説明

現金出納機

【課題】現金を現金出納機に収納する「入金」処理と、集金業務のつり銭用などのために仮払いした仮払金を現金出納機に収納する「仮払戻入」処理を同時に処理する現金出納機を得る。
【解決手段】投入された現金を計数し、計数した金額の情報を出力する現金処理ユニット60と、仮払金の仮払残高情報が記録されたHDD30と、現金処理ユニット60により計数された金額と、仮払残高情報が入力される制御部80とを備え、制御部80は、現金処理ユニット60により計数された金額が仮払残高より多いとき、現金処理ユニット60により計数された金額から仮払残高を減算した金額の情報を入金金額としてHDD30に記録し、HDD30に記録された仮払残高情報を削除するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行等の金融機関等において資金の管理を行う現金出納機に関し、特に、出納操作の効率化に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の現金出納機は、例えば、「・・・投入された一定範囲内の現金を計数して該出納端末装置に通知すると共に、該出納端末装置から指定された一定限度内の現金を払出す複数の現金処理機と、前記複数の出納端末装置に共通に設けられ、いずれか1つの出納端末装置から選択されたときに、投入された現金を計数して該出納端末装置に通知すると共に、該出納端末装置から指定された現金を払出す・・・」ものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−74457号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の現金出納機は、現金を現金出納機に収納する「入金」処理と、集金業務のつり銭用などのために仮払いした仮払金を現金出納機に収納する「仮払戻入」処理とはそれぞれ独立した処理であるため、集金業務などの場合、集金した現金を出納機に収納する際には、集金した現金の内から「仮払戻入」処理により仮払金を収納し、その後、残りの現金を「入金」処理により現金出納機に収納する必要があり、集金した現金の入金処理を2回に分けて行うため操作の効率が悪く、業務効率が悪化する、という問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る現金出納機は、投入された現金を計数し、計数した金額の情報を出力する現金処理手段と、仮払金の仮払残高情報が記録された記憶手段と、現金処理手段により計数された金額と、仮払残高情報が入力される制御手段とを備え、制御手段は、現金処理手段により計数された金額が仮払残高より多いとき、現金処理手段により計数された金額から仮払残高を減算した金額の情報を入金金額として記憶手段に記録し、記憶手段に記録された仮払残高情報を削除するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、現金を現金出納機に収納する仮払戻入処理と入金処理を同一の計数処理及び操作により処理させることにより、現金出納機へ現金を収納する入金処理の効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施の形態1.
現金出納機であるオープン出納機は、金融機関などに配置され、共通の金庫に相当するものであり、金融機関などの出納係員又は窓口のテラーや外務員(渉外員)などの操作者(以下、操作者という)が自分専用のID(識別)カード等を用いて、現金の入金や支払を行うことができるものである。オープン出納機は、入金処理の場合には、現金を投入口に入れることにより、投入された現金を計数して金庫に収納する。また、支払処理の場合には、操作者の操作により支払金額や金種の指定を行うことにより、指定された現金を金庫から払出すものである。
【0008】
図1は本発明の実施の形態1におけるオープン出納機の構成を示すブロック図である。図1において、オープン出納機は、操作者が操作を行う為の各種処理メニュー又は処理画面などの情報を表示する表示部10、各種処理メニューの選択又は入金処理などの処理の操作入力を行う操作部20、各種処理を制御するプログラムを格納し、各種処理のデータを記憶する記憶手段であるHDD30及び、FD又はMOなど記憶媒体の情報を読み書きするリムーバブルドライブ40、入金・出金などの金額や各種処理に関する情報をプリントするプリンタ50、紙幣入出金機、硬貨入出金機などにより構成され、投入された現金を計数処理又は現金の支払い処理を行う現金処理手段である現金処理ユニット60、操作者のIDカード等が挿入されカードに記録されている情報を読み取るカードリーダ部70、上記各構成部が接続され各種処理を制御する制御手段である制御部80により構成されている。
【0009】
図2は本発明の実施の形態1における処理メニュー構成例である。図2に示すように、オープン出納機は、業務目的に応じて処理項目のメニューが分類され、分類毎に細分化されている。各処理項目は操作者別に操作可能なメニューが設定されており、例えば、金融機関など外務員(渉外員)用のメニューとして、「仮払」、「仮払戻入」、「仮払出金」が設定されている。尚、処理メニュー構成はこれに限らず、メンテナンスメニューや管理メニューなど業務内容に応じてた処理メニュー構成として良い。
このような構成による本実施の形態1におけるオープン出納機の動作について、(1)仮払、(2)仮払戻入、(3)入金、(4)仮払戻入・入金、の各処理に分けて以下に説明する。
【0010】
(1)仮払
「仮払」処理は、操作者が現金の集金業務などを行う際のつり銭用の現金である仮払金をオープン出納機から出金する処理である。操作者によりIDカード等がカードリーダ部70に挿入され、操作部20によりパスワード等が入力されたとき、制御部80は操作者の認証を行い、認証されたとき表示部10にメニュー画面を表示する。次に、メニュー画面から「仮払」が選択されたとき、仮払画面を表示部10に表示させる。操作者により、つり銭として必要な金額及び金種が操作部20により入力されたとき、制御部80は、入力された金額及び金種の情報を現金処理ユニット60に出力するとともに、金額の情報を当該操作者の仮払残高としてHDD30に保存する。現金処理ユニット60は、制御部80より入力された金額及び金種の情報に基づき、現金の支払いを行う。
【0011】
(2)仮払戻入
図3は本発明の実施の形態1に係る仮払戻入画面を示す図である。「仮払戻入」処理は、操作者がつり銭用に支払われた仮払金をオープン出納機に収納する処理である。上述と同様に操作者の認証を行った後、制御部80は表示部10にメニュー画面を表示する。操作者により、メニュー画面から「仮払戻入」が選択されたとき、図3に示す仮払戻入画面を表示部10に表示させ、HDD30に保存されている当該操作者の仮払金の残高情報を表示させる。操作者により、現金処理ユニット60に現金が投入されたとき、現金処理ユニット60は、投入された現金を計数し、計数した現金の金額の情報を制御部80に出力するとともに、投入された現金を収納する。制御部80は、現金処理ユニット60より入力された投入金額の情報と、HDD30に保存された当該操作者の仮払金の残高情報とを比較し、投入金額が仮払残高より少ないとき、仮払残高から投入金額を減算した金額を当該操作者の仮払残高として更新しHDD30に保存する。投入金額が仮払残高より多いとき、投入金額から仮払残高を減算した金額の情報を現金処理ユニット60に出力し、減算した金額をつり銭として支払わせるとともに、HDD30に保存された当該操作者の仮払残高の金額をゼロとする。投入金額と仮払金とが等しいとき、HDD30に保存された当該操作者の仮払残高の金額をゼロとし処理を終了する。
【0012】
(3)入金
図4は本発明の実施の形態1に係る入金画面を示す図、図5は本発明の実施の形態1に係る入金処理の動作を示すフローチャートである。「入金」処理は、操作者が集金業務などにより集金した現金をオープン出納機に収納する処理である。「入金」処理の動作を図5に基づき説明する。上述と同様に操作者の認証を行った後、制御部80は表示部10にメニュー画面を表示する。操作者により、メニュー画面から「入金」が選択されたとき、図4に示す入金画面を表示部10に表示させる(S1)。操作者により、現金処理ユニット60に集金した現金が投入されたとき(S2)、現金処理ユニット60は、投入された現金を計数し、計数した現金の金額の情報を制御部80に出力する(S3)。次に、制御部80は、入力された金額の情報を表示部10の入金画面に表示させる(S4)。操作者により、伝票金額が入力され(S5)、完了キーを押下されたとき(S6)、制御部80は、現金処理ユニット60に投入された現金を収納させる(S7)。次に、操作部20は、収納された現金の金額の情報、金種構成及び入力された伝票金額の情報などの取引に関する情報を取引記録としてHDD30に保存し(S8)、取引記録をプリンタ50に印字させ(S9)、処理を終了する。
【0013】
上述のように、「仮払」、「仮払戻入」、「入金」の各処理はそれぞれ独立した処理であり、業務内容により必要な処理を選択し、個々の処理を行うことが可能である。しかしながら、集金業務などの場合、集金した現金を金融機関などに持ち帰った際、まず、集金した現金の内、つり銭用に支払われた仮払金をオープン出納機に収納する「仮払戻入」処理を行い、その後、集金した現金の内、仮払金としてオープン出納機に収納された現金以外の現金をオープン出納機に収納する「入金」処理を行う。このように、集金業務の際は仮払金の戻入の操作と、入金の操作は一連で行うので、現金を入金する操作を2回に分けて行う必要があった。本発明では「仮払戻入」と「入金」とを同時に処理できる「仮払戻入・入金」処理により行う。この「仮払戻入・入金」処理の動作を図6及び図7を用いて次に説明する。
【0014】
(4)仮払戻入・入金
図6は本発明の実施の形態1に係る仮払戻入・入金画面を示す図、図7は本発明の実施の形態1に係る仮払戻入・入金処理の動作を示すフローチャートである。まず、操作者は、上述の「仮払」処理により、つり銭用の現金である仮払金の支払いを行う。集金業務などを終え、集金した現金を金融機関などに配置されたオープン出納機に収納する際、IDカード等をカードリーダ部70に挿入し、操作部20によりパスワード等を入力する。
【0015】
制御部80は、カードリーダ部70により読み取られたIDカード等に記録されている情報と入力されたパスワード等の情報に基づき、操作者の認証を行い、認証されたとき表示部10にメニュー画面を表示する。操作者により、メニュー画面から「仮払戻入・入金」が選択されたとき、制御部80は、図6に示す仮払戻入・入金画面を表示部10に表示させる(S10)。このとき、制御部80はHDD30に保存された当該操作者の仮払金の残高金額を、仮払戻入・入金画面に仮払残高表示として表示させる(S10)。操作者により、現金処理ユニット60に集金した現金が投入され(S11)、操作部20により計数開始の操作が選択されたとき、現金処理ユニット60は、投入された現金を計数し、計数した現金の金額の情報を制御部80に出力する(S12)。次に、操作者により、入金分の伝票金額及び、手扱い分の現金がある場合には、その金額が入力された後(S13)、制御部80は、現金処理ユニット60により計数された現金の金額及び、操作者により入力された伝票金額などの情報を表示部10の仮払戻入・入金画面に表示させる(S14)。操作者により表示部10の仮払戻入・入金画面に表示された金額情報が確認され、操作部20により完了キーを押下される(S15)。次に、制御部80は、現金処理ユニット60により計数された現金の金額と、操作者により入力された手扱い現金の金額とを合わせた金額を収納金額とし、収納金額とHDD30に保存された当該操作者の仮払金の仮払残高とを比較する。
【0016】
収納金額が仮払残高より少ないとき、制御部80は、現金処理ユニット60に投入された現金を収納させ(S20)、仮払残高から収納金額を減算した金額を当該操作者の仮払金の仮払残高として更新し、仮払残高の情報及び、収納された現金の金額の情報及び入力された伝票金額の情報などの取引に関する情報を取引記録としてHDD30に保存し(S21)、取引記録をプリンタ50に印字させ(S22)、処理を終了する。
【0017】
収納金額と仮払残高とが等しいとき、制御部80は、現金処理ユニット60に投入された現金を収納させ(S30)、当該操作者の仮払金の仮払残高をゼロに更新し、仮払残高の情報及び、収納された現金の金額の情報及び入力された伝票金額の情報などの取引に関する情報を取引記録としてHDD30に保存し(S31)、取引記録をプリンタ50に印字させ(S32)、処理を終了する。
【0018】
収納金額が仮払残高より多いとき、制御部80は、収納金額から仮払残高を減算した金額を入金金額とし、入金金額と、HDD30に保存された伝票金額とを比較し(S40)、一致しない場合は、現金の投入待ちである手順S11に戻る。一致した場合は、プルーフチェックが正常と判断し(S40)、現金処理ユニット60に投入された現金を収納させる(S41)。次に、制御部80は、当該操作者の仮払金の仮払残高をゼロに更新し、仮払残高の情報及び、入金金額の情報、収納された現金の金額の情報、入力された伝票金額の情報などの取引に関する情報を取引記録としてHDD30に保存し(S42)、取引記録をプリンタ50に印字させ(S43)、処理を終了する。
【0019】
尚、収納金額が仮払残高より多いとき、収納された現金の金種構成は一括して計数しているため、仮払と入金に分けることはできない。そのため、金額を一旦、仮払の戻入金額として金種構成を含めた仮払戻入の取引記録を作成する。収納金額から仮払残高を減算した金額を入金金額とするが、金種構成を仮払からの入金として入金の取引記録を作成する。収納金額が仮払残高より多い場合は、仮払戻入と入金の計2件の取引記録を作成する。
【0020】
以上のように、本実施形態においては、現金処理ユニット60投入された現金を金額と、HDD30に保存された仮払残高の情報とを比較し、投入された現金の金額に応じて、仮払金の戻入を行う仮払戻入処理及び、集金された現金の入金を行う入金処理を同時に処理し、又は、仮払戻入処理のみを行うことにより、現金を現金出納機に収納する「入金」処理と、集金業務のつり銭用などのために仮払いした仮払金を現金出納機に収納する「仮払戻入」処理を同時に行うことができ、現金の計数処理及び操作者によるの入力操作の回数を削減でき、現金出納機へ現金を収納する入金処理の効率を向上させることができる。
【0021】
尚、上記説明では、収納金額が仮払残高より多いとき、入金金額と伝票金額とを比較するプルーフチェックを行う場合を説明したが、本発明はこれに限らず、プルーフチェックを行わずに収納処理を行っても良い。
【0022】
また、上記説明では、IDカードとパスワードにより、操作者の認証を行った後、以後の処理を行う場合を説明したが、本発明はこれに限らず、操作者の識別ができれば良く、例えば、IDナンバーの入力などにより行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1におけるオープン出納機の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1における処理メニュー構成例である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る仮払戻入画面を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る入金画面を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る入金処理の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る仮払戻入・入金画面を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る仮払戻入・入金処理の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0024】
10 表示部、20 操作部、30 HDD、40 リムーバブルドライブ、50 プリンタ、60 現金処理ユニット、70 カードリーダ部、80 制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された現金を計数し、計数した金額の情報を出力する現金処理手段と、
仮払金の仮払残高情報が記録された記憶手段と、
前記現金処理手段により計数された金額と、前記仮払残高情報が入力される制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記現金処理手段により計数された金額が前記仮払残高より多いとき、前記現金処理手段により計数された金額から前記仮払残高を減算した金額の情報を入金金額として前記記憶手段に記録し、前記記憶手段に記録された仮払残高情報を削除することを特徴とする現金出納機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記現金処理手段により計数された金額が前記仮払残高より少ないとき又は等しいとき、前記仮払残高から前記現金処理手段により計数された金額を減算した金額を仮払残高情報として前記記憶手段に記録することを特徴とする請求項1記載の現金出納機。
【請求項3】
前記現金処理手段は、計数した現金の金種構成の情報を前記制御手段に出力し、
前記制御手段は、前記現金処理手段により計数された金額を一旦すべて仮払の戻入金額として、前記金種構成の情報を含めた取引の記録を作成し、
前記計数された金額から前記仮払残高を減算した金額の情報を入金金額として処理する際、前記入金金額の金種構成を前記仮払金からの入金とした取引の記録を作成し、
入金の取引の記録として、前記仮払の戻入金額とした取引記録及び前記仮払金からの入金とした取引記録の計2件の取引記録を前記記録手段に記録することを特徴とする請求項1記載の現金出納機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−257263(P2007−257263A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80437(P2006−80437)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】