説明

理美容椅子

【課題】 従来のフットケア用椅子にあっては、フットケア装置であるフットバスが椅子における座部の裏面側に収容されているため、座部を被施術者を椅子に導入するために低い位置まで下降させることができないといった問題があった。
【解決手段】 昇降可能な座部2と、該座部に対して起伏可能に取付けられた背凭れ4と、前記座部の座部基板21に対してレッグレスト基板61が座部の側方に向かって回動、かつ、固定可能に軸支されたレッグレストとから構成した理美容椅子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、理美容の施術を受ける時には通常の理美容椅子として使用し、例えば、フットバスによる足浴等のフットケアを受ける時には前記理美容の施術時にレッグレストとして使用していたレッグレストを座部の側方に向かって回動し、フットケア装置を座部の前方に位置させることができるようにした理美容椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における椅子に着座した状態でフットバスに足を入れて足裏の角質層を除去する等の施術を行うものとして、特開2004−261475号公報に開示されている椅子とフットバスとを組み合わせた発明がある。この発明は、長さが短いフットレストを上げた状態で足裏を診断し、該診断の後に座部の裏面側に収容されているフットバスを垂下状態にあるフットレストの前面側に引き出し、該引き出されたフットバスに被施術者の足を入れて治療を行うものである。
【特許文献1】特開2004−261475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来例の装置を理美容椅子に応用した場合には、フットレストの長さが短いためバックシャンプーを行う等のために被施術者を仰臥状態とした場合には脹ら脛の一部しか支えられないので、長時間にわたって同じ姿勢を保つと脹ら脛が痛くなるといった問題があり、また、フットバスが椅子における座部の裏面側に収容されているため、座部を被施術者を椅子に導入するために低い位置まで下降させることができないといった問題があった。
【0004】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、被施術者のバックシャンプー等を行うために仰臥姿勢を取らせた状態において脹ら脛全体を支えられる長さにレッグレストを形成でき、足浴時には座部の前方に位置している前記レッグレストを座部の側方に回動してフットケア装置を座部の前方に移動してフットケアを行うことができる理美容椅子を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の理美容椅子は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、昇降可能な座部と、該座部に対して起伏可能に取付けられた背凭れと、前記座部の座部基板に対してレッグレスト基板が座部の側方に向かって回動、かつ、固定可能に軸支されたレッグレストとから構成したものである。
【0006】
請求項2の手段は、前記した請求項1において、前記レッグレストは左右2枚で構成され、それぞれのレッグレスト基板が座部基板の側方に向かって回動、かつ、固定可能に軸支されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の手段は、前記した請求項1において、前記レッグレストは1つで構成され、レッグレスト基板が座部基板の側方に向かって回動、かつ、固定可能に軸支されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4の手段は、前記した請求項1において、前記座部基板に対する前記レッグレスト基板の回動角が、フットケア装置を前記座部の前方に移動した時に、レッグレストがフットケア装置に当接することがない角度以上であることを特徴とする。
【0009】
請求項5の手段は、前記した請求項1乃至請求項3において、前記座部基板に対してレッグレスト基板は、摩擦抵抗を利用して回動、かつ、固定可能に軸支されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は前記したように、座部基板に対してレッグレスト基板を座部の側方に向かって回動、かつ、固定可能に軸支したことにより、バックシャンプー等の理美容に関連する施術時にはレッグレストを座部の前方に延長することで、被施術者の脹ら脛の略全体が支えられるので安楽な姿勢で施術を受けることができ、また、被施術者の椅子への導入やフットケア装置を座部の前方に配置する場合にはレッグレストを回動して座部の側方に回動することで、老齢者や子供等の身長が低い被施術者でも容易に着座することができると共にフットケア装置とレッグレストが邪魔になることがない。
【0011】
また、レッグレストを左右2枚で構成し、それぞれのレッグレスト基板を座部基板の側方に向かって回動、かつ、固定可能に軸支することで、レッグレストを閉じた状態では一般的なレッグレストとして使用でき、また、レッグレストを開放した状態では被施術者が開放したレッグレストに脹ら脛をのせた状態でネイル等の施術を受けることができる。
【0012】
さらに、レッグレストを1枚で構成することにより、構造が簡単で、かつ、部品点数を少なくすることができるので、コストの低減を図ることができる。
【0013】
また、座部基板に対してレッグレスト基板を摩擦抵抗を利用して回動、かつ、固定可能に軸支することでレッグレストを所望の角度位置で固定可能となり、従って、通常のレッグレストとして使用した場合に被施術者が希望する開脚位置で保持でき、また、レッグレストを開放した場合にも座部の側面よりの突出量を自由に設定することが可能である等の効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、座部基板に対してレッグレスト基板を座部の側方に向かって回動、かつ、固定可能に軸支した。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明に係る理美容椅子の一実施例を図1〜図5と共に説明する。
1は該椅子本体Aを水平状態で昇降する昇降装置にして、椅子本体Aのレッグレスト6の先端と略同じ位置に油タンクや油圧シリンダに対して油を供給するためのポンプが収容された駆動源収容部11が形成され、該駆動源収容部11から後方に向かって油圧シリンダおよび平行リンクが収容されたカバー12が形成されている。なお、この構造は公知の理美容椅子に使用されている。
【0016】
次に、椅子本体Aの詳細について説明するに、2は前記昇降装置1における前記平行リンクの先端に回転、かつ、固定可能に座部基板21が取付けられた座部、3は前記座部基板21の両側面に取付けられた肘掛け、4は前記座部基板に対して回動自在に軸支され、かつ、座部2の裏面に取付けられた油圧シリンダによって起伏自在取付けられた背凭れである。5は前記背凭れ4の上面に昇降可能に取付けられた枕である。なお、この構造は公知の理美容椅子に使用されている。
【0017】
6は長手方向に沿って2分割されたレッグレストにして、それぞれは前記座部基板21の一部である取付板21aに対して回転自在に軸部61を介して軸支されている。この軸部61は取付板21に対してレッグレスト6の裏面から延長されている「へ」の字状のレッグレスト基板62が摩擦抵抗を介して回転するように構成されている。従って、レッグレスト6を回転すると取付板21aに対して摩擦抵抗が加わっているので、レッグレスト6に対する回転力が加わらなくなると、その位置で固定状態となる。
【0018】
次に、前記した如く構成した理美容椅子を利用して被施術者のバックシャンプーや毛髪のカット等の施術を行う場合の動作について説明する。
まず、被施術者を椅子本体Aに乗り降りする時には、図4に示すように一対のレッグレスト6を座部2の両側面方向に回動しておく。この状態において、レッグレスト基板62が折曲されているので、レッグレスト6は正面から見て「ハ」の字状になっている。また、この時、軸部61が摩擦抵抗を有していることにより、みだりに回転することはない。
【0019】
前記したレッグレスト6が開放された位置において被施術者を導入すればレッグレスト6が邪魔になることがないので、片足ずつ座部2に載せるあるいは下ろすことができ、腹筋を使わずに乗り降りし易くなり、従って、高齢者、女性等の乗り降りが容易に行える。そして、着座したなら毛髪のカット等の施術の場合には、そのままの姿勢で施術を受けることができる。また、バックシャンプーの施術を受ける場合には、レッグレスト6を図1、図2のように閉じることで、被施術者の脹ら脛をレッグレスト6で受けられるので安楽な姿勢となる。そして、背凭れ4を伏倒することで仰臥姿勢となる。この仰臥姿勢とする前に公知の移動式シャンプー装置を椅子本体Aの背部に移動しておくことでバックシャンプー施術を受けることができる。
【0020】
次に、フットバス装置等のフットケア装置によってフットケアを受ける場合について図5と共に説明する。なお、椅子本体Aは前記した構成と同じなので説明は省略する。なお、図示のフットケア装置7はフットバス装置の場合を示しているが、その他の施術、例えば、フットネイル(ペディキュア)を受けるための装置やマッサージを受けるための足載せ台等である。
【0021】
フットケア装置7は、キャスター71が取付けられた枠体72と、該枠体72に取付けられたフットバス73とから構成されている。なお、枠体72には移動させる時に手で持つための把持部72aが形成されている。また、フットバス73は温度調節が可能な構造とすることが望ましい。
【0022】
このように構成されたフットケア装置7を使用して被施術者のフットケアを行う場合には、レッグレスト6を開放して座部2の前方に空間を作り、この空間にフットケア装置7を移動して被施術者の足をフットバス73内に入れる。この時、被施術者の足の長さに応じて座部2の高さを調整したりフットケア装置7を前後方向に移動することで楽に足浴が可能となる。また、バックシャンプー施術を受けながらのフットケアも可能である。
【0023】
前記した実施例は、レッグレスト6を2つに分割した場合について説明したが、図6に示すようにレッグレスト6を1つで構成し、座部2への乗り降り時やフットケア装置7を座部前方に配置する場合には、レッグレスト6を座部2の1側面に回動するようにしてもよい。そして、1つのレッグレスト6の場合には、2つに分割した場合により思いので、レッグレスト6の裏面中心部を図示しない取付板21aに前記した軸部61で回動、かつ、固定可能に軸支すると共に平行リンク63を取付板21aとレッグレスト6との間に介在することで、レッグレスト6の回転時と回転位置での強度を持たせることができる。なお、動作については前記した第1の実施例と同様なので説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の理美容椅子の一実施例を示す斜視図である。
【図2】同上の側面図である。
【図3】座部の一部を取り除き1つのレッグレストを開放した状態の平面図である。
【図4】2つのレッグレストを開放した状態の斜め上方から見た斜視図である。
【図5】フットケア装置を使用可能とした状態の斜視図である。
【図6】レッグレストが1つの場合の他の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 昇降装置
2 座部
21 座部基板
4 背凭れ
6 レッグレスト
61 軸部
7 フットケア装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能な座部と、該座部に対して起伏可能に取付けられた背凭れと、前記座部の座部基板に対してレッグレスト基板が座部の側方に向かって回動、かつ、固定可能に軸支されたレッグレストとから構成したことを特徴とする理美容椅子。
【請求項2】
前記レッグレストは左右2枚で構成され、それぞれのレッグレスト基板が座部基板の側方に向かって回動、かつ、固定可能に軸支されていることを特徴とする請求項1記載の理美容椅子。
【請求項3】
前記レッグレストは1つで構成され、レッグレスト基板が座部基板の側方に向かって回動、かつ、固定可能に軸支されていることを特徴とする請求項1記載の理美容椅子。
【請求項4】
前記座部基板に対する前記レッグレスト基板の回動角が、フットケア装置を前記座部の前方に移動した時に、レッグレストがフットケア装置に当接することがない角度以上であることを特徴とする請求項1記載の理美容椅子。
【請求項5】
前記座部基板に対してレッグレスト基板は、摩擦抵抗を利用して回動、かつ、固定可能に軸支されていることを特徴とする請求項1乃至3記載の理美容椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−93052(P2008−93052A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275813(P2006−275813)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)
【Fターム(参考)】