説明

玄関戸及び建具

【課題】 ランマ部から採風・換気が行える施工性・意匠性に優れた玄関戸及び建具の提供。
【解決手段】 竪枠1,1間に無目2が架設された枠3と、枠3の無目2上方の開口部4に設けた外倒し障子5と、枠3の無目2下方の開口部に設けた戸6と、上枠7の室内側に設けた額縁70と、外倒し障子5を開閉操作する開閉機構ユニット9と、開閉機構ユニット9を覆うカバー10を備え、開閉機構ユニット9が額縁70に取付けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関戸及び建具に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関戸において採光のためにランマ部を設けたものがあるが(例えば、非特許文献1、特許文献1参照。)、従来ランマ部の障子は嵌め殺しになっており、ランマ部から採風・換気が行えるものはなかった。
ランマ部の障子を開閉できるようするためには、ランマ部は手が届かない高所にあるために、ワイヤーやチェーン、ダンパー等を用いた開閉機構が必要になり、ドア枠に障子及び開閉機構を組み付けた状態で工場から出荷しなければならず、梱包や輸送のコストが増大する。さらに、障子の開閉機構がドア枠の室内側に突出するため、玄関の内観意匠を悪化させると共に、開閉機構が邪魔になって網戸の取付けが困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−324292号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】三協立山アルミ株式会社発行のカタログ「玄関ドア総合カタログ」(カタログNo.STJ0482A D.10.03−330)、第1版、2010年3月、p.690−691
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、ランマ部から採風・換気が行える施工性・意匠性に優れた玄関戸及び建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による玄関戸は、竪枠間に無目が架設された枠と、枠の無目上方の開口部に設けた外倒し障子と、枠の無目下方の開口部に設けた戸と、上枠の室内側に設けた額縁と、外倒し障子を開閉操作する開閉機構ユニットと、開閉機構ユニットを覆うカバーを備え、開閉機構ユニットが額縁に取付けてあることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明による玄関戸は、請求項1記載の発明の構成に加え、額縁は、躯体開口部の上部に沿う水平板部と、水平板部の室外側端から垂下する垂下片を有し、開閉機構ユニットが水平板部と垂下片とのコーナー部内周側に取付けてあることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明による玄関戸は、請求項2記載の発明の構成に加え、額縁は、垂下片が開閉機構ユニットよりも下方まで垂下し、カバーは、垂下片の下部と水平板部の室内側部とに跨って取付けてあることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明による玄関戸は、請求項1,2又は3記載の発明の構成に加え、額縁と無目とに網戸取付部を有し、両網戸取付部に跨って網戸が開閉機構ユニットよりも室外側に取付けてあることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明による建具は、開閉障子を組み込んだ枠と、上枠の室内側に設けた額縁と、開閉障子を開閉操作する開閉機構ユニットと、開閉機構ユニットを覆うカバーとを備え、額縁は、躯体開口部の上部に沿う水平板部と、水平板部の室外側端から垂下する垂下片を有し、開閉機構ユニットは水平板部と垂下片とのコーナー部内周側に取付けてあり、カバーは垂下片の下部と水平板部の室内側部とに跨って取付けてあることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明による建具は、請求項5記載の発明の構成に加え、開閉障子の室内側に位置する網戸を備え、網戸は垂下片と枠の無目又は下枠との間に取付けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明による玄関戸は、枠の無目上方の開口部すなわちランマ部に外倒し障子が設けてあり、外倒し障子を開閉機構ユニットにより開くことで、ランマ部から採風・換気が行える。また本発明の玄関戸は、開閉機構ユニットを額縁に取付けるようにしたことにより、開閉機構ユニットを枠及び障子と分離した状態で工場から出荷できるため、梱包や輸送のコストを低減できる。さらに、額縁を取付け治具として開閉機構ユニットを取付けできるので施工性が良く、開閉機構ユニットがカバーで覆われるため意匠性も良い。
【0013】
請求項2記載の発明による玄関戸は、額縁に躯体開口部の上部に沿う水平板部と、水平板部の室外側端から垂下する垂下片を有し、開閉機構ユニットを水平板部と垂下片とのコーナー部内周側に取付けることで、開閉機構ユニットを額縁に容易に且つ安定して取付けできる。
【0014】
請求項3記載の発明による玄関戸は、額縁の垂下片が開閉機構ユニットよりも下方まで垂下し、カバーを垂下片の下部と水平板部の室内側部とに跨って取付けることで、カバーの取付けが室内側から容易に行える。
【0015】
請求項4記載の発明による玄関戸は、額縁と無目とに網戸取付部を有し、両網戸取付部に跨って網戸が開閉機構ユニットよりも室外側に取付けてあるので、網戸を外倒し障子に近付けてすっきりと取付けでき、意匠性が良い。
【0016】
請求項5記載の発明による建具は、開閉障子を開閉機構ユニットにより開くことで採風・換気が行え、開閉機構ユニットを額縁に取付けるようにしたことにより、開閉機構ユニットを枠及び障子と分離した状態で工場から出荷できるため、梱包や輸送のコストを低減できる。さらに、額縁を取付け治具として開閉機構ユニットを取付けできるので施工性が良く、開閉機構ユニットがカバーで覆われるため意匠性も良い。また、額縁に躯体開口部の上部に沿う水平板部と、水平板部の室外側端から垂下する垂下片を有し、開閉機構ユニットを水平板部と垂下片とのコーナー部内周側に取付けることで、開閉機構ユニットを額縁に容易に且つ安定して取付けできる。さらに、カバーを垂下片の下部と水平板部の室内側部とに跨って取付けることで、カバーの取付けが室内側から容易に行える。
【0017】
請求項6記載の発明による建具は、開閉障子の室内側に位置する網戸を備え、網戸は垂下片と枠の無目又は下枠との間に取付けてあるので、網戸を開閉障子に近付けてすっきりと取付けでき、意匠性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図3のA−A断面図である。
【図2】ランマ部を室内側から見た正面図である。
【図3】本発明の玄関戸の一実施形態を示す室外側正面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】図3のC−C断面図である。
【図6】外倒し障子を開けた状態のランマ部の縦断面図である。
【図7−1】同玄関戸の上枠部の施工手順を順に示す斜視図である。
【図7−2】同玄関戸の上枠部の施工手順(図7−1の続き)を順に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜6は、本発明の建具の一実施形態であって、玄関戸の場合の実施形態を示している。本玄関戸は、図1,3に示すように、躯体開口部15に枠3が取付けられ、枠3は竪枠1,1間の上部に無目2を架設してランマ部4を形成してあり、ランマ部4には外倒し障子5が設けてあり、無目2下方の出入口用の開口部には扉6が蝶番16で取付けてあり、図6に示すように外倒し障子5を開けることで、ランマ部4から採風・換気が行えるようにしている。ランマ部4には、室内側に網戸14が取付けてある。さらに本玄関戸は、躯体開口部15の上部と左右両側部を覆うように額縁70,71が設けてある。上側の額縁70には、図1,2に示すように、外倒し障子5の開閉を行うための開閉機構ユニット9が取付けてあり、開閉機構ユニット9はカバー10で覆ってある。
【0020】
枠3は、アルミ合金の押出形材よりなる上枠7と下枠20と左右の竪枠1,1を矩形に枠組みし、竪枠1,1間に無目2を架設して形成してあり、図1,4に示すように、上枠7と竪枠1に外周側に突出する躯体固定片21を有し、躯体固定片21を躯体22の室外側面に当接してねじ23で固定し、躯体開口部15に半外付け状に取付けてある。無目2は、ランマ部4の外倒し障子5用の下枠と扉6用の上枠を兼ねるものであり、図1に示すように、上面の室内側寄りの位置に突出片13が上方に突出して設けてあり、突出片13の室内側面にタイト材ホルダー24が形成してあり、タイト材ホルダー24に取り付けたタイト材25が外倒し障子5の下框30の室内側面に当接している。突出片13のタイト材ホルダー24よりも上方に突出した部分が、網戸取付部となっている。無目2の下面には、室内側寄りの位置に垂下片26が設けてあり、垂下片26には室外側面にタイト材ホルダー27が形成され、タイト材ホルダー27に取り付けたタイト材28が扉6の室内側面に当接している。
【0021】
外倒し障子5は、図1,4に示すように、上框29と下框30と左右の竪框31,31とを方形に枠組みし、各框の内周側に形成した溝に、複層ガラスパネル67の周縁部をグレージングチャンネルを介して嵌合保持させたものとなっている。外倒し障子5は、下框30の下面を無目2の上面に蝶番32で連結してある。上框29の室内側面には、開閉機構ユニット9のプッシュプルチェーン33の先端部を連結する連結金具34が取付けてある。また外倒し障子5は、図4に示すように、片方の竪框31を竪枠1と脱落防止用アーム35で連結してある。外倒し障子の場合に一般に用いられる障子を開く方向に付勢するダンパーは設けていない。
【0022】
上側の額縁70は、図1に示すように、上枠7の室内側に配置される枠側部材8と、枠側部材8に受ける形で室内側から取付けられる室内側部材18の二部材で構成されている。枠側部材8は、躯体開口部15の上部に沿う水平板部11と、水平板部11の室外側端より垂下する垂下片12を有している。垂下片12は、開閉機構ユニット9よりも下方まで垂下しており、垂下片12の下部にカバー取付部36が室内側に突出する板状に形成してある。さらに垂下片12は、カバー取付部36の下で室外側にクランク状に屈曲し、先端部12aが開閉機構ユニット9よりも室外側で下向きに突出しており、その先端部12aが網戸取付部となっている。垂下片12は、上部が上枠7の室内側壁37の室内側面に当接し、室内側からねじ38で固定してある。水平板部11は、下面の室内側寄りの位置に、カバー10の上端部を差込む溝部39が室内側に開放して設けてあり、溝部39内にカバー10の上端が係止する係止突起40が設けてある。水平板部11の外周側には、室内側部材18を差込む溝部41が、室内側に開放した略コ字形に形成してある。水平板部11は、躯体開口部15の内周側面に当接し、内周側からねじ42で固定してある。室内側部材18は、室外側を枠側部材8の溝部41に室内側から差し込み、外周側に突出して設けた固定片57を躯体22の室内側面に当接してねじ65で固定してある。
【0023】
開閉機構ユニット9は、図1,2に示すように、L形断面のベース43上にモーター44と、プッシュプルチェーン33を収納したチェーンケースユニット45を備え、プッシュプルチェーン33の先端部が額縁70の垂下片12に形成した孔66に挿通され、外倒し障子5の上框29に設けた連結金具34に連結してあり、室内側の壁面に設置した操作スイッチ(図示省略)を操作すると、モーター44が作動してチェーンケースユニット45がプッシュプルチェーン33の繰り出し・巻取りを行い、それに伴って外倒し障子5が開閉する。また開閉機構ユニット9は、チェーンケースユニット45の出力軸にジョイント46を介してベベルギアボックス47が連結して設けられ、ベベルギアボックス47より室内側に突出した手動操作部48に棒状の工具を引っ掛けて回転させることで、手動で外倒し障子5の開閉を行うこともできる。開閉機構ユニット9は、室内側が開放した断面コ字形のブラケット49を介して、額縁70の水平板部11と垂下片12とのコーナー部内周側に取付けてある。開閉機構ユニット9は、ベース43がブラケット49の下壁49aにボルト・ナット50で固定してある。ブラケット49は、室外側壁49bが額縁70の垂下片12の室内側面に当接し、垂下片12を貫通して上枠7の室内側壁37に螺入するねじ51で固定され、ブラケット49の上壁49cは額縁70の水平板部11の下面に当接し、水平板部11に螺入するねじ52及び水平板部11を貫通して躯体22に螺入するねじ42で固定してある。
【0024】
カバー10は、図1に示すように、縦壁10aと横壁10bを有する略L形断面に形成してあり、縦壁10aの上縁部には額縁70の水平板部11の溝部39に差込まれる差込部69が、室外側の斜め上向きに突出して形成してあり、差込部69の先端に水平板部11の係止突起40に係止する被係止部53が上方に突出して設けてある。カバーの横壁10bは、室外側端部が額縁70の垂下片12の下部に設けたカバー取付部36の下面に当接し、ねじ54で固定してある。カバー10の取付け方は、全体を室外側に少し傾けた状態で、縦壁10a上部の差込部69を額縁70の水平板部11に設けた溝部39に室内側から差し込み、横壁10bの室外側を額縁70の垂下片12下部に設けたカバー取付部36に押し付けるようにカバー10を回転させると、縦壁10a上端の被係止部53が額縁70の係止突起40に係止し、その後ねじ54で横壁10bの室外側部を額縁70のカバー取付部36に固定する。
【0025】
左右の竪の額縁71は、図4に示すように、竪枠1の室内側に配置される枠側部材17と、枠側部材17に受ける形で室内側から取付けられる室内側部材19の二部材で構成されている。枠側部材17は、室内側が開放した溝部56を有する略コ字形断面に形成してあり、竪枠1の室内側面に当接させてねじ55で固定してある。室内側部材19は、室外側の部分を枠側部材17の溝部56に室内側から差し入れ、外周側に突出して設けた固定片57を躯体22の室内側面に当接してねじ65で固定してある。室内側部材19の上端部は、上側の額縁70の室内側部材18の小口に当接し、ねじ(図示省略)で連結してある。
【0026】
網戸14は、上框58と、下框59と、左右の竪框60,60とを方形に枠組みし、枠の内側に網61を張設して形成してある。網戸14の下框59は、図1に示すように、室外側見付面に下方に垂下して設けた係合片62が無目2上面に突出した突出片13の室外側に係合しており、上框58は図1と図2に示すように、長手方向両端部に上下動自在な係合具63を設けてあり、上框58室外側面と係合具63の係合爪63aとで額縁70の垂下片12の先端部12aを挟持している。網戸の竪框60は、図4に示すように、竪枠1の内周側に突設したタイト材ホルダー64の室内側にラップしている。網戸14を外すときは、係合具63を下方に押し下げた後、下部側を支点として室内側に倒せば、室内側に簡単に外すことができる。
【0027】
次に、本玄関戸の施工手順を説明する。本玄関戸は、枠3と扉6と外倒し障子5と開閉機構ユニット9と額縁70,71とに分離した状態で工場から出荷され、施工現場においてこれらを組立てる、いわゆるノックダウン方式をとる。施工手順としては、まず図7−1(a)に示すように、上枠7の室内側に額縁70の枠側部材8をねじ38で取付ける。上枠7の室内側壁37と枠側部材8の垂下片12には、予めねじ38を挿入する孔65,66(下孔)が形成してあって、これらの孔65,66の位置を合わせてねじ38(タッピンねじ)を室内側から捩じ込むことで、枠側部材8を簡単に位置決めして取付けできる。なお中央寄りの2箇所の孔65,66は、開閉機構ユニット9の取付孔として用いられる。竪枠1の室内側壁にも同様に額縁71の枠側部材17をねじ55で取付ける。その後、枠3を室外側から躯体開口部15に建て込み、上枠7と竪枠1の外周の躯体固定片21を躯体22にねじ23で固定する。その後、図7−1(b)に示すように、開閉機構ユニット9を室内側から枠側部材8の水平板部11と垂下片12とのコーナー部内周側に沿うように配置し、開閉機構ユニット9のブラケット49を枠側部材8の垂下片12と水平板部11にねじ51,52で固定する。室内側からのねじ51は、垂下片12を貫通して上枠7の室内側壁37に螺入している。なお、開閉機構ユニット8の取付けは、枠3を躯体開口部15に建て込む前に行うこともできる。次に、図7−2(c)に示すように、枠側部材8の水平板部11に形成した孔68に下方よりねじ42を挿入し、ねじ42を躯体22に捩じ込んで枠側部材8を躯体22に固定する。中央寄りの4本のねじ42は、開閉機構ユニット9のブラケット49と枠側部材8の水平板部11を躯体22に共締めしている。その後、図7−2(d)に示すように、枠側部材8に室内側からカバー10を取付け、ねじ54で固定する。その後、ランマ部4に室外側から外倒し障子5を蝶番32で取付け、上框29に開閉機構ユニット9のプッシュプルチェーン33の先端部を連結する。次に、枠3の無目2下方の開口部に扉6を蝶番16で取付ける。その後、枠側部材8,17に差込むようにして額縁70,71の室内側部材18,19を室内側から取付ける。その後、ランマ部4に網戸14を室内側から取付ける。
【0028】
以上に述べたように本玄関戸は、ランマ部4に外倒し障子5を設けてあり、外倒し障子5を開閉機構ユニット9により開くことで、ランマ部4から効率よく採風・換気が行える。扉6を閉鎖し、施錠した状態で、扉6の上のランマ部4から採風・換気を行えるので、防犯性も良い。また本玄関戸は、上枠7の室内側に額縁70を有し、開閉機構ユニット9を額縁70の枠側部材8に取付けるようにしたことにより、開閉機構ユニット9を枠3及び障子5と分離した状態で工場から出荷できるため、梱包や輸送のコストを低減できると共に、出荷先において施工主の要望に応じて種々のガラスの種類に対応することができ、工場にガラスの種類ごとに在庫を持つ必要がない。さらに、額縁70の枠側部材8を取付け治具として開閉機構ユニット9と額縁70の室内側部材18を簡単に取付けできるので施工性が良く、開閉機構ユニット9がカバー10で覆われるため意匠性も良い。さらに、額縁70の枠側部材8に躯体開口部15の上部に沿う水平板部11と、水平板部11の室外側端から垂下する垂下片12を有し、開閉機構ユニット9を水平板部11と垂下片12とのコーナー部内周側に取付けることで、開閉機構ユニット9を額縁70に容易に且つ安定して取付けできる。また、額縁70の枠側部材8の垂下片12が開閉機構ユニット9よりも下方まで垂下し、垂下片12の下部にカバー取付部36を有し、水平板部11の室内側にカバー10の係止部(溝部39及び係止突起40)を有しているので、カバー10の取付け・取外しが室内側から容易に行える。さらに本玄関戸は、額縁70の枠側部材8の垂下片12と無目2とに網戸取付部12a,13を有し、両網戸取付部12a,13に跨って網戸14が開閉機構ユニット9よりも室外側に取付けてあるので、網戸14を外倒し障子5に近付けてすっきりと取付けできるため意匠性が良く、網戸14の着脱も室内側から容易に行える。室外側から見ると、開閉機構ユニット9は額縁70の枠側部材8の垂下片12に隠れて見えず、網戸14も目立たないため、室外側の意匠性も良好である。さらに、上枠7の室内側壁37と額縁70の枠側部材8の垂下片12とにねじ38,51用の孔65,66が予め開けてあり、これらの孔位置を合わせて枠側部材8及び開閉機構ユニット9を配置することで、開閉機構ユニット9の位置決めを行うことができ、組立が容易である。額縁70,71を枠側部材8,17と室内側部材18,19とに分割して形成し、枠側部材8,17を先に枠3に取り付けて枠3を躯体開口部15に取付け、その後に枠側部材8,17の溝部41,56に室内側から差込んで室内側部材18,19を取付けることで、枠3及び額縁70,71の施工が簡単に行える。
【0029】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。開閉機構ユニット9は、プッシュプルチェーン33を用いたものに限らず、ワイヤー等を用いたものでもよく、また手動でのみ操作できるものであってもよい。開閉機構ユニット9は、必ずしも額縁70の水平板部11と垂下片12の両方にねじ等で固定してなくてもよく、水平板部11と垂下片12のどちらか一方にのみねじ等で固定してもよい。額縁70は、枠側部材8と室内側部材18の二部材で構成したものに限らず、一体で形成したものでもよい。無目2下方の開口部に設けられる戸は、引戸であってもよい。外倒し障子5は、ガラスを組み込まないパネル状のものであってもよい。網戸14の取付け方は適宜変更することができ、例えば額縁70の垂下片12と無目2の突出片13間に上下けんどん式に着脱自在に取付けたり、室内側からねじ止めして取付けてもよい。本発明の建具は、玄関戸に限らず、引違い障子等を組み込んだ窓の上に開閉障子を組み込んだ窓を段窓状に設けたものや、無目を有しない単体の窓にも適用することができ、単体の窓の場合に網戸は額縁の垂下片と下枠との間に取付けられる。開閉障子としては、外倒し障子に限らず、例えば障子が水平軸や垂直軸回りに回動して開閉するもの、障子が左右方向や上下方向、見込み方向にスライドして開閉するもの、さらにはルーバーやガラリのように障子が複数の羽根で構成され、その羽根が回転ないしスライドして開閉するものであってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 竪枠
2 無目
3 枠
4 ランマ部(無目上方の開口部)
5 外倒し障子(開閉障子)
6 扉(戸)
7 上枠
8 枠側部材(額縁)
9 開閉機構ユニット
10 カバー
11 水平板部
12 垂下片
12a 垂下片の先端部(網戸取付部)
13 突出片(網戸取付部)
14 網戸
70 額縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竪枠間に無目が架設された枠と、枠の無目上方の開口部に設けた外倒し障子と、枠の無目下方の開口部に設けた戸と、上枠の室内側に設けた額縁と、外倒し障子を開閉操作する開閉機構ユニットと、開閉機構ユニットを覆うカバーを備え、開閉機構ユニットが額縁に取付けてあることを特徴とする玄関戸。
【請求項2】
額縁は、躯体開口部の上部に沿う水平板部と、水平板部の室外側端から垂下する垂下片を有し、開閉機構ユニットが水平板部と垂下片とのコーナー部内周側に取付けてあることを特徴とする請求項1記載の玄関戸。
【請求項3】
額縁は、垂下片が開閉機構ユニットよりも下方まで垂下し、カバーは、垂下片の下部と水平板部の室内側部とに跨って取付けてあることを特徴とする請求項2記載の玄関戸。
【請求項4】
額縁と無目とに網戸取付部を有し、両網戸取付部に跨って網戸が開閉機構ユニットよりも室外側に取付けてあることを特徴とする請求項1,2又は3記載の玄関戸。
【請求項5】
開閉障子を組み込んだ枠と、上枠の室内側に設けた額縁と、開閉障子を開閉操作する開閉機構ユニットと、開閉機構ユニットを覆うカバーとを備え、額縁は、躯体開口部の上部に沿う水平板部と、水平板部の室外側端から垂下する垂下片を有し、開閉機構ユニットは水平板部と垂下片とのコーナー部内周側に取付けてあり、カバーは垂下片の下部と水平板部の室内側部とに跨って取付けてあることを特徴とする建具。
【請求項6】
開閉障子の室内側に位置する網戸を備え、網戸は垂下片と枠の無目又は下枠との間に取付けてあることを特徴とする請求項5記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【公開番号】特開2012−77570(P2012−77570A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225962(P2010−225962)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【Fターム(参考)】