説明

現像剤搬送装置および画像形成装置

【課題】本発明は、現像剤取出部における現像剤の搬送体への固着を抑制することで、現像剤をスムーズに搬送することができる現像剤搬送装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】現像剤搬送装置(トナー供給装置7)は、現像剤(トナーT)を収容し、供給対象(感光体ドラム3)と対向する位置で開口する供給口71Aを有した現像剤ケース(カートリッジケース71)と、複数の搬送電極で進行波状の電界を形成することで、前記現像剤ケース内に収容された現像剤を前記供給対象に向けて搬送する現像剤搬送体(トナー搬送体73)と、前記現像剤ケースに回転可能に支持されて、前記現像剤ケース内の現像剤を攪拌する攪拌部材(アジテータ72)と、を備えている。そして、前記攪拌部材は、前記現像剤搬送体の搬送面TSに摺接する摺接部(軸部723)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進行波電界を利用して現像剤を搬送する現像剤搬送装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、進行波電界を利用して現像剤を搬送する現像剤搬送装置は、多数本の線状の搬送電極が一列に配列された搬送体を有しており、この搬送体の各搬送電極に対して多相の交流電圧を順次印加することで進行波電界を形成し、帯電した現像剤を搬送する。このような現像剤搬送装置としては、従来、現像剤を収容する現像剤ケースと、現像剤ケース内の現像剤を斜め上方に搬送する搬送体と、搬送体から離れて配設される攪拌子とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。この現像剤搬送装置によれば、攪拌子によって現像剤を攪拌させることで、現像剤同士の固着を抑制することが可能となっている。
【0003】
【特許文献1】特開昭59−181371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような搬送体で現像剤を斜め上方に搬送する技術では、現像剤ケース内に溜まっている現像剤のうち上面側に位置するとともに、搬送体近傍に位置する部分(以下、現像剤取出部とも呼ぶ)から順に、搬送体によって搬送される。このような技術においては、現像剤取出部において現像剤が搬送体に固着すると、搬送体から離れて配設された攪拌子で現像剤を攪拌しても現像剤取出部において搬送体上に固着した現像剤を崩すことができないので、現像剤をスムーズに搬送することができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、現像剤取出部における現像剤の搬送体への固着を抑制することで、現像剤をスムーズに搬送することができる現像剤搬送装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る現像剤搬送装置は、現像剤を収容し、供給対象と対向する位置で開口する供給口を有した現像剤ケースと、複数の搬送電極を備え、これらの搬送電極で進行波状の電界を形成することで、前記現像剤ケース内に収容された現像剤を前記供給対象に向けて搬送する現像剤搬送体と、前記現像剤ケースに回転可能に支持されて、前記現像剤ケース内の現像剤を攪拌する攪拌部材と、を備え、前記攪拌部材は、前記現像剤搬送体の搬送面に摺接する摺接部を有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、攪拌部材を回転させると、攪拌部材の摺接部が現像剤搬送体の搬送面に摺接する。そのため、現像剤取出部において現像剤が現像剤搬送体に固着した場合でもあっても、現像剤搬送体から良好に現像剤を剥がすことができ、現像剤をスムーズに搬送することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、攪拌部材の摺接部が現像剤搬送体の搬送面に摺接するので、現像剤取出部において現像剤が現像剤搬送体に固着した場合でもあっても、現像剤搬送体から良好に現像剤を剥がすことができ、現像剤をスムーズに搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は本発明の第1の実施形態に係るレーザプリンタの概略構成を示す側面図であり、図2はトナー供給装置の構造を示す断面図である。また、図3は図2のX−X断面図であり、図4はトナー搬送体を示す平面図(a)と、断面図(b)であり、図5は各給電部から出力される電圧の波形を示す図である。さらに、図6は、トナーの搬送状態を示す断面図であり、時刻t1のときの状態を示す断面図(a)と、時刻t2のときの状態を示す断面図(b)と、時刻t3のときの状態を示す断面図(c)である。
【0010】
<レーザプリンタ>
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ1は、用紙搬送機構2と、像担持体および供給対象の一例としての感光体ドラム3と、帯電器4と、スキャナユニット5と、現像剤搬送装置の一例としてのトナー供給装置7と、制御装置8とを備えている。なお、図示は省略するが、レーザプリンタ1には、給紙トレイや定着装置などの公知の構成が適宜設けられている。
【0011】
用紙搬送機構2は、前記給紙トレイから用紙Pを搬送する公知の機構であり、複数のローラ(例えばレジストローラ21)を介して感光体ドラム3の転写位置に用紙Pを搬送する。
【0012】
感光体ドラム3、帯電器4およびスキャナユニット5は、公知の構成である。簡単に説明すると、感光体ドラム3の表面は、帯電器4により一様に負帯電された後、スキャナユニット5からのレーザビームLBの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が変化して、画像データに基づく静電潜像が形成される。次いで、トナー供給装置7から感光体ドラム3の静電潜像に対して現像剤の一例としてのトナーT(図2参照)が供給され、このトナーTが感光体ドラム3の表面上で選択的に担持されることによって、トナー像が形成される。すなわち、感光体ドラム3に対して現像動作が行われることで、感光体ドラム3の表面にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム3と転写ローラ22とは、用紙Pを両者間で挟持して搬送するように回転駆動され、この際に感光体ドラム3の表面に担持されているトナー像が転写ローラ22に引き寄せられることで用紙P上に転写される。
【0013】
<トナー供給装置>
トナー供給装置7は、図2に示すように、現像剤ケースの一例としてのカートリッジケース71と、攪拌部材の一例としてのアジテータ72と、トナー搬送体73とを備えている。
【0014】
カートリッジケース71は、アジテータ72の回転軸721の周面と対向するように配設される周囲壁711と、周囲壁711を間に挟んで対向する一対の側壁712(1つのみ図示)とを備えて構成されており、その周囲壁711の一部がトナー搬送体73で構成されている。また、カートリッジケース71の上方には、感光体ドラム3に対向する位置で開口する供給口71Aが形成されている。そして、このカートリッジケース71では、その底部において、ポリエステルを主成分とする負帯電性、非磁性1成分の黒色のトナーTを収容している。
【0015】
カートリッジケース71の周囲壁711の下部は、アジテータ72の回転軸721を中心とした半円筒状に形成されている。そして、この半円筒状となる周囲壁711の下部の外側の適所には、レーザプリンタ1の筐体に固定される電磁石11が配設されている。
【0016】
カートリッジケース71の側壁712の下部には、周囲壁711から所定距離だけ離れるように周囲壁711の下部に沿って形成される半円筒状の案内壁713が、図3に示すように、側壁712から内側に所定量だけ突出するように形成されている。そして、図2に示すように、この案内壁713の一端713A側(後述するアジテータ72の軸部723が進入してくる側)には、切換部材の一例としての板ばね714が設けられている。
【0017】
板ばね714は、鋼材などの磁性体で構成されており、その先端715が無負荷状態において周囲壁711と離間するように、その基端716が案内壁713の一端713A側に固定されている。そして、板ばね714の先端715は、カートリッジケース71の外側に配設される電磁石11によって適宜吸着されることで、周囲壁711と案内壁713の一端713Aとの間を開閉するように構成されている。
【0018】
アジテータ72は、カートリッジケース71に対して回転可能に設けられており、主に、回転軸721と、可撓性シート722と、摺接部の一例としての軸部723とを備えている。
【0019】
回転軸721は、カートリッジケース71の側壁712に回転可能に支持されている。そして、この回転軸721は、レーザプリンタ1側に設けられた駆動装置12から図示せぬ複数のギヤを介して駆動力が伝達されることで、図における反時計回り(軸部723が案内壁713の一端713A側から他端713B側へ通過するような回転方向)に回転する。
【0020】
可撓性シート722は、撓み変形可能な部材で形成されており、回転軸721から径方向外側に延びるように、回転軸721に固定されている。そして、この可撓性シート722の先端には、軸部723が固定されている。
【0021】
軸部723は、可撓性シート722に比較して剛性の高い部材で構成されている。そして、この軸部723には、軸部723と周囲壁711との摺接による両者の損傷を和らげるための断面C字状の緩衝体724が取り付けられている。ここで、緩衝体724の材料としては、例えばスポンジ、フェルト、ゴムなどを利用することができる。
【0022】
そして、このように緩衝体724が取り付けられる軸部723は、電磁石11がOFF状態であり、案内壁713の一端713Aと周囲壁711との間が開放されている場合には、後述するトナー搬送体73の搬送面TSに摺接する。詳しくは、軸部723は、カートリッジケース71に最大に溜まった状態(図示の状態)のトナーTの上面TFの位置からカートリッジケース71の最下面までの領域を摺接可能に構成されている。また、軸部723は、電磁石11がON状態であり、案内壁713の一端713Aと周囲壁711との間が板ばね714で閉じられている場合には、トナー搬送体73の搬送面TSから離間される。すなわち、アジテータ72は、軸部723がトナー搬送体73の搬送面TSから離れた離隔軌跡DL上を移動する攪拌モードと、軸部723がトナー搬送体73の搬送面TS上を含んだ摺接軌跡TL上を移動することで、搬送面TS上のトナーTを除去する清掃モードとの間で切換可能に構成されている。
【0023】
トナー搬送体73は、図4(b)に示すように、合成樹脂製の板状部材である支持板731と、支持板731上に配設される複数の搬送電極732と、支持板731の搬送電極732が配設される側を被覆するコーティング膜733とを備えている。ここで、コーティング膜733としては、例えば合成樹脂であるナイロン製のコーティング膜を採用できる。そして、このコーティング膜733の表面が、トナーTを搬送する搬送面TSとなっている。
【0024】
搬送電極732は、図4(a)に示すように、金属薄膜からなる線状の配線パターンであって、トナーTの搬送方向において等間隔に配列されるとともに、トナーTの搬送方向と直交する方向(感光体ドラム3の軸方向)に沿うように延びて、互いに平行に配置されている。そして、図4(b)に示すように、各搬送電極732には、それぞれ異なる位相の電圧を出力する第1給電部VA、第2給電部VB、第3給電部VCおよび第4給電部VDが適宜接続されている。詳しくは、第1給電部VA、第2給電部VB、第3給電部VCおよび第4給電部VDは、各搬送電極732に対して、搬送方向上流側から順にこの順で繰り返し接続されている。言い換えると、各搬送電極732は、3本置きに、同一の給電部(例えば第1給電部VA)に接続されている。なお、以下の説明においては、便宜上、第1給電部VAが接続された搬送電極732を「搬送電極EA」、第2給電部VBが接続された搬送電極732を「搬送電極EB」、第3給電部VCが接続された搬送電極732を「搬送電極EC」、第4給電部VDが接続された搬送電極732を「搬送電極ED」とも呼ぶこととする。
【0025】
各給電部VA〜VDは、レーザプリンタ1内に配設される制御装置8によって適宜制御されることで、図5に示すような波形の電圧を出力する。すなわち、各給電部VA〜VDから出力される電圧は、それぞれ同一の波形であるが、それぞれ位相が90°ずつずれている。具体的には、第1給電部VA、第2給電部VB、第3給電部VC、第4給電部VDの順で、電圧の波形の位相が、90°ずつ遅れている。そして、このように制御装置8で制御された各給電部VA〜VDによって各搬送電極732に進行波状の電圧が印加され、これにより、搬送面TS上にて、進行波状の電界が形成される。
【0026】
具体的には、図5における時刻t1においては、中間電位「−500V」に対して「−550V」を負、「−450V」を正とすると、第1給電部VAおよび第4給電部VDから負の電圧が出力され、第2給電部VBおよび第3給電部VCから正の電圧が出力される。これにより、図6(a)に示すように、負の搬送電極EAと正の搬送電極EBとの間において搬送方向と逆向きとなる電界EF1が形成されるとともに、正の搬送電極ECと負の搬送電極EDとの間において搬送方向に向かう電界EF2が形成される。そのため、正の搬送電極EB,EC周りに負極性のトナーTが多く集められる。なお、負の搬送電極ED,EA間には、正の搬送電極EB,ECに移動できなかった少量のトナーTが残る。
【0027】
図5に示すように、時刻t2になると、第1給電部VAおよび第2給電部VBから負の電圧が出力され、第3給電部VCおよび第4給電部VDから正の電圧が出力される。これにより、図6(b)に示すように、負の搬送電極EBと正の搬送電極ECとの間に電界EF1が形成されることで、時刻t1において搬送電極EB,EC周りにあったトナーTが今回正となった搬送電極EC,ED周りに移動する。また、このとき、搬送電極ED,EA間の少量のトナーTも搬送電極EC,ED周りに移動する。同様にして、時刻t3になると(図5参照)、図6(c)に示すように、負の搬送電極ECと正の搬送電極EDとの間に電界EF1が形成されることで、時刻t2において搬送電極EC,ED周りにあったトナーTが今回正となった搬送電極ED,EA周りに移動する。以上のような動作を繰り返すことで、トナーTが搬送面TS上で搬送される。
【0028】
以上のように構成されるトナー搬送体73は、図2に示すように、カートリッジケース71内に配設される円筒状の第1トナー搬送体73Aと、カートリッジケース71の壁の一部を構成する湾曲形成された板状の第2トナー搬送体73Bとを備えている。具体的に、第2トナー搬送体73Bは、カートリッジケース71の底部から斜め上方に向けて傾斜する傾斜部B1と、第1トナー搬送体73Aに沿うように形成されるとともに、その上端縁で供給口71Aの一部を構成する円筒状部B2とを備えている。そして、このように構成されるトナー搬送体73では、カートリッジケース71の底部に溜まったトナーTが、第2トナー搬送体73Bの傾斜部B1で斜め上方に搬送された後、第2トナー搬送体73Bの円筒状部B2と第1トナー搬送体73Aとの間で搬送されることで、感光体ドラム3に向けて搬送される。
【0029】
なお、供給口71A付近まで移動してきたトナーTは、感光体ドラム3に静電潜像が形成されている場合において、この静電潜像に引き付けられるようにして感光体ドラム3に移動する。また、感光体ドラム3に静電潜像が形成されていない場合には、トナーTは、感光体ドラム3を通り過ぎ、第1トナー搬送体73Aへの電圧の印加が終了するまで第1トナー搬送体73A上で搬送され続ける。
【0030】
<制御装置8>
次に、制御装置8について説明する。参照する図面において、図7は制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0031】
制御装置8は、CPU、RAM、ROM等を備えており、レーザプリンタ1の各部の駆動やトナー搬送体73に供給する交流電圧を適宜制御する他、ユーザからの印刷指示に基づいて駆動装置12や電磁石11を制御している。具体的に、制御装置8は、図7に示すフローチャートに従って制御を実行している。
【0032】
図7に示すように、制御装置8は、まず、ユーザからの印刷指示を受けたか否かを判断する(S1)。ここで、「印刷指示」とは、レーザプリンタ1の外表面に設けられる操作盤やレーザプリンタ1に接続されるコンピュータの操作によって、制御装置8に入力される信号であって、用紙Pの印刷枚数などの情報が含まれている。
【0033】
ステップS1において印刷指示を受けていないと判断した場合(No)、制御装置8は、このフローによる動作を終了する。また、ステップS1において印刷指示を受けたと判断した場合(Yes)、制御装置8は、駆動装置12を起動させて、アジテータ72を回転させる(S2)。
【0034】
ステップS2の後、制御装置8は、アジテータ72を駆動させてから所定時間が経過したか否かを判断する(S3)。すなわち、制御装置8は、このステップS3において、アジテータ72を所定時間の間だけ清掃モードに維持する。言い換えると、制御装置8は、印刷を実行する前(感光体ドラム3に対する現像動作が行われていないとき)においては、アジテータ72を所定時間の間だけ清掃モードに維持する。ここで、所定時間としては、予め実験やシミュレーション等を行うことによって、アジテータ72の軸部723によってトナー搬送体73上に固着したトナーTを十分崩すことが可能な程度の時間を設定すればよい。
【0035】
ステップS3において所定時間が経過したと判断した場合(Yes)、制御装置8は、電磁石11に電流を供給することで電磁石11をON状態にした後(S4)、印刷を実行する(S5)。すなわち、制御装置8は、アジテータ72を攪拌モードに切り換えた後、印刷を実行する。言い換えると、制御装置8は、印刷時(感光体ドラム3への現像動作が行われているとき)においては、アジテータ72を攪拌モードに切り換える。なお、印刷は、制御装置8によって、レーザプリンタ1の各部やトナー搬送体73が駆動されることによって実行される。そして、ステップS5において印刷が完了した後、制御装置8は、電磁石11への通電と駆動装置12の駆動を停止させて(S6)、このフローによる動作を終了する。
【0036】
次に、制御装置8によって軌道が変えられるアジテータ72の動作について説明する。参照する図面において、図8は、清掃モード時におけるアジテータの動作を示す断面図(a)と、攪拌モード時におけるアジテータの動作を示す断面図(b)である。
【0037】
制御装置8が上述したようなステップS1〜S3の処理を実行する際においては、図8(a)に示すように、アジテータ72は清掃モードで回転する。すなわち、アジテータ72の軸部723は、摺接軌跡TL上を移動することで、トナー搬送体73の搬送面TSに摺接する。これにより、仮にトナーTがトナー搬送体73によって搬送され始める部分TT(以下、「トナー取出部TT」ともいう)においてトナーTが搬送面TS上に固着していた場合であっても、搬送面TSと摺接する軸部723によって、固着したトナーTが崩されることとなる。
【0038】
また、制御装置8は、清掃モードを所定時間実行すると、電磁石11をONにすることによって(S4)、図8(b)に示すように、電磁石11で板ばね714を周囲壁711側に引き寄せる。これにより、案内壁713の一端713Aと周囲壁711との間が板ばね714で閉じられて、アジテータ72が攪拌モードで回転する。すなわち、アジテータ72の軸部723は、板ばね713Aによって案内壁713の内面(回転軸721に対向する面)側に案内され、この案内壁713によって離隔軌跡DL上に位置するように支持されることによって、トナー搬送体73の搬送面TSから離れて移動する。これにより、印刷時において(S5)、トナー搬送体73上のトナーTは、アジテータ72の軸部723で邪魔されることなく、良好に搬送されることとなる。
【0039】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
アジテータ72の軸部723がトナー搬送体73の搬送面TSに摺接するので、トナー取出部TTにおいてトナーTがトナー搬送体73に固着した場合でもあっても、トナー搬送体73から良好にトナーTを剥がすことができ、トナーTをスムーズに搬送することができる。
【0040】
印刷時において、アジテータ72の軸部723がトナー搬送体73の搬送面TSから離れる離隔軌跡DL上を移動するように構成されるので、トナー搬送体73によるトナーTの搬送が、軸部723で邪魔されることなく、良好に行われることとなる。
アジテータ72が、印刷が実行されていないときにおいて清掃モードに維持され、印刷が実行されたときに攪拌モードに切り換えられるので、印刷時において、トナー搬送体73上のトナーTを、アジテータ72の軸部723で邪魔することなく、良好に搬送することができる。
【0041】
軸部723が、カートリッジケース71に最大に溜まった状態のトナーTの上面TFの位置からカートリッジケース71の最下面までの領域を摺接可能に構成されているので、カートリッジケース71内のトナーTを全て使い終わるまでの間、トナー取出部TTにおいて固着したトナーTを軸部723で確実に崩すことができる。
案内壁713の一端713Aと周囲壁711との間を開閉させる構造として、電磁石11と板ばね714のみで構成される構造を採用したので、構造が簡略化され、コストの低減を図ることができる。
【0042】
アジテータ72のうちトナー搬送体73の搬送面TSと摺接する摺接部が、可撓性シート722よりも剛性の高い軸部723で構成されているので、板ばね714によって案内壁713の内面に良好に案内することができる。
軸部723の周囲に緩衝体724が設けられているので、軸部723と周囲壁711との摺接による両者の損傷を和らげることができるとともに、図8(a)に示すように、軸部723がトナー搬送体73から離れた後、周囲壁711に当接する際の衝撃をも和らげることができる。
【0043】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第1の実施形態に係るトナー供給装置周りの構造の一部を変更したものであるため、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。参照する図面において、図9は第2の実施形態に係るトナー供給装置の構造を示す断面図であり、清掃モード時におけるアジテータの状態を示す断面図(a)と、攪拌モード時におけるアジテータの状態を示す断面図(b)である。また、図10は第2の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0044】
図9(a)に示すように、第2の実施形態に係るトナー供給装置100は、第1の実施形態と同様のカートリッジケース71やアジテータ72を備える他、第1の実施形態とは異なる板ばね101を備えて構成されている。また、このトナー供給装置100には、第1の実施形態とは異なる制御装置200が接続されている。
【0045】
板ばね101は、その先端102が無負荷状態において周囲壁711と接触するように、その基端103が案内壁713の一端713A側に固定されている。これにより、アジテータ72を図9(a)に示す順方向(時計回り)に回転させる場合には、アジテータ72の軸部723が、案内壁713の他端713Bとトナー搬送体73との間に進入し、案内壁713の一端713A側において板ばね101の先端102を周囲壁711から離れる方向に押し退けることで、軸部723が摺接軌跡TL上を移動する。また、アジテータ72を図9(b)に示す逆方向(反時計回り)に回転させる場合には、アジテータ72の軸部723が板ばね101によって案内壁713の内面に案内されることによって、軸部723が離隔軌跡DL上を移動する。
【0046】
制御装置200は、駆動装置12を制御することによって、アジテータ72の回転方向を図9(a)に示す順方向と、図9(b)に示す逆方向とに変化させる機能を有している。具体的に、制御装置200は、図10に示すフローチャートに従って制御を実行している。
【0047】
図10に示すように、制御装置200は、まず、ユーザからの印刷指示を受けたか否かを判断する(S11)。ステップS11において印刷指示を受けていないと判断した場合(No)、制御装置8は、このフローによる動作を終了する。また、ステップS11において印刷指示を受けたと判断した場合(Yes)、制御装置8は、駆動装置12を起動させて、アジテータ72を順方向に回転させる(S12)。
【0048】
ステップS12の後、制御装置200は、アジテータ72を駆動させてから所定時間が経過したか否かを判断する(S13)。すなわち、制御装置200は、このステップS13において、アジテータ72を所定時間の間だけ清掃モードに維持する。
【0049】
ステップS13において所定時間が経過したと判断した場合(Yes)、制御装置200は、アジテータ72を逆方向に回転させた後(S14)、印刷を実行する(S15)。すなわち、制御装置200は、アジテータ72を攪拌モードに切り換えた後、印刷を実行する。そして、ステップS15において印刷が完了した後、制御装置200は、駆動装置12の駆動を停止させてアジテータ72の回転を停止させることで(S16)、このフローによる動作を終了する。
【0050】
次に、制御装置200によって軌道が変えられるアジテータ72の動作について図9を参照して説明する。
制御装置200が上述したようなステップS11〜S13の処理を実行する際においては、図9(a)に示すように、アジテータ72は清掃モードで回転する。このとき、アジテータ72の軸部723は、板ばね101を適宜押し退けることで、摺接軌跡TL上を移動して、トナー搬送体73上のトナーTを剥ぎ取る。
【0051】
また、制御装置200は、清掃モードを所定時間実行すると、アジテータ72を逆回転させることによって(S14)、図9(b)に示すように、アジテータ72を攪拌モードで回転させる。このとき、アジテータ72の軸部723は、板ばね101によって案内壁713の内面に案内され、この案内壁713によって離隔軌跡DL上に位置するように支持されることによって、トナー搬送体73の搬送面TSから離れて移動する。これにより、印刷時において(S15)、トナー搬送体73上のトナーTは、アジテータ72の軸部723で邪魔されることなく、良好に搬送されることとなる。
【0052】
以上によれば、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、以下のような効果を得ることができる。
アジテータ72の回転方向を変えるだけで、第1の実施形態のような電磁石11が不要となるので、その分コストを低減させることができる。
【0053】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第1の実施形態に係るトナー供給装置周りの構造の一部を変更したものであるため、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。参照する図面において、図11は第3の実施形態に係るトナー供給装置の構造を示す断面図であり、清掃モード時におけるアジテータの状態を示す断面図(a)と、攪拌モード時におけるアジテータの状態を示す断面図(b)である。また、図12は第3の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0054】
図11(a)に示すように、第3の実施形態に係るトナー供給装置110は、第1の実施形態と同様のアジテータ72を備える他、第1の実施形態とは異なるカートリッジケース71’および開閉機構300を備えて構成されている。また、このトナー供給装置110には、第1の実施形態とは異なる制御装置210が接続されている。
【0055】
カートリッジケース71’は、第1の実施形態と略同様に構成されているが、案内壁713の一端713A側の周囲壁711に、一端713Aを外部に臨ませる孔部711Aが形成される点で異なっている。
【0056】
開閉機構300は、カートリッジケース71’の孔部711Aに摺動可能に設けられる楔形の切換部材310と、この切換部材310を孔部711Aに沿って進退させる駆動源320とを備えている。
【0057】
切換部材310は、駆動源320によってアジテータ72の回転軸721の径方向に沿って進退されることで、案内壁713の一端713Aと周囲壁711との間を開閉している。そして、この切換部材310には、アジテータ72の軸部723の移動方向に向かうにつれて周囲壁711から離れる方向に傾く傾斜面311が形成されており、これにより、アジテータ72の軸部723が周囲壁711の内面から案内壁713の内面に案内される。
【0058】
駆動源320としては、例えばラック・ピニオン構造とモータを組み合わせた機構や、ソレノイド、エアシリンダ、油圧シリンダなどを採用できる。そして、この駆動源320は、制御装置210によって適宜制御されている。
【0059】
制御装置210は、駆動源320を制御することによって、切換部材310を適宜進退させる機能を有している。具体的に、制御装置210は、図12に示すフローチャートに従って制御を実行している。
【0060】
図12に示すように、制御装置210は、まず、ユーザからの印刷指示を受けたか否かを判断する(S21)。ステップS21において印刷指示を受けていないと判断した場合(No)、制御装置210は、このフローによる動作を終了する。また、ステップS21において印刷指示を受けたと判断した場合(Yes)、制御装置210は、駆動装置12を起動させて、アジテータ72を回転させる(S22)。
【0061】
ステップS22の後、制御装置200は、アジテータ72を駆動させてから所定時間が経過したか否かを判断する(S23)。すなわち、制御装置210は、このステップS23において、アジテータ72を所定時間の間だけ清掃モードに維持する。
【0062】
ステップS23において所定時間が経過したと判断した場合(Yes)、制御装置210は、駆動源320を制御して切換部材310をカートリッジケース71’内に前進させた後(S24)、印刷を実行する(S25)。すなわち、制御装置210は、アジテータ72を攪拌モードに切り換えた後、印刷を実行する。そして、ステップS25において印刷が完了した後、制御装置200は、駆動源320を制御して切換部材310をカートリッジケース71’の孔部711A内に後退させて(S26)、このフローによる動作を終了する。
【0063】
次に、制御装置210によって軌道が変えられるアジテータ72の動作について図11を参照して説明する。
制御装置210が上述したようなステップS21〜S23の処理を実行する際においては、図11(a)に示すように、アジテータ72は清掃モードで回転する。このとき、切換部材310が孔部711A内に収納されていることにより案内壁713の一端713Aと周囲壁711との間が開放されており、これにより、アジテータ72の軸部723が摺接軌跡TL上を移動して、トナー搬送体73上のトナーTを剥ぎ取る。
【0064】
また、制御装置210は、清掃モードを所定時間実行すると、切換部材310を前進させることによって(S24)、図11(b)に示すように、案内壁713の一端713Aと周囲壁711との間を閉塞させる。これにより、アジテータ72の軸部723は、切換部材310の傾斜面311によって案内壁713の内面に案内され、この案内壁713によって離隔軌跡DL上に位置するように支持されることによって、トナー搬送体73の搬送面TSから離れて移動する。これにより、印刷時において(S25)、トナー搬送体73上のトナーTは、アジテータ72の軸部723で邪魔されることなく、良好に搬送されることとなる。
【0065】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第1の実施形態や第2の実施形態に係るトナー供給装置周りの構造の一部を変更したものであるため、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。参照する図面において、図13は第4の実施形態に係るトナー供給装置の構造を示す断面図であり、図14は清掃モード時におけるアジテータの状態を示す側面図(a)と、攪拌モード時におけるアジテータの状態を示す側面図(b)である。
【0066】
図13に示すように、第4の実施形態に係るトナー供給装置120は、第1の実施形態とは異なるカートリッジケース121、トナー搬送体122およびアジテータ123を備えている。
【0067】
カートリッジケース121は、その壁の一部にトナー搬送体122を含んでいない点で第1の実施形態とは異なっている。そして、このカートリッジケース121には、第1の実施形態と同様に、感光体ドラム3と対向する位置に配置される供給口121Aが形成されている。
【0068】
トナー搬送体122は、第1の実施形態と同様の構造となっており、適宜屈曲形成されて、カートリッジケース121内に配設されている。具体的に、このトナー搬送体122は、カートリッジケース121の底部から斜め上方に向かって延びる第1搬送体122Aと、第1搬送体122Aの搬送方向下流側の端縁から水平に延びる第2搬送体122Bと、第2搬送体122Bの搬送方向下流側の端縁から斜め下方に向かって延びる第3搬送体122Cとを備えて構成されている。
【0069】
アジテータ123は、カートリッジケース121の底部側に配設されており、カートリッジケース121に回転可能に支持されている。アジテータ123は、図14(a)に示すように、回転軸123A、4つのアーム部123Bおよび摺接部123Cを備えている。
【0070】
アーム部123Bは、回転軸123Aから径方向外側に延びており、その先端部で摺接部123Cを回動可能に支持している。また、アーム部123Bの先端部には、摺接部123Cの回動を所定位置で規制するための第1規制部123Dおよび第2規制部123Eが形成されている。具体的に、第1規制部123Dは、アジテータ123が図の時計回り方向(以下、「順方向」ともいう)に回転する際において、摺接部123Cがアーム部123Bの延出方向に沿って真っ直ぐ延びるような位置で摺接部123Cを支持するように、アーム部123Bの先端から突出するように形成される。また、第2規制部123Eは、図14(b)に示すように、アジテータ123が図の反時計回り方向(以下、「逆方向」ともいう)に回転する際において、摺接部123Cが内側(回転軸123A側)に折り畳まれ過ぎるのを抑制するように、アーム部123Bに対して摺接部123Cが略垂直となる位置で摺接部123Cを支持するべく、アーム部123Bの先端部から垂直方向に突出するように形成される。
【0071】
摺接部123Cは、アーム部123Bに回動可能に支持されるシート支持部123Fと、シート支持部123Fの先端で支持される可撓性シート123Gとを備えている。そして、摺接部123Cの先端(詳しくは、可撓性シート123Gの先端)は、アジテータ123が順回転する場合においてトナー搬送体122と摺接し、アジテータ123が逆回転する場合においてトナー搬送体122から離れて移動するようになっている。すなわち、摺接部123Cの先端は、アジテータ123が順回転する場合に外側に広がることで摺接軌跡TL上を通り、アジテータ123が逆回転する場合に内側に折り畳まれることで離隔軌跡DL上を通るようになっている。
【0072】
以上のように構成されるアジテータ123は、図13に示すように、第2の実施形態と同様に構成される駆動装置12および制御装置200によって適宜制御される。すなわち、図10に示すフローチャートに従って作動する制御装置200によって、アジテータ123が制御されるようになっている。
【0073】
次に、制御装置200によって軌道が変えられるアジテータ123の動作について図14を参照して説明する。
制御装置200が図10に示すステップS11〜S13の処理を実行する際においては、図14(a)に示すように、アジテータ123は清掃モードで回転する。このとき、アジテータ123の摺接部123Cは、外側に広がってアーム部123Bに沿って真っ直ぐ延びることで、摺接軌跡TL上を移動して、トナー搬送体122上のトナーTを剥ぎ取る。
【0074】
また、制御装置200は、清掃モードを所定時間実行すると、アジテータ123を逆回転させることによって(S14)、図14(b)に示すように、アジテータ123を攪拌モードで回転させる。このとき、アジテータ123の摺接部123Cは、内側に折り畳まれることで、離隔軌跡DL上を移動して、トナー搬送体122の搬送面TSから離れて移動する。これにより、印刷時において(S15)、トナー搬送体122上のトナーTは、アジテータ123の摺接部123Cで邪魔されることなく、良好に搬送されることとなる。
【0075】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
第4の実施形態では、アーム部123Bの先端部から略L字状に突出するように各規制部123D,123Eを形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図15(a)に示すように、シート支持部123Fの回転軸123Hから外れた位置に、回転軸123Hの軸方向に沿って突出する突起123Jを形成するとともに、アーム部123Bの先端部に突起123Jの回動を規制する規制溝123Kを形成してもよい。この場合も、アジテータ123を順回転させると、摺接部123Cがアーム部123Bに沿って真っ直ぐに延びた位置で維持され、アジテータ123を逆回転させると、図15(b)に示すように、摺接部123Cが内側に折り畳まれた位置で維持される。
【0076】
第1〜第3の実施形態では、摺接部として可撓性シート722よりも剛性の高い軸部723を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば可撓性シート722の先端部を摺接部として採用してもよい。すなわち、可撓性シート722の先端形状を、案内壁713とトナー搬送体73との間を通過可能な形状に形成してもよい。
また、第1〜第3の実施形態のように可撓性シート722に軸部723を設ける場合には、軸部723を導電性部材で形成し、これを接地するように構成するのが望ましい。例えば、第1〜第3の実施形態のように軸部723に緩衝体724が取り付けられている場合には、図16(a)に示すように、軸部723を、可撓性シート722上に例えば金属薄膜などで形成される導電性中継部722Aと、導電性の回転軸721を介して接地すればよい。また、図16(b)に示すように、軸部723に緩衝体724が取り付けられていない場合には、カートリッジケース71に形成した金属製の導電部71Bを介して、軸部723を接地してもよい。
【0077】
第1の実施形態では、板ばね714を磁性体で構成したが、本発明はこれに限定されず、少なくとも一部に磁性体を含んでいればよい。例えば、樹脂製の板ばねの先端に金属片を埋め込んだものであってもよい。
前記各実施形態では、印刷処理の実行とともにトナー搬送体を駆動させるようにしたが、本発明はこれに限定されず、印刷処理の前にトナー搬送体を駆動させてもよい。すなわち、例えば図7に示すフローチャートにおいて、ステップS2の処理の際にトナー搬送体73を駆動させてもよい。この場合、アジテータ72によって崩されたトナーTが、トナー搬送体73から発生される電界の影響を受けることによって移動するので、固着していた場所からトナーTを除去することができる。
【0078】
前記各実施形態では、アジテータの先端の軌跡を、摺接軌跡TLと離隔軌跡DLとに切り換えるように構成したが、本発明はこれに限定されず、アジテータの先端を、離隔軌跡DLに切り換えることなく、単にトナー搬送体に摺接させるだけにしてもよい。すなわち、アジテータの先端をトナー搬送体に摺接させ続けてもよい。
【0079】
前記各実施形態では、供給対象として感光体ドラム3を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば現像ローラなどであってもよい。
前記各実施形態では、レーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【0080】
前記各実施形態では、像担持体として感光体ドラム3を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体を採用してもよい。
前記実施形態では、負極性に帯電するトナーTを採用したが、本発明はこれに限定されず、正極性に帯電するトナーを採用してもよい。なお、この場合は、感光体ドラム等の帯電状態を前記実施形態とは逆にすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレーザプリンタの概略構成を示す側面図である。
【図2】トナー供給装置の構造を示す断面図である。
【図3】図2のX−X断面図である。
【図4】トナー搬送体を示す平面図(a)と、断面図(b)である。
【図5】各給電部から出力される電圧の波形を示す図である。
【図6】トナーの搬送状態を示す断面図であり、時刻t1のときの状態を示す断面図(a)と、時刻t2のときの状態を示す断面図(b)と、時刻t3のときの状態を示す断面図(c)である。
【図7】制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】清掃モード時におけるアジテータの動作を示す断面図(a)と、攪拌モード時におけるアジテータの動作を示す断面図(b)である。
【図9】第2の実施形態に係るトナー供給装置の構造を示す断面図であり、清掃モード時におけるアジテータの状態を示す断面図(a)と、攪拌モード時におけるアジテータの状態を示す断面図(b)である。
【図10】第2の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施形態に係るトナー供給装置の構造を示す断面図であり、清掃モード時におけるアジテータの状態を示す断面図(a)と、攪拌モード時におけるアジテータの状態を示す断面図(b)である。
【図12】第3の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】第4の実施形態に係るトナー供給装置の構造を示す断面図である。
【図14】清掃モード時におけるアジテータの状態を示す側面図(a)と、攪拌モード時におけるアジテータの状態を示す側面図(b)である。
【図15】第4の実施形態に係るアジテータに形成される規制部の変形例を示す側面図であり、清掃モード時におけるアジテータの状態を示す側面図(a)と、攪拌モード時におけるアジテータの状態を示す側面図(b)である。
【図16】アジテータの軸部を接地させる変形を示す図であり、可撓性シートに導電性中継部を形成した形態を示す断面図(a)と、カートリッジケースに導電部を形成した形態を示す断面図(b)である。
【符号の説明】
【0082】
1 レーザプリンタ
3 感光体ドラム
7 トナー供給装置
8 制御装置
11 電磁石
12 駆動装置
71 カートリッジケース
71A 供給口
72 アジテータ
73 トナー搬送体
711 周囲壁
712 側壁
713 案内壁
713A 一端
713B 他端
721 回転軸
722 可撓性シート
723 軸部
724 緩衝体
732 搬送電極
DL 離隔軌跡
T トナー
TF 上面
TL 摺接軌跡
TS 搬送面
TT トナー取出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電した現像剤を所定の供給対象に供給する現像剤搬送装置において、
前記現像剤を収容し、前記供給対象と対向する位置で開口する供給口を有した現像剤ケースと、
複数の搬送電極を備え、これらの搬送電極で進行波状の電界を形成することで、前記現像剤ケース内に収容された現像剤を前記供給対象に向けて搬送する現像剤搬送体と、
前記現像剤ケースに回転可能に支持されて、前記現像剤ケース内の現像剤を攪拌する攪拌部材と、を備え、
前記攪拌部材は、前記現像剤搬送体の搬送面に摺接する摺接部を有することを特徴とする現像剤搬送装置。
【請求項2】
前記攪拌部材は、
前記摺接部が前記現像剤搬送体の搬送面から離れた離隔軌跡上を移動しながら前記現像剤を攪拌する攪拌モードと、
前記摺接部が前記現像剤搬送体の搬送面上を含んだ摺接軌跡上を移動することで、前記搬送面上の現像剤を除去する清掃モードとの間で切換可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の現像剤搬送装置。
【請求項3】
前記攪拌部材は、前記供給対象に対する現像動作が行われていないときに清掃モードに切り替えられ、前記供給対象への現像動作が行われているときに攪拌モードに切り替えられることを特徴とする請求項2に記載の現像剤搬送装置。
【請求項4】
前記摺接部は、
前記搬送面における前記現像剤ケースに最大に溜まった状態の現像剤の上面位置から前記現像剤ケースの最下面までの領域を摺接可能に構成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の現像剤搬送装置。
【請求項5】
前記攪拌部材は、回転軸と、前記回転軸側から径方向外側に延び、かつ、先端に前記摺接部を有する可撓性シートと、を備え、
前記現像剤ケースは、前記現像剤搬送体を一部に備えた周囲壁と、前記周囲壁を間に挟んで対向する一対の側壁と、を備え、
前記現像剤ケースの側壁のうち前記周囲壁から離れた位置には、前記摺接部を前記離隔軌跡上に位置するように支持する案内壁が設けられ、
前記案内壁の一端側には、前記摺接軌跡上を移動する前記摺接部を前記離隔軌跡に切り換え可能な切換部材が設けられていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【請求項6】
前記切換部材は、前記案内壁の一端側と前記周囲壁との間を開閉するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の現像剤搬送装置。
【請求項7】
前記切換部材は、前記案内壁に基端が固定され、先端が前記周囲壁と離間するように配置された板ばねであり、前記現像剤ケースの外側に配設される電磁石によって前記周囲壁と前記案内壁との間を開閉するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の現像剤搬送装置。
【請求項8】
前記切換部材は、前記案内壁に基端が固定され、先端が前記周囲壁と接触するように配置される板ばねであり、
前記摺接部は、前記攪拌部材の回転方向が一方向である場合に、前記切換部材によって前記案内壁の前記回転軸側に案内されることで前記離隔軌跡を通り、前記攪拌部材の回転方向が他方向である場合に、前記案内壁の他端側から前記案内壁と前記周囲壁との間に進入し、前記案内壁の一端側において前記切換部材の先端を前記周囲壁から離れる方向に押し退けることで、前記摺接軌跡を通るように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の現像剤搬送装置。
【請求項9】
前記摺接部は、前記可撓性シートに比較して剛性の高い軸部を備えていることを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【請求項10】
前記摺接部は、前記軸部と前記周囲壁との摺接による損傷を和らげる緩衝体を備えていることを特徴とする請求項9に記載の現像剤搬送装置。
【請求項11】
前記摺接部は、導電性部材からなり、接地可能に構成されていることを特徴とする請求項5〜請求項10のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【請求項12】
前記摺接部は、前記可撓性シートまたは前記可撓性シート上に形成される導電性中継部材と、前記回転軸とを介して接地されることを特徴とする請求項11に記載の現像剤搬送装置。
【請求項13】
前記攪拌部材は、回転軸と、前記回転軸から径方向外側に延設されるアーム部と、前記アーム部に回動可能に支持される前記摺接部と、前記摺接部の回動を所定位置で規制する規制部と、を備え、
前記摺接部は、前記攪拌部材の回転方向が一方向である場合に、内側に折り畳まれることで、先端が前記離隔軌跡を通り、前記攪拌部材の回転方向が他方向である場合に、外側に広がって前記規制部で支持されることで、先端が前記摺接軌跡を通るように構成されていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【請求項14】
現像剤像を担持する像担持体と、
前記像担持体と対向するように配置されていて、現像剤を帯電した状態で前記像担持体に供給し得るように構成された請求項7に記載の現像剤搬送装置と、
前記攪拌部材を、前記案内壁の一端側から他端側へ向けて回転させる駆動装置と、
前記電磁石と、
前記電磁石への通電を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記攪拌モード時において電磁石に電流を供給し、前記清掃モード時において電磁石への通電を止めることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
現像剤像を担持する像担持体と、
前記像担持体と対向するように配置されていて、現像剤を帯電した状態で前記像担持体に供給し得るように構成された請求項8に記載の現像剤搬送装置と、
前記攪拌部材を回転させる駆動装置と、
前記駆動装置を制御して前記攪拌部材の回転方向を変化させる制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記攪拌モード時において前記攪拌部材を前記一方向に回転させ、前記清掃モード時において前記攪拌部材を前記他方向に回転させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
現像剤像を担持する像担持体と、
前記像担持体と対向するように配置されていて、現像剤を帯電した状態で前記像担持体に供給し得るように構成された請求項13に記載の現像剤搬送装置と、
前記攪拌部材を回転させる駆動装置と、
前記駆動装置を制御して前記攪拌部材の回転方向を変化させる制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記攪拌モード時において前記攪拌部材を前記一方向に回転させ、前記清掃モード時において前記攪拌部材を前記他方向に回転させることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−80299(P2009−80299A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249542(P2007−249542)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】