説明

球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置

【課題】小型化およびパチンコ玉のたれ流しを防止できる紙幣識別装置を提供する。
【解決手段】紙幣識別部52と、パチンコ玉16を計数する球体計数装置10と、該球体計数装置に作用してパチンコ玉の流下を阻止する緊急停止部と、制御部とを具備する紙幣識別装置であって、球体計数装置は、通路12から供給されるパチンコ玉を順次受け入れて放出路に放出する分離ホイール25を有し、緊急停止部は、通路内のパチンコ玉の流れを検出するパチンコ玉検出部と、分離ホイールの回転を直接もしくは間接的に停止させる緊急停止部材とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は同一筐体に球体計数装置を内蔵する紙幣識別装置に関し、詳細には動力によらずパチンコ玉の重力を利用してパチンコ玉を計数する球体計数装置を、紙幣識別装置の同一筐体中に組込んで、小型化を図るとともに、球体計数装置の計数係止部の故障により、いわゆるパチンコ玉のたれ流し状態となったときの緊急停止機構を備えた、球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機でゲームを行うにあたり、各遊技機の間に球体計数装置を備えた台間玉貸機が設置されている。台間玉貸機内には球体計数装置(台間玉貸機上部のパチンコ玉貯留槽から、玉貸機内部を通り遊技機のパチンコ玉貯留皿まで連通する通路を含む)のほかに、紙幣識別装置、ICカードリーダライタ、制御部等が設置されており、内部空間を余すところなく詰め込まれている。そして、従来は単独の機能を持つ前記各種装置や機器等がそれぞれのポジションに設置されているのが一般的である。
計数装置については、特開平10-277249のように、計数機構にモータを使用するものが多く利用されている。また、特開平3-112581のような、モータ等の動力源によらない装置も数多く提案されている。
【0003】
しかしながら、従来技術による球体計数装置は、駆動部の外径が小型化できないことや、連なってほぼ垂直に落下してくるパチンコ玉の重量や衝撃に耐える強度を必要とするためいずれも大型であり、厚み方向の縮小に限度があった。一方遊技場においては、フロア面積に対してより多くの遊技機を設置したいこと等の要求から、遊技機間隔を狭くするため、各遊技機間に設置される台間玉貸機は現在の極限とする薄型に構成しており、従来技術による 球体計数装置では、台間玉貸機の内部厚さ空間をほぼ専有することとなり、紙幣識別装置の内部にとうてい納まる厚さではなかった。特開2005-218739のように、紙幣識別装置と同一の筐体内にパチンコ玉計数部を設けた装置も提案されているが、前記厚みの制約から、紙幣搬送路を計数部で、通常搬送系と対向する位置に別体として設け、2つの搬送路間で紙幣を引継という機能を追加せざるを得なかった。
【0004】
そこで、発明者は鋭意検討を重ねた結果、動力を使用しない重力式の球体計数装置を開発し、特許出願した(特願2010−3363)。
この重力式の球体計数装置は、前述したような、連なってほぼ垂直に落下してくるパチンコ玉の重量や衝撃をほとんど解消することにより、球体計数装置の機構を構成する部品の薄型化が実現し、主要機構部の厚さをほぼパチンコ玉の外径(約11mm)と同じ範囲に収めることが可能となり、紙幣識別装置の厚さの半分以下〜3分の1近い厚さになった。このことにより、従来型の紙幣識別装置の主要機構を変更することなく、同一筐体内に収めることに成功した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−277249号公報
【特許文献2】特開平3−112581号公報
【特許文献3】特開2005−218739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、動力を使わない、パチンコ玉の重力のみにより、計数機構の回転力を得て、回転部を係止することで計数を停止させるという方式においては、駆動モータ等の抵抗となる部材が無いことから、前記回転部を係止させて計数を停止させる係止機構が故障した場合、パチンコ玉のたれ流し状態となってしまうという課題があった。
このような、いわゆるパチンコ玉のたれ流し状態となったとき、遊技者の申告により遊技店の係員が駆けつけ装置を開けて対応するまでの間、たれ流し状態を放置することとなり、対応が遅れると店内の通路にパチンコ玉が溢れることとなり、危険が生ずるとともに、出玉処理においては何個まで客に所有権があり、何個目からが故障によるものか検証が難しく、コンピュータで解析して検証するに時間がかかり過ぎる等の問題があり、迅速に対応するには、すべてを客に提供し遊技店側の損失として処理することになる。
【0007】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、動力によらずパチンコ玉の重力を利用してパチンコ玉を計数する球体計数装置を、紙幣識別装置の同一筐体中に組込んで、小型化を図るとともに、球体計数装置の計数係止部の故障により、いわゆるパチンコ玉のたれ流し状態となったときの緊急停止機構を備えた、球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置は、筐体内に、紙幣識別部と、パチンコ玉を計数する球体計数部と、該球体計数部に作用してパチンコ玉の流下を阻止する緊急停止部と、制御部とを具備する紙幣識別装置であって、前記紙幣識別部は、紙幣挿入口に挿入された紙幣を紙幣排出口に向かって搬送する搬送機構と、該搬送機構により搬送される紙幣の真贋を識別するセンサ部を備えた識別部とを具備し、前記球体計数部は、パチンコ玉を連続して重力により自然落下させる通路と、外周に、突出部、およびパチンコ玉を1つずつ受け入れる凹部が交互に複数形成され、回転軸を中心に回転することにより前記凹部が順次通路内に臨み、通路から供給されるパチンコ玉を順次受け入れて放出路に放出する分離ホイールと、該放出路に放出されるパチンコ玉数を算出する計数部と、前記分離ホイールもしくは分離ホイールに関連する部材に係止し、分離ホイールの回転を停止させる係止部材と、該係止部材を駆動して、前記分離ホイールの回転を停止もしくは回転可能とする駆動部と、前記計数部により所定数のパチンコ玉が計数されたら前記係止部材により前記分離ホイールの回転を停止するように前記駆動部を制御する前記制御部とを具備し、前記緊急停止部は、前記通路内のパチンコ玉の流れを検出するパチンコ玉検出部と、前記係止部材とは別に、前記分離ホイールの回転を直接もしくは間接的に停止させる緊急停止部材とを具備し、前記制御部は、前記分離ホイールの回転を停止するように前記駆動部に指令したにも係わらず、前記パチンコ玉検出部がパチンコ玉の流下を検出するとき、前記球体計数部が故障したと判定し、前記緊急停止部により、前記分離ホイールの回転を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、球体計数装置を、動力によらずパチンコ玉の重力を利用してパチンコ玉の計数をするようにしたので、球体計数装置の薄型化が図れ、紙幣識別装置の同一筐体中に組込むことができて、紙幣識別装置全体の小型化が図れるとともに、一方では、重力式の球体計数装置が故障した場合に、パチンコ玉がたれ流し状態になりやすいが、パチンコ玉のたれ流しを強制的に停止する緊急停止部を設けたので、その不具合を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】紙幣識別装置の全体の概要を示す側面図である。
【図2】紙幣識別装置の正面図である。
【図3】計数部の平面図である。
【図4】計数部の側面図である。
【図5】紙幣識別部の平面図である。
【図6】紙幣識別部と計数部の配置関係を示す平面図である。
【図7】紙幣識別部と計数部の配置関係を示す側面図である。
【図8】紙幣識別部と計数部の配置関係を示す正面図である。
【図9】球体計数部の要部の説明図である。
【図10】分離ホイールが係止部を兼ねる場合の説明図である。
【図11】緊急停止部の説明図である。
【図12】紙幣識別装置の側面図である。
【図13】緊急停止部材の指標確認機構を示す説明図である。
【図14】指標が確認窓に対応位置している状態を示す説明図である。
【図15】指標が確認窓から外れた位置にある状態を示す説明図である。
【図16】分離ホイールに設けた係止部の種々の例を示す説明図である。
【図17】緊急停止部の他の実施の形態を示す説明図である。
【図18】緊急停止部のまたさらに他の実施の形態を示す説明図である。
【図19】緊急停止部のさらに他の実施の形態を示す平面図である。
【図20】図19の緊急停止部の側面図である。
【図21】緊急停止部のまたさらに他の実施の形態を示す説明図である。
【図22】緊急停止部のさらに他の実施の形態を示す説明図である。
【図23】ピンを用いて手動でパチンコ玉の異常流下を停止する実施の形態を示す説明図である。
【図24】ピンを用いて手動でパチンコ玉の異常流下を停止するさらに他の実施の形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1は球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置(以下単に紙幣識別装置という)50の側面図(カバーを取り去っている)であり、図2は正面図である。
紙幣識別装置50は、隣接するパチンコ台(図示せず)の間に配置されるものであり、玉貸し機を兼ねるものである。
紙幣識別装置50は、筐体51内に、紙幣識別部52と、パチンコ玉を計数する球体計数部(計数装置)10と、該球体計数部10に作用してパチンコ玉の流下を阻止する緊急停止部(図11)54とを具備する。
その他、紙幣識別装置50は、制御部56、カードリーダライタ58、カード回収部60等を、筐体51内に備える。
また、61は紙幣挿入口、62はカード挿入口、63は玉ノズルである。玉ノズル63からは、パチンコ台の受け皿にパチンコ玉が供給される。
【0012】
図3は、球体計数部10の要部を示す平面図、図4は側面図である。球体計数部10の詳細については後記する。
図5は、紙幣識別部52の要部を示す平面図である。
図6〜図8は、紙幣識別部52と球体計数部10との配置関係を示す、それぞれ平面図、側面図、正面図である。これらの図面では、図面をわかりやすくするために、緊急停止部54の図示は省略している。
後記するように、本実施の形態では、球体計数部10の厚さをほとんどパチンコ玉の直径と同程度まで薄くできる。これにより、紙幣識別部52と球体計数部10とを、図6や図7に示すように、一部が重なった状態で配置でき、これにより紙幣識別装置50の小型化ができるようになっている。
【0013】
まず、紙幣識別部52について簡単に説明する。
紙幣識別部52は公知の機構のものを採用できる。
図6に示されるように、紙幣挿入口61側と紙幣排出口65側との間に亘って2列の無端ベルト68a、68bが配設されている。無端ベルト68aは4個のプーリ69a〜69dに亘って掛け渡されている(図5、図6)。プーリ69aが駆動プーリに形成されている。
また、無端ベルト68bは3個のプーリ70a〜70cに亘って掛け渡されている。プーリ70aが駆動プーリに形成されている(図7)。
両駆動プーリ69a、70aは共通の駆動軸71に固定され、駆動モータ72から、ギア73、74を介して駆動力が伝達されるようになっている。
【0014】
各プーリには、無端ベルトを介して適宜付勢部材(図示せず)により押圧ローラ75が押圧され、プーリとの間で紙幣64を挟み込むことによって、紙幣64を搬送するようになっている。
紙幣挿入口61の近くには入口センサ76が配設され、また、紙幣排出口65の近くには出口センサ(図示せず)が配設されている。また、紙幣搬送路の中途部には、磁気式の紙幣識別センサ78が配設されている。
【0015】
紙幣挿入口61に紙幣64が挿入されたことが入口センサ76によって検知されると、制御部56により駆動モータ72が駆動されるよう制御され、駆動プーリ69a、70aが回転されることにより紙幣64が搬送される。紙幣搬送途中で、紙幣識別センサ78により紙幣64の真贋、紙幣64の種類等が識別され、真正紙幣の場合には紙幣64が紙幣排出口65に送られ、回収部(図示せず)に回収される。また、カードリーダライタ58により、挿入されているカードに金額が書き込まれる。真正な紙幣でない場合や紙幣の種類が異なる場合には、駆動モータ72が逆回転され、紙幣64が紙幣挿入口61に送り戻される。なお、この紙幣識別装置52の機能は公知であるので、さらなる説明は省略する。また、紙幣識別装置52は上記のものに限定されるものではない。
【0016】
続いて、球体計数装置10について説明する。
図9は球体計数装置10の一部破断側面説明図である。
図9において、12は通路であり、べース14に上下方向を向けて固定してある。通路12は、上部の挿入口15から挿入されたパチンコ玉16を連続して重力により自然落下させるものであり、パイプ状をなしている。
【0017】
また通路12は、挿入口15から、鉛直に降りた後(垂直路17)、図9上、左斜め下方に向けて曲折する屈曲路18に形成され、さらに鉛直に降りた後(垂直路19)、屈曲路18とは逆に、右斜め下方に向けて曲折する進入路20に形成され、さらにほぼ鉛直に降りた後(連通路21)、左斜め下方に伸びる放出路22に形成され、さらにパチンコ台(図示せず)の受け皿(図示せず)へとパチンコ玉16を落下させる垂直路23に形成されている。
【0018】
垂直路17を落下するパチンコ玉16は屈曲路18の内壁(下壁)にぶつかって速度を減じられ、次いで垂直路19の内壁(対向壁)にぶつかって速度を減じられ、さらに進入路20の内壁(下壁)にぶつかって速度を減じられる。
進入路20の長さは特に限定されるものではないが、パチンコ玉16が1〜3個程度存在する長さ程度でよい。また、屈曲路18は必ずしも設けなくともよい。
【0019】
次に、25は分離ホイールであり、べース14に回転軸26を中心に回転自在に設けられている。
分離ホイール25は、外周に、突出部27、およびパチンコ玉16を1つづつ受け入れる凹部28が交互に複数形成されたスプロケット状をなしている。本実施の形態では、突出部27および凹部28が10個設けられているがこれに限定されるものではない。分離ホイール25は、軽量の耐摩耗性、耐衝撃性を備えた、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂等で形成されているが、その他の材質や金属製としてもよい。
そして、分離ホイール25はその外周の一部が、通路12に設けられたスリット29から進入路20と連通路21との境界部付近の通路12内に進入するように設けられている。
【0020】
前記進入路20は、分離ホイール25の直前で、分離ホイール25に向けて斜め下方に伸びている。具体的には、進入路20は、凹部28にパチンコ玉16を送り込むにあたり、パチンコ玉16の重心の軌跡Pが、該軌跡Pと平行な分離ホイール25の下側の接線Qよりも上方(分離ホイール25の回転軸26側)となり、かつパチンコ玉16の重力により分離ホイール25をパチンコ玉16から見て下方(図9において反時計回転方向)に向けて回転させる方向を向くようにする。凹部28に受け入れられたパチンコ玉16は、分離ホイール25が回転することによって進入路20から連通路21に回り込み、さらに放出路22に向けて放出され、垂直路23からパチンコ台の受け皿内に供給される。なお、接線Qとは、パチンコ玉16が凹部28内に、凹部28の底部に当接した状態で受け入れられた状態における、パチンコ玉16の重心を含む円の接線と定義する。
【0021】
凹部28に受け入れられたパチンコ玉16の重力により分離ホイール25が下方に向けて回転される(図9上では反時計回転方向)ためには、進入路20の分離ホイール25に向く方向(進入路20に位置する2個のパチンコ玉16の重心を結ぶ線Pの延長線方向)が、分離ホイール25の回転軸26の軸心に一致する方向を向くか、あるいは回転軸26よりも下方を通るように、進入路20の角度(進入角)を設定する必要がある。線Pの延長線が回転軸26よりも上を通るように進入路20の方向を設定するのは、分離ホイール25の外周部付近でパチンコ玉16同士がブリッジしてしまって分離ホイール25が回転されないか、あるいは図9上時計回転方向に回転する力を受けることになり、パチンコ玉16が通路12を落下しなくなるので禁物である。
【0022】
本実施の形態では、上記のように、進入路20自体が垂直路には形成されず、水平に対して斜め下方に傾斜するように設けられているので、垂直路17を落下するパチンコ玉16の落下速度が減じられる。しかも、進入路20は、分離ホイール25の下側の接線Qよりも上方となる方向から分離ホイール25に向けて斜め下方に伸びているので、進入路20から凹部28に供給されるパチンコ玉16は凹部28の底部にぶつかって受けられ、これによっても落下速度が減じられる。換言すれば、パチンコ玉16が分離ホイール25に進入した際、パチンコ玉16から分離ホイール25に対して、分離ホイール25の回転中心に向く分力が生じる。このように、パチンコ玉16はその落下速度が減じられるので、分離ホイール25に対する衝撃が和らげられる。また、分離ホイール25の回転力がそれだけ減じられるので、分離ホイール25がパチンコ玉の落下衝撃や通路に待機する複数のパチンコ玉の重量や落下衝撃により何らかの拍子に強制回転(空転)されるようなことがなく、誤計数をなくすことができる。
【0023】
上記のように、パチンコ玉16の落下速度を減じること、およびその一方で、分離ホイール25を下方に回転させるのに必要な、パチンコ玉16の重力の分力を得るために、進入路20の水平面に対する傾斜角(進入角)は5〜45°(進入角を正確に設定が可能な場合は2〜45°)程度が好ましくさらに好適には15〜40°である。進入路20の傾斜角(進入角)を5〜45°程度に設定することによって、進入路20から供給されるパチンコ玉16から分離ホイール25に加わる回転力は、パチンコ玉16が連続して流れ、後続するパチンコ玉16からの影響があったとしても、せいぜいパチンコ玉16の1個程度(最大でも2個程度の総和)の重量と考えられる。このことにより、玉通路上部で待機するパチンコ玉がなくなり、玉通路が空になった状態で、1個とか数個が落下してきた場合等でも、落下による衝撃力による影響がほとんどないので、パチンコ玉16の供給量設定を、1個からの正確な計数が可能となる。
【0024】
また、進入路20の傾斜角(進入角)を2〜45°の範囲で調節することにより、パチンコ玉16が凹部28に向かう速度が変化するので、計数速度の調節ができる。
さらに、進入路20の傾斜角(進入角)とともに進入路20の長さ(凹部28までの距離)を調節して計数速度の調節を行うことができる。したがって、進入路の長さにおいては、本実施形態に限定されず、適宜調節できる。
なお、前記傾斜角(進入角)の上限を45°としているが、これに限られず、例えば60°またはそれ以上としてもよい。45°としている理由は、パチンコ玉1個ごとの計数間隔が安定した計数速度が得られる範囲であり、計数時間や前記安定性を無視するなら、またはパチンコ玉とは異なる球体に対応して、球体を分離するために分離ホイールの回転力が得られる限りその角度に制限はない。
【0025】
また上記のように、パチンコ玉16からの分離ホイール25を回転させる力は小さなものとなるので、分離ホイール25の貫性力は小さなものとなり、分離ホイール25の空転を防止できる。例えば、進入路20内にパチンコ玉16が無くなった場合でも、分離ホイール25は、回転軸26における摩擦抵抗や、後記する揺動部材からの抵抗によって回転を停止するのであり、貫性力によって空転してしまうようなことがなく、誤計数が防止される。なお、回転軸26における摩擦抵抗を所定のものとするために、軸受け部に曲げワッシャなどを介在させたり、揺動部材36のウェイト39の位置や重量を変化させたり、バネなどの付勢部材の付勢力を変化させるようにしてもよい。
【0026】
放出路22は、垂直路に形成してもよいものであるが、前記のように左斜め下方に傾斜させるようにすると、パチンコ玉16が傾斜壁を伝って落下するので、多少とも、後続するパチンコ玉列の流れに影響を与え、これによってもパチンコ玉16の落下速度を減じることができるといえる。放出路22の傾斜角を調整して、パチンコ玉列の落下速度を調節するようにしてもよい。さらに、進入路20および進入路20の傾斜角(進入角)等の調節と併用して落下速度を調節するようにしても良い。
【0027】
次に、図9において、30は、分離ホイール25と同軸に設けられた係止部であり、分離ホイール25と一体回転するようになっている。係止部30の周面には、分離ホイール25の各凹部28と対応する位置に凹部31が設けられている。
32は係止部材で、電磁ソレノイド(駆動部)33によって駆動され、常時は駆動部33に内蔵されたスプリング等の付勢部材によって突出され、分離ホイール25の凹部28に係合して、分離ホイール25の回転を阻止している。
【0028】
電磁ソレノイド33は、制御部56によって制御され、通電されることによって係止部材32を付勢部材の付勢力に抗して引き込み、係止部材32の分離ホイール25への係止を解除し、これにより分離ホイール25が回転可能となる。
なお、駆動部33は電磁力によって係止部材32を駆動できるものであればよい。電磁ソレノイドであれば、プランジャ型ソレノイド、可動鉄片型ソレノイド等で、更には、自己保持型ソレノイド等を用いることができる。
【0029】
次に、検知部35について説明する。
36は揺動部材であり、回転軸37を中心に揺動可能になっている。
揺動部材36は、所定間隔をおいて設けられた2つの接触子38、38を有し、この接触子38、38は、分離ホイール25の凹部28の突出部27に至る凹面に接触可能となっている。回転軸37に対して接触子38とは反対側となる揺動部材36の部位に、図9において揺動部材36を時計回転方向に付勢する錘39が取り付けられている。
【0030】
図9の静止状態において、左側の接触子38が凹部28の底部に向かって入り込む位置にある。
分離ホイール25が回転を始めると、左側の接触子38が突出部27の壁面によって外側方向に押圧され、揺動部材36は反時計回転方向に回動される。左側の接触子38が1つの突出部27を乗り越えるとともに右側の接触子38は左側の接触子38が入り込んでいた凹部28とは異なる位置の凹部28に入り込む(図9では、交互に複数形成された凹部28で、左側の接触子38が入り込んでいた凹部28から見て半時計方向に1つ飛ばした凹部28)、つづいて、揺動部材36は右側の接触子38が入り込んだ凹部28の突出部27の壁面によって外側方向に押圧されるとともに、錘39に付勢されて時計回転方向に回動され、図9の状態に戻る。つまり、揺動部材36は、分離ホイール25が36°回転してパチンコ玉16を1個放出する毎に、1往復する揺動を行う。このように揺動部材36が正確に揺動を行う構造は、機械式時計におけるエスケープメント機構の原理を応用したものである。
【0031】
揺動部材36の錘39よりも先方側には検知板40が設けられ揺動部材36と共に揺動するようになっている。この検知板40の揺動経路上には、透過型センサ41が設けられていて、揺動部材36の揺動を検出できるようになっている。揺動部材36、センサ41、制御部等によって計数部を構成する。
【0032】
本実施の形態は上記のように構成されている。
制御部56には、パチンコ玉16の払い出し数が、入力もしくは設定される。紙幣64が紙幣識別部52に挿入されて払出信号が制御部56に入力されると、制御部56は電磁ソレノイド33に通電するよう指令し、これにより電磁ソレノイド33が駆動され、係止部材32が付勢部材の付勢力に抗して引き込まれ、分離ホイール25の係止状態が解除され、分離ホイール25が、パチンコ玉16の重力によって回転を開始され、パチンコ玉16が放出路22を経て下方に放出される。
【0033】
センサ41によって揺動部材36の揺動が検出され、この検出信号(センサ41のON、OFF信号)が制御部56に入力され、制御部56では揺動部材36の揺動回数、したがって、パチンコ玉16の放出個数を計数する。パチンコ玉16の放出個数が所定数に達したら、制御部56は電磁ソレノイド33の駆動を停止するよう指令し、電磁ソレノイド33が停止されると係止部材32は付勢部材の付勢力により、係止部30の凹部31に係止部材32が入り込む方向に作用して、分離ホイール25の回転を係止するので、一連のパチンコ玉16の払い出しが終了する。
【0034】
本実施の形態では、前記したように、進入路20を水平に対して斜め下方に傾斜するように設けている。具体的には、進入路20を、凹部28にパチンコ玉16を送り込むにあたり、パチンコ玉16の重心の軌跡Pが、該軌跡Pと平行な分離ホイール25の下側の接線Qよりも上方となり、かつパチンコ玉16の重力により分離ホイール25を下方に向けて回転させる方向を向くようにしたので、パチンコ玉16はその落下速度が減じられ、分離ホイール25への衝撃が緩和されるのでパチンコ玉16の誤計数をなくすことができることは前記した通りである。
また、本実施形態では、通路12の進入路20と連通路21との境界部付近の通路12内に設けられたスリット29へ、分離ホイール25の突出部27が進入するにあたり、凹部28の底面が連通路21の壁面より突出しないようにすることもできる。そのことにより、進入路20を通り凹部28に達するパチンコ玉16の衝突を、連通路21の壁面で受け止め、分離ホイール25への衝撃をさらに緩和することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、分離ホイール25と係止部(分離ホイールに関連する部材)30とを別に設けたが、図10に示すように、分離ホイール25の凹部28に係止部材32が進入しうる小凹部を設けるようにすれば、分離ホイール25によって係止部30を兼ねるようにすることもできる。
また、計数部35における、揺動部材の形状や検知部の位置および形状または検知手段については、同様の効果が得られるものであれば、これに限定されるものではない。
また、通路12の、分離ホイール25よりも上流側に通過するパチンコ玉の有無を検知もしくは計数する検知センサ(図示せず)を設けるようにしてもよい。
また、放出路22に、通過するパチンコ玉を検知もしくは計数する検知センサを設けてもよい。
【0036】
本実施の形態における重力式の球体計数部10は、前述したような、連なってほぼ垂直に落下してくるパチンコ玉の重量や衝撃をほとんど解消することにより、球体計数部10の機構を構成する部品の薄型化が実現し、また、分離ホイール25駆動用にモータ等を用いていないので、主要機構部の厚さをほぼパチンコ玉の外径(約11mm)と同じ範囲に収めることが可能となり、従来の紙幣識別装置の厚さの半分以下〜3分の1近い厚さになった。
【0037】
このことにより、紙幣識別部52を、その紙幣搬送機構が球体計数部10の分離ホイール25上に、分離ホイール25の回転面と平行状態で重なるように配置することができ、紙幣識別装置50の小型化が図れるようになった。すなわち、従来であると、分離ホイールは紙幣搬送機構とは重ならない位置に配置しなければならなかったが、両者を重なるように配置できることで、図1に示すように、紙幣識別装置50の筐体51内に余裕領域(空きスペース)ができ、この空きスペースに他の部材を配置することができたり、空きスペースを無くすことで小型化が図れたりする。
【0038】
しかしながら、球体計数部10を上記のように単なる重力式のものとした場合、万が一球体計数部10における電磁ソレノイド33等に故障が生じた場合、分離ホイール25にブレーキがかからず、パチンコ玉がたれ流し状態となってしまうおそれがある。そこで、本実施の形態ではこのような緊急の場合にパチンコ玉のたれ流し状態が生じないように緊急停止部54を設けた。
【0039】
なお、そのために、異常検知センサ(パチンコ玉検知センサ:図示せず)を設ける必要がある。
すなわち、制御部56が、球体計数部10において所定数のパチンコ玉を計数して放出し、分離ホイール25の停止指令(電磁ソレノイド33のOFF信号)を出したにもかかわらず、パチンコ玉たれ流し状態が生じた場合にこのパチンコ玉の異常な流下状態を検出する異常検知センサを設ける必要がある。
この異常検知センサは、球体計数部10における前記した検知センサを用いてもよいが、この検知センサとは別に、分離ホイール25より下流側の通路12に、パチンコ玉の流下状態のみを検知する異常検知センサを設けるのがよい。
パチンコ玉のたれ流し状態の検出は、球体計数部10における検知センサと異常検知センサのいずれか一方もしくは両方を参照して行うことができる。
あるいは、異常検知センサは、分離ホイール25の異常回転を検出するセンサであってもよい。
【0040】
次に、緊急停止部54について説明する。
図11は緊急停止部54の一例を示す説明図である。図12は、緊急停止部54を設けた紙幣識別装置50の側面図であるが、部材が重なり合っているので、部材の一部は省略している(図7は、緊急停止部54を省略した図である)。
図11において、80は緊急停止部材であり、紙幣識別部52における前記駆動軸71上の、両駆動プーリ69aと70aとの間に移動自在、かつ駆動軸71を中心に回動自在に設けられている。緊急停止部材80は、筒状部81と、筒状部81から側方に延出する作用部82とを有し、筒状部81を駆動軸71が貫通している。筒状部81の一方の端面と一方の駆動プーリ70aの端面との間にコイルスプリング(付勢部材)83が弾装され、緊急停止部材80を他方の駆動プーリ69aの方向に付勢し、筒状部81の端面を駆動プーリ69aの端面に圧接するようにしている。
【0041】
前記のように、紙幣識別部52の紙幣搬送機構は、球体計数部10の分離ホイール25に重なるように配置されていて、緊急停止部材80は分離ホイール25に近接している。そして、分離ホイール25方向(図11のA方向)に回動したとき、その作用部82が分離ホイール25の表面に設けたリブ(係止部)85に係止し、分離ホイール25の回転を停止可能となっている。
【0042】
本実施の形態は上記のように構成されている。
緊急停止部材80は、紙幣識別部52での紙幣識別時、すなわち、駆動モータ72により駆動プーリ69a、70aが紙幣を紙幣挿入口61から紙幣排出口65へ搬送する正方向(図11のX方向)に回転するとき、駆動プーリ69aの端面との間の摩擦力により、図11におけるB方向に回動し、作用部82は筐体51の内壁面等に当接し、この所定の退避位置で駆動プーリ69aに対して空転する。したがって、作用部82は分離ホイール25の回転を妨げることはなく、以後の計数動作が支障なく行える。
【0043】
一方、上記異常検知センサ等によってパチンコ玉16の異常流下状態が検知された場合には、制御部56によって駆動モータ72が逆方向に回転するように指令が出される。これにより、駆動プーリ69aがY方向に回転され、これにより緊急停止部材80がA方向に回動され、作用部82が分離ホイール25方向に回動されてリブ85に係止することから、分離ホイール25の回転が阻止され、パチンコ玉16の異常流下が阻止されることになる。この異常状態が発生した場合に制御部56から異常信号が発せられ、警報ランプ(図示せず)を点灯させたり、ブザーを鳴らして警告をすることによって係員に知らせるようになっている。
【0044】
なお、紙幣識別部52において、真正な紙幣64でないと判定されたり、紙幣64の種類が相違すると判定された場合にも駆動モータ72が逆方向に回転され、紙幣64を返却するようになっている。この場合においても、作用部82が分離ホイール25のリブ85に係止し、分離ホイール25の回転を阻止することになるが、プログラム上、紙幣識別動作がなされているときは、そもそも計数動作を行わないように設定されているので、何ら問題は生じない。
【0045】
図13〜図15は、作用部82の緊急動作確認のための機構の例を示す。
筐体51の所定箇所に確認窓86と、リセット孔87が設けられている。確認窓86に対応する緊急停止部材80の部位には指標88が設けられている。図13や図14に示すように、緊急動作時、作用部82が回動して分離ホイール25に係止して分離ホイール25の回転を阻止している状態のとき、外部から、指標88が確認窓86から視認できるようになっている。これによっても、異常状態が発生していることが外部からわかり、対応をとれるようになっている。一方、正常状態のときは、図15に示すように、指標88が確認窓86から見えない位置にある。
【0046】
異常状態から復帰する際には、制御部56により、駆動モータ72の正回転動作を行う。紙幣64が紙幣識別部52に受け入れられず、駆動モータ72を逆回転させて紙幣64を紙幣挿入口61に送り戻し、紙幣64が紙幣挿入口61から取り出されたのが確認されたときも同様である。この駆動モータ72を若干正回転させた状態のときが待機状態となる。
【0047】
なお、駆動モータ72を正回転させた場合にも、作用部82がリブ85に強く係止していて、緊急停止部材80が待機位置に戻らない状態が考えられる。その際は、確認窓86が指標88が確認される状態にあるから、リセット孔87からリセット用治具89を差し込み、作用部82とは逆方向に延出しているレバー90を押して、緊急停止部材80を強制回動させ、作用部82をリブ85から外すようにするとよい。
【0048】
上記実施の形態では、紙幣識別部52における無端ベルト68が2本の場合を例として説明したが、1本の場合であってもよい。この場合は、コイルスプリング83は、駆動軸71上に設けた適宜な支持部(図示せず)と緊急停止部材80との間に弾装し、緊急停止部材80を駆動プーリ69aに押し付けるようにするとよい。
また、付勢部材はコイルスプリング83に限定されるものではなく、板ばね、ゴム材等の適宜な弾性部材を用いることができる。
【0049】
図16は、分離ホイール25の表面に設けた係止部85の種々の例を示す。図16(a)は、複数の凹部を形成してリブ状の係止部85としている。図16(b)は、複数の貫通孔を形成してリブ状の係止部85としている。図16(c)は、長穴等の凹部の壁面を係止部85とした例を示す。図16(d)は、複数の凸部を設けて係止部85としている。凸部の形状は問わない。
【0050】
また、緊急停止部材80は、分離ホイール25に設けた係止部85に直接作用させるのでなくてもよい。
図17は、緊急停止部材80の作用部82を検知部35における接触子38の外側に係止させて分離ホイール25の回転を阻止するようにした例を示す。
あるいは、作用部82を、分離ホイール25の外周の凹部28内に進入させて、突出部27に係止させるようにしてもよい。
図18は、緊急停止部材80の作用部82を検知部35における揺動部材36に係止させて分離ホイール25の回転を阻止するようにした例を示す。
【0051】
また、図19、図20に示す例では、緊急停止部材80の作用部82を、分離ホイール25より下流側の通路12内に、通路12に設けたスリット92から出入できるようにし、作用部82が通路12内に進入することによって、パチンコ玉16の異常流下を阻止するようにしている。この場合、コイルスプリング83をギア74のボス部と緊急停止部材80との間に弾装し、緊急停止部材80を駆動プーリ70aに押し付けて、緊急停止部材80を回動させるようにしている。
【0052】
図21は緊急停止部材80のさらに他の実施の形態を示す。
本実施の形態では、緊急停止部材80を、回動軸93、回動軸93から延びる揺動アーム94、揺動アーム94に軸着されたリンク(作用部)95により構成し、リンク95をガイド部材96に設けたガイド孔97に挿通することによって、回動軸93の回動運動をリンク95の往復直線運動に変換するようにしている。
リンク95の先端を、分離ホイール25のリブ85に係止させたり、突出部27に係止させることによって、分離ホイール25の回転を阻止し、パチンコ玉16の異常流下を防止するようにしている。
回動軸93の回動は、別途駆動モータ(図示せず)等によって行ってもよい。
【0053】
図22は緊急停止部材80のまたさらに他の実施の形態を示す。
本実施の形態では、作用部82の先端側に軸98により回動自在に連繋したピン99を、ガイド部材に設けたガイド孔97に挿通してガイドすることによって、作用部82の回動運動をピン99の往復直線運動に変換している。ピン99の先端部を、分離ホイール25より下流側の通路12内にスリット100を介して出入させることによって、パチンコ玉16の異常流下を防止できる。緊急停止部材80の回動は、前記実施の形態と同様に、駆動プーリ70aとの間の摩擦力によって行ってことができる。
【0054】
図23は緊急停止部材80のさらにまた他の実施の形態を示す。
本実施の形態では、ピン101を、分離ホイール25より下流側の通路12内にスリット100を介して手動により出入させることによって、パチンコ玉16の異常流下を防止できる。ピン101は、常時は通路12の外側に設けた保持具102に、先端部が通路12内に突出しない位置に保持されている。すなわち、ピン101の外周には、2か所に溝が形成され、この溝に、保持具102内に、ばね103によってピン保持孔104内に突出するように付勢されたボール105が入り込むことによって、ピン101は、先端が通路12内に突出する位置と突出しない位置との2位置に保持されるようになっている。
【0055】
図24は緊急停止部材80のさらに他の実施の形態を示す。
本実施の形態でも、ピン101を、分離ホイール25より下流側の通路12内にスリット100を介して手動により出入させることによって、パチンコ玉16の異常流下を防止できるようになっている。ピン101は、ピン101に設けた凸部106と保持具102に設けた凸部107とにトグルばね108を掛け渡すことによって、ピン101は、やはり先端が通路12内に突出する位置と突出しない位置との2位置に保持されるようになっている。
【0056】
なお、制御部56は、球体計数部10および紙幣識別部52の両者を制御する制御部であってもよいし、それぞれ個別に制御部を設けてもよいし、あるいは、紙幣識別装置50内には配置せず、遊技機全体を制御する制御部に組み込んでもよい。
【0057】
また、本明細書では、緊急停止部を有さず、紙幣識別部とパチンコ玉を計数する球体計数部とを一体に組み込んだ紙幣識別装置も独立した発明として認識している(将来分割出願することを意図している)。
【0058】
すなわち、
(付記1)
筐体内に、紙幣識別部と、パチンコ玉を計数する球体計数部と、制御部とを具備する紙幣識別装置であって、
前記紙幣識別部は、
紙幣挿入口に挿入された紙幣を紙幣排出口に向かって搬送する搬送機構と、該搬送機構により搬送される紙幣の真贋を識別するセンサ部を備えた識別部とを具備し、
前記球体計数部は、
パチンコ玉を連続して重力により自然落下させる通路と、外周に、突出部、およびパチンコ玉を1つずつ受け入れる凹部が交互に複数形成され、回転軸を中心に回転することにより前記凹部が順次通路内に臨み、通路から供給されるパチンコ玉を順次受け入れて放出路に放出する分離ホイールと、該放出路に放出されるパチンコ玉数を算出する計数部と、前記分離ホイールもしくは分離ホイールに関連する部材に係止し、分離ホイールの回転を停止させる係止部材と、該係止部材を駆動して、前記分離ホイールの回転を停止もしくは回転可能とする駆動部と、前記計数部により所定数のパチンコ玉が計数されたら前記係止部材により前記分離ホイールの回転を停止するように前記駆動部を制御する前記制御部とを具備する球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
(付記2)
前記紙幣識別部は、その紙幣搬送機構が前記球体計数部の前記分離ホイール上に、分離ホイールの回転面と平行状態で重なるように配置されていることを特徴とする付記1記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
(付記3)
前記通路は、
前記分離ホイールの直前で分離ホイールに向けて斜め下方に曲折され、前記凹部に球体を送り込むにあたり、球体の重心の軌跡が、該軌跡と平行な分離ホイールの下側の接線よりも上方となり、かつ球体の重力により前記分離ホイールを下方に向けて回転させる方向を向く進入路と、
該進入路から前記分離ホイールの凹部に送り込まれた球体を分離ホイールが回転することにより進入路から前記放出路に向けて通過させる連通路とを具備することを特徴とする付記1記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
(付記4)
前記進入路を移動する球体の重心の軌跡が、前記分離ホイールの回転軸の軸心に一致する方向を向くか、もしくは回転軸の下方を通るように、前記進入路の前記分離ホイールに向く方向が設定されていることを特徴とする付記3記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
(付記5)
前記進入路の水平面からの傾斜角度が5〜45°であることを特徴とする付記3または4記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
(付記6)
前記通路は、前記進入路の直近上流側に、進入路とは逆方向の斜め下方に曲折する屈曲路を有することを特徴とする付記3〜5いずれか1項記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
等が、本明細書中に独立した発明して記載されている。
【符号の説明】
【0059】
10 球体計数装置
12 通路
14 ベース
15 挿入口
16 パチンコ玉
17 垂直路
18 屈曲路
19 垂直路
20 進入路
21 連通路
22 放出路
23 垂直路
25 分離ホイール
26 回転軸
27 突出部
28 凹部
29 スリット
30 係止部
31 凹部
32 係止部材
33 電磁ソレノイド(駆動部)
35 検知部
36 揺動部材
37 回転軸
38 接触子
50 紙幣識別装置
51 筐体
52 紙幣識別部
56 制御部
58 カードリーダライタ
60 カード収納部
61 紙幣挿入口
64 紙幣
65 紙幣排出口
68 無端ベルト
69、70 プーリ
69a、70a 駆動プーリ
71 駆動軸
72 駆動モータ
75 押圧ローラ
76 入口センサ
80 緊急停止部材
81 筒状部
82 作用部
83 コイルスプリング
85 係止部
86 確認窓
87 リセット孔
88 指標
89 リセット用治具
90 レバー
92 スリット
93 回動軸
94 揺動アーム
95 リンク
96 ガイド部材
97 ガイド孔
98 軸
99 ピン
100 スリット
101 ピン
102 保持具
103 ばね
104 ピン保持孔
105 ボール
106、107 凸部
108 トグルばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、紙幣識別部と、パチンコ玉を計数する球体計数部と、該球体計数部に作用してパチンコ玉の流下を阻止する緊急停止部と、制御部とを具備する紙幣識別装置であって、
前記紙幣識別部は、
紙幣挿入口に挿入された紙幣を紙幣排出口に向かって搬送する搬送機構と、該搬送機構により搬送される紙幣の真贋を識別するセンサ部を備えた識別部とを具備し、
前記球体計数部は、
パチンコ玉を連続して重力により自然落下させる通路と、外周に、突出部、およびパチンコ玉を1つずつ受け入れる凹部が交互に複数形成され、回転軸を中心に回転することにより前記凹部が順次通路内に臨み、通路から供給されるパチンコ玉を順次受け入れて放出路に放出する分離ホイールと、該放出路に放出されるパチンコ玉数を算出する計数部と、前記分離ホイールもしくは分離ホイールに関連する部材に係止し、分離ホイールの回転を停止させる係止部材と、該係止部材を駆動して、前記分離ホイールの回転を停止もしくは回転可能とする駆動部と、前記計数部により所定数のパチンコ玉が計数されたら前記係止部材により前記分離ホイールの回転を停止するように前記駆動部を制御する前記制御部とを具備し、
前記緊急停止部は、
前記通路内のパチンコ玉の流れを検出するパチンコ玉検出部と、前記係止部材とは別に、前記分離ホイールの回転を直接もしくは間接的に停止させる緊急停止部材とを具備し、
前記制御部は、前記分離ホイールの回転を停止するように前記駆動部に指令したにも係わらず、前記パチンコ玉検出部がパチンコ玉の流下を検出するとき、前記球体計数部が故障したと判定し、前記緊急停止部により、前記分離ホイールの回転を停止することを特徴とする球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
【請求項2】
前記紙幣識別部は、前記紙幣搬送機構を駆動する駆動モータを有し、
前記緊急停止部における前記緊急停止部材は、前記駆動モータによって回転される回転軸上に配置され、駆動モータが紙幣搬送方向である正方向に回転するとき、該回転軸上で空転し、駆動モータが逆方向に回転されるとき、該回転軸と共に回転して、前記分離ホイールの回転を停止させるとともに、該分離ホイールの停止位置で空転するように構成され、
前記制御部は、前記球体計数部が故障したと判定した場合、前記駆動モータを逆方向に回転させることを特徴とする請求項1記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
【請求項3】
前記紙幣識別部における紙幣搬送機構は、
紙幣挿入口側と紙幣排出側のそれぞれにプーリが設けられ、該プーリのいずれか一方のプーリが、駆動モータからの動力を伝える駆動軸に挿着された駆動プーリであり、他方のプーリは従動軸に挿着された従動プーリであり、該駆動プーリと該従動プーリには無端ベルトが張設され、前記各プーリに対向する位置には前記プーリに向かって付勢された押圧ローラがあり、前記無端ベルトと前記押圧ローラに狭持され紙幣を搬送するように構成されており、
前記緊急停止部は、
前記紙幣搬送機構における駆動軸上または従動軸上に、軸方向に移動可能、かつ軸上で回動可能に設けられ、付勢部材に付勢されて前記駆動プーリまたは従動プーリの端面に押圧される前記緊急停止部材を有し、
該緊急停止部材は、前記駆動モータが紙幣を紙幣挿入口から紙幣排出口へ搬送する正方向に回転するとき、駆動プーリまたは従動プーリの端面との間の摩擦力により、前記分離ホイールの回転を停止させない方向に回転するとともに、所定の退避位置で駆動プーリまたは従動プーリに対して空転するように設けられ、
前記制御部は、前記分離ホイールの回転を停止するように前記駆動部に指令したにも係わらず、前記パチンコ玉検出部がパチンコ玉の流下を検出して、前記球体計数部が故障したと判定した場合、前記駆動モータを逆方向に回転させ、これにより前記緊急停止部材は、前記駆動プーリまたは従動プーリの端面との間の摩擦力によって回転し、該緊急停止部材の回転により、前記分離ホイールの回転が停止されることを特徴とする請求項2記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記駆動モータを逆転させた際は、駆動モータを正方向に回転させて緊急停止部材を待機位置に復帰させて、該状態を待機状態とすることを特徴とする請求項2または3記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
【請求項5】
前記分離ホイールの表面に係止部が設けられ、前記緊急停止部材が該係止部に係止することによって分離ホイールの回転を停止することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
【請求項6】
前記緊急停止部材に指標が設けられ、緊急停止部材が分離ホイールの回転を停止する位置にあるときに、前記指標を外部から視認できることを特徴とする請求項2〜5いずれか1項記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
【請求項7】
前記分離ホイールの回転を停止する位置にある緊急停止部材を、分離ホイールを回転可能な位置に強制移動させる復帰手段を有することを特徴とする請求項2〜6いずれか1項記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
【請求項8】
前記紙幣識別部は、その紙幣搬送機構が前記球体計数部の前記分離ホイール上に、分離ホイールの回転面と平行状態で重なるように配置されていることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
【請求項9】
前記通路は、
前記分離ホイールの直前で分離ホイールに向けて斜め下方に曲折され、前記凹部に球体を送り込むにあたり、球体の重心の軌跡が、該軌跡と平行な分離ホイールの下側の接線よりも上方となり、かつ球体の重力により前記分離ホイールを下方に向けて回転させる方向を向く進入路と、
該進入路から前記分離ホイールの凹部に送り込まれた球体を分離ホイールが回転することにより進入路から前記放出路に向けて通過させる連通路とを具備することを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
【請求項10】
前記進入路を移動する球体の重心の軌跡が、前記分離ホイールの回転軸の軸心に一致する方向を向くか、もしくは回転軸の下方を通るように、前記進入路の前記分離ホイールに向く方向が設定されていることを特徴とする請求項9記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
【請求項11】
前記進入路の水平面からの傾斜角度が5〜45°であることを特徴とする請求項9または10記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
【請求項12】
前記通路は、前記進入路の直近上流側に、進入路とは逆方向の斜め下方に曲折する屈曲路を有することを特徴とする請求項9〜11いずれか1項記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
【請求項13】
前記放出路は、球体を鉛直方向ではない斜め下方に放出する放出路に形成されていることを特徴とする請求項9〜12いずれか1項記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記紙幣識別部の動作中は、前記球体計数部の動作を禁止することを特徴とする請求項1〜13いずれか1項記載の球体計数装置を内蔵した紙幣識別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−212400(P2011−212400A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86147(P2010−86147)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(397011111)株式会社ウインテック (87)
【Fターム(参考)】