説明

球形混合容器を備えた混合乾燥機

上部容器シェル(2)と下部容器シェル(3)とを含み、双方が分離面(T)で閉鎖可能である球形混合機(1)の形態を有する混合乾燥機である。攪拌シャフト(11)と攪拌要素(12、12’、12”)を備えた攪拌装置(7)は、上部容器シェル(2)に取り付けられる。攪拌軸(R)は垂直線(V)に対して傾斜している。分離面(T)は、攪拌軸(R)に対し垂直である。攪拌要素(12、12’、12”)は分離面(T)の下方に位置する。ヒンジ(14)は分離面(T)上に位置し、球形混合機(1)の容器(B)は洗浄時に開放される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、請求項1の導入部分に記載の混合乾燥機(mixing drier)に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる混合乾燥機は、薬剤や食料品のような、医薬品および化学製品の製造において使用される。混合乾燥機は当技術分野では周知であり、例えば、特許文献1に記載されている。当該装置は、実質的に水平な分離面を有する2つの分離可能な半割シェルからなる回転体の形態を有する容器を備える。上部半割シェルは、製造室のルーフから突き出ている。これは、製造室より上方に攪拌機またはチョッパー用のモーター・ユニットを設置して製造室から空間的に分離するためである。処理された物質の除去は、下部半割シェルに位置する取出口から行うことができる。洗浄を行うために、下部半割シェルはヒンジによって下方に回転させるか、あるいは、下方へ垂直移動させ、その位置で水平に回転させることができる。攪拌機のシャフトは、取出口を容器底部に配置できるようにするため、垂直軸に対して約20°傾斜している。
【0003】
しかし、上記のような構造の製品においては、上部半割シェルの洗浄が困難であることが判明した。つまり、容器が開放してある場合は、攪拌機の一方または他方の攪拌要素が上部半割シェル内に突出しているため、完全には洗浄することができない。
【特許文献1】ヨーロッパ特許出願公開第1118381号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、取出口を容器の最底部に備え、内壁の洗浄を容易にかつ完全に行うことができる混合乾燥機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、上記課題は、請求項1に記載の特徴を有する球形ミキサー形の混合乾燥機によって解決され、特に、攪拌軸が垂直軸に対して傾斜し、かつ2つの容器シェル(vessel shells)間の分離面が攪拌軸に直交して配置されているために、攪拌要素が下部容器シェルより上にとどいていない混合乾燥機によって解決される。
【0006】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に記載の特徴を示している。
【0007】
好適には、攪拌軸は垂直面に対し14°〜18°、好ましくは16°傾斜しており、両方の容器シェルはヒンジにより互いに回転可能(pivotable)である。特に、ヒンジが分離面上あるいはそれより上方に配置され、かつ赤道面(equatorial plane)より下方に配置されることが望ましい。さらに、好ましい実施形態において、攪拌要素には、例えば水蒸気のような高温流体が循環して攪拌要素を加熱できるような移送管(channels)が設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の混合乾燥機の効果は当業者に明らかである。一方、攪拌機が傾斜することにより、物質の攪拌効果が改善される。それと同時に、攪拌要素を適切な寸法で作成すると共に、攪拌軸に対して分離面を直交して配置することにより、上部容器シェルを開放して完全に露出させることができる。
【0009】
以下、本発明について、図面と実施例を参照してより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に示す球形混合機1の形態を有する混合乾燥機は、基本的に2つの容器シェル2、3を備える。図示された実施形態において、機械室5からの汚染物質が製造室6に入り込むことを完全に防止するため、上部容器シェル2は、機械室5と製造室6を分離する床4を突き抜けて配置されている。攪拌機7、供給ノズル8および機械アダプター(machine adapters)9、10は、機械室に面する上部容器シェル2の領域に設けられている。攪拌機7、その攪拌シャフト11および攪拌要素(stirring elements)12、12’、12”は、容器の下部容器シェル3まで延設されている。取出バルブ13は、下部容器シェル3の最底部に配置されている。本発明において、両容器シェル2,3は分離面Tにおいて閉鎖可能であり、それにより、この分離面Tは攪拌軸Rに直交して配置される。すなわち、分離面Tは水平面(horizontal equatorial plane)H側に傾斜している。この分離面Tは、攪拌時に展開される攪拌要素12、12’、12”の軌跡(envelope of movements)の限界面とみなすことができる。攪拌要素12、12’、12”の形状(contour)を容器Bの内部形状により正確に沿わせるために、つまり、より少ない公差で沿わせるために、ヒンジ14を分離面T上に配置することが特に有益であることが立証される。閉鎖具15がヒンジ14に対向する側に配置される。
【0011】
本発明の球形混合機1(球形乾燥機)のさらなる実施形態において、攪拌シャフト11および攪拌要素12、12’、12” には、高温流体16が内部を循環する管が設けられる。本発明においては、容器Bが開放されているときに攪拌要素12、12’、12”が上部容器シェル2の内面を完全に露出させることを確実にするために、攪拌要素12、12’、12”が下部容器シェル3あるいは分離面Tよりも上部に延設されないことが重要である。
【0012】
かかる球形乾燥機の容器は、400から4,000リットルの容量を有する。特に、球形乾燥機は、清潔さについて厳格な基準が要求される製薬あるいは食品工業における粒状ないし粉末状の物質の製造において使用される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかる混合乾燥機の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球形混合機(1)の形態を有する混合乾燥機であって、容器(B)が上部容器シェル(2)と下側容器シェル(3)とを備え、前記容器シェル(2、3)は分離面(T)において共に閉鎖可能であることから、上部容器シェル(2)に、攪拌シャフト(11)および攪拌要素(12、12’、12”)を備える攪拌機(7)が配置され、攪拌軸(R)は垂直線(V)に対して傾斜しており、分離面(T)は攪拌軸(R)に直交して配置され、攪拌要素(12、12’、12”)は下部容器シェル(3)の中に完全に収まるよう配置され、攪拌要素(12、12’、12”)が上部容器シェル(2)までとどいていない、ことを特徴とする混合乾燥機。
【請求項2】
攪拌軸(R)が垂直線(V)に対して16°傾斜している、請求項1に記載の混合乾燥機。
【請求項3】
上部容器シェル(2)が、製造室(6)を機械室(5)から分離する水平床(4)を突き抜けて配置されている、請求項1に記載の混合乾燥機。
【請求項4】
両方の容器シェル(2、3)がヒンジ(14)によって互いに回転可能である、請求項1に記載の混合乾燥機。
【請求項5】
ヒンジ(14)が分離面(T)上にある、請求項1に記載の混合乾燥機。
【請求項6】
下部容器シェル(3)はその最底部域に取出バルブ(13)が設けられている、請求項1に記載の混合乾燥機。
【請求項7】
攪拌要素(12、12’、12”)が容器の内部形状に沿っている、請求項1に記載の混合乾燥機。
【請求項8】
攪拌要素(12、12’、12”)が加熱手段を有する、請求項1に記載の混合乾燥機。

【図1】
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【公表番号】特表2009−532192(P2009−532192A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554704(P2008−554704)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001765
【国際公開番号】WO2007/101603
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508250752)マーヴァグ アーゲー (1)
【氏名又は名称原語表記】Mavag AG
【住所又は居所原語表記】Kleiner Letten 9,8213 Neunkirch,SWITZERLAND
【Fターム(参考)】