説明

現像剤量規制ブレード及びこれを用いた現像装置

【課題】現像剤担持体に均一なトナー層を形成し、トナーに適正な電荷を与え、現像剤担持体との間に一定のトナー取込み口を確保し、現像剤担持体に当接跡等の凹みが存在しても、良好な画像が得られる現像剤量規制ブレードを提供する。微粒なトナーを使用した高画質、高速の現像装置でも、スジ、カブリ、ムラ等の画像不良を抑制できる現像装置を提供することにある。
【解決手段】ローラー状の現像剤担持体に該現像剤担持体の長手方向の全長に亘って当接するブレード部材と、該ブレード部材を支持する支持部材とを有し、現像剤容器から搬出する現像担持体上の現像剤量を規制する現像剤量規制ブレードにおいて、
ブレード部材が、支持部材の一端に取着された樹脂又はエラストマーで成形された導電性の成形体からなり、該成形体が円柱形状又は半円柱形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置の像担持体上に形成された静電潜像を現像して可視化するのに使用される現像装置、及び現像装置に設けられる現像剤担持体が現像剤容器内から搬送する現像剤量を規制する現像剤量規制ブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の電子写真装置には、感光体等の像担持体に形成された静電潜像を現像剤(トナーともいう。)を供給して現像する現像装置が設けられている。現像装置には、主としてトナーを収納する現像剤容器の開口に配置されるローラー状の現像剤担持体と、この現像剤担持体の表面に当接して配置され、現像剤担持体が搬送するトナーを一定量にする現像剤量規制ブレードとが設けられる。現像剤担持体表面に付着したトナーは、現像剤担持体の回転に伴い、現像剤量規制ブレード間を通過する際、現像剤担持体の表面からその余剰分が除去されて現像剤容器内に戻され、現像剤担持体上に薄層として形成される。同時に、トナーは、現像剤量規制ブレードとの摩擦により、摩擦電荷(トリボとも言う)を付与され、現像剤担持体が現像剤容器から露出する部分において、現像剤担持体上からこれと対向して回転する電子写真感光体表面の静電潜像上へ移動する。
【0003】
このような現像剤量規制ブレードは、一般的に、現像剤担持体に圧接されるブレード部材とこのブレード部材を所定の位置に配置するように現像装置に設置される支持部材とを有する。ブレード部材にはゴム状弾性体で形成した板状のものが使用され、これを金属製の支持部材の所定位置に接着剤によって接着することにより、現像剤担持体に全長に亘り均一な圧接力で容易に圧接させることができ、耐久性を有することから多用されている。ブレード部材が現像剤担持体に当接、圧接される面は、現像剤の摩擦電荷を制御する機能を有していることから、電荷制御面とも呼ばれている。このような電荷制御面は、ネガ系トナーに対しては、例えば、ウレタンゴム、ウレタン樹脂、ポリアミドエラストマー等の材質で形成され、ポジ系トナーに対しては、シリコーンゴム等の帯電付与層が積層されている。
【0004】
また、カラー画像の形成に用いられる非磁性トナーに対しては、トナー自体が磁性を持たないので、トナーに高い摩擦電荷を与えて現像剤担持体上に薄膜を形成しなければならない。この種の非磁性トナーに対して、ウレタンゴム、ポリアミド樹脂、ポリアミドエラストマー、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等の材質を用い、その電荷制御面を面精度よく仕上げられたブレード部材が適用されている。
【0005】
近年、電子写真プロセスを応用した高画質化のフルカラー化現像装置においては、微粒子のトナーが使用されるため、トナーが電荷制御面の表面粗さの影響を受けて現像剤担持体との間の圧着が均一にされず、画像ムラ又はスジ等の画像不良が発生する場合がある。更に、適正な電荷が付与されていない非磁性トナーにより現像を行うと、画像にカブリや濃度薄となって表れる場合があることから、トナーに高い摩擦電荷を与え、均一で充分な帯電を付与することが要求される。
【0006】
このような非磁性トナーに対し、リン青銅やSUS等の金属部材のブレード部材を用いることにより、トナーの帯電性に関係なく、ブレード部材と現像剤担持体間に電荷をかけて帯電させることができる。しかし、ブレード部材と現像剤担持体間の接触面積が小さいことから、電子写真装置が長期間使用されない場合、現像剤担持体に現像剤量規制ブレードとの当接部分に永久歪が凹みとなって生じる。凹みが生じた現像剤担持体上にはその表面を充分に覆ったトナー層が形成されず、得られる画像にスジが発生するという問題が生じる。
【0007】
このような画像不良を抑制するため、ブレード部材が均一に磨耗し、当接圧を精度よく制御してトナーに適正な圧力負荷を可能とするため、実質的に同一形状のブレード部材、接着剤、支持部材を積層した現像剤量規制ブレードが報告されている(特許文献1)。
【0008】
しかしながら、更なる高画質化、高速化、高耐久化された電子写真プロセスに使用される現像装置において、適正に帯電した適性量のトナー層を現像剤担持体上に形成することができる現像剤量規制ブレードが求められている。
【特許文献1】特開2002−372858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、現像剤担持体に均一なトナー層を形成し、トナーに適正な電荷を与え、現像剤担持体との間に一定のトナー取込み口を確保し、現像剤担持体に当接跡等の凹みが存在しても、良好な画像が得られる現像剤量規制ブレードを提供することにある。更に、微粒なトナーを使用した高画質、高速の現像装置でも、スジ又は、カブリ、ムラ等の画像不良を抑制できる現像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ローラー状の現像剤担持体に該現像剤担持体の長手方向の全長に亘って当接するブレード部材と、該ブレード部材を支持する支持部材とを有し、現像剤容器から搬出する現像担持体上の現像剤量を規制する現像剤量規制ブレードにおいて、
ブレード部材が、支持部材の一端に取着された樹脂又はエラストマーで成形された導電性の成形体からなり、該成形体が円柱形状又は半円柱形状を有することを特徴とする現像剤量規制ブレードに関する。
【0011】
また、本発明は、現像剤容器から現像剤を搬出するローラー状の現像担持体と、該現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像剤量規制ブレードとを有する現像装置において、現像剤量規制ブレードが、請求項1から5のいずれか記載の現像剤量規制ブレードであることを特徴とする現像装置に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の現像剤量規制ブレードは、現像剤担持体に均一なトナー層を形成し、トナーに適正な電荷を与え、現像剤担持体との間に一定のトナー取込み口を確保し、現像剤担持体に当接跡等の凹みが存在しても、良好な画像が得られる。また、本発明の現像装置は、微粒なトナーを使用した高画質、高速の現像装置でも、スジ又は、カブリ、ムラ等の画像不良を抑制できる。
【0013】
また、本発明の現像装置は、上記現像剤量規制ブレードを備えることにより、現像剤によるスジおよびムラ等の画像不良を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の現像剤量規制ブレードは、ローラー状の現像剤担持体(以下、現像ローラーという。)にその長手方向の全長に亘って当接するブレード部材と、該ブレード部材を支持する支持部材とを有し、現像剤容器から搬出する現像担持体上の現像剤量を規制する。そして、ブレード部材が、支持部材の一端に取着された樹脂又はエラストマーで成形された導電性の成形体からなり、該成形体が円柱形状又は半円柱形状を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の現像剤量規制ブレードに用いられる支持部材は、ブレード部材を支持可能な強度を有するものであれば、特に限定されるものではない。かかる支持部材は、例えば、現像容器の開口縁部に固定され、開口縁との接線を支点(線)として現像容器の開口に配置される現像ローラーにブレード部材が所望の圧接力Fを持って当接するように、ブレード部材を支持するものが好ましい。このような構成により、現像ローラーとの間で、トナーを均一な電荷に帯電することが容易となる。
【0016】
支持部材の材質としては、金属、樹脂などいずれであってもよく、具体的には、ステンレススチール、りん青銅、アルミ等の金属や、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリエチレン、ポリエステル等の樹脂を挙げることができる。支持部材はブレード部材の電極として作用するように、所望の導電性を有することが好ましく、樹脂製場合は、導電剤を含有することが好ましい。
【0017】
支持部材の形状は、ブレード部材を現像ローラーと所望の圧接力で当接可能な形状であれば、いずれの形状であってもよいが、平板状又はこれを湾曲した板状であることが好ましい。
【0018】
支持部材の厚さは0.05mm以上、0.15mm以下であることが好ましい。支持部材の厚さが0.05mm以上であれば、現像ローラーにブレード部材を適正な当接圧で当接させることができ、トナー粒子を必要な圧力により現像ローラーへ圧着させ得る。一方、支持部材の厚さが0.15mm以下であれば、現像ローラーに対しブレード部材の追従を容易にさせ、トナー粒子に必要な圧力を付与するバネ性を有するものとなる。
【0019】
上記現像剤量規制ブレードに用いられるブレード部材は、支持部材の一端に取着され、現像ローラーにその長手方向の全長に亘って当接するものである。ブレード部材が現像ローラーの長手方向の全長に亘って当接することにより、現像ローラーの外周面全体に均一なトナー層の形成を可能とする。
【0020】
上記ブレード部材は樹脂又はエラストマーで成形された導電性の成形体からなり、この成形体が支持部材の一端に取着され、現像ローラーに長手方向の全長に亘って当接する。成形体の材質は、樹脂又はエラストマーから選択される。樹脂又はエラストマーがブレード部材としての導電性が充分でない場合は、樹脂若しくはエラストマーに導電剤を含有させることが好ましい。
【0021】
上記成形体材料に用いる樹脂又はエラストマーとしては、導電剤と共に使用することが好ましいものとしては、例えば、以下のものを挙げることができる。ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、シリコンゴム、シリコン樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、メラミン樹脂等。
【0022】
また、成形体材料に用いる樹脂又はエラストマーとして、ブレード部材としての導電性を備え、導電剤の使用を不要とする樹脂又はエラストマーとしては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等を挙げることができる。
【0023】
上記樹脂又はエラストマーは導電性の有無を問わず、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
上記樹脂又はエラストマーとして、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンのいずれかを使用する場合、樹脂又はエラストマー全体を100質量部としたとき、50質量部以上含有することが、成形体に良好な導電性を付与することができ好ましい。
【0025】
上記樹脂又はエラストマーに含有させる導電剤としては、電子導電系、イオン導電系いずれも使用することができる。具体的には、電子導電系導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、導電性酸化チタン等の金属酸化物、金属粉等を挙げることができる。イオン導電系導電剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン性界面活性剤、ラウリルベタイン等の両性イオン界面活性剤、過塩素酸テトラエチルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩、有機酸リチウム塩等を挙げることができる。特に、導電剤として、イミドリチウム塩等のスルホン酸塩を用いることが好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合わせて、使用することができる。
【0026】
これらの導電剤は、成形体が108Ω以下、より好ましくは、103Ω以上、107Ω以下の体積抵抗値を有するように、その使用量を調整することができる。成形体の体積抵抗値が108Ω以下であれば、トナーに適正な電荷を与えることができ、ムラ、カブリ等の画像不良の発生を低減することができる。導電剤の使用量としては、使用する樹脂又はエラストマーや導電剤の種類により適量を選択することが好ましい。上記ブレード部材としての導電性が充分でない樹脂又はエラストマーに、導電剤としてスルホン酸塩を用いる場合、樹脂又はエラストマー100質量部に対し、スルホン酸塩を0質量部を超え、5.0質量部以下の範囲で用いることが好ましい。より好ましくは、0.1質量部以上、5.0質量部以下であり、更に好ましくは、0.2質量部以上、2.0質量部以下である。スルホン酸塩を含有することによりブレード部材を所定の体積抵抗ちとすることができ、スルホン酸塩の含有量が5.0質量部以下であれば、成形体の成形が困難になるのを抑制することができる。
【0027】
ここで、成形体の体積抵抗値は、JIS K6911に準じた測定方法による測定値を採用することができる。
【0028】
その他、成形体には上記樹脂又はエラストマー、導電剤の機能を阻害しない範囲で、必要に応じて表面粗し用の粒子が含有されていてもよい。
【0029】
このような成形体は、現像ローラーの長手方向全長に亘って当接する円柱形状又は半円柱形状を有する。成形体が円柱形状又は半円柱形状を有することにより、現像ローラー表面に曲面を持って当接する。このため、ブレード部材と現像ローラーとの間に広角のトナー取り込み口を形成することができ、現像ローラーが表面に永久歪の凹みを有していても、現像ローラー上に一様にトナー層を形成することができる。そして、ブレード部材と現像ローラー間に取り込まれたトナーはブレード部材と現像ローラー間で適切に摩擦帯電され、現像ローラー上に適正な電荷を有する、適量の均一なトナー層を形成することができる。
【0030】
成形体の円柱形状又は半円柱形状の曲率半径が、0.15以上、1.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.25以上、1.0以下である。成形体の円柱形状又は半円柱形状の曲率半径が0.15以上であれば、ブレード部材と現像ローラーとの間に広角のトナー取り込み口を形成することができる。また、曲率半径が1.5以下であれば、現像ローラーとの当接面積が過大となることによるスジ等の画像不良の発生を抑制することができる。
【0031】
上記成形体の曲率半径は、ミツトヨ製3次元測定器により測定した測定値を採用することができる。
【0032】
このような成形体は、表面粗さが十点粗さ平均(Rz)として0.1um以上、3.0um以下であることが好ましい。成形体の表面粗さが0.1um以上であれば、表面の微細なキズや凹凸の影響が画像上に現れるのを抑制することができ、3.0um以下であれば現像ローラー上にスジやムラが抑制された均一なトナー層を形成することができる。
【0033】
表面粗さの十点粗さ平均(Rz)はJIS B0601に準じた接触式の表面粗さ計により測定した測定値を採用することができる。
【0034】
上記現像剤量規制ブレードの製造方法としては、成形体材料を用いてブレード部材を成形し、ブレード部材と支持部材とを一体化する方法、あるいは、支持部材上に成形体材料を成形し、支持部材とブレード部材とを一体的に成形する方法を挙げることができる。
【0035】
成形体の形成は、押出成形、塗布成形、注型成形等によることができる。具体的には、注型成形による場合、必要に応じて接着剤を塗布した支持部材を成形型に設置し成型キャビティに未硬化の上記ブレード部材材料を注入して加熱、硬化する。押出成形の場合は、未硬化のブレード部材材料を押出成形して円柱状又は半円柱状の成形体を形成し、得られた成形体を接着剤等により支持部材に接着する。また塗布法による場合、未硬化のブレード部材材料を含有する塗布液を調整し、浸漬、コーティング、噴霧等により支持部材上に、例えば、塗布、乾燥を反復して、円柱状又は半円柱状に塗膜を形成した後、適宜加熱、硬化する方法を挙げることができる。
【0036】
更に、押出成形等により成形体材料をシート状に成形し、これを適宜切断し、貼着して円柱形状や半円柱形状に形成することができる。
【0037】
上記成形体と支持部材とを一体化するために使用する接着剤は、現像剤量規制ブレードが優れた耐久性を有するように、これらを強固に接着することができるものが好ましい。具体的には、ポリウレタン系、ポリエステル系、エチレンビニルアルコール系、ポリアミド系等のホットメルト系ものを挙げることができる。これらの接着剤の体積抵抗は108Ω以下であることが好ましい。
【0038】
本発明の現像剤量規制ブレードとして、図1の概略構成図に示すものを一例として挙げることができる。図1(a)に示す現像剤量規制ブレード16aは、現像ローラー17(現像剤担持体)の長手方向の全長に亘って当接する導電性の円柱形状の成形体からなるブレード部材12aと、支持部材11とを有する。支持部材11は、ブレード部材16aを現像ローラーの長手方向の全長に亘って当接するようにその一端に取着して支持する。
【0039】
図1(b)に示す現像剤量規制ブレード16bは、図1(a)に示す円柱形状のブレード部材16aを半円形状のブレード部材16bとしたものである。その他の部分は、図1(a)と同様のものである。
【0040】
本発明の現像装置は、上記現像剤量規制ブレードを用いたものである。その一例として図2に示すものを挙げることができる。図2に示す現像装置には、トナー26を収容した現像剤容器22と、その内部に弾性ローラー25が現像ローラー23(現像剤担持体)とニップ幅を有して、異なる速度で同一方向に回転可能に設けられる。現像ローラー23は、現像剤容器22の開口に、ほぼ半周面を現像剤容器22内に他の半周面を現像剤容器22外に露出して設けられ、現像容器から露出した部分において、像担持体である感光体21と、微小間隔を設けて対向して設置されている。現像ローラー上方の現像剤容器22の開口縁部に固定された上記現像剤量規制ブレード24の支持部材が、その一端に取着されたブレード部材が現像ローラーに当接するよう、現像剤容器の固定位置から現像ローラーの上流側へ向かって屈曲して設けられている。
【0041】
このような現像装置において、弾性ローラー25が矢印c方向に回転し、異なる速度で同方向に回転する現像ローラー23近傍へトナーを供給し現像ローラーと摺擦して、トナーを現像ローラー上に付着させる。現像ローラー上のトナーは、現像ローラーのb方向への回転に伴い現像剤量規制ブレード24のブレード部材と現像ローラー23とのニップ部に進入する。トナーは、ニップ部を通過する際に、現像ローラーの表面と現像剤量規制ブレードのブレード部材とにより摺擦され、摩擦帯電を受けつつ、現像ローラーと現像剤量規制ブレード間に印加された電荷によって、その帯電電荷が制御される。帯電されたトナーは現像剤ローラーとブレード部材とのニップ部を通過して現像ローラー上に薄層に形成され、現像剤ローラーの回転に伴ない、現像剤容器外で微小間隔を設けて配置される電子写真感光体21(静電潜像像担持体)と対向する現像部へ搬送される。現像部において、現像ローラーと感光体21間に印加した、例えば、直流に交流を重畳した交互電圧の現像バイアスにより、現像ローラー上のトナーは感光体の静電潜像上に移動、付着し、静電潜像をトナー像として現像、可視化する。静電潜像の現像に消費されず現像ローラー23上に残存するトナーは、現像ローラーの回転に伴い現像剤容器内に回収され、弾性ローラー45とのニップ部において現像ローラー上から剥ぎ取られる。同時に弾性ローラー45の回転により現像ローラー上に現像剤容器中の新たなトナーが供給され、新たなトナーは現像剤量規制ブレード間を通過して感光体へ搬送される。一方、現像ローラーから剥ぎ取られたトナーの大部分は、弾性ローラーの回転に伴い現像剤容器内のトナーと混ざり合い、その帯電電荷が分散される。
【0042】
このような現像装置が適用される電子写真装置としては、複写機、レーザービームプリンタ、LEDプリンタ、あるいは、電子写真製版システム等の電子写真応用装置などを挙げることができる。
【0043】
上記現像装置が適用される電子写真装置の一例として、図3に示すものを挙げることができる。図3に示す電子写真装置は、アルミニウム等の導電性支持体と、その外周面に形成された感光層を基本構成層し、支軸を中心に矢印方向に所定の周速度をもって回転駆動されるドラム型の電子写真感光体31を有する。感光体31の周囲には、感光体外周を所定の極性、電位に一様に一次帯電処理する帯電ローラー等の帯電部材32が設けられる。感光体の外周には、均一に帯電された感光体31に静電潜像33を形成するレーザービーム走査露光、原稿画像のスリット露光等の露光装置L、静電潜像をトナー像とする上記現像装置34、トナー像を紙等の記録材P上に転写する転写手段35が、順次設けられる。転写手段は、感光体31の回転と同期どりされて適正なタイミングで供給される記録材Pの裏面からトナー像と逆極性の転写バイアスを印加して感光体31上のトナー像を記録材Pの表面に転写する転写ローラー等であってもよい。また、4色のトナーを用いたカラーLBP等においては、各色トナー毎に上記のように各色トナー像を形成し、同期を図ってローラーやベルト等の中間転写体に各トナー像を重畳して転写し、中間転写体から記録材へ転写を行うものであってもよい。
【0044】
更に、電子写真装置には、記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着する、加熱定着ロール等が設けられ、トナー像が定着された記録材が画像形成物として出力されるようになっている。一方、トナー像転写後の感光体31表面に残留するトナーを感光体表面から除去するクリーニング手段36が設けられ、洗浄面化された感光体は次の画像形成を待機するようになっている。
【0045】
上記感光体、帯電部材、現像装置及びクリーニング手段等はこれらのうちの複数を一体化してプロセスカートリッジとし、電子写真装置本体に着脱可能にしてもよい。
【実施例】
【0046】
以下に、本発明の現像剤量規制ブレードを、具体的に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
[現像剤規制ブレード作製]
支持部材として、厚さ0.08mmのSUSシート(日新製鋼社製)を、図4に示すような、成型キャビティ42を有する金型41を使用した押出成形機(プラ技研社製)に挿入した。ブレード部材の原料として、主材にポリエステルエラストマ−を用い、ポリエステルエラストマー100質量部にスルホン酸塩1.0質量部を添加して、200〜270℃で溶融し、溶融物を押出成形機内の支持部材を走行させつつ成形キャビティに順次注入した。ポリエステルエラストマーを固化し、支持部材とブレード部材とを一体化し、図1(a)に示す現像剤量規制ブレード用シートを得た。樹脂の押出し量とSUSシートの送り速度、金型の大きさを変えることにより、支持部材上のブレード部材の大きさの調整を行った。得られた現像剤量規制ブレード用シートを長さ200mm、幅23mmのブレード寸法にプレス切断し、現像剤量規制ブレードのサンプルとした。
【0047】
このサンプルのブレード部材の体積抵抗値は、JIS K6911に準して測定したところ、106Ωであった。
【0048】
[画像評価]
得られた現像剤量規制ブレードのサンプルを、レーザービームプリンター(キヤノン社製:Satera)に装着し、常温常湿条件の環境下(温度23℃、湿度50%)でベタ黒画像を出力した。出力画像におけるスジ、ムラ、カブリの有無を観察し、以下の基準により評価した。結果を表1に示す。
[スジ]
スジが全く見られない(○)、スジがほとんど見られない(△)、スジが確認できる(×)
[カブリ]
カブリが全く見られない(○)、カブリがほとんど見られない(△)、カブリが確認できる(×)
[ムラ]
充分な濃度がある(○)、濃度が多少不足する(△)、濃度が不足する(×)。
【0049】
[実施例2]
ブレード部材の原料として、ポリエステルエラストマー100質量部に対し、ポリチオフェンを30質量部加えたものを用いた他は、実施例1と同様に現像剤規制ブレードを作製し、画像評価を行った。得られたブレード部材の体積抵抗値は、107Ωであった。結果を表1に示す。
【0050】
[比較例1]
ブレード部材の原料として、ポリエステルエラストマーのみを用いた他は、実施例1と同様に現像剤規制ブレードを作製し、画像評価を行った。得られたブレード部材の体積抵抗値は、1014Ωであった。結果を表1に示す。
【0051】
[比較例2]
実施例1で用いたブレード部材の原料を用い、射出成形し、幅5mm、厚さ900μmの板状成形物を作製した。この板状成形物を実施例1で用いたSUSシートに接着、固定し長手方向の長さ200mm、幅23mmの現像剤量規制ブレードを作製し、画像評価を行った。この現像剤量規制ブレードのブレード部材の体積抵抗は106Ωであった。結果を表1に示す。
【0052】
[比較例3]
ブレード部材の原料として、比較例1と同様のものを用いた他は、比較例2と同様に現像剤規制ブレードを作製し、画像評価を行った。得られたブレード部材の体積抵抗値は、1014Ωであった。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
結果から明らかなように、本発明現像剤量規制ブレードは、スジ、カブリ、ムラが抑制された画像を得ることができ、トナーを適正量に且つ均一に現像ローラー上に形成できることが分った。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の現像剤量規制ブレードの一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の現像装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の現像装置を適用した電子写真装置の一例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の現像剤量規制ブレードの製造装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0056】
11 支持部材
12a、12b、27 ブレード部材
16a、16b、24 現像剤量規制ブレード
17、23 現像ローラー(現像剤担持体)
18、22 現像剤容器
26 トナー(現像剤)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラー状の現像剤担持体に該現像剤担持体の長手方向の全長に亘って当接するブレード部材と、該ブレード部材を支持する支持部材とを有し、現像剤容器から搬出する現像担持体上の現像剤量を規制する現像剤量規制ブレードにおいて、
ブレード部材が、支持部材の一端に取着された樹脂又はエラストマーで成形された導電性の成形体からなり、該成形体が円柱形状又は半円柱形状を有することを特徴とする現像剤量規制ブレード。
【請求項2】
成形体が有する円柱形状又は半円柱形状の曲率半径が、0.15以上、1.5以下であることを特徴とする請求項1記載の現像剤量規制ブレード。
【請求項3】
成形体が、スルホン酸塩を、樹脂又はエラストマー100質量部に対し、0質量部以上、5.0質量部以下の範囲で含有することを特徴とする請求項1又は2記載の現像剤量規制ブレード。
【請求項4】
成形体が、ポリピロール、ポリチオフェン、及びポリアニリンから選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の現像剤量規制ブレード。
【請求項5】
成形体が、108Ω以下の体積抵抗値を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか記載の現像剤量規制ブレード。
【請求項6】
現像剤容器から現像剤を搬出するローラー状の現像担持体と、該現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像剤量規制ブレードとを有する現像装置において、現像剤量規制ブレードが、請求項1から5のいずれか記載の現像剤量規制ブレードであることを特徴とする現像装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【公開番号】特開2009−300936(P2009−300936A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157958(P2008−157958)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】