説明

現像装置

【課題】より少ない工程数で、より簡易に形成された層厚規制部材を備える現像装置を提供する。
【解決手段】現像装置1は、現像ローラ3と、層厚規制部材5と、を備える。層厚規制部材5は、弾性ブレード10と、支持板11と、結合部材13と、を有する。弾性ブレード10は、先端部において現像ローラ3に当接する当接部12を有するとともに、左右方向に延びる長手状に形成され、前後方向に貫通する第1貫通孔16が形成されている。支持板11は、弾性ブレード10を支持するとともに、第1貫通孔16に対応する位置に第2貫通孔17が形成されている。結合部材13は、弾性ブレード10と支持板11とを結合し、当接部12と同じ材料で形成されるとともに、左右方向に延び、第1貫通孔16および第2貫通孔17を塞ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置として、表面にトナー像を担持する感光ドラムと、感光ドラムにトナーを供給する現像装置とを備える画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置に用いられる現像装置として、トナーを収容する筐体と、トナーを担持する現像ローラと、現像ローラに担持されるトナーの厚さを規制する層厚規制部材を備えるものが知られている。層厚規制部材は、先端部において現像ローラに当接する当接部を有する弾性ブレードと、弾性ブレードを支持する支持板とを有している。(特許文献1。)
このような層厚規制部材を形成するには、まず、金型成型によって、弾性ブレードの先端部に当接部を形成する。次に、弾性ブレードの基端部に、弾性ブレードの長手方向に沿って、熱接着テープを貼付する。そして、その熱接着テープの上に支持板を載せて、弾性ブレードと支持板を固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−051874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、層厚規制部材を形成すると、工程数が多いために手間がかかる。さらに、弾性ブレードと支持板を熱接着テープで固定する工程では、温度管理が十分でないと、接着力が弱くなることがあるため、温度管理に十分注意する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、より少ない工程数で、より簡易に形成された層厚規制部材を備える現像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)前記した目的を達成するために、本発明の現像装置は、現像剤を担持する現像ローラと、現像ローラによって担持される現像剤の層厚を規制する層厚規制部材と、を備える。
【0008】
層厚規制部材は、弾性ブレードと、支持板と、結合部材と、を有する。
【0009】
弾性ブレードは、現像ローラの軸方向と平行な方向である長手方向に延び、長手方向と直交する方向における一端部に設けられて現像ローラに当接する当接部と、長手方向と直交する方向における他端部に形成される第1貫通孔とを有する。
【0010】
支持板は、弾性ブレードを支持するとともに、第1貫通孔に対応する位置に第2貫通孔が形成されている。
【0011】
結合部材は、弾性ブレードと支持板とを結合し、当接部と同じ材料で形成されるとともに、長手方向に延び、第1貫通孔および第2貫通孔を塞ぐ。
【0012】
これによれば、当接部と結合部材とが同じ材料であるために、当接部と結合部材を同時に形成できる。また、当接部および結合部材の形成時に、弾性ブレードと支持板が結合される。よって、層厚規制部材を、より少ない工程数で、より簡易に形成することが出来る。
【0013】
(2)第1貫通孔および第2の貫通孔は、長手方向において、互いに間隔を隔てて複数個設けられることが好ましい。
【0014】
これによれば、弾性ブレードと支持板を、より確実に結合できる。
【0015】
(3)現像ローラを収容する筐体を有し、弾性ブレードおよび支持板には、それぞれ長手方向両端部を貫通するねじ孔が形成され、層厚規制部材は、ねじ孔を介して、筐体にねじ止めされることが好ましい。
【0016】
これによれば、ねじ止めする箇所は、層厚規制部材の長手方向両端部の2箇所だけであるので、ねじの周りに局所的な力が加えられることによる弾性ブレードの歪みを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、層厚規制部材を、より少ない工程数で、より簡易に形成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の現像装置の斜視図である。
【図2】現像装置の断面図である
【図3】層厚規制部材の斜視図である。
【図4】層厚規制ブレードの組み立てる様子を表す図であり、(a)は弾性ブレードであり、(b)は支持板であり、(c)は組立て後に前方から見た図であり、(d)は組立て後に後方から見た図であり、(e)は組立て後の断面図ある。
【図5】(a)は、層厚規制部材を筐体に取り付ける前の状態を表す図であり、(b)は、層厚規制部材を筐体に組み付けた後の状態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.現像装置の構成
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の現像装置の斜視図である。図2は、現像装置の断面図である。尚、以下の説明において、方向は、図1に示すように、現像装置を横向きにおいた状態を基準として説明する。すなわち、図1において、筐体2を基準として層厚規制ブレード5が取り付けられている側を「上側」、その反対側を「下側」とし、現像ローラ3が配置されている側を「前側」、その反対側を「後側」とする。また、このように定義した上下前後の方向を基準として決まる左右方向を「左右」方向とする。
【0020】
現像装置1は、筐体2と、現像ローラ3と、供給ローラ4と、層厚規制部材5と、アジテータ6と、を備えている。
【0021】
筐体2は、図1に示すように、左右方向に長手のボックス形状である。筐体2は、トナー収容室7を有している。トナー収容室7には、現像剤としてのトナーが収容されている。
【0022】
現像ローラ3は、供給ローラ4に対して斜め前側上方に設けられ、トナーを担持する。現像ローラ3の周面の一部は、前側上方より露出している。
【0023】
供給ローラ4は、トナー収容室7から搬送されるトナーを現像ローラ3に供給する。
【0024】
層厚規制部材5は、現像ローラ3と摺接して、現像ローラ3のトナーの厚さを規制する。
【0025】
アジテータ6は、トナー収容室7内に設けられ、回転することによって、トナー収容室7内のトナーを攪拌する。
【0026】
2.層厚規制部材の構成
図3は、層厚規制部材の斜視図である。図4は、層厚規制ブレードの組み立てる様子を表す図であり、(a)は弾性ブレードであり、(b)は支持板であり、(c)は組立て後に前方から見た図であり、(d)は組立て後に後方から見た図であり、(e)は組立て後の断面図ある。
【0027】
層厚規制部材5は、図3に示すように、左右方向に長手状に延び、弾性ブレード10と、支持板11と、当接部12と、結合部材13とを備えている。
【0028】
弾性ブレード10は、図4(a)に示すように、左右方向に長手状に延び、薄い金属板で形成されている。弾性ブレード10の上部(一端部)には、複数の第1貫通孔16が形成されている。第1貫通孔16は、互いに等間隔で配置され、丸穴である。また、弾性ブレード10において、第1貫通孔16より外側、すなわち、両端部付近には、それぞれ前後方向に貫通したねじ孔14が形成されている。より具体的には、右端部付近には、ねじ孔14Rが設けられ、左端部付近には、ねじ孔14Lが設けられている。ねじ孔14Rは、丸穴であり、ねじ孔14Lは、左右方向に広がる略楕円形状である。
【0029】
支持板11は、図4(b)に示すように、左右方向に長手状に延び、鋼板から形成されている。支持板11の左右方向の長さは、図4(c)に示すように、弾性ブレード10の左右方向長さより長く、厚さは、図4(e)に示すように、弾性ブレード10の厚みより厚い。また、支持板11には、上下方向中央に互いに等間隔を隔てて配置される複数の第2貫通孔17が形成されている。また、第2貫通孔17は、左右方向において、第1貫通孔16と対応する位置に設けられ、第1貫通孔と同じ形状である。また、支持板11において、第2貫通孔17より外側、すなわち、両端部付近には、それぞれ前後方向に貫通したねじ孔15が形成されている。より具体的には、右端部付近には、ねじ孔15Rが設けられ、左端部付近には、ねじ孔15Lが設けられている。ねじ孔15Rは、丸穴であり、ねじ孔15Lは、左右方向に広がる略楕円形状である。
【0030】
当接部12は、図4(c)に示すように、弾性ブレード10の下端(他端部)において、左右方向に長手状に延び、現像ローラ3に向けて突出するように設けられている。また、当接部12は、現像ローラ3の周面と直接摺接する部材であり、ゴムなどの弾性材料から形成されている。ゴムとしては、一般的に、ウレタンゴムやシリコンゴムが使用されている。また、当接部12は、図4(e)に示すように、断面から見て、角が丸みを帯びた形状である。
【0031】
結合部材13は、図4(c)に示すように、左右方向に長手状に延び、弾性ブレード10と支持板11を結合する部材である。また、結合部材13は、当接部12と同じ材料で形成されている。また、結合部材13は、図4(e)に示すように、弾性ブレード10の第1貫通孔16および支持板11の第2貫通孔17を塞いでいる。
【0032】
3.層厚規制部材の組立て
図4を用いて、層厚規制部材5の組立てについて説明する。
【0033】
まず、弾性ブレード10の第1貫通孔16と支持板11の第2貫通孔17が、重なる位置、すなわち、左右方向において同じ位置になるように、弾性ブレード10と支持板11を金型にセットする。そして、金型にゴムを注入して、当接部12および結合部材13を形成し、冷却する。具体的には、金型に注入されたゴムが、当接部12が配置される位置と結合部材13が配置される位置に移動し、当接部12および結合部材13が同時に形成される。ここで、結合部材13の形成方法について、より具体的に説明する。金型に注入されたゴムは、弾性ブレード10の第1貫通孔16間を移動すると同時に、図4(e)に示すように、弾性ブレード10側から、第1貫通孔16および第2貫通孔17を介して、支持板11側に移動する。そして、支持板11側に移動したゴムは、第2貫通孔17間を埋めるように移動し、図4(d)に示すように、長手状につながった形状となる。このような形成方法により、結合部材13は、第1貫通孔16および第2貫通孔17を塞ぎ、弾性ブレード10と支持板11とを結合している。
【0034】
4.層厚規制部材の筐体への固定
図5(a)は、層厚規制部材5を筐体2に取り付ける前の状態を表す図であり、図5(b)は、層厚規制部材5を筐体2に組み付けた後の状態を表す図である。
【0035】
層厚規制部材5を筐体2に組み付けるには、まず、図5(a)に示すように、層厚規制部材5のねじ孔14およびねじ孔15に、ねじ8を前方から挿通する。そして、筐体2に形成されるねじ孔21(一方のみ図示)に、ねじ8を挿通させて、図5(b)に示すように、筐体2に層厚規制部材5を組み付ける。
【0036】
5.作用効果
(1)以上のように、現像装置1は、トナーを担持する現像ローラ3と、現像ローラ3によって担持されるトナーの層厚を規制する層厚規制部材5と、を備える。
【0037】
層厚規制部材5は、弾性ブレード10と、支持板11と、結合部材13と、を有する。
【0038】
弾性ブレード10は、先端部において現像ローラ3に当接する当接部12を有するとともに、左右方向に延びる長手状に形成され、前後方向に貫通する第1貫通孔16が形成されている。
【0039】
支持板11は、弾性ブレード10を支持するとともに、第1貫通孔16に対応する位置に第2貫通孔17が形成されている。
【0040】
結合部材13は、弾性ブレード10と支持板11とを結合し、当接部12と同じ材料で形成されるとともに、左右方向に延び、第1貫通孔16および第2貫通孔17を塞ぐ。
【0041】
この結果、当接部12と結合部材13とが同じ材料であるために、当接部12と結合部材13を同時に形成できる。また、当接部12および結合部材13の形成時に、弾性ブレード10と支持板11が結合される。よって、層厚規制部材5を、より少ない工程数で、より簡易に形成することが出来る。
【0042】
(2)第1貫通孔16および第2の貫通孔17は、左右方向において、互いに間隔を隔てて複数個設けられている。
【0043】
これによれば、弾性ブレード10と支持板11を、より確実に結合できる。
【0044】
(3)現像ローラ3を収容する筐体2を有し、弾性ブレード10および支持板11には、それぞれ左右方向両端部を貫通するねじ孔14、15が形成され、層厚規制部材5は、ねじ孔14、15を介して、筐体2にねじ止めされる。
【0045】
これによれば、ねじ止めする箇所は、層厚規制部材5の左右方向両端部の2箇所だけであるので、ねじ8の周りに局所的な力が加えられることによる弾性ブレード10の歪みを抑制できる。
【0046】
6.変形例
本発明では、結合部材13にゴムを用いたが、結合部材13と当接部12が同じ材料で形成されていれば、他の材料でもよい。例えば、樹脂や金属を用いてもよい。
【0047】
また、本実施例では、第1貫通孔16および第2貫通孔17を丸穴で形成したが、丸穴に限らず、結合部材13が貫通できる形状であればよい。例えば、スリット形状や矩形状であってもよい。
【0048】
また、第1貫通孔16および第2貫通孔17は、全てが同じ大きさでなくてもよい。例えば、中央付近の貫通孔を大きくして、結合力が大きくなるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 現像装置
2 筐体
3 現像ローラ
4 供給ローラ
5 層厚規制部材
6 アジテータ
7 トナー収容部
10 弾性ブレード
11 支持板
12 当接部
13 結合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持するための現像ローラと、前記現像ローラによって担持される現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材と、を備える現像装置であって、
前記層厚規制部材は、
前記現像ローラの軸方向と平行な方向である長手方向に延びる弾性ブレードであって、
前記長手方向と直交する方向における一端部に設けられて前記現像ローラに当接する当接部と、前記長手方向と直交する方向における他端部に形成される第1貫通孔とを有する弾性ブレードと、
前記弾性ブレードを支持するとともに、前記第1貫通孔に対応する位置に第2貫通孔を有する支持板と、
前記弾性ブレードと前記支持板とを結合する結合部材と、を有し、
前記結合部材は、前記当接部と同じ材料で形成されるとともに、前記長手方向に延び、前記第1貫通孔および第2貫通孔を塞ぐことを特徴とする、現像装置。
【請求項2】
前記第1貫通孔および前記第2の貫通孔は、前記長手方向において、互いに間隔を隔てて複数個設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像ローラを収容する筐体を有し、
前記弾性ブレードおよび前記支持板には、それぞれ前記長手方向両端部を貫通するねじ孔が形成され、
前記層厚規制部材は、前記ねじ孔を介して、前記筐体にねじ止めされることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−105064(P2013−105064A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249438(P2011−249438)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】