説明

特殊シート

【課題】多数の文字等を簡単に消すことができ、また、携帯用のホワイトボードや、部屋内でのホワイトボードの機能を持たせること。さらには、何回も再使用できて、紙の省資源化を図ること。
【解決手段】ゲル状で水性インキで書かれた文字等を消しゴムで消去可能で主に紙材からなるシートであって、表面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施した一般紙11と、この一般紙11のカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層12とで特殊シート10を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲルインキボールペンで書いた文字、デザイン画、計算式等を簡単に消去できたり、逆に消去が不可能とした特殊シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、書いた文字等を簡単に消し去り、また複数回書き込むことができる種々の筆記用具が製造販売されている。その代表的なものがホワイトボードと筆記用マーカーである。
しかしながら、このホワイトボード用のマーカーは、軸心が太いために細字を書き込むことが困難であり、ホワイトボードも大型で厚みもあり、通常は部屋内に設置されているものである。そのため、この種のホワイトボードは携帯用には適していないという問題がある。
【0003】
ところで、株式会社パイロットコーポレーションから、消去が可能なゲルインキボールペンが販売されている。このゲルインキボールペンは、イーゲル(e−GEL)という商品名で、型番は、LH−12Eシリーズであり、ゲルインキボールペン自体に消しゴムが装着されている。
そして、このゲルインキボールペンにて紙に書いた後、間違った場合には、その文字等を付属の消しゴムにて消すことができるようになっている。
【0004】
今までのゲルインキボールペンは、ボールペンと同様に消しゴムでは消去が不可能であったが、この株式会社パイロットコーポレーションのゲルインキボールペンのインキは、一般の消しゴムで消せる特殊な水性ゲルインキが用いられており、ゲルインキで書いた場合でも消去が可能なため重宝がられている。
しかしながら、多くの文字等を書いた後で、一文字や二文字を消しゴムで消す場合は苦もなく消すことができるものの、多くの文字を消す場合や、紙に書いた文字を全部消して紙を再使用する場合は、大変な労力を必要とし、また、綺麗に文字を消すことができないという問題を有している。
【0005】
特に、一部の文字を消す場合は、綺麗に消すことができるが、多くの文字を消す場合は、消したつもりが文字が薄く残ってしまい、紙を再使用しようとしても使いづらく、結局紙を捨ててしまうことになり、資源の無駄遣いになってしまうことになる。
【0006】
また、上記ゲルインキボールペンは、消しゴムにて文字等を消去可能としている特性から、手、服、ペーパー等が文字等にこすれると、インキが少々とれやすく、書いた文字等が薄くなってしまう。さらには、ゲルインキボールペンにて書いて直ぐに手などで触れると少しインキがとれてしまって、文字等が薄くなるという問題もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、少なくとも以下の目的を備えた特殊シートを提供すること。
(1)多数の文字等を簡単に消すことができること。
(2)携帯用のホワイトボードや、部屋内でのホワイトボードの機能を持たせること。
(3)何回も再使用できて、紙の省資源化を図ること。
(4)上記とは逆に、消しゴムで消去が可能なゲルインキボールペンで書いた場合でも文字等が消去ができないようにすること。
(5)墨汁や毛筆ペンで書いた場合に、インキを簡単に消去できる特殊シートを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明の請求項1に記載の特殊シートでは、ゲル状で水性インキで書かれた文字等を消しゴムで消去可能で主に紙材からなるシートであって、
前記シートを、製紙メーカー出荷段階で既に表面に耐水耐油コートがされている特殊シート1としていることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の特殊シートでは、ゲル状で水性インキで書かれた文字等を消しゴムで消去可能で主に紙材からなるシートであって、
前記シートを、
表面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施した一般紙11と、この一般紙11のカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層12とで構成した特殊シート10としていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の特殊シートでは、前記一般紙11の両面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷をそれぞれ施すと共に、このカラー印刷を施した表面にそれぞれトップニス加工してニスコーティング層12をそれぞれ形成していることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の特殊シートでは、ゲル状で水性インキで書かれた文字等を消しゴムで消去可能で主に紙材からなるシートであって、
前記シートを、
表面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施した一般紙11と、この一般紙11のカラー印刷を施した表面に硝化綿をトップコートした硝化綿コーティング層13とで構成した特殊シート10としていることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の特殊シートでは、前記一般紙11の両面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷をそれぞれ施すと共に、このカラー印刷を施した表面にそれぞれ硝化綿をトップコートして硝化綿コーティング層13をそれぞれ形成していることを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の特殊シートでは、前記請求項1の特殊シート1の表面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施し、このカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層12を形成した特殊シート20としていることを特徴としている。
【0014】
請求項7に記載の特殊シートでは、前記特殊シート1の両面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷をそれぞれ施し、このカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層12をそれぞれ形成していることを特徴としている。
【0015】
請求項8に記載の特殊シートでは、前記請求項1の特殊シート1の表面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施し、このカラー印刷を施した表面に硝化綿をトップコートした硝化綿コーティング層13を形成した特殊シート20としていることを特徴としている。
【0016】
請求項9に記載の特殊シートでは、前記特殊シート1の両面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷をそれぞれ施し、このカラー印刷を施した表面に硝化綿をトップコートした硝化綿コーティング層13をそれぞれ形成していることを特徴としている。
【0017】
請求項10に記載の特殊シートでは、ゲル状で水性インキで書かれた文字等を消しゴムで消去可能で主に紙材からなるシートであって、
前記シートを、
一般紙11と、この一般紙11の表面に貼合されポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムのいずれかとして表面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施したフィルム層31と、このフィルム層31のカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層12とで構成した特殊シート30としていることを特徴としている。
【0018】
請求項11に記載の特殊シートでは、前記一般紙11の両面に前記フィルム層31をそれぞれ形成し、前記フィルム層31の表面に前記ニスコーティング層12をそれぞれ形成していることを特徴としている。
【0019】
請求項12に記載の特殊シートでは、ゲル状で水性インキで書かれた文字等を消しゴムで消去可能で主に紙材からなるシートであって、
前記シートを、
一般紙11と、この一般紙11の表面に貼合されポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムのいずれかとして表面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施したフィルム層31と、このフィルム層31のカラー印刷を施した表面に硝化綿をトップコートした硝化綿コーティング層13とで構成した特殊シート30としていることを特徴としている。
【0020】
請求項13に記載の特殊シートでは、前記一般紙11の両面に前記フィルム層31をそれぞれ形成し、前記フィルム層31の表面に前記硝化綿コーティング層13をそれぞれ形成していることを特徴としている。
【0021】
請求項14に記載の特殊シートでは、消しゴムで消去が可能なインキを用いた筆記用具にて文字等を書くシートであって、
前記シートを、
ノーサイズ品またはサイズの弱い紙質からなるベース紙41と、このベース紙41の表面に水溶性樹脂をウェットコートした水溶性樹脂コーティング層42とで構成した特殊シート40としていることを特徴としている。
【0022】
請求項15に記載の特殊シートでは、前記水溶性樹脂を、ポバール、アクリル系樹脂、酢ビ系樹脂、カゼイン水溶液、澱粉のいずれかとしていることを特徴としている。
【0023】
請求項16に記載の特殊シートでは、前記水溶性樹脂に重量比で5〜10%の界面活性剤を添加していることを特徴としている。
【0024】
請求項17に記載の特殊シートでは、前記ベース紙41の裏面に、ポリエステルフィルムまたはポリプロピレンフィルムのいずれかのフィルム層43を形成していることを特徴としている。
【0025】
請求項18に記載の特殊シートでは、消しゴムで消去が可能なインキを用いた筆記用具にて文字等を書くシートであって、
前記シートを、
一般紙11またはベース紙41と、この一般紙11またはベース紙41の表面に貼合されポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムのいずれかとして表面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施したフィルム層31と、このフィルム層31のカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層12と、前記一般紙11またはベース紙41の裏面に形成した前記水溶性樹脂コーティング層42とで構成した特殊シート50としていることを特徴としている。
【0026】
請求項19に記載の特殊シートでは、消しゴムで消去が可能なインキを用いた筆記用具にて文字等を書くシートであって、
前記シートを、
一般紙11またはベース紙41と、この一般紙11またはベース紙41の表面に貼合されポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムのいずれかとして表面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施したフィルム層31と、このフィルム層31のカラー印刷を施した表面に硝化綿をトップコートした硝化綿コーティング層13と、前記一般紙11またはベース紙41の裏面に形成した前記水溶性樹脂コーティング層42とで構成した特殊シート50としていることを特徴としている。
【0027】
請求項20に記載の特殊シートでは、前記水溶性樹脂を、ポバール、アクリル系樹脂、酢ビ系樹脂、カゼイン水溶液、澱粉のいずれかとしていることを特徴としている。
【0028】
請求項21に記載の特殊シートでは、前記水溶性樹脂に重量比で5〜10%の界面活性剤を添加していることを特徴としている。
【0029】
請求項22に記載の特殊シートでは、墨汁や水性の毛筆ペンで表面に文字等を書く透明なポリエステルフィルム59で特殊シート60を構成していることを特徴としている。
【0030】
請求項23に記載の特殊シートでは、一般紙61の少なくとも一方の面に、ポリエステルフィルムまたはポリプロピレンフィルムからなるフィルム層62を形成して特殊シート60を構成していることを特徴としている。
【0031】
請求項24に記載の特殊シートでは、前記請求項22、請求項23で構成される特殊シート60の少なくとも一方の面に、透明の硝化綿をコートした硝化綿コーティング層63を形成していることを特徴としている。
【0032】
請求項25に記載の特殊シートでは、前記特殊シート60の表面にエムボス加工を施していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0033】
本発明の請求項1に記載の特殊シートによれば、ゲル状で水性インキで書かれた文字等を消しゴムで消去可能で主に紙材からなるシートであって、前記シートを、製紙メーカー出荷段階で既に表面に耐水耐油コートがされている特殊シート1としているので、特殊シート1に書いた文字等をティッシュペーパー等にて簡単に消すことができ、特殊シート1を何回も再使用できて紙の省資源化を図ることができる。しかも、携帯が可能であり、そのため、携帯用のホワイトボードとしての機能を持たせることができる。また、製紙メーカー段階での特殊シート1をそのまま使用することができ、特に特殊な加工を施す必要もない。
【0034】
請求項2に記載の特殊シートによれば、表面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施した一般紙11と、この一般紙11のカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層12とで特殊シート10を構成しているので、特殊シート10の表面のニスコーティング層12に文字等を書き、文字等を書いた後はティッシュペーパー等で拭くことで、文字等を簡単に消すことができる。また、何回も再使用してもインキがはじくこともなく、しかも再使用してもティッシュペーパー等にて綺麗に文字等を消すことができる。また、何回も再使用できて、紙の省資源化を図ることができる。
さらに、特殊シート10を可搬可能な大きさとすることで、携帯用のホワイトボードとして使用でき、また、特殊シート10の大きさを適宜な大きさとすることで、部屋内で使用するホワイトボードとしても使用することができる。
【0035】
請求項3に記載の特殊シートによれば、前記一般紙11の両面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷をそれぞれ施すと共に、このカラー印刷を施した表面にそれぞれトップニス加工してニスコーティング層12をそれぞれ形成しているので、特殊シート10の両面を使用することができ、使い勝手が良くなり、また、完全にインキの浸透を防ぐことができると共に、強度も付与することができる。
【0036】
請求項4に記載の特殊シートによれば、表面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施した一般紙11と、この一般紙11のカラー印刷を施した表面に硝化綿をトップコートした硝化綿コーティング層13とで特殊シート10を構成しているので、特殊シート10の表面の硝化綿コーティング層13に文字等を書き、文字等を書いた後はティッシュペーパー等で拭くことで、文字等を簡単に消すことができる。また、何回も再使用してもインキがはじくこともなく、しかも再使用してもティッシュペーパー等にて綺麗に文字等を消すことができる。また、何回も再使用できて、紙の省資源化を図ることができる。
さらに、特殊シート10を可搬可能な大きさとすることで、携帯用のホワイトボードとして使用でき、また、特殊シート10の大きさを適宜な大きさとすることで、部屋内で使用するホワイトボードとしても使用することができる。
【0037】
請求項5に記載の特殊シートによれば、前記一般紙11の両面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷をそれぞれ施すと共に、このカラー印刷を施した表面にそれぞれ硝化綿をトップコートして硝化綿コーティング層13をそれぞれ形成しているので、特殊シート10の両面を使用することができ、使い勝手が良くなり、また、完全にインキの浸透を防ぐことができると共に、強度も付与することができる。
【0038】
請求項6に記載の特殊シートによれば、前記請求項1の特殊シート1の表面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施し、このカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層12を形成した特殊シート20としているので、ティッシュペーパー等で書いた文字等を簡単に消すことができ、しかも何回再使用してもインキがはじくこともなく、綺麗に文字等を書くことができる。また、何回も再使用できて、紙の省資源化を図ることができる。
さらに、特殊シート20を可搬可能な大きさとすることで、携帯用のホワイトボードとして使用でき、また、特殊シート20の大きさを適宜な大きさとすることで、部屋内で使用するホワイトボードとしても使用することができる。
【0039】
請求項7に記載の特殊シートによれば、前記特殊シート1の両面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷をそれぞれ施し、このカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層12をそれぞれ形成しているので、特殊シート10の両面を使用することができ、使い勝手が良くなり、また、完全にインキの浸透を防ぐことができると共に、強度も付与することができる。
【0040】
請求項8に記載の特殊シートによれば、前記請求項1の特殊シート1の表面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施し、このカラー印刷を施した表面に硝化綿をトップコートした硝化綿コーティング層13を形成した特殊シート20としているので、ティッシュペーパー等で書いた文字等を簡単に消すことができ、しかも何回再使用してもインキがはじくこともなく、綺麗に文字等を書くことができる。また、何回も再使用できて、紙の省資源化を図ることができる。
さらに、特殊シート20を可搬可能な大きさとすることで、携帯用のホワイトボードとして使用でき、また、特殊シート20の大きさを適宜な大きさとすることで、部屋内で使用するホワイトボードとしても使用することができる。
【0041】
請求項9に記載の特殊シートによれば、特殊シート1の両面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷をそれぞれ施し、このカラー印刷を施した表面に硝化綿をトップコートした硝化綿コーティング層13をそれぞれ形成しているので、特殊シート20の両面を使用することができ、使い勝手が良くなり、また、完全にインキの浸透を防ぐことができると共に、強度も付与することができる。
【0042】
請求項10に記載の特殊シートによれば、一般紙11と、この一般紙11の表面に貼合されポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムのいずれかとして表面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施したフィルム層31と、このフィルム層31のカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層12とで特殊シート30を構成しているので、ティッシュペーパー等で書いた文字等を簡単に消すことができ、しかも何回再使用してもインキがはじくこともなく、綺麗に文字等を書くことができる。また、何回も再使用が出来るので、紙の省資源化を図ることができる。
さらに、特殊シート30を可搬可能な大きさとすることで、携帯用のホワイトボードとして使用でき、また、特殊シート30の大きさを適宜な大きさとすることで、部屋内で使用するホワイトボードとしても使用することができる。
【0043】
請求項11に記載の特殊シートによれば、一般紙11の両面に前記フィルム層31をそれぞれ形成し、前記フィルム層31の表面に前記ニスコーティング層12をそれぞれ形成しているので、特殊シート30の両面を使用することができ、使い勝手が良くなり、また、完全にインキの浸透を防ぐことができると共に、強度も付与することができる。
【0044】
請求項12に記載の特殊シートによれば、一般紙11と、この一般紙11の表面に貼合されポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムのいずれかとして表面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施したフィルム層31と、このフィルム層31のカラー印刷を施した表面に硝化綿をトップコートした硝化綿コーティング層13とで特殊シート30を構成しているので、ティッシュペーパー等で書いた文字等を簡単に消すことができ、しかも何回再使用してもインキがはじくこともなく、綺麗に文字等を書くことができる。また、何回も再使用が出来るので、紙の省資源化を図ることができる。
さらに、特殊シート30を可搬可能な大きさとすることで、携帯用のホワイトボードとして使用でき、また、特殊シート30の大きさを適宜な大きさとすることで、部屋内で使用するホワイトボードとしても使用することができる。
【0045】
請求項13に記載の特殊シートによれば、一般紙11の両面に前記フィルム層31をそれぞれ形成し、前記フィルム層31の表面に前記硝化綿コーティング層13をそれぞれ形成しているので、特殊シート30の両面を使用することができ、使い勝手が良くなり、また、完全にインキの浸透を防ぐことができると共に、強度も付与することができる。
【0046】
請求項14に記載の特殊シートによれば、ノーサイズ品またはサイズの弱い紙質からなるベース紙41と、このベース紙41の表面に水溶性樹脂をウェットコートした水溶性樹脂コーティング層42とで構成した特殊シート40としているので、特殊シート40の水溶性樹脂コーティング層42の面にゲルインキボールペンにて文字等を書いた場合でも、本来消去できるはずのゲルインキであっても容易に文字等を消すことができない。水溶性樹脂コーティング層42上に書いた文字等を指やティッシュペーパー等でこすっても文字等は容易に消されることはない。
【0047】
請求項15に記載の特殊シートによれば、前記水溶性樹脂を、ポバール、アクリル系樹脂、酢ビ系樹脂、カゼイン水溶液、澱粉のいずれかとしているので、これらの水溶性樹脂が文字等が消されないものとして好適例である。
【0048】
請求項16に記載の特殊シートによれば、前記水溶性樹脂に重量比で5〜10%の界面活性剤を添加していることで、ゲルインキボールペンのインキの浸透性を高め、強い摩擦にも書いた文字等が消されることはない。
【0049】
請求項17に記載の特殊シートによれば、前記ベース紙41の裏面に、ポリエステルフィルムまたはポリプロピレンフィルムのいずれかのフィルム層43を形成しているので、特殊シート40に強度を付与することができる。
【0050】
請求項18に記載の特殊シートによれば、一般紙11またはベース紙41と、この一般紙11またはベース紙41の表面に貼合されポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムのいずれかとして表面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施したフィルム層31と、このフィルム層31のカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層12と、前記一般紙11またはベース紙41の裏面に形成した前記水溶性樹脂コーティング層42とで構成した特殊シート50としているので、特殊シート50の一方の面(ニスコーティング層12)で書いた文字等は上述したように容易に消去が可能であり、また、特殊シート50の他方の面(水溶性樹脂コーティング層42)で書いた文字等は容易に消すことができないようになっている。これにより、特殊シート50は、文字等の消去可能、消去不可能といった機能をそれぞれ備えており、上記のゲルインキボールペンのみで、書き残したり、消しさったりするのをシート面を選択して行なうことができる。
【0051】
請求項19に記載の特殊シートによれば、一般紙11またはベース紙41と、この一般紙11またはベース紙41の表面に貼合されポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムのいずれかとして表面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施したフィルム層31と、このフィルム層31のカラー印刷を施した表面に硝化綿をトップコートした硝化綿コーティング層13と、前記一般紙11またはベース紙41の裏面に形成した前記水溶性樹脂コーティング層42とで構成した特殊シート50としているので、特殊シート50の一方の面(硝化綿コーティング層13)で書いた文字等は上述したように容易に消去が可能であり、また、特殊シート50の他方の面(水溶性樹脂コーティング層42)で書いた文字等は容易に消すことができないようになっている。これにより、特殊シート50は、文字等の消去可能、消去不可能といった機能をそれぞれ備えており、上記のゲルインキボールペンのみで、書き残したり、消しさったりするのをシート面を選択して行なうことができる。
【0052】
請求項20に記載の特殊シートによれば、前記水溶性樹脂を、ポバール、アクリル系樹脂、酢ビ系樹脂、カゼイン水溶液、澱粉のいずれかとしているので、これらの水溶性樹脂が文字等が消されないものとして好適例である。
【0053】
請求項21に記載の特殊シートによれば、前記水溶性樹脂に重量比で5〜10%の界面活性剤を添加しているので、ゲルインキボールペンのインキの浸透性を高め、強い摩擦にも書いた文字等が消されることはない。
【0054】
請求項22に記載の特殊シートによれば、墨汁や水性の毛筆ペンで表面に文字等を書く透明なポリエステルフィルム59で特殊シート60を構成しているので、特殊シート60を写本の上に置いて、下の文字をお手本として写し書きができ、文字の練習として使い勝手が良い。特に、特殊シート60の全面にあっては文字を書いた後は、ティッシュペーパー等で拭くことで、容易に文字を消去でき、そのため、再使用できるので、省資源化を図ることができる。
【0055】
請求項23に記載の特殊シートによれば、一般紙61の少なくとも一方の面に、ポリエステルフィルムまたはポリプロピレンフィルムからなるフィルム層62を形成して特殊シート60を構成しているので、人が文字を書く場合は、通常は紙に書きたいという要求から、見た目には透明なフィルム層62を介して一般紙61を視認できるので、フィルム層62の表面に文字を書くものの、紙の上に書いているような感じを与えることができる。フィルム層62の表面に書いた文字を消す場合も簡単に消すことができる。
【0056】
請求項24に記載の特殊シートによれば、前記請求項22、請求項23で構成される特殊シート60の少なくとも一方の面に、透明の硝化綿をコートした硝化綿コーティング層63を形成しているので、文字をムラなく綺麗に書くことができ、また、書いた後に水洗いやティッシュペーパーなどの拭き取りにより、インキが取り易くなり、綺麗に文字を消去することができる。
【0057】
請求項25に記載の特殊シートによれば、前記特殊シート60の表面にエムボス加工を施しているので、特殊シート60に文字を書く際に、書き味に変化をつけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明において使用するゲルインキボールペンは、上述した株式会社パイロットコーポレーション製のゲルインキボールペンであり、イーゲル(e−GEL)という商品名で、型番は、LH−12Eシリーズのゲルインキボールペンを用いることを前提としているが、他社のゲルインキボールペンで、同様に消しゴムで消去が可能なものでも良い。
【0059】
ところで、上記パイロット製のゲルインキボールペンのインキ特性は、インキがゲル状で水性のため、紙材への浸透が強いものとなっている。そこで、紙材の表面に浸透防止層を設けることで、文字、デザイン画、計算式等を簡単に消去できるようにしたものである。なお、以下の各実施形態において紙材の坪量は、50〜200g/m2 の間のものを用い、用途に応じて適宜選択する。
【0060】
本発明者は、種々の紙材を検討した結果、紙材自体に浸透防止層を付与しなくても製紙メーカーから販売されている紙材に耐水耐油コートされている紙材の場合は本発明を適用することが可能なことを発見した。
製紙メーカーの出荷段階で既に耐水耐油コートされている紙材としては以下のものがある。
・エスプリコート紙(日本製紙株式会社製)
・ピカソコート紙(大王製紙株式会社製)
・ミラーコート紙(王子製紙株式会社製)
・竜王コート紙(大王製紙株式会社製)
【0061】
図1は、上記製紙メーカー段階で耐水耐油コートがされている特殊シート1の拡大断面図を示し、この特殊シート1は、ベース紙2の表面に耐水耐油コート層3をコーティングしたものであり、この耐水耐油コート層3の面に上記ゲルインキボールペンにて文字等を書くようにしている。なお、図1ではベース紙2の一方の面にのみ耐水耐油コート層3を設けている場合を示しているが、ベース紙2の他方の面(裏面)にも耐水耐油コート層3を設けるようにしても良い。
【0062】
図2は上記特殊シート1の耐水耐油コート層3の面にゲルインキボールペン4にて文字を書いているのを示しており、文字等を書いた後は、指、ティッシュペーパー等にてこすることで、書いた文字等を簡単に消すことができる。特に、特殊シート1の全面にわたって書いた文字等は、容易に消すことができるものであり、文字等を消した後は、特殊シート1を再使用(再書き込み)することが可能である。
また、特殊シート1の大きさは、携帯が可能なように通常のB5版、A4版などの可搬が可能な大きさとしているが、手持ちの大きさに限られるものではない。例えば、事務所などの部屋内で今までのホワイトボードの代わりに使用する場合には、ホワイトボードと同様の大きさの特殊シート1を用いるようにしても良い。
【0063】
このように本実施形態では、特殊シート1に書いた文字等をティッシュペーパー等にて簡単に消すことができ、特殊シート1を何回も再使用できて紙の省資源化を図ることができる。しかも、携帯が可能であり、そのため、携帯用のホワイトボードとしての機能を持たせることができる。また、製紙メーカー段階での特殊シート1をそのまま使用することができ、特に特殊な加工を施す必要もない。
【0064】
(第2の実施の形態)
上記第1の実施形態においては、特殊シート1にゲルインキボールペン4にて文字等を書いた場合、インキが少しはじくという問題があり、また、文字等を消して何回か再使用していると、インキがはじいて書きにくくなるという問題がある。さらに、何回か再使用していると、文字等をティッシュペーパーで拭いても文字等がとれにくくなる。
【0065】
そこで、本実施形態ではこれらの問題を解決すべく成したものである。図3及び図4は、一般紙(ノーコート紙)11の表面に特殊コートしたインキ浸透防止層を設けた特殊シート10の拡大断面図をそれぞれ示している。なお、ここでいう一般紙11は、表面に耐水、耐油等の何らのコーティング加工がされていない通常の紙をいう。
【0066】
図3は、一般紙11の表面にオフセット印刷にて全面を白色又は淡色カラー印刷を施し、このオフセット印刷により形成される印刷コート層14の表面にトップニス加工をして、このトップニス加工した層をニスコーティング層12としている。
また、図4は、一般紙11の表面にグラビア印刷にて、上記と同様に全面を白色又は淡色カラー印刷を施し、このグラビア印刷により形成される印刷コート層14の表面に硝化綿(ウェット7〜10g/m2 )をトップコートして、この硝化綿のトップコートした層を硝化綿コーティング層13としている。なお、硝化綿のコート量で7g/m2 以下では消去しにくく、また、10g/m2 を超える場合は、徐々に効果があるものの経済的効果が乏しい。
【0067】
本実施形態では、特殊シート10の表面のニスコーティング層12または硝化綿コーティング層13に文字等を書き、文字等を書いた後はティッシュペーパー等で拭くことで、文字等を簡単に消すことができる。また、第1の実施形態とは異なり、何回も再使用してもインキがはじくこともなく、しかも再使用してもティッシュペーパー等にて綺麗に文字等を消すことができる。また、何回も再使用が出来るので、紙の省資源化を図ることができる。
さらに、特殊シート10を可搬可能な大きさとすることで、携帯用のホワイトボードとして使用でき、また、特殊シート10の大きさを適宜な大きさとすることで、部屋内で使用するホワイトボードとしても使用することができる。
【0068】
なお、図3及び図4では、一般紙11の一方の面にのみオフセット印刷やグラビア印刷を施した後に、インキ浸透防止層12、硝化綿コーティング層13を形成しているが、他方の面(裏面)にもオフセット印刷やグラビア印刷を施して形成される印刷コート層14の表面にインキ浸透防止層12、硝化綿コーティング層13を形成するようにしても良い。
かかる場合には、特殊シート10の両面を使用することができ、使い勝手が良くなり、また、完全にインキの浸透を防ぐことができると共に、強度も付与することができる。
【0069】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態の特殊シート1の耐水耐油コート層3の表面に第2の実施形態の加工を施したものである。
【0070】
すなわち、図5は、耐水耐油コート層3の表面にオフセット印刷にて全面を白色又は淡色カラー印刷を施し、このオフセット印刷により形成される印刷コート層14の表面にトップニス加工をして、このトップニス加工した層をニスコーティング層12としている。
また、図6は、耐水耐油コート層3の表面にグラビア印刷にて、上記と同様に全面を白色又は淡色カラー印刷を施し、このグラビア印刷により形成される印刷コート層14の表面に硝化綿(ウェット7〜10g/m2 )をトップコートして、この硝化綿のトップコートした層を硝化綿コーティング層13としている。このようにした加工したものをそれぞれ特殊シート20としている。
【0071】
図5及び図6に示す特殊シート20の機能は先の実施形態と同様であるが、耐水耐油コート層3の表面にさらにニスコーティング層12または硝化綿コーティング層13を設けていることで、ティッシュペーパー等で書いた文字等を簡単に消すことができ、しかも何回再使用してもインキがはじくこともなく、綺麗に文字等を書くことができる。また、何回も再使用できて、紙の省資源化を図ることができる。
さらに、特殊シート20を可搬可能な大きさとすることで、携帯用のホワイトボードとして使用でき、また、特殊シート20の大きさを適宜な大きさとすることで、部屋内で使用するホワイトボードとしても使用することができる。
【0072】
なお、図5及び図6では、耐水耐油コート層3の表面にオフセット印刷やグラビア印刷を施した後にニスコーティング層12、硝化綿コーティング層13を形成した場合を示しているが、ベース紙2の下面にもオフセット印刷やグラビア印刷により形成される印刷コート層14の表面にニスコーティング層12または硝化綿コーティング層13を形成し、特殊シート20の両面にニスコーティング層12または硝化綿コーティング層13を設けるようにしても良い。
これにより、特殊シート10の両面を使用することができ、使い勝手が良くなり、また、完全にインキの浸透を防ぐことができると共に、強度も付与することができる。
【0073】
(第4の実施の形態)
本実施形態では、一般紙に、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムのいずれかのフィルムを貼合し、このフィルムの表面に上記第2の実施形態の場合と同様の加工を施したものである。
【0074】
すなわち、図7に示すように、上記第2の実施形態と同じ一般紙11の表面に、厚さを12〜30μmとしたポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムのいずれかのフィルムを貼合してフィルム層31を形成する。
そして、このフィルム層31の表面にオフセット印刷にて全面を白色又は淡色カラー印刷を施し、このオフセット印刷により形成される印刷コート層14の表面にトップニス加工をして、このトップニス加工した層をニスコーティング層12としている。
【0075】
また、図8は、フィルム層31の表面にグラビア印刷にて、上記と同様に全面を白色又は淡色カラー印刷を施し、このグラビア印刷により形成される印刷コート層14の表面に硝化綿(ウェット7〜10g/m2 )をトップコートして、この硝化綿のトップコートした層を硝化綿コーティング層13としている。このようにした加工したものをそれぞれ特殊シート30としている。
【0076】
本実施形態では、図7及び図8に示す特殊シート30の機能は先の実施形態と同様であるが、フィルム層31の表面に印刷コート層14を介してさらにニスコーティング層12または硝化綿コーティング層13を設けていることで、ティッシュペーパー等で書いた文字等を簡単に消すことができ、しかも何回再使用してもインキがはじくこともなく、綺麗に文字等を書くことができる。また、何回も再使用が出来るので、紙の省資源化を図ることができる。
さらに、特殊シート30を可搬可能な大きさとすることで、携帯用のホワイトボードとして使用でき、また、特殊シート30の大きさを適宜な大きさとすることで、部屋内で使用するホワイトボードとしても使用することができる。
【0077】
なお、図7及び図8では、一般紙11の一方の面にフィルム層31とニスコーティング層12または硝化綿コーティング層13を設けているが、一般紙11の他方の面(裏面)にもフィルム層31、印刷コート層14を形成して、印刷コート層14の表面にニスコーティング層12または硝化綿コーティング層13を設けるようにしても良い。
これにより、特殊シート30の内部へのインキの浸透を改善に防ぐことができると共に、強度も付与することができる。
【0078】
上記各実施形態の特殊シートの表面には、通常のボールペンや鉛筆でも文字等を書けることができるものであり、また、ゲルインキボールペン4で書いた場合、その表面を水洗いして文字等を消すことも簡単にできる。
【0079】
なお、上記各実施形態における特殊シートの性能としては、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、第4の実施形態の順に良くなっている。特に第4の実施形態において一般紙11の両面にフィルム層31とニスコーティング層12または硝化綿コーティング層13を形成した場合には、文字等の消去性能、再使用の頻度等の性能が一番良い結果を得ている。
【0080】
また、本発明の特殊シートの用途としては、カレンダー、メモ用紙、紙製のファイル、ティッシュペーパーの外箱などである。特に、書いた文字等を消去することが簡単なので、特殊シートをメモ用紙として使用が可能であり、カレンダーやティッシュペーパーの外箱をメモ用紙代わりに使用することができる。
特に、今後、紙製品の値上がりの動きがあり、文字等を消して再使用(再利用)ができることから、省資源化の観点から好適な特殊シートを提供することができるものである。
【0081】
(第5の実施の形態)
図9に第5の実施形態を示す。本実施形態では、紙材を所謂ノーサイズ品またはサイズの弱い紙でラフな紙質からなるベース紙41の表面に、一般紙や和紙に親水性のあるゲルインキを受容する水溶性樹脂を25〜40g/m2 の範囲でウェットコートして水溶性樹脂コーティング層42を形成して特殊シート40を構成したものである。
上記水溶性樹脂としては、ポバール、アクリル系樹脂、酢ビ系樹脂、カゼイン水溶液、澱粉等を用いており、坪量はベース紙41の原紙に応じて25〜40g/m2 の範囲で適宜調整してコーティングする。これらの水溶性樹脂が文字等が消されないものとして好適例である。なお、25g/m2 未満では、文字等が若干消去可能であり、また、40g/m2 を超える場合には、効果は徐々に向上するが、経済的効果が乏しい。
【0082】
なお、ゲルインキボールペンのインキの浸透性を高め、強い摩擦にも書いた文字等が消されることのないように、上記水溶液樹脂に重量比で5〜10%の界面活性剤を添加するようにしても良い。
なお、水溶性樹脂に界面活性剤を添加する割合であるが、5%未満ではインキの浸透性が高くなく、また、10%を超える場合には、効果は徐々に向上するが経済的効果に乏しい。
【0083】
特殊シート40の水溶性樹脂コーティング層42の面に上記ゲルインキボールペンにて文字等を書いた場合でも、本来消去できるはずのゲルインキであっても容易に文字等を消すことができない。水溶性樹脂コーティング層42上に書いた文字等を指やティッシュペーパー等でこすっても文字等は容易に消すことはできない。なお、上記水溶性樹脂として、カゼイン水溶液を用いた場合、特に良好な結果(消去が不可)を得た。
また、上記界面活性剤を水溶性樹脂に添加することで、強い摩擦にも文字等が消されることがなく、一層良好な結果を得た。
【0084】
(第6の実施の形態)
図10は第6の実施形態を示し、図9に示すベース紙41の裏面に、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの厚みを12〜30μmとしたフィルム層43を貼合して特殊シート40を構成したものである。
本実施形態では、上記第5の実施形態に効果に加えて、ベース紙41の裏面にフィルム層43を形成していることで、特殊シート40に強度を付与することができる。
【0085】
(第7の実施の形態)
本実施形態は、図11に示すように、ベース紙41の両面に図9の場合と同様の水溶性樹脂コーティング層42を形成した場合である。
本実施形態では、図9の場合と比べて両面に文字等を書くことができ、特殊シート40を節約することができる。
【0086】
(第8の実施の形態)
図12及び図13は第8の実施形態を示し、図12は図7に示す特殊シート30の一般紙11またはベース紙41の裏面に上記水溶性樹脂コーティング層42を形成した場合を示している。また、図13は図8に示す特殊シート30の一般紙11またはベース紙41の裏面に上記水溶性樹脂コーティング層42を形成した場合を示している。
図12の特殊シート50の一方の面はニスコーティング層12が形成されている場合であり、図13の特殊シート50の一方の面は硝化綿コーティング層13が形成されている場合である。
【0087】
そして、図12及び図13において、特殊シート50の一方の面のニスコーティング層12、硝化綿コーティング層13が形成されており、他方の面には水溶性樹脂コーティング層42が形成されている構造となっている。
本実施形態では、特殊シート50の一方の面(ニスコーティング層12、硝化綿コーティング層13)で書いた文字等は上述したように容易に消去が可能であり、また、特殊シート50の他方の面(水溶性樹脂コーティング層42)で書いた文字等は容易に消すことができないようになっている。
【0088】
これにより、特殊シート50は、文字等の消去可能、消去不可能といった機能をそれぞれ備えており、上記のゲルインキボールペンのみで、書き残したり、消しさったりするのをシート面を選択して行なうことができる。
なお、本実施形態の特殊シート50のニスコーティング層12または硝化綿コーティング層13の消去可能な面で文字等を書いた直後などは、インキに触れると消去される可能性があり、そのため、ポリプロピレンのファイル内に入れると、多少の摩擦によっても文字等は消去されることはない。文字等を消去したい場合は、ファイルから特殊シート50を取り出して、ティッシュペーパー等で拭くことで文字等を容易に消去することができる。
【0089】
(第9の実施の形態)
本実施形態以降は、筆記具として上記のゲルインキボールペンではなく、墨汁や毛筆タイプのペンを使用する場合の実施形態であり、文字等を書いた後は水洗いや雑巾やティッシュペーパーでの拭き取りで容易に文字等を消すことができる特殊シートの実施形態である。
【0090】
図14は特殊シート60の要部拡大断面図を示しており、材料としては透明なポリエステルフィルム59を単独で用いており、厚さは50〜100μmとして比較的厚みのあるものである。このポリエステルフィルム59の表面に墨汁や毛筆ペンの水溶性のインキで書いた場合、綺麗に書くことができるのと、水洗いや拭き取りで容易に文字等を消去できるのを本発明が知見したものである。
この透明な特殊シート60の場合は、該特殊シート60を写本の上に置いて、下の文字をお手本として写し書きができ、文字の練習として使い勝手が良い。特に、特殊シート60の全面にあっては文字を書いた後は、ティッシュペーパー等で拭くことで、容易に文字を消去でき、そのため、再使用できるので、省資源化を図ることができる。
【0091】
なお、本実施形態の特殊シート60はポリエステルフィルム59単独であり、そのため、両面に文字を書くことが可能であり、両面機能を備えている。
【0092】
(第10の実施の形態)
次に、第10の実施形態について説明する。図15に示す特殊シート60は、坪量を50〜200g/m2 とした範囲内の紙材からなる一般紙61と、この一般紙61の表面に貼合し、ポリエステルフィルムの場合は厚みを12μmとし、ポリプロピレンフィルムとした場合は厚みを20〜30μmとしたフィルム層62とで構成したものである。
【0093】
人が文字を書く場合は、通常は紙に書きたいという要求から、見た目には透明なフィルム層62を介して一般紙61を視認できるので、フィルム層62の表面に文字を書くものの、紙の上に書いているような感じを与えることができる。
なお、フィルム層62の表面に書いた文字を消す場合は、上記第9の実施形態の場合と同様である。
【0094】
図16は、一般紙61の両面に上記と同じフィルム層62を貼合して特殊シート60を構成したものであり、図15の片面機能に対して、図16は両面機能を持たせたものである。
【0095】
(第11の実施の形態)
上記図14〜図16に示す特殊シート60の場合は、表面にコートしていないために、インキの若干のはじきがあり、また、インキの拭き取りも少し労を要していた。
そこで、本実施形態では、図14〜図16に示すシートの表面に透明な硝化綿をウェットで7〜15g/m2 の範囲でコートしたものである。この硝化綿のコート量で7g/m2 以下では文字等が綺麗に書けない場合があり、また、インキを綺麗にとれにくい。15g/m2 を超える場合は、効果が徐々に向上するが、経済的効果が乏しい。
【0096】
すなわち、図17は図14に対応するものであり、ポリエステルフィルム59の表面に硝化綿をコーティングして硝化綿コーティング層63を形成した特殊シート60の場合である。なお、ポリエステルフィルム59の裏面にも硝化綿コーティング層63を形成するようにしても良い。
図18は図15に対応するものであり、フィルム層62の上面に硝化綿コーティング層63をコーティングして特殊シート60を構成したものである。また、図19は図16に対応するものであり、一般紙61の両面のフィルム層62、62の表面に硝化綿コーティング層63をそれぞれ形成して特殊シート60を構成したものである。
【0097】
図17〜図19に示す特殊シート60の硝化綿コーティング層63の表面に文字を書くものであり、この硝化綿コーティング層63を形成していることで、文字をムラなく綺麗に書くことができ、また、書いた後に水洗いやティッシュペーパーなどの拭き取りにより、インキが取り易くなり、綺麗に文字を消去することができる。
【0098】
なお、図14〜図19に示す特殊シート60の表面に種々の細かいエムボス加工を施すようにしても良い。かかる場合には、特殊シート60に文字を書く際に、書き味に変化をつけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1の実施の形態における特殊シートの要部拡大断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における使用状態を示す説明図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における一般紙の表面にニスコーティング層を設けた特殊シートの要部拡大断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における一般紙の表面に硝化綿コーティング層を設けた特殊シートの要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態における耐水耐油コート層の表面にニスコーティング層を設けた特殊シートの要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態における耐水耐油コート層の表面に硝化綿コーティング層を設けた特殊シートの要部拡大断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態におけるフィルム層の表面にニスコーティング層を設けた特殊シートの要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態におけるフィルム層の表面に硝化綿コーティング層を設けた特殊シートの要部拡大断面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態における水溶性樹脂コーティング層を設けた特殊シートの要部拡大断面図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態における水溶性樹脂コーティング層とフィルム層を設けた特殊シートの要部拡大断面図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態における両面に水溶性樹脂コーティング層を設けた特殊シートの要部拡大断面図である。
【図12】本発明の第8の実施の形態における特殊シートの要部拡大断面図である。
【図13】本発明の第8の実施の形態における特殊シートの要部拡大断面図である。
【図14】本発明の第9の実施の形態における特殊シートの要部拡大断面図である。
【図15】本発明の第10の実施の形態における特殊シートの要部拡大断面図である。
【図16】本発明の第10の実施の形態における特殊シートの要部拡大断面図である。
【図17】本発明の第11の実施の形態における特殊シートの要部拡大断面図である。
【図18】本発明の第11の実施の形態における特殊シートの要部拡大断面図である。
【図19】本発明の第11の実施の形態における特殊シートの要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0100】
1 特殊シート
2 ベース紙
3 耐水耐油コート層
10 特殊シート
11 一般紙
12 ニスコーティング層
13 硝化綿コーティング層
14 印刷コート層
20 特殊シート
30 特殊シート
31 フィルム層
40 特殊シート
41 ベース紙
42 水溶性樹脂コーティング層
43 フィルム層
50 特殊シート
60 特殊シート
61 一般紙
62 フィルム層
63 硝化綿コーティング層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル状で水性インキで書かれた文字等を消しゴムで消去可能で主に紙材からなるシートであって、
前記シートを、製紙メーカー出荷段階で既に表面に耐水耐油コートがされている特殊シート(1)としていることを特徴とする特殊シート。
【請求項2】
ゲル状で水性インキで書かれた文字等を消しゴムで消去可能で主に紙材からなるシートであって、
前記シートを、
表面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施した一般紙(11)と、この一般紙(11)のカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層(12)とで構成した特殊シート(10)としていることを特徴とする特殊シート。
【請求項3】
前記一般紙(11)の両面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷をそれぞれ施すと共に、このカラー印刷を施した表面にそれぞれトップニス加工してニスコーティング層(12)をそれぞれ形成していることを特徴とする請求項2に記載の特殊シート。
【請求項4】
ゲル状で水性インキで書かれた文字等を消しゴムで消去可能で主に紙材からなるシートであって、
前記シートを、
表面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施した一般紙(11)と、この一般紙(11)のカラー印刷を施した表面に硝化綿をトップコートした硝化綿コーティング層(13)とで構成した特殊シート(10)としていることを特徴とする特殊シート。
【請求項5】
前記一般紙(11)の両面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷をそれぞれ施すと共に、このカラー印刷を施した表面にそれぞれ硝化綿をトップコートして硝化綿コーティング層(13)をそれぞれ形成していることを特徴とする請求項4に記載の特殊シート。
【請求項6】
前記請求項1の特殊シート(1)の表面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施し、このカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層(12)を形成した特殊シート(20)としていることを特徴とする特殊シート。
【請求項7】
前記特殊シート(1)の両面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷をそれぞれ施し、このカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層(12)をそれぞれ形成していることを特徴とする請求項6に記載の特殊シート。
【請求項8】
前記請求項1の特殊シート(1)の表面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施し、このカラー印刷を施した表面に硝化綿をトップコートした硝化綿コーティング層(13)を形成した特殊シート(20)としていることを特徴とする特殊シート。
【請求項9】
前記特殊シート(1)の両面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷をそれぞれ施し、このカラー印刷を施した表面に硝化綿をトップコートした硝化綿コーティング層(13)をそれぞれ形成していることを特徴とする請求項8に記載の特殊シート。
【請求項10】
ゲル状で水性インキで書かれた文字等を消しゴムで消去可能で主に紙材からなるシートであって、
前記シートを、
一般紙(11)と、この一般紙(11)の表面に貼合されポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムのいずれかとして表面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施したフィルム層(31)と、このフィルム層(31)のカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層(12)とで構成した特殊シート(30)としていることを特徴とする特殊シート。
【請求項11】
前記一般紙(11)の両面に前記フィルム層(31)をそれぞれ形成し、前記フィルム層(31)の表面に前記ニスコーティング層(12)をそれぞれ形成していることを特徴とする請求項10に記載の特殊シート。
【請求項12】
ゲル状で水性インキで書かれた文字等を消しゴムで消去可能で主に紙材からなるシートであって、
前記シートを、
一般紙(11)と、この一般紙(11)の表面に貼合されポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムのいずれかとして表面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施したフィルム層(31)と、このフィルム層(31)のカラー印刷を施した表面に硝化綿をトップコートした硝化綿コーティング層(13)とで構成した特殊シート(30)としていることを特徴とする特殊シート。
【請求項13】
前記一般紙(11)の両面に前記フィルム層(31)をそれぞれ形成し、前記フィルム層(31)の表面に前記硝化綿コーティング層(13)をそれぞれ形成していることを特徴とする請求項12に記載の特殊シート。
【請求項14】
消しゴムで消去が可能なインキを用いた筆記用具にて文字等を書くシートであって、
前記シートを、
ノーサイズ品またはサイズの弱い紙質からなるベース紙(41)と、このベース紙(41)の表面に水溶性樹脂をウェットコートした水溶性樹脂コーティング層(42)とで構成した特殊シート(40)としていることを特徴とする特殊シート。
【請求項15】
前記水溶性樹脂を、ポバール、アクリル系樹脂、酢ビ系樹脂、カゼイン水溶液、澱粉のいずれかとしていることを特徴とする請求項14に記載の特殊シート。
【請求項16】
前記水溶性樹脂に重量比で5〜10%の界面活性剤を添加していることを特徴とする請求項15に記載の特殊シート。
【請求項17】
前記ベース紙(41)の裏面に、ポリエステルフィルムまたはポリプロピレンフィルムのいずれかのフィルム層(43)を形成していることを特徴とする請求項14〜請求項16のいずれかに記載の特殊シート。
【請求項18】
消しゴムで消去が可能なインキを用いた筆記用具にて文字等を書くシートであって、
前記シートを、
一般紙(11)またはベース紙(41)と、この一般紙(11)またはベース紙(41)の表面に貼合されポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムのいずれかとして表面にオフセット印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施したフィルム層(31)と、このフィルム層(31)のカラー印刷を施した表面にトップニス加工したニスコーティング層(12)と、前記一般紙(11)またはベース紙(41)の裏面に形成した前記水溶性樹脂コーティング層(42)とで構成した特殊シート(50)としていることを特徴とする特殊シート。
【請求項19】
消しゴムで消去が可能なインキを用いた筆記用具にて文字等を書くシートであって、
前記シートを、
一般紙(11)またはベース紙(41)と、この一般紙(11)またはベース紙(41)の表面に貼合されポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムのいずれかとして表面にグラビア印刷にて全面を白色または淡色のカラー印刷を施したフィルム層(31)と、このフィルム層(31)のカラー印刷を施した表面に硝化綿をトップコートした硝化綿コーティング層(13)と、前記一般紙(11)またはベース紙(41)の裏面に形成した前記水溶性樹脂コーティング層(42)とで構成した特殊シート(50)としていることを特徴とする特殊シート。
【請求項20】
前記水溶性樹脂を、ポバール、アクリル系樹脂、酢ビ系樹脂、カゼイン水溶液、澱粉のいずれかとしていることを特徴とする請求項18または請求項19に記載の特殊シート。
【請求項21】
前記水溶性樹脂に重量比で5〜10%の界面活性剤を添加していることを特徴とする請求項20に記載の特殊シート。
【請求項22】
墨汁や水性の毛筆ペンで表面に文字等を書く透明なポリエステルフィルム(59)で特殊シート(60)を構成していることを特徴とする特殊シート。
【請求項23】
一般紙(61)の少なくとも一方の面に、ポリエステルフィルムまたはポリプロピレンフィルムからなるフィルム層(62)を形成して特殊シート(60)を構成していることを特徴とする特殊シート。
【請求項24】
前記請求項22、請求項23で構成される特殊シート(60)の少なくとも一方の面に、透明の硝化綿をコートした硝化綿コーティング層(63)を形成していることを特徴とする特殊シート。
【請求項25】
前記特殊シート(60)の表面にエムボス加工を施していることを特徴とする請求項22〜請求項24のいずれかに記載の特殊シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−256842(P2009−256842A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109759(P2008−109759)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(595004115)株式会社 彩響舎 (13)
【出願人】(398016980)株式会社いちはら (17)
【Fターム(参考)】