説明

現像ローラ

【課題】複写機、プリンタ等の電子写真装置や静電記録装置などの画像形成装置において用いられる現像ローラであって、使用に伴いトナーが劣化した場合でも、印刷初期から後期にわたり一定の画像濃度を保持することができる現像ローラを提供する。
【解決手段】シャフト1と、シャフト1の外周に順次配設された弾性層2および表面樹脂層3と、を備える現像ローラ10である。表面樹脂層3が樹脂成分および微粒子4を含み、かつ、微粒子4の平均粒径が、1.0〜4.5μmの範囲内である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は現像ローラ(以下、単に「ローラ」とも称する)に関し、詳しくは、複写機、プリンタ等の電子写真装置や静電記録装置などの画像形成装置において用いられる現像ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の電子写真装置や静電記録装置などの画像形成装置においては、静電潜像を担持した潜像保持体に、現像剤(トナー)を供給して静電潜像を可視化する現像操作が行われる。この場合、現像剤の供給に用いる現像ローラとしては、半導電性の弾性ローラが一般的に用いられている。
【0003】
図2に、現像装置の一構成例を示す。図示する現像装置においては、現像ローラ10が、トナーを供給するためのトナー供給ローラ11と静電潜像を保持した感光ドラム12との間に、感光ドラム12に接触した状態で配置され、これら現像ローラ10、感光ドラム12およびトナー供給ローラ11がそれぞれ図中の矢印方向に回転することにより、トナー13がトナー供給ローラ11により現像ローラ10の表面に供給される。供給されたトナーは成層ブレード14により均一な薄層に整えられ、この状態で現像ローラ10が感光ドラム12と接触しながら回転することにより、薄層に形成されたトナーが現像ローラ10から感光ドラム12の潜像に付着して、潜像が可視化されるようになっている。なお、図中の符号15は転写部を示し、ここで紙等の記録媒体20にトナー画像が転写される。また、符号16はクリーニング部を示し、転写後に感光ドラム12表面に残留するトナーをクリーニングブレード17により除去している。
【0004】
かかる現像ローラとしては、シャフトの周囲に半導電性の弾性層を形成し、その外周に、さらに樹脂層を形成した構成のものが一般的である。現像ローラにおいては、表面粗さがトナーの保持/搬送性に大きく影響するので、この場合、ローラの表面を構成する樹脂層を適正化することが、得られる画像の質や安定性を向上するために重要である。
【0005】
現像ローラに係る改良技術としては、例えば、特許文献1に、ハーフトーンや細線の再現性に優れた現像ローラを得ることを目的として、表面層に、平均粒径5μm以上30μm以下の球状フィラーを、表層部を構成する合成樹脂100重量部に対して30重量部以上含有させ、平均粗さRaが0.5μm以上2μm以下であって平均粗さRzが2μm以上10μm以下なる表面形状とする技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、導電性支持部材と、その外周面上に形成された弾性層と、その外周面上に形成され最表面に露出する被覆層とを含み、被覆層が必須成分として熱可塑性樹脂と、酸素、窒素、及び硫黄からなる群より選ばれた少なくとも一種類の元素を含有する変性用有機化合物で変性されたシリコーン微粒子と、導電性付与剤とを含む複合材料からなる導電性ローラが開示されており、被覆層にはさらに平均粒子径1〜30μmの有機系フィラーを含有できることが記載されている。さらに、特許文献3には、電子写真用現像ローラに適用可能な浸漬塗布方法が開示されており、塗布液にはフィラーまたは粒径2〜50μmの粒子を含有できることが記載されている。
【0007】
さらにまた、特許文献4には、十分なトナー搬送性能を得ると共に、その経時劣化を可及的に防止して、良好なトナー搬送性を長期に亘って維持し得る現像ローラを提供することを目的として、芯金の周囲に半導電性の弾性層を形成し、更にこの弾性層上に直接又は中間層を介して表面樹脂層を形成してなる現像ローラにおいて、表面樹脂層を、平均粒径5〜30μmの微粒子が分散した厚さ3μm以上20μm未満の層とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−330372号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開2007−47768号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】特開2005−177717号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献4】特開2010−276953号公報(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現像ローラに関しては、従来、使用に伴いトナー搬送性が低下せずに、長期にわたり印刷濃度が低下しないこと、すなわち、耐久性に優れることが重要視されてきており、これに対し、上記特許文献4のような技術も提案されている。しかしながら、一方で、印刷後期においては、使用に伴いトナーが機械的なストレスを受けて劣化することにより、トナーの搬送量が増えて、印刷濃度が徐々に濃くなってしまうという問題も生じており、この点についても解消が望まれていた。
【0010】
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、使用に伴いトナーが劣化した場合でも、印刷初期から後期にわたり一定の画像濃度を保持することができる現像ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は鋭意検討した結果、現像ローラの表面を構成する層に、平均粒径の小さい微粒子を含有させることで、上記問題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の現像ローラは、シャフトと、該シャフトの外周に順次配設された弾性層および表面樹脂層と、を備える現像ローラにおいて、
前記表面樹脂層が樹脂成分および微粒子を含み、かつ、該微粒子の平均粒径が、1.0〜4.5μmの範囲内であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の現像ローラにおいては、前記樹脂成分が光硬化性樹脂であることが好ましい。また、本発明において、前記微粒子としては、ポリウレタン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子およびシリカ粒子からなる群から選択される少なくとも1種の粒子を好適に用いることができる。さらに、本発明においては、前記微粒子が、前記樹脂成分100質量部に対し3〜40質量部にて含有されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記構成としたことにより、使用に伴いトナーが劣化した場合でも、印刷初期から後期にわたり一定の画像濃度を保持することができる現像ローラを実現することが可能となった。なお、特許文献4の実施例では、表面樹脂層に平均粒径5〜30μmの微粒子を分散した現像ローラをレーザービームプリンタに現像ローラとして装着し、濃度1%で黒ベタ画像を3000枚印刷して、印刷初期と3000枚印刷時とで濃度差を調べた際に、濃度差が小さく、良好なトナー搬送性能を長期にわたって維持できたことが記載されているが、これは、実際には、印刷初期の印刷画像と、3000枚印刷後にカートリッジを交換した後の印刷画像との濃度差を比較するものであって、トナーの劣化を加味した評価ではない。本発明の現像ローラによれば、徐々に劣化していくトナーを使い続けた場合でも、印刷初期から後期にわたり一定の画像濃度を保持することが可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の現像ローラの一例を示す径方向断面図である。
【図2】現像装置の一構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明の現像ローラの一例を示す径方向断面図を示す。図示するように、本発明の現像ローラ10は、シャフト1と、その外周に順次配設された弾性層2および表面樹脂層3と、を備えている。
【0017】
本発明においては、表面樹脂層3が樹脂成分および微粒子4を含み、かつ、この微粒子4の平均粒径が、1.0〜4.5μmの範囲内である点が重要である。ローラの表面をなす表面樹脂層3に含有させる微粒子として、平均粒径1.0〜4.5μmの範囲のものを用いたことで、使用に伴い、この微粒子がローラ表面から徐々に脱落して、トナー搬送性が低下する。そのため、使用に伴いトナーの劣化が生じて、トナー供給ローラから過多のトナーが搬送されてきても、現像ローラが搬送するトナー量を抑制することができるので、結果として、印刷濃度が濃くなることを防止して、印刷濃度の変化を抑制することができる。これにより、印刷初期から後期にわたり一定の画像濃度を保持することが可能となったものである。
【0018】
本発明においては、微粒子4の平均粒径を4.5μm以下とすることで、印刷濃度の変化を実質的になくすことができ、微粒子として微細なものを用いるほど、濃度変化の抑制効果は高くなる。これは、微粒子として小さいものを用いるほど、微粒子と表面樹脂層を構成する樹脂成分との密着面積が小さくなるために、印字過程で微粒子が脱落しやすくなるためであると考えられる。但し、微粒子の平均粒径が1.0μm未満では、粒子が脱落しすぎて濃度が薄くなりすぎるため、本発明の所期の効果が得られない。微粒子4の平均粒径は、好適には1.0〜4.3μm、より好適には2.0〜4.3μm、さらに好適には2.0〜3.5μm、最も好適には2.0〜3.0μmの範囲である。なお、微粒子の平均粒径の測定方法としては、動的光散乱法を用いることができる。
【0019】
本発明においては、表面樹脂層3中に含有させる微粒子4として、上記特定の平均粒径を有するものを用いた点のみが重要であり、これにより、本発明の所期の効果を得ることができる。それ以外の現像ローラの具体的構成については、常法に従い適宜構成することができ、特に制限されるものではない。
【0020】
微粒子4の材質としては、特に制限されず、従来より現像ローラに使用されているもののうちから、適宜選択して用いることができる。具体的には例えば、ポリウレタン樹脂粒子、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂粒子およびシリカ粒子などが挙げられ、これらのうちの1種、または2種以上を適宜混合して用いることができる。
【0021】
微粒子4の形状については、特に制限されず、適宜形状のものを用いることができる。具体的には例えば、真球状や、真球表面に凹凸を有する形状、粉砕不定形のものなどを挙げることができる。
【0022】
微粒子4の配合量は、表面樹脂層3の厚さや微粒子の平均粒径、形状などに応じて適宜選定することができ、特に制限されるものではないが、通常は、表面樹脂層3を構成する樹脂成分100質量部に対して3〜40質量部とすることが好ましい。微粒子4の配合量が、3質量部未満では、十分なトナー搬送性を得ることができないおそれがあり、40質量部を超えると、トナー搬送量が多すぎて濃度が濃くなりすぎるので、いずれも好ましくない。
【0023】
表面樹脂層3を構成する樹脂成分としては、特に制限はなく、通常用いられる樹脂材料のうちから、所望に応じ適宜選択して用いることができる。具体的には例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。また、紫外線(UV)照射等により硬化する紫外線硬化型樹脂等の光硬化性樹脂も好適に用いることができる。光硬化性樹脂を用いた場合、長い乾燥工程が不要となるので、生産性やコスト性の面で優れるものとなる。かかる紫外線硬化型樹脂は、例えば、(A)(メタ)アクリレートオリゴマー、(B)(メタ)アクリレートモノマーおよび(C)光重合開始剤により構成することができる。
【0024】
(A)(メタ)アクリレートオリゴマーは、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO−)またはメタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)COO−)を1つ以上有するオリゴマーである。(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、具体的には、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー、フッ素系(メタ)アクリレートオリゴマー、シリコーン系(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられ、これらの中でも、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。かかる(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物および水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより、合成することができる。なお、(メタ)アクリレートオリゴマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得ることができる。また、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつ、グリシジル基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸との反応生成物がより好ましい。さらに、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマーおよびポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオール)と、(メタ)アクリル酸との反応によって得られる。
【0026】
(メタ)アクリレートオリゴマーは、特に制限されないが、重量平均分子量が4500以上であることが好ましく、6000以上であることがより好ましい。また、かかる重量平均分子量は、40000以下であることが好ましい。ここで、この重量平均分子量が4500以上であると、塗膜に伸び特性を付与することができ、ローラの耐久性が改善される。一方、重量平均分子量が40000を超えると、塗膜の粘着性が低下し、作業性が低下してしまう場合がある。
【0027】
(メタ)アクリレートオリゴマーは、特に制限されないが、官能基数が2〜4であることが好ましく、2〜3であることが更に好ましい。ここで、官能基とは、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基を指し、官能基数とは、平均官能基数を指す。(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数が上記特定範囲にあれば、紫外線硬化型樹脂の架橋密度が低下し、その弾性率を低減することができる。また、(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数が2未満では、反応速度が低下するだけでなく、反応点が減少するために、未反応物が増加し、感光体等の隣接部材への汚染物質の付着等が起こる場合がある。一方、(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数が4を超えると、硬度が高くなり過ぎるだけでなく、脆くなってしまい、塗膜層の削れが発生する場合がある。
【0028】
また、(B)(メタ)アクリレートモノマーは、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO−)またはメタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)COO−)を1つ以上有するモノマーであり、反応性希釈剤として作用し、すなわち、紫外線で硬化する上、表面樹脂層形成用原料の粘度を低下させることが可能である。(メタ)アクリレートモノマーの分子量は、特に制限されないが、70〜2000であることが好ましい。この(メタ)アクリレートモノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
(メタ)アクリレートモノマーは、官能基数が1〜4であることが好ましい。ここで、官能基とは、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基を指し、官能基数とは、平均官能基数を指す。(メタ)アクリレートモノマーの官能基数が4を超えると、紫外線硬化型樹脂中の架橋密度が増加するため、弾性率が上昇するおそれがある。
【0030】
(メタ)アクリレートモノマーは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基の他、嵩高い置換基または極性基を有するものが好ましい。(メタ)アクリレートモノマーが嵩高い置換基または極性基を有することで、重合後の高分子鎖は立体的に嵩高くなり、または高分子鎖内の極性基相互作用が強くなる結果、高分子の結晶性が低下する。一般に、非晶性高分子は、結晶性高分子より伸び特性が良好である傾向があるため、嵩高い置換基または極性基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、紫外線硬化型樹脂の弾性率の低下に有効であると考えられる。かかる(メタ)アクリレートモノマーとして、具体的には、アクリロイルモルホリン、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等が好適に挙げられる。(メタ)アクリレートモノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
また、(メタ)アクリレートモノマーは、分子内にケイ素またはフッ素を含有することもできる。(メタ)アクリレートモノマーが分子内にケイ素またはフッ素を有することで、紫外線硬化型樹脂の表面の摩擦係数を増加させることなく、樹脂の柔軟性を高めることができる。これは、ケイ素またはフッ素が持つ撥水性、撥油性に起因していると考えられる。これにより、紫外線硬化型樹脂の弾性率を低減することができる。
【0032】
上記ケイ素を含む(メタ)アクリレートモノマーとしては、両末端反応性シリコーンオイル類、片末端反応性シリコーンオイル類、(メタ)アクリロキシアルキルシラン類が好ましい。ここで、両末端反応性シリコーンオイル類および片末端反応性シリコーンオイル類とは、反応性末端としてアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を末端に導入したものを指す。
【0033】
上記両末端反応性シリコーンオイル類としては、下記式(I)、

(式中、mは繰り返し単位数である)で表されるシリコーンオイルが挙げられる。かかる両末端反応性シリコーンオイル類としては、市販品を使用することができ、例えば、信越化学工業(株)製の品名「X−22−164A」(粘度25mm/s、官能基当量860g/mol)、品名「X−22−164B」(粘度55mm/s、官能基当量1630g/mol)、品名「X−22−164C」(粘度90mm/s、官能基当量2370g/mol)、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の品番「BX16−152B」(粘度40cs/25℃、メタクリル基当量1300g/mol、25℃での比重0.97)、品番「BY16−152」(粘度85cs/25℃、メタクリル基当量2800g/mol、25℃での比重0.97)、品番「BX2−152C」(粘度330cs/25℃、メタクリル基当量5100g/mol、25℃での比重0.97)等を用いることができる。
【0034】
また、片末端反応性シリコーンオイル類としては、下記式(II)、

(式中、Rは、メチル基またはブチル基であり、nは繰り返し単位数である)で表されるシリコーンオイル、および、下記式(III)、

で表されるシリコーンオイルが挙げられる。かかる片末端反応性シリコーンオイル類としては、市販品を使用することができ、例えば、信越化学工業(株)製の品名「X−24−8201」(粘度25mm/s、官能基当量2100g/mol)、品名「X−22−174DX」(粘度60mm/s、官能基当量4600g/mol)、品名「X−22−2426」(粘度180mm/s、官能基当量12000g/mol)、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の品番「BX16−122A」(粘度5cs/25℃、屈折率1.417、25℃での比重0.92)等を用いることができる。
【0035】
さらに、上記(メタ)アクリロキシアルキルシラン類としては、3−メタクリロキシプロピルジクロロメチルシラン[CH=C(CH)COO(CHSiClCH]、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン[CH=CHCOO(CHSi(OCHCH]、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン[CH=CHCOO(CHSi(OCH]、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン[CH=C(CH)COO(CHSi(OCHCH]、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン[CH=C(CH)COO(CHSi(OCH]、3−メタクリロキシプロピルジエトキシメチルシラン[CH=C(CH)COO(CHSi(OCCH]、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン[CH=C(CH)COO(CHSi(OC]等が挙げられる。(メタ)アクリロキシアルキルシラン類としては、市販品を利用することができ、例えば、信越化学工業(株)製の品番「LS−2080」、「LS−2826」、「LS−2827」、「LS−3375」、「LS−3380」、「LS−4548」、「LS−5118」等を用いることができる。
【0036】
一方、上記フッ素を含む(メタ)アクリレートモノマーとしては、水素原子の1つ以上がフッ素で置換された炭素数5〜16のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、具体的には、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート[CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率37質量%]、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート[CFCFCHOCOCH=CH,フッ素含有率47質量%]、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート[CF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率54質量%]、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[CF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率49質量%]、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート[CF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率59質量%]、3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[CF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率55質量%]、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート[CF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率62質量%]、3−(パーフルオロオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[CF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率59質量%]、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート[CF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率65質量%]、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率57質量%]、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率52質量%]、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率61質量%]、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率57質量%]、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率64質量]、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率60質量%]、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルアクリレート[CHFCFCHOCOCH=CH,フッ素含有率41質量%]、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート[CHF(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率53質量%]、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート[CHF(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率59質量%]、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルアクリレート[CHF(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率63質量%]、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート[(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率51質量%]、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート[CFCHFCFCHOCOCH=CH,フッ素含有率48質量%]、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート[CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率34質量%]、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート[CFCFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率44質量%]、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート[CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51質量%]、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[CF(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率47質量%]、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート[CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率57質量%]、3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[CF(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率53質量%]、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート[CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率61質量%]、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[CF(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率57質量%]、2−(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート[CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率63質量%]、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率55質量%]、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51質量%]、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率59質量%]、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率56質量%]、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率62質量%]、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率59質量%]、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルメタクリレート[CHFCFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51質量%]、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート[CHF(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51質量%]、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート[CHF(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率57質量%]、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート[CHF(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率61質量%]、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタクリレート[(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率48質量%]、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート[CFCHFCFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率46質量%]等が挙げられる。
【0037】
紫外線硬化型樹脂において、(A)(メタ)アクリレートオリゴマーおよび(B)(メタ)アクリレートモノマーの合計に占める(B)(メタ)アクリレートモノマーの割合は、10〜60質量%の範囲が好ましい。(B)(メタ)アクリレートモノマーの含有率が10質量%未満では、紫外線硬化膜にタック感があるため、摩擦による摩耗が発生するおそれがあり、一方、60質量%を超えると、紫外線硬化膜に未反応のモノマーが残り易く、未硬化成分のブリードが問題となる。
【0038】
さらに、(C)光重合開始剤は、紫外線を照射されることによって、(A)(メタ)アクリレートオリゴマーおよび(B)(メタ)アクリレートモノマーの重合を開始させる作用を有する。かかる光重合開始剤としては、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノンおよび3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4−ジメトキシベンゾフェノン、4,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジルおよびベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体、ベンゾインおよびベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、チオキサントンおよびチオキサントン誘導体、フルオレン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルホリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。これら光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。紫外線硬化型樹脂における光重合開始剤の配合量は、上記オリゴマーおよびモノマーの合計100質量部に対して、0.2〜5.0質量部の範囲が好ましい。
【0039】
紫外線硬化型樹脂においては、(C)光重合開始剤による重合反応を促進するために、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン系光重合促進剤、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系光重合促進剤、チオジグリコール等のチオエーテル系光重合促進剤等を、さらに添加してもよい。これら光重合促進剤の添加量は、上記オリゴマーおよびモノマーの合計100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲が好ましい。
【0040】
また、紫外線硬化型樹脂には、さらに、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤を添加することで、紫外線照射前の熱重合を防止することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ−テル、p−メトキシフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチルヒドロキシアニソール、3−ヒドロキシチオフェノール、α−ニトロソ−β−ナフトール、p−ベンゾキノン、2,5−ジヒドロキシ−p−キノン等が挙げられる。重合禁止剤の含有量は、上記オリゴマーおよびモノマーの合計100質量部に対して、0.001〜0.2質量部の範囲が好ましい。
【0041】
表面樹脂層3には、導電性を付与するために、導電剤を含有してもよく、かかる導電剤としては、後述の弾性層に用いることができる導電剤と同様のものが挙げられる。また、表面樹脂層3には、導電剤以外にも、必要に応じ、各種添加剤を適宜配合することができ、特に制限されるものではない。
【0042】
なお、表面樹脂層3を紫外線硬化型樹脂以外の樹脂を用いて形成する場合には、通常、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、ヘキサン、酢酸エチル、クロロホルム、イソプロピルエーテルなどの溶剤に、上記樹脂や添加剤を溶解、分散した塗料を塗布することにより、表面樹脂層を形成することができる。
【0043】
表面樹脂層3の厚みとしては、微粒子4の平均粒径以下とすることが必要であり、具体的には例えば、0.8〜16μmとすることができる。
【0044】
表面樹脂層3の表面粗さ、すなわち、ローラの表面粗さは、上記微粒子4により調整され、特には、JIS B 0610に準拠する十点平均粗さRzで、3〜25μmとすることが好ましい。表面粗さが、3μm未満であると、良好なトナー搬送性が得られないおそれがあり、25μmを超えると、トナー搬送量が多すぎて濃度が濃くなりすぎるので、いずれにおいても好ましくない。
【0045】
シャフト1としては、良好な導電性を有するものである限り特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくりぬいた金属製円筒体、高剛性樹脂製の円筒体等を用いることができる。なお、シャフトに高剛性の樹脂を使用する場合には、高剛性樹脂に導電剤を添加・分散させて、十分に導電性を確保することが好ましい。ここで、高剛性樹脂に分散させる導電剤としては、カーボンブラック粉末、グラファイト粉末、カーボンファイバー、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属粉末、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物粉末、導電性ガラス粉末等の粉末状導電剤が好ましい。これら導電剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、かかる導電剤の配合量は、特に制限されるものではないが、高剛性樹脂の全体に対して5〜40質量%の範囲が好ましく、5〜20質量%の範囲がより好ましい。
【0046】
弾性層2は、ゴム若しくは樹脂、またはこれらの発泡体(フォーム)で形成することができる。具体的には例えば、ポリウレタンや、ポリエステル系またはスチレン系熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレンゴム(IR)、ポリノルボルネンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびこれらの混合物等を基材ゴムとするゴム組成物、および、これらの発泡体などが挙げられる。また、弾性層2は、表面樹脂層3に用いられる紫外線硬化型樹脂により形成することもできる。
【0047】
このうちポリウレタンとしては、特に制限はなく、ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させて得られる、樹脂中にウレタン結合を有するものであればよい。
【0048】
ポリウレタンを構成するポリオール成分としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカーボネートジオール、ひまし油系ポリオールなどが例示され、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。なお、これらの中でも、プロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサイド(EO)とからなるポリエーテルポリオール、ポリスチレンおよび/またはポリアクリレートを含有するポリマーポリオールが、特に好ましく用いられる。
【0049】
また、イソシアネート成分についても、特に限定されず、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、および、これらの変性物などを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。中でも特に、変性TDI、変性MDI、変性HDIが好ましく用いられ、具体的には、ポリオール変性TDI、ポリオール変性MDI、ポリオール変性HDIが好ましく用いられる。
【0050】
ここで、特に制限されるものではないが、これらイソシアネートのNCO含有率は、1〜25%であることが好ましく、NCO含有率が1%未満であると反応が遅く、キュアに時間がかかってしまう。また、架橋が不十分となりやすく、未反応成分が汚染物質として染み出しやすくなる。一方25%を超えると、反応が速くなりすぎて、成形時に型への注入が難しくなる場合がある。
【0051】
弾性層2には、導電剤を配合して、導電性を調整することが好ましい。かかる導電剤としては、公知のイオン導電剤および電子導電剤を適宜用いることができる。このうちイオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ステアリルトリメチルアンモニウム)、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。また、電子導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボンブラック、酸化処理等を施したカラー用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープ酸化スズ、ITO、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、カーボンウィスカー、黒鉛ウィスカー、炭化チタンウィスカー、導電性チタン酸カリウムウィスカー、導電性チタン酸バリウムウィスカー、導電性酸化チタンウィスカー、導電性酸化亜鉛ウィスカー等の導電性ウィスカー等が挙げられる。
【0052】
また、弾性層2には、必要に応じてさらに、整泡剤や架橋剤、発泡剤(水、低沸点物、ガス体等)、界面活性剤、触媒等の公知の添加剤を適量添加することができる。このうち整泡剤としては、シリコーン整泡剤(ジメチルポリシロキサンとポリエーテルのブロックコポリマー等)、ポリジメチルシロキサン−ポリエチレンオキサイド共重合体などが例示される。また、触媒としては、例えば、有機金属触媒のジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、スタナスオクトエート、ジブチルチンマーカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンジマレニート、ジオクチルチンマーカプチド、ジオクチルチンチオカルボキシレート、フェニル水銀、プロピオン酸銀、オクテン酸錫、アミン触媒のトリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、ジメチルアミノエタノール、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等が好ましく用いられる。これらの触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
本発明の現像ローラにおいては、図示はしないが、弾性層2と表面樹脂層3との間に、接着樹脂層を設けてもよい。接着樹脂層は、表面樹脂層3と同様の材料により形成することができ、弾性層2と表面樹脂層3との間の接着性を向上するために、所望に応じ設けることができるものであって、本発明においては必須ではない。
【0054】
本発明において、弾性層および表面樹脂層を紫外線硬化型樹脂により形成する場合には、本発明の現像ローラは、例えば、各層の構成成分を含む層形成用原料(塗料)を調製して、シャフトの外周に塗布し、紫外線照射して層を形成する手順を繰り返すことにより、作製することができる。この場合、製造に長い乾燥ラインを必要とせずに安定した品質の層を形成できるので、本発明のローラは、生産性およびコスト性に優れるものとなる。なお、層形成用原料を塗布する方法としては、スプレー法、ロールコーター法、ディッピング法、ダイコート法等が挙げられる。また、紫外線照射に用いる光源としては、水銀灯、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられる。紫外線照射の条件については、各層形成用原料に含まれる成分および塗布量等に応じて、照射強度や積算光量等を適宜調整することができ、特に制限はない。
【0055】
また、本発明において、弾性層を発泡体により形成する場合における発泡方法としては、発泡剤を用いて化学的に発泡させる方法や、ポリウレタンフォームのように空気を機械的に巻き込んで発泡させるメカニカルフロス法のいずれを用いてもよい。具体的には例えば、弾性層形成用原料を機械攪拌により発泡させたものを、あらかじめシャフトが配置された円筒状のモールドに注入し、反応硬化させることで、シャフトの外周に弾性層を担持させることができる。その後、この弾性層上に、適宜調製した各層の形成用原料を塗布、乾燥ないし紫外線照射等することにより、ローラを作製することができる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
図1に示すような、シャフトと、その外周に順次配設された弾性層および表面樹脂層とを備える現像ローラを、以下に従い作製した。
【0057】
<オリゴマーの合成>
2官能で分子量3200のポリオキシプロピレングリコール100質量部、イソホロンジイソシアネート10.4質量部(イソシアネートインデックス=150)、および、ジブチルスズジラウレート0.01質量部を撹拌混合しながら、70℃で2時間反応させて、分子鎖の両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成した。得られたウレタンプレポリマーは、NCO基含有率が1.19%であった。さらに、このウレタンプレポリマー100質量部に2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)3.3質量部を撹拌混合し、70℃で2時間反応させて、官能基数が2で、かつ、分子量が18000のオリゴマーを合成した。
【0058】
<弾性層形成用原料の調製>
上記で得られたウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー65質量部と、(メタ)アクリレートモノマー(L−A,疎水性1官能モノマー,ラウリルアクリレート,共栄社化学(株)製,Tg=−3℃)25質量部と、(メタ)アクリレートモノマー(A−SA,親水性1官能モノマー,β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート,新中村化学(株)製,Tg=−10℃)10質量部と、光重合開始剤(IRGACURE184,チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.5質量部と、導電剤(MP−100,昭島化学工業(株)製)2質量部との混合物を、攪拌機にて、液温70℃、60回転/分で1時間攪拌混合し、混合液を濾過して、弾性層形成用原料を得た。
【0059】
シャフトとしては、アルミニウム製の円筒体(外径18mm)を用いた。このシャフトを横方向にスライドさせ回転させながら、シャフト上に、上記で得られた弾性層形成用原料をダイから吐出して塗布し、ブレードで掻き取りながらローラ形状を成型して、形状が崩れないよう掻き取り直後にUV照射して硬化させることにより、厚み1000μmにて弾性層を形成した。
【0060】
次いで、弾性層が形成されたシャフトを、横方向にスライドさせ回転させながら、この弾性層上に、ウレタンアクリレートオリゴマー(UV−3200B,日本合成化学工業(株)製)60質量部と、モルフォリンアクリレート(AMO,新中村化学(株)製)20質量部と、イソボルニルアクリレート(IBXA,共栄社化学(株)製)20質量部と、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート(BEPG−A,共栄社化学(株)製)5質量部と、ウレタン尿素樹脂(CFB101−40,大日本インキ(株)製)10質量部と、アクリル樹脂(MX−500,綜研化学(株)製)20質量部と、光重合開始剤(IRGACURE184,チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)1質量部とからなる混合物に、下記表中に示す微粒子をそれぞれ配合して得られた表面樹脂層形成用原料を、グラビアロールにより塗布して、UV照射して硬化させることにより、表面樹脂層を形成した。
【0061】
<評価>
得られた各現像ローラを市販のレーザービームプリンタに装着して、濃度1%で黒ベタ画像を3000枚印刷し、印刷初期と3000枚印刷時とにおける黒ベタ画像の透過濃度の差を調べた。この濃度差が小さいほど、良好である。
【0062】
また、印刷前(新品時)と3000枚印刷後とにおけるローラ表面の光沢度を測定して、光沢度の差を算出し、表面粗さの変化を評価した。光沢度の測定は、BYK社製のガードナー・マイクロ−グロス(携帯型光沢度計)を用いて、ローラの頂点を検出部に接地させ、ローラ長尺方向に85°で光を入射させて、反射率を測定することにより行った。光沢度は表面の光反射を測定するものであって、表面粗さの指標であり、値が大きいほど表面粗さが小さいことを示す。よって、光沢度が大きいと、画像濃度が濃くなる。また、印刷試験前後における光沢度の差が大きいほど、表面粗さが変化していることを表す。
これらの結果を、下記の表中に併せて示す。
【0063】
【表1】

*1)総研化学(株)製
*2)表面樹脂層の厚みは、ローラ断面の写真を直接計測することにより求めた。
【0064】
【表2】

*3)根上工業(株)製
*4)信越シリコーン(株)製
【0065】
【表3】

*5)旭硝子(株)製
【0066】
【表4】

*6)日興リカ(株)製
*7)喜多村(株)製
【0067】
上記表中に示すように、表面樹脂層に含有させる微粒子の平均粒径を所定範囲内とした各実施例の現像ローラにおいては、繰り返し使用に伴う画像濃度の変化が少なく、使用に伴いトナーが劣化した場合でも、印刷初期から後期にわたり一定の画像濃度を保持することができることが確かめられた。また、微粒子の平均粒径が小さいほど、光沢度の変化は大きかった。これに対し、各比較例の現像ローラにおいては、光沢度の変化が小さく、表面粗さの変化が小さいために、トナーの劣化に伴い画像濃度が大きくなってしまっていることがわかる。
【符号の説明】
【0068】
1 シャフト
2 弾性層
3 表面樹脂層
4 微粒子
10 現像ローラ
11 トナー供給ローラ
12 感光ドラム
13 トナー
14 成層ブレード
15 転写部
16 クリーニング部
17 クリーニングブレード
20 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、該シャフトの外周に順次配設された弾性層および表面樹脂層と、を備える現像ローラにおいて、
前記表面樹脂層が樹脂成分および微粒子を含み、かつ、該微粒子の平均粒径が、1.0〜4.5μmの範囲内であることを特徴とする現像ローラ。
【請求項2】
前記樹脂成分が光硬化性樹脂である請求項1記載の現像ローラ。
【請求項3】
前記微粒子が、ポリウレタン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子およびシリカ粒子からなる群から選択される少なくとも1種の粒子を含む請求項1または2記載の現像ローラ。
【請求項4】
前記微粒子が、前記樹脂成分100質量部に対し3〜40質量部にて含有されている請求項1〜3のうちいずれか一項記載の現像ローラ。

【図1】
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【図2】
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