説明

環境試験装置用コントローラ、及びこれを有する環境試験装置、並びにこの環境試験装置用デバッガ

【課題】環境試験装置において発生した不具合の原因の特定を容易に行う。
【解決手段】サイクルタイマ21の記録トリガの出力時において、リアルタイムクロック23が計時した現在時刻データと、センサ入力部5が取得した環境状態データとを対応付けて記憶部22に記憶する。また、センサ入力部5が操作入力データを取得した場合、又は制御部4が制御データを出力した場合、この取得時又は出力時においてリアルタイムクロック23が計時した現在時刻データと、この取得時又は出力時においてセンサ入力部5が取得した環境状態データと、操作入力データ又は制御データとを対応付けて記憶部22に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データログ機能を有する環境試験装置用コントローラ、及びこれを有する環境試験装置、並びにこの環境試験装置用デバッガに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器や電子部品等の性能や耐久性等を評価する技術として、下記特許文献1のように、高温環境、低温環境、高湿度環境等の人工的な環境を装置の試験槽内において作りだし、この試験槽内に被試験物を置いて評価を行う環境試験装置が従来から知られている。試験槽内の環境は、ユーザからの操作入力や、コントローラに格納されたシーケンスプログラム等を基にして、加熱器や冷却器などの制御対象機器を制御することで作り出される。
【0003】
また、この特許文献1の環境試験装置では、試験槽内の温度や湿度などの環境状態を検出する環境センサを備え、この環境センサから取得した環境状態データをログとして記憶している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−225154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、環境試験装置において試験槽内の温度や湿度が異常に高くなる等の不具合が発生する場合がある。
【0006】
しかしながら、特許文献1の環境試験装置では、ログとして記憶されているのは環境状態データのみであるため、この不具合がユーザの誤操作により発生したのか、制御対象機器の誤動作により発生したのか、シーケンスプログラムに問題があるのかなどの不具合の原因を特定することはできなかった。従って、不具合の原因の特定を行うためには、不具合の原因の仮説を多く立て、その仮説を一つ一つ検証する他なく、多大な手間を要していた。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてされたものであり、環境試験装置において発生した不具合の原因の特定を容易に行うことができるログを記憶可能な環境試験装置用コントローラ、及びこの環境試験装置用コントローラを有する環境試験装置、並びにこの環境試験装置用デバッガを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の環境試験装置用コントローラは、データログ機能を有する環境試験装置用コントローラであって、前記環境試験装置の制御対象機器をシーケンス制御するメインモジュールと、前記コントローラに対するユーザの操作入力をイベントデータとして取得する入力サブモジュールと、前記メインモジュールから前記制御対象機器へ出力される制御データをイベントデータとして取得するI/Oサブモジュールと、前記環境試験装置の環境状態を検出する環境センサから環境状態データを取得するセンサ入力サブモジュールとを含む、前記メインモジュールと通信可能な複数のサブモジュールとを備え、前記複数のサブモジュールは、前記サブモジュール内の内部時刻を計時する内部クロックと、前記サブモジュールのログであるサブモジュールログが記憶されるログメモリとを各サブモジュールに有し、前記入力サブモジュール及び前記I/Oサブモジュールは、前記イベントデータを取得した場合に、この取得時において前記内部クロックが計時した内部時刻をイベント取得時刻データとし、前記イベントデータと前記イベント取得時刻データとを含むサブモジュールログを前記ログメモリに記憶し、前記センサ入力サブモジュールは、前記内部クロックから所定の時間間隔毎に出力される記録トリガの出力時に、前記環境センサから環境状態データを取得し、この取得時において前記内部クロックが計時した内部時刻を環境状態取得時刻データとし、前記環境状態取得時刻データと前記環境状態データとを含むサブモジュールログを前記ログメモリに記憶し、前記サブモジュール各々における、前記ログメモリに記憶されたサブモジュールログの前記メインモジュールへの送信は、前記メインモジュールが処理に余裕があるときに、この送信時において前記内部クロックが計時した内部時刻を送信時内部時刻データとして前記サブモジュールログに付して行うものであり、前記メインモジュールは、現在時刻を計時するリアルタイムクロックと、前記環境試験装置全体のログが記憶されるメインメモリとを有し、前記サブモジュール各々から前記サブモジュールログを受信した場合に、この受信時において前記リアルタイムクロックが計時した前記サブモジュールログの受信時刻データ、前記サブモジュールログに付された前記送信時内部時刻データ、及び前記サブモジュールログに含まれる前記イベント取得時刻データ又は環境状態取得時刻データを用いて、前記リアルタイムクロックを基準としたイベント取得調整時刻データ、又は前記リアルタイムクロックを基準とした環境状態取得調整時刻データを算出し、算出したイベント取得調整時刻データと前記イベントデータとを対応付けてイベントログデータとして、又は算出した環境状態取得調整時刻データと前記環境状態データとを対応付けて環境状態ログデータとして前記メインメモリに記憶すると共に、このイベント取得調整時刻データ及び環境状態取得調整時刻データを用いて、前記イベントデータに時間的に対応する前記環境状態データを求めて、前記メインメモリに記憶することを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、所定の時間間隔毎に記憶される環境試験装置の環境状態データに加えて、コントローラに対するユーザの操作入力データ、及びこの操作入力が行われた際の環境試験装置の環境状態データ、並びに環境試験装置の制御対象機器に対して出力される制御データ、及び制御データが出力された際の環境試験装置の環境状態データもログとして記憶することができる。これにより、環境試験装置に不具合が発生した場合でも、このログを調べることで、不具合がユーザの誤操作により発生したのか、或いは制御対象機器の誤動作により発生したのか等の不具合原因の特定を従来装置に比べて容易に行うことができる。
また、メインモジュールは処理に余裕があるときに、サブモジュールからサブモジュールログを受信してメインメモリにログを記憶するようにされているので、環境試験装置全体のログの記憶動作がメインモジュールのシーケンス制御に支障をきたすことはない。
【0010】
また、本発明の環境試験装置用コントローラにおいて、前記メインモジュールにおける前記イベントデータと前記環境状態データとの対応付けは、前記イベント取得調整時刻データに対して時間的に最も近い前記環境状態取得調整時刻データを求めて行ってもよい。上記の構成によれば、イベントデータの取得時刻と同じ時刻に環境状態データが取得されていない場合においても、イベントデータと環境状態データとの対応付けを行うことができる。
【0011】
また、本発明の環境試験装置用コントローラにおいて、前記メインメモリに記憶されている任意の前記環境状態ログデータに含まれる前記環境状態データの値が、前記環境状態取得調整時刻データにおいて1つ前及び1つ後の前記環境状態ログデータに含まれる前記環境状態データの値と実質的に同じ場合には、この任意の環境状態ログデータに含まれる環境状態データが前記イベントデータと時間的に対応付けられている場合を除いて、前記任意の環境状態ログデータを前記メインメモリから消去してもよい。上記の構成によれば、環境試験装置の環境状態が安定しており、環境状態データの値に変化がない期間において、この期間の最初と最後の環境状態ログデータ及び、環境状態データがイベントデータと時間的に対応付けられている環境状態ログデータを残して、その他の環境状態ログデータは消去される。従って、メインメモリに記憶させるデータ量を少なくすることができ、メインメモリの記憶容量を節約することができる。
【0012】
また、本発明の環境試験装置用コントローラにおいて、前記サブモジュール各々は、不具合の発生を検知する不具合検知手段を更に有しており、前記不具合検知手段が不具合を検知した場合、前記サブモジュールは前記メインモジュールに不具合検知データを送信し、前記メインモジュールは、前記サブモジュールから前記不具合検知データを受信した場合、前記環境試験装置全体のログの前記メインメモリへの記憶を所定の時間継続した後に、この記憶動作を停止してもよい。上記の構成によれば、環境試験装置に不具合が発生した場合に、この不具合発生時から所定期間の間は、環境試験装置全体のログの記憶は継続されるため、不具合原因の特定をより正確に行うことができる。また、所定期間経過後はこの記録動作は停止されるので、不具合からコントローラを保全することができる。
【0013】
また、本発明の環境試験装置用コントローラにおいて、前記センサ入力モジュールは、リングメモリを更に有し、前記内部クロックが計時する所定の時間間隔よりも短い時間間隔毎に、前記環境センサから前記環境状態データを取得し、この取得時において前記内部クロックが計時した内部時刻を環境状態取得時刻データとし、前記環境状態取得時刻データと取得した環境状態データとを含む小サイクルログを前記リングメモリに記録しており、前記サブモジュールの何れかにおいて前記不具合検知手段が不具合を検知した場合に、前記リングメモリに記憶された前記小サイクルログを前記メインモジュールに送信し、前記メインモジュールは、前記入力サブモジュールから受信した前記小サイクルログを前記メインメモリに記憶してもよい。上記の構成によれば、不具合発生前の一定期間の環境状態データを詳細にログとして記憶することができるので、不具合原因の特定をより容易に行うことができる。
【0014】
また、本発明の環境試験装置用コントローラにおいて、前記センサ入力モジュールの前記内部クロックが前記記録トリガを出力する時間間隔を、特定の条件のときに、変更してもよい。上記の構成によれば、環境状態データを取得する時間間隔を変更することができる。
【0015】
また、本発明の環境試験装置用コントローラにおいて、前記特定の条件のときは、前記環境試験装置の状態が、前記環境試験装置において不具合が発生する可能性が高い状態であるとユーザが予め設定した状態にあるときであり、この特定の条件のときにおいて、前記センサ入力モジュールにおける前記内部クロックが前記記録トリガを出力する時間間隔を短くしてもよい。上記の構成によれば、環境試験装置が不具合を発生する可能性が高い状態にあるときに、環境状態データを詳細にログとして記憶することができるので、不具合が発生した場合において、このログを確認することで、不具合原因の特定をより容易に行うことができる。
【0016】
また、本発明の環境試験装置用コントローラにおいて、前記特定の条件のときは、前記環境試験装置において、ユーザが予測することができない不具合が発生しているときであり、この特定の条件ときにおいて、前記センサ入力モジュールにおける前記内部クロックが前記記録トリガを出力する時間間隔を短くしてもよい。上記の構成によれば、環境試験装置において不具合が発生しているときに、環境状態データを詳細にログとして記憶することができるので、このログを確認することで、不具合原因の特定をより容易に行うことができる。
【0017】
また、本発明の環境試験装置用コントローラにおいて、前記入力サブモジュールの前記ログメモリから、又は前記メインモジュールの前記メインメモリから、前記入力サブモジュールが取得した前記イベントデータ、及び前記イベント取得調整時刻データ又は前記イベント取得時刻データを読み込み、前記コントローラの操作入力手順を再現可能なマクロを生成可能なマクロ生成手段を更に有していてもよい。上記の構成によれば、コントローラへの操作入力手順をマクロにすることができるので、ユーザ各々が有する環境試験装置の操作のノウハウや技能等の共有化を図ることができる。
【0018】
また、本発明の環境試験装置用コントローラにおいて、ネットワークを介して他の環境試験装置と通信可能な通信制御手段を更に有し、前記通信制御手段により、他の環境試験装置との間で前記メインメモリに記憶されている前記環境試験装置全体のログの授受が可能にされていると共に、他の環境試験装置のコントローラの遠隔操作が可能にされていてもよい。上記の構成によれば、遠隔地に設置された環境試験装置のコントローラのメインメモリに記憶された環境試験装置全体のログを取得することができるので、その結果、遠隔地に設置された環境試験装置の不具合の原因をその設置場所に行かずとも特定することができる。また、環境試験装置のコントローラの遠隔操作が可能であるため、遠隔地からリモートメンテナンスを行うことができる。
【0019】
また、本発明の環境試験装置は、前記環境試験装置用コントローラを有している。
【0020】
また、本発明の環境試験装置用デバッガは、前記環境試験装置と、前記環境試験装置をシーケンス制御可能なPLC処理手段とを有する環境試験装置用デバッガであって、前記PLC処理手段は、前記メインメモリに記憶された前記環境試験装置全体のログを用いて、前記環境試験装置の運転の再現が可能であることを特徴とする。上記環境試験装置全体のログを用いて環境試験装置の運転を再現することができるため、環境試験装置の不具合の原因をより容易に特定することができる。
【0021】
また、本発明の環境試験装置用デバッガにおいて、前記環境センサは、前記環境試験装置の槽内に備えられており、前記環境状態データは、前記環境試験装置の槽内環境データを含むものであり、前記PLC処理手段は、前記メインメモリに記憶された前記環境試験装置全体のログを用いて、前記メインモジュールの前記制御対象機器に対するシーケンス制御の再現が可能である共に、前記環境試験装置全体のログを用いた理論式により前記環境試験装置の槽内の環境状態のシミュレートが可能であってもよい。上記の構成によれば、環境試験装置全体のログを用いて制御対象機器のシーケンス制御の再現が可能であると共に、環境試験装置全体のログを用いた理論式により環境試験装置の槽内の環境状態をシミュレートすることができる。従って、実際に環境センサにより取得して前記メインメモリに記憶された環境状態ログデータの槽内環境データと、環境試験装置全体のログを用いた理論式によりシミュレートされた槽内環境とを比較することで、環境試験装置の不具合の原因の特定をより容易に行うことができる。
【0022】
また、本発明の環境試験装置用デバッガにおいて、前記槽内環境データは、前記環境試験装置の槽内の、温度、湿度、圧力、風速から選択的に採用されてもよい。
【0023】
また、本発明の環境試験装置用デバッガにおいて、前記環境試験装置の外部環境状態の再現が可能な環境再現装置を更に有し、前記環境状態データは、前記環境試験装置の外部環境データを含むものであり、前記メインメモリに記憶された前記環境状態ログデータに含まれる前記外部環境データを用いて、前記環境再現装置が前記環境試験装置の外部環境状態の再現が可能であってもよい。上記の構成によれば、環境再現装置により環境試験装置の外部環境状態も再現してデバッグを行うことができるので、環境試験装置の不具合原因をより容易に特定することができる。
【0024】
また、本発明の環境試験装置用デバッガにおいて、前記外部環境データは、前記環境試験装置の外部の、温度、湿度、及び圧力、並びに前記環境試験装置の電源電圧、消費電力、及び通信情報から選択的に採用されてもよい。
【0025】
また、本発明の環境試験装置用コントローラは、データログ機能を有する環境試験装置用コントローラであって、現在時刻を計時するリアルタイムクロックと、所定の時間間隔毎に記録トリガを出力するサイクルタイマと、前記環境試験装置全体のログが記憶される記憶手段と、前記コントローラに対してユーザから操作入力される操作入力データを取得する入力取得手段と、前記環境試験装置の制御対象機器に対して制御データを出力する制御手段と、前記環境試験装置の環境状態を検出する環境センサから環境状態データを取得する環境状態取得手段とを有し、前記サイクルタイマの記録トリガの出力時において、前記リアルタイムクロックが計時した現在時刻データと、環境状態取得手段が取得した環境状態データとを対応付けて前記記憶手段に記憶し、前記入力取得手段が前記操作入力データを取得した場合、又は前記制御手段が前記制御データを出力した場合、この取得時又は出力時において前記リアルタイムクロックが計時した現在時刻データと、この取得時又は出力時において前記環境状態取得手段が取得した環境状態データと、前記操作入力データ又は前記制御データとを対応付けて前記記憶手段に記憶することを特徴とする。
【0026】
上記の構成によれば、所定の時間間隔毎に記憶される環境試験装置の環境状態データに加えて、コントローラに対するユーザの操作入力データ、及びこの操作入力が行われた際の環境試験装置の環境状態データ、並びに環境試験装置の制御対象機器に対して出力される制御データ、及び制御データが出力された際の環境試験装置の環境状態データもログとして記憶することができる。これにより、環境試験装置に不具合が発生した場合でも、このログを調べることで、不具合がユーザの誤操作により発生したのか、或いは制御対象機器の誤動作により発生したのか等の、不具合原因の特定を従来装置に比べて容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、環境試験装置において発生した不具合の原因の特定を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第一実施形態に係る環境試験装置の構成図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る環境試験装置用コントローラの構成図である。
【図3】環境試験装置全体ログの生成タイミングを表すタイムチャートである。
【図4】本発明の第二実施形態に係る環境試験装置用コントローラの構成図である。
【図5】ログメモリに記憶されるサブモジュールログ、メインメモリに記憶される環境試験全体ログについて説明する説明図である。
【図6】環境試験装置全体ログの生成タイミングを表すタイムチャートである。
【図7】リングメモリに記憶するログの生成タイミングを表すタイムチャートである。
【図8】イベント取得調整時刻データの算出方法について説明する説明図である。
【図9】イベントデータと環境状態データとの対応付けの方法について説明する説明図である。
【図10】環境状態データの記録方法について説明する説明図である。
【図11】メインモジュールの処理動作についてのフローチャートである。
【図12】入力サブモジュールの処理動作についてのフローチャートである。
【図13】I/Oサブモジュールの処理動作についてのフローチャートである。
【図14】センサ入力サブモジュールの処理動作についてのフローチャートである。
【図15】環境試験装置用デバッガの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態を、図1〜図3を参照して説明する。
【0030】
(環境試験装置)
まず、第一実施形態に係る環境試験装置用コントローラを有する環境試験装置について説明する。
【0031】
図1に示すように、環境試験装置50は、データログ機能を有するコントローラ1、LCD(Liquid Crystal Display)パネル31、設定ボタン32、試験槽51、複数の制御対象機器80、及び環境センサ90を備えている。
【0032】
LCDパネル31は、コントローラ1の後述の操作入力部3から入力された表示データに基づいて、環境試験装置50の試験条件、制御対象機器80の設定や制御対象機器80の現在の状態等をユーザに対して表示するものである。設定ボタン32は、コントローラ1に対するユーザからの操作入力を受け付けるものであり、受け付けた操作入力データをコントローラ1の操作入力部3へ出力する。なお、操作入力データとは、試験槽51の環境設定(例えば、試験室51aの温度設定)や、制御対象機器80の設定(例えば、後述の加熱器82のON・OFF)等のユーザが操作入力して設定するデータである。
【0033】
(試験槽)
試験槽51は、槽内に電子機器や電子部品等の被試験物Wを置き、この被試験物に対して環境試験を実施する槽である。試験槽51は、図1に示すように、被試験物Wが置かれる試験室51aとこれから仕切られた空調室51bとから構成されている。また、空調室51bには、複数の制御対象機器80が配されている。
【0034】
(制御対象機器)
制御対象機器80は、試験槽51の試験室51aにおいて人工的な環境状態を作り出す機器である。制御対象機器80は、コントローラ1の後述する制御部4から出力される制御データに基づいて機器の設定(能力)の変更等が行われる。
【0035】
制御対象機器80は、本実施形態においては、送風機81、加熱器82、及び冷却器83である。送風機81は、試験室51aと空調室51bとの間で空気を循環させることができる。加熱器82及び冷却器83は、空調室51bの温度を所定の温度に加熱・冷却することができる。また、加熱器82及び冷却器83は、送風機81の上流側に配されており、これにより、この加熱器82及び冷却器83により所定の温度に調整された空調室51bの空気を、試験室51aに送り込み、試験室51aを所定の温度に調整することができる。なお、本実施形態においては、制御対象機器80は、送風機81、加熱器82、及び冷却器83であるが、特にこれに限定されるものではなく、例えば試験室51aの空気を加湿することができる加湿器等でもよく、試験槽51の試験室51aにおいて人工的な環境状態を作り出すことが可能な機器であればよい。
【0036】
(環境センサ)
環境センサ90は、環境試験装置50の環境状態を検出するセンサであり、検出した環境状態データはコントローラ1の後述するセンサ入力部5に出力される。この環境センサ90は、図1に示すように、試験槽51の試験室51aに配され、試験室51a内の環境状態を検出する槽内環境センサ群91と、試験槽51の槽外に配され、環境試験装置50が設置された場所の環境状態を検出する外部環境センサ群92とから構成されている。なお、外部環境センサ群92は省略することができる。
【0037】
槽内環境センサ群91は、少なくとも試験室51a内の温度、湿度、圧力、風速のいずれかを検出することができる。なお、槽内環境センサ群91は、空調室51b内に配された制御対象機器80各々の状態を検出できるものでもよい。また、外部環境センサ群92は、少なくとも環境試験装置の設置場所の温度、湿度、及び圧力や、環境試験装置50の電源電圧、消費電力、通信情報のいずれかを検出することができる。
【0038】
(コントローラ)
コントローラ1は、図2に示すように、環境試験装置50全体のログである後述の環境試験装置全体ログ240を記憶するデータログ部2、ユーザからコントローラ1に対して入力される操作入力データを取得する入力取得手段である操作入力部3と、環境試験装置50の制御対象機器80に対して制御データを出力する制御手段である制御部4と、環境センサ90から環境状態データを取得する環境状態取得手段であるセンサ入力部5とを備えている。
【0039】
(操作入出力部)
操作入力部3は、制御部4から出力された表示制御データ、及びセンサ入力部5が取得した環境状態データ等を基に表示データを作成し、この表示データをLCDパネル31に出力する。また操作入力部3は、設定ボタン32から出力された操作入力データを取得し、この取得した操作入力データをデータログ部2、及び制御部4に出力する。
【0040】
(制御部)
制御部4には、シーケンスプログラムが格納されており、制御部4は、このシーケンスプログラム、操作入力部3が取得した操作入力データ、及びセンサ入力部5が取得した環境状態データに基づいて制御データを作成し、この制御データを制御対象機器80に対して出力する。この制御データが入力された制御対象機器80は、制御データに基づいて、能力(設定)が変更されることになる。制御部4は、制御対象機器80に対する制御データの出力時において、この制御データをデータログ部2に対しても出力する。
【0041】
(センサ入力部)
センサ入力部5は、環境センサ90から出力された環境状態データを取得し、この環境状態データを、データログ部2、操作入力部3、及び制御部4に出力する。
【0042】
(データログ部)
データログ部2は、サイクルタイマ21、後述の環境試験装置全体ログ240を記憶する記憶手段である記憶部22、及びリアルタイムクロック(RTC)23を有している。
【0043】
サイクルタイマ21は、記録トリガを記憶部22に対して所定の時間間隔毎に出力をするものである。本実施の形態においては、60秒間隔毎に記録トリガを出力するように設定されている。また、リアルタイムクロック23は、現在時刻の計時を行うものである。ここで、「現在時刻」とは、本実施形態においては、環境試験装置50の装置起動時からの経過時間のことをいう。
【0044】
環境試験装置全体ログ240の生成(記憶)タイミングについて、図3を参照して説明する。
【0045】
記憶部22は、サイクルタイマ21から記録トリガが出力された場合、この記録トリガの出力時において、リアルタイムクロック23が計時した現在時刻データと、センサ入力部5が取得した環境状態データとを対応付けて記憶部22に記憶する。
【0046】
また、記憶部22は、操作入力部3から操作入力データ(図中のSW1、SW2、DS=85(温度を85℃に設定))を取得した場合、即ち、操作入力部3が設定ボタン32から入力データを取得した場合、この取得時においてリアルタイムクロック23が計時した現在時刻データと、センサ入力部5が取得した環境状態データと、操作入力データとを対応付けて記憶部22に記憶する。
【0047】
また、記憶部22は、制御対象機器80が制御部4からの制御データに基づいて設定が変更された(図中のH1(ON)(加熱器82がON))場合、即ち制御部4から制御対象機器80へ制御データが出力された場合、この出力時においてリアルタイムクロック23が計時した現在時刻データと、センサ入力部5が取得した環境状態データと、制御データとを対応付けて記憶部22に記憶する。
【0048】
以上のように、本実施形態のコントローラ1は、所定の時間間隔毎に記憶される環境試験装置50の環境状態データに加えて、コントローラ1に対するユーザからの操作入力、及びこの操作入力が行われた際の環境試験装置50の環境状態データ、並びにコントローラ1から制御対象機器80に対して出力される制御データ及び、制御データが出力された際の環境試験装置50の環境状態データもログとして記憶することができる。これにより、環境試験装置50に不具合が発生した場合でも、このログを調べることで、不具合がユーザの誤操作により発生したのか、制御対象機器80の誤動作により発生したのか、或いはシーケンスプログラムに問題があったのか等の不具合原因の特定を従来装置に比べて容易に行うことができる。
【0049】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について説明する。尚、以下の説明においては、上述した実施形態と同一の箇所については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0050】
第二実施形態に係るコントローラ100が第一実施形態のコントローラ1と異なる点は、図4に示すように、コントローラ100がモジュール構成にされていることである。
【0051】
(コントローラ)
コントローラ100は、制御対象機器80をシーケンス制御するメインモジュール200、メインモジュール200と通信可能な複数のサブモジュール300とから構成されている。
【0052】
(サブモジュール)
サブモジュール300は、コントローラ100に対するユーザの操作入力をイベントデータとして取得する入力サブモジュール330と、メインモジュール200から制御対象機器80へ出力される制御データをイベントデータとして取得するI/Oサブモジュール340と、環境センサ90から環境状態データを取得するセンサ入力サブモジュール350とからなる。
【0053】
各サブモジュール300は、サブモジュール300内の内部時刻を計時する内部クロック310(310a、310b、310c)、サブモジュール300内のログである後述のサブモジュールログ360(360a、360b、360c)が記憶されるログメモリ320(320a、320b、320c)、及び不具合の発生を検知する不具合検知手段である不具合検知部327(327a、327b、327c)を有している。
【0054】
内部クロック310が計時する内部時刻は、メインモジュール200との間で通信を行うと初期化(リセット)される(後で説明する図8を参照)。つまり、内部クロック310が計時する内部時刻は、メインモジュール200との間で行われた最後の通信からの経過時間である。
【0055】
また、不具合検知部327は、不具合を検知した場合、メインモジュール200に対して不具合検知データを出力する。なお、入力サブモジュール330及びI/Oサブモジュール340においては、センサ入力サブモジュール350に対しても不具合検知データを出力する。
【0056】
(入力サブモジュール)
入力サブモジュール330は、メインモジュール200から出力された表示制御データ、及びセンサ入力サブモジュール350が取得した環境状態データ等を基に表示データを作成し、この表示データをLCDパネル31に出力する。また入力サブモジュール330は、設定ボタン32から出力された操作入力データをイベントデータとして取得し、この取得時において内部クロック310aが計時した内部時刻をイベント取得時刻データとし、図5に示すように、イベントデータ(操作入力データ)とイベント取得時刻データとを含むサブモジュールログ360aをログメモリ320aに記憶する。
【0057】
(I/Oサブモジュール)
I/Oサブモジュール340は、メインモジュール200から制御対象機器80に出力される制御データをイベントデータとして取得する。そして、このイベントデータの取得時において、内部クロック310bが計時した内部時刻をイベント取得時刻データとし、図5に示すように、イベントデータ(制御データ)とイベント取得時刻データとを含むサブモジュールログ360bをログメモリ320bに記憶する。なお、I/Oサブモジュール340の制御データの取得時と、この制御データによる制御対象機器80の設定(能力)の変更時とは、同じ時刻である。
【0058】
(センサ入力サブモジュール)
センサ入力サブモジュール350は、内部クロック310cをサイクルタイマとして用い、この内部クロック310cにより計時される所定の時間間隔毎に環境センサ90から環境状態データを取得する。具体的には、内部クロック310cから所定の時間間隔毎に出力される記録トリガの出力時において、環境センサ90から環境状態データを取得する。また、この環境状態データの取得時において内部クロック310cが計時した内部時刻を環境状態取得時刻データとし、図5に示すように、この環境状態取得時刻データと環境状態データとを含むサブモジュールログ360cをログメモリ320cに記憶する。
【0059】
なお、本実施形態においては、内部クロック310cから出力される記録トリガは、通常のときにおいては60秒間隔毎に、特定の条件のときにおいては5秒間隔毎に出力される。つまり、通常のときから特定の条件のときに移行した場合、記録トリガの出力間隔は、60秒間隔から5秒間隔に変更されることになる。
【0060】
なお、この特定の条件のときには、環境試験装置50の状態が、環境試験装置50において不具合が発生する可能性が高い状態であるとユーザが予め設定した状態にあるとき(予測可能な現象が発生しているとき)と、環境試験装置50において、ユーザが予測することができない不具合が発生しているとき(予測不可能な現象が発生しているとき)がある。
【0061】
環境試験装置50の状態が、環境試験装置50において不具合が発生する可能性が高い状態であるとユーザが予め設定した状態にあるときとは、図6に示すように、試験室51aの環境状態が設定環境の所定の範囲にあるとき(例えば、試験室51aの温度が設定温度に近づき、その5℃前後にあるとき)や、制御対象機器80の能力を変更したときなどである。つまり、試験室51aの環境状態が設定環境の所定の範囲にあるときや、制御対象機器80の能力を変更するときは、環境試験装置50において不具合が発生する可能性が高いときである。このように、環境試験装置50が不具合を発生する可能性が高い状態にあるときに、予め環境状態データを取得する時間間隔を短くして詳細に(記録密度を高く)ログとして記憶しているので、不具合が発生した場合において、このログを確認することで、不具合原因の特定をより容易に行うことができる。なお、試験室51aの環境状態が設定環境の所定の範囲から外れた場合など、特定の条件のときから通常のときに移行(復帰)した場合は、この移行時、又は移行時から所定の時間(例えば3分後)経過後に、内部クロック310cから出力される記録トリガの時間間隔は、5秒間隔から60秒間隔に戻される。
【0062】
これに対して、環境試験装置50において、ユーザが予測することができない不具合が発生しているときとは、環境試験装置50の装置電源の予期せぬ停電や電圧降下、外部環境(例えば、環境試験装置50が設置された場所の室温や湿度)の急変や、通信制御部25を介した他の環境試験装置50との外部通信があり、メインモジュール200に割込み制御が発生しているときなどがある。このように、不具合が発生しているときに、環境状態データを詳細にログとして記憶することができるので、このログを確認することで、不具合原因の特定をより容易に行うことができる。
【0063】
また、センサ入力サブモジュール350は、リング構造を有するリングメモリ325を有しており、図7に示すように、内部クロック310cにより計時される所定の時間間隔(60秒間隔)よりも短い時間間隔で、環境状態データを取得する。具体的には、内部クロック310cは、5秒間隔毎に小記録トリガを出力しており、この出力時において環境センサから環境状態データを取得する。また、この取得時において内部クロック310cが計時した内部時刻を環境状態取得時刻データとし、環境状態取得時刻データと取得した環境状態データとを含む小サイクルログをリングメモリ325に記録する。そして、サブモジュール300の何れかにおいて不具合検知部327が不具合を検知した場合、センサ入力サブモジュール350は、リングメモリ325に記憶された小サイクルログをメインモジュール200に送信する。
【0064】
(メインモジュール)
メインモジュール200は、リアルタイムクロック23、環境試験装置50全体のログが記憶されるメインメモリ24、ネットワークを介して他の環境試験装置50と通信可能な通信制御手段である通信制御部25、及びコントローラの操作入力手順を再現可能なマクロを生成可能なマクロ生成手段であるマクロ生成部27を有している。
【0065】
通信制御部25は、メインモジュール200とサブモジュール300との間の通信の制御を行う。また、通信制御部25は、他の環境試験装置50の通信制御部25とネットワークを介して通信を行うことで、メインメモリ24に記憶されている環境試験装置全体ログ240や後述するコントローラ100の操作入力手順を再現可能なマクロの授受、及び他の環境試験装置50のコントローラ100の遠隔操作が可能にされている。これにより、遠隔地に設置された環境試験装置50のコントローラ100のメインメモリ24に記憶された環境試験装置全体ログ240を取得することができるので、その結果、遠隔地に設置された環境試験装置全体ログ240の不具合の原因をその設置場所に行かずとも解析することができる。また、環境試験装置全体ログ240を使用してコントローラ100の遠隔操作が可能であるため、遠隔地からリモートメンテナンスを行うことができる。
【0066】
またさらに、通信制御部25は、外部記憶メディア26との間で、環境試験装置全体ログ240や後述するコントローラ100の操作入力手順を再現可能なマクロの授受が可能にされている。
【0067】
マクロ生成部27は、メインメモリ24に記憶された、入力サブモジュール330から受信したイベントデータ(操作入力データ)、及び後述のイベント取得調整時刻データを読み込み、コントローラ100の操作入力手順を再現可能なマクロを生成することができる。これにより、ユーザ各々が有する環境試験装置50の操作のノウハウや技能等の共有化を図ることができる。
【0068】
なお、操作マクロの生成方法としては、例えば、メインメモリ24に記憶されている環境試験装置全体ログ240から必要なデータを取り出し、パーソナルコンピュータなどの編集装置により、取り出したデータを編集し、コントローラ100において実行可能なプログラムとして操作マクロを生成する方法などがある。このように生成した操作マクロはメインメモリ24に記憶され、ユーザの操作入力により実行可能にされている。なお、操作マクロ自体をメインモジュール200のシーケンスプログラムに組み込むことが可能にされていてもよい。
【0069】
なお、本実施形態にはメインメモリ24に記憶されたイベントデータ、及び後述のイベント取得調整時刻データを読み込んでマクロを生成しているが、入力サブモジュール330のログメモリ320aに記憶されているイベントデータ及びイベント取得時刻データを読み込んでマクロを生成するようにされていてもよい。
【0070】
メインモジュール200には、シーケンスプログラムが格納されており、このシーケンスプログラム、及び各サブモジュール300から受信したデータに基づいて制御データを作成し、この制御データをI/Oサブモジュール340を介して制御対象機器80に出力する。また、入力サブモジュール330に対しては、LCDパネル31に表示させる情報を含む表示制御データを出力する。
【0071】
また、メインモジュール200は、処理に余裕があるとき(タスクの空き時間)に各サブモジュール300に対してログ送信要求を出力し、サブモジュールログ360を受信する。また、メインモジュール200は、サブモジュールログ360を受信した場合、この受信時においてリアルタイムクロック23が計時した現在時刻である受信時刻データ、サブモジュールログ360に付された送信時内部時刻データ、及びサブモジュールログ360が含むイベント取得時刻データ又は環境状態取得時刻データを用いて、リアルタイムクロック23を基準としたイベント取得調整時刻データ、又はリアルタイムクロック23を基準とした環境状態取得調整時刻データを算出する。
【0072】
以下、入力サブモジュール330から受信したサブモジュールログ360aに含まれるイベントデータを用いてイベント取得調整時刻データを算出する方法について、図8を参照して具体的に説明する。図8に示すように、メインモジュール200は、入力サブモジュール330から、送信時内部時刻データが付されたサブモジュールログ360aを受信する。送信時内部時刻データとは、入力サブモジュール330において、メインモジュール200への送信時に内部クロック310aが計時した内部時刻である。
【0073】
まず、メインモジュール200は、送信時内部時刻データの値からイベント取得時刻データの値を減算して、入力サブモジュール330においてイベントデータを取得した時刻からサブモジュールログ360aの送信時までに経過した時間(以下、経過時間)を算出する。次に、メインモジュール200におけるサブモジュールログ360aの受信時刻と、入力サブモジュール330におけるサブモジュールログ360aの送信時刻とは同じ時刻であるとみなし、受信時刻データの値から経過時間を減算した値を、イベント取得調整時刻データとする。このようにすることで、サブモジュールログ360aのイベント取得時刻データを、リアルタイムクロック23を基準としたイベント取得調整時刻データとすることができる。
【0074】
なお、I/Oサブモジュール340から受信したサブモジュールログ360bに含まれるイベントデータを用いてイベント取得調整時刻データを算出する方法、及びセンサ入力サブモジュール350から受信したサブモジュールログ360cに含まれる環境状態データを用いて環境状態調整時刻データを算出する方法については、上記と同様の方法で算出することができるので説明は省略する。
【0075】
このようにして算出したイベント取得調整時刻データは、イベントデータに対応付けられて、図5に示すように、イベントログデータ241としてメインメモリ24に記憶される。同様に、環境状態取得調整時刻データは、環境状態データに対応付けられて、環境状態ログデータ242としてメインメモリ24に記憶される。
【0076】
また、イベントログデータ241には、このイベントログデータ241に含まれるイベントデータに時間的に対応する環境状態データが含まれている。このイベントデータに時間的に対応する環境状態データは、イベント取得調整時刻データ、及び環境状態取得調整データを用いて求められる。具体的には、図9に示すように、イベント取得調整時刻データに対して、最も時間的に近い環境状態取得調整データを求めて、この環境状態取得調整データに対応する環境状態データをイベントログデータに含ませる。このようにすることで、イベントデータの取得時刻と同じ時刻に環境状態データが取得されていない場合においても、イベントデータと環境状態データとの対応付けを行うことができる。
【0077】
また、図10に示すように、メインメモリ24に記憶されている任意の環境状態ログデータ242に含まれる環境状態データの値が、環境状態取得調整時刻データにおいて1つ前及び1つ後の環境状態ログデータ242に含まれる環境状態データの値と実質的に同じ場合には、この任意の環境状態ログデータ242が含む環境状態データがイベントデータと時間的に対応付けられている場合を除いて、当該環境状態ログデータ242をメインメモリ24から消去する。このようにすることで、環境試験装置50の環境状態が安定しており、環境状態データの値に変化がない期間において、この期間の最初と最後の環境状態ログデータ242を残して、その他の環境状態ログデータ242は消去されることになる。その結果、メインメモリ24に記憶させるデータ量を少なくすることができ、メインメモリ24の記憶容量を節約することができる。なお『実質的に同じ』とは、環境状態データの値が完全に同じであることを意味するわけではなく、図10に示すように、ユーザの許容する誤差範囲内にあればよいことを意味する。また、図10においては、説明の便宜上、イベントログデータ241と環境状態ログデータ242とを纏めた環境試験装置全体ログ240を図示している。
【0078】
(コントローラの処理動作)
次にコントローラ100の処理動作について、図11〜14を参照しつつ説明する。
【0079】
(メインモジュールの動作)
まず、メインモジュールの処理動作について、図11を参照して説明する。
【0080】
メインモジュール200は、環境試験装置50の装置電源が起動された場合、リアルタイムクロック23が計時した現在時刻を起動時刻データとしてメインメモリ24に記憶すると共に、各サブモジュール300と初期通信を行う(A1)。
【0081】
次に、メインモジュール200は、処理に余裕があるか否か(タスクの空き時間であるか否か)を判断する(A2)。処理に余裕がないと判断した場合(A2:NO)には、制御対象機器80に対してシーケンス制御を行い(A3)、A6の処理に移る。
【0082】
一方、処理に余裕があると判断した場合(A2:YES)には、各サブモジュール300に対して、ログ要求を送信する(A4)。次に、各サブモジュール300から受信したサブモジュールログ360から、環境試験装置全体ログ240(イベントログデータ241及び環境状態ログデータ242)を生成し、メインメモリ24に記憶する(A5)。また、この時、イベントデータに時間的に対応する環境状態データを求めて、この求めた環境状態データをイベントログデータ241に含めて記憶する。A5の処理が終了すると、A6の処理に移る。
【0083】
A6の処理では、サブモジュール300の何れかから不具合検知データを受信したか否かを判断する。不具合検知データを受信していないと判断した場合(A6:NO)には、A2の処理に移る。
【0084】
一方、不具合検知データを受信したと判断した場合(A6:YES)には、メインモジュール200は、センサ入力サブモジュール350から小サイクルログを受信すると共に、サブモジュール300へのログ要求の送信、各サブモジュール300からサブモジュールログ360の受信、及び上記A5の処理と同様の環境試験装置全体ログ240のメインメモリ24への記憶を、所定の時間の間継続する(A7)。その後、サブモジュール300へ記録停止命令を送信し、且つ環境試験装置全体ログ240のメインメモリ24への記録動作を停止して(A8)、本処理動作を終了する。このように、不具合の発生時から所定期間経過後には、環境試験装置全体ログ240のメインメモリ24への記録動作は停止されるので、不具合からコントローラ100を保全することができる。なお、所定時間とは、不具合の原因の特定に必要なサブモジュールログ360をサブモジュール300から受信して、このサブモジュールログ360を用いて生成された環境試験装置全体ログ240をメインメモリ24に記憶するまでにかかる時間である。
【0085】
(入力サブモジュールの処理動作)
次に、入力サブモジュール330の処理動作について、図12を参照して説明する。
【0086】
入力サブモジュール330は、メインモジュール200からの初期通信時に、内部クロック310aが計時する内部時刻を初期化する(B1)。次に、設定ボタン32から操作入力データを取得したか否かを判断する(B2)。操作入力データを取得したと判断した場合(B2:YES)には、この取得時において内部クロック310aが計時した内部時刻をイベント取得時刻データとし、イベントデータ(操作入力データ)とイベント取得時刻データとを含むサブモジュールログ360aをログメモリ320aに記憶し(B3)、B6の処理に移る。
【0087】
一方、操作入力データを取得したと判断していないと判断した場合(B2:NO)には、不具合検知部327aが不具合を検知したか否かを判断する(B4)。不具合検知部327aが不具合を検知していないと判断した場合(B4:NO)には、B6の処理に移る。
【0088】
一方、不具合検知部327aが不具合を検知したと判断した場合(B4:YES)には、入力サブモジュール330は、メインモジュール200、及びセンサ入力サブモジュール350に不具合検知データを送信して(B5)、B2の処理に移る。
【0089】
B6の処理では、入力サブモジュール330は、メインモジュール200からログ要求を受信したか否かを判断する。ログ要求を受信していないと判断した場合(B6:NO)には、B8の処理に移る。
【0090】
一方、ログ要求を受信したと判断した場合(B6:YES)には、入力サブモジュール330は、ログメモリ320aに記憶されているサブモジュールログ360aをメインモジュール200に送信し(B7)、B8の処理に移る。なお、メインモジュール200に送信したサブモジュールログ360aはログメモリ320aから削除してもよい。また、入力サブモジュール330が、ログ要求を受信した時において、処理に余裕がない(タスクの空き時間ではない)場合には、次にメインモジュール200からログ要求を受信した際に、サブモジュールログ360aを送信するようにされていてもよい。
【0091】
B8の処理では、メインモジュール200から記録停止命令を受信したか否かを判断する。記録停止命令を受信していないと判断した場合(B8:NO)には、B2の処理に移る。
【0092】
一方で、記録停止命令を受信したと判断した場合(B8:YES)には、設定ボタン32からの操作入力データの取得を停止して、サブモジュールログ360aのログメモリ320aへの記録を停止し(B9)、本処理動作を終了する。
【0093】
(I/Oサブモジュールの処理動作)
I/Oサブモジュール340の処理動作は、図13に示すように、上記入力サブモジュールの動作と略同様であり、設定ボタン32から出力された操作入力データをメインモジュール200から制御対象機器80に出力される制御データに、内部クロック310aを内部クロック310bに、ログメモリ320aをログメモリ320bに、サブモジュールログ360aをサブモジュールログ360bに、不具合検知部327aを不具合検知部327bに読み替えるだけなので説明は省略する。
【0094】
(センサ入力サブモジュールの処理動作)
次に、センサ入力サブモジュール350の処理動作について、図14を参照して説明する。
【0095】
センサ入力サブモジュール350は、メインモジュール200からの初期通信時に、内部クロック310cが計時する内部時刻を初期化する(D1)。次に、内部クロック310cから所定の時間間隔(通常のとき:60秒間隔、特定の条件のとき:5秒間隔)毎に出力される記録トリガが出力(サイクルアップ)されたか否かを判断する(D2)。記録トリガが出力されたと判断した場合(D2:YES)には、この記録トリガの出力時(環境状態データの取得時)において内部クロック310cが計時した内部時刻を環境状態取得時刻データとし、この記録トリガの出力時に環境センサ90から取得した環境状態データと環境状態取得時刻データとを含むサブモジュールログ360cをログメモリ320cに記憶し(D3)、D8の処理に移る。なお、内部クロック310cは、5秒間隔毎に小記録トリガを出力しており、小記録トリガの出力時(環境状態データの取得時)において内部クロック310cが計時した内部時刻を環境状態取得時刻データとし、この小記録トリガの出力時において、環境センサ90から取得した環境状態データと環境状態取得時刻データとを含む小サイクルログがリングメモリ325に記憶される。
【0096】
一方、記録トリガが出力されていないと判断した場合(D2:NO)には、環境試験装置50の状態が、環境試験装置50において不具合が発生する可能性が高い状態にあるか(又は予測可能な現象が発生したか)否かを判断する(D4)。不具合が発生する可能性が高い状態にあるか、又は予測可能な現象が発生したと判断した場合(D4:YES)には、内部クロック310cが出力する記録トリガの時間間隔を5秒に変更し(D5)、D7の処理に移る。
【0097】
一方で予測可能な現象が発生していない場合(D4:NO)には、環境試験装置50において、ユーザが予測することができない不具合が発生したか否かを判断する(D6)。具体的には、不具合検知部327cが不具合を検知したと判断した場合、又は他のサブモジュール300から不具合検知データを受信したと判断した場合には、環境試験装置50に不具合が発生したと判断する。それ以外の場合には、環境試験装置50に不具合が発生していないと判断する。
【0098】
不具合が発生したと判断した場合(D6:YES)には、内部クロック310cが出力する記録トリガの時間間隔を5秒に変更し、リングメモリ325に記憶されている小サイクルログをメインモジュール200に送信し(D7)、D2の処理に移る。一方で、不具合が発生していないと判断した場合(D6:NO)には、D8の処理に移る。なお、不具合検知部327cが不具合を検知したと判断した場合には、メインモジュール200に不具合検知データを送信する。
【0099】
D8の処理では、センサ入力サブモジュール350は、メインモジュール200からログ要求を受信したか否かを判断する。ログ要求を受信していないと判断した場合(D8:NO)には、D10の処理に移る。
【0100】
ログ要求を受信したと判断した場合(D8:YES)には、センサ入力サブモジュール350は、ログメモリ320cに記憶されているサブモジュールログ360cをメインモジュール200に送信し(D9)、D10の処理に移る。なお、メインモジュール200に送信したサブモジュールログ360cはログメモリ320cから削除してもよい。また、センサ入力サブモジュール350が、ログ要求を受信した時において、処理に余裕がない(タスクの空き時間ではない)場合には、次にメインモジュール200からログ要求を受信した際に、サブモジュールログ360cを送信するようにされていてもよい。
【0101】
D10の処理では、メインモジュール200から記録停止命令を受信したか否かを判断する。記録停止命令を受信していないと判断した場合(D10:NO)には、D2の処理に移る。
【0102】
一方で、記録停止命令を受信したと判断した場合(D10:YES)には、環境センサ90からの環境状態データの取得を停止して、サブモジュールログ360cのログメモリ320cへの記録を停止し(D11)、本処理動作を終了する。
【0103】
(環境試験装置用デバッガ)
次に、環境試験装置用デバッガについて説明する。
【0104】
環境試験装置用デバッガとして、編集装置を用いたデバッガがある。編集装置を用いたデバッガとは、PLCの編集装置(パーソナルコンピュータなど)にシーケンスプログラム、及びメインメモリ24に記憶されている環境試験装置全体ログ240を格納し、このシーケンスプログラムに基づいて、環境試験装置全体ログ240をステップ実行させて確認するデバッガである。このデバッガは、編集装置により、メインメモリ24に記憶されている環境試験装置全体ログ240のイベントデータ及び環境状態データを、イベント取得調整時刻データ及び環境状態取得調整時刻データを用いて、リアルタイムクロック23を基準とした記憶(取得)順序にソートし、時間的に隣り合うイベントデータ又は環境状態データとの取得調整時刻データの時間間隔は考慮せずに、連続的にステップ実行して、シーケンスプログラムの動作を確認するものである。この編集装置を用いたデバッガは、極めて単純であり、実行時間は関係ないため非常に短時間でシーケンスプログラムの動作を確認することができる。
【0105】
また、その他の環境試験装置用デバッガとして、環境再現装置を用いたデバッガがある。この環境再現装置を用いたデバッガについて、図15を参照して説明する。
【0106】
デバッガ500は、環境試験装置50、環境試験装置50をシーケンス制御するPLC処理手段であるPLC処理部510、及び環境再現装置520を有している。
【0107】
環境再現装置520は、環境試験装置50を収容する再現槽530、及びデバッガ用制御対象機器540を有している。
【0108】
再現槽530は、環境試験装置50の外部環境状態を再現するための槽であり、環境試験装置50が置かれる再現室530aとこれから仕切られた空調室530bとから構成されている。空調室530bには、複数のデバッガ用制御対象機器540が配されている。
【0109】
(デバッガ用制御対象機器)
デバッガ用制御対象機器540は、再現槽530の再現室530aにおいて、環境試験装置50の外部環境状態を再現することが可能な機器である。デバッガ用制御対象機器540は、PLC処理部510から出力される制御データに基づいて機器の設定(能力)が変更される。
【0110】
デバッガ用制御対象機器540は、本実施形態においては、送風機541、加熱器542、及び冷却器543である。送風機541は、再現室530aと空調室530bとの間で空気を循環させることができる。加熱器542及び冷却器543は、空調室530bの温度を所定の温度に加熱・冷却することができる。また、加熱器542及び冷却器543は、送風機541の上流側に配されており、これにより、この加熱器542及び冷却器543により所定の温度に調整された空調室530bの空気を、再現室530aに送り込み、再現室530aを所定の温度に調整することができる。なお、本実施形態においては、デバッガ用制御対象機器540は、送風機541、加熱器542、及び冷却器543であるが、特にこれに限定されるものではなく、例えば再現室530aの空気を加湿することができる加湿器等でもよく、再現槽530の再現室530aにおいて人工的な環境状態を作り出すことが可能な機器であればよい。
【0111】
PLC処理部510は、環境試験装置50をシーケンス制御するためのシーケンスプログラムが格納されている。PLC処理部510は、このシーケンスプログラム、及びコントローラ100のメインメモリ24に記憶された環境試験装置全体ログ240を用いて、環境試験装置全体ログ240の運転の再現を行うことができる。
【0112】
具体的には、PLC処理部510は、環境試験装置50のコントローラ100のメインメモリ24に記憶された環境試験装置全体ログ240を用いて、メインモジュール200の制御対象機器80に対するシーケンス制御の再現を行うことができる。
【0113】
また、環境試験装置50の試験槽51の槽内の環境状態は、予め設計により選択された制御対象機器80の動作により作り出されているので、この設計に基づく試験槽51の槽内の環境状態をシミュレートすることが可能な理論式が存在する。PLC処理部510は、この理論式により環境試験装置50の試験室51aの環境状態(槽内の環境状態)をシミュレートすることができる。これにより、実際に環境センサ90により取得してメインメモリ24に記憶された環境状態ログデータ242の槽内環境データと、環境試験装置全体ログ240を用いた理論式によりシミュレートされた試験室51aの環境状態とを比較することで、環境試験装置50の不具合の原因の特定をより容易に行うことができる。
【0114】
また、PLC処理部510は、メインメモリ24に記憶された環境状態ログデータ242に含まれる外部環境データを用いて、デバッガ用制御対象機器540を制御する。これにより、環境試験装置50の外部環境状態を再現することができるため、環境試験装置50の不具合の原因の特定をより容易に行うことができる。
【0115】
以上、本発明の実施例を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0116】
1 コントローラ
3 操作入力部(入力取得手段)
4 制御部(制御手段)
5 センサ入力部(環境状態取得手段)
21 サイクルタイマ
22 記憶部(記憶手段)
23 リアルタイムクロック
24 メインメモリ
25 通信制御部(通信制御手段)
27 マクロ生成部(マクロ生成手段)
50 環境試験装置
80 制御対象機器
90 環境センサ
100 コントローラ
200 メインモジュール
240 環境試験装置全体ログ
241 イベントログデータ
242 環境状態ログデータ
300 サブモジュール
310 内部クロック
320 ログメモリ
325 リングメモリ
327 不具合検知部(不具合検知手段)
330 入力サブモジュール
340 I/Oサブモジュール
350 センサ入力サブモジュール
360 サブモジュールログ
500 環境試験装置用デバッガ
510 PLC処理部(PLC処理手段)
520 環境再現装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データログ機能を有する環境試験装置用コントローラであって、
前記環境試験装置の制御対象機器をシーケンス制御するメインモジュールと、
前記コントローラに対するユーザの操作入力をイベントデータとして取得する入力サブモジュールと、前記メインモジュールから前記制御対象機器へ出力される制御データをイベントデータとして取得するI/Oサブモジュールと、前記環境試験装置の環境状態を検出する環境センサから環境状態データを取得するセンサ入力サブモジュールとを含む、前記メインモジュールと通信可能な複数のサブモジュールと
を備え、
前記複数のサブモジュールは、
前記サブモジュール内の内部時刻を計時する内部クロックと、
前記サブモジュールのログであるサブモジュールログが記憶されるログメモリと
を各サブモジュールに有し、
前記入力サブモジュール及び前記I/Oサブモジュールは、前記イベントデータを取得した場合に、この取得時において前記内部クロックが計時した内部時刻をイベント取得時刻データとし、前記イベントデータと前記イベント取得時刻データとを含むサブモジュールログを前記ログメモリに記憶し、
前記センサ入力サブモジュールは、前記内部クロックから所定の時間間隔毎に出力される記録トリガの出力時に、前記環境センサから環境状態データを取得し、この取得時において前記内部クロックが計時した内部時刻を環境状態取得時刻データとし、前記環境状態取得時刻データと前記環境状態データとを含むサブモジュールログを前記ログメモリに記憶し、
前記サブモジュール各々における、前記ログメモリに記憶されたサブモジュールログの前記メインモジュールへの送信は、前記メインモジュールが処理に余裕があるときに、この送信時において前記内部クロックが計時した内部時刻を送信時内部時刻データとして前記サブモジュールログに付して行うものであり、
前記メインモジュールは、
現在時刻を計時するリアルタイムクロックと、
前記環境試験装置全体のログが記憶されるメインメモリと
を有し、
前記サブモジュール各々から前記サブモジュールログを受信した場合に、この受信時において前記リアルタイムクロックが計時した前記サブモジュールログの受信時刻データ、前記サブモジュールログに付された前記送信時内部時刻データ、及び前記サブモジュールログに含まれる前記イベント取得時刻データ又は環境状態取得時刻データを用いて、前記リアルタイムクロックを基準としたイベント取得調整時刻データ、又は前記リアルタイムクロックを基準とした環境状態取得調整時刻データを算出し、算出したイベント取得調整時刻データと前記イベントデータとを対応付けてイベントログデータとして、又は算出した環境状態取得調整時刻データと前記環境状態データとを対応付けて環境状態ログデータとして前記メインメモリに記憶すると共に、このイベント取得調整時刻データ及び環境状態取得調整時刻データを用いて、前記イベントデータに時間的に対応する前記環境状態データを求めて、前記メインメモリに記憶することを特徴とする環境試験装置用コントローラ。
【請求項2】
前記メインモジュールにおける前記イベントデータと前記環境状態データとの対応付けは、前記イベント取得調整時刻データに対して時間的に最も近い前記環境状態取得調整時刻データを求めて行うことを特徴とする請求項1に記載の環境試験装置用コントローラ。
【請求項3】
前記メインメモリに記憶されている任意の前記環境状態ログデータに含まれる前記環境状態データの値が、前記環境状態取得調整時刻データにおいて1つ前及び1つ後の前記環境状態ログデータに含まれる前記環境状態データの値と実質的に同じ場合には、この任意の環境状態ログデータに含まれる環境状態データが前記イベントデータと時間的に対応付けられている場合を除いて、前記任意の環境状態ログデータを前記メインメモリから消去することを特徴とする請求項1又は2に記載の環境試験装置用コントローラ。
【請求項4】
前記サブモジュール各々は、不具合の発生を検知する不具合検知手段を更に有しており、
前記不具合検知手段が不具合を検知した場合、前記サブモジュールは前記メインモジュールに不具合検知データを送信し、
前記メインモジュールは、前記サブモジュールから前記不具合検知データを受信した場合、前記環境試験装置全体のログの前記メインメモリへの記憶を所定の時間継続した後に、この記憶動作を停止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の環境試験装置用コントローラ。
【請求項5】
前記センサ入力モジュールは、リングメモリを更に有し、前記内部クロックが計時する所定の時間間隔よりも短い時間間隔毎に、前記環境センサから前記環境状態データを取得し、この取得時において前記内部クロックが計時した内部時刻を環境状態取得時刻データとし、前記環境状態取得時刻データと取得した環境状態データとを含む小サイクルログを前記リングメモリに記録しており、前記サブモジュールの何れかにおいて前記不具合検知手段が不具合を検知した場合に、前記リングメモリに記憶された前記小サイクルログを前記メインモジュールに送信し、
前記メインモジュールは、前記入力サブモジュールから受信した前記小サイクルログを前記メインメモリに記憶することを特徴とする請求項4に記載の環境試験装置用コントローラ。
【請求項6】
前記センサ入力モジュールにおける前記内部クロックが前記記録トリガを出力する時間間隔を、特定の条件のときに、変更することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の環境試験装置用コントローラ。
【請求項7】
前記特定の条件のときは、前記環境試験装置の状態が、前記環境試験装置において不具合が発生する可能性が高い状態であるとユーザが予め設定した状態にあるときであり、この特定の条件のときにおいて、前記センサ入力モジュールにおける前記内部クロックが前記記録トリガを出力する時間間隔を短くすることを特徴とする請求項6に記載の環境試験装置用コントローラ。
【請求項8】
前記特定の条件のときは、前記環境試験装置において、ユーザが予測することができない不具合が発生しているときであり、この特定の条件のときにおいて、前記センサ入力モジュールにおける前記内部クロックが前記記録トリガを出力する時間間隔を短くすることを特徴とする請求項6に記載の環境試験装置用コントローラ。
【請求項9】
前記入力サブモジュールの前記ログメモリから、又は前記メインモジュールの前記メインメモリから、前記入力サブモジュールが取得した前記イベントデータ、及び前記イベント取得調整時刻データ又は前記イベント取得時刻データを読み込み、前記コントローラの操作入力手順を再現可能なマクロを生成可能なマクロ生成手段を更に有していることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の環境試験装置用コントローラ。
【請求項10】
ネットワークを介して他の環境試験装置と通信可能な通信制御手段を更に有し、
前記通信制御手段により、他の環境試験装置との間で前記メインメモリに記憶されている前記環境試験装置全体のログの授受が可能にされていると共に、他の環境試験装置のコントローラの遠隔操作が可能にされていること特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の環境試験装置用コントローラ。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の環境試験装置用コントローラを有する環境試験装置。
【請求項12】
請求項11に記載の環境試験装置と、
前記環境試験装置をシーケンス制御可能なPLC処理手段と
を有する環境試験装置用デバッガであって、
前記PLC処理手段は、前記メインメモリに記憶された前記環境試験装置全体のログを用いて、前記環境試験装置の運転の再現が可能であることを特徴とする環境試験装置用デバッガ。
【請求項13】
前記環境センサは、前記環境試験装置の槽内に備えられており、
前記環境状態データは、前記環境試験装置の槽内環境データを含むものであり、
前記PLC処理手段は、前記メインメモリに記憶された前記環境試験装置全体のログを用いて、前記メインモジュールの前記制御対象機器に対するシーケンス制御の再現が可能である共に、前記環境試験装置全体のログを用いた理論式により前記環境試験装置の槽内の環境状態のシミュレートが可能であることを特徴とする請求項12に記載の環境試験装置用デバッガ。
【請求項14】
前記槽内環境データは、前記環境試験装置の槽内の、温度、湿度、圧力、風速から選択的に採用されることを特徴とする請求項13に記載の環境試験装置用デバッガ。
【請求項15】
前記環境試験装置の外部環境状態の再現が可能な環境再現装置を更に有し、
前記環境状態データは、前記環境試験装置の外部環境データを含むものであり、
前記メインメモリに記憶された前記環境状態ログデータに含まれる前記外部環境データを用いて、前記環境再現装置が前記環境試験装置の外部環境状態の再現が可能であることを特徴とする請求項12〜14の何れか一項に記載の環境試験装置用デバッガ。
【請求項16】
前記外部環境データは、前記環境試験装置の外部の、温度、湿度、及び圧力、並びに前記環境試験装置の電源電圧、消費電力、及び通信情報から選択的に採用されることを特徴とする請求項15に記載の環境試験装置用デバッガ。
【請求項17】
データログ機能を有する環境試験装置用コントローラであって、
現在時刻を計時するリアルタイムクロックと、
所定の時間間隔毎に記録トリガを出力するサイクルタイマと、
前記環境試験装置全体のログが記憶される記憶手段と、
前記コントローラに対してユーザから操作入力される操作入力データを取得する入力取得手段と、
前記環境試験装置の制御対象機器に対して制御データを出力する制御手段と、
前記環境試験装置の環境状態を検出する環境センサから環境状態データを取得する環境状態取得手段と
を有し、
前記サイクルタイマの記録トリガの出力時において、前記リアルタイムクロックが計時した現在時刻データと、環境状態取得手段が取得した環境状態データとを対応付けて前記記憶手段に記憶し、
前記入力取得手段が前記操作入力データを取得した場合、又は前記制御手段が前記制御データを出力した場合、この取得時又は出力時において前記リアルタイムクロックが計時した現在時刻データと、この取得時又は出力時において前記環境状態取得手段が取得した環境状態データと、前記操作入力データ又は前記制御データとを対応付けて前記記憶手段に記憶することを特徴とする環境試験装置用コントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−63818(P2012−63818A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205256(P2010−205256)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000108797)エスペック株式会社 (282)
【Fターム(参考)】