説明

生ゴミの水熱処理装置、処理装置、水熱処理方法、及び処理方法

【課題】水蒸気の有効利用と生物処理に適した水熱処理液の製造という二つの課題を同時に満足させることができる生ゴミの水熱処理装置を提供すること。
【解決手段】生ゴミを水熱処理するための少なくとも一対の反応器;前記反応器内に水蒸気を導入するための水蒸気導入手段;前記各反応器間を連結し、一方の反応器から他方の反応器へ廃蒸気が移動するための配管;前記配管に設けられ、該配管内を移動する廃蒸気と、生ゴミの水熱処理によって生じる水熱処理液とを分離するための濾体;及び前記反応器から水熱処理液を排出するための水熱処理液排出手段;を備える、生ゴミを水熱処理して水熱処理液を得るための水熱処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミの水熱処理装置、該装置を備えた生ゴミの処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保全や資源循環に対する意識が高まり、生ゴミ等の被処理物の焼却処理といった既存の処理手法に変わる手法が種々提案されている(例えば、特許文献1)。この特許文献1では、生ゴミ(食品残渣)、木くず、紙くず等の被処理物を高温高圧の水蒸気にて加水分解し、飼料や堆肥を製造している。
【0003】
さらに、高含水廃棄物を処理するための装置が特許文献2に開示されている。特許文献2に開示の装置においては、水熱処理用の一対の反応器が配置され、各反応器間には、一方の反応器内から他方の反応器内へ水蒸気を移動させるための配管が設けられている。
【0004】
また、余剰汚泥の水熱処理装置が特許文献3に開示されている。特許文献3に開示の装置においては、水熱処理用の複数の反応器が配置され、各反応器間には、一方の反応器内から他方の反応器内へ水蒸気を移動させるための配管が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−47409号公報
【特許文献2】特開2009−120746号公報
【特許文献3】特表2004−525756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
生ゴミの水熱処理では、水熱処理の反応器内に生ゴミが投入された後、反応器内に水蒸気が導入される。そして、導入された水蒸気により反応器内の温度及び圧力が所定値まで高められ、生ゴミの水熱処理が行われる。生ゴミの水熱処理が完了した後、反応器内から水蒸気が脱気される。
【0007】
生ゴミを水熱処理した後に生物処理する場合には、生ゴミの水熱処理により得られる水熱処理液が生物処理に適した性状を有している必要がある。例えば、水熱処理の結果、生物処理に適さない難分解性物質が水熱処理液に含まれる場合、水熱処理としては満足できるかもしれないが、生物処理への負荷を考慮すると好ましいとは言えない。
【0008】
本発明者らが検討したところ、生物処理に適した水熱処理液を得るためには、生ゴミの水熱処理において生ゴミの加熱時間を設定値に制御する必要がある。生ゴミの加熱時間は、反応器内に生ゴミを投入した後に水蒸気を導入して反応器内の雰囲気を所定の温度および圧力まで高める時間、即ち「立ち上がり時間」と、該所定の温度および圧力を維持した状態で生ゴミの水熱処理を行う時間、即ち「反応時間」と、水熱処理後に反応器内から水蒸気を脱気して反応器内の圧力を例えば大気圧付近まで下げる「脱気時間」とから構成されている。これらの時間において、生ゴミの水熱処理は主に「反応時間」内で行われる。しかしながら、生ゴミの加熱と共に水熱処理が進行することから、「立ち上がり時間」及び「脱気時間」においても生ゴミの水熱処理は行われる。前記の3つの時間において、「反応時間」の制御は容易であるが、「立ち上がり時間」及び「脱気時間」は様々な要因で変動しやすい。そのため、生物処理に適した水熱処理液を得るためには、変動しやすい「立ち上がり時間」及び「脱気時間」を短くする必要がある。
【0009】
特許文献2及び3には、一方の反応器内の水蒸気の一部が他方の反応器内へ移動することが開示されている。かかる装置は水蒸気の有効利用という観点からは好ましいものの、「立ち上がり時間」及び「脱気時間」を短くすることにより難分解性物質の生成を抑制することは考慮されていない。従って、このような時間を制御するための具体的な構成は、特許文献2及び3には開示も示唆もされていない。
【0010】
従って、本発明の課題は、水蒸気の有効利用と生物処理に適した水熱処理液の製造という二つの課題を同時に満足させることができる生ゴミの水熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕生ゴミを水熱処理するための少なくとも一対の反応器、
前記反応器内に水蒸気を導入するための水蒸気導入手段、
前記各反応器間を連結し、一方の反応器から他方の反応器へ廃蒸気が移動するための配管、
前記配管に設けられ、該配管内を移動する廃蒸気と、生ゴミの水熱処理によって生じる水熱処理液とを分離するための濾体、及び
前記反応器から水熱処理液を排出するための水熱処理液排出手段、
を備える、生ゴミを水熱処理して水熱処理液を得るための水熱処理装置;
〔2〕前記〔1〕に記載の水熱処理装置と、前記反応器から排出された水熱処理液を生物処理して生物処理液を得るための生物処理装置とを備える、生ゴミの処理装置;
〔3〕少なくとも一対の反応器のうちの一方の反応器(反応器A)に生ゴミを供給し、生ゴミの水熱処理を行う工程(工程1)、
工程1の処理前、処理中又は処理後に、少なくとも一対の反応器のうちの他方の反応器(反応器B)に生ゴミを供給する工程(工程2)、
反応器Aにおける水熱処理後、反応器Aの廃蒸気の少なくとも一部を反応器Bに予熱用水蒸気として移動させる工程であって、廃蒸気はそれが移動するための配管を経由して反応器Aから反応器Bに移動し、該廃蒸気は、該配管に備えられた濾体により水熱処理液と分離された水蒸気である工程(工程3)、
生じた水熱処理液を反応器Aから排出する工程(工程4)、及び
工程4の処理前、処理中又は処理後に、反応器Bに追加の水蒸気を供給し、生ゴミの水熱処理を行う工程(工程5)、
をこの順で含む、生ゴミの水熱処理方法;並びに
〔4〕前記〔3〕に記載の生ゴミの水熱処理方法によって得られた生ゴミの水熱処理液を、さらに生物処理して生物処理液を得る工程を含む、生ゴミの処理方法;に関するものである。
【0012】
本発明の上記構成によれば、生ゴミの水熱反応が反応器内で進行する。しかも本発明の生ゴミの水熱処理装置では、水熱処理用の少なくとも一対の反応器が配置され、各反応器間には、一方の反応器から他方の反応器内へ廃蒸気を移動させるための配管が設けられている。この配管の数は単数でもよいし、複数でもよい。この配管には、廃蒸気と水熱処理液とを分離するための濾体が設けられている。
【0013】
一対の反応器のうちの一方の反応器内の水蒸気は、水熱処理後に廃蒸気として当該反応器から排出されるが、この廃蒸気は依然として高い温度を有する。本発明によれば、このような廃蒸気を予熱用水蒸気として他方の反応器に供給する。例えば、概ね大気温度相当の初期温度を有する他方の反応器の容器本体、本体内の各種部材及び生ゴミは、廃蒸気によって予熱される。従って、後続の水熱処理のために他方の反応器に供給される水蒸気の熱負荷は、大幅に軽減する。このように、反応器には圧力負荷、熱負荷がかかるので、本発明に使用される反応器としては耐圧容器が好ましい。
【0014】
一方の反応器内で水熱処理が終了した際には、当該反応器内の圧力は例えば2MPaにまで高められている。このとき、他方の反応器内の圧力は大気圧相当となっている。この状態で一方の反応器内から他方の反応器内へ廃蒸気を急速に移動させると、各反応器内の圧力差に起因して、廃蒸気だけでなく水熱処理液までが他方の反応器内へ移動するおそれがある。配管に配置された濾体によって水熱処理液と廃蒸気とを分離することにより、廃蒸気のみを他方の反応器へ移動させることができる。
【0015】
廃蒸気と共に水熱処理液が他方の反応器内に移動した場合には、該移動した水熱処理液が再度水熱処理されることとなる。その結果、水熱処理液が設定時間よりも長く水熱処理を受けることとなるため、生物処理に適さない難分解性物質が生成され、水熱処理液の性状が生物処理に適さなくなるおそれがある。
【0016】
しかしながら本発明では、濾体によって廃蒸気だけを移動させることができるため、水熱処理液の性状を生物処理に適した状態に維持しつつ、「立ち上がり時間」及び「脱気時間」を短くすることができる。これに対して、特許文献2及び3に記載の発明では、生物処理に適した水熱処理液を得るために、「立ち上がり時間」及び「脱気時間」を短くすべく水蒸気の移動速度を高めた場合、前述した水熱処理液の移動の問題が生じる。その結果、水熱処理液の性状が生物処理に適さないものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る水熱処理装置の一例の概略構成を示す図である。
【図2】水熱処理装置の主要部の概略構成を示す図である。
【図3】水熱処理装置の主要部の概略構成を示す図である。
【図4】図4Aは、水熱処理装置の主要部の概略構成を示す図であり、図4Bは、反応器内に攪拌用の羽根を設けた例を示す図である。
【図5】水熱処理装置の主要部の概略構成を示す図である。
【図6】水熱処理装置の主要部の概略構成を示す図である。
【図7】水熱処理装置の主要部の概略構成を示す図である。
【図8】工程1を模式的に示す図である。
【図9】工程1及び2を模式的に示す図である。
【図10】工程3を模式的に示す図である。
【図11】工程4及び5を模式的に示す図である。
【図12】工程6を模式的に示す図である。
【図13】工程7を模式的に示す図である。
【図14】工程8及び9を模式的に示す図である。
【図15】工程10を模式的に示す図である。
【図16】生物処理装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を生ゴミの水熱処理装置および処理装置と、生ゴミの水熱処理方法および処理方法とに具体化した実施形態について説明する。本願における生ゴミとして、例えば一般家庭や病院から排出される食品残渣、給食残渣、野菜屑等が挙げられる。本願において、全ての圧力の値を、絶対圧力と大気圧との差を示すゲージ圧で示す。
【0019】
<水熱処理装置>
次に、図面に基づいて、本実施形態に係る水熱処理装置を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る水熱処理装置100の一例の概略構成を示す図である。
図示するように、本実施形態に係る水熱処理装置100は、反応器としての一対の耐圧容器110と、ボイラ120と、コンプレッサ135と、熱交換釜140と、廃棄物(生ゴミ)投入ホッパ160と、制御装置170とを備える。耐圧容器110は生ゴミを処理するための中空の耐圧容器であり、耐圧性と耐温性を備えた鋼製の容器、或いはステンレス製の容器である。各耐圧容器110は、該容器の上下に生ゴミの投入口111と水熱処理液の排出口112を備えている。投入口111は、制御装置170の制御を受けて駆動する開口開閉機器114により開閉し、生ゴミの投入時において開口し、次回の生ゴミ投入時まで閉鎖状態とされる。排出口112は、制御装置170の制御を受けて駆動する開口開閉機器115により開閉し、生ゴミの処理(水熱処理)完了時において開口し、水熱処理の間に亘って閉鎖状態とされる。排出口112から排出された水熱処理液は、図示しない搬送装置にて外部に搬送される。本実施形態における水熱処理液排出手段は、排出口112を備えている。
【0021】
各耐圧容器110内には、複数の攪拌羽根113が回転自在に設けられている。攪拌羽根113は、耐圧容器110の外部のモータ116の回転に伴って耐圧容器110の内部にて回転し、耐圧容器110の内部に投入済みの生ゴミを攪拌するとともに磨り潰す。後述するように、各耐圧容器110の内部は、高温高圧の水蒸気が導入されて水蒸気と該水蒸気由来の熱水で充満されていることから、攪拌羽根113は、回転して生ゴミを攪拌することで、生ゴミを満遍なく水蒸気と熱水に接触させつつ、生ゴミへのより一律な熱の伝搬を図ることができる。更に、攪拌羽根113は、生ゴミを磨り潰して該生ゴミの固形分を破壊し、水熱処理を促進することができる。
【0022】
各耐圧容器110には、内部の温度を検出する温度センサ200と、内部の圧力を検出する圧力センサ201が装着され、これらのセンサは制御装置170に検出信号を出力する。温度センサ200は、耐圧容器110内の水蒸気の温度を計測するために耐圧容器110の上部に設けられるとともに、耐圧容器110内で処理される生ゴミの温度を測定するために耐圧容器110の下部にも設けられることが好ましい。制御装置170は、これらセンサからの出力信号を受けて、ボイラ120等を駆動制御する。
【0023】
ボイラ120は、制御装置170からの制御信号を受けて、図示しない熱源にて水蒸気を生成し、各耐圧容器110に水蒸気を圧送する。水蒸気は、ボイラ120から耐圧容器110にかけて配設された、耐圧容器110へ水蒸気を導入する配管としての水蒸気導入管180を経て、耐圧容器110に導入される。水蒸気導入管180は、複数の管路に分岐して各耐圧容器110に連結されており、耐圧容器110の壁面に形成された複数の噴出孔から耐圧容器内に水蒸気を噴出する。こうした水蒸気噴出により、水蒸気が耐圧容器110の内部に導入される。水蒸気導入管180から分岐した分岐水蒸気導入管181は、各耐圧容器110の排出口112に設置された噴出孔182に配管され、この噴出孔182から水蒸気を耐圧容器110の内部に噴出する。噴出孔182は、排出口112において耐圧容器110の内部を指向して配設されているので、具体的には耐圧容器110の下方位置の排出口112において上向きに指向して配置されているので、噴出孔182から噴出された水蒸気は、排出口112における生ゴミを耐圧容器110の内部に押し戻す。
【0024】
図1においては、水蒸気導入管180の分岐形態を省略したが、水蒸気導入管180からは複数の分岐水蒸気導入管180a、180b、180c等が分岐している。よって、各耐圧容器110の内部は、複数の分岐水蒸気導入管のそれぞれに対応する噴出孔から同時に噴出された水蒸気により、速やかに、且つくまなく充満される。こうした水蒸気の導入及び充満は、ボイラ120による水蒸気圧送によって起こり、例えば、耐圧容器110の内部の圧力を約2MPaにする。本実施形態における水蒸気導入手段は、前述した水蒸気導入管180、分岐水蒸気導入管181、180a、180b及び180c、並びにボイラ120を備えている。
【0025】
水蒸気排出系として、各反応器間を連結し、一方の反応器から他方の反応器へ廃蒸気が移動するための配管(廃蒸気移動用の配管5)を設けたことが、本実施形態の一つの特徴である。かかる配管5により、一方の耐圧容器110の水熱処理の終了時点でその内部に残存する水蒸気(廃蒸気)の少なくとも一部を他方の耐圧容器110に供給して、他方の耐圧容器110を水熱処理に先だって昇温させることができる。当該配管5には、廃蒸気と水熱処理液とを分離するための濾体6が設けられている。廃蒸気の移動や水蒸気供給を制御するために、バルブ6a、6b及び6cが、分岐水蒸気導入管や配管5に設けられている。
【0026】
上記した水蒸気導入管180の開閉は、制御装置170からの駆動信号を受けて駆動するバルブ183等によりなされる。分岐水蒸気導入管180a〜180c等においてもそれぞれの管路において、バルブ6a、6b等にて開閉される。この場合、分岐水蒸気導入管181については、既述した水蒸気噴出による生ゴミの押し戻し機能を担う都合上、最上流のバルブ183によってのみ開閉される。つまり、分岐水蒸気導入管181以外の分岐水蒸気導入管180a等にあってはこれら管路を閉鎖した状態で、分岐水蒸気導入管181からのみ水蒸気噴出ができるように構成されている。
【0027】
上記した水蒸気導入管180には通過する水蒸気の圧力を検出するセンサ190が装着され、ボイラ120には通過する水蒸気の温度を検出するセンサ192が装着されている。これらセンサの検出信号は、制御装置170に出力されて、制御装置170によるボイラ120等の制御に用いられる。また、水蒸気導入管180や分岐水蒸気導入管181等の各分岐水蒸気導入管180a〜180c等には、水蒸気の逆流を防止する図示しない逆流弁の他、圧力の過剰上昇時に減圧した上でガス排出を行う図示しない排出弁が適宜設置されている。
【0028】
耐圧容器110は、さらに別系統の水蒸気排出系を有していてもよい。例えば、図1に示されるような、水蒸気放出管193と当該管路のバルブ194とサイレンサ195を備える排出系であり、水が導入された脱気タンク(図示せず)に、水蒸気を耐圧容器110から排出することができる。
【0029】
コンプレッサ135は、バルブ136を経て各耐圧容器110と接続されており、必要に応じて所定量の加圧エアーを耐圧容器110の内部に導入する。
【0030】
熱交換釜140は、各耐圧容器110の胴体部周囲を取り囲むよう中空とされた流体導入部141を備える。この流体導入部141は、密閉状であり耐圧容器110の導体側壁と接触していることから、流体導入部141に導入された流体と耐圧容器110との間の熱交換を可能とする。流体導入部141に導入される流体は、本実施形態では冷却水と水蒸気である。つまり、熱交換釜140は、流体導入部141からの流体排出路として、排出管143を備え、制御装置170により駆動制御される管路のバルブ145により、流体導入部141における冷却水排出、水蒸気排出を行う。熱交換釜140の流体導入部141への冷却水導入は冷却装置(図示せず)から行われる。
【0031】
廃棄物投入ホッパ160は、耐圧容器110における水熱処理サイクルに合致したタイミングで生ゴミを搬送しつつ、投入口111に投入する。投入口111を介して、耐圧容器110内に生ゴミのみを投入してもよいし、生ゴミとともに、例えば木屑、プラスチック、紙屑等を耐圧容器110内に投入してもよい。耐圧容器110内に投入された生ゴミ以外の物質も、生ゴミとともに水熱処理に曝される。制御装置170は、本実施形態の処理装置100の制御を統括的に行うものであり、論理演算を実行するCPUやプログラムやデータを記憶したROM、データの一時的な読み書きを可能とするRAM等を有するコンピュータで構成される。そして、制御装置170は、既述した種々のセンサからの検出信号を入力し、こうした検出信号や図示しない操作盤からの運転条件設定パラメータに応じて、バルブ183等の種々のバルブの駆動制御、ボイラ120等の機器の駆動制御を実行する。
【0032】
次いで、図2に示される本実施形態に係る水熱処理装置の主要部の概略構成を用いて説明する。
【0033】
図2に示されるように、水熱処理装置には、一対の耐圧容器1及び耐圧容器2の間に、廃蒸気が移動するための配管5が設置されている。配管5には、廃蒸気と、生ゴミの水熱処理によって生じる水熱処理液とを分離するための濾体6が設けられている。
【0034】
濾体6の種類としては、廃蒸気と水熱処理液とを分離することができるものであれば特に限定されない。濾体6の具体例としては、網の目の大きさが例えば0.3〜6mmである薄いフィルタ、所定の厚さを有すると共に厚さ方向に沿って複数の細孔がランダムに延びているフィルタ等が挙げられる。分離能力が高いことから、前記所定の厚さを有するフィルタが好ましい。各種のフィルタをそれぞれ単独で用いてもよいが、分離能力が高められることから、二種以上のフィルタを組み合わせて用いることが好ましい。かかる濾体6を廃蒸気が移動するための配管に設けることにより、廃蒸気と水熱処理液とを分離して廃蒸気を移動させることができる。
【0035】
濾体6の設置箇所は特に限定されない。例えば図2に示されるように、配管5の途中に濾体6が配置されていてもよく、あるいは、図3に示されるように、配管5の各開口5aに濾体6が配置されていてもよい。濾体6の数も特に限定されないが、配管5には複数の濾体が設けられることがより好ましい。配管5に複数の濾体6を設けた場合、水熱処理液は濾体6の一対の表面の内の一方の表面上で常に捕捉されることから、他方の表面から濾体6内を通る水蒸気によって一方の表面上の水熱処理液を容易に吹き飛ばして濾体6を洗浄することができる。その結果、濾体6の目詰まりを長期間にわたって抑えることができる。
【0036】
図2に示されるように、水蒸気の移動用の配管5の一部は各耐圧容器1、2から上方へ延びており、耐圧容器の上方に位置する箇所に濾体6が設けられることが好ましい。この構成では、濾体6に捕捉された水熱処理液の少なくとも一部が水蒸気の移動後に重量によって濾体6から脱落するとき、配管5内に溜まることなく各耐圧容器1、2内に落下することができる。そのため、落下した水熱処理液が配管5内に溜まって次の水蒸気の移動の際に濾体6に再び捕捉されることを防止し、濾体6の目詰まりを抑えることができる。
【0037】
廃蒸気の移動用の配管5への濾体6の取り付け方法は特に限定されず、例えばストレーナに濾体6が収容され、該ストレーナが配管5に取り付けられてもよい。廃蒸気の移動用の配管5と耐圧容器1、2との接続部(配管5の開口5a)は、耐圧容器1、2の壁面に形成されることが好ましい。この場合、配管5が耐圧容器1、2内に突出して該配管5の開口5aが耐圧容器1、2内に位置している場合に比べて、配管5が攪拌羽根113の回転に干渉することを防止することができる。配管5の開口は、壁面において生ゴミの水熱処理によって生じる水熱処理液の水面に対応する位置よりも上方に位置することが好ましい。かかる構成とすることにより、水熱処理液に比べて廃蒸気を積極的に移動させることができる。当該開口5aが耐圧容器1、2の上部に形成されていることが、さらに好ましい。かかる構成とすることにより、水熱処理液の水面と開口とを十分に離間させることができ、水熱処理液の配管5内への吸い込みを抑制することができる。さらに、配管5の開口5aに濾体6を設けることも、一つの好ましい態様である。この態様においては、濾体6上に堆積した水熱処理液が濾体6から脱落する際に、配管5中に残留すること無く、水熱処理液を耐圧容器1、2中に落下させることができる。
【0038】
廃蒸気の移動用の配管5では、廃蒸気の圧力損失を低減するために屈曲部が少ない方が好ましく、屈曲部が図3に示されるように湾曲している方が好ましい。また、廃蒸気の移動用の配管5の本数は1本でもよく、複数本でもよい。複数本の配管5が設けられている場合、全ての配管5において配管の直径、濾体6の数等が互いに等しくてもよいし、異なっていてもよい。複数本の配管5が設けられている場合、一方の耐圧容器1、2から他方の耐圧容器1、2へ水蒸気が移動する際に全ての配管5が同時または逐次的に使用されてもよいし、一部の配管5のみが使用されてもよい。
【0039】
本願において廃蒸気は、耐圧容器1、2内に導入されて水熱反応に使用された、水の気化により生じる水蒸気だけでなく、当該水蒸気の液化により得られて水蒸気中に漂う水滴も含む。
【0040】
一方の耐圧容器から他方の耐圧容器、又は他方の耐圧容器から一方の耐圧容器への廃蒸気の移動速度としては、好ましくは0.2〜10.0MPa/minである。廃蒸気の移動に長時間を要することに伴い、残留する廃蒸気によって、反応後の水熱処理液が加熱されて水熱処理が過剰に進行する。この過剰な水熱処理の進行を抑制するために、上記移動速度は0.2MPa/min以上であることが好ましい。廃蒸気と水熱処理液との分離を確実に行う観点から、10.0MPa/min以下が好ましい。
【0041】
耐圧容器1、2に水蒸気を供給する配管にアキュムレータを接続し、当該アキュムレータ内に水蒸気を蓄積させた後、アキュムレータから耐圧容器1、2内へ水蒸気を急速に供給してもよい。この場合、耐圧容器1、2内の雰囲気を短時間で高温および高圧にすることができ、水熱処理の立ち上がりを早くすることができる。本願において、水熱処理の「立ち上がり時間」とは、水蒸気による生ゴミの加熱開始時間から生ゴミの温度が設定温度に到達するまでの時間をいい、立ち上がり時間としては、1〜15分間が好ましい。
【0042】
図1〜図3においては、横型に配置された円柱状の耐圧容器が用いられたが、図4Aに示されるように、各耐圧容器1、2は縦型に設置されてもよい。このとき、廃蒸気の移動用の配管5の各開口は、各耐圧容器1、2の上面に形成されることが好ましい。この構成によれば、水熱処理液の水面と廃蒸気の移動用の配管5の各開口との距離を前記実施形態に比べてさらに離間させることができ、廃蒸気の移動の際に水熱処理液が廃蒸気と共に移動することを効果的に抑制することができる。図4Bに示すように、各耐圧容器1、2内の下部には、複数の攪拌羽根113が回転自在に設けられている。
【0043】
図5に示されるように、水蒸気導入管3、4を、廃蒸気の移動用の配管5に連結してもよい。この場合において、両者の連結位置としては、廃蒸気の移動用の配管5に設けられた複数の濾体6の間とすることが好ましい。この構成によれば、まず、図6に示されるように、第1耐圧容器(耐圧容器A)1から第2耐圧容器(耐圧容器B)2へ廃蒸気が移動する際に、濾体6に水熱処理液12が捕捉される。次いで、図7に示されるように、各配管3、6を通して第1耐圧容器(耐圧容器A)へ廃蒸気21を供給することにより、捕捉された水熱処理液12が濾体6から吹き飛ばされて濾体6を洗浄することができる。
【0044】
本実施形態において、耐圧容器は少なくとも一対が必要であり、水熱処理装置は、例えば3つ以上の耐圧容器を具備してもよい。また、各耐圧容器において攪拌羽根が省略されてもよい。
【0045】
本実施形態では、廃蒸気の移動の際には、濾体を用いることにより、廃蒸気と水熱処理液、特に水熱処理液中の固形分とを分離することができる。そのため、濾体を用いることにより、水熱反応の立ちあがり時間および脱気時間を短縮するとともに、生物処理に適した水熱処理液を得ることができる。
【0046】
<生ゴミの水熱処理方法>
以下に、本実施形態に係る生ゴミの水熱処理フローを説明する。説明の便宜上、一方の耐圧容器を耐圧容器Aとし、他方の耐圧容器を耐圧容器Bとする。耐圧容器が三つ以上の場合も本発明に包含され、その場合、耐圧容器Bが複数の耐圧容器から構成されると想定することにより、本実施形態を実施することができる。本実施形態に係る生ゴミの水熱処理方法は、以下の各工程(工程1〜工程5)を下記の順序で行うことにより実施される。
【0047】
(工程1)耐圧容器Aに生ゴミを供給し、生ゴミの水熱処理を行う工程
図8に示されるように、耐圧容器A内に生ゴミ11を供給する。このとき、各耐圧容器に連結された水蒸気導入管3、4に設けられたバルブ7、8および配管5に設けられたバルブ6cは閉じられている。この段階において、耐圧容器A内の圧力と耐圧容器B内の圧力と大気圧とは等しい。
【0048】
次いで、図9に示されるように、水蒸気導入管3のバルブ7を開き、水蒸気導入管3を経由して耐圧容器A内に水蒸気23を供給する。供給される水蒸気の温度は熱水処理の反応温度よりも高いことが好ましい。立ち上がり時間を短縮するために、耐圧容器A内への水蒸気の供給速度は速い方が好ましく、例えば、0.1〜10MPa/minとすることが好ましい。耐圧容器A内の温度が所定の反応温度に達した時点でバルブ7を閉じ、必要に応じて攪拌羽根(図示せず)を回転させて生ゴミを攪拌する。この段階において、耐圧容器A内の圧力は耐圧容器B内の圧力よりも高く、耐圧容器B内の圧力は大気圧と等しい。本実施形態に係る水熱処理方法における水熱処理の反応温度としては、100〜300℃が好ましく、150〜250℃がより好ましい。水熱処理を効率的に行う観点から、水熱処理の反応温度は100℃以上であることが好ましく、難分解性物質の生成の抑制の観点から、反応温度は300℃以下であることが好ましい。さらに、水熱処理の反応時間としては、例えば1〜30分間が好ましく、1〜10分間がより好ましい。
【0049】
(工程2)工程1の処理前、処理中又は処理後に、耐圧容器Bに生ゴミを供給する工程
図9に示されるように、耐圧容器B(耐圧容器2)内に生ゴミ11を供給する。このとき、耐圧容器Bに連結された水蒸気導入管4に設けられたバルブ8は閉じられている。
【0050】
(工程3)耐圧容器Aにおける水熱処理後、耐圧容器Aの廃蒸気の少なくとも一部を耐圧容器Bに予熱用水蒸気として移動させる工程であって、廃蒸気はそれが移動するための配管5を経由して耐圧容器Aから耐圧容器Bに移動し、該廃蒸気は、該配管5に備えられた濾体6により水熱処理液と分離された水蒸気である工程
図10に示されるように、配管5のバルブ6cを開き、該配管5を経由して耐圧容器Aから耐圧容器B内に廃蒸気21が移動する。当該廃蒸気21は、配管5に備えられた濾体6により水熱処理液と分離された水蒸気である。耐圧容器Aの廃蒸気が移動するとき、水蒸気と共に、液体のみ又は液体と固体との混合物からなる水熱処理液の一部が耐圧容器A内から耐圧容器B内へ移動しようとする。脱気時間を短縮するためには廃蒸気の移動速度は速ければ速いほど好ましいが、廃蒸気の移動速度の上昇に伴って水熱処理液が耐圧容器B内へ移動しようとする傾向も強くなる。そのため、配管5に濾体6を設けて水蒸気と水熱処理液とを分離し、水蒸気のみを廃蒸気21として移動させる。この工程において、耐圧容器A内の圧力は耐圧容器B内の圧力と等しく、各耐圧容器A、B内の圧力は大気圧よりも高くなる。本願において、「脱気時間」とは、水熱処理が終了時から、廃蒸気21を別の耐圧容器に移動させることにより所定の圧力(例えば常圧近傍)に低下させるまでに要する時間をいう。
【0051】
本実施形態において好ましい脱気時間は1〜15分間であり、より好ましくは1〜5分間である。水蒸気とともに配管5内に吸い込まれる水熱処理液の量の低減の観点から、脱気時間は1分間以上であることが好ましく、難分解性物質の生成の抑制の観点から、脱気時間は15分間以下であることが好ましい。
【0052】
(工程4)生じた水熱処理液を耐圧容器Aから排出する工程
図11に示されるように、耐圧容器A内に残留する廃蒸気の残部を水蒸気放出管(図1における193)を介して脱気タンク(図示せず)へ脱気させた後、排出口(図1における112)を開いて水熱処理液12を耐圧容器Aから排出する。
【0053】
(工程5)工程4の処理前、処理中又は処理後に、耐圧容器Bに追加の水蒸気を供給し、生ゴミの水熱処理を行う工程
耐圧容器Bにおいては、予熱用水蒸気として移動された廃蒸気21だけでは反応圧力に達しない。そのため、図11に示されるように、水蒸気導入管4のバルブ8を開き、水蒸気導入管4を経由して耐圧容器B内に追加の水蒸気22を供給する。この工程において、耐圧容器B内の圧力は耐圧容器A内の圧力よりも高く、耐圧容器A内の圧力は大気圧に等しい。次いで、耐圧容器B内で生ゴミ11の水熱処理を進行させる。耐圧容器B内で生ゴミの水熱処理の進行は、上記工程1における耐圧容器A内で生ゴミの水熱処理の進行と同様に実施すればよい。
【0054】
工程5に続けて、以下の工程(工程6〜工程9)をこの順序でさらに含む生ゴミの水熱処理方法も、好ましい態様として本発明に包含される。
【0055】
(工程6)工程5の処理前、処理中又は処理後に、耐圧容器Aに新たに生ゴミを供給する工程
図12に示されるように、耐圧容器Aに新たに生ゴミ11を供給する。このとき、耐圧容器Aに連結された水蒸気導入管3に設けられたバルブ7は閉じられている。
【0056】
(工程7)耐圧容器Bにおける水熱処理後、耐圧容器Bの廃蒸気の少なくとも一部を耐圧容器Aに予熱用水蒸気として移動させる工程であって、廃蒸気はそれが移動するための配管5を経由して耐圧容器Bから耐圧容器Aに移動し、該廃蒸気は、該配管5に備えられた濾体6により水熱処理液と分離された水蒸気である工程
本工程は、上記の工程3とは逆向きに予熱用水蒸気が移動する。図13に示されるように、配管5のバルブ6cを開き、該配管5を経由して耐圧容器Bから耐圧容器A内に廃蒸気21が移動する。この工程において、耐圧容器A内の圧力は耐圧容器B内の圧力と等しく、各耐圧容器A、B内の圧力は大気圧よりも高くなる。
【0057】
(工程8)生じた水熱処理液を耐圧容器Bから排出する工程
図14に示されるように、耐圧容器B内に残留する廃蒸気の残部を水蒸気放出管(図1における193)を介して脱気タンク(図示せず)へ脱気させた後、排出口(図1における112)を開いて水熱処理液12を耐圧容器Bから排出する。
【0058】
(工程9)工程8の処理前、処理中又は処理後に、耐圧容器Aに追加の水蒸気を供給し、生ゴミの水熱処理を行う工程
上記工程5と同じく、耐圧容器Aにおいては、予熱用水蒸気として移動された廃蒸気だけでは反応圧力に達しない。そのため、図14に示されるように、水蒸気導入管3のバルブ7を開き、水蒸気導入管3を経由して耐圧容器A内に追加の水蒸気22を供給する。この工程において、耐圧容器A内の圧力は耐圧容器B内の圧力よりも高く、耐圧容器B内の圧力は大気圧に等しい。次いで、耐圧容器A内で生ゴミ11の水熱処理を進行させる。耐圧容器A内で生ゴミの水熱処理の進行は、上記工程3における耐圧容器B内で生ゴミの水熱処理の進行と同様に実施すればよい。
【0059】
工程9に続けて、以下の工程(工程10)をさらに含む生ゴミの水熱処理方法も、好ましい態様として本発明に包含される。
【0060】
(工程10)工程9の処理前、処理中又は処理後に、耐圧容器Bに新たに生ゴミを供給する工程
図15に示されるように、耐圧容器Bに新たに生ゴミ11を供給する。このとき、耐圧容器Bに連結された水蒸気導入管4に設けられたバルブ8は閉じられている。
【0061】
以降、(工程3)〜(工程10)が繰り返し行われることによって、生ゴミの水熱処理を連続的に行うことができる。このような連続的な生ゴミの水熱処理方法も、好ましい態様として本発明に包含される。
【0062】
<生ゴミの処理方法>
本実施形態の生ゴミの水熱処理方法で得られた水熱処理液を、さらに生物処理して生物処理液を得てもよい。かかる生物処理液は、有機物等の量が大幅に低減したものであるので、下水等への放流基準を満たすことを確認した後、下水等へ放流することができる。生ゴミの水熱処理液をさらに生物処理して生物処理液を得る工程((c)工程とする)を含む生ゴミの処理方法も、本発明に包含される。以下、本実施形態における(c)工程について説明する。
【0063】
生ゴミの水熱処理液が液体のみからなる場合には水熱処理液をそのまま(c)工程に供してもよいが、水熱処理液が液体と固形分とからなる場合には、余剰汚泥の発生量を少なくするという観点から、水熱処理液から液体を分離し、得られた液体を(c)工程に供することが好ましい。
【0064】
水熱処理液から液体を分離するための固液分離の手段としては、例えばフィルタープレス、凝集沈殿、メッシュ(例えば網の目の大きさが0.9mm)、スクリュープレス、スリット(例えば0.15mm幅のスリット)等の公知の手段が挙げられる。
固液分離により水熱処理液から分離された固形分は、そのまま焼却処分してもよいし、例えば乾燥及びペレット化を経て固形燃料とすることができる。
【0065】
本願において、水熱処理後の固液分離とは、水熱処理液から、生物処理液に適した液体を分離することをいう。固液分離することなく水熱処理液がそのまま生物処理に供されると、固形分の一部が生物処理されることなくSS(浮遊物質)分として蓄積され、余剰汚泥の発生率が高くなるおそれがある。固液分離により生物処理に適した液体を分離して、当該液体のみを生物処理に供することにより、生ゴミの処理効率を高めることができる。
【0066】
生ゴミの水熱処理液、又は必要に応じて固液分離された液体が(c)工程に供される。この場合において、例えば流量調整槽(バッファー槽)を設けて、この槽にて、水熱処理後に耐圧容器から排出された廃蒸気の残部と上記液体とを混合した後、(c)工程に供してもよい。
【0067】
本工程における生物処理では、好気的処理でも嫌気的処理でも構わないが、好気性細菌による好気的な生物処理の方が好ましい。好気的処理の場合、例えば好気性細菌を含む活性汚泥の存在下、空気等で曝気しながら処理対象物を生物処理する方法が挙げられる。以下、好気的処理の態様を説明する。
【0068】
(c)工程により、導入された液体中の成分が処理される。生物処理の際に、液体中の成分の一部が汚泥中の菌叢等により消費されて二酸化炭素などのガスとして系外に放出され、残部が汚泥中に取り込まれる。本実施形態では、液体中の成分を例えば、TOC負荷(kg/日)で3〜6kg/日のときに、一日に2〜4kgの量の炭素を二酸化炭素として系外に放出することができ、余剰汚泥の発生率を40%以下に抑えることができる。
【0069】
更に、生物処理により増加した汚泥の一部を抜き取り、水熱処理に供することにより、余剰汚泥の発生率を更に下げることができる。
【0070】
生物処理に用いられる汚泥としては、系外で馴養された後に生物処理に用いてもよく、又は予め馴養されることなく生物処理に用いられ、馴養と生物処理とを同時に行ってもよい。
【0071】
曝気を行う場合において、処理槽内の液体の溶存酸素量としては、0.5mg/L以上であることが好ましく、1mg/L以上であることがより好ましい。また、定常的に生分解処理を行うのに必要な溶存酸素量の観点から、上限が8mg/L以下であることが好ましく、7mg/L以下であることがより好ましく、6mg/L以下であることがさらに好ましい。かかる溶存酸素量は、DOメーターOM12(株式会社堀場製作所製)等を用いて測定することができ、処理槽内へ空気を送るファンの回転数の調整等により容易に制御することができる。溶存酸素量が足りない場合は酸素溶解装置を使用してもよい。
【0072】
本実施形態に用いられる活性汚泥中の好気性細菌としては、公知の活性汚泥法において通常見られる好気性細菌であれば特に限定されない。
【0073】
さらに本実施形態においては、処理槽における、生ゴミから分離された液体の分解時の臭気を防止することができる。臭気を防止できる理由として、通常、嫌気性細菌による生分解処理時には硫化水素、アンモニア等の臭気物質が発生するが、本実施形態では、処理槽内が好気性であることが臭気の防止に大きく寄与していると考えられる。
【0074】
本実施形態は、該生ゴミから分離された液体が含まれる処理槽内の溶存酸素量を制御する方法を採用してもよい。
【0075】
本実施形態において、生物処理を行う生物処理槽は、生ゴミを水熱処理して得られる水熱処理液が含まれる槽であって、水熱処理液を好気的に生物処理する槽である。具体的には、曝気槽などが処理槽として使用されるが、生物処理槽は、1つまたは複数を使用してもよく、廃液を溜めておく原水槽と組み合わせてもよい。
【0076】
生物処理後に得られる生物処理液から、例えば、膜処理により液体成分を分離して、膜処理液を得てもよい。本願において、この膜処理液を得る工程を(d)工程と称する。
【0077】
膜処理液について、その数平均分子量としては、例えば250〜2000の範囲である。また、膜処理液の重量平均分子量としては、例えば250〜3000である。膜処理液の上記平均分子量は、実施例に記載のGPC法による分子量分布の測定結果から算出することができる。
【0078】
生物処理液又は膜処理液の分子量分布を測定し、水熱処理液のそれと比較することによって、生ゴミの処理の進行程度を評価することができる。分子量分布の比較の結果、水熱処理液に比べて、曲線下面積(AUC)が例えば14%にまで減少する。
【0079】
以下、本実施形態に係る(c)工程及び(d)工程を図面に基づいて説明する。
水熱処理後の液体を図16に示される処理装置で処理する。以下、各部材の符号は、図16に基づく。具体的には、水熱処理工程で得られた水熱処理液、又は固液分離後の液体を、一旦流量調整槽301に貯蔵し、次いで生物処理槽302に供給する。ここでの生物処理槽302は、曝気のための散気管303を具備する曝気槽である。なお、図16に示す処理装置においては、生物処理槽302は一槽であるが、複数の生物処理槽302を設けてもよい。生物処理槽302においては、pH計304、DO計305及び/又はORP計306を設けて、各測定値をモニタリングしてもよい。生物処理槽302においては、25重量%水酸化ナトリウム又は18重量%硫酸を適宜添加することにより、pHを所定値に調整することができる。
【0080】
生物処理槽302においては、曝気下で攪拌しながら生物処理を行う。生物処理槽302には、例えば好気性細菌を含む活性汚泥が導入されている。なお、生物処理槽302に水位センサを設けて、生物処理槽302における液体の滞留時間を所定の時間に設定することができる。
【0081】
(d)工程をさらに実施する場合、生物処理槽302で処理された生物処理液を、膜処理槽311に供給する。膜処理において用いられる膜としては、本発明分野で用いられている公知の膜を特に制限すること無く採用することができ、中空糸膜でもよく、平膜でもよい。本実施形態においては、膜処理槽311は、生物処理液をろ過するための中空糸膜(例えば、1m2、東レ株式会社製、商品名:SUR134)10枚からなる中空糸膜ユニット312を設け、必要に応じて曝気するための散気管303を設けてもよい。散気管303からの曝気によって、膜処理槽311内が溶存酸素量を所定の程度(例えば2mg/L以上)に保つことができる。さらに、汚泥返送ライン307を設けて、膜処理槽311に蓄積する汚泥を生物処理槽302に戻してもよい。
【0082】
中空糸膜ユニット312は、膜処理槽311において、散気管303の直上に、散気管303からのエアー曝気を十分うけるように配置されることが好ましい。散気管303は膜処理槽311の下部に配置され、曝気により、膜処理槽311の全体を攪拌することができる。膜処理槽311において、曝気は、散気管303から供給されるエアーが中空糸膜ユニット312を通り、膜処理槽311の壁面上を降下する。
【0083】
膜処理槽311内の生物処理液、即ち汚泥と処理対象物との混合液におけるMLSSとしては、膜処理槽311内を数回測定した平均値で10000mg/L以上が好ましく、20000mg/L以上がより好ましい。また、MLVSSの平均値は10000mg/L以上が好ましく、20000mg/L以上がより好ましい。
【0084】
膜処理槽311での膜処理により分離された液体成分(膜処理液)は、例えば、一旦処理水槽313に貯蔵してもよい。膜処理液が、下水等への放流基準を満たすことを確認した後、膜処理液を下水C等へ放流することができる。あるいは、システムの装置の洗浄液や、水蒸気製造用の水として利用する水再生プロセスBに供給してもよい。
【0085】
本実施形態においては、(d)工程で得られた膜処理液を、逆浸透(RO)処理、ヒドロキシアパタイト(HAP)処理、凝集沈殿処理、及びオゾン処理からなる群より選択される一種以上の処理により、さらに処理してもよい。RO処理により、膜処理液中の不純物を高度に除去することができる。HAP処理を行うことにより、膜処理液に含まれるリンを回収することができる。さらに、例えばRO処理前の膜処理液中に次亜塩素酸を添加し、膜処理液中に残存する有機物を除去してもよい。
【0086】
HAP処理された液体成分は下水に放流するのに適した水質となっており、そのまま下水に放流することができる。RO処理により得られる非濃縮液の一部を、例えば、本方法を利用するシステムの装置の洗浄液として再利用した後、流量調整槽301に導入してもよい。非濃縮液の残部をボイラにより加熱して水蒸気を製造し、水熱処理に利用してもよい。また、水熱処理前、水熱処理中又は水熱処理後の水蒸気から例えば熱交換器を用いて熱を取り出し、前記固液分離後に得られる固形分の乾燥に用いてもよい。水熱処理後に排出される水蒸気を、例えば水道水と混合して冷却した後に脱気した後、流量調整槽301に導入してもよい。
【0087】
<生ゴミの処理装置>
本実施形態の水熱処理装置と、当該水熱処理装置の耐圧容器から排出された水熱処理液を生物処理して生物処理液を得るための生物処理装置を備えてなる生ゴミの処理装置も、本発明に包含される。
【実施例】
【0088】
次に、実施例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
生ゴミは供給ロット間の組成が大きく異なるのが通常なので、下記の組成の生ゴミを標準生ゴミとして調製し、以下の実験に用いた。
【0089】
【表1】

【0090】
実施例1〜10
<水熱処理装置>
小型の耐圧容器(容積:2L)を耐圧容器とする水熱処理装置を用いて、生ゴミの水熱処理に影響する種々の要因を検討した。小型の耐圧容器には水蒸気導入管が連結されており、水熱処理液を排出するための排出口を備えるとともに内部に攪拌羽根を備えていた。さらに、耐圧容器の上部には、耐圧容器からは廃蒸気排出用の配管が延びており、該配管の先端は脱気タンクに連結されていた。
【0091】
<水熱処理の操作>
耐圧容器に標準生ゴミ400gを投入後、水蒸気を導入した。耐圧容器の上部温度が反応温度(180℃又は200℃)になった時を0時とし、そこから規定の反応時間(3分間又は9分間)、生ゴミを攪拌しながら水熱処理を行った。水熱処理終了後、耐圧容器から脱気タンクへ廃蒸気を排出し、耐圧容器内の圧力が0.02MPaとなるまでの時間を脱気時間とした。そして、反応後の水熱処理液を回収して下記項目に関して分析した。
【0092】
<水熱処理の条件>
被処理物:400gの標準生ゴミ
耐圧容器の反応温度:180℃又は200℃
水熱処理時の耐圧容器の圧力:1.8〜2.0MPa
攪拌羽根の回転:42rpm
攪拌羽根の先端と耐圧容器の内周面との間隔:0.5〜1cm
反応時間:3分間、9分間
脱気時間:3分間、9分間(脱気終了時の容器内の圧力:0.02MPa)
評価項目:
実施例1〜4:水熱処理液のCODに対するBODの比率(BOD/COD)、生ゴミの液状化率(%)及び水熱処理液の色度
実施例5〜10:水熱処理液のTOC、水熱処理液の全糖量、水熱処理液の全有機炭素中の糖の割合(TOC換算全糖量/TOC)(%)及び廃蒸気と共に移動した水熱処理液の量(固形分の乾燥重量)
【0093】
BOD、COD、TOC及び色度については、得られた水熱処理液をガラス繊維ろ紙GS25(アドバンテック社製)でろ過したろ液をサンプルとして測定した。
【0094】
BODはJIS K 0102 21に記載の測定方法に従って測定し、CODはJIS K 0102 17に記載の測定方法により測定した。
【0095】
生ゴミの液状化率は、次の式にて求めた。
液状化率=(水熱処理前の生ゴミの固体有機物重量(g)−水熱処理後の生ゴミの固体有機物重量(g))/水熱処理前の生ゴミの固体有機物重量(g)×100(%)
固体有機物重量=SS(g)×熱灼減量(%)
SS:昭和46環告第59号付表8に記載の方法で測定した。
熱灼減量:600℃で加熱した時の重量法によって測定した。
【0096】
色度は色度計(日本電色、Water Analyzer 2000)を用いて測定した。
TOCはJIS K0102 22.1に記載の測定方法により測定した。
全糖量はグルコース換算値としてフェノール硫酸法により測定した。
【0097】
水熱処理液の全有機炭素中の糖の割合(TOC換算全糖量/TOC)(%)は、次のようにして求めた。生成した全糖についてTOC換算するために、測定された全糖についての炭素をグルコース中の炭素とみなし、全糖量の値に係数0.4を掛けてTOC換算全糖量を算出した。この値をTOCで割ることで、水熱処理液の全有機炭素中の糖の割合を求めた。
【0098】
廃蒸気と共に移動した水熱処理液中の固形分の量は、脱気タンク内に移動した液体の固形分の乾燥重量として求めた。
【0099】
<結果>
結果を表2及び表3に示す。
【0100】
【表2】

【0101】
【表3】

【0102】
実施例1〜4から、脱気時間が短いほど、生ゴミの液状化率が低下するものの、水熱処理液のBOD/CODが上昇し、かつ水熱処理液の色度が低下すること、即ち水熱処理液が生物処理に適していることが分かった。
【0103】
実施例5〜10から、脱気時間が短いほど、水熱処理液の全糖量が増加すること、即ち生物処理により適していることが分かった。また、脱気時間が短いほど、廃蒸気と共に移動した水熱処理液の固形分の量が多いことが分かった。このことから、一対の耐圧容器において、一方の耐圧容器から他方の耐圧容器へ急速に、具体的には例えば3分で廃蒸気を移動させることにより、生物処理に適した水熱処理液を得ることができることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明によれば、生ゴミを効率的に処理することができる水熱処理装置、処理装置、水熱処理方法及び処理方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 耐圧容器(耐圧容器A)
2 耐圧容器(耐圧容器B)
3 水蒸気導入手段(配管)
4 水蒸気導入手段(配管)
5 廃蒸気移動用の配管
5a 開口
6 濾体
6a バルブ
6b バルブ
6c バルブ
7 バルブ
8 バルブ
11 生ゴミ
12 水熱処理液
21 廃蒸気
22 追加の水蒸気
23 水蒸気
100 水熱処理装置
110 耐圧容器
111 投入口
112 排出口
113 攪拌羽根
114 開口開閉機器
115 開口開閉機器
116 モータ
120 ボイラ
135 コンプレッサ
136 バルブ
140 熱交換釜
141 流体導入部
143 排出管
145 バルブ
160 廃棄物投入ホッパ
170 制御装置
180 水蒸気導入管
180a 分岐水蒸気導入管
180b 分岐水蒸気導入管
180c 分岐水蒸気導入管
181 分岐水蒸気導入管
182 噴出孔
183 バルブ
190 センサ
192 センサ
193 水蒸気放出管
194 バルブ
195 サイレンサ
200 温度センサ
201 圧力センサ
301 流量調整槽
302 生物処理槽
303 散気管
304 pH計
305 DO計
306 ORP計
307 汚泥返送ライン
311 膜処理槽
312 中空糸膜ユニット
313 処理水槽
B 水再生プロセス
C 下水
P ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ゴミを水熱処理するための少なくとも一対の反応器、
前記反応器内に水蒸気を導入するための水蒸気導入手段、
前記各反応器間を連結し、一方の反応器から他方の反応器へ廃蒸気が移動するための配管、
前記配管に設けられ、該配管内を移動する廃蒸気と、生ゴミの水熱処理によって生じる水熱処理液とを分離するための濾体、及び
前記反応器から水熱処理液を排出するための水熱処理液排出手段、
を備える、生ゴミを水熱処理して水熱処理液を得るための水熱処理装置。
【請求項2】
前記配管に複数の濾体が設けられている、請求項1に記載の水熱処理装置。
【請求項3】
前記配管の開口が前記各反応器の壁面に形成され、
前記開口は、壁面において生ゴミの水熱処理によって生じる水熱処理液の水面に対応する位置よりも上方に位置している、請求項1又は2に記載の水熱処理装置。
【請求項4】
前記開口が反応器の上部に形成されている、請求項3に記載の水熱処理装置。
【請求項5】
前記配管の開口に前記濾体が設けられている、請求項3又は4に記載の水熱処理装置。
【請求項6】
前記水蒸気導入手段は、各反応器内へ水蒸気を導入するための配管を備え、該配管は、前記複数の濾体の間で前記廃蒸気が移動するための配管に連結している、請求項2〜5のいずれか1項に記載の水熱処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の水熱処理装置と、前記反応器から排出された水熱処理液を生物処理して生物処理液を得るための生物処理装置とを備える、生ゴミの処理装置。
【請求項8】
少なくとも一対の反応器のうちの一方の反応器(反応器A)に生ゴミを供給し、生ゴミの水熱処理を行う工程(工程1)、
工程1の処理前、処理中又は処理後に、少なくとも一対の反応器のうちの他方の反応器(反応器B)に生ゴミを供給する工程(工程2)、
反応器Aにおける水熱処理後、反応器Aの廃蒸気の少なくとも一部を反応器Bに予熱用水蒸気として移動させる工程であって、廃蒸気はそれが移動するための配管を経由して反応器Aから反応器Bに移動し、該廃蒸気は、該配管に備えられた濾体により水熱処理液と分離された水蒸気である工程(工程3)、
生じた水熱処理液を反応器Aから排出する工程(工程4)、及び
工程4の処理前、処理中又は処理後に、反応器Bに追加の水蒸気を供給し、生ゴミの水熱処理を行う工程(工程5)、
をこの順で含む、生ゴミの水熱処理方法。
【請求項9】
工程5の処理前、処理中又は処理後に、反応器Aに新たに生ゴミを供給する工程(工程6)、
反応器Bにおける水熱処理後、反応器Bの廃蒸気の少なくとも一部を反応器Aに予熱用水蒸気として移動させる工程であって、廃蒸気はそれが移動するための配管を経由して反応器Bから反応器Aに移動し、該廃蒸気は、該配管に備えられた濾体により水熱処理液と分離された水蒸気である工程(工程7)、
生じた水熱処理液を反応器Bから排出する工程(工程8)、及び
工程8の処理前、処理中又は処理後に、反応器Aに追加の水蒸気を供給し、生ゴミの水熱処理を行う工程(工程9)、
をこの順序で更に含む、請求項8に記載の生ゴミの水熱処理方法。
【請求項10】
工程9の処理前、処理中又は処理後に、反応器Bに新たに生ゴミを供給する工程(工程10)を更に含み、
工程10の後に工程3に戻り、工程3〜工程10を繰り返し行う、請求項9に記載の生ゴミの水熱処理方法。
【請求項11】
反応器Aから反応器B、又は反応器Bから反応器Aへの廃蒸気の移動速度が0.2〜10.0MPa/minである、請求項8〜10のいずれか1項に記載の生ゴミの水熱処理方法。
【請求項12】
水熱処理の反応温度が100〜300℃、水熱処理の反応時間が1〜30分間、かつ廃蒸気の脱気時間が1〜15分間である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の生ゴミの水熱処理方法。
【請求項13】
反応器Bが複数の反応器から構成される、請求項8〜12のいずれか1項に記載の生ゴミの水熱処理方法。
【請求項14】
請求項8〜13いずれか1項に記載の生ゴミの水熱処理方法によって得られた生ゴミの水熱処理液を、さらに生物処理して生物処理液を得る工程を含む、生ゴミの処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−200836(P2011−200836A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72798(P2010−72798)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】