説明

玉揚げ装置を有する繊維機械

【課題】原料糸を無駄なく満管パッケージに巻き取ってしまうために、ロットが変更される際に、巻取りユニットの稼動台数を減らす必要があるが、オペレータの労力を要する作業によって、この稼動作業を減らすようにしていたため、オペレータの負担が大きかった。
【解決手段】玉揚げ作業は、満管パッケージ7を巻取りユニット2から払い出すパッケージ払い出し作業と、巻取管10をクレードル27にセットする巻取管セット作業と、巻取管10に糸掛けを行う糸掛け作業とを含むものとし、生産管理手段50aは、ロットが変更される際には、そのロットを担当している巻取りユニット2を、ロットチェンジユニットに指定し、装置コントローラ30は、ロットチェンジユニットに指定された巻取りユニット2に対しては、玉揚げ作業がパッケージ払い出し作業のみとなるように、玉揚げ装置3の駆動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
糸を巻き取って巻取管上にパッケージを形成する複数の巻取りユニットと、前記各巻取りユニット間を走行して玉揚げ作業を行う玉揚げ装置と、前記玉揚げ装置の駆動を制御する装置コントローラと、生産計画にしたがって満管パッケージのロットを管理する生産管理手段と、を備える玉揚げ装置を有する繊維機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、糸を巻き取って巻取管上にパッケージを形成する複数の巻取りユニットと、前記各巻取りユニット間を走行して玉揚げ作業を行う玉揚げ装置と、を備える玉揚げ装置を有する繊維機械が知られている。
この巻取りユニットは、自らが巻き取っているパッケージが満管となると、玉揚げ作業の処理要求を玉揚げ装置に送信する。この処理要求を玉揚げ装置が受信すると、玉揚げ装置は当該の巻取りユニットの正面に停止して、玉揚げ作業を行う。
この玉揚げ作業は、巻取りユニットからの満管パッケージの払い出し作業と、巻取りの再開に係る次の作業、新たな空巻取管を供給する巻取管供給作業や、この巻取管に糸を巻きつける糸掛け作業、などを含むものである。
このような繊維機械の一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
巻取りユニットで巻き上げられるパッケージ(満管パッケージ)は、ロット単位で生産される。同一のロットにおいては、糸種等の条件が同一であるが、ロットが変更されると、これらの条件も変更されることになる。
原料糸の糸量は、ロット単位で過不足が発生しないように用意されているが、この原料糸を無駄なく満管パッケージに巻き取ってしまうには、ロットが変更される際に、そのロットを担当する巻取りユニットの稼動台数を減らす必要がある。例えば、ロットの要求数が残り一個となって、パッケージ一個分の糸量の原料糸しか残っていないときに、そのロットを担当する複数の巻取りユニットが稼動していると、パッケージ一個分の原料糸を、これら複数の巻取りユニットで分け合って巻取ってしまうことになる。そうすると、不完全なパッケージ(満管でないパッケージ)を多数発生させてしまうことになる。
そこで、従来は、ロットが変更される際に、そのロットを担当する巻取りユニットがパッケージを満管に巻き上げると、次の巻取りが再開されないように、オペレータが、その巻取りユニットに対応する巻取管ストッカーより巻取管を取り除く作業を行っていた。そして、その巻取りユニットの巻取り装置に巻取管が供給されないために、糸掛け作業が故意に失敗するようにして、その巻取りユニットにおいて、次の巻取りが再開されないようにしていた。このように、オペレータ自身による巻取管除去作業により、ロットが変更される際における巻取りユニットの稼動台数を減らすようにして、原料糸を無駄なく満管パッケージに巻き取ってしまうようにしていた。
【0004】
【特許文献1】特開平5−8943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、巻取りユニットに次の巻取りを再開させないために、オペレータ自身に巻取管ストッカーより巻取管を除去させるのは、オペレータにかなりの労力を負担させるものとなっていた。
【0006】
つまり、解決しようとする問題点は、原料糸を無駄なく満管パッケージに巻き取ってしまうために、ロットが変更される際に、巻取りユニットの稼動台数を減らす必要があるが、オペレータの労力を要する作業によって、この稼動作業を減らすようにしていたため、オペレータの負担が大きかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
請求項1に係る玉揚げ装置を有する繊維機械は、
糸を巻き取って巻取管上にパッケージを形成する複数の巻取りユニットと、
前記各巻取りユニット間を走行して玉揚げ作業を行う玉揚げ装置と、
前記玉揚げ装置の駆動を制御する装置コントローラと、
生産計画にしたがって満管パッケージのロットを管理する生産管理手段と、
を備える玉揚げ装置を有する繊維機械であって、
前記巻取りユニットは、前記巻取管のセット等の巻取り準備作業が完了すると自動的に前記パッケージの形成を開始するものとし、
前記玉揚げ作業は、満管パッケージを前記巻取りユニットから払い出すパッケージ払い出し作業と、前記巻取り準備作業の一部を行う巻取り準備補助作業とを含むものとし、
前記生産管理手段は、前記生産計画にしたがって、同一の前記ロットを担当する前記巻取りユニットを指定すると共に、前記ロットが変更される際には、そのロットを担当している前記巻取りユニットを、その変更前のロットにおけるロットチェンジユニットに指定し、
前記装置コントローラは、前記ロットチェンジユニットに指定された前記巻取りユニットに対しては、前記玉揚げ作業が前記パッケージ払い出し作業のみとなるように、前記玉揚げ装置の駆動を制御する、ものである。
【0009】
玉揚げ装置を有する繊維機械としては、ワインダーであっても、紡績機であってもよい。ワインダーとする場合、巻取りユニットは、糸を巻き返す巻き返しを行うユニットとなる。紡績機とする場合、巻取りユニットは、繊維束を紡績糸にした上で巻き取るユニットとなる。
巻取りユニットにおける巻取り準備作業としては、巻き取りの原料糸(巻き返し用の給糸ボビンや紡績用の繊維束など)を巻取りユニットにセットする作業(ボビンセット作業)、巻取管を巻取りユニットにセットする作業(巻取管セット作業)、セットされた巻取管へに糸掛けを行う作業(糸掛け作業)などが含まれる。
玉揚げ装置による玉揚げ作業には、巻取りユニットから満管のパッケージを払い出すパッケージ払い出し作業、巻取管セット作業、糸掛け作業、などが含まれる。このうち、巻取管セット作業や糸掛け作業は、巻取り準備作業に含まれる作業でもある。このように、玉揚げ作業と巻取り準備作業とに共通に含まれる作業が、巻取り準備補助作業である。
【0010】
以上構成により、次の作用がある。
ロットが変更される際には、そのロットを担当する巻取りユニットがロットチェンジユニットに指定される。ロットチェンジユニットに対する玉揚げ作業においては、満管パッケージの払い出しのみが行われ、巻取り準備作業のうち、玉揚げ作業において行われる巻取り準備補助作業が実行されないものとなる。このため、ロットチェンジユニットである巻取りユニットより満管パッケージの払い出しが終了すると、巻取り準備が完了することが無いために、自動的な巻取り作業(パッケージの形成)が再開されず、そのロットにおけるその巻取りユニットの稼動は停止する。そして、そのロットにおける巻取りユニットの稼働台数が、満管パッケージの払い出しに応じて減少していく。
【0011】
請求項2に係る玉揚げ装置を有する繊維機械は、請求項1において、次の構成としたものである。
前記巻取りユニットの駆動を制御するユニットコントローラは、前記巻取り装置で巻き取った前記パッケージが満管パッケージとなると、前記玉揚げ作業の処理要求を前記装置コントローラに送信すると共に、
前記ロットチェンジユニットに指定された前記巻取りユニットの場合は、前記処理要求を送信する際に、この巻取りユニットが前記ロットチェンジユニットに指定されている旨の情報も合わせて、前記装置コントローラに送信する、ものである。
【0012】
以上構成により、次の作用がある。
装置コントローラには、巻取りユニットより、玉揚げ作業の処理要求に加えて、ロットチェンジユニットに指定されているか否かの情報が、送信される。
【0013】
請求項3に係る玉揚げ装置を有する繊維機械は、請求項1または請求項2において、次の構成としたものである。
前記玉揚げ装置には、前記パッケージ払い出し作業に係るパッケージ払い出し装置と、前記巻取り準備補助作業に係る巻取り準備補助装置と、前記パッケージ払い出し装置と前記巻取り準備補助装置とを共に駆動する駆動源と、が備えられると共に、
前記玉揚げ作業を前記パッケージ払い出し作業のみとする場合に、前記駆動源から前記巻取り準備補助装置への動力伝達を遮断可能とするクラッチとしてのアクチュエータを備える、ものである。
【0014】
以上構成により、次の作用がある。
クラッチにより動力遮断が行われると、巻取り準備補助装置の駆動が停止され、パッケージ払い出し装置のみが作動する状態となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
請求項1においては、
ロットが変更される際に、そのロットを担当する巻取りユニットの稼働台数を、オペレータに作業させること無く自動的に減少させることができ、原料糸を無駄なく満管パッケージに巻き取ってしまうことができる。
【0017】
請求項2においては、請求項1の効果に加えて、
巻取りユニットを稼動停止させる上で必要な情報量を最小化できる。
【0018】
請求項3においては、請求項1または請求項2の効果に加えて、
玉揚げ作業を、パッケージ払い出し作業のみにする場合と、パッケージ払い出し作業および巻取り準備補助作業にする場合とを切換える上で、切換えに係る手段の構成を簡素化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
【0020】
図1を用いて、本発明の一実施の形態であるワインダー1を説明する。
ワインダー1は、原料糸のパッケージである給糸ボビン6を巻き返して、パッケージ7を形成する装置である。
このワインダー1は、一方向に沿って複数並設される巻取りユニット2と、巻取りユニット2の列に沿って移動自在の玉揚げ装置3と、巻取りユニット2の列の一端側に配置されるエア供給部4および本体制御部5とを、備えている。
ここで、巻取りユニット2は、一本の巻取管10上に一個のパッケージ7を形成するための一ユニット(装置集合体)を指している。ワインダー1は、このワインダー1に備える巻取りユニット2の配置数分のパッケージ7を並行して形成することが可能である。
【0021】
図2は、巻取りユニット2の並設方向より見たワインダー1の断面図(側面断面図)を示しており、この図2には、巻取りユニット2および玉揚げ装置3が図示されている。
巻取りユニット2の並設方向に沿ってメインフレーム11が延出するように配置されている。このメインフレーム11には、巻取りユニット2を構成する装置を支持するユニットフレーム21が支持されると共に、玉揚げ装置3を走行させるレール12が支持されている。
【0022】
図2に示すように、巻取りユニット2は、前記ユニットフレーム21と、このユニットフレーム21に支持される巻き返しに係る装置と、を備えている。
この巻き返しに係る装置は、テンション装置23、糸欠点検出装置24、糸継ぎ装置25、パッケージ7が配置される巻取り装置26である。これらの装置23〜26は、この並びの順に、下方から上方に向けて配置されている。そして、テンション装置23の下方には、給糸ボビン6がセットされる。また、これらの装置23〜26の駆動を制御するユニットコントローラ20(図1)が、巻取りユニット2には備えられている。
巻取り装置26は、パッケージ7を巻き付ける巻取管10を支持するクレードル27と、巻取管10またはパッケージ7に接触して回転させる綾振ドラム28と、を備えている。
【0023】
また、巻取りユニット2にそれぞれに、補充用の巻取管10を保管する巻取管ストッカ29が備えられている。そして、巻取り装置26でパッケージ7が満管となって、この満管パッケージ7が巻取り装置26より払い出されると、この巻取管ストッカ29より巻取管10を巻取り装置26へと供給する。
【0024】
この巻取りユニット2は、巻取管10のセット等の巻取り準備作業が完了すると、自動的に、この巻取管10上にパッケージ7を形成するように構成されている。
この巻取り準備作業には、原料たる給糸ボビン6を解舒補助装置5にセットする作業(ボビンセット作業)と、巻取管10をクレードル27にセットする作業(巻取管セット作業)と、セットされた巻取管10へに糸掛けを行う作業(糸掛け作業)とが、含まれるものとなっている。これらの三つの作業が終了すると、巻取りユニット2に備える装置23〜26を駆動して、給糸ボビン6からパッケージ7への巻き返しが可能な状態となる。
【0025】
また、巻取りユニット2のユニットコントローラ20は、玉揚げ作業が終了すると、自動的に、巻取り作業を再開するように巻取りユニット2を制御するが、巻取り準備作業が完了しない場合は、巻取り作業の再開を中断する。
巻取り準備作業が完了しない場合、糸8の走行が糸欠点検出装置24で検出されないため、巻取り準備作業が完了しないことがユニットコントローラ20に認識される。
【0026】
図2に示すように、玉揚げ装置3は、台車フレーム31と、前記レール12に沿って走行する走行装置32と、玉揚げ作業に係る装置とを、備えている。
ここで、玉揚げ作業には、巻取りユニット2から満管のパッケージ7を払い出すパッケージ払い出し作業と、前記巻取管セット作業と、前記糸掛け作業とが、含まれるものとなっている。ここで、巻取管セット作業と糸掛け作業とは、前記巻取り準備作業の一部である。特に、巻取り準備作業のうち、玉揚げ作業に含まれる作業(巻取管セット作業および糸掛け作業)を、巻取り準備補助作業とする。
玉揚げ装置3は、玉揚げ作業を行う際は、走行装置32の駆動により玉揚げ作業の目的とする巻取りユニット2の正面位置に移動し、この玉揚げ装置3と対向する位置にある巻取りユニット2に対して玉揚げ作業を行う。
【0027】
玉揚げ装置3には、これらの玉揚げ作業に係る装置として、パッケージ払い出し作業に係るクレードルオープナー(パッケージ払い出し装置)33と、巻取管セット作業に係る巻取管チャッカー34と、糸掛け作業に係る糸掛け装置35と、が備えられている。糸掛け装置35は、糸拾いレバー36と、糸寄せレバー38と、を備えている。糸拾いレバー36の先端部には、カッタークランパ39が設けられている。また、巻取管チャッカー34および糸掛け装置35は、巻取り準備補助作業に係る巻取り準備補助装置でもある。加えて、これらの装置33〜35や前記走行装置32の駆動を制御する装置コントローラ30が、玉揚げ装置3には備えられている。
【0028】
パッケージ払い出し作業は、満管のパッケージ7が支持されるクレードル27に、クレードルオープナー33を干渉させて、このクレードル27を開かせて、このクレードル27よりパッケージ7を脱落させる作業である。クレードル27は、巻取管10の両端を把持する閉状態と、巻取管10の両端の把持を解除する開状態とを、クレードルオープナー33の干渉により、切換えられるように構成されている。また、クレードル27より脱落した満管パッケージ7を受けるパッケージ受け13が、各巻取りユニット2に対応して設けられている。
【0029】
巻取管セット作業は、巻取管チャッカー34により、巻取管ストッカ29に保管される巻取管10を取り出し、その巻取管10を開状態にあるクレードル27にセットする作業である。ここで、クレードル27はクレードルオープナー33が干渉している間が開状態である。したがて、巻取管チャッカー34によりクレードル27で把持可能な位置に巻取管10を移動させた状態で、クレードルオープナー33による干渉を停止すると、クレードル27に巻取管10が保持され(閉状態となる)、巻取管10のセットが完了する。
【0030】
糸掛け作業は、次のようにして行われる。まず、伸縮可能に構成される糸拾いレバー36に備えるカッタークランパ39により給糸ボビン6側の下糸8を把持し、この下糸8を巻取管10とクレードル27との間に位置させ、この後クレードル27を閉じることにより、下糸8が巻取管10とクレードル27との間に挟持された状態となる。この後さらに、糸寄せレバー38によって糸8の糸道を規制して、巻取管10の端部にバンチ巻きが施されて、糸掛けが完了する。この糸掛け作業により、巻取管10に糸8が巻きつけられて固定されると、糸寄せレバー38を元位置に戻し、綾振ドラム28を駆動することにより、糸8は自動的にトラバースを開始して、巻取管10上に巻かれていく。
【0031】
そして、玉揚げ装置3による巻取りユニット2に対する玉揚げ作業が完了すると、その巻取りユニット2は、ボビンセット作業(給糸ボビン6の補給)が完了した状態であれば、自動的に、巻取り作業を再開する。
【0032】
図1を用いて、ワインダー1の制御システムについて説明する。
ワインダー1には、ワインダー1に備える各種装置の制御に拘わる装置として、ワインダー1の全体を統括管理するホストコンピュータ50と、各巻取りユニット2の駆動を制御する前記ユニットコントローラ20と、玉揚げ装置3の駆動を制御する前記装置コントローラ30とが、備えられている。
ユニットコントローラ20は巻取りユニット2に備えられ、装置コントローラ30は玉揚げ装置3に備えられ、ホストコンピュータ50は本体制御部5に備えられている。
【0033】
ホストコンピュータ50は、各ユニットコントローラ20や装置コントローラ30と通信線を介して接続されており、これらのコントローラ20・30を統括管理する。そして、これらのコントローラ20・30およびホストコンピュータ50により、ワインダー1の制御システムが構成されている。
【0034】
コントローラ20・30およびホストコンピュータ50は、コンピュータの四つの主要部分である演算装置、記憶装置、入出力装置、制御装置(この制御装置は、ここでは演算装置、記憶装置、入出力装置を制御する装置を意味する)のうち、入出力装置を除いた装置として構成されている。
入出力装置に該当するのは、ホストコンピュータ50の場合、このホストコンピュータ50に接続される外部装置であり、オペレータが入力操作を行うための入力装置(例えばキーボード)や、オペレータが紡績機1の作動状況を把握するための出力装置(例えばディスプレイ)、コントローラ20・30である。また、ユニットコントローラ20の場合、巻取りユニット2に備える各種装置(糸欠点検出装置24や巻取り装置26など)が入出力装置に該当する。装置コントローラ30の場合、玉揚げ装置3に備える各種装置(クレードルオープナー33など)が入出力装置に該当する。
【0035】
玉揚げ装置3の走行制御について説明する。
玉揚げ装置3は、前記レール12に沿って移動することで、ワインダー1に備えるどの巻取りユニット2の正面位置にも移動でき、どの巻取りユニット2に対しても玉揚げ作業を行うことができるように構成されている。
この玉揚げ装置3は、各巻取りユニット2からの玉揚げ作業の処理要求の発信があると、その処理要求を発信した巻取りユニット2に向けて移動し、その巻取りユニット2に対して玉揚げ作業を行う。
各巻取りユニット2は、パッケージ7が満管となると、玉揚げ作業の処理要求を発信する。巻取りユニット2のユニットコントローラ20は、通信線によりホストコンピュータ50を介して、玉揚げ装置3の装置コントローラ30に接続されている。この通信線を介して、玉揚げ作業の処理要求が、巻取りユニット2から玉揚げ装置3へと送信される。
【0036】
ユニットコントローラ20は、玉揚げ作業の処理要求を発信する際に、その巻取りユニット2の識別情報をも同時に発信する。ここで、各巻取りユニット2には、他の巻取りユニット2と区別するための固有の識別情報が付与されており、この識別情報に基づいて、ホストコンピュータ50や装置コントローラ30が、各巻取りユニット2を識別可能である。
【0037】
一方、装置コントローラ30は、玉揚げ作業の処理要求と、その処理要求を発した巻取りユニット2の識別情報とを受信すると、その識別情報で特定される巻取りユニット2の正面に向けて玉揚げ装置3を移動させる。
ここで、玉揚げ装置3には、この玉揚げ装置3の走行位置を検出可能とする検出装置が設けられており、この検出装置による走行位置の検出結果に基づいて、目的の(処理要求を発した)巻取りユニット2の正面位置に移動して停止することが可能である。
そして、この玉揚げ装置3は、目的の巻取りユニット2の正面位置に停止すると、その巻取りユニット2に対して玉揚げ作業を開始し、パッケージ払い出し作業、巻取管セット作業、糸掛け作業を行う。この玉揚げ作業が終了すると、その巻取りユニット2は、ボビンセット作業(給糸ボビン6の補給)が完了した状態であれば、自動的に、巻取り作業を再開する。一方、玉揚げ装置3は、別の巻取りユニット2より玉揚げ作業の処理要求があれば、その巻取りユニット2に向けて移動する。このように、各巻取りユニット2からの玉揚げ作業の処理要求の発信に応じて、玉揚げ装置3が自動的に移動して玉揚げ作業を実行し、巻取りユニット2における満管パッケージ7の払い出しや、この巻取りユニット2における新たな巻き取りの再開が自動的に行われる。
【0038】
満管パッケージ7の生産計画について説明する。
ワインダー1において、その製品たる満管のパッケージ7は、その生産計画に基づいて、ロット単位で生産される。このロットは、糸種等の条件を同一とする製品(満管パッケージ7)の集合である。
この生産計画にしたがって、ワインダー1に備える各巻取りユニット2でパッケージ7が形成され、満管となったパッケージ7は、玉揚げ装置3により順次、各巻取りユニット2より払い出される。この間、原料たる給糸ボビン6も順次、各巻取りユニット2に補給される。そして、ロットの要求数(例えば1000個)の満管パッケージ7が生産されると、そのロットにおける満管パッケージ7の生産は終了し、次のロットの満管パッケージ7の生産が開始されることになる。
【0039】
ロットが変更される際には、単なる巻取り条件のみの変更のような場合を別とすると、糸種が変更されることにより、原料たる給糸ボビン6の糸種が変更されることになる。この場合、前回のロットで原料としていた給糸ボビン6は、当然ながら、次回のロットにおける原料として利用することはできない。
このため、同一のロットにおける原料の給糸ボビン6は、次のロットの生産に持ち越すことはできず、この同じロットにおける製品(満管パッケージ7)に巻き上げてしまう必要がある。あるロットにおいて原料とする給糸ボビン6群の全体を、無駄なく、そのロットの製品たる満管パッケージ7に巻き取ってしまうには、ロットが変更される際に、そのロットを担当する巻取りユニット2の稼動台数を減らす必要がある。例えば、10台の巻取りユニット2により、同一のロットの満管パッケージ7の生産を行っていたとする。この場合、生産数がロットの要求数を大幅に下回っている段階では、10台の巻取りユニット2をすべて稼動させていても問題はないが、生産数がロットの要求数に近づくと、例えば1000個の要求数に対して、生産数が991個などになると、巻取りユニット2の稼働台数を減らす必要がある。残り9個(1000−991)の生産のために、10台の巻取りユニット2を稼動させていると、満管パッケージ7の9個分相当の給糸ボビン6群を、10台の巻取りユニット2で分け合ってしまうことになり、満管になりえない不完全なパッケージ7を、各巻取りユニット2で生産してしまうことになる。もちろん、原料としての給糸ボビン6を過剰に用意しておけば、ロットの要求数を満たすことはできるが、不完全なパッケージ7を余分に生産してしまうことは避けられない。
【0040】
そこで、ロットが変更される際には、生産数がロットの要求数に近づくにつれて、順次、巻取りユニット2の稼動台数を減らして、最終的には、1台にしてしまう必要がある。例えば、要求数の残り(要求数マイナス生産数)が稼働台数と一致するように、つまり残り9個になったら稼働台数を9台にするように、順次稼働台数を減らしていく必要がある。
【0041】
そこで、ワインダー1においては、ロットが変更される際には、つまり要求数の残り(要求数マイナス生産数)が、その時点における巻取りユニット2の稼動台数と一致する段階になったら、満管パッケージ7を払い出された巻取りユニット2の稼動を停止させて、順次稼働台数を減らすようにしている。そして、そのロットにおいて原料とする給糸ボビン6群の全体を、無駄なく、そのロットの製品たる満管パッケージ7に巻き取ってしまうようにしている。
詳しくは後述するが、巻取りユニット2の稼動を停止させる方法は、玉揚げ作業のうち、パッケージ払い出し作業は成功させても、巻取管セット作業等の巻取り準備補助作業を故意に失敗させることで、巻取りユニット2の自動的な巻取り作業の再開を中断させることで行っている。
【0042】
図1を用いて、満管パッケージ7の生産計画に係る構成を説明する。
生産計画にしたがって満管パッケージ7のロットを管理する生産管理手段50aが、ホストコンピュータ50の構成を利用して構成されている。ホストコンピュータ50の構成には、CPUやメモリ等のハードウェアだけでなく、プログラム等のソフトウェアも含まれており、生産管理手段50aは情報処理機能だけでなく記憶機能も有している。この生産管理手段50aには、この生産計画に関する情報が記憶されている。
【0043】
生産計画には、各ロットについて、そのロットにおける要求数(必要な満管パッケージ7の数)の情報や、そのロットを担当させる巻取りユニット2の稼働台数の情報が含まれている。
【0044】
ロットの指定情報は、通信線を介して、ホストコンピュータ50(生産管理手段50a)より、各巻取りユニット2のユニットコントローラ20に向けて送信される。
ユニットコントローラ20は、その巻取りユニット2が担当するように指定されたロットの情報に基づいて、糸8の巻き取り条件等を適宜変更する。ここで、糸種の変更によって、テンションや巻取り糸量等の諸条件が変更される。そして、ロットで指定された製品としての満管パッケージ7が、その巻取りユニット2において、適正に生産されるようにしている。
【0045】
ロットが変更される際、前述したように、そのロットを担当させる巻取りユニット2の稼働台数を減らす必要がある。
そこで、生産管理手段50aは、ロットが変更される際には、そのロットを担当している巻取りユニット2を、ロットチェンジユニットに指定することを行う。「ロットが変更される際」と認定する状態は、前述したように、そのロットの生産が進んで、そのロットにおける要求数の残り数(要求数マイナス生産数)が、そのロットを担当している巻取りユニット2の稼働台数と一致した状態か、あるいはオペレータの任意の設定タイミングである。
【0046】
ロットチェンジユニットの指定情報についても、ロットの指定情報と同様に、通信線を介して、ホストコンピュータ50(生産管理手段50a)より、各巻取りユニット2のユニットコントローラ20に向けて送信される。
ユニットコントローラ20は、その巻取りユニット2がロットチェンジユニットに指定された結果を受信すると、この指定結果を、ユニットコントローラ20に備える記憶装置に記憶して一時保管する。また、ロットチェンジユニットとしての指定により、ユニットコントローラ20の制御モードが、ロットチェンジモードに移行する。
ロットチェンジユニットとしての指定結果は、この巻取りユニット2が玉揚げ作業の処理要求を発信する際に、同時に発信される。つまり、ロットチェンジモードにある巻取りユニット2が玉揚げ作業の処理要求を発する際には、その旨(ロットチェンジユニットとして指定されている状態)が、玉揚げ装置3に向けて送信される。このときの送信内容を整理すると、玉揚げ作業の処理要求と、その処理要求を発した巻取りユニット2の識別情報と、その巻取りユニット2がロットチェンジユニットとして指定された結果とが、巻取りユニット2から玉揚げ装置3へと送信される。
【0047】
玉揚げ装置3は、ロットチェンジユニットとしての指定結果を含んだ玉揚げ作業の処理要求を受信すると、その処理要求を発した巻取りユニット2に対して、限定された玉揚げ作業を実行する。限定された玉揚げ作業とは、パッケージ払い出し作業、巻取管セット作業、糸掛け作業を含む玉揚げ作業のうち、前記巻取管セット作業および前記糸掛け作業を除いた、パッケージ払い出し作業のみを意味する。
つまり、玉揚げ装置3は、ロットチェンジユニットに指定された巻取りユニット2に対しては、満管パッケージ7の払い出しのみを実行し、この巻取りユニット2における自動的な巻取り作業の再開を行わせるための作業(巻取管セット作業および糸掛け作業)を実行しないものとして、この巻取りユニット2に巻取り作業を再開させないようにしている。
本実施の形態の玉揚げ装置3においては、玉揚げ作業に係る装置への動力伝達経路の切換えにより、満管パッケージ7の払い出し作業のみを行わせる場合と、満管パッケージ7の払い出し作業に巻取管セット作業および糸掛け作業を含めた玉揚げ作業全体を行わせる場合とを、切換え可能に構成している。これについては後述する。
【0048】
このようにして、ロットが変更される際に、その変更前のロットを担当している巻取りユニット2における巻取り作業が、満管パッケージ7の形成が終了した時点で停止され、そのロットを担当する巻取りユニット2の稼働台数が順次減るようにしている。そして、そのロットにおいて原料とする給糸ボビン6群の全体を、無駄なく、そのロットの製品たる満管パッケージ7に巻き取ることができるものとなっている。
【0049】
次に、図3を用いて、玉揚げ装置3における玉揚げ作業に係る装置の動力伝達機構を説明する。
玉揚げ装置3には、玉揚げ作業に係る装置の駆動源として、作業用モータ41が設けられている。玉揚げ作業に係る装置、つまりクレードルオープナー33、巻取管チャッカー34、糸掛け装置35のすべては、この作業用モータ41により駆動される。
ここで、作業用モータ41からの出力の伝達経路は二つに分岐している。一つは、クレードルオープナー33を駆動する動力伝達経路である。もう一つは、巻取管チャッカー34および糸掛け装置35を駆動する動力伝達経路であり、この動力伝達経路上にはクラッチとしてのアクチュエータ(動力断接切換手段)42が設けられている。
【0050】
この構成により、アクチュエータ42が動力伝達を許容している状態では、作業用モータ41の駆動に伴って、クレードルオープナー33、巻取管チャッカー34、糸掛け装置35のすべてが駆動する。これは、通常の玉揚げ作業が実行される際におけるアクチュエータ42の切換え状態である。
一方、アクチュエータ42が動力伝達を遮断している状態では、作業用モータ41の駆動に伴って、クレードルオープナー33は駆動されるが、巻取管チャッカー34および糸掛け装置35は駆動されない。これは、限定された玉揚げ作業(パッケージ払い出し作業のみ)が実行される際におけるアクチュエータ42の切換え状態である。
【0051】
なお、クレードルオープナー33、巻取管チャッカー34、糸掛け装置35の作動タイミングは、玉揚げ作業の必要に応じて、後述の図4に示すフローのように、適宜異なるように設定されており、これらの装置33・34・35は必ずしも同時に連動して作動するわけではない。ここで、作業用モータ41から、装置33・34・35にそれぞれに向かう動力伝達経路上には、それぞれカム機構33a・34a・35aが配置されており、これらのカム機構33a・34a・35aのカム形状の設定により、これらの装置33・34・35の作動タイミングを適宜異ならせるようにしている。
【0052】
図4を用いて、玉揚げ作業のフローを説明する。
玉揚げ作業の開始のトリガーは、巻取りユニット2からの玉揚げ作業の処理要求の発信である。この処理要求を玉揚げ装置3が受信すると、装置コントローラ30は、玉揚げ作業を実行するため、目的の(処理要求を発信した)巻取りユニット2に移動する(ステップ101)。
【0053】
装置コントローラ30は、玉揚げ作業の処理要求が、ロットチェンジモードにある巻取りユニット2(ロットチェンジユニットに指定された巻取りユニット2)から発信されたのか、否かを、判定する(ステップ102)。
装置コントローラ30は、その処理要求がロットチェンジモードにある巻取りユニット2から発信されたと判定すると、ステップ121以降の処理に移行する。
また、装置コントローラ30は、その処理要求がロットチェンジモードにない巻取りユニット2から発信されたと判定すると、ステップ103以降の処理に移行する。
【0054】
まず、装置コントローラ30の処理が、ステップ103以降の処理に移行した場合(処理要求がロットチェンジモードにない巻取りユニット2から発信された場合)を説明する。
この場合、前記アクチュエータ42は動力伝達を許容する状態に保たれており、作業用モータ41の駆動によりクレードルオープナー33、巻取管チャッカー34、糸掛け装置35のすべてが駆動する状態にある。ここで、これらの装置33・34・35は、カム機構33a・34a・35aを介して作動タイミングが設定されているため、これらの装置33・34・35の作動の実行時期については前後するものとなっている。加えて、作業用モータ41も、一律に継続した回転で駆動されるのではなく、適宜回転・停止を織り交ぜながら駆動されるものとなっている。
【0055】
ステップ103では、装置コントローラ30は、作業用モータ41を駆動させることで、糸掛け装置35の糸拾いレバー36を、給糸ボビン6側へと下降させる。この間、装置コントローラ30は、作業用モータ41を所定回転数だけ回転させた後、停止させている。
次のステップ104では、装置コントローラ30は、糸拾いレバー36の先端部に設けられたカッタークランパ39に、給糸ボビン6側の下糸8を把持する(ステップ104)。また、給糸ボビン6側の下糸8は、パッケージ7が満管となってパッケージ7より糸8が切断された折に、巻取りユニット2において、糸拾いレバー36に受渡可能な位置で保持されている。
【0056】
次のステップ105では、装置コントローラ30は、作業用モータ41を駆動させることで、巻取管チャッカー34に、前記巻取管ストッカ29に保管されている巻取管10の一つを、保持させる。この巻取管10は、満管パッケージ7の払い出しに応じて、巻取りユニット2に補給する巻取管10である。この間、装置コントローラ30は、作業用モータ41を所定回転数だけ回転させた後、停止させている。
【0057】
次のステップ106では、装置コントローラ30は、作業用モータ41を駆動させることで、糸拾いレバー36を上昇させて、下糸8を巻取りユニット2の巻取り装置12のある高さ位置に向けて移動させる。この間、装置コントローラ30は、作業用モータ41を所定回転数だけ回転させた後、停止させている。
【0058】
次のステップ107では、装置コントローラ30は、作業用モータ41を駆動させることで、クレードルオープナー33を前記クレードル27に干渉させて、クレードル27を開状態とし、クレードル27に保持されている満管パッケージ7をパッケージ受け13へと払い出させる。この間、装置コントローラ30は、作業用モータ41を所定回転数だけ回転させた後、停止させている。
【0059】
次のステップ108では、装置コントローラ30は、作業用モータ41を駆動させることで、クレードルオープナー33により、開状態のクレードル27を傾倒させて、巻取管チャッカー34より巻取管10を受け取れる位置へと案内する。同時に、巻取管チャッカー34を移動させて、この巻取管チャッカー34に保持される巻取管10を、傾倒状態のクレードル27が巻取管10を受け取れる位置へと移動させる。さらに、糸拾いレバー36をクレードル27側へと進出させて、クレードル27と巻取管10との間に、糸拾いレバー36が保持する糸8の糸端を送りこむ。
この間、装置コントローラ30は、作業用モータ41を所定回転数だけ回転させた後、停止させているが、このときは装置33・34・35のすべてが作動するようになっている。
【0060】
次のステップ109では、装置コントローラ30は、作業用モータ41を駆動させることで、クレードルオープナー33を玉揚げ装置3側に戻してクレードル27との干渉を解除して、クレードル27を閉状態として、保持位置へと移動させた巻取管10をクレードル27に保持させる。このとき、クレードル27と巻取管10との間に送り込まれた糸拾いレバー36が保持する糸8の糸端が、クレードル27と巻取管10との間で挟み込まれる。この間、装置コントローラ30は、作業用モータ41を所定回転数だけ回転させた後、停止させている。
【0061】
次のステップ110では、装置コントローラ30は、作業用モータ41を駆動させることで、糸掛け装置35の糸寄せレバー38で、バンチ巻きにより、下糸8を巻取管10に巻きつけて糸掛けする。この間、装置コントローラ30は、作業用モータ41を所定回転数だけ回転させた後、停止させている。
【0062】
次のステップ111では、装置コントローラ30は、作業用モータ41を以上のステップ103〜109における回転方向とは反対の逆回転駆動をして、カム機構33a・34a・35aのカムを原点位置に復帰させ、次の玉揚げ作業の待機状態とする。
以上のようにして、通常の玉揚げ作業が終了する。
【0063】
次に、装置コントローラ30の処理が、ステップ121の処理に移行した場合を説明する。
ステップ121では、装置コントローラ30は、動力伝達を許容する状態に保たれているアクチュエータ42を、動力伝達を遮断する状態に移行させる。この状態では、作業用モータ41の駆動によりクレードルオープナー33のみが駆動する状態となる。
【0064】
次のステップ127では、装置コントローラ30は、作業用モータ41を駆動させることで、クレードルオープナー33を前記クレードル27に干渉させて、クレードル27を開状態とし、クレードル27に保持されている満管パッケージ7をパッケージ受け13へと払い出させる。この間、装置コントローラ30は、作業用モータ41を所定回転数だけ回転させた後、停止させている。
このステップ127は、前記のステップ107と同等の処理となっている。
【0065】
ステップ127が終了すると、ステップ111に移行し、装置コントローラ30は、クレードルオープナー33のカム機構33aのカムを原点位置に復帰させ、次の玉揚げ作業の待機状態とする。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】ワインダーの構成を示す概略図。
【図2】ワインダーの側面断面図。
【図3】玉揚げ装置の玉揚げ作業に係る装置の動力伝達機構を示すブロック図。
【図4】玉揚げ作業のフロー図である。
【符号の説明】
【0067】
1 ワインダー(繊維機械)
2 巻取りユニット
3 玉揚げ装置
7 (満管)パッケージ
20 ユニットコントローラ
30 装置コントローラ
33 クレードルオープナー(パッケージ払い出し装置)
34 巻取管チャッカ(巻取り準備補助装置)
35 糸掛け装置(巻取り準備補助装置)
41 作業用モータ(駆動源)
42 アクチュエータ
50a 生産管理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を巻き取って巻取管上にパッケージを形成する複数の巻取りユニットと、
前記各巻取りユニット間を走行して玉揚げ作業を行う玉揚げ装置と、
前記玉揚げ装置の駆動を制御する装置コントローラと、
生産計画にしたがって満管パッケージのロットを管理する生産管理手段と、
を備える玉揚げ装置を有する繊維機械であって、
前記巻取りユニットは、前記巻取管のセット等の巻取り準備作業が完了すると自動的に前記パッケージの形成を開始するものとし、
前記玉揚げ作業は、満管パッケージを前記巻取りユニットから払い出すパッケージ払い出し作業と、前記巻取り準備作業の一部を行う巻取り準備補助作業とを含むものとし、
前記生産管理手段は、前記生産計画にしたがって、同一の前記ロットを担当する前記巻取りユニットを指定すると共に、前記ロットが変更される際には、そのロットを担当している前記巻取りユニットを、ロットチェンジユニットに指定し、
前記装置コントローラは、前記ロットチェンジユニットに指定された前記巻取りユニットに対しては、前記玉揚げ作業が前記パッケージ払い出し作業のみとなるように、前記玉揚げ装置の駆動を制御する、
ことを特徴とする玉揚げ装置を有する繊維機械。
【請求項2】
前記巻取りユニットの駆動を制御するユニットコントローラは、前記巻取り装置で巻き取った前記パッケージが満管パッケージとなると、前記玉揚げ作業の処理要求を前記装置コントローラに送信すると共に、
前記ロットチェンジユニットに指定された前記巻取りユニットの場合は、前記処理要求を送信する際に、この巻取りユニットが前記ロットチェンジユニットに指定されている旨の情報も合わせて、前記装置コントローラに送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の玉揚げ装置を有する繊維機械。
【請求項3】
前記玉揚げ装置には、前記パッケージ払い出し作業に係るパッケージ払い出し装置と、前記巻取り準備補助作業に係る巻取り準備補助装置と、前記パッケージ払い出し装置と前記巻取り準備補助装置とを共に駆動する駆動源と、が備えられると共に、
前記玉揚げ作業を前記パッケージ払い出し作業のみとする場合に、前記駆動源から前記巻取り準備補助装置への動力伝達を遮断可能とするクラッチとしてのアクチュエータを備える、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の玉揚げ装置を有する繊維機械。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−290814(P2007−290814A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119633(P2006−119633)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】