説明

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】層規制部材による荷電バラツキを発生させることが無く、長期にわたり安定した画像品質を得ることのできる現像装置を提供する。
【解決手段】現像ローラ(現像剤担持体)の回転方向における層規制部材104の上流側で現像ローラ103に接触して現像剤リセット部材108が設けられる。この現像剤リセット部材108は、現像ローラ103の軸方向に延設される窓109(穴110)を有しており、現像ローラ103から剥ぎ取った現像剤を、窓109(穴110)を介して現像ローラとは反対側に通過させる。これにより、現像領域通過後に現像ローラ103上に残っている現像剤を確実に回収し、層規制部材による荷電バラツキの発生を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一成分現像剤を用いる現像装置ならびにその現像装置を搭載するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー画像形成装置の代表的なものとして、複数の作像ユニットによって色の異なる画像(現像剤像)を形成し、それらを直接又は中間転写体を介して記録媒体に一括して転写させるタンデム方式のものが知られている。作像ユニットは、静電潜像が形成される像担持体(感光体)と、感光体表面を帯電させる帯電ローラと、静電潜像パターンに従って粉体である現像剤を感光体表面に現像して現像剤像を形成する現像装置と、画像転写後に感光体上に残った現像剤を清掃するクリーニング装置から成る。中間転写体又は記録媒体搬送手段はベルトで構成され、各色のユニットは中間転写ベルト又は搬送ベルトに対向させて並べて配置される。なお、作像ユニットをプロセスカートリッジとして画像形成装置本体に着脱可能に設けることも多い。
【0003】
一成分現像剤を用いる現像装置としては、現像剤担持体と、該現像剤担持体に現像剤を供給すると共に該現像剤担持体に現像後に残留した現像剤を回収する機能を有した現像剤供給部材と、該現像剤担持体に供給された現像剤の搬送量を規制すると共に現像剤を荷電させる層規制部材から構成されるものがある。現像剤供給部材は、現像剤担持体とカウンター方向に回転し、現像剤担持体に残留した現像剤を回収し、かつ現像剤担持体に対して現像剤を供給する機能を有しているため、外部から動力を伝達される、もしくは現像剤担持体や他の回転体から動力を分岐するためのギヤ構成を用いて駆動される。
【0004】
従来の技術では、特開平8−234557号公報(特許文献1)に記されているように、現像剤担持体に現像剤を供給させるための現像剤供給部材があり、かつ、現像剤供給部材を駆動させるための駆動装置もしくは伝達経路を確保するため小型化と低コスト化の障害になっていた。また、現像剤供給部材は現像剤担持体に現像剤を供給する機能のほかに現像剤を回収するリセット機能を有しているが、該現像剤担持体と圧接した状態で回転しているため磨耗により現像剤の供給力と回収力が経時で低下する問題があった。また、現像剤担持体と現像剤供給部材とで現像剤を摩擦し、押圧するため、現像剤の劣化も促進していた。
【0005】
このような問題を解決するために、特開2007−86447号公報(特許文献2)に記載されるように、現像剤担持体と対向する位置に非接触の電極を設け、該電極に現像剤を剥離させる方向の電界を印加させることで現像剤の回収を行い、現像ローラ上に残存した微粉トナーに起因する濃度低下や、残像(ゴースト)現象の発生などを、長期的に安定して抑制する工夫をしている。しかし、この方法では電界に対して応答性のある現像剤に対しては効果があるものの逆極性に帯電した現像剤に対しては剥離させる効果が無く、該現像剤担持体に微粉トナーを残存させることとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現像剤担持体(現像ローラ)上に現像剤の層を形成するにあたり、常に新たに現像ローラと接触した現像剤を層規制部材で荷電および搬送量を制御することができれば、残像などの画像欠陥を発生させることがなく好適である。しかし、従来の現像装置においては、現像領域通過後に現像ローラ上に残っている現像剤を確実に回収して現像ローラをリセットすることが充分ではなく、層規制部材によって規制される現像剤は、層規制部材を通過する回数の差があることにより、荷電バラツキの影響によって残像などの画像欠陥が発生するという問題があった。
【0007】
本発明は、従来の現像装置における上述の問題を解決し、現像領域通過後に現像剤担持体上に残っている現像剤を確実に回収することがき、層規制部材による荷電バラツキを発生させることが無く、長期にわたり安定した画像品質を得ることのできる現像装置ならびにプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題は、本発明により、現像剤を担持して現像領域に搬送する回転可能な現像剤担持体と、該現像剤担持体上の現像剤を薄層化する層規制部材とを有する現像装置において、前記現像剤担持体の回転方向における前記層規制部材の上流側で前記現像剤担持体に接触して設けられ前記現像剤担持体上の現像剤を剥ぎ取る現像剤リセット部材を具備し、該現像剤リセット部材は、前記現像剤担持体から剥ぎ取った現像剤を前記現像剤担持体と反対側に通過させる穴部を有することにより解決される。
【0009】
また、前記現像剤リセット部材が平板状部材として設けられ、前記穴部が前記現像剤担持体の軸方向に延設されると好ましい。
また、前記穴部が複数個に分割されていると好ましい。
【0010】
また、前記穴部が前記現像剤担持体回転方向に複数列設けられていると好ましい。
また、前記穴部の前記現像剤担持体と接触する面の角部が曲線状断面に設けられていると好ましい。
【0011】
また、前記現像剤リセット部材は、前記現像剤担持体と接触する面にフッ素もしくは樹脂系のコーティングが施されていると好ましい。
また、前記現像剤リセット部材が網目状部材であると好ましい。
【0012】
また、前記網目状部材が前記現像剤担持体と接触する領域においては、前記網目状部材を構成する横糸及び縦糸の一方のみが前記現像剤担持体と接触するように設けられていると好ましい。
【0013】
また、前記現像剤担持体と接触する側の糸が、前記現像剤担持体の軸と成す角度を80度未満で傾斜させて配置されると好ましい。
また、前記現像剤リセット部材が導電性素材で形成されており、その表面抵抗値が10の2〜9乗Ωであると好ましい。
【0014】
また、前記現像剤リセット部材に対して、現像剤の帯電極性と同じ極性の電圧が印加されると好ましい。
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜11のいずれか1項に記載の現像装置を搭載するプロセスカートリッジにより解決される。
【0015】
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜11のいずれか1項に記載の現像装置または請求項12に記載のプロセスカートリッジを備える画像形成装置により解決される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置によれば、剥ぎ取った現像剤を現像剤担持体と反対側に通過させる穴部を有する現像剤リセット部材により現像剤担持体上の現像剤を剥ぎ取るので、像担持体への現像過程を通過後に現像剤担持体上に残った現像剤が層規制部材を通過する以前に除去されるため、常に新しい現像剤が現像剤担持体に供給搬送され、層規制部材の通過回数の差による荷電バラツキの影響による残像などの画像欠陥の発生を防止することができる。よって、長期にわたり安定した画像品質を得ることが可能となる。
【0017】
請求項2の構成により、確実に現像剤を剥ぎ取ることのできる現像剤リセット部材を簡単な構成で低コストに実現することができる。
請求項3の構成により、現像剤リセット部材の穴部が複数個に分割されているので、現像剤リセット部材の剛性を高めることができる。
【0018】
請求項4の構成により、現像剤リセット部材の穴部が現像剤担持体回転方向に複数列設けられているので、現像剤リセット部材の剛性を維持しつつ、現像剤担持体からより均一に安定して現像剤を剥がす効果が得られる。
【0019】
請求項5の構成により、現像剤リセット部材の穴部の現像剤担持体と接触する面の角部が曲線状断面に設けられているので、現像剤担持体と長期にわたり接触する際に現像剤担持体を磨耗から防ぐ効果を得られる。
【0020】
請求項6の構成により、現像剤リセット部材の現像剤担持体と接触する面にフッ素もしくは樹脂系のコーティングが施されているので、現像剤が該現像剤リセット部材に付着するの防止し、現像剤担持体に形成する現像剤の層を安定して形成させる効果を得られる。
【0021】
請求項7の構成により、現像剤リセット部材が網目状部材であるので、現像剤担持体と現像剤リセット部材とが接触する部分を増やすことができ、現像剤剥ぎ取り効果を高めることができる。また、剥ぎ取った現像剤の堆積をより効果的に防止することができる。
【0022】
請求項8の構成により、現像剤担持体と接触する領域においては網目状部材を構成する横糸及び縦糸の一方のみが現像剤担持体と接触するように設けられているので、網目状部材の糸が接触しない領域が生じないようにすることができ、剥ぎ取りムラを防止することができる。
【0023】
請求項9の画像形成装置によれば、現像剤担持体と接触する側の糸が、現像剤担持体の軸と成す角度を80度未満で傾斜させて配置されるので、現像剤担持体の幅広い領域に対して複数の(多数の)糸が接触されるようになり、均一にムラ無く現像剤を剥ぎ取ることができる。
【0024】
請求項10の構成により、現像剤リセット部材が導電性素材で形成されており、その表面抵抗値が10の2〜9乗Ωであるので、現像剤の帯電電荷を除電することが可能となり、現像剤担持体からの現像剤の除去を容易にする効果を得られる。
【0025】
請求項11の構成により、現像剤リセット部材に対して、現像剤の帯電極性と同じ極性の電圧が印加されるので、現像剤を静電的に剥ぎ取ることが可能となり、現像剤担持体に付着した現像剤のほぼ全てを除去する効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る現像装置を搭載するプロセスカートリッジの断面図である。
【図2】現像剤リセット部材の第1実施例が配置される現像ローラ付近の斜視図である。
【図3】現像剤リセット部材の第2実施例が配置される現像ローラ付近の斜視図である。
【図4】現像剤リセット部材の第3実施例が配置される現像ローラ付近の斜視図である。
【図5】現像剤リセット部材に設けた窓(穴)の形状を示す断面図である。
【図6】現像剤リセット部材にコート層を設けた構成を示す断面図である。
【図7】現像剤リセット部材の第4実施例が配置される現像ローラ付近の斜視図である。
【図8】網目状部材で形成された現像剤リセット部材の構成を示す断面図である。
【図9】縦糸もしくは横糸を形成するワイヤーの構成を示す模式図である。
【図10】網目状部材からなる現像剤リセット部材の構成を模式的に示す平面図である。
【図11】現像ローラと現像剤リセット部材との間に電圧を印加する構成を示すプロセスカートリッジの断面図である。
【図12】本発明を適用した画像形成装置の一例であるカラープリンタの概略を示す断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る現像装置を搭載するプロセスカートリッジの断面図である。この図に示すプロセスカートリッジユニット1は、像担持体である感光体ドラム2の周囲に帯電手段3,現像装置4,クリーニング手段5を配置し、これらを一体にユニット化した構成になっており、後述する画像形成装置本体に着脱可能に構成されている。
【0028】
感光体ドラム2は、画像形成装置本体の駆動系により図中時計回りに回転駆動される。帯電部材3は、感光体ドラム2の表面に圧接されており、感光体ドラム2の回転により従動回転する。
【0029】
帯電部材3には画像形成装置本体の高圧電源により所定のバイアスが印加され、感光体ドラム2の表面を帯電する。本例においては、帯電部材としてローラ状の部材を用いこれを感光対に接触させて帯電させる接触帯電方式を用いているが、帯電部材と感光体ドラムが非接触の状態で帯電させる非接触帯電方式を用いても良い。
【0030】
感光体クリーニング手段5は感光体ドラム2表面の転写残トナーのクリーニングを行なう。
現像装置4は一成分接触現像方式であり、感光体ドラム2上に形成された静電潜像をトナー像として顕像化する。
【0031】
本実施例の現像装置4は、現像剤を収容する現像剤収容室106を有しており、該現像剤収容室106の下部に現像ローラ103と層規制部材104が設けられている。層規制部材104は先端部を現像ローラ103に当接して設けられる。現像剤収容室106には、現像剤を攪拌し下部の現像ローラ103へ現像剤を搬送するアジテータ105が設けられている。現像ローラ103は感光体ドラム2に接触して配置され、画像形成装置本体の高圧電源から所定の現像バイアスが印加される。
【0032】
現像ローラ103には、弾性ゴム層を被覆したローラが用いられ、さらに表面には現像剤と逆の極性に帯電し易い材料からなる表面コート層が設けられる。弾性ゴム層は、感光体ドラム2との接触状態を均一に保つ為に、JIS−Aで70度以下の硬度に設定され、さらに現像バイアスを作用させるために10〜1010Ωの電気抵抗値に設定される。表面粗さはRaで0.2〜2.0μmに設定され、必要量の現像剤が表面に保持される。
【0033】
現像ローラ103は図中反時計回りの方向に回転し、表面に保持した現像剤を層規制部材104および感光体ドラム2との対向位置へと搬送する。層規制部材104は、SUS304CSPやSUS301CSPまたはリン青銅等の金属板バネ材料を用い、自由端側を現像ローラ103表面に10〜100N/mの押圧力で当接させたもので、その押圧力下を通過した現像剤を薄層化すると共に摩擦帯電によって電荷を付与する。さらに層規制部材104には、摩擦帯電を補助する為に、現像ローラ103に印加した電位に対して現像剤の帯電極性と同極性にオフセットさせた電圧を規制バイアスとして印加させても良い。感光体ドラム2は図中時計回りの方向に回転し、従って現像ローラ103表面は感光体ドラム2との対向位置において感光体ドラム2の進行方向と同方向に移動する。該現像ローラ103上の薄層化された現像剤は、現像ローラ103の回転によって感光体ドラム2との対向位置へ搬送され、現像ローラ103に印加された現像バイアスと感光体ドラム2上の静電潜像によって形成される潜像電界に応じて、感光体ドラム2表面に移動し現像される。
【0034】
感光体ドラム2上に現像されずに現像ローラ103上に残された現像剤が再び現像剤収容室106内へと戻る部分には、封止シール107が現像ローラ103に当接して設けられ、現像剤が現像装置外部に漏れ出ないように封止される。さらに、該封止シール107の下流側には、現像されずに再び現像剤収容室106内へ戻ってきた現像剤を現像ローラ103から剥し取るための現像剤リセット部材108が、現像ローラ103と当接して設けられている。該現像剤リセット部材108は、少なくとも機械的な摩擦力により現像ローラ103に付着している現像剤を現像ローラ103から剥離させ剥ぎ取る機能を有している。
【0035】
図2は、現像剤リセット部材の第1実施例が配置される現像ローラ付近の斜視図である。
この図に示すように、現像ローラ103には現像剤の搬送量を規制するための層規制部材104が当接して設けられている。さらに、その上流側(現像ローラ103回転方向の上流側)に現像剤リセット部材108が当接して設けられている。該現像剤リセット部材108は、該現像ローラの表層に現像されずに戻ってきた現像剤をプレート状の当接部材によって剥ぎ取る機能を有している。現像剤リセット部材108には、剥ぎ取った現像剤が該現像剤リセット部材108の上流側に蓄積されるのを防止するために現像剤が通過できるように窓109が設けられている。該窓109は、剥ぎ取った現像剤を該現像剤リセット部材の上流側から下流側の現像剤収容室106内に移動させるための開口であるとともに、剥ぎ取った現像剤を収容室106内の現像剤と適度に混合させる効果がある。該窓109を構成する穴110は、図示例では長方形形状を成しているが、楕円形や長方形の角部に曲線を用いた形状を有していても同様の効果を得ることが可能である。現像ローラ103は、現像剤リセット部材108により表層に付着した現像剤を回収された後、再び現像剤を搬送し、層規制部材104により現像剤を荷電させるととともに現像剤の搬送量を規定し、常に安定した荷電量と搬送量を現像ローラ103の表層に形成することが可能となる。
【0036】
このように、現像ローラ103に付着している現像剤を剥ぎ取る現像剤リセット部材108を設けたことにより、感光体ドラムへの現像過程を通過後に現像ローラ103上に残った現像剤が層規制部材104を通過する以前に除去されるため、常に新しい現像剤が現像ローラ103に供給搬送され、層規制部材104の通過回数の差による荷電バラツキの影響による残像などの画像欠陥の発生を防止することができる。よって、長期にわたり安定した画像品質を得ることが可能となる。
【0037】
図3は、現像剤リセット部材の第2実施例が配置される現像ローラ付近の斜視図である。
本第2実施例の現像剤リセット部材208は、長方形形状の穴210を現像ローラ軸方向に少なくとも2つ以上(図示例では6個)並べて窓209を構成したものである。このように現像ローラ軸方向の幅よりも幅の狭い穴を複数並べて窓209を構成することにより、現像剤リセット部材としての効果を維持しつつ、該現像剤リセット部材208の剛性を向上させることが可能となる。また、部材形状により剛性を向上させることが可能なことから、該現像剤リセット部材208の板厚を薄くでき、加工性と部材コストを同時に改善することが可能となる。また、上記窓209の穴210は、図3において長方形形状を成しているが円形や楕円形の形状、もしくは、長方形の角部に曲線を用いた形状を有していても同様の効果を得ることが可能である。
【0038】
図4は、現像剤リセット部材の第3実施例が配置される現像ローラ付近の斜視図である。
本第3実施例の現像剤リセット部材308は、長方形形状の穴310を現像ローラ軸方向に少なくとも2つ以上並べた列を、現像ローラ回転方向に複数列(図示例では2列)に配置して窓309を構成したものである。各列の穴310の数は、図示例では、上の列が6個、下の列が5個である。このように現像ローラ103の回転方向に複数列並べて窓309を設けることで、現像剤リセット部材308の剛性を維持しつつ、現像ローラから現像剤を剥す効果をより均一に安定して行える。また、窓309の穴310は、図4において長方形形状を成しているが円形や楕円形の形状、もしくは、長方形の角部に曲線を用いた形状を有していても同様の効果を得ることが可能である。
【0039】
図5は、現像剤リセット部材に設けた窓(穴)の形状を示す断面図である。
図5に示すように、現像剤リセット部材108に設けられた窓109(穴110)は、現像ローラ103と該現像剤リセット部材108が接触する面の角を丸め処理を施してある。このような丸め処理を行うことで、現像ローラ103と長期にわたり接触する際に現像ローラ103を磨耗から防ぐ効果を得られる。また、窓109の穴110の角の丸め処理を該現像剤リセット部材108をプレス加工する際のカエリの丸まりを用いることも可能である。なお、図5では第1実施例の現像剤リセット部材108で示したが、上記第2及び第3実施例の現像剤リセット部材208,308の窓209,309の穴210,310においても現像ローラ103と接触する面の角を丸め処理を施すことで、同様の効果を得られる。
【0040】
図6は、現像剤リセット部材にコート層を設けた構成を示す断面図である。
図6に示すように、現像剤リセット部材108は、少なくとも現像ローラ103と接触する面に対して、フッ素樹脂もしくはポリエチレンもしくはアクリルもしくはポリスチレンなどの樹脂剤を表面に塗布したコート層111が設けられている。該コート層111は、現像剤が該現像剤リセット部材108に付着するの防止し、現像ローラ103に形成する現像剤の層を安定して形成させる効果を得られる。なお、図6では第1実施例の現像剤リセット部材108で示したが、上記第2及び第3実施例の現像剤リセット部材208,308においても、少なくとも現像ローラ103と接触する面に対して、フッ素樹脂もしくはポリエチレンもしくはアクリルもしくはポリスチレンなどの樹脂剤を表面に塗布したコート層を設けると好適である。
【0041】
図7は、現像剤リセット部材の第4実施例が配置される現像ローラ付近の斜視図である。
本第4実施例の現像剤リセット部材408は、網目状の材質からなる部材により形成されており、層規制部材104の上流側に設けられている。該現像剤リセット部材408は繊維もしくは金属のワイヤーで組まれた網目状をしており、現像ローラ103に対して押し当てられている。この現像剤リセット部材408は、網目を構成している多数のワイヤーにより現像ローラ103に付着している現像剤を剥ぎ取り、現像ローラの表層を清掃する効果を有する。また、該現像剤リセット部材408は、ワイヤーを編み込んだ空間の多数開いた網目(穴部)を通過して現像ローラ103から剥ぎ取られた現像剤が、該現像剤リセット部材408の上流側に堆積するのを防止する効果も有している。現像剤リセット部材を網目状部材で構成することにより、現像ローラ103と現像剤リセット部材とが接触する部分を増やすことができ、現像剤剥ぎ取り効果を高めることができる。また、剥ぎ取った現像剤の堆積をより効果的に防止することができる。
【0042】
図8は、網目状部材で形成された現像剤リセット部材408の構成を示す断面図である。
この図に示すように、現像剤リセット部材408は、ワイヤーを編み込んだ網目状の部材であり、網目は縦糸417と横糸416とから形成されている。その際、現像ローラ103と接触するワイヤーを横糸416とし、現像ローラ103と該現像剤リセット部材408とが接触する領域においては、横糸416と縦糸417とが互いに交差しない構造とすることで、横糸416のみが現像ローラ103と接触している。ただし、現像ローラ103と該現像剤リセット部材408とが接触していない領域においては、縦糸417と横糸416が交差した構造となっていても良い。
【0043】
図9は、上記縦糸417もしくは横糸416を形成するワイヤーの構成を示している。図9の(a)から(c)は、ワイヤーの断面形状を示しており、円形もしくは楕円形もしくは多角形(図中では、四角形)の形状をしている。(d)は、ワイヤーの表層にコート層を少なくとも1層以上設けた被覆構造をしている。ワイヤー層の表面にコート層を設けることで、例えばステンレスのワイヤーにビニールもしくはフッ素樹脂などの被覆を設けることでワイヤーの強度と現像ローラ103に対する対磨耗性の向上などの効果が得られる。
【0044】
また、図9の(e)から(g)は、少なくとも2本以上のワイヤーをまとめて縦糸417もしくは横糸416を構成する構造を示している。複数のワイヤーを束ねるもしくは縒るもしくはまとめることで、ワイヤーの強度を改善する効果を得られる。該現像剤リセット部材を構成しているワイヤーの外径は、現像剤の剥ぎ取り性と該現像剤リセット部材の上流側への堆積防止効果を考慮すると2mm以下にすることが望ましい。また、ワイヤーに使用する材質としては、スチレンもしくはステンレスなどの金属ワイヤー、ポリスチレンもしくはアクリルもしくはポリエチレンなどの樹脂ワイヤーもしくは綿もしくは絹などの天然ワイヤーなどを用いても良い。
【0045】
図10は、網目状部材からなる現像剤リセット部材408の構成を模式的に示す平面図である。
現像剤リセット部材408の現像ローラ103と接触している横糸416は、(a)図に示すような現像ローラ103と平行に配置する構成が基本となるが、横糸416を現像ローラ103と平行に配置した場合、1本の横糸が広い範囲で現像ローラ103と接触することになり、押し当てられる圧分布にムラが生じやすくなる(現像ローラ103に対して横糸416が均一に加圧されない可能性がある)。そこで、(b)図に示すように、現像ローラ103と接触する側の糸(ここでは横糸416)を現像ローラ103の軸線に対して角度θが80度未満となる範囲で傾斜させて配置することで、幅広い領域に対して複数の糸(横糸416)が接触することとなり、安定した加圧を得ることができ、現像ローラ103から現像剤を均一に回収する効果を得られる。なお、横糸・縦糸というのは便宜上の呼び方であるので、逆に呼称してもかまわない。すなわち、(b)図で現像ローラ103と接触する側の糸を縦糸と呼び、他方を横糸と呼んでも良い。
【0046】
図11は、現像ローラと現像剤リセット部材との間に電圧を印加する構成を示すプロセスカートリッジの断面図である。
この図において、少なくとも現像剤リセット部材108を導電性の材料もしくは表面を導電性材料で被覆した材料で形成し、現像ローラ103と現像剤リセット部材108との間に電圧を印加するように構成する。これにより、現像ローラ103から現像剤を剥しやすくする効果が得られる。図11では、現像剤の帯電が負帯電である場合の実施例として現像剤リセット部材108が負極性になるように描かれているが、現像剤の帯電が正帯電である場合は現像剤リセット部材108が正極性になることが望ましい。なお、図11では第1実施例の現像剤リセット部材108で示したが、上記第2〜第4実施例の現像剤リセット部材208,308,408でも同様に構成することができる。
【0047】
最後に、本発明を適用した画像形成装置の一例について説明する。
図12は、図1で説明したプロセスカートリッジ1を搭載するカラープリンタの概略を示す断面構成図である。この図に示すカラープリンタ50は、タンデム方式を採用してフルカラー画像を形成可能なカラープリンタであり、装置本体のほぼ中央部に4個のプロセスカートリッジ1(Y,C,M,Bk)を配設している。各プロセスカートリッジ1(Y,C,M,Bk)は、中間転写ベルト11の上部走行辺に沿って並設されている。支持ローラ12,13に巻き掛けられた中間転写ベルト11は図中反時計回りに走行駆動される。右側の支持ローラである転写対向ローラ13の上部には、中間転写ベルト11をクリーニングするクリーニングユニット14が配置されている。
【0048】
各プロセスカートリッジ1は扱うトナーの色が異なるのみで構成は同一であり、像担持体としての感光体ドラム2を具備している。この感光体ドラム2の周りには、帯電手段3、現像装置4、クリーニング手段5等が配置され、さらに各感光体ドラム2に対向するように中間転写ベルト11の内側に一次転写手段としての転写ローラ6が設けられている。各プロセスカートリッジ1は、図示しないストッパーを解除することによりプリンタ本体から取り外して交換できる構成になっている。
【0049】
現像装置4は、図2で上記説明したとおりであり、現像ローラ103に当接して現像剤リセット部材が設けられる。現像剤リセット部材は、上記説明した各実施例の現像剤リセット部材108〜408を使用することができる。現像剤リセット部材を備えることで、常に新しい現像剤が現像ローラ103に搬送され、荷電バラツキの影響による残像などの画像欠陥が発生することがなく、高品質な画像を得ることができる。
【0050】
4つのプロセスカートリッジ1の上方には光書き込み装置10が設けられている。光書き込み装置10はポリゴンミラーやミラー群等を有しており、光変調されたレーザ光を各色作像ユニットの感光体ドラム2の表面に照射する。
【0051】
装置本体の下部には、用紙を積載する給紙トレイ15が配設されている。給紙トレイ15の右側には給紙トレイに積載された用紙を送り出す給紙ローラ16があり、給紙ローラ16には用紙を一枚ずつに分離する分離パッド17が圧接されている。給紙ローラ16,分離パッド17の上方(用紙搬送方向の下流側)にはレジストローラ18が設けられている。さらに、レジストローラ18の上方には、二次転写手段としての転写ローラ19が、転写対向ローラ13に対向して設けられ、二次転写部を形成している。
【0052】
二次転写部の上側には定着装置20が設けられている。本例の定着装置20は定着ローラ及び加圧ローラを有する構成であり、二次転写部にて未定着トナー像が転写された用紙を加熱・加圧することにより定着する。定着装置20の上方には排紙・反転ローラ21が設けられ、装置上面に形成された排紙トレイ22上に定着後の用紙を排出する。
【0053】
また、図において装置右側には両面搬送部23が設けられている。両面プリントを行う場合は、表面に画像を形成した用紙を、定着装置20通過後に上記排紙・反転ローラ21により用紙をスイッチバックさせて両面搬送部23に送り込み、用紙の表裏を反転させて用紙をレジストローラ18へと再給紙する。両面搬送部23には搬送ローラ対24が配置されている。
【0054】
上記のように構成されたカラープリンタ50における画像形成動作について簡単に説明する。
上記プロセスカートリッジ1の感光体ドラム2が図示しない駆動手段によって図中時計方向に回転駆動され、その感光体ドラム2の表面が帯電手段3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された感光体表面には、光書き込み装置10からのレーザ光が照射され、これによって感光体ドラム2表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラム2に露光される画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及び黒の色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成された静電潜像に現像装置4から各色トナーが付与され、トナー像として可視化される。
【0055】
また、中間転写ベルト11が図中反時計回りに走行駆動され、各プロセスカートリッジ1においては、一次転写ローラ6の作用により感光体ドラム2から中間転写ベルト11に各色トナー像が順次重ね転写される。このようにして中間転写ベルト11はその表面にフルカラーのトナー像を担持する。
【0056】
なお、プロセスカートリッジ1のいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。モノクロプリントの場合は、4個のプロセスカートリッジのうち、図の一番右側のBkユニットを用いて画像形成を行う。
【0057】
そして、トナー像を転写した後の感光体ドラム表面に付着する残留トナーは、クリーニング手段5によって感光体ドラム表面から除去され、次いでその表面が除電器の作用を受けて表面電位が初期化されて次の画像形成に備える。
【0058】
一方、給紙トレイ15から用紙が給送され、レジストローラ対18によって、中間転写ベルト11上に担持されたトナー像とのタイミングを取って二次転写位置に向けて送出される。本例では二次転写ローラ19には中間転写ベルト表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト表面のトナー像が用紙上に一括して転写される。トナー像を転写された用紙は、定着装置20を通過するとき、熱と圧力によってトナー像が用紙に熔融定着される。定着された用紙は、排紙・反転ローラ21により装置本体の上面に構成された排紙トレイ22に排出される。
【0059】
用紙両面にプリントを行う場合は、用紙片面にトナー像を定着した用紙を、排紙・反転ローラ21によりスイッチバックさせて両面搬送部23に送り込み、用紙の表裏を反転させて用紙をレジストローラ対18へと再給紙する。再給紙された用紙裏面に中間転写ベルト11からトナー像が転写され、その裏面画像を定着装置20で定着することにより、表裏両面に画像を担持する用紙を、排紙トレイ22に排出することで、両面プリントが完成する。
【0060】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、現像剤リセット部材に設ける穴の形状や数、あるいは位置等は、適宜設定可能である。現像ローラは、感光体に接触、非接触(近接配置)のどちらでも良い。また、その他の現像装置各部の構成も任意である。
【0061】
また、画像形成装置の作像部の構成も任意であり、タンデム式における各色プロセスカートリッジの並び順などは任意である。また、タンデム式に限らず、一つの感光体の周囲に複数の現像装置を配置したものや、リボルバ型現像装置を用いる構成も可能である。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【符号の説明】
【0062】
1 プロセスカートリッジ
2 感光体ドラム(像担持体)
3 帯電手段
4 現像装置
5 クリーニング手段
10 光書き込み装置
15 給紙トレイ
11 中間転写ベルト
50 カラープリンタ
103 現像ローラ(現像剤担持体)
104 層規制部材
105 アジテータ
106 現像剤収容室
108,208,308,408 現像剤リセット部材
109,209,309 窓
110,210,310 穴
111 コート層
416 横糸
417 縦糸
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2001−147569号公報
【特許文献2】特許第3754923号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持して現像領域に搬送する回転可能な現像剤担持体と、該現像剤担持体上の現像剤を薄層化する層規制部材とを有する現像装置において、
前記現像剤担持体の回転方向における前記層規制部材の上流側で前記現像剤担持体に接触して設けられ前記現像剤担持体上の現像剤を剥ぎ取る現像剤リセット部材を具備し、該現像剤リセット部材は、前記現像剤担持体から剥ぎ取った現像剤を前記現像剤担持体と反対側に通過させる穴部を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤リセット部材が平板状部材として設けられ、前記穴部が前記現像剤担持体の軸方向に延設されることを特徴とする、請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記穴部が複数個に分割されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記穴部が前記現像剤担持体回転方向に複数列設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記穴部の前記現像剤担持体と接触する面の角部が曲線状断面に設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記現像剤リセット部材は、前記現像剤担持体と接触する面にフッ素もしくは樹脂系のコーティングが施されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
前記現像剤リセット部材が網目状部材であることを特徴とする、請求項1に記載の現像装置。
【請求項8】
前記網目状部材が前記現像剤担持体と接触する領域においては、前記網目状部材を構成する横糸及び縦糸の一方のみが前記現像剤担持体と接触するように設けられていることを特徴とする、請求項7に記載の現像装置。
【請求項9】
前記現像剤担持体と接触する側の糸が、前記現像剤担持体の軸と成す角度を80度未満で傾斜させて配置されることを特徴とする、請求項8に記載の現像装置。
【請求項10】
前記現像剤リセット部材が導電性素材で形成されており、その表面抵抗値が10の2〜9乗Ωであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項11】
前記現像剤リセット部材に対して、現像剤の帯電極性と同じ極性の電圧が印加されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の現像装置を搭載することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の現像装置または請求項12に記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−217659(P2010−217659A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65833(P2009−65833)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】