説明

現在の層を決定するための球面収差の最適化方法及び装置

球面収差補正機構は、少しだけ球面収差補正の初期設定から外される球面収差補正装置の種々の設定について応答を測定し、光媒体における種々の多層について予測される応答とそれらの応答を比較することにより起動処理において迅速に最適化される。信号測定及び較正は、ディスクからデータを読み出すことを試みることに先だって、又はディスクからデータを読み出すことと同時に実行されることが可能である。それらの応答を、種々の層についての理想的な、典型的な又は予測される曲線と比較することにより、現在の層のアドレスを導き出すことができ、所望の層に迅速にアクセスすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク認識に関し、特に、光ディスクにおける層情報の認識に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、開発された光ディスクプレーヤ/レコーダは、典型的には、複数の種類の光ディスクにより動作することが可能である。一旦、光ディスクプレーヤ/レコーダにディスクが置かれると、光ディスクプレーヤ/レコーダはディスクの種類を判定する。例えば、HD−DVDディスク又はブルーレーディスク(BD)等の1つ又はそれ以上の最近のディスクフォーマットにより動作するディスクプレーヤ/レコーダにおいては、例えば、一層情報又は二層情報等のディスクについての層情報は、DVDディスクについての制御データ領域又はBDについての情報領域を読み出すことにより検索されることが可能である。従来、それらの種類のプレーヤ/レコーダは、ディスクからもたらされる信号を測定し、較正することにより、そしてHF及びウォブル位相ロックループを初期化することにより、ディスクを認識する複雑なアルゴリズムを実行することにより層情報を検索することができる。
【0003】
現在、存在しているBD多層ディスクは2つの記録層を有する。ここで、L1と表す記録層は、図1に示すように、カバー層から約75μmの距離に存在している。ここで、L0と表す記録層は、図1にまた、示すように、カバー層から約100μmの距離に位置付けられている。L0及びL1の記録層の両方は約10μmの厚さを有する。図1から明らかであるように、カバー層は、記録層L0か又はL1のどちらかよりかなり厚い。カバー層の厚さにおける変化は、補償を必要とする記録層L0、L1のフォーカシングにおいて球面収差をもたらす。それらの変化を補償する一方法は、移動可能なコリメータレンズを介するものである。
【0004】
フォーカシングされている現在の層のような、多層ディスクにおける層情報は、現在の層に関連するディスクにおける情報を読み出すことにより検索されることができる。DVD又はBDの場合の現在の層についての情報が、ヘッダ又はADIPアドレス(ADresses In the Pregroove、又はウォブリングアドレスともいう)を読み出すことにより得られる。
【0005】
アドレスを読み出すことは、起動時手順ワンスサーボにおいて後の段階に達成され、HF及びウォブル信号は適切に得られ、適切な品質を有する。
【0006】
ここで一般に表している“起動”とは、一旦、ディスクがプレーヤ/レコーダに置かれると、ディスクを用いるために開始される初期手順のことをいう。起動時には、ディスクの種類に関連する種々の因子は認識されていない。多層ディスクについての、特に、異なる種類の光媒体により動作するプレーヤ/レコーダにおける起動は、多くの未知の因子を与える。起動時のそれらの未知の因子の中には、ディスクの種類が単層ディスクであるか又は多層ディスクであるかということがある。BD型媒体においては、基板の厚さは信号品質に大きい影響を与える。多層の記録層を有するBD型媒体の起動時に、プレーヤ/レコーダは、フォーカシングされている現在の層にしたがった球面収差を補正する機構を通常は有する。球面収差を補正するそれらの機構は、典型的には光媒体における層の何れかにフォーカシングするために所望される最適値間にある位置にプリセットする。球面収差を補正する一般に用いられている機構は、モータを備えたコリメータレンズ及び液晶球面収差補正機構である。
【0007】
例えば、多層のBD型光媒体においては、現在、2つの層が存在する。用いられている球面収差補正機構の一の種類は、一般に、コリメータをいう、球面収差を補正するためのコリメータレンズに関連する光学系を移動させるモータに備えられているコリメータレンズである。典型的には、起動時に、コリメータを用いるシステムは、二層ディスクの2つの層の最適値に対する中央の位置に予め設定される。この中央位置は、両方の層について記憶されている最適位置から演算される、工場で予め設定される、又は通常の使用時に学習される、又はそれらが組み合わされて行われる。記録層の何れかに対して最適値に設定されない球面収差を補正する機構の結果として、焦点及びトラッキングについて結果的に得られるサーボ信号の品質は最適ではない。最適値間の球面収差を補正するための機構を置くための理論的根拠は、焦点及びトラッキングについてのサーボ制御信号がBD二層ディスクの両方の層に対して近接していることである。例えば、コリメータレンズの場合、その位置は、それら2つの層の間の中間の位置に設定される。液晶装置が、光媒体にフォーカシングされる波面を調節するように用いられる球面収差補正機構として調節するように用いられる場合、同様の理論が一般に用いられる、即ち、どちらかの層に対する最適値は起動時には存在しない。
【0008】
一旦、その層情報が認識されると、球面収差補正機構において、コリメータレンズはその層の最適位置の方に移動されることができる。液晶球面収差補正機構の場合、バイアス電圧が、当該技術分野において既知である方法で光学特性を修正するように調節されることが可能である。その設定及びパラメータは、その場合、調節され、特にその特定の層の最適な性能に設定される。典型的には、それらの較正は、最適な信号品質を決定するように繰り返される。
【0009】
上記の手法において存在する課題は、層情報が十分に認識される前に、起動時に過度に時間が費やされることである。従来は、多層ディスクについての起動時には、球面収差補正機構は最適化されていない。球面収差補正機構が設定されたコリメータレンズである場合、そのコリメータレンズは、特定の層について最適化されていない所定の位置に動かされる。球面収差補正機構が液晶に基づく装置である場合、その液晶装置は、特定の層について最適化されていない所定の設定に設定される。光ヘッドは、典型的には、層を探索するように焦点−エラー信号を用い、ドライブは、工場で書き込まれた最適な球面収差補正機構の設定をその層から読み出すことを試みる。それ故、起動処理においてより早く層情報を与え、実施されるべき層に特定のパラメータを可能にすることができるシステム及び方法についての当該技術分野における要請が依然として存在している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来技術における上記の短所については、コリメータ及び液晶球面収差補正機構の両方に適用することができる、以下に説明する実施形態により対処することができる。以下で説明する実施形態は、球面収差補正機構を最適化することができる。以下に説明する実施形態は、起動処理における初期にディスクからデータを読み出すことに先だって又はそれと同時に、プッシュプルか又はdpd変調を用いて球面収差補正機構を最適化することができる。信号測定及び較正は、その場合、ディスクからデータを読み出すことを試みることに先だって実行されることができる。それらの実施形態は、フォーカシングされている層の極めて迅速な決定を可能にする、典型的な、理想的な又は予測できる応答により球面収差補正機構からの最初の応答と比較することによりそれらの特徴を与えることができる。一旦、現在の層が認識されると、所望の層に即座にアクセスすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
球面収差補正機構が、現在、フォーカシングされている層について特定の最適値に設定されていない場合、フォーカスループ及び径方向ループは有効に使用されることはない。多くの信号最適化手法は、その場合、アドレスの読み出しを可能にする適切なhf及びウォブル品質をもたらすことが可能である。現在のところ、球面収差は、現在の層についての正確な位置に設定されることが可能である。焦点が捕捉されるとすぐに、球面収差補正器を最適化する(例えば、最大プッシュプル又はdpd振幅の方に)ことにより、全ての信号の測定及び較正は、適切な球面収差設定により既に行われていることが可能である。時間を節約することができ、それにより、ディスクの認識を高速化することができる。
【0012】
一実施形態においては、球面収差補正器の最適化の結果として層情報検出を用いている。層情報を認識する起動処理が迅速であればある程、多くの判定が迅速に行われることができる。トラックは、典型的には、パラレルトラックパス(PTP)又はオポジットトラックパス(OTP)と称せられる2つの異なるモードの一において記録される。PTPモードにおいては、層0及び層1の両方について、ディスクにおける情報領域の半径方向の内方から外方に読み出される。OTPは、ディスクの内側において開始する螺旋トラックに書き込まれるときに層L0を、ディスクの外側において開始する螺旋トラックを有する場合に層L1を規定する、媒体の二層BD及びDVDにおいて採用される規格である。OTPを用いる場合、トラックは、プレーヤ/レコーダが各々の層にアクセスするために同じ方向に回転するようにして書き込まれる。OTPは、プレーヤ/レコーダが一の層から他の層により迅速に切り替わることを可能にする。トラック方向(OTP又はPTP等)に加えて、起動処理におけるより迅速な層情報認識は、層特定コンテンツがそれらの層について実行されることができるように較正及び設定を可能にする。
【0013】
一実施形態においては、光媒体プレーヤ/レコーダシステムは、複数の層を有する光媒体を有する複数の種類の光媒体を読み出すことができ、その光媒体プレーヤ/レコーダは球面収差を補正する球面収差補正機構を有する。層情報は、フォーカシングされる層について、最大プッシュプル変調の方に向かって球面収差の最適化を実行することにより、起動処理における初期の段階において得られる。球面収差補正の目的位置は、カバー層の厚さの結果として生じる球面収差のためにかなり明確である必要がある。これは、本実施形態においては、光学系が設定されている現在の層及び光媒体に最初にフォーカシングすることにより達成される。球面収差を補正するための機構及び焦点は第1方向において調節され、その調節に対する応答の測定が行われる。球面収差を補正するための機構及び焦点は、第1方向と逆の第2方向において調節され、その調節に対する応答の測定が行われる。それらの測定から、応答曲線が確立され、記録層の各々についての予測応答曲線と比較される。その比較の結果に最も近い応答曲線と適合する層の決定が行われ、プレーヤ/レコーダは、この層について特に好ましいパラメータ及び設定を実施する。一旦、現在の層が認識されると、そのシステムは、それらの層について特に最適化されるパラメータ及び設定を用いて、光媒体の複数の層における動作を進める。その結果、最適な球面収差補正が、上記の従来の方法に比べて、起動過程においてかなり迅速に行われることになる。
【0014】
他の実施形態においては、球面収差を補正するための機構として、コリメータレンズ位置が用いられる。コリメータレンズの位置決めは、カバー層の厚さの結果として生じる球面収差のために、かなり明確である必要がある。図2は、移動するコリメータレンズ(コリメータ)を用いるBDドライブにおいて用いられる光学系10の模式図である。図2は、ブルーレイディスク12を読み出す及びそのディスクに記録するために用いられるドライブにおいて用いられる種類の光学系10を示している。図2に示しているブルーレイシステムにおいては、450nmの光がブルーレイレーザ16から発光され、その光はコリメータレンズ14を介してビームスプリッタ26から反射されるかなりの部分を有する。コリメータレンズ14は、ビームスプリッタ26から入射する光を受け入れ、ミラー24に入射する略平行光を生成する。ミラー24は、対物レンズ18の方に‘平行’光を反射し、ディスク12に光ビームをフォーカシングする。ディスク12から反射された光は、対物レンズ18により平行光にされる。対物レンズ18の焦点位置は、焦点オフセットサーボ19により制御される。ディスクから反射された光は、対物レンズ18を透過し、コリメータレンズ14を介してミラー24により反射される。コリメータレンズ14を透過した反射光ビームは、ビームスプリッタ26の方に集束し、そのビームスプリッタはサーボレンズ22及び検出器22にかなりの部分を渡す。
【0015】
ディスクにおけるスポットは、矢印19で示されている方向に、ディスクに対して対物レンズ18を移動させる焦点オフセットサーボ19を作動させることによりデフォーカシングされることが可能である。コリメータサーボ15によりコリメータレンズ14の位置を変化させることにより、光ビームを発散する又は集束することが可能であり、必要に応じて、少なくとも一部が非平行なビームを生成することが可能である。このような非平行ビームは、対物レンズにおける付加的な球面収差を生成する。これは、対物レンズ18とディスクのカバー層の厚さとの間のミスマッチによりもたらされる球面収差に付加される。
【0016】
BD規格は、BDディスク12における各々の層が、図1に示す層L0(100μm)及び層L1(75μm)についての公称値から5μmずれることを可能にする。読み出しは最大8μmの球面収差補償サーボ又はSAサーボエラーまで可能であるが、そのような大きいマージンは、事実上、ドライブ又はディスクにおける他の悪化を補償するためのマージンを残してはいない。
【0017】
BDドライブのデザインを経済的に見合うように保つために、従来の4つの部分を有するフォトダイオード検出素子が、焦点エラー及び径方向トラッキングエラー信号生成のために一般に用いられる。球面収差を測定するようにより複雑なフォトダイオード検出素子を要求することは、そのシステムに対して許容できないコストの増大をもたらす。それ故、システムのコストを低く維持するように、付加検出器を用いることなく、従来の4つの部分を有する検出素子を用いることが望ましい。その結果、現在利用可能なBDドライブアーキテクチャは、カバー層厚さ補償サーボ(球面収差補償サーボ又はSAサーボともいう)の制御を可能にするように直接エラー信号を供給することはできない。
【0018】
ROMディスクから読み出される光ディスクシステムにおいて、焦点オフセット及びSAサーボは、読み出されたHF信号のジッタを用いて最適化されることが可能である。しかしながら、BD−R、再書き込み可能BD−RE又はDVD+R等のブランクの記録可能ディスクにおいては、HF信号を生成するどれからのデータも利用可能でない。それ故、ブランクの記録可能及び再書き込み可能光ディスクにおいて起動時に、焦点オフセット及びSAサーボを最適化することにおける課題が存在している。
【0019】
従来のブルーレイディスク書き込みシステムは、HF信号の存在を保証しない。それらの現在、利用可能なブルーレイ書き込みシステムは、典型的には、SAサーボの最適化について、プッシュプル方法論を用いる。一般的な方法は、プッシュプル振幅又はプッシュプル電力を測定することにより起動時にSAサーボを最適化するようになっている。プッシュプルの最適化は、更なる最適化を可能にする十分に適切な設定を与える。
【0020】
図3は、カバーレターの結果として生じる球面収差を補正するように位置付けられているコリメータを用いるBDシステムについてのグラフを示している。図3は、L0及びL1の記録層の両方におけるフォーカシングにおいてそれらの球面収差を補正するようにコリメータサーボ15によりコリメータレンズ14の代表的な位置決めを示している。図3から明らかであるように、L0及びL1層について用いられるコリメータの位置の間には大きい差が存在している。図3に示すコリメータレンズ14の位置決めを用いるBDドライブにおいては、コリメータレンズ14の移動は3800μmに亘る距離をカバーすることができ、L1記録層の最適な位置は2175μmにあり、L0記録層の最適な位置は1175μmにある。コリメータ位置におけるこの1000μmの差は、L0及びL1記録層間に存在するカバー層の表面からの距離で25μmの差からもたらされる球面収差における変化を補償するために必要である。この25μmの差は、L0記録層についてカバー層における付加的な25μmの厚さとみなすことができる。
【0021】
プレーヤ/レコーダにより支持されている各々の種類のディスク全ての各々の層についての最適なコリメータ位置は、製造中にデフォルト値にプリセットされる。そのデフォルト値はモニタされ、起動時に平均化される。コリメータレンズが光媒体から遠ざかるように及び近づくようにかなり小さくインクリメントして移動されるようにしてコリメータ15を調節することにより、各々の位置について検出されるそれぞれの値を測定し、両方の層について記憶されている値に対して応答値を比較して、現在の層の高信頼性の仮定が得られ、その層について特定である情報が、その層自体からの情報を読み出すことか、又はプレーヤ/レコーダにおいて記憶されている情報を用いることのどちらかにより利用可能であるようにすることができる。有効な測定パラメータへの二次曲線の適合は、図3における曲線はフォーカシングされている現在の層及び受け入れられている応答と適合する最適な決定をもたらす。カバー層の厚さ、それ故、特定の層に共通である応答の位置を比較することにより、現在の層を決定することができる。
【0022】
他の実施形態においては、球面収差補正機構として液晶に基づく装置を用いる。球面収差補正機構としての液晶に基づく装置を有するシステムを実施するためには、状況及び構成は、液晶装置(図示せず)を制御するそれぞれのエレクトロニクスに対して全体的なコリメータサーボ15を変化させることと、液晶装置に対してコリメータレンズを変化させることとにより、図2及び3に関連付けて上で説明している場合と同様である。この実施形態においては、曲線の集合は、図3に示すプレーヤ/レコーダと同様のプレーヤ/レコーダにおいて記憶される。起動時に、液晶装置は、特定の層について最適化されていない所定の設定に設定される。液晶装置を制御するエレクトロニクスは、小さい量近づく及び小さい量遠ざかるように、焦点のために液晶装置についての設定を交互に変化させる。その曲線の集合に対して測定される且つ比較されるその調節の応答は、コリメータ15について上記している場合と同様の方法で、プレーヤ/レコーダにおいて記憶される。そのプレーヤ/レコーダは、その場合、どの層が現在フォーカシングされているかを適切に決定するように、内部に記憶されている曲線に対して測定された応答を適合させることができる。
【0023】
上記の及び他の目的は、未知の層にフォーカシングし、プッシュプルか又は差分位相検出(dpd)のどちらかを用いてより近い及びより遠い距離に現在の球面収差補正機構を変え、応答振幅が近い及び遠い焦点距離の両方について測定されることにより、現在の層を決定することによって達成される。曲線適合化は、ディスクにおいて有される層についての予測される応答と実際の応答を適合することにより行われる。二次曲線は、近い距離及び遠い距離にフォーカシングするための球面収差補正機構の変化に対して受け入れられた応答間で適合され、各々の層についての予測曲線は球面収差補正機構の設定のための最適値を得る。上記の2層のBD媒体においては、近い及び遠い距離においてフォーカシングする球面収差補正機構に対して測定された応答から生成される曲線は、図3に示している2つの曲線の一の様に現れる。この曲線は、球面収差補正機構についてコリメータレンズを用いる実施形態のためのコリメータ一の周りに、又は、球面収差補正機構としての液晶装置を用いる実施形態における液晶装置のための設定及びバイアスの周りに位置付けられる。この曲線は、その場合、層の一について特定である。この最適な位置を、特定の層のためのカバー層の厚さについて共通の位置と比較することにより、現在の層を決定することができる。
【0024】
図3は、ディスクにおける複数の層の異なるコリメータ位置に対するプッシュプル振幅についての曲線を示す図である。図3は、BD型光媒体におけるL1層についてのプッシュプル振幅の代表的なL1曲線32についての測定を示している。L1曲線32は、L1曲線32の最適プッシュプル振幅であるコリメータ位置33において最大振幅を有する。L0曲線34は、BD型光媒体におけるL0層についてのプッシュプル振幅の代表であるL0曲線34についての測定を示している。L0曲線32は、L0曲線34の最適プッシュプル振幅であるコリメータ位置37において最大振幅を有する。L1 32及びL0 34曲線はコリメータ位置35において交差している。上記のように、図3に示しているX軸に沿った左右へのコリメータ位置の移動及びその移動に応答する測定は、実際の応答とL1 32か又はL0 34曲線のどちらかとの間の曲線適合化を可能にする。一旦、曲線適合化が得られると。フォーカシングされている現在の層が認識され、その層について特定のパラメータ及び設定を行うことができる。上記の説明はBD型媒体におけるコリメータの位置決めに関するものであるが、それらの上記の概念は、DVD型媒体及びより新しい高密度の型のDVD媒体のような他の型の媒体に適用されることが可能であることを、当業者は容易に理解することができるであろう。液晶機構が球面収差補正機構として用いられることができ、コリメータ位置がその液晶機構についての設定により位置決めされることができることを更に、当業者は容易に理解することができるであろう。上記の比較は、記録、学習、最適位置の方に、そして工場におけるプリセット又は以前の成功裏のディスク認識からなされることが可能である。それらの手法は、カバー層の厚さの変化及び多層ディスクによりもたらされる球面収差についての補正を必要とする全ての種類の光記憶プロダクトにおいて実行されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】光媒体における多層について示す図である。
【図2】光ディスクプレーヤ/レコーダを有する光学系を示す図である。
【図3】ディスクにおける多層についての異なる球面収差補正設定のためのプッシュプル振幅についての曲線を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層を有する光媒体を有する複数の種類の光媒体を読み出すことができる光媒体プレーヤ/レコーダシステムにおいてフォーカシングする方法であって、前記光媒体プレーヤ/レコーダシステムは球面収差を補正する球面収差補正機構を有する、方法であり:
光媒体において認識されていない層において放射線ビームをフォーカシングする段階;
前記認識されていない層から遠ざかる第1方向にフォーカシングするために前記球面収差補正機構を調節する段階;
前記第1方向において調節した後、第1応答を測定する段階;
前記第1方向と逆の第2方向において前記球面収差補正機構を調節する段階;
前記第2方向において調節した後、第2応答を測定する段階;並びに
前記第1応答及び前記第2応答から認識された層を決定する段階;
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記第1応答及び前記第2応答を測定する段階は、それぞれの第1方向及び第2方向において前記球面収差補正機構を調節している間に、応答の第1集合及び第2集合を測定する段階を更に有する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記球面収差補正機構は移動可能な光学系の集合を更に有する、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記移動可能な光学系の集合はコリメータレンズを有する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記の認識された層を決定する段階は、前記光媒体における層の周りにおけるフォーカシングから予測される応答を表す曲線の集合と前記第1応答及び前記第2応答を比較する段階を更に有する、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記の認識された層を決定する段階は、前記認識された層にしたがって最適化されたプッシュプル変調のために前記球面収差補正機構を調節する段階を更に有する、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記球面収差補正機構は、前記光ディスクからデータを読み出すことに先だって前記光媒体における各々の層について最適化される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記球面収差補正機構は液晶装置を更に有する、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記の認識された層を決定する段階は、前記球面収差補正機構についての予測曲線の集合に対する前記第1応答及び前記第2応答により決定された応答曲線をマッチングさせる段階を更に有する、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記の応答曲線をマッチングさせる段階は、前記球面収差補正機構についての予測曲線の集合に対する前記第1応答及び前記第2応答により決定される応答曲線の二次曲線適合化である、方法。
【請求項11】
複数の層を有する光媒体を有する複数の種類の光媒体を読み出すことができる光媒体プレーヤ/レコーダシステムであって、前記光媒体プレーヤ/レコーダシステムは球面収差を補正する球面収差補正機構を有する、光媒体プレーヤ/レコーダシステムであり:
光媒体において認識されていない層において放射線ビームをフォーカシングする光学系;
前記認識されていない層から遠ざかる第1方向において、そして前記第1方向と逆の第2方向においてフォーカシングするための前記球面収差補正機構の調節装置;
前記第1方向においてフォーカシングした後に第1応答を、そして第2方向において調節した後に第2応答を測定する検出器;並びに
前記第1応答及び前記第2応答から認識された層を決定する前記光媒体プレーヤ/レコーダにおける決定システム;
を有する光媒体プレーヤ/レコーダシステム。
【請求項12】
請求項11に記載の光媒体プレーヤ/レコーダシステムであって、前記第1応答及び前記第2応答の前記検出器は、それぞれの第1方向及び第2方向において前記球面収差補正機構を調節している間に、応答の第1集合及び第2集合を更に検出する、光媒体プレーヤ/レコーダシステム。
【請求項13】
請求項11に記載の光媒体プレーヤ/レコーダシステムであって、前記球面収差補正機構は移動可能な光学系の集合を更に有する、光媒体プレーヤ/レコーダシステム。
【請求項14】
請求項13に記載の光媒体プレーヤ/レコーダシステムであって、前記移動可能な光学系の集合はコリメータレンズを有する、光媒体プレーヤ/レコーダシステム。
【請求項15】
請求項11に記載の光媒体プレーヤ/レコーダシステムであって、前記決定システムは、前記光媒体における層の周りにおけるフォーカシングから予測される応答を表す曲線の集合と前記第1応答及び前記第2応答を比較する比較機構を更に有する、光媒体プレーヤ/レコーダシステム。
【請求項16】
請求項15に記載の光媒体プレーヤ/レコーダシステムであって、前記決定システムは、前記認識された層にしたがって最適化されたプッシュプル変調のために前記球面収差補正機構を調節することができる調節機構を更に有する、光媒体プレーヤ/レコーダシステム。
【請求項17】
請求項16に記載の光媒体プレーヤ/レコーダシステムであって、前記球面収差補正機構は、前記光ディスクからデータを読み出すことに先だって前記光媒体における各々の層について最適化される、光媒体プレーヤ/レコーダシステム。
【請求項18】
請求項11に記載の光媒体プレーヤ/レコーダシステムであって、前記球面収差補正機構は液晶装置を更に有する、光媒体プレーヤ/レコーダシステム。
【請求項19】
請求項11に記載の光媒体プレーヤ/レコーダシステムであって、前記球面収差補正機構は、前記球面収差補正機構についての予測曲線の集合に対する前記第1応答及び前記第2応答により決定された曲線をマッチングさせる応答曲線マッチング機構を更に有する、光媒体プレーヤ/レコーダシステム。
【請求項20】
請求項19に記載の光媒体プレーヤ/レコーダシステムであって、前記応答曲線マッチング機構は、前記球面収差補正機構についての予測曲線の集合に対する前記第1応答及び前記第2応答により決定される応答曲線の二次曲線適合化を更に有する、光媒体プレーヤ/レコーダシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−545216(P2008−545216A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519074(P2008−519074)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052119
【国際公開番号】WO2007/000728
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】