説明

現像剤担持体、現像剤担持体の製造方法、現像装置及び画像形成装置

【課題】非接触現像方式に用いる互いに異なる電圧を印加することができる2相の電極を有する現像剤担持体において、電極間での短絡が生じる恐れが無くかつ少ない電力で現像剤を飛翔させることができる現像剤担持体及び前記現像剤担持体を安価に製造する。
【解決手段】第1の電極11と、第1の電極全面を覆う絶縁層12と、電極部13aと開口部13bとを有する第2の電極13と、第2の電極を覆う保護層14と、が形成された現像剤担持体であって、絶縁層が、連続する第1の絶縁性材料中に前記第1の絶縁性材料より低い比誘電率を有する第2の絶縁性材料が分散してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触現像方式に用いる現像剤担持体の製造方法及び現像剤担持体に関し、特に複数の電極を有し、現像剤を飛翔させるための電界を発生させる現像剤担持体、現像剤担持体の製造方法、現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の電子写真による画像出力装置の現像プロセスにおいて、感光体などの潜像担持体に現像剤を供給する際に、現像剤担持体上の現像剤と潜像担持体とを直接接触させることなく行う方式はいわゆる非接触現像方式として知られている。この方式は潜像担持体の潜像形成部のみに現像剤を供給することができるために高品位な出力画像を得ることができる。
その実現のために、従来より互いに異なる電圧が印加される複数の電極を備えた現像剤担持体を有する現像装置が知られている。
この現像装置の一例としては、現像剤担持体上の一成分現像剤(トナー)をクラウド化させることによってトナーを潜像担持体上に供給する方式を採用するものがある。この方式に使用される現像剤担持体は、外周面に沿って複数種類の電極が所定のピッチで配置され、その複数種類の電極の外周面側を保護層で覆ったものである。この複数種類の電極に対し、時間的に変化する互いに異なる電圧をそれぞれ印加して、時間的に変化する電界を互いに近接する複数種類の電極間に形成すると、この電界により現像剤担持体上のトナーを互いに近接する複数種類の電極間で飛翔させることができる。これにより、現像剤担持体の外周面近傍の空間でトナーがクラウド化した状況となる。
この方式の現像装置において、トナーが現像剤担持体の外周面に固着することなく飛翔するためには、現像剤担持体の外周面において、互いに近接する複数種類の電極間に形成される飛翔用電界からトナーが受ける力F1と、トナーと現像剤担持体の外周面との間の付着力F2との大小関係が重要となってくる。F1<F2の関係では、トナーは現像剤担持体外周面との付着力から逃れることができず、飛翔しない。F1>F2の関係が成り立てば、トナーを飛翔させることができる。これにより現像剤担持体に非接触なトナーによる潜像剤担持体上への現像が可能となる。
【0003】
例えば特許文献1には、現像剤担持体を駆動させて現像剤を潜像担持体に搬送する現像装置において、現像剤担持体によって搬送される現像剤を予備荷電する予備荷電手段を設けると共に、この現像剤担持体上に電界カーテンを作用させる電界カーテン発生手段を設けたことを特徴とする現像装置が提案されている。
また特許文献2には、互いに絶縁された状態で所定方向に並ぶ複数の電極を有する電極パターンを備えた、表面移動可能な現像剤担持体を具備し、前記複数の電極における所定の電極を起点にした奇数番目の電極の集合体である奇数番目電極群と偶数番目の電極の集合体である偶数番目電極群との間に電位差を生起せしめることで、前記現像剤担持体の表面上の現像剤を電極間で移動させながら前記現像剤担持体の表面移動によって潜像担持体との対向位置まで搬送して前記潜像担持体上の潜像に付着させる現像装置において、奇数番目の電極と偶数番目の電極とにそれぞれ互いに位相ズレしたパルス電圧を印加することで前記現像剤担持体の表面上の現像剤を電極間で移動させるようにしたことを特徴とする現像装置を提案している。
【0004】
これら提案されている装置を実現するためにはいずれも現像剤担持体として、表面に微細なピッチの電極パターンが形成されたローラ状部品が必要となる。
このローラ状部品の実現のためには特に電極パターンの形成技術が重要であり、実現可能性のある技術としてスクリーン印刷に代表される有版印刷法がある。これは、電極パターンが形成された版を用いて印刷用インクの代わりに導電性ペーストを基板に印刷した後加熱焼成を行うことにより電極パターンとするものである。有版印刷法は、版を必要とするため、少量多品種の生産には向かないが、大量生産では低コスト化が見込める方法である。
他の技術としてはインクジェット法がある。これは、インクジェットヘッドを用いて導電性インクを基板にオンデマンドに吐出、パターン形成した後加熱焼成を行うことにより電極パターンとするものである。マスクレスのため少量多品種の生産には向いている。
また他の技術としていわゆるフォトリソグラフィーを用いたパターン形成法がある。これは、金属膜よりなる基材表面に形成した感光性材料に対して、光の透過や非透過領域を形成したフォトマスクを介して選択的に露光を行うことでパターン形成し、このパターン開口に従って金属膜の除去を行うことで電極パターンを形成する方法である。微細で高精度なパターン形成が可能な方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1及び特許文献2に開示されている現像装置を構成する現像剤担持体はいずれも同一表面上に2相の電極を有している。このような構造においては隣接するいずれの電極間で短絡が生じてもすべての電極間で電位差が生じなくなり現像剤をホッピングさせることができなくなるという問題がある。
この問題を解決するために2相の電極を異なる面に形成し、その間を絶縁層で分離する構造が考えられる。このような構造とすることにより各相の電極は絶縁層形成工程を経た、異なる工程で作製されるために短絡が生じにくい構造となる。しかしながらこのような構造とすると対向する電極面積が広くなり、電極間に大きな静電容量をもつことになる。その結果として現像剤を十分にホッピングさせ得る電界を発生させるためには多くの電流が必要であり消費するエネルギーが大きくなるという問題がある。
また、微細ピッチで電極を形成する技術について、有版印刷により導電性ペーストを印刷した後に加熱焼成を行う方法においては、ローラ状部材表面への印刷でありローラ個体間の周長(直径や形状)の僅かな差を版により吸収することができないために特にローラ周方向のつなぎ部においてその周長差が蓄積されピッチが極端に狭くなってしまうか逆に広くなり不連続になってしまうという問題がある。
【0006】
インクジェット法においてはその原理上インクドットを連結してパターン形成を行うために微細パターンに対しては線幅の均一性を確保することが難しく場合によっては不連続となり断線が生じるという問題がある。
また、有版印刷法、インクジェット法に用いる導電性ペーストや導電性インクには通常は導電性物質として金属粒子表面が絶縁性物質で表面処理を施された材料を用いている。十分な電気伝導性を得るためには金属粒子表面の絶縁性物質を除去する必要があり、そのためには最低でも200℃以上での加熱焼成処理が必要である。しかしながら絶縁層にこの温度に対する耐性がある材料を用いると非常に高価なものになってしまうという問題がある。また、電極の電気伝導性が不十分であると印加した電力がジュール発熱により消費されより多くの電力が必要となるという問題がある。
【0007】
一方、フォトリソグラフィーを用いたパターン形成法においては、電極は基材表面に形成された金属層より形成されるために電気伝導性は十分であるが、感光性材料に露光を行う際にフォトマスクを用いるため、有版印刷と同様に周方向つなぎ部におけるパターン不良が起こるという問題がある。さらには電極となる金属膜はその下地が絶縁層であることから一般的には蒸着やスパッタリングなどの真空成膜を用い形成するが、その処理に要する時間が長いという問題がある。また、ローラのような非平面上に均一に成膜することが難しく装置も大掛かりなものが必要となりコストの増大を招くという問題がある。
本発明は上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、非接触現像方式に用いる互いに異なる電圧を印加することができる2相の電極を有する現像剤担持体において、電極間での短絡が生じる恐れが無くかつ少ない電力で現像剤を飛翔させることができる現像剤担持体及び前記現像剤担持体を安価に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1の電極と、該第1の電極全面を覆う絶縁層と、電極部と開口部とを有する第2の電極と、該第2の電極を覆う保護層と、が順次積層されて形成された現像剤担持体であって、前記絶縁層が、連続する第1の絶縁性材料中に前記第1の絶縁性材料より低い比誘電率を有する第2の絶縁性材料が分散してなることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の現像剤担持体の製造方法であって、前記現像剤担持体の基材となり、且つ第1の電極を有するローラ状組立体を用意する工程と、前記第1の電極表面全面を覆うように、第1の絶縁性材料に第1の絶縁層材料を除去することなく除去可能でかつ前記第1の絶縁性材料より比誘電率の低い第2の絶縁性材料が分散した絶縁層を設ける工程と、前記絶縁層表面に露出している第2の絶縁性材料を除去する工程と、前記第2の絶縁性材料を除去した絶縁層表面に導電性膜を形成する工程と、前記導電性膜表面に第2の電極形成用のマスク層を形成する工程と、前記マスク層の露出部にある導電性膜を除去する工程と、前記現像剤担持体表面を保護する保護層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の現像剤担持体の製造方法であって、前記現像剤担持体の基材となり、且つ第1の電極を有するローラ状組立体を用意する工程と、前記第1の電極表面全面を覆うように、第1の絶縁性材料に第1の絶縁層材料を除去することなく除去可能でかつ前記第1の絶縁性材料より比誘電率の低い第2の絶縁性材料が分散した絶縁層を設ける工程と、前記絶縁層表面に露出している第2の絶縁性材料を除去する工程と、前記絶縁層表面の第2の電極開口形成用のマスク層を形成する工程と、前記マスク層の露出部に導電性膜を形成する工程と、前記現像剤担持体表面を保護する保護層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の現像剤担持体の製造方法であって、前記現像剤担持体の基材となり、且つ第1の電極を有するローラ状組立体を用意する工程と、前記第1の電極表面全面を覆うように、第1の絶縁性材料に第1の絶縁層材料を除去することなく除去可能でかつ前記第1の絶縁性材料より比誘電率の低い第2の絶縁性材料が分散した絶縁層を設ける工程と、前記絶縁層表面の第2の電極開口形成用のマスク層を形成する工程と、露出している絶縁層表面の第2の絶縁性材料を除去する工程と、前記マスク層の露出部に導電性膜を形成する工程と、前記現像剤担持体表面を保護する保護層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記マスク層が感光性樹脂材料よりなり、前記マスク層のパターン形成に光走査方式のマスクレス露光を利用することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記第1の絶縁性材料に熱硬化性樹脂材料又は光硬化性樹脂材料を用い、前記第2の絶縁性材料に無機材料を用いることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、前記第2の絶縁性材料を除去する工程が湿式エッチング処理であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、前記導電性膜を形成する工程が無電解めっき処理であることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、現像剤担持体の外周面に現像剤を担持させ、該現像剤担持体を表面移動させることにより現像領域内における潜像担持体上の潜像に現像剤を供給して該潜像を現像する現像装置において、上記現像剤担持体として、請求項1に記載の現像剤担持体を用い、前記第1の電極及び第2の電極に対して互いに異なる電圧を給電するための給電部を有することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の現像装置を備えた画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、互いに異なる電圧を印加される第1の電極と第2の電極が異なる面上に絶縁層を介して形成されているために電極間で短絡が生じることがない。また、電極間に介在する絶縁層が、連続する第1の絶縁材料中に第1の絶縁材料より低い比誘電率を有する第2の絶縁性材料が分散しているために絶縁層全体としての比誘電率が低くなる。従って第1の電極と第2の電極間の静電容量が小さくなるために必要となる電圧に達するまでに流れる電流量を小さくすることができ少ない電力で現像剤を飛翔させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)(b)は第1の電極と第2の電極とに互いに異なる電圧を印加したときの電気力線の様子を示した現像剤担持体表面近傍の断面図である。
【図2】本発明の現像剤担持体の概略図であり、(a)は斜視図、(b)はローラ軸長方向における断面図、(c)はローラ軸長方向に直交する方向における断面図である。
【図3】本実施形態における第2の電極のパターン形状を平面展開した図である。
【図4】(a)〜(f)は現像剤担持体の製造工程を示した軸方向に直交する方向における断面図である。
【図5】露光手段を用いてローラ状組み立て体を露光する様子を示した図である。
【図6】(a)〜(e)は現像剤担持体の製造工程を示した軸方向に直交する方向における断面図である。
【図7】第二の実施形態に係る露光用データを示す図である。
【図8】第三の実施形態に係る露光用のデータを示す図である。
【図9】本発明の現像剤担持体及び現像装置が適用される画像形成装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
まず初めに現像剤担持体表面における現像剤の飛翔、帯電機能について図1を用いて説明を行う。図1は、第1の電極と第2の電極とに互いに異なる電圧を印加したときの電気力線の様子を示した現像剤担持体表面近傍の断面図である。
現像剤担持体10は円筒状の部材であり、径方向の内側から順に第1の電極11と、第1の電極11の全面を覆う絶縁層12と、絶縁層12の表面に形成された第2の電極13と、第2の電極13を覆う保護層14とが積層された構造である。第2の電極13は所定の間隔にて配置された電極部13aと開口部13bとを有する。
第1の電極11と第2の電極13とに互いに異なる電圧を印加すると、図示するように、第1の電極11と電極部13aとが対向している部分ではその間に電界が生じ、開口部13bでは第1の電極11から現像剤担持体10の表面を通り隣に位置する第2の電極13の表面側に電気力線が向かう。
ここで、第2の電極13に与えられる電位が第1の電極11に与えられる電位に対してより負極性側であり、電極部13aの直上の保護層14に負極性に帯電した現像剤Dが付着力F2で付着していると仮定する(図1(a))。電界により現像剤Dは電気力線に沿って図中上向きの力F1を受ける。このときF1>F2の関係が成り立つと、現像剤Dは保護層14との付着力に打ち勝ち、電気力線に沿って飛翔し、開口部13bの直上の保護層14へと移動する。
【0014】
一方、第1の電極11に与えられる電位が第2の電極13に与えられる電位に対してより負極性側であり、開口部13bの直上の保護層14に負極性に帯電した現像剤Dが付着力F2’で付着していると仮定する(図1(b))。電界により現像剤Dは電気力線に沿って図中上向きの力F1’を受ける。このときF1’>F2’の関係が成り立つと現像剤Dは保護層14との付着力に打ち勝ち電気力線に沿って飛翔し電極部13a直上へと移動する。このようにして現像剤担持体10からの現像剤Dの飛翔を起こすことができる。
このように、F1>F2、F1’>F2’が成り立つような電圧を第1の電極11と第2の電極13に交互に印加することで、現像剤Dは電極部13a直上と開口部13b直上とを行き来することになる。その都度、現像剤Dと保護層14とは衝突する。保護層14が現像剤Dに対して帯電序列においてより正電荷側であれば衝突回数を増すごとに現像剤Dの帯電量は増す。このようにして現像剤Dの飛翔と同時に帯電も同時にもたらすことができる。
【0015】
〔第一の実施形態〕
続いて図2を用いて本発明に係る現像剤担持体の第一の実施形態について説明を行う。
図2は本発明の現像剤担持体の概略図であり、(a)は斜視図、(b)はローラ軸長方向における断面図、(c)はローラ軸長方向に直交する方向における断面図である。
本発明の現像剤担持体10は、電子写真方式による画像出力装置の現像装置に適用される装置であり、基材となるローラ状組立体20の表面に絶縁層12と、第2の電極13と、保護層14が形成されたものである。
ローラ状組立体20は、中空の円筒体21と、円筒体21の軸方向一端部に接する第1のフランジ22と、円筒体21の軸方向他端部に接する第2のフランジ23と、第1のフランジ22に固定されて円筒体21と同軸となる軸部材24と、第2のフランジ22に固定されて円筒体21と同軸となる軸部材25とから構成されている。
中空の円筒体21は、現像剤担持体10の基材と第1の電極11とを兼ねているために少なくともその表面は導電性を有する。材料はアルミニウムやSUS等の金属材料、ポリアセタール樹脂やポリカーボネート樹脂等からなる樹脂ローラの表面にアルミニウムや銅などの導電層を形成したものを用いることができる。本例においてはSUS製の円筒体を用いた。
円筒体21の端部に接するフランジのうち第1のフランジ22は導電材料よりなり、第1の電極11と接することにより導通状態になっている。材料は円筒体21と同様のものを用いることができるが、本例においてはSUSを用いた。第1のフランジ22の中央には導電性部材よりなる軸部材24が固定されており、これを給電部材として電源(不図示)と接続することにより第1の電極11に電圧を印加することが可能である。
第2のフランジ23は円筒体21と接する面が絶縁性樹脂23aでありその外側に導電性部材23bよりなる構造であり、第1の電極11とは電気的に絶縁されている。第2のフランジ23の中央には導電性部材よりなる軸部材25が固定されている。
【0016】
ローラ状組立体20の表面全面のうち、少なくとも導電性部材23bの一部を除く領域が絶縁層12で覆われるようにする。絶縁層12は、2つの絶縁性材料から構成されている。具体的には、第1の絶縁性材料中に第1の絶縁性材料より比誘電率の低い第2の絶縁性材料が分散した状態である。絶縁層12の厚さは、薄すぎると第1の電極11と第2の電極13との間で絶縁不良を起こし、厚すぎると第1の電極11と第2の電極13により形成される現像剤担持体10表面における電界の強度が弱くなってしまうことから、3μm以上50μm以下の範囲であることが望ましい。
第1の絶縁性材料はフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂等の熱硬化性樹脂やこれらの混合物、ポリカーボネート樹脂やポリカーボネート樹脂の様な熱可塑性樹脂、各種光硬化性樹脂を用いることができるが、特に熱硬化性樹脂が一般に耐熱性、耐薬品性に優れているために好適である。
第2の絶縁性材料は第1の絶縁性材料より比誘電率の低い絶縁性物質であれば用いることができる。ただし液状のものであると第1の絶縁性材料と影響しその硬化を妨げる恐れがあることから固体状であることが望ましい。また、電極開口寸法に対して無視できない大きさであると巨視的に比誘電率が異なることとなり現像剤を飛翔させるための電界に対して影響を及ぼすために微小であることが望ましい。具体的には5μm以下が好ましく、さらには1μm以下であることがより好ましい。絶縁層中の比率においてはその機能上は高いほど好ましい。特に2%以下であると比誘電率を下げる効果が認められないことから2%以上であることが好ましい。
【0017】
本例においては第1の絶縁性材料としてメラミン樹脂を用いた。比誘電率は5〜10である。第2の絶縁性材料として一次粒子径50nm程度の炭酸カルシウム微粒子(比誘電率約1.5)を用い絶縁層体積中に30%の比率で分散している。絶縁層の厚さとしては20μmとした。
絶縁層12の表面には電極部13aと開口部13bとを有する第2の電極13を備える。第2の電極13は、その一部が導電性部材23bと接している。従って第2のフランジ23に固定される軸部材25を給電部として電源(不図示)と接続することにより第2の電極13に電圧を印加することが可能である。
【0018】
ここで、第2の電極のパターンについて図3に基づいて説明する。図3は本実施形態における第2の電極のパターン形状を平面展開した図である。スリット状の電極パターン(電極部13a)が軸方向両端部において互いに接続された構造になっている。軸方向中央部におけるスリット状部分の電極部13aの幅W1及び開口部13bの幅W2は、それぞれ一定にする必要がある。これは上述したように現像剤Dの帯電、飛翔機構が現像剤担持体10に生じる電界の大きさに影響されるためであり、場所によりこれら寸法が異なると電界強度が異なり現像剤Dの帯電量や飛翔量が異なる。結果として潜像担持体への現像剤Dの供給量が変動し画像に濃度むらが生じることとなる。電極部13aの幅W1は200μm以下であることが望ましい。200μmより大きいと、電圧供給側からの距離が遠い箇所の電圧が低くなり、その箇所で現像剤Dを安定かつ有効に飛翔させることが困難となる。電極部13aの幅W1の下限はその機能上特に制約はないが10μm以下であると断線が生じるなどその作製上困難になるためそれ以上であることが好ましい。開口部13bの幅W2は20μm以上1000μm以下であることが望ましい。20μm以下では開口部13bに隣接する電極部13aにより遮蔽され現像剤担持体10表面に現れる電界が十分でなくなり、現像剤Dを安定かつ有効に飛翔させることが困難となる。また、1000μm以上になると開口部13bの隣接する電極13aから離れる周方向中央部近傍における現像剤担持体10表面に現れる電界が十分でなくなり現像剤Dを安定かつ有効に飛翔させることが困難となる。
【0019】
また、電極部13aの厚さに関しては0.1μmから10μmの範囲であることが望ましい。0.1μmより薄いと電圧印加により損傷を受け経時的に断線が生じる。一方10μmより厚いとその凹凸が生じその凹部に現像剤Dが滞留してしまう。また、保護層14によりこの凹凸を吸収しようとすると保護層14が厚くなり後述するような問題が生じる。本例においては銅を電極材料に用い電極部13aの幅W1は80μm、開口部の幅W2は80μm、電極部13aの厚さは1μmとした。
第2の電極13は保護層14により覆われている。保護層14は現像剤Dの飛翔衝突による接触摩擦により現像剤Dを目的の極性に帯電させる必要がある。本例において現像剤Dは負帯電性であるために保護層14として用いる材料はシリコーン樹脂、ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッドメラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂等が使用される。また、その厚さは3μm以上40μm以下であることが好ましい。3μmより薄いと経時使用による磨耗等により第2の電極13が露出してしまい電極部13aの断線などの恐れがある。また、40μmより厚いと第1の電極11と第2の電極13との間で作られる電界が十分な強度で現像剤担持体10表面に形成されにくくなり、現像剤Dを安定かつ有効に飛翔させることが困難となる。本例においてはポリカーボネート樹脂を使用し厚さを20μmとした。
【0020】
次に図4に従い、第一の実施形態に係る現像剤担持体の製造方法についての説明を行う。図4は、現像剤担持体の製造工程を示した軸方向に直交する方向における断面図である。
現像剤担持体の製造工程は、第1の電極表面への絶縁層の形成、絶縁層の表面処理、導電性膜の形成、導電性膜表面へのマスク層の形成、マスク層に保護されていない導電性膜の除去、保護層の形成をする工程を含む。
現像剤担持体10の基材となるローラ状組立体20として、円筒体21の直径が16mmのものを用いた(図4(a))。
【0021】
第1の電極11(円筒体21)表面に絶縁層12を形成する(図4(b))。絶縁層12の形成に先立ち絶縁層形成材料の調整を行った。硬化前のメラミン樹脂中に一次粒子系50nm程度の炭酸カルシウム微粒子を硬化後の体積として30%に相当する量を添加したものをポットに入れ、ミックスローターにより回転攪拌し十分に分散させた。分散後の液体を攪拌子と共に円筒状の容器に移しスターラーにより攪拌を行い、分散状態を維持する。第1のフランジ22側に保護治具を装着した後に、第1のフランジ22側が下になるよう垂直保持し上下動可能な昇降装置に固定した。絶縁層形成材料が収容されている容器の攪拌を停止した後にローラ状組立体20を絶縁層形成材料収容容器内に浸漬し絶縁層形成材料の液面が第2のフランジ23の絶縁性樹脂23aと導電性部材23bとの境界近傍になるまで下降させる。その後、ローラ状組立体20の下端が液面から離れるまで昇降装置を引き上げ絶縁層12の塗布を完了する。第2のフランジ23の導電性部材23bの少なくとも一部には絶縁層12が塗布されていない状態である。その後150℃の乾燥機内に30分放置し絶縁層12を固化させることで絶縁層12が形成された。絶縁層12表面を観察すると粒子径1μm以下の多量の炭酸カルシウム微粒子が露出している様子が確認された。ただし、外観上炭酸カルシウム微粒子が露出しているように見えても、その表面が第1の絶縁性材料で極薄く覆われていることもあるので、最表面を機械的、化学的いずれかの方法で少量除去する工程を経ることが望ましい。機械的方法としては研磨シートによるポリッシングや微小な砥粒を噴射するサンドブラストなどがあり、化学的な方法としてはアルカリ溶液に浸漬することによる加水分解による膨潤、除去がある。
【0022】
次に絶縁層12表面に露出している炭酸カルシウムを除去する。絶縁層12が形成されたローラ状組立体20を10wt%の塩酸水溶液中に60秒浸漬した。その後引上げ水洗し乾燥を行った。乾燥後の絶縁層12表面を観察すると多数の凹部が形成されていた。
次に絶縁層12表面に導電性膜を形成する(図4(c))。導電性膜として、ホルムアルデヒド浴を用いた無電解めっきにより銅膜30を形成した。ローラ状組立体20の軸方向両端部に位置する第1のフランジ22と第2のフランジ23を覆うように銅膜30を形成した。具体的には、脱脂、表面アルカリ処理、中和、表面調整、触媒付与、活性化、無電解めっきの順で各処理を行い、膜厚1μmの銅膜30を形成した。銅膜30は全面において一様に形成された。
次に銅膜30表面の第2の電極13を形成すべき領域にマスク層31を形成する(図4(d))。銅膜30が形成されたローラ状組立体20を前述した昇降装置に固定し、g線用ネガ型感光性樹脂材料(フォトレジスト)を入れた円筒状容器内に浸漬し、液面がローラ状組立体20の上端近傍となるまで下降させた後に、ローラ状組立体20の下端が液面と離れるまで一定速度で引上げフォトレジストを塗布する。その後80℃の乾燥機内に30分放置し乾燥させた。その後取り出し、室温まで冷却する。
【0023】
続いてフォトレジストの第2の電極13となる領域に選択的に露光を行う。図5は露光手段を用いてローラ状組み立て体を露光する様子を示した図である。露光手段40としては、変調可能な微小光源41からの光をローラ状組立体20の表面に集光させながら回転多面鏡42でローラ軸長方向に走査し照射するものを用いる。露光には図3に示すような第2の電極13のパターンを平面に展開した露光用データ51を用い、このデータを走査照射するのに要する時間とローラ状組立体20を一回転させるのに要する時間とを一致させることにより、ローラ状組立体20の全周にわたって均等幅の露光を行うことができる。露光用データ51は、電極部13aの幅が80umとなるように露光部51aを作製し、開口部13bの幅が80umとなるように非露光部51bを作製したものを用いた。光源には波長405nmの半導体レーザを用い、ローラ状組立体20における集光ビーム径は20μmになるように調整した。8面の多面鏡を用い16ライン走査する時間でローラ状組立体20の表面が20μm移動するようにローラ状組立体20を一定速度で回転させ、一周分の露光を行う。露光後のローラ状組立体20をフォトレジスト現像液中に浸漬することにより未露光部のフォトレジストを溶解除去することにより第2の電極13を形成すべき領域に全周にわたり線幅80μm、線間開口80μmのマスク層31を形成することができた。
【0024】
次にマスク層31に保護されていない銅膜30の除去を行う(図4(e))。部分的にマスク層31が形成されたローラ状組立体20を回転装置に固定し、回転させながら塩化鉄(III)5%水溶液中に90秒浸漬した後に水洗し、引き続きレジスト剥離液によりマスク層31を除去し水洗、乾燥を行った。これによりマスク層31未形成部の銅膜30のみが除去され、電極部13aの幅W1が80μm、開口部13bの幅W2が80μmの第2の電極13が形成された。
次に保護層14の形成を行う(図4(f))。ポリカーボネート樹脂をテトラヒドロフランに溶解し溶液を作製し、保護層14形成材料を調整し円筒状容器に入れた。前述した昇降装置にローラ状組立体20を固定して円筒状容器内に浸漬し、液面がローラ上端近傍となるまでローラ状組立体20を下降させた後に、ローラ状組立体20の下端が液面と離れるまで一定速度で引上げ保護層14の形成材料を塗布した。その後120℃の乾燥機内に30分放置し乾燥固化させることで保護層14を形成した。
以上により現像剤担持体10を得ることができた。
【0025】
〔第二の実施形態〕
次に図6に従い本発明に係る現像剤担持体の第二の実施形態について説明を行う。図6は、現像剤担持体の製造工程を示した軸方向に直交する方向における断面図である。第一の実施形態と同一の部分については説明を省略する。本実施形態は、第1の実施形態における導電性膜(銅膜30)の除去工程を省略した点、及び第2の電極をハニカム構造とした点に特徴がある。
ローラ状組立体20の第1の電極11表面に絶縁層12を形成し、表面に露出している第2の絶縁性材料を除去するまでは第一の実施形態と同一である(図6(a)、(b))。
次に絶縁層12表面の第2の電極61の開口部61b形成領域にマスク層32を形成する(図6(c))。第一の実施形態と同様の方法でg線用感光性樹脂材料を塗布、乾燥させる。続いてフォトレジストの開口部61bとなる領域に選択的に露光を行う。手段は第一の実施形態と同じものを用い、露光用データ52は図7に示すようなハニカム構造のものを用意した。対角線長さ100μmの正六角形が間隔およそ40μmで稠密に配列されているものである。この露光用データ52を用い、露光部52aにおいて露光するような設定が行われている。これを用い第一の実施形態と同様に露光し現像を行った。その結果、絶縁層12上に対角線長さ100μmの正六角形が間隔40μmで形成されたマスク層32を得た。
【0026】
次に露出している絶縁層12表面に第2の電極61(電極部61a)を形成する(図6(d))。電極部61aを構成する導電性膜の形成は、次亜リン酸を還元剤とする無電解めっき浴によりニッケル膜を1μm形成した。マスク層32のマスク非形成領域においては連続したニッケル膜が形成され、マスク層32のマスク領域においては、島状のニッケル析出が確認された。引き続きレジスト剥離液に浸漬し一部にニッケルが析出したマスク層32の除去を行った。洗浄後の観察から対角線長さ100μmの正六角形を取り巻くように線幅40μmのニッケルによる第2の電極61が形成されていることが確認できた。
次に第一の実施形態と同様な手段で保護層14の形成を行う(図6(e))。
以上により現像剤担持体60を得た。
本方法により導電性膜(銅膜30)の除去工程を省くことができる。
また、現像剤担持体60は、第2の電極61が多数の正六角形を取り囲むようなパターンになっていることから接続点が多く、部分的に断線が生じてもその影響で現像剤Dを飛翔させるための電界が加わらない領域を狭くすることができる。
【0027】
〔第三の実施形態〕
図6を用いて本発明に係る現像剤担持体の第三の実施形態の説明を行う。第一及び第二の実施形態と同一の部分については説明を省略する。本実施形態は、第2の電極を千鳥配列の格子状とした点及び膜厚を変化させた点に特徴がある。
ローラ状組立体20の表面に絶縁層12を形成するまでは第一及び第二の実施形態と同様である(図6(a)、(b))。
次に絶縁層12表面の第2の電極63の開口部63b形成領域にマスク層33を形成する(図6(c))。第二の実施形態と同様の方法である。露光用データ53としては図8に示すように一辺100μmの正方形が間隔およそ40μmで千鳥に配列されているものである。このデータを用い露光部53aに露光するように設定が行われている。これを用い露光し現像を行った。その結果、絶縁層12上に一辺100μmの正方形が間隔40μmで形成されたマスク層33を得た。マスク層33が形成されていない絶縁層12表面には第2の絶縁層材料が露出した状態となっている。
次に絶縁層12が露出している領域の第2の絶縁層材料を除去する。これは第一及び第二の実施形態と同じ方法で行った。
【0028】
次に露出している絶縁層12表面に電極層(第2の電極63)を形成する(図6(d))。方法は第二の実施形態と同一の方法でニッケル膜を0.1μm厚さで形成した。続いてローラ状組立体20の軸方向両端部近傍の第2の電極63が全周にわたり形成されている部分を利用し電源(不図示)と接続し、硫酸銅を含む電気めっき液中に浸漬し前記ニッケル膜上に銅メッキを厚さ3μm形成した。その後レジスト剥離液に浸漬することによりマスク層33の除去を行った。
次に第一及び第二の実施形態と同様な手法で保護層14の形成を行う(図6(e))。
以上により現像剤担持体62を得た。
本方法により第2の電極63を形成するためのメッキ時間を短縮することができる。
【0029】
また、現像剤担持体としては第二の実施形態によるものと同様に第2の電極63の接続点が多く、断線による影響が少ないことに加えて、第2の電極63が電気伝導性に優れた銅の割合が多いために消費電力が少なくて済む利点もある。
次に比較例として絶縁層中に第2の絶縁性材料を含まないものを用い現像剤担持体の作製を行った。方法は第一の実施形態に準じたが絶縁層材料としてはメラミン樹脂のみとした。また、第2の絶縁性材料を除去する工程は実施しなかった。絶縁層形成後に無電解めっきにより銅膜の形成を行おうとしたが、部分的に析出した後に剥離してしまい完全な導電性膜を得ることができなかった。
次にメラミン樹脂のみよりなる絶縁層表面にスパッタリングにより導電膜を形成してから現像剤担持体としたものを用意し本発明による現像剤担持体と比誘電率の比較を行った。本発明によるものの比誘電率は6程度であったのに対して比較例のものは8程度であった。これは消費電力もしくは現像装置として搭載する電源負荷として25%程度軽減できることになる。
【0030】
以上のように、本発明の現像剤担持体によれば、互いに異なる電圧を印加される第1の電極と第2の電極がローラ径方向に対して異なる面上に絶縁層を介して形成されているために電極間で短絡が生じることがない。また、電極間に介在する絶縁層が連続する第1の絶縁材料中に第1の絶縁材料より低い比誘電率を有する第2の絶縁性材料が分散しているために絶縁層全体としての比誘電率が低くなる。従って第1の電極と第2の電極間の静電容量が小さくなるために必要となる電圧に達するまでに流れる電流量を小さくすることができ少ない電力で現像剤を飛翔させることが可能に成る。
また、本発明の現像剤担持体の製造方法によれば、絶縁層中に分散している第2の絶縁性材料のうち表面に露出している第2の絶縁性材料を除去する工程を有している。これにより絶縁層表面には極微小な凹凸が形成されることになり、引き続き行われる導電性膜を形成する工程において絶縁層と導電膜との密着を向上させることができる。
また、マスク層のパターン形成に光走査方式のマスクレス露光を利用しているために露光パターンをローラ回転角度との同期で描画できるためにローラ個体間の周長の差を吸収することができ、ローラ全周にわたりパターン精度を維持することが可能となる。
【0031】
また、第1の絶縁性材料に熱硬化性樹脂材料もしくは光硬化性樹脂材料を用い第2の絶縁性材料に無機材料を用いている。両者は化学的な性質が異なるために選択的に除去することが容易である。また、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂は有機溶剤に対しても比較的耐性があり保護層を形成する工程においてその手段に広い選択肢を与えることができ現像剤担持体の安価な製造を可能とする。
また、第2の絶縁性材料を除去する工程が湿式エッチング処理であり、生産性に優れるため現像剤担持体の安価な製造を可能とする。
また、導電性膜を形成する工程が無電解めっき処理であり、生産性に優れまた、形状によらずに均一に成膜可能な方法であるために現像剤担持体の安価な製造を可能とする。
【0032】
〔第四の実施形態〕
本発明の第四の実施形態について説明する。本実施形態においては、上述の現像剤担持体を現像装置及び画像形成装置に適用した点に特徴がある。
図9は、本発明の一実施形態に係るデジタル複写機の概略構成図である。ADF201にある原稿トレイ202に原稿の画像面を上にして置かれた原稿束は、操作部上のプリントキーが押下されると、一番上の原稿からコンタクトガラス206上の所定の位置に給送される。給送された原稿は、読み取りユニット250によってコンタクトガラス206上の原稿の画像データを読み取り後、給送ベルト204および反転駆動コロによって排出口A(原稿反転排出時の排出口)に排出される。さらに、原稿トレイ202に次の原稿が有ることを検知した場合、前原稿と同様にコンタクトガラス206上に給送される。
【0033】
第1トレイ208、第2トレイ209、第3トレイ210に積載された転写紙は、各々第1給紙ユニット211、第2給紙ユニット212、第3給紙ユニット213によって給紙され、縦搬送ユニット214によって感光体215に当接する位置まで搬送される。読み取りユニット250にて読み込まれた画像データは、書き込みユニット257からのレーザによって感光体215に書き込まれ、現像ユニット227を通過することによってトナー像が形成される。そして、転写紙は感光体215の回転と等速で搬送ベルト216によって搬送されながら、感光体215上のトナー像が転写される。その後、定着ユニット217にて画像を定着させ、排紙ユニット218に搬送される。排紙ユニット218に搬送された転写紙は、ステープルモードを行わない場合は、排紙トレイ219に排紙される。
現像ユニット227内の現像装置(不図示)には、現像領域内における感光体215(潜像担持体)上の潜像に現像剤を供給する現像剤担持体として、本発明の現像剤担持体10が用いられている。そして、現像剤担持体10の第1の電極11及び第2の電極13に対して互いに異なる電圧を給電するための給電部(不図示)を有している。なお、現像剤担持体10の代わりに現像剤担持体60、62を適用することができる。
【0034】
このように、本発明の現像剤担持体を備えた現像装置及びこれを備えた画像形成装置によれば、上述の現像剤担持体の有する効果を反射的に得ることができる。また、それぞれの電極に対して互いに異なる電圧を給電するための給電部を有しているために、少ない電力で現像剤の安定した飛翔が可能となる。
【符号の説明】
【0035】
10…現像剤担持体、11…第1の電極、12…絶縁層、13…第2の電極、13a…電極部、13b…開口部、14…保護層、20…ローラ状組立体、21…円筒体、22…第1のフランジ、23…第2のフランジ、23a…絶縁性樹脂、23b…導電性部材、24…軸部材、25…軸部材、30…銅膜、31、32、33…マスク層、40…露光手段、41…微小光源、42…回転多面鏡、51、52、53…露光用データ、51a、52a、53a…露光部、51b、52b、53b…非露光部、60、62…現像剤担持体、61、63…第2の電極、61a、63a…電極部、61b、63b…開口部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】特開平3−21967号公報
【特許文献2】特開2007−133376公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、該第1の電極全面を覆う絶縁層と、電極部と開口部とを有する第2の電極と、該第2の電極を覆う保護層と、が順次積層されて形成された現像剤担持体であって、
前記絶縁層が、連続する第1の絶縁性材料中に前記第1の絶縁性材料より低い比誘電率を有する第2の絶縁性材料が分散してなることを特徴とする現像剤担持体。
【請求項2】
請求項1記載の現像剤担持体の製造方法であって、
前記現像剤担持体の基材となり、且つ第1の電極を有するローラ状組立体を用意する工程と、
前記第1の電極表面全面を覆うように、第1の絶縁性材料に第1の絶縁層材料を除去することなく除去可能でかつ前記第1の絶縁性材料より比誘電率の低い第2の絶縁性材料が分散した絶縁層を設ける工程と、
前記絶縁層表面に露出している第2の絶縁性材料を除去する工程と、
前記第2の絶縁性材料を除去した絶縁層表面に導電性膜を形成する工程と、
前記導電性膜表面に第2の電極形成用のマスク層を形成する工程と、
前記マスク層の露出部にある導電性膜を除去する工程と、
前記現像剤担持体表面を保護する保護層を形成する工程と、
を有することを特徴とする現像剤担持体の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の現像剤担持体の製造方法であって、
前記現像剤担持体の基材となり、且つ第1の電極を有するローラ状組立体を用意する工程と、
前記第1の電極表面全面を覆うように、第1の絶縁性材料に第1の絶縁層材料を除去することなく除去可能でかつ前記第1の絶縁性材料より比誘電率の低い第2の絶縁性材料が分散した絶縁層を設ける工程と、
前記絶縁層表面に露出している第2の絶縁性材料を除去する工程と、
前記絶縁層表面の第2の電極開口形成用のマスク層を形成する工程と、
前記マスク層の露出部に導電性膜を形成する工程と、
前記現像剤担持体表面を保護する保護層を形成する工程と、
を有することを特徴とする現像剤担持体の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の現像剤担持体の製造方法であって、
前記現像剤担持体の基材となり、且つ第1の電極を有するローラ状組立体を用意する工程と、
前記第1の電極表面全面を覆うように、第1の絶縁性材料に第1の絶縁層材料を除去することなく除去可能でかつ前記第1の絶縁性材料より比誘電率の低い第2の絶縁性材料が分散した絶縁層を設ける工程と、
前記絶縁層表面の第2の電極開口形成用のマスク層を形成する工程と、
露出している絶縁層表面の第2の絶縁性材料を除去する工程と、
前記マスク層の露出部に導電性膜を形成する工程と、
前記現像剤担持体表面を保護する保護層を形成する工程と、
を有することを特徴とする現像剤担持体の製造方法。
【請求項5】
前記マスク層が感光性樹脂材料よりなり、前記マスク層のパターン形成に光走査方式のマスクレス露光を利用することを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項記載の現像剤担持体の製造方法。
【請求項6】
前記第1の絶縁性材料に熱硬化性樹脂材料又は光硬化性樹脂材料を用い、前記第2の絶縁性材料に無機材料を用いることを特徴とする請求項2乃至5の何れか一項記載の現像剤担持体の製造方法。
【請求項7】
前記第2の絶縁性材料を除去する工程が湿式エッチング処理であることを特徴とする請求項2乃至6の何れか一項記載の現像剤担持体の製造方法。
【請求項8】
前記導電性膜を形成する工程が無電解めっき処理であることを特徴とする請求項2乃至7の何れか一項記載の現像剤担持体の製造方法。
【請求項9】
現像剤担持体の外周面に現像剤を担持させ、該現像剤担持体を表面移動させることにより現像領域内における潜像担持体上の潜像に現像剤を供給して該潜像を現像する現像装置において、
上記現像剤担持体として、請求項1に記載の現像剤担持体を用い、前記第1の電極及び第2の電極に対して互いに異なる電圧を給電するための給電部を有することを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項9に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−256802(P2010−256802A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109550(P2009−109550)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】