説明

現像処理装置および現像処理方法

【課題】新液の使用量を抑えることができ、且つ、現像液の劣化によるフィルターの目詰まりを起こしずらい大型のカラーフィルタ形成用基板の現像処理装置を提供する。
【解決手段】ワーク80を、処理面を上にして、搬送方向に直行する方向において水平から傾けた状態で搬送する搬送手段を有し、現像処理槽10内の搬送方向の各位置においてワークが浴びた現像液41aを、ワーク処理面の傾斜に沿い流してワークから垂れ流すもので、現像処理槽10内、底部と搬送されるワークとの間の位置に、搬送方向の所定の位置範囲においてワークから垂れ流された現像処理後の現像液41aを受けて回収し、回収した現像処理後の現像液41bを廃液ラインへと流す、廃液回収手段61を配している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像処理装置に関し、特に、着色感光性樹脂を用いたフォトリソ法により液晶表示装置等の大型のディスプレイ表示装置用のカラーフィルタ形成基板を作製する際の現像処理を行うための現像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置等の大型のディスプレイ表示装置の普及はまざましいものがありますが、該ディスプレイ表示装置に用いられているカラーフィルタ形成基板は、一般には、着色感光性樹脂(以下、着色レジストとも言う)を基板に塗布し、選択露光して、現像する、フォトリソ工程によりパターニングされております。
このフォトリソ工程の現像処理においても、高品質、高生産性、低コスト化が求められております。
このような大型のディスプレイ表示装置用のカラーフィルタ形成基板を形成するための着色感光性樹脂層(着色レジスト)の現像処理は、通常、カスケード方式の現像処理装置あるいは循環方式の現像処理装置により行われている。
【0003】
カスケード方式の現像処理装置の場合、例えば、図5に示すように、処理対象のワークを第1の現像槽111中から第2の現像槽112中へと通過するように搬送しながら、且つ、第1の現像槽111、第2の現像槽112の中において、それぞれ、現像液141、142により現像処理を行うが、第2の現像槽112へ新しい現像液を供給するための配管150を含む新液供給ライン(全体は図示していない)を備え、第2の現像槽112における現像後の現像液を循環して再度第1の現像槽111において用いるための、各部を配管でつないだ循環ラインを設けており、ワークの供給側である第1の現像槽で現像に用いられた現像液は配管171を含む廃液ライン(全体は図示していない)へと流される。 そして、前記循環ラインには、現像後の現像液を貯めるタンク163と、該タンク163から現像液を取り出すポンプ164と、ポンプ164から送られてきた現像液をろ過するフィルター165とを備えており、第2の現像槽112へは、前記新液供給ラインにより新しい現像液を供給し、第1の現像槽111へは、第2の現像槽112にて現像した後の現像液をタンク163に回収した現像液143をフィルター165を経てろ過して供給される。
第1の現像槽111、第2の現像槽112の各現像槽の中において、搬送用コロによりワークを搬送し、現像液を複数の吐出部からシャワー状にしてワークに浴びせる。
図5に示す現像処理装置では、現像処理においてレジストの溶解量が急増するレジストブレークポイント段階を含む現像処理を第1の現像槽111で行ない、第2の現像槽112では、レジストブレークポイント段階を含まないそれ以降の現像処理を行なっている。 尚、一般に、連続する現像処理において、現像液による着色レジストの溶解は均等にはすすむものではなく、現像初期は殆ど着色レジストは溶解せず、レジストブレークポイントと呼ばれる段階で着色レジストの溶解量が急増し、その後はまた溶解量が急減する。
カスケード方式の現像処理装置の場合、再利用する現像液の劣化は少ないが、新液の使用量は膨大となる。
【0004】
尚、図5に示す現像処理装置では、現像液の供給や回収の経路が異なった現像処理を行なう槽を分けて、便宜上、第1の現像槽111、第2の現像槽112と呼んでいるが、第1の現像槽111、第2の現像槽112を併せて、単に現像処理槽110とも言う。
また、図5に示す現像処理装置による現像処理に先立ち、ワークの現像処理面全面に均一に現像液の膜を形成するために、高速で大量の現像液を流しかけて一瞬で現像液の膜を形成するアクアナイフ処理を行なうが、図5ではアクアナイフ処理部を図示していない。 また、図5に示す現像処理装置による現像処理の後にリンス(純水洗浄)を行なうが、図5ではリンス処理部を図示していない。
【0005】
循環方式の現像処理装置の場合も、例えば、図6に示すように、処理対象のワークを第1の現像槽中から第2の現像槽中へと通過するように搬送しながら、且つ、第1の現像槽211、第2の現像槽212の中において、現像液により現像処理を行うが、第2の現像槽212へ新しい現像液を供給するための配管250を含む新液供給ライン(全体は図示していない)を備え、第1の現像槽211、第2の現像槽212の各現像槽における現像後の現像液を循環して再度第1の現像槽211において用いるための、各部を配管でつないだ循環ラインを設けている。
ここでは、図5に示す現像処理装置のように、第1の現像槽111の現像処理後の現像液を廃液とするための廃液ラインを備えていない。
そして、前記循環ラインには、現像後の現像液を貯めるタンク263と、該タンク263からの現像液を取り出すポンプ264と、ポンプ264から送られてきた現像液をろ過するフィルター265とを備えており、第2の現像槽212へは、前記新液供給ラインにより新しい現像液を供給し、第1の現像槽211へは、第2の現像槽槽212にて現像した後の現像液および該現像液と第1の現像槽にて現像した後の現像液とを、それぞれ、配管261、262を経て1つのタンクに回収した現像液243を、ポンプ264にて取り出し、フィルター265を経てろ過して供給される。
タンク263からオーバーフローした現像液243は廃液ラインへと流している。
図6に示す現像処理装置では、現像処理においてレジストの溶解量が急増するレジストブレークポイント段階を含む現像処理を第1の現像槽211で行ない、第2の現像槽212では、レジストブレークポイント段階を含まないそれ以降の現像処理を行なっている。 ここでも、第1の現像槽211、第2の現像槽212の各現像槽の中において、搬送用コロによりワークを搬送し、現像液を複数の吐出部からシャワー状にしてワークに浴びせる。
また、図6に示す現像処理装置による現像処理に先立ち行なうアクアナイフ処理部、図6に示す現像処理装置による現像処理の後にリンス(純水洗浄)を行なうリンス処理部は図示していない。
また、図6でも、現像液の供給や回収の経路が異なった現像処理を行なう槽を分けて、便宜上、第1の現像槽、第2の現像槽と呼んでいるが、第1の現像槽211、第2の現像槽212を併せて、単に現像処理槽とも言う。
循環方式の現像処理装置の場合、新液の現像液の使用量は抑えられるが、 循環されて使用される現像液の劣化によりフィルターに目詰まりを起こし易い。
【0006】
上記いずれの方式の場合も、新液の現像液の使用量と現像に用いられ再度使用される現像液の現像性との兼ね合いをうまく決めることが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09−297405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、大型のディスプレイ表示装置用のカラーフィルタ形成基板の作製のための現像処理には、通常、カスケード方式の現像処理装置あるいは循環方式の現像処理装置が用いられているが、カスケード方式の現像処理装置の場合、現像液の劣化は少ないが、新液の使用量は膨大となるという問題があり、また、循環方式の現像処理装置の場合、新液の現像液の使用量は抑えられるが、 循環されて使用される現像液の劣化によりフィルターに目詰まりを起こし易いという問題があり、これらの問題を解決できる現像処理装置が求められていた。
本発明は、これらに対応するもので、主に大型基板の現像処理を対象として、新液の使用量を抑えることができ、且つ、現像液の劣化によるフィルターの目詰まりを起こしずらい現像処理装置を提供しようとするものです。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の現像処理装置は、現像処理の対象である板状のワークの処理面上側から、現像液をシャワー状にしてワークに浴びせ、ワークの現像処理を行なう現像処理装置であって、新しい現像液を供給するための新液供給ラインと、現像処理槽の底部側から現像処理後の現像液を回収し、循環させる循環ラインとを設け、該循環ラインには、現像処理後の現像液を貯めるタンクと、該タンクからの現像液をろ過するフィルターとを備え、前記新液供給ラインにより新しい現像液を供給し、前記循環ラインによりタンクに回収した現像処理後の現像液をフィルターを経てろ過して現像処理用の現像液として供給するものであり、ワークを、処理面を上にして、搬送方向に直行する方向において水平から傾けた状態で、搬送する搬送手段を有し、現像処理槽の搬送方向の各位置においてワークが浴びた現像液を、ワーク処理面の傾斜に沿い流してワークから垂れ流すもので、現像処理槽内、底部と搬送されるワークとの間の位置に、搬送方向の所定の位置範囲においてワークから垂れ流された現像処理後の現像液を受けて回収し、回収した現像処理後の現像液を廃液として廃液ラインへと流す、廃液回収手段を配していることを特徴とするものである。
そして、上記の現像処理装置であって、前記廃液回収手段は、上側に開口を有する1つの桶にて、ワークから垂れ流された現像処理後の現像液を受けて回収し、廃液ラインへと流すものであることを特徴とするものであり、前記桶は搬送方向に位置移動可能であることを特徴とするものである。
あるいは、上記の現像処理装置であって、前記廃液回収手段は、上側に開口を有する1つの桶と、該桶の開口上全体を覆うように、搬送方向に直行する方向で分割した複数の分割上蓋とを備え、且つ、各分割上蓋は、閉じた際に、現像液が前記底部に流れるように傾斜しているものであり、分割上蓋を開けた領域から桶へと現像処理後の現像液を回収し、廃液ラインへと流すものであることを特徴とするものである。
あるいはまた、上記の現像処理装置であって、前記廃液回収手段は、搬送方向に沿い、上側に開口を有する桶と各桶の開口を覆う上蓋とを1組とした、複数の上蓋を有する桶を備え、且つ、各上蓋は、閉じた際に、現像液が前記底部に流れるように傾斜しているものであり、上蓋を開けた領域から桶へと現像処理後の現像液を回収し、廃液ラインへと流すものであることを特徴とするものである。
また、上記いずれかの現像処理装置であって、前記ワークは大型のカラーフィルター形成用基板であることを特徴とするものである。
尚、ここでの現像処理は、ワークの一面上に塗膜され、選択的に露光された感光性樹脂を現像することを前提としている。
また、ここでは、レジストブレークポイント段階を含むレジストの溶解量が多い現像液を廃液ラインに流すことを前提としている。
【0010】
本発明の現像処理方法は、現像処理の対象である板状のワークの処理面上側から、現像液をシャワー状にしてワークに浴びせ、ワークの現像処理を行なう現像処理方法であって、新しい現像液を供給するとともに、ワークの現像処理のレジストブレークポイント段階に用いられた現像処理後の現像液を廃液とし、それ以外の現像処理後の現像液をろ過して現像処理用の現像液として、循環して使用するものであることを特徴とするものである。 そして、上記の現像処理方法であって、前記ワークを、処理面を上にして、搬送方向に直行する方向において水平から傾けた状態で、搬送し、現像処理槽の搬送方向の各位置においてワークが浴びた現像液を、ワーク処理面の傾斜に沿い流してワークから垂れ流しながら、現像処理槽内、底部と搬送されるワークとの間の位置に、搬送方向の所定の位置範囲においてワークの現像処理のレジストブレークポイント段階に用いられた現像処理後の現像液を選択的に桶にて受けて回収して廃液とすることを特徴とするものである。
【0011】
(作用)
本発明の現像処理装置は、このような構成にすることにより、現像処理対象の板状のワークを、搬送しながら、ワークの処理面上側から、現像液をシャワー状にしてワークに浴びせ、ワークの現像処理を行なう現像処理装置において、新液の使用量を抑えることができ、且つ、現像液の劣化によるフィルターの目詰まりを起こしずらくすることを可能としている。
詳しくは、新しい現像液を供給するための新液供給ラインと、現像処理槽の底部側から現像処理後の現像液を回収し、循環させる循環ラインとを設け、該循環ラインには、現像処理後の現像液を貯めるタンクと、該タンクからの現像液をろ過するフィルターとを備え、前記新液供給ラインにより新しい現像液を供給し、前記循環ラインによりタンクに回収した現像処理後の現像液をフィルターを経てろ過して現像処理用の現像液として供給するものであり、ワークを、処理面を上にして、搬送方向に直行する方向において水平から傾けた状態で、搬送する搬送手段を有し、現像処理槽の搬送方向の各位置においてワークが浴びた現像液を、ワーク処理面の傾斜に沿い流してワークから垂れ流すもので、現像処理槽内、底部と搬送されるワークとの間の位置に、搬送方向の所定の位置範囲においてワークから垂れ流された現像処理後の現像液を受けて回収し、回収した現像処理後の現像液を廃液として廃液ラインへと流す、廃液回収手段を配していることにより、これを達成している。
本発明の現像処理装置は、従来の循環方式の現像処理装置の現像液の循環利用を採り入れながら、従来のカスケード方式の現像処理装置の現像性は良いが新液の現像液の使用量が多くなる欠点をなくしたもので、いわば、従来のカスケード方式の現像処理装置と循環方式の現像処理装置の利点機能を折衷して採り入れた現像処理装置を可能としたものです。
尚、カスケード方式で現像槽を3以上の現像処理槽にして、現像処理におけるレジストブレークポイント段階となる槽における現像処理後の現像液を廃液とすることも考えられるが、この場合には、多様化したレジストと現像液との組に対応して多様化したレジストブレークポイント段階でどの槽を廃液するかどうかの選択をする現像槽を複数用意するために膨大な設計、 配管材料が必要となる。
これに対して、本願請求項1の発明は、膨大な設計、 配管材料を軽減することを可能としている。
また、循環方式の場合の、現像される感光性樹脂が溶解された現像液がフィルター目詰まりを起こし易くする問題を軽減することを可能としている。
【0012】
廃液回収手段としては、上側に開口を有する1つの桶にて、ワークから垂れ流された現像処理後の現像液を受けて回収し、廃液ラインへと流す形態が挙げられる。
この形態の場合、レジストブレークポイント段階に対応した搬送位置での現像処理後の現像液を選択的に回収できるものとしている。
特に、桶が搬送方向位置移動可能である場合には、レジストの多様化および現像液の多様化に伴い決まるレジストブレークポイント段階の多様化に対応して、レジストブレークポイント段階に対応した搬送位置での現像処理後の現像液を選択的に回収できるものとしている。
あるいは、廃液回収手段として、上側に開口を有する1つの桶と、該桶の開口上全体を覆うように、搬送方向に直行する方向で分割した複数の分割上蓋とを備え、且つ、各分割上蓋は、閉じた際に、現像液が前記底部に流れるように傾斜しているものであり、分割上蓋を開けた領域から部へと現像処理後の現像液を回収し、廃液ラインへと流す形態も挙げられる。
この形態の場合も、レジストの多様化および現像液の多様化に伴い決まるレジストブレークポイント段階の多様化に対応して、レジストブレークポイント段階に対応した搬送位置での現像処理後の現像液を選択的に回収できるものとしている。
尚、各分割上蓋に、閉めた際に、現像液の流れを制御する庇(土手部とも言う)を設けている場合には、確実に選択的に回収できる。
あるいはまた、廃液回収手段として、搬送方向に沿い、上側に開口を有する桶と各桶の開口を覆う上蓋とを1組とした、複数の上蓋を有する桶を備え、且つ、各上蓋は、閉じた際に、現像液が前記底部に流れるように傾斜しているものであり、上蓋を開けた領域から桶へと現像処理後の現像液を回収し、廃液ラインへと流す形態も挙げられる。
この形態の場合も、レジストの多様化および現像液の多様化に伴い決まるレジストブレークポイント段階の多様化に対応して、レジストブレークポイント段階に対応した搬送位置での現像処理後の現像液を選択的に回収できるものとしている。
尚、各分割上蓋に、閉めた際に、現像液の流れを制御する庇(土手部とも言う)を設けている場合には、確実に選択的に回収できる。
【0013】
特に、ワークが大型のカラーフィルター形成用基板である場合には有効である。
尚、ここで言う大型のカラーフィルター形成用基板とは、近年の大型の表示装置のカラフィルタ形成基板を面付けして作製する際に用いられる大型の基板を意味している。
【0014】
本発明の現像処理方法は、このような構成にすることにより、現像処理対象の板状のワークを、搬送しながら、ワークの処理面上側から、現像液をシャワー状にしてワークに浴びせ、ワークの現像処理を行なう現像処理方法において、新液の使用量を抑えることができ、且つ、現像液の劣化によるフィルターの目詰まりを起こしずらくすることを可能としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、このように、現像処理対象の板状のワークを搬送しながら、ワークの処理面上側から、現像液をシャワー状にしてワークに浴びせ、ワークの現像処理を行なう現像処理装置で、新液の使用量を抑えることができ、且つ、現像液の劣化によるフィルターの目詰まりを起こしずらくすることができる現像処理装置の提供を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の現像処理装置の実施の形態の第1の例の概略構成を示した概略図である。
【図2】図2(a)は第1の例の現像処理槽を示した概略一断面図で、図2(b)は図1(a)のA1−A2側から見た概略断面図である。
【図3】図3(a)は本発明の現像処理装置の実施の形態の第2の例の廃液回収手段を示した図で、図3(b)は図3(a)のB0側から見た図で、図3(c)は分割上蓋を2つはずした状態を図3(a)のB0側から見た図で、図3(d)は図3(a)のB1−B2から見た概略断面図である。
【図4】図4(a)は本発明の現像処理装置の実施の形態の第3の例の廃液回収手段を示した図で、図4(b)は2つの桶の上蓋をはずした状態を図4(a)のC0側から見た図で、図4(c)は図4(a)のC1−C2から見た概略断面図である。
【図5】従来のカスケード式の現像処理装置の1例の概略構成を示した概略図である。
【図6】従来の循環方式の現像処理装置の1例の概略構成を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
先ず、本発明の現像処理装置の実施形態の第1の例を、図1、図2に基づいて説明する。
尚、図1において細線の点線矢印は処理対象の板状のワークを搬送する方向を示している。
また、以下の説明を以って、本発明の現像処理方法の説明に代える。
第1の例の現像処理装置は、感光性の着色レジストを一面に塗布し、選択的に露光された大型のカラーフィルタ形成用基板を処理対象の板状のワーク80として、1枚ずつ現像処理を行なう枚葉式の現像装置で、現像処理の対象である板状のワーク80の処理面上側から、現像液41、42をシャワー状にしてワーク80に浴びせ、ワーク80の現像処理を行なう現像処理装置である。
そして、図1に示すように、新しい現像液を配管50を介して現像液の吐出部(ノズルとも言う)21aに供給するための配管50を含む新液供給ライン(全体は図示していない)と、現像槽11、12の底部91、92側から現像処理後の現像液を回収し、循環させる循環ラインとを設けている。
前記循環ラインは、現像槽の底部91、92側から、それぞれ、現像処理後の現像液を配管61,62により回収し、現像処理後の現像液を貯めるタンク63へと送り、ポンプ64によりタンク63からの現像液43を取り出してフィルター65によりろ過して配管20へ送る一連のラインであり、該循環ラインにより、現像処理後の現像液を循環して、再利用できるものとしている。
このように、本例の現像処理装置では、前記新液供給ラインにより新しい現像液を供給し、前記循環ラインによりタンクに回収した現像処理後の現像液をフィルターを経てろ過して現像処理用の現像液として供給する。
本例の現像処理装置では、図2に示すように、ワーク80を、処理面を上にして、搬送方向に直行する方向において水平から傾けた状態で、搬送する搬送手段(図示していない)を有し、現像処理槽10の搬送方向の各位置においてワークが浴びた現像液を、ワーク処理面の傾斜に沿い流してワークから垂れ流すもので(図2(b)参照)、現像処理槽10内の第1の現像槽11内に、底部91と搬送されるワーク80との間の位置に、搬送方向の所定の位置範囲においてワークから垂れ流された現像処理後の現像液41aを受けて回収し、回収した現像処理後の現像液41aを配管71を含む廃液ライン(全体は図示していない)へと流す、廃液回収手段を配している。
該廃液回収手段は、上側に開口31を有する1つの桶30にて、ワークから垂れ流された現像処理後の現像液41aを受けて回収し、配管71をその一部とする廃液ラインへと流すものである。
【0018】
第1の例の現像処理装置では、第1の現像槽11内において桶30は搬送方向に位置移動可能であり、所望の搬送方向位置において、現像処理後の現像液41aを受けて回収し、廃液ラインへと流すことができる。
また、廃液回収手段にて回収される以外の、第1の現像槽11の現像処理後の現像液は、底部91から配管61を経てタンク63に回収される循環ラインへと流れる。
第2の現像槽12の現像処理後の現像液は、底部92から配管62を経てタンク63に回収される循環ラインへと流れる。
【0019】
図1に示す現像処理装置では、現像処理においてレジストの溶解量が急増するレジストブレークポイント段階を含む現像処理を第1の現像槽11で行ない、第2の現像槽12では、レジストブレークポイント段階を含まないそれ以降の現像処理を行ない、ここでは、レジストブレークポイント段階を含むレジストの溶解量が多い現像液を廃液ラインに流す。
尚、先にも述べましたように、一般に、連続する現像処理において、現像液による着色レジストの溶解は均等にはすすむものではなく、現像初期は殆ど着色レジストは溶解せず、レジストブレークポイントと呼ばれる段階で着色レジストの溶解量が急増し、その後はまた溶解量が急減する。
【0020】
尚、本例の現像処理装置による現像に先立ち、全面に均一に現像液の膜を形成するために、高速で大量の現像液を流しかけて一瞬で現像液の膜を形成するアクアナイフ処理を行なうが、図1、図2ではアクアナイフ処理を図示していない。
また、本例の現像処理装置による現像の後にリンスを行なうが、図1、図2ではリンス処理部を図示していない。
また、通常、カラーフィルター形成基板作製における、R、G、Bの各色フィルタ部あるいはブラックマトリクスを形成には、アルカリ現像液を用い、リンス液としては純水を用いている。
【0021】
搬送手段はコロ搬送するもので、ここでは、モータ駆動の回転する軸に取り付けられた搬送用コロによりワークを搬送しながら、現像液を複数の吐出部からシャワー状にしてワークの処理面に浴びせるものであります。
図2(b)に示すように、搬送方向に直行する方向において水平から傾けた状態で搬送するため、現像液を吐出部21、21aへ供給する配管20,20aも、搬送されるワーク80の傾斜に沿って傾けられている。
そして、現像液を吐出部へ供給する配管20、20aは、それぞれ、現像液を吐出する吐出部21、21aを複数備え、所定のピッチ間隔で複数配置されており、吐出部全体により均一に現像液があたるようになっている。
ここではモーター駆動によりボールネジにより桶30を移動可能としているが、桶の移動手段はこれに限定はされない。
【0022】
本例の現像処理装置においては、ワーク80の搬送方向に直交する方向においてワーク80の処理面の傾斜を水平から5度程度傾けてワーク80を搬送し、ワーク80に浴びせられた現像液は、ワーク80の搬送方向に直交する方向、ワーク80の処理面に沿って流れ、ワークから垂れ流される。
また、前記循環ラインのタンク63は、現像液43をオーバーフローして配管72を介して廃液ラインへと流すようにしている。
【0023】
ここで、桶30の搬送方向位置について説明しておく。
本例の現像処理装置において1種類の着色レジストを決められた現像液で現像する場合は、レジストブレークポイント段階となる位置はほぼ決まるため、その位置に対応して桶30を位置決めし、現像液へのレジストの溶解あるいは流入が多い領域をカバーする搬送方向の位置範囲における、ワークに浴びせられた現像液を、桶の開口から受けて回収し、回収した現像処理後の現像液を廃液ラインへと流す。
そして、着色レジストと現像液の組み合わせが2種類以上の場合、各着色レジストと現像液の組毎に、それぞれ、レジストブレークポイント段階となる搬送方向位置はほぼ決まるため、各着色レジストと現像液の組に対応したレジストブレークポイント段階となる搬送方向位置に対応して、桶を移動して、現像処理を行なう。
尚、現像におけるレジストブレークポイント段階は、人の目にても確認できるもので、レジストブレークポイント段階に対応した搬送方向位置に桶を精確に移動させることは容易である。
通常は、各着色レジストと現像液の組毎に、予め、レジストブレークポイント段階に対応した桶の搬送方向位置のデータをとっておき、該データに合わせて桶の移動を行なう。 これにより、確実に、選択的に、レジストの溶解や流入が多いレジストブレークポイント段階におけるワーク80に浴びせられた現像液を桶にて回収し、廃液ラインへと流すことができるものとしている。
そして、確実に、レジストと現像液の組の多様化に対応できるものとしている。
これにより、現像処理の対象である板状のワークの処理面上側から、現像液をシャワー状にしてワークに浴びせ、ワークの現像処理を行なう現像処理装置において、新液の使用量を抑えることができ、且つ、現像液の劣化によるフィルターの目詰まりを起こしずらくすることを可能としている。
結果、本例の現像処理装置は、従来のカスケード方式の現像処理装置の場合に必要な、多様化したレジストブレークポイント段階でどの槽を廃液するかどうかの選択をする槽を用意するために膨大な設計や、 配管材料を軽減することを可能とし、また、従来の循環方式の場合の、現像される感光性樹脂が溶解された現像液がフィルター目詰まりを起こし易くする問題を軽減することを可能としている。
【0024】
次に、本発明の現像処理装置の実施形態の第2の例を説明する。
第2の例も、第1の例と同様、大型のカラーフィルター形成用基板を処理対象の板状のワークとして、該ワークを搬送しながら、現像液により現像処理を行う現像処理装置であるが、第2の例は、第1の例において廃液回収手段を、図3に示す、上側に開口を有する1つの桶30Aと、該桶の開口上全体を覆うように、搬送方向に直行する方向で分割した複数の分割上蓋35とを備え、且つ、各分割上蓋35は、閉じた際に、現像液が前記底部に流れるように傾斜しているものであり、分割上蓋35を開けた領域から桶30Aへと現像処理後の現像液を回収し、廃液ラインへと流すものに、代えたものである。
第2の例の桶30Aは第1の例の桶30よりも搬送方向の長さが大きく、その開口領域は、第1の例の桶30が移動してカバーできる現像後の現像液をその開口31にて回収できる領域に相当する。
第2の例の場合、多様化する各着色レジストと現像液の組毎に、対応したレジストブレークポイント段階に対応した搬送方向位置範囲の分割上蓋35のみをあけ、他の分割上蓋を閉めるることにより、レジストの溶解や流入が多いレジストブレークポイント段階を含む領域のワークに浴びせられた現像液を桶30Aにて選択的回収し、廃液ラインへと流すことを可能としている。
本例でも、廃液回収手段にて回収される以外の、第1の現像槽の現像処理後の現像液は、第1の現像槽の底部から回収され循環ラインへと流れる。
尚、各分割上蓋35に、閉めた際に、現像液の流れを制御する庇(土手部とも言う)を設けた場合には、確実に選択的に回収して、廃液ラインへ流すことができる。
【0025】
次に、本発明の現像処理装置の実施形態の第3の例を説明する。
第3の例も、第1の例と同様、大型のカラーフィルター形成用基板を処理対象の板状のワークとして、該ワークを搬送しながら、現像液により現像処理を行う現像処理装置であるが、第3の例は、第1の例において廃液回収手段を、図4に示すように、搬送方向に沿い、上側に開口を有する桶と各桶の開口を覆う上蓋とを1組とした、複数の上蓋を有する桶を備え、且つ、各上蓋は、閉じた際に、現像液が前記底部に流れるように傾斜しているものであり、上蓋を開けた領域から桶へと現像処理後の現像液を回収し、廃液ラインへと流すものに代えたものである。
第3の例の場合、多様化する各着色レジストと現像液の組毎に、対応したレジストブレークポイントに対応した搬送方向位置範囲の桶の上蓋のみをあけ、他の桶の上蓋を閉めるることにより、レジストの溶解や流入が多いレジストブレークポイント段階におけるワークに浴びせられた現像液を桶にて選択的回収し、廃液ラインへと流すことを可能としている。
第3の例でも、各上蓋には、閉めた際に、現像液の流れを制御する庇(土手部)を設けている場合には、確実に選択的に回収して、廃液ラインへ流すことができる。
【0026】
上記第1の例〜第3の例においては、現像処理槽10を、新液供給ラインとの接続、循環ラインとの接続、廃液ラインとの接続や、底部からの現像処理後の現像液の循環ラインへの回収路の違いから、便宜上、第1の現像槽11、第2の現像槽12と2つに分けているが、これに限定はされない。
例えば、上記第3の例において、第1の現像槽〜第4の現像槽に分け、第1の現像槽〜第3の現像槽に、それぞれ、上側に開口を有する桶と該桶の開口を全部覆う上蓋を設けた形態としても良い。
勿論、この形態においては、桶と上蓋の組を有する各現像槽においては、その底部側には循環ラインにつながる現像後の現像液の流路が配されており、桶と上蓋の組の各」 桶には、廃液ラインへとつながる現像後の現像液の流路が配されている。
【符号の説明】
【0027】
10 現像処理槽
11 第1の現像槽
12 第2の現像槽
20、20a 配管
21、21a 吐出部(ノズルとも言う )
30 桶
30a〜30e 桶
30A 桶
31 開口
35 分割上蓋
35a〜35e 上蓋
41、42 (処理用の)現像液
41a (現像処理後の)現像液
41b (現像処理後の)現像液
43 現像液
50 配管
61、62 配管
63 タンク
64 ポンプ
65 フィルター
66 配管
71、72 配管
80 ワーク
91、92 底部
95 壁部
110 現像処理槽
111 第1の現像槽
112 第2の現像槽
120、120a 配管
121、121a 吐出部(ノズルとも言う )
141、142 (処理用の)現像液
143 (再利用の)現像液
150 配管
162 配管
163 タンク
164 ポンプ
165 フィルター
166 配管
171 配管
210 現像処理槽
211 第1の現像槽
212 第2の現像槽
220、220a 配管
221、221a 吐出部(ノズルとも言う )
241、242 (処理用の)現像液
243 (再利用の)現像液
250 配管
261、262 配管
263 タンク
264 ポンプ
265 フィルター
266 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像処理の対象である板状のワークの処理面上側から、現像液をシャワー状にしてワークに浴びせ、ワークの現像処理を行なう現像処理装置であって、新しい現像液を供給するための新液供給ラインと、現像処理槽の底部側から現像処理後の現像液を回収し、循環させる循環ラインとを設け、該循環ラインには、現像処理後の現像液を貯めるタンクと、該タンクからの現像液をろ過するフィルターとを備え、前記新液供給ラインにより新しい現像液を供給し、前記循環ラインによりタンクに回収した現像処理後の現像液をフィルターを経てろ過して現像処理用の現像液として供給するものであり、ワークを、処理面を上にして、搬送方向に直行する方向において水平から傾けた状態で、搬送する搬送手段を有し、現像処理槽の搬送方向の各位置においてワークが浴びた現像液を、ワーク処理面の傾斜に沿い流してワークから垂れ流すもので、現像処理槽内、底部と搬送されるワークとの間の位置に、搬送方向の所定の位置範囲においてワークから垂れ流された現像処理後の現像液を受けて回収し、回収した現像処理後の現像液を廃液として廃液ラインへと流す、廃液回収手段を配していることを特徴とする現像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像処理装置であって、前記廃液回収手段は、上側に開口を有する1つの桶にて、ワークから垂れ流された現像処理後の現像液を受けて回収し、廃液ラインへと流すものであることを特徴とする現像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の現像処理装置であって、前記桶は搬送方向に位置移動可能であることを特徴とする現像処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の現像処理装置であって、前記廃液回収手段は、上側に開口を有する1つの桶と、該桶の開口上全体を覆うように、搬送方向に直行する方向で分割した複数の分割上蓋とを備え、且つ、各分割上蓋は、閉じた際に、現像液が前記底部に流れるように傾斜しているものであり、分割上蓋を開けた領域から桶へと現像処理後の現像液を回収し、廃液ラインへと流すものであることを特徴とする現像処理装置。
【請求項5】
請求項1記載の現像処理装置であって、前記廃液回収手段は、搬送方向に沿い、上側に開口を有する桶と各桶の開口を覆う上蓋とを1組とした、複数の上蓋を有する桶を備え、且つ、各上蓋は、閉じた際に、現像液が前記底部に流れるように傾斜しているものであり、上蓋を開けた領域から桶へと現像処理後の現像液を回収し、廃液ラインへと流すものであることを特徴とする現像処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の現像処理装置であって、前記ワークは大型のカラーフィルター形成用基板であることを特徴とする現像処理装置。
【請求項7】
現像処理の対象である板状のワークの処理面上側から、現像液をシャワー状にしてワークに浴びせ、ワークの現像処理を行なう現像処理方法であって、新しい現像液を供給するとともに、ワークの現像処理のレジストブレークポイント段階に用いられた現像処理後の現像液を廃液とし、それ以外の現像処理後の現像液をろ過して現像処理用の現像液として、循環して使用するものであることを特徴とする現像処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の現像処理方法であって、前記ワークを、処理面を上にして、搬送方向に直行する方向において水平から傾けた状態で、搬送し、現像処理槽の搬送方向の各位置においてワークが浴びた現像液を、ワーク処理面の傾斜に沿い流してワークから垂れ流しながら、現像処理槽内、底部と搬送されるワークとの間の位置に、搬送方向の所定の位置範囲においてワークの現像処理のレジストブレークポイント段階に用いられた現像処理後の現像液を選択的に桶にて受けて回収して廃液とすることを特徴とする現像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−137574(P2012−137574A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289086(P2010−289086)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】