説明

環境によって動力を供給される電気活性ポリマジェネレータ

【課題】電気活性ポリマ膜を使用して機械エネルギを電気エネルギに変換するトランスデューサの提供。
【解決手段】靴の踵500に格子板515を固定し、EAP膜562を第2の板516によって格子板515に取り付ける。格子板516の下部には、流体で満たされた可撓性のベローズ555を固定する。ベローズ555は、人の二足歩行中に力552,554が踵500に加わると収縮し、これらの力が除去されると非収縮するように設計される。ベローズ555が収縮すると、流体564によってEAP膜562が変形され、複数のアパチャ520に食い込む。力552,554の減少または除去にともなってベローズ555が非収縮するとき、EAP膜562は弛緩する。EAP膜562の変形およびそれに続く弛緩により電気を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電気エネルギと機械エネルギを変換する電気活性ポリマ(EAP)に関する。本発明は、特に、二足歩行中に人の足が接地して生成される力など、生体によって生成される未使用のエネルギ源から電気エネルギを収集するための、ポリマおよびこれらのポリマの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギと機械エネルギの変換は、多くの用途において必要とされている。電気エネルギから機械エネルギへの変換を必要とする代表的な用途としては、ロボット、ポンプ、スピーカ、一般オートメーション、ディスクドライブ、そして人工器官などが挙げられる。これらの用途には、マクロまたはミクロのレベルで電気エネルギを機械的作用に変換するアクチュエータが、1つまたはそれ以上含まれる。また、電磁モータやソレノイドなどの一般的な電気アクチュエータ技術は、例えば小型の機器を必要とする用途など(例えばミクロマシンや中規模マシンなど)、多くの用途に対して適切でない。機械エネルギから電気エネルギへの変換を必要とする代表的な用途としては、機械的特性センサや踵接地ジェネレータなどが挙げられる。これらの用途には、機械エネルギを電気エネルギに変換するトランスデューサが、1つまたはそれ以上含まれる。また、電磁ジェネレータなどの一般的な電気ジェネレータ技術も、例えば小型の機器を必要とする用途など(例えば靴の中など)、多くの用途に対して適切でない。これらの技術は、1つの構造内に多数の機器を組み込まなければならない場合や、低めの周波数で高めの出力密度を得ることを必要とするような様々な性能条件のもとでも、やはり理想的ではない。
【0003】
多くの「スマート材料」が、電気エネルギと機械エネルギの変換に使用されてきたが、こうして得られる成果には限度があった。これらのスマート材料としては、圧電セラミック、形状記憶合金、そして磁わい材料などが挙げられる。しかしながら、これらのスマート材料にはそれぞれ限界があり、広く一般に使用することができない。電磁エネルギを機械エネルギに変換するためには、ジルコン酸チタン酸塩(PZT)などの特定の圧電セラミックが使用されてきた。このような圧電セラミックは、限られた用途では適切な効率を達成しえるものの、ひずみが一般に1.6%未満の場合に限られ、必要なひずみが1.6%を超える用途では多くの場合に適切でなくなる。また、これらの材料は高密度であるため、低重量であることが求められる用途では使用できない場合が多い。照射ポリジフロロビニリデン(PVDF)は、電気エネルギから機械エネルギへの変換に必要なひずみが4%以下であるとされている電気活性ポリマである。圧電セラミックと同様に、PVDFも、4%より大きいひずみを必要とする用途では適切でない場合が多い。ニチノールなどの形状記憶合金は、ひずみや力の出力が大きい場合にも対応することができる。しかしながら、これらの形状記憶合金は、エネルギ効率や応答時間に問題があり、高コストであるため、広く一般に使用することができない。
【0004】
圧電セラミックおよび照射PVDFは、性能限界を有するだけでなく、その製造でも問題を生じる場合が多い。単結晶の圧電セラミックは、高温で成長させた後に非常にゆっくりと冷却しなければならない。照射PVDFの場合は、電子ビームを照射しなければならない。これらの処理は、いずれも高価で複雑であり、これらの材料の受容性に限界が生じる。
【0005】
マイクロチップ製造の進歩にともなって、論理素子は、そのコストおよびサイズが減少するとともに計算能力が向上している。したがって、これらの論理素子を使用した新しい携帯用電子機器が、常に開発され続けている。また、既存の電子機器の機能を高めたり、場合によってはその可搬性を高めたりするため、これらの論理素子を、既存の電子機器に組み込むこともなされている。新しい携帯用電子機器の例として、携帯電話、ポケットベル、携帯情報端末、MP3プレイヤ、ナビゲーション機器、ロケータ機器などが挙げられる。これらの携帯用電子機器は、懐中電灯、電気ツール、クレジットカードリーダ、ラジオなどの従来の携帯用電子機器とともに、多くの活動において利用される。いずれの機器を作動させるためにも、電気エネルギ源が必要である。これらの機器は、一般に、電力の供給源として使い捨てまたは充電式の電池を利用する。コスト、重量、寿命などの電池の性能パラメータは、これらの機器の設計および動作において重要な要素を占める。
【0006】
上述した携帯用電子機器においては、機器に電力を供給する電池を定期的に充電したり取り替えたりする必要性を、低減するまたは排除することが望ましい。この必要性を満たすためのアプローチの1つには、未使用の生体および環境エネルギ源からエネルギを収集することである。例えば、太陽エネルギを電気エネルギに変換することによって電源を提供しても良い。しかしながら、太陽エネルギの利用には、太陽熱のエネルギ密度が低いためにソーラコレクタの可搬性が制限されるという不都合がある。さらに、太陽熱は、夜間または曇りの日には電力を供給できない。携帯用電子機器に電力を供給するもう1つのアプローチは、生体エネルギ源または環境エネルギ源から生成される未使用の機械エネルギを変換することである。例えば、人が歩くことによって生成される機械エネルギは、そのほとんどが一般に未使用である。以上から、未使用の生体エネルギ源または未使用の環境エネルギ源を効率的に電気エネルギに変換する代替機器が必要とされていることがわかる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、電気活性ポリマ膜を使用して機械エネルギを電気エネルギに変換する1つまたはそれ以上のトランスデューサを備えたジェネレータを用意することによって、上述した必要性に対処する。ジェネレータは、未使用の生体エネルギ源、未使用の環境エネルギ源、またはこれらを組み合わせたもののうち、いずれかの一部を、ジェネレータの中に設けられた1つまたはそれ以上のトランスデューサに移す、1つまたはそれ以上の伝達機構を備えて良い。トランスデューサによって受け取られたエネルギは、ジェネレータの中に設けられた調整用エレクロトニクスと連動するトランスデューサによって、電気エネルギに変換して良い。本発明による一実施形態では、履物の踵部分に組み込まれ、人の二足歩行中に生成される機械エネルギを電気エネルギに変換する踵接地ジェネレータを用意する。
【0008】
本発明による一態様では、生体によって生成される機械エネルギを電気エネルギに変換するジェネレータを用意する。ジェネレータは、一般に、1)少なくとも2つの電極と、そのポリマの一部に加えられる変形に応じて電場の変化を生じるように構成されたポリマと、をそれぞれ備えた1つまたはそれ以上のトランスデューサと、2)少なくとも2つの電極に接続され、1つまたはそれ以上のトランスデューサから電気エネルギを除去するように設計または構成され、昇圧、降圧、電荷制御のうちの1つまたはそれ以上の機能を果たすように設計または構成された調整用のエレクトロニクスと、3)生体によって生成される機械エネルギを受け取り、生体によって生成される機械エネルギの一部を、それが一部の変形となって現れるポリマに移すように設計または構成された1つまたはそれ以上の伝達機構と、を含むことを特徴として良い。生体によって生成される機械エネルギは、人、動物、またはその両方からなる群より選択される生体システムから生成して良い。ポリマは、シリコンエラストマ、アクリルエラストマ、ポリウレタン、PVDFを含んだコポリマ、およびこれらを組み合わせたものからなる群より選択される材料であって良い。積層された多層構造のポリマを構成することによって、アクティブ領域を増やし、運動ごとに得られる電気エネルギを増大させて良い。
【0009】
生体によって生成される機械エネルギは、伝達機構に受け取られる慣性力または直接力の一部を生成して良い。一実施形態では、直接力は、踵の接地、手の収縮、手の衝撃、指の衝撃、胸の膨張、胸の収縮、およびこれらの組み合わせからなる群より選択して良い。慣性力は、生体によって生成される運動から得て良い。このとき、1つまたはそれ以上の伝達機構は、慣性力に応じて移動するように設計または構成された慣性質量を備え、慣性質量の移動によって生成される機械エネルギは、電気エネルギを生成するために使用される。慣性質量は、機器の一部を構成しても良いし、他の目的のために運ばれるまたは移動されるバックパックなどの既存の質量であっても良い。
【0010】
具体的な実施形態では、ジェネレータは、1つまたはそれ以上のトランスデューサおよび1つまたはそれ以上の伝達機構を取り囲むハウジングを含んでいて良い。実施形態によっては、ハウジングが履物に組み込まれていても良い。ジェネレータは、また、1)携帯用電子機器に電力を供給するために使用される電気エネルギを出力するように設計または構成された電気的インターフェースと、2)1つまたはそれ以上のトランスデューサから除去された電気エネルギを蓄えるための1つまたはそれ以上の電池であって、そのうちの少なくとも1つがポリマの充電を増大させるために使用される電池と、を含んで良い。
【0011】
具体的な実施形態では、1つまたはそれ以上の伝達機構は、生体によって生成される機械エネルギの一部を移すように設計または構成された、流体、1つもしくはそれ以上の支持部材、またはこれらの組み合わせを含んで良い。伝達機構は、生体によって生成される機械エネルギの一部を移すように設計または構成された、流体またはゲルで満たされた容器を含んで良い。流体またはゲルを満たされた容器は、ベローズまたはブラダであって良い。
【0012】
さらに別の実施形態では、ジェネレータは、1つまたはそれ以上のトランスデューサに取り付けるように設計または構成された、1つまたはそれ以上の支持構造を含んで良い。支持構造は、ポリマの1つまたは複数の部分を変形させるように設計または構成された、流体またはゲルで満たされた容器を含んで良い。また、ポリマは、少なくとも一方に加えられる変形に応じて電場の変化を生じるように構成された第1の部分および第2の部分を含んで良い。具体的な一実施形態では、1つまたはそれ以上のセンサをジェネレータに接続して良い。
【0013】
本発明による別の一態様では、機械エネルギを電気エネルギに変換するジェネレータを用意する。ジェネレータは、一般に、1)電気的インターフェースに接続された少なくとも2つの電極と、そのポリマの一部に加えられた変形に応じて電場の変化を生じるように構成されたポリマと、をそれぞれ備えた1つまたはそれ以上のトランスデューサと、2)少なくとも2つの電極に接続され、1つまたはそれ以上のトランスデューサから電気エネルギを除去するように設計または構成された電荷制御回路と、を含むことを特徴として良い。ジェネレータは、サイクル中の特定の時点にポリマに電荷を加える回路を含んでいて良い。また、ジェネレータは、入力信号を入力電圧レベルで受信し、出力信号を出力電圧レベルで出力するように設計または構成され、出力電圧レベルが入力電圧レベルよりも低いような、降圧回路を含んでも良い。降圧回路への入力信号は、電荷制御回路から受信して良い。
【0014】
具体的な実施形態では、ジェネレータは、降圧回路から出力信号を出力するように設計または構成された電気出力インターフェースを含んで良い。電気的出力インターフェースは、電池または携帯用電子機器に接続して良い。出力信号の出力電圧レベルは、約1.5ボルトから約48ボルトまでの範囲で良い。また、ジェネレータは、降圧回路の中で信号の電圧レベルを下げるように設計または構成された、1つまたはそれ以上の電力変換回路部を含んでも良い。さらには、1つまたはそれ以上の電力変換回路部で受信された信号の電圧レベルを、1つまたはそれ以上のコンデンサによって下げても良い。
【0015】
別の一実施形態では、ジェネレータは、入力信号を入力電圧レベルで受信し、出力信号を出力電圧レベルで出力するように設計または構成され、入力電圧レベルが出力電圧レベルよりも低いような、昇圧回路を含んでいても良い。出力信号は、電荷制御回路で受信して良い。さらに、入力信号は、電池に接続された電気入力インターフェースで受信して良い。電池の電圧は、約1.5ボルトから約12ボルトまでの範囲で良い。昇圧回路は、変圧器と、変圧器を制御するための変圧器一次駆動回路と、を含んで良い。
【0016】
本発明による別の一態様では、人の二足歩行中に生成される機械エネルギを電気エネルギに変換するためのジェネレータを用意する。ジェネレータは、一般に、1)少なくとも2つの電極と、そのポリマの一部に加えられる変形に応じて電場の変化を生じるように構成されたポリマと、をそれぞれ備え、履物の中に搭載された1つまたはそれ以上のトランスデューサと、2)人の二足歩行中に生成される機械エネルギを受け取り、機械エネルギの一部を、それが一部の変形として現れるポリマに移すように設計または構成された1つまたはそれ以上の伝達機構と、3)少なくとも2つの電極に接続され、1つまたはそれ以上のトランスデューサから電気エネルギを除去するように設計または構成された調整用のエレクトロニクスと、を含むことを特徴として良い。さらに、調整用エレクトロニクスは、昇圧、降圧、電荷制御(ポリマ電極に対して電荷の追加または除去を行う)のうちの1つまたはそれ以上の機能を果たすように設計または構成して良い。トランスデューサの中に設けられたポリマは、少なくとも一方に加えられる変形に応じて電場を変化させるように構成された第1の部分および第2の部分を含んでいて良く、ポリマは、シリコンエラストマ、アクリルエラストマ、ポリウレタン、PVDFを含んだコポリマ、およびこれらの組み合わせたものからなる群より選択される材料である。
【0017】
具体的な実施形態では、1つまたはそれ以上の伝達機構は、人の二足歩行中に履物の一部が接地するときに機械エネルギを受け取って良い。また、ジェネレータは、1つまたはそれ以上のトランスデューサのうち少なくとも1つと、1つまたはそれ以上の伝達機構のうち少なくとも1つと、調整用のエレクトロニクスと、を取り囲むハウジングを含んでも良い。ハウジングは、防水性であって良い。また、ジェネレータは、1つまたはそれ以上のトランスデューサに取り付けるように設計または構成された1つまたはそれ以上の支持構造を含んでも良い。
【0018】
具体的な実施形態では、履物は、1つまたはそれ以上のトランスデューサと、1つまたはそれ以上の伝達機構のうち少なくとも1つと、調整用エレクトロニクスと、を取り囲むハウジングを組み込まれた少なくとも1つの踵を含む。踵は、靴から取り外すことが可能なように設計または構成して良い。伝達機構の中には、機械エネルギの一部を移す1つまたはそれ以上の支持部材を搭載して良い。さらには、1つまたはそれ以上の支持構造を少なくとも1つのトランスデューサに取り付けて良い。具体的な一実施形態では、1つまたはそれ以上の支持構造をポリマに取り付けて1つまたはそれ以上のダイヤフラムを形成する。
【0019】
伝達機構は、人の二足歩行中に踵の一部が接地したときに機械エネルギを受け取って良い。伝達機構は、機械エネルギの一部を移すように設計または構成された、流体またはゲルで満たされた容器を含んでいて良い。具体的な実施形態では、流体またはゲルで満たされた容器はベローズまたはブラダであって良い。流体またはゲルで満たされた容器は、機械エネルギを加えられると収縮し、機械エネルギを除去されると非収縮するように設計または構成して良く、このとき、機械エネルギを加えられるときと機械エネルギを除去されるときとの間のストローク距離は、約1mmから約10mmの範囲である。
【0020】
本発明による別の一態様では、環境によって生成される機械エネルギを電気エネルギに変換するためのジェネレータを用意する。ジェネレータは、一般に、1)少なくとも2つの電極と、そのポリマの一部に加えられる変形に応じて電場の変化を生じるように構成されたポリマと、をそれぞれ備えた1つまたはそれ以上のトランスデューサと、2)少なくとも2つの電極に接続され、1つまたはそれ以上のトランスデューサから電気エネルギを除去するように設計または構成された調整用のエレクトロニクスと、3)環境によって生成される機械エネルギを受け取り、環境によって生成される機械エネルギの一部を、それが一部の変形として現れるポリマに移すように設計または構成された1つまたはそれ以上の伝達機構と、を含むことを特徴として良い。環境によって生成される機械エネルギは、風、波、水流からなる群より選択される環境エネルギ源から生成して良い。
【0021】
本発明の一態様は、電気エネルギと機械エネルギとの変換を行うための機器に関する。機器は、少なくとも1つのトランスデューサを備える。各トランスデューサは、少なくとも2つの電極と、発電および機械作動のうちの一方をサポートする方法で少なくとも2つの電極と電気通信を行う関係にあるポリマと、を備える。また、機器は、トランスデューサの第1の領域に結合された近心端と、遠心端と、を有した第1の部材を備えても良い。機器は、また、トランスデューサの第2の領域に結合された近心端と、第1の部材の遠心端に結合された遠心端と、を有した第2の部材を備えて良い。平面に沿ったポリマの変形は、第1の部材および第2の部材の近心端を、上記平面に沿って移動させ、第1および第2の部材の遠心端を、ともに、上記平面と同一平面上にない方向に移動させる。
添付の図面に関連して行う以下の説明から、本発明のさらなる特徴および利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】生体によって生成されるエネルギを収集するためのジェネレータ機器を示したブロック図である。
【図2A】人の二足歩行中に生成される複数の直接力および慣性力を示したブロック図である。
【図2B】電気活性ポリマトランスデューサを利用したジェネレータからエネルギを収集するサイクルを示した図である。
【図3A】本発明による伝達継手機構の実施形態を示した側面図である。
【図3B】本発明による伝達継手機構の実施形態を示した側面図である。
【図3C】本発明による伝達継手機構の実施形態を示した側面図である。
【図4A】電圧を印加される前および後におけるトランスデューサを、本発明による一実施形態にしたがって示した斜視図である。
【図4B】電圧を印加される前および後におけるトランスデューサを、本発明による一実施形態にしたがって示した斜視図である。
【図4C】複数のアクティブ領域を備えたモノリシックトランスデューサを、本発明による一実施形態にしたがって示した図である。
【図4D】対称的に配置された複数のアクティブ領域を備えた機器を、本発明による具体的な一実施形態にしたがって示した図である。
【図5A】電気エネルギと機械エネルギとの変換を行うモノリシックトランスデューサを備えた機器を、本発明による別の一実施形態にしたがって示した図である。
【図5B】電気エネルギと機械エネルギとの変換を行うモノリシックトランスデューサを備えた機器を、本発明による別の一実施形態にしたがって示した図である。
【図5D】電気エネルギと機械エネルギとの変換を行う機器の作動前における状態を、本発明による具体的な一実施形態にしたがって示した図である。
【図5E】電気エネルギと機械エネルギとの変換を行う機器の作動後における状態を、本発明による具体的な一実施形態にしたがって示した図である。
【図5F】複数のポリマ層を含んだトランスデューサを、本発明による一実施形態にしたがって示した横断面図である。
【図5G】人工筋肉の一例としての積層形の多層デバイスを、本発明による一実施形態にしたがって示した図である。
【図5H】電気エネルギと機械エネルギとの変換を行う三次元機器を、本発明による一実施形態にしたがって示した上面図である。
【図5I】電気エネルギと機械エネルギとの変換を行う三次元機器を、本発明による一実施形態にしたがって示した側面図である。
【図5J】電気エネルギと機械エネルギとの変換を行う三次元機器を、本発明による一実施形態にしたがって示した上面図である。
【図5K】電気エネルギと機械エネルギとの変換を行う三次元機器を、本発明による一実施形態にしたがって示した側面図である。
【図5L】電気エネルギと機械エネルギとの変換を行う三次元機器を、本発明による一実施形態にしたがって示した側面図である。
【図5N】電気エネルギと機械エネルギとの変換を行う機器を、本発明による別の一実施形態にしたがって示した図である。
【図5O】電気エネルギと機械エネルギとの変換を行う機器を、本発明による別の一実施形態にしたがって示した図である。
【図6A】調整用エレクトロニクスに接続されたトランスデューサを示したブロック図である。
【図6B】トランスデューサを利用した電気ジェネレータを、本発明による一実施形態として示した回路図である。
【図6C】トランスデューサを利用した電気ジェネレータを、本発明による別の一実施形態として示した回路図である。
【図6D】本発明による一実施形態として昇圧回路を示した回路図である。
【図6E】トランスデューサを利用した電気ジェネレータを、本発明によるさらに別の一実施形態として示した回路図である。
【図6F】本発明によるEAP膜に対して電荷の追加および除去を行う回路を示した図である。
【図7A】履物の踵に組み込まれたジェネレータ機器を、本発明による一実施形態として示した上面図である。
【図7B】履物の踵に組み込まれたジェネレータ機器を、本発明による一実施形態として示した側面図である。
【図8】本発明による一実施形態として自己充電式の電池を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、添付の図面に示された好ましい幾つかの実施形態を参照にしながら、本発明の詳しい説明を行う。以下の説明では、本発明の完全な理解を促すために、多くの詳細が具体的に示されている。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細の一部または全てがなくても実現できることは、当業者にとって明らかである。また、本発明を不必要に不明瞭化しないように、周知のプロセス工程および/または構造の説明は省略してある。
【0024】
1.概要
電気活性ポリマは、電気エネルギと機械エネルギとの間の変換を双方向に行うことができる。本発明の一態様は、生体システムから生成される未使用の機械エネルギを収集すること、そしてそれを電気活性ポリマを利用したジェネレータによって電気エネルギに変換すること、に関する。例えば、人の二足歩行中に踵の接地によって得られる力を、本発明によるジェネレータを使用して電気エネルギに変換して良い。もう1つの実施例としては、人の腕の振りによって得られる慣性力を、手首に装着された本発明によるジェネレータによって電気エネルギに変換して良い。さらに、生体システムは、その環境と相互作用するのが一般的なので、未使用の生体エネルギ源と組み合わせた形または区別した形で、未使用の環境エネルギ源を電気エネルギに変換しても良い。例えば、自動車に乗っている人が、その手首にジェネレータ機器を装着している場合は、ジェネレータ機器は、自動車の振動から得られるエネルギを電気エネルギに変換して良い。ジェネレータ機器が自動車から振動エネルギを受け取りつづけている限りは、ジェネレータ機器が装着されているかいないかにかかわらず、自動車からの振動エネルギから電気への変換は行われる。上述した方法で収集された電気エネルギは、携帯電話、ラジオ、MP3プレイヤ、携帯情報端末、ロケータビーコンなどのいくつかの電子機器を作動させるために使用して良い。以下では、踵接地ジェネレータや、エネルギ収集を実施するために電気活性ポリマを使用したジェネレータ機器コンポーネントなどのジェネレータ機器の詳細に関して説明する。
【0025】
本発明の一態様は、複数のアクティブ領域を備えた電気活性ポリマトランスデューサに関する。これら複数のアクティブ領域は、1つのポリマ上に配置して良い。複数のアクティブ領域を1つのポリマ上に配置できると、多数のトランスデューサを構成することが可能になる。複数のアクティブ領域を使用する方法は、様々であって良い。これらの複数のアクティブ領域を使用する能力は、電気エネルギと機械エネルギとの変換を行う際の電気活性ポリマの柔軟性を高めること、そして、生体によって動力を供給される本発明による機器などの多数の新しい用途でポリマを使用することを、それぞれ独立に可能にする。
【0026】
理解を容易にするため、一方向のエネルギ変換に着目して本発明を説明することにする。具体的に言うと、本発明では、機械エネルギを電気エネルギに変換すること、すなわちジェネレータ中のトランスデューサが作動している場合を中心に扱う。機械エネルギは、人の二足歩行などの生体エネルギ源から収集して良い。しかしながら、本発明の図面および説明において取り上げられるポリマおよび機器が、電気エネルギと機械エネルギとの間の変換を双方向に行い得ること、そして、トランスデューサがアクチュエータとして作動しても良いことに、注意する必要がある。したがって、ここで説明するあらゆるポリマ材料、ポリマ構成、トランスデューサ、機器は、電気エネルギから機械エネルギへの変換を行うトランスデューサ(アクチュエータ)でもある。同様に、ここで取り上げるあらゆる代表的な電極は、本発明によるジェネレータとともに使用しても良い。ジェネレータは、一般に、そのポリマの一部の変形に応じて電場の変化を生じるように構成されたポリマを備える。電場が変化し、それにともなって電場の方向に沿ってポリマの寸法が変化すると、電圧が変化され、それとともに電気エネルギも変化される。
【0027】
したがって、本発明によるポリマおよびトランスデューサは、電気エネルギから機械エネルギへの変換を行うアクチュエータとして、または機械エネルギから電気エネルギへの変換を行うジェネレータとして使用して良い。ほぼ一定の厚さを有したトランスデューサに関し、トランスデューサの性能が、または1つのアクティブ領域と連携したトランスデューサの一部の性能が、アクチュエータであるかあるいはジェネレータであるかを区別するメカニズムとしては、1つには、トランスデューサの厚さに直交した純面積が、ポリマの変形に関連してどのように変化するかにある。これらのトランスデューサまたはアクティブ領域において、変形がトランスデューサ/アクティブ領域の純面積を減少させ、電極上に電荷が存在するときは、このトランスデューサ/アクティブ領域は、機械エネルギを電気エネルギに変換するジェネレータとして作用する。反対に、変形がトランスデューサ/アクティブ領域の純面積を増大させ、電極上に電荷が存在するときは、このトランスデューサ/アクティブ領域は、電気エネルギを機械エネルギに変換するアクチュエータとして作用する。いずれの場合も、面積の変化は膜の厚さの逆変化に対応している。すなわち、二次元の面積が膨張すると厚さは収縮し、二次元の面積が収縮すると厚さは膨張する。電気から機械へと変換されるエネルギの量は、面積の変化および厚さの変化の両方によって決定される。面積の変化とそれに対応した厚さの変化とによる作用は相補的であるので、簡単のため、ここでは面積の変化のみを取り上げることにする。また、機械エネルギを生成するアクチュエータとしてポリマを使用するときは、電気活性ポリマの変形を、主としてポリマの面積の純増加として扱って議論するが、純面積は、場合によっては(すなわちローディングに依存する)減少して機械的作用を生じることもあることに、注意が必要である。したがって、本発明による機器は、ポリマをどのように構成して適用するかによって、アクチュエータモードおよびジェネレータモードの両方を含んで良い。
【0028】
2.電気活性ポリマを利用した、生体によって動力を供給されるジェネレータの一般構造
図1は、生体によって生成される機械エネルギ501を収集するための、生体によって動力を供給されるジェネレータ機器500を示したブロック図である。生体によって生成される機械エネルギ501は、1つまたはそれ以上の伝達継手機構505(図3を参照のこと)を通して何らかの方法でジェネレータ500に入力される。機械的作用501は、電気活性ポリマ(図4A〜5Oを参照のこと)を利用し調整用エレクトロニクス515(図6A〜6Eを参照のこと)と連動する1つまたはそれ以上のトランスデューサによって、電気エネルギに変換される。調整用エレクトロニクス505は、収集された電気エネルギ516を、電気エネルギ出力に移して良い。
【0029】
生体によって生成される機械的作用501は、一般に、生きている生体システムから生成される未使用の機械エネルギである。例えば、本発明によるジェネレータを履物の踵の中に設け、二足歩行中に踵が接地することによって生成される機械エネルギの一部を電気エネルギに変換して良い(図7A〜7Bを参照のこと)。もう1つの実施例としては、本発明によるジェネレータを、猫や犬などの動物の首輪に装着しても良い。犬または猫が歩いて上下動するなどの動物の運動によって生成される慣性力を、その動物の首輪に装着された本発明によるジェネレータによって収集し、電気エネルギ516を生成して良い(図8)。具体的な一実施形態では、電気エネルギを、やはり動物の首輪に装着されたロケータ機器に電力を供給するために使用して良い。生体によって生成される機械エネルギ501は、一般に、本発明によるジェネレータに何らかの形で結合された任意の動物から収集して良い。
【0030】
生体システムは、その環境と相互作用する場合が多く、このときは、環境によって生成されるエネルギを、生体によって生成される機械エネルギ501に追加して良い。環境によって生成されるエネルギは、生体によって生成される機械エネルギとは別に収集しても良いし、生体によって生成される機械エネルギと一緒に収集しても良い。例として、本発明によるジェネレータ500によって作動する携帯電話を、人が携帯している場合を考える。ジェネレータ500は、人が歩くことによって生成される慣性力からエネルギを収集するとともに、その環境において遭遇する他の慣性力からもエネルギを収集するように設計して良い(図2Aを参照のこと)。例えば、携帯電話のジェネレータ500を、移動中の人に加わる自動車の振動から得られる慣性力または人が背負っているバックバックの動きから得られる慣性力をもとにしてエネルギを収集するように設計して良い。自動車の振動から得られるエネルギは、ジェネレータ500が人に携帯されている状態で収集しても良いし、ジェネレータ500が人とは離れているが人とともに自動車で移動している状態で収集しても良い。別の例として、人がボートで移動しているときに波から得られる慣性力をもとにしてエネルギを収集するように、ジェネレータ500を設計して良い。人がボートの上で歩き回っている場合は、波による慣性力と人の歩行による慣性力との組み合わせが、ジェネレータによって収集される。さらに別の例として、ジェネレータ500を携帯している人に当たる風からエネルギを収集するように、ジェネレータ500を設計して良い。
【0031】
1つのジェネレータ500は、複数の生体エネルギ源および環境エネルギ源を収集するように設計された、複数の伝達機構505および複数のトランスデューサ510を含んでいて良い。例えば、人が携帯する携帯用ジェネレータ500は、それぞれが特定の伝達機構に結合された2つのトランスデューサを含んでいて良く、各トランスデューサは、歩行中に生成される慣性力や自動車による移動中に生成される慣性力など、人がジェネレータを携帯している際に遭遇しえる特定範囲内の慣性力を収集するように設計される。
【0032】
本発明による一実施形態では、トランスデューサ510またはジェネレータ内の他のコンポーネントの機能特性を、ジェネレータの中に設けられたセンサによって検知される様々なパラメータにしたがって調整して良い。例えば、踵接地ジェネレータを装着された履物を履いている人が歩く速度にしたがって、ジェネレータに対するエネルギの入力頻度を変化させて良い。踵接地ジェネレータ500は、人が移動する頻度を検知し、所定の入力頻度でもってより効率的にエネルギ収集できるように、動作サイクルなど1つまたはそれ以上のトランスデューサ510の機能特性を調整して良い。本発明によるトランスデューサの動作サイクルに関しては、図2Bを参照にしながら説明する。これらの動作を実施するため、ジェネレータ500は、ジェネレータ500の動作を制御するように設計または構成されたマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサなどの論理素子を含んでいて良い。
【0033】
図2Aは、二足歩行中の人400によって生成される複数の直接力および慣性力を示したブロック図である。猫や犬などの他の動物に関しても、類似の力を示した図を作成できる。さらに、図示されてはいないが、本発明によるジェネレータは、風や水などの環境エネルギ源から得られる他の力を使用しても良い。これらの直接力および慣性力を、本発明による生体作動式のジェネレータによって収集し、電気エネルギを生成して良い。これらの力の大きさは、人または他の任意の適切な基準系の重心405にしたがって測定して良い。本発明によるジェネレータによって収集される直接力の例として、人の足または履物が地面422に接したときに生成される力416および418や、人の胸が膨張または収縮したときに生成される力404が挙げられる。直接力の他の例としては、手の収縮、手の衝撃、指の衝撃などが挙げられる。指の衝撃は、例えば、人がキーボード上の1つまたはそれ以上のキーを打つ結果として得られる。その他の直接力は、相対運動している身体の複数部分に継手機構を固定することによって生成して良い。例えば、上腕と前腕との間に取り付けられたウェッビング408、太腿と脹脛との間に取り付けられたウェッビング412、または脛と足との間に取り付けられたウェッビング420を、伸張させたり収縮させたりすることによって直接力を生成し、生体作動式のジェネレータに入力して良い。そして、上述した任意の力の一部を、何らかの伝達機構によって(図3を参照のこと)ジェネレータ内のトランスデューサに移して良い。
【0034】
腕の振り406、頭の上下動402、足の振り414、足の上下動410などは、本発明によるジェネレータによって収集できる慣性力のほんの数例である。慣性力を使用して、ジェネレータの中に設けられた慣性質量を運動させて良い(図3を参照のこと)。そして、本発明による1つまたはそれ以上のトランスデューサによって、ジェネレータ内の慣性質量の運動を電気エネルギに変換して良い。
【0035】
また、本発明によるジェネレータによって収集された電気エネルギを生成するために、人400によって携帯されている物体の動きを使用しても良い。例として、人400が、歩行とともに上下動するバックパックを背負っている場合を考える。この場合は、バックバックの上下動の一部を電気エネルギに変換するように、ジェネレータを設計して良い。また、環境エネルギ源からエネルギを収集しても良い。例として、人400が、風によって動くウィンド機器を携帯している場合を考える。この場合は、ウィンド機器の動きから生成されるエネルギの一部を電気エネルギに変換するように、本発明によるジェネレータを設計して良い。
【0036】
上述した動きは、低サイクル頻度の大きな動きである場合が多い。本発明によるポリマトランスデューサ機器の利点は、1つには、人の動きによくある低サイクル頻度の大きな動きによって生成されるエネルギを効率的に収集できるように、トランスデューサを調整できることにある。さらに、人の動きは、かなり広い範囲で頻度を変動させる可能性がある。したがって、広い頻度範囲に渡って人の動きから効率的にエネルギを収集できるように、ポリマトランスデューサを設計して良い。圧電セラミックなど、機械エネルギの変換に使用されてきた他の材料は、高頻度の短い動きに対しては優れた作用を示すが、広範囲のエネルギ入力頻度に渡って効率的に作用するように調整することは容易でない。
【0037】
図2Bは、電気活性ポリマ機器を利用したジェネレータからエネルギを収集するサイクルを、本発明の一実施形態にしたがって示した図である。本発明では、何らかの電気活性ポリマ膜を含んだジェネレータを使用して電気を生成するために、例えば生体エネルギ源、環境エネルギ源、またはこれらを組み合わせたエネルギ源を収集する。一般に、エネルギ源は、EAPポリマ膜を何らかの形で変形させるまたは伸張させるために使用される(図4A〜5Qを参照のこと)。長い期間に渡って電気エネルギを生成するためには、ポリマ膜の伸張および弛緩を多数回のサイクルに渡って繰り返せば良い。例えば人が歩くことによって収集されるエネルギなど、本発明によるジェネレータによって収集されるほとんどの生体エネルギ源は時間とともに変化するので、サイクルも一般に時間とともに変化する。
【0038】
図2Bには、ポリマ膜が伸張して弛緩し、機械エネルギを電気エネルギに変換する1回のサイクルを示した。このサイクルは、例示のみを目的としたものである。本発明によるジェネレータでは、様々なタイプのサイクルを利用して良く、図2Bに示したサイクルに限定されない。1では、0の電場圧力をポリマに加え、EAPポリマ膜を伸張させる。この伸張は、機械的力を膜に加えることによって生じて良い。この機械的力は、外部エネルギ源から生成されてジェネレータに入力される。外部エネルギ源は、例えば人の足の踵を接地させることによって供給して良い。2では、ポリマ膜に加えられる電場圧力を何らかの最大値まで増大させる。この機能を実施するのに必要な調整用エレクトロニクスに関しては、図6A〜6Eを参照にして説明する。この例では、電場圧力の最大値はポリマの破壊強度より僅かに小さく、ポリマの破壊強度を変化させ得るポリマの環境および寿命を変化させることが可能である。3では、電場圧力を最大値の付近に維持しつつポリマを弛緩させる。弛緩のプロセスは、接地した足を持ち上げる動作に対応して良い。ポリマが弛緩すると、それにともなってポリマ膜上の電荷の圧力が増大する。電圧の増大によって示される、ポリマ膜上の電荷の電気エネルギの増加は、電気エネルギを生成するために収集される。4では、電場圧力を0まで減少させるとともにポリマ膜が完全に弛緩する。そして、サイクルが繰り返される。サイクルは、例えば、歩いている人が次の足を踏み出したときに再度スタートして良い。
【0039】
図2Bを参照にして説明したサイクルのEAP膜を使用したトランスデューサは、サイクルの特定時点においてEAP膜に電気エネルギを加えられ、やはりサイクルの他の特定時点においてEAP膜から電気エネルギを除去されて良い。一般に、EAP膜トランスデューサを利用した本発明によるジェネレータは、何らかのタイプのサイクル中にEAP膜に加えられる電気エネルギの総量が、同サイクル中にEAP膜から除去される電気エネルギの総量よりも小さいように、設計される。また、調整用エレクトロニクスなどのジェネレータコンポーネントは、電気損を最小限に抑え、ジェネレータから出力される電気エネルギの純量を正にするように、設計される。
【0040】
図3A〜3Cは、本発明で使用される伝達継手機構の実施形態を側面から示した図である。本発明によるジェネレータは、電気活性ポリマ膜を利用したトランスデューサに、外部エネルギ源の一部を移す、1つまたはそれ以上の伝達機構を含んで良い。上述したように、外部エネルギ源は、生体エネルギ源と環境エネルギ源との組み合わせてあって良い。図3Aは、慣性力の一部を2枚の電気活性ポリマ膜に移す伝達機構470の一例を示している。例えば、伝達機構470が人の手首に装着されているとき、慣性質量473は、人の腕475の振り動作にともなって線475に沿って前後に直線運動する。ハウジング474に取り付けられた電気活性ポリマ471,472は、慣性質量473の前後運動にともなって伸張したり弛緩したりする。そして、図2Bを参照にして説明したように、電気活性ポリマ膜の伸張および弛緩をもとにして電気エネルギが収集される。
【0041】
慣性力の結合は、直線運動に限定されない。例えば、球状のハウジングの中心に、電気活性ポリマ膜からなる複数のひもで慣性質量を吊るしても良い。三次元の慣性力ベクトルに応じて、慣性質量は、電気活性ポリマ膜からなるあちこちのひもを伸張させたり弛緩させたりしながら、球状ハウジングの中心付近を移動して良い。そして、あちこちのひもが伸縮したり弛緩したりするのにともなって、各ひもから電気エネルギを収集すれば良い。
【0042】
図3Bは、直接力485の一部を2枚の電気活性ポリマ膜481,482に移す伝達機構480の一例を示している。直接力485の一部は、支持部材483によってハウジング484に取り付けられた電気活性ポリマ膜に移される。直接力485は増大したり減少したりして良く、それによって、電気活性ポリマ膜481,482が伸張したり弛緩したりする。この実施形態では、ポリマ膜481および482の動きが、直接力を加えられる支持部材483の動きに1:1で対応している。つまり、直接力485を加えられる支持部材483の地点が1ミリ変位するごとに、ポリマ481,482も1ミリ変位する。直接力の使用は、電磁石や圧電セラミックなどの代替技術を使用した他の多くの機器とは対照的である。これらの技術では、ジェネレータの性能を高めるために複雑な伝達機構を必要とする。図2Bを参照にして説明したように、電気活性ポリマ膜の伸張および弛緩は、電気エネルギを収集するために使用して良い。
【0043】
直接力485は、複数の外部エネルギ源をもとにして得て良い。例として、足の接地によって得られる直接力485を伝達機構480に入力し、支持部材483をハウジング484の底部に向けて押して良い。別の例として、図3Bで示したのと反対方向に直接力485を加えると電気活性ポリマ膜481,482が伸張するように、これらの電気活性ポリマ膜を固定して良い。例えば、人の腕振りにともなって、支持部材483に取り付けられた弾性のストラップと人の腕とによって支持部材483を引っ張り、これによって、ポリマ膜481,482を伸張させたり弛緩させたりして良い。
【0044】
本発明は、直接力から直線運動を生じる場合に限定されない。多次元の直接力を、電気活性ポリマ膜の多次元変形または直線変形に変換して良い。さらに、本発明は、伝達機構480内での支持部材483と電気活性ポリマ膜構成との機械的連結に限定されない。様々な方向性および様々な取り付けスキームを使用した複数のトランスデューサを有した電気活性ポリマ膜構成に、様々な機械的連結を使用した伝達機構を接続して良い。
【0045】
図3Cは、ハウジング494の中に設けられた伝達機構480を示した側面図である。伝達機構480は、機械−流体継手機構を使用し、直接力495の一部をモノリシックポリマ膜492(図4Cおよび4Dを参照のこと)に移して良い。直接力495を受けた支持部材493は、力495の方向に移動して流体491に力を及ぼす。流体491は、水などの実質的に非圧縮性の流体であって良いが、これに限定されず、例えばソフトゲルであっても良い。力は、モノリシック電気活性ポリマ膜に移され、膜492の複数の部分を変形させる。力495が減少するまたは除去されると、膜492の複数の部分は弛緩する。力495を繰り返し加えることによって、膜492の複数の部分が周期的に伸張および弛緩され、膜492を繰り返す変形させることによって得られる周期的な機械エネルギの一部が電気エネルギに変換される。機械−流体継手機構は、直接力、慣性力、またはこれらの組み合わせを本発明による電気活性ポリマトランスデューサに移す目的で適用して良い。図8では、本発明によるEAPトランスデューサに慣性力を移すために機械−流体継手機構を利用したジェネレータ機器に関して説明している。
【0046】
伝達機構は、図3A〜3Cを参照にして説明した例に限定されない。本発明では、電気エネルギの収集を目的として、直接力の一部または慣性力の一部をEAPトランスデューサに移す、任意の機器を使用して良い。このような伝達機構は、剛性材料、弾性材料、または剛性材料と弾性材料との組み合わせなどの様々な材料を利用した、単純なおよび複雑な機械的連結を含んで良い。また、様々な機械的連結とともに様々な複数の流体連結を使用しても良い。例えば、機械エネルギを移す目的で、流体で満たされたブラダを様々な機械的連結と組み合わせて使用して良い。
【0047】
3.電気活性ポリマの一般構造
本発明による機器で行われる電気エネルギと機械エネルギとの変換は、電気活性ポリマ(EAP)の1つまたはそれ以上のアクティブ領域のエネルギ変換に基づく。電気活性ポリマは、電気エネルギによって作動されると変形を生じる。電気エネルギを機械エネルギに変換する際の電気活性ポリマの性能を示すため、本発明の一実施形態にしたがって、トランスデューサ部分100の上面図を図4Aに示した。トランスデューサ100は、電気エネルギと機械エネルギとの間で変換を行うポリマ102を備える。一実施形態において、電気活性ポリマは、2つの電極間の絶縁誘電体として作用し且つ2つの電極間に電圧差を加えると変形するようなポリマを指す。電気活性ポリマ102の上面および下面には、トップ電極104およびボトム電極106がそれぞれ取り付けられており、ポリマ102の一部に電圧差を提供する。ポリマ102は、トップ電極104およびボトム電極106によって提供される電場の変化によって変形する。電極104,106による電場の変化に応じてトランスデューサ100が変形することを、作動と称する。ポリマ102のサイズ変化にともない、この変形を、機械的作用の生成に使用して良い。
【0048】
図4Bは、電場の変化に応じて変形するトランスデューサ100の上面図である。一般に、変形とは、あらゆる変位、膨張、収縮、捩れ、線もしくは面ひずみ、またはポリマ102の一部で生じる他のあらゆる変形を指す。電極104,106に加えられた電圧差または電極104,106によって生じた電圧差に対応する電場の変化によって、ポリマ102の中に機械的圧力が生じる。この場合は、電極104,106よって生成される相対する電荷が引き合い、電極104,106間では圧縮力を、そしてポリマ102上では二次元方向108,110への膨張力をそれぞれ生じるので、ポリマ102は、電極104,106間では圧縮され、二次元方向108,110では伸張される。
【0049】
電極104,106は、ポリマ102の全面積ではなく一部のみを覆っている場合もある。これは、ポリマ102の周囲で電気的破壊が生じるのを防ぐこと、またはポリマの1つまたはそれ以上の部分のみを選択して変形させることを目的とする。ここでは、アクティブ領域を、ポリマ材料102と少なくとも2つの電極とを備えたトランスデューサの一部として規定する。電気エネルギから機械エネルギへの変換に使用されるとき、アクティブ領域はポリマ102の一部を含み、この一部は自身を変形させるのに十分な静電力を有する。機械エネルギから電気エネルギへの変換に使用されるとき、アクティブ領域はポリマの一部を含み、この一部は静電エネルギを変化させるのに十分な変形を有する。以下で説明するように、本発明によるポリマは、複数のアクティブ領域を有して良い。アクティブ領域の外に位置するポリマ102材料は、場合によっては、変形時にアクティブ領域に対して働くスプリング外力として作用して良い。具体的に言うと、アクティブ領域の外のポリマ材料は、その収縮または膨張によってアクティブ領域の変形に抵抗して良い。電圧差が排除され電荷が誘導されると、逆の作用が生じる。
【0050】
電極104,106は適合性があり、ポリマ102とともに形状を変化させる。ポリマ102および電極104,106は、変形に対するポリマ102の反応を増大させるように構成される。具体的に言うと、トランスデューサ100の変形によってポリマ102が圧縮されると、電極104,106の相対する電荷が近づき、トランスデューサ100の変形によってポリマ102が伸張されると、各電極の同一の電荷が引き離される。一実施形態では、電極104,106の一方が接地されている。
【0051】
一般に、トランスデューサ100は、変形をもたらす静電力が機械的力によって相殺されるまで変形を続ける。機械的力としては、ポリマ102材料の弾性復元力や、電極104,106の適合性や、トランスデューサ部分100に結合された機器および/または負荷によって提供される外部抵抗などが挙げられる。また、電圧を印加することによって生じるトランスデューサ部分100の変形は、ポリマ102の誘電率やポリマ102の大きさなど他の複数の要因に依存して良い。
【0052】
本発明にしたがった電気活性ポリマは、あらゆる方向に変形することができる。電極104,106間に電圧を印加すると、ポリマ102は、二次元方向108,110の両方向に膨張する(伸張する)。ポリマ102は、非圧縮性である場合があり、例えば、応力下での体積が実質的に一定である場合がある。ポリマ102が非圧縮性である場合は、二次元方向108,110への膨張の結果として厚さが減少する。ただし、本発明は非圧縮性のポリマに限定されないし、ポリマ102の変形はこのような単純な関係にしたがうものでもない。
【0053】
図4Aのトランスデューサ部分100の電極104,106に大きめの電圧差を加えると、トランスデューサ部分100は、図4Bに示すように面積の大きい薄い状態に変化する。トランスデューサ部分100は、このようにして電気エネルギを機械エネルギに変換する。トランスデューサ部分100は、機械エネルギを電気エネルギに変換するのに使用しても良い。
【0054】
図4Aおよび図4Bは、トランスデューサ部分100によって機械エネルギを電気エネルギに変換する方法の1つを示すために使用しても良い。例えば、トランスデューサ部分100が外力によって機械的に伸張され、図4Bに示すような大面積の薄い形状に変化したとき、電極104,106間に小さめの電圧差(膜を作動させて図4Bの構成にするために必要な大きさよりも小さい)を加えると、トランスデューサ部分100は、外力を取り除かれたときに、電極間の領域で収縮して図4Aのような形状になる。トランスデューサの伸張とは、一般に、トランスデューサをもとの静止位置から変形させ、例えば方向108,110によって規定される電極間平面の純面積が大きいような形状に変化させることを指す。静止位置とは、外からの電気的または機械的な入力が何もない状態でのトランスデューサ100の位置を指し、ポリマ内の任意のプリストレインを含んでいて良い。トランスデューサ部分100が伸張されたら、加える電圧差を小さめにし、静電力の大きさが伸長による弾性復元力を相殺するのに不十分になるようにする。したがって、トランスデューサ部分100は収縮し、方向108,110(電極間の厚さに直交する)によって定義された二次元面積が減少する分厚い形状へと変化する。ポリマ102が厚くなると、電極104,106およびそれらに対応する相対する電荷どうしが引き離されるので、電荷の電気エネルギおよび電圧は増大する。さらに、電極104,106が収縮して小面積になると、各電極において同一の電荷どうしが圧縮されるので、電荷の電気エネルギおよび電圧はやはり増大する。したがって、電極104,106が、それぞれ相対する電荷を有した状態で、図4Bに示す形状から図4Aに示す形状に収縮すると、電荷の電気エネルギは増大する。すなわち、機械的変形が電気エネルギに変換されるので、トランスデューサ部分100はジェネレータとして機能する。
【0055】
トランスデューサ100は、可変コンデンサとして電気的に記述される場合もある。静電容量は、図4Bから図4Aへの形状変化にともなって減少する。一般に、電極104,106間の電圧差は収縮によって増大する。これは、収縮プロセスの最中に、電極104,106に対して電荷の追加または除去が行われなかった場合の話しである。電気エネルギUの増加は、式:U=0.5Q2/Cによって表して良い。ここで、Qは陽極上の正電荷の量であり、Cはポリマ102に固有な誘電特性とその形状寸法とに関連した可変容量である。電気エネルギUは、Qを固定した状態でCを減少させると増大する。電気エネルギおよび電圧の増加は、電極104,106と電気通信を行う適切な機器または電子回路において回復させて使用することができる。また、ポリマを変形させて機械エネルギを提供する機械的入力に、トランスデューサ部分100を機械的に結合しても良い。
【0056】
トランスデューサ100は、収縮時には、機械エネルギから電気エネルギへの変換を行う。トランスデューサ部分100が、方向108,110によって規定された平面で完全に収縮したときは、電荷およびエネルギの一部または全部を除去することができる。あるいは、収縮の最中に、電荷およびエネルギの一部または全部を除去することができる。収縮中にポリマの電場圧力が増大し、機械的な弾性復元力および外的負荷と相殺し合うレベルに達すると、収縮は途中で停止するので、弾性機械エネルギから電気エネルギへの変換も停止する。電荷および蓄えられた電気エネルギの一部を除去すれば、電場電圧が減少するので、収縮を続けさせることが可能である。したがって、電荷の一部を除去することによって、機械エネルギから電気エネルギへの変換をさらに行って良い。ジェネレータとして動作するトランスデューサ部分100の電気的作用は、厳密には、ポリマ102および電極104,106に固有な特性はもちろん、あらゆる電気的負荷および機械的負荷にも依存する。
【0057】
一実施形態では、電気活性ポリマ102はプリストレインされている。ポリマのプリストレインは、プリストレイン前後の寸法が1つまたはそれ以上の方向で変化することとして理解して良い。プリストレインは、ポリマ102を弾性変形させることを備えて良く、例えば、1つまたはそれ以上のエッジを固定した状態でポリマを伸張させることによって形成して良い。ポリマの多くは、プリストレインによって電気エネルギと機械エネルギとの変換を改善される。機械的な応答が改善されると、例えば変形および作動圧力の増大など、より大きな機械的作用を電気活性パリマにもたらすことが可能になる。一実施形態では、プリストレインによってポリマの絶縁耐力を改善する。別の一実施形態では、プリストレインは弾性的である。弾性的にプリストレインされたポリマは、原則的に、作動後に緩められてもとの状態に戻ることができる。プリストレインは、剛性フレームを使用してポリマの境界に課しても良いし、ポリマの一部に局所的に課しても良い。
【0058】
一実施形態では、ポリマ102の一部に均一にプリストレインを加え、等方性のプリストレインドポリマを形成する。例えば、アクリルのエラストマポリマを、二次元の両方向に200〜400%だけ伸張させて良い。別の一実施形態では、ポリマ102の一部に対して複数の異なる方向に不均一にプリストレインを加え、異方性のプリストレインドポリマを形成する。この場合のポリマ102は、作動時に、ある一方向にだけ別の一方向よりも大きく変形し得る。理論に縛られることは本望ではないが、ポリマを一方向にプリストレインすると、その方向におけるポリマの剛性が増すと考えられる。すると、ポリマは、より大きくプリストレインされた方向には剛性が大きく、より小さくプリストレインされた方向には適合性が大きくなるので、作動時における変形の大半が、より小さくプリストレインされた方向に生じる。一実施形態では、垂直方向110に大きなプリストレインを加えることによって、方向108へのトランスデューサ部分100の変形を促進することができる。例えば、トランスデューサ部分100として使用されるアクリルのエラストマポリマを、方向108には100%伸張させ、そして垂直方向110には500%伸張させて良い。ポリマに加えられるプリストレインの量は、ポリマの材料と、用途において所望されるそのポリマの性能とに基づいて良い。本発明で使用するのに適したプリストレインに関しては、共同所有された同時係属の米国特許出願第09/619,848号にさらに記載されており、本文献を引用によって本明細書に組み込むものとする。
【0059】
また、異方性のプリストレインは、機械エネルギを電気エネルギに変換するジェネレータモードでのトランスデューサの性能をも向上させ得る。大きなプリストレインを加えると、ポリマの絶縁破壊強度を増大させ、より多量の電荷をポリマ上に配置できるだけでなく、小さくプリストレインされる方向への機械−電気結合をも向上させ得る。つまり、小さくプリストレインされた方向への機械的入力のうち、よりたくさんの入力を電気的出力に変換し、ジェネレータの効率を向上させることができる。
【0060】
ポリマに対して加えられるプリストレインの量は、電気活性ポリマと、アクチュエータまたは用途において所望されるそのポリマの性能とに基づいて良い。本発明によるポリマのいくつかでは、1つまたはそれ以上の方向へのプリストレインは−100%〜600%の範囲であって良い。例えば、異方性のプリストレインを有したVHBアクリルエラストマに関しては、各方向に少なくとも約100%、好ましくは約200〜400%のプリストレインを使用して良い。一実施形態では、もとの面積の約1.5倍〜50倍にする係数によって、ポリマをプリストレインする。適合性の方向への作動を促進する目的でプリストレインされた異方性のアクリルに対しては、剛性強化された方向へは約400〜500%のプリストレインを、そして適合性の方向へは約20〜200%のプリストレインを、それぞれ使用して良い。場合によっては、ある一方向へのプリストレインによって別の一方向に負のプリストレインが生じるように、プリストレインを加えても良い。例えば、ある一方向に600%のプリストレインを加え、直交する方向に−100%のプリストレインを生じても良い。このとき、プリストレインによる純面積の変化は一般に正である。
【0061】
プリストレインは、ポリマ102の他の性質にも影響を及ぼし得る。ポリマを大きくプリストレインさせると、ポリマの弾性が変化し、粘弾性のロスが小さく剛性が大きい体制になる可能性がある。また、いくつかのポリマでは、プリストレインによって電気破壊強度が増大するので、ポリマ内で使用される電場が増大し、作動圧力および変形を増大させることが可能になる。
【0062】
線ひずみや面ひずみを使用して、プリストレインドポリマの変形を表しても良い。ここで、プリストレインドポリマの線ひずみとは、非作動状態と比べた場合の1単位長さ(変形の線に沿った)あたりの変形を指す。本発明によるプリストレインドポリマでは、線ひずみ(引張りまたは圧縮)の最大値は、一般に少なくとも約50%である。一実施形態では、面ひずみの最大値は少なくとも約5%である。ポリマの変形は、もちろん上記の最大値より小さくても良く、印加電圧を調整することによって調整して良い。いくつかのプリストレインドポリマでは、線ひずみの最大値は一般に少なくとも約100%である。米国ミネソタ州セントポール所在の3Mコーポレーションによって製造されたVHB4910のようなポリマでは、線ひずみの最大値は一般に40〜215%の範囲である。電気活性ポリマの面ひずみとは、非動作状態から作動状態に移行する際に、ポリマが平面の単位面積あたりで変化した量を指す。この平面は、例えば、図1Aおよび図1Bにおいて方向108,110によって規定された平面である。本発明によるプリストレインドポリマでは、面ひずみの最大値として少なくとも約100%が可能である。いくつかのプリストレインドポリマでは、面ひずみの最大値は一般に70〜330%の範囲である。一実施形態では、弾性面ひずみの最大値は少なくとも約10%である。
【0063】
プリストレインされたポリマは、一般に、1つまたはそれ以上の物体に固定して良い。各物体は、ポリマのプリストレインを所望レベルに維持できるように、適切な剛性を有していて良い。ポリマは、化学的接着、接着層または材料、機械的な取り付けなどの、当該分野において既知の任意の方法にしたがって、1つまたはそれ以上の物体に固定して良い。
【0064】
本発明によるトランスデューサおよびプリストレインドポリマは、どんな特定の形状寸法または線変形にも限定されない。例えば、ポリマおよび電極を、チューブ状やロール状、複数の剛性構造間に取り付けられた伸張されたポリマ、任意の形状寸法(カーブ状または複雑なものを含む)を有したフレームまたは1つもしくはそれ以上のジョイントを有したフレームに取り付けられた伸張されたポリマなどを含む、任意の形状寸法または形状になるように形成して良い。本発明にしたがったトランスデューサの変形は、1つまたはそれ以上の方向への線膨張および圧縮、曲げ、ポリマを巻く際の軸方向変形、ならびに基板に設けられた穴に向けた変形などを含む。トランスデューサの変形は、ポリマに取り付けられたフレームまたは剛性構造が、ポリマをどのように制約するかによって影響される可能性がある。一実施形態では、ポリマより伸び率の小さい可撓性材料をトランスデューサの一側面に取り付けることによって、ポリマの作動時に曲げを導入する。別の一実施形態では、平面からそれて変形するトランスデューサをダイヤフラムと称する。
【0065】
プリストレインされたポリマは、一般に、1つまたはそれ以上の物体に固定して良い。各物体は、ポリマのプリストレインを所望レベルに維持できるように、適切な剛性を有していることが好ましい。ポリマは、化学的接着、接着層または材料、機械的な取り付けなどの、当該分野において既知の任意の方法にしたがって、1つまたはそれ以上の物体に固定して良い。本発明によるトランスデューサおよびプリストレインドポリマは、どんな特定の形状寸法またはどんな特定の線変形にも限定されない。例えば、ポリマおよび電極を、チューブ状やロール状、複数の剛性構造間に取り付けられた伸張されたポリマ、任意の形状寸法(カーブ状または複雑な形状寸法を含む)を有したフレームまたは1つもしくはそれ以上のジョイントを有したフレームに取り付けられた伸張されたポリマなどを含む、任意の形状寸法または形状になるように形成して良い。本発明にしたがったトランスデューサの変形は、1つまたはそれ以上の方向への線膨張および圧縮、曲げ、ポリマを巻く際の軸方向変形、ならびに基板に設けられた穴に向けた変形などを含む。トランスデューサの変形は、ポリマに取り付けられたフレームまたは剛性構造が、ポリマをどのように制約するかによって影響される可能性がある。一実施形態では、ポリマより伸び率の小さい可撓性材料をトランスデューサの一側面に取り付けることによって、ポリマの作動時に曲げを導入する。
【0066】
本発明によるトランスデューサで使用するのに適したポリマは、一般に、静電力に応じて変形する、またはその変形の結果として電場が変化する、実質的に絶縁であるポリマまたはゴム(またはこれらの組み合わせ)を含む。ポリマの変形は、幅広い範囲のひずみに対して可逆的であることが好ましい。エラストマポリマの多くは、これを目的として良い。適切なポリマを設計または選択する際には、最適な材料と、最適な物理的および化学的な特性とを考慮する必要がある。このような特性は、モノマ(あらゆる側鎖を含む)、添加物、橋かけ度、結晶度、分子量などを適切に選択することによって調整することができる。
【0067】
本発明によるトランスデューサポリマは、様々な物理的状態および化学的状態を想定していて良い。例えば、可塑剤などの添加物を加えても加えなくても良い。また、モノリシックポリマシートであったり、あるいはラミネートやパッチワークなどのポリマの組み合わせであったりしても良い。さらに、単相または複相の中にポリマが存在していても良い。複相材料の一例として、無機充填微粒子を混入されたポリママトリックスが挙げられる。
【0068】
トランスデューサポリマは、最終的な化学的および物理的状態が如何にかかわらず、ポリママトリックスを含む。マトリックスは、ホモポリマまたはコポリマ、橋かけされているまたは橋かけされていない、線状または枝分れなどである。さらに、本発明によるトランスデューサとともに使用するのに適した代表的なポリマとして、シリコンエラストマ、アクリルエラストマ、ポリウレタン、熱可塑性エラストマ、PVDFを含んだコポリマ、圧感接着剤、フルオロエラストマ、シリコン成分およびアクリル成分を備えるポリマなどが挙げられる。これらの材料をいくつか組み合わせ、本発明によるトランスデューサに含まれるポリママトリックスとして使用して良いことは、明らかである。コポリマおよびブレンドも、適切なポリマの分類に含まれる。一例として、シリコンエラストマとアクリルエラストマとのブレンドが挙げられる。
【0069】
ポリマの特性は、明らかに、ポリマの生成に使用されるモノマによって大方を決定される。各タイプ(例えばアクリル、スチレン、シリコン、ウレタンなど)のポリマは、それぞれが周知のタイプのモノマを有する。いくつかの実施形態では、単独重合することによってポリマを形成することができる不飽和のモノエチレン系モノマ(またはモノマの組み合わせ)をもとにして、本発明で使用するのに適したポリマを形成して良い。好ましい不飽和モノエチレン系モノマとしては、イソオクチルアクリラート、アクリロニトリル、2−エチルヘキシルアクリラート、デシルアクリラート、ドデシルアクリラート、ヘキシルアクリラート、イソノニルアクリラート、イソオクチルメタクリラート、2−エチルヘキシルメタクリラートなどが挙げられる。また、これらのいずれのモノマも、フッ素などの1つまたはそれ以上のハロゲンによってハロゲン化して良い。
【0070】
ポリマの製造に利用して良い触媒の種類は、最終的に望ましいポリマの状態に依存する。例として、ポリマ構造に依存して選択される早期遷移金属のシングルサイト触媒や、ポリマ構造に依存しない後期遷移金属の触媒が挙げられる。
【0071】
コポリマも考慮すると、可能なポリマの範囲が大幅に広がる。本発明によるいくつかの実施形態に適した、広く一般に使用されているコポリマの1つは、熱可塑性エラストマのスチレンブタジエンスチレン(SBS)ブロックコポリマである。別の適切なコポリマとしては、シリコンエラストマ成分およびアクリルエラストマ成分の両方を含んだものが挙げられる。さらに別の例としては、アクリル成分、シリコン成分、スチレン/ブタジエン成分を含んだものが挙げられる。好ましい特定のコポリマブロックの1つは、アクリル酸とイソオクチルアクリラートとを含有する。別の特定のコポリマは、アクリロニトリルと、アクリル酸と、イソオクチルアクリラートとを備える。さらに別の特定のコポリマは、別のシリコン鎖に橋かけ結合された鎖の中に、これら3種類のアクリル成分を備える。他の可能性も数多く存在する。
【0072】
コポリマ成分の部分のモル比は、所望の結果を得られるように調整することができる。イソオクチルアクリラートとアクリル酸とからなる好ましい1つのコポリマでは、イソオクチルアクリラートが優勢であることが一般に好ましい。具体的な一実施形態では、イソオクチルアクリラート対アクリル酸のモル比はおよそ85/15である。
【0073】
橋かけ結合の使用は、非常に好都合である場合がある。詳しく言うと、橋かけ結合の特性(物理的対化学的)およびその密度を制御することによって、所望の弾性特性および熱的特性を得ることができる。化学的な橋かけ結合は、共有結合によって形成される。これらは、たとえば、水素の引き抜きまたは多官能性モノマの使用によって生成して良い。物理的な橋かけ結合は、スチレンに含まれるフェニル成分などの、剛性の基を凝集させることによって得られる。
【0074】
ポリマの側鎖を適切に選択すれば、ニーズに合った物理特性および材料特性を提供することができる。具体例では、ポリマの基幹の側基を変更することによって、より多量の電荷を塊で蓄積させることを可能にしている。これは、例えば、側鎖をリチウムイオンおよび/または遷移金属の有機配位子錯体で変更することによって達成することができる。これとは別にあるいはこれに加えて、側基を加えてポリマの誘電率を増大させることもできる。このように機能する一例として、シアノ基が挙げられる。このような基は、例えばフェニルニトリル基などの様々な形で提供して良い。別の実施形態では、側鎖または部分鎖に含まれた共役オリゴマを加え、分極率および絶縁耐力を増大させる。
【0075】
本発明にしたがって使用される材料は、市販のポリマである場合が多い。このようなポリマとしては、例えば、市販の任意のシリコンエラストマ、ポリウレタン、PVDFコポリマ、接着性のエラストマが挙げられる。市販の材料を使用することによって、本発明によるトランスデューサおよび関連の機器に対し、コスト有効度の高い代替物を提供することができる。また、市販材料を使用すると、製造の簡略化を図ることも可能である。特定の一実施形態では、市販のポリマとして、製造時に光硬化された脂肪族アクリートの混合物を含む市販のアクリルエラストマを使用する。
【0076】
このような市販のポリマの1つは、米国カリフォルニア州カーペンテリア所在のNuSilテクノロジーによるNuSil CF19−2186である。適切なシリコンエラストマの一例は、米国ディラウェア州ウィルミントン所在のダウコーニング社によるダウコーニング HS3である。適切なフルオロシリコンの一例は、米国ディラウェア州ウィルミントン所在のダウコーニング社によるダウコーニング 730である。適切なアクリルの例としては、米国ミネソタ州セントポール所在の3Mコーポレーションによる4900 VHB アクリルシリーズの任意のアクリルが挙げられる。
【0077】
また、本発明による電気活性ポリマは、様々な物理的特性および化学的特性を改善する目的で、1つまたはそれ以上の添加物を含んでいても良い。適切な材料の例としては、可塑剤、抗酸化剤、そして高誘電率の微粒子などが挙げられる。添加物によって制御/変更することができる特性の例として、ポリマの接着性や、ポリマが有する機械エネルギと電気エネルギとの変換能力などが挙げられる。ポリマが有する機械エネルギと電気エネルギとの変換能力に関連した、ポリマ材料の特性およびパラメータには、例えば、絶縁破壊強度、ひずみの最大値、誘電率、弾性率、粘弾性に関連した特性、クリープに関連した特性、応答時間、そして作動電圧などが含まれる。
【0078】
絶縁破壊強度を改善すれば、ポリマに対し、より大きな電動ひずみを使用することが可能になる。例えば、可塑剤をポリマに添加し、ポリマの絶縁破壊強度を増大させても良い。あるいは、この目的のために特定の合成樹脂を添加しても良い。例えば、スチレンブタジエンスチレンブロックコポリマを添加して、特定のポリマの絶縁破壊強度を向上させて良い。例として、米国テキサス州ヒューストン所在のシェルケミカル社によるKraton D2104の絶縁破壊強度を向上させる目的で、Kraton D2104に、米国ディラウェア州ウィルミントン所在のハーキュール社によるペンタリン−Hを添加した場合が挙げられる。この具体例では、添加するペンタリン−Hの割合は、重量にして約0から2:1の範囲で良い。別のアプローチとして、SF6などの電子捕獲基を添加し、破壊電場を増大させることによって、絶縁破壊強度を増大させても良い。
【0079】
ポリマの誘電率を増大させる添加物には、例えば、ファインセラミックス粉末などの高誘電率の微粒子(例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、二酸化チタンなど)がある。あるいは、ポリウレタンなどのポリマを部分的にフッ素化して誘電率を増大させても良い。さらには、共役ポリマ、グラファイト、カーボンファイバ、カーボンナノチューブなどの高分極性または高弾性率の材料からなる層を、この目的のために添加しても良い。
【0080】
弾性率を減少させることを目的として、ポリマに添加物を含ませて良い。弾性率を減少させると、ポリマを大きくひずませることが可能になる。特定の一実施形態では、Kraton Dの弾性率を減少させる目的で、その溶液にミネラルオイルを添加した。この場合に添加されるミネラルオイルの割合は、重量にして約0から2:1の範囲で良い。本発明によるアクリルポリマの弾性率を減少させるために含められる具体的な材料としては、任意のアクリル酸、アクリル接着剤、イソオクチル基や2−エチルヘキシル基などの可撓性の側基を含んだアクリル酸、そしてアクリル酸とイソオクチルアクリラートとの任意のコポリマなどが挙げられる。
【0081】
上述したように、ポリマには、可塑剤が添加されることが多い。本発明において可塑剤を添加すると、例えば、ポリマの弾性率を減少させることによって、そして/またはポリマの絶縁破壊強度を増大させることによって、本発明によるトランスデューサの機能が向上される。適切な可塑剤の例として、高分子量の炭化水素オイル、高分子量の炭化水素グリース、Pentalyne H、Piccovar(登録商標) AP 炭化水素樹脂、Admex 760、Plastolein 9720、シリコーンオイル、シリコングリース、Floral 105、シリコンエラストマ、非イオン性表面活性剤等などが挙げられる。もちろん、これらの材料を組み合わせたものを使用しても良い。
【0082】
最後に、1つまたはそれ以上の材料特性を向上させる目的で、複数の添加物をポリマに含ませて良い。一実施形態では、Kraton D2104の絶縁破壊強度を増大させて且つその弾性率を減少させるため、その溶液にミネラルオイルおよびペンタリン−Hの両方を添加した。なお、ペンタリン−Hは、Kraton D2104の接着力を向上させることも可能である。
【0083】
第1の添加物によって生じた問題を解決するために、第2の添加物を加えることもできる。例えば、誘電率を増大させる目的で使用されたファインカーボン粉末によって剛性を増した市販のシリコンゴムに対しては、炭素または銀で満たされたシリコングリースを添加することによって、その剛性を減少させて良い。この場合、この添加物は機械エネルギと電気エネルギとの変換にも有用である。特定の一実施形態では、Kraton D2104、ペンタリン−H、ミネラルオイルを備え且つ酢酸ブチルを使用して製造されたポリマに、接着性ポリマと、約70〜200%の最大線ひずみと、を加えた。
【0084】
本発明によるトランスデューサに含まれる電気活性ポリマ層の厚さは、広い範囲に渡って良い。一実施形態でのポリマの厚さは、約1マイクロメートル〜2ミリメートルの範囲で良い。ポリマの厚さは、片方または両方の二次元方向に膜を伸張させることによって薄くして良い。本発明による電気活性ポリマは、薄膜として製造および実現して良い場合が多い。これらの薄膜の厚さとしては、50マイクロメートル未満が適切である。
【0085】
電気活性ポリマまたはその一部に適した作動電圧は、誘電率などの電気活性ポリマの材料特性はもちろんのこと、ポリマ膜の厚さなどのポリマの寸法に基づいても変化して良い。例えば、図4Aのポリマ102の作動電場の大きさは、約0V/m〜約440MV/mの範囲で変化して良い。この範囲にある作動電圧は、約0Paから約10MPaの範囲の圧力を生じ得る。トランスデューサがより大きい力を発揮できるようにするためには、ポリマ層の厚さを増大させて良い。特定のポリマの作動電圧を減少させるためには、例えば、誘電率を増大させたり、ポリマの厚さを薄くしたり、弾性率を減少させたりすれば良い。いくつかの実施形態では、ポリマの弾性率が約100MPaより小さくても良い。
【0086】
また、機械エネルギと電気エネルギとの変換を行うための本発明によるトランスデューサは、多層ラミネートを含む。一実施形態では、多層ラミネートとは、1つの電気活性ポリマおよびそれに対応する電極に加えて1つまたはそれ以上の層を含んだ構造を意味する。一実施形態では、多層ラミネートとは、電気活性ポリマとそれに対応する電極とを含んだトランスデューサを有し、電極およびポリマのうちの少なくとも一方に1枚の層が積層され、その層がトランスデューサの一部に機械的に結合されている構造を意味する。多層ラミネートは、外側または内側のいずれかで修飾して良い。外側の多層ラミネートである場合は、1つまたはそれ以上の層が設けられるのは電極間ではない。内側の多層ラミネートである場合は、1つまたはそれ以上の層は電極間に設けられる。いずれの場合であっても、例えば接着層やのり層を使用して層を接着して良い。
【0087】
内側の多層ラミネートは、多様な目的に使用して良い。また、例えば剛性、電気抵抗、引裂き抵抗などの、トランスデューサの任意の機械的特性または電気的特性を改善する目的で、内側の多層ラミネートの中に1枚の層を含ませても良い。内側の多層ラミネートは、絶縁破壊強度が大きい1枚の層を含んで良い。内側の多層ラミネートは、ラミネートトランスデューサの破壊強度を増大させる目的で、適合性の材料からなり且つ導体層または半導体層(例えば金属層またはポリマ層)によって分離された複数の層を含んで良い。適合性の材料とは、全くもしくは実質的に同じ材料からなる材料、または全くもしくは実質的に同じ特性(例えば機械的および/または電気的に)を有した材料からなる材料を意味する。ポリマに対して適合性の材料からなる内側のラミネートは、ポリマ内で製造欠陥を生じにくくし且つトランスデューサの均一性を増大させる目的で使用して良い。例えば、厚さが100マイクロメートルの1枚の層からなるポリマは、厚さ100マイクロメートルの全体に影響を及ぼす欠陥を生じ得る。この場合は、厚さがそれぞれ10マイクロメートルである10枚の層からなるラミネートを使用し、あらゆる製造欠陥を厚さが10マイクロメートルのポリマ内に局在させて良い。このようにして、100マイクロメートルに匹敵する厚さを有し、且つ1枚の層からなるポリマよりも均一性および故障の許容性に優れたラミネート構造が提供される。また、ポリマに対して適合性の内側のラミネートは、暴走によるあらゆる引込み現象を阻止する目的で使用しても良い。暴走による引込み現象とは、電極間の距離が狭まるにつれて、電極間の静電力がポリマの弾性抵抗力よりも急速に増大する現象を意味する。このような場合は、トランスデューサが電気機械的に不安定になるので、厚さが局所的に急速に減少し、電気破壊を生じる恐れがある。また、複合体内の別の層から(電気的にまたは機械的に)保護する目的で、1枚の層を内側に設けても良い。一実施形態では、ポリマ内で生じるあらゆる局所的な破壊によって及ぼされる影響を最小限に抑えるために、電極とポリマとの間に電気的な障壁層を機械的に結合する。破壊は、ポリマが印加電圧に耐えられなくなった瞬間として定義して良い。障壁層は、一般にポリマより薄くて且つポリマより高誘電率であるので、電圧降下は、主にポリマの厚さ範囲において生じる。障壁層の絶縁破壊強度は、大きいことが好ましい場合が多い。
【0088】
外側の多層ラミネートは、多様な目的に使用して良い。一実施形態では、剛性やクリープを制御するため、変形時において負荷をより均一に分散させるため、引裂き抵抗を増大させるため、または暴走による引込み現象を阻止するために、外側の多層複合体に1枚の層が含まれる。電極を含み且つ適合性のポリマからなる外側のラミネートは、各ポリマ層に負荷を分散させる目的で、または変形時におけるポリマの均一性を増大させる目的で使用して良い。また、ポリマよりも剛性が大きい外側のラミネートに、例えば、ポリマよりも剛性が大きい材料、または適合性の材料に対するプリストレインの値がポリマと異なる材料などを含ませることによって、ダイヤフラム、ポンプ、または曲がり梁をバイアスしても良い。ジェネレータモードにあるとき、伸張されたトランスデューサは、電場の応力が弾性復元力より小さい限りにおいて、収縮して電気エネルギを生成し得る。この場合は、補強用の層を追加し、より大きい場の応力に対してもトランスデューサが収縮できるようにして、1ストロークごとのエネルギ出力を増大させても良い。また、複合体内の別の層から(電気的にまたは機械的に)保護する目的で、1枚の層を外側に設けても良い。別の特定の一実施形態では、外側の複合体が、小型のポンプまたはダイヤフラムをバイアスする目的で1枚のフォーム層を含む。フォーム層は、フォームへの流体の出入りを可能にする通気孔フォームを備えて良い。また、余分な機械エネルギ損失を生じずに静電遮蔽を実現する目的で、剛性が小さい1枚の層を外側に設けても良い。
【0089】
一実施形態では、ポリマを巻くまたは折ることによって複合体を形成し、高密度にパッケージングされたトランスデューサを作成する。ラミネートの層が折りたたまれている場合は、相対する電極が折り畳みのひだ附近で重なることのないように、ポリマ上に電極を配置することによって、折り畳みのひだ附近に有害な電場が生じるのを回避して良い。また、ポリマおよび電極を巻いたり折ったりすることによって、外側に露出される1つまたはそれ以上の電極が同じ極性を有するようにしても良い。製造は、相対する極性を有した電極がポリマによって分離されるように行って良い。例えば、ポリマからなる2枚の層を電極とともに巻くことによって、あるいは1枚の層を先ず折って次いで巻くことによって、ロール状のアクチュエータを作成しても良い。また、トランスデューサの安全性を高める目的で、外側に露出された電極を接地しても良い。また、安全性をさらに高める目的で、外側のラミネートに外皮層を追加しても良い。
【0090】
本発明による電気活性ポリマは、大きいひずみを加えられると変形するので、ポリマに取り付けられた電極も、やはり、機械的特性または電気的特性を損なうことなく変形する必要がある。一般に、本発明で使用するのに適した電極は、電気活性ポリマに対して適切な電圧の受け渡しをできる限りは、任意の形状および材料を有して良い。電圧は一定でも良いし、時間とともに変化しても良い。一実施形態では、電極はポリマの表面に接着される。ポリマに接着された電極は、ポリマの形状変化に適合してしたがうことが好ましい。したがって、本発明は、取り付けられた電気活性ポリマの形状にしたがう適合性の電極を含んで良い。電気活性ポリマの一部にのみ電極を適用し、その形状寸法にしがたってアクティブ領域を規定して良い。以下では、電気活性ポリマの一部のみを被覆する電極の実施例を、詳細に説明する。
【0091】
共同所有された同時係属の米国特許出願第09/619,848号には、本発明で使用するのに適した様々な電極が記載されており、本文献は、引用によってすでに本明細書に組み込まれている。この文献に記載され且つ本発明での使用に適した電極として、金属トレースおよび電荷分布層を備えた構造化電極、二次元以外の様々な寸法を備えたテキスチャ加工電極、ガーボングリースまたはシルバグリースなどの導電性グリース、コロイド懸濁液、カーボンフィブリルやカーボンナノチューブなどの高アスペクト比の導電性材料、およびイオン伝導性材料の混合物などが含まれる。
【0092】
本発明の電極として、様々な材料を使用して良い。電極に使用される適切な材料は、グラファイト、カーボンブラック、コロイド懸濁液、銀および金を含む薄い金属、銀およびカーボンで満たされたゲルおよびポリマ、そしてイオンもしくは電子工学的に導電性を持つポリマを含んで良い。具体的な一実施形態では、本発明での使用に適した電極は、ペンシルバニア州フィラデルフィア所在のストックウェルラバー社によるストックウェル RTV60−CONのように、シリコンラバー結合剤の中に80%のカーボングリースと20%のカーボンブラックを含むものである。カーボングリースは、マサチューセッツ州フェアヘイブン所在のナイ・ラブリカント社によるNyoGel 756Gなどのタイプであって良い。導電性グリースは、また、ゲル状の導電性グリースを提供するために、ニューヨーク州をウォーターフォード所在のジェネラル・エレクトリック社によって生産されるシリコンエラストマ RTV118のようなエラストマと混合されても良い。
【0093】
電極材料のなかには、特定のポリマとは上手く作用するが、それ以外とは上手く作用しないものがあることが知られている。例えばカーボンフィブリルは、アクリルエラストマポリマとは上手く作用するが、シリコンポリマとは上手く作用しない。ほとんどのトランスデューサでは、適合性電極として、低弾性率であること、低機械的減衰であること、低表面抵抗であること、抵抗が均一であること、化学的および環境的に安定であること、電気活性ポリマに対して化学的に互換性であること、電気活性ポリマに対する接着性が良好であること、そして滑らかな表面を形成できること、などのうち、1つまたはそれ以上の特性を所望して良い。場合によっては、本発明によるトランスデューサに、異なる2つの種類の電極を導入して良い。例として、アクティブ領域ごとに異なる種類の電極を設けたり、あるいはポリマの両側面に異なる種類の電極を設けたりして良い。
【0094】
一般に、電子ドライバが電極に接続される。電気活性ポリマに印加される電圧は、用途の詳細によって異なるだろう。一実施形態では、本発明によるトランスデューサは、印加電圧をDCバイアス電圧付近に調節することによって、電気的に駆動される。バイアス電圧付近に調節することにより、印加電圧に対するトランスデューサの感度と線形性が改善される。例えば、オーディオに使用されるトランスデューサは、約750〜2000ボルトのDCバイアス電圧範囲でのピークツーピーク電圧が200〜1000ボルトまでの信号によって駆動して良い。
【0095】
4.複数のアクティブ領域
本発明にしたがうと、ここで使用する「モノリシック」という用語は、複数のアクティブ領域を備えた電機活性ポリマ、トランスデューサ、および機器を意味する。図4Cは、複数のアクティブ領域を備えたモノリシックトランスデューサ150を、本発明の一実施形態にしたがって示している。モノリシックトランスデューサ150は、電気エネルギと機械エネルギとの変換を行う。モノリシックトランスデューサ150は、2つのアクティブ領域152a,152bを有した電気活性ポリマ151を備える。ポリマ151は、例えば、ポリマの端に取り付けられた剛性フレーム(図示せず)を使用して場所を固定して良い。
【0096】
アクティブ領域152aは、トップ電極154aおよびボトム電極154bを有し、これらは、上面151cおよび底面151dにおいてそれぞれポリマ151に取り付けられている。電極154a,154bは、ポリマ151の部分151aにまたがる電圧差を提供する。部分151aは、電極154a,154bによって提供される電場の変化によって変形する。部分151aは、電極154aと電極154bとの間に位置するポリマ151と、電極154a,154bを使用して電圧を印加する際に変形を生じるのに十分な静電力を有するポリマ151の任意の他の部分と、を備える。機器150が、電気エネルギを機械エネルギに変換するジェネレータとして使用される場合は、部分151aの変形によって部分151aの電場が変化するが、これは、電極154a,154bによって提供される電圧差の変化として現れる。
【0097】
アクティブ領域152bは、トップ電極156aおよびボトム電極156bを有し、これらは、上面151cおよび底面151dにおいてそれぞれポリマ151に取り付けられている。電極156a,156bは、ポリマ151の部分151bにまたがる電圧差を提供する。部分151bは、電極156a,156bによって提供される電場の変化によって変形する。部分151bは、電極156aと電極156bとの間に位置するポリマ151と、電極156a,156bを使用して電圧を印加する際に変形を生じるのに十分な静電力による応力を有するポリマ151の任意の他の部分と、を備える。機器150が、電気エネルギを機械エネルギに変換するジェネレータとして使用される場合は、部分151bの変形によって部分151bの電場が変化するが、これは、電極156a,156bによって提供される電圧差の変化として現れる。
【0098】
本発明によるモノリシックのポリマおよびトランスデューサのアクティブ領域は、柔軟に配置して良い。一実施形態では、ポリマのアクティブ領域を、その弾力性がバランスされるように配置する。別の実施形態では、本発明によるトランスデューサは、対称的に配置された複数のアクティブ領域を備える。以下では、本発明の一実施形態を機器として説明するが、当業者ならばわかるように、本発明は、以下で説明する機器の様々なパーツによって実施される動作を工程として有する方法をも網羅している。図4Dは、対称的に配置された複数のアクティブ領域を備えたモノリシックトランスデューサ160を、本発明の具体的な一実施形態にしたがって示している。機器160は、4つのアクティブ領域162a〜dを備えたモノリシックトランスデューサを備える。
【0099】
アクティブ領域162a〜dのそれぞれは、ポリマ161の上面および底面にそれぞれ取り付けられたトップ電極およびボトム電極:164a〜dを備える(図中には、ポリマの表側の面上に設けられた電極164a〜dのみを示した)。電極164a〜dのそれぞれは、ポリマ161の一部にまたがる電圧差を提供する。電極164a〜dおよびこれらに対応するアクティブ領域162a〜dは、環状ポリマ161の中心を取り囲むように、対称的に且つ半径方向に配置される。このようにして、アクティブ領域162a〜dに含まれるポリマ材料の弾力性がバランスされる。
【0100】
第1のアクティブ領域162aは、2つの第1のアクティブ領域電極164aと、電気活性ポリマの第1の部分161aと、によって形成される。第1の部分161aは、第1のアクティブ領域電極164aによって提供される電場の変化に応じて変形するように配置される。部分161aは、電極162aの間に位置するポリマ161と、電極162aを使用して電圧を印加する際に変形を生じるのに十分な静電力による応力を有するポリマ161の任意の他の部分と、を備える。同様に、第2のアクティブ領域162cは、2つの第2のアクティブ領域電極164cと、電気活性ポリマの第2の部分161cと、によって形成される。第2の部分161cは、第2のアクティブ領域電極164cによって提供される電場の変化に応じて変形するように配置される。アクティブ領域162b,162cに関しても、同様の構成が当てはまる。
【0101】
環状のポリマ161の周囲には、実質的に剛性のフレーム167が、接着剤を使用して固定される。ポリマ161の中央部分163には、実質的に剛性の部材168が取り付けられ、機器160の機械的出力を可能にしている。剛性部材168は、剛性フレーム167に対する中央部分163の変形に基づいて、機器160の機械的出力を提供する。中央部分163は、アクティブ領域162aとアクティブ領域162cとの間に少なくとも部分的に、そしてアクティブ領域162bとアクティブ領域162dとの間に少なくとも部分的に、設けられる。図中では、中央部分163を、中心に設けられた円の形で示してあるが、中央部分163は、アクティブ領域162a〜dの間に位置する任意の部分のポリマ161であって良い。したがって、剛性部材168を、アクティブ領域162a〜dの間に位置する任意の部分のポリマ161に取り付け、その部分の変形を、機器160の機械的出力として移して良い。
【0102】
また、本発明は、複数のアクティブ領域を有した1つまたはそれ以上の電気活性ポリマを変形させる方法を備える。これらの方法は、ポリマへの電気エネルギの入力(作動)およびポリマからの電気エネルギの出力(発電)の結果として生じる変形を含む。アクチュエータとしてモノリシックトランスデューサを使用する方法は、一般に、2つの第1のアクティブ領域電極による電場の変化を提供し、モノリシックトランスデューサの第1の部分を変形させる工程と、2つの第2のアクティブ領域電極による電場の変化を提供し、モノリシックトランスデューサの第2の部分を変形させる工程と、を備える。このモノリシックトランスデューサでは、他のアクティブ領域を使用しても良い。一実施形態では、1つまたはそれ以上の電気活性ポリマ上のアクティブ領域を、個別にまたは累積的に順次作動させることによって、ポリマの一部に所望の変形を生じさせる。具体的な一実施形態では、モノリシックポリマ上のアクティブ領域を順次作動させることによって、ポリマの一部を経路に沿って移動させる。
【0103】
例えば、アクティブ領域162a〜dを順次作動させることによって、中央部分163を環状経路169に沿って移動させて良い。アクティブ領域162aの作動は、中央部分163を下方に移動させる。アクティブ領域162bの作動は、中央部分163を左方に移動させる。アクティブ領域162cの作動は、中央部分163を上方に移動させる。アクティブ領域162dの作動は、中央部分163を右方に移動させる。電気エネルギが電極164aから除去されると、中央部分163は、アクティブ領域162aが作動される以前の位置まで弾性的に復元される。他のアクティブ領域164b〜dにおいても、同様に弾性復元が生じる。環状経路169を達成するためには、アクティブ領域162a〜dを、時計回りに且つ適時に順次作動させる。具体的に言うと、アクティブ領域162aの収縮と同時に電極164bに電気エネルギを供給する。そして、アクティブ領域162bの収縮と同時に電極164cに電気エネルギを供給する。
【0104】
他のアクティブ領域を作動させる場合も、同様のタイミングでエネルギを供給し、環状経路169を生成する。このような時計回りの順次作動を繰り返し、中央部分163を環状経路169に沿って連続して移動させて良い。中央部分163からの連続的な環状出力は、モータを駆動するために使用して良い。具体的な一実施形態では、剛性部材168を、ロータリクランクモータのクランクとして使用して良い。別の具体的な実施形態では、剛性部材168をベアリング付きのプレートとして使用し、プレートがその両二次元方向に移動できるようにして良い。すると、モノリシック機器160は、x−y(自由度が2の)変換テーブルとして機能する。
【0105】
ここで説明したモノリシックトランスデューサ150,160は、類似の形状寸法を有した対称的な構成のアクティブ領域を備える。本発明によるモノリシックポリマは、それぞれが非対称的で且つカスタムな形状寸法を有した1つまたはそれ以上のアクティブ領域を備えていて良い。また、モノリシックポリマ上のアクティブ領域を組み合わせ、任意の構成にして良いことも知られている。これらカスタムな形状寸法のアクティブ領域および構成は、あらゆるカスタムな二次元経路またはあらゆるカスタムなポリマ部分の出力を生成するために使用して良い。別の一実施形態では、対をなす上述したアクティブ領域を膨張させたり弛緩させたりすることなく、2つのアクティブ領域のみを使用して、図示したような二次元の経路を達成して良い。この場合は、1つのアクティブ領域の作動およびそれに対応する弾性復元を、ある長さ寸法に沿った変形を制御するために使用して良い。そして、もう1つのアクティブ領域の作動およびそれに対応する弾性復元を、直交する長さ寸法に沿った変形を制御するために使用して良い。
【0106】
モノリシックトランスデューサおよび機器は、二次元方向の変形に限定されない。具体的な一実施形態では、二次元以外の方向への変形および制御を行うために、モノリシックトランスデューサを使用して良い。例えば、4つのアクティブ領域162a〜dを同時に作動させると、中心に取り付けられた剛性部材168の二次元上の位置は変化しないが、剛性部材168を膜の平面内に保持しているポリマ161からの力は減少する。したがって、剛性部材168が、バネまたは重力などの二次元以外の力によって適切に取り付けられている場合は、4つのアクティブ領域162a〜dを全て同時に作動させることによって、剛性部材168を、その二次元方向以外の力の方向へと、平面から逸れるように移動させることができる。アクティブ領域162a〜dのそれぞれにおけるエネルギ化の量を制御する(例えば電圧を制御する)ことによって、適切に取り付けられた剛性部材168の位置を、3の並進自由度でもって制御することが可能になる。
【0107】
5.アクチュエータ機器およびジェネレータ機器
電気活性ポリマの変形を様々な形で使用することによって、機械エネルギを生成したり受け取ったりすることができる。一般に、本発明によるモノリシック電気活性ポリマは、モノリシックポリマによって改良された従来のアクチュエータおよびジェネレータや、1つまたはそれ以上のモノリシックポリマために特別に設計されたカスタムアクチュエータおよびカスタムジェネレータを含む、様々な形のアクチュエータおよびジェネレータに使用して良い。従来のアクチュエータおよびジェネレータは、エクステンダ、曲がり梁、スタック、ダイヤフラムなどを含む。以下では、本発明で使用するのに適したいくつかの代表的なアクチュエータおよびジェネレータに関して説明する。共同所有された同時係属の米国特許出願第09/619,848号には、本発明による様々な実施形態で使用するのに適した他のアクチュエータが記載されており、本文献は、引用によって本明細書にすでに組み込まれている。
【0108】
図5Aは、モノリシックポリマ131を含んだモノリシックダイヤフラム機器130が作動される前の状態を、本発明の一実施形態にしたがって示した横断面図である。ポリマ131は、フレーム132に取り付けられている。フレーム132は、アパチャ133a,133bを含み、これらは、ポリマ部分131a,131bをアパチャ133a,133bの領域で垂直な方向にそれぞれ変形させることを可能にする。ダイヤフラム機器130は、部分131aにまたがる電圧差を供給する目的で部分131aの両側に取り付けられた電極134a,134bを備える。電極136a,136bは、部分131bにまたがる電圧差を供給する目的で部分131bの両側に設けられている。外部のエレクトロニクスへの接続を提供するためには、電極134a〜b,136a〜bを、ポリマ131の他の部分に経路付けることができる。いくつかの実施形態では、外部のエレクトロニクスを電極134a〜b,136a〜bに直接接続することができる。他の実施形態では、他の様々な接続方法を使用することができる。好ましい一実施形態では、例えば、アパチャ133a〜bから離れたフレーム132上の領域に、それぞれの電極を経路付けることができる。そして、図5では図示せざる第2のフレームを、フレーム132に設けられた、やはり図5では図示せざるネジ穴を通してフレーム132にねじ込む。これらのネジによって、ポリマ131および1つまたはそれ以上の電極134a〜b,136a〜b(所望の接続構成によって異なる)に穴が開けられ、この穴開けプロセスによって、電極134a〜b,136a〜bに対する電気的な接続が形成される。これらのネジは、外部への電気的な接続に使用することができる。好ましい一実施形態では、ネジよりも僅かに小さい穴を有したブラスの薄片(または導電性ポリマのテープ)を、ポリマ131上に横たわって設けられた接続の中に含ませる。このとき、ネジはブラスと接続し、ブラスは適切な電極に接触する。電極134,136は適合性であるので、ポリマ131の変形にともなって形状を変化させる。電圧が印加されていない図5Aの状態では、ポリマ131を伸張させてフレーム132に固定し、プリストレインを達成している。
【0109】
電極134,136を使用して、部分131a,131bを個々に変形させることができる。図5Bに示すように、例えば電極134aと電極134bとの間に適切な電圧を印加すると、部分131aは、フレーム132の平面から離れる方向に膨張する。部分131a,131bは、平面から離れるいずれの垂直方向にもそれぞれ膨張することができる。一実施形態では、ポリマ131の片側に、ポリマ膜131の膨張に作用するバイアス電圧を含ませることによって、ポリマ膜131を、矢印143(図5B)の方向に向かって上向きに作動させる。別の一実施形態では、少量のシリコーンオイルなどの膨張剤を下面側に加えることによって、矢印143の方向へのポリマ131の膨張に作用させる。膨張剤は、バイアス圧力を使用しなくても、ダイヤフラムを所望の方向に作動させ続けることを可能にする。例えば、膨張剤を加える際に僅かな圧力を下面側に加えることによって、ポリマを、製造時に決定した一方向に永久的に僅かに変形させることができる。
【0110】
ダイヤフラム機器130は、ジェネレータとして使用して良い。この場合は、ポリマ131を、アパチャ133a,133bの付近で伸張させるために、流体圧力などの圧力を、ダイヤフラム機器130の片側への機械的入力として作用させる。伸張させた後は、部分131aの伸張と同時に電圧134間に電圧差を加える。この結果として生じる電極134の電場の変化量は、ポリマ131aをさらに伸張させるのに必要な電場より小さい。部分131bを伸張させる場合も、やはりそれと同時に電極136間に電圧差を加える。圧力を開放することによって、部分131a,131bを収縮させ、電極134,136に蓄えられた電気エネルギを増大させることが可能になる。
【0111】
図示して説明したモノリシックダイヤフラム機器130は、垂直方向にポリマ部分を変形させることを可能にするアパチャを2つのみ有しているが、モノリシックダイヤフラム機器130は、任意の二次元配列状に配置された多数のアパチャを含んで良い。モノリシックポリマの配列とは、一般に、任意の形態および構成を有した状態でポリマ上に配置された複数のアクティブ領域を意味する。例えば、ダイヤフラム機器130は、6×6の格子状に配置された36のアクティブ領域からなる配列を含んでいて良い。あるいは、モノリシックポリマ上の配列は、カスタムな形状寸法のアクティブ領域を組み合わせたものを含んで良い。アクティブ領域の形状寸法は、例えば円形またはスロット状であって良い。しかしながら、本発明によるダイヤフラムには、このような形状の多くが適用可能であり、円形またはスロット状のダイヤフラムに限定されない。これらの個々のアクティブ領域は、機械的または電気的に相互に作用してもしなくても良い。一実施形態では、配列に含まれる少なくとも2つのアクティブ領域に対し、電気通信および電気制御を独立して行うことができる。
【0112】
図5Dおよび図5Eは、電気エネルギと機械エネルギとの変換を行うための直線運動機器230の作動前および作動後における状態を、本発明による具体的な一実施形態にしたがって示した図である。直線運動機器230は、一方向への機械的変換を有した二次元機構である。直線運動機器230は、幅234よりも実質的に大きい長さ233を有した(例えばアスペクト比が少なくとも約4:1以上の)ポリマ231を備える。ポリマ231は、その長さ233に沿って、フレームの剛性部材232の相対する二面に取り付けられている。剛性部材232の剛性は、ポリマ231の剛性より大きい。剛性部材232によって提供される幾何学的なエッジ制約が、長さ233に沿った方向236へのポリマの変位を実質的に阻止するので、変形が促進されるのは、ほとんどが方向235に向けてである。直線運動機器230が、異方性のプリストレインを有したポリマ231によって形成される場合、すなわち、例えば方向236へのプリストレインが方向235へのプリストレインより大きい場合などは、ポリマ231の方向236への剛性が方向235へのそれより大きいので、方向235に大きく変形する結果となる。このような構成は、例えば異方性のプリストレインを有したアクリルに対し、少なくとも約200%の線ひずみを生じ得る。
【0113】
電気活性ポリマまたはアクチュエータの集合を機械的に結合することによって、例えば力および/または変位などに関して共通の出力を有する大きいアクチュエータを形成して良い。この場合は、一集合体内の基本単位として小さな電気活性ポリマを使用し、用途に応じて電気エネルギから機械エネルギへの変換を大小させて良い。例えば、複数の直線運動機器230を方向235に直列に組み合わせ、これら全ての直線運動機器の累積変形を有するアクチュエータを形成して良い。電気エネルギを機械エネルギに変換する場合は、個別にまたは機械的に繋がれて一集合体を構成する電気活性ポリマを「人工筋肉」と称して良い。ここで、人工筋肉は、力および/または変位に関して単一の出力を有した1つまたはそれ以上のトランスデューサおよび/またはアクチュエータとして定義される。人工筋肉は、ミクロまたはマクロなレベルで形成して良く、ここで説明した任意の1つまたはそれ以上のアクチュエータを備えて良い。
【0114】
図5Fは、人工筋肉の一例として、電気エネルギと機械エネルギとの変換を行う多層機器240を、本発明による具体的な一実施形態にしたがって示した横断面図である。多層機器240は、並列に配置された4つのプリストレインドポリマ241を含み、これらのプリストレインドポリマ241は、同じ変形を有するようにそれぞれ剛性フレーム242に取り付けられている。電極243,244は、各ポリマ241の相対する二面に設けられ、4つのプリストレインドポリマを同時に静電作動させる。多層機器240は、個々のポリマ層241の力の出力を累積させたものを提供する。
【0115】
トランスデューサがジェネレータモードで動作する場合は、個々のポリマ層を並列および直列のいずれの形で組み合わせても、同様な効果が得られる。一般に、層を並列に繋げると、機器の最大ストロークを変化させなくても機器の剛性および最大入力を増大させられ、層を直列に繋げると、最大入力を増大させなくても最大ストロークを増大させられる。このため、層を直列および並列に組み合わせることによって、ジェネレータを、入力される機械的負荷に適合するように設計することができる。
【0116】
別の一実施形態では、単一のポリマに代わって複数の電気活性ポリマ層を使用することによって、アクチュエータからの力または圧力の出力を増大させたり、あるいはジェネレータから生成される電気エネルギを増大させたりして良い。例えば、10の電気活性ポリマを積層させることによって、図5Aに示したダイヤフラム機器から出力される圧力を増大させて良い。図5Gは、人工筋肉の別の一例として、電気エネルギと機械エネルギとの変換を行うための積層形の多層ダイヤフラム機器245を、本発明による一実施形態にしたがって示した図である。積層形の多層機器245は、互いに積層された3枚のポリマ層246を含み、これらのポリマ層は、接着層247によって取り付けて良い。
【0117】
好ましい一実施形態では、ポリマ積層体の粘弾性流を阻止する目的で、ポリマ層の取り付け領域にマイラまたはアセテートの薄片を挿入する。マイラまたはアセテートの支持薄片は、一般に厚さが10〜100ミクロンであり、交互配置された支持構造として機能し、膜のプリストレインが大きい場合にプリストレインの負荷を分散させるのに特に有用である。そうでないと、プリストレインが大きい多層は、膜の端部分で反ったり引きが弱くなったりする可能性がある。交互配置された支持構造は、ポリマ246の層ごとに加えても良いし、プリストレインの大きさ、膜の弾性率、膜の厚さ、具体的な形状寸法などに基づいて、2〜5層ごとに加えても良い。交互配置された支持構造は、一般に、ポリマ層246のうち不活性の外端に接合されるまたは積層される。接着層247の中には、ポリマ層246に電気機械結合を提供する電極248,249が設けられている。最も外側のポリマ層には、剛性の強いプレート250が取り付けられており、このプレートは、積層された多層ダイヤフラム機器245の変形を可能にする複数の穴251を含むように、パターン形成されている。ポリマ層246を組み合わせることによって、積層形の多層機器245は、アクチュエータとして機能する場合は個々のポリマ層246の力的出力を累積させたものを、そしてジェネレータとして機能する場合は個々のポリマ層246の電気出力を累積させたものを、それぞれ提供する。
【0118】
本発明の別の一実施形態にしたがった機器は、電気活性ポリマの複数方向への変形を使用することによって、出力方向への変形を生成し得る。図5H〜5Kは、電気エネルギと機械エネルギとの変換を行うための三次元機器370を、本発明による一実施形態にしたがって示した上面図および側面図である。機器370は、電気活性ポリマの複数の二次元方向への変形を使用することによって、非二次元方向である出力方向への変形を生成する。
【0119】
図5Hおよび図5Iに示すように、機器370は、トランスデューサとフレーム374とを備える。トランスデューサは、ポリマ373を含む。ポリマ373は、発電および機械作動のうちの一方をサポートする方法で電極375と電気通信を行う関係にある。電極375a,375bは、ポリマ373の相対する二面に取り付けられている。電極375a,375bは、ポリマ373に対する電気エネルギの受け渡しを行う。二次元方向372a,372bは、ポリマ373の最大表面に対応する平面372において規定される。方向376は、平面372と同一平面上になく、平面372に対して実質的に垂直である。機器370は、二次元方向372a,372bへのポリマ373の変形を可能にすることによって、同一平面上でない方向376への変位を生成する。
【0120】
フレーム374は、ベース380と4つの剛性部材382a〜dとを備える。必要に応じ、4を超える数の剛性部材382a〜dを使用することも可能である。対称構成の剛性部材382a〜dを、図示した4を超える数だけ使用すると、ポリマ373に対しより均一なひずみを提供できるが、複雑度および質量も増す。好ましい実施形態では、一般に、4〜8の剛性部材382a〜dを使用する。部材382a〜dは、ポリマ373の二次元方向の変形と同一平面上でない方向376への変形との間で変換を行う。4つの部材382a〜dは、それぞれの近心端383a〜dにおいて、ポリマ373の各角部分にヒンジ運動または回動可能なように結合されている。各剛性部材382a〜dは、また、ベース380にヒンジ運動または回動可能なように結合された遠心端384を含む。ベース380は、部材382a〜dのうち任意の一部材の運動を、ベース380を中心とした回転に制限している。また、ポリマ373は、その形状寸法および弾性に応じ、部材382a〜dのうち任意の一部材の運動を制限している。具体的な一実施形態では、各部材382とポリマ373との間の結合が、部材382およびポリマ373の両方に取り付けられた可撓性アセテートの薄片(または他の薄い可撓性材料)を備える。別の具体的な一実施形態では、各部材382とベース380との間の結合が、部材382とベース380の両方に取り付けられた可撓性アセテートの薄片を備える。さらに別の一実施形態では、ベース380を使用せずに、部材382a〜dを、それぞれの遠心端384a〜dにおいて共通のアセテート製ジョイントによって接続して良い。トータルで見ると、ポリマ373と部材382a〜dとの間の相互接続は、機器370に対して同時的な機械的応答を提供する。この同時的な応答の結果、ポリマ373またはその一部の二次元変形が、機器370の同一平面上でない方向376への非二次元変形に変換される。
【0121】
ポリマ373の作動時には、ポリマ373が膨張し、2つの隣接する部材382a〜dの近心端383a〜dが、二次元方向372a,372bの一方向に沿って引き離される。例えば、ポリマ373の作動時には、ポリマ373の二次元方向への膨張によって、部材382a,382bの近心端383a,383bが、図5Jに示すように二次元方向372aに沿ってそれぞれ引き離される。同様に、ポリマ373の二次元方向への膨張によって、部材382b,382cの近心端383b,383cが、二次元方向372bに沿ってそれぞれ引き離される。ベース380と、ポリマ373と、部材382a〜d間の相互接続性と、によって受ける変形の制約によって、部材382a〜dの近心端383a〜dの引き離しは、図5Kに示すように、ベース380とポリマ373との間の距離の減少にともなった垂直高さ385の減少へと変換される。したがって、平面372上でのポリマ373の変形は、部材382a〜dの近心端383a〜dを平面372に沿って平行移動させ、部材382a〜dの遠心端384a〜dをともに同一平面上でない方向376へと平行移動させる。
【0122】
各剛性部材382は、機器370の機械的倍率を高めるレバーアームとして機能しても良い。各部材382a〜dによって提供されるレバーアームは、ポリマ373の二次元変形から同一平面上でない方向376への変換およびその逆の変換を向上させる。具体的に言うと、同一平面上でない方向376への変形は、部材382a〜dを、外向きに且つポリマ373に向かって下向きに膨張させる(図5Jおよび図5K)。したがって、剛性部材382a〜dが、ほぼ同一平面上でない方向376であるが、完全には同一平面上でない方向376ではない方向からスタートする場合は、同一平面上でない方向376への少量の下向きの変形が、ポリマ373の平面上での大きな膨張となって現れる。このテコ作用は、機器370をジェネレータとして使用し、外部からの機械作用を方向376に供給する場合に好都合である。部材382a〜dによって提供されるテコ作用によって、機器370は、同一平面上でない方向376への少量の変形をもとにして、比較的多量の電気エネルギ変化を提供することができる。
【0123】
部材382a〜dは、ベース380に対して錐体状に構成される。部材382a〜dが対称であることから、ポリマ373では均一な伸張配分がなされる。ポリマ373での均一な伸張配分によって、外部からの機械的入力から生じる電気エネルギを、ポリマ373の一部からのみでなくポリマ373を大きく占める二次元領域から収集できるので、ジェネレータとして使用する際の機器370の性能が向上される。図中の機器370は4つの部材382a〜dを有しているが、4以外の数の部材382a〜dを使用しても良い。具体的な一実施形態では、4つの部材382a〜dの代わりに、ポリマ373の二次元変形を同一平面上でない方向376に変換する2つの実質的に幅広な部材を使用する。一般に、部材382a〜dの数が増大するにつれて、ポリマ373の伸張の均一性が高まり、これによってポリマ373の伸張配分の均一性も増大するので、性能も向上される場合が多い。
【0124】
ベース380は、外部からの機械的な取り付け部品として使用しても良い。例えば、機器370をアクチュエータとして使用する際に、ポリマ373の変形を受け取る機械的出力を、ベース380に取り付けて良い。同様に、機器370をジェネレータとして使用する際には、機械エネルギを入力する機械的入力を、ベース380に取り付けて良い。
【0125】
一実施形態では、静止位置にあるとき、ポリマ373が部材382a〜dによって予荷重を加えられているように、フレーム374を構成する。予荷重の組み込みは、例えば、最初から取り付けられているバネ状の可撓性材料を使用して、ポリマ373を剛性部材382a〜dのそれぞれに結合し、ポリマ373に二次元の予荷重力を作用させることによって行うことができる。予荷重を加えると、ポリマ373がプリストレインされる。つまり、フレーム374は、機器370が静止位置にある一方で、ポリマ373は弾性的に変形されて伸張された状態にあるように、構成される。ポリマ373の張力は、部材382a〜dを互いに近づく方向に収縮させる傾向にある。上述したように、電気活性ポリマのプリストレインは、トランスデューサとしての電気活性ポリマの性能を高める目的で使用して良い。ポリマ373をプリストレインしておくと、機器370は、ポリマ373に印加する作動電圧が低くても、所定の変形を得ることができる。機器370は、平面上では小さい有効弾性率を有することから、フレーム374によって提供される機械的な制約によって、機器370を平面内で作動させ、小さい電圧から大きい変形を得ることが可能になる。また、平面内で大きくプリストレインさせることによって、ポリマ373の破壊強度が増すことから、機器370に対し、大きい電圧および大きい変形を加えることが可能になる。
【0126】
機器370は、具体的な用途に適合させて設計して良い。例えば、複数のポリマ層およびそれにともなう電極を並列に積層させ、機器370の力的出力または電気的復元率を増大させて良い。
【0127】
別の一実施形態では、4を超える数の部材382を、ポリマ373の周囲に結合させる。また、部材382のそれぞれの間に、可撓性の材料を取り付けても良い。可撓性材料がベース380でも連続していて、使用している部材382が多数である場合は、カップケーキ・ライナに似た構造が得られる。ポリマ373に、密封する形で可撓性材料が取り付けられている場合は、この構造を、流体を閉じ込める目的で使用しても良い。可撓性材料とポリマとの組み合わせによって、流体を閉じ込めるチャンバを形成して良い。カバー内の圧力を変化させる機械的入力が外部から入力されると、ポリマ373は変形される。この変形は、上述したジェネレータ技術にしたがって電気エネルギを生成するために使用して良い。
【0128】
機器370は、モジュール式である。図5Lは、本発明による一実施形態にしたがって、機器390を示した側面図である。機器290は、図5H〜5Kに示した機器370と、ポリマ373の反対側に取り付けられたフレーム391とを備える。フレーム374,391は、相対する形で組み合わされて、機器390を形成している。
【0129】
フレーム391は、ベース393と、4つの対抗剛性部材392a〜dとを備える。対抗部材392a〜dは、ポリマ373の二次元方向への変形と同一平面上でない方向394への変形との間で変換を行う。4つの対抗部材392は、それぞれの近心端395において、ポリマ373の各角部分であって部材382a〜dとは反対の面上にある各角部分に結合されている。各対抗剛性部材392は、また、ベース393に結合された遠心端396a〜dを含む。部材382a〜dに関して上述したように、ポリマ373と対抗部材392との間の相互接続によって、同時的な機械的応答が機器390に提供される。この同時的な応答によって、ポリマ373またはその一部の二次元変形は、部材392a〜dの近心端395a〜dを平面372に沿って平行移動させ、部材392a〜dの遠心端396a〜dをともに同一平面上でない方向394へと平行移動させる。
【0130】
ベース380とベース393との間の距離は、ポリマ373の任意の部分の変形によって変化する。具体的に言うと、ポリマ373と部材382との間の相互接続に、ポリマ373と部材392との間の相互接続を結合することによって、同時的な機械的応答が機器390に提供される。結果として、ポリマ373の任意の部分の二次元変形が、ベース380とベース393との間の垂直変形を含む機器390の変形に変換される。例えば、電極375によって提供される電場の変化に応じて生じるポリマ373の変形によって、ベース380とベース393との間の距離が減少される。
【0131】
機械エネルギを電気エネルギに変換させるジェネレータとしては、スパイダ機器390も上手く機能する。一実施形態では、外部からの機械エネルギを使用して、ベース380とベース393との間の距離を減少させる。ベース380とベース393との間の距離を減少させると、ポリマ373は二次元方向に膨張する。そして、外部からの機械エネルギまたはその一部が、ポリマ373の弾性エネルギとして蓄えられる。外部からの機械エネルギによる変形の前または最中のどこかの時点で、比較的小さい電圧差を電極375の間に加える。比較的小さい電圧差を加えるのは、その結果として得られる静電力が、外部からの機械エネルギによって提供される最終的な伸張の弾性復元力と相殺し合わないようにするためである。外部からの機械エネルギを除去すると、機器390は、弾性的に収縮して静止位置またはその近くに達する。したがって、ベース380とベース393との間の距離が増大され、ポリマ373の収縮にともなってトランスデューサの電気エネルギが増大される。そして、電極375と電気通信関係にあるポリマ373の一部を使用して、ポリマ373の収縮から電気エネルギを生成して良い。
【0132】
静止位置にあるポリマを予荷重によってプリストレインする別の一実施形態では、外部からの機械エネルギを使用して、ベース380とベース393との間の距離を増大させる。この場合は、ベース380とベース393との間の距離が増大する際に、機器390から電気エネルギを収集する。そして、予荷重によるポリマの弾性復元を使用して、機器390を静止位置まで復元させて良い。
【0133】
ポリマ373が完全に収縮されたら、電荷およびエネルギの一部または全部を、電極375から除去することができる。あるいは、収縮の最中に、電荷およびエネルギの一部または全部を除去することができる。収縮中にポリマ373の電場の圧力が増大し、弾性復元力と相殺し合うようになると、途中で収縮が停止されるので、弾性機械エネルギから電気エネルギへの変換も停止される。電荷および蓄えられた電気エネルギの一部を除去すると、電場電圧が減少するので、収縮を続けさせることが可能になる。したがって、電荷の一部を除去することによって、機械エネルギから電気エネルギへの変換をさらに行うことが可能になる。ポリマ397,398の収縮にともなって、ポリマ397,398から電気エネルギが除去されると、機器390は、外部から機械エネルギを加えられるときまで、静止位置に向かって弾性的に復元し続ける。
【0134】
機器390の機械的結合は、機械エネルギから電気エネルギへの変換を向上させる。具体的に言うと、部材382,392によって提供されるレバーアームが比較的長い場合(静止位置にあるレバーアームが同一平面上でない方向394に完全ではないが、実質的に一致している場合)は、ベース380とベース393との間で生じる所定量の高さ変化に応じて生じるポリマ373の二次元膨張が増大される。したがって、ベース380とベース393との間で生じる変形が比較的短くても、機器390は外側に向かってかなり湾曲する。このように、ベース380とベース393との間の少量の収縮が、ポリマ373では比較的大きな膨張となって現れる。したがって、機器390は、機械的入力のストロークが小さいジェネレータとして使用するのに適している。あるいは、部材382,392によって提供されるレバーアームを比較的短くとり、静止位置にあるレバーアームが、同一平面上でない方向394に対して完全ではないが、実質的に垂直になるようにして良い。この場合は、ベース380とベース393との間の比較的大きな変形が、ポリマ373では小さな膨張となって現れる。したがって、機器390は、所望のポリマ変形よりも大きな変形を提供されるジェネレータとして使用するのに適している。したがって、部材382,392によって提供されるレバーアームを設計することによって、用途の種類および所望のポリマに応じて様々な力−ストローク入力に対応できるように、機器390を設計して良い。
【0135】
図5Nおよび図5Oは、電気エネルギと機械エネルギとの変換を行うための機器300を、本発明による別の一実施形態にしたがって示した図である。機器300は、電場の変化に応じて一部が変形するように構成された且つ/または変形に応じて電場の変化を生じるように構成されたポリマ302を備える。電極304は、ポリマ302の相対する2面に設けられ(図には手前の電極のみを示した)、ポリマ302のかなりの部分を覆っている。2つの剛性部材308,310は、ポリマ302の相対する2エッジ312,314に沿って設けられる。湾曲部分316,318は、ポリマ302の残りの2エッジに沿って設けられる。湾曲部分316,318は、機器300における電気エネルギと機械エネルギとの変換を向上させる。
【0136】
湾曲部分316,318は、一方向へのポリマ302の変形を別の一方向への変形に結合する。一実施形態では、各湾曲部分316,318が、ポリマ302の平面内で約45度の角度で湾曲している。ポリマ302の作動時において、ポリマ302が方向320に膨張すると、剛性部材308,302は、図5Oに示すように、互いから離れる方向に移動する。また、ポリマ302の方向322への膨張によって、湾曲部分316,318が真直ぐに伸ばされるので、剛性部材308,310は、さらに互いから離れる方向に移動する。このようにして、機器300は、二次元方向320,322の両方へのポリマ302の膨張を、方向320への機械的な出力に結合する。
【0137】
一実施形態では、ポリマ302は、直交する方向320,322のそれぞれに、互いに異なる程度のプリストレインを有するように構成される。具体的に言うと、ポリマ302は、方向320へのプリストレインが大きく、方向320に垂直な二次元方向322へのプリストレインが小さいまたは皆無であるように構成される。この異方性のプリストレインは、湾曲部分316,318の形状寸法に対応するように構成される。
【0138】
機器300の利点の1つは、全体が二次元構造であることである。機器300の二次元構造は、製造を簡略化するだけでなく、機械的な結合を容易にし、多層設計を可能にする。例えば、剛性部材308,310を、第2の機器300の対応部分に機械的に結合する(例えば糊付けするまたは同様に固定する)ことによって、2つの機器300を並列に繋ぎ、機器300を単独で使用する場合と比べて力の出力を増大させても良い。同様に、第1の機器の剛性部材308を第2の機器の剛性部材310に取り付けることによって、複数の機器を直列に繋き、機器300を単独で使用する場合と比べて変形の出力を増大させても良い。
【0139】
機器300は、電気エネルギを機械エネルギに変換させるアクチュエータとして優れた性能を有するだけでなく、ジェネレータとしての使用にも良く適している。例えば、ポリマ302を伸張させるのと同時にその上に電荷を置くと、機器300の収縮によって機械エネルギが電気エネルギに変換される。次いで、電極304と電気通信関係にある回路が、電気エネルギを回収する。
【0140】
6.エレクトロニクス
本発明では、トランスデューサから電気エネルギを除去できる方法で、トランスデューサに機械エネルギを加えて良い。図2Bに関連して説明したように、トランスデューサに機械エネルギを加え、トランスデューサから電気エネルギを除去するためには、数多くの方法が可能である。ジェネレータ機器は、これらの方法のうちの1つまたはそれ以上の方法を利用して電気エネルギを生成するように設計して良い。ジェネレータ機器から電気エネルギを生成し利用するためには、何らかのタイプの調整用エレクトロニクスが必要である。例えば、トランスデューサから電気エネルギを除去する最小限の回路が最低限必要である。さらに、別の一例として、様々な複雑度の回路を使用することによって、特定タイプのジェネレータ機器における発電の効率または発電の量を増大させたり、ジェネレータ機器の用途に対する有用度が高い値に出力電圧を変換したりして良い。
【0141】
図6Aは、出力調整用エレクトロニクス610に接続された1つまたはそれ以上のトランスデューサ600を示したブロック図である。出力調整用エレクトロニクス610の回路によって果たし得る機能は、1)昇圧回路602によって果たされる昇圧機能であって、トランスデューサ600に電圧を印加する際に使用して良い機能と、2)電荷制御回路604によって果たされる電荷制御機能であって、サイクルの特定の時点においてトランスデューサ600に対して電荷の出し入れを行うために使用して良い機能と、3)降圧回路608によって果たされる降圧機能であって、電気出力612への電気出力電圧を調整するために使用して良い機能と、を含むがこれらに限定されない。図6B〜6Eを参照にしながら、これらの機能に関して詳述する。調整用エレクトロニクス610は、必ずしもこれらの機能の全てを必要としない。例えば、ジェネレータ機器によっては、昇圧回路602を使用しなかったり、降圧回路608を使用しなかったり、昇圧回路と降圧回路との両方を使用しなかったりして良い。また、いくつかの回路機能を統合しても良い。例えば、1つの集積回路が、昇圧回路602と電荷制御回路608の両方の機能を果たすようにしても良い。
【0142】
図6Bは、トランスデューサ600を利用した電気ジェネレータ603を、本発明による一実施形態として示した回路図である。図4Aおよび図4Bに関連して説明したように、本発明によるトランスデューサは、電気的には可変コンデンサとしてふるまって良い。ジェネレータ603の動作を理解するためには、ジェネレータ603の作動パラメータを二度:t1およびt2において比較すれば良い。どんな特定の理論に制約されることも望ましくないが、ジェネレータ603の電気的性能に関しては、いくつかの理論的関係が見出されている。これらの関係は、上述した機器の動作をいかように限定するものでもなく、単に例示を目的としている。
【0143】
第1の時点:t1では、トランスデューサ600は容量C1を有して良く、トランスデューサ600にまたがる電圧は電圧601:VBであって良い。電圧601:VBは、昇圧回路602によって供給して良い。時点t1より後の第2の時点t2では、トランスデューサ600は、容量C1より小さい容量C2を有して良い。一般に、ポリマトランスデューサ600の面積が伸張された際には大きい容量C1が生じ、ポリマトランスデューサ600の面積が収縮されたまたは弛緩された際には小さい容量C2が生じる。特定の理論に制約されることは望ましくないが、電極を有したポリマ膜の容量の変化は、容量を膜の面積、厚さ、および誘電率に関係付ける周知の式によって概算して良い。
【0144】
1とt2との間にトランスデューサ600の容量が減少すると、トランスデューサ600にまたがる電圧が増大される。増大された電圧は、ダイオード616に電流を流すために使用して良い。このようなときは、ダイオード615を使用し、電荷が昇圧回路に戻るのを阻止して良い。2つのダイオード615,616は、トランスデューサ600の電荷制御回路604として機能するが、これは、出力調整用エレクトロニクス610の一部を占める(図6Aを参照のこと)。ジェネレータ603および1つまたはそれ以上のトランスデューサ600の構成によっては、より複雑な電荷制御回路を開発しても良く、図6Bの設計に限定されない。
【0145】
ダイオード616を流れる電流は、また、蓄積コンデンサ619を容量CSに充電するために使用したり、機器負荷抵抗618:RLによって表される何らかの機器に動力を供給するために使用したりして良い。具体的な実施形態では、この機器は、携帯電話、衛星電話、GPSレシーバを使用したナビゲーション機器、ヒータ、ラジオ、電池などの、何らかの携帯用電子機器であって良いが、これらに限定されない。電池は、携帯用電子機器に動力を供給するために使用して良い。
【0146】
一般に、ジェネレータは、特定の出力電圧V0で動作する。t1とt2との間にダイオード616を電荷が流れないとき、t2の時点でのトランスデューサ上の電圧V2は、t1の時点でのトランスデューサ上の電荷Q2によって次式で表される。
【0147】
2=Q1/C2=C1B/C2,where Q1=Q2
【0148】
このとき、C1がトランスデューサの最大容量であってC2がトランスデューサの最小容量であると仮定すると、V2は、ジェネレータ603によって生成できる最大出力電圧に近くなる。t1とt2との間にダイオード616を電荷が流れるときは、Q2がQ1より小さくなるので、電圧V2は、t1とt2との間にダイオードを電荷が流れない場合を下回る。したがって、最大出力電圧は減少する。
【0149】
Bとジェネレータの最大出力電圧との間に、一定の作動電圧V0を仮定することによって、ジェネレータ603から除去される電荷を、単純に計算して良い。本発明によるジェネレータは一定の電圧値V0に限定されることはなく、この例は例示を目的として挙げたに過ぎない。例えば、ジェネレータの作動電圧が一定であり、最大出力電圧とVBとの平均値であると仮定する。
【0150】
O=1/2(V2+VB)=1/2(VB+C1B/C2),
where Q1=Q2
【0151】
このとき、t2でのトランスデューサ600上の電荷Q0は、C20=1/2VB(C1+C2)である。この例では、t1とt2との間にダイオード616を通る電荷Qoutは、t1での電荷Q1とt2での電荷Q0との差である。トランスデューサ600の各膨張−収縮サイクルのQoutは、次の式をもとにして計算して良い。
【0152】
out=Q1−QO=VB(C1−C2)/2
【0153】
トランスデューサ600が実質的に一定の周波数fで動作するとき、ジェネレータ603によって機器負荷抵抗RL:618に供給される電流ILは、次のように表される。
【0154】
L=fQout=fVB(C1−C2)/2
【0155】
そして、負荷抵抗618に供給される電力PLは、次のように表される。
【0156】
L=VOL=fVOB(C1−C2)/2
【0157】
上述した例では、例示を目的として一定の周波数fを使用しただけであり、本発明は、一定の周波数または時間とともに変化する周波数のいずれで動作しても良い。したがって、電流ILも時間とともに変化して良い。例えば、踵の接地によって作動するトランスデューサを使用したジェネレータでは、トランスデューサの作動周波数fは、ジェネレータを利用している人の歩行状態および物理的特徴にしたがって時間とともに変化し得る。したがって、トランスデューサの作動周波数fは、人が走っているかあるいは歩いているかによっても変化し得る。
【0158】
図6Bでは、電荷を維持して回路を動作させるために、ILに等しい電流を昇圧回路602から流す必要がある。昇圧回路602は、電池のように単純であって良い。電池を使用する場合は、ILに等しい電流を生じる電力を、電池から供給する。電池の出力電圧がVBを下回る場合は、電池の出力電圧をVBまで上げるために、追加の回路(例えば昇圧回路602)を使用して良い。図6Dを参照にしながら、昇圧回路の一実施形態の詳細を説明する。
【0159】
図6Cは、トランスデューサ600を利用した電気ジェネレータを、本発明による別の一実施形態として示した回路図である。図6Cの回路は、昇圧回路602から供給する必要がある電流の量を減少させることを目的としている。図6Cでは、負端子605に電流ILを流す必要がある。図6Cの接続図を使用すると、負端子605を流れる電流ILが、昇圧回路602から必要な電流の量を、図6Bの回路で必要な量と比べて減少させる。機器負荷抵抗RL:618に供給される電力PLは、図6Bで説明したのと同じ方法で計算して良い。しかしながら、接続図が異なるので、負荷618に印加される電圧VLは、VL=V0−VB=VB(C1/C2−1)/2に等しい。したがって、負荷に供給される電力PLは、次の式で表される。
【0160】
L=ILL=fVB2(C1−C22/(4C2
【0161】
図6Cの回路設計では、昇圧回路602で使用される電池の所要出力が減少し、ジェネレータ603動作時の電池の寿命が延びるという利点が得られる。
【0162】
具体的に言うと、図6Bの実施形態では、ILに等しい電流を昇圧回路602から供給するが、図6Cの実施形態では、トランスデューサ漏れ電流IDに等しい電流を昇圧回路から供給する。一般に、IDはILの1%より大幅に小さい。VBは両方の実施形態に共通なので、図6Cの昇圧回路に供給される電力は、一般に、図6Bの昇圧回路に供給される電力の1%より小さい。
【0163】
図6Aおよび図6Bでは、トランスデューサ600に印加される電圧601:VBが大きくて良い(例えば数千ボルトでも良いが、この範囲に限定されない)。高電圧電池を使用してVBを直接供給することは、望ましくない。代わりに、低電圧電池を昇圧回路602とともに使用して、VBを供給して良い。いくつかの実施形態では、低電圧電池によって、約1〜15ボルトの範囲の電圧を供給して良い。
【0164】
図6Dは、低電圧電池に接続され、トランスデューサ603にVBを供給する昇圧回路602を、本発明による一実施形態として示した回路図である。変圧一次駆動回路630は、電気入力インターフェース636に接続された低電圧電池から電圧を受け取るように設計して良い。変圧一次駆動回路630は、一次変圧巻線634を動作させ、電気入力インターフェース636の電圧より大きい電圧を二次巻線635に供給する。二次巻線635は、ダイオード631,632を通してコンデンサ633を充電する。コンデンサ633は、ILに等しい電流(図6Cを参照のこと)が正の負荷端子637に流れ込んだときに電荷を蓄えるように設計して良い。コンデンサ633に電流が流れ込むと、ダイオード631,632はバックバイアスされるので、電荷が二次巻線635を流れてコンデンサ633から漏れ出すことはない。昇圧回路602の利点は、トランスデューサ600のサイクル時に(図6Cを参照のこと)コンデンサ633を充電するのに必要な電池電力が少量のみである点にある。
【0165】
図6Eは、トランスデューサ600を利用した電気ジェネレータ603を、本発明によるさらに別の一実施形態として示した回路図である。電荷制御回路604および昇圧回路602の具体的な実施形態に関しては、図6B,6C,6Dを参照にしてすでに説明した。図6Bおよび図6Cでは、蓄積コンデンサ619の電圧が大きくて良く、例えば2000〜8000ボルトであって良い。約500〜2500ボルトを超える電圧で動作する電子回路の構築は、一般に比較的困難である。例えば、降圧真空管コンポーネント(高価で壊れやすく非効率的である)を必要とする場合がある。蓄積コンデンサ619の作動電圧を減少させ、多くの一般的な電子機器に適合する出力電圧662を供給するためには、蓄積コンデンサ619の代わりに降圧回路608を使用して良い。
【0166】
降圧回路608では、蓄積コンデンサ619を、直列に繋がれた3つのコンデンサ664,666,668で置き換えている。各コンデンサは、電力変換回路650,652,654の1つにそれぞれ接続されている。コンデンサの数は、3に限定されない。直列に繋がれたコンデンサの数が増大するにつれて、650,652,654などの電力変換回路に入力される電圧は減少する。電力変換回路の所要電圧および1つまたはそれ以上のトランスデューサ600の電圧出力に一致する入力電圧を各電力変換回路に供給するため、任意の数のコンデンサを使用して良い。電力変換回路(例えば650,652,654)は、適切な出力電圧を生成するように設計して良い。例えば、電力変換回路の出力電圧662は、3,5,12,または120ボルトであって良いが、これらの値に限定されない。さらに、いくつかの実施形態では、昇圧を使用して出力電圧662を増大させて良い。例えば、送電には一般に高電圧が使用される。電力変換回路は、出力インターフェース612(図6Aを参照のこと)に接続して良い。
【0167】
電力変換回路は、608で示したように、出力を並列に接続して上手く機能するように設計して良い。電力変換回路の設計は、当業者に周知の回路位相および回路コンポーネントを利用した従来のものであって良い。本発明によるいくつかの実施形態では、電力変換回路がそれらの入力端子と出力端子とを電気的に分離して良い。電気的な分離を提供できるものとして、様々な複雑度の各種の回路が当該分野において知られている。電気的な分離を提供できる電力変換回路の一例として、マサチューセッツ州トーントン所在のアストロダインによって製造されたモデル APC−55が挙げられる。
【0168】
それ以外にも、様々な種類の昇圧、降圧、電荷制御の回路が従来技術として知られており、本発明で使用するために適用して良い。既知の種類として、インダクタとトランジスタスイッチとダイオードとを利用したブースト回路およびバック回路、各種の昇圧変圧回路および降圧変圧回路、コンデンサとダイオードとを使用した昇圧用のコンデンサ型電圧増倍器などが挙げられる。
【0169】
また、ジェネレータ603は、様々なジェネレータパラメータをモニタするように設計されたセンサおよびセンサモニタ回路607を含んでも良い。これらの測定値は、ジェネレータの動作性能をモニタするおよび/または高めるために使用して良い。例えば、センサモニタ回路に接続されたセンサを使用して、ジェネレータ603の電力出力を決定して良い。別の一例として、昇圧回路602の電池にセンサを接続し、いつ電池が減少して取り替えが必要かを示して良い。さらに別の一例として、600などのトランスデューサが動作したサイクルの回数を、センサおよびセンサモニタ回路で測定して良い。サイクルの回数は、機器がその作動寿命の終わりに近づいているかを示すために使用して良い。さらに別の一例として、トランスデューサ600の変形率または変形距離を、センサおよびセンサモニタ回路によって測定し、その測定値を、603などのジェネレータの性能を高めるために使用される制御回路への入力として使用して良い。制御回路は、特に回路650,652,654の動作に対して同期化および制御を行って良い。さらに別の一例として、ジェネレータ603内の1つまたはそれ以上の位置における温度を、熱電対などのセンサおよびセンサモニタ回路を使用して測定して良い。さらに別の一例として、ジェネレータ603は、例えばエネルギ入力周波数など、エネルギジェネレータ603に入力される生体的力または環境的力の特徴を検出するように設計された、1つまたはそれ以上のセンサを含んで良い。入力された力から検出された特徴は、ジェネレータの性能を調整し、入力された力からより効率的にエネルギ収集できるようにするために使用して良い。本発明による機器では様々なセンサを使用して良く、上述したセンサに限定されない。
【0170】
センサモニタ回路は、センサモニタインターフェース667に対して信号を出力して良い。センサモニタインターフェース667は、603などのジェネレータのユーザによってモニタされる一定数のディスプレイを含んで良い。例えば、センサモニタインターフェースディスプレイは、ジェネレータの電力出力にしたがって起動される有色のLEDを積層させたものであって良い。最大電力出力は、発光されているLEDの出力の合計として表して良い。別の一例として、センサモニタインターフェース667の赤ライトを起動させ、昇圧回路602の電池が交換を必要としていることを示して良い。赤ライトは、何らかの方法で点滅しても良いし、あるいは固定していても良い。さらに別の一例として、センサモニタインターフェースの緑ライトによって、ジェネレータ603に接続された充電式電池が完全に充電されていることを示して良い。デジタルディスプレイなど他の多くの種類のディスプレイをセンサモニタインターフェース667とともに使用して良く、上述した例に限定されない。
【0171】
上述したように、昇圧回路602は電池によって動力を供給される。しかしながら、多くの用途では、この目的で電池を使用すると不都合を生じる。例えば、いくつかの実施形態では、電池を交換することが望ましくない。さらに別の一実施形態では、出力インターフェース612に接続された図示されない低電圧電池を、ジェネレータ603を使用して充電するために使用して良い。この電池は、同時に、602などの昇圧回路に入力電力を供給するために使用しても良い。この昇圧回路の出力は、電圧601:VBである。したがって、電池交換の頻度が大幅に減少される。
【0172】
コンデンサ664,666,668の電圧は、状況によっては互いに異なる場合があり、これは、回路故障または他の問題を生じ得る。別の一実施形態では、電力変換回路650,652,654のそれぞれに、入力電圧が一定の所定レベルを下回った場合に回路の動作を停止させる制御回路を含ませて良い。これは、直列に繋がれたコンデンサ664,666,668の電圧を等しく維持するのに役立つ。
【0173】
図6Fは、本発明によるEAP膜に対して電荷の追加および除去を行う回路700を示した図である。回路700は、EAP膜上の電荷プロフィルを確立するため、すなわちEAP膜上の電荷の量を時間の関数として確立するために使用して良い。以下では、図6Fの回路700の動作に関して説明する。可変コンデンサ702として図6Fに示したEAP膜は、およその「接地」状態(0Vと定義する)から高電圧Vh:704までの範囲で動作するが、効率を高めるためには、0VおよびVhのレールからいくらかオフセットすることが可能である。膜702には、漸増コンバータ(例として図6Dを参照のこと)を含むことができるエレクトロニクス制御サブ回路706を使用して、初期電荷を配置する。エレクトロニクス制御サブ回路706は、一般に、シングルチップコンピュータまたはマイクロコンピュータなどの論理素子を、EAP膜702上で電荷制御および電圧制御の機能を実施するために含んで良い。あるいは、回路700は、始動時には比較的低い電圧をコンデンサC1:708上に印加したうえで、上述したように、EAP膜702の機械−電気変換の特性(例えば膨張ガスによって駆動される)によって電圧を増大させて良い。EAP膜の電圧は、例えば抵抗器R:710を使用し、エレクトロニクス制御サブ回路706によってモニタすることができる。抵抗器R:710は、EAP電圧をモニタするのにごく少量の電力のみを使用すれば良いように、十分に大きい抵抗を有するように選択して良い。
【0174】
膜上にいくらかの初期電荷が存在し、膜の電圧を0VからVh:708の範囲にしている場合は、スイッチ712(通常は、図示したFETまたはIGBTなどの高速のトランジスタスイッチである)を「オン」または「導電状態」に手短に切り替えることによって、その電荷を全て接地へと放出することができる。電流は、EAP膜702から接地へと流れる。スイッチ712が切られると、インダクタL1:714は、ダイオード716を通ってコンデンサC1:708の高電位側へと電荷を流す。したがって、EAP膜702の電荷を放出させることによって、いくらかの電荷がC1:708に向かって押し出される。理想的な回路では、接地に流れる電荷の電圧の減少によって失われるエネルギの量が、C1:708に加えられるエネルギの量に等しい。スイッチ718を入れることによってEAP膜702に電荷が加えられると、C1:708からEAP膜702へと電荷が流れる。スイッチ718が切られると、インダクタとダイオードとの組み合わせすなわち720,722が、さらなる電荷を接地からEAP膜702へと引き入れる。このときも、電荷がC1:708からEAP膜702に流れることによって失われるエネルギの量は、電荷を接地から引き入れることによって得られるエネルギの量に等しい。EAP膜702の放電および充電のいずれの場合も、電荷は、インダクタ714,720によって低電圧側から高電圧側へと流れる。つまり、放電時にはEAP膜702からC1:708へと、そして充電時には接地からEAP膜702へと流れる。したがって、ブースト回路のように、常に高電圧側へと電荷が流れる。
【0175】
1:708にまたがって接続されたDC−DCコンバータ724は、高電圧エネルギを12VのDC出力:726に変換する際に、電荷を接地へと戻す。DC−DCコンバータ724は、C1:708の電圧が所望の値に到達した場合にのみ動作するように設計しても良いし、あるいは、エレクトロニクス制御サブ回路706によって制御し、必要な場合にのみ高電圧から低電圧への変換を開始するようにしても良い。例えば、始動時にはC1:708を比較的低電圧に充電しておき、ポリマを適切に機械的にサイクルさせスイッチ712,718を適切に使用することによって、C1:708の電圧を高いレベルに到達させて良い。初期の充電プロセス中は、C1:708のエネルギが初期の低電圧レベルから最適なレベルへと構築されるのを可能にするため、DC−DCコンバータ724による変換は行われない。
【0176】
EAP膜702が、固定コンデンサのような純粋な受動素子である場合は、回路700は、電気エネルギを動かすにすぎない。しかしながら、EAP膜702は、受動素子ではなく可変コンデンサである。したがって、電荷の移動のタイミングを計ることによって、サイクルごとに、EAP膜702からコンデンサC1:708へのエネルギの純移動が生じる。平均すると、電荷はそれが加えられたときよりも高い電圧でEAP膜702から除去されるので、最終的なエネルギの差はC1:708である。したがって、DC−DCコンバータ724は、適切な率でエネルギを除去することによって、Vh:704が任意の高電圧まで増大して電気破壊を生じるのを阻止する必要がある。電気破壊を阻止できる適切なエネルギ除去率は、回路へのフィードバック(DC−DCコンバータ724の中に内在させても良いし、DC−DCコンバータ726への制御線を追加で設けてエレクトロニクス制御サブ回路706によって制御しても良い)によって実現して良い。
【0177】
図6Fに示したスイッチ712,718は、次のように設計または構成して良い。スイッチ716は、ソースが接地されているので、簡単な設計を使用して良い。したがって、エレクトロニクス制御回路706は、スイッチ712を容易に直接切り替えることができる。一方で、スイッチ718は高電圧でフローティングするので、一般に、制御回路から分離する必要がある。図6Fでは、この機能のために小型の分離変圧器728を使用しているが、容量結合および光遮断器など従来技術において既知の他の技術を適切な回路とともに使用することもできる。
【0178】
回路700では、必要に応じ、負のバイアス電圧を追加のコンデンサとともに組み込んで良い。なお、図6Fの回路では、充電制御の中に昇圧機能がすでに組み込まれている。回路の初期充電がなされると、電荷が連続的にVh:704へと流れる。そして、EAP膜702を通して生じる少量の漏れ電流によって、サイクルごとにVh:704に流れる電荷の量が、漏れを生じない場合と比べて僅かに減少する。
【0179】
7.生体によって動力を供給されるジェネレータ
図7Aおよび図7Bは、本発明による踵接地ジェネレータ505の一実施形態を示した上面図および側面図である。図7Aは、履物の踵500に組み込まれたジェネレータ機器505の上面図である。履物は、踵500を取り付けられた靴、ブーツ、サンダル、ソックス、または任意の他のタイプのフットカバーであって良い。踵500は、取り外し可能な形で履物に取り付けて良い。したがって、履物に取り付けた第1の踵を取り外し、第2の踵と交換して良い。踵500は、履物に対する取り付けおよび取り外しを容易に行えるように、履物に固定するための取り付け手段を含んで良い。
【0180】
湿気が踵接地ジェネレータ505に浸入するのを防ぐため、踵500は、防水材料で構成して密封して良い。また、踵接地ジェネレータ505も防水性にして良い。踵接地ジェネレータは、1つまたはそれ以上のEAPトランスデューサ520を取り囲んだハウジング510と、伝達機構555(図7Bを参照のこと)と、出力調整用エレクトロニクス(図示せず)とを含んで良い。出力調整用エレクトロニクスは、図6A〜6Eを参照にして説明したように本発明とともに使用して良く、何らかの方法でハウジング510に組み込んで良い。出力調整用エレクトロニクスは、電荷制御回路と、昇圧回路と、降圧回路とを含んで良い。
【0181】
ジェネレータ505は、複数の円筒形アパチャ520を有した格子板515を含む。アパチャ520の数、サイズ、および形状は、可変であって良い。例えば、一部が楕円形であって一部が円形であっても良い。アパチャのサイズ、形状、および数は、履物を装着している人の大きさなどの複数のパラメータにしたがって、ジェネレータの性能を最適化するように、設計または構成して良い。
【0182】
図7Bは、履物の踵に組み込まれたジェネレータ機器を、本発明による一実施形態として示した側面図である。靴500の踵に格子板515を固定し、EAP膜562を伸張させて格子板515の底面に取り付ける。EAP膜562は、第2の板516によって格子板515に取り付けて良い。EAP膜562と、格子板515と、第2の板516との間での取り付け手段は、糊、エポキシ、ネジ、ボルト、およびこれらの組み合わせを含んで良いが、これらに限定されない。格子板516の下部には、流体で満たされた容器を固定して良い。一実施形態では、流体で満たされた容器555は可撓性のベローズ555である。ベローズ555は、ステンレス鋼、アセタール(デルリンとして知られる)、ナイロン、ポリカーボネート、およびABSなどの材料から構築して良い。他の実施形態では、流体で満たされた容器はブラダまたは薄膜であって良い。容器の中の流体564は、液体、ゲル、またはガスであって良い。本発明で利用して良い流体564の例として、作動油(ポンプ作動液)、空気、および水が挙げられる。
【0183】
ベローズ555は、人の二足歩行中に力552,554が踵500に加わると収縮し、これらの力が除去されると非収縮するように設計される。踵500の側壁は、湾曲する、撓む、または圧縮してベローズの収縮を可能にするように設計される。ストローク距離は、力が加えられたときと力が取り除かれたときとの間にベローズが移動する距離に対応し、ベローズ555の収縮距離と非収縮距離とを含む。ストローク距離は、一歩ごとに異なって良く、約1mmから10mmの範囲で良い。ベローズ555は、ベローズ555の最大収縮距離に制約を加える支持部材556を含んで良い。
【0184】
ベローズ555が収縮すると、流体564によってEAP膜562が変形され、複数のダイヤフラム(図5Aを参照のこと)としての複数のアパチャ520に食い込む。ベローズ555が収縮するとき、複数のアパチャ520の各ダイヤフラムの変形量は様々であって良い。力552,554の減少または除去にともなってベローズ555が非収縮するとき、EAP膜562は弛緩して良い。EAP膜562の変形およびそれに続く弛緩は、電気を生成するために使用して良い(例として図2Bを参照のこと)。一歩ごとに収集される電気の量は、その人の体重、歩き方、快適度、そして機器の設計などに依存し、約0.1Jから5.0Jの範囲であって良い。ポリマ1gあたりから収集される電気エネルギは、1gあたり約2Jを上回って良い。
【0185】
力552,554は、踵560の上面および下面に対して垂直に示されている。しかしながら、本発明は、踵の表面に対して垂直な力552,554に限定されない。歩行中は、踵の表面に対する力554の角度が変動し、力が踵560の上面および下面に不均一に分配される。
【0186】
本発明による履物ジェネレータは、履物の踵に設けられたトランスデューサに限定されない。トランスデューサは、例えば爪先など、二足歩行時に足の接地によって直接力を受ける、履物表面上の任意の場所に設けて良い。さらには、慣性力から電気を生成するトランスデューサを使用して良い。これらのトランスデューサを履物の様々な位置に固定し、二足歩行中の足の運動をもとにしてエネルギを収集して良い。また、履物とともに使用される中敷などの機器の中に、履物ジェネレータを組み込んでも良い。
【0187】
図8は、本発明による一実施形態として自己充電式電池450を示した側面図である。自己充電式電池450は、ハウジング452に包まれた慣性質量456を含む。慣性質量456は、何らかの充電式電池であって良い。慣性質量456は、慣性質量456が受け取る何らかの慣性力に応じ、方向464に沿って前後に移動して良い。慣性質量456がEAP膜459に向かって移動するときは、流体462は、EAP膜459の1つまたはそれ以上の部分を方向460に変形させ、EAP膜453の1つまたはそれ以上の部分を弛緩させる。慣性質量456がEAP膜453に向かって移動するときは、流体466は、EAP膜459の1つまたはそれ以上の部分を方向451に変形させ、EAP膜459の1つまたはそれ以上の部分を弛緩させる。そして、EAP膜453,459が変形を繰り返すのをもとにして、調整用エレクトロニクス458によって電気を収集して良い。電気は、電池456に蓄えて良い。挿入部454は、電池464が方向464に上下に摺動することを可能にし、流体466が流体462と混ざり合うことを阻止し、そして、電池464に電力を蓄えることまたは電池464から電力を引き出すことを可能にする電気接点を含んでいて良い。
【0188】
慣性力は、生体源または環境源から生成して良い。例えば、生体エネルギ源としては、本発明による自己充電式電池450を含んだ首輪を犬または猫に装着させて良い。電池456は、犬または猫が動き回るとともに充電される。電池は、首輪に設けられたロケータビーコンなどの電子機器に電力を供給するために使用して良い。環境源の一例として、波の運動をもとにして慣性力を生成して良い。例えば、450などの本発明によるジェネレータを、救命ボート、救命胴衣、または救命スーツなどに含ませて良い。波の運動によって慣性力が生成され、それをジェネレータ450によって電気に変換し、そしてそれを電池464に蓄えて良い。電池から得られる電力は、ロケータビーコン、通信機器、ライト、ヒータなどの1つまたはそれ以上の携帯用電子機器を作動するために使用して良い。
【0189】
8.結論
本発明は、いくつかの好ましい実施形態に即して説明されており、簡単のために省略したが、本発明の範囲内の変更、置換、等価物が存在する。例えば、本発明は、様々な多数の応用材料の電極に即して説明されたが、本発明は、これらの材料に限定されず、空気を電極として備える場合もある。さらに、本発明は、特定の性能範囲を持ついくつかの好ましいポリマの材料および形状寸法に即して説明されたが、本発明は、これらの材料および形状寸法に限定されず、挙げられた範囲外の性能を持つ場合もある。したがって、本発明の範囲は、添付の請求項を参照して決定されるべきである。
【符号の説明】
【0190】
100…トランスデューサ部分
102…ポリマ
104…トップ電極
106…ボトム電極
108,110…二次元方向
130…モノリシックダイヤフラム機器
131…モノリシックポリマ
131a,131b…ポリマ部分
132…フレーム
133a,133b…アパチャ
134a,134b…電極
136a,136b…電極
143…方向
150…モノリシックトランスデューサ
151…電気活性ポリマ
151a,151b…ポリマの一部
151c…ポリマの上面
151d…ポリマの底面
152a,152b…アクティブ領域
154a…トップ電極
154b…ボトム電極
156a…トップ電極
156b…ボトム電極
160…モノリシックトランスデューサ
161…ポリマ
161a,161b,161c,161d…ポリマの部分
162a,162b,162c,162d…アクティブ領域
163…中央部分
164a,164b,164c,164d…トップ電極およびボトム電極
167…剛性フレーム
168…剛性部材
169…環状経路
230…直線運動機器
231…ポリマ
232…剛性部材
233…ポリマの長さ
234…ポリマの幅
235,236…方向
240…多層機器
241…プリストレインドポリマ
242…剛性フレーム
243,244…電極
245…積層形の多層機器
246…ポリマ層
247…接着層
248,249…電極
250…剛性プレート
251…穴
300…機器
302…ポリマ
304…電極
308,310…剛性部材
312,314…エッジ
316,318…湾曲部分
320,322…二次元方向
370…三次元機器
372…ポリマ平面
372a,372b…二次元方向
373…ポリマ
374…フレーム
375…電極
376…非共平面方向
380…ベース
382a,382b,382c,382d…剛性部材
383a,383b,383c,383d…近心端
384…遠心端
385…垂直高さ
390…スパイダ機器
391…フレーム
392a,392b,392c,392d…対抗剛性部材
393…ベース
394…同一平面上でない方向
395a,395b,395c,395d…対抗剛性部材の近心端
396a,396b,396c,396d…対抗剛性部材の遠心端
397,398…ポリマ
400…二足歩行中の人
402…頭の上下動
404,416,418…直接力
405…重心
406…腕の振り
410…足の上下動
414…足の振り
408,412,420…ウェッビング
422…地面
450…自己充電式電池
452…ハウジング
453,459…EAP膜
454…挿入部
456…慣性質量
458…調整用エレクトロニクス
460…方向
462,466…流体
464…方向,電池
470…伝達機構
471,472…電気活性ポリマ膜
473…慣性質量
474…ハウジング
475…人の腕
480…伝達機構
481,482…電気活性ポリマ膜
483…支持部材
484…ハウジング
485…直接力
490…伝達機構
491…流体
492…モノリシックポリマ膜
493…支持部材
494…ハウジング
495…直接力
500…生体によって動力を供給されるジェネレータ機器
501…機械的作用
505…伝達継手機構
510…トランスデューサ
515…調整用エレクトロニクス
516…収集された電気エネルギ
500…履物の踵部分
505…踵接地ジェネレータ
510…ハウジング
515…格子板
516…第2の板
520…EAPトランスデューサ,アパチャ
552,554…力
555…伝達機構,ベローズ
556…支持部材
562…EAP膜
564…流体
600…トランスデューサ
601…トランスデューサにまたがる電圧
602…昇圧回路
603…電気ジェネレータ
604…電荷制御回路
605…負端子
607…センサモニタ回路
608…降圧回路
610…出力調整用エレクトロニクス
612…電気出力
615,616…ダイオード
618…機器負荷抵抗
619…蓄積コンデンサ
630…変圧一次駆動回路
631,632…ダイオード
633…コンデンサ
634…一次変圧巻線
635…二次巻線
636…電気入力インターフェース
637…正の負荷端子
650,652,654…電力変換回路
662…出力電圧
664,666,668…コンデンサ
667…センサモニタインターフェース
700…回路
702…可変コンデンサとしてのEAP膜
704…高電圧Vh
706…エレクトロニクス制御サブ回路
708…コンデンサ
710…抵抗器
712,718…スイッチ
714,720…インダクタ
722…ダイオード
724…DC−DCコンバータ
726…DC出力
728…分離変圧器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体によって生成される機械エネルギを電気エネルギに変換するためのジェネレータであって、
i)1つまたはそれ以上のトランスデューサであって、それぞれが、
少なくとも2つの電極と、
そのポリマの一部に加えられる変形に応じて電場の変化を生じるように構成されたポリマと
を備えるトランスデューサと、
ii)前記少なくとも2つの電極に接続され、前記1つまたはそれ以上のトランスデューサに対して電気エネルギの追加または除去を行うように設計または構成された調整用エレクトロニクスと、
iii)前記生体によって生成される機械エネルギを受け取り、前記生体によって生成される機械エネルギの一部を前記ポリマに移すように設計または構成された1つまたはそれ以上の伝達機構であって、前記生体によって生成される機械エネルギのうち前記移された部分は、前記ポリマの前記部分に変形を生じさせる、伝達機構と
を備えるジェネレータ。
【請求項2】
請求項1に記載のジェネレータであって、
前記生体によって生成される機械エネルギは、人または動物を備える生体システムから生成される、ジェネレータ。
【請求項3】
請求項1に記載のジェネレータであって、
前記生体によって生成される機械エネルギは、慣性力または直接力を生成し、前記慣性力の一部または前記直接力の一部は、前記伝達機構によって受け取られる、ジェネレータ。
【請求項4】
請求項3に記載のジェネレータであって、
前記直接力は、足の衝撃、手の収縮、手の衝撃、指の衝撃、胸の膨張、および胸の収縮のうちの1つを備える、ジェネレータ。
【請求項5】
請求項3に記載のジェネレータであって、
前記慣性力は、生体によって生成される運動から得られる、ジェネレータ。
【請求項6】
請求項1に記載のジェネレータであって、
前記1つまたはそれ以上の伝達機構は、慣性力に応じて移動するように設計または構成された慣性質量を備え、前記慣性質量の移動によって生成される機械エネルギは、電気エネルギを生成するために使用される、ジェネレータ。
【請求項7】
請求項1に記載のジェネレータであって、
前記1つまたはそれ以上の伝達機構は、前記生体によって生成される機械エネルギの前記一部を前記ポリマに移すように設計または構成された流体を備える、ジェネレータ。
【請求項8】
請求項1に記載のジェネレータであって、さらに、
前記生体によって生成される機械エネルギの前記一部を移すように設計または構成された1つまたはそれ以上の支持部材を備えるジェネレータ。
【請求項9】
請求項1に記載のジェネレータであって、さらに、
前記1つまたはそれ以上のトランスデューサと、前記1つまたはそれ以上の伝達機構と、を取り囲むハウジングを備えるジェネレータ。
【請求項10】
請求項9に記載のジェネレータであって、
前記ハウジングは履物に組み込まれている、ジェネレータ。
【請求項11】
請求項1に記載のジェネレータであって、
前記調整用エレクトロニクスは、昇圧、降圧、および電荷制御のうちの1つまたはそれ以上の機能を果たすように設計または構成される、ジェネレータ。
【請求項12】
請求項1に記載のジェネレータであって、さらに、
前記電気エネルギを出力するように設計または構成された電気インターフェースを備えるジェネレータ。
【請求項13】
請求項12に記載のジェネレータであって、
前記電気エネルギは、携帯用電子機器に電力を供給するために使用される、ジェネレータ。
【請求項14】
請求項1に記載のジェネレータであって、さらに、
前記1つまたはそれ以上のトランスデューサから除去された電気エネルギを蓄えるため、または前記ポリマの前記電荷を増大させるための1つまたはそれ以上の電池を備えるジェネレータ。
【請求項15】
請求項1に記載のジェネレータであって、
前記伝達機構は、前記ポリマと前記機械的入力とを結合させるための支持部材である、ジェネレータ。
【請求項16】
請求項1に記載のジェネレータであって、
各サイクルにおいて、前記1つまたはそれ以上のトランスデューサから除去される電気エネルギの総量は、前記1つまたはそれ以上のトランスデューサに追加される電気エネルギの総量より多く、前記ジェネレータからは、電気エネルギの純量が出力される、ジェネレータ。
【請求項17】
請求項1に記載のジェネレータであって、
前記伝達機構は、流体またはゲルで満たされた容器を含み、前記容器は、前記生体によって生成される機械エネルギの前記一部を移すように設計または構成される、ジェネレータ。
【請求項18】
請求項17に記載のジェネレータであって、
前記容器はベローズまたはブラダである、ジェネレータ。
【請求項19】
請求項1に記載のジェネレータであって、さらに、
前記1つまたはそれ以上のトランスデューサに取り付けられるように設計または構成された1つまたはそれ以上の支持構造を備えるジェネレータ。
【請求項20】
請求項19に記載のジェネレータであって、
前記1つまたはそれ以上の支持構造は、流体またはゲルで満たされた容器を含み、前記容器は、ポリマの1つまたはそれ以上の部分を変形させるように設計または構成される、ジェネレータ。
【請求項21】
請求項1に記載のジェネレータであって、
前記ポリマは、第1の部分と第2の部分とを備え、前記第1の部分および前記第2の部分は、少なくとも一方に加えられる変形に応じて電場の変化を生じるように構成される、ジェネレータ。
【請求項22】
請求項1に記載のジェネレータであって、さらに、
前記ジェネレータに接続された1つまたはそれ以上のセンサを備えるジェネレータ。
【請求項23】
請求項1に記載のジェネレータであって、さらに、
論理素子を備えるジェネレータ。
【請求項24】
請求項23に記載のジェネレータであって、
前記論理素子はマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラである、ジェネレータ。
【請求項25】
請求項1に記載のジェネレータであって、
前記ポリマは弾性的にプリストレインされている、ジェネレータ。
【請求項26】
請求項1に記載のジェネレータであって、
前記ポリマは約100MPaを下回る弾性率を有する、ジェネレータ。
【請求項27】
請求項1に記載のジェネレータであって、
前記ポリマは、シリコンエラストマ、アクリルエラストマ、ポリウレタン、PVDFを含むコポリマ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を備える、ジェネレータ。
【請求項28】
請求項1に記載のジェネレータであって、
前記ポリマは、少なくとも約10%の最大弾性面ひずみを有する、ジェネレータ。
【請求項29】
請求項1に記載のジェネレータであって、
前記ポリマは、少なくとも約5%の最大弾性線ひずみを有する、ジェネレータ。
【請求項30】
請求項1に記載のジェネレータであって、
前記ポリマの前記変形によって生成される前記電気エネルギは、前記ポリマの1gあたり少なくとも約0.2Jである、ジェネレータ。
【請求項31】
請求項1に記載のジェネレータであって、
サイクルごとに前記1つまたはそれ以上のトランスデューサから除去される前記電気エネルギは、少なくとも約0.1Jである、ジェネレータ。
【請求項32】
請求項1に記載のジェネレータであって、
前記ポリマは多層構造を備える、ジェネレータ。
【請求項33】
請求項32に記載のジェネレータであって、
前記多層構造は、2つまたはそれ以上のポリマ層を備える、ジェネレータ。
【請求項34】
請求項32に記載のジェネレータであって、
前記多層構造は、交互配置された支持構造を備える、ジェネレータ。
【請求項35】
請求項34に記載のジェネレータであって、
前記交互配置された支持構造は、前記ポリマより剛性が大きい、ジェネレータ。
【請求項36】
請求項32に記載のジェネレータであって、
前記多層構造は、前記1つまたはそれ以上のトランスデューサを前記調整用エレクトロニクスに電気的に結合するための導電性部材を備える、ジェネレータ。
【請求項37】
請求項32に記載のジェネレータであって、
前記多層構造はロール状に形成される、ジェネレータ。
【請求項38】
生体によって生成される機械エネルギを電気エネルギに変換するためのジェネレータであって、
i)1つまたはそれ以上のトランスデューサであって、それぞれが、
少なくとも2つの電極と、
そのポリマの一部に加えられる変形に応じて電場の変化を生じるように構成されたポリマと
を備えるトランスデューサと、
ii)前記少なくとも2つの電極に接続され、前記1つまたはそれ以上のトランスデューサに対して電気エネルギの追加または除去を行うように設計または構成された調整用エレクトロニクスと、
iii)前記生体によって生成される機械エネルギを受け取り、前記生体によって生成される機械エネルギの一部を前記ポリマに移すように設計または構成された1つまたはそれ以上の伝達機構であって、前記生体によって生成される機械エネルギのうち前記移された部分は、前記ポリマの前記部分に変形を生じさせ、前記ポリマは、約100MPaを下回る弾性率を有する、伝達機構と
を備えるジェネレータ。
【請求項39】
生体によって生成される機械エネルギを電気エネルギに変換するためのジェネレータであって、
i)1つまたはそれ以上のトランスデューサであって、それぞれが、
少なくとも2つの電極と、
そのポリマの一部に加えられる変形に応じて電場の変化を生じるように構成されたポリマと
を備えたトランスデューサと、
ii)前記少なくとも2つの電極に接続され、前記1つまたはそれ以上のトランスデューサに対して電気エネルギの追加または除去を行うように設計または構成された調整用エレクトロニクスと、
iii)前記生体によって生成される機械エネルギを受け取り、前記生体によって生成される機械エネルギの一部を前記ポリマに移すように設計または構成された1つまたはそれ以上の伝達機構であって、前記生体によって生成される機械エネルギのうち前記移された部分は、前記ポリマの前記部分に変形を生じさせ、前記ポリマは、少なくとも約10%の最大弾性面ひずみを有する、伝達機構と
を備えるジェネレータ。
【請求項40】
人の二足歩行中に生成される機械エネルギを電気エネルギに変換するためのジェネレータであって、
i)履物の中に搭載された1つまたはそれ以上のトランスデューサであって、それぞれが、
少なくとも2つの電極と、
そのポリマの一部に加えられる変形に応じて電場の変化を生じるように構成されたポリマと
を備えるトランスデューサと、
ii)人の二足歩行中に生成される機械エネルギを受け取り、前記機械エネルギの一部を前記ポリマに移すように設計または構成された1つまたはそれ以上の伝達機構であって、前記機械エネルギのうち前記移された部分は、前記ポリマの前記部分に変形を生じさせる、伝達機構と、
iii)前記少なくとも2つの電極に接続され、前記1つまたはそれ以上のトランスデューサに対して電気エネルギの追加または除去を行うように設計または構成された調整用エレクトロニクスと
を備えるジェネレータ。
【請求項41】
請求項40に記載のジェネレータであって、
前記調整用エレクトロニクスは、昇圧、降圧、および電荷制御のうちの1つまたはそれ以上の機能を果たすように設計または構成される、ジェネレータ。
【請求項42】
請求項40に記載のジェネレータであって、さらに、
前記1つまたはそれ以上のトランスデューサのうちの少なくとも1つと、前記1つまたはそれ以上の伝達機構のうちの少なくとも1つと、前記調整用エレクトロニクスと、を取り囲むハウジングを備えるジェネレータ。
【請求項43】
請求項42に記載のジェネレータであって、
前記ハウジングは防水性である、ジェネレータ。
【請求項44】
請求項40に記載のジェネレータであって、さらに、
前記1つまたはそれ以上のトランスデューサに取り付けられるように設計または構成された1つまたはそれ以上の支持構造を備えるジェネレータ。
【請求項45】
請求項40に記載のジェネレータであって、
前記ポリマは、第1の部分と第2の部分とを備え、前記第1の部分および前記第2の部分は、少なくとも一方に加えられる変形に応じて電場の変化を生じるように構成される、ジェネレータ。
【請求項46】
請求項40に記載のジェネレータであって、
前記ポリマは、シリコンエラストマ、アクリルエラストマ、ポリウレタン、PVDFを含むコポリマ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を備える、ジェネレータ。
【請求項47】
請求項40に記載のジェネレータであって、
前記1つまたはそれ以上の伝達機構は、前記人の二足歩行中に前記履物の一部が接地するときに機械エネルギを受け取る、ジェネレータ。
【請求項48】
請求項40に記載のジェネレータであって、
前記履物は少なくとも1つの踵を含む、ジェネレータ。
【請求項49】
請求項48に記載のジェネレータであって、
前記1つまたはそれ以上のトランスデューサと、前記1つまたはそれ以上の伝達機構のうち少なくとも1つと、前記調整用エレクトロニクスと、のハウジングは、前記履物の前記踵に組み込まれる、ジェネレータ。
【請求項50】
請求項49に記載のジェネレータであって、
前記踵は、前記履物から取り外し可能なように設計または構成される、ジェネレータ。
【請求項51】
請求項49に記載のジェネレータであって、
第1の踵を前記履物から取り外し、第2の踵を前記履物に取り付ける、ジェネレータ。
【請求項52】
請求項48に記載のジェネレータであって、
前記伝達機構は、前記人の二足歩行中に前記踵の一部が接地するときに機械エネルギを受け取る、ジェネレータ。
【請求項53】
請求項40に記載のジェネレータであって、
前記伝達機構は、流体またはゲルで満たされた容器を含み、前記容器は、前記機械エネルギの前記一部を移すように設計または構成される、ジェネレータ。
【請求項54】
請求項53に記載のジェネレータであって、
前記流体は、作動油、水、または空気である、ジェネレータ。
【請求項55】
請求項53に記載のジェネレータであって、
前記容器はベローズまたはブラダである、ジェネレータ。
【請求項56】
請求項53に記載のジェネレータであって、
前記容器は、前記機械エネルギを加えられると収縮し、前記機械エネルギを除去されると非収縮するように設計または構成される、ジェネレータ。
【請求項57】
請求項56に記載のジェネレータであって、
前記機械エネルギを加えられるときと、前記機械エネルギを除去されるときと、の間のストローク距離は、約1mmから約10mmの範囲である、ジェネレータ。
【請求項58】
請求項57に記載のジェネレータであって、さらに、
前記機械エネルギを加えられるときの前記ストローク距離に制約を加えるように設計または構成された支持部材を備えるジェネレータ。
【請求項59】
請求項40に記載のジェネレータであって、さらに、
前記伝達機構の中に搭載され、機械エネルギの前記一部を移す、1つまたはそれ以上支持部材を備えるジェネレータ。
【請求項60】
請求項40に記載のジェネレータであって、さらに、
前記少なくとも1つのトランスデューサに取り付けられた1つまたはそれ以上の支持構造を備えるジェネレータ。
【請求項61】
請求項60に記載のジェネレータであって、
前記1つまたはそれ以上の支持構造は、前記ポリマに取り付けられて1つまたはそれ以上のダイヤフラムを形成する、ジェネレータ。
【請求項62】
請求項61に記載のジェネレータであって、
前記1つまたはそれ以上のダイヤフラムは、円形のダイヤフラムまたはスロット状のダイヤフラムである、ジェネレータ。
【請求項63】
請求項40に記載のジェネレータであって、
前記ポリマは、第1の部分と第2の部分とを備え、前記第1の部分および前記第2の部分は、少なくとも一方に加えられる変形に応じて電場の変化を生じるように構成される、ジェネレータ。
【請求項64】
請求項40に記載のジェネレータであって、
前記二足歩行の運動は、1つまたはそれ以上の歩数からなり、前記ジェネレータから出力される電気エネルギの純量は、一歩ごとに約1Jから約5Jの範囲である、ジェネレータ。
【請求項65】
請求項40に記載のジェネレータであって、さらに、
論理素子を備えるジェネレータ。
【請求項66】
請求項65に記載のジェネレータであって、
前記論理素子はマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラである、ジェネレータ。
【請求項67】
人の二足歩行中に生成される機械エネルギを電気エネルギに変換するためのジェネレータであって、
i)履物の中に搭載された1つまたはそれ以上のトランスデューサであって、それぞれが、
少なくとも2つの電極と、
そのポリマの一部に加えられる変形に応じて電場の変化を生じるように構成されたポリマと
を備えるトランスデューサと、
ii)人の二足歩行中に生成される機械エネルギを受け取り、前記機械エネルギの一部を前記ポリマに移すように設計または構成された1つまたはそれ以上の伝達機構であって、前記機械エネルギのうち前記移された部分は、前記ポリマの前記部分に変形を生じさせる、伝達機構と、
iii)前記少なくとも2つの電極に接続され、前記1つまたはそれ以上のトランスデューサに対して電気エネルギの追加または除去を行うように設計または構成された調整用エレクトロニクスと
を備え、
前記ポリマは、約100MPaを下回る弾性率を有する、ジェネレータ。
【請求項68】
人の二足歩行中に生成される機械エネルギを電気エネルギに変換するためのジェネレータであって、
i)履物の中に搭載された1つまたはそれ以上のトランスデューサであって、それぞれが、
少なくとも2つの電極と、
そのポリマの一部に加えられる変形に応じて電場の変化を生じるように構成されたポリマと
を備えるトランスデューサと、
ii)人の二足歩行中に生成される機械エネルギを受け取り、前記機械エネルギの一部を前記ポリマに移すように設計または構成された1つまたはそれ以上の伝達機構であって、前記機械エネルギのうち前記移された部分は、前記ポリマの前記部分に変形を生じさせる、伝達機構と、
iii)前記少なくとも2つの電極に接続され、前記1つまたはそれ以上のトランスデューサに対して電気エネルギの追加または除去を行うように設計または構成された調整用エレクトロニクスと
を備え、
前記ポリマは、少なくとも約10%の最大弾性面ひずみを有する、ジェネレータ。
【請求項69】
環境によって生成される機械エネルギを電気エネルギに変換するためのジェネレータであって、
1つまたはそれ以上のトランスデューサであって、それぞれが、
少なくとも2つの電極と、
そのポリマの一部に加えられる変形に応じて電場の変化を生じるように構成されたポリマと
を備えるトランスデューサと、
前記少なくとも2つの電極に接続され、前記1つまたはそれ以上のトランスデューサに対して電気エネルギの追加または除去を行うように設計または構成された調整用エレクトロニクスと、
前記環境によって生成される機械エネルギを受け取り、前記環境によって生成される機械エネルギの一部を前記ポリマに移すように設計または構成された1つまたはそれ以上の伝達機構であって、前記環境によって生成される機械エネルギのうち前記移された部分は、前記ポリマの前記部分に変形を生じさせる、伝達機構と
を備えるジェネレータ。
【請求項70】
請求項69に記載のジェネレータであって、
前記環境によって生成される機械エネルギは、風、波、水流、および振動力からなる群より選択される環境エネルギ源から生成される、ジェネレータ。
【請求項71】
電気エネルギと機械エネルギとの変換を行うための機器であって、
i)少なくとも1つのトランスデューサであって、それぞれが、
少なくとも2つの電極と、
発電および機械的作動のうちの一方をサポートする方法で前記少なくとも2つの電極と電気通信を行う関係にあるポリマと
を備えるトランスデューサと、
ii)前記トランスデューサの第1の領域に結合された近心端と、遠心端と、を有する第1の部材と、
iii)前記トランスデューサの第2の領域に結合された近心端と、前記第1の部材の前記遠心端に結合された遠心端と、を有する第2の部材と
を備え、
平面に沿った前記ポリマの変形は、前記第1の部材および前記第2の部材の前記近心端を、前記平面に沿って移動させ、前記第1の部材および前記第2の部材の前記遠心端を、ともに、前記平面と同一平面上でない方向に移動させる、機器。
【請求項72】
請求項71に記載の機器であって、さらに、
前記第1の部材および前記第2の部材に取り付けられた可撓性の材料を含む機器。
【請求項73】
請求項72に記載の機器であって、
前記可撓性材料および前記トランスデューサはチャンバを形成するように取り付けられ、前記チャンバは流体を収容する、機器。
【請求項74】
請求項71に記載の機器であって、さらに、
前記第1の部材および前記第2の部材の前記遠心端に回動可能に結合された第1のベースを備える機器。
【請求項75】
請求項74に記載の機器であって、
前記第1の部材および前記第2の部材は、前記第1のベースに対して錐体状に構成される、機器。
【請求項76】
請求項74に記載の機器であって、
前記第1の部材および前記第2の部材は、前記ポリマの前記第1の部分が前記平面内で膨張すると前記第1のベースと前記ポリマとの間の距離が減少するように構成される、機器。
【請求項77】
請求項74に記載の機器であって、さらに、
前記トランスデューサの第3の領域に結合された近心端と、遠心端と、を有する第1の対抗部材と、
前記トランスデューサの第4の領域に結合された近心端と、前記第1の対抗部材の前記遠心端に結合された遠心端と、を有する第2の対抗部材と
を備え、
前記平面に沿った前記ポリマの変形は、前記第1の対抗部材および前記第2の対抗部材の前記近心端を、前記平面に沿って移動させ、前記第1の対抗部材および前記第2の対抗部材の前記遠心端を、ともに、前記平面と同一平面上にない方向に移動させる、機器。
【請求項78】
請求項77に記載の機器であって、さらに、
前記第1の対抗部材および前記第2の対抗部材に回動可能に結合された第2のベースを備える機器。
【請求項79】
請求項78に記載の機器であって、
前記少なくとも2つの電極によって提供される電場の変化に応じた前記ポリマの変形は、前記第1のベースと前記第2のベースとの間の距離を減少させる、機器。
【請求項80】
請求項78に記載の機器であって、
前記第1のベースと前記第2のベースとの間の距離の増加は、前記トランスデューサの電気エネルギを増大させる、機器。
【請求項81】
請求項71に記載の機器は、さらに、
前記トランスデューサの第3の領域に結合された近心端と、前記第1の部材および前記第2の部材の前記遠心端に結合された遠心端と、を有する第3の部材を含む機器。
【請求項82】
請求項71に記載の機器であって、
前記トランスデューサは、モータおよびジェネレータのうちの一方において使用される、機器。
【請求項83】
請求項71に記載の機器であって、
前記ポリマはプリストレインを含む、機器。
【請求項84】
請求項83に記載の機器であって、
前記第1の部材および前記第2の部材は、予荷重を加えて前記ポリマをプリストレインさせる、機器。
【請求項85】
電気エネルギと機械エネルギとの変換を行うためのジェネレータであって、
i)少なくとも1つのトランスデューサであって、それぞれが、
少なくとも2つの電極と、
発電および機械的作動のうちの一方をサポートする方法で前記少なくとも2つの電極と電気通信を行う関係にあるポリマと
を備えるトランスデューサと、
ii)前記トランスデューサの第1の領域に結合された近心端と、遠心端と、を有する第1の部材と、
iii)前記トランスデューサの第2の領域に結合された近心端と、前記第1の部材の前記遠心端に結合された遠心端と、を有する第2の部材と
を備え、
平面に沿った前記ポリマの変形は、前記第1の部材および前記第2の部材の前記近心端を、前記平面に沿って移動させ、前記第1の部材および前記第2の部材の前記遠心端を、ともに、前記平面と同一平面上にない方向に移動させ、前記ジェネレータは、さらに、
iv)前記少なくとも2つの電極に接続され、前記1つまたはそれ以上のトランスデューサに対して電気エネルギの追加または除去を行うように設計または構成された調整用エレクトロニクスと、
v)生体または環境によって生成される機械エネルギを受け取り、前記機械エネルギの一部を前記ポリマに移すように設計または構成された1つまたはそれ以上の伝達機構であって、前記機械エネルギのうち前記移された部分は、前記ポリマの前記部分に変形を生じさせる、伝達機構と
を備えるジェネレータ。
【請求項86】
機械エネルギを電気エネルギに変換するジェネレータであって、
i)1つまたはそれ以上のトランスデューサであって、それぞれが、
少なくとも2つの電極と、
そのポリマの一部に加えられる変形に応じて電場の変化を生じるように構成されたポリマと
を備えるトランスデューサと、
ii)前記少なくとも2つの電極に接続され、前記1つまたはそれ以上のトランスデューサに対して電気エネルギの追加または除去を行うように設計または構成された電荷制御回路と
を備えるジェネレータ。
【請求項87】
請求項86に記載のジェネレータであって、さらに、
入力電圧レベルで入力信号を受信し、出力電圧レベルで出力信号を出力するように設計または構成された降圧回路であって、前記出力電圧レベルは前記入力電圧レベルよりも低い、降圧回路を備えるジェネレータ。
【請求項88】
請求項87に記載のジェネレータであって、
前記入力信号は前記電荷制御回路から受信される、ジェネレータ。
【請求項89】
請求項87に記載のジェネレータであって、さらに、
前記出力信号を出力するように設計または構成された電気出力インターフェースを備えるジェネレータ。
【請求項90】
請求項89に記載のジェネレータであって、
前記電気出力インターフェースは電池に接続される、ジェネレータ。
【請求項91】
請求項89に記載のジェネレータであって、
前記電気出力インターフェースは携帯用電子機器に接続される、ジェネレータ。
【請求項92】
請求項87に記載のジェネレータであって、
前記出力電圧レベルは約1.5Vから約48ボルトの範囲である、ジェネレータ。
【請求項93】
請求項87に記載のジェネレータであって、さらに、
1つまたはそれ以上の電力変換回路部を備えるジェネレータ。
【請求項94】
請求項93に記載の調整用エレクトロニクスであって、さらに、
前記1つまたはそれ以上の電力変換回路部で受信された信号の電圧レベルを減少させるように設計または構成された1つまたはそれ以上のコンデンサを備える調整用エレクトロニクス。
【請求項95】
請求項86に記載のジェネレータであって、さらに、
入力電圧レベルで入力信号を受信し、出力電圧レベルで出力信号を出力するように設計または構成された昇圧回路であって、前記入力電圧レベルは前記出力電圧レベルよりも低い、昇圧回路を備えるジェネレータ。
【請求項96】
請求項95に記載のジェネレータであって、
前記出力信号は前記電荷制御回路によって受信される、ジェネレータ。
【請求項97】
請求項95に記載のジェネレータであって、さらに、
前記入力信号を受信するように設計または構成された電気入力インターフェースを備えるジェネレータ。
【請求項98】
請求項97に記載のジェネレータであって、
前記電気入力インターフェースは電池に接続される、ジェネレータ。
【請求項99】
請求項98に記載のジェネレータであって、
前記電池の電圧は約1.5Vから約12Vの範囲である、ジェネレータ。
【請求項100】
請求項95に記載のジェネレータであって、さらに、
変圧器を備えるジェネレータ。
【請求項101】
請求項100に記載のジェネレータであって、さらに、
前記変圧器を制御するための変圧一次駆動回路を備えるジェネレータ。
【請求項102】
請求項95に記載のジェネレータであって、さらに、
1つまたはそれ以上のセンサモニタ回路を備えるジェネレータ。
【請求項103】
請求項102に記載のジェネレータであって、さらに、
センサ出力インターフェースを備えるジェネレータ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図5J】
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【図5K】
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【図5L】
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【図5N】
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【図5O】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−102681(P2013−102681A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−2978(P2013−2978)
【出願日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【分割の表示】特願2001−564403(P2001−564403)の分割
【原出願日】平成13年2月23日(2001.2.23)
【出願人】(501228071)エスアールアイ インターナショナル (66)
【氏名又は名称原語表記】SRI International
【住所又は居所原語表記】333 Ravenswood Avenue, Menlo Park, California 94025, U.S.A.
【Fターム(参考)】