26、45.86、47.25から選択され、この回折角は、それぞれ、±0.02°(2θ)である。
【0051】
ある実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物は、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、または少なくとも80%が、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。他のいくつかの実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物は、少なくとも70%、または少なくとも60%が、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。さらに他の実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物は、少なくとも50%より多くが、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。
【0052】
ある実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物を調製する方法は、
−(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドを、
pH値が5以下の酸性溶媒、または
少なくとも1つの非酸性有機溶媒およびpH値が5以下の少なくとも1つの酸性溶媒を含む混合溶媒を用いて溶解することによって、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液を作成し、ここで、少なくとも1つの酸性溶媒と少なくとも1つの有機溶媒とが、例えば、1:9〜9:1、さらに例えば、2:8〜8:2、または3:7〜7:3の範囲の適切な容積比で混合されていることと;
−この溶液を適切な温度、例えば、35℃〜80℃、例えば、35℃〜70℃、さらに例えば35℃〜60℃で、適切な時間、例えば、少なくとも1時間、さらに例えば、1時間〜10時間、さらに例えば、1時間〜5時間、または、10時間を超えて撹拌することと;
−上の溶液から(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物を結晶化させることとを含む。
【0053】
ある実施形態では、1/2水和物は、白色またはほぼ白色の層状結晶である。
【0054】
pH値が5以下の少なくとも1つの酸性溶媒は、有機酸性溶媒または無機酸性溶媒であってもよい。ある実施形態では、本明細書に開示する少なくとも1つの酸性溶媒は、塩酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酢酸、カリウム酸、過塩素酸、臭化水素酸、硝酸、ギ酸、酒石酸、安息香酸、フェニル酢酸、マレイン酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸から選択されてもよい。例えば、少なくとも1つの酸性溶媒は、塩酸、硫酸、クエン酸から選択されてもよい。もちろん、他の酸性溶媒を使用することもできる。非限定的な例として、1/2水和物を調製するために、50重量%の塩酸を酸性溶媒として使用してもよい。
【0055】
ある実施形態では、少なくとも1つの非酸性有機溶媒は、エタノール、メタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、石油エーテル、およびこれらの混合物から選択されてもよい。もちろん、他の非酸性有機溶媒を使用することもできる。
【0056】
(B.(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/5水和物)
本明細書に開示する結晶性水和物の1つは、以下の式を有する(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/5水和物である。
【0057】
【化4】

【0058】
ある実施形態では、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/5水和物の融点は、毛細管によって測定した場合、210℃〜215℃の範囲である。
【0059】
ある実施形態では、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/5水和物の含水量は、TGAによって測定した場合、約1.70±0.15%である。
【0060】
ある実施形態では、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/5水和物のX線粉末回折図は、CaKα照射によって測定すると、ピーク(2θ)が、おおよそ4.13、7.07、8.16、9.97、12.20、13.50、14.13、16.27、17.25、18.03、18.72、20.24、21.19、22.16、23.04、25.10、26.90、27.89、30.08、33.45、37.16、38.94、39.62、40.96、41.42、41.84、43.14、43.88、45.30、45.87、47.33、49.18から選択され、この回折角は、それぞれ、±0.02°(2θ)である。
【0061】
ある実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/5水和物は、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、または少なくとも80%が、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。他のいくつかの実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/5水和物は、少なくとも70%、または少なくとも60%が、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。さらに他の実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/5水和物は、少なくとも50%より多くが、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。
【0062】
ある実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/5水和物を調製する方法は、
−(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドを、pHが2〜5の1つの酸性有機溶媒および少なくとも1つの非酸性有機溶媒を含む混合溶媒を用いて溶解することによって、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液を作成し、ここで、少なくとも1つの酸性溶媒と少なくとも1つの非酸性有機溶媒とが、例えば、1:9〜9:1、さらに例えば、2:8〜8:2、または3:7〜7:3の範囲の適切な容積比で混合されており、少なくとも1つの酸性溶媒が、次亜リン酸、メタリン酸、メタアルミン酸、乳酸、コハク酸から選択され、少なくとも1つの非酸性有機溶媒が、プロパノール、エタノール、n−ブタノール、N,N−ジメチルホルムアミドから選択されることと;
−この溶液を適切な温度、例えば、35℃〜80℃、または35℃〜70℃、さらに例えば35℃〜60℃で、適切な時間、例えば、少なくとも1時間、さらに例えば、10時間より長く、さらに例えば、1時間〜10時間、またはさらに例えば、1時間〜5時間撹拌することと;
−この溶液から(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/5水和物を結晶化させることとを含む。
【0063】
ある実施形態では、2/5水和物は、白色またはほぼ白色の層状結晶である。
【0064】
(C.(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/7水和物)
本明細書に開示する結晶性水和物の1つは、以下の式を有する(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/7水和物である。
【0065】
【化5】

【0066】
ある実施形態では、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/7水和物の融点は、毛細管によって測定した場合、210℃〜215℃の範囲である。
【0067】
ある実施形態では、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/7水和物の含水量は、TGAによって測定した場合、約1.20±0.15%である。
【0068】
ある実施形態では、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/7水和物のX線粉末回折図は、CaKα照射によって測定すると、ピーク(2θ)が、おおよそ4.21、7.06、8.19、10.02、12.25、13.53、14.23、16.29、17.33、18.09、18.77、20.29、21.25、23.06、25.13、27.06、27.89、30.12、33.39、37.23、37.81、39.02、39.58、41.48、41.84、43.22、43.86、45.37、45.87、47.40、49.36から選択され、この回折角は、それぞれ、±0.02°(2θ)である。
【0069】
ある実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/7水和物は、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、または少なくとも80%が、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。他のいくつかの実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/7水和物は、少なくとも70%、または少なくとも60%が、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。さらに他の実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/7水和物は、少なくとも50%より多くが、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。
【0070】
ある実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/7水和物を調製する方法は、
−(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドを、水と、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸フェニル、酢酸ヘプチル、酢酸デシル、酢酸イソブチル、グリコールジアセタートから選択される少なくとも1つの非酸性有機溶媒とを含む混合溶媒を用いて溶解することによって(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液を作成し、ここで、水と少なくとも1つの非酸性有機溶媒とが、例えば、1:9〜9:1、例えば、2:8〜8:2、またはさらに例えば、3:7〜7:3の範囲の適切な容積比で混合されていることと;
−この溶液を適切な温度、例えば、35℃〜80℃、例えば、35℃〜70℃、さらに例えば35℃〜60℃で、適切な時間、例えば、少なくとも1時間、例えば、10時間を超える時間、さらに例えば、1時間〜10時間、さらに例えば、1時間〜5時間撹拌することと;
−この溶液から(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/7水和物を結晶化させることとを含む。
【0071】
ある実施形態では、2/7水和物は、白色またはほぼ白色の層状結晶である。
【0072】
(D.(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/12水和物)
本明細書に開示する結晶性水和物の1つは、以下の式を有する(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/12水和物である。
【0073】
【化6】

【0074】
ある実施形態では、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/12水和物の融点は、毛細管によって測定した場合、210℃〜215℃の範囲である。
【0075】
ある実施形態では、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/12水和物の含水量は、TGAによって測定した場合、約0.40±0.15%である。
【0076】
ある実施形態では、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/12水和物のX線粉末回折図は、CaKα照射によって測定すると、ピーク(2θ)が、おおよそ4.16、4.44、7.09、8.76、10.02、12.15、13.07、13.57、16.21、17.77、18.14、18.74、19.53、20.23、21.18、21.85、23.06、23.77、25.33、26.89、28.54、30.21、31.41、33.19、33.94、36.89、37.82、39.56、41.35、43.33、44.42、45.32、46.02、47.32から選択され、この回折角は、それぞれ、±0.02°(2θ)である。
【0077】
ある実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/12水和物は、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、または少なくとも80%が、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。他のいくつかの実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/12水和物は、少なくとも70%、または少なくとも60%が、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。さらに他の実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/12水和物は、少なくとも50%より多くが、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。
【0078】
ある実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/12水和物を調製する方法は、
−(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドを、水および少なくとも1つの非酸性有機溶媒を含む混合溶媒を用いて溶解することによって(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液を作成し、ここで、少なくとも1つの非酸性有機溶媒が、メタノール、エタノール、アセトニトリル、1,2−プロピレングリコール、イソプロパノール、n−プロパノール、s−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールから選択され、水と少なくとも1つの非酸性有機溶媒とが、例えば、1:9〜9:1、例えば、2:8〜8:2、または3:7〜7:3の範囲の適切な容積比で混合されていることと;
−この溶液を適切な温度、例えば、35℃〜80℃、例えば35℃〜70℃で、適切な時間、例えば、少なくとも1時間、さらに例えば、10時間より長く、さらに例えば、1時間〜10時間、またはさらに例えば、1時間〜5時間撹拌することと;
−この溶液から(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/12水和物を結晶化させることとを含む。
【0079】
ある実施形態では、1/12水和物は、白色またはほぼ白色の層状結晶である。
【0080】
(E.(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド3/4水和物)
本明細書に開示する結晶性水和物の1つは、以下の式を有する(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド3/4水和物水和物である。
【0081】
【化7】

【0082】
ある実施形態では、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド3/4水和物の融点は、毛細管によって測定した場合、210℃〜215℃の範囲である。
【0083】
ある実施形態では、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド3/4水和物の含水量は、TGAによって測定した場合、約3.30±0.15%である。
【0084】
ある実施形態では、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド3/4水和物のX線粉末回折図は、CaKα照射によって測定すると、ピーク(2θ)が、おおよそ4.04、8.55、9.81、11.04、14.10、16.09、18.66、20.12、22.08、23.64、25.98、27.00、29.00、30.26、31.40、33.25、34.59、35.36、37.83、39.55、40.88、41.89、43.11、44.72、47.87、48.07から選択され、この回折角は、それぞれ、±0.02°(2θ)である。
【0085】
ある実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド3/4水和物は、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、または少なくとも80%が、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。他のいくつかの実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド3/4水和物は、少なくとも70%、または少なくとも60%が、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。さらに他の実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド3/4水和物は、少なくとも50%より多くが、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。
【0086】
ある実施形態では、結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド3/4水和物を調製する方法は、
−(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドを、水と、または、水および少なくとも1つの非酸性有機溶媒の混合溶媒と混合することによって(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液を作成し、ここで、少なくとも1つの非酸性有機溶媒が、ジメチルスルホキシドおよびTween−80から選択され、水と少なくとも1つの非酸性有機溶媒とが、例えば、1:9〜9:1、さらに例えば、2:8〜8:2、または3:7〜7:3の範囲の適切な容積比で混合されていることと;
−この溶液を適切な温度、例えば、30℃〜90℃、例えば45℃〜70℃で、適切な時間、例えば、少なくとも1時間、さらに例えば、1時間〜35時間、またはさらに、20〜30時間、またはさらに35時間より長く撹拌することと;
−この溶液から(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド3/4水和物を結晶化させることとを含む。
【0087】
また、本明細書に記載する任意の調製方法の生成物も提供される。
【0088】
ある実施形態では、本明細書に開示する少なくとも1つの結晶性水和物と、本明細書に開示する無水物との混合物が得られる。他のいくつかの実施形態では、本明細書に開示する少なくとも1つの結晶性水和物と、本明細書に開示する無水物との混合物が得られ、ここで、少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、または50%より多くが、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない。
【0089】
ある実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物は、細菌感染の治療に有用であろう。ある実施形態では、細菌感染は、グラム陽性菌感染である。これらのグラム陽性菌としては、限定されないが、メチシリン感受性およびメチシリン耐性のブドウ球菌(Staphylococcus aureus、S.epidermidis、S.haemolyticus、S.hominis、S.saprophyticus、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌を含む)、糖ペプチド中間感受性S.aureus(GISA)、バンコマイシン耐性Staphylococcus aureus(VRSA)、ペニシリン感受性およびペニシリン耐性連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae、S.pyogenes、S.agalactiae、S.avium、S.bovis、S.lactis、S.sangiusおよびStreptococci Group C、Streptococci Group Gおよび緑色連鎖球菌を含む)、腸球菌(バンコマイシン感受性株およびバンコマイシン耐性株、例えば、Enterococcus faecalisおよびE.faeciumを含む)、Clostridium difficile、C.clostridiiforme、C.innocuum、C.perfringens、C.ramosum、Listeria monocytogenes、Corynebacterium jeikeium、Bifidobacterium spp.、Eubacterium aerofaciens、E.lentum、Lactobacillus acidophilus、L.casei、L.plantarum、Lactococcus spp.、Leuconostoc spp.、Pediococcus、Peptostreptococcus anaerobius、P. asaccarolyticus、P.magnus、P.micros、P.prevotii、P.productus、Propionibacterium acnes、Actinomyces spp.、およびMoraxella spp.(M.catarrhalisを含む)が挙げられる。ある実施形態では、細菌感染は、メチシリン耐性Staphylococci、バンコマイシン耐性Staphylococci、バンコマイシン耐性ブドウ球菌、ペニシリン耐性ブドウ球菌、嫌気性菌から選択される。ある実施形態では、細菌感染は、Staphylococcus aureus、Staphylococcu epidermidis、Enterococcus faecalis、Enterococcus faeciumから選択される。
【0090】
ある実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物は、異なる種類のグラム陽性菌を含む混合感染、またはグラム陽性菌とグラム陰性菌の両方を含む混合感染の治療に有用であろう。
【0091】
ある実施形態では、細菌に感染し、その治療が必要であると認識されている被検体を治療する方法であって、有効な量の(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物を、細菌感染の治療が必要であると認識されている被検体に投与し、細菌感染を治療することを含み、この少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも99%、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、または50%より多くが、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない方法。
【0092】
ある実施形態では、細菌に感染し、その治療が必要であると認識されている被検体を治療する方法であって、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物と、1つ以上の医薬的に許容される希釈剤および/または担体を配合して医薬組成物を得ることによって調製される医薬組成物を投与して治療を実施することを含む有効な量の医薬組成物を、必要であると認識されている被検体に投与し、治療を実施することを含み、この少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも99%、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、または50%よりも多くが、(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない方法。
【0093】
望ましい生体効果を達成するのに有効な本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物の量は、例えば、目的とする用途、投与態様、患者の臨床的な状態を含む多くの因子によって変わるだろう。1日投薬量は、例えば、1日あたり0.01mg〜200mg(例えば、0.05mg〜100mg)であってもよい。口から投与可能な単回投薬配合物としては、例えば、錠剤またはカプセルが挙げられる。
【0094】
上述の条件の治療だと、少なくとも1つの結晶性水和物を化合物自体として使用してもよいが、典型的には、少なくとも1つの結晶性水和物は、許容され得る担体との医薬組成物の形態であろう。代表的な担体は、組成物の他の成分と親和性があり、患者の健康を害するものであってはならない。担体は、固体または液体であってもよく、その両方であってもよく、本明細書に記載の結晶性水和物を単回投薬量(例えば、錠剤)として配合してもよく、本明細書に記載の0.05重量%〜95重量%の結晶性水和物から調製されてもよい。同様に、本明細書に記載の他の結晶性水和物から選択されるものを含め、少なくとも1つの活性成分が存在してもよい。本明細書に記載の医薬組成物を、例えば、上の成分と、薬理学的に許容され得る担体および/または賦形剤とを混合することを含め、既知の調剤方法によって製造してもよい。
【0095】
ある実施形態では、代表的な賦形剤としては、限定されないが、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、グリシン、崩壊剤、例えば、デンプン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、コンポジットシリケート、高分子量のポリエチレングリコール、造粒バインダー(例えば、ポリビニルピロリドン、ショ糖、ゼラチンおよびアラビアゴム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、グリセリン、タルク)が挙げられる。
【0096】
ある実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物を、甘味剤、繊細な香味剤、着色物質、染料または乳化剤、およびこれらの混合物と合わせてもよい。
【0097】
ある実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物を、1つ以上の医薬的に許容される希釈剤を含む配合物に変換しなくてもよい。他の実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物を、1つ以上の医薬的に許容される希釈剤と配合し、全体的または部分的に、非固体形態を含む1つ以上の他の形態に変換してもよい。例示的な希釈剤としては、限定されないが、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、およびこれらの混合物が挙げられる。ある実施形態では、医薬組成物に配合するとき、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物を溶解してもよい。したがって、このような「溶解した」場合には、少なくとも1つの結晶性水和物は、もはや医薬組成物中で結晶性形態としては存在していない。
【0098】
ある実施形態では、本明細書に記載の水和物を緩効性放出、制御放出、徐放、パルス放出、持続性放出するのに適した形態になるように、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物を配合してもよい。例えば、患者に投薬された後、水和物が長時間にわたって胃腸管に放出されるように、少なくとも1つの結晶性水和物を持続性放出投薬形態として配合してもよい。
【0099】
本明細書に記載の医薬組成物は、口からの投与および経口(例えば、舌下)投与に適した組成物であってもよいが、適切な投与態様は、それぞれの場合で、治療すべき状態の性質および重篤度、それぞれの場合で医薬組成物を調製するのに使用される本明細書に記載の結晶性水和物の性質によって変わってもよい。コーティングされた配合物およびコーティングされた緩効性放出配合物も提供する。耐酸性および耐胃液性の配合物も可能である。耐胃液性の適切なコーティングは、アセタートフタラート、ポリビニルアセタートフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、メタクリル酸のアニオン性ポリマー、メタクリル酸メチルを含む。
【0100】
本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物から調製した、口からの投与に適した医薬組成物は、例えば、カプセル、カシェ剤、錠剤(舐めることが可能な錠剤を含む)のような別個の単位形態であってもよく、それぞれの形態は、所定量の本明細書に記載の結晶性水和物を用いて調合することができ、また、粉末、顆粒、水性液または非水性液の溶液、懸濁物、水中油エマルションおよび油中水エマルションから選択される形態であってもよい。これらの組成物は、すでに述べられているように、例えば、本明細書に記載の結晶性水和物と担体(1種以上のさらなる成分からなっていてもよい)とを接触させる工程を含む、任意の適切な医薬配合方法によって調製されてもよい。この組成物は、一般的に、本明細書に記載の結晶性水和物と、液体担体および/または精密に分割した固体担体とを均一かつ均質に混合し、その後に生成物を成型することによって作られてもよい。したがって、例えば、本明細書の結晶性水和物の粉末または顆粒を、適切な場合、1種類以上のさらなる成分とともに圧縮するか、または成型することによって、錠剤を製造してもよい。本明細書に記載の結晶性水和物を、自由に流動する形態(例えば、粉末または顆粒)で錠剤化し、適切な場合、適切な機械で、バインダー、滑剤、不活性希釈剤および/または1種(またはそれ以上)の表面活性剤/分散剤と混合することによって、圧縮錠を製造してもよい。本明細書に記載の結晶性水和物を粉末形態で成型し、次いで、不活性液体希釈剤で湿らせ、適切な機械によって成型錠剤を製造してもよい。また、湿式造粒法によって組成物を調製してもよい。したがって、例えば、本明細書に記載の結晶性水和物と、1種以上の任意のさらなる成分と、適切な溶媒と、バインダーとを混合して濡れた顆粒を調製し、この濡れた顆粒を乾燥し、乾燥した顆粒を粉砕することによる、湿式造粒法によって組成物を調製してもよい。この方法は、さらに、乾燥して粉砕した顆粒に少なくとも1つの滑沢剤を加えることと、乾燥して粉砕した顆粒を圧縮して錠剤を作成することとを含んでいてもよい。任意のさらなる成分としては、例えば、少なくとも1つの希釈剤および/または少なくとも1つの崩壊剤が挙げられる。適切な溶媒は、水であってもよい。ある実施形態では、希釈剤は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性および/または三塩基性)、硫酸カルシウム、粉末状セルロース、デキストラート、デキストリン、フルクトース、カオリン、ラクチトール、無水ラクトース、ラクトース一水和物、マルトース、マンニトール、微結晶性セルロース、ソルビトール、ショ糖、デンプンから選択される。ある実施形態では、希釈剤は、錠剤の35重量%〜約90重量%の量で存在していてもよい。ある実施形態では、バインダーは、アカシア、アルギン酸、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グルコース、グアーゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、マルトース、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポビドンから選択されてもよい。ある例示的な実施形態では、バインダーは、錠剤の約0.5重量%〜約5重量%の量で存在する。他の例示的な実施形態では、上述の製剤は、製剤1ミリリットルまたは1グラムあたり、本明細書に記載の結晶性水和物を約0.05〜5g含有する。
【0101】
ある実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物を、ローション、溶液剤、クリーム、軟膏、経皮送達デバイスから選択される形態で調製してもよい。非限定的な例として、本明細書に記載の結晶性水和物は、鉱物油、液体ペトロラタム、白色ワセリン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、水から選択される1種以上の成分を含む軟膏であってもよい。さらに、非限定的な例として、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物を、鉱物油、ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール、液体パラフィン、Tween 60、セチルエステルワックス、セタノール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、水から選択される1種以上の成分を含むローションまたはクリームとして調合してもよい。
【0102】
経口(舌下)投与に適した医薬組成物は、本明細書に記載の結晶性水和物と、香味剤(通常は、ショ糖、アラビアゴム、トラガカント、芳香錠から選択される)とから調合されてもよい舐めることが可能な錠剤を含んでいてもよい。
【0103】
また、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物を、1種以上の他の活性成分と組み合わせて投与してもよい。組み合わせて投与する場合、活性成分を、同時または異なる時間に連続して投与する別個の組成物として配合してもよく、または、活性成分が、他の活性成分または配合物と不適合性のものではなく、または、他の意味で1つの組成物で合わせると望ましくないものではない場合には、活性成分を単一の投薬形態(すなわち、1つの組成物)で投与してもよい。
【0104】
ある実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物を1種以上の他の抗菌剤、例えば、抗菌剤(抗生物質)および抗真菌剤とともに投与してもよい。
【0105】
句「併用療法」(または「組み合わせ療法」)または「〜と組み合わせて」は、本明細書で使用する場合、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物を本明細書に記載するように1種以上の活性成分と使用すること、例えば、
投薬計画で、薬物の組み合わせから有益な効果が得られるような逐次的な様式で各活性成分を投与すること、および/または
実質的に同時の様式で上述の成分を併用投与すること(例えば、所定比率の活性成分を含む1個の投薬形態として、または、各活性成分のための複数個の別個のカプセルの形態として、など)と定義される。
【0106】
したがって、本明細書に記載の方法は、投与順序によって限定されず、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶性水和物を、1種以上の他の活性成分を投与する前、投与と同時、または投与した後に投与してもよい。
【0107】
以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに説明する。
【0108】
(実施例)
(実施例1:(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド(未精製)の調製)
(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド(未精製)を、CN1355165Aに一般的に開示されている方法によって合成することができる。
【0109】
(1)3−フルオロ−4−(4’−フェニルピペラジニル)ニトロベンゼンの調製
250mlの三ッ口フラスコに、酢酸エチル50ml、4−フェニルピペラジン13.5ml、ジイソプロピルエチルアミン15.30mlを加えた。室温で磁気撹拌した後、3,4−ジフルオロ−ニトロベンゼン9.0mlを加えた。105時間反応を行った後、酢酸エチル150mlで3回抽出した(150ml×3回)。抽出物を飽和NaCl溶液で3回洗浄し(150ml×3回)、無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥し、乾固するまで蒸発させた。橙黄色の固体を得て、これをアセトンと水の容積比9:1の混合物を用いて再結晶化させ、橙黄色結晶(23.66g)を収率96.33%でえた。
【0110】
(2)3−フルオロ−4−(4’−フェニルピペラジニル)アニリンの調製
500mlの三ッ口フラスコに、還元鉄粉末6.69g(119mmol)、水23.57ml、氷酢酸1.11mlを加え、80分間還流させた。次いで、この混合物に、操作(1)から得た結晶性生成物(12.0g、39.82mmol)を含む無水エタノール150mlをゆっくりと滴下した。滴下が終了した後、反応を10分間行い、得られた混合物を減圧濾過し、蒸発させてエタノールを除去し、次いで、酢酸エチルに溶解した。濾過ケーキを酢酸エチルで3回洗浄した。有機相を合わせ、水で3回、飽和NaCl溶液で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥し、乾固するまで蒸発させた。淡い白色の固体が得られ、次の反応に直接使用した。
【0111】
(3)N−ベンジルオキシカルボニル−3−フルオロ−4−(4’−フェニルピペラジニル)アニリンの調製
250mlの四ッ口フラスコに、ジクロロメタン100ml、操作(2)から得た未精製の生成物13.0gを加え、この混合物に、0℃でジイソプロピルエチルアミン7.91mlを加えた。得られた混合物を機械的に撹拌し、塩化ベンジルオキシカルボニル5.34mlを滴下した。得られた溶液を室温で16時間撹拌し、ジクロロメタン100mlで3回抽出し(100ml×3回)、飽和NaCl溶液で3回洗浄し(100ml×3回)、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾固するまで蒸発させた。淡い白色の固体を得て、これをアセトンと水の容積比7:3混合物を用いて再結晶化した。白色結晶11.46gを得て、収率は76.66%であった。
【0112】
(4)(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メタノールの調製
100mlの三ッ口フラスコ(120℃で2時間より長い時間乾燥させておいた)に、操作(3)から得た反応生成物3.4g、無水テトラヒドロフラン50mlを加えた。この混合物に、N2雰囲気下、−78℃で1.6Mブチルリチウム溶液6.60mlを滴下した。次いで、この混合物を−78℃で80分間撹拌した。混合物は、徐々に黄緑色溶液に変わった。次いで、この混合物に、−78℃で(R)−グリシジルブチラート1.21ml、無水THF 5mlを滴下すると、溶液はすぐに透明になった。1時間反応を行った。アセトン浴をはずし、反応混合物の温度を室温まで上げた。反応混合物を16時間撹拌すると、少量の沈殿が生じた。白色固体が得られた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー、酢酸エチルと石油エーテルの容積比1:3混合物を用いた再結晶化を行った後、白色結晶2.34gを得た。収率は77.21%であった。
【0113】
(5)(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メタノールメタンスルホネートの調製
100mlの三ッ口フラスコに、0℃で無水ジクロロメタン25mol、操作(4)で得た反応生成物1.74g、トリエチルアミン1.32molを加えた。この混合物に塩化メタンスルホニル0.52mlを滴下し、65分間反応を行った。大量の白色沈殿が生じた。次いで、混合物をジクロロメタン50mlで3回抽出し(50ml×3回)、飽和NaCl溶液で3回洗浄し(50ml×3回)、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾固するまで蒸発させた。白色固体を得て、これをアセトニトリルと水の容積比1:1混合物を用いて再結晶化させた。白色結晶1.6065gを得た。収率は75.92%であった。
【0114】
(6)(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルフタルイミドの調製
100mlの三ッ口フラスコに、操作(5)から得た反応生成物0.686g、フタルイミドカリウム0.347g、無水炭酸カリウム0.432gを入れた。混合物を3時間反応させた。反応後、得られた混合物を酢酸エチル50mlで3回抽出し(50ml×3回)、飽和NaCl溶液で3回洗浄し(50ml×3回)、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾固するまで蒸発させた。白色固体を得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0115】
(7)(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの調製
250mlの三ッ口フラスコに、操作(6)から得た生成物、無水エタノール100ml、25wt%メチルアミン水溶液3.38ml(15.63mmol)を入れた。得られた混合物を1時間還流させ、次いで、乾固するまで蒸発させた。生成物を0.1M HCl 50mlで抽出し、次いで、酢酸エチルで2回抽出した(30ml×2回)。100mlの三ッ口フラスコに水相を映し、適切な量のNaOHを用い、pHをわずかにアルカリ性(pH=8〜9)に調節した。この混合物に無水酢酸0.46ml(4.49mmol)を加え、反応を10分間行った。反応後、得られた混合物を酢酸エチル100mlで3回抽出し(100ml×3)、飽和NaCl溶液で3回洗浄し(100ml×3回)、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾固するまで蒸発させ、カラムクロマトグラフィーで精製し、酢酸エチルと石油エーテルの容積比3:1混合物を用いて再結晶化させた。白色固体183.5mgを得て、これは、以下のように(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド(未精製)であると特定された。収率は29.49%であった。
【0116】
元素分析の結果:N%:13.61、C%:64.07、H%:6.02。理論値:N%:13.58、C%:64.06、H%:6.11。HPLCによって測定した含有量:98.6%。
【0117】
得られた(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドのX線粉末回折(「XRPD」)、TGA、1H NMR、13C NMR、IR、DSC熱分析スペクトルを図1〜6に示す。
【0118】
X線粉末回折図は、以下の回折角(2θ)=4.37、10.50、11.75、15.92、17.12、21.07、22.40、24.45、26.11、27.27、29.49、30.38、32.90、33.51、39.32、40.52、42.84、46.41、51.38に吸収ピークを示しており、各ピークについて、±0.02 2θである。
【0119】
1H NMR(400Hz、DMSO−d6)δ:8.24(t,1H),7.51(dd,1H),7.26−7.18(m,3H),7.12(t,1H),6.95(d,2H),6.81(t,1H),4.74−4.68(m,1H),4.09(t,1H),3.70(q,1H),3.41(t,2H),3.29−3.27(m,4H),3.13−3.10(m,4H),1.83(s,3H)。
【0120】
13C NMR(400Hz,DMSO−d6)δ:170.1,157.2,154.2,152.4,151.0,135.7,133.5,128.1,118.6,118.3,115.8,114.2,107.1,106.5,71.7,50.5,48.6,47.5,22.5。
【0121】
(実施例2:(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物の調製)
実施例1にしたがって調製した未精製の(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1gを6wt%塩酸2mlに溶解した。少量の活性炭を加え、反応混合物を50℃で2時間撹拌し、濾過した。濾過後、液体を室温で放置すると結晶が生成し、これを集め、さらに、40℃、減圧状態で5時間乾燥させた。HPLCによる含有量:99.0%。融点:毛細管によって測定すると、210〜215℃。
【0122】
得られた(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物のXRPD、TGA、TGA、1H NMR、13C NMR、IR、DSC熱分析スペクトルを図7〜13に示す。
【0123】
X線粉末回折で使用したパラメータは、以下の通りであった。CuKα照射、1.54モノクロメーター、管電圧40KV、管電流25mA。X線粉末回折図は、以下の回折角(2θ)=4.07、7.70、8.05、8.42、10.86、12.00、13.38、14.10、16.06、18.56、20.09、21.40、22.08、23.30、24.12、25.10、25.89、27.00、28.37、28.93、30.22、31.28、32.45、33.25、35.35、36.27、37.66、39.45、40.88、43.11、43.69、45.19、45.80、47.24に吸収ピークを示しており、各ピークについて、±0.02 2θである。
【0124】
得られた(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物結晶のTGA図は、水和物が2.02%の水を含んでいることを示している(TGAの誤差限界は±0.15%である)。1/2水和物の理論値は2.099%である。
【0125】
1H NMR(400Hz,DMSO−d6)δ:8.25(t,1H),7.51(dd,1H),7.26−7.18(m,3H),7.12(t,1H),6.99(d,2H),6.81(t,1H),4.74−4.70(m,1H),4.10(t,1H),3.71(q,1H),3.41(t,2H),3.30−3.27(m,4H),3.13−3.11(m,4H),1.84(s,3H)。
【0126】
13C NMR(400Hz,DMSO−d6)δ:170.2,157.2,154.2,152.4,151.1,135.7,133.5,128.1,118.6,118.3,115.8,114.2,107.1,106.5,71.7,50.5,48.6,47.5,22.6。質量スペクトルの[M−1/2H2O+H]のピークは413.1であり,理論値は413.2である。
【0127】
(実施例3:(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド半水和物の調製)
実施例1にしたがって調製した未精製の(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1gを、混合溶媒(6wt% 塩酸:エタノール=3:2(容積比))2mlに溶解した。少量の活性炭を加え、反応混合物を2時間撹拌し、濾過した。濾過後、液体を室温で放置すると結晶が生成した。得られた結晶を40℃、減圧状態で5時間乾燥させた。HPLCによって測定した含有量:99.1%。
【0128】
X線粉末回折の条件:CuKα照射、1.54モノクロメーター、管電圧40KV、管電流25mA。得られた結晶のX線粉末回折図を図14に示す。得られた結晶に関し、X線粉末回折図は、以下の回折角(2θ)=4.04、7.71、8.05、8.46、10.98、12.06、13.51、14.16、14.66、16.09、17.37、18.66、20.16、21.47、22.15、23.32、24.19、25.98、27.07、28.48、30.26、31.40、32.25、33.15、35.36、36.44、37.81、39.55、40.94、41.65、43.17、43.76、45.26、45.86、47.25に吸収ピークを示しており、各ピークについて、±0.02 2θである。
【0129】
実施例1〜3のX線粉末(「XRPD」)回折図を比較することによって、XRPD分析の当業者は、実施例1のXRPD図(無水、図1)と、実施例2および3のXRPD図(1/2水和物、図7および14)との間に顕著な差があるのを発見するだろう。また、XRPD図は、実施例2および3で製造した水和物が同じであることを示しており、酸性溶媒のみを使用しても、酸性溶媒と有機溶媒とを含む混合溶媒を使用しても、1/2水和物を調製することができることを示している。
【0130】
以下の実施例は、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの1/2水和物を調製する異なるプロセスを示す。
【0131】
(実施例4〜105:(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物(C222543・1/2H2O)の調製)
表1に列挙した条件にしたがって、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/2水和物を調製した。実施例4〜105で調製した化合物のTGAおよび融点は、すべて1/2水和物であったという結論と矛盾しないほど、実施例2および3で調製した1/2水和物のTGAおよび融点と十分似ていた。
【0132】
表1.1/2水和物の調製(実施例2〜105)






a:pH値は、溶媒調製に使用する酸性溶液のpH値である。
【0133】
(実施例106〜161:(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/7水和物(C222543・2/7H2O)の調製)
表2に示すように、実施例1にしたがって調製した(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド10gと、水および有機溶媒を含む混合溶媒200mlとを混合することによって、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4"−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの溶液を調製した。次いで、表2に列挙した条件にしたがって、この溶液を撹拌し、濾過し、結晶化させた。実施例106の結晶性化合物は、毛細管によって測定すると、融点が210〜215℃であり、XRPDおよびTGAの分析を図15および図16に示している。TGAデータは、実施例106の結晶性化合物の含水量が1.20±0.15%であることを示しており、この結晶性化合物が、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの2/7水和物であることを示している。実施例107〜161で調製した結晶性化合物のTGAおよび融点は、すべて実施例106で調製した2/7水和物であったという結論と矛盾しないほど、実施例106で調製した2/7水和物のTGAおよび融点と十分似ていた。
【0134】
表2.2/7水和物の調製(実施例106〜161)


【0135】
(実施例162〜252:(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド2/5水和物(C222543・2/5H2O)の調製)
表3に示すように、実施例1にしたがって調製した未精製の(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド10gと、酸性溶媒および有機溶媒を含む混合溶媒200mlとを混合することによって、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの溶液を調製した。次いで、溶液を、表3に列挙した条件にしたがって撹拌し、濾過し、結晶化させた。実施例162で得られた結晶性化合物は、毛細管によって測定すると、融点が210〜215℃であり、XRPDおよびTGAの分析を図17および図18に示している。TGAデータは、実施例162の結晶性化合物の含水量が1.70±0.15%であることを示しており、この結晶性化合物が、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの2/5化合物であることを示している。実施例163〜252で調製した結晶性化合物のTGAおよび融点は、すべて実施例162で調製した2/5水和物であったという結論と矛盾しないほど、実施例162で調製した2/5水和物のTGAおよび融点と十分似ていた。
【0136】
表3.2/5水和物の調製(実施例162〜252)





a:pH値は、使用した酸性溶液のpH値である。
【0137】
(実施例253〜336:(S)−[N−3−(3’−フルオロ−−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド1/12水和物(C222543・1/12H2O)の調製)
図4に示すように、実施例1にしたがって調製した未精製の(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド10gを、水および有機溶媒を含む混合溶媒200mlと混合することによって、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液を調製した。次いで、溶液を、表4に列挙した条件にしたがって撹拌し、濾過し、結晶化させた。実施例253で得られた結晶性化合物は、毛細管によって測定すると、融点が210〜214℃であり、XRPDおよびTGAの分析を図19および図20に示している。TGAデータは、実施例253の結晶性化合物の含水量が0.40±0.15%であることを示しており、この結晶性化合物が、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの1/12水和物であることを示している。実施例254〜336で調製した結晶性化合物のTGAおよび融点は、すべて実施例253で調製した1/12水和物であったという結論と矛盾しないほど、実施例253で調製した1/12水和物のTGAおよび融点と十分似ていた。
【0138】
表4.1/12水和物の調製(実施例253〜336)




【0139】
(実施例337〜358:(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド3/4水和物(C222543・3/4H2O)の調製)
図5に示すように、実施例1にしたがって調製した未精製の(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド10gと、水200ml、または水およびジメチルスルホキシドまたはTween 80を含む混合溶媒200mlと混合することによって、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液を調製した。次いで、溶液を、表5に列挙した条件にしたがって撹拌し、濾過し、結晶化させた。実施例337で得られた結晶性化合物は、毛細管によって測定すると、融点が210〜215℃であり、XRPDおよびTGAの分析を図21および図22に示している。TGAデータは、実施例337の結晶性化合物の含水量が3.30±0.15%であることを示しており、この結晶性化合物が、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの3/4水和物であることを示している。実施例338〜358で調製した結晶性化合物のTGAおよび融点は、すべて実施例337で調製した3/4水和物であったという結論と矛盾しないほど、実施例337で調製した3/4水和物のTGAおよび融点と十分似ていた。
【0140】
表5.3/4水和物の調製(実施例337〜358)

【0141】
(実施例359:(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物の抗菌活性のin vitro試験)
<水和物サンプル>
実施例2にしたがって1/2水和物を調製した。
含有量(純度%wt):99.0%。
実施例253にしたがって1/12水和物を調製した。
含有量(純度%wt):98.9%。
実施例106にしたがって2/7水和物を調製した。
含有量(純度%wt):98.8%。
実施例162にしたがって2/5水和物を調製した。
含有量(純度%wt):99.0%。
実施例337にしたがって3/4水和物を調製した。
含有量(純度%wt):98.8%。
調製:DMSOに溶解し、さらに、滅菌蒸留水で望ましい濃度になるまで希釈した。
水和物サンプルは、Sichuan Beilike Biotechnology LTDから供給された。
<無水物サンプル>
実施例1にしたがって無水化合物を調製した。
含有量(純度%wt):98.6%。
調製:DMSOに溶解し、さらに、滅菌蒸留水で望ましい濃度になるまで希釈した。
無水物サンプルは、Sichuan Beilike Biotechnology LTDから供給された。
<コントロールサンプル>
バンコマイシン:Eli Lilly Japan K.K.から購入し、Sichuan Beilike Biotechnology LTDから提供された。
ロット番号:WM16151(製造日:2007年4月10日、使用期限:2009年4月9日)。
仕様:500mg/瓶;溶解度(物理化学的性質):水に可溶性。
リネゾリド(LZ):Sichuan Beilike Biotechnology LTDから提供された。
<細菌株>
臨床的に単離された株:四川領域および北京領域で2007年3月〜2008年5月にかけて集めた、臨床的に単離された病原菌。
種としては、Staphylococcus aureus MRSA、Staphylococcus aureus MSSA、S.epidermidis MRSE、S.epidermidis MSSE、E.feacalis、E.feaciumなど、全51株が挙げられる。
品質コントロール株:中国衛生部の医療試験センターから購入し、Sichuan Industrial Institute of Antibioticsで保存されていたStaphylococcus aureus ATCC27853株。
<実験方法>
in vitroで最小発育阻止濃度(MIC)を測定。
試験株に対する各試験サンプルの最小発育阻止濃度(MIC)は、U.S.National Committee for Clinical Laboratory Standards(CLSI/NCCI)で推奨されている寒天希釈法を用いることによって測定した。
<結果および分析>
バンコマイシンおよびリネゾリドに関するCLSI/NCCLの試験標準に基づき(表6を参照)、それぞれの株の最小発育阻止濃度(MIC)を報告し、MIC50(さまざまな菌株を50%発育阻止する濃度)、MIC90(さまざまな菌株を90%発育阻止する濃度)、MICrange(試験した株のMIC値の範囲)を観察した。
本開示の無水化合物および水和物のMIC値を表7、8、9に示す。
臨床的に単離された51種の病原株に対する本開示の水和物のMIC50、MIC90、MICrangeを表9に示す。Staphylococcus aureus MRSA、MSSA、S.epidermidis MRSE、MSSE、E.feacalis、E.feaciumに対する上述のサンプルのMIC値の範囲は、0.06〜4ug/mlであった。表9を参照。
【0142】
表6 バンコマイシン感受性およびリネゾリド感受性(CILS/NCCL 2007)

【0143】
表7 本開示の水和物のMIC値(MIC ug/ml)

【0144】
表8.本開示の水和物のMIC値(MIC ug/ml)

【0145】
表9.臨床的に単離された51種の病原株に対する、本開示の水和物のMIC50、MIC90、MICrange(ug/ml)

【0146】
(実施例360:本開示の(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物の安定性および溶解度の試験結果)
温度、湿度および光が本開示の結晶化化合物の品質に及ぼす影響をさらに評価するために、水和物を、相対湿度75%、40℃の一定温度にしたデシケーターに入れた。その後、1ヶ月め、2ヶ月め、3ヶ月め、6ヶ月めにサンプルを集めた。結果を表10〜14に示し、ここで、「関連基質」は、サンプル中の活性物質以外の全成分を意味する。サンプル中の関連基質の含有量は、中国薬局方(2005年版、Part II、Appendix V D)にしたがい、HPLCによって測定した。
【0147】
表10:高温高湿下での1/2水和物

【0148】
表11:高温高湿下での2/7水和物

【0149】
表12:高温高湿下での2/5水和物

【0150】
表13:高温高湿下での1/12水和物

【0151】
表14:高温高湿下での3/4水和物

【0152】
上の結果から、本開示の水和物は、元々の状態(すなわち、0ヶ月め)と比較して、相対湿度75%、一定温度40℃で6ヶ月間安定であったことが示されている。本開示の水和物の関連基質は、実質的に変化しておらず、したがって、本開示の水和物を医薬品として使用することができる。
【0153】
(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物の溶解度を異なる溶媒を用いて調べ、試験結果を表15〜19に示す。溶解度は、中国薬局方(2005年度版)にしたがって測定した。結果から、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの1/2水和物、1/12水和物、3/4水和物、2/7水和物、2/5水和物は、いくつかの場合で無水物よりも可溶性であることが示されている。
【0154】
表15:本明細書に開示した1/2水和物および無水物の溶解度比較

【0155】
表16:本明細書に開示した2/5水和物および無水物の溶解度比較

【0156】
表17:本明細書に開示した3/4水和物および無水物の溶解度比較

【0157】
表18:本明細書に開示した2/7水和物および無水物の溶解度比較

【0158】
表19:本明細書に開示した1/12水和物および無水物の溶解度比較

【0159】
当業者ならわかるように、本開示の精神から逸脱することなく、本開示の実施形態に多くの変更および改変を行ってもよい。このようなすべての変化は、本開示の範囲内に入ると思われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項2】
少なくとも99%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項1に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項3】
少なくとも95%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項1に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項4】
少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項1に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項5】
少なくとも80%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項1に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項6】
少なくとも70%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項1に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項7】
少なくとも60%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項1に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項8】
少なくとも50%より多くが(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項1に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項9】
以下の式
【化1】

を有し、式中、yは、1/12〜1の範囲の数である、
請求項1に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項10】
少なくとも99%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項9に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項11】
少なくとも95%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項9に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項12】
少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項9に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項13】
少なくとも80%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項9に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項14】
少なくとも70%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項9に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項15】
少なくとも60%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項9に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項16】
少なくとも50%より多くが(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項9に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの結晶性水和物が、任意の固体状態の形態を約50重量%より多く含まない、
請求項9に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項18】
前記少なくとも1つの結晶性水和物が、任意の他の多形である固体状態の形態を約10重量%より多く含まない、
請求項17に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項19】
前記少なくとも1つの結晶性水和物が、任意の他の多形である固体状態の形態を約5重量%より多く含まない、
請求項18に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項20】
前記少なくとも1つの結晶性水和物が、任意の他の多形である固体状態の形態を約1重量%より多く含まない、
請求項19に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項21】
yが、1/12、2/7、2/5、1/2および3/4から選択される、
請求項9に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項22】
少なくとも99%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項21に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項23】
少なくとも95%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項21に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項24】
少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項21に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項25】
少なくとも80%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項21に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項26】
少なくとも70%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項21に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項27】
少なくとも60%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項21に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項28】
少なくとも50%より多くが(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項21に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項29】
前記少なくとも1つの結晶性水和物の化学純度が約95%より大きい、
請求項1に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項30】
前記少なくとも1つの結晶性水和物の化学純度が約98%より大きい、
請求項29に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項31】
前記少なくとも1つの結晶性水和物の化学純度が約99%より大きい、
請求項30に記載の少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項32】
少なくとも1つの結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド半水和物を調製する方法であって、
−(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドを少なくとも1つの適切な溶媒を用いて溶解させることによって、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液を作成することと;
−この溶液を適切な温度で撹拌することと;
−この溶液から、少なくとも1つの(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物を結晶化させることとを含む、
方法。
【請求項33】
少なくとも1つの結晶性(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド半水和物を調製する方法であって、
−(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドを、水、非酸性有機溶媒および酸性溶媒から選択される少なくとも1つの適切な溶媒を用いて溶解させることによって、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液を作成することと;
−この溶液を30℃〜90℃の温度範囲で撹拌することと;
−この溶液から、少なくとも1つの(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物を結晶化させることとを含む、
方法。
【請求項34】
前記撹拌する操作の後、前記溶液を濾過することをさらに含む、
請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記溶液に活性炭を加えることをさらに含む、
請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記溶液から、少なくとも1つの(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物を結晶化させることは、前記溶液を第2の溶媒に注ぐこと、または前記溶液に第2の溶媒を加えることを含み、
ここで、第2の溶媒は、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドを溶解しない、
請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの適切な溶媒が、pH値が5以下の少なくとも1つの酸性溶媒を含み、
前記少なくとも1つの酸性溶媒が、塩酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酢酸、カリウム酸、過塩素酸、臭化水素酸、硝酸、ギ酸、酒石酸、安息香酸、フェニル酢酸、マレイン酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸およびジクロロ酢酸から選択される、
請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの適切な溶媒が、さらに、エタノール、メタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフランおよび石油エーテルから選択される少なくとも1つの非酸性有機溶媒を含み、
前記少なくとも1つの酸性溶媒と前記少なくとも1つの非酸性有機溶媒とを1:9〜9:1の範囲の容積比で混合する、
請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの適切な溶媒は、pH値が2〜5の範囲の少なくとも1つの酸性溶媒と、少なくとも1つの非酸性有機溶媒とを含む混合溶媒であり、
少なくとも1つの酸性溶媒と少なくとも1つの非酸性有機溶媒とを1:9〜9:1の範囲の容積比で混合し、
少なくとも1つの酸性溶媒は、次亜リン酸、メタリン酸、メタアルミン酸、乳酸およびコハク酸から選択され、
少なくとも1つの非酸性有機溶媒は、プロパノール、エタノール、n−ブタノールおよびN,N−ジメチルホルムアミドから選択される、
請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの適切な溶媒は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸フェニル、酢酸ヘプチル、酢酸デシル、酢酸イソブチルおよびグリコールジアセタートから選択される少なくとも1つの非酸性有機溶媒と、水と、を含む混合溶媒であり、
水と少なくとも1つの非酸性有機溶媒とを1:9〜9:1の範囲の容積比で混合する、
請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの適切な溶媒は、水と少なくとも1つの非酸性有機溶媒とを含む混合溶媒であり、
少なくとも1つの非酸性有機溶媒は、メタノール、エタノール、アセトニトリル、1,2−プロピレングリコール、イソプロパノール、n−プロパノール、s−ブタノール、イソブタノールおよびエチレングリコールから選択され、
水と少なくとも1つの非酸性有機溶媒とを1:9〜9:1の範囲の容積比で混合する、
請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの適切な溶媒は、水と少なくとも1つの非酸性有機溶媒とを含む混合溶媒であり、
少なくとも1つの非酸性有機溶媒は、ジメチルスルホキシドおよびTween−80から選択され、
水と少なくとも1つの非酸性有機溶媒とを1:9〜9:1の範囲の容積比で混合する、
請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1つの適切な溶媒は水である、
請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記溶液を35〜75℃の温度範囲で撹拌する、
請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記溶液を少なくとも1時間撹拌する、
請求項33に記載の方法。
【請求項46】
前記溶液を1〜10時間撹拌する、
請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記溶液を1〜5時間撹拌する、
請求項46に記載の方法。
【請求項48】
−(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドを、水、非酸性有機溶媒および酸性溶媒から選択される少なくとも1つの適切な溶媒を用いて溶解させることによって、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド溶液を作成することと;
−この溶液を適切な温度で撹拌することと;
−この溶液から、少なくとも1つの(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミド水和物を結晶化させることとによって調製される、
(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項49】
(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドと、(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物とを含み、
少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
混合物。
【請求項50】
前記少なくとも1つの結晶性水和物が、以下の式を有するもの
【化2】

から選択され、式中、yは、1/12〜1の範囲の数である、
請求項49に記載の混合物。
【請求項51】
前記式において、yが、1/12、2/7、2/5、1/2および3/4から選択される、
請求項50に記載の混合物。
【請求項52】
【化3】

を含み、
少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項53】
【化4】

を含み、
少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項54】
【化5】

を含み、
少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項55】
【化6】

を含み、
少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項56】
【化7】

を含み、
少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
少なくとも1つの結晶性水和物。
【請求項57】
(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物であり、少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではないような結晶性水和物を治療に有効な量と、
少なくとも1つの医薬的に許容される希釈剤および/または賦形剤と
を含む、医薬組成物。
【請求項58】
(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物が、以下の式を有するもの
【化8】

から選択され、式中、yが、1/12〜1の範囲の数であり、
この少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項57に記載の医薬組成物。
【請求項59】
有効な量の(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物を、細菌感染の治療が必要であると認識されている被検体に投与し、細菌感染を治療することを含み、
この少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
細菌に感染し、その治療が必要であると認識されている被検体を治療する方法。
【請求項60】
(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物が、以下の式を有するもの
【化9】

から選択され、式中、yが、1/12〜1の範囲の数であり、
この少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記細菌感染がグラム陽性菌感染である、
請求項60に記載の方法。
【請求項62】
(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物と、1つ以上の医薬的に許容される希釈剤および/または賦形剤とを含む有効量の医薬組成物を、細菌感染の治療が必要であると認識されている被検体に投与し、治療を実施することを含み、
この少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
細菌に感染し、その治療が必要であると認識されている被検体を治療する方法。
【請求項63】
(S)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの少なくとも1つの結晶性水和物が、以下の式を有するもの
【化10】

から選択され、yが、1/12〜1の範囲の数であり、
この少なくとも1つの結晶性水和物は、少なくとも90%が(R)−[N−3−(3’−フルオロ−4’−(4”−フェニルピペラジニル))フェニル−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセトアミドの結晶性水和物ではない、
請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記細菌感染がグラム陽性菌感染である、
請求項63に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図4−1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図11−1】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2013−510098(P2013−510098A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537290(P2012−537290)
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【国際出願番号】PCT/CN2010/078377
【国際公開番号】WO2011/054292
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(512117487)シセン ペイリコク バイオテクノロジー リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】SICHUAN BEILIKE BIOTECHNOLOGY LIMITED LIABILITY COMPANY
【住所又は居所原語表記】No.456 Jinshi Road,Jinjiang Industrial Development Zone,Chengdu,Sichuan 610063,P.R.China
【Fターム(参考)】