説明

特定スペース内異常判別用計算式の作成方法及び該計算式を用いた特定スペース内異常検知システム

【課題】プライバシーを保護しつつ、特定スペース内における使用者の異常を高精度に検知する。
【解決手段】特定スペース30内における所定箇所に配置した熱画像センサ10で取得した熱画像データを判別処理装置20が所定時間毎に取り込む。判別処理装置20は、記憶部22に記憶する判別用計算式に基づき、取り込んだ熱画像データから画素若しくは画素エリア単位で温度値を算出し、その判別用計算式に代入して取得した熱画像データの熱画像判別値を算出する。そして、算出した熱画像判別値と記憶部22に記憶された異常判別用閾値とを比較し、熱画像判別値が異常判別用閾値を超えた場合に、特定スペース30内で使用者に異常が発生していると判別し、入出力部21を介して異常検知を示す異常発生信号を外部出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温体から放射される赤外線を検知する赤外線素子で検知範囲内の熱画像データを取得する熱画像センサを用いて特定スペース内における使用者の異常の有無を検知する特定スペース内異常判別用計算式の作成方法及び該計算式を用いた特定スペース内異常検知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばトイレや浴室等のプライバシーを考慮しなければならない空間、使用者が限られ、看視が行き届かない階段や廊下等のスペース、例えば老人ホームや病院の階段若しくは廊下のような使用者がある程度特定されるような特定スペースにおいて、使用者である老人や障害者が体調不良による倒れ込みや不慮の転倒等の異常が発生した場合、早期発見をして迅速に対応することが人命救助につながる。そして、このようなプライバシー空間において発生した異常事故を早期発見することを目的とする装置としては、例えば下記特許文献1又は2に開示されるような装置が提案されている。
【0003】
図11は、下記特許文献1に開示される倒れ込み警報装置の概要説明図である。図示のように、倒れ込み警報装置100は、部屋101の天井に設置され人の動きがあると人体熱検知信号を送出する熱線式検知器102と、部屋101の床に布設され人の体重を感知すると人体圧検知信号を送出するフロアマット103と、人体熱検知信号を受信した後、人体圧検知信号が所定時間以上継続すると倒れ込み警報を発報する受信機104とを備え、フロアマット103を部屋の床に布設する複数のフロアマット要素103a〜103dにて構成するとともに、受信機104を、人体熱検知信号を受信した後、複数のフロアマット要素の中の所定数以上のフロアマット要素が人体圧検知信号を共に送出する状態が所定時間以上継続すると倒れ込み警報を発報している。
【0004】
図12は、下記特許文献2に開示される検知装置を含む監視システムの概略ブロック図である。図示のように、検知装置200は、撮影手段201で撮影された画像データを処理手段203に送られる。一方、記憶手段202には、被観察者が転倒(異常が発生)したと判断するための閾値Tが記憶されている。処理手段203では、検出手段204が、撮影手段201から送られてきた画像データを基に、被観察者の動作ベクトルを求める。判定手段205では、係る動作ベクトルの重力方向の大きさと、記憶手段202に記憶した閾値Tとを比較して、被観察者が転倒したか否かを判断する。そして被観察者が転倒したと判断した場合は、警報等の第1警報手段207に信号が送られる。また、装置外部に送る場合、信号はモデム等の通信手段206から、電話回線220を介して監視手段210に送られる。監視手段210には、通信手段211が含まれる。通信手段211が受け取った信号は、第2警報手段212に送られて、被観察者の異常を監視手段210に知らせる。また、電話回線220を使って被観察者の画像データが送られる場合には、画像データは画像表示手段213に送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−168391号公報
【特許文献2】特開2002−232870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の倒れ込み警報装置では、複数のフロアマットで人体圧を検出しなければ倒れ込みと判別しないため、使用者が1つのフロアマット上で倒れ込んだ場合に異常を検知することができなかった。また、床に人体検知用のフロアマットを複数箇所に敷設するため、敷設工事や配線の引き回しに係る配線工事が必要となるため、設置費用が嵩むとともに設置作業が煩雑であるという問題があった。さらに、敷設工事をせず床にフロアマットを直接設置することも可能であるが、特定スペースがトイレということもありフロアマットが汚れるという衛生面での問題があった。
【0007】
また、特許文献2の検知装置では、特定スペース内を撮影した画像を用いるため、撮影に際し、特定スペースにある程度の明るさが必要であるため、特定スペース内が所定の明度に達していない場合に別途明度を調整するための照明を設置する必要があった。また、可視画像を解析して異常検知を行っているため、特定スペース内等のプライバシー空間での撮影が使用者のプライバシーを侵害する虞があった。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、プライバシー空間や使用者がある程度特定されるような空間を含む特定スペース内であっても、プライバシーを侵害することなく迅速に使用者の異常検知が行える特定スペース内異常判別用計算式の作成方法及び該計算式を用いた特定スペース内異常検知システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、請求項1記載の特定スペース内異常判別用計算式の作成方法は、複数の画素を有し、特定スペース内から放射された赤外線量に応じた赤外線情報に基づき画像処理する熱画像センサから得られる、少なくとも前記特定スペース内の背景温度と使用者の体表面温度に関する温度情報と、前記特定スペース内の設備環境に関する特定スペース情報とを含む前記特定スペース内の熱画像データにおける正常な状態を示す正常熱画像データを取得する正常熱画像データ取得ステップと、
前記特定スペース内の熱画像データにおける異常な状態を示す異常熱画像データを取得する異常熱画像データ取得ステップ、
前記正常熱画像データと前記異常熱画像データから当該各熱画像データにおける各画素の温度値を算出し、これら各温度値を多変量解析処理して前記特定スペースに応じた特定スペース内異常判別用計算式を得る計算式取得ステップと、
該計算式取得ステップで得た前記判別用計算式に前記熱画像データの温度値を適宜代入して算出される熱画像判別値の正常又は異常を判別するための異常判別用閾値を取得する判別用閾値取得ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の特定スペース内異常判別用計算式の作成方法は、請求項1記載の特定スペース内異常判別用計算式の作成方法において、前記計算式取得ステップは、
前記正常熱画像データ取得ステップ及び前記異常熱画像データ取得ステップで取得した前記正常熱画像データ及び前記異常熱画像データを、予め設定された分割数に分割して隣接する複数画素からなる画素エリアを設定する画素エリア設定ステップと、
前記画素エリアを構成する各画素の温度値を用いて当該各エリアの平均温度値を算出する平均温度値算出ステップとを有し、
前記算出した各画素エリアの平均温度値を多変量解析処理して前記特定スペースに応じた特定スペース内異常判別用計算式を得ることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の特定スペース内異常判別用計算式の作成方法は、請求項2記載の特定スペース内異常判別用計算式の作成方法において、前記計算式取得ステップは、
さらに各画素エリアにおいて異常発生時に特徴的な変化が生じる特定画素エリアを抽出する特定画素エリア抽出ステップを含み、
前記抽出した特定画素エリアの平均温度値を多変量解析処理して前記特定スペースに応じた特定スペース内異常判別用計算式を得ることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の特定スペース内異常判別用計算式の作成方法は、請求項1記載の特定スペース内異常判別用計算式の作成方法において、前記計算式取得ステップは、
前記取得した前記正常熱画像データ及び前記異常熱画像データの各画素において異常発生時に特徴的な変化が生じる画素を抽出する特定画素抽出ステップを含み、
前記抽出した特定画素の温度値を多変量解析処理して前記特定スペースに応じた特定スペース内異常判別用計算式を得ることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の特定スペース内異常検知システムは、請求項1記載の特定スペース内異常判別用計算式を用いて特定スペース内の使用者の異常判別を行う判別処理装置を備えた特定スペース内異常検知システムであって、
前記判別処理装置は、
前記特定スペース内異常判別用計算式と、前記特定スペース内における前記使用者の異常の有無を判別するための異常判別用閾値とを記憶する記憶部と、
前記熱画像センサから所定タイミングで取得した前記熱画像データの各画素の温度値を算出し、この算出した温度値を前記記憶部に記憶される前記判別用計算式に代入して前記熱画像データの熱画像判別値を算出する算出処理部と、
該算出処理部からの前記熱画像判別値と前記記憶部に記憶される前記異常判別用閾値とを比較し、前記特定スペース内における異常の有無を判別する判別処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の特定スペース内異常検知システムは、請求項2記載の特定スペース内異常判別用計算式を用いて特定スペース内の使用者の異常判別を行う判別処理装置を備えた特定スペース内異常検知システムであって、
前記判別処理装置は、
前記特定スペース内異常判別用計算式と、前記特定スペース内における前記使用者の異常の有無を判別するための異常判別用閾値とを記憶する記憶部と、
前記熱画像センサから取得した前記熱画像データを予め設定された分割数に分割して隣接する複数画素からなる画素エリアを設定する画素エリア設定手段を備え、前記熱画像データの画素エリアを構成する各画素の温度値を用いて当該各エリアの平均温度値を算出し、この算出した平均温度値を前記記憶部に記憶される前記判別用計算式に代入して前記熱画像データの熱画像判別値を算出する算出処理部と、
該算出処理部からの前記熱画像判別値と前記記憶部に記憶される前記異常判別用閾値とを比較し、前記特定スペース内における異常の有無を判別する判別処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の特定スペース内異常検知システムは、請求項3記載の特定スペース内異常判別用計算式を用いて特定スペース内の使用者の異常判別を行う判別処理装置を備えた特定スペース内異常検知システムであって、
前記判別処理装置は、
前記特定スペース内異常判別用計算式と、前記特定スペース内における前記使用者の異常の有無を判別するための異常判別用閾値とを記憶する記憶部と、
前記熱画像センサから取得した前記熱画像データを予め設定された分割数に分割して隣接する複数画素からなる画素エリアを設定する画素エリア設定手段を備え、前記熱画像データの画素エリアを構成する各画素の温度値を用いて当該各エリアの平均温度値を算出し、この算出した平均温度値のうち前記特定画素エリアに該当する画素エリアの平均温度値を前記記憶部に記憶された判別用計算式に代入して前記熱画像データの熱画像判別値を算出する算出処理部と、
該算出処理部からの前記熱画像判別値と前記記憶部に記憶される前記異常判別用閾値とを比較し、前記特定スペース内における異常の有無を判別する判別処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の特定スペース内異常検知システムは、請求項4記載の特定スペース内異常判別用計算式を用いて特定スペース内の使用者の異常判別を行う判別処理装置を備えた特定スペース内異常検知システムであって、
前記判別処理装置は、
前記特定スペース内異常判別用計算式と、前記特定スペース内における前記使用者の異常の有無を判別するための異常判別用閾値とを記憶する記憶部と、
前記熱画像センサから所定タイミングで取得した前記熱画像データの各画素の温度値を算出し、この算出した温度値のうち前記特定画素に該当する画素の温度値を前記記憶部に記憶された判別用計算式に代入して前記熱画像データの熱画像判別値を算出する算出処理部と
該算出処理部からの前記熱画像判別値と前記記憶部に記憶される前記異常判別用閾値とを比較し、前記特定スペース内における異常の有無を判別する判別処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の特定スペース内異常判別用計算式の作成方法によれば、監視対象となる特定スペースにおける空間の形状や出入り口の位置、設置器具の配置位置、特定スペース内の背景温度と使用者の温度差に応じた最適な判別用計算式を作成することができるため、特定スペースが限定されることなく特定スペース内における使用者の異常を検知することができる。
【0018】
また、本発明の特定スペース内異常検知システムによれば、熱画像センサからの熱画像データと特定スペースに応じて作成された特定スペース内異常判別用計算式を用いて特定スペース内における使用者の異常を検知するため、使用者のプライバシーを保護しながら特定スペース内における使用者の異常検知を高精度に検知することができる。また、システム導入時における煩雑な施工が不要なため安価に導入することができ、さらに異常を検知した際に異常を示す異常発生信号を外部出力するため、迅速に使用者を救護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る特定スペース内異常判別用計算式における第1の判別用計算式を説明するための説明図である。
【図2】本発明に係る特定スペース内異常判別用計算式における第2の判別用計算式を説明するための説明図である。
【図3】本発明に係る特定スペース内異常判別用計算式における第3の判別用計算式を説明するための説明図である。
【図4】本発明に係る特定スペース内異常判別用計算式における第4の判別用計算式を説明するための説明図である。
【図5】(a)〜(d) 本発明に係る特定スペース内異常判別計算式の作成手順を示すフローチャート図である。
【図6】本発明に係る特定スペース内異常検知システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図7】同システムの他の形態を示す概略ブロック図である。
【図8】同システムにおける正常パターンである正常熱画像データを示す説明図である。
【図9】同システムにおける異常パターンである異常熱画像データを示す説明図である。
【図10】同システムの実施例における熱画像データの分割例を示す説明図である。
【図11】従来の倒れ込み警報装置の構成を示す概要説明図である。
【図12】従来の検知装置を含む監視システムの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者等によりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれる。
【0021】
本発明は、特定スペースである看視する三次元の空間の温度データを熱画像データによって二次元の熱画像データとして計測・処理し、そのデータに基づき特定スペースにおける異常・正常の判別を行う判別用計算式の作成方法とその計算式を用いたシステムである。
【0022】
なお、本明細書において、「特定スペース」とは、例えばトイレや浴室等のプライバシーを考慮しなければならない空間若しくは使用者が限られ、看視の行き届かないスペース等であって、例えば老人ホーム、病院の階段や廊下のような使用者がある程度特定されるような空間、又はこれらの空間要素を包含するような空間として定義する。
【0023】
まず、本発明に係る特定スペース内異常判別用計算式の作成方法について説明する。本発明で用いる特定スペース内異常判別用計算式(以下、「判別用計算式」ともいう)は、熱画像センサ10から取得した熱画像データの正常/異常を判別する際に使用する熱画像判別値を算出するための計算式である。この判別用計算式は、熱画像センサ10からの熱画像データに基づく画素毎の温度値について、多変量解析(例えば判別分析)を利用して得られる。
【0024】
また、判別用計算式の作成にあたり、複数の画素(m×n)を有するサーモパイル素子などの赤外線センサで構成される熱画像センサによって得られる少なくとも特定スペース30内の背景温度と熱物体(使用者)の温度情報、特定スペース情報(エリア内における設備の配置位置及びエリアの形状や面積情報等)を含む特定スペース30内の熱画像データにおける正常と識別する正常パターン及び異常と識別する異常パターンとに区別した正常/異常熱画像データを用いている。
【0025】
本例の判別用計算式の作成方法では、図1〜4に示すように、下記4パターンに示す方法により、多変量解析による統計解析処理を行うことで第1〜第4の判別計算式を作成している。以下、各計算式について詳述する。
【0026】
(第1の判別用計算式)
図1に示すように、第1の判別用計算式の作成方法は、熱画像センサから取得した熱画像データ(図例では18×18画素)における各画素の赤外線量に基づく赤外線情報から得られる温度値を使用する方法である。
具体的には、図5(a)に示すように、まず特定スペース30における正常な状態を示す正常熱画像データ及び特定スペース30における異常な状態を示す異常熱画像データを熱画像センサからそれぞれ複数取得する(ST1)。次に、取得した正常/異常熱画像データにおいて、各画素で検知した赤外線情報に基づく温度値を算出し、これら各温度値を多変量解析処理して(ST2)、第1の判別用計算式を作成する(ST3)。そして、この計算式に熱画像データにおける各画素の温度値を適宜代入して熱画像判別値の正常/異常を判別するための異常判別用閾値(第1の異常判別用閾値)を取得する(ST4)。
【0027】
(第2の判別用計算式)
図2に示すように、第2の判別用計算式の作成方法は、熱画像センサから取得した熱画像データ(図例では18×18画素)を予め設定された分割数に分割して隣接する複数画素からなる画素エリア(例えば9×9)を設定し、その分割した各画素エリアを構成する各画素の赤外線情報に基づく温度値をエリア単位で平均化した平均温度値を用いて作成する方法である。
具体的には、図5(b)に示すように、まず特定スペース30における正常な状態を示す正常熱画像データ及び特定スペース30における異常な状態を示す異常熱画像データを熱画像センサからそれぞれ複数取得する(ST11)。次に、取得した正常/異常熱画像データにおいて、予め設定された分割数に分割して隣接する複数画素からなる画素エリアを設定する(ST12)。そして、各画素エリア内の各画素で検知した赤外線情報に基づく温度値を平均化して各エリアの平均温度値を算出し、この平均化した各画素エリアの平均温度値を多変量解析処理して(ST13)、第2の判別用計算式を作成する(ST14)。そして、この計算式に熱画像データにおける各画素エリアの平均温度値を適宜代入して熱画像判別値の正常/異常を判別するための異常判別用閾値(第2の異常判別用閾値)を取得する(ST15)。
【0028】
(第3の判別用計算式)
図3に示すように、第3の判別用計算式の作成方法は、熱画像センサから取得した熱画像データ(図例では18×18画素)を予め設定された分割数に分割して隣接する複数画素からなる画素エリア(例えば9×9)を設定し、その分割した各画素エリアを構成する各画素の赤外線情報に基づく温度値をエリア単位で平均化し、さらに異常発生時における各画素エリアの特徴的な変化が生じる特定の画素エリアを抽出して作成する方法である。
具体的には、図5(c)に示すように、まず特定スペース30における正常な状態を示す正常熱画像データ及び特定スペース30における異常な状態を示す異常熱画像データを熱画像センサからそれぞれ複数取得する(ST21)。次に、取得した正常/異常熱画像データにおいて、予め設定された分割数に分割して隣接する複数画素からなる画素エリアを設定する(ST22)。次に、分割した画素エリア内の各画素で検知した赤外線情報に基づく温度値を平均化して各エリアの平均温度値を算出して各画素エリアの平均温度値を多変量解析処理し(ST23)、さらに各画素エリアにおいて異常発生時に特徴的な変化が生じる特定画素エリアを抽出する(ST24)。次に、線型判別関数を用いて特定画素エリア毎に最適な重み付けして第3の判別用計算式を作成する(ST25)。そして、この計算式に熱画像データにおける特定画素エリアの平均温度値を適宜代入して熱画像判別値の正常/異常を判別するための異常判別用閾値(第3の異常判別用閾値)を取得する(ST26)。
【0029】
(第4の判別用計算式)
図4に示すように、第4の判別用計算式の作成方法は、熱画像センサから取得した熱画像データ(図例では18×18画素)における各画素の赤外線量に基づく赤外線情報から得られる温度値のうち、異常発生時における各画素の中から特徴的な変化が生じる特定の画素データを抽出して作成する方法である。
具体的には、図5(d)に示すように、まず特定スペース30における正常な状態を示す正常熱画像データ及び特定スペース30における異常な状態を示す異常熱画像データを熱画像センサからそれぞれ複数取得する(ST31)。次に、取得した正常/異常熱画像データにおいて、各画素の赤外線情報に基づく温度値を算出して各温度値を多変量解析処理し(ST32)、さらに各画素において異常発生時に特徴的な変化が生じる特定画素を抽出(ST33)する。次に、線型判別関数を用いて特定画素毎に最適な重み付けして第4の判別用計算式を作成する(ST34)。そして、この計算式に熱画像データにおける特定画素の温度値を適宜代入して熱画像判別値の正常/異常を判別するための異常判別用閾値(第4の異常判別用閾値)を取得する(ST35)。
【0030】
なお、上述した第3及び第4の判別用計算式の作成方法では、特定スペース30内に暖房器具や照明等の熱源となる機器が予め特定スペース30内に配置されている場合は、その熱源部分が考慮されて特定画素エリア若しくは特定画素に重み付けがなされる。
【0031】
[システム構成]
次に、上述した特定スペース内異常判別用計算式を用いた特定スペース内異常検知システムの構成について、図6を参照しながら説明する。
【0032】
図6に示すように、特定スペース内異常検知システム1は、特定スペース30における被検知対象(使用者)及びその周辺の熱画像データを取得する熱画像センサ10と、熱画像センサ10で取得した熱画像データに基づき特定スペース30内における使用者の異常判別をする判別処理装置20とで構成され、これらは有線/無線を問わず通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続している。
【0033】
(熱画像センサ)
熱画像センサ10は、特定スペース30である特定スペース30を監視可能な箇所(例えば壁や天井等の特定スペース30の利用を妨げない箇所)に設置され、赤外線検知部11と、A/D変換部12と、画像処理部13と、入出力部14とを備えて構成される。
【0034】
赤外線検知部11は、例えば複数の画素(m×n)を有するサーモパイル素子などの多画素型熱型赤外線センサで構成され、各画素に入射する入射赤外線を画素毎に光電変換し、その電気信号(アナログ信号)を画素毎に出力している。
【0035】
A/D変換部12は、赤外線検知部11からの画素値(アナログ信号)をA/D変換してディジタル信号化した後、画像処理部13に出力している。
【0036】
画像処理部13は、予め設定された画像処理情報と各画素が検知した赤外線量に応じた赤外線情報とに基づき画像処理を行って特定スペース30内の熱画像データを作成し、入出力部14を介して判別処理装置20に出力する。なお、画像処理情報は、ユーザ所望の画像処理(温度分布の配色や温度値の表示形態等)を行うため、所定の外部端末から任意に設定変更可能とする。
【0037】
入出力部14は、熱画像データの出力や外部からの各種設定内容の入力を行うための通信I/Fで構成される。
【0038】
(判別処理装置)
判別処理装置20は、例えばPC(personal computer )等の各種情報に基づく処理を行う通信可能な外部端末装置で構成され、入出力部21と、記憶部22と、算出処理部23と、判別処理部24とで構成される。
【0039】
入出力部21は、熱画像センサ10からの熱画像データの入力や、熱画像センサ10に必要な設定情報、異常検知した際の異常発生信号等の出力を行うための通信I/Fで構成される。
【0040】
記憶部22は、上述した作成方法に基づき特定スペース30に応じて作成され、熱画像センサ10からの熱画像データにおける各画素の温度値に基づく熱画像判別値を算出するための特定スペース内異常判別用計算式(少なくとも第1〜第4の判別用計算式のうちの一つ)、この判別用計算式で算出された熱画像判別値と比較して特定スペース30内の異常の有無を判別するための異常判別用閾値等、判別処理装置20を構成する各部の駆動制御に必要な各種データを記憶している。
【0041】
算出処理部23は、使用する判別用計算式に応じて取得した熱画像データの温度値を算出し、この温度値を記憶部22に記憶された判別用計算式に代入して熱画像判別値を算出して判別処理部24に出力している。
【0042】
算出処理内容について詳述すると、第1の判別用計算式を使用した場合、熱画像センサ10から所定タイミングで取得した熱画像データの各画素の温度値を算出し、第1の判別用計算式に各画素の温度値を代入することで取り込んだ熱画像データの熱画像判別値を算出している。また、第4の判別用計算式を使用する場合、熱画像センサ10から所定タイミングで取得した熱画像データの各画素の温度値を算出し、各画素の温度値のうち特定画素に該当する温度値を第4の判別用計算式に代入することで取り込んだ熱画像データの熱画像判別値を算出している。
【0043】
また、図7に示すように、算出処理部23は、第2又は第3の判別用計算式を使用する構成の場合、所定タイミング熱画像センサ10から取得した熱画像データを予め設定された分割数(記憶部22に記憶又は外部からの設定入力による)に分割して隣接する複数画素からなる画素エリアを設定する画素エリア設定手段23aを備えた構成とする。
【0044】
このような構成とすることで、第2の判別用計算式を使用する場合は、熱画像センサ10から所定タイミングで取得した熱画像データを予め設定された分割数に分割して隣接する複数画素からなる画素エリアを設定し、分割した各画素エリアの平均温度値を算出し、第2の判別用計算式に各画素エリアの平均温度値を代入することで取り込んだ熱画像データの熱画像判別値を算出している。
【0045】
また、第3の判別用計算式を使用する場合は、熱画像センサ10から所定タイミングで取得した熱画像データを予め設定された分割数に分割して隣接する複数画素からなる画素エリアを設定し、この画素エリアの平均温度値を算出する。そして、画素エリアのうち特定画素エリアに該当する平均温度値を第3の判別用計算式に代入することで取り込んだ熱画像データの熱画像判別値を算出している。
【0046】
判別処理部24は、算出処理部23からの熱画像判別値と記憶部22に記憶された異常判別用閾値とを比較し、熱画像判別値が異常判別用閾値を超えた場合に、特定スペース30内で使用者に異常が発生(例えば転倒や倒れ込み)していると判別する。また、判別処理部24は、特定スペース30内で使用者に異常が発生していると判別すると、入出力部21を介して異常検知を示す異常発生信号を外部(鳴動装置や管理室等)に出力している。
【0047】
[処理動作]
次に、上述した特定スペース内異常検知システムにおける処理動作について説明する。ここでは、特定スペース30としてトイレを使用し、熱画像センサ10からの熱画像データを第3の判別式を用いて判別処理した場合の処理動作例について説明する。
【0048】
まず、特定スペース30であるトイレが監視可能な箇所に熱画像センサ10を配置し、各画素に入射する入射赤外線量に応じた赤外線情報と予め設定された画像処理情報とに基づき画像処理を行って特定スペース30内の熱画像データを作成する。
【0049】
判別処理装置20では、算出処理部23において熱画像センサ10から所定タイミングで取得した熱画像データを予め設定された分割数に応じて分割し、各特定画素エリアの平均温度値を算出する。そして、記憶部22に記憶された第3の判別用計算式に応じた特定画素エリアを抽出し、各特定画素エリアの温度値を第3の判別用計算式に代入して取得した熱画像データの熱画像判別値を算出する。
【0050】
判別処理部24において、算出した熱画像判別値と記憶部22に記憶された異常判別用閾値とを比較する。このとき、熱画像判別値が異常判別用閾値を超えた場合に、特定スペース30内で使用者に異常が発生していると判別し、入出力部21を介して異常を示す異常発生信号を外部出力する。一方、熱画像判別値が異常判別用閾値を超えていない場合は、特定スペース30内で使用者が異常していないと判別し、次に取り込んだ熱画像データについて解析を行う。
【0051】
以上説明したように、上述した特定スペース内異常検知システムは、特定スペース30内における所定箇所に配置した熱画像センサ10で取得した熱画像データを判別処理装置20が所定時間毎に取り込む。判別処理装置20は、記憶部22に記憶する判別用計算式に基づき、取り込んだ熱画像データから画素若しくは画素エリア単位で温度値を算出し、その判別用計算式に代入して取得した熱画像データの熱画像判別値を算出する。そして、算出した熱画像判別値と記憶部22に記憶された異常判別用閾値とを比較し、熱画像判別値が異常判別用閾値を超えた場合に、特定スペース30内で使用者に異常が発生していると判別し、入出力部21を介して異常検知を示す異常発生信号を外部出力する。
【0052】
これにより、使用者のプライバシーを保護しながら特定スペース30内における異常検知を高精度に検知することができる。また、システム導入時における煩雑な施工が不要であるため、既存の設備にも容易に導入することができる。さらに、異常検知した際に外部出力するため、迅速に使用者を救護することができる。
【0053】
判別用計算式の作成方法として、少なくとも特定スペース30内の背景温度と使用者の体表面温度に関する温度情報と、特定スペース30内の設備環境に関する特定スペース情報とを含む特定スペース30内の熱画像データにおける正常と識別する正常パターンと異常と識別する異常パターンとに区別した複数の正常/異常熱画像データを多変量解析による統計解析処理を行って作成する。また、使用する判別用計算式によっては、取り込んだ熱画像データを画素エリアに分割したり、線型判別関数によって異常時に特徴的に現れる変化に基づき特定画素又は特定画素エリアとして抽出された各特定画素又は特定画素エリアの各温度値に対し最適な重み付け(係数)を乗算する。
【0054】
これにより、監視対象となる特定スペース30における空間の形状や出入り口の位置、設置器具の配置位置、特定スペース30内の背景温度と使用者の温度差に応じた最適な判別用計算式を作成することができるため、導入する特定スペース30が限定されることなく特定スペース30内における様々な事象の異常を検知することができる。
【0055】
ところで、上述した形態では、システム構成例として熱画像センサ10が1つの場合について説明したが、これに限定されることはなく、特定スペース30が広い場合や設置場所によっては熱画像センサ10を特定スペース30に対して異なる角度から複数設置することもできる。この場合、特定スペース30に死角がないように設置することが可能となり、より高精度に使用者の異常を検知することができる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明に係る特定スペース内異常検知システムによる特定スペース内異常判別用計算式の作成方法について実施例に基づき詳細に説明する。なお、下記実施例は本発明を限定するものではなく、前・後記の趣旨に照らし合わせて設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0057】
本実施例における試験環境は、以下の通りである。
<特定スペース情報>
・トイレ空間の範囲:高さ3.0m×幅1.2m×奥行1.8m
・便座の床面からの高さ:0.4m
・出入り口の位置:便座前方
<熱画像センサの装置構成>
・熱画像センサの装置構成:素子数(48×47)、視野角:60°
・熱画像センサの設置高さ:2.5m
なお、設置箇所は、便座が真下となる位置に熱画像センサ本体を配置し、床からの垂直線から30°傾けて設置することで、センサの真下から遠方の床面を測定した。このように設置することで3.5m×3.5mの範囲まで検出可能となる。
<背景温度及び>
・背景温度(室温計による)は、24.8±0.2℃で、この時(検出面に使用者がいないとき)の熱画像センサの温度値は最低23.9℃〜最高26.9℃で平均25.1±0.3℃であった。また、使用者の体表面温度は、36.5℃±0.2℃であった。
<正常/異常熱画像データ>
・正常パターンとして100パターン区別し、このときの熱画像センサの温度値は最低24.2℃〜最高31.5℃、平均26.0±1.1℃であった。また、異常パターンとして300パターン区別し、このときの熱画像センサの温度値は最低24.2℃〜最高31.8℃、平均26.0±1.0℃であった。
【0058】
まず、特定スペース内異常判別用計算式の作成として、熱画像センサ10から特定スペース30となる特定スペース30内の熱画像データを1秒に1回ずつに取り込み、取り込んだ熱画像データにおける正常と識別する正常パターンと異常と識別する異常パターンとに区別した。なお、本例では、図8に示すような正常パターンを100パターン、図9に示すような異常パターンを300パターンとした。
【0059】
次に、図10に示すように区別した各データを9×9のエリアに分割(1エリアあたり約20素子とする)して各エリアの温度値を算出し、統計解析ソフト(SPSS(登録商標)バージョン17)を用いて判別分析して下記判別用計算式を作成した。なお、判別分析によって分割された81エリアにおいて異常発生時に特徴的な変化が生じる特定画素エリア(本例では、図示のように21エリア)が抽出され、線型判別関数を用いて異常時に特徴的に現れる変化に基づく最適な重み付け(係数)が乗算される。
<判別用計算式>
Z=1.434X6 +1.572X14+0.804X22+0.886X23+0.942X27+1.179X79+0.575X32+0.347X34−0.553X39+0.875X44−1.764X45−0.443X50−0.209X52−0.294X58−0.351X62−1.549X64−0.681X67+2.368X68−0.914X69+0.340X70−1.223X79−4.916
上記計算式により異常判別用閾値は1.2655となった。すなわち、上記条件の特定スペース30内における熱画像データの熱画像判別値がZ<1.2655となったときに、異常有りと判別する計算式が作成された。
【0060】
上記計算式の検証方法として、計算式作成時に用いて正常/異常熱画像パターンとは別に、被験者5人による400パターンの熱画像データを基に、上記計算式を用いて正常又は異常の判別結果の精度を検証した。その結果、上記計算式による異常検知精度(判別率)は、97.8%であった。これにより、本例の特定スペース内異常検知システムは、高精度で特定スペース30内における使用者の異常検知が可能であることを示している。
【符号の説明】
【0061】
1…特定スペース内異常検知システム
10…熱画像センサ
11…赤外線検知部
12…A/D変換部
13…画像処理部
14…入出力部
20…判別処理装置
21…入出力部
22…記憶部
23…算出処理部(23a…画素エリア設定手段)
24…判別処理部
30…特定スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有し、特定スペース内から放射された赤外線量に応じた赤外線情報に基づき画像処理する熱画像センサから得られる、少なくとも前記特定スペース内の背景温度と使用者の体表面温度に関する温度情報と、前記特定スペース内の設備環境に関する特定スペース情報とを含む前記特定スペース内の熱画像データにおける正常な状態を示す正常熱画像データを取得する正常熱画像データ取得ステップと、
前記特定スペース内の熱画像データにおける異常な状態を示す異常熱画像データを取得する異常熱画像データ取得ステップ、
前記正常熱画像データと前記異常熱画像データから当該各熱画像データにおける各画素の温度値を算出し、これら各温度値を多変量解析処理して前記特定スペースに応じた特定スペース内異常判別用計算式を得る計算式取得ステップと、
該計算式取得ステップで得た前記判別用計算式に前記熱画像データの温度値を適宜代入して算出される熱画像判別値の正常又は異常を判別するための異常判別用閾値を取得する判別用閾値取得ステップと、
を含むことを特徴とする。
【請求項2】
前記計算式取得ステップは、
前記正常熱画像データ取得ステップ及び前記異常熱画像データ取得ステップで取得した前記正常熱画像データ及び前記異常熱画像データを、予め設定された分割数に分割して隣接する複数画素からなる画素エリアを設定する画素エリア設定ステップと、
前記画素エリアを構成する各画素の温度値を用いて当該各エリアの平均温度値を算出する平均温度値算出ステップとを有し、
前記算出した各画素エリアの平均温度値を多変量解析処理して前記特定スペースに応じた特定スペース内異常判別用計算式を得ることを特徴とする請求項1記載の特定スペース内異常判別用計算式の作成方法。
【請求項3】
前記計算式取得ステップは、
さらに各画素エリアにおいて異常発生時に特徴的な変化が生じる特定画素エリアを抽出する特定画素エリア抽出ステップを含み、
前記抽出した特定画素エリアの平均温度値を多変量解析処理して前記特定スペースに応じた特定スペース内異常判別用計算式を得ることを特徴とする請求項2記載の特定スペース内異常判別用計算式の作成方法。
【請求項4】
前記計算式取得ステップは、
前記取得した前記正常熱画像データ及び前記異常熱画像データの各画素において異常発生時に特徴的な変化が生じる画素を抽出する特定画素抽出ステップを含み、
前記抽出した特定画素の温度値を多変量解析処理して前記特定スペースに応じた特定スペース内異常判別用計算式を得ることを特徴とする請求項1記載の特定スペース内異常判別用計算式の作成方法。
【請求項5】
請求項1記載の特定スペース内異常判別用計算式を用いて特定スペース内の使用者の異常判別を行う判別処理装置を備えた特定スペース内異常検知システムであって、
前記判別処理装置は、
前記特定スペース内異常判別用計算式と、前記特定スペース内における前記使用者の異常の有無を判別するための異常判別用閾値とを記憶する記憶部と、
前記熱画像センサから所定タイミングで取得した前記熱画像データの各画素の温度値を算出し、この算出した温度値を前記記憶部に記憶される前記判別用計算式に代入して前記熱画像データの熱画像判別値を算出する算出処理部と、
該算出処理部からの前記熱画像判別値と前記記憶部に記憶される前記異常判別用閾値とを比較し、前記特定スペース内における異常の有無を判別する判別処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【請求項6】
請求項2記載の特定スペース内異常判別用計算式を用いて特定スペース内の使用者の異常判別を行う判別処理装置を備えた特定スペース内異常検知システムであって、
前記判別処理装置は、
前記特定スペース内異常判別用計算式と、前記特定スペース内における前記使用者の異常の有無を判別するための異常判別用閾値とを記憶する記憶部と、
前記熱画像センサから取得した前記熱画像データを予め設定された分割数に分割して隣接する複数画素からなる画素エリアを設定する画素エリア設定手段を備え、前記熱画像データの画素エリアを構成する各画素の温度値を用いて当該各エリアの平均温度値を算出し、この算出した平均温度値を前記記憶部に記憶される前記判別用計算式に代入して前記熱画像データの熱画像判別値を算出する算出処理部と、
該算出処理部からの前記熱画像判別値と前記記憶部に記憶される前記異常判別用閾値とを比較し、前記特定スペース内における異常の有無を判別する判別処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【請求項7】
請求項3記載の特定スペース内異常判別用計算式を用いて特定スペース内の使用者の異常判別を行う判別処理装置を備えた特定スペース内異常検知システムであって、
前記判別処理装置は、
前記特定スペース内異常判別用計算式と、前記特定スペース内における前記使用者の異常の有無を判別するための異常判別用閾値とを記憶する記憶部と、
前記熱画像センサから取得した前記熱画像データを予め設定された分割数に分割して隣接する複数画素からなる画素エリアを設定する画素エリア設定手段を備え、前記熱画像データの画素エリアを構成する各画素の温度値を用いて当該各エリアの平均温度値を算出し、この算出した平均温度値のうち前記特定画素エリアに該当する画素エリアの平均温度値を前記記憶部に記憶された判別用計算式に代入して前記熱画像データの熱画像判別値を算出する算出処理部と、
該算出処理部からの前記熱画像判別値と前記記憶部に記憶される前記異常判別用閾値とを比較し、前記特定スペース内における異常の有無を判別する判別処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【請求項8】
請求項4記載の特定スペース内異常判別用計算式を用いて特定スペース内の使用者の異常判別を行う判別処理装置を備えた特定スペース内異常検知システムであって、
前記判別処理装置は、
前記特定スペース内異常判別用計算式と、前記特定スペース内における前記使用者の異常の有無を判別するための異常判別用閾値とを記憶する記憶部と、
前記熱画像センサから所定タイミングで取得した前記熱画像データの各画素の温度値を算出し、この算出した温度値のうち前記特定画素に該当する画素の温度値を前記記憶部に記憶された判別用計算式に代入して前記熱画像データの熱画像判別値を算出する算出処理部と
該算出処理部からの前記熱画像判別値と前記記憶部に記憶される前記異常判別用閾値とを比較し、前記特定スペース内における異常の有無を判別する判別処理部と、
を備えたことを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−209128(P2011−209128A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77655(P2010−77655)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(303044756)
【出願人】(510157465)公立大学法人埼玉県立大学 (1)
【出願人】(000133526)株式会社チノー (113)
【Fターム(参考)】