説明

環境改善材、環境改善構造および周辺環境改善方法

【課題】 木炭の有する種々の環境改善機能を損なうことなく、電磁波を十分に低減することもできる、環境改善材、環境改善構造および周辺環境改善方法を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる環境改善材は、木炭とフェライトを含む、ことを特徴とし、これを含む製品として用いられることもできる。本発明にかかる環境改善構造は、前記環境改善材を配置し、周辺環境を改善する、ことを特徴とする。本発明にかかる周辺環境改善方法は、地面に穿たれた穴の中に、前記環境改善材と水を投入し、さらに、天然塩、水晶、ショールトルマリン、天照石、ブラックシリカ、アパタイトおよび麦飯石からなる群より選ばれる少なくとも1種を投入し、前記穴を埋め戻す、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境改善材、環境改善構造および周辺環境改善方法に関する。詳しくは、地中に埋めたり、壁に埋め込んだりすることで周囲の環境を改善することのできる環境改善材と、このような環境改善材を用いた環境改善構造および周辺環境改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁波は、電子機器の誤作動を発生させたり、生物の健康にも好ましくない影響を与えたりする危険性があり、特に、携帯電話が広く普及し、新規な電化製品が次々に開発されている昨今にあっては、該電磁波による環境への悪影響は1つの社会問題となりつつある。電磁波発生源としては前記した携帯電話や電化製品のほか、高圧線などがあるが、これらは社会生活において、もはや必要不可欠となっており、これらを排除して問題の解決を図ることは現実的に不可能である。そのため、電磁波の発生自体を止めることはできないから、発生した電磁波をいかに低減させるかが重要となる。
ところで、環境を改善するための物質として、近年、吸放湿機能、ガス吸着機能、電位調整機能、マイナスイオン放出機能、電界調整機能など、環境改善に好ましい機能に優れる木炭が注目されている。例えば、木炭を居住空間に設置して、湿度を好ましい範囲に調整したり、人体にとって好ましくない揮発性化合物を吸着させてシックハウス対策に用いられたりしているほか、埋設して、電位調整機能、マイナスイオン放出機能、電界調整機能などにより地盤を改良する目的にも用いられたりしている。
【0003】
このような中で、本発明者は、木炭として高温炭化木炭粒を用い、これにピッチコークス粒と焼成無機物微粒を配合することにより、木炭の諸機能を向上させた環境改善材を提案している(特許文献1参照)。
しかし、上記のように環境改善に役立つ諸機能を数多く有する木炭や、さらにそれら木炭の諸機能を高めた上述の環境改善材によっても、電化製品や高圧線などから生じる電磁波を十分に低減することは困難であった。具体的には、前記木炭や環境改善材は、周辺の電界を調整することはできるが、磁界を調整することは困難で、十分な電磁波低減効果を得ることはできなかった。さらに、木炭のもつ上述した環境改善機能についても更なる向上が求められている。
【特許文献1】特開2005−305126
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、環境への悪影響などが危惧される電磁波を十分に低減させることができ、さらに、木炭のもつ様々な環境改善機能も増強されている、環境改善材、環境改善構造および周辺環境改善方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、従来用いられていた木炭と、併せてフェライトも用いるようにすれば、電磁波を十分に低減できるとともに、木炭のもつ環境改善機能がより良好に発揮されることを見出し、それを確認して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる環境改善材は、木炭とフェライトを含む、ことを特徴とする。
本発明にかかる環境改善構造は、前記環境改善材を配置し、周辺環境を改善する、ことを特徴とする。
【0006】
本発明にかかる周辺環境改善方法は、地面に穿たれた穴の中に、前記環境改善材と水を投入し、さらに、天然塩、水晶、ショールトルマリン、天照石、ブラックシリカ、アパタイトおよび麦飯石からなる群より選ばれる少なくとも1種を投入し、前記穴を埋め戻す、ことを特徴とする。
なお、本発明において「低減」とは、電磁波を消滅させるまで低減させる場合も含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電磁波を十分に低減させることができるとともに、木炭が通常有する環境改善機能を、さらに良好に発揮する環境改善材、環境改善構造および周辺環境改善方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明にかかる環境改善材、環境改善構造および周辺環境改善方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
〔環境改善材〕
本発明にかかる環境改善材には、木炭とフェライトが含まれる。
<木炭>
木炭としては、特に限定されず、例えば、活性化木炭、備長炭、竹炭などが挙げられるが、特に活性化木炭が好ましい。
【0009】
前記活性化木炭は、木材の細片すなわち木材チップを低温炭化させ、次いで、高温炭化させた後、水に接触させて活性化させることにより得ることができる。前記木材チップの原木としては、特に限定されないが、例えば、杉材、ヒマラヤ杉材、赤松材等の針葉樹材が用いられ、特に赤松材が好ましい。木材製品として利用し難く安価な細い木材や廃材を利用することができる。パルプ製造やボード建材の原料として大量に工業生産されている木材チップ製品を用いることもできる。木材チップの形状および寸法は特に限定されないが、木材チップの差し渡し径を測ったときに、その最大径が10〜60mmのものが好ましい。大き過ぎる木材チップは十分な炭化を行い難く、小さ過ぎる木材チップは取扱い難く、製造歩留りも悪い。
【0010】
前記活性化木炭を得るための低温炭化工程および高温炭化工程では、基本的には、通常の木炭製造装置および製造処理条件を採用すればよい。
前記低温炭化工程では、特に限定しないが、例えば、熱処理の温度を450〜550℃に設定することができる。また、熱処理時間は、木材チップの全体が十分に炭化される程度で良く、木材チップあるいは製造装置の条件によっても異なるが、通常は100〜120時間をかけて処理する。熱処理雰囲気は、空気の流入を遮断した状態で行う。モミ殻やオガクズで木材チップを覆った状態で処理することができる。
前記高温炭化工程では、特に限定しないが、例えば、熱処理の温度を800〜900℃、熱処理時間を好ましくは3〜60分、さらに好ましくは5〜15分に設定することができる。高温炭化工程では、前工程で低温炭化された木材チップ炭化物の表面に近い一部分のみを高温炭化し、木材チップ炭化物の中心部分には低温炭化部分を残しておく。処理時間によって、得られる活性化木炭に含まれる高温炭化部分と低温炭化部分との比率が調整される。処理時間が短すぎたり長すぎたりすると、高温炭化部分と低温炭化部分とのそれぞれの特性が十分に発揮できない。前記低温炭化工程と同じ装置で、熱処理温度を上昇させることで、低温炭化された木材チップ炭化物をそのまま高温炭化させることが好ましい。熱処理雰囲気は、酸素を供給した状態にする。
【0011】
高温炭化工程で熱処理を行った炭化物に水を接触させると、炭化物は急速に冷却されて消火する。その際に、水の化学的および物理的な作用によって、炭化物に複雑な形状の微細孔が形成されたり、炭化物の表面が改質されて吸着能などが向上したりする活性化が行われる。なお、水は液体状態であってもよいが、通常は水蒸気状態で炭化物に接触することになる。活性化工程の具体的処理装置や処理条件は、既知の活性炭製造技術において行われている水との接触処理と同様でよい。
このようにして得られる活性化木炭は、内部に多数の微細孔を有する多孔質構造であり、この微細孔による物理的な吸着作用を有するとともに、微細孔の表面が化学的あるいは物理的に活性化されていて高い吸着能を発揮する。前記製造方法から判るように、活性化木炭は、原料となる木材チップ以外の添加剤や活性化処理剤を使用する必要がない。
【0012】
活性化木炭は、吸着能に優れ、吸放湿性、脱臭性、防黴性、遠赤外線放射性、導電性、電磁波吸収性、イオン調整機能などに優れている。活性化木炭の吸着能は、吸着物質と接触したときの立ち上がり速度が大きい。また、吸着物質を分解する作用があるため、活性化木炭の微細孔に吸着物質が詰まって吸着能が低下することが防げ、長期間にわたって安定した吸着能を発揮できる。
活性化木炭には、低温炭化工程で炭化された低温炭化部分と、高温炭化工程でさらに炭化された高温炭化部分とが混在している。通常は、中心側に低温炭化部分、外周側に高温炭化部分が存在する。活性化木炭は、低温炭化部分と高温炭化部分の機能や役目を相乗的に発揮させることができる。
【0013】
前記活性化木炭は、粉砕して活性化木炭粉にすることで、他の材料に対する担持や含有の処理が行い易くなる。
粉砕装置および粉砕条件は、通常の木炭粉の製造技術が適用できる。
活性化木炭粉を粒径5mm以下に粉砕するのが好ましい。粒径が小さいほど、単位重量当たりの表面積が大きくなり、表面性状に基づく諸特性が向上する。
前記したように低温炭化部分と高温炭化部分とが混在する活性化木炭を粉砕した活性化木炭粉にも、低温炭化部分と高温炭化部分とが混在する。個々の活性化木炭に低温炭化部分と高温炭化部分が存在することが好ましいが、低温炭化部分からなる活性化木炭粉と高温炭化部分からなる活性化木炭粉とが均一に分散していてもよい。
【0014】
<フェライト>
フェライトは、MO・Feなる組成をもつ一群の鉄酸化物であり、優れた磁性体材料である。Mは2価の金属イオンで、例えば、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+などである。金属酸化物と酸化鉄との粉末を混合し、圧縮成形した後に焼成することにより得ることができる。Mは1種だけに限らず、2種以上を組み合わせて混入し、固溶体をつくることにより、種々の磁化特性を生じさせることもできる。
例えば、平均粒径100μm以下の粉末として使用できる。
<他の材料>
本発明にかかる環境改善材には、本発明の効果を該しない範囲で、木炭、フェライト以外の材料を用いることができる。そのような木炭、フェライト以外の材料としては、特に限定されないが、例えば、石炭、コークス(特に、ピッチコークス、高温焼成コークス)、黒鉛、人造黒鉛、炭素繊維、焼成無機物、天然塩、木酢液、竹酢液、EM菌、波動性鉱物(水晶、ショールトルマリン、天照石、ブラックシリカ、アパタイト、麦飯石など)などを用いることができる。好ましくは、ピッチコークス、焼成無機物を用いる。
【0015】
前記ピッチコークスは、コールタールや石炭を蒸留して得られるピッチを原料にして製造される。ピッチコークスは炭素を主成分としており、環境の改善機能として木炭と同様の特性を有している。特に、炭素率98%以上のピッチコークスは、導電率が非常に高く、木炭と同様あるいは上回る特性を有している。ピッチコークスは、木炭に比べて固くて強度があり比重も大きいので、地下に埋設して使用するときなどに、戴荷力が高く、崩れたり変形したりし難い。特に、硬度5.1kg以上のピッチコークスは、木炭に比べて戴荷力が大幅に向上する。平均粒径0.5〜2mmのものが取り扱いやすく、電磁波低減効果にも優れている。また、安価に入手可能である点でも好ましい。
【0016】
前記焼成無機物は、原料を焼成することで得られた無機物であり、他の材料の周囲に存在して、それらの機能を高めるものである。焼成無機物自体には、電磁気的機能などは無くても構わないが、前記電磁気的機能などを有するものを用いれば、本発明の効果を高めることができるため、より好ましい。焼成無機物の材料としては、例えば、鉱物や粘度などの天然原料を焼成したセラミックやガラスなどが用いられる。有機物と無機物を含む原料を焼成することで、無機物だけを残したものでも良い。焼成無機物の焼成温度は、高い方が好ましく、具体的には800℃以上であることが好ましい。高温焼成された無機物は、他の材料の機能を損なうことなく、相乗的な機能の向上を果たすことができる。
【0017】
前記焼成無機物として、より具体的には、例えば、火力発電所などからの廃棄物として得られるフライアッシュが使用できる。石炭燃焼時に発生する炭のうち、燃焼ガス中に浮遊した状態で排出されて集塵機などで回収される微細な粒状の灰である。
前記焼成無機物の市販品としては、例えば、商品名「AZP」(ラサ工業社製、リン酸エステル製品、化学名:オイレルアシッドホスフェート)が挙げられる。また、商品名「イオニード」(昭和電気硝子工業社製、ガラス素材)も使用できる。この物質には、マイナスイオンや遠赤外線の放出機能があるとされる。
前記焼成無機物として、例えば、平均粒径30μm以下のものが使用できる。
【0018】
<環境改善材の組成>
本発明にかかる環境改善材の組成として、特に限定するわけではないが、例えば、木炭(ピッチコークスおよび/または焼成無機物をさらに含む場合は、木炭、ピッチコークス、焼成無機物の混合物)30〜70重量部に対して、フェライトを30〜70重量部の割合で混合することが好ましい。さらに、木炭、ピッチコークス、焼成無機物からなる混合物とする場合、それら各材料の割合を、木炭29〜70重量%、ピッチコークス29〜70重量%、焼成無機物1〜5重量%とすることがより好ましい。
〔環境改善製品〕
本発明にかかる環境改善製品は、上述した本発明の環境改善材を用いて製造される。
【0019】
具体的には、粉体状の環境改善材を、通気性のある包装容器に収容すれば、取扱い、持ち運びが容易で、外観性も向上する。包装容器として、布や不織布などからなる通気性袋を使用すれば、製造が容易で取扱い易い。合成樹脂の成形品からなる容器であって、外壁に微細な孔を有するものや、紙箱、紙筒なども使用できる。
包装容器に収容された環境改善材は、住宅の室内や自動車の車内などに設置して、設置空間の環境改善に使用することができる。包装袋に収容された環境改善材を、住宅などの敷地内に埋設することで、敷地全体の環境改善を果たすことができる。包装袋として、合成繊維あるいは天然繊維で編織された布袋や、不織布からなる袋が使用できる。具体的には、麻袋が使用できる。
【0020】
粉体状の環境改善材を成形材料に配合し、成形材料を成形硬化させて環境改善製品とすることもできる。成形材料には、セメントなどの水硬性材料あるいは無機系バインダーを適量の水とともに配合しておいたり、熱可塑性・熱硬化性の合成樹脂を配合しておいたりすることができる。成形方法としては、プレス成形、押出成形などが挙げられる。成形品として、シート材やボード材、ブロック材、管材、さらには、置物や日用品、その他、より複雑な立体構造物を得ることもできる。一般的なセメント建材や窯業系建材と同様の形状や構造を有するものが製造できる。発泡樹脂成形に適用することもできる。
この場合において、例えば、練炭製造用のプレス成形型を用いて成形するときは、練炭形の環境改善製品が得られる。練炭状成形品からなる環境改善製品は、その全体が円柱状をなすとともに、円の中心軸方向に貫通する多数の孔が設けられている。このような多数の貫通孔を有することで、表面積が増大し、環境中の空気や水などとの接触による環境改善機能が効率的に発揮できるようになる。
【0021】
環境改善材の成形品を製造するための成形材料の配合として、環境改善材100重量部に対して、セメントなどの水硬性の無機系バインダーを5〜60重量部の範囲で配合することができる。さらに、環境改善材と無機系バインダーとの混合物100重量部に対して、水を20〜50重量部の範囲で配合することができる。樹脂バインダーを使用する場合も、無機系バインダーと同じ程度の配合量が採用できる。成形材料中に占める環境改善材の割合が少な過ぎると、目的の機能が十分に発揮できない。バインダーが少な過ぎると、成形がうまく出来なかったり、成形品の強度が低下したりする。
成形品のうち、シート材やボード材は、住宅の建材として使用することができる。建材が施工された壁や天井、床などに隣接する空間の環境改善を果たす。置物や日用品、その他の成形品の場合も同様である。シート材で、食品等を包んだり、植木鉢を囲んだりすることで、内部の食品や植物の環境を改善することができる。例えば、飲み物が入ったボトル容器の外周に環境改善機能シート材を巻き付けておくことで、内部の飲み物の電磁気的特性を改善する機能がある。
【0022】
シート材として、不織布や編織布、紙などに、環境改善材の粉体を担持させたり、塗工したりしておくこともできる。シート材の裏面に粘着層を設けておけば、環境改善材を設置する機器や装置あるいは人体などへの取りつけが容易になる。
〔環境改善材やその製品の使用〕
本発明にかかる環境改善材や環境改善製品の使用について、製品の使用は環境改善材と同様であるので、以下では、環境改善材を例に挙げて説明する。
環境改善材を使用する際の形態としては、特に限定されず、例えば、粉末状として他の製品などに混入させることができ、前記他の製品に簡易に本発明にかかる環境改善材のもつ電磁波低減機能その他の優れた環境改善機能を付与することができる。また、粉末状の環境改善材を通気性の高い包装容器、例えば、合成繊維や天然繊維で編織された布袋、不織布からなる袋などに収容して用いることができる。さらに、成形加工により、ボード状、ブロック状、球状、棒状、ピラミッド形状とすることもできる。環境改善材を使用する者が、使用目的・用途などに応じて、好ましい使用形態を適宜選択すれば良い。
【0023】
前記した環境改善材を配置することで、周辺環境を改善することができる。特に、環境改善材を電磁波影響下に配置することで、電磁波を十分に低減可能な本発明にかかる環境改善材を用いる意義が大きい。ある地点が電磁波影響下にあるか否かは、電磁波発生源が何であるかによっても異なるが、例えば、前記電磁波発生源が高圧線であれば、該高圧線から半径100m以内の地点は通常電磁波影響下にあるといえる。電磁波発生源から近い場所であるほど、本発明の環境改善効果が顕著となる。
環境改善材の配置に関しては、特に、埋設して地中に配置することが好ましい。前記埋設の方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のようにして行う。
【0024】
まず、環境改善材を埋設する場所を決定する。本発明では、例えば、図1に示す環境改善構造のように、強い電磁波を発生させる高圧線30のすぐ近くの地中20に環境改善材10を埋設することが好ましい。また、図2に示すように住宅40の下の地中20に環境改善材10を埋設するようにしても良い。図中、21は埋め戻し土を表す。一般的に住宅には電磁波を発生させる家電製品が多く存在するため、それらの電磁波を低減するのに有効である。なお、図1、図2は本発明にかかる環境改善構造を簡略的に示したものであり、理解の容易化のために、環境改善材やこれを埋設する穴などの縮尺は実際よりもやや拡大して示してある。
【0025】
次に、地面を掘削して環境改善材を埋設するための穴を作る。掘削方法としては、特に限定されず、手掘りであっても良いし、機械を用いて行っても良い。穴の形状は、特に限定されず、例えば、円柱、直方体などの形状が挙げられる。穴の寸法については、用いる環境改善材の種類によっても異なるが、例えば、円柱状であれば、直径1.5〜2.0m、深さ1.5〜2.0m、直方体であれば、縦1.0〜2.0m、横1.0〜2.0m、深さ1.5〜2.0mの寸法とすることができる。
掘削後、作成した穴に、環境改善材を入れる。環境改善材の投入量としては、用いる環境改善材の種類によっても異なるが、例えば、120〜200kgとすることができる。
【0026】
木炭とフェライト以外の材料も用いる場合には、各材料は次のようにして投入することが好ましい。すなわち、まず、石炭、コークス、黒鉛、人造黒鉛、炭素繊維、焼成無機物などの材料について、木炭、フェライトとともに予めニーダーなどで均一混合しておき、合成繊維や天然繊維で編織された布袋や、不織布からなる袋などに充填した状態で穴に投入し、次に、その上に、好ましくは水を投入した後、天然塩、水晶、ショールトルマリン、天照石、ブラックシリカ、アパタイトおよび麦飯石からなる群より選ばれる少なくとも一種の材料を投入する。さらに、木酢液、竹酢液、EM菌などを投入すると、より一層本発明の効果が高まる。
【0027】
各材料を投入後、掘り返していた土を戻して、環境改善材の埋設が完了する。
このような埋設作業を複数個所にわたって行えば、より一層の環境改善効果が発揮される。
埋設以外の別の使用形態として、環境改善材を壁に埋め込むようにしても良いし、地中や壁に埋めずに、そのままの状態で生活空間内に設置しておいても良い。
〔環境改善材の用途〕
本発明にかかる環境改善材の用途としては、特に限定されず、例えば、店舗、ホテル、工場、マンション、オフィスビルなどの人間の居住する建造物全般、中でも、病院、養老院、学校、幼稚園、保育園、公共建造物(駅、鉄道、図書館、公民館、公園など)において好ましく使用できる。その他、水田、畑、山林、果樹園などの農林関連の土地、養魚場、養豚所、養鶏所、牧畜などの畜産関連の土地、水源地や河川などの水産業関連の土地、においても好ましく使用できる。環境改善材によって、電磁波による悪影響を低減できるとともに、その他の環境周波数や地中・地表間の電位差、水質などについても、生物にとって良好な状態へと改善することができるため、各建造物・土地にとって非常に好ましい環境を形成することができる。
【実施例】
【0028】
以下に、実施例によって本発明の環境改善材、環境改善構造および周辺環境改善方法をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例における測定方法および評価方法を以下に示す。
<電界および磁界の強さの測定>
ガウスメーター(HOLADAY社製)を用いて、測定した。
<環境周波数の測定>
環境周波数とは、環境、すなわち、動植物をはじめ、有機・無機の物質が有する振動を0〜100までの周波数として数値化したものであり、レヨメータデジタル(レヨネックス社製)を用いて測定される。
【0029】
9ヘルツ以下は健康上好ましい環境、14ヘルツ以上であれば健康上好ましくない環境、10〜13ヘルツはその中間であり不安定な環境である。
<地表・地中間電位差の測定>
地表から5cmの深さ(地表部)での電位と、地表から35cmの深さ(地中部)での電位を測定して、前記地表部、地中部間の電位差を算出し、これを地表・地中間電位差とした。数値の正負について、地表部の方が高電位である場合には正の値、地中部の方が高電位である場合には負の値を取るよう測定した。
地表部の方が地中部よりも高電位であるほど、地表部が電子豊富(マイナスイオン状態)となり、その還元作用により、好ましい環境といえる。
【0030】
<水の酸化還元電位の測定>
ORPメーター(堀場社製)を用いて測定した。
酸化還元電位(ORP)が低いほど、還元作用に優れ、生物の健康に好ましいとされ、水のおいしさも向上するとされる。前記酸化還元電位は、通常の水道水で、+500〜700mV程度、市販のミネラルウォーターで、+200〜300mV程度である。
〔実施例1〕
平均粒径1.0mmの活性化木炭10重量%、平均粒径2.0mmのピッチコークス85重量%、平均粒径30μmのフライアッシュ5重量%をニーダーで混練して混合物を得た後、さらに、前記混合物70重量部に対して平均粒径100μmのフェライト30重量部を添加し、ニーダーで混練することにより、環境改善材を得た。
【0031】
高圧線の真下にある測定地点Aにて地面を掘削して、縦1.5m、横1.5m、深さ1.5mの穴を作り、そこへ前記環境改善材を120kg入れた後、掘り返していた土を戻すことにより、前記環境改善材を埋設した。
埋設後の磁界の経時的変化を図3、地中電位差の経時的変化を図4に示す。
〔実施例2〕
実施例1と同様にして、測定地点Aと同様、高圧線の真下にある測定地点Bにて、環境改善材を埋設した。測定地点Bでの、埋設前および埋設から3ヵ月経過後における環境周波数および地表・地中間電位差を測定したところ、埋設前は環境周波数12.6ヘルツ、地表・地中間電位差163mV、埋設から3ヶ月経過後では環境周波数0.0ヘルツ、地表・地中間電位差300mVであった。
【0032】
〔実施例3〕
実施例1と同様にして、測定地点Aと同様、高圧線の真下にある測定地点Cにて、環境改善材を埋設した。測定地点Cでの、埋設前および埋設から6ヵ月経過後における環境周波数および地表・地中間電位差を測定したところ、埋設前は環境周波数21.7ヘルツ、地表・地中間電位差54mV、埋設から6ヶ月経過後では環境周波数0.0ヘルツ、地表・地中間電位差365mVであった。
〔実施例4〕
実施例1と同様にして、測定地点Aと同様、高圧線の真下にある測定地点Dにて、環境改善材を埋設した。測定地点Dでの、埋設前および埋設から3日経過後における水道水の酸化還元電位を測定したところ、埋設前は550mV、埋設から3日経過後では112mVであった。
【0033】
〔評価〕
(1)図3、図4に示す実施例1の結果を見ると、図4で示す電界のみならず、図3で示す磁界についても、その強さは日数の経過とともに減衰する傾向が見られ、最終的には、いずれも低い値に落ち着いている。この結果から、電磁波が磁界、電界に与える影響は、いずれについても炭を埋設することにより十分に低減されていることが分かる。
(2)本発明にかかる環境改善材は、電磁波低減機能に優れるのみならず、従来から木炭の機能として知られている諸機能をも向上したものであることが、実施例2〜4の結果から分かる。具体的には、実施例2、3から、環境周波数および地表・地中間電位差が測定地点B、測定地点Cのいずれにおいても、環境改善材の埋設によって非常に好ましい数値へと改善されていることが分かる。また、実施例4からは、環境改善材の埋設によって水道水の品質が極めて向上していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明にかかる環境改善材、環境改善構造および周辺環境改善方法は、例えば、人間の居住地域や、農林、畜産、水産業などに関わる地域において好適に利用でき、特に、電化製品の多い住宅や高圧線の周辺地域など、強い電磁波の発生する場所において好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明にかかる環境改善構造を示す簡略図である。
【図2】本発明にかかる環境改善構造を示す簡略図である。
【図3】本発明にかかる環境改善構造によって磁界の強さが経時的に変化する様子を示すグラフである。
【図4】本発明にかかる環境改善構造によって電界の強さが経時的に変化する様子を示すグラフである。
【符号の説明】
【0036】
10 環境改善材
20 地中
21 埋め戻し土
30 高圧線
31 鉄塔
40 住宅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木炭とフェライトを含む、環境改善材。
【請求項2】
前記木炭が、木材チップを450〜550℃で熱処理して炭化させ、次いで、800〜900℃で熱処理してさらに炭化させた後、水に接触させて活性化させることにより得られる活性化木炭であり、ピッチコークスと焼成無機物をさらに含む、請求項1に記載の環境改善材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の環境改善材を含む、環境改善製品。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかに記載の環境改善材および/または環境改善製品を配置し、周辺環境を改善する、環境改善構造。
【請求項5】
前記配置が電磁波影響下への配置である、請求項4に記載の環境改善構造。
【請求項6】
前記配置が、前記環境改善材を地中に埋設することである、請求項4または5に記載の環境改善構造。
【請求項7】
地面に穿たれた穴の中に、請求項1から3までのいずれかに記載の環境改善材および/または環境改善製品と水を投入し、さらに、天然塩、水晶、ショールトルマリン、天照石、ブラックシリカ、アパタイトおよび麦飯石からなる群より選ばれる少なくとも1種を投入し、前記穴を埋め戻す、周辺環境改善方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−136950(P2008−136950A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326160(P2006−326160)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(597021369)日の丸カーボテクノ株式会社 (12)
【Fターム(参考)】