説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】二成分現像剤を用いた現像装置において、トナー濃度ムラおよび現像剤の偏りに起因する画像濃度ムラを防止すること。
【解決手段】二成分現像剤を循環搬送する第1および第2現像剤搬送路と、第1現像剤搬送路の内部に回転自在に設けられかつ螺旋ピッチが現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かうに従って小さくなる螺旋羽根を有する第1搬送部材と、第2現像剤搬送路の内部に設けられる第2搬送部材と、第1現像剤搬送路内の現像剤を感光体ドラムに供給する現像ローラと、現像ローラの表面に残った現像剤を第1現像剤搬送路から離間する方向へ導く現像剤回収路と、現像剤回収路に導かれた現像剤を搬送する第3現像剤搬送路と、第3現像剤搬送路の内部に設けられる第3搬送部材と、第3現像剤搬送路内の現像剤を第2現像剤搬送路へ導く第3連通路と、所定の高さを有しその高さを超えた余剰現像剤を第1現像剤搬送路から現像剤回収路に導く現像剤面調整窓とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び画像形成装置に関し、特に、トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を用いた現像装置と、電子写真方式によりこの現像装置を用いて画像形成を行う静電複写機、レーザープリンタ及びファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、感光体ドラム(トナー像担持体)の表面に静電潜像を形成し、現像装置によって感光体ドラムに対してトナーを供給して静電潜像を現像し、現像によって感光体ドラムに形成されたトナー像を用紙等のシートに転写して、定着装置によってシートにトナー像を定着させるようになっている。
【0003】
近年、フルカラー化や高画質化に対応した画像形成装置では、トナーの帯電安定性に優れる二成分現像剤(以下、単に「現像剤」とも称することがある。)がよく使用されている。この現像剤は、トナーと磁性キャリアとからなり、それらを現像装置内で攪拌することによりトナーと磁性キャリアとが摩擦し、この摩擦によって適正に帯電したトナーが得られる。
帯電したトナーは、現像剤担持部材、例えば、現像ローラの表面に供給される。この現像ローラに供給されたトナーは、静電的吸引力によって感光体ドラムに形成された静電潜像に移動する。これにより、感光体ドラム上に静電潜像に基づいたトナー像が形成される。
【0004】
また、このような画像形成装置では、高速化及び小型化が要求されており、現像剤の帯電を迅速且つ充分に行い、現像剤の搬送も迅速に行う必要がある。
そこで、今日の画像形成装置においては、補給されたトナーを現像剤中に即時に分散させて適切な帯電量を付与するために、循環方式の現像装置を搭載するものが提案されている。循環方式の現像装置は、現像剤が循環搬送される経路である現像剤搬送路と、現像剤搬送路に設けられ現像剤を撹拌しながら搬送する現像剤搬送部材とを備えている(特許文献1を参照)。
【0005】
このような循環方式の現像装置においては、現像剤搬送路内の現像剤は、現像ローラによってすくい上げられ、現像剤中のトナーが感光体ドラムに供給される。現像によりトナーが消費された現像剤は現像ローラ表面から離脱して、元の現像剤搬送路内に戻されるようになっている。
しかしながら、現像によりトナーが消費された現像剤は、局所的にトナー濃度が小さくなっているので、元の現像剤搬送路内に戻された直後に、現像ローラによって再びすくい上げられると、局所的に画像濃度が低くなるという問題があった。
【0006】
この問題を解決する現像装置として、連通した2つの現像剤搬送路と、これらの搬送路の上方に配置した現像ローラとを備え、現像後の現像剤を現像前の現像剤を搬送する側の現像剤搬送路に戻さずに、他方の現像剤搬送路へ戻すことにより、局所的なトナー濃度ムラを低減するとともに、現像前の現像剤を搬送する側の現像剤搬送路に設けられる搬送部材の螺旋羽根の螺旋ピッチを、現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かって小さくすることにより、現像前の現像剤を搬送する側の現像剤搬送路の現像剤面の高さを安定させ、現像剤の偏りに起因する画像濃度ムラを低減させることを目的とした現像装置が提案されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−120201号公報
【特許文献2】特開2010−197839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献2に記載の現像装置においては、現像剤の循環経路が複雑になることから、現像剤面を一定に維持することが難しい。特に、湿度などの影響によりトナーの帯電量が著しく高くなった場合には、現像剤の流動性が著しく低下するので、現像剤搬送路下流側で現像剤面が高くなる。その結果、現像ローラによって汲み上げられる現像剤量が多くなり、さらに感光体ドラムへの現像剤供給量が多くなって画像濃度が高くなるので、現像ローラの軸方向において画像濃度ムラが生じるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、トナー濃度ムラに起因する画像濃度ムラの防止と、現像剤の偏りに起因する画像濃度ムラの防止をすることのできる現像装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を循環搬送する第1現像剤搬送路および第2現像剤搬送路と、第1現像剤搬送路内にある二成分現像剤を第2現像剤搬送路へ導く第1連通路と、第2現像剤搬送路内にある二成分現像剤を第1現像剤搬送路へ導く第2連通路と、前記第1現像剤搬送路の内部に回転自在に設けられ、かつ螺旋ピッチが現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かうに従って小さくなる螺旋羽根を有して二成分現像剤を一方向に搬送する第1搬送部材と、前記第2現像剤搬送路の内部に回転自在に設けられ、二成分現像剤を一方向に搬送する第2搬送部材と、前記第1現像剤搬送路内の二成分現像剤を担持して、感光体ドラムに供給する現像ローラと、感光体ドラムに供給後前記現像ローラの表面に残った二成分現像剤を、前記第1現像剤搬送路から離間する方向へ導く現像剤回収路と、前記現像剤回収路に導かれた二成分現像剤を収容し一方向に搬送する第3現像剤搬送路と、前記第3現像剤搬送路の内部に回転自在に設けられる第3搬送部材と、前記第3現像剤搬送路内にある二成分現像剤を第2現像剤搬送路へ導く第3連通路と、前記第1現像剤搬送路と前記現像剤回収路との間に、所定の高さを有し、その高さを超えた余剰現像剤が第1現像剤搬送路から現像剤回収路に導かれる現像剤面調整窓とを備えていることを特徴とする現像装置を提供するものである。
【0011】
この発明によれば、現像剤回収路と、螺旋ピッチが現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かうに従って小さくなる螺旋羽根を有する第1搬送部材とを備えているので、現像剤回収路に送られる現像剤が減少した場合に第1現像剤搬送路の現像剤面が低下したとしても、現像剤搬送方向の下流側の搬送速度を徐々に遅くすることにより、その現像剤面の低下を抑制することができ、現像剤の偏りを防止できる。
【0012】
また、現像剤面調整窓を備えているので、現像剤の流動性が低下し、第1現像剤搬送路の下流側の現像剤面が高くなっても、現像剤面調整窓を超えて、余剰現像剤が第1現像剤搬送路から現像剤回収路へと導かれ、第1現像剤搬送路の下流側のトナー濃度が高くなることが抑制される。したがって、その結果、トナー濃度ムラに起因する画像濃度ムラの防止と、現像剤の偏りに起因する画像濃度ムラを防止できる。
【0013】
また、本発明の現像装置は、前記余剰現像剤が、前記第1現像剤搬送路から前記第3現像剤搬送路へ導かれることを特徴とする。
これによれば、余剰現像剤が第2現像剤搬送路内の現像剤と直接混合されることがないので、第2現像剤搬送路から第1現像剤搬送路への現像剤供給量を安定化できる。
【0014】
また、本発明の現像装置は、現像後現像ローラの表面に残った二成分現像剤を、現像ローラ表面から離間させ、現像剤回収路の方向へ導くスクレーパを備えることを特徴とする。
これによれば、スクレーパによって、トナーが消費されたためトナー濃度が低下した二成分現像剤が、現像ローラ表面に付着したまま第1現像剤搬送路へ運ばれるのを防止するので、トナー濃度が局所的に低くなった二成分現像剤が再び感光体ドラムへ供給されることを防止できる。
【0015】
また、本発明の現像装置は、前記第3連通路が、第3現像剤搬送路の二成分現像剤搬送方向の下流側端部と、第2現像剤搬送路の二成分現像剤搬送方向の上流側端部とを接続する部分に設けられていることを特徴とする。
これによれば、第3連通路を介して、第3現像剤搬送路の余剰現像剤および現像後に回収した現像剤が、第2現像剤搬送路に導かれるので、第2現像剤搬送路内の現像剤搬送量を安定化できる。
【0016】
また、本発明の現像装置は、前記第3現像剤搬送路の現像剤と接触する位置に、トナー濃度検知センサが設けられていることを特徴とする。
これによれば、トナーが消費された二成分現像剤と、トナーが消費されていない二成分現像剤の両方が混合された二成分現像剤のトナー濃度を検知するのではなく、トナーが消費された二成分現像剤のみのトナー濃度を検知するので、トナー濃度の変化を敏感に検知できる。
【0017】
また、本発明の現像装置は、前記第2現像剤搬送路の内部であって、第2連通路を臨む位置に、汲上板を備えることを特徴とする。
これによれば、第2現像剤搬送路内の現像剤を、第2連通路を通って、より円滑に第1現像剤搬送路へ搬送することができる。
【0018】
また、本発明の現像装置は、前記第3現像剤搬送路の内部であって、第3連通路を臨む位置に、汲上板を備えることを特徴とする。
これによれば、第3現像剤搬送路内の現像剤を、第3連通路を通って、より円滑に第2現像剤搬送路へ搬送することができる。
【0019】
また、本発明の現像装置は、前記第3現像剤搬送路に、新しいトナーを補給するトナー補給口が設けられていることを特徴とする。
これによれば、トナーが消費された後の現像剤にトナーが補給されるので、現像剤のトナー濃度が部分的に高くなることを防止できる。
【0020】
また、本発明は、表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面を帯電させる帯電装置と、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光装置と、前記現像装置にトナーを補給するトナー補給装置と、トナー補給装置から補給されたトナーを用いて前記現像装置が感光体ドラムの表面に形成したトナー像を、記録媒体に転写する転写装置と、前記転写されたトナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
この発明によれば、トナー濃度ムラに起因する画像濃度ムラと、現像剤の偏りに起因する画像濃度ムラを防止できるので、長期に渡って安定した画像を形成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、現像剤回収路と、螺旋ピッチが現像剤搬送方向の下流側に向けて小さくなる螺旋羽根を有する第1搬送部材とを備えているので、現像剤回収路に送られる現像剤の減少に伴う第1現像剤搬送路の現像剤面の低下を抑制でき、現像剤の偏りを防止できる。また、現像剤面調整窓を備えているので、現像剤の流動性が低下して、第1現像剤搬送路の下流側で現像剤面が高くなっても、余剰現像剤が第1現像剤搬送路から現像剤回収路に排出され、第1現像剤搬送路の下流側でトナー濃度が高くなることが抑えられる。その結果、トナー濃度ムラに起因する画像濃度ムラと、現像剤の偏りに起因する画像濃度ムラを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の全体構成を示す説明図である。
【図2】図1の画像形成装置における現像装置の断面図である。
【図3】図2に示す現像装置のA−A´断面矢視図である。
【図4】図2に示す現像装置のB−B´断面矢視図である。
【図5】図3におけるC−C´断面矢視図である。
【図6】図3におけるD−D´断面矢視図である。
【図7】図3におけるE−E´断面矢視図である。
【図8】第1搬送部材の第1搬送羽根の螺旋ピッチの説明図である。
【図9】この発明の現像装置におけるトナー補給装置の一実施例の構成を示す概略断面図である。
【図10】図9に示すトナー補給装置のF−F´断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照しながら、本発明の現像装置および画像形成装置の実施形態を詳説する。なお、これによってこの発明が限定されるものではない。
[画像形成装置の構成]
図1に、本発明に係る現像装置を備えた画像形成装置の一実施例の全体構成の説明図を示す。
この画像形成装置100は、主として、複数の現像装置2a〜2dがケーシング内に収容された現像装置収容部100Aと、定着装置12がケーシング内の現像装置収容部100Aの上方に収容された定着装置収容部100Bと、それらの間に設けられて定着装置12の熱が現像装置側に伝わらないように断熱するための隔壁30とを備える。
また、外部から伝達される画像データに応じてシート状の記録媒体(記録用紙)に多色または単色の画像を形成する装置である。さらに、図1の定着装置収容部100Bの横であって、現像装置収容部100Aの上面は排紙トレイ15となっている。
【0024】
図1の実施形態では、画像形成装置としてプリンターの場合を例示している。ただし、画像形成装置としては、外部から伝達される画像データおよび/またはスキャナによって原稿から読み取った画像データに応じても記録媒体に多色または単色の画像を形成することができるコピー機、ファクシミリ装置またはこれらの機能を備えた複合機であってもよい。
【0025】
〔現像装置収容部100Aの構成〕
現像装置収容部100Aには、図1に示すように、4つの感光体ドラム3a、3b、3c、3dと、各感光体ドラム3a〜3dの表面を帯電させる4つの帯電器(帯電装置)5a、5b、5c、5dと、各感光体ドラム3a〜3dの表面に静電潜像を形成する露光ユニット(露光装置)1と、黒、シアン、マゼンタおよびイエローのトナーを個別に収容して各感光体ドラム3a〜3dの表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する4つの現像装置2a、2b、2c、2dと、現像および画像転写後の各感光体ドラム3a〜3dの表面に残存する残留トナーを除去する4つのクリーナユニット4a、4b、4c、4dと、各現像装置2a〜2dに前記4色のトナーを個別に補給する4つのトナー補給装置22a、22b、22c、22dと、各感光体ドラム3a〜3dの表面のトナー像を記録媒体に転写する中間転写ベルトユニット(転写装置)8と、中間転写ベルトクリーニングユニット9等が収容されている。
【0026】
ここで、a〜dの符号は、aが黒画像形成用の部材、bがシアン画像形成用の部材、cがマゼンタ画像形成用の部材、dがイエロー画像形成用の部材であることを示したものである。
この画像形成装置100では、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4つの色成分毎の画像データに基づいて、各感光体ドラム3a〜3dの表面に、黒トナー画像、シアントナー画像、マゼンタトナー画像およびイエロートナー画像が選択的に形成される。そして、これらの形成された各トナー画像が中間転写ベルトユニット8上で重ねられ、記録媒体上に1つのカラー画像が形成される。
【0027】
各色に対応する感光体ドラム3a〜3dは同じ構成であるため、以下の説明では符号を3に統一する。また、これと同様に、現像装置は符号を2、帯電器は符号を5、クリーナユニットは符号を4、トナー補給装置は符号を22に統一して説明する。
この発明の特徴的な構成である現像装置については、後述する。
【0028】
感光体ドラム3は、導電性基体およびその表面に形成される感光層から構成され、帯電と露光による潜像形成を担う円筒状部材である。感光体ドラム3は、光の照射によって導電性を示し、その表面に静電潜像と呼ばれる電気的な画像が形成される。また、感光体ドラム3は、軸線回りに回転駆動が可能となるよう図示しない駆動手段により支持されている。
【0029】
クリーナユニット4は、現像及び画像転写工程後に感光体ドラム3の表面に残留しているトナーを除去し、回収するものである。
【0030】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるものである。帯電器5としては、図1に示す接触ローラ型の他に、接触ブラシ型または非接触チャージャー型等の帯電器が用いられる。
【0031】
露光ユニット1は、画像データに応じた光を、帯電器5と現像装置2との間を通過させて、帯電された感光体ドラム3の表面に照射して露光することにより、感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像を形成するものである。
本実施形態においては、露光ユニット1は、図1に示すように、レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)である。ただし、発光素子をアレイ状に並べたEL(エレクトロルミネッセンス)またはLED書込みヘッドを用いることもできる。
【0032】
中間転写ベルトユニット8は、中間転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、図示しない中間転写ベルトテンション機構を備えている。
中間転写ローラ6、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構は、中間転写ベルト7を張架し、図1の矢印B方向に中間転写ベルト7を回転駆動させるものである。
【0033】
中間転写ローラ6は、中間転写ベルトユニット8の中間転写ベルトテンション機構における中間転写ローラ取付部に回転可能に支持されている。中間転写ローラ6には感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト7上に転写するための転写バイアスが印加されている。
【0034】
中間転写ベルト7は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。中間転写ベルト7上には、感光体ドラム3に形成された各色成分のトナー像が順次重ねて転写されることにより、カラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。中間転写ベルト7は、厚さが例えば100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0035】
感光体ドラム3から中間転写ベルト7へのトナー像の転写は、中間転写ベルト7の裏側に接触している中間転写ローラ6によって行われる。中間転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
中間転写ローラ6は、直径が例えば8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとして形成され、表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われている。この導電性の弾性材により、中間転写ローラ6は中間転写ベルト7に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施の形態では、転写電極としてローラ形状のもの(中間転写ローラ6)を使用しているが、これ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0036】
上述のように各感光体ドラム3上の静電潜像は各色成分に応じたトナーにより顕像化されてそれぞれトナー像となり、これらトナー像は中間転写ベルト7上に重ねて合わされ積層される。このように、積層されたトナー像は、中間転写ベルト7の回転によって、搬送されてきた用紙と中間転写ベルト7との接触位置(転写部)に移動し、この位置に配置されている転写ローラ11によって用紙上に転写される。この場合、中間転写ベルト7と転写ローラ11とは所定ニップで互いに圧接されるとともに、転写ローラ11にはトナー像を用紙に転写させるための電圧が印加される。この電圧は、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧である。
【0037】
上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ11もしくは中間転写ベルト駆動ローラ71の何れか一方は金属等の硬質材料から形成され、他方は弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)から形成される。
中間転写ベルト7と感光体ドラム3との接触により中間転写ベルト7に付着したトナー、及び中間転写ベルト7から用紙へのトナー像の転写の際に転写されずに中間転写ベルト7上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット9によって除去され回収される。
【0038】
中間転写ベルトクリーニングユニット9には、中間転写ベルト7に接触するクリーニングブレード(クリーニング部材)が備えられている。中間転写ベルト7におけるクリーニングブレードに接触している部分は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ72にて支持されている。
【0039】
さらに、現像装置収容部100Aは、その最下部に配置された複数の記録媒体を収容する給紙トレイ10と、一側面に配置されて不定形サイズの記録媒体がセットされる手差しトレイ20と、給紙トレイ10または手差しトレイ20から記録媒体を中間転写ベルトユニット(転写装置)8に搬送するためのシート搬送路S等を備えている。
【0040】
シート搬送路Sは、給紙トレイ10のシート及び手差しトレイ20の記録媒体を転写部や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に案内する。ここで、転写部は中間転写ベルト駆動ローラ71と転写ローラ11との間に位置する。
さらに、シート搬送路Sには、ピックアップローラ16(16a,16b)、搬送ローラ25(25a〜25h)、レジストローラ14、転写部(転写ローラ11)、定着ユニット12等が配置されている。
【0041】
搬送ローラ25は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、シート搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16aは、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10からシートを1枚ずつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。ピックアップローラ16bは、手差しトレイ20の近傍に備えられ、手差しトレイ20からシートを1枚ずつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。レジストローラ14は、シート搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持し、中間転写ベルト7上のトナー像の先端とシートの先端とを合わせるタイミングでシートを転写部に搬送するものである。
【0042】
〔定着装置収容部100Bの構成〕
図1に示すように、定着装置収容部100Bに収容された定着装置12は、トナー画像が転写された記録媒体を挟んで相互に逆方向に回転するヒートローラ81および加圧ローラ82と、搬送ローラ25bと、排紙ローラ25cとを備えている。
ヒートローラ81は、所定の定着温度となるように図示しない制御部によって制御される。この制御部は、図示しない温度検出器からの検出信号に基づいてヒートローラ81の温度を制御する。
【0043】
定着温度に昇温したヒートローラ81と加圧ローラ82は、記録媒体に圧接してトナーを溶融することにより、記録媒体上にトナー画像を定着させる。
トナー像が定着された記録媒体は、搬送ローラ25b、25cによってシート搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態(トナー像を下側に向けた状態)で排紙トレイ15上に排出される。
【0044】
〔現像装置2の構成〕
図2に、図1に示した現像装置2の一実施例の断面図を示す。図3に、図2のA−A´断面矢視図、図4に、図2のB−B´断面矢視図、図5に、図3のC−C´断面矢視図、図6に、図3のD−D´断面矢視図、図7に、図3のE−E´断面矢視図を示す。なお、これらの図において、現像槽111内に収容されている現像剤は省略している。
図2に示す現像装置2は、主として、現像槽111と、感光体ドラム3に二成分現像剤を供給する現像ローラ115と、トナー補給装置22と、トナー移送機構(112,113など)とを備える。
【0045】
現像装置2は、現像槽111内に、感光体ドラム3と対向するように配置された現像ローラ115を有し、現像ローラ115によって感光体ドラム3の表面にトナーを供給して、感光体ドラム3の表面に形成された静電潜像を現像(顕像化)する装置である。
【0046】
現像装置2は、現像槽111、現像ローラ115に加え、仕切り壁(117a,117b)、現像剤の搬送部材(112,113,114)、ドクターブレード116、トナー濃度検知センサ119、スクレーパ115a等を備える。
現像槽111は、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤(二成分現像剤)を収容する槽である。
この現像槽111の内部には、図2に示すような位置に現像ローラ115、第1搬送部材112、第2搬送部材113、第3搬送部材114、ドクターブレード116、スクレーパ115aが配置される。
この発明で利用される現像剤に含まれるキャリアは、磁性を有する磁性キャリアであり、たとえば、フェライトキャリアが用いられる。
【0047】
《現像槽の内部構成》
現像槽111の内部は、現像ローラ115の軸心方向と平行な断面がU字状の第1仕切り壁117aおよび第2仕切り壁117bとによって、鉛直方向のほぼ上下に3つの部屋に区画されている。3つの部屋のうちの上側の部屋が第1現像剤搬送路Pであり、現像ローラ115の真下に位置し鉛直方向の中央の部屋が第2現像剤搬送路Qであり、第1現像剤搬送路Pの真下に位置し鉛直方向の下側の部屋が第3現像剤搬送路Rである。
【0048】
第1現像剤搬送路P、第2現像剤搬送路Qおよび第3現像剤搬送路Rには、それぞれ第1搬送部材112、第2搬送部材113および第3搬送部材114が、回転自在に設けられている。
第1搬送部材112は、図3に示すように、第1回転軸112aと、該第1回転軸112aに固定されて一体に回転する螺旋状の第1搬送羽根112bを備えるオーガスクリューからなり、現像槽111の長手方向の右側の側壁111aを貫通した回転軸112aの一端に、第1ギア112cを備えている。
【0049】
図8に、第1搬送部材112の第1搬送羽根112bの螺旋ピッチの説明図を示す。
第1搬送羽根112bは、螺旋ピッチの異なる複数の螺旋羽根112b1〜112b12で構成され、現像剤搬送方向の上流側から、螺旋羽根112b1,螺旋羽根112b2,螺旋羽根112b3,螺旋羽根112b4,・・・,螺旋羽根112b12と、順番に段差なく連続的に形成されている。
螺旋羽根112b1と螺旋羽根112b2との間隔を螺旋ピッチP1,螺旋羽根112b2と螺旋羽根112b3との間隔を螺旋ピッチP2,・・・,螺旋羽根112bnと螺旋羽根112(bn+1)との間隔を螺旋ピッチPnとすると、第1搬送部材112においては、螺旋ピッチは、螺旋ピッチP1から螺旋ピッチP11に向かい、すなわち、現像剤搬送方向の上流から下流に向かい、順番に小さくなるように構成されている。
【0050】
第1現像剤搬送路Pにおいては、第1搬送羽根112bの螺旋ピッチが、螺旋ピッチP1から螺旋ピッチP11に向かい、すなわち、現像剤搬送方向の上流から下流に向かい順番に小さくなるように構成されているので、第1搬送部材112が1回転する間に第1搬送羽根112bにより搬送される現像剤の距離は、現像剤搬送方向の上流から下流に向けて徐々に短くなる。
【0051】
すなわち、第1搬送羽根112bにより搬送される現像剤の搬送速度は、現像剤搬送方向の上流から下流に向けて徐々に遅くなる。
これにより、第1搬送羽根112bの螺旋ピッチが小さい現像剤搬送方向の下流側では、搬送される現像剤の流れが遅くなるため、搬送される現像剤量が一定であれば現像剤面は高くなる方向へ作用する。
また、図8の実施形態においては、第1現像剤搬送路P内の二成分現像剤を第1連通路aに導くために、第1搬送羽根112bの下流部に、螺旋方向が逆向きの逆螺旋羽根112baを備えている。
【0052】
第2搬送部材113は、図3に示すように、第2回転軸113aと、該第2回転軸113aに固定されて一体に回転する螺旋状の第2搬送羽根113bを備えるオーガスクリューからなり、現像槽111の長手方向の右側の側壁111aを貫通した回転軸113aの一端に、第2ギア113cを備えている。
また、図3に示す実施形態においては、第2現像剤搬送路Q内の二成分現像剤を第2連通路bから第1現像剤搬送路Pへと導くために、第2現像剤搬送路Qの内部であって、第2連通路bを臨む位置に、長方形状の4枚の汲上板113dが設けられている。4枚の汲上板113dは、第2回転軸113aの回転中心を通る仮想平面上に、隣り合う2枚の汲上板113dが直角となるように、第2回転軸113aに固定されている。
【0053】
第3搬送部材114は、図4に示すように、第3回転軸114aと、該第3回転軸114aに固定されて一体に回転する螺旋状の第3搬送羽根114bを備えるオーガスクリューからなり、現像槽111の長手方向の右側の側壁111aを貫通した回転軸114aの一端に、第3ギア114cを備えている。
また、図4に示す実施形態においては、第3現像剤搬送路R内の二成分現像剤を第3連通路cから第2現像剤搬送路Qへと導くために、第3現像剤搬送路Rの内部であって、第3連通路cを臨む位置に、長方形状の4枚の汲上板114dが設けられている。4枚の汲上板114dは、第3回転軸114aの回転中心を通る仮想平面上に、隣り合う2枚の汲上板114dが直角となるように第3回転軸114aに固定されている。
【0054】
第1ギア112c、第2ギア113cおよび第3ギア114cを介して、図示しない駆動手段(例えば、モータ)により、第1搬送部材112、第2搬送部材113および第3搬送部材114が、矢印J、矢印Kおよび矢印L方向(図2参照)にそれぞれ駆動されると、第1現像剤搬送路P、第2現像剤搬送路Q、第3現像剤搬送路R内の二成分現像剤は、図3および図4に示すように、矢印X、矢印Yおよび矢印Zの方向にそれぞれ搬送される。
【0055】
図3および図6に示すように、第1仕切り壁117a(第1現像剤搬送路Pおよび第2現像剤搬送路Qを仕切る壁)の端部付近には、二成分現像剤を第1現像剤搬送路Pから第2現像剤搬送路Qに導くための第1連通路aが設けられている。また、図3および図7に示すように、第1連通路aの反対側に位置する第1仕切り壁117aの他端には、二成分現像剤を第2現像剤搬送路Qから第1現像剤搬送路Pに導くための第2連通路bが形成されている。
また、図4および図5に示すように、第2仕切り壁117bの第3現像剤搬送路Rの二成分現像剤搬送方向の下流側端部、かつ第2現像剤搬送路Qの二成分現像剤搬送方向の上流側端部に、二成分現像剤を第3現像剤搬送路Rから第2現像剤搬送路Qに導くための第3連通路cが設けられている。
【0056】
《現像ローラ》
図2に示すように、現像槽111には第1現像剤搬送路Pの上方部に開口部が形成され、その開口部の位置に現像ローラ115が、回転可能にかつ感光体ドラム3との間に、所定の現像ニップ部Nをもって配置されている。
現像ローラ115は、図示しない駆動手段によって軸心回りに回転駆動するマグネットローラであり、第1現像剤搬送路P内の二成分現像剤を担持して感光体ドラム3に供給する。図示しない電源から現像バイアス電圧が印加されることにより、感光体ドラム3の表面の静電潜像にトナーを付着させて現像する。
【0057】
《ドクターブレード》
図2に示すように、ドクターブレード116は、現像ローラ115の軸線方向に平行に延びる長方形の板状部材であり、その上端116aは現像ローラ115の表面に対して所定の間隙を保った状態で、現像槽111に固定されている。ドクターブレード116の材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、合成樹脂等が挙げられる。
【0058】
《現像剤回収路》
図2に示すように、現像槽111の内部には、第1仕切り壁117aによって、第1現像剤搬送路Pと水平方向に区画される現像剤回収路Uが設けられている。感光体ドラム3の現像に供された後の二成分現像剤は、後述するスクレーパの表面を通って第1現像剤搬送路Pから離間し、現像剤回収路Uを通過して第3現像剤搬送路Rへ導かれる。
【0059】
《スクレーパ》
図2に示すように、スクレーパ115aは、現像ローラ115の軸線方向に平行に延びる長方形の板状部材であり、現像ローラ115の表面に対して所定の間隙を保った状態で、現像槽111に固定されている。感光体ドラム3の現像に供された後の二成分現像剤は、このスクレーパ115aによって、現像ローラ115表面から剥離離間する方向(矢印F方向)へ導かれ、現像剤回収路Uを経て、第3現像剤搬送路R内に落下する。
【0060】
《現像剤面調整窓》
図2に示すように、第1仕切り壁117aには、現像ローラ115の軸方向と平行な方向(紙面に垂直な方向)に、現像剤面調整窓Hを形成する。現像剤面調整窓Hは、第1現像剤搬送路Pと、現像剤回収路Uとの間に設けられる窓であり、所定の高さを有し、その高さを超えた余剰現像剤が、第1現像剤搬送路Pから現像剤回収路Uに導かれる。ここで、余剰現像剤は、第1現像剤搬送路内にある二成分現像剤である。
現像剤面調整窓Hの下部の鉛直方向における高さは、第1搬送部材112の最上部とほぼ同じ高さとしている。第1現像剤搬送路Pの現像剤面が、現像剤面調整窓Hの下部の高さより高くなると、現像剤は現像剤面調整窓Hから、第1仕切壁117aを超えて図2の右方向へ移動し、現像剤回収路Uの方へ余剰現像剤として排出され、第3現像剤搬送路Rへ導かれる。
現像剤面調整窓Hの下部の鉛直方向における高さは、第1搬送部材112で搬送される現像剤の剤面を調整するものなので、第1搬送部材112の最上部より高すぎると、撹拌搬送能力に対して現像剤が過多となり、現像剤の撹拌搬送力が不足し、逆に、第1搬送部材112の最上部より低すぎると、撹拌搬送能力に対して現像剤が過少となり、現像ローラ115による現像剤汲上力が低下するので、現像剤面調整窓Hの下部の鉛直方向における高さは、第1搬送部材112の軸心より高く、第1搬送部材112の最上部の高さと同一の高さに設定することが好ましい。
【0061】
《トナー濃度検知センサ》
トナー濃度検知センサ119は、図4に示すように、第3搬送部材114の鉛直下方で、第3現像剤搬送路Rの下流側に設けられる。第3現像剤搬送路Rを形成する現像槽111の半円筒状内壁面111cに装着され、第3現像剤搬送路Rの中の現像剤と接触する位置で、センサ面が第3現像剤搬送路Rの内部に露出するように設けられる。
トナー濃度検知センサ119は、図示しないトナー濃度制御部に電気的に接続される。
【0062】
トナー濃度制御部は、トナー濃度検知センサ119が検知するトナー濃度測定値に応じて、後述する図9に示すトナー補給装置22のトナー排出部材122を回転駆動させ、トナー排出口123から現像装置2の第1現像剤搬送路P内に、トナーを供給するように制御する。
トナー濃度制御部が、トナー濃度検知センサ119によって検知されたトナー濃度測定値が所定の設定値よりも低いと判定すると、トナー排出部材122を回転駆動させる駆動手段に制御信号を送信し、トナー排出部材122を回転させる。
【0063】
トナー濃度検知センサ119には、一般的なトナー濃度検知センサを使用することができ、例えば、透過光検知センサ、反射光検知センサ、透磁率検知センサ等を用いることができる。ただし、感度の観点から、透磁率検知センサが好ましい。
透磁率検知センサ(トナー濃度検知センサ119)には図示しない電源が接続される。
この電源は、透磁率検知センサを駆動させるための駆動電圧およびトナー濃度の検知結果をトナー濃度制御部に出力するための制御電圧を、透磁率検知センサに印加する。電源による透磁率検知センサへの電圧の印加は、トナー濃度制御部によって制御される。
【0064】
透磁率検知センサは、制御電圧の印加を受けてトナー濃度の検知結果を出力電圧値として出力する型式のセンサであり、基本的に出力電圧の中央値近傍の感度がよいため、その付近の出力電圧が得られるような制御電圧を印加して用いられる。
このような型式の透磁率検知センサは市販されており、例えば、TDK社製の商品名TS−L、TS−A、TS−Kなどが挙げられる。
【0065】
《トナー補給口》
図3および図5に示すように、第3現像剤搬送路Rの下流側端部には、第3現像剤搬送路R内に新しいトナーを補給するためのトナー補給口150と、そのトナー補給口150に補給トナーを導くトナー補給路Tが設けられている。
【0066】
[トナー補給装置の構成]
図9に、この発明の現像装置におけるトナー補給装置の一実施例の概略断面図を示す。図10に、図9に示すトナー補給装置のトナー排出口周辺のF−F´断面矢視図を示す。
図9と図10に示すように、トナー補給装置22は、トナー排出口123を有するトナー収容容器121と、トナー攪拌部材125と、トナー排出部材122とを備え、その容器内部に未使用のトナーが収容される。
トナー補給装置22は、図1に示すように、現像装置2の現像槽111の上方に配置されており、そのトナー排出口123と、現像装置2のトナー補給路T下端に形成される現像装置2のトナー補給口150(図5参照)とが、現像装置2のトナー補給路T上端部に接続されるトナー搬送パイプ102を介して接続されている。トナー収容容器121は、内部空間を有するほぼ半円筒状の容器部材であり、半円筒状部分の周方向の横位置にトナー排出口123が配置されている。
【0067】
トナー攪拌部材125は、トナー収容容器121の半円筒状部分の略中央位置に回転可能に配置されており、トナー排出部材122はトナー排出口123の上方近傍位置に回転可能に配置されている。
トナー攪拌部材125は、回転軸125aを中心に回転する板状部材であり、回転軸125aから離間した両側先端には、可撓性を有する樹脂製(例えば、ポリエチレンテレフタレート)からなるシート状のトナー汲み上げ部材125bを有している。なお、回転軸125aは、トナー収容容器121の長手方向両側の側壁に回転可能に支持されており、その一端は前記側壁を貫通し、図示しない駆動手段の駆動ギアと噛合するギアがその一端に固定されている。
【0068】
トナー攪拌部材125は、そのトナー汲み上げ部材125bがトナー排出口123に対して下方から上方へ向って回転することにより、トナー収容容器121内に収容されるトナーを攪拌しながら汲み上げてトナー排出部材122へ搬送する。
このとき、トナー汲み上げ部材125bは、その可撓性によって、トナー収容容器121の内壁に沿って摺動して変形しつつ回転し、トナーをトナー排出部材122側に供給する。
【0069】
トナー排出部材122とトナー攪拌部材125との間には、隔壁124が設けられる。これによって、トナー攪拌部材125によって汲み上げられたトナーがトナー排出部材122の周辺に適量のトナーを保持できるようになる。
【0070】
トナー排出部材122は、トナー収容容器121内のトナーをトナー排出口123から現像槽111に供給するもので、図10に示すように、トナー収容容器121の長手方向両側の側壁に両端が回転可能に支持された回転軸122bと、回転軸122bの外周面に固定された螺旋羽根122aと、トナー収容容器121の前記側壁を貫通した回転軸122bの一端に固定されたギア122cとで構成されている。ギア122cは、図示しない駆動手段の駆動ギアと噛合している。
トナー収容容器121において、トナー排出口123は、螺旋羽根122aのギア122cとは反対側の一端側に配置されている。
トナー排出部材122が回転することにより、トナー排出部材122側に供給されたトナーは、螺旋羽根122aによってトナー排出口123側に向けて搬送され、トナー排出口123からトナー搬送パイプ102を介して現像装置2の現像槽111内へ供給される。
【0071】
<現像装置における現像剤の搬送動作の説明>
画像形成装置の現像工程においては、図2〜図4に示すように、現像装置2の現像ローラ115、第1搬送部材112、第2搬送部材113、第3搬送部材114を、それぞれ図2の矢印M、J、K、L方向に回転させる。
これらの部材の回転により、第1現像剤搬送路Pに存在する現像剤が、第1搬送部材112の第1搬送羽根112bによって図3の矢印X方向に搬送される。これと同時に、第2現像剤搬送路Q内にある現像剤が、第2搬送部材113によって図3の矢印Y方向に搬送される。さらに同時に、第3現像剤搬送路R内にある現像剤が、第3搬送部材114によって図4の矢印Z方向に搬送される。
【0072】
これらの搬送動作と同時に、第1現像剤搬送路Pの下流側に搬送された現像剤は、図3に示す第1連通路aを通って第2現像剤搬送路Qへ送られると共に、第2現像剤搬送路Q内の下流側に搬送された現像剤は、第2連通路bを通って、第1現像剤搬送路Pへと送られる。
また、第1現像剤搬送路P内を移動する現像剤の一部は現像ローラ115に供給される。
現像ローラ115に供給される現像剤は、ドクターブレード116によって現像ローラ115の外周面に均一な所定厚みの現像剤層となって感光体ドラム3へ送られ、この現像剤層から一部のトナーが感光体ドラム3へ供給される。
感光体ドラム3の静電潜像が現像された後、現像ローラ115の表面に残った現像剤は、スクレーパ115aにより現像ローラ115表面から剥離され、現像剤回収路Uを通って第3現像剤搬送路R内に落下する。
【0073】
現像剤のトナー濃度は、トナー濃度検知センサ119によって検知されているため、第3現像剤搬送路R内のトナー濃度が所定値以下となると、トナー補給装置22から第3現像剤搬送路R内の現像剤上に未使用のトナーが補給される。
【符号の説明】
【0074】
1 露光装置(露光ユニット)
2 現像装置
3 感光体ドラム
4 クリーナユニット
5 帯電装置(帯電器)
6 中間転写ローラ
7 中間転写ベルト
8 転写装置(中間転写ベルトユニット)
9 中間転写ベルトクリーニングユニット
10 給紙トレイ
11 転写ローラ
12 定着装置(定着ユニット)
14 レジストローラ
15 排紙トレイ
16 ピックアップローラ
20 手差しトレイ
22 トナー補給装置
25 搬送ローラ
71 中間転写ベルト駆動ローラ
72 中間転写ベルト従動ローラ
81 ヒートローラ
82 加圧ローラ
100 画像形成装置
102 トナー搬送パイプ
111 現像槽
112 第1搬送部材
113 第2搬送部材
114 第3搬送部材
115 現像ローラ
116 ドクターブレード
117 仕切り壁
119 トナー濃度検知センサ
P 第1現像剤搬送路
Q 第2現像剤搬送路
R 第3現像剤搬送路
S シート搬送路
T トナー補給路
U 現像剤回収路
a 第1連通路
b 第2連通路
c 第3連通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を循環搬送する第1現像剤搬送路および第2現像剤搬送路と、
第1現像剤搬送路内にある二成分現像剤を第2現像剤搬送路へ導く第1連通路と、
第2現像剤搬送路内にある二成分現像剤を第1現像剤搬送路へ導く第2連通路と、
前記第1現像剤搬送路の内部に回転自在に設けられ、かつ螺旋ピッチが現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かうに従って小さくなる螺旋羽根を有して二成分現像剤を一方向に搬送する第1搬送部材と、
前記第2現像剤搬送路の内部に回転自在に設けられ、二成分現像剤を一方向に搬送する第2搬送部材と、
前記第1現像剤搬送路内の二成分現像剤を担持して、感光体ドラムに供給する現像ローラと、
感光体ドラムに供給後前記現像ローラの表面に残った二成分現像剤を、前記第1現像剤搬送路から離間する方向へ導く現像剤回収路と、
前記現像剤回収路に導かれた二成分現像剤を収容し一方向に搬送する第3現像剤搬送路と、
前記第3現像剤搬送路の内部に回転自在に設けられる第3搬送部材と、
前記第3現像剤搬送路内にある二成分現像剤を第2現像剤搬送路へ導く第3連通路と、
前記第1現像剤搬送路と前記現像剤回収路との間に、所定の高さを有し、その高さを超えた余剰現像剤が第1現像剤搬送路から現像剤回収路に導かれる現像剤面調整窓とを備えていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記余剰現像剤は、前記第1現像剤搬送路から前記第3現像剤搬送路へ導かれることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像ローラの表面に残った二成分現像剤を、現像ローラ表面から離間させ、前記現像剤回収路の方向へ導くスクレーパを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記第3連通路が、第3現像剤搬送路の二成分現像剤搬送方向の下流側端部と、第2現像剤搬送路の二成分現像剤搬送方向の上流側端部とを接続する部分に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記第3現像剤搬送路の現像剤と接触する位置に、トナー濃度検知センサが設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記第2現像剤搬送路の内部であって、前記第2連通路を臨む位置に、汲上板を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記第3現像剤搬送路の内部であって、前記第3連通路を臨む位置に、汲上板を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記第3現像剤搬送路に、新しいトナーを補給するトナー補給口が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
前記請求項1から8のいずれかに記載された現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの表面を帯電させる帯電装置と、
感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光装置と、
前記現像装置にトナーを補給するトナー補給装置と、
トナー補給装置から補給されたトナーを用いて前記現像装置が感光体ドラムの表面に形成したトナー像を、記録媒体に転写する転写装置と、
前記転写されたトナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置とを備えたことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図9】
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【図10】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−163778(P2012−163778A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24217(P2011−24217)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】