現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
【課題】現像ローラ上における現像剤の搬送性が良好で、現像ローラの周方向や回転軸方向の振れが小さくて、経時で現像ローラの表面にトナー固着が発生しにくく、良好な出力画像を経時においても安定的に形成することができる、2成分現像方式の現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像ローラ13aの表面には、回転軸方向に沿うように(又は/及び、回転軸方向に対して傾斜するように)形成された第1溝部131が周方向に間隔をあけて複数設けられ、周方向に沿うように形成された第2溝部132が回転軸方向に間隔をあけて複数設けられている。そして、隣接する第2溝部132同士の回転軸方向の平均間隔をSmとして、キャリアの重量平均粒径をDとしたときに、
Sm<D
なる関係が成立するように構成されている。
【解決手段】現像ローラ13aの表面には、回転軸方向に沿うように(又は/及び、回転軸方向に対して傾斜するように)形成された第1溝部131が周方向に間隔をあけて複数設けられ、周方向に沿うように形成された第2溝部132が回転軸方向に間隔をあけて複数設けられている。そして、隣接する第2溝部132同士の回転軸方向の平均間隔をSmとして、キャリアの重量平均粒径をDとしたときに、
Sm<D
なる関係が成立するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置とそこに設置される現像装置及びプロセスカートリッジとに関し、特に、2成分現像剤を用いた現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤(添加剤等を添加する場合も含むものとする。)を用いて現像工程をおこなう2成分現像方式の現像装置が知られている(例えば、特許文献1〜特許文献6等参照。)。
【0003】
このような2成分現像剤を用いた現像装置には、感光体ドラム(像担持体)に対向する位置に、単数又は複数の現像ローラ(現像剤担持体)が設置されている。現像ローラは、主に、所定方向に回転するスリーブ(円筒体)と、スリーブの内部に設置されたマグネットと、で構成されている。
そして、現像装置内におけるトナー消費に応じて、現像装置内に適宜にトナーが補給される。補給されたトナーは、現像装置内の現像剤とともに、搬送スクリュ、搬送パドル等の撹拌部材によって撹拌・混合される。撹拌・混合された現像剤は、その一部が現像ローラに供給される。現像ローラに担持された現像剤は、ドクターブレード(現像剤規制部材)によって適量に規制された後に、その2成分現像剤中のトナーが感光体ドラムとの対向位置で感光体ドラム上の潜像に付着する。
ここで、特許文献1、特許文献2等には、現像ローラ上における現像剤の搬送性(保持力)を向上させるために、現像ローラのスリーブ表面に、回転軸方向に沿うように形成された溝部(V溝)を周方向に間隔をあけて周期的に設ける技術が開示されている。
【0004】
一方、このような2成分現像剤を用いた現像装置では、経時において現像ローラ(現像剤担持体)の表面にトナーが固着してしまい、出力画像上の画像濃度が低下したり、出力画像上に地肌汚れが生じたり、トナー飛散が生じたりする問題が生じてしまうことが知られている(例えば、特許文献3、特許文献4等参照)。
そして、特許文献3、特許文献4等には、現像ローラの表面へのトナー固着を防止することを目的として、サンドブラスト加工によって現像ローラのスリーブ表面に施される凹部の量や山部の間隔等を制限する技術が開示されている。
また、特許文献3、特許文献5等には、現像ローラの表面にNi−P等のコーティングを施す技術も開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1、特許文献2等の現像ローラは、溝部が回転軸方向に沿うように周方向に周期的に設けられたものであって、サンドブラスト加工によってスリーブ表面に不規則な凹凸が形成された現像ローラ(特許文献3、特許文献4等に開示されたものである。)に比べて、(1)経時における現像剤の搬送性(保持力)の低下の程度が小さく画像劣化が生じにくい、(2)周方向や回転軸方向の振れが小さくて出力画像のムラが生じにくい、という長所を有する。
しかし、このような周方向に周期的な溝部が形成された現像ローラは、経時でその表面にトナー固着が発生してしまう問題があった。このような問題は、画像形成装置の高速化にともない現像ローラの回転数が高速化すると、ドクターブレードや感光体ドラムとの対向位置で現像ローラ上に担持された現像剤が受ける圧力や摩擦力が大きくなるために、特に無視できないものになっていた。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、現像ローラ上における現像剤の搬送性が良好で、現像ローラの周方向や回転軸方向の振れが小さくて、経時で現像ローラの表面にトナー固着が発生しにくく、良好な出力画像を経時においても安定的に形成することができる、2成分現像方式の現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の請求項1記載の発明にかかる現像装置は、キャリアとトナーとを有する現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置であって、前記像担持体に対向するとともに現像剤を担持する単数又は複数の現像ローラを備え、前記単数又は複数の現像ローラは、その表面に、当該現像ローラの回転軸方向に沿うように、又は/及び、当該現像ローラの回転軸方向に対して傾斜するように、形成された第1溝部が当該現像ローラの周方向に間隔をあけて複数設けられ、前記単数又は複数の現像ローラのうち少なくとも1つの現像ローラは、その表面に、当該現像ローラの周方向に沿うように形成された第2溝部が当該現像ローラの回転軸方向に間隔をあけて複数設けられ、隣接する前記第2溝部同士の前記回転軸方向の平均間隔をSmとして、前記キャリアの重量平均粒径をDとしたときに、
Sm<D
なる関係が成立するように構成されたものである。
【0008】
また、請求項2記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、その表面の硬度が前記キャリアの硬度よりも大きくなるように形成されたものである。
【0009】
また、請求項3記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項2に記載の発明において、前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、その表面に前記キャリアの硬度よりも大きい硬度を有する被膜層が形成されたものである。
【0010】
また、請求項4記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項3に記載の発明において、前記被膜層は、CrN、ZrN、TiNのいずれかで形成されたものである。
【0011】
また、請求項5記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項3又は請求項4に記載の発明において、前記被膜層は、イオンプレーティング法により形成されたものである。
【0012】
また、請求項6記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項3〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記被膜層は、アルミニウムからなる前記現像ローラのスリーブ表面に形成されたものである。
【0013】
また、請求項7記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、その表面が導電性を有するように形成されたものである。
【0014】
また、請求項8記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の発明において、前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、当該現像ローラ上に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材に対向するものである。
【0015】
また、請求項9記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の発明において、前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラを、現像ローラ上に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材に対向する複数の現像ローラのうち、前記像担持体の走行方向に対して最も下流側にある単数の現像ローラとしたものである。
【0016】
また、請求項10記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の発明において、前記トナーは、その重量平均粒径が5〜10μmであって、重量平均粒径が5μm以下のものが60〜80個数%の範囲で含まれるように形成されたものである。
【0017】
また、この発明の請求項11記載の発明にかかるプロセスカートリッジは、画像形成装置の装置本体に対して着脱自在に設置されるプロセスカートリッジであって、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とが一体化されたものである。
【0018】
また、この発明の請求項12記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とを備えたものである。
【0019】
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電部と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像部(現像装置)と、像担持体上をクリーニングするクリーニング部とのうち、少なくとも1つと、像担持体とが、一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱自在に設置されるユニットと定義する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、現像ローラの表面に第1溝部に加えて第2溝部を形成して、その第2溝部の間隔を適正化しているために、現像ローラ上における現像剤の搬送性が良好で、現像ローラの周方向や回転軸方向の振れが小さくて、経時で現像ローラの表面にトナー固着が発生しにくく、良好な出力画像が経時においても安定的に形成される、2成分現像方式の現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】作像部を示す構成図である。
【図3】(A)現像装置の上部を長手方向にみた概略断面図と、(B)現像装置の下部を長手方向にみた概略断面図と、である。
【図4】現像装置の循環経路を長手方向にみた概略断面図である。
【図5】現像ローラ上に形成される磁極による法線方向の磁力の大きさを示す図である。
【図6】第1溝部が形成された現像ローラを示す模式図である。
【図7】現像ローラの第1溝部を示す拡大図である。
【図8】第1溝部及び第2溝部が形成された現像ローラの表面を示す斜視図である。
【図9】第2溝部の近傍のキャリアを示す模式図である。
【図10】実験の条件及び結果を示す表図である。
【図11】別の実験の条件及び結果を示す表図である。
【図12】この発明の実施の形態2における現像装置の要部を示す構成図である。
【図13】別の現像装置の要部を示す構成図である。
【図14】さらに別の現像装置の要部を示す構成図である。
【図15】さらに別の現像装置の要部を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0023】
実施の形態1.
図1〜図11にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Kを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Kの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される像担持体としての感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像装置、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ(1次転写バイアスローラ)、15は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示す。
【0024】
また、16は中間転写ベルト17を清掃する中間転写ベルトクリーニング部、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上のカラートナー像を記録媒体P上に転写するための2次転写バイアスローラ、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、を示す。
なお、図示は省略するが、各感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKの上方には、各色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のトナー(トナー粒子)を現像装置13に供給する各色のトナー容器がそれぞれ設置されている。
【0025】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。なお、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上でおこなわれる作像プロセスについては、図2をも参照することができる。
まず、原稿Kは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Kの画像情報が光学的に読み取られる。
【0026】
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Kの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Kにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Kのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0027】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(図2を参照できる。)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
【0028】
一方、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKは、それぞれ、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0029】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0030】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0031】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、現像装置13との対向位置に達する。そして、各現像装置13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0032】
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
【0033】
他方、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された中間転写ベルト17は、図中の時計方向に走行して、2次転写バイアスローラ18との対向位置に達する。そして、2次転写バイアスローラ18との対向位置で、記録媒体P上に中間転写ベルト17上に担持されたカラーのトナー像が転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング部16の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部16に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
【0034】
ここで、中間転写ベルト17と2次転写バイアスローラ18との間(2次転写ニップである。)に搬送される記録媒体Pは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
【0035】
そして、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルトによって定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ベルトと加圧ローラとのニップにて、カラー画像が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0036】
次に、図2〜図9にて、画像形成装置における作像部について詳述する。
図2は、作像部及びトナー容器28を示す構成図である。図3(A)は現像装置13の上部(第1搬送スクリュ13b1の位置である。)を長手方向にみた概略断面図(水平方向の断面図)であって、図3(B)は現像装置13の下部(第2搬送スクリュ13b2の位置である。)を長手方向にみた概略断面図である。図4は、現像装置13の循環経路を長手方向にみた概略断面図(垂直方向の断面図)である。また、図5は、現像ローラ13a上に形成される磁極H1〜H4による法線方向の磁力の大きさを示す図である。また、図6は、第1溝部13a1が形成された現像ローラ13aを示す模式図であって、現像ローラ13aを長手方向(図2及び図5の紙面垂直方向である。)にみた図である。図7は、現像ローラ13aの第1溝部13a1を示す拡大図であって、現像ローラ13aの回転軸に直交する断面図である。図8は、第1溝部13a1及び第2溝部13a2が形成された現像ローラ13aの表面を示す斜視図である。さらに、図9は、第2溝部13a2の近傍のキャリアCを示す模式図であって、現像ローラ13aの表面を周方向にみた図である。
なお、各作像部はほぼ同一構造であって、各トナー容器もほぼ同一構造であるために、図2〜図9にて作像部及びトナー容器は符号のアルファベット(Y、C、M、BK)を除して図示する。
【0037】
図2に示すように、作像部は、像担持体としての感光体ドラム11、帯電部12、現像装置13(現像部)、クリーニング部15、等で構成される。
像担持体としての感光体ドラム11は、外径が30mm程度の負帯電の有機感光体であって、不図示の回転駆動機構によって反時計方向に回転駆動される。
【0038】
帯電部12は、芯金上に、ウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成した弾性を有する帯電ローラである。帯電部12の中抵抗層の材質としては、ウレタン、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものを用いることもできる。
クリーニング部15は、感光体ドラム11に摺接するクリーニングブレード15aが設置されていて、感光体ドラム11上の未転写トナーを機械的に除去・回収する。
【0039】
現像装置13は、現像剤担持体としての現像ローラ13aが感光体ドラム11に近接するように配置されていて、双方の対向部分には感光体ドラム11と磁気ブラシとが接触する現像領域(現像ニップ部)が形成される。現像装置13内には、トナーTとキャリアCとからなる現像剤G(2成分現像剤)が収容されている。そして、現像装置13は、感光体ドラム11上に形成される静電潜像を現像する(トナー像を形成する。)。なお、現像装置13の構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0040】
図2を参照して、トナー容器28は、その内部に現像装置13内に供給するためのトナーTを収容している。具体的に、現像装置13に設置された磁気センサ(不図示である。)によって検知されるトナー濃度(現像剤G中のトナーの割合である。)の情報に基いて、シャッタ駆動部によってシャッタ機構80の開閉動作をおこなって、トナー容器28から現像装置13内に向けてトナーTを適宜に供給する。
なお、トナーTの供給は、トナー濃度の情報に限定されず、感光体ベルトや中間転写ベルト等に形成されたトナー像の反射率等から検知される画像濃度の情報に基づいて実施されてもよい。また、これらの異なる情報を組み合わせて、トナーTの供給の実施を判断してもよい。
供給管29は、トナー容器28から供給されるトナーTを現像装置13内に確実に導くためのものである。すなわち、トナー容器28から排出されたトナーTは、供給管29を介して、トナー補給口13eから現像装置13内に供給される。
【0041】
ここで、本実施の形態1において用いられるトナーTは、その重量平均粒径が5〜10μmであって、重量平均粒径が5μm以下のものが60〜80個数%の範囲で含まれるように形成されたものである。このように小粒径のトナーを用いることで、出力画像のドット再現性を高めることができる。
【0042】
以下、画像形成装置における現像装置13について詳述する。
図2〜図5を参照して、現像装置13は、現像ローラ13a(現像剤担持体)、搬送スクリュ13b1、13b2(オーガスクリュ)、現像剤規制部材としてのドクターブレード13c、等で構成されている。
現像ローラ13aは、外径が20mm程度の現像ローラであって、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂等の非磁性体を円筒形に形成してなるスリーブ13a2が不図示の回転駆動機構によって時計方向に回転されるように構成されている。図3及び図5を参照して、現像ローラ13aのスリーブ13a2内には、スリーブ13a2の周面に複数の磁極H1〜H4を形成するマグネット13a1が固設されている。現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、現像ローラ13aの矢印方向の回転にともなって搬送されて、ドクターブレード13cの位置に達する。そして、現像ローラ13a上の現像剤Gは、この位置で適量に規制された後に、感光体ドラム11との対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界(現像電界)によって、感光体ドラム11上に形成された潜像にトナーが吸着される。
【0043】
図5は、マグネット13a1によって現像ローラ13a(スリーブ13a2)の周囲に形成される複数の磁極H1〜H4を示している。図5に示すように、複数の磁極は、感光体ドラム11との対向位置に形成された主磁極H1、主磁極H1の下流側であって第2搬送経路の内壁面の一部にかかる位置に形成された搬送磁極H2、第2搬送経路の上方に形成された剤離れ磁極H3、第1搬送スクリュ13b1との対向位置からドクターブレード13cとの対向位置の近傍にかけて形成された汲上げ磁極H4(ドクタ対向磁極)、等で構成される。
まず、汲上げ磁極H4が磁性体としてのキャリアに作用して、第1搬送経路に収容された現像剤Gが現像ローラ13a上に汲上げられる。現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、その一部がドクターブレード13cの位置で掻き取られて、第1搬送経路に戻される。一方、汲上げ磁極H4による磁力が作用するドクターブレード13cの位置で、ドクターブレード13cと現像ローラ13aとのドクターギャップを通過して現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、主磁極H1の位置で穂立ちして現像領域において磁気ブラシとなって感光体ドラム11に摺接する。こうして、現像ローラ13aに担持された現像剤G中のトナーTが感光体ドラム11上の潜像に付着する。その後、主磁極H1の位置を通過した現像剤Gは、搬送磁極H2によって剤離れ磁極H3の位置まで搬送される。そして、剤離れ磁極H3の位置で、反発磁界がキャリアに作用して、現像ローラ13a上に担持されていた現像工程後の現像剤Gが現像ローラ13aから脱離される。脱離後の現像剤Gは、第2搬送経路内に落下して第2搬送スクリュ13b2によって第2搬送経路の下流に向けて搬送される。
【0044】
図2を参照して、2つの搬送スクリュ13b1、13b2(搬送部材)は、現像装置13内に収容された現像剤Gを長手方向(図2の紙面垂直方向である。)に循環しながら撹拌・混合する。
第1搬送スクリュ13b1(第1搬送部材)は、現像ローラ13aに対向する位置に配設されていて、現像剤Gを長手方向(回転軸方向)に水平に搬送する(図3(A)の破線矢印に示す右方向の搬送である。)とともに、汲上げ磁極H4の位置で現像ローラ13a上に現像剤Gを供給(図3(A)の白矢印方向の供給である。)する。
【0045】
第2搬送スクリュ13b2(第2搬送部材)は、第1搬送スクリュ13b1の下方であって現像ローラ13aに対向する位置に配設されている。そして、現像ローラ13aから離脱した現像剤G(現像工程後に剤離れ磁極H3によって現像ローラ13a上から強制的に離脱された現像剤Gであって、図3(B)の白矢印方向に離脱するものある。)を長手方向に水平に搬送する(図3(B)の破線矢印に示す左方向の搬送である。)。なお、本実施の形態1では、第2搬送スクリュ13b2の回転方向が、現像ローラ13aの回転方向と同方向(図2の時計方向である。)になるように設定されている。
そして、第2搬送スクリュ13b2は、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路の下流側から第1中継部13fを介して循環される現像剤Gを第1搬送部材13b1による搬送経路の上流側に第2中継部13gを介して搬送する(図3(B)の一点鎖線矢印に示す搬送である。)。
2つの搬送スクリュ13b1、13b2は、現像ローラ13aや感光体ドラム11と同様に、回転軸がほぼ水平になるように配設されている。また、2つの搬送スクリュ13b1、13b2は、軸部に外径が16mm以下のスクリュ部が螺旋状に巻装されたものである。
【0046】
なお、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路(第1搬送経路)と、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路(第2搬送経路)と、は壁部によって隔絶されている。
図3及び図4を参照して、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路(第2搬送経路)の下流側と、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路(第1搬送経路)の上流側と、は第2中継部13gを介して連通している。そして、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路において第2中継部13gの近傍に留まって盛り上がった現像剤Gが、第2中継部13gを介して第1搬送スクリュ13b1による搬送経路の上流側に搬送(供給)されることになる。
また、図3及び図4を参照して、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路の下流側と、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路の上流側と、は第1中継部13fを介して連通している。そして、第1搬送スクリュ13b1による第1搬送経路にて現像ローラ13a上に供給されなかった現像剤Gが、第1中継部13fにて自重落下して、第2搬送経路の上流側に達することになる。
【0047】
このような構成により、2つの搬送スクリュ13b1、13b2によって、現像装置13において現像剤Gを長手方向に循環させる循環経路が形成されることになる。すなわち、現像装置13が稼動されると、装置内に収容された現像剤Gは図3及び図4中の破線矢印の方向に流動する。そして、このように、現像ローラ13aに対する現像剤Gの供給経路(第1搬送スクリュ13a1による第1搬送経路である。)と、現像ローラ13aから離脱する現像剤Gの回収経路(第2搬送スクリュ13a2による第2搬送経路である。)と、を分離することで、感光体ドラム11上に形成するトナー像の濃度偏差を小さくすることができる。
【0048】
なお、図示は省略するが、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路中には、装置内を循環する現像剤のトナー濃度を検知する磁気センサが設置されている。そして、磁気センサによって検知されるトナー濃度の情報に基いて、トナー容器28からトナー補給口13e(第1中継部13fの近傍に配設されている。)を介して現像装置13内に向けて新品のトナーTが供給される。
また、図3、図4を参照して、トナー補給口13eは、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路の上流側の上方であって、現像領域から離れた位置(現像ローラ13aの長手方向の範囲の外側である。)に配設されている。このようにトナー補給口13eを第1中継部13fの近傍に設置することで、第2搬送経路において、現像ローラ13aから離脱した現像剤が比重の小さい補給トナーの上方から降りかかり、第2搬送経路の下流側に向けて比較的長い時間をかけて現像剤に対して補給トナーの分散・混合を充分におこなうことができる。
なお、本実施の形態1では、トナー補給口13eを第2搬送スクリュ13a2による搬送経路中に配設したが、トナー補給口13eの位置はこれに限定されることなく、例えば、第1搬送経路の上流側の上方に配置することもできる。
【0049】
以下、本実施の形態1の現像装置13における、特徴的な構成・動作について説明する。
本実施の形態1における現像装置13は、現像ローラ13a(スリーブ13a2)の表面に、第1溝部131と第2溝部132とが形成されている(図8を参照できる。)。
図6(A)、図8(A)を参照して、第1溝部131は、現像ローラ13aの回転軸方向に沿うように、現像ローラ13aの周方向に周期的に間隔をあけて全周にわたって複数設けられている。現像ローラ13a(スリーブ13a2)の表面に形成された複数の第1溝部131は、現像ローラ13a(スリーブ13a2)上における現像剤Gの搬送性(保持力)を向上させるためのものである。第1溝部131の溝形状は、例えば、図7(A)〜(C)のいずれかのものに設定することができる。
ここで、本実施の形態1では、第1溝部131の溝形状が、図7(A)に示すようにV溝形状であって、その深さが0.2mmnに設定されている。そして、外径が20mmの現像ローラ13aの表面に、60本(溝ピッチ6度)の第1溝部131が等間隔に形成されている。
【0050】
なお、第1溝部131の形態としては、図6(A)、図8(A)に示すように、現像ローラ13aの回転軸方向に沿うように形成されたものに限定されることはない。
例えば、第1溝部131として、図6(B)、図8(B)に示すように、現像ローラ13aの回転軸方向に対して傾斜するように形成されたものを用いることできる。ここでは、傾斜方向が異なる第1溝部131がアヤメ状に交わるように形成されている。
また、第1溝部131として、図6(C)、図8(C)に示すように、現像ローラ13aの回転軸方向に沿うように形成されるとともに回転軸方向に対して傾斜するように形成されたものを用いることできる。ここでは、1つの第1溝部131において、中央が回転軸方向に沿うように形成されて、両端が回転軸方向に対して傾斜するように形成されている。そして、現像ローラ13aの全体としては、複数の第1溝部131がウロコ状に形成されている。
【0051】
さらに、図8(A)を参照して、本実施の形態1における現像ローラ13a(スリーブ13a2)の表面には、第1溝部131が形成されていない領域に、第2溝部132が形成されている。第2溝部132は、現像ローラ13aの周方向に沿うように形成されていて、現像ローラ13aの回転軸方向に間隔(平均間隔Sm)をあけて複数設けられている。なお、第2溝部132は、上述した図6(B)、図6(C)の第1溝部131の形状に対応して、図8(B)、図8(C)のように形成することもできる。
そして、図9(A)に示すように、隣接する第2溝部132同士の回転軸方向の平均間隔をSmとして、キャリアCの重量平均粒径をDとしたときに、
Sm<D
なる関係が成立するように構成されている。具体的に、本実施の形態1では、第2溝部132の平均間隔Smが30μmに設定され、キャリアCの重量平均粒径Dが60μmに設定されている。なお、「平均間隔Sm」とは、JIS 0601(2001)における輪郭曲線要素の平均長さRSmと同義であるものとする。
このような構成により、第1溝部131が周方向に周期的に形成された現像ローラ13aにおいて、その表面にトナー固着を発生しにくくすることができる。
【0052】
以下、第2溝部132の平均間隔Smと、キャリアCの重量平均粒径Dと、の関係について詳述する。
図9(B)は、Sm>Dなる関係が成立するときの、現像ローラ13a上のキャリアCを示す図である。第2溝部132のない平面部に比べて、第2溝部132にはキャリアCがトラップされやすい。したがって、現像ローラ13a表面のキャリアCは、図9(B)に示すように、第2溝部132にトラップされているか、第2溝部132以外の表面に存在することになる。第2溝部132以外の表面はキャリアCを保持する力が弱いが、周囲のキャリアCに保持されることで現像ローラ13a上にトラップされる。この状態でドクターブレード13cとの対向位置や感光体ドラム11との対向位置でキャリアCが負荷を受けると、第2溝部132の端部M1に集中荷重が加わる。そして、その集中荷重によって、キャリアCに保持されたトナーや、現像ローラ13a表面に付着したトナーが、第2溝部132の端部M1に付着して固着することになる。これに対して、第2溝部132以外の表面に存在するキャリアCは、現像ローラ13aの表面の一部M2に集中荷重を加える。これにより、その位置M2にトナーが固着することになる。そして、経時で、第2溝部132以外の表面は、徐々に全体的にトナー固着が進行していって、出力画像上の画像濃度が低下したり、出力画像上に地肌汚れが生じたり、トナー飛散が生じたりする問題が生じてしまうことになる。
【0053】
これに対して、図9(A)は、Sm<Dなる関係が成立するときの、現像ローラ13a上のキャリアCを示す図であって、本実施の形態1における構成を示すものである。このような場合にも、現像ローラ13a表面のキャリアCは、第2溝部132でトラップされる。しかし、第2溝部132以外の表面には入り込む空間が小さいため、キャリアCは存在しにくくなる。また、第2溝部132以外の表面にキャリアCが存在したとしても、その保持力が弱いため、やがていずれかの第2溝部132にトラップされることになる。Sm<Dなる関係が成立するため、現像ローラ13a表面のキャリアCの個数よりも多くの第2溝部132が存在する。この状態でドクターブレード13cとの対向位置や感光体ドラム11との対向位置でキャリアCが負荷を受けると、第2溝部132にトラップされたキャリアCによって第2溝部132の端部M1のみに集中荷重が加わることになる。これに対して、第2溝部132以外の表面には、キャリアCが存在しないので、集中荷重が加わらない。したがって、経時で、第2溝部132以外の表面にトナー固着が発生することはない(第2溝部132の端部M1のみにトナー固着が発生する。)。その結果、現像ローラ13a表面のトナー固着の発生を軽減できて、出力画像上の画像濃度が低下したり、出力画像上に地肌汚れが生じたり、トナー飛散が生じたりする問題が低減されことになる。
【0054】
また、第2溝部132にトラップされたキャリアCは、現像ローラ13aの回転とともに第2溝部132に沿って移動して、第2溝部132以外の表面に存在しにくくなる。すなわち、キャリアCがマグネット13a1による磁力によって現像ローラ13a表面を移動する際に、規則的に周方向に沿って形成された微小な第2溝部132がレ−ルの役割を果たして、周方向へのキャリアCの移動が促進される。その結果、ドクターブレード13cとの対向位置や感光体ドラム11との対向位置でキャリアCが圧縮方向の負荷を受けても、キャリアCは周方向に形成された第2溝部132の上流側又は下流側に導かれるため、一箇所で押圧されてしまう不具合を抑制することができる。したがって、経時における現像ローラ13a表面へのトナー固着の発生が低減される。
【0055】
図10は、重量平均粒径Dが60μmのキャリアCを用いて、第2溝部132の平均間隔Smを変化させたときの、トナー固着による異常画像の発生余裕度を調べた結果を示すものである。
ここで、「トナー固着による異常画像の発生余裕度」とは、余裕度が大きいほど異常画像が発生しにくく、画像品質が良いという意味である。そして、×、△、○、◎の順に余裕度が高くなり、△が許容レベルの境である。
図10の結果から、第2溝部132の平均間隔SmがキャリアCの重量平均粒径Dよりも大きいとトナー固着に対する余裕度が低く、第2溝部132の平均間隔SmがキャリアCの重量平均粒径Dよりも小さいほどトナー固着に対する余裕度が高くなることがわかる。これは、先に図9にて説明したように、第2溝部132の平均間隔SmがキャリアCの重量平均粒径Dよりも小さいほど、第2溝部132の数が増えて第2溝部132によってキャリアCがトラップされやすくなるためである。このように、実験結果からも、本実施の形態1における現像ローラ13aがトナー固着に対して有利な構成であることが実証された。
【0056】
ここで、本実施の形態1では、第2溝部132が形成されている現像ローラ13a(スリーブ13a2)の表面の硬度が、キャリアCの硬度よりも大きくなるように形成されている。
詳しくは、アルミニウムからなる現像ローラ13aのスリーブ表面に、キャリアCの硬度よりも大きい硬度を有する被膜層が形成されている。すなわち、アルミニウムで形成されたスリーブ13a2に、キャリアCの硬度よりも大きい硬度を有する被膜層が形成されている。これにより、現像ローラ13aに形成された第2溝部132にキャリアCが押し付けられても、第2溝部132が磨耗して広がってしまう不具合が軽減されるために、上述した第2溝部132によってトナー固着を抑止する効果が経時においても安定的に維持されることになる。
なお、本実施の形態1で用いられるキャリアCは、ビッカース硬度Hv(JIS Z 2244に準拠した方法で測定できる。)が200のマグネタイト芯材に、シリコーン系樹脂をコーティングしたものである。
【0057】
特に、現像ローラ13aのスリーブ表面に形成する被膜層は、CrN、ZrN、TiNのいずれかで形成することが好ましい。
図11は、現像ローラ13aのスリーブ表面をアルミニウムで形成して、その表面上に種々の材質の被膜層を形成したときの、トナー固着による異常画像の発生余裕度を調べた結果を示すものである。図11中の「トナー固着による異常画像」は、図10中のものと同義である。また、図11中の被膜層材質の「なし」は、現像ローラ13aのスリーブ表面に被膜層を設けていないものであって、現像ローラ13aの表面の材質がスリーブ表面の材質(アルミニウム)になっている。
図11の結果から、被膜層の材質をNiやCrとした場合には、トナー固着に対する余裕度が、ローラ表面の材質がアルミニウムである場合と同等であるのがわかる。これに対して、被膜層の材質をCrNやZrNやTiNとした場合には、トナー固着に対する余裕度が大幅に向上するのがわかる。このような結果は、被膜層の摩擦係数等の違いによるものもあるが、被膜層の硬度の違いによるものが大きい。図11に示すように、ビッカース硬度で比較しても、CrN、ZrN、TiNは、NiやCrに比べて、2倍以上の硬度を有することになる。
【0058】
現像ローラ13aの表面は、マグネタイトやフェライト等の磁性体からなるキャリアCが、ドクターブレード13cとの対向位置や感光体ドラム11との対向位置で強く擦れ合うことで摩擦力が加えられる。このような現像剤G(キャリアC)との接触が繰り返されると、やがて現像ローラ13aの表面が削られていき、そこに微小な凸凹が形成される。この現像ローラ13a表面の微小な凹みにトナーTがトラップされて、圧力や摩擦を受けることで現像ローラ13a表面に融着してトナー固着にいたることになる。
トナーTとキャリアCとからなる2成分現像剤Gが収容された現像装置13においては、現像ローラ13aと感光体ドラム11との間の静電気場を用いて感光体ドラム11上に形成された静電潜像をトナー像として可視像化する。トナーは、キャリアとの摩擦帯電(主に、ドクターブレード13cの位置でおこなわれる。)によって電荷が付与されて、上述の静電気場を移動する。このため、トナーにはある程度の抵抗をもたせることで所望の帯電能力が発揮される。このトナーが現像ローラ13a表面に固着すると、その固着部に電荷が付与されて、現像ローラ13aの表面電位が部分的に変化する。その結果、現像ローラ13aと感光体ドラム11との間の静電気場が部分的に変化してしまい、地肌汚れや濃度低下といった異常画像が発生して画像品質が劣化してしまう。
これに対して、現像ローラ13aの表面にCrN、ZrN、TiNのいずれかからなる硬質の被膜層を形成することで、キャリアとの接触による圧力や摩擦を受けても現像ローラ13aの表面が削れる不具合が軽減される。したがって、現像ローラ13aの表面にトナーがトラップされる微小な凹凸が形成されにくくなって、現像ローラ13a表面へのトナー固着が確実に低減される。その結果、現像ローラ13aへのトナー固着による異常画像の発生を抑制できる。なお、被膜層の層厚を2〜10μm程度に設定しても充分な耐久性を有する。
【0059】
なお、現像ローラ13aの表面に形成するCrN、ZrN、TiNのいずれかからなる被膜層は、イオンプレーティング法により形成することが好ましい。
イオンプレーティング法は、PVD法(物理気相成長法)の1種であって、基材を高温に加熱することなく被膜処理できる蒸着法である。具体的に、イオンプレーティング法を用いて被膜層を形成する場合に、CrNの場合には150〜200℃の蒸着温度、ZrNの場合には180〜220℃の蒸着温度、TiNの場合には200〜250℃の蒸着温度が必要になる。
被膜処理時の蒸着温度が高いと、現像ローラ13aが熱変形してしまい、周方向に振れが生じてしまったり、回転軸方向に反りが生じてしまったりする。蒸着温度が比較的低いイオンプレーティング法により被膜層を形成することにより、このような不具合が発生しにくくなる。
【0060】
ここで、本実施の形態1では、アルミニウムからなる現像ローラ13aのスリーブ表面に硬質の被膜層を形成することで、現像ローラ13aの表面の硬度をキャリアCの硬度よりも大きく設定した。これに対して、現像ローラ13aのスリーブ表面に被膜層を形成することなく、現像ローラ13aのスリーブ13a2自体をキャリアCの硬度より大きな硬度を有する材料で形成することもできる。しかし、その場合には、スリーブ表面に切削加工をおこなって第2溝部132等を形成するのが難しくなる。一方、本実施の形態1の構成によれば、ビッカース硬度Hvが100程度のアルミニウムからなるスリーブ表面に切削加工を施して第2溝部132等を形成した後に、その表面に硬質の被膜層を設けることができるために、現像ローラの加工性を高めることができる。
【0061】
また、本実施の形態1において、現像ローラ13aの表面は、導電性を有するように形成することが好ましい。例えば、現像ローラ13aのスリーブ表面に被膜層を形成する場合には、導電性を有する被膜層を形成することになる。
ここで、現像ローラ13a表面の材質として絶縁体を用いた場合を考える。このような状態は、現像ローラ13a表面の全体にトナーが固着した場合と置き換えることができる。そして、このように絶縁体からなるローラ表面に電荷が付与されると、電荷は移動することなくローラ表面に溜まっていく。その結果、現像ローラ13aと感光体ドラム11との間の静電気場が変化してしまい、感光体ドラム11上に形成される画像に地肌汚れや濃度低下が生じてしまう。
これに対して、現像ローラ13a表面に導電性をもたせることで、ローラ表面に電荷が付与されても、その電荷はすぐに移動してローラ表面に溜まることはない。したがって、感光体ドラム11上に形成される画像に地肌汚れや濃度低下が生じる不具合が抑止される。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態1では、現像ローラ13aの表面に第1溝部131に加えて第2溝部132を形成して、その第2溝部132の間隔Smを適正化しているために、現像ローラ13a上における現像剤Gの搬送性が良好で、現像ローラ13aの周方向や回転軸方向の振れが小さくて、経時で現像ローラ13aの表面にトナー固着が発生しにくく、良好な出力画像を経時においても安定的に形成することができる。
【0063】
実施の形態2.
図12〜図15にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図12は、実施の形態2における現像装置13の要部を示す構成図である。また、図13〜図15は、それぞれ、別の現像装置13の要部を示す構成図である。
本実施の形態2における現像装置13は、複数の現像ローラ13aA〜13aCが設置されている点が、単数の現像ローラ13aが設置されている前記実施の形態1のものと相違する。
【0064】
図示は一部省略するが、本実施の形態2における現像装置13も、前記実施の形態1のものと同様に、現像ローラ、搬送スクリュ、現像剤規制部材としてのドクターブレード、等で構成されている。
ここで、図12に示す現像装置13は、3本の現像ローラ13aA〜13aCが、感光体ドラム11に対向する位置に、感光体ドラム11の回転方向に沿うように設置されている。反時計方向に回転する感光体ドラム11に対して、3本の現像ローラ13aA〜13aCは、いずれも、時計方向に回転する。3本の現像ローラ13aA〜13aCは、いずれの表面にも第1溝部131が形成されている。また、感光体ドラム11の回転方向(走行方向)に対して最上流にある第1の現像ローラ13aAは、ドクターブレード13cに対向するように配設されている。
そして、現像装置13内から第1の現像ローラ13aA上に現像剤が汲み上げられると、その後にドクターブレード13cとの対向位置で第1の現像ローラ13aA上に担持された現像剤量が規制される。そして、第1の現像ローラ13aA上に担持された現像剤は、感光体ドラム11との対向位置(第1の現像領域)で第1の現像工程がおこなわれた後に、第2の現像ローラ13aB上に受け渡される。そして、第2の現像ローラ13aB上に担持された現像剤は、感光体ドラム11との対向位置(第2の現像領域)で第2の現像工程がおこなわれた後に、第3の現像ローラ13aC上に受け渡される。そして、第3の現像ローラ13aC上に担持された現像剤は、感光体ドラム11との対向位置(第3の現像領域)で第3の現像工程がおこなわれた後に、現像装置13内に向けて離脱される。
【0065】
このように複数の現像ローラ13aA〜13aCが設置された現像装置13において、トナー固着による異常画像の発生を抑止するために、複数の現像ローラ13aA〜13aCのすべてに対して、前記実施の形態1と同様に、第2溝部132を設けたり、ローラ表面に被膜層を形成したりすることもできる。しかし、その場合には、現像装置13が高コスト化してしまうことになる。
したがって、本実施の形態2では、ドクターブレード13cに対向する現像ローラにのみ、第2溝部132を形成したり、ローラ表面に硬質の被膜層を形成したりしている。具体的に、図12の現像装置13では、3つの現像ローラ13aA〜13aCのうち、ドクターブレード13cに対向する第1の現像ローラ13aAにのみ、第2溝部132を形成して、ローラ表面にCrN等の被膜層を形成している。
【0066】
ここで、図12のように、3つの現像ローラ13aA〜13aCが設置された現像装置13において生じる、トナー固着について説明する。
このような現像装置13において、ドクターブレード13cに対向する第1の現像ローラ13aAが、他の現像ローラ13aB、13aCに比べて、最もトナー固着が発生しやすい。そして、ドクターブレード13cとの対向位置で第1の現像ローラ13aA上で現像剤が強く擦れ合って、ローラ表面にトナー固着が発生すると、トナーの帯電能力(負の帯電特性をもつものとする。)により、ローラ表面がトナーと同極性にチャージアップする。これにより、第1の現像ローラ13aAと第2の現像ローラ13aBとの間に、電位差が生じる(第1の現像ローラ13aAの表面電位が第2の現像ローラ13aBの表面電位に比べて負になる。)。そして、負に帯電したトナーは、その電位差に従って、第1の現像ローラ13aAから第2の現像ローラ13aBに移動する(現像される。)。そして、第2の現像ローラ13aBに現像されたトナーは、現像剤に摩擦されることで第2の現像ローラ13aBの表面に融着していく。これは、第2の現像ローラ13aBのローラ表面にトナーが現像されて付着しやすくなるので、ローラ表面の微小な凹凸にトナーがトラップされやすくなるためである。その結果、第2の現像ローラ13aB表面にトナー固着が発生する。同様のメカニズムによって、第3の現像ローラ13aCの表面にもトナー固着が発生する。このように、第1の現像ローラ13aAにトナー固着が発生すると、それをトリガーにして他の現像ローラ13aB、13aCにも加速的にトナー固着が発生してしまう。その結果、出力画像上に地肌汚れや濃度低下が発生してしまう。
【0067】
これに対して、最もトナー固着が発生しやすく、他の現像ローラへのトナー固着の発生源となる、第1の現像ローラ13aA(ドクターブレード13cに対向する現像ローラである。)に対してのみ、第2溝部132を形成して、ローラ表面にCrN等の被膜層を形成することで、現像装置13のコストアップを抑えつつ、トナー固着による異常画像の発生を確実に低減することができる。
なお、ドクターブレード13cに対向しない他の現像ローラ13aB、13aCの表面には、感光体ドラム11との対向位置でのみ摩擦が加わるため、ドクターブレード13cに対向する第1の現像ローラ13aAに比べて、トナー固着の発生の度合いがとても低い。ただし、上述したように隣接する現像ローラとの間にトナー固着による電位差が発生すると、現像ローラ表面にトナー固着が発生しやすくなる。したがって、上述したように第1の現像ローラ13aAのみのトナー固着を制限することで、他の現像ローラ13aB、13aCのトナー固着を大幅に抑止することができる。
【0068】
ここで、図13のように、複数のドクターブレード13cA、13cCが設置された現像装置13に対しても、ドクターブレード13cA、13cCに対向する現像ローラ13aA、13aCのすべてに対して、第2溝部132を形成したり、ローラ表面に硬質の被膜層を形成したりすることができる。
図13の現像装置13は、第1の現像ローラ13aAに第1のドクターブレード13cAが対向して、第3の現像ローラ13aC(反時計方向に回転する。)に第2のドクターブレード13cCが対向するように構成されている。このような場合にも、最もトナー固着が発生しやすく、他の現像ローラへのトナー固着の発生源となる、第1の現像ローラ13aA(ドクターブレード13cAに対向する現像ローラである。)と、第3の現像ローラ13aC(ドクターブレード13cCに対向する現像ローラである。)と、に対して、第2溝部132を形成して、ローラ表面にCrN等の被膜層を形成することで、現像装置13のコストアップを抑えつつ、トナー固着による異常画像の発生を確実に低減することができる。
【0069】
さらに、図14及び図15に示すように、ドクターブレードに対向する現像ローラが複数ある現像装置13の場合には、複数の現像ローラのうち、感光体ドラム11の回転方向(走行方向)に対して最も下流側にある現像ローラに対してのみ、第2溝部132を形成したり、ローラ表面に硬質の被膜層を形成したりすることができる。
図14の現像装置13は、3つの現像ローラ13aA〜13aCのすべてが、それぞれ、ドクターブレード13cA、13cB、13cCに対向するように構成されている。このような現像装置13に対しては、3つの現像ローラ13aA〜13aCのうち、最下流にある第3の現像ローラ13aCにのみ、第2溝部132を形成したり、ローラ表面にCrN等の被膜層を形成したりする。このような構成により、上流側の2つの現像ローラ13aA、13aBの表面ではトナー固着が発生して、それぞれの現像領域(第1の現像領域、第2の現像領域)にて感光体ドラム11上に現像される画像に地肌汚れや濃度低下が生じることになる。しかし、最下流の第3の現像ローラ13aCの表面にはトナー固着が発生しにくく、現像領域(第3の現像領域)では良好な現像工程がおこなわれるために、その上流側で生じた地肌汚れや濃度低下を補完することができる。したがって、結果として、出力画像における地肌汚れや濃度低下の発生を低減することができる。このように、3つの現像ローラ13aA〜13aCのすべてに第2溝部132や被膜層を設ける場合に比べて、現像装置13のコストアップを抑えつつ、トナー固着による異常画像の発生を低減することができる。
【0070】
また、図15に示すように、3つの現像ローラ13aA〜13aCのうち、2つの現像ローラ13aA、13aBがドクターブレード13cA、13cBに対向するように構成された現像装置13に対しても、ドクターブレードに対向する現像ローラ13aA、13aBのうち最下流にある第2の現像ローラ13aBに対してのみ、第2溝部132を形成したり、ローラ表面に硬質の被膜層を形成したりすることができる。これにより、現像装置13のコストアップを抑えつつ、トナー固着による異常画像の発生を低減することができる。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態2では、複数の現像ローラ13aA〜13aCのうち少なくとも1つの現像ローラの表面に第1溝部131に加えて第2溝部132を形成して、その第2溝部132の間隔Smを適正化しているために、現像ローラ13aA〜13aC上における現像剤Gの搬送性が良好で、現像ローラ13aA〜13aCの周方向や回転軸方向の振れが小さくて、経時で現像ローラ13aA〜13aCの表面にトナー固着が発生しにくく、良好な出力画像を経時においても安定的に形成することができる。
【0072】
なお、本実施の形態2では、3本の現像ローラ13aA〜13aCが設置された現像装置13に対して本発明を適用したが、2本又は4本以上の現像ローラが設置された現像装置に対しても当然に本発明を適用することができる。そして、そのような場合であっても、上述した本実施の形態2における効果と同様の効果を得ることができる。
【0073】
さらに、前記各実施の形態では、現像剤を長手方向に搬送する搬送スクリュが設置された現像装置13に対して本発明を適用したが、現像剤を短手方向に搬送する搬送パドル等が設置された現像装置(例えば、特許文献6等に記載された現像装置である。)に対しても、当然に本発明を適用することができる。そして、このような場合であっても、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、前記各実施の形態では、トナー容器28から現像装置13に向けてトナーTを供給したが、トナー容器(現像剤容器)から現像剤G(トナーT及びキャリアC)を現像装置13に向けて供給することもできる。その場合、現像装置13から余剰の現像剤を適宜に排出する手段を設けることになる。このような場合であっても、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、前記各実施の形態においては、現像装置13が単体で画像形成装置本体に着脱されるユニットして構成されている画像形成装置に対して、本発明を適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されることなく、作像部の一部又は全部がプロセスカートリッジ化されている画像形成装置に対しても、当然に本発明を適用することができる。
【0076】
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 画像形成装置本体(装置本体)、
11、11Y、11C、11M、11BK 感光体ドラム(像担持体)、
13 現像装置(現像部)、
13a、13aA、13aB、13aC 現像ローラ、
13c、13cA、13cB、13cC ドクターブレード(現像剤規制部材)、
131 第1溝部、
132 第2溝部、
G 現像剤(2成分現像剤)、 T トナー、 C キャリア。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開2000−321864号公報
【特許文献2】特開2003−270923号公報
【特許文献3】特開2002−62725号公報
【特許文献4】特開2004−163906号公報
【特許文献5】特開2004−85630号公報
【特許文献6】特開2002−268382号公報
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置とそこに設置される現像装置及びプロセスカートリッジとに関し、特に、2成分現像剤を用いた現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤(添加剤等を添加する場合も含むものとする。)を用いて現像工程をおこなう2成分現像方式の現像装置が知られている(例えば、特許文献1〜特許文献6等参照。)。
【0003】
このような2成分現像剤を用いた現像装置には、感光体ドラム(像担持体)に対向する位置に、単数又は複数の現像ローラ(現像剤担持体)が設置されている。現像ローラは、主に、所定方向に回転するスリーブ(円筒体)と、スリーブの内部に設置されたマグネットと、で構成されている。
そして、現像装置内におけるトナー消費に応じて、現像装置内に適宜にトナーが補給される。補給されたトナーは、現像装置内の現像剤とともに、搬送スクリュ、搬送パドル等の撹拌部材によって撹拌・混合される。撹拌・混合された現像剤は、その一部が現像ローラに供給される。現像ローラに担持された現像剤は、ドクターブレード(現像剤規制部材)によって適量に規制された後に、その2成分現像剤中のトナーが感光体ドラムとの対向位置で感光体ドラム上の潜像に付着する。
ここで、特許文献1、特許文献2等には、現像ローラ上における現像剤の搬送性(保持力)を向上させるために、現像ローラのスリーブ表面に、回転軸方向に沿うように形成された溝部(V溝)を周方向に間隔をあけて周期的に設ける技術が開示されている。
【0004】
一方、このような2成分現像剤を用いた現像装置では、経時において現像ローラ(現像剤担持体)の表面にトナーが固着してしまい、出力画像上の画像濃度が低下したり、出力画像上に地肌汚れが生じたり、トナー飛散が生じたりする問題が生じてしまうことが知られている(例えば、特許文献3、特許文献4等参照)。
そして、特許文献3、特許文献4等には、現像ローラの表面へのトナー固着を防止することを目的として、サンドブラスト加工によって現像ローラのスリーブ表面に施される凹部の量や山部の間隔等を制限する技術が開示されている。
また、特許文献3、特許文献5等には、現像ローラの表面にNi−P等のコーティングを施す技術も開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1、特許文献2等の現像ローラは、溝部が回転軸方向に沿うように周方向に周期的に設けられたものであって、サンドブラスト加工によってスリーブ表面に不規則な凹凸が形成された現像ローラ(特許文献3、特許文献4等に開示されたものである。)に比べて、(1)経時における現像剤の搬送性(保持力)の低下の程度が小さく画像劣化が生じにくい、(2)周方向や回転軸方向の振れが小さくて出力画像のムラが生じにくい、という長所を有する。
しかし、このような周方向に周期的な溝部が形成された現像ローラは、経時でその表面にトナー固着が発生してしまう問題があった。このような問題は、画像形成装置の高速化にともない現像ローラの回転数が高速化すると、ドクターブレードや感光体ドラムとの対向位置で現像ローラ上に担持された現像剤が受ける圧力や摩擦力が大きくなるために、特に無視できないものになっていた。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、現像ローラ上における現像剤の搬送性が良好で、現像ローラの周方向や回転軸方向の振れが小さくて、経時で現像ローラの表面にトナー固着が発生しにくく、良好な出力画像を経時においても安定的に形成することができる、2成分現像方式の現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の請求項1記載の発明にかかる現像装置は、キャリアとトナーとを有する現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置であって、前記像担持体に対向するとともに現像剤を担持する単数又は複数の現像ローラを備え、前記単数又は複数の現像ローラは、その表面に、当該現像ローラの回転軸方向に沿うように、又は/及び、当該現像ローラの回転軸方向に対して傾斜するように、形成された第1溝部が当該現像ローラの周方向に間隔をあけて複数設けられ、前記単数又は複数の現像ローラのうち少なくとも1つの現像ローラは、その表面に、当該現像ローラの周方向に沿うように形成された第2溝部が当該現像ローラの回転軸方向に間隔をあけて複数設けられ、隣接する前記第2溝部同士の前記回転軸方向の平均間隔をSmとして、前記キャリアの重量平均粒径をDとしたときに、
Sm<D
なる関係が成立するように構成されたものである。
【0008】
また、請求項2記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、その表面の硬度が前記キャリアの硬度よりも大きくなるように形成されたものである。
【0009】
また、請求項3記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項2に記載の発明において、前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、その表面に前記キャリアの硬度よりも大きい硬度を有する被膜層が形成されたものである。
【0010】
また、請求項4記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項3に記載の発明において、前記被膜層は、CrN、ZrN、TiNのいずれかで形成されたものである。
【0011】
また、請求項5記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項3又は請求項4に記載の発明において、前記被膜層は、イオンプレーティング法により形成されたものである。
【0012】
また、請求項6記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項3〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記被膜層は、アルミニウムからなる前記現像ローラのスリーブ表面に形成されたものである。
【0013】
また、請求項7記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、その表面が導電性を有するように形成されたものである。
【0014】
また、請求項8記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の発明において、前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、当該現像ローラ上に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材に対向するものである。
【0015】
また、請求項9記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の発明において、前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラを、現像ローラ上に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材に対向する複数の現像ローラのうち、前記像担持体の走行方向に対して最も下流側にある単数の現像ローラとしたものである。
【0016】
また、請求項10記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の発明において、前記トナーは、その重量平均粒径が5〜10μmであって、重量平均粒径が5μm以下のものが60〜80個数%の範囲で含まれるように形成されたものである。
【0017】
また、この発明の請求項11記載の発明にかかるプロセスカートリッジは、画像形成装置の装置本体に対して着脱自在に設置されるプロセスカートリッジであって、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とが一体化されたものである。
【0018】
また、この発明の請求項12記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とを備えたものである。
【0019】
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電部と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像部(現像装置)と、像担持体上をクリーニングするクリーニング部とのうち、少なくとも1つと、像担持体とが、一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱自在に設置されるユニットと定義する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、現像ローラの表面に第1溝部に加えて第2溝部を形成して、その第2溝部の間隔を適正化しているために、現像ローラ上における現像剤の搬送性が良好で、現像ローラの周方向や回転軸方向の振れが小さくて、経時で現像ローラの表面にトナー固着が発生しにくく、良好な出力画像が経時においても安定的に形成される、2成分現像方式の現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】作像部を示す構成図である。
【図3】(A)現像装置の上部を長手方向にみた概略断面図と、(B)現像装置の下部を長手方向にみた概略断面図と、である。
【図4】現像装置の循環経路を長手方向にみた概略断面図である。
【図5】現像ローラ上に形成される磁極による法線方向の磁力の大きさを示す図である。
【図6】第1溝部が形成された現像ローラを示す模式図である。
【図7】現像ローラの第1溝部を示す拡大図である。
【図8】第1溝部及び第2溝部が形成された現像ローラの表面を示す斜視図である。
【図9】第2溝部の近傍のキャリアを示す模式図である。
【図10】実験の条件及び結果を示す表図である。
【図11】別の実験の条件及び結果を示す表図である。
【図12】この発明の実施の形態2における現像装置の要部を示す構成図である。
【図13】別の現像装置の要部を示す構成図である。
【図14】さらに別の現像装置の要部を示す構成図である。
【図15】さらに別の現像装置の要部を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0023】
実施の形態1.
図1〜図11にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Kを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Kの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される像担持体としての感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像装置、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ(1次転写バイアスローラ)、15は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示す。
【0024】
また、16は中間転写ベルト17を清掃する中間転写ベルトクリーニング部、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上のカラートナー像を記録媒体P上に転写するための2次転写バイアスローラ、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、を示す。
なお、図示は省略するが、各感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKの上方には、各色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のトナー(トナー粒子)を現像装置13に供給する各色のトナー容器がそれぞれ設置されている。
【0025】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。なお、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上でおこなわれる作像プロセスについては、図2をも参照することができる。
まず、原稿Kは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Kの画像情報が光学的に読み取られる。
【0026】
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Kの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Kにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Kのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0027】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(図2を参照できる。)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
【0028】
一方、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKは、それぞれ、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0029】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0030】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0031】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、現像装置13との対向位置に達する。そして、各現像装置13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0032】
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
【0033】
他方、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された中間転写ベルト17は、図中の時計方向に走行して、2次転写バイアスローラ18との対向位置に達する。そして、2次転写バイアスローラ18との対向位置で、記録媒体P上に中間転写ベルト17上に担持されたカラーのトナー像が転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング部16の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部16に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
【0034】
ここで、中間転写ベルト17と2次転写バイアスローラ18との間(2次転写ニップである。)に搬送される記録媒体Pは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
【0035】
そして、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルトによって定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ベルトと加圧ローラとのニップにて、カラー画像が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0036】
次に、図2〜図9にて、画像形成装置における作像部について詳述する。
図2は、作像部及びトナー容器28を示す構成図である。図3(A)は現像装置13の上部(第1搬送スクリュ13b1の位置である。)を長手方向にみた概略断面図(水平方向の断面図)であって、図3(B)は現像装置13の下部(第2搬送スクリュ13b2の位置である。)を長手方向にみた概略断面図である。図4は、現像装置13の循環経路を長手方向にみた概略断面図(垂直方向の断面図)である。また、図5は、現像ローラ13a上に形成される磁極H1〜H4による法線方向の磁力の大きさを示す図である。また、図6は、第1溝部13a1が形成された現像ローラ13aを示す模式図であって、現像ローラ13aを長手方向(図2及び図5の紙面垂直方向である。)にみた図である。図7は、現像ローラ13aの第1溝部13a1を示す拡大図であって、現像ローラ13aの回転軸に直交する断面図である。図8は、第1溝部13a1及び第2溝部13a2が形成された現像ローラ13aの表面を示す斜視図である。さらに、図9は、第2溝部13a2の近傍のキャリアCを示す模式図であって、現像ローラ13aの表面を周方向にみた図である。
なお、各作像部はほぼ同一構造であって、各トナー容器もほぼ同一構造であるために、図2〜図9にて作像部及びトナー容器は符号のアルファベット(Y、C、M、BK)を除して図示する。
【0037】
図2に示すように、作像部は、像担持体としての感光体ドラム11、帯電部12、現像装置13(現像部)、クリーニング部15、等で構成される。
像担持体としての感光体ドラム11は、外径が30mm程度の負帯電の有機感光体であって、不図示の回転駆動機構によって反時計方向に回転駆動される。
【0038】
帯電部12は、芯金上に、ウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成した弾性を有する帯電ローラである。帯電部12の中抵抗層の材質としては、ウレタン、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものを用いることもできる。
クリーニング部15は、感光体ドラム11に摺接するクリーニングブレード15aが設置されていて、感光体ドラム11上の未転写トナーを機械的に除去・回収する。
【0039】
現像装置13は、現像剤担持体としての現像ローラ13aが感光体ドラム11に近接するように配置されていて、双方の対向部分には感光体ドラム11と磁気ブラシとが接触する現像領域(現像ニップ部)が形成される。現像装置13内には、トナーTとキャリアCとからなる現像剤G(2成分現像剤)が収容されている。そして、現像装置13は、感光体ドラム11上に形成される静電潜像を現像する(トナー像を形成する。)。なお、現像装置13の構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0040】
図2を参照して、トナー容器28は、その内部に現像装置13内に供給するためのトナーTを収容している。具体的に、現像装置13に設置された磁気センサ(不図示である。)によって検知されるトナー濃度(現像剤G中のトナーの割合である。)の情報に基いて、シャッタ駆動部によってシャッタ機構80の開閉動作をおこなって、トナー容器28から現像装置13内に向けてトナーTを適宜に供給する。
なお、トナーTの供給は、トナー濃度の情報に限定されず、感光体ベルトや中間転写ベルト等に形成されたトナー像の反射率等から検知される画像濃度の情報に基づいて実施されてもよい。また、これらの異なる情報を組み合わせて、トナーTの供給の実施を判断してもよい。
供給管29は、トナー容器28から供給されるトナーTを現像装置13内に確実に導くためのものである。すなわち、トナー容器28から排出されたトナーTは、供給管29を介して、トナー補給口13eから現像装置13内に供給される。
【0041】
ここで、本実施の形態1において用いられるトナーTは、その重量平均粒径が5〜10μmであって、重量平均粒径が5μm以下のものが60〜80個数%の範囲で含まれるように形成されたものである。このように小粒径のトナーを用いることで、出力画像のドット再現性を高めることができる。
【0042】
以下、画像形成装置における現像装置13について詳述する。
図2〜図5を参照して、現像装置13は、現像ローラ13a(現像剤担持体)、搬送スクリュ13b1、13b2(オーガスクリュ)、現像剤規制部材としてのドクターブレード13c、等で構成されている。
現像ローラ13aは、外径が20mm程度の現像ローラであって、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂等の非磁性体を円筒形に形成してなるスリーブ13a2が不図示の回転駆動機構によって時計方向に回転されるように構成されている。図3及び図5を参照して、現像ローラ13aのスリーブ13a2内には、スリーブ13a2の周面に複数の磁極H1〜H4を形成するマグネット13a1が固設されている。現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、現像ローラ13aの矢印方向の回転にともなって搬送されて、ドクターブレード13cの位置に達する。そして、現像ローラ13a上の現像剤Gは、この位置で適量に規制された後に、感光体ドラム11との対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界(現像電界)によって、感光体ドラム11上に形成された潜像にトナーが吸着される。
【0043】
図5は、マグネット13a1によって現像ローラ13a(スリーブ13a2)の周囲に形成される複数の磁極H1〜H4を示している。図5に示すように、複数の磁極は、感光体ドラム11との対向位置に形成された主磁極H1、主磁極H1の下流側であって第2搬送経路の内壁面の一部にかかる位置に形成された搬送磁極H2、第2搬送経路の上方に形成された剤離れ磁極H3、第1搬送スクリュ13b1との対向位置からドクターブレード13cとの対向位置の近傍にかけて形成された汲上げ磁極H4(ドクタ対向磁極)、等で構成される。
まず、汲上げ磁極H4が磁性体としてのキャリアに作用して、第1搬送経路に収容された現像剤Gが現像ローラ13a上に汲上げられる。現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、その一部がドクターブレード13cの位置で掻き取られて、第1搬送経路に戻される。一方、汲上げ磁極H4による磁力が作用するドクターブレード13cの位置で、ドクターブレード13cと現像ローラ13aとのドクターギャップを通過して現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、主磁極H1の位置で穂立ちして現像領域において磁気ブラシとなって感光体ドラム11に摺接する。こうして、現像ローラ13aに担持された現像剤G中のトナーTが感光体ドラム11上の潜像に付着する。その後、主磁極H1の位置を通過した現像剤Gは、搬送磁極H2によって剤離れ磁極H3の位置まで搬送される。そして、剤離れ磁極H3の位置で、反発磁界がキャリアに作用して、現像ローラ13a上に担持されていた現像工程後の現像剤Gが現像ローラ13aから脱離される。脱離後の現像剤Gは、第2搬送経路内に落下して第2搬送スクリュ13b2によって第2搬送経路の下流に向けて搬送される。
【0044】
図2を参照して、2つの搬送スクリュ13b1、13b2(搬送部材)は、現像装置13内に収容された現像剤Gを長手方向(図2の紙面垂直方向である。)に循環しながら撹拌・混合する。
第1搬送スクリュ13b1(第1搬送部材)は、現像ローラ13aに対向する位置に配設されていて、現像剤Gを長手方向(回転軸方向)に水平に搬送する(図3(A)の破線矢印に示す右方向の搬送である。)とともに、汲上げ磁極H4の位置で現像ローラ13a上に現像剤Gを供給(図3(A)の白矢印方向の供給である。)する。
【0045】
第2搬送スクリュ13b2(第2搬送部材)は、第1搬送スクリュ13b1の下方であって現像ローラ13aに対向する位置に配設されている。そして、現像ローラ13aから離脱した現像剤G(現像工程後に剤離れ磁極H3によって現像ローラ13a上から強制的に離脱された現像剤Gであって、図3(B)の白矢印方向に離脱するものある。)を長手方向に水平に搬送する(図3(B)の破線矢印に示す左方向の搬送である。)。なお、本実施の形態1では、第2搬送スクリュ13b2の回転方向が、現像ローラ13aの回転方向と同方向(図2の時計方向である。)になるように設定されている。
そして、第2搬送スクリュ13b2は、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路の下流側から第1中継部13fを介して循環される現像剤Gを第1搬送部材13b1による搬送経路の上流側に第2中継部13gを介して搬送する(図3(B)の一点鎖線矢印に示す搬送である。)。
2つの搬送スクリュ13b1、13b2は、現像ローラ13aや感光体ドラム11と同様に、回転軸がほぼ水平になるように配設されている。また、2つの搬送スクリュ13b1、13b2は、軸部に外径が16mm以下のスクリュ部が螺旋状に巻装されたものである。
【0046】
なお、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路(第1搬送経路)と、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路(第2搬送経路)と、は壁部によって隔絶されている。
図3及び図4を参照して、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路(第2搬送経路)の下流側と、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路(第1搬送経路)の上流側と、は第2中継部13gを介して連通している。そして、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路において第2中継部13gの近傍に留まって盛り上がった現像剤Gが、第2中継部13gを介して第1搬送スクリュ13b1による搬送経路の上流側に搬送(供給)されることになる。
また、図3及び図4を参照して、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路の下流側と、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路の上流側と、は第1中継部13fを介して連通している。そして、第1搬送スクリュ13b1による第1搬送経路にて現像ローラ13a上に供給されなかった現像剤Gが、第1中継部13fにて自重落下して、第2搬送経路の上流側に達することになる。
【0047】
このような構成により、2つの搬送スクリュ13b1、13b2によって、現像装置13において現像剤Gを長手方向に循環させる循環経路が形成されることになる。すなわち、現像装置13が稼動されると、装置内に収容された現像剤Gは図3及び図4中の破線矢印の方向に流動する。そして、このように、現像ローラ13aに対する現像剤Gの供給経路(第1搬送スクリュ13a1による第1搬送経路である。)と、現像ローラ13aから離脱する現像剤Gの回収経路(第2搬送スクリュ13a2による第2搬送経路である。)と、を分離することで、感光体ドラム11上に形成するトナー像の濃度偏差を小さくすることができる。
【0048】
なお、図示は省略するが、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路中には、装置内を循環する現像剤のトナー濃度を検知する磁気センサが設置されている。そして、磁気センサによって検知されるトナー濃度の情報に基いて、トナー容器28からトナー補給口13e(第1中継部13fの近傍に配設されている。)を介して現像装置13内に向けて新品のトナーTが供給される。
また、図3、図4を参照して、トナー補給口13eは、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路の上流側の上方であって、現像領域から離れた位置(現像ローラ13aの長手方向の範囲の外側である。)に配設されている。このようにトナー補給口13eを第1中継部13fの近傍に設置することで、第2搬送経路において、現像ローラ13aから離脱した現像剤が比重の小さい補給トナーの上方から降りかかり、第2搬送経路の下流側に向けて比較的長い時間をかけて現像剤に対して補給トナーの分散・混合を充分におこなうことができる。
なお、本実施の形態1では、トナー補給口13eを第2搬送スクリュ13a2による搬送経路中に配設したが、トナー補給口13eの位置はこれに限定されることなく、例えば、第1搬送経路の上流側の上方に配置することもできる。
【0049】
以下、本実施の形態1の現像装置13における、特徴的な構成・動作について説明する。
本実施の形態1における現像装置13は、現像ローラ13a(スリーブ13a2)の表面に、第1溝部131と第2溝部132とが形成されている(図8を参照できる。)。
図6(A)、図8(A)を参照して、第1溝部131は、現像ローラ13aの回転軸方向に沿うように、現像ローラ13aの周方向に周期的に間隔をあけて全周にわたって複数設けられている。現像ローラ13a(スリーブ13a2)の表面に形成された複数の第1溝部131は、現像ローラ13a(スリーブ13a2)上における現像剤Gの搬送性(保持力)を向上させるためのものである。第1溝部131の溝形状は、例えば、図7(A)〜(C)のいずれかのものに設定することができる。
ここで、本実施の形態1では、第1溝部131の溝形状が、図7(A)に示すようにV溝形状であって、その深さが0.2mmnに設定されている。そして、外径が20mmの現像ローラ13aの表面に、60本(溝ピッチ6度)の第1溝部131が等間隔に形成されている。
【0050】
なお、第1溝部131の形態としては、図6(A)、図8(A)に示すように、現像ローラ13aの回転軸方向に沿うように形成されたものに限定されることはない。
例えば、第1溝部131として、図6(B)、図8(B)に示すように、現像ローラ13aの回転軸方向に対して傾斜するように形成されたものを用いることできる。ここでは、傾斜方向が異なる第1溝部131がアヤメ状に交わるように形成されている。
また、第1溝部131として、図6(C)、図8(C)に示すように、現像ローラ13aの回転軸方向に沿うように形成されるとともに回転軸方向に対して傾斜するように形成されたものを用いることできる。ここでは、1つの第1溝部131において、中央が回転軸方向に沿うように形成されて、両端が回転軸方向に対して傾斜するように形成されている。そして、現像ローラ13aの全体としては、複数の第1溝部131がウロコ状に形成されている。
【0051】
さらに、図8(A)を参照して、本実施の形態1における現像ローラ13a(スリーブ13a2)の表面には、第1溝部131が形成されていない領域に、第2溝部132が形成されている。第2溝部132は、現像ローラ13aの周方向に沿うように形成されていて、現像ローラ13aの回転軸方向に間隔(平均間隔Sm)をあけて複数設けられている。なお、第2溝部132は、上述した図6(B)、図6(C)の第1溝部131の形状に対応して、図8(B)、図8(C)のように形成することもできる。
そして、図9(A)に示すように、隣接する第2溝部132同士の回転軸方向の平均間隔をSmとして、キャリアCの重量平均粒径をDとしたときに、
Sm<D
なる関係が成立するように構成されている。具体的に、本実施の形態1では、第2溝部132の平均間隔Smが30μmに設定され、キャリアCの重量平均粒径Dが60μmに設定されている。なお、「平均間隔Sm」とは、JIS 0601(2001)における輪郭曲線要素の平均長さRSmと同義であるものとする。
このような構成により、第1溝部131が周方向に周期的に形成された現像ローラ13aにおいて、その表面にトナー固着を発生しにくくすることができる。
【0052】
以下、第2溝部132の平均間隔Smと、キャリアCの重量平均粒径Dと、の関係について詳述する。
図9(B)は、Sm>Dなる関係が成立するときの、現像ローラ13a上のキャリアCを示す図である。第2溝部132のない平面部に比べて、第2溝部132にはキャリアCがトラップされやすい。したがって、現像ローラ13a表面のキャリアCは、図9(B)に示すように、第2溝部132にトラップされているか、第2溝部132以外の表面に存在することになる。第2溝部132以外の表面はキャリアCを保持する力が弱いが、周囲のキャリアCに保持されることで現像ローラ13a上にトラップされる。この状態でドクターブレード13cとの対向位置や感光体ドラム11との対向位置でキャリアCが負荷を受けると、第2溝部132の端部M1に集中荷重が加わる。そして、その集中荷重によって、キャリアCに保持されたトナーや、現像ローラ13a表面に付着したトナーが、第2溝部132の端部M1に付着して固着することになる。これに対して、第2溝部132以外の表面に存在するキャリアCは、現像ローラ13aの表面の一部M2に集中荷重を加える。これにより、その位置M2にトナーが固着することになる。そして、経時で、第2溝部132以外の表面は、徐々に全体的にトナー固着が進行していって、出力画像上の画像濃度が低下したり、出力画像上に地肌汚れが生じたり、トナー飛散が生じたりする問題が生じてしまうことになる。
【0053】
これに対して、図9(A)は、Sm<Dなる関係が成立するときの、現像ローラ13a上のキャリアCを示す図であって、本実施の形態1における構成を示すものである。このような場合にも、現像ローラ13a表面のキャリアCは、第2溝部132でトラップされる。しかし、第2溝部132以外の表面には入り込む空間が小さいため、キャリアCは存在しにくくなる。また、第2溝部132以外の表面にキャリアCが存在したとしても、その保持力が弱いため、やがていずれかの第2溝部132にトラップされることになる。Sm<Dなる関係が成立するため、現像ローラ13a表面のキャリアCの個数よりも多くの第2溝部132が存在する。この状態でドクターブレード13cとの対向位置や感光体ドラム11との対向位置でキャリアCが負荷を受けると、第2溝部132にトラップされたキャリアCによって第2溝部132の端部M1のみに集中荷重が加わることになる。これに対して、第2溝部132以外の表面には、キャリアCが存在しないので、集中荷重が加わらない。したがって、経時で、第2溝部132以外の表面にトナー固着が発生することはない(第2溝部132の端部M1のみにトナー固着が発生する。)。その結果、現像ローラ13a表面のトナー固着の発生を軽減できて、出力画像上の画像濃度が低下したり、出力画像上に地肌汚れが生じたり、トナー飛散が生じたりする問題が低減されことになる。
【0054】
また、第2溝部132にトラップされたキャリアCは、現像ローラ13aの回転とともに第2溝部132に沿って移動して、第2溝部132以外の表面に存在しにくくなる。すなわち、キャリアCがマグネット13a1による磁力によって現像ローラ13a表面を移動する際に、規則的に周方向に沿って形成された微小な第2溝部132がレ−ルの役割を果たして、周方向へのキャリアCの移動が促進される。その結果、ドクターブレード13cとの対向位置や感光体ドラム11との対向位置でキャリアCが圧縮方向の負荷を受けても、キャリアCは周方向に形成された第2溝部132の上流側又は下流側に導かれるため、一箇所で押圧されてしまう不具合を抑制することができる。したがって、経時における現像ローラ13a表面へのトナー固着の発生が低減される。
【0055】
図10は、重量平均粒径Dが60μmのキャリアCを用いて、第2溝部132の平均間隔Smを変化させたときの、トナー固着による異常画像の発生余裕度を調べた結果を示すものである。
ここで、「トナー固着による異常画像の発生余裕度」とは、余裕度が大きいほど異常画像が発生しにくく、画像品質が良いという意味である。そして、×、△、○、◎の順に余裕度が高くなり、△が許容レベルの境である。
図10の結果から、第2溝部132の平均間隔SmがキャリアCの重量平均粒径Dよりも大きいとトナー固着に対する余裕度が低く、第2溝部132の平均間隔SmがキャリアCの重量平均粒径Dよりも小さいほどトナー固着に対する余裕度が高くなることがわかる。これは、先に図9にて説明したように、第2溝部132の平均間隔SmがキャリアCの重量平均粒径Dよりも小さいほど、第2溝部132の数が増えて第2溝部132によってキャリアCがトラップされやすくなるためである。このように、実験結果からも、本実施の形態1における現像ローラ13aがトナー固着に対して有利な構成であることが実証された。
【0056】
ここで、本実施の形態1では、第2溝部132が形成されている現像ローラ13a(スリーブ13a2)の表面の硬度が、キャリアCの硬度よりも大きくなるように形成されている。
詳しくは、アルミニウムからなる現像ローラ13aのスリーブ表面に、キャリアCの硬度よりも大きい硬度を有する被膜層が形成されている。すなわち、アルミニウムで形成されたスリーブ13a2に、キャリアCの硬度よりも大きい硬度を有する被膜層が形成されている。これにより、現像ローラ13aに形成された第2溝部132にキャリアCが押し付けられても、第2溝部132が磨耗して広がってしまう不具合が軽減されるために、上述した第2溝部132によってトナー固着を抑止する効果が経時においても安定的に維持されることになる。
なお、本実施の形態1で用いられるキャリアCは、ビッカース硬度Hv(JIS Z 2244に準拠した方法で測定できる。)が200のマグネタイト芯材に、シリコーン系樹脂をコーティングしたものである。
【0057】
特に、現像ローラ13aのスリーブ表面に形成する被膜層は、CrN、ZrN、TiNのいずれかで形成することが好ましい。
図11は、現像ローラ13aのスリーブ表面をアルミニウムで形成して、その表面上に種々の材質の被膜層を形成したときの、トナー固着による異常画像の発生余裕度を調べた結果を示すものである。図11中の「トナー固着による異常画像」は、図10中のものと同義である。また、図11中の被膜層材質の「なし」は、現像ローラ13aのスリーブ表面に被膜層を設けていないものであって、現像ローラ13aの表面の材質がスリーブ表面の材質(アルミニウム)になっている。
図11の結果から、被膜層の材質をNiやCrとした場合には、トナー固着に対する余裕度が、ローラ表面の材質がアルミニウムである場合と同等であるのがわかる。これに対して、被膜層の材質をCrNやZrNやTiNとした場合には、トナー固着に対する余裕度が大幅に向上するのがわかる。このような結果は、被膜層の摩擦係数等の違いによるものもあるが、被膜層の硬度の違いによるものが大きい。図11に示すように、ビッカース硬度で比較しても、CrN、ZrN、TiNは、NiやCrに比べて、2倍以上の硬度を有することになる。
【0058】
現像ローラ13aの表面は、マグネタイトやフェライト等の磁性体からなるキャリアCが、ドクターブレード13cとの対向位置や感光体ドラム11との対向位置で強く擦れ合うことで摩擦力が加えられる。このような現像剤G(キャリアC)との接触が繰り返されると、やがて現像ローラ13aの表面が削られていき、そこに微小な凸凹が形成される。この現像ローラ13a表面の微小な凹みにトナーTがトラップされて、圧力や摩擦を受けることで現像ローラ13a表面に融着してトナー固着にいたることになる。
トナーTとキャリアCとからなる2成分現像剤Gが収容された現像装置13においては、現像ローラ13aと感光体ドラム11との間の静電気場を用いて感光体ドラム11上に形成された静電潜像をトナー像として可視像化する。トナーは、キャリアとの摩擦帯電(主に、ドクターブレード13cの位置でおこなわれる。)によって電荷が付与されて、上述の静電気場を移動する。このため、トナーにはある程度の抵抗をもたせることで所望の帯電能力が発揮される。このトナーが現像ローラ13a表面に固着すると、その固着部に電荷が付与されて、現像ローラ13aの表面電位が部分的に変化する。その結果、現像ローラ13aと感光体ドラム11との間の静電気場が部分的に変化してしまい、地肌汚れや濃度低下といった異常画像が発生して画像品質が劣化してしまう。
これに対して、現像ローラ13aの表面にCrN、ZrN、TiNのいずれかからなる硬質の被膜層を形成することで、キャリアとの接触による圧力や摩擦を受けても現像ローラ13aの表面が削れる不具合が軽減される。したがって、現像ローラ13aの表面にトナーがトラップされる微小な凹凸が形成されにくくなって、現像ローラ13a表面へのトナー固着が確実に低減される。その結果、現像ローラ13aへのトナー固着による異常画像の発生を抑制できる。なお、被膜層の層厚を2〜10μm程度に設定しても充分な耐久性を有する。
【0059】
なお、現像ローラ13aの表面に形成するCrN、ZrN、TiNのいずれかからなる被膜層は、イオンプレーティング法により形成することが好ましい。
イオンプレーティング法は、PVD法(物理気相成長法)の1種であって、基材を高温に加熱することなく被膜処理できる蒸着法である。具体的に、イオンプレーティング法を用いて被膜層を形成する場合に、CrNの場合には150〜200℃の蒸着温度、ZrNの場合には180〜220℃の蒸着温度、TiNの場合には200〜250℃の蒸着温度が必要になる。
被膜処理時の蒸着温度が高いと、現像ローラ13aが熱変形してしまい、周方向に振れが生じてしまったり、回転軸方向に反りが生じてしまったりする。蒸着温度が比較的低いイオンプレーティング法により被膜層を形成することにより、このような不具合が発生しにくくなる。
【0060】
ここで、本実施の形態1では、アルミニウムからなる現像ローラ13aのスリーブ表面に硬質の被膜層を形成することで、現像ローラ13aの表面の硬度をキャリアCの硬度よりも大きく設定した。これに対して、現像ローラ13aのスリーブ表面に被膜層を形成することなく、現像ローラ13aのスリーブ13a2自体をキャリアCの硬度より大きな硬度を有する材料で形成することもできる。しかし、その場合には、スリーブ表面に切削加工をおこなって第2溝部132等を形成するのが難しくなる。一方、本実施の形態1の構成によれば、ビッカース硬度Hvが100程度のアルミニウムからなるスリーブ表面に切削加工を施して第2溝部132等を形成した後に、その表面に硬質の被膜層を設けることができるために、現像ローラの加工性を高めることができる。
【0061】
また、本実施の形態1において、現像ローラ13aの表面は、導電性を有するように形成することが好ましい。例えば、現像ローラ13aのスリーブ表面に被膜層を形成する場合には、導電性を有する被膜層を形成することになる。
ここで、現像ローラ13a表面の材質として絶縁体を用いた場合を考える。このような状態は、現像ローラ13a表面の全体にトナーが固着した場合と置き換えることができる。そして、このように絶縁体からなるローラ表面に電荷が付与されると、電荷は移動することなくローラ表面に溜まっていく。その結果、現像ローラ13aと感光体ドラム11との間の静電気場が変化してしまい、感光体ドラム11上に形成される画像に地肌汚れや濃度低下が生じてしまう。
これに対して、現像ローラ13a表面に導電性をもたせることで、ローラ表面に電荷が付与されても、その電荷はすぐに移動してローラ表面に溜まることはない。したがって、感光体ドラム11上に形成される画像に地肌汚れや濃度低下が生じる不具合が抑止される。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態1では、現像ローラ13aの表面に第1溝部131に加えて第2溝部132を形成して、その第2溝部132の間隔Smを適正化しているために、現像ローラ13a上における現像剤Gの搬送性が良好で、現像ローラ13aの周方向や回転軸方向の振れが小さくて、経時で現像ローラ13aの表面にトナー固着が発生しにくく、良好な出力画像を経時においても安定的に形成することができる。
【0063】
実施の形態2.
図12〜図15にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図12は、実施の形態2における現像装置13の要部を示す構成図である。また、図13〜図15は、それぞれ、別の現像装置13の要部を示す構成図である。
本実施の形態2における現像装置13は、複数の現像ローラ13aA〜13aCが設置されている点が、単数の現像ローラ13aが設置されている前記実施の形態1のものと相違する。
【0064】
図示は一部省略するが、本実施の形態2における現像装置13も、前記実施の形態1のものと同様に、現像ローラ、搬送スクリュ、現像剤規制部材としてのドクターブレード、等で構成されている。
ここで、図12に示す現像装置13は、3本の現像ローラ13aA〜13aCが、感光体ドラム11に対向する位置に、感光体ドラム11の回転方向に沿うように設置されている。反時計方向に回転する感光体ドラム11に対して、3本の現像ローラ13aA〜13aCは、いずれも、時計方向に回転する。3本の現像ローラ13aA〜13aCは、いずれの表面にも第1溝部131が形成されている。また、感光体ドラム11の回転方向(走行方向)に対して最上流にある第1の現像ローラ13aAは、ドクターブレード13cに対向するように配設されている。
そして、現像装置13内から第1の現像ローラ13aA上に現像剤が汲み上げられると、その後にドクターブレード13cとの対向位置で第1の現像ローラ13aA上に担持された現像剤量が規制される。そして、第1の現像ローラ13aA上に担持された現像剤は、感光体ドラム11との対向位置(第1の現像領域)で第1の現像工程がおこなわれた後に、第2の現像ローラ13aB上に受け渡される。そして、第2の現像ローラ13aB上に担持された現像剤は、感光体ドラム11との対向位置(第2の現像領域)で第2の現像工程がおこなわれた後に、第3の現像ローラ13aC上に受け渡される。そして、第3の現像ローラ13aC上に担持された現像剤は、感光体ドラム11との対向位置(第3の現像領域)で第3の現像工程がおこなわれた後に、現像装置13内に向けて離脱される。
【0065】
このように複数の現像ローラ13aA〜13aCが設置された現像装置13において、トナー固着による異常画像の発生を抑止するために、複数の現像ローラ13aA〜13aCのすべてに対して、前記実施の形態1と同様に、第2溝部132を設けたり、ローラ表面に被膜層を形成したりすることもできる。しかし、その場合には、現像装置13が高コスト化してしまうことになる。
したがって、本実施の形態2では、ドクターブレード13cに対向する現像ローラにのみ、第2溝部132を形成したり、ローラ表面に硬質の被膜層を形成したりしている。具体的に、図12の現像装置13では、3つの現像ローラ13aA〜13aCのうち、ドクターブレード13cに対向する第1の現像ローラ13aAにのみ、第2溝部132を形成して、ローラ表面にCrN等の被膜層を形成している。
【0066】
ここで、図12のように、3つの現像ローラ13aA〜13aCが設置された現像装置13において生じる、トナー固着について説明する。
このような現像装置13において、ドクターブレード13cに対向する第1の現像ローラ13aAが、他の現像ローラ13aB、13aCに比べて、最もトナー固着が発生しやすい。そして、ドクターブレード13cとの対向位置で第1の現像ローラ13aA上で現像剤が強く擦れ合って、ローラ表面にトナー固着が発生すると、トナーの帯電能力(負の帯電特性をもつものとする。)により、ローラ表面がトナーと同極性にチャージアップする。これにより、第1の現像ローラ13aAと第2の現像ローラ13aBとの間に、電位差が生じる(第1の現像ローラ13aAの表面電位が第2の現像ローラ13aBの表面電位に比べて負になる。)。そして、負に帯電したトナーは、その電位差に従って、第1の現像ローラ13aAから第2の現像ローラ13aBに移動する(現像される。)。そして、第2の現像ローラ13aBに現像されたトナーは、現像剤に摩擦されることで第2の現像ローラ13aBの表面に融着していく。これは、第2の現像ローラ13aBのローラ表面にトナーが現像されて付着しやすくなるので、ローラ表面の微小な凹凸にトナーがトラップされやすくなるためである。その結果、第2の現像ローラ13aB表面にトナー固着が発生する。同様のメカニズムによって、第3の現像ローラ13aCの表面にもトナー固着が発生する。このように、第1の現像ローラ13aAにトナー固着が発生すると、それをトリガーにして他の現像ローラ13aB、13aCにも加速的にトナー固着が発生してしまう。その結果、出力画像上に地肌汚れや濃度低下が発生してしまう。
【0067】
これに対して、最もトナー固着が発生しやすく、他の現像ローラへのトナー固着の発生源となる、第1の現像ローラ13aA(ドクターブレード13cに対向する現像ローラである。)に対してのみ、第2溝部132を形成して、ローラ表面にCrN等の被膜層を形成することで、現像装置13のコストアップを抑えつつ、トナー固着による異常画像の発生を確実に低減することができる。
なお、ドクターブレード13cに対向しない他の現像ローラ13aB、13aCの表面には、感光体ドラム11との対向位置でのみ摩擦が加わるため、ドクターブレード13cに対向する第1の現像ローラ13aAに比べて、トナー固着の発生の度合いがとても低い。ただし、上述したように隣接する現像ローラとの間にトナー固着による電位差が発生すると、現像ローラ表面にトナー固着が発生しやすくなる。したがって、上述したように第1の現像ローラ13aAのみのトナー固着を制限することで、他の現像ローラ13aB、13aCのトナー固着を大幅に抑止することができる。
【0068】
ここで、図13のように、複数のドクターブレード13cA、13cCが設置された現像装置13に対しても、ドクターブレード13cA、13cCに対向する現像ローラ13aA、13aCのすべてに対して、第2溝部132を形成したり、ローラ表面に硬質の被膜層を形成したりすることができる。
図13の現像装置13は、第1の現像ローラ13aAに第1のドクターブレード13cAが対向して、第3の現像ローラ13aC(反時計方向に回転する。)に第2のドクターブレード13cCが対向するように構成されている。このような場合にも、最もトナー固着が発生しやすく、他の現像ローラへのトナー固着の発生源となる、第1の現像ローラ13aA(ドクターブレード13cAに対向する現像ローラである。)と、第3の現像ローラ13aC(ドクターブレード13cCに対向する現像ローラである。)と、に対して、第2溝部132を形成して、ローラ表面にCrN等の被膜層を形成することで、現像装置13のコストアップを抑えつつ、トナー固着による異常画像の発生を確実に低減することができる。
【0069】
さらに、図14及び図15に示すように、ドクターブレードに対向する現像ローラが複数ある現像装置13の場合には、複数の現像ローラのうち、感光体ドラム11の回転方向(走行方向)に対して最も下流側にある現像ローラに対してのみ、第2溝部132を形成したり、ローラ表面に硬質の被膜層を形成したりすることができる。
図14の現像装置13は、3つの現像ローラ13aA〜13aCのすべてが、それぞれ、ドクターブレード13cA、13cB、13cCに対向するように構成されている。このような現像装置13に対しては、3つの現像ローラ13aA〜13aCのうち、最下流にある第3の現像ローラ13aCにのみ、第2溝部132を形成したり、ローラ表面にCrN等の被膜層を形成したりする。このような構成により、上流側の2つの現像ローラ13aA、13aBの表面ではトナー固着が発生して、それぞれの現像領域(第1の現像領域、第2の現像領域)にて感光体ドラム11上に現像される画像に地肌汚れや濃度低下が生じることになる。しかし、最下流の第3の現像ローラ13aCの表面にはトナー固着が発生しにくく、現像領域(第3の現像領域)では良好な現像工程がおこなわれるために、その上流側で生じた地肌汚れや濃度低下を補完することができる。したがって、結果として、出力画像における地肌汚れや濃度低下の発生を低減することができる。このように、3つの現像ローラ13aA〜13aCのすべてに第2溝部132や被膜層を設ける場合に比べて、現像装置13のコストアップを抑えつつ、トナー固着による異常画像の発生を低減することができる。
【0070】
また、図15に示すように、3つの現像ローラ13aA〜13aCのうち、2つの現像ローラ13aA、13aBがドクターブレード13cA、13cBに対向するように構成された現像装置13に対しても、ドクターブレードに対向する現像ローラ13aA、13aBのうち最下流にある第2の現像ローラ13aBに対してのみ、第2溝部132を形成したり、ローラ表面に硬質の被膜層を形成したりすることができる。これにより、現像装置13のコストアップを抑えつつ、トナー固着による異常画像の発生を低減することができる。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態2では、複数の現像ローラ13aA〜13aCのうち少なくとも1つの現像ローラの表面に第1溝部131に加えて第2溝部132を形成して、その第2溝部132の間隔Smを適正化しているために、現像ローラ13aA〜13aC上における現像剤Gの搬送性が良好で、現像ローラ13aA〜13aCの周方向や回転軸方向の振れが小さくて、経時で現像ローラ13aA〜13aCの表面にトナー固着が発生しにくく、良好な出力画像を経時においても安定的に形成することができる。
【0072】
なお、本実施の形態2では、3本の現像ローラ13aA〜13aCが設置された現像装置13に対して本発明を適用したが、2本又は4本以上の現像ローラが設置された現像装置に対しても当然に本発明を適用することができる。そして、そのような場合であっても、上述した本実施の形態2における効果と同様の効果を得ることができる。
【0073】
さらに、前記各実施の形態では、現像剤を長手方向に搬送する搬送スクリュが設置された現像装置13に対して本発明を適用したが、現像剤を短手方向に搬送する搬送パドル等が設置された現像装置(例えば、特許文献6等に記載された現像装置である。)に対しても、当然に本発明を適用することができる。そして、このような場合であっても、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、前記各実施の形態では、トナー容器28から現像装置13に向けてトナーTを供給したが、トナー容器(現像剤容器)から現像剤G(トナーT及びキャリアC)を現像装置13に向けて供給することもできる。その場合、現像装置13から余剰の現像剤を適宜に排出する手段を設けることになる。このような場合であっても、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、前記各実施の形態においては、現像装置13が単体で画像形成装置本体に着脱されるユニットして構成されている画像形成装置に対して、本発明を適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されることなく、作像部の一部又は全部がプロセスカートリッジ化されている画像形成装置に対しても、当然に本発明を適用することができる。
【0076】
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 画像形成装置本体(装置本体)、
11、11Y、11C、11M、11BK 感光体ドラム(像担持体)、
13 現像装置(現像部)、
13a、13aA、13aB、13aC 現像ローラ、
13c、13cA、13cB、13cC ドクターブレード(現像剤規制部材)、
131 第1溝部、
132 第2溝部、
G 現像剤(2成分現像剤)、 T トナー、 C キャリア。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開2000−321864号公報
【特許文献2】特開2003−270923号公報
【特許文献3】特開2002−62725号公報
【特許文献4】特開2004−163906号公報
【特許文献5】特開2004−85630号公報
【特許文献6】特開2002−268382号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアとトナーとを有する現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置であって、
前記像担持体に対向するとともに現像剤を担持する単数又は複数の現像ローラを備え、
前記単数又は複数の現像ローラは、その表面に、当該現像ローラの回転軸方向に沿うように、又は/及び、当該現像ローラの回転軸方向に対して傾斜するように、形成された第1溝部が当該現像ローラの周方向に間隔をあけて複数設けられ、
前記単数又は複数の現像ローラのうち少なくとも1つの現像ローラは、その表面に、当該現像ローラの周方向に沿うように形成された第2溝部が当該現像ローラの回転軸方向に間隔をあけて複数設けられ、
隣接する前記第2溝部同士の前記回転軸方向の平均間隔をSmとして、前記キャリアの重量平均粒径をDとしたときに、
Sm<D
なる関係が成立するように構成されたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、その表面の硬度が前記キャリアの硬度よりも大きくなるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、その表面に前記キャリアの硬度よりも大きい硬度を有する被膜層が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記被膜層は、CrN、ZrN、TiNのいずれかで形成されたことを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記被膜層は、イオンプレーティング法により形成されたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記被膜層は、アルミニウムからなる前記現像ローラのスリーブ表面に形成されたことを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、その表面が導電性を有するように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、当該現像ローラ上に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材に対向することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、現像ローラ上に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材に対向する複数の現像ローラのうち、前記像担持体の走行方向に対して最も下流側にある単数の現像ローラであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項10】
前記トナーは、その重量平均粒径が5〜10μmであって、重量平均粒径が5μm以下のものが60〜80個数%の範囲で含まれるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の現像装置。
【請求項11】
画像形成装置の装置本体に対して着脱自在に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項1〜請求項10のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とが一体化されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項12】
請求項1〜請求項10のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
キャリアとトナーとを有する現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置であって、
前記像担持体に対向するとともに現像剤を担持する単数又は複数の現像ローラを備え、
前記単数又は複数の現像ローラは、その表面に、当該現像ローラの回転軸方向に沿うように、又は/及び、当該現像ローラの回転軸方向に対して傾斜するように、形成された第1溝部が当該現像ローラの周方向に間隔をあけて複数設けられ、
前記単数又は複数の現像ローラのうち少なくとも1つの現像ローラは、その表面に、当該現像ローラの周方向に沿うように形成された第2溝部が当該現像ローラの回転軸方向に間隔をあけて複数設けられ、
隣接する前記第2溝部同士の前記回転軸方向の平均間隔をSmとして、前記キャリアの重量平均粒径をDとしたときに、
Sm<D
なる関係が成立するように構成されたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、その表面の硬度が前記キャリアの硬度よりも大きくなるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、その表面に前記キャリアの硬度よりも大きい硬度を有する被膜層が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記被膜層は、CrN、ZrN、TiNのいずれかで形成されたことを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記被膜層は、イオンプレーティング法により形成されたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記被膜層は、アルミニウムからなる前記現像ローラのスリーブ表面に形成されたことを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、その表面が導電性を有するように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、当該現像ローラ上に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材に対向することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
前記第2溝部が形成された前記少なくとも1つの現像ローラは、現像ローラ上に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材に対向する複数の現像ローラのうち、前記像担持体の走行方向に対して最も下流側にある単数の現像ローラであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項10】
前記トナーは、その重量平均粒径が5〜10μmであって、重量平均粒径が5μm以下のものが60〜80個数%の範囲で含まれるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の現像装置。
【請求項11】
画像形成装置の装置本体に対して着脱自在に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項1〜請求項10のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とが一体化されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項12】
請求項1〜請求項10のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−217237(P2010−217237A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60659(P2009−60659)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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