説明

現像ユニット、プロセス装置および画像形成装置

【課題】逆帯電現像剤をより確実に吸着することで、画像品質をより向上させることが可能な現像ユニットを提供する。
【解決手段】現像ユニット100は、正極性側に帯電極性を有するトナーを収容する現像剤収容部材100Aと、現像剤収容部材100A内に配置され、現像剤を担持する現像ローラ101と、現像剤収容部材100A内に配置され、現像ローラ101にトナーを供給する供給ローラ103と、供給ローラ103に摺接するとともに、供給ローラ103に摺接する部位が、帯電系列において供給ローラ103よりも正極性側にある材料で構成された帯電部材104とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ユニット、プロセス装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レーザプリンタやデジタル複合機などの電子写真方式の画像形成装置には、現像剤を収容した現像装置(現像ユニット)が設けられている。そして、現像装置に収容された現像剤は、供給ローラにより現像ローラに供給され、さらに現像ローラから静電潜像が形成された像担持体に供給された後、記録シートに転写される。
【0003】
一般的に、このような現像剤は消耗品であるため、使い切った後には現像装置内に直接新しい現像剤を供給したり、現像装置本体に対して着脱自在に構成された現像剤カートリッジを交換したりする必要がある。
【0004】
新しい現像剤が補給されると、現像装置内では新しい現像剤と残留している劣化した現像剤とが混合される。このとき、新しい現像剤と劣化した現像剤との間で電荷が移動し、新しい現像剤は本来帯電すべき極性へ、劣化した現像剤は本来帯電すべき極性とは逆の極性へそれぞれ帯電する。これにより、新しい現像剤と劣化した現像剤とが静電凝集して、凝集体が発生する。そして、この凝集体や逆帯電現像剤(本来帯電すべき極性とは逆の極性に帯電した現像剤)が、供給ローラから現像ローラを介して像担持体に供給されると、例えば、形成すべき画像以外の部分にも現像剤が転写され、画像品質が低下することがある。
【0005】
そこで、特許文献1においては、発泡性材料からなる供給ローラと導電性の現像室底部とが、例えば1mmの間隔をおいて対向配置され、現像室底部に供給ローラに印可されたバイアスよりも現像剤の帯電極性と同極性側に偏ったバイアスが印可される現像装置が開示されている。このような現像装置によれば、供給ローラに付着した逆帯電現像剤が現像室底部に吸着されるため、凝集体や逆帯電現像剤が画像形成に与える影響を抑制することができる。
【特許文献1】特開平8−202143号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、供給ローラは、現像ローラに現像剤を供給する部材であるから、特に供給ローラに付着した逆帯電現像剤は確実に除去されることが望まれる。
【0007】
しかし、前記した従来の現像装置は、供給ローラと現像室底部との間に比較的大きな隙間(例えば1mm)があり、その隙間に現像剤が存在するため、供給ローラに付着した逆帯電現像剤を確実に現像室底部に吸着させることが難しいという問題がある。その結果、従来の現像装置は、供給ローラ上に残留した逆帯電現像剤が現像ローラを介して像担持体に供給され、さらに記録シートに転写されるので、画像品質の低下を確実に抑制することはできない。
【0008】
そこで、本発明は、逆帯電現像剤をより確実に吸着することで、画像品質をより向上させることが可能な現像ユニット、プロセス装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記した目的を達成するため、本発明の現像ユニットは、第1の極性側に帯電極性を有する現像剤を収容する現像剤収容部材と、前記現像剤収容部材内に配置され、前記現像剤を担持する現像ローラと、前記現像剤収容部材内に配置され、前記現像ローラに前記現像剤を供給する供給ローラと、前記供給ローラに摺接するとともに、前記供給ローラに摺接する部位が、帯電系列において前記供給ローラよりも前記第1の極性側にある材料で構成された帯電部材とを備えたことを特徴とする。
【0010】
このように構成された現像ユニットによれば、供給ローラと帯電部材とが摺接することにより帯電部材が現像剤の帯電極性と同極性に帯電するため、現像ケース内に存在する、または、供給ローラに付着した逆帯電現像剤を帯電部材に吸着させることができる。また、供給ローラと帯電部材とが摺接し隙間が小さいため、供給ローラと帯電部材との間に存在する現像剤の量を少なくすることができ、供給ローラに付着した逆帯電現像剤を確実に帯電部材に吸着させることができる。
【0011】
また、本発明は、前記現像ユニットと、前記現像ユニットから前記現像剤が供給されて現像剤像が形成される像担持体とを備えたプロセス装置として構成することができる。
【0012】
さらに、本発明は、前記プロセス装置と、前記プロセス装置の前記像担持体を露光して前記像担持体上に静電潜像を形成する露光装置と、前記プロセス装置で形成された現像剤像を前記記録シート上に転写する転写装置と、記録シート上に形成された像を定着する定着装置とを備えた画像形成装置として構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の現像ユニット、プロセス装置および画像形成装置によれば、供給ローラに摺接する帯電部材により、供給ローラに付着した逆帯電現像剤をより確実に吸着して分離することができ、凝集体の発生を抑制することができる。これにより、逆帯電現像剤や凝集体が、供給ローラから現像ローラを介して像担持体に供給されることが抑制されるため、画像品質をより向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は画像形成装置の一例としてのレーザプリンタを示す側断面図であり、図2は図1におけるプロセス装置を示す側断面図である。なお、以下の説明において方向は、レーザプリンタの使用時におけるユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面右側を「手前側」、左側を「奥側」とし、紙面垂直方向のうち奥側を「右側」、手前側を「左側」とする。なお、上下方向については、図示方向とレーザプリンタ使用時におけるユーザの方向が一致するので、そのまま「上下方向」とする。
【0015】
<レーザプリンタの全体構成>
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ1は、本体ケーシング2内に、記録シートの一例としての用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0016】
<フィーダ部の構成>
フィーダ部4は、本体ケーシング2内の底部に着脱可能に装着された給紙トレイ6と、給紙トレイ6内に設けられた用紙押圧板7とを主に備えている。また、フィーダ部4は、用紙3の搬送や紙粉取りを行う各種のローラ11を備えている。
【0017】
このように構成されるフィーダ部4では、給紙トレイ6内の用紙3が、用紙押圧板7に
よって上方に寄せられ、各種のローラ11によって画像形成部5に搬送される。
【0018】
<画像形成部の構成>
画像形成部5は、露光装置の一例としてのスキャナユニット15、プロセス装置16、定着装置の一例としての定着部18などを備えている。
【0019】
<スキャナユニットの構成>
スキャナユニット15は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示せず。)、回転駆動されるポリゴンミラー19、レンズ20,21、反射鏡22,23,24などを備えている。レーザ発光部から発光される画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示すように、ポリゴンミラー19、レンズ20、反射鏡22、反射鏡23、レンズ21、反射鏡24の順に反射または通過して、プロセス装置16の像担持体の一例としての感光ドラム31の表面上に高速走査にて照射される。
【0020】
<プロセス装置の構成>
プロセス装置16は、本体ケーシング2の手前側に設けられたフロントカバー2Aを適宜開放することで、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着される構造となっている。このプロセス装置16は、現像ユニット100とドラムユニット30とで主に構成されている。
【0021】
現像ユニット100は、本体ケーシング2にドラムユニット30を介して着脱自在、より詳細には、本体ケーシング2内に固定されるドラムユニット30に対して着脱自在に装着される。なお、この現像ユニット100の本体ケーシング2への装着は、現像ユニット100だけで行う構成としてもよいし、現像ユニット100にドラムユニット30を装着したプロセス装置16で行う構成としてもよい。
【0022】
現像ユニット100は、現像カートリッジ110と、トナーカートリッジ130とから構成されている。
【0023】
現像カートリッジ110は、図2に示すように、現像室111を形成する現像ケース110Aと、現像ローラ101と、層厚規制ブレード102と、現像ローラ101に摺接する供給ローラ103と、供給ローラ103に摺接する帯電部材104とを主に備えている。なお、現像ローラ101および供給ローラ103には現像時にそれぞれ正極性のバイアスが印加される。
【0024】
トナーカートリッジ130は、図2に示すように、現像剤収容室131を形成する現像剤ケースの一例としてのトナーケース130Aと、現像剤収容室131内に収容されたトナーを現像室111へ搬送するアジテータ140とを備え、現像ケース110Aに対して着脱可能に構成されている(図4参照)。現像剤収容室131は、より具体的には、空間であり、トナーカートリッジ130の壁面(内壁面)により形成されている。
【0025】
なお、本実施形態では、現像ケース110Aとトナーケース130Aとから、現像ユニット100の筐体である現像剤収容部材100Aが構成されている。そして、現像ケース110Aにトナーケース130Aが装着された現像剤収容部材100Aとして、本体ケーシング2に対して着脱されるように構成されている。
【0026】
現像剤収容室131に収容される現像剤の一例としてのトナーは、現像剤収容室131から現像室111内に供給され、供給ローラ103を介してまたは直接、現像ローラ101に供給される。現像ローラ101上に供給されたトナーは、現像ローラ101の回転に伴って、層厚規制ブレード102と現像ローラ101との間に進入し、一定厚さの薄層と
して現像ローラ101上に担持される。このとき、トナーは、供給ローラ103と現像ローラ101との間や、層厚規制ブレード102と現像ローラ101との間で摺接されて正に摩擦帯電される。
【0027】
図2に示すように、ドラムユニット30は、像担持体の一例としての感光ドラム31、スコロトロン型帯電器32と、転写装置の一例としての転写ローラ17とを主に備えている。
【0028】
感光ドラム31は、ドラムケース30Aに回転可能に支持され、現像ユニット100がドラムユニット30に装着された状態では、現像ローラ101の奥側において、現像ローラ101と接触するように配置されている。
【0029】
スコロトロン型帯電器32は、タングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、感光ドラム31の表面を一様に正極性に帯電させるように構成されている。
【0030】
転写ローラ17は、感光ドラム31の下方において、この感光ドラム31に対向して接触するように配置され、ドラムケース30Aに回転可能に支持されている。この転写ローラ17には、転写時に、定電流制御によって転写バイアスが印加される。
【0031】
このように構成されるプロセス装置16では、感光ドラム31の表面が、スコロトロン型帯電器32により一様に正帯電された後、スキャナユニット15からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0032】
ここで、「静電潜像」とは、一様に正帯電されている感光ドラム31の表面のうち、レーザビームによって露光されて電位が下がっている露光部分をいう。
【0033】
次いで、現像ローラ101の回転により、現像ローラ101上に担持されているトナーが、感光ドラム31に対向して接触するときに、感光ドラム31の表面上に形成される静電潜像に供給される。このようにトナーが、感光ドラム31の表面上で選択的に担持されることにより可視像化され、反転現像によりトナー像が形成される。
【0034】
その後、感光ドラム31と転写ローラ17とが、用紙3を両者間で挟持して搬送するように回転駆動し、感光ドラム31と転写ローラ17との間を用紙3が搬送されることにより、感光ドラム31の表面に担持されているトナー像が用紙3上に転写される。
【0035】
<定着部の構成>
定着部18は、図1に示すように、プロセス装置16の下流側に設けられ、加熱ローラ41と、加熱ローラ41と対向して配置され加熱ローラ41を押圧する押圧ローラ42とを主に備えている。
【0036】
このように構成される定着部18では、用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ41と押圧ローラ42との間を通過する間に熱定着させる。定着部18でトナーが熱定着された用紙3は、定着部18の下流側に設けられた排紙ローラ45により搬送され、排紙トレイ46上に送り出される。
【0037】
<現像ユニットの詳細構造>
次に、本発明の第1実施形態に係る現像ユニット100の詳細構造について説明する。図3は帯電部材と固定部材との関係を示す斜視図である。
【0038】
前記したように現像ユニット100の筐体である現像剤収容部材100Aは、現像ケース110Aとトナーケース130Aとから構成されている。
【0039】
図2に示すように、現像ケース110Aは、現像ローラ101および供給ローラ103を回転可能に支持するとともに、現像ローラ101、層厚規制ブレード102、供給ローラ103および帯電部材104が配置される現像室111を形成している。
【0040】
現像ケース110Aの上壁内部側の供給ローラ103の上方には、現像室111を2つに分けるように配置され、上方から下方に向かって延出する仕切壁112が形成されている。なお、説明の便宜上、仕切壁112により2つに分けられた現像室111のうち、手前側すなわちトナーが貯留される部分を第1現像室111A、奥側すなわち現像ローラ101と層厚規制ブレード102が配置される部分を第2現像室111Bとする。
【0041】
より具体的には、第1現像室111Aは、空間であり、現像ケース110Aの壁面(内壁面)1110Aにより構成されている。また、第2現像室111Bは、空間であり、現像ケース110Aの壁面(内壁面)1110Bにより形成されている。
【0042】
現像ケース110Aの手前側には、現像ケース110Aの一部を構成するとともに、現像室111と後述するトナーケース130A(現像剤収容室131)とを区画する区画部の一例としての区画壁113が形成されている。
【0043】
供給ローラ103の上方には、帯電部材104が供給ローラ103に摺接するように配設されている。この帯電部材104は、図3に示すように、仕切壁112の下部に形成された複数の固定部材114に固定されている。複数の固定部材114は、一定の間隔をおいて設けられているので、トナーは各固定部材114の間に形成された隙間を通って現像ローラ101に供給される。
【0044】
ここで、帯電部材104は、供給ローラ103の周面のうち、少なくとも画像形成幅内にある領域に摺接するように構成される。ここで、本実施形態において、「画像形成幅内」とは、供給ローラ103の軸と現像ローラ101の軸と感光ドラム31の軸とが略平行になるように構成された状態において、感光ドラム31の軸方向における静電潜像が形成される領域の幅内を指す。特に、本実施形態では、帯電部材104は、供給ローラ103の周面のうち、全ての領域に摺接するように構成されている。
【0045】
本実施形態の供給ローラ103はその表面がウレタン系の発泡弾性体から形成されている。一方、帯電部材104は帯電系列において供給ローラ103の表面材料すなわちウレタンよりも正極性側に位置する材料であるアクリル板で形成されている。これにより、供給ローラ103が回転して帯電部材104と摺接すると、帯電部材104の供給ローラ103に摺接する部位が正に摩擦帯電される。
【0046】
ここで、「帯電系列」(帯電列)とは、2種類の材料を摩擦(摺接)したときに、正極性側に帯電しやすい材料を上位側(正極性側)に、負極性側に帯電しやすい材料を下位側(負極性側)に並べた序列をいう。
【0047】
トナーケース130Aは、トナーが収容される現像剤収容室131を形成し、開口部105によって現像剤収容室131と第1現像室111A(現像室111)とが連通している。また、トナーケース130Aは、前記したように、現像ケース110Aに着脱可能に構成されているので、トナーの補給を容易に行うことができ、現像ユニット100の取り扱いを容易としている。
【0048】
ここで、現像ケース110A(現像カートリッジ110)とトナーケース130A(トナーカートリッジ130)の着脱機構の一例について説明する。図4は現像カートリッジとトナーカートリッジを示す斜視図であり、図5(a)は現像カートリッジにトナーカートリッジを装着した状態を示す側断面図、(b)は現像室と現像剤収容室とが連通した状態を示す側断面図である。
【0049】
トナーケース130Aを現像ケース110Aに装着する場合は、図4に示すように、トナーケース130Aの位置決めピン132を、現像ケース110Aの位置決め凹部115に合わせながら、トナーケース130Aを現像ケース110Aの手前側部分に押し付ける。このとき、図5(a)に示すように、トナーケース130Aの固定用レバー133の係合爪133Aが、現像ケース110Aの被係合部116に引っ掛かることでトナーケース130Aが現像ケース110Aに固定される。また、トナーケース130Aを現像ケース110Aから取り外す場合は、固定用レバー133を引き上げることにより係合爪133Aの引っ掛かりを解除して、トナーケース130Aを現像ケース110Aの手前側斜め上方に引く。
【0050】
ここで、トナーケース130Aは、図5(a)に示すように、円筒状の内側筐体134と、内側筐体134を回動自在に支持する外側筐体135とから構成され、内側筐体134には内側開口部134Aが、外側筐体135には外側開口部135Aがそれぞれ形成されている。単独状態のトナーケース130A(すなわちトナーカートリッジ130)およびトナーケース130Aが現像ケース110Aに単に固定された状態(図5(a)参照)では、内側開口部134Aと外側開口部135Aとは連通状態にはない。
【0051】
そこで、トナーケース130Aが現像ケース110Aに固定されると、図5(a)に示すように、内側筐体134の両端部に形成された円弧状突起134B(図4参照)が、現像ケース110Aに揺動自在に設けられた操作レバー117の凹部117A内に入り込む。そして、図5(b)に示すように、操作レバー117を上方に揺動させ、外側筐体135に対して内側筐体134を回動させることで内側開口部134Aと外側開口部135Aとが連通状態となる。
【0052】
このとき同時に、現像ケース110Aに設けられたトナー供給口118を閉塞するシャッタ119も、内側筐体134の図示しない係合部と係合することによって内側筐体134と一体に回動するように構成されている。これにより、操作レバー117を上方に揺動させることで、トナー供給口118、シャッタ開口部119A、外側開口部135Aおよび内側開口部134Aが連通状態となり、開口部105を形成する。
【0053】
なお、トナーケース130Aは、図5(b)に示す状態において、手前側がこの操作レバー117によっても固定される。
【0054】
次に、以上のように構成された現像ユニット100の帯電部材104の作用について説明する。図6は帯電部材の作用を説明する拡大断面図である。
【0055】
現像ケース110Aは、図6に示すように、第1対向壁110Bを有している。第1対向壁110Bは、現像ローラ101の表面において現像位置GPから現像ローラ101の回転方向下流側に連続して供給ローラ103との接触位置SPに至る領域、および供給ローラ103の表面において現像ローラ101との接触位置SPから供給ローラ103の回転方向下流側に連続して延びる領域に対向している。
【0056】
ここで、「現像位置GP」とは、現像ローラ101の表面における感光ドラム31に最
も近接した位置をいい、本実施形態においては特に、現像ローラ101の表面における感光ドラム31と接触している位置をいう。
【0057】
また、現像ケース11Aは、供給ローラ103を挟んで第1対向壁110Bと反対側に第2対向壁110C(図2参照)を有している。
【0058】
なお、前記した区画壁113は、第1対向壁110Bから供給ローラ103の回転方向下流側(第2対向壁110C側)へ向けて連続して延びることにより、現像剤収容室131と第1現像室111Aとを区画している。より詳細には、区画壁113は、現像剤収容室131と第1現像室111Aとの間に形成されており、区画壁113の上端(先端)は、開口部105の一部を形成している。
【0059】
ここで、現像ローラ101および供給ローラ103と第1対向壁110Bとの間に形成された経路、並びに、供給ローラ103と区画壁113との間に形成された経路をトナー回収経路R2とする。このようなトナー回収経路R2は、劣化トナーT2が、感光ドラム31から現像ローラ101および供給ローラ103を介して第1現像室111A内に回収される経路として構成される。
【0060】
また、新トナーT1が、現像剤収容室131から開口部105を介して後述する合流部Mへ至る経路と、合流部Mから現像ローラ101を介して感光ドラム31に補給される経路をトナー補給経路R1とする。このようなトナー補給経路R1は、合流部Mより下流側においては、供給ローラ103を挟んで第1対向壁110Bと反対側に形成されている。
【0061】
さらに、供給ローラ103の回転中心Cと区画壁113の奥側上端部113Aとを結ぶ鎖線上における、供給ローラ103の表面と奥側上端部113Aとを結んだ線上、すなわち、トナー補給経路R1とトナー回収経路R2とが合流する領域を合流部Mとする。
【0062】
本実施形態のトナーは、磁性粒子を含まない非磁性一成分の正帯電性の重合トナーである。このようなトナーは、供給ローラ103から現像ローラ101、感光ドラム31へと供給・摩擦帯電される間に、供給ローラ103と現像ローラ101との間や層厚規制ブレード102と現像ローラ101との間、現像ローラ101と感光ドラム31との間で摺接されるため劣化しやすく、正極性側に帯電しづらくなっている。このようにトナーは劣化して劣化トナーT2となる。
【0063】
劣化トナーT2は、トナー回収経路R2を通って第1現像室111A内に回収されるので、現像室111内に残ることとなる。このような状態で、トナーカートリッジ130が交換され、新トナーT1が、トナー補給経路R1を通って第1現像室111A内に補給されると、合流部M付近で新トナーT1と劣化トナーT2とが混合される。新トナーT1と劣化トナーT2とが混合すると、トナー同士の摩擦により、新トナーT1は正に帯電して正帯電トナーTPとなり、劣化トナーT2は負に帯電して逆帯電トナー(本来帯電すべき正極性とは逆の負極性に帯電したトナー)TNとなる。
【0064】
図6に示すように、前記した各トナーT1,T2,TN,TPが存在する状態において、画像形成が開始されると、まず、アジテータ140が時計方向に回転し、現像ローラ101および供給ローラ103が反時計方向(図6の矢印方向)に回転駆動する。そうすると、アジテータ140先端側に設けられた撹拌羽(フィルム)140Aが、開口部105を介して現像室111へトナーを搬送する。そして、供給ローラ103の回転により、ウレタン系の発泡弾性体で形成された供給ローラ103の表面とアクリル板で形成された帯電部材104とが摺接し、帯電部材104の供給ローラ103に摺接する部位が正に摩擦帯電する。
【0065】
これにより、第1現像室111A内に残る逆帯電トナーTNや、トナー回収経路R2を通って回収され供給ローラ103上に付着した逆帯電トナーTNは、静電気力によって正に帯電した帯電部材104に吸着される。このように逆帯電トナーTNが帯電部材104に吸着されることで、正帯電トナーTPと逆帯電トナーTNとが分離されるので、凝集体の発生は抑制されることとなる。
【0066】
なお、正帯電トナーTPは、正に帯電した帯電部材104に吸着されることなく、供給ローラ103を介してまたは直接、現像ローラ101に供給され、さらに現像ローラ101から感光ドラム31に供給された後、用紙3に転写されて画像を形成する。
【0067】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
【0068】
供給ローラ103と帯電部材104とが摺接することにより、帯電部材104が正極性側に帯電するため、現像ケース110A内に存在する、または、供給ローラ103に付着した逆帯電トナーTNを帯電部材104に吸着させることができる。これにより、逆帯電トナーTNを分離することができ、逆帯電トナーTNと正帯電トナーTPが静電凝集した凝集体の発生を抑制することができる。その結果、逆帯電トナーTNや凝集体が、現像ローラ101を介して感光ドラム31に供給されることが抑制され、感光ドラム31から用紙3への転写も抑制されるため、画像品質を向上させることができる。
【0069】
供給ローラ103と帯電部材104とが摺接し、供給ローラ103と帯電部材104との隙間が小さいため、供給ローラ103と帯電部材104との間に存在するトナーの量を少なくすることができ、供給ローラ103に付着した逆帯電トナーTNを確実に帯電部材104に吸着させることができる。これにより、供給ローラ103に付着した逆帯電トナーTNが、現像ローラ101を介して感光ドラム31に供給されることがより確実に抑制され、感光ドラム31から用紙3への転写も抑制されるため、画像品質をより向上させることができる。
【0070】
供給ローラ103の表面が発泡弾性体から形成されているので、供給ローラの表面には凹部が多数形成されている。このため、供給ローラ103の表面の凹部にトナーが担持されるとともに、凹部以外の表面部分が適度に弾性変形することで帯電部材104とより確実に摺接する。これにより、供給ローラ103は、トナーを確実に搬送することができるとともに、帯電部材104を確実に正極性側に帯電させることができる。
【0071】
現像ローラ101と供給ローラ103が、同方向(反時計方向)に回転するため、供給ローラ103から現像ローラ101へのトナーの補給経路(図示せず)と、現像ローラ101から供給ローラ103へのトナー回収経路R2とが明確に区別される。これにより、劣化トナーT2や逆帯電トナーTNが現像室内を円滑に流動するので、劣化トナーT2や逆帯電トナーTNの滞留を抑制することができ、帯電部材104による逆帯電トナーTNの吸着をより効果的に行うことができる。
【0072】
また、劣化トナーT2や逆帯電トナーTNが現像室内を円滑に流動するので、劣化トナーT2や逆帯電トナーTNが局所的に滞留することが抑制される。その結果、劣化トナーT2や逆帯電トナーTNの濃度が高まることによって形成される画像品質が低下することが抑制される。
【0073】
帯電部材104が、トナー回収経路R2とトナー補給経路R1との合流部Mよりも供給ローラ103の回転方向下流側に配置されることで、現像ローラ101に近接した位置において逆帯電トナーTNを効果的に吸着させることができる。これにより、現像ローラ1
01上に新トナーT1を効果的に供給することができる。
【0074】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第1実施形態に係る現像ユニット100の一部の構成、具体的には、帯電部材104の配設位置を変更したものであるため、この点についてのみ説明する。参照する図面において、図7は本実施形態に係る現像ユニットの主要部分を示す拡大断面図であり、図8は帯電部材と固定部材との関係を示す平面図である。
【0075】
本実施形態では、帯電部材104は、図7に示すように、トナー回収経路R2上の供給ローラ103と区画壁113との間において、供給ローラ103に摺接するように配設されている。すなわち、本実施形態においては、手前側から奥側に向かって、現像剤収容室131、区画壁113、帯電部材104、供給ローラ103および現像ローラ101という順に並んで配置されている。
【0076】
帯電部材104は、先端部104Aが帯電部材104と供給ローラ103との接触位置Qから供給ローラ103の回転方向下流側へ延びるように構成されている。より詳細には、帯電部材104は、帯電部材104の先端部104Aと合流部Mとが一致するように構成されている。
【0077】
この帯電部材104は、図8に示すように、区画壁113に設けられた複数の固定部材114に固定されている。複数の固定部材114は、一定の間隔をおいて設けられているので、トナーが各固定部材114の間に形成された隙間114Aを通過することができる。すなわち、各固定部材114の間において、トナーをトナー補給経路R1へ向けて通過させる隙間114Aが形成されており、隙間114Aはトナー回収経路R2の一部を構成している。
【0078】
また、帯電部材104は、固定部材114よりもトナー補給経路R1側へ向けて突出するように構成されているので、帯電部材104と区画壁113との間において、トナー回収経路R2の一部を構成している。
【0079】
次に、本実施形態に係る現像ユニット100の帯電部材104の作用について簡単に説明する。
【0080】
図7に示すように、前記した各トナーT1,T2,TN,TPが存在する状態において、画像形成が開始されると、まず、現像ローラ101および供給ローラ103が同方向(反時計方向。図7の矢印方向)に回転駆動する。そうすると、供給ローラ103の回転により、ウレタン系の発泡弾性体で形成された供給ローラ103の表面とアクリル板で形成された帯電部材104とが摺接し、帯電部材104の供給ローラ103に摺接する部位が正に摩擦帯電する。
【0081】
これにより、特に供給ローラ103に付着した逆帯電トナーTNや、トナー回収経路R2を通って回収された逆帯電トナーTNは、静電気力によって正に帯電した帯電部材104に吸着される。このように逆帯電トナーTNが帯電部材104に吸着されることで、正帯電トナーTPと逆帯電トナーTNとが分離されるので、凝集体の発生は抑制されることとなる。
【0082】
このように構成される本実施形態に係る現像ユニット100によれば、前記した第1実施形態と同等の効果を得ることができる。さらに、本実施形態においては、逆帯電トナーTNや劣化トナーT2の濃度が高いトナー回収経路R2上に帯電部材を配置するため、逆
帯電トナーTNを効果的に帯電部材104に吸着させることができる。これにより、第1現像室111A内の逆帯電トナーTNの濃度を低下させることができ、凝集体の発生を抑制することができるため、画像品質を向上させることができる。また、区画壁113に固定部材114を取り付けることができるため、前記した第1実施形態と比較して、帯電部材104の供給ローラ103と摺接する面とは反対側の面をより安定した状態で固定することができる。
【0083】
また、帯電部材104と区画壁113との間、および、各固定部材114の間において、トナー回収経路R2が形成されているので、帯電部材104と供給ローラ103との間を通過しなかったトナーを、トナー補給経路R1へ円滑に送ることができる。これにより、逆帯電トナーTNや劣化トナーT2が局所的に滞留して、逆帯電トナーTNや劣化トナーT2の濃度が局所的に高まることが抑制される。その結果、画像品質を向上させることができる。
【0084】
また、帯電部材104の先端部104Aが、帯電部材104と供給ローラ103との接触位置Qよりもトナー補給経路R1側へ突出しているので、劣化トナーT2をトナー回収経路R2からトナー補給経路R1へ円滑に流すことができる。これにより、劣化トナーT2が局所的に滞留して、劣化トナーT2の濃度が局所的に高まることが抑制される。さらに、帯電部材104と区画壁113との間を通過した劣化トナーT2が直接的に供給ローラ103の周面に向けて流れることが抑制される。その結果、形成される画像品質を向上させることができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0086】
前記した実施形態では、記録シートの一例として、普通紙、厚紙、はがき、薄紙などの用紙3を例示したが、これに限定されず、例えば、OHPシートや布などであってもよい。
【0087】
前記した実施形態では、現像ユニット100がドラムユニット30に対して着脱自在に装着される構成としたが、これに限定されず、例えば、現像ユニット100とドラムユニット30を一体に構成してもよい。また、ドラムユニット30と現像ケース110A(現像カートリッジ110)を一体に構成し、これにトナーケース130A(トナーカートリッジ130)が着脱自在に装着される構成としてもよい。
【0088】
前記した実施形態では、帯電部材104全体をアクリル板で形成したが、帯電部材104のうち正に帯電する部位は、供給ローラ103に摺接する部位であるため、例えば、帯電部材のうち、少なくとも供給ローラに摺接する部位がアクリル板で形成されていればよい。
【0089】
前記した実施形態では、供給ローラ103の表面をウレタン系の発泡弾性体から形成し、帯電部材104をアクリル板で形成したが、これに限定されるものではない。例えば、供給ローラの表面を鉄から形成し帯電部材をポリエステルで形成してもよいし、供給ローラの表面をシリコーンゴムから形成し帯電部材をナイロンで形成してもよい。
【0090】
なお、供給ローラの表面が弾性体であるシリコーンゴムから形成されていると、供給ローラの弾性変形により、供給ローラと帯電部材とが適度に摺接し帯電部材を良好に帯電させることができるとともに、トナーを供給ローラと帯電部材との間に搬送することができる。
【0091】
前記した実施形態では、供給ローラ103の表面を発泡弾性体から形成したが、これに限定されず、例えば、帯電部材を発泡弾性体から形成してもよい。この場合、帯電部材を形成する発泡弾性体は、帯電系列において供給ローラ(少なくともその表面)を構成する材料よりも正極性側にあることはいうまでもない。一例としては、供給ローラをポリエチレンから形成し、帯電部材をポリウレタンフォームから形成することができる。
【0092】
前記した実施形態では、現像ローラ101と供給ローラ103が、同方向に回転するように構成したが、これに限定されず、現像ローラと供給ローラの回転方向を逆方向としてもよい。
【0093】
前記した実施形態では、供給ローラ103に対して1つの帯電部材104を配設した構成を示したが、これに限定されず、供給ローラ103に対して複数の帯電部材104を配設した構成としてもよい。例えば、前記した第1および第2実施形態を組み合わせた構成とすることができる。
【0094】
前記した実施形態では、現像剤収容部材100Aが、現像ケース110Aと、現像ケース110Aに着脱自在に装着されるトナーケース130Aの2つに分けて構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、現像ケースとトナーケース(現像剤ケース)とが一体として構成された現像剤収容部材であってもよい。なお、この場合、現像剤の補給は、現像剤収容部材が形成する現像剤収容室に、直接新しい現像剤を供給することで行うことができる。
【0095】
前記した実施形態では、現像剤の一例として正帯電性のトナーを示したが、これに限定されず、例えば、負帯電性のトナーであっても本発明を適用することができる。なお、この場合、帯電部材が、帯電系列において供給ローラ(少なくともその表面)を構成する材料よりも負極性側にある材料で構成される。例えば、供給ローラの表面をアルミニウムで形成し、帯電部材をポリエチレンフォームで形成すればよい。
【0096】
前記した第2実施形態では、複数の固定部材114の間にトナー回収経路R2の一部を形成したが、これに限定されず、例えば、1つの固定部材に貫通孔を形成し、この貫通孔をトナー回収経路R2の一部としてもよい。
【実施例】
【0097】
次に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、帯電部材を備えるレーザプリンタ(実施例)と、帯電部材を備えないレーザプリンタ(比較例)を使用して印刷実験を行った。
【0098】
本実施例における実験条件は、帯電部材の寸法および固定部材の数・寸法を除いて第2実施形態と同様であり、より詳細には以下のとおりである。なお、第2実施形態および下記の具体的構成は、本発明を限定するものではない。
(1)トナー
(a)新トナー
正帯電性の非磁性一成分トナー。
【0099】
(b)劣化トナー
劣化トナーは、新トナーが充填された1つの現像ユニットによってA4普通紙に12,000枚の印字がなされた後に、その現像ユニット(現像室)内に残留しているトナーを指す。
(2)現像ローラ
・材質:シリコーンゴム
・直径:20mm
・幅(左右方向):236mm
(3)供給ローラ
・材質:ウレタン
・直径:13mm
・幅(左右方向):217mm
・周速:145mm/sec
(4)帯電部材(実施例のみ)
・材質:アクリル板
・厚み(供給ローラと帯電部材の対向方向)1.5mm
・幅(供給ローラの幅(軸)方向):30mm
・長さ(厚み方向および幅方向に直交する方向):10mm
・配設位置:第2実施形態と同様。ただし、供給ローラの幅(217mm)のうち、図9の右側方向から10〜40mm(図9のX領域に対応)および60〜90mm(図9のY領域に対応)の領域にのみ摺接するように配設。
(5)固定部材(実施例のみ)
帯電部材1つに対応して、固定部材が2つ設けられ、それらの固定部材間に隙間が1つ形成されている。
【0100】
・隙間の形状:長方形
・隙間の断面積:32mm2
・長さ(供給ローラの軸方向):16mm
・幅(供給ローラと帯電部材との対向方向):2mm
なお、「隙間」とは、帯電部材、区画壁および2つの固定部材によって形成される空間をいう(図8参照)。
【0101】
以上のような条件において、印刷実験を行った。具体的には、現像室に30gの劣化トナーを入れ、現像ローラ、供給ローラおよびアジテータを1分間回転させた後で、現像剤収容室に100gの新トナーを補給して、白ベタ印刷を行った。その結果を、図9および図10に示す。
【0102】
図9は実施例のレーザプリンタを使用して白ベタ印刷を行った後の用紙の一部を示す写真図であり、図10は帯電部材が設けられていない比較例のレーザプリンタを使用して白ベタ印刷を行った後の用紙の一部を示す写真図である。なお、両図ともに、(a)は印刷1枚目、(b)は印刷5枚目、(c)は印刷10枚目の印刷結果である。
【0103】
また、図9において、用紙幅方向(供給ローラの軸方向)の領域XおよびYは供給ローラに帯電部材を摺接させた部位に対応する領域であり、その他の領域は供給ローラに帯電部材を摺接させていない部位に対応する領域である。
【0104】
ここで、「白ベタ印字」とは、感光体ドラムに静電潜像を形成しない状態で、なされる印字をいう。なお、図9および図10において、紙面上下方向が用紙の搬送方向に対応し、紙面左右方向が用紙の幅方向に対応する。
【0105】
図9に示すように、実施例のレーザプリンタを使用して白ベタ印刷を行った結果、特に図9(a)に示す印刷1枚目の印刷結果では、帯電部材が配設された領域において画像品質の向上が確認された。また、図9(b)に示す印刷5枚目の印刷結果では、帯電部材が配設された領域の周辺においても画像品質の向上が確認された。さらに、図9(c)に示す印刷10枚目の印刷結果では、画像品質が向上した領域が印刷5枚目の印刷結果よりも
さらに広範囲となったことが確認された。
【0106】
一方、図10に示すように、比較例のレーザプリンタを使用して白ベタ印刷を行った結果では、凝集体の影響と考えられる黒点が、実施例と比較して多く発生した。また、黒点のサイズも実施例と比較して大きく、画像品質の低下が確認された。なお、印刷枚数を重ねることで、画像品質が向上することは実施例と同様であるが、その程度は実施例と比較すると不十分であることが確認された。
【0107】
以上より、供給ローラに前記したような性質を有する帯電部材を摺接させることで、画像品質をより向上させることができることが確認された。
【0108】
なお、以上の実験結果からも明らかなように、凝集体の発生による画像品質の低下は、現像剤収容室内に新しいトナーを供給した直後や、トナーカートリッジを交換した直後のトナー補給直後(すなわち、例えば印刷5枚目よりも印刷1枚目)において特に問題となることが確認された。そこで、前記した帯電部材は、現像剤収容室に現像剤が補給されてから、または、現像剤ケースが現像ケースに装着されてからの所定時間の間だけ供給ローラと摺接し、所定時間経過後には供給ローラから離間するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例としてのレーザプリンタを示す側断面図である。
【図2】図1におけるプロセス装置を示す側断面図である。
【図3】帯電部材と固定部材との関係を示す斜視図である。
【図4】現像カートリッジとトナーカートリッジを示す斜視図である。
【図5】(a)は現像カートリッジにトナーカートリッジを装着した状態を示す側断面図であり、(b)は現像室と現像剤収容室とが連通した状態を示す側断面図である。
【図6】帯電部材の作用を説明する拡大断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る現像ユニットの主要部分を示す拡大断面図である。
【図8】帯電部材と固定部材との関係を示す平面図である。
【図9】帯電部材を備えるレーザプリンタを使用して白ベタ印刷を行った後の用紙の一部を示す写真図であり、(a)は印刷1枚目、(b)は印刷5枚目、(c)は印刷10枚目の印刷結果である。
【図10】帯電部材を備えないレーザプリンタを使用して白ベタ印刷を行った後の用紙の一部を示す写真図であり、(a)は印刷1枚目、(b)は印刷5枚目、(c)は印刷10枚目の印刷結果である。
【符号の説明】
【0110】
1 レーザプリンタ
3 用紙
15 スキャナユニット
16 プロセス装置
17 転写ローラ
18 定着部
31 感光ドラム
100 現像ユニット
100A 現像剤収容部材
101 現像ローラ
103 供給ローラ
104 帯電部材
110A 現像ケース
111 現像室
113 区画壁
130A トナーケース
131 現像剤収容室
M 合流部
R1 トナー補給経路
R2 トナー回収経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の極性側に帯電極性を有する現像剤を収容する現像剤収容部材と、
前記現像剤収容部材内に配置され、前記現像剤を担持する現像ローラと、
前記現像剤収容部材内に配置され、前記現像ローラに前記現像剤を供給する供給ローラと、
前記供給ローラに摺接するとともに、前記供給ローラに摺接する部位が、帯電系列において前記供給ローラよりも前記第1の極性側にある材料で構成された帯電部材とを備えたことを特徴とする現像ユニット。
【請求項2】
前記供給ローラまたは前記帯電部材は、発泡弾性体から形成されたことを特徴とする請求項1に記載の現像ユニット。
【請求項3】
前記供給ローラは、前記現像ローラと同方向に回転することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像ユニット。
【請求項4】
前記現像剤収容部材は、前記現像ローラおよび前記供給ローラが配置される現像室を形成する壁面と、当該現像室と連通し前記現像剤が収容される現像剤収容室を形成する壁面と、前記現像剤収容室と前記現像室とを区画する区画部を備え、
前記帯電部材は、前記供給ローラと前記区画部との間に形成される現像剤回収経路に配置されたことを特徴とする請求項3に記載の現像ユニット。
【請求項5】
前記現像剤収容部材には、前記現像剤収容室、前記区画部、前記帯電部材、前記供給ローラおよび前記現像ローラがこの順に並んで配置されたことを特徴とする請求項4に記載の現像ユニット。
【請求項6】
前記現像剤収容部材は、前記現像ローラおよび前記供給ローラが配置される現像室と、当該現像室と連通し前記現像剤が収容される現像剤収容室とを区画する区画部を備え、
前記帯電部材は、前記供給ローラと前記区画部との間に形成される現像剤回収経路と、前記現像剤収容室から前記現像室への現像剤補給経路との合流部よりも回転方向下流側に配置されたことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の現像ユニット。
【請求項7】
前記現像剤収容部材は、前記現像ローラおよび前記供給ローラが配置される現像室を形成する現像ケースと、前記現像室と連通し前記現像剤が収容される現像剤収容室を形成する現像剤ケースの2つに分けて構成され、前記現像剤ケースを前記現像ケースに対し着脱可能に構成したことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の現像ユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の現像ユニットと、
前記現像ユニットから前記現像剤が供給されて現像剤像が形成される像担持体とを備えたことを特徴とするプロセス装置。
【請求項9】
記録シート上に画像を形成する画像形成装置であって、
請求項8に記載のプロセス装置と、
前記プロセス装置の前記像担持体を露光して前記像担持体上に静電潜像を形成する露光装置と、
前記プロセス装置で形成された現像剤像を前記記録シート上に転写する転写装置と、
前記記録シート上に形成された像を定着する定着装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−70228(P2011−70228A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1697(P2011−1697)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【分割の表示】特願2008−167009(P2008−167009)の分割
【原出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】