説明

玩具車両昇降装置

【課題】車両を安定した状態で搭内を昇降させることができる玩具車両昇降装置を提供すること。
【解決手段】塔10と、塔10の内部に設けられ上下方向に延在する柱状の回転体13と、塔10の内部に設けられ回転板13に巻装され玩具車両Aを載設するための螺旋板14と、回転体13の回転を介して螺旋板14を回転させる回転手段30と、塔10の内部に設けられ螺旋板14の外側位置で螺旋板14に載設された玩具車両Aの角部を構成する2つの面に当接して玩具車両Aの滑動を阻止する当接部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具車両昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
玩具車両昇降装置としては、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示された昇降装置では、車両を載せた螺旋体を回転させることによって玩具車両を上昇させている。この昇降装置では、螺旋体としてワイヤを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭41−9527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、螺旋体としてワイヤを用いる場合、ワイヤが変形し易いために、ワイヤの下端及び上端を回転体に固定しなければならず、回転体の直径も螺旋体であるワイヤの直径と同程度以上とする必要があり、さらに、上下の回転体を連結して同期させて回転させなければならない。
また、螺旋体としてワイヤを用いる場合、ワイヤだけで玩具車両を下方から支持するとすれば、玩具車両の上昇の際に玩具車両が左右方向へ傾動する可能性が高い。そこで、上記特許文献1の玩具車両昇降装置では、螺旋体の内側にガイド壁を設け、ガイド壁と塔の壁との間で玩具車両を挟み込み、これによって、玩具車両の左右の傾きを防止しつつ玩具車両を上昇させているが、この場合には次のような問題が生じる。
第1に、ガイド壁は、螺旋体であるワイヤと一体的に回転しない構造とする必要があるが、上述のように、ワイヤの上下には回転体が必要となるので、ガイド壁の設置構造が複雑となる。
第2に、螺旋体の内側にガイド壁を設け、ガイド壁と塔の壁との間で玩具車両を挟み込む構造とすれば、取り扱える玩具車両に制約が生じてしまう。すなわち、ガイド壁と塔の壁との間にちょうど挟み込める幅の玩具車両ならば問題はないが、ガイド壁と塔の壁との間の距離よりも小さい幅の玩具車両の場合には、上昇の際に玩具車両がワイヤ上で左右に傾いてしまう。そして、左右に傾いたまま上昇して出口に至ると、外部へ車両を排出させる際に、車両をスムースに排出することができないという問題が生じる。一方で、ガイド壁と塔の壁との間の距離よりも大きい幅の玩具車両の場合には、ガイド壁と塔の壁との間に挟み込めないので、上昇させることができない。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、幅の異なる玩具車両であっても安定した姿勢を保持したまま上昇又は下降させることができる玩具車両昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る玩具車両昇降装置は、
塔と、
前記塔の内部に設けられ上下方向に延在する柱状の回転体と、
前記塔の内部に設けられ前記回転体に巻装され玩具車両を載設するための螺旋板と、
前記回転体の回転を介して前記螺旋板を回転させる回転手段と、
前記塔の内部に設けられ前記螺旋板の外側位置で前記螺旋板に載設された該玩具車両の角部を構成する2つの面に当接して該玩具車両の滑動を阻止する当接部とを備える、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明に係る玩具車両昇降装置は、請求項1に記載の玩具車両昇降装置において、
前記塔に設けられ前記玩具車両を外部へ排出するための出口と、
前記塔の内部に設けられ前記出口の近傍に位置し、前記螺旋板の回転によって前記玩具車両が前記出口に近付いた際に該玩具車両に摺接して該玩具車両を前記出口の側に向けさせるガイドとを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明に係る玩具車両昇降装置は、請求項1又は2に記載の玩具車両昇降装置において、
前記塔に設けられ前記玩具車両を該塔の内部に導入するための入口と、
前記玩具車両を該入口に進入させるための進入路と、
前記入口近くに設けられ前記進入路の路面に対して出没可能で突出時に前記玩具車両の通過を阻止し没入時に該玩具車両の通過を許容するストッパと、
前記ストッパを操作するストッパ操作手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明に係る玩具車両昇降装置は、請求項1又は2に記載の玩具車両昇降装置において、
前記塔に設けられ前記玩具車両を該塔の内部に導入するための入口と、
前記玩具車両を該入口に進入させるための進入路と、
前記入口近くに設けられ前記進入路の路面に対して出没可能で突出時に前記玩具車両の通過を阻止し没入時に該玩具車両の通過を許容する第1のストッパと、
前記第1のストッパを操作する第1のストッパ操作手段と、
前記第1のストッパよりも前記入口から離れた位置に設けられ前記進入路の路面に対して出没可能で突出時に前記玩具車両の通過を阻止し没入時に該玩具車両の通過を許容する第2のストッパと、
前記第2のストッパを操作する第2のストッパ操作手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明に係る玩具車両昇降装置は、請求項4に記載の玩具車両昇降装置において、
前記第1のストッパ操作手段は、前記第1のストッパが設けられた第1のレバーを備え、前記第2のストッパ操作手段は、前記第1のレバーにスプリングを介して連結され前記第2のストッパが設けられた第2のレバーを備え、さらに、前記第1のストッパ操作手段及び前記第2のストッパ操作手段は、共通の動力源を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明に係る玩具車両昇降装置は、請求項4又は5に記載の玩具車両用昇降装置において、
前記第2のストッパの少なくとも上面はゴムによって形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明に係る玩具車両昇降装置によれば、螺旋板の上に玩具車両が載設された玩具車両は前面及び側面が当接部に当接されるので、昇降時に玩具車両の姿勢が安定することになる。その結果、玩具車両の両側面を拘束しなくても、安定した姿勢を保持したまま上昇又は下降させることができる。また、玩具車両の両側面を拘束しないので、幅の異なる玩具車両にも対応することができる。
【0013】
請求項2記載の発明に係る玩具車両昇降装置によれば、玩具車両の姿勢保持位置と出口とが水平方向で異なる場合であっても、玩具車両を適切に出口方向に向けることができるので、車両車両を搭からスムースに排出することができる。
【0014】
請求項3記載の発明に係る玩具車両昇降装置によれば、ストッパ操作手段によって動作するストッパを備えるので、玩具車両に直接触れることなく、ストッパによって玩具車両を停止させることができる。
【0015】
請求項4記載の発明に係る玩具車両昇降装置によれば、ダブルストッパ構造となっているので、同時に、複数の玩具車両が塔内に導入されるのを防止することができる。
【0016】
請求項5記載の発明に係る玩具車両昇降装置によれば、第1のストッパが設けられた第1のレバーと第2のストッパが設けられた第2のレバーとがスプリングを介して連結されているので、第1のレバーと第2のレバーとを1つの動力源で以て同期させて動作させることができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、記載の発明に係る玩具車両昇降装置によれば、第2のストッパの少なくとも上面はゴムによって形成されているので、第2のストッパに玩具車両が衝突した場合だけでなく、第2のストッパの上に玩具車両が載った場合でも、玩具車両を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る玩具車両昇降装置の一実施の形態を示した斜視図である。
【図2】図1における搭の下部,中間部,上部における車両の状態を示した水平断面図で、(A)は下部、(B)は中間部、(C)は上部である。
【図3】ストッパを備えたレバーの連結状態を概念的に示した斜視図である。
【図4】クラッチを示した概念図である。
【図5】図3におけるストッパの連結状態を示した模式図である。
【図6】搭の入口に他の走行路を連結させた状態を示した概念的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る玩具車両昇降装置の一実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る玩具車両昇降装置の一実施の形態を示した斜視図、図2は搭の下部,中間部,上部における車両の状態を示した水平断面図である。
【0020】
本発明の玩具車両昇降装置1は塔10、走行路20及び走行路21を備えている。この玩具車両1の作用の概略を玩具車両Aの動きを中心に説明すれば、第1の入口12から塔10内に導入された玩具車両Aは螺旋板14の回転によって塔10内で上昇させられ、第1の出口11から走行路20に排出される。排出された玩具車両Aは走行路20を自重によって下り、塔10の第2の入口16まで導かれる。そして、玩具車両Aはこの第2の入口16から再び塔10内に導入され、塔10内で少し上昇させられ、第2の出口17から走行路21に排出される。排出された玩具車両Aは走行路21を自重によって下り第1の入口12に至る。
この一連の動きの中で、玩具車両Aはストッパ22bで一時止められた後、第2の入口16に至り、ストッパ22aで一時止められる。また、第2の出口17から排出された自動車玩具Aは第1の入口12の箇所で一時止められる。
以下、この玩具車両昇降装置1の詳細を説明する。
【0021】
搭10は、水平断面が正四角形を成し、後述するモータ31や人手によって回転駆動される回転軸13が中央に設置されている。回転軸13は、モータ31によって回転駆動される場合には、平面視で左回りに回転する。一方、回転軸13は、人手によって回転駆動される場合には、平面視で左右に回転可能である。この回転軸13は搭10のほぼ全高に亘って延在している。回転軸13の周囲には螺旋板14の内縁が固定されている。螺旋板14の外縁は、搭10の前壁、側壁及び後壁に近接されている。この螺旋板14は玩具車両Aを載設するためのものであり、螺旋板14の上面は、特に限定はされないが、回転軸13に直交する棒を螺旋状に連設することによって形成されている。
なお、ここで塔10の前壁とは、玩具車両昇降装置1の正面側に位置する壁を言うものとする。
【0022】
塔10の左側壁には、下部手前側に第1の入口12、下部奥側に第2の出口17が形成されている。第1の入口12は第2の出口17よりも低い位置に形成されている。
一方、塔10の右側壁には、上部手前側に第1の出口11、下部奥側に第2の入口16が形成されている。
また、塔10内には、螺旋板14の下端が摺接する床(図示せず)が設けられている。この床上に、第1の入口12及び第2の入口16から塔10内に導入された玩具車両Aが一旦載せられるようになっている。そして、この床上に載せられた玩具車両Aは、後述のモータ31によって回転する螺旋板14の下端によって掬われつつ、図2(A)に示すように、玩具自動車Aの前面及び右側面が、塔10の右側壁及び前壁の内面に当接する。この塔10の右側壁及び前壁の内面は当接部を構成している。これによって、玩具自動車Aは、螺旋板14の上に載設され、所定の姿勢を保ったまま、上昇させられることになる。第2の入口16から塔10内に導入された玩具車両Aも同様にして第2の出口17まで上昇させられる。このときには、玩具自動車Aの前面及び右側面が塔10の左側壁及び後壁の内面に当接する。この塔10の左側壁及び後壁の内面は当接部を構成している。
【0023】
また、搭10の前壁の内面には、第1の出口11の近傍の直ぐ下に、上方に行くに従って内方へ突出するように傾斜するガイド15が立設されている。このガイド15は、上昇させられた玩具車両Aを第1の出口11に向けるものである。
ただし、このガイド15は不可欠のものではない。なぜなら、第1の出口11が塔10の前壁に接していれば、ガイド15を設けなくても、玩具車両Aが上昇させられて第1の出口11に至れば玩具車両Aは自動的に排出されるからである。
しかし、第1の出口11が塔10の前壁から離れている場合には、玩具車両Aが第1の出口11と同じ高さまで上昇させられたとしても、ガイド15が無いと、依然として、玩具自動車Aの前面及び右側面が塔10の右側壁及び前壁の内面に当接したままの状態となり、第1の出口11から排出されない虞がある。
実施形態の玩具車両昇降装置1では、塔10の強度向上のために、第1の出口11を塔10の前壁から離している。そこで、実施形態の玩具車両昇降装置1ではガイド15を設けている。
このガイド15によれば、玩具車両Aが上昇して第1の出口11に近づくと、玩具車両Aの右側面がガイド15に当接し、ガイド15の傾斜面15a(図1参照)に摺接することによって、図2(C)に示すように、車両Aの前部を徐々に左側に向けさせる。これによって、玩具車両Aが第1の出口11に至ると、螺旋板14の面が下り勾配を有しているので、玩具車両Aが第1の出口11から走行路20に排出される。
【0024】
走行路20は、図1及び図2(C)に示すように、始端が第1の出口11の下縁に連結されている。この走行路20は下り勾配を有する長円形の旋回路であり、終端が搭10の第2の入口16の下縁に連結されている。
【0025】
走行路21は、図1及び図2(A)に示すように、始端が第2の出口17の下縁に連結されている。この走行路21は下り勾配を有する半円形の路であり、終端が搭10の第1の入口12の下縁に連結されている。この走行路21も下り勾配を有している。
【0026】
走行路20には、図2(A)に示すように、第2の入口16の手前に玩具車両Aのストッパ22a,22bが設けられている。このストッパ22a,22bの距離は、少なくとも、走行が予定される玩具車両Aの中で最大の車長を持つ玩具車両Aを間に挟める距離となっている。また、走行路21には、第1の入口12の手前にストッパ22cが配設されている。
ストッパ22a,22b,22cは、走行路20,21の路面に形成された孔から走行路20,21に対して出没可能に構成されている。このストッパ22a,22b,22cは、板状ではなく、玩具車両Aの走行方向に所定の厚みを有していることが好ましい。一般的にストッパ22a,22b,22cはプラスチック樹脂で形成される場合が多いが、板状の場合、ストッパ22a,22b,22cに当たった玩具車両Aがストッパの弾性によって跳ね返されることがあるからである。
さらに、ストッパ22a,22b,22cの少なくともその上面は摩擦抵抗が大きいゴム等によって形成されていることが好ましい。特に、ストッパ22aの後方に設置されるストッパ22bは、上述のように、走行が予定される玩具車両Aの中で最大の車長を持つ玩具車両Aに合わせてストッパ22aから離した位置に設置されているので、ストッパ22aによって車長が比較的短い玩具車両Aが停止させられている場合に、次の玩具車両Aがストッパ22bの真上に位置することがあり、この場合でも、確実に玩具車両Aを停止させるために、玩具車両Aの走行方向の厚みを大きくし、しかも、その上面を摩擦抵抗が大きいゴム等によって形成しておくことが好ましい。
【0027】
次に、玩具車両昇降装置1の内部機構及び装置について説明する。
図3は、回転軸13及びストッパ22a,22b,22cの駆動装置30を示している。この駆動装置30は回転軸13の回転手段を構成する。
この駆動装置30は、動力源であるモータ31と、モータ31の動力を回転軸13へ伝達する歯車機構とを備えている。
歯車機構は、モータ31の駆動軸31aの先端に固定されたピニオン歯車32aを含んで構成されている。この歯車機構は、モータ31によって回転する歯車32aの回転動力を、歯車32b,32cを介して、軸33の一端に固設された歯車34に伝達する。さらに、この歯車機構は、歯車34の回転動力を、軸33の他端の歯車35、クラウン歯車36a及び中間歯車36を介して、回転軸13の歯車37に伝達する。
【0028】
歯車機構の途中には、図3および図4に示すように、モータ31から回転軸13までの動力伝達経路を遮断するクラッチ38が設けられている。このクラッチ38は、回転軸13の手動操作を可能とするためのものである。
その構造を具体的に説明すれば、軸33は、その軸線方向に移動可能となるように軸受39に支持されている。軸受39と軸33のフランジ33aとの間にはコイルスプリング40が巻装されている。また、クラッチ38の先端38aはフランジ33aにコイルスプリング40とは反対側から当接している。そして、クラッチ38の摘み38bを人が操作することによって、クラッチ38が軸38cを中心に回転し、スプリング40の付勢力に抗して軸33を移動させる。これによって、歯車34が歯車32cから外れ、モータ31から回転軸13までの動力伝達経路が遮断され、回転軸13の手動操作が可能となる。手動操作は塔10の頭の部分を手で操作することによって行うことができる。
【0029】
また、駆動装置30は、図3及び図5(A),(B)に示すように、第1の端部側にストッパ22aが立設された板状レバー41と、第1の端部側にストッパ22bが立設された板状レバー42と、第1の端部側にストッパ22cが立設された板状レバー43と、板状レバー41と板状レバー42とを連結させる板状レバー45と、板状レバー43と外部の板状レバー57とを連結させる板状レバー52と、板状レバー42の動作を規制するための板状レバー49とを備えている。
【0030】
板状レバー41は、第1の端部とは反対側の第2の端部(基端部)が軸41aによって回動自在に支持されている。板状レバー41の中間部は、スプリング44によって上方に向けて付勢されている。この板状レバー41の第1の端部は、スプリング46を介して、板状レバー45の第1の端部に連結されている。具体的には、板状レバー41の第1の端部と板状レバー45の第1の端部とには、スプリング掛け部(図示せず)が設けられ、双方のスプリング掛け部にスプリング46が掛け渡され、このスプリング46によって板状レバー41の第1の端部と板状レバー45の第1の端部とが連結されている。
【0031】
板状レバー45は中央部の軸45aによって回動自在に支持されている。この板状レバー45における第1の端部とは反対側の第2の端部は、スプリング47を介して、板状レバー42における第1の端部とは反対側の第2の端部に連結されている。具体的には、板状レバー45の第1の端部と板状レバー42の第2の端部とには、スプリング掛け部(図示せず)が設けられ、双方のスプリング掛け部にスプリング47が掛け渡され、このスプリング47によって板状レバー45の第1の端部と板状レバー42の第2の端部とが連結されている。
【0032】
板状レバー42は中央部の軸42aによって回動自在に支持されている。この板状レバー42は板状レバー49と係合可能となっている。
【0033】
板状レバー49は中間部の軸49aによって回動自在に支持されている。軸49aは鉛直方向に延在し、板状レバー49は水平面内で回動自在となっている。板状レバー49の第1の端部には摘み49bが立設されている。この摘み49aは、図1に示すように、走行路20から突出している。また、板状レバー49における第1の端部と反対側の第2の端部にはカム50が立設されている。このカム50のカム面50aは傾斜面によって形成されている。
この板状レバー49は、通常時には、カム50のカム面50aがレバー42から離れた状態にある。この状態で、摘み49bを一方向に操作すると、傾斜面50aが板状レバー42の第2の端部を押し上げ、ストッパ22bを走行路20から没しさせる。このとき、板状レバー42、板状レバー45及び板状レバー45を介してレバー41も動き、ストッパ22aを走行路20から没しさせる。
【0034】
板状レバー43は、第1の端部とは反対側の第2の端部(基端部)が軸43aによって回動自在に支持されている。板状レバー43の中間部は、スプリング51によって上方に向けて付勢されている。この板状レバー43の第1の端部は、スプリング54を介して、板状レバー52の第1の端部に連結されている。具体的には、板状レバー43の第1の端部と板状レバー52の第1の端部とには、スプリング掛け部(図示せず)が設けられ、双方のスプリング掛け部にスプリング54が掛け渡され、このスプリング54によって板状レバー43の第1の端部と板状レバー52の第1の端部とが連結されている。
【0035】
板状レバー52は中央部の軸52aによって回動自在に支持されている。この板状レバー52は走行路21の代わりに別の走行路55(図6参照)を塔10に連結する場合に用いられる。
この別の走行路55においては、短い走行路21とは異なり、複数の玩具車両Aが走行路55を走行する可能性がある。そこで、走行路53を塔10に連結してダブルストッパ構造とするために、他の走行路55に、図5(B)に示すように、第1の端部にストッパ56が立設された板状レバー57を設け、第1の端部とは反対側の第2の端部を、板状レバー52における第1の端部とは反対側の第2の端部の下側に潜り込ませて互いに当接させるように構成したものである。なお、板状レバー57は中間部の軸57aによって回動自在に支持されている。
【0036】
また、駆動装置30は、板状レバー41,43等を動作させるためのカム機構を備えている。この駆動装置30は、また、ストッパ操作手段を構成する。
すなわち、図5(A)に示すように、板状レバー41には、中間部の側面に棒状のカムフォロア41bが突設されている。一方、螺旋板14の回転軸13には下部周縁に環状面が形成されており、その環状面にカム48が形成されている。そして、カム48にはカムフォロア41bが当接されている。また、図5(B)に示すように、板状レバー43には、中間部の側面に棒状のカムフォロア43bが突設されている。このカムフォロア43bは、回転軸のカム48に当接されている。
【0037】
次に、カム機構の動作について説明する。
まず、板状レバー41に着目すれば、回転軸13が回転して、カム48の谷がレバー41のカムフォロア41bの位置に来ると、スプリング44の付勢力によって、カム48の谷にレバー41のカムフォロア41bが圧接される。この時、レバー41の先端が上昇位置を取るので、ストッパ22aが走行路20に突出した状態となる。また、この時、レバー41の動作に連動してレバー45,42も動作し、ストッパ22bも走行路20に突出した状態となる。
一方、螺旋板14の回転軸13がさらに回転して、カム48の山がレバー41のカムフォロア41bの位置に来ると、スプリング44の付勢力によって、カム48の山にレバー41のカムフォロア41bが圧接される。この時、レバー41の先端が下降位置を取るので、ストッパ22aが走行路20から没した状態となる。また、この時、レバー41の動作に連動してレバー45,42も動作し、ストッパ22bも走行路20から没した状態となる。
【0038】
板状レバー43に着目すれば、螺旋板14の回転軸13が回転され、カムフォロア43bがカム48の谷にあるとき、スプリング51の付勢力によって、ストッパ22cが走行路20に突出された状態にある。一方、カム48の山がカムフォロア43bに至ると、カム48によってレバー43が下方に押し込まれ、ストッパ22cが走行路20に没する。
【0039】
次に、このように構成された昇降装置1の全体の動作を説明する。
回転によって螺旋板14の下端が第1の入口12に来る直前に、走行路21のストッパ22cが下降し、玩具車両Aは、第1の入口12から搭10内に導入される。螺旋板14がさらに回転すると、玩具車両Aの下側に螺旋板14の下端が潜り込む。そして、螺旋板14によって玩具車両Aが押されて、玩具車両Aの前面が塔10の右側壁の内面に当接するとともに、玩具車両Aの右側面が塔10の前壁に当接する。その後は、玩具車両Aは自重によってその姿勢を保持する。すなわち、螺旋板14に載せられた玩具車両Aは(螺旋板14が玩具車両Aの前方へ向けて下り勾配を有するので)前傾し、玩具車両Aの前面が塔10の右側壁に当接するとともに、玩具車両Aの右側面が塔10の前壁に当接する。さらに螺旋板14が回転すると、玩具車両Aが螺旋板14によって上昇させられる。上昇させられた玩具車両Aが第1の出口11に近付くと、玩具車両Aの右側面がガイド15に摺接し、それによって玩具車両Aの前部が内方に向けられる。そして、玩具車両Aが第1の出口11に達すると、玩具車両Aは螺旋板14の上を滑動し第1の出口11から走行路20に排出される。そして、玩具車両Aは走行路20に沿って下方に走行し、走行路20のストッパ22bによって一時停止させられる。その後、前方の玩具車両Aがストッパ22aの下降により第2の入口16から搭10内に導入されたタイミングでストッパ22bが下降し、玩具車両Aが再び走行する。その後、ストッパ22aが走行路20から突出し、玩具車両Aはストッパ22aによって一時停止させられる。そして、ストッパ22aが下降し、玩具車両Aは、第2の入口16から搭10内に導入される。この導入のタイミングは、回転によって螺旋板14の下端が第2の入口16に来る直前である。そして、螺旋板14がさらに回転すると、玩具車両Aの下側に螺旋板14の下端が潜り込む。そして、螺旋板14によって玩具車両Aが押されて、玩具車両Aの前面が塔10の左側壁に当接させられるとともに、玩具車両Aの右側面が塔10の後壁に当接させられる。さらに螺旋板14が回転すると、玩具車両Aが螺旋板14によって持ち上げられる。そして、玩具車両Aが第2の出口17に達すると、玩具車両Aは螺旋板14の上を滑動し、玩具車両Aが第2の出口17から走行路21に排出される。その後、玩具車両Aは走行路21に沿って下方に走行し、走行路21のストッパ22cによって一時停止させられる。
【0040】
また、クラッチ38の摘み38bを操作すると、駆動装置30の動力伝達経路が遮断されるので、塔10の頭部を回転させることで、螺旋板14を手動で回転させることができる。このときには、カム48の山によってカムフォロア41b,43bを下方に押圧するか、摘み49aを操作することによってストッパ22a,22b,22cを走行路20内に没入させることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 玩具車両昇降装置
10 搭
11 第1の出口
12 第1の入口
13 回転軸
14 螺旋板
15 ガイド
16 第2の入口
17 第2の出口
20,21 走行路
22a,22b,22c ストッパ
41,42,43 板状レバー
A 玩具車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塔と、
前記塔の内部に設けられ上下方向に延在する柱状の回転体と、
前記塔の内部に設けられ前記回転体に巻装され玩具車両を載設するための螺旋板と、
前記回転体の回転を介して前記螺旋板を回転させる回転手段と、
前記塔の内部に設けられ前記螺旋板の外側位置で前記螺旋板に載設された該玩具車両の角部を構成する2つの面に当接して該玩具車両の滑動を阻止する当接部とを備える、
ことを特徴とする玩具車両昇降装置。
【請求項2】
前記塔に設けられ前記玩具車両を外部へ排出するための出口と、
前記塔の内部に設けられ前記出口の近傍に位置し、前記螺旋板の回転によって前記玩具車両が前記出口に近付いた際に該玩具車両に摺接して該玩具車両を前記出口の側に向けさせるガイドとを備えることを特徴とする請求項1に記載の玩具車両昇降装置。
【請求項3】
前記塔に設けられ前記玩具車両を該塔の内部に導入するための入口と、
前記玩具車両を該入口に進入させるための進入路と、
前記入口近くに設けられ前記進入路の路面に対して出没可能で突出時に前記玩具車両の通過を阻止し没入時に該玩具車両の通過を許容するストッパと、
前記ストッパを操作するストッパ操作手段と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の玩具車両昇降装置。
【請求項4】
前記塔に設けられ前記玩具車両を該塔の内部に導入するための入口と、
前記玩具車両を該入口に進入させるための進入路と、
前記入口近くに設けられ前記進入路の路面に対して出没可能で突出時に前記玩具車両の通過を阻止し没入時に該玩具車両の通過を許容する第1のストッパと、
前記第1のストッパを操作する第1のストッパ操作手段と、
前記第1のストッパよりも前記入口から離れた位置に設けられ前記進入路の路面に対して出没可能で突出時に前記玩具車両の通過を阻止し没入時に該玩具車両の通過を許容する第2のストッパと、
前記第2のストッパを操作する第2のストッパ操作手段と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の玩具車両昇降装置。
【請求項5】
前記第1のストッパ操作手段は、前記第1のストッパが設けられた第1のレバーを備え、前記第2のストッパ操作手段は、前記第1のレバーにスプリングを介して連結され前記第2のストッパが設けられた第2のレバーを備え、さらに、前記第1のストッパ操作手段及び前記第2のストッパ操作手段は、共通の動力源を備えていることを特徴とする請求項4に記載の玩具車両昇降装置。
【請求項6】
前記第2のストッパの少なくとも上面はゴムによって形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の玩具車両用昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−224152(P2011−224152A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96838(P2010−96838)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【出願人】(595037951)株式会社イマジック (10)
【Fターム(参考)】