説明

環境浄化成形体及びその製造方法

【課題】竹黒炭や竹白炭、ゼオライトそれぞれの効能を相乗的に発揮且つ半永久的に持続可能とするとともに、所望の形状に成形可能である環境浄化成形体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】環境改善に利用する環境浄化成形体αは、竹黒炭粉末1、竹白炭粉末2、及びゼオライト粉末3を、この順にて、30%〜25%、30%〜25%、及び40%〜50%の組成重量比で加水混練し、丸粒状に押出成形後、焼結することで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居住・生活空間等の屋内気中、水中、土中の環境改善に利用される環境浄化成形体及びその製造方法に係り、詳細には、環境改善に有効な効能を相乗的に発揮且つ半永久的に持続可能であるとともに、所望の形状に成形可能である環境浄化成形体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境等の問題に対する関心の高まりにより、省エネ対策等の観点から、住居やオフィス等の居住・生活空間の高気密化・高断熱化が促進されている。
【0003】
一方、これに伴い居住・生活空間の換気回数やその機会が大幅に減ることで、同空間内にプラスイオンが過剰になり、臭気が発生するなどの弊害が齎されている。さらに、居住・生活空間内に設置された家電製品やOA機器等が電磁波を放射するため、それに拍車が掛かっている。
【0004】
そこで、このような悪循環を解消する一環として、炭焼き窯内で生成された竹炭の粉末、ゼオライト粉末、及び粘土からなる混合物に水を加えて所望の形状に成形後、その炭焼き窯内で焼結することにより構成される多孔質セラミックが開示されている。
【特許文献1】特開2004−339042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、竹炭の中で竹黒炭や竹白炭がそれぞれ特異の機能性の高さから注目されており、それらの使用が強く要望されている。ところが、炭焼き窯内の細かな温調が殆ど不可能である故に温度ムラが不可避であるとともに、窯内に塵等の不純物が浮遊等する状態で炭化物の生成が行われるため、上記文献の開示技術は高純度且つ高品質な竹黒炭の均質量産に不向きである。まして、炭焼き窯内の最高到達温度を800℃としているため、その開示技術では竹白炭の生成自体不可能である。
【0006】
そもそも上記文献では、竹白炭の特徴やその製造方法等に関する記載及びその示唆が一切見られないばかりか、炭焼き窯内最高到達温度のかかる設定値から、良質な竹炭として想定されているものは、精々竹黒炭(炭化温度が約700℃)までである。従って、同文献の開示技術によれば、竹白炭が多孔質セラミックの素材に採用されることはない。
【0007】
そこで、仮に竹黒炭や竹白炭、ゼオライトそれぞれを別個に利用するとしても、竹黒炭や竹白炭は、プラスイオンをその除去のため吸着し得る微細孔の数が有限であるとともに、文字通り「炭」であるため壊れ易いことから、使用可能な期間には限度がある。そのため、目標の環境改善を達成するまで、竹黒炭や竹白炭をその効能が切れたり、壊れたりする度に入手する必要があり、煩わしい。
【0008】
一方、ゼオライトは、陽イオン交換能を有するため、吸着能を長期間に亙り維持可能なものの、加工の困難さから採り得る形状が限定されてしまう。このことは、竹黒炭や竹白炭についてもその壊れ易さ等のため言えることである。
【0009】
また、竹黒炭や竹白炭、ゼオライト個々の効能を全て享受するためには、それらを全て入手して使用するとともに、効能が切れたり、壊れたりする度に補充する必要があることから、費用が嵩み極めて不経済的である。
【0010】
ここにおいて、本発明の解決すべき主要な目的は、次のとおりである。
即ち、本発明の第1の目的は、半永久的に使用可能な環境浄化成形体及びその製造方法を提供せんとするものである。
【0011】
本発明の第2の目的は、様々な形状に成形可能な環境浄化成形体及びその製造方法を提供せんとするものである。
【0012】
本発明の第3の目的は、環境改善に有益な複数の効能を相乗的に発揮可能な環境浄化成形体及びその製造方法を提供せんとするものである。
【0013】
本発明の第4の目的は、高純度且つ高品質な竹黒炭粉末及び竹白炭粉末を成分とする環境浄化成形体及びその製造方法を提供せんとするものである。
【0014】
本発明の他の目的は、明細書、図面、特に特許請求の範囲の各請求項の記載から、自ずと明らかとなろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明環境浄化成形体においては、竹黒炭粉末、竹白炭粉末、及びゼオライト粉末を混合形成することで構成される、という特徴的構成手段を講じる。
【0016】
また、本発明環境浄化成形体の製造方法においては、竹黒炭粉末、竹白炭粉末、及びゼオライト粉末を加水混練し、所望の形状に成形後、焼結する、という特徴的構成手段を講じる。
【0017】
さらに、具体的詳細に述べると、当該課題の解決では、本発明が次に列挙する上位概念から下位概念に亙る新規な特徴的構成手段を採用することにより、前記目的を達成するよう為される。
【0018】
即ち、本発明環境浄化成形体の第1の特徴は、所定割合の竹黒炭粉末、竹白炭粉末、及びゼオライト粉末を加水混練し、所望の形状に成形後、焼結することで構成されてなる、環境浄化成形体の構成採用にある。
【0019】
本発明環境浄化成形体の第2の特徴は、上記本発明環境浄化成形体の第1の特徴における前記竹黒炭粉末、前記竹白炭粉末、及び前記ゼオライト粉末の割合が、順次、組成重量比、30%〜25%、30%〜25%、及び40%〜50%にそれぞれ設定されてなる、環境浄化成形体の構成採用にある。
【0020】
本発明環境浄化成形体の第3の特徴は、上記本発明環境浄化成形体の第1又は第2の特徴における前記竹黒炭粉末及び前記竹白炭粉末が、その加工原料を孟宗竹、真竹、苦竹、淡竹を含む竹材としてなる、環境浄化成形体の構成採用にある。
【0021】
本発明環境浄化成形体の第4の特徴は、上記本発明環境浄化成形体の第1、第2又は第3の特徴における前記竹材が、黒炭化又は白炭化される前に、過マンガン酸カリウム溶液又はニッケルが溶け込んだ硝酸溶液に漬け込まれてなる、環境浄化成形体の構成採用にある。
【0022】
本発明環境浄化成形体の第5の特徴は、上記本発明環境浄化成形体の第1、第2、第3又は第4の特徴における前記ゼオライト粉末が、珪酸アルミナ含水塩鉱物(沸石)に焼成処理を施すことで生成されてなる、環境浄化成形体の構成採用にある。
【0023】
本発明環境浄化成形体の第6の特徴は、上記本発明環境浄化成形体の第1、第2、第3、第4又は第5の特徴における前記形状が、玉粒状を含んでなる、環境浄化成形体の構成採用にある。
【0024】
一方、本発明環境浄化成形体の製造方法の第1の特徴は、黒炭化又は白炭化される竹材を加工処理する前工程と、真空引きされた竹炭化炉内で当該竹材をこれが黒炭化する目標温度まで加熱・温調することにより、竹黒炭を生成する竹黒炭生成工程と、真空引きされた前記竹炭化炉内で前記竹材をこれが白炭化する目標温度まで加熱・温調することにより、竹白炭を生成する竹白炭生成工程と、前記竹黒炭及び当該竹白炭を微粉末化する竹炭微粉末化工程と、所定割合の前記竹黒炭及び前記竹白炭それぞれの粉末からなる混合物に所定割合のゼオライト粉末をさらに混入するゼオライト粉末混入工程と、当該ゼオライト粉末混入工程の円滑化のために水を加える第1加水工程と、前記竹黒炭粉末と前記竹白炭粉末と前記ゼオライト粉末とを均等に混練する混練工程と、当該混練工程で得られた混練物に水を加えることで、これに含まれる前記ゼオライト粉末のバインダ作用とともに必要に応じ成形展性作用を現出させる第2加水工程と、当該混練物を所望の形状に成形する成形工程と、当該成形工程で得られた成形物を焼結する焼結工程と、を順次実施してなる、環境浄化成形体の製造方法の構成採用にある。
【0025】
本発明環境浄化成形体の製造方法の第2の特徴は、上記本発明環境浄化成形体の製造方法の第1の特徴における前記竹黒炭生成工程及び前記竹白炭生成工程が、前記加工処理された前記竹材を前者は約700℃、後者は約1,000℃の炉内温度管理の厳密な峻別の下にそれぞれ焼成されてなる、環境浄化成形体の製造方法の構成採用にある。
【0026】
本発明環境浄化成形体の製造方法の第3の特徴は、上記本発明環境浄化成形体の製造方法の第1又は第2の特徴における前記竹黒炭生成工程及び前記竹白炭生成工程が、前記加工処理された前記竹材を複数収容する前記炉内の真空引き用の排気管と、当該炉内の真空度を検出する真空度検出手段と、当該炉内の温度を検出する温度検出手段と、当該炉内を一様に制御加熱する加熱手段と、を具備した前記竹炭化炉を用いて、前記排気管から前記真空度検出手段の検出値に基づいて、前記加工処理された前記竹材を収容した前記炉内を密封真空雰囲気にするため真空引きする処理手順と、前記温度検出手段の検出値に基づき前記加熱手段を制御することにより、前記炉内に収容された前記加工処理済みの前記竹材が黒炭化又は白炭化する目標温度までそれぞれ前記密封真空雰囲気とした当該炉内を一様に加熱する処理手順と、を含んでなる、環境浄化成形体の製造方法の構成採用にある。
【0027】
本発明環境浄化成形体の製造方法の第4の特徴は、上記本発明環境浄化成形体の製造方法の第1、第2又は第3の特徴における前記竹黒炭生成工程及び前記竹白炭生成工程が、供給された冷却済み窒素ガスを前記炉内にて均等に噴射する窒素ガス噴射手段を、さらに具備した前記竹炭化炉を用いて、前記竹黒炭又は前記竹白炭の生成から間もない前記炉内にて前記窒素ガス噴射手段により前記窒素ガスを均等に噴射する処理手順を、さらに含んでなる、環境浄化成形体の製造方法の構成採用にある。
【0028】
本発明環境浄化成形体の製造方法の第5の特徴は、上記本発明環境浄化成形体の製造方法の第4の特徴における前記竹白炭生成工程が、外気から取入れた空気を前記炉内にて均等に噴射する空気噴射手段を、さらに具備した前記竹炭化炉を用いて、前記窒素ガス噴射前の前記炉内にて前記空気噴射手段により前記空気を均等に噴射する処理手順を、さらに含んでなる、環境浄化成形体の製造方法の構成採用にある。
【0029】
本発明環境浄化成形体の製造方法の第6の特徴は、上記本発明環境浄化成形体の製造方法の第1、第2、第3、第4又は第5の特徴における前記前工程が、伐採・切断した前記竹材を一旦乾燥してから所定寸法に割竹し、板状化したものを複数結束する一連の処理手順の実施の後、当該結束した板状竹群を過マンガン酸カリウム溶液又はニッケルが溶け込んだ硝酸溶液に漬け込む処理手順を実施した上で乾燥仕上げする処理手順に至ってなる、環境浄化成形体の製造方法の構成採用にある。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る環境浄化成形体によれば、竹黒炭粉末、竹白炭粉末、及びゼオライト粉末を混練後に焼結することでセラミック化するため、壊れ難く、非常識な力を加えられて破壊されない限り長持ちする。
【0031】
また、本発明に係る環境浄化成形体によれば、竹黒炭粉末、竹白炭粉末、及びゼオライト粉末それぞれの微細孔が共存することで極めて高い吸着能が実現されて、過剰なプラスイオンがそれら微細孔に吸着されるだけでなく、ゼオライト粉末がその触媒作用により、各粉末の微細孔に吸着されたプラスイオンをマイナスイオンに還元する、即ち、マイナスイオンに交換すること(陽イオン交換能)でその微細孔から脱着させるため、各粉末の有効な吸着能を半永久的に持続可能であり、消臭作用、調湿作用、滅菌作用、浄水作用、及びシックハウス防止作用(原因物質のホルムアルデヒド等を除去)等、吸着能からの帰結作用が常に高い水準で発揮される。そして、このことに加えて、竹白炭粉末が独自にマイナスイオンを発生させて周囲のプラスイオンと中和させるため、以上の諸作用の発揮水準が一層高められることとなる。
【0032】
さらに、本発明に係る環境浄化成形体によれば、竹黒炭粉末、竹白炭粉末、及びゼオライト粉末の各粉末を混練することで構成されるため、各粉末の効能が相乗的に発揮されて、複数の環境改善を同時並行に図ることが可能となるだけでなく、竹白炭粉末やゼオライト粉末から放出されるマイナスイオンの働きにより、人間や動物の体を健康にさせたり、その精神を落ち着かせたりするなどのメリットも得られる。そもそも、その環境浄化成形体は、これを構成する各粉末の何れの原料も天然に得られるために、地球に優しい。
【0033】
また、本発明によれば、竹黒炭粉末及び竹白炭粉末をゼオライト粉末で混練することから、様々な形状に成形することが可能であり、人形や仏像、皿、花瓶等の置物形状に成形することとすれば、居住・生活空間に花を添えるインテリアとしても利用可能である。
【0034】
さらに、本発明に係る環境浄化成形体の製造方法によれば、真空引きされた竹炭化炉(細かな温調可能)を用いて、竹を黒炭化又は白炭化それぞれに必要な目標温度まで振り分けて加熱・温調するため、塵等の不純物を含まないため高純度であるとともに、繊維質まで充分に黒炭化又は白炭化されるため高品質且つ均質な竹黒炭及び竹白炭を生成し、環境浄化成形体の素材として用いることが初めて可能となる。
【0035】
(発明の前提)
本発明の実施の形態を説明する上での前提として、竹黒炭及び竹白炭を含めた竹炭について説明する。
竹黒炭及び竹白炭は、竹(孟宗竹,真竹,苦竹,淡竹等)を炭化させた竹炭の一種である。竹は、炭化物の原料に採用される他の材料(木,ヤシガラ等)に比べて、その蘇生機能により毎年同じ場所で採集可能なことから、資源性が非常に良く、製炭場所を殆ど変える必要がない。
【0036】
また、竹は、維管束が表皮側では密に、内側では粗く分布するという独自の構造を有するため、その表皮が、木やヤシガラ等の表皮に比べて硬いとともに、珪酸化合物(二酸化珪素等)を多く含んでいる。従って、竹を炭化しても、その表皮細胞組織内に炭化前から多く存在する微細孔や珪酸化合物の殆どが失われずに残ることとなる。次の表1は、炭化後における孟宗竹及び真竹それぞれの灰分組成(一部)を示している。この表1からも、竹の表皮等に含まれる珪酸化合物が炭化後も多く残存することが分かる。
【表1】

【0037】
このように竹炭は、多数の微細孔が残存しているが故に高い吸着能を有することから、消臭作用、調湿作用、滅菌作用、浄水作用、及びシックハウス防止作用等を発揮する。特に、竹炭が有するような滅菌作用は、他の炭化物(例えば、木炭,カシ炭,ヤシガラ炭)では発揮不可能なものである。竹炭は、これらの作用以外に、触媒作用、及びマイナスイオンや遠赤外線を発生する作用等をも発揮することから、広範囲・多岐に亙る適用が期待されている。なお、マイナスイオンや遠赤外線の効能については後述する。
【0038】
そして、後述する「真空乾留炭化法」によれば、比重が0.35程度と極めて軽量であるとともに、上述した各作用を極めて顕著に発揮する高機能性竹炭を得ることが可能となる。
【0039】
竹炭が有するこれら特性の一部を裏付けるものとして、例えば、大阪市立工学研究所の安部郁夫氏による研究報告が知られている。同氏は、次の測定1,2を実施している。
<測定1>
ヨウ素液を竹炭表面に塗布してヨウ素原子を竹炭の微細孔に吸着させることにより、竹炭の実質的な表面積を測定。ヤシガラ炭及びカシ炭についても同様の測定を実施。
<測定2>
水銀圧入法に則って竹炭の微細孔の半径を測定。ヤシガラ炭及びカシ炭についても同様の測定を実施。
【0040】
そして、<測定1>については、「竹炭は、ヤシガラ炭やカシ炭と同様、1g当たり300mという極めて大きな比表面積を有する。」との測定結果が公表されている。
【0041】
また、<測定2>については、「竹炭の微細孔の半径が最大27nmであったのに対して、ヤシガラ炭では、112nm、カシ炭では、129nmにも達する半径の微細孔が見受けられる。」との測定結果が公表されている。なお、「1nm=10−9m」である。
【0042】
さらに、これらとは別に、「竹炭は、赤潮の原因物質たるリン酸塩やケイ酸塩を短期間(例えば、3日)で消滅させるなどの、高い浄化作用を有するため、磯焼け防止対策等多方面への利用が期待される。」との展望が発表されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以上説明してきた竹炭の特性を踏まえて、以下、本発明の実施の形態につき、添付図面を参照しつつ、環境浄化成形体例を挙げて詳細に説明する。
【0044】
(成形体例)
図1(a)は、本発明の実施形態の一例たる環境浄化成形体の概略外観図であり、(b)は、この一使用例を示す図である。
同図に図示の環境浄化成形体(イオン還元カーボンセラミックボール)αは、竹黒炭粉末1、竹白炭粉末2、及びゼオライト粉末3を次の表2に示す組成重量比で加水混練し、所望の形状(同図では、丸粒状)に成形後、焼結することで構成されている。この環境浄化成形体αは、その多数を収納した入物形状の篭Aを住居やオフィス等の居住・生活空間内における所望の場所に置くことで使用に供される。なお、使用に供される多数の環境浄化成形体αを収納するのに、金網ケースや布製の袋等を用いても良い。
【表2】

【0045】
環境浄化成形体αに含まれる竹黒炭粉末1は、竹を約700℃で炭化(黒炭化)させた竹黒炭の粉末である。竹黒炭は、竹炭の一種であり吸着能が優れているため、消臭作用、調湿作用、滅菌作用、浄水作用、及びシックハウス防止作用等、吸着能からの帰結作用を如何なく発揮する。竹黒炭は、これらの作用を有する他、感熱により遠赤外線を発生する作用等も有している。
【0046】
一方、環境浄化成形体αに含まれる竹白炭粉末2は、竹を約1,000℃で炭化(白炭化)させた竹白炭の粉末である。竹白炭は、竹黒炭と同様竹炭の一種であるため吸着能が優れているのは勿論、竹黒炭に比べて硬いとともに、電気抵抗が低いという特性を有する。特に、竹白炭は、電気抵抗の低さ故に導電性が良いため、マイナスイオンを容易に発生する。このような特性を有する竹白炭は、窒素ガスに曝されると、賦活(活性化)されて活性竹炭となる。なお、竹黒炭もマイナスイオンを発生するが、竹白炭程顕著ではない。
【0047】
ここで、マイナスイオンは、プラスイオンと中和する効果の他、(1)人間や動物(以下、「人間等」という)の体を電磁波から保護する、(2)人間等の副交感神経に作用することで気分を安定化させたり、リラックスさせたり、ストレスを解消したりする、(3)鎮静作用により人間等の細胞を活性化してその生命力を強くするなどの効果(マイナスイオン効果)を有することから、近年注目されている。
【0048】
環境浄化成形体αに含まれるゼオライト粉末3は、焼成処理されたゼオライトの粉末である。ゼオライトは、天然産出砿材の1つたる珪酸アルミナ含水塩鉱物(邦名「沸石」)の別称であり、その表面に均質な分子レベル(1nm〜70nm程度)の微細孔が規則的に並んでいる。このような構造を有するゼオライトを特定温度以下の焼成処理にて脱水すると、水分子があった空洞(微細孔)が壊れずにそのまま残るため、以下に説明するゼオライトの特性が充分に引き出されることとなる。
【0049】
即ち、ゼオライトは、焼成処理されると高い吸着能を有することとなり、消臭作用、調湿作用、滅菌作用、浄水作用、及びシックハウス防止作用等を発揮するようになるだけでなく、(1)微細孔の孔径より小さい分子のみ吸着する、即ち、微細孔の孔径より小さい分子と大きい分子とを振り分ける分子篩作用、並びに(2)双極子,四極子,不飽和結合を有する物質、及び分極性の高い物質を一般的な極性吸着剤(例えば、シリカゲル,活性アルミナ)におけるよりも一層強力に吸着するという、極めて高い極性等をも発揮するようになる。
【0050】
また、ゼオライトは、その触媒作用により、微細孔に吸着されたプラスイオンをマイナスイオンに還元してそこから脱着させる、即ち、プラスイオンをマイナスイオンに交換する陽イオン交換能を有する。ゼオライトのこれら特性は、他の一般的鉱物では決して見られないことから、かかる特性を有するゼオライトは、高機能エコロジー建材等に利用されることがある。
【0051】
(製造方法例)
次に、図2乃至図6を参照しつつ、環境浄化成形体αの製造工程の一例について説明する。
ここで、図2は、環境浄化成形体αの製造工程の一処理手順例を示す工程図、図3は、同製造工程を構成する前工程の一処理手順例を示す工程図、図4は、同製造工程を構成する竹黒炭生成工程の一処理手順例を示す工程図、及び図5は、同製造工程を構成する竹白炭生成工程の一処理手順例を示す工程図である。
また、図6(a)は、同竹黒炭生成工程及び同竹白炭生成工程で用いる竹炭化炉の概略構成図、(b)は、同竹炭化炉のクラッチ炉蓋付近拡大図、(c)は、同竹炭化炉のI−I線視簡略断面図、及び(d)は、同竹炭化炉の噴射細管一部拡大図である。
【0052】
本実施形態例においては、環境浄化成形体αの製造工程が、図2に示すように前工程(ST1)、竹黒炭生成工程(ST2a)、竹白炭生成工程(ST2b)、竹炭微粉末化工程(ST3)、ゼオライト粉末混入工程(ST4)、加水工程(ST5)、混練工程(ST6)、加水工程(ST7)、成形工程(ST8)、及び焼結工程(ST9)という10工程に区分されており、これら各工程がこの順序にて実施される。なお、下記の処理手順となる前工程(ST1)と、竹黒炭生成工程(ST2a)又は竹白炭生成工程(ST2b)とを順に行うことにより、高純度且つ高品質な竹黒炭又は竹白炭を均質量産する方法が、前述の「真空乾留炭化法」である。
【0053】
環境浄化成形体αの製造工程を構成する前工程(ST1)は、主に、黒炭化又は白炭化される竹材の加工処理を目的として行われる。この前工程は、図3に図示の加工処理手順により行われる。
即ち、まず、伐採した竹を適当な長さ(例えば、1m程度)に切断・分割する(ST11)。なお、竹の伐採時期は、竹が糖を多量に蓄えている10月〜12月が最適である。
【0054】
次に、ST11にて得られた竹材をさらに4乃至6ツ割することで、板状の割竹にする(ST12)。なお、一旦乾燥させた竹材であれば、簡単に割竹とすることが可能である。ST12にて得られた割竹は、節の除去等をされた後、他の幾つかの割竹と結束される(ST13)。
【0055】
その後直ちに、互いに結束された複数の割竹を濃度0.05%〜0.07%の過マンガン酸カリウム希溶液に入れ、一定の期間(例えば、24時間)漬け込む(ST14)。この漬込を行えば、過マンガン酸カリウム希溶液の消毒・殺菌作用により割竹の虫食い予防となるとともに、この溶液の収斂作用により割竹の微細孔の数が増えるなどのメリットが得られる。
【0056】
なお、ST14において、過マンガン酸カリウム希溶液の代わりに、ニッケルが溶け込んだ硝酸溶液を用いることとしても、かかるメリットを得ることは可能である。然るにこの場合には、その硝酸溶液による漬込後、この溶液中から取り出された結束済み割竹を酸除去のため水洗いする必要がある。
【0057】
何れにしても、かかる漬込が施された結束済み割竹は、虫食い予防されているため長期間に亙る保存が可能であることから、糖を多量に蓄えている10月〜12月に伐採収穫時期が限定されるため、多量に伐採された竹の加工物たる良質な竹材(結束済み割竹)を、急ぎ炭化加工を施さずとも需要量に合わせ漸次行えるので、多量にストックすることができる。
【0058】
そして、充分に漬け込まれた結束済み割竹を過マンガン酸カリウム希溶液中から取り出して充分に乾燥させることにより(ST15)、黒炭化又は白炭化に適した加工処理済み竹材が得られることとなる。
【0059】
図2に図示するように、前工程(ST1)の次には、竹黒炭生成を目的とする竹黒炭生成工程(ST2a)と、竹白炭生成を目的とする竹白炭生成工程(ST2b)とが並行又は前後して行われる。これら竹黒炭生成工程及び竹白炭生成工程は、図4又は図5にそれぞれ図示の各処理手順により、図6に示す竹炭化炉を用いて行われる。
【0060】
ここで、図2に図示する竹黒炭生成工程(ST2a)及び竹白炭生成工程(ST2b)各々の詳細な処理手順を説明する前に、図6を参照しつつ、これら2つの工程を行うのに好適に用いられる竹炭化炉について説明する。
同図に図示の竹炭化炉(以下、単に「炭化炉」ともいう)Cは、その内部に対して搬出入可能な車輪4a付き引出作業車4を備えている。この引出作業車4は、炭化炉Cによる竹黒炭又は竹白炭生成開始前には、同炉C外に置かれた台車D上に通常載置・固定されており、少なくとも竹黒炭又は竹白炭生成開始直前までに、竹材B(図3に詳細に図示の前工程に従う加工処理済み。以下、同様)を複数積載した上で炭化炉C内の所定位置(二点鎖線図示)に搬入・固定される。なお、図6に図示する竹材Bの引出作業車4への積載例は簡易な図示例であって、炭化炉C内に対する引出作業車4の搬出入の妨げとならないように複数の竹材Bを引出作業車4上に積載するのは言うまでもない。
【0061】
炭化炉C内の断熱性等を挙げるため、炉壁5には、内底部を除きその内側から、ステンレス層5a、断熱層たるファインセラミックス層5b、及びステンレス層又は鋼鉄層5cをこの順に重層させてなる3層構造が採用されている。なお、炭化炉C内の断熱性等を挙げるために炉壁5に採用される構造は、かかる3層構造に限定されず、ファインセラミックス等の断熱素材からなる断熱層を少なくとも1つ含む複数の層が重層してなる複層構造であれば良い。
【0062】
炭化炉Cの炉壁5には、同炉C内真空引き用の排気管6が貫設されており、この排気管6の外口端(同炉Cから紙面右方向に露出)は、炭化炉C外に置かれた真空ポンプEと繋げられている一方、内口端には、所定粒径以上の異物(例えば、竹黒炭又は竹白炭生成後の残滓たるこれらの微粉末)が真空ポンプEに吸引されるのを防ぐためのフィルタ部材24が取り付けられている。この真空ポンプEが、真空度検出手段として炭化炉C内に設置された2つの真空ゲージ7,8(1つ以上あれば良い)の各検出値に基づき制御されることで、同炉C内が目標圧力値の真空度に減圧・維持される。
【0063】
また、炭化炉Cは、紙面上下方向に開閉可能なクラッチ炉蓋9を備えており、このクラッチ炉蓋9の開閉動作は、同クラッチ炉蓋9を炉蓋開閉支持機構10で開閉可能に支持しつつ、手動にて制御される。このクラッチ炉蓋9が開かれて初めて、炭化炉C内に対する引出作業車4の搬出入を行うことが可能となる。本実施形態例においては、クラッチ炉蓋9が閉められた炭化炉C内の気密・密封性をさらに高めるとともに、閉められたクラッチ炉蓋9が濫りに開けられないようにするため、炉壁5外に設置された油圧モータ11の駆動力を油圧シリンダ12経由で油圧式回転クラッチ環13に伝達させることにより、この油圧式回転クラッチ環13を所定方向に所定角回転させて炉壁5開口端に密着閉締させる機構が採用されている。
【0064】
炭化炉C内には、炉壁5開口端側で円弧状部14cに立ち上げ折り返し曲折する管形状のステンレス・パイプ(素材がステンレス鋼であるため、以下、「SUSパイプ」ともいう)14が紙面左右方向と平行となるように炉壁5内面に沿って設置されており、その両端とも炭化炉Cから紙面右方向に露出する外口端14a,14bとなっている。SUSパイプ14の外口端14aは、オイルバーナ15と繋げられている一方、外口端14bは、紙面上方向に延びる煙突16(二点鎖線図示)と繋げられている。このオイルバーナ15が、温度検出手段として炭化炉Cの炉壁5(同炉C内でも可)に設置された温度センサ17(例えば、熱電対からなる)の検出値に基づき制御されることで、炭化炉C内が目標温度値に加熱・維持される。
【0065】
さらに、炭化炉Cは、その外部に設置された窒素ボンベ(図示せず)から冷却済み窒素ガスが供給される窒素ガス導入管18と、同炉C周囲の外気から空気を取込可能な空気導入管19とを備えている。
【0066】
窒素ガス導入管18は、その頂部が炭化炉Cから露出する外口端18aに連通し、両側下端が閉塞端18bとなった、炉壁5内面に沿った円弧又は馬蹄形状管である。窒素ガス導入管18の外口端18aには、窒素ガスの導入・停止切替用のバルブ20が取り付けられている。空気導入管19も、その頂部が炭化炉Cから露出する外口端19aに連通し、両側下端が閉塞端19bとなった、炉壁5内面に沿った円弧又は馬蹄形状管である。空気導入管19の外口端19aには、空気の導入・停止切替用のバルブ21が取り付けられている。
【0067】
それら両管18,19の間は、複数の噴射細管22で繋げられて両管18,19は相互に連通しており、この噴射細管22には、窒素ガス及び空気噴射用の噴射口22a,22b,22c,・・・がその長手方向に対して等間隔に開けられている。要するに、本実施形態例においては、窒素ガス噴射手段が、窒素ガス導入管18、バルブ20、及び噴射細管22から構成されているとともに、空気噴射手段が、空気導入管19、バルブ21、及び噴射細管22から構成されて廉用している。なお、窒素ガス噴射の場合と空気噴射の場合とのそれぞれにおいて、噴射細管22を本実施形態例のように廉用とせずに選択使用するように、窒素ガス導入管18、空気導入管19、及び噴射細管22をそれぞれ配置し、組み合わせても良い。
【0068】
次に、図4又は図5を参照しつつ、図2に図示する竹黒炭生成工程(ST2a)及び竹白炭生成工程(ST2b)各々の詳細な処理手順について説明する。
両図4,5に図示するように、まず、充分に乾燥させた竹材Bを炭化炉C内に詰め込む(ST21)。この詰込は、詳細には次の作業手順で行われる。(1)炭化炉C外の台車D上に載置・固定された引出作業車4上に竹材Bを積載する。(2)引出作業車4の車輪4aが炭化炉Cの引出作業車収納床面23と同レベルの高さとなっているので、引出作業車4を台車D上の停車位置から炭化炉C内の所定位置(二点鎖線図示)まで移動・固定させる。
【0069】
次に、炭化炉C内を真空ポンプEで真空引きする(ST22)。この真空引きは、詳細には次の作業手順で行われる。即ち、(1)窒素ガス導入管18備付けのバルブ20と、空気導入管19備付けのバルブ21とを手で締める、又は、各バルブ20,21がそれぞれ締まっていることを確認する。(2)炉蓋開閉支持機構10に開閉可能に支持されたクラッチ炉蓋9を手動で閉める。(3)炭化炉C内の真空引きに備えるため、油圧モータ11の駆動力を油圧シリンダ12経由で油圧式回転クラッチ環13に伝達させることにより、この油圧式回転クラッチ環13を所定方向に所定角回転させて炉壁5開口端に密着閉締させる。こうすることで、炉壁5と油圧式回転クラッチ環13との間に僅かに存在する空隙等が解消されて、炭化炉C内の気密・密封性がさらに高まるとともに濫りに開かないようにする。(4)真空ゲージ7,8の各検出値が目標圧力値に下がるまで、真空ポンプEを作動させて炭化炉C内を減圧する。
【0070】
この真空引き(ST22)により、炭化炉C内から塵等の不純物の殆どが除去されるため、不純物の含有率が極めて低い高純度な竹黒炭や竹白炭を生成することが初めて可能となる。
【0071】
次に、竹黒炭生成工程の場合には、図4に示すように、温度センサ17の検出値が炭化炉Cの最高加熱限界値約800℃の直前温度値約700℃に達するまで、オイルバーナ15を作動させて炭化炉C内を加熱する(ST23)。この間、オイルバーナ15から外口端14aを介してSUSパイプ14内に送風された熱風が同パイプ14内を外口端14bに向けて流れつつ周囲へ熱放射することにより、竹材Bが黒炭化する温度値約700℃まで炭化炉C内が一様に昇温されて、温度ムラが発生することなく同炉C内の隅々まで、竹黒炭生成に必要な熱が充分に行き渡るために均されることから(ST24)、竹材Bがその繊維物質まで充分且つ確実に黒炭化されることとなる。
【0072】
次に、炭化炉C内に詰め込まれた竹材Bが全て完全に黒炭化したらその時点でST23の加熱を終了し、その後の適当な時点でバルブ20を緩めて窒素ガス導入管18内に窒素ガスを導入することにより、両管18,19間を繋いで連通する各噴射細管22の噴射口22a,22b,22c,・・・から窒素ガスを均等に噴射させて炭化炉C内を冷却する(ST25)。このようにすることで、炭焼き窯を用いる場合におけるよりも、生成から間もない竹黒炭の温度を室温程度まで下げるのに要する時間が遥かに短縮されることとなる。このことは、次に説明する竹白炭生成工程の場合についても同様である。
【0073】
一方、竹白炭生成工程の場合には、図5に示すように、温度センサ17の検出値が炭化炉Cの最高加熱限界値約800℃に達するまで、オイルバーナ15を作動させて炭化炉C内を加熱する(ST23′)。
【0074】
ここで、竹材Bを白炭化させるのに必要な加熱温度値は約1,000℃であることから、ST23′の加熱が行われるだけでは、竹白炭を得ることができない。そこで、炭化炉C内に詰め込まれた竹材Bが全て完全に黒炭化したらその時点で、バルブ21を一時的に緩めて空気導入管19内に空気を一時的に導入することにより、各噴射細管22の噴射口22a,22b,22c,・・・から空気を均等に噴射させて炭化炉C内を追い加熱する(ST23″)。このようにすることで、炭化炉C内にて黒炭化した竹材Bが空気に曝されて発火するなどして、竹材Bが白炭化する温度値約1,000℃まで炭化炉C内が一様に昇温されて、温度ムラが発生することなく同炉C内の隅々まで、竹白炭生成に必要な熱が充分に行き渡るために均されることから(ST24)、それら全ての黒炭化済み竹材Bがその繊維物質まで充分且つ確実に白炭化されることとなり、ST23′の加熱を終了する。
【0075】
さらに炭化炉C内が充分に均されて、そこに詰め込まれた竹材Bが全て完全に白炭化したら、バルブ21を締めて空気導入管19内への空気の導入を止めた後、適当な時点でバルブ20を緩めて窒素ガス導入管18内に窒素ガスを導入することにより、各噴射細管22の噴射口22a,22b,22c,・・・から窒素ガスを均等に噴射させて同炉C内を冷却する(ST25)。このとき、炭化炉C内で既に生成された竹白炭が窒素ガスに曝されることで賦活(活性化)されて、活性竹炭となる。
【0076】
以上説明したように、竹黒炭生成工程の場合には、図4に図示の各処理手順を順次実施する一方、竹白炭生成工程の場合には、図5に図示の各処理手順を順次実施することとすれば、繊維質まで充分且つ確実に黒炭化又は白炭化された高品質な竹黒炭及び竹白炭の生成を単一の装置(炭化炉C)のみで行うことが初めて可能となる。
【0077】
そして、竹黒炭生成工程及び竹白炭生成工程の何れの場合でも、炭化炉C内が充分に冷却されたら、生成された複数の竹黒炭又は竹白炭を引出作業車4ごと同炉C内から取り出す。これにて竹黒炭生成工程や竹白炭生成工程を終了する場合には、製品検査や安全保管等を行うこととしても良い。一方、新たな竹黒炭生成工程や竹白炭生成工程に移行する場合には、図4又は図5に図示の各処理手順を再度順次実施することとなる。このようにすることで、繊維質まで充分且つ確実に黒炭化又は白炭化された高品質な竹黒炭及び竹白炭を均質にて量産することが始めて可能となる。
【0078】
なお、上述のような構成である炭化炉Cは、既存の炭焼き窯と異なり、その内部に充満した煤煙の殆どが外部に漏れずに竹の黒炭化や白炭化に利用されるため、竹酸液の採集には向かないものの、大気汚染の防止対策を考慮する必要がない。
【0079】
図2に図示するように、竹黒炭生成工程(ST2a)及び竹白炭生成工程(ST2b)の次には、生成された竹黒炭及び竹白炭を微粉末化することを目的とする竹炭微粉末化工程(ST3)が行われる。なお、この竹炭微粉末化工程により得られた竹黒炭粉末や竹白炭粉末だけでなく、竹黒炭生成工程(ST2a)又は竹白炭生成工程(ST2b)において炭化炉C内に発生した残渣の竹黒炭粉末や竹白炭粉末をも利用することとすれば、経済的である。
【0080】
竹炭微粉末化工程(ST3)の次には、この工程にて得られた竹黒炭粉末及び竹白炭粉末の混合物にゼオライト粉末をさらに混入することを目的とするゼオライト粉末混入工程(ST4)が行われる。ここで、竹黒炭粉末、竹白炭粉末、及びゼオライト粉末の割合は、順次、混合重量比、30%〜25%、30%〜25%、及び40%〜50%にそれぞれ設定される。
【0081】
ゼオライト粉末混入工程(ST4)と同時又は事後的に、水を適宜加えつつ(ST5)、竹黒炭及び竹白炭の各粉末とゼオライト粉末との均等混練を目的とする混練工程(ST6)が行われる。この混練工程では、例えば、既存の混合機ニーダ等が用いられる。
【0082】
混練工程(ST6)の次には、この工程にて得られた混練物に水を適宜加えることで、それに含まれるゼオライト粉末のバインダ作用を現出させるとともに必要に応じ成形展性を良好とすることを目的とする加水工程(ST7)が行われる。
【0083】
加水工程(ST7)の次には、この工程にて得られた、ゼオライト粉末によるバインダ作用及び必要に応じた成形展性作用現出済みの混練物を押型に入れ、既存の造粒機を用いるなどして、φ3ミリの丸粒状に押出成形することを目的とする成形工程(ST8)が行われる。この段階において得られる造粒物によっても、環境改善に有効な効能を相乗的に発揮且つ半永久的に持続可能であるものの、硬度が低いため、一定の形状を維持するには至らず長持ちしない。なお、ST8にて得られる造粒物の形状は、適当な押型を用いることで、丸粒状以外の形状(例えば、四角粒形状や碁石形状その他の玉粒状)とすることも可能である。
【0084】
成形工程(ST8)の次には、この工程にて得られた成形物のセラミック化を目的とする焼結工程(ST9)が、既存の乾留炉を用いるなどして行われ、これにより、所望の形状を維持し得る硬度を有するセラミック(環境浄化成形体α)が初めて得られることとなる。
【0085】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、必ずしも上述した手段、手法、及び使用例にのみ限定されるものではなく、前述した効果を達成する範囲内において、適宜、変更実施することが可能なものである。例えば、竹黒炭粉末1、竹白炭粉末2、及びゼオライト粉末3からなる混練物を所要量用いて人形や仏像、皿、花瓶等の置物を製造すれば、居住・生活空間に花を添えるインテリアとしても利用可能である。
【0086】
また、所要数の環境浄化成形体αを水中(例えば、水槽,海,河川,湖沼,溜池)に沈めることとすれば、上述の諸作用発揮により、その浄水化や富栄養抑制化、滅菌化等に大きく貢献することが可能である。さらに、土壌改良を目的とする場合には、環境浄化成形体αを土中に埋めれば良い。
【0087】
また、環境浄化成形体αに含まれる竹黒炭粉末1が、感熱すると遠赤外線を発生させる特徴を有することから、この環境浄化成形体αを身に付けることで遠赤外線による様々な効果が期待される。即ち、例えば、環境浄化成形体αを洋服の裏ポケットに入れたり、湿布等で肌に貼り付けたりするなどすれば、この環境浄化成形体αが体温を感熱して遠赤外線を発生させることとなり、環境浄化成形体αから放射された遠赤外線が保温効果や温湿布に準じた効果等を齎すと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】(a)は、本発明の実施形態の一例たる環境浄化成形体の概略外観図であり、(b)は、この一使用例を示す図である。
【図2】図1に図示の環境浄化成形体の製造工程の一処理手順例を示す工程図である。
【図3】図2に図示の製造工程を構成する前工程の一処理手順例を示す工程図である。
【図4】図2に図示の製造工程を構成する竹黒炭生成工程の一処理手順例を示す工程図である。
【図5】図2に図示の製造工程を構成する竹白炭生成工程の一処理手順例を示す工程図である。
【図6】(a)は、図4又は図5それぞれに詳細に図示の竹黒炭生成工程及び竹白炭生成工程で用いる竹炭化炉の概略構成図、(b)は、同竹炭化炉のクラッチ炉蓋付近拡大図、(c)は、同竹炭化炉のI−I線視簡略断面図、及び(d)は、同竹炭化炉の噴射細管一部拡大図である。
【符号の説明】
【0089】
α・・・環境浄化成形体
A・・・篭
B・・・竹材
C・・・竹炭化炉
D・・・台車
E・・・真空ポンプ
1・・・竹黒炭粉末
2・・・竹白炭粉末
3・・・ゼオライト粉末
4・・・引出作業車
4a・・・車輪
5・・・炉壁
5a・・・ステンレス層
5b・・・ファインセラミックス層
5c・・・ステンレス層又は鋼鉄層
6・・・排気管
7,8・・・真空ゲージ
9・・・クラッチ炉蓋
10・・・炉蓋開閉支持機構
11・・・油圧モータ
12・・・油圧シリンダ
13・・・油圧式回転クラッチ環
14・・・ステンレス・パイプ
14a,14b,18a,19a・・・外口端
14c・・・円弧状部
15・・・オイルバーナ
16・・・煙突
17・・・温度センサ
18・・・窒素ガス導入管
19・・・空気導入管
18b,19b・・・閉塞端
20,21・・・バルブ
22・・・噴射細管
22a,22b,22c・・・噴射口
23・・・引出作業車収納床面
24・・・フィルタ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定割合の竹黒炭粉末、竹白炭粉末、及びゼオライト粉末を加水混練し、所望の形状に成形後、焼結することで構成される、
ことを特徴とする環境浄化成形体。
【請求項2】
前記竹黒炭粉末、前記竹白炭粉末、及び前記ゼオライト粉末の割合は、順次、
組成重量比、30%〜25%、30%〜25%、及び40%〜50%にそれぞれ設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の環境浄化成形体。
【請求項3】
前記竹黒炭粉末及び前記竹白炭粉末は、
その加工原料を孟宗竹、真竹、苦竹、淡竹を含む竹材とする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の環境浄化成形体。
【請求項4】
前記竹材は、
黒炭化又は白炭化される前に、過マンガン酸カリウム溶液又はニッケルが溶け込んだ硝酸溶液に漬け込まれる、
ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の環境浄化成形体。
【請求項5】
前記ゼオライト粉末は、
珪酸アルミナ含水塩鉱物(沸石)に焼成処理を施すことで生成される、
ことを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の環境浄化成形体。
【請求項6】
前記形状は、
玉粒状を含む、
ことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の環境浄化成形体。
【請求項7】
黒炭化又は白炭化される竹材を加工処理する前工程と、
真空引きされた竹炭化炉内で当該竹材をこれが黒炭化する目標温度まで加熱・温調することにより、竹黒炭を生成する竹黒炭生成工程と、
真空引きされた前記竹炭化炉内で前記竹材をこれが白炭化する目標温度まで加熱・温調することにより、竹白炭を生成する竹白炭生成工程と、
前記竹黒炭及び当該竹白炭を微粉末化する竹炭微粉末化工程と、
所定割合の前記竹黒炭及び前記竹白炭それぞれの粉末からなる混合物に所定割合のゼオライト粉末をさらに混入するゼオライト粉末混入工程と、
当該ゼオライト粉末混入工程の円滑化のために水を加える第1加水工程と、
前記竹黒炭粉末と前記竹白炭粉末と前記ゼオライト粉末とを均等に混練する混練工程と、
当該混練工程で得られた混練物に水を加えることで、これに含まれる前記ゼオライト粉末のバインダ作用とともに必要に応じ成形展性作用を現出させる第2加水工程と、
当該混練物を所望の形状に成形する成形工程と、
当該成形工程で得られた成形物を焼結する焼結工程と、を順次実施する、
ことを特徴とする環境浄化成形体の製造方法。
【請求項8】
前記竹黒炭生成工程及び前記竹白炭生成工程は、
前記加工処理された前記竹材を前者は約700℃、後者は約1,000℃の炉内温度管理の厳密な峻別の下にそれぞれ焼成される、
ことを特徴とする請求項7に記載の環境浄化成形体の製造方法。
【請求項9】
前記竹黒炭生成工程及び前記竹白炭生成工程は、
前記加工処理された前記竹材を複数収容する前記炉内の真空引き用の排気管と、
当該炉内の真空度を検出する真空度検出手段と、
当該炉内の温度を検出する温度検出手段と、
当該炉内を一様に制御加熱する加熱手段と、を具備した前記竹炭化炉を用いて、
前記排気管から前記真空度検出手段の検出値に基づいて、前記加工処理された前記竹材を収容した前記炉内を密封真空雰囲気にするため真空引きする処理手順と、
前記温度検出手段の検出値に基づき前記加熱手段を制御することにより、前記炉内に収容された前記加工処理済みの前記竹材が黒炭化又は白炭化する目標温度までそれぞれ前記密封真空雰囲気とした当該炉内を一様に加熱する処理手順と、を含む、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の環境浄化成形体の製造方法。
【請求項10】
前記竹黒炭生成工程及び前記竹白炭生成工程は、
供給された冷却済み窒素ガスを前記炉内にて均等に噴射する窒素ガス噴射手段を、さらに具備した前記竹炭化炉を用いて、
前記竹黒炭又は前記竹白炭の生成から間もない前記炉内にて前記窒素ガス噴射手段により前記窒素ガスを均等に噴射する処理手順を、さらに含む、
ことを特徴とする請求項7、8又は9に記載の環境浄化成形体の製造方法。
【請求項11】
前記竹白炭生成工程は、
外気から取入れた空気を前記炉内にて均等に噴射する空気噴射手段を、さらに具備した前記竹炭化炉を用いて、
前記窒素ガス噴射前の前記炉内にて前記空気噴射手段により前記空気を均等に噴射する処理手順を、さらに含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の環境浄化成形体の製造方法。
【請求項12】
前記前工程は、
伐採・切断した前記竹材を一旦乾燥してから所定寸法に割竹し、板状化したものを複数結束する一連の処理手順の実施の後、当該結束した板状竹群を過マンガン酸カリウム溶液又はニッケルが溶け込んだ硝酸溶液に漬け込む処理手順を実施した上で乾燥仕上げする処理手順に至る、
ことを特徴とする請求項7、8、9、10又は11に記載の環境浄化成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−256930(P2006−256930A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79187(P2005−79187)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(305004631)
【復代理人】
【識別番号】100106895
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 洋一
【Fターム(参考)】