説明

現金処理装置

【課題】レジスタの釣銭として出金する紙幣や硬貨が紙幣回収庫及び硬貨回収庫に収納される割合を低く抑え、釣銭用の紙幣や硬貨のリサイクル効率を高める。
【解決手段】レジスタから回収してきた現金を入金処理する際、売上金額を超えない範囲で紙幣回収庫15に1万円紙幣と2千円紙幣のみ収納し、レジスタの釣銭として出金する5千円紙幣、千円紙幣及びすべての硬貨は釣銭用紙幣収納庫14及び釣銭用硬貨収納庫24に金種別に収納して、締上げ処理時にそれまで紙幣回収庫15に収納された紙幣の合計額が売上金の合計額より少ない場合、その差額の紙幣および硬貨を釣銭用紙幣収納庫14及び釣銭用硬貨収納庫24から繰出して紙幣回収庫15及び硬貨回収庫25に収納させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小売店等に設置されるレジスタで釣銭として使用される紙幣及び硬貨の出金処理や、レジスタから回収した紙幣及び硬貨の入金処理、及び締上げ処理を行う現金処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の現金処理装置として、小売店の店舗に設置されたレジスタに収納するための釣銭用の紙幣及び硬貨を釣銭用紙幣収納庫や釣銭用硬貨収納庫から繰出して出金する出金機能、レジスタから回収した紙幣及び硬貨を受入れて紙幣回収庫や硬貨回収庫、及び釣銭用紙幣収納庫や釣銭用硬貨収納庫に収納する入金機能、入金された紙幣及び硬貨を入金金種と異なる金種の紙幣及び硬貨に換金して出金する両替機能、入金及び出金の金額や金種毎の入出金枚数等を記憶して管理し、営業終了時等にこれらを集計してその集計結果を表示部に表示すると共に、伝票に記録して放出する締上げ処理機能を有する装置が提案されており、この装置は、例えばレジスタから回収した紙幣や硬貨を入金する場合、レジスタから発行されるレシートに印字された売上金額をレジ担当者が入力して紙幣や硬貨を投入することにより、投入紙幣や硬貨のうち売上分の紙幣や硬貨は紙幣回収庫や硬貨回収庫に収納すると共に、残りは予め釣銭準備金として出金した釣銭分の現金として釣銭用紙幣収納庫や釣銭用硬貨収納庫に収納することで、レジスタから回収した紙幣や硬貨を再度つり銭としての出金に利用できるようにしたリサイクル機能を持たせて現金の効率的な運用を可能にしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−139654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この種の現金処理装置では、レジスタから回収した紙幣や硬貨を入金する場合、売上金に相当する分の紙幣及び硬貨について高額の金種の紙幣及び硬貨から優先的に収納するようにしている。
例えば、紙幣の場合、釣銭として使用しない特定の金種の紙幣、すなわち1万円紙幣と2千円紙幣を優先的に紙幣回収庫に収納し、1万円紙幣及び2千円紙幣がなくなると、次に5千円紙幣を紙幣回収庫に収納し、そして5千円紙幣がなくなると、次に千円紙幣を紙幣回収庫に収納して、売上金の紙幣をすべて紙幣回収庫に収納した後、釣銭分の紙幣を釣銭用紙幣収納庫に金種別に収納するものとなっている。
【0004】
硬貨についても、売上金の分を高額の金種のものから硬貨回収庫に収納し、その後、釣銭の分の硬貨を金種別に銭用硬貨収納庫に収納するようにしている。
しかしながらこのような振分け方で入金を行うと、レジスタから回収した紙幣のうち、釣銭として用いられる五千円紙幣が売上金として現金回収庫に収納されたり、釣銭とし使用しない1万円紙幣や2千円紙幣は釣銭分として処理されることになる。
【0005】
例えば、あるレジスタから回収した紙幣の内訳が「1万円紙幣8枚、5千円紙幣1枚、千円紙幣5枚(計9万円)」の「計9万円」で、このレジに対して釣銭準備金として予め「3万5千円」分の紙幣が出金されていた場合、売上金は5万5千円となるので、前記回収した紙幣が投入されると、そのうちの1万円紙幣5枚と5千円紙幣1枚が売上金として紙幣回収庫に収納され、残りの1万円紙幣3枚と千円紙幣5枚が釣銭分となる。
【0006】
この場合、釣銭分の1万円紙幣3枚は釣銭として使用できない金種の紙幣であるので、千円紙幣5枚のみを釣銭用現金収納庫に収納し、1万円紙幣3枚は紙幣リジェクト庫に収納するが、このリジェクト収納庫及び紙幣回収庫には繰出し手段が備えられていないため、例えば紙幣回収庫に収納された5千円紙幣が、2枚、4枚等、1万円に換金できる枚数になったとしても、リジェクト収納庫の1万円紙幣を紙幣回収庫へ移し、代わりに紙幣回収庫の5千円を紙幣収納庫に移すという紙幣の移動は行うことができず、紙幣回収庫に収納された五千円等の紙幣は売上金として回収されてしまうために釣銭のリサイクル効率が低下するという問題がある。
【0007】
また、硬貨はすべての金種がレジスタの釣銭として出金できるにもかかわらず、売上金として硬貨回収庫に収納されると、やはり釣銭用硬貨収納庫に移動できないため、釣銭のリサイクル効率が低下するという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、本発明は、小売店の店舗に設置されたレジスタに収納するための釣銭用の紙幣及び硬貨を釣銭用紙幣収納庫や釣銭用硬貨収納庫から繰出して出金する出金機能、レジスタから回収した紙幣及び硬貨のうち釣銭として出金した金額を差し引いた額を売上金額として紙幣回収庫や硬貨回収庫及び釣銭用紙幣収納庫や釣銭用硬貨収納庫に収納する入金機能、入金及び出金の金額や金種毎の入出金枚数等を記憶部に記憶して管理し、営業終了時等にこれらを集計する締上げ処理機能を少なくとも有する現金処理装置において、入金処理の際、釣銭として出金しない特定金種の紙幣を紙幣回収庫に収納し、レジスタの釣銭として出金する金種の紙幣及びすべての金種の硬貨を釣銭用紙幣収納庫及び釣銭用硬貨収納庫に金種別に収納すると共に、前記入金処理がレジスタから回収してきた紙幣及び硬貨を入金処理の場合は前記記憶部に売上金の累計を記憶し、締上げ処理時にそれまで紙幣回収庫に収納された紙幣の合計額が売上金の累計による合計額より少ない場合、その差額の紙幣及び硬貨を釣銭用紙幣収納庫及び釣銭用硬貨収納庫から繰出して紙幣回収庫及び硬貨回収庫に収納させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このようにした本発明は、現金を入金処理する際、レジスタの釣銭として出金しない特定金種の1万円紙幣と2千円紙幣のみ紙幣回収庫に収納し、レジスタの釣銭として出金する5千円紙幣、千円紙幣及びすべての硬貨は釣銭用紙幣収納庫及び釣銭用硬貨収納庫に金種別に収納して、締上げ処理時にそれまで紙幣回収庫に収納された1万円紙幣と2千円紙幣の合計額が売上金の合計額より少ない場合、その差額の紙幣および硬貨を釣銭用紙幣収納庫及び釣銭用硬貨収納庫から繰出して紙幣回収庫及び硬貨回収庫に収納させるため、レジスタの釣銭として出金する金種の紙幣や硬貨が紙幣回収庫及び硬貨回収庫に収納される割合を低く抑えることができ、レジスタの釣銭として出金する金種の紙幣や硬貨のリサイクル効率を高くすることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明による現金処理装置の実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
図1は実施例の構成を示すブロック図である。
本実施例の現金処理装置は、レジスタを使用する小売店等に設置されるもので、図において1は紙幣(現金)の入出金処理を行う紙幣処理機、2は硬貨(現金)の入出金処理を行う硬貨処理機であり、この両処理機については後で詳しく説明する。
3はLCD等による表示部で、各種の処理操作の案内、現金処理のための入力画面や入力された情報、及び金種別の入出金金額や入出金の合計金額等を表示する。
【0012】
4はレジスタの現金を入出金処理を行うレジ担当者や締上げ処理を行う店長(管理者)等が操作するキーボードあるいは表示部3上に配置されたタッチパネル等の操作部で、入金処理や出金処理、締上げ処理等を行うことを指示(入力)するためのキーや金額等を入力するためのテンキー等を備えている。
5はカードリーダ(カード読取部)で、当該現金処理装置の利用者であるレジ担当者や店長等が使用するIDカードの情報を読取る機能を有している。
【0013】
レジ担当者用のIDカードには、レジ番号などのレジスタを特定する情報も記録されている。このレジ担当者用のIDカードは、レジスタ毎またはレジ担当者毎に用意され、レジ担当者毎に配布する場合、レジ担当者が複数のレジスタを操作するのであれば、使用するレジスタ毎にIDカードが与えられる。
6は伝票記録部(プリンタ)で、紙幣処理機1や硬貨処理機2で行われた入金処理や出金処理の金額、締上げ処理の金額、金種別枚数等を伝票に記録(印字)して出力するものである。
【0014】
7は記憶部で、この記憶部7には後述する主制御部が実行する制御プログラムが格納されている他、後述する入金・出金処理履歴等が記憶され、入金処理及び出金処理毎に処理結果が追加、更新されるものとなっている。
8は記憶部7に格納された制御プログラムに基づいて現金処理装置全体の制御を行う主制御部で、紙幣処理機1及び硬貨処理機2で入出金処理が行われる毎にこの主制御部8により記憶部7の入金・出金処理履歴が更新されるものとなっており、更に主制御部8は必要に応じて各種の演算を行う演算部としても機能する。
【0015】
次に紙幣処理機1及び硬貨処理機2について説明する。
紙幣処理機1は、入金処理時にレジスタから回収した紙幣を一括して受け入れると共に出金処理時に釣銭としての紙幣を排出する紙幣入出金口11と、この紙幣入出金口11に受け入れた紙幣を1枚ずつ分離する図示しない分離部と、紙幣の金種等を鑑別すると共に鑑別した紙幣を金種毎に計数する紙幣鑑別部12と、この紙幣鑑別部12で鑑別計数された紙幣を集積して一時保留する一時保留部13と、レジスタ用の釣銭準備金として使用する金種(例えば、五千円、千円)の紙幣を金種別に収納する複数の釣銭用紙幣収納庫(釣銭用現金収納庫)14と、入金紙幣のうちの売上金を金種別に収納する複数の紙幣回収庫(現金回収庫)15と、紙幣リジェクト庫16と、これらの間で紙幣を搬送ベルト等で挟持して搬送する搬送路と、図示しない記憶部に格納された制御プログラムに基づいて紙幣処理機1全体の動作制御を行う制御部17を備えている。
【0016】
一方、硬貨処理機2は、レジスタから回収した硬貨を一括して受け入れる硬貨入金口21と、この硬貨入金口21に受け入れた硬貨を1枚ずつ分離する図示しない分離部と、硬貨の金種等を鑑別すると共に鑑別した硬貨を金種毎に計数する硬貨鑑別部22と、この硬貨鑑別部22で鑑別計数された硬貨を一時保留する一時保留部23と、レジスタ用の釣銭として使用する硬貨を金種別に収納する釣銭用硬貨収納庫(釣銭用現金収納庫)24と、入金硬貨のうちの売上金を金種別に収納する硬貨回収庫(現金回収庫)25と、釣銭用の硬貨を出金するための硬貨出金箱26と、硬貨リジェクト口27と、図示しない記憶部に格納された制御プログラムに基づいて硬貨処理機2全体の動作制御を行う制御部28を有している。
【0017】
ここで一時保留部23、釣銭用硬貨収納庫24、硬貨回収庫25、及び硬貨出金箱26は金種毎に分けて硬貨を集積、収納できるように内部が区切られている。
また、硬貨入金口21と硬貨鑑別部22との間には分離部により分離された硬貨を搬送する搬送ベルト等による搬送路が設けられ、釣銭用硬貨収納庫24と硬貨回収庫25及び硬貨出金箱26との間には、釣銭用硬貨収納庫24から排出される硬貨を硬貨回収庫25と硬貨出金箱26のいずれかに導く振分け手段と、通過する硬貨を金種毎に計数する計数手段が設けられている。
【0018】
また、前記各釣銭用硬貨収納庫24に対しては、収納する硬貨の金種毎に保管基準額が設定されており、その保管基準額を保つために入金処理された硬貨を収納するようになっている。
この釣銭用硬貨収納庫24にも硬貨を搬送路に繰出す繰出し手段が設けられている。
硬貨回収庫25は複数用意され、必要に応じて交換されるものとなっている。
【0019】
尚、紙幣処理機1の制御部17及び硬貨処理機2の制御部28は主制御部8の指示により紙幣処理機1及び硬貨処理機2を制御するものとなっている。
図2は前記記憶部7の記憶される入金・出金処理履歴の内容例を示す図である。
この入金・出金処理履歴は、図示したように通番、レジNo.(レジ番号)、カードNo.(カード番号)、利用者ID、処理日時、区分、金額、金種、締上げ日時、突合せにより構成されており、通番のエリアには処理毎に付与される通し番号が書込まれ、カードNo.のエリアにはレジ担当者のIDカードから読取ったカードの番号が書込まれる。このカードNo.はカードを特定するための情報である。
【0020】
レジNo.のエリアにはレジ担当者のIDカードから読取ったレジスタの番号が書込まれる。このレジNo.はレジスタ毎に集計する際に利用されるもので、同一レジスタに対する出金処理と入金処理とを関連付ける関連付け情報として用いられる。
また、利用者IDのエリアにはレジ担当者のIDカードから読取ったID番号等が書込まれ、処理日時のエリアには入金または出金処理を行ったときの日付及び時刻が書込まれる。
【0021】
区分のエリアには処理が入金であるか出金があるかを示す情報が書込まれ、金額のエリアには入金または出金処理の処理金額が書込まれる。
また、万、五千・・・一等の金種エリアには処理した金種毎の枚数がそれぞれ書込まれ、更に締上げ日時のエリアには締上げを行ったときの日時が書込まれる。この締上げ日時は、締上げ処理されたか否かを示す情報で、これが書込まれたものについては締上げ処理対象から除外される。
【0022】
突合せのエリアには、入金処理の際に行われる突合せ処理により検索した出金処理に対して、入金処理が行われたことを示す「済」の情報が書込まれる。すなわち、入金処理の際に同一のレジNo.及びカードNo.の出金処理を検索して、その出金処理に対応する入金処理が行われたことを示す突合せ情報を突合せのエリアに記入する処理が突合せ処理として行われる。
【0023】
また記憶部7には、この入金・出金処理履歴の他、釣銭用紙幣収納庫14や釣銭用硬貨収納庫24、及び紙幣回収庫15や硬貨回収庫25に収納されている紙幣や硬貨の枚数を金種毎に記憶更新する収納枚数カウンタ、売上金を累計して合計金額を記憶更新する売上金額カウンタ等が格納されている。
上述した構成の作用について説明する。
【0024】
尚、以下に説明において、主制御部8や制御部17、28による制御の説明については、必要な説明を除いて省略する。
まず、レジ担当者がレジスタで釣銭として用いる現金を出金させる場合の出金処理について説明する。
図3はその出金処理の手順を示すフローチャートで、図中のSはステップを示し、以下このステップに従って説明する。
【0025】
レジ担当者が自分のIDカードを現金処理装置に設けられているカード挿入排出口に挿入すると、カードリーダ5がIDカードから利用者の区分、レジNo.を読取る(S1)。
また、レジ担当者はカード挿入後、操作部4を操作して自分の個人ID(利用者ID)、パスワードを入力する(S2)。
【0026】
主制御部8はレジ担当者が入力した個人ID、パスワードを予め記憶部7等に登録されている個人ID、パスワードと照合し、正当性が確認された場合、IDカードから読取った利用者区分に基づき、レジ担当者が操作可能な「出金」、「入金」を選択するメニュー画面を表示部3に表示し(S3)、レジ担当者に選択させる。
ここでレジ担当者が操作部4を操作して「出金」を選択すると、主制御部8は「出金」の選択を受付け(S4)、表示部3に出金金額入力画面を表示する。
【0027】
この画面を見てレジ担当者が操作部4を操作して、出金金額(紙幣及び硬貨の金種毎の枚数)を入力すると、主制御部8はその入力金額を受付けて(S5)、その出金金額と硬貨処理機2の釣銭用硬貨収納庫24及び紙幣処理機1の釣銭用紙幣収納庫14内の現金を比較し、出金の可否を判断する(S6)。
釣銭用硬貨収納庫24及び釣銭用紙幣収納庫14内の現金の不足により出金不可と判断した場合、その旨のメッセージ画面を表示部3に表示して終了する。
【0028】
出金可能な場合は、硬貨処理機2の釣銭用硬貨収納庫24及び紙幣処理機1の釣銭用紙幣収納庫14から該当金種の紙幣及び硬貨が繰出され、紙幣鑑別部12及び硬貨鑑別部22で鑑別、計数された後、紙幣入出金口11は硬貨出金箱26に集積あるいは放出集積されてレジ担当に出金される(S7)。
出金が終了すると主制御部8は今回の出金処理結果として通番、レジNo.、利用者ID、処理日時、区分、出金金額、金種別枚数等を記憶部7の入金・出金処理履歴に書込んで更新すると共に、釣銭用紙幣収納庫14や釣銭用硬貨収納庫24から出金した枚数を金種毎に収納枚数カウンタの値から減算し(S8)、更に伝票記録部6で処理結果を伝票に記録してレジ担当者に発行する(S9)。
【0029】
尚、入金・出金処理履歴等の更新は伝票発行後に行うようにしてもよい。
次に、レジ担当者がレジスタから回収した現金を入金させる場合の入金処理について説明する。
図4はその入金処理の手順を示すフローチャートで、図中のSはステップを示し、以下このステップに従って説明する。
【0030】
レジ担当者が自分のIDカードを現金処理装置に設けられているカード挿入排出口に挿入すると、カードリーダ5がIDカードから利用者の区分、レジNo.を読取る(S11)。
また、レジ担当者はカード挿入後、操作部4を操作して自分の個人ID(利用者ID)、パスワードを入力する(S12)。
【0031】
主制御部8はレジ担当者が入力した個人ID、パスワードを予め記憶部7等に登録されている個人ID、パスワードと照合し、正当性が確認された場合、IDカードから読取った利用者区分に基づき、レジ担当者が操作可能な「出金」、「入金」を選択するメニュー画面を表示部3に表示し(S13)、レジ担当者に選択させる。
ここでレジ担当者が操作部4を操作して「入金」を選択すると、主制御部8は「入金」の選択を受付ける(S14)。
【0032】
そして、紙幣処理機1及び硬貨処理機2は主制御部8の指示により紙幣入出金口11及び硬貨入金口21に設けられているシャッタをそれぞれ開放して、レジ担当者がレジスタから回収してきた現金である硬貨及び紙幣を受入れ、硬貨鑑別部12及び紙幣鑑別部22で鑑別、計数して紙幣一時保留部13及び硬貨一時保留部23に一時保留する(S15)。
【0033】
受入れたすべての紙幣及び硬貨を計数して一時保留すると、主制御部8は金種毎の枚数及び金額、全金種の合計額を計数結果として表示部3に表示し、レジ担当者に金額を確認させて収納の可否(OK/NG)を入力させる(S16)。
ここで、収納不可(NG)が入力された場合、一時保留した紙幣は紙幣入出金口11に戻され、硬貨は硬貨リジェクト口27に送られてから、それぞれレジ担当者に返却され(S17)、処理終了となる。
【0034】
一方、収納可(OK)が入力された場合、主制御部8は前記計数による合計額から記憶部7に記憶されている入金・出金処理履歴の前記レジNo.に該当する前回の出金金額を差し引いて今回の売上金額を求め、一時保留した紙幣のうちの1万円紙幣と2千円紙幣のみを前記売上金額を超えない範囲で紙幣回収庫15に収納すると共に、他の金種の紙幣つまり5千円紙幣及び千円紙幣は金種別に釣銭用紙幣収納庫14に収納し、また一時保留した硬貨についてはすべて金種別に釣銭用硬貨収納庫24に収納する(S19)。
【0035】
尚、計数された1万円紙幣と2千円紙幣の合計額が売上金額を超えている場合、その超えている分については紙幣リジェクト庫16に収納する。
このようにして紙幣及び硬貨の収納が終了すると、主制御部8は今回の処理結果として通番、レジNo.、カードNo.、利用者ID、区分、入金金額、金種別枚数等を記憶部7の入金・出金処理履歴に書込んで更新すると共に、釣銭用紙幣収納庫14及び紙幣回収庫15に収納した紙幣枚数を金種毎に収納枚数カウンタの値に加算し、更に前記売上金金額を売上金カウンタの値に加算して累計する(S20)。
【0036】
その後、伝票記録部6で入金処理結果を伝票に記録してレジ担当者に発行する(S21)。
尚、入金・出金処理履歴等の更新は伝票発行後に行うようにしてもよい。
また、上記の例では、入金金額と入金・出金処理履歴におけるレジNo.に該当する前回の出金金額により基づいて主制御部8が売上金の金額を算出するものとしたが、レジ担当者がレジスタから現金を回収する際、レジスタが売上金の金額と釣銭の金額を計算して伝票印字出力するので、その売上金の金額をレジ担当者に入力されるようにしてもよい。
【0037】
次に、管理者による締上げ処理について説明する。
図5は締上げ処理の手順を示すフローチャートで、図中のSはステップを示し、以下このステップに従って説明する。
管理者が自分のIDカードを現金処理装置に設けられているカード挿入排出口に挿入すると、カードリーダ5がIDカードから利用者の区分を読取る(S21)。
【0038】
また、管理者はカード挿入後、操作部4を操作して自分の個人ID(利用者ID)、パスワードを入力する(S22)。
主制御部8は管理者が入力した個人ID、パスワードを予め記憶部7等に登録されている個人ID、パスワードを照合し、正当性が確認された場合、IDカードから読取った利用者区分に基づき、管理者が操作可能な「締上げ」、「回収」、「交換」を選択するメニュー画面を表示部3に表示し(S23)、管理者に選択させる。
【0039】
ここで管理者が操作部4を操作して「締上げ」を選択すると、主制御部8は「締上げ」の選択(締上げ要求)を受付け(S24)、記憶部7のカウンタテーブルの入金・出金処理履歴を基に前回の締上げ時から現在までの入金額、出金額を集計して、すべてのレジスタの出金合計額、入金合計額、金種別の出金枚数、金種別の入金枚数、レジスタ毎の出金合計額、入金合計額、金種別の出金枚数、金種別の入金枚数等を演算し、その演算結果を表示部3に表示する(S25)。
【0040】
この場合、入金合計額や金種別の入金枚数にはリジェクト紙幣の分も加えられている。
続いて主制御部3は記憶部7に記憶されている売上金額の累計による合計額と、紙幣回収庫15に収納されている紙幣の合計額を比較して、紙幣回収庫15に収納されている紙幣の合計額が売上金額の合計額未満か否かを判断する(S26)。
その結果、紙幣回収庫15に収納された紙幣の合計額が売上金額の合計額未満でなければS28の処理に移行するが、紙幣回収庫15に収納された紙幣の合計額が売上金額の合計額未満の場合は、その差額の金額分の紙幣または硬貨を釣銭用紙幣収納庫14や釣銭用硬貨収納庫24から繰出し、紙幣回収庫15及び硬貨回収庫25に移動して収納する(S27)。
【0041】
この場合、紙幣回収庫15や硬貨回収庫25に収納する紙幣や硬貨は、高額の金種のものから移動させるようにする。
次に主制御部8は記憶部7の入金・出金処理履歴に締上げ処理日時を書込んで更新し、また、釣銭用紙幣収納庫14や釣銭用硬貨収納庫14から繰出した紙幣や硬貨の枚数を金種毎に収納枚数カウンタの値から減算すると共に、紙幣回収庫15に収納した紙幣枚数を金種毎に収納枚数カウンタの値に加算する(S28)。
【0042】
その後、伝票記録部6で締上げの処理結果を伝票に記録して管理者に発行する(S29)。
以上説明した実施例によれば、レジスタから回収してきた紙幣及び硬貨を入金処理する際、売上金額を超えない範囲で紙幣回収庫に1万円紙幣と2千円紙幣のみ収納し、レジスタの釣銭として出金する5千円紙幣、千円紙幣及びすべての硬貨は釣銭用紙幣収納庫及び釣銭用硬貨収納庫に金種別に収納して、締上げ処理時にそれまで紙幣回収庫に収納された1万円紙幣と2千円紙幣の合計額が売上金の合計額より少ない場合、その差額の紙幣および硬貨を釣銭用紙幣収納庫及び釣銭用硬貨収納庫から繰出して紙幣回収庫及び硬貨回収庫に収納させるため、レジスタの釣銭として出金する金種の紙幣や硬貨が紙幣回収庫及び硬貨回収庫に収納される割合を低く抑えることができ、レジスタの釣銭として出金する金種の紙幣や硬貨のリサイクル効率を高くすることができるという効果が得られる。
【0043】
また、前記のように入金処理する際、売上金額を超えない範囲で紙幣回収庫に1万円紙幣と2千円紙幣のみ収納するため、締上げ処理時に釣銭用紙幣収納庫及び釣銭用硬貨収納庫から紙幣回収庫及び硬貨収納庫に移動する紙幣及び効果の枚数が抑えられ、締上げ処理に要する時間が長くなることを抑制することができる利点もある。
尚、上述した実施例では、レジスタから回収してきた紙幣及び硬貨を入金処理する場合について説明したが、両替する場合も入金された紙幣のうち1万円紙幣と2千円紙幣のみ紙幣回収庫に収納し、レジスタの釣銭として出金する5千円紙幣、千円紙幣及びすべての硬貨は釣銭用紙幣収納庫及び釣銭用硬貨収納庫に金種別に収納することで、レジスタの釣銭として出金する金種の紙幣や硬貨のリサイクル効率を高くすることができるという効果が得られる。
【0044】
また、上述した実施例では、レジNo.をIDカードに記録するものとしたが、レジNo.はIDカードには記録せず、個人IDと関連付けて記憶するようにしてもよく、画面入力させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施例の構成を示すブロック図
【図2】入金・出金処理履歴の例を示す図
【図3】出金処理の手順を示すフローチャート
【図4】入金処理の手順を示すフローチャート
【図5】締上げ処理の手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0046】
1 紙幣処理機
2 硬貨処理機
3 表示部
4 操作部
5 カードリーダ
6 伝票記録部
7 記憶部
8 主制御部
11 紙幣入出金口
12 紙幣鑑別部
13 紙幣一時保留部
14 釣銭用紙幣収納庫
15 紙幣回収庫
16 紙幣リジェクト庫
17 制御部
21 硬貨入金口
22 硬貨鑑別部
23 硬貨一時保留部
24 釣銭用硬貨収納庫
25 硬貨回収庫
26 硬貨出金箱
27 硬貨リジェクト口
28 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小売店の店舗に設置されたレジスタに収納するための釣銭用の紙幣及び硬貨を釣銭用紙幣収納庫や釣銭用硬貨収納庫から繰出して出金する出金機能、レジスタから回収した紙幣及び硬貨のうち釣銭として出金した金額を差し引いた額を売上金額として紙幣回収庫や硬貨回収庫及び釣銭用紙幣収納庫や釣銭用硬貨収納庫に収納する入金機能、入金及び出金の金額や金種毎の入出金枚数等を記憶部に記憶して管理し、営業終了時等にこれらを集計する締上げ処理機能を少なくとも有する現金処理装置において、
入金処理の際、釣銭として出金しない特定金種の紙幣を紙幣回収庫に収納し、レジスタの釣銭として出金する金種の紙幣及びすべての金種の硬貨を釣銭用紙幣収納庫及び釣銭用硬貨収納庫に金種別に収納すると共に、前記入金処理がレジスタから回収してきた紙幣及び硬貨を入金処理の場合は前記記憶部に売上金の累計を記憶し、
締上げ処理時にそれまで紙幣回収庫に収納された紙幣の合計額が売上金の累計による合計額より少ない場合、その差額の紙幣及び硬貨を釣銭用紙幣収納庫及び釣銭用硬貨収納庫から繰出して紙幣回収庫及び硬貨回収庫に収納させることを特徴とする現金処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の現金処理装置において
レジスタから回収してきた紙幣及び硬貨を入金処理する際、入金処理する金額のうち釣銭として出金した金額を差し引いた売上金額を超えない範囲で釣銭として出金しない特定金種の紙幣を紙幣回収庫に収納することを特徴とする現金処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−287554(P2008−287554A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132600(P2007−132600)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】