説明

特有のメソ細孔粒度を有するミクロ多孔質およびメソ多孔質の炭素キセロゲルおよびその先駆物質、ならびに前記炭素キセロゲルおよびその先駆物質の製造法、および前記炭素キセロゲルおよびその先駆物質の使用

本発明は、フェノール−ホルムアルデヒドキセロゲルを基礎とする、ミクロ多孔質およびメソ多孔質の炭素キセロゲルならびにその有機先駆物質に関する。炭素キセロゲルの特有の共通のパラメーターは、77Kでの窒素収着を用いる3.5nm〜4.0nmのBJH法(Barrett-Joyner-Halenda)に従ってのメソ細孔粒度分布のピークである。製造法は、一面で僅かな反応体費用、レゾルシンの代わりのフェノールの使用を示し、他面、できるだけ簡単で安価なプロセスを示し;超臨界乾燥または凍結乾燥の代わりの溶剤交換なしの対流乾燥を示す。炭素キセロゲルおよびその有機フェノール−ホルムアルデヒドキセロゲル先駆物質は、0.20〜1.20g/cm3の密度を有し、このことは、89%までの多孔度に相当し、その上、このキセロゲルは、当該メソ細孔容積を有することができる。その上、フェノール−ホルムアルデヒドキセロゲルから現れる炭素キセロゲルは、ミクロ多孔質である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、フェノール−ホルムアルデヒド−キセロゲル(PFキセロゲル)としての特有のメソ細孔粒度を有する多孔質の炭素キセロゲル、ならびに湿式ゲルを標準条件下で未臨界乾燥しながらゾルゲル法により前記炭素キセロゲルを製造する方法である。典型的に前記フェノール−ホルムアルデヒドに対して基礎となる炭素キセロゲル(=熱分解されたPFキセロゲル)は、77Kでの窒素収着を用いる測定による3.5nm〜4.0nmのBJH法(Barrett-Joyner-Halenda; DIN 66134)に従っての細孔粒度分布における明らかに識別可能なピークである。
【0002】
公知技術水準
エーロゲル、クリオゲルおよびキセロゲルは、数多くの範囲で使用されている。原則的に、記載された材料は、乾燥法の種類によって区別される。エーロゲルは、超臨界乾燥によって定義され、クリオゲルは、凍結乾燥によって定義され、およびキセロゲルは、標準条件下での対流による未臨界乾燥によって定義される。
【0003】
エーロゲルは、形態学的性質が極めて良好に現出されうる材料であり、したがって前記エーロゲルの使用分野のスペクトルは、幅広い状態にある。ガスの浸透または吸収の範囲内で、エーロゲルは、フィルター、ガス分離層、排水処理剤として適しているか、またはクロマトグラフィーに適している。このエーロゲルは、機械的性質および音響学的性質において、衝撃吸収剤、隕石キャッチャー(Meteoritenfanger)または音響学的回線アダプターとして推奨される。光学の分野においては、エーロゲルは、IR反射剤またはIR吸収剤として販売されている。エーロゲルは、定義された多孔度に基づいて電極、誘電層または断熱材料として使用されることができる。その上、エーロゲルは、支持材料またはマトリックスとして触媒中、医学的成分またはセンサー中に適している。
【0004】
従来、炭素エーロゲルおよびその有機先駆物質の大きな欠点は、費用が掛かりすぎることである。それというのも、一面で、製造のために高価なレゾルシンが必要とされ、他面、ゲルを超臨界乾燥しなければならないからである。ここ数年来、費用を減少させるために数多くの努力が為された。即ち、例えばキセロゲルの場合には、超臨界乾燥の代わりに溶剤交換が実施され、水が僅かな表面張力を有する液体(例えば、エタノール、アセトン、イソプロパノール)によって代替され(例えば、[3,4]参照)、引続き標準条件下で乾燥された。更に、高価なレゾルシンを有利な出発物質、例えばクレゾール[5]によって代替することが試みられた。フェノールとフルフラールとの組合せは、原理的に均一なモノリシック構造体も生じるが、しかし、フルフラールは、一面でホルムアルデヒドよりも高価であり、このことは、フェノールに使用によって費用の節約に不利に作用し、他面、フルフラールは、取扱いに問題があり、むしろ、大工業的生産においては望ましくない。フェノール−ホルムアルデヒド縮合体を基礎とする多孔質の炭素についても既に報告が為された[8,9]。しかし、費用の掛かる乾燥法、例えば凍結乾燥または溶剤交換を伴なう超臨界乾燥を省略することはできなかった。
【0005】
エーロゲル、キセロゲルおよび多孔質材料を特性決定するために、一般に殊に確立された窒素収着測定法が適している。それというも、それによって試験された材料のミクロ多孔質およびメソ多孔質ならびに細孔粒度分布についての広範囲の情報が得られるからである。
【0006】
炭素エーロゲルの場合には、一般に細孔粒度分布は、比較的幅広い範囲で合成パラメーターおよび製造プロセスに依存して変動させることができ、炭素エーロゲルおよび炭素キセロゲルに共通する特有の繰り返しパラメーターは、合成パラメーターに依存せずにこれまで観察されることができなかった。図1は、レゾルシン−ホルムアルデヒド(RF)を基礎とした炭素キセロゲルの細孔粒度分布を示す。製造のために、1300のレゾルシンと触媒(Na2CO3)とのモル比、2のホルムアルデヒドとレゾルシンとのモル比および30%の出発水溶液に対するレゾルシンおよびホルムアルデヒドの濃度が選択された。RF試料は、室温、50℃および90℃でそれぞれ24時間、ゲル化サイクルで処理された。引続き、湿式ゲルは、2回それぞれ24時間、アセトンと交換され、その後に対流乾燥され、RFキセロゲルは、最終的に800℃で酸素不含の保護ガス雰囲気下で炭素キセロゲルに変換され、この炭素キセロゲルは、窒素収着で測定された。
【0007】
レゾルシンおよびホルムアルデヒドからなる古典的系における公知技術水準についての概要は、例えばTamon他およびYamamoto他の刊行物に認められる[10−12]。
【0008】
発明の課題
本発明の課題は、エーロゲルおよびキセロゲルの使用特異的な性質を完全に満たし、さらに物質特異的な性質を有するミクロ多孔質およびメソ多孔質の炭素キセロゲルおよびその有機先駆物質を提供することであり、この場合前記性質は、本発明による炭素キセロゲルと例えばレゾルシン−ホルムアルデヒドを基礎とする、既に公知の炭素エーロゲルおよび炭素キセロゲルとは区別される。本発明による炭素キセロゲルの共通の特徴は、77Kでの窒素収着を用いる測定によるBJH法(Barrett-Joyner-Halenda; DIN 66134)に従っての3.5nm〜4.0nmのメソ細孔粒度分布における特有のピークにある(図2および図3参照)。更に、本発明の課題は、炭素キセロゲルおよびこの有機PFキセロゲル先駆物質の製造法を提供することである。この製造法は、できるだけ簡単で安価なプロセス法での安価な反応体の使用によって特徴付けられる。出発物質としては、フェノール、殊に安価なモノヒドロキシベンゼンおよびホルムアルデヒドが使用され、このフェノールは、触媒(酸または塩基)および溶剤(アルコール、ケトンまたは水)でゾルゲル法により架橋されている。高価なレゾルシン(1,3−ジヒドロキシベンゼン)の使用は、完全に省略される。更に、ここで実施される方法は、僅かな密度ならびに高いミクロ多孔度およびメソ多孔度の製造を、凍結乾燥または超臨界乾燥の費用の掛かる処理工程なしに可能にする。更に、溶剤交換は、本発明の場合には不要である。
【0009】
ゾルゲル法において、2つの反応体のフェノールとホルムアルデヒドとは、互いに反応する。溶剤としては、水またはアルコール、例えばn−プロパノールが使用され、触媒としては、酸ならびに塩基、例えば塩酸(HCl)または苛性ソーダ液(NaOH)が使用される。ゾルゲル法が終結され、モノリシックな湿式ゲルが形成された後に、ゲルは、他の後処理なしに簡単な対流乾燥によって室温または高められた温度(例えば、85℃)で乾燥させることができる。機械的に安定した湿式ゲル先駆物質によって、ゲル網状組織のコラボレーション(Kollabieren)は、阻止することができる。有機PFキセロゲル先駆物質を600℃を上廻る温度で酸素不含の保護ガス雰囲気下で熱分解することによって、モノリシック炭素キセロゲルは、得られる。
【0010】
生じるモノリシック炭素キセロゲルおよびその有機PFキセロゲル先駆物質は、0.20〜1.20g/m3の密度を有し、このことは、89%までの多孔度に相当する。その上、炭素キセロゲルおよびその有機PFキセロゲル先駆物質は、0.76cm3/gまでのBJH法に従うメソ多孔度を有する。
【0011】
例えば、IR吸収剤としての、粉末状でのキセロゲルの特殊な使用のためには、モノリシックPFキセロゲルまたは炭素キセロゲルは、通常の粉砕法で望ましい寸法に微粉砕されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】レゾルシン−ホルムアルデヒド(RF)を基礎とした炭素キセロゲルの細孔粒度分布を示す線図。
【図2】77Kでの窒素収着を用いる測定によるBJH法(Barrett-Joyner-Halenda; DIN 66134)に従っての3.5nm〜4.0nmのメソ細孔粒度分布における特有のピークを示す線図。
【図3】77Kでの窒素収着を用いる測定によるBJH法(Barrett-Joyner-Halenda; DIN 66134)に従っての3.5nm〜4.0nmのメソ細孔粒度分布における特有のピークを示す線図。
【図4】等温収着曲線を示す線図。
【図5】走査電子顕微鏡(REM)を用いての撮影した、典型的なナノサイズでの炭素エーロゲルおよび炭素キセロゲルを示す略図。
【実施例】
【0013】
実施例1:
ビーカー中でフェノール3.66gをホルムアルデヒド溶液6.24g(37%のホルムアルデヒド水溶液は、メタノール約10%で安定化された)およびn−プロパノール26.27gと混合する(F/P=2のホルムアルデヒドとフェノールとのモル比に相当し、M=15%の全溶液の質量に対する反応体のフェノールおよびホルムアルデヒドの濃度に相当する)。この溶液をフェノールが完全に溶解するまで電磁攪拌機で攪拌する。引続き、37%のHCl3.83gを添加する(P/C=1のフェノールと触媒とのモル比に相当する)。次に、この溶液を高さ10cmのビードエッジ瓶(直径3cm)中に充填し、このビードエッジ瓶を気密になるように閉鎖する。このビードエッジ瓶を試料と一緒に26時間、炉内で85℃に加熱する。
【0014】
26時間後に、モノリシック有機湿式ゲルを生じ、引続きこのモノリシック有機湿式ゲルを65℃で乾燥炉内で70時間対流乾燥させる。0.37g/cm3の巨視的密度を有するモノリシック有機PFキセロゲルが得られる。有機PFキセロゲルを、熱分解によって800℃でアルゴン雰囲気下で炭素キセロゲルに変換する。こうして得られた炭素キセロゲルは、0.42g/cm3の巨視的密度、8.41*108N/m2の弾性率、2.4S/cmの比導電率、515m2/gの比表面積(BET法により、DIN ISO 9277:2003−05)、0.16cm3/gのミクロ細孔容積(t−プロット法により、DIN 66135−2)、138m2/gの外部表面積および0.37cm3/gのメソ細孔容積を有する。
【0015】
実施例2:
ビーカー中でフェノール6.11gをホルムアルデヒド溶液10.39g(37%のホルムアルデヒド水溶液は、メタノール約10%で安定化された)およびn−プロパノール21.38gと混合する(F/P=2;M=25%に相当する)。この溶液をフェノールが完全に溶解するまで電磁攪拌機で攪拌する。引続き、37%HCl2.18gを添加する(P/C=2.95に相当する)。次に、この溶液を高さ10cmのビードエッジ瓶(直径3cm)中に充填し、このビードエッジ瓶を気密になるように閉鎖する。このビードエッジ瓶を試料と一緒に24時間、炉内で85℃に加熱する。24時間後に、モノリシック有機湿式ゲルを生じ、引続きこのモノリシック有機湿式ゲルを65℃で乾燥炉内で72時間対流乾燥させる。0.48g/cm3の巨視的密度を有する黄土色のモノリシック有機PFキセロゲルが得られる。図4からの等温収着曲線の評価は、157m2/gの比表面積(BET表面積)、130m2/gの外部表面積および0.38cm3/gのメソ細孔容積をもたらす。有機PFキセロゲルを熱分解によって800℃でアルゴン雰囲気下で炭素キセロゲルに変換する。こうして得られた炭素キセロゲルは、0.54g/cm3の巨視的密度、657m2/gの比表面積(BET法)、0.21cm3/gのミクロ細孔容積、150m2/gの外部表面積および0.76cm3/gのメソ細孔容積を有する(図4における等温収着曲線も参照のこと)。走査電子顕微鏡(REM)を用いての撮影(図5)は、炭素エーロゲルおよび炭素キセロゲルに対して典型的なナノサイズでの形態を示す。EDX(エネルギー分散型X線分光法)による炭素試料の元素分析は、キセロゲルの炭化状態で極めて僅かな割合の酸素を有する高純度の炭素を示す。
【0016】
実施例3:
ビーカー中でフェノール6.11gをパラホルムアルデヒド3.89gおよびn−プロパノール27.87gと混合する(F/P=2;M=25に相当する)。この溶液をフェノールおよびパラホルムアルデヒドが完全に溶解するまで電磁攪拌機で攪拌する。引続き、37%HCl2.14gを添加する(P/C=3に相当する)。次に、この溶液を高さ10cmのビードエッジ瓶(直径3cm)中に充填し、このビードエッジ瓶を気密になるように閉鎖する。このビードエッジ瓶を試料と一緒に24時間、炉内で85℃に加熱する。24時間後に、モノリシック有機湿式ゲルを生じ、引続きこのモノリシック有機湿式ゲルを65℃で乾燥炉内で96時間対流乾燥させる。1.00g/m3の巨視的密度を有するモノリシック有機PFキセロゲルが得られる。有機PFキセロゲルを、熱分解によって800℃でアルゴン雰囲気下で炭素キセロゲルに変換する。こうして得られた炭素キセロゲルは、1.14g/cm3の巨視的密度、256m2/gの比表面積(BET法)、0.10cm3/gのミクロ細孔容積、13m2/gの外部表面積および0.03cm3/gのメソ細孔容積を有する。
【0017】
実施例4:
ビーカー中でフェノール5.34gをホルムアルデヒド溶液9.09g(37%のホルムアルデヒド水溶液は、メタノール約10%で安定化された)およびn−プロパノール19.45gと混合する(F/P=2;M=25に相当する)。この溶液をフェノールが完全に溶解するまで電磁攪拌機で攪拌する。引続き、37%HCl2.14gを添加する(P/C=5に相当する)。次に、この溶液を高さ10cmのビードエッジ瓶(直径3cm)中に充填し、このビードエッジ瓶を気密になるように閉鎖する。このビードエッジ瓶を試料と一緒に24時間、炉内で85℃に加熱する。
【0018】
24時間後に、モノリシック有機湿式ゲルを生じ、引続きこのモノリシック有機湿式ゲルを室温で5日間対流乾燥させる。0.99g/cm3の巨視的密度を有するモノリシック有機PFキセロゲルが得られる。有機PFキセロゲルを、熱分解によって800℃でアルゴン雰囲気下で炭素キセロゲルに変換する。こうして得られた炭素キセロゲルは、0.95g/cm3の巨視的密度、447m2/gの比表面積(BET法)、0.17cm3/gのミクロ細孔容積、36m2/gの外部表面積および0.21cm3/gのメソ細孔容積を有する。
【0019】
実施例5:
ビーカー中でフェノール5.80g、2,6−ジメチルフェノール0.31g、ホルムアルデヒド溶液10.39g(37%のホルムアルデヒド水溶液は、メタノール約10%で安定化された)およびn−プロパノール22.18gを混合する(F/P=2;M=25に相当する)。この溶液をフェノールおよび2,6−ジメチルフェノールが完全に溶解するまで電磁攪拌機で攪拌する。引続き、37%HCl2.14gを添加する(P/C=3に相当する)。次に、この溶液を高さ10cmのビードエッジ瓶(直径3cm)中に充填し、このビードエッジ瓶を気密になるように閉鎖する。このビードエッジ瓶を試料と一緒に24時間、炉内で85℃に加熱する。
【0020】
24時間後に、モノリシック有機湿式ゲルを生じ、引続きこのモノリシック有機湿式ゲルを65℃で乾燥炉内で96時間対流乾燥させる。0.50g/cm3の巨視的密度を有するモノリシック有機PFキセロゲルが得られる。有機PFキセロゲルを、熱分解によって800℃でアルゴン雰囲気下で炭素キセロゲルに変換する。こうして得られた炭素キセロゲルは、0.59g/cm3の巨視的密度、19.7*108N/m2の弾性率、529m2/gの比表面積(BET法)、0.17cm3/gのミクロ細孔容積、131m2/gの外部表面積および0.54cm3/gのメソ細孔容積を有する。
【0021】
実施例6:
ビーカー中でフェノール5.34g、ホルムアルデヒド溶液9.09g(37%のホルムアルデヒド水溶液は、メタノール約10%で安定化された)およびエタノール19.45g(変性された)を混合する(F/P=2;M=25に相当する)。この溶液をフェノールが完全に溶解するまで電磁攪拌機で攪拌する。引続き、37%HCl2.14gを添加する(P/C=5に相当する)。次に、この溶液を高さ10cmのビードエッジ瓶(直径3cm)中に充填し、このビードエッジ瓶を気密になるように閉鎖する。このビードエッジ瓶を試料と一緒に48時間、炉内で85℃に加熱する。
【0022】
48時間後に、モノリシック有機湿式ゲルを生じ、引続きこのモノリシック有機湿式ゲルを室温で96時間対流乾燥させる。1.12g/cm3の巨視的密度を有するモノリシック有機PFキセロゲルが得られる。有機PFキセロゲルを、熱分解によって800℃でアルゴン雰囲気下で炭素キセロゲルに変換する。こうして得られた炭素キセロゲルは、1.04g/cm3の巨視的密度を有する。小角X線散乱(SAXS)から得られた散乱曲線の評価は、0.15cm3/gのミクロ細孔容積をもたらす。
【0023】
実施例7:
ビーカー中でフェノール3.43g、ホルムアルデヒド溶液17.52g(37%のホルムアルデヒド水溶液は、メタノール約10%で安定化された)および脱イオン水16.69gを混合する(F/P=6;M=25に相当する)。この溶液をフェノールが完全に溶解するまで電磁攪拌機で攪拌する。引続き、20%NaOH2.37gを添加する(P/C=3.08に相当する)。次に、この溶液を高さ10cmのビードエッジ瓶(直径3cm)中に充填し、このビードエッジ瓶を気密になるように閉鎖する。このビードエッジ瓶を試料と一緒に21時間、炉内で85℃に加熱する。21間後に、モノリシック有機湿式ゲルを生じ、引続きこのモノリシック有機湿式ゲルを室温で72時間対流乾燥させる。0.29g/cm3の巨視的密度および1.67*108N/m2の弾性率を有するモノリシック有機PFキセロゲルが得られる。有機PFキセロゲルを、熱分解によって800℃でアルゴン雰囲気下で炭素キセロゲルに変換する。こうして得られた炭素キセロゲルは、0.20g/cm3の巨視的密度、3.90*108N/m2の弾性率、819m2/gの比表面積(BET法)、0.30cm3/gのミクロ細孔容積、90m2/gの外部表面積および0.24cm3/gのメソ細孔容積を有する。
【0024】
実施例8:
ビーカー中でフェノール2.82g、ホルムアルデヒド溶液20.31g(37%のホルムアルデヒド水溶液は、メタノール約10%で安定化された)および脱イオン水14.94gを混合する(F/P=8;M=25に相当する)。この溶液をフェノールが完全に溶解するまで電磁攪拌機で攪拌する。引続き、20%NaOH2.37gを添加する(P/C=2.14に相当する)。次に、この溶液を高さ10cmのビードエッジ瓶(直径3cm)中に充填し、このビードエッジ瓶を気密になるように閉鎖する。このビードエッジ瓶を試料と一緒に21時間、炉内で85℃に加熱する。
【0025】
21時間後に、モノリシック有機湿式ゲルを生じ、引続きこのモノリシック有機湿式ゲルを室温で72時間対流乾燥させる。0.26g/cm3の巨視的密度および0.085*108N/m2の弾性率を有するモノリシック有機PFキセロゲルが得られる。有機PFキセロゲルを、熱分解によって800℃でアルゴン雰囲気下で炭素キセロゲルに変換する。こうして得られた炭素キセロゲルは、0.25g/cm3の巨視的密度、0.6*108N/m2の弾性率、619m2/gの比表面積(BET法)、0.27cm3/gのミクロ細孔容積、6m2/gの外部表面積および0.08cm3/gのメソ細孔容積を有する。
【0026】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
メソ多孔質のフェノール−ホルムアルデヒドキセロゲルにおいて、溶剤交換なしに標準条件下で乾燥させることができたものであることを特徴とする、メソ多孔質のフェノール−ホルムアルデヒドキセロゲル
【請求項2】
乾燥後に熱分解され、それによって炭素キセロゲルに変換されたものである、請求項1記載のフェノール−ホルムアルデヒドキセロゲル。
【請求項3】
77Kでの窒素収着を用いる測定による3.5nm〜4.0nmのBJH法(Barrett-Joyner-Halenda; DIN 66134)に従っての細孔粒度分布における明らかに識別可能なピークを有する、請求項2記載の炭素キセロゲル。
【請求項4】
後処理後に顆粒または粉末状で存在する、請求項3記載の炭素キセロゲル。
【請求項5】
炭素キセロゲルの製造法において、ゾルゲル法でレゾルシン(1,3−ジヒドロキシベンゼン)を除くヒドロキシベンゼン、殊にモノヒドロキシベンゼン、2,6−ジメチルフェノール、2,4−ジ−第三ブチルフェノールならびに前記ヒドロキシベンゼンとホルムアルデヒドとの混合物をフェノール−ホルムアルデヒド湿式ゲルにゲル化し、引続きこの湿式ゲルを0℃〜200℃の温度で対流乾燥させることを特徴とする、炭素キセロゲルの製造法。
【請求項6】
触媒として酸または塩基、殊に塩酸(HCl)または苛性ソーダ液(NaOH)を使用する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
溶剤は、水、ケトンまたはアルコール、殊にn−プロパノールである、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
ゲル化を20〜120℃の温度で行なう、請求項5から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
溶剤交換を実施しない、請求項5から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
フェノール対触媒のモル比P/Cは、0.1〜30である、請求項5から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ホルムアルデヒド対フェノールのモル比F/Pは、0.5〜20である、請求項5から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
反応体のフェノールおよびホルムアルデヒドの質量分Mは、全溶液に対して5%〜60%である、請求項5から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
PFキセロゲルを600℃を上廻る温度で保護ガス雰囲気下で炭化する、請求項5から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
炭素キセロゲルを500℃を上廻る温度で酸素含有ガスまたは塩溶融液で活性化するか、または200℃を下廻る温度で酸または塩基で活性化する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
モノリシックキセロゲルを、例えば粉砕の場合と同様に機械的力の作用によって、顆粒または粉末に微粉砕する、請求項5から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
熱絶縁体、IR吸着剤、触媒担体、フィルターとしての、またはスーパーキャパシター、燃料電池または二次電池における電極としての、または流体分離またはガス分離のための、またはセンサー技術における、または複合体における導電性成分および熱伝導性成分としての、または繊維強化された材料における複合体成分としての、または融液のための注型用金型としての、請求項1から4までのいずれか1項の記載に相当するキセロゲルまたは請求項5から15までのいずれか1項の記載により製造されたキセロゲルの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−526634(P2011−526634A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515451(P2011−515451)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058261
【国際公開番号】WO2010/000778
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(511004139)エボニック カーボンブラック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Carbon Black GmbH
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4, D−63457 Hanau, Germany
【Fターム(参考)】