説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】 各搬送部材を回転させて各現像剤搬送路内における現像剤を搬送させて循環させる現像装置内において、現像剤が各搬送部材を支持する軸受部材の部分から外部に漏れ出したり、軸受部材の部分等に熱が発生して現像剤中のトナーに融着や凝集が生じたりするのを防止する。
【解決手段】 現像ハウジング20a内における2つの現像剤搬送路23,24の端部に設けた各軸受部材25c,26cに、それぞれ搬送部材25,25の回転軸25a,25bを保持させる現像装置20において、少なくとも片側の各軸受部材にシール部材25d,26dを設けると共に、シール部材が設けられた各軸受部材と各現像剤搬送路との間に区画部28を設け、この区画部28に搬送部材の回転軸を挿通させる貫通孔部28aを回転軸との間に隙間を有するように設けて、区画部と各軸受部材との間に現像剤搬送路と連通する通風路29を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体等の像担持体に形成された静電潜像を現像するのに使用する現像装置及びこのような現像装置を用いた複写機やプリンタ等の画像形成装置に関するものである。特に、現像ハウジング内における複数の現像剤搬送路内に、回転軸の外周に搬送羽根を有する搬送部材を設け、各搬送部材を回転させて、現像剤を現像剤搬送路内で搬送させて循環させる現像装置において、現像剤が各搬送部材を回転可能に支持する軸受部材の部分から外部に漏れ出したり、搬送部材や軸受部材の部分が摩耗したり、この部分に熱が発生して、現像剤中におけるトナーが融着したり、凝集したりするのを適切に防止できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、感光体等の像担持体に形成された静電潜像に現像装置からトナーを供給して、像担持体に形成された静電潜像を現像するようにしている。
【0003】
そして、このような現像装置としては、トナーとキャリアとを含む現像剤を使用した2成分現像方式のものと、キャリアを含まないトナーからなる現像剤を使用した1成分現像方式のものとが知られている。
【0004】
ここで、トナーとキャリアとを含む現像剤を使用した2成分現像方式の現像装置においては、一般に、現像ハウジング内に設けられた少なくとも2つの現像剤搬送路内に、それぞれ回転軸の外周に搬送羽根を有する搬送部材を設け、各搬送部材の回転軸を各現像剤搬送路の端部側に設けられた軸受部材に回転可能に保持させるようにしている。そして、上記の各搬送部材を回転させて、各現像剤搬送路内における現像剤をそれぞれの現像剤搬送路に沿って搬送させながら循環させると共に、1つの現像剤搬送路内において搬送される現像剤を現像剤担持体に供給し、この現像剤担持体により現像剤を像担持体と対向する位置に導き、この現像剤担持体から像担持体に形成された静電潜像にトナーを供給して現像を行うようにしている。
【0005】
ここで、上記のように各搬送部材を回転させて、各現像剤搬送路内における現像剤をそれぞれの現像剤搬送路に沿って搬送させながら循環させるようにした場合、搬送部材を回転可能に保持する軸受部材の位置に現像剤が導かれ、現像剤中におけるキャリアやトナーが軸受部材と搬送部材の回転軸との間に入り込むことがあり、特に、近年のように高画質な画像を得るために、粒径の小さいキャリアやトナーを用いた場合には、キャリアやトナーが軸受部材と搬送部材の回転軸との間に入り込みやすくなる。
【0006】
そして、このように軸受部材と搬送部材の回転軸との間にキャリアが入り込むと、一般にキャリアは鉄やフェライト等の硬質材料で構成されているため、キャリアとの接触により軸受部材や搬送部材の回転軸が次第に摩耗し、軸受部材と搬送部材の回転軸との間の隙間が大きくなって搬送部材ががたつき、搬送部材が適切に回転されなくなったり、また隙間にさらに多くの現像剤が入り込んだりするという問題があった。
【0007】
また、軸受部材と搬送部材の回転軸との間に現像剤におけるトナーが入り込んだ場合、このトナーが軸受部材と搬送部材の回転軸との間を通して外部に漏れ出したり、軸受部材と搬送部材の回転軸との間にトナーが融着して、搬送部材の回転トルクが大きくなって、搬送部材が適切に回転されなくなったりするという問題があった。
【0008】
このため、従来においては、特許文献1の従来技術に示されているように、一般に、現像剤搬送路と軸受部材との間に現像剤が軸受部材の位置に導かれるのを抑制するシール部材を設けるようにしている。
【0009】
そして、特許文献1においては、このように現像剤搬送路と軸受部材との間にシール部材を設けた場合においても、現像剤が軸受部材の位置に導かれることがあるため、シール部材から軸受部材に侵入するトナーを排出するトナー排出口を有する軸受ハウジングを設けることを提案している。
【0010】
ここで、上記のように現像剤搬送路と軸受部材との間に現像剤が軸受部材の位置に導かれるのを抑制するシール部材を設ける場合、一般に、シール部材を搬送部材の回転軸と接触するように設けており、現像剤が軸受部材の位置に導かれるのを十分に抑制するためには、シール部材を搬送部材の回転軸に強く接触させることが必要になる。
【0011】
しかし、このようにシール部材を搬送部材の回転軸に強く接触させた状態で、上記のように搬送部材を回転させて、現像剤搬送路内における現像剤を現像剤搬送路に沿って搬送させるようにした場合、回転軸とシール部材とが接触する部分に熱が発生し、この結果、上記の特許文献1に示されるものにおいては、このように発生する熱によりトナーが回転軸とシール部材との接触部分に融着して、搬送部材の回転トルクが大きくなったり、また上記の熱によってトナーが凝集し、このように凝集されたトナーが、現像剤担持体に供給されて形成される画像にノイズが発生したりするという問題があった。
【0012】
また、特許文献2においては、現像剤搬送路内に設けられた搬送部材の内部を中空の流体経路として利用し、この流体経路を通して流体を循環させて、現像装置内の熱を外部に放出させることが提案されている。
【0013】
また、特許文献3においては、軸受とシール部材との間の軸受内側隙間と外部とを接続する気体流路を設けて、外部と現像剤搬送路とを接続させ、軸受内側隙間と外部との気圧の差圧をなくして、現像剤が軸受に侵入するのを防止することが提案されている。
【0014】
しかし、上記の特許文献2及び3に示されたものにおいても、搬送部材を回転させて、現像剤搬送路内における現像剤を現像剤搬送路に沿って搬送させるようにした場合、回転軸とシール部材とが接触する部分に熱が発生し、このように発生する熱によりトナーが回転軸とシール部材との接触部分に融着して、搬送部材の回転トルクが大きくなったり、また熱によりトナーが凝集し、このように凝集されたトナーが現像剤担持体に供給されて形成される画像にノイズが発生したりするのを適切に防止することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2000−147904号公報
【特許文献2】特開2005−140968号公報
【特許文献3】特開2007−171865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、現像ハウジング内における複数の現像剤搬送路内に回転軸の外周に搬送羽根を有する搬送部材を設け、各搬送部材を回転させて、現像剤を現像剤搬送路内で搬送させて循環させるようにした現像装置における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0017】
すなわち、本発明は、上記のような現像装置において、各搬送部材を回転させて、現像剤を現像剤搬送路内で搬送させて循環させるにあたり、現像剤が各搬送部材を回転可能に支持する軸受部材の部分から外部に漏れ出したり、搬送部材や軸受部材の部分が摩耗したりするのを防止するために、軸受部材の部分に搬送部材の回転軸と接触するようにシール部材を設けた場合においても、この接触部分において発生する熱によって、現像剤中におけるトナーが融着したり、凝集したりするのを適切に防止できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る現像装置においては、上記のような課題を解決するため、現像ハウジング内に現像剤を搬送させて循環させる少なくとも2つの現像剤搬送路が設けられると共に、各現像剤搬送路内にそれぞれ回転軸の外周に搬送羽根を有する搬送部材が設けられ、各搬送部材の回転軸がそれぞれ現像剤搬送路の端部側に設けられた軸受保持部に保持された軸受部材に回転可能に保持されてなる現像装置において、各現像剤搬送路の少なくとも一方の端部側における各軸受部材に、現像剤搬送路内の現像剤が軸受部材に導かれるのを抑止するシール部材を設けると共に、シール部材が設けられた各軸受部材と各現像剤搬送路との間を区画する区画部を設け、この区画部に各搬送部材の回転軸を挿通させて対応する軸受部材に導く各貫通孔部をそれぞれ回転軸との間に隙間を有するように設け、この区画部と上記の各軸受部材との間に上記の隙間を通して各現像剤搬送路と連通する通風路を設けた。
【0019】
このように、各現像剤搬送路と各軸受部材との間を区画する区画部を設け、この区画部に各搬送部材の回転軸を挿通させて対応する軸受部材に導く各貫通孔部をそれぞれ回転軸との間に隙間を有するように設けると、現像剤搬送路内における現像剤が上記の区画部により抑止されて、上記の隙間を通してシール部材の部分に導かれる現像剤の量が減少する。
【0020】
また、上記の区画部と各軸受部材との間に、上記の隙間を通して各現像剤搬送路と連通する通風路を設けると、各現像剤搬送路における空気がこの通風路と各貫通孔部における隙間とを通して循環されながら、回転軸とシール部材とが接触する部分に導かれるようになる。
【0021】
ここで、上記の現像装置においては、一般に、現像剤搬送路に沿って現像ハウジング内に設けた隔壁により2つの現像剤搬送路を区画させ、第1の現像剤搬送路内に設けた第1の搬送部材により現像剤を搬送させると共に現像剤を現像剤担持体に供給させる一方、第2の現像剤搬送路内に設けた第2の搬送部材により現像剤を第1の現像剤搬送路と逆方向に搬送させ、上記の隔壁の両端部に設けた循環口を通して現像剤を第1の現像剤搬送路と第2の現像剤搬送路との間で循環させるようになっている。
【0022】
また、このような現像装置において、上記の第1の現像剤搬送路が第2の現像剤搬送路より上方に位置する場合、第2の現像剤搬送路から隔壁に設けた循環口を通して第1の現像剤搬送路に現像剤を導く端部側に上記の通風路を設けるようにすることが好ましい。
【0023】
また、上記のような現像装置においては、上記の各搬送部材を回転させるにあたり、各搬送部材における回転軸の一端側に回転伝達機構を設け、この回転伝達機構により各搬送部材を回転させるようになっており、この場合、各搬送部材に回転を伝達させる回転伝達機構が設けられた端部側に上記の通風路を設けるようにすることが好ましい。
【0024】
また、上記の現像装置においては、各搬送部材における回転軸とシール部材とが接触する部分において発生した熱が、上記の通風路から速やかに貫通孔部における隙間を通して現像剤搬送路内に送られるようにするため、通風路内における搬送部材における回転軸に、気流発生用の羽根部を設けることが好ましい。
【0025】
そして、本発明における画像形成装置においては、像担持体に形成された潜像を現像するのに上記のような現像装置を用いるようにした。
【発明の効果】
【0026】
本発明の現像装置においては、上記のように現像剤搬送路内の現像剤が軸受部材に導かれるのを抑止するシール部材が設けられた各軸受部材と各現像剤搬送路との間を区画する区画部を設けると共に、この区画部に各搬送部材の回転軸を挿通させて対応する軸受部材に導く各貫通孔部をそれぞれ回転軸との間に隙間を有するように設け、現像剤搬送路内における現像剤を上記の区画部により抑止させて、上記のシール部材の部分に導かれる現像剤の量が減少させるようにしたため、このシール部材を搬送部材の回転軸に強く接触させなくても、現像剤が軸受部材に導かれるのが十分に防止されるようになる。
【0027】
また、本発明の現像装置においては、上記の区画部と各軸受部材との間に、上記の各貫通孔部における隙間を通して各現像剤搬送路と連通する通風路を設け、この通風路と各貫通孔部における隙間とを通して、回転軸とシール部材とが接触する部分を各現像剤搬送路と連通させるようにしたため、各現像剤搬送路における空気がこの通風路と各貫通孔部における隙間とを通して循環されながら、回転軸とシール部材とが接触する部分に導かれるようになり、各搬送部材における回転軸とシール部材とが接触する部分において熱が発生しても、上記のように循環される空気によって各搬送部材における回転軸とシール部材とが接触する部分が冷却されるようになる。
【0028】
このため、本発明の現像装置においては、各搬送部材を回転させて、現像剤を現像剤搬送路内で搬送させて循環させるにあたり、シール部材を搬送部材の回転軸に強く接触させなくても、現像剤が軸受部材に導かれるのが十分に防止され、現像剤が各搬送部材を回転可能に支持する軸受部材の部分から外部に漏れ出したり、搬送部材や軸受部材の部分が摩耗したりするのが適切に防止されると共に、各搬送部材における回転軸とシール部材とが接触する部分において発生する熱を少なくすることができ、さらにこの部分が循環される空気によって適切に冷却されるようなり、この部分に現像剤中におけるトナーが融着したり、凝集したりするのを適切に防止できるようになる。
【0029】
この結果、このような現像装置を用いた画像形成装置においては、上記の各搬送部材の回転トルクが大きくなったり、また熱により凝集されたトナーが現像剤担持体に供給されて形成される画像にノイズが発生したりするというがなく、良好な画像形成が安定して行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る現像装置を使用した画像形成装置により画像形成を行う状態を示した概略説明図である。
【図2】上記の実施形態に係る現像装置により像担持体に形成された静電潜像を現像する状態を示した概略説明図である。
【図3】上記の実施形態に係る現像装置の内部を示した概略断面説明図である。
【図4】上記の実施形態に係る現像装置において、通風路を設けた現像ハウジングの一方の端部の状態を示した部分断面説明図である。
【図5】上記の実施形態に係る現像装置の変更例を示し、2つの軸受部材を取り付けた連結板を現像ハウジングの側壁部に設けた軸受保持部に装着させる前の状態を示した概略斜視図である。
【図6】上記の変更例において、2つの軸受部材を取り付けた連結板を現像ハウジングの側壁部に設けた軸受保持部に装着させた状態を示した部分断面説明図である。
【図7】上記の変更例において、連結板に複数の放熱用凹部を設けた状態を示した概略斜視図である。
【図8】上記の実施形態に係る現像装置において、通風路内に位置する各搬送部材における各回転軸の外周部分に、外方に放射状に突出した気流発生用の羽根部を設けた状態を示した概略斜視図である。
【図9】上記の実施形態に係る現像装置において、通風路内に位置する各搬送部材における各回転軸の外周部分に凹部を設け、この凹部内に気流発生用の羽根部を設けた状態を示した概略斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に、本発明の実施形態に係る現像装置及び画像形成装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る現像装置及び画像形成装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0032】
この実施形態の画像形成装置においては、図1に示すように、感光体ドラムからなる4つの像担持体10に対応させて、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤を収容させた4つの現像装置20を設けている。
【0033】
そして、各現像装置20においては、対応する像担持体10に現像剤を搬送するスリーブ状になった現像剤担持体21をそれぞれの像担持体10と対向するように設けると共に、各現像装置20において、それぞれ現像剤中におけるトナーの色彩を異ならせるようにし、黒色,黄色,マゼンダ色,シアン色のトナーを用いている。
【0034】
ここで、上記の画像形成装置において、フルカラーの画像形成を行うにあたっては、上記の各像担持体10を回転させて、各像担持体10の外周面をそれぞれ帯電装置11によって帯電させ、このように帯電された各像担持体10に対して、それぞれ潜像形成装置12により画像形成情報に従った露光を行い、各像担持体10の外周面にそれぞれ静電潜像を形成する。
【0035】
次いで、このように静電潜像が形成された各像担持体10に対して、対応する現像装置20に設けられた現像剤担持体21によりそれぞれ現像剤を対応する像担持体10と対向する位置に導き、所定の色彩のトナーを各像担持体10の静電潜像に供給して現像を行い、各像担持体10の外周面にそれぞれの色彩のトナー像を形成する。
【0036】
そして、このように各像担持体10に形成された各色彩のトナー像を、ローラー13aに架け渡されて駆動される無端ベルト状になった中間転写ベルト13に、それぞれ一次転写ローラー14により順々に一次転写させて、この中間転写ベルト13の上にフルカラーのトナー像を形成する。一方、上記の中間転写ベルト13に転写されずに各像担持体10の外周面に残留しているトナー等の残留物を、それぞれ第1クリーニング装置15によって除去する。
【0037】
次いで、上記のように中間転写ベルト13の上に形成されたフルカラーのトナー像を、この中間転写ベルト13によって二次転写ローラー16と対向する位置に導くと共に、この画像形成装置の下部に収容された記録シートPを中間転写ベルト13と二次転写ローラー16との間に導き、上記の二次転写ローラー16により中間転写ベルト13の上に形成されたフルカラーのトナー像をこの記録シートPに二次転写させる。
【0038】
その後、フルカラーのトナー像が転写された記録シートPを定着装置17に導いて、転写されたフルカラーのトナー像を記録シートPに定着させ、このようにフルカラーのトナー像が定着された記録シートPを排紙させるようにしている。一方、記録シートPに転写されずに上記の中間転写ベルト13に残ったトナー等の残留物を、第2クリーニング装置18によって中間転写ベルト13から除去させるようにしている。
【0039】
ここで、この実施形態における現像装置20においては、図2に示すように、その現像ハウジング20aの上部において像担持体10と対向する開口部分に、像担持体10と所要間隔を介して対向するように現像剤担持体21を回転可能に設けると共に、この現像剤担持体21の内周側に、複数の磁極S,N,…が周方向に設けられたマグネット部材21aを固定して設けている。
【0040】
また、この現像装置20においては、現像ハウジング20aの内部に現像剤担持体21の軸方向に沿った隔壁22を設け、この隔壁22により現像剤担持体21の軸方向に沿った第1の現像剤搬送部23と第2の現像剤搬送部24とに分離させている。
【0041】
そして、第1の現像剤搬送部23内に、回転軸25aの外周に搬送羽根25bが設けられた第1の搬送部材25を収容させると共に、第2の現像剤搬送部24内に、回転軸26aの外周に搬送羽根26bが設けられた第2の搬送部材26を収容させている。
【0042】
また、図3に示すように、各搬送部材25,26における各回転軸25a,26aの両側の端部を、それぞれ現像ハウジング20aの両側の側壁部の各軸受保持部20bに設けられた各軸受部材25c,26cに挿通させ、第1及び第2の各搬送部材25,26を各軸受部材25c,26cに回転可能に保持させている。
【0043】
そして、この実施形態における現像装置20においては、現像ハウジング20aの一方の側壁部における各軸受保持部20bに設けられた各軸受部材25c,26cに、それぞれシール部材25d,26dを各搬送部材25,26における各回転軸25a,26aの外周面に接触して覆うように設け、各シール部材25d,26dによって現像剤Dが各軸受部材25c,26cに導かれるのを抑止するようにしている。また、このようにシール部材25d,26dが設けられた各軸受部材25c,26cを通して外部に延出された各搬送部材25,26における各回転軸25a,26aの端部に、それぞれギア等の回転伝達機構30を設け、この回転伝達機構30を介して回転装置(図示せず)により第1の搬送部材25及び第2の搬送部材26を回転させるようにしている。
【0044】
そして、このように回転される各搬送部材25,26に設けられた各搬送羽根25b,26bにより、上記の第1の現像剤搬送部23と第2の現像剤搬送部24とにおいて現像剤Dを逆方向に搬送させ、上記の隔壁22の両側の端部における第1及び第2の循環口22a,22bを通して、現像剤Dを上記の第1の現像剤搬送部23と第2の現像剤搬送部24との間で循環させると共に、第1の現像剤搬送部23における現像剤Dを現像剤担持体21の外周面に供給するようにしている。なお、この実施形態においては、第2の搬送部材26における搬送羽根26bにおいて、現像剤Dの搬送方向下流側の部分に逆方向になった逆搬送羽根26b1を設け、第2の現像剤搬送部24に沿って搬送されてきた現像剤Dを、この逆搬送羽根26b1によって抑止させると共に、この現像剤Dを上記の第1の循環口22aを通して第1の現像剤搬送部23に送るようにしている。
【0045】
そして、上記のように第1の現像剤搬送部23における現像剤Dが供給された現像剤担持体21を回転させ、供給された現像剤Dを現像剤担持体21の外周面に保持させて像担持体10と対向する現像領域に向けて搬送させるようにしている。
【0046】
また、このように現像剤Dを現像領域に搬送させる途中に、この現像剤担持体21と所要間隔を介して対向するように規制部材27を設け、この規制部材27により現像領域に搬送される現像剤Dの量を規制するようにしている。そして、このように規制された現像剤Dを現像剤担持体21により像担持体10と対向する現像領域に導き、この現像剤D中におけるトナーを、像担持体10に形成された静電潜像の部分に供給して、像担持体10に形成された静電潜像を現像するようにしている。
【0047】
ここで、この実施形態においては、図3及び図4に示すように、回転伝達機構30が設けられた各回転軸25a,26aの端部側における現像ハウジング20aの内部に、上記の各軸受部材25c,26cから所要間隔を介するようにして区画部28を設け、この区画部28により各軸受部材25c,26cと上記の各現像剤搬送部23,24を区画させると共に、この区画部28に各搬送部材25,26における各回転軸25a,26aを挿通させる各貫通孔部28aを、各回転軸25a,26aとの間に隙間を有するように設け、区画部28と各軸受部材25c,26cとの間に、上記の各貫通孔部28aにおける隙間を通して各現像剤搬送部23,24と連通する通風路29を形成している。
【0048】
このように、上記の各軸受部材25c,26cと上記の各現像剤搬送部23,24とを区画部28により区画させ、この区画部28に設けられた各貫通孔部28aに、各搬送部材25,26における各回転軸25a,26aを挿通させるようにすると、第2の現像剤搬送部24において搬送されてきた現像剤Dが、上記の逆搬送羽根26b1とこの区画部28とによって抑止され、各軸受部材25c,26cに設けられた上記のシール部材25d,26dの部分に導かれる現像剤Dの量が減少する。このため、各シール部材25d,26dを各搬送部材25,26における各回転軸25a,26aの外周面に強く接触させなくても、現像剤Dが各軸受部材25c,26cに導かれて外部に漏れ出すのが適切に防止されると共に、各搬送部材25,26における各回転軸25a,26aや各軸受部材25c,26cや各シール部材25d,26dが摩耗したりするのも抑制され、さらに各搬送部材25,26における各回転軸25a,26aと各シール部材25d,26dとが接触する部分において発生する熱も少なくなる。
【0049】
また、上記のように区画部28と各軸受部材25c,26cとの間に、各貫通孔部28aにおける隙間を通して各現像剤搬送部23,24と連通する通風路29を形成すると、各現像剤搬送路23,24における空気が上記の各貫通孔部28aにおける隙間と通風路29を通して循環されるようになる。このため、各搬送部材25,26における各回転軸25a,26aと各シール部材25d,26dとが接触する部分において熱が発生しても、上記のように循環する空気によって、各回転軸25a,26aと各シール部材25d,26dとが接触する部分が冷却されるようになり、この部分に現像剤D中におけるトナーが融着したり、凝集したりするのが適切に防止されるようになる。
【0050】
なお、この実施形態においては、各搬送部材25,26における各回転軸25a,26aを回転可能に保持させる各軸受部材25c,26cを、現像ハウジング20aの側壁部に設けられたそれぞれの軸受保持部20bに個別に設けるようにしたが、必ずしもこれらを個別に設ける必要はない。
【0051】
例えば、図5及び図6に示すように、2つの回転軸挿通穴31aが設けられた1つの連結板31に2つの軸受部材25c,26cを取り付けると共に、現像ハウジング20aの側壁部に、2つの軸受部材25c,26cを挿入させて保持させる1つの軸受保持部20bに設け、各搬送部材25,26における各回転軸25a,26aを、各軸受部材25c,26c及び上記の回転軸挿通穴31aに挿通させるようにして、2つの軸受部材25c,26cを上記の軸受保持部20b内に挿入させて保持させると共に、上記の連結板31によって上記の軸受保持部20bを閉塞させるようにすることができる。また、図7に示すように、上記の連結板31に放熱用凹部31bを複数設け、上記のように各搬送部材25,26における各回転軸25a,26aと各シール部材25d,26dとが接触する部分において発生した熱を、これらの放熱用凹部31bを通して外部に放熱させるようにすることもできる。
【0052】
また、各現像剤搬送路23,24における空気を、各貫通孔部28aにおける隙間と通風路29を通して適切に循環させて、循環する空気により各回転軸25a,26aと各シール部材25d,26dとが接触する部分を適切に冷却させるように、図8に示すように、通風路29内に位置する各搬送部材25,26における各回転軸25a,26aの外周部分に外方に放射状に突出した気流発生用の羽根部25e,26eを設けるようにすることができる。また、図9に示すように、通風路29内に位置する各搬送部材25,26における各回転軸25a,26aの外周部分に凹部25f,26fを設け、この凹部25f,26f内に気流発生用の羽根部25e,26eを設けるようにすることもできる。
【0053】
また、上記の実施形態においては、現像ハウジング20aの一方の端部側にだけ、上記のようにして通風路29を設けるようにしたが、現像ハウジング20aの他方の端部側にも同様にして通風路29を設けるようにすることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 像担持体
11 帯電装置
12 潜像形成装置
13 中間転写体,13a ローラ
14 一次転写装置
15 第1クリーニング装置
16 二次転写装置
17 定着装置
18 第2クリーニング装置
20 現像装置,20a 現像ハウジング,20b 軸受保持部
21 現像剤担持体
21a マグネット部材
22 隔壁,22a 第1の循環口,22b 第2の循環口
23 第1の現像剤搬送路
24 第2の現像剤搬送路
25 第1の搬送部材,25a 回転軸,25b 搬送羽根,25c 軸受部材,25d シール部材,25e 気流発生用の羽根部,25f 凹部
26 第2の搬送部材,26a 回転軸,26b 搬送羽根,26c 軸受部材,26d シール部材,26e 気流発生用の羽根部,26f 凹部
27 規制部材
28 区画部,28a 貫通孔部
29 通風路
30 回転伝達機構
31 連結板,31a 回転軸挿通穴,31b 放熱用凹部
D 現像剤
P 記録シート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像ハウジング内に現像剤を搬送させて循環させる少なくとも2つの現像剤搬送路が設けられると共に、各現像剤搬送路内にそれぞれ回転軸の外周に搬送羽根を有する搬送部材が設けられ、各搬送部材の回転軸がそれぞれ現像剤搬送路の端部側に設けられた軸受保持部に保持された軸受部材に回転可能に保持されてなる現像装置において、各現像剤搬送路の少なくとも一方の端部側における各軸受部材に、現像剤搬送路内の現像剤が軸受部材に導かれるのを抑止するシール部材を設けると共に、シール部材が設けられた各軸受部材と各現像剤搬送路との間を区画する区画部を設け、この区画部に各搬送部材の回転軸を挿通させて対応する軸受部材に導く各貫通孔部をそれぞれ回転軸との間に隙間を有するように設け、この区画部と上記の各軸受部材との間に上記の隙間を通して各現像剤搬送路と連通する通風路を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、上記の現像剤搬送路に沿って現像ハウジング内に設けた隔壁により2つの現像剤搬送路に区画させ、第1の現像剤搬送路内に設けた第1の搬送部材により現像剤を搬送させると共に現像剤を現像剤担持体に供給させる一方、第2の現像剤搬送路内に設けた第2の搬送部材により現像剤を第1の現像剤搬送路と逆方向に搬送させ、上記の隔壁の両端部に設けた循環口を通して現像剤を第1の現像剤搬送路と第2の現像剤搬送路との間で循環させることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の現像装置において、上記の第1の現像剤搬送路が第2の現像剤搬送路よりも上方の位置にあり、第2の現像剤搬送路から隔壁に設けた循環口を通して第1の現像剤搬送路に現像剤を導く端部側に上記の通風路を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の現像装置において、上記の各搬送部材に回転を伝達させる回転伝達機構が設けられ、この回転伝達機構が設けられた端部側に上記の通風路を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の現像装置において、上記の通風路内における少なくとも一方の搬送部材における回転軸に、気流発生用の羽根部を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
像担持体に形成された潜像を現像する現像装置に、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−88624(P2013−88624A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229147(P2011−229147)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】