説明

現像ローラの製造方法、現像ローラ、現像装置および画像形成装置

【課題】回転軸の振動がなく、担持したトナーを安定的に感光体に付与することができる現像ローラを、修正を施すことなく製造可能な現像ローラの製造方法、かかる製造方法により製造された信頼性の高い現像ローラ、および、かかる現像ローラを備え、現像ムラやそれに伴う印字ムラを抑制し得る現像装置および画像形成装置を提供すること
【解決手段】現像ローラ510の製造方法は、金属板を湾曲させるとともに端部同士を突き合わせて管状に成形した後、突き合わせた金属板の端部同士を溶接して金属管(金属製の管体)を得る第1の工程と、この金属管に熱処理を施すことにより、前記金属管中の残留応力を減少させる第2の工程と、熱処理を施した金属管の外周部301に溝(凹部)2を形成し、円筒状の本体300を得る第3の工程と、本体300の中空部の両端に、それぞれ回転軸となる縮径部310を挿入する第4の工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ローラの製造方法、現像ローラ、現像装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用するコピー、プリンタなどの画像形成装置は、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、定着工程などの一連の画像形成プロセスによって、紙などの記録媒体上に、トナーからなる画像を形成する。
現像工程では、例えば、静電的な潜像を担持する感光体に、トナーを担持する現像ローラを接触させた状態で、帯電したトナーを現像ローラから潜像へ付与し、潜像をトナー像として可視化する。
従来、トナーのような粉状体を担持するものとしては、外周面にブラスト処理や機械加工等による表面処理を施した現像ローラ(電子複写機用マグネットロール)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、従来の現像ローラは、金属製の管体を用いて製造される。この金属製の管体は、製造時に内部の結晶組織に応力が加わるため、その応力を残留応力として保持している。
したがって、管体の外周面に、ブラスト処理や機械加工等の塑性変形を伴う処理を施した場合、管体内の残留応力が解放されたり、残留応力が増大したりする。そして、管体内の残留応力が解放される際や、残留応力が金属材料が耐え得る応力の許容範囲を超えた際には、管体に変形をもたらす。
【0004】
このような変形は、例えば、当初は軸線が直線状であった管体に反りを発生させ、現像ローラの現像特性に種々の問題を引き起こす。
例えば、現像ローラに反りが発生すると、現像ローラが回転するたびに回転軸が振動し、現像ローラと、現像ローラにトナーを供給するブレードとの離間距離に周期的な変動が生じる。これにより、現像ムラやそれに伴う印字ムラが発生する。
また、現像ローラの反りを修正するには、多くの手間とコストが必要になる。
【0005】
【特許文献1】特開昭55−26526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、回転軸の振動がなく、担持したトナーを安定的に感光体に付与することができる現像ローラを、修正を施すことなく製造可能な現像ローラの製造方法、かかる製造方法により製造された信頼性の高い現像ローラ、および、かかる現像ローラを備え、現像ムラやそれに伴う印字ムラを抑制し得る現像装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の現像ローラの製造方法は、外周部にトナーを保持する凹部を備えた現像ローラの製造方法であって、
金属製の管体に熱処理を施すことにより、前記管体中の残留応力を減少させる工程と、
前記熱処理を施した前記管体の外周部に前記凹部を形成する工程とを有することを特徴とする。
これにより、回転軸の振動がなく、担持したトナーを安定的に感光体に付与することができる現像ローラを、修正を施すことなく製造することができる。
【0008】
本発明の現像ローラの製造方法では、前記熱処理の温度は、前記管体を構成する金属の再結晶化温度をA[℃]としたとき、A〜A+100なる関係を満足することが好ましい。
これにより、結晶組織が変化するのに十分な熱エネルギーを前記管体に付与しつつ、過剰な熱処理による無駄なエネルギー消費を確実に抑制または防止することができる。
【0009】
本発明の現像ローラの製造方法では、前記熱処理の時間は、15〜150分であることが好ましい。
これにより、前記管体中の残留応力を十分に減少させることができる。
本発明の現像ローラの製造方法では、前記熱処理において、加熱された前記管体を自然冷却することが好ましい。
これにより、加熱された前記管体が急速に冷却されることが防止され、冷却に伴う新たな応力の発生を抑制することができる。また、冷却を安価に行うことができるという利点もある。
【0010】
本発明の現像ローラの製造方法では、前記熱処理を複数回行うことが好ましい。
これにより、前記管体中の残留応力をより確実に減少させることができる。
本発明の現像ローラの製造方法では、前記複数回の熱処理は、第1の熱処理と、該第1の熱処理よりも後に、前記第1の熱処理よりも低温で行う第2の熱処理とを含むことが好ましい。
これにより、前記管体中の残留応力をより確実に減少させることができる。
【0011】
本発明の現像ローラの製造方法では、前記第1の熱処理の温度は、前記管体を構成する金属の再結晶化温度以上の温度であり、かつ、前記第2の熱処理の温度は、前記金属の再結晶化温度未満の温度であることが好ましい。
これにより、前記管体中の残留応力を確実に減少させるとともに、前記管体の展延性をより高めることができる。
【0012】
本発明の現像ローラの製造方法では、前記管体は、金属板を湾曲させるとともに端部同士を突き合わせて管状に成形した後、前記突き合わせた部分を溶接してなるものであることが好ましい。
これにより、安価で寸法精度の高い前記管体が得られる。
本発明の現像ローラの製造方法では、前記管体は、前記突き合わせた部分を溶接してなるシーム部を有することが好ましい。
これにより、安価な前記管体を用いて信頼性の高い現像ローラを得ることができる。
【0013】
本発明の現像ローラの製造方法では、前記管体を構成する金属は、炭素鋼であることが好ましい。
炭素鋼は、加熱されることにより、その結晶組織の状態が比較的容易に変化することができる鉄鋼材料であるので、結晶中の応力を調整し易く、前記管体を構成する金属として好適である。
【0014】
本発明の現像ローラの製造方法では、前記炭素鋼中の炭素の含有率は、0.3質量%以下であることが好ましい。
このような炭素含有率の炭素鋼で構成された金属は、展延性に優れる。また、かかる金属は、熱処理により、展延性や硬度等の特性を、特に容易に制御することができる。
本発明の現像ローラの製造方法では、転造法またはブラスト法により、前記凹部を形成する。
これにより、比較的短時間で、高い寸法精度の前記凹部を効率よく形成することができる。
【0015】
本発明の現像ローラは、本発明の現像ローラの製造方法により製造されたことを特徴とする。
これにより、信頼性の高い現像ローラが得られる。
本発明の現像装置は、本発明の現像ローラを備えることを特徴とする。
これにより、現像ムラを抑制し得る現像装置が得られる。
本発明の画像形成装置は、本発明の現像装置を備えることを特徴とする。
これにより、印字ムラを抑制し得る画像形成装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の現像ローラの製造方法、現像ローラ、現像装置、および画像形成装置の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の概略構成を示す模式的断面図、図2は、本発明の現像装置の概略構成を示す模式的断面図である。なお、以下の説明では、図1、2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0017】
(画像形成装置)
まず、図1に基づいて、画像形成装置の一例としてレーザビームプリンタ(以下、単に「プリンタ」と言う。)10について説明する。
図1に示すように、プリンタ10は、潜像を担持し図中矢印方向に回転する感光体20を有し、その回転方向(時計方向)に沿って帯電ユニット30、露光ユニット40、現像ユニット50、一次転写ユニット60および中間転写体70、クリーニングユニット75がこの順に配設されている。また、プリンタ10は、図1の下部に、紙などの記録媒体P1を給紙する給紙トレイ92を有し、該給紙トレイ92からの記録媒体P1の搬送方向下流に向かって、二次転写ユニット80、定着ユニット90が順次配設されている。
【0018】
感光体20は、円筒状の導電性基材と、その外周面に形成された感光層とを有し、その軸線回りに図1中矢印方向(時計方向)に回転可能となっている。帯電ユニット30は、コロナ帯電などにより感光体20の表面を一様に帯電させるための装置である。
露光ユニット40は、図示しないパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータから画像情報を受け、これに応じて、一様に帯電された感光体20にレーザ光を所望のパターンで照射することにより、感光体20の外周面に静電的な潜像(静電潜像)を担持(形成)させる装置である。
【0019】
現像ユニット50は、ブラック現像装置51、マゼンタ現像装置52、シアン現像装置53およびイエロー現像装置54の4つの現像装置を有し、これらの現像装置を感光体20上の潜像に対応して選択的に用いて、前記潜像を感光体20上においてトナー像として可視化する装置である。ブラック現像装置51はブラック(K)トナー、マゼンタ現像装置52はマゼンタ(M)トナー、シアン現像装置53はシアン(C)トナー、イエロー現像装置54はイエロー(Y)トナーを用いてそれぞれ現像を行う。
【0020】
本実施形態における現像ユニット50は、前述の4つの現像装置51、52、53、54を選択的に(所定の順序で)感光体20に対向することができるように、回転可能となっている。具体的には、この現像ユニット50では、軸50aを中心として回転可能な保持体の4つの保持部55a、55b、55c、55dにそれぞれ4つの現像装置51、52、53、54が保持されており、前記保持体の回転により、各現像装置51、52、53、54がそれらの相対位置関係を維持したまま、感光体20に選択的に対向するようになっている。なお、各現像装置の詳細な構成については後述する。
【0021】
一次転写ユニット60は、感光体20に形成されたトナー像を中間転写体70に転写するための装置である。
中間転写体70は、エンドレスのベルトで構成されており、図1に示す矢印方向に、感光体20とほぼ同じ周速度にて回転駆動(循環)される。中間転写体70上には、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローのうちの少なくとも1色のトナー像が担持され、例えばフルカラー画像の形成時に、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4色のトナー像が順次重ねて転写されて、フルカラーのトナー像が形成される。
【0022】
二次転写ユニット80は、中間転写体70上に形成された単色やフルカラーなどのトナー像を、紙、フィルム、布等の記録媒体P1に転写するための装置である。
定着ユニット90は、前記トナー像の転写を受けた記録媒体P1を加熱および加圧することにより、前記トナー像を記録媒体P1上に融着させて永久像として定着させるための装置である。
クリーニングユニット75は、一次転写ユニット60と帯電ユニット30との間で感光体20の表面に当接するゴム製のクリーニングブレード76を有し、一次転写ユニット60によって中間転写体70上にトナー像が転写された後に、感光体20上に残存するトナーをクリーニングブレード76により掻き落として除去するための装置である。
【0023】
次に、このように構成されたプリンタ10の動作を説明する。
まず、図示しないホストコンピュータからの指令により、感光体20、現像ユニット50の各現像装置51、52、53、54に対応して設けられた後述の現像ローラ510(図2、図3参照)、および中間転写体70が回転を開始する。そして、感光体20は、回転することによって帯電ユニット30により順次帯電される。
【0024】
感光体20上の帯電された領域は、感光体20の回転に伴って露光ユニット40と対向する露光位置に至り、露光ユニット40によって、第1色目、例えばイエローYの画像情報に応じた潜像が前記領域に形成される。
感光体20上に形成された潜像は、感光体20の回転に伴って現像位置に至り、イエロー現像装置54によってイエロートナーで現像される。これにより、感光体20上にイエロートナー像が形成される。このとき、現像ユニット50は、イエロー現像装置54が、前記現像位置にて感光体20と対向している(図1参照)。
【0025】
感光体20上に形成されたイエロートナー像は、感光体20の回転に伴って一次転写位置に至り、一次転写ユニット60によって、中間転写体70に転写される。具体的には、一次転写ユニット60には、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加されているため、該一時転写電圧によって感光体20上に形成されたイエロートナー像が中間転写体70に吸着される。なお、この間、二次転写ユニット80は、中間転写体70から離間している。
【0026】
前述の処理と同様の処理が、第2色目、第3色目および第4色目について繰り返して実行されることにより、各画像信号に対応した各色のトナー像が、中間転写体70に重なり合って転写される。これにより、中間転写体70上には、フルカラートナー像が形成される。
一方、記録媒体P1は、給紙トレイ92から、給紙ローラ94、レジローラ96によって二次転写ユニット80へ搬送される。
【0027】
中間転写体70上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写体70の回転に伴って二次転写ユニット80が配置された二次転写位置に至り、二次転写ユニット80によって記録媒体P1に転写される。具体的には、二次転写ユニット80は、中間転写体70に押圧されるとともに二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加されているので、該二次転写電圧によって中間転写体70上に形成されたフルカラートナー像が、中間転写体70および二次転写ユニット80の間に介在する記録媒体P1に吸着されて転写される。
【0028】
記録媒体P1に転写されたフルカラートナー像は、定着ユニット90によって加熱および加圧されて記録媒体P1上に融着され、これにより定着されたトナー像が得られる。
一方、感光体20は、一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット75のクリーニングブレード76によって、その表面に付着しているトナーが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーは、クリーニングユニット75内の残存トナー回収部(図示しない)に回収される。
【0029】
(現像装置)
次に、現像ユニット50の現像装置51、52、53、54について詳細に説明するが、これらは、ほぼ同一の構成であるため、以下、図2に基づき、イエロー現像装置54を代表的に説明する。
図2に示すイエロー現像装置54は、イエロートナーであるトナーTを収容するハウジング540と、トナー担持体たる現像ローラ510と、この現像ローラ510にトナーTを供給するトナー供給ローラ550と、現像ローラ510に担持されたトナーTの層厚を規制する規制ブレード560とを有している。
【0030】
ハウジング540は、その内部空間として形成された収容部530内にトナーTを収容する。ハウジング540では、収容部530の下部に形成された開口およびその近傍において、トナー供給ローラ550および現像ローラ510が互いに圧接回転可能に支持されている。また、ハウジング540には、規制ブレード560が取り付けられていて、これが現像ローラ510に圧接されている。さらに、ハウジング540には、前記開口におけるハウジング540と現像ローラ510との間からのトナーの漏れを防止するためのシール部材520が取り付けられている。
現像ローラ510は、外周部にトナーTを保持(担持)して、該保持されたトナーTを感光体20へ付与する、すなわち、保持されたトナーTを感光体20と対向する現像位置に搬送するものである。また、現像ローラ510は、軸線まわりに回転可能な円柱状物であり、本実施形態では、感光体20の回転方向と逆の方向に回転する。
【0031】
また、本実施形態では、イエロー現像装置54による現像時に、現像ローラ510と感光体20とが微小間隙をもって、非接触状態で対向する。そして、現像ローラ510と感光体20との間に交番電界を印加する(以下、この状態を「電界印加状態」という)ことにより、トナーTを現像ローラ510上から感光体20へ飛翔させて、感光体20上の潜像についての現像が行われる。
【0032】
トナー供給ローラ550は、収容部530に収容されたトナーTを現像ローラ510に供給する。このトナー供給ローラ550は、ポリウレタンフォーム等からなり、弾性変形された状態で現像ローラ510に圧接している。本実施形態では、トナー供給ローラ550は、現像ローラ510の回転方向と逆の方向に回転する。なお、トナー供給ローラ550は、収容部530に収容されたトナーTを現像ローラ510に供給する機能を有するだけでなく、現像後に現像ローラ510に残存しているトナーTを現像ローラ510から剥ぎ取る機能をも有している。
【0033】
規制ブレード560は、現像ローラ510に担持されたトナーTの層厚を規制するとともに、その規制時における摩擦帯電により、現像ローラ510に担持されたトナーTに電荷を付与する。この規制ブレード560は、現像ローラ510の回転方向にて現像位置の上流側のシール部材としても機能している。この規制ブレード560は、現像ローラ510の軸方向に沿って当接される当接部材としてのゴム部560aと、このゴム部560aを支持する支持部材としてのゴム支持部560bとを有している。ゴム部560aは、シリコンゴム、ウレタンゴム等を主材料として構成され、ゴム支持部560bは、ゴム部560aを現像ローラ510側に付勢する機能も有するため、リン青銅、ステンレス等のバネ性(弾性)を有するシート状の薄板が用いられる。ゴム支持部560bは、その一端がブレード支持板金562に固定されている。ブレード支持板金562は、ハウジング540に取り付けられ、シール部材520もハウジング540に取り付けられる。さらに現像ローラ510が取り付けられた状態で、ゴム部560aは、ゴム支持部560bの撓みによる弾性力によって、現像ローラ510に押しつけられている。
また、本実施形態では、規制ブレード560の現像ローラ510側とは逆側には、ブレード裏部材570が設けられ、ゴム支持部560bとハウジング540との間にトナーTが入り込むことを防止するとともに、ゴム部560aを現像ローラ510へ押圧して、ゴム部560aを現像ローラ510に押しつけている。
【0034】
本実施形態では、規制ブレード560の自由端部、すなわち、ブレード支持板金562に支持されている側とは逆側の端部は、その端縁で現像ローラ510に接触せずに、端縁から若干離れた部位で現像ローラ510に接触している。また、規制ブレード560は、その先端が現像ローラ510の回転方向の上流側に向くように配置されており、いわゆるカウンタ当接している。
なお、現像ユニット50の現像装置51、52、53の各部の構成、作用、効果も、前記現像装置54と同様である。
【0035】
(現像ローラ)
次に、図3〜図5に基づき、現像ローラ510について詳細に説明する。
図3は、図2に示す現像装置が有する現像ローラの概略構成を示す平面図、図4は、図3に示す現像ローラに形成された溝の拡大平面図、図5は、図4中のA−A線断面図である。
【0036】
図3に示すように、現像ローラ510は、円筒状の本体300と、該本体300の両端から突出するようにそれぞれ設けられ、本体300の外径より縮径した2つの縮径部310、310とを有している。このうち、各縮径部310、310は、本体300の中空部の両端に、それぞれ、本体300の回転軸(中心軸)Oに沿うように挿入されている。
この現像ローラ510の本体300は、アルミニウム、ステンレス鋼、鉄鋼等のような金属材料を主材料として構成されている。これにより、後述する溝2を例えば転造(転写法)によって本体300(現像ローラ510)の外周部301に形成するとき、当該溝2を容易かつ確実に形成することができる。
【0037】
なお、本体300の外周面301a(外周部301)には、必要に応じて、ニッケルメッキ、クロムメッキ等が施されていてもよい。
また、本体300の直径は、特に限定されないが、例えば、10〜30mmであるのが好ましく、15〜20mmであるのがより好ましい。
図3および図4に示すように、本体300の外周部301には、現像ローラ510の外周部301には、トナーTの粒子が入る溝2が形成されている。溝2は、複数の第1の溝21と、各第1の溝21と直交(交差)する複数の第2の溝22とで構成されている。
【0038】
複数の第1の溝21は、互いに平行であり、それぞれ、外周部301の周方向に対して傾斜する方向に形成されている。
また、複数の第2の溝22も、複数の第1の溝21と同様に、互いに平行であり、それぞれ、外周部301の周方向に対して傾斜する方向に形成されている。
図5に示すように、各第1の溝21および各第2の溝22には、トナー供給ローラ550から供給されたトナーTの粒子が入る。この粒子には、直径が比較的大きい(例えば、5〜10μm)粒子T1、粒子T1より直径が小さい(例えば、1〜5μm)粒子T2が存在する。このように各粒子の直径にバラツキがあるトナーTに対して、溝2の形状は、密接な関係がある。
【0039】
なお、第1の溝21と第2の溝22との形状は、ほぼ同一であるため、以下、第1の溝21を代表的に説明する。
第1の溝21は、現像ローラ510の外周面301aに開口する溝である。この第1の溝21は、断面形状が台形をなしており、一対の側面211と底面212とを有している。これにより、粒子T2が第1の溝21(溝2)に確実に収納され、すなわち、粒子T2が第1の溝21から離脱するのが防止され、よって、無駄となるトナーTの量を削減することができる。
【0040】
底面212は、外周面301aに対してほぼ平行に形成されている。
底面212と外周面301aとの距離、すなわち、第1の溝21の深さDは、特に限定されないが、例えば、トナーTの粒子の平均直径(平均粒径)の1/2倍以上、トナーTの粒子の平均直径(平均粒径)の2倍以下が好ましい。その具体的な数値範囲としては、例えば、1〜10μmであるのが好ましく、1〜7μmであるのがより好ましい。
【0041】
深さDが前記範囲内の値であると、現像ローラ510が均一かつ最適な量の多数の粒子T2(トナーT)を担持することができ、よって、電界印加状態で側面211や底面212に接触し擦られた粒子T2を帯電させることができる。また、これら帯電した粒子T2を感光体20に確実に付与することができ、よって、濃淡ムラ等の無い均一な潜像を得ることができる。また、トナーTの層を1〜2層に形成することができる。
これに対し、深さDが前記下限値未満であると、担持するトナーTの量が少なくなるため、鮮明な潜像を得るのが困難となる可能性がある。
【0042】
深さDが前記上限値を超えると、第1の溝21には、トナーTが過剰に収納されることとなり、これを感光体20へ付与した場合、潜像に濃淡ムラが生じる可能性がある。
なお、第1の溝21の深さDと第2の溝22の深さDとは、(第1の溝21の深さD)=(第2の溝22の深さD)なる関係を満足していてもよいし、(第1の溝21の深さD)>(第2の溝22の深さD)なる関係を満足していてもよいし、(第1の溝21の深さD)<(第2の溝22の深さD)なる関係を満足していてもよい。
【0043】
両側面211は、それぞれ、底面212に対して、図5中左右対称に傾斜して形成されている。
また、これら側面211は、現像ローラ510の回転軸Oから遠ざかる方向に溝幅が漸増するように傾斜している。これにより、帯電したT2が第1の溝21から感光体20に向って容易に抜け出、よって、この粒子T2を感光体20に確実に付与することができる。
【0044】
両側面211同士のなす角度θは、特に限定されないが、例えば、60〜150°であるのが好ましく、60〜90°であるのがより好ましい。
角度θが前記下限値未満であると、各側面211が急峻なものとなり、帯電した粒子T2が第1の溝21から抜け難くなる可能性がある。また、角度θが前記下限値未満であると、各側面211の面積が小さくなるので、粒子T2との総接触面積が小さくなる。このため、多数の粒子T2を帯電させるのが困難となり、十分な量の粒子T2を感光体20に付与するのが困難となる可能性がある。
角度θが前記上限値を超えると、無駄となるトナーの量が多くなる可能性がある。
【0045】
さて、図4に示すように、各第1の溝21には、当該第1の溝21の一部の幅および深さを拡大してなる拡大部23が複数形成されている。
図5に示すように、各拡大部23は、その内部空間に、トナーの粒子(粒子T1およびT2)、特に、粒子T1が確実に入り込むことができるよう形成されている。換言すれば、各拡大部23は、断面形状が台形をなしており、一対の側面231と底面232とを有している。
【0046】
底面232は、外周面301aに対してほぼ平行に形成されている。
底面232と外周面301aとの距離、すなわち、拡大部23の深さDは、特に限定されないが、トナーTの粒子の平均直径(平均粒径)の1/2倍以上、トナーTの粒子の平均直径(平均粒径)の2倍以下が好ましい。その具体的な数値範囲としては、例えば、1〜10μmであるのが好ましく、1〜7μmであるのがより好ましい。
【0047】
深さDが前記範囲内の値であると、現像ローラ510が均一かつ最適な量のトナーTを担持することができ、よって、電界印加状態で側面231や底面232に接触し擦られた粒子T1およびT2(トナーT)を帯電させることができる。また、これら帯電した粒子T1およびT2を感光体20に確実に付与することができ、よって、濃淡ムラ等の無い均一な潜像を得ることができる。また、トナーTの層を1〜2層に形成することができる。
【0048】
これに対し、深さDが前記下限値未満であると、担持するトナーTの量が少なくなるため、鮮明な潜像を得るのが困難となる可能性がある。
また、深さDが前記上限値を超えると、拡大部23には、トナーTが過剰に収納されることとなり、これを感光体20へ付与した場合、潜像に濃淡ムラが生じる可能性がある。
【0049】
両側面231は、それぞれ、底面232に対して、図5中左右対称に傾斜して形成されている。
また、これら側面231は、現像ローラ510の回転軸Oから遠ざかる方向に溝幅が漸増するように傾斜している。これにより、帯電した粒子T1およびT2が拡大部23から感光体20に向かって容易に抜け出、よって、これら粒子T1およびT2を感光体20に確実に付与することができる。
【0050】
両側面231同士のなす角度θは、特に限定されないが、例えば、60〜150°であるのが好ましく、60〜90°であるのがより好ましい。
角度θが前記範囲内の値であると、例えば、外周面301aに位置するトナーTが拡大部23に容易に入り込むことができる。
角度θが前記下限値未満であると、各側面231が急峻なものとなり、帯電した粒子T1およびT2が拡大部23から抜け難くなる可能性がある。また、角度θが前記下限値未満であると、各側面231の面積が小さくなるので、粒子T1およびT2との総接触面積が小さくなる。このため、多数の粒子T1およびT2を帯電させるのが困難となり、十分な量の粒子T1およびT2を感光体20に付与するのが困難となる可能性がある。
角度θが前記上限値を超えると、無駄となるトナーの量が多くなる可能性がある。
【0051】
図4に示すように、拡大部23の各側面231は、当該拡大部23の幅方向に膨らむように湾曲している。これにより、各側面231が平面状をなす場合よりも、その面積が大きくなるので、粒子T1およびT2との総接触面積が大きくなる。このため、多数の粒子T1およびT2を帯電させることができ、よって、必要かつ十分な量の粒子T1およびT2を感光体20に付与することができる。
以上のように構成された各拡大部23には、粒子T1が収納されており、粒子T1を除いた空間を埋めるように粒子T2が収納されている(図5参照)。
【0052】
図4に示すように、複数の拡大部23は、各第1の溝21の長手方向に沿って間欠的に配置されている。すなわち、複数の拡大部23は、現像ローラ510の外周面301aの周方向および/またはローラ長手方向に沿って均一に分散配置されている。これにより、拡大部23と同様に、粒子T1も均一に分散配置され、よって、現像ローラ510がさらに均一かつ最適な量のトナーTを担持することができる。また、このようなトナーTを感光体20へ付与することにより、濃淡ムラ等の無いより均一な潜像を得ることができる。
【0053】
また、拡大部23は、各第1の溝21と各第2の溝22とが交差していない部分、すなわち、各第1の溝21と各第2の溝22とが交差する2つの交差部24間に1つずつ設けられている。
また、各拡大部23は、前述したように第1の溝21の2つの交差部24間の部分(以下、この部分を「単位溝213」という)に設けられているが、図4の構成では、拡大部23が設けられた単位溝213と、拡大部23が設けられていない単位溝213とが交互に配置されたよう形成されている。
【0054】
このように各拡大部23が配置されていることにより、第1の溝21に位置する粒子T1が、現像ローラ510の回転に伴って、拡大部23に向って転動して、当該拡大部23にトラップされる。これにより、粒子T1は、拡大部23に収納されることとなり、拡大部23(溝2)から離脱するのが防止され、よって、無駄となるトナーTの量を削減することができる。
【0055】
以上のような構成の溝2が形成されていることにより、現像ローラ510がより均一かつ最適な量のトナーTを担持することができる。また、このようなトナーTを感光体20へ付与することにより、感光体20における可視化された潜像に濃淡ムラ等が発生するのを防止することができる。
なお、各第1の溝21と各第2の溝22とが交差する2つの交差部24間に形成された拡大部23の形成数は、1つに限定されず、例えば、2つ以上でもよい。
また、角度θおよびθは、θ=θなる関係を満足していてもよいし、θ>θなる関係を満足していてもよいし、θ<θなる関係を満足していてもよい。
また、深さDと深さDとの比D/Dは、特に限定されないが、例えば、1.01〜5であるのが好ましく、1.01〜1.5であるのがより好ましい。
【0056】
また、図3に示す現像ローラ510の外周面301aにおいて、溝2が占める部位(以下、溝2が形成されている部位を「溝形成部320」という)の面積率は、外周面301aの面積の40〜90%であるのが好ましく、60〜80%であるのがより好ましい。溝形成部320の面積率が前記範囲内の値であると、より均一かつ最適な量のトナーTを担持することができる。また、このようなトナーTを感光体20へ付与することにより、濃淡ムラ等の無いより均一な潜像を得ることができる。
【0057】
また、拡大部23の配置、拡大部23同士の間隔、第1の溝21および/または第2の溝22に対する拡大部23が占める面積の割合等の拡大部の形成条件は、粒子T1およびT2の直径により適宜設定することができる。
例えば、現像ローラ510の1周当たりの拡大部の形成数は、100個以上であるのが好ましく、150〜300個であるのがより好ましい。
各拡大部23は、各第1の溝21に形成されているのに限定されず、各第1の溝21および各第2の溝22に拡大部23が形成されていてもよい。
また、複数の第2の溝22は、複数の第1の溝21と直交するよう形成されているのに限定されず、鋭角または鈍角を持って交差するよう形成されていてもよい。
【0058】
次に、このような現像ローラ510を製造する方法(本発明の現像ローラの製造方法)について説明する。
図6および図7は、本発明の現像ローラの製造方法を説明するための模式図である。
図3に示す現像ローラ510の製造方法は、金属板を湾曲させるとともに端部同士を突き合わせて管状に成形した後、突き合わせた金属板の端部同士を溶接して金属管(金属製の管体)を得る第1の工程と、この金属管に熱処理を施す第2の工程と、熱処理を施した金属管の外周面(外周部)に溝(凹部)を形成し、円筒状の本体300を得る第3の工程と、本体300の中空部の両端に、それぞれ回転軸となる縮径部310を挿入する第4の工程とを有する。以下、各工程について、順次説明する。
【0059】
[1]まず、図6(a)に示すような金属板511を用意し、この金属板511を図6(b)に示すように湾曲させるとともに、各端部512、512同士を突き合わせて管状に成形する。
この成形方法としては、特に限定されないが、金属板を成形ロールで連続的に管状に成形(ロール成形)する方法、金属板をスパイラル状に成形(スパイラル成形)する方法、金属板をU字状にプレス成形した後、O字状にプレス成形(UOプレス成形)する方法等の各種成形方法が挙げられる。なお、図6(b)では、ロール成形の場合について図示している。
【0060】
また、金属板511を構成する材料としては、前述したように、アルミニウム、ステンレス鋼、鉄鋼等のような各種金属材料が挙げられる。
このような金属材料の中でも、特に、炭素鋼、クロム鋼のような合金鋼、特殊鋼、高張力鋼、ステンレス鋼のような耐食鋼等の鉄鋼材料が好ましく、炭素鋼がより好ましい。炭素鋼は、加熱されることにより、その結晶組織の状態が比較的容易に変化することができる鉄鋼材料である。このため、結晶中の応力を調整し易く、金属板511を構成する材料として好適である。
【0061】
また、炭素鋼中の炭素の含有率は、0.3質量%以下であるのが好ましく、0.01〜0.3質量%程度であるのがより好ましく、0.05〜0.2質量%程度であるのがさらに好ましい。このような炭素含有率の炭素鋼は、「低炭素鋼」とも呼ばれ、展延性に特に優れたものである。このため、低炭素鋼で構成された金属板は、展延性に優れ、高い寸法精度で成形することが可能である。また、後述する熱処理により、展延性や硬度等の特性を、特に容易に制御することができる材料である。
低炭素鋼としては、例えば、JIS G 3445に規定の機械構造用炭素鋼鋼管用に用いられる低炭素鋼材料が特に好適である。
【0062】
続いて、図6(c)に示すように、管状に成形した金属板511の突き合わせた各端部512、512同士を溶接(シーム溶接)する(第1の工程)。
この溶接方法としては、特に限定されず、高周波溶接、抵抗加熱溶接等の方法を用いることができる。
次に、必要に応じて、金属板511の溶接部のバリを除去し、円管状の金属管513を得る。
【0063】
このようにして形成された金属管513は、図6(d)に示すように、シーム溶接された部位(シーム部513b)が、外周部の長手方向(金属管513の軸線方向)に沿って形成されたものとなる。
なお、上記のような方法で作製された金属管513は、安価で寸法精度の高いものとなる。
【0064】
[2]次に、得られた金属管513に熱処理を施す(図6(d)参照)。
金属管513に熱処理を施すと、金属管513中の結晶組織が変化する。具体的には、結晶粒径の分布が均一化されることにより、金属管513中に残留していた応力(残留応力)を減少させる(第2の工程)。
この残留応力は、金属管513を製作する過程(本実施形態では、前記第1の工程)において、金属管513中に蓄積された応力である。
【0065】
このような残留応力を含んだ金属管に対して、後述する第3の工程のようにして金属管の外周面に溝を形成すると、金属管の残留応力が解放されたり、残留応力が増大したりする。従来の現像ローラの製造方法では、残留応力が解放される際や、残留応力が増大して金属管が耐え得る応力の許容範囲を超えた際に、金属管に変形をもたらしていた。
かかる問題点に対し、本発明では、金属管513に熱処理を施すことにより、金属管513中の残留応力を減少させることとした。これにより、残留応力による上記の問題点を解消することができる。すなわち、後述する第3の工程において、凹部を形成するのに伴って、金属管513が変形するのを確実に防止することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、金属管513が、図6(d)に示すように、シーム部513bとそれ以外の部位513cとを有している。
シーム部513bは、一般に、シーム部513b以外の部位513cよりも硬度が高くなる。このように、シーム部513bとそれ以外の部位513cとの間に硬度差があると、後述する第3の工程において金属管513の外周面に溝を形成する際に、金属管513に以下のような不具合が発生する。
【0067】
後述する第3の工程では、転造法等の加工方法により、金属管513の外周面に溝(凹部)を形成する。例えば、転造法では、所定の形状の凸部を備えたダイスを、金属管513の外周面に押し当てて食い込ませることにより、前記溝を形成する。このような転造の際、金属管513の外周面の硬度によって、金属管513の外周面に食い込むダイスの食い込み量が変化する。したがって、金属管513のシーム部513bとそれ以外の部位513cとでは、ダイスの食い込み量が異なることとなり、形成される溝の深さが異なってくる。このため、最終的に得られる現像ローラ510の本体300の外周面では、形成された溝の深さにバラツキが生じるおそれがある。
【0068】
これに対し、本発明では、金属管513に熱処理を施すこととしたので、金属管513のシーム部513bとそれ以外の部位513cとの間で、硬度の差を緩和するという効果も有する。これにより、後述する第3の工程において、シーム部513bとそれ以外の部位513cとの間で、形成される溝の深さの均一化を図ることもできる。すなわち、このようなシーム部513bを有する金属管513を用いても、溝の深さが均一な現像ローラ510を製造することができる。これにより、安価な金属管513を用いて信頼性の高い現像ローラ510を得ることができる。
【0069】
また、熱処理を施すことにより、金属管513中の結晶粒径が均一化されるのに伴い、金属管513の全体の展延性が向上する(硬度が低下する)という利点もある。金属管513の展延性が向上すると、金属管513の外周面513aに溝を形成する際に、金属管513の外周面にダイスが食い込み易くなる。このため、短時間で効率よく、かつ寸法精度の高い溝を形成することができる。また、かかる効果は、転造法により溝を形成する際に、特に顕著である。
【0070】
ここで、このような熱処理は、少なくとも1回行えばよいが、複数回行うのが好ましい。このように、熱処理を複数回行うことにより、金属管513中の残留応力をより確実に減少させることができる。
なお、熱処理の回数は、特に限定されないが、本実施形態では、1回目の熱処理(第1の熱処理)と、1回目よりも低温で行う2回目の熱処理(第2の熱処理)の2回の熱処理を行うものとする。このような温度の異なる2回の熱処理を行うことにより、金属管513中の残留応力をより確実に減少させることができる。
【0071】
また、第1の熱処理の温度は、金属管513を構成する金属材料の再結晶化温度をA[℃]としたとき、A〜A+100なる関係を満足するのが好ましく、A+30〜A+50なる関係を満足するのがより好ましい。前記温度範囲で金属管513に熱処理を施すことにより、結晶組織が変化するのに十分な熱エネルギーを金属管513に付与しつつ、過剰な熱処理による無駄なエネルギー消費を確実に抑制または防止することができる。
【0072】
また、第1の熱処理の時間は、前記第1の熱処理の温度に応じて若干異なるが、15〜150分程度であるのが好ましく、30〜90分程度であるのがより好ましい。第1の熱処理の時間を前記範囲に設定することにより、金属管513中の残留応力を十分に減少させることができる。なお、第1の熱処理の時間が前記上限値を超えてもよいが、それ以上、残留応力の減少が進行することは期待できない。
【0073】
なお、第1の熱処理を行う際の雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、水素、一酸化炭素等の還元性ガス雰囲気、減圧雰囲気等が挙げられる。
また、第1の熱処理において、加熱された金属管513を冷却する際には、自然冷却、強制冷却のいずれの方法によってもよいが、自然冷却によるのが好ましい。これにより、加熱された金属管513が急速に冷却されることが防止され、冷却に伴う新たな応力の発生を抑制することができる。さらに、冷却を安価に行うことができるという利点もある。
【0074】
次に、必要に応じて、第1の熱処理の後、金属管513に、冷間引抜、冷間圧延等の各種加工を施すようにしてもよい。このような各種加工を、第1の熱処理の後に行うことにより、各種加工によって、金属管513中の残留応力が解放されたり、増大するのを防止することができる。このため、各種加工において、高い加工品質が確保される。そして、各種加工により、金属管513の形状を所望の形状に変更することができる。
【0075】
次に、第1の熱処理の後、第2の熱処理を行う。
第2の熱処理の温度は、第1の熱処理の温度より低いのが好ましいが、特に、第1の熱処理の温度が前記再結晶化温度A[℃]以上の温度であるときは、その再結晶化温度A[℃]未満の温度であるのがより好ましい。第1の熱処理の温度と第2の熱処理の温度とを上記のように設定すれば、第1の熱処理で金属管513中の残留応力を確実に減少させることができる。また、第2の熱処理において、金属管513中の結晶粒径の均一化がより促進される。これにより、金属管513の展延性をさらに高めることができる。
すなわち、上記のような熱処理を施すことにより、金属管513中の残留応力を確実に減少させるとともに、金属管513の展延性をより高めることができる。
【0076】
また、第2の熱処理の時間は、前記第2の熱処理の温度に応じて若干異なるが、15〜150分程度であるのが好ましく、30〜90分程度であるのがより好ましい。第2の熱処理の時間を前記範囲に設定することにより、第2の熱処理において、金属管513中の結晶粒径を十分に均一化することができる。これにより、金属管513の展延性を十分に高めることができる。なお、第2の熱処理の時間が前記上限値を超えてもよいが、それ以上の結晶粒径の均一化を図ることは期待できない。
【0077】
なお、第2の熱処理を行う際の雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、水素、一酸化炭素等の還元性ガス雰囲気、減圧雰囲気等が挙げられる。
また、第2の熱処理においても、加熱された金属管513を冷却する際には、自然冷却、強制冷却のいずれの方法によってもよいが、自然冷却によるのが好ましい。これにより、加熱された金属管513全体を均一に冷却することができるので、結晶粒径の均一化をさらに促進する。また、冷却速度が比較的遅いので、結晶成長を促進する。その結果、金属管513の展延性をさらに高めることができる。
【0078】
次に、必要に応じて、第2の熱処理の後、金属管513に、冷間引抜、冷間圧延等の各種加工を施すようにしてもよい。このような各種加工を、第2の熱処理の後に行うことにより、金属管513の展延性が高くなった状態で加工を行うことができるので、各種加工における作業性の向上を図ることができる。そして、各種加工により、金属管513の形状を所望の形状に変更するとともに、その寸法精度を高めることができる。
以上のようにして、目的とする形状の金属管513が得られる。
【0079】
なお、この金属管513は、本工程の終了後において、シーム部513bとそれ以外の部位513cとの硬度差が、ビッカース硬度HVで20以下であるのが好ましく、10以下であるのがより好ましい。このような硬度差の小さい金属管513を用いて現像ローラ510を製造することにより、全体にわたって溝の深さが均一な現像ローラを確実に得ることができる。すなわち、このような金属管513は、信頼性の高い現像ローラ510を製造するにあたって、特に有用なものである。
【0080】
[3]次に、前記[2]により熱処理を施した金属管513の外周面513aに溝を形成する(第3の工程)。
溝(凹部)を形成する方法には、特に限定されないが、転造法、ブラスト法、切削法、レーザ照射、エッチング法等の方法を用いることができる。
このうち、溝を形成する方法は、転造法またはブラスト法であるのが好ましい。これらの方法によれば、比較的短時間で、高い寸法精度の溝を効率よく形成することができる。
【0081】
以下、I.転造法と、II.ブラスト法とについて、順次説明する。
I.転造法は、金属管513の外周面513aに形成すべき溝の形状に対応した凸部を、外周面に備えたダイスを、金属管513の外周面513aに押し付けて食い込ませることにより、前記溝を形成する加工方法である。
転造にあたっては、まず、前記[2]により熱処理を施した金属管513を、図7(I)に示すように、円柱状をなすダイス514の外周面に接触させる。
【0082】
図7(I)では、2つのダイス514、514を、互いに軸線が平行になるように配置する。なお、各ダイス514、514間の離間距離、すなわち、各ダイス514、514の間隙の距離は、金属管513の外径と、外周面に形成する溝の深さとを考慮して、外径より若干小さくなるようにする。
なお、ダイス514の数は、1つまたは3つであってもよい。
【0083】
次に、各ダイス514、514を、それぞれの円柱の軸線を回転軸として、同じ方向に回転させる。
次に、回転中の各ダイス514、514の間隙に、金属管513を挿入する。これにより、金属管513の外周面513aに、各ダイス514、514の外周面がそれぞれ押し付けられる。この際、各ダイス514、514の外周面に設けられた凸部514aが金属管513の外周面513aに食い込むことにより、図7(I)に示す溝2が形成される。そして、この状態で、金属管513が、各ダイス514、514の外周面に沿って転がることにより、外周面513a全体に溝2が形成される。
【0084】
II.ブラスト法は、研削材(例えば、ガラス粉末、セラミックス粉末、金属ショット等)515を、加圧したガスとともに金属管513の外周面513aに吹き付ける方法(処理)である。吹き付けられた研削材515は、研削したり、凹ませることにより、外周面513aにランダムな配置の凹部を形成する。
また、金属管513の外周面513aに、あらかじめ、溝を形成すべき領域が露出するような開口部を有するマスクを形成しておき、その上からブラスト処理を行うようにしてもよい。この方法によれば、開口部から露出した領域の外周面513aのみが研削されるので、外周面513aに所定の形状の溝を形成することができる。
以上により、円筒状の本体300が得られる。
【0085】
なお、図7に示す現像ローラ510では、外周面513aに沿って、複数の溝を形成している。この各溝のピッチは、シーム部513bの幅より小さいのが好ましい。各溝のピッチがシーム部513bの幅より小さいと、シーム部513bを多数の溝が横切ることになる。従来の現像ローラに、このような多数の溝を形成した場合、シーム部に形成された溝の深さと、シーム部以外の部位に形成された溝の深さとが異なる領域が、必然的に多くなる。
【0086】
これに対し、本発明によれば、金属管513の外周面513aに多数の溝を形成しても、形成された溝の深さは全体にわたって均一になるという効果も得られる。したがって、多数の溝を備えた現像ローラ510を製造する際に、本発明の現像ローラの製造方法を特に好適に適用できる。
また、この各溝のピッチをP[mm]とし、シーム部513bの幅をW[mm]としたとき、W/Pが10以上であるのが好ましく、20以上であるのがより好ましい。このようにシーム部513bの幅に対して、多数の溝が形成されているような現像ローラ510を製造する際に、本発明の現像ローラの製造方法の効果がより顕著に発揮される。
【0087】
[4]次に、本体300の中空部の両端に、それぞれ縮径部310を挿入する。このとき、各縮径部310、310のそれぞれの軸線と、本体300の回転軸とが一致するようにする。そして、本体300と各縮径部310、310とをそれぞれ固定する。これにより、現像ローラ510が得られる。
ここで、従来は、残留応力を保持した状態の金属管513に溝を形成する加工を施していた。ところが、溝を形成する加工に伴い、金属管513中の結晶組織に新たな応力が加わる。これにより、金属管513の残留応力が解放されたり、または、残留応力がさらに増大したりすることとなる。そして、残留応力が解放される際や、残留応力が金属管513が耐え得る応力の許容範囲を超えた際には、金属管513中の結晶組織に変形や転位が生じ、金属管513全体の変形(反り)を引き起こしていた。
【0088】
金属管513に反りがあると、この金属管513に溝を形成してなる現像ローラ510も、反りを有するものとなる。現像ローラ510に反りがあると、現像ローラ510が回転したときに、その回転軸と外周面との距離に周期的な変動(回転軸の振動)が生じる。すなわち、現像ローラ510と規制ブレード560との離間距離が周期的に変動する。この変動により、従来は、現像装置51において現像ムラが発生し、それに伴って、プリンタ10による印字にムラが発生していた。
【0089】
なお、金属管513の変形を修正することもできるが、この修正には、多くの手間とコストを必要とするため、現像装置やプリンタの高コスト化を招く。
これに対し、本発明では、前記[2]のようにして、溝を形成する前に、金属管513に熱処理を施すようにしたので、金属管513の残留応力を減少させ、溝を形成する際に、金属管513が変形する(反る)のを確実に防止することができる。これにより、現像装置51において、現像ローラ510と規制ブレード560との離間距離を、現像ローラ510の回転中も一定に維持することができる。その結果、現像装置51における現像ムラの発生、ひいては、プリンタ10における印字ムラの発生をより確実に防止することができる。
【0090】
また、金属管513の変形を修正する必要もないので、現像装置51やプリンタ10の製造コストを低減することができる。
さらに、金属管513に熱処理を施すことにより、展延性が高くなる。このため、金属管513の外周面513aに溝を形成する際に、短時間で効率よく、かつ寸法精度の高い溝を形成することができる。また、かかる効果は、転造法により溝を形成する際に、特に顕著である。
【0091】
以上、本発明の現像ローラの製造方法、現像ローラ、現像装置および画像形成装置について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、前記各実施形態では、現像ローラの製造する際に、熱処理を2回に分けて行ったが、3回以上に分けて行うようにしてもよい。
また、本発明の現像ローラの製造方法は、必要に応じて、任意の工程を追加することもできる。
また、金属管は、あらかじめ用意されたもの(例えば、市販の金属管等)を用いることができ、この場合は、前記第1の工程を省略することができる。
また、現像ローラの外周面に形成された溝の形状は、特に限定されず、いかなる形状であってもよい。
【実施例】
【0092】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.プリンタ(画像形成装置)の製造
(実施例1)
<1>まず、機械構造用炭素鋼鋼管STKM11Aに用いられる炭素鋼で構成された鋼板(金属板)を用意した。そして、この鋼板をロール成形により管状に成形した。なお、STKM11Aの再結晶化温度は、880℃である。
次に、管状に成形した鋼板の、突き合わせた各端部同士を、高周波溶接によりシーム溶接した。その後、溶接部のバリを除去した。これにより、幅5mmのシーム部を有する鋼管(金属管)を得た。
【0093】
<2>次に、得られた鋼管を熱処理炉に入れ、以下の条件で熱処理を施した。
<熱処理の条件(1回目)>
・温度 :930℃
・時間 :60分
・雰囲気 :Nガス雰囲気
・冷却方法:自然冷却
<3>次に、熱処理を施した鋼管に、冷間引抜の加工を施した。これにより、鋼管の外径・内径を調整した。
【0094】
<4>次に、加工を施した鋼管を熱処理炉に入れ、以下の条件で熱処理を施した。
<熱処理の条件(2回目)>
・温度 :600℃
・時間 :60分
・雰囲気 :Nガス雰囲気
・冷却方法:自然冷却
<5>次に、熱処理を施した鋼管に、冷間引抜の加工を施した。これにより、鋼管の外径・内径を調整した。
【0095】
<6>次に、外径・内径を調整した鋼管の外周面に、転造法により、図4に示す溝(凹部)を形成した。なお、形成した溝の各部の寸法・角度等の主な条件は、以下の通りである。
<溝の各部の条件>
・D :4μm
・D :6μm
・θ :75°
・θ :90°
・溝の面積率 :70%
・周方向における各溝のピッチ :0.1mm
これにより、現像ローラを得た。
<7>次に、この現像ローラを組み込んだ図2に示す現像装置を得た。
<8>次に、この現像装置を組み込んだ図1に示すプリンタを得た。
【0096】
(実施例2)
現像ローラの1回目の熱処理の温度を900℃に変更した以外は、前記実施例1と同様にして現像ローラを製造し、この現像ローラを組み込んだ現像装置・プリンタをそれぞれ製造した。
(実施例3)
現像ローラの1回目の熱処理の温度を850℃に変更した以外は、前記実施例1と同様にして現像ローラを製造し、この現像ローラを組み込んだ現像装置・プリンタをそれぞれ製造した。
【0097】
(実施例4)
現像ローラの1回目の熱処理の温度を600℃に変更した以外は、前記実施例1と同様にして現像ローラを製造し、この現像ローラを組み込んだ現像装置・プリンタをそれぞれ製造した。
(実施例5)
前記工程<4>〜<5>を省略した以外は、前記実施例1と同様にして現像ローラを製造し、この現像ローラを組み込んだ現像装置・プリンタをそれぞれ製造した。
(実施例6)
前記工程<6>において、鋼管の外周面に、ブラスト法により、ランダムな配置の凹部を形成するようにした以外は、前記実施例1と同様にして現像ローラを製造し、この現像ローラを組み込んだ現像装置・プリンタをそれぞれ製造した。
【0098】
(比較例1)
前記工程<2>〜<5>を省略し、前記工程<1>の後に、冷間引抜の加工を施したこと以外は、前記実施例1と同様にして現像ローラを製造し、この現像ローラを組み込んだ現像装置・プリンタをそれぞれ製造した。
(比較例2)
前記比較例1において、転造法に替えてブラスト法により、鋼管の外周面にランダムな配置の凹部を形成するようにした以外は、前記比較例1と同様にして現像ローラを製造し、この現像ローラを組み込んだ現像装置・プリンタをそれぞれ製造した。
【0099】
2.評価
2.1 現像ローラの反りの評価
各実施例および各比較例で得られた現像ローラを5本ずつ用意し、それぞれの現像ローラにおいて、軸線の反りの程度(反り量)を測定した。そして、この反り量と、あらかじめ測定しておいた前記工程<1>における鋼管の反りの程度(反り量)との差を算出し、以下の基準にしたがって評価した。
◎:反り量の増加量が5μm未満である
○:反り量の増加量が5μm以上20μm未満である
△:反り量の増加量が20μm以上50μm未満である
×:反り量の増加量が50μm以上である
【0100】
2.2 鋼管の展延性の評価
各実施例および各比較例で現像ローラを製造するために用いた鋼管を5本ずつ用意し、それぞれの鋼管において、外周面の各部のビッカース硬度HVを、JIS Z 2244に規定の方法により測定した。そして、シーム部の硬度と、シーム部以外の部位の硬度との差を算出し、以下の基準にしたがって評価した。
◎:硬度の差がHV10未満である
○:硬度の差がHV10以上30未満である
△:硬度の差がHV30以上50未満である
×:硬度の差がHV50以上である
【0101】
2.3 現像ローラの溝の深さの評価
実施例1〜5および比較例1で得られた現像ローラを5本ずつ用意し、それぞれの現像ローラにおいて、外周面の各部に形成された溝の深さを測定した。そして、シーム部に形成された溝の深さと、シーム部以外の部位に形成された溝の深さとを比較し、その差を算出した。なお、比較した溝は、シーム部とそれ以外の部位とで、深さを同じにするべく形成した溝であり、これらの溝の深さの差を、以下の基準にしたがって評価した。
◎:溝の深さの差が、溝の深さの20%未満である
○:溝の深さの差が、溝の深さの20%以上40%未満である
△:溝の深さの差が、溝の深さの40%以上60%未満である
×:溝の深さの差が、溝の深さの60%以上である
【0102】
2.4 印字ムラの評価
各実施例および各比較例で得られたプリンタを5台ずつ用意し、それぞれのプリンタにおいて、所定パターンの印字を行った。そして、そのパターンの印字ムラについて、以下の基準に従い評価を行った。なお、用いたトナーは、平均粒径5μmのポリエステル系樹脂の組成のものを用いた。
◎:印字ムラが全く認められなかった
○:印字ムラがわずかに認められた
△:印字ムラが認められた
×:印字ムラが顕著に認められた
以上の評価の結果を、表1に示す。なお、例えば、○〜◎は、5つのサンプル(現像ローラ、鋼管、プリンタ)のうち、評価が○に相当するサンプルと、評価が◎に相当するサンプルとが混在している場合を示している。
【0103】
【表1】

【0104】
表1からも明らかなように、各実施例で得られた現像ローラは、比較例で得られた現像ローラよりも、溝形成加工の前後で反り量の増加量が小さかった。このことから、各実施例では、熱処理によって鋼管中の残留応力が減少させたため、鋼管に溝形成加工を施しても、残留応力に起因する鋼管の変形が発生しなかったものと推察される。
また、各実施例で用いた鋼管は、比較例で用いた鋼管に比べ、シーム部とそれ以外の部位との間の硬度差が小さかった。また、鋼管の外周面に形成された溝の深さについては、各実施例で用いた鋼管の方が、比較例でも用いた鋼管よりも、バラツキが小さいことが認められた。このことから、各実施例では、鋼管のシーム部とそれ以外の部位との硬度差が緩和され、これにより、転造によって形成された溝の深さが均一な現像ローラが得られたと言える。
さらに、また、各実施例で得られたプリンタは、比較例で得られたプリンタよりも、印字ムラが少なく、良好な印字性能を示した。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の画像形成装置の概略構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の現像装置の概略構成を示す模式的断面図である。
【図3】図2に示す現像装置が有する現像ローラの概略構成を示す平面図である。
【図4】図3に示す現像ローラに形成された溝の拡大平面図である。
【図5】図4中のA−A線断面図である。
【図6】本発明の現像ローラの製造方法を説明するための模式図である。
【図7】本発明の現像ローラの製造方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0106】
10……プリンタ 2……溝 21……第1の溝 211……側面 212……底面 213……単位溝 22……第2の溝 23……拡大部 231……側面 232……底面 24……交差部 20……感光体 30……帯電ユニット 300……本体 301……外周部 301a……外周面 310……縮径部 320……溝形成部 40……露光ユニット 50……現像ユニット 50a……軸 51……ブラック現像装置 52……マゼンタ現像装置 53……シアン現像装置 54……イエロー現像装置 55a〜55d……保持部 510……現像ローラ 511……金属板 512……端部 513……金属管 513a……外周面 513b……シーム部 513c……部位 514……ダイス 514a……凸部 515……研削材 520……シール部材 530……収容部 540……ハウジング 550……トナー供給ローラ 560……規制ブレード 560a……ゴム部 560b……ゴム支持部 562……ブレード支持板金 570……ブレード裏部材 60……一次転写ユニット 70……中間転写体 75……クリーニングユニット 76……クリーニングブレード 80……二次転写ユニット 90……定着ユニット 92……給紙トレイ 94……給紙ローラ 96……レジローラ P1……記録媒体 T……トナー T1、T2……粒子 O……回転軸(中心軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部にトナーを保持する凹部を備えた現像ローラの製造方法であって、
金属製の管体に熱処理を施すことにより、前記管体中の残留応力を減少させる工程と、
前記熱処理を施した前記管体の外周部に前記凹部を形成する工程とを有することを特徴とする現像ローラの製造方法。
【請求項2】
前記熱処理の温度は、前記管体を構成する金属の再結晶化温度をA[℃]としたとき、A〜A+100なる関係を満足する請求項1に記載の現像ローラの製造方法。
【請求項3】
前記熱処理の時間は、15〜150分である請求項2に記載の現像ローラの製造方法。
【請求項4】
前記熱処理において、加熱された前記管体を自然冷却する請求項1ないし3のいずれかに記載の現像ローラの製造方法。
【請求項5】
前記熱処理を複数回行う請求項1ないし4のいずれかに記載の現像ローラの製造方法。
【請求項6】
前記複数回の熱処理は、第1の熱処理と、該第1の熱処理よりも後に、前記第1の熱処理よりも低温で行う第2の熱処理とを含む請求項5に記載の現像ローラの製造方法。
【請求項7】
前記第1の熱処理の温度は、前記管体を構成する金属の再結晶化温度以上の温度であり、かつ、前記第2の熱処理の温度は、前記金属の再結晶化温度未満の温度である請求項6に記載の現像ローラの製造方法。
【請求項8】
前記管体は、金属板を湾曲させるとともに端部同士を突き合わせて管状に成形した後、前記突き合わせた部分を溶接してなるものである請求項1ないし7のいずれかに記載の現像ローラの製造方法。
【請求項9】
前記管体は、前記突き合わせた部分を溶接してなるシーム部を有する請求項8に記載の現像ローラの製造方法。
【請求項10】
前記管体を構成する金属は、炭素鋼である請求項1ないし9のいずれかに記載の現像ローラの製造方法。
【請求項11】
前記炭素鋼中の炭素の含有率は、0.3質量%以下である請求項10に記載の現像ローラの製造方法。
【請求項12】
転造法またはブラスト法により、前記凹部を形成する請求項1ないし11のいずれかに記載の現像ローラの製造方法。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の現像ローラの製造方法により製造されたことを特徴とする現像ローラ。
【請求項14】
請求項13に記載の現像ローラを備えることを特徴とする現像装置。
【請求項15】
請求項14に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−102445(P2008−102445A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286720(P2006−286720)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】