説明

状態検知端末を用いた監視システム

【課題】監視対象者の状態および監視対象者がいるエリアを確実に捉えることができる監視システムを提供する。
【解決手段】 ゲート装置は、状態検知端末1に、当該状態検知端末1が存在するエリアを示すエリア情報を与える。状態検知端末1は、エリア情報を保有する。また、状態検知端末1は保有されたエリア情報を無線基地局2に対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象者により携帯され、監視対象者の状態を検知する状態検知端末と、状態検知端末で検知された上記情報を受け取る無線基地局とを備える監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人の状態を監視することで、人の安全を図ることができるシステムとして、監視カメラを用いたネットワーク監視カメラシステムが知られている。このシステムでは、複数のカメラがネットワークに接続され、カメラで撮像され、JPEG等でデジタル化された画像データがネットワークで配信される。画像記録装置は、ネットワーク上の画像データを収集し、装置内部に記録する。ネットワークに接続された画像モニタ装置は、カメラあるいは画像記録装置の画像を表示する。
【特許文献1】特開2002−158995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、監視カメラを用いたシステムでは、必ず誰かが監視モニタの映像を見ている必要があり、監視者が異常を見過ごしたり、異常の発見が遅れたりする場合がある。また、カメラの死角での異常を捉えることができず、死角を減らすためには多数のカメラが必要となる。
【0004】
本発明の目的は、監視対象者の状態および監視対象者がいるエリアを確実に捉えることができる監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の監視システムは、監視対象者により携帯され、監視対象者の状態を検知する状態検知端末と、前記状態検知端末で検知された前記情報を受け取る無線基地局とを備える監視システムにおいて、前記状態検知端末に、当該状態検知端末が存在するエリアを示すエリア情報を与えるエリア情報付与手段と、前記エリア情報付与手段により与えられたエリア情報を前記状態検知端末に保有させる保有手段と、前記保有手段により保有された前記エリア情報を前記無線基地局に対して送信するエリア情報送信手段と、を備えることを特徴とする。
この監視システムによれば、状態検知端末に、当該状態検知端末が存在するエリアを示すエリア情報を与えるとともに、エリア情報を状態検知端末から無線基地局に対して送信するので、監視対象者の状態および監視対象者がいるエリアを確実に捉えることができる。
前記無線基地局が受信した前記エリア情報が示すエリアにおいて選択的に発報する発報手段を備えてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の監視システムによれば、状態検知端末に、当該状態検知端末が存在するエリアを示すエリア情報を与えるとともに、エリア情報を状態検知端末から無線基地局に対して送信するので、監視対象者の状態および監視対象者がいるエリアを確実に捉えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図1〜図4を参照して、本発明による監視システムの一実施形態について説明する。
【0008】
図1は、本発明の状態検知端末を、プラントの作業者の安全を図るための監視システムに適用した構成例を示すブロック図である。
【0009】
図1に示すように、監視システムは、プラントの作業者が携帯する状態検知端末1,1,・・・と、プラントの各所に配置される無線基地局2,2,・・・と、無線基地局2,2,・・・から送信されてきた情報を一時的に保存する他、状態監視のための種々の処理を実行する情報処理手段としての状態監視コントローラ3と、状態監視コントローラ3からの情報を取り込むシステム管理サーバ4と、システム管理サーバ4が提供する各種情報を表示する状態監視モニタ5,5,・・・と、を備える。
【0010】
図1に示すように、無線基地局2,2,・・・、状態監視コントローラ3、システム管理サーバ4、および状態監視モニタ5,5,・・・は、通信ネットワーク7により互いに接続されている。
【0011】
状態検知端末1は、例えば、作業者の腰など、作業者あるいは作業者の服等に装着して使用される。
【0012】
図2は状態検知端末1の構成を示すブロック図である。
【0013】
図2に示すように、状態検知端末1は、CPUを含んで構成され後述する所定の判定処理を実行する判定部11と、無線基地局2との間で無線によるデータの送受信を実行する、エリア情報送信手段としての無線回路12と、X軸、Y軸およびZ軸方向の加速度をそれぞれ検出するX軸加速度センサ13x、Y軸加速度センサ13yおよびZ軸加速度センサ13zと、無線通信先となる無線基地局2を選定するための通信先選定部15と、当該状態検知端末1が現在位置するエリアを示すエリア情報を格納する、保有手段としてのエリア情報格納部16と、外部に警報を知らせるためのブザー等からなる警報装置17と、を備える。
【0014】
通信先選定部15は、無線回路12を介して、無線基地局2,2,・・・との間で通信を試行し、その応答データに基づいて、現在、通信状態が最も良好な無線基地局2を無線通信先として選定する。
【0015】
判定部11は、X軸加速度センサ13x、Y軸加速度センサ13yおよびZ軸加速度センサ13zから得られるX軸、Y軸、Z軸の加速度データに基づく演算を実行し、状態検知端末1の向きおよび動きに基づいて、作業者が歩行、静止あるいは転倒のいずれの状態にあるかを判定する。
【0016】
上記のように、エリア情報格納部16には当該状態検知端末1の現在位置を示すエリア情報が格納される。このエリア情報は、状態端末装置1の移動に応じて、リアルタイムに更新される。
【0017】
エリア情報を状態検知端末1に取得させるエリア情報手段としては、例えば、各種ゲート装置を使用できる。この場合、各エリアの入口にゲート装置を設置し、作業者がゲート装置を通過する際に、ゲート装置と無線回路12との間での通信によりエリア情報を取得することができる。
【0018】
また、例えば、各エリアを出入りする作業者の位置をICカードや磁気カードにより管理するシステムが使用される場合には、当該システムで取得された作業者の位置情報を状態端末装置1に転送し、これをエリア情報としてエリア情報格納部16に格納してもよい。作業者の位置をゲート装置において認識する方法として、静脈認証方式、網膜認証方式、メカニカルキー、声帯認証等も適用できる。その他、エリア情報を取得、更新する方法は限定されない。
【0019】
無線回路12は、判定部11における状態の判定結果に、上記エリア情報と、当該状態検知端末の識別子とを付加し、これを状態情報として、アンテナ12aから現在無線通信先となっている無線基地局2に向けて継続的に送信する。
【0020】
図3は、無線基地局2の構成を示すブロック図である。
【0021】
図3に示すように、無線基地局2は、CPUを含んで構成され後述する所定の情報処理を実行する情報処理部21と、状態検知端末1との間で無線通信を実行する無線回路22と、通信ネットワーク7を介する通信を実行するネットワークインタフェース23と、を備える。無線基地局2は、監視対象領域を網羅するようにプラント内に適宜配置される。
【0022】
また、無線基地局2の情報処理部21には、無線基地局2の接点出力を経由して、警報装置2aが接続されている。警報装置2aとして、例えば、パトライトやブザー等が用いられる。
【0023】
無線回路22は、アンテナ22aを介して状態検知端末1との間で無線通信を実行する。無線回路22は、状態検知端末1の通信先選定部15からのデータを受信すると、当該状態検知端末1に向けて上記応答データを返信する。また、無線回路22は、状態検知端末1から送信された上記状態情報を逐次受信する。
【0024】
無線回路22により上記状態情報が受信されると、情報処理部21はその状態情報に自らの無線基地局を特定する情報を付加する。また、これらの情報を新たな状態情報としてネットワークインタフェース23を介して状態監視コントローラ3に向けて送信する。
【0025】
状態監視コントローラ3は、無線基地局2から受信された状態情報に基づいて作業者の状態を判断する。作業者の状態が異常と判断された場合には、ネットワークインタフェース32を介してシステム管理サーバ4に異常の発生を通知する。また同時に、状態監視コントローラ3は、警報装置3aにより、警報の発生を通知するとともに、ネットワークインタフェース32を介して、上記エリア情報が示すエリアに対応付けられた無線基地局2に異常の発生を通知する。この場合、当該無線基地局2ではネットワークインタフェース23を介して通知を受信し、情報処理部21は、警報装置2aを介して警報を通知する。
【0026】
このように、作業者の状態が異常と判断される場合には、状態監視コントローラ3と、無線基地局2の両者で警報が通知される。状態監視コントローラ3が、例えば監視室等に設定されている場合には、警報装置3aにより、直接監視者に警報を通知できる。また、状態情報を受信した無線基地局2に選択的に異常の発生を通知することにより、異常発生現場付近の作業者等に異常の発生を通知することができるとともに、異常発生現場を無線基地局2単位で迅速に知らせることが可能となる。
【0027】
また、発報を行う無線基地局2は、エリア情報に示されるエリアに対応付けられた無線基地局2、すなわち、異常の発生したエリアの無線基地局2であるため、どのエリアで異常が発生したのかを現場で迅速に把握することができる。
【0028】
図4は、無線基地局の設置位置を例示する図である。
【0029】
図4の例では、作業エリアが各フロアーに分かれており、各フロアーに無線基地局2が設定されている。また、各フロアーの入口には、ゲート装置8が設けられている。作業者がゲート装置8を通過すると、ゲート装置8と無線回路12との間の無線通信により、ゲート装置6から状態検知端末1に当該フロアーを示すエリア情報が与えられ、エリア情報格納部16のエリア情報が更新される。なお、エリア情報付与手段として、状態検知端末に設けた気圧センサを用い、状態検知端末の現在の高度に基づいてフロアー等を判定してもよい。
【0030】
例えば、図4に示すように、2階のフロアー92で作業者10が転倒した場合、通信状況によっては、1階のフロアー91に設置された無線基地局2Aが状態検知端末1との通信先となる場合がある。しかし、上記実施形態では、このような場合にも状態検知端末1が保有するエリア情報に基づいて作業者10のいるエリアが判るため、無線基地局2Aではなく、2階のフロアー92に設置された無線基地局2B,2Cの警報装置2aから発報することが可能となる。このため、作業者10を救助する際には発報のあったフロアーのみを探せばよく、救助に時間がかからない。
【0031】
図4では、上下に配置されたフロアーを各エリアとしたが、エリアの規定方法は任意である。
【0032】
上記実施形態では、発報手段として、無線基地局2に設けた警報装置2aを例示したが、発報手段を無線基地局とは別に設けてもよい。
【0033】
以上のように、本実施例の状態検知端末を適用した監視システムによれば、無線を用いて作業者の状態を監視するため、監視範囲が広くなるとともに監視の死角が減少する。また、作業者が携帯する状態検知端末から状態情報が送信されるため、監視者は異常発生を容易に監視することができる。さらに、作業者の位置が、エリア情報により特定できるため、作業者の現在位置を容易に把握できる。作業者の現在位置を求めるための特別なシステムも不要である。
【0034】
以上説明したように、本発明の監視システムによれば、状態検知端末に、当該状態検知端末が存在するエリアを示すエリア情報を与えるとともに、エリア情報を状態検知端末から無線基地局に対して送信するので、監視対象者の状態および監視対象者がいるエリアを確実に捉えることができる。
【0035】
本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は、監視対象者により携帯され、監視対象者の状態を検知する状態検知端末と、状態検知端末で検知された上記情報を受け取る無線基地局とを備える監視システムに対し、広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の状態検知端末を、プラントの作業者の安全を図るための監視システムに適用した構成例を示すブロック図。
【図2】状態検知端末の構成を示すブロック図。
【図3】無線基地局の構成を示すブロック図。
【図4】無線基地局の設置位置を例示する図。
【符号の説明】
【0037】
1 状態検知端末
8 ゲート装置(エリア情報付与手段)
12 無線回路(エリア情報送信手段)
16 エリア情報格納部(保有手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象者により携帯され、監視対象者の状態を検知する状態検知端末と、前記状態検知端末で検知された前記情報を受け取る無線基地局とを備える監視システムにおいて、
前記状態検知端末に、当該状態検知端末が存在するエリアを示すエリア情報を与えるエリア情報付与手段と、
前記エリア情報付与手段により与えられたエリア情報を前記状態検知端末に保有させる保有手段と、
前記保有手段により保有された前記エリア情報を前記無線基地局に対して送信するエリア情報送信手段と、
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記無線基地局が受信した前記エリア情報が示すエリアにおいて選択的に発報する発報手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−301450(P2009−301450A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157395(P2008−157395)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】