説明

玄関多機能支援装置

【課題】住宅の玄関において、居住者や来客に対して各種の行為や機能を統一的に行うことができる玄関多機能支援装置を提供する。
【解決手段】本発明の玄関多機能支援装置は、住宅の玄関に設置されて、少なくとも胴体部と頭部とアーム部を有し、該頭部にCCDカメラ等の画像認識手段の目を備えると共に、前記アーム部の先端に物を掴むことのできるハンド部を備えた玄関多機能支援装置であって、外出・帰宅する居住者や入退出する来客等の人、或いは身回品や携帯品等の物を上記目により認識して、収納箇所との間でハンドリング機能を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人住宅や集合住宅などの住宅の玄関において、居住者や客が行っているいろいろな行為等に各種の便宜を提供するための、玄関多機能支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、玄関における居住者や客が行っている行為としては、
1)外出・帰宅する居住者や、入退出の来客が、靴等の履物、靴べら、帽子、傘、コートなど身回品や携帯品を受け渡したり、収納するハンドリング(受渡し・収納等)の行為
2)居住者や客が相互に挨拶したり、伝言をするコミュニケーション行為
などがあり、
また、玄関に限定するものではないが、一般の住宅における機能として、
3)不法侵入者の検知、捕獲、逃走妨害などの防犯機能
4)火災、煙、出水、ガス漏れなどの異常事態を検知し、警告や通報をする防災機能
5)照明、エアコン、その他家電製品の運転を制御する家電制御機能
などがある。
【0003】
以上のような玄関等における各種の行為や機能は、従来、次のように行われていた。
1)靴等の履物や身回品、携帯品などのハンドリング(受渡し・収納)は、家族や本人が収納箇所から取り出したり、収納していた。従来のハンドリングサービス装置としては、自動販売機の商品を客に手渡すものがあった。(特許文献1参照)
2)居住者や客のコミュニケーション行為としては、人間同士あるいは犬などのペットとのコミュニケーションに限られていた。
3)不法侵入者に対する防犯は、ドアや窓への防犯器具による検知、警告や電話回線等を利用した通報システムや室内ロボットによる監視・通報が行われていた。
4)火災、ガス漏れなどの防災は、それぞれの防災器具による検知、警報、遮断や電話回線等を利用した通報システムがあった。
5)家電の制御は、各種家電を自動制御したり、電話回線等を利用して外部から遠隔操作するものがあった。
【0004】
しかしながら、以上のように、従来、玄関における多機能支援装置は開発されておらず、しかも、この玄関における行為と、防犯、防災、家電制御等の住宅における各機能とを、統一的に扱うことのできる多機能支援装置は全くなく、その開発が要請されていた。
【特許文献1】特開平6−233871
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、住宅の玄関において、居住者や来客に対して各種の行為や機能を統一的に行うことができる玄関多機能支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、住宅の玄関に設置されて、少なくとも胴体部と頭部とアーム部を有し、該頭部にCCDカメラ等の画像認識手段の目を備えると共に、前記アーム部の先端に物を掴むことのできるハンド部を備えた玄関多機能支援装置であって、外出・帰宅する居住者や入退出する来客等の人、或いは身回品や携帯品等の物を上記目により認識して、収納箇所との間でハンドリング機能を備えたことを特徴とする。また、住宅の玄関に設置されて、少なくとも胴体部と頭部を有し、該頭部にCCDカメラ等の画像認識手段の目を備えると共に、発声スピーカー等の口を備え、また、適宜箇所にマイクロフォン等の音声認識手段を備えた玄関多機能支援装置であって、外出・帰宅する居住者や入退出する来客等の人、或いは身回品や携帯品等の物を上記目により認識したり、人の声を上記音声認識手段により認識して、上記口により上記居住者や来客との間でコミュニケーション機能を備えたことを特徴とする。さらに、住宅内の防犯システムと連携したり、玄関からの不法侵入者を上記目により検知して、上記口から警告を発したり、通信回線を利用して外部に通報したり、上記アーム部により捕獲したり、識別用塗料等を噴射して、防犯機能を備えたことを特徴とする。又更に、住宅内の防災システムと連携して、上記口から警報を発したり、通信回線を利用して外部に通報して、防災機能を備えたことを特徴とする。更にまた、住宅内の家電管理システムと連携して、上記口から警報を発したり、通信回線を利用して外部に通報して、家電管理機能を備えたことを特徴とする。また、遠隔からの住宅内状況の確認・操作機能を備えたことを特徴とする。さらに、上記胴体部の前面にディスプレイを設けて、伝言や情報伝達機能を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の玄関多機能支援装置は、下記のような利点がある。
1)入外出時の利便性の向上
(a)用件が集中する玄関において、下記のようなハンドリングやコミュニケーション機能により利便性を向上せしめることができる。
(b)玄関での作業(靴はき・傘取り出し・コート着衣等)を支援することができる。
(c)特に、子供・老人や身体にハンディキャップを持つ人の支援となる。
(d)部屋に戻ることなく、集中管理システムと連携して、口頭で照明、エアコン等の家電の制御ができる。
(e)集中管理システムと連携して、外出先から遠隔で家電の確認や制御ができる。
2)住居内の安全性の向上
(a)防災システムと連携して、火災時等の熱・煙を検知し、警告・通報することができる。
(b)防犯システムと連携して、不法侵入者を検知し、警告・通報、識別用塗料等の噴射、捕獲、逃走抑止を行うことが出来る。
(c)集中管理システムと連携して、玄関先の状況を外部の通信機器から確認することができる。
3)入外出時にロボットとコミュニケーションすることで、居住者(特に独居者)は精神的な癒しや潤いを感じることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の玄関多機能支援装置の一実施例を示すもので、該玄関多機能支援装置Rは、主として、胴体部1と、頭部2と、アーム部3と、ハンド部4から構成され、人間や動物キャラクタの姿をしている。
【0009】
上記胴体部1は、玄関の側壁に固定された状態で設置される。また、側壁や天井にガイドレール等の移動案内手段を設けて、これに沿って移動させるようにしてもよい。さらに、上記胴体部1の下部に走行手段あるいは歩行手段を設けて、玄関内を自由に移動できるように構成してもよい。
【0010】
上記頭部2は、上記胴体部1の上に、固定あるいは上下・左右に首振り状態で取り付けられている。該頭部2は、基本的に目と口を有する。該目にはCCDカメラが装備されていて、玄関内の様子や外出・帰宅する居住者Kや、入退出する来客、あるいは不法侵入者などの人物の認識や、居住者や来客が携帯している帽子や傘、あるいは靴などの物の認識をするようになっている。上記口には発声スピーカーが組み込まれていて、居住者や来客に、挨拶や伝言などのコミュニケーションを行うようになっている。コミュニケーションには、居住者や来客からの会話を認識するマイクロフォンも必要とする。マイクロフォンを頭部に設置する場合には、耳を形成して、ここに組み込むのが好ましい。また、該頭部2には、鼻を形成して、煙や異臭などを感知するセンサーを組み込んでもよい。
【0011】
上記アーム部3は、上記胴体部1に取り付けられていて、その先端に取り付けられている上記ハンド部4が、収納部Cや傘立てTやドアーDに届くような長さを有し、上下・左右・前後の方向に自由に運動できるように構成されている。該アーム部3の途中には、関節3aを設けるのが望ましい。上記ハンド部4は帽子H、履物S、傘Mなどの見回品や携帯品を掴んで、居住者や来客に受け渡しできるような構成となっている。なお、本実施例のアーム部3は、図示のように、胴体部1の上部左右に取り付けられているが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、タコやイカのキャラクターのように胴体部1の下部に8または10本のアーム部3を取り付ける等、胴体部1の任意の位置に任意の本数(1本または複数本)のアーム部3を取り付けることができる。
【0012】
5はディスプレイであって、上記胴体部1の前部に設けられており、居住者や来客に必要な伝言や情報(例えば、家電の設定状況や窓や扉の施錠状況など)を提供できるようになっている。
【0013】
上記玄関多機能支援装置Rは、単独で、あるいは必要に応じて、住宅内の防犯システムや防災システムや家電管理システムと連携して、防犯機能や防災機能や家電管理機能を提供するようになっている。これらの各システムは、従来公知のシステムを利用する。また、玄関多機能支援装置Rは、住宅外部と有線および/または無線の通信回線によって接続されている。
上記防犯機能としては、玄関多機能支援装置Rの目により、玄関からの不法侵入者を検知(登録済みの居住者や来客と判別)して、これに口により警告したり、アーム部3により捕獲や識別塗料等を噴射(投げつけも含む)する行為である。住宅内の既存防犯システムと連携させてもよい。異常発生の場合には、必要に応じて、通信回線を利用して、外部の警備会社や外出中の居住者に通報する。
また、上記防災機能としては、基本的に住宅内の既存防災システムと連携させて、火災・煙・ガス漏れ・出水などを検知し、警報を発したり、通信回線を利用して外部に通報する。
さらに、上記家電管理機能としては、照明、エアコン、テレビ、炊飯器等の各種家電のスイッチのON,OFFを集中して管理する。管理は通信回線を利用して家族が外部からも行うことができるようにする。
【産業上の利用可能性】
【0014】
1)新築マンション、新築住宅へ組み込みんで、付加価値を向上させることができる。
2)既存マンション、既存住宅へ新規に設置することができる。
3)老人ホーム等の福祉施設や介護施設へ設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の玄関多機能支援装置の一実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0016】
1 胴体部
2 頭部
3 アーム部
3a 関節
4 ハンド部
5 ディスプレイ
C 収納部
D ドアー
H 帽子
M 傘
R 玄関多機能支援装置
S 履物
T 傘立て

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の玄関に設置されて、少なくとも胴体部と頭部とアーム部を有し、該頭部にCCDカメラ等の画像認識手段の目を備えると共に、前記アーム部の先端に物を掴むことのできるハンド部を備えた玄関多機能支援装置であって、外出・帰宅する居住者や入退出する来客等の人、或いは身回品や携帯品等の物を上記目により認識して、収納箇所との間でハンドリング機能を備えたことを特徴とする玄関多機能支援装置。
【請求項2】
住宅の玄関に設置されて、少なくとも胴体部と頭部を有し、該頭部にCCDカメラ等の画像認識手段の目を備えると共に、発声スピーカー等の口を備え、また、適宜箇所にマイクロフォン等の音声認識手段を備えた玄関多機能支援装置であって、外出・帰宅する居住者や入退出する来客等の人、或いは身回品や携帯品等の物を上記目により認識したり、人の声を上記音声認識手段により認識して、上記口により上記居住者や来客との間でコミュニケーション機能を備えたことを特徴とする玄関多機能支援装置。
【請求項3】
住宅内の防犯システムと連携したり、玄関からの不法侵入者を上記目により検知して、上記口から警告を発したり、通信回線を利用して外部に通報したり、上記アーム部により捕獲したり、識別用塗料等を噴射して、防犯機能を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の玄関多機能支援装置。
【請求項4】
住宅内の防災システムと連携して、上記口から警報を発したり、通信回線を利用して外部に通報して、防災機能を備えたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の玄関多機能支援装置。
【請求項5】
住宅内の家電管理システムと連携して、上記口から警報を発したり、通信回線を利用して外部に通報して、家電管理機能を備えたことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の玄関多機能支援装置。
【請求項6】
遠隔からの住宅内状況の確認・操作機能を備えたことを特徴とする請求項3、4または5に記載の玄関多機能支援装置。
【請求項7】
上記胴体部の前面にディスプレイを設けて、伝言や情報伝達機能を備えたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載の玄関多機能支援装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−31220(P2006−31220A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206946(P2004−206946)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(303056368)東急建設株式会社 (225)
【Fターム(参考)】