説明

生体信号測定値評価システム

【課題】生体信号の測定値が日内変動する場合、生体信号の測定値を正確に評価し、また評価者が測定値に対する設定を柔軟に対応できる生体信号測定値評価システムを提供する。
【解決手段】少なくとも入力部とデータ処理部と出力部とで構成し、前記入力部は生体信号の測定値を入力する機能を有し、前記データ処理部は閾値設定手段と測定値評価手段とを有し、前記閾値設定手段は前記測定値に対する閾値として前記測定値の測定条件により2つ以上の前記閾値を設定する機能を有し、前記測定値評価手段は前記測定値と前記閾値との比較により前記測定値に対する測定値評価フラグを付与する機能を有し、前記出力部は前記測定値評価フラグを出力する機能を有することにより生体信号の測定値を評価をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定した生体信号に対し、事前に設定した測定値に対する閾値との比較により、生体信号の測定値を評価する生体信号測定値評価システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の生体信号評価システムでは、生体信号の測定値に対する閾値を事前に設定し、測定者の生体信号測定値を比較して、測定値が閾値を超過した場合に、健康状態に対して注意を促す通知を測定者、および測定者を管理している医療機関に対して行っていた。
【0003】
従来の生体信号測定値評価システムを説明するために、図15に従来の閾値設定画面を示す。ここで、生体信号の測定値に対する閾値を事前設定するために、アラートボタン1501を押し、閾値設定画面を表示する。次に測定者リスト1502から測定者の選択を行い、その測定者に対する各生体信号の閾値1530、すなわち各生体信号に対する上限値、および下限値を入力ボックス1504へ入力し、全ての生体信号に対する閾値の入力を行ったあと、追加ボタン1505を押し、各生体信号に対する閾値設定を保存していた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、従来の生体信号測定値評価システムでは、生体信号の測定値が測定時刻により変動する場合がある事を十分に考慮されていなかった。たとえば、生体信号として血糖値を考えた場合、血糖値は空腹時と食事2時間後では、その測定値が大きく異なり、一般的には食後の方が血糖値が高くなる。
【0005】
このことは、日本糖尿病学会が発行している糖尿病ガイドライン(糖尿病 45巻 Supplemnet 1 2002年発行 を参照)にも記述がある。一例として、糖尿病ガイドラインにおいて、血糖コントロールの評価が良(good)となるものは、空腹時血糖値が100mg/dL以上120mg/dL未満であり、食後2時間後血糖値が120mg/dL以上170mg/dL未満である。このように、血糖値の評価は、空腹時と食後2時間後で大きく異なるものの従来のシステムではこの事に考慮されておらず、血糖値の閾値として上限値と下限値を設定するのみであった。
【0006】
また、生体信号のもう一つの例として血圧値がある。血圧値は最高血圧値と最低血圧値がの2種類が存在しているが、この両方が日内変動があるため測定時刻により測定値が変化をする。すなわち血圧値の評価を厳密に行うためには、血圧値の閾値として測定時刻を考慮する必要性がある。にもかかわらず、現状では血圧値の閾値として測定時刻を考慮するシステムはなっていなかった。
【特許文献1】特開2002−83066号公報(第18頁、第12図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の生体信号測定値評価システムは、測定時刻により測定値の評価を行う閾値が変動する生体信号に対しては、その時間的変動を無視していたという課題があった。
【0008】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたもので、生体信号の測定値を評価するために、事前に設定する閾値として、生体情報の測定条件もしくは測定時刻を考慮し、測定値がその閾値を超過するかどうかで生体信号の測定値を評価することを特徴とする生体信号測定値評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の生体信号測定値評価システムは、少なくとも入力部とデータ処理部と出力部を有し、前記入力部は生体信号の測定値を入力する機能を有し、前記データ処理部は閾値設定手段と測定値評価手段とを有し、前記閾値設定手段は前記測定値に対する閾値として前記測定値の測定条件により2つ以上の前記閾値を設定する機能を有し、前記測定値評価手段は前記測定値と前記閾値との比較により前記測定値に対する測定値評価フラグを付与する機能を有し、前記出力部は前記測定値評価フラグを出力する機能を有することを特徴とする。
【0010】
この構成により、生体信号の測定値とそれに対する閾値が測定条件に対して変動する場合においても、生体信号の測定値を正確に評価することができる。
【0011】
また、本発明の生体信号測定値評価システムは測定条件として測定値の測定時刻が食事時刻後所定時間以内かまたは前記食事時刻後所定時間以外かとすることを特徴とする。
【0012】
この構成により、生体信号の測定値が食事に対して変動する場合に、生体信号の測定値を正確に評価することができ、評価者による評価作業量を低減することができる。
【0013】
また、本発明の生体信号測定値評価システムは測定条件として、測定値の測定時刻が睡眠中かまたは前記睡眠中以外かとすることを特徴とする。
【0014】
この構成により、生体信号の測定値が睡眠に対して変動する場合に、生体信号の測定値を正確に評価することができ、評価者による評価作業量を低減することができる。
【0015】
また、本発明の生体信号測定値評価システムは測定条件として測定値の測定時刻が運動中かまたは前記運動中以外かとすることを特徴とする。
【0016】
この構成により、生体信号の測定値が運動に対して変動する場合に、生体信号の測定値を正確に評価することができ、評価者による評価作業量を低減することができる。
【0017】
また、本発明の生体信号測定値評価システムは測定条件として測定値の測定時刻が所定時間内かまたは前記所定時間以外かとすることを特徴とする。
【0018】
この構成により、生体信号の測定値が測定時刻に対して変動する場合に、生体信号の測定値を正確に評価することができ、評価者による評価作業量を低減することができる。
【0019】
また、本発明の生体信号測定値評価システムは測定条件として測定値の測定時刻と前記測定時刻直前の食事時刻との時間差が所定時間内かまたは前記所定時間以外かとすることを特徴とする。
【0020】
この構成により、生体信号の測定値が測定時刻と直前の食事時刻との時間差に対して変動する場合に、生体信号の測定値を正確に評価することができ、評価者による評価作業量を低減することができる。
【0021】
また、本発明の生体信号測定値評価システムは測定条件として測定値の測定時刻と前記測定時刻直前の起床時刻との時間差が所定時間内かまたは前記所定時間以外かとすることを特徴とする。
【0022】
この構成により、生体信号の測定値が測定時刻と直前の起床時刻との時間差に対して変動する場合に、生体信号の測定値を正確に評価することができ、評価者による評価作業量を低減することができる。
【0023】
また、本発明の生体信号測定値評価システムは、閾値設定手段が測定値に対する閾値として前記測定値の測定条件により2つ以上の前記閾値を設定しかつ前記閾値として上限閾値と下限閾値を設定する際、前記上限閾値と前記下限閾値の差を一定に保持して前記閾値を設定する機能を有することを特徴とする。
【0024】
この構成により、生体信号の測定値から生体信号の測定値を評価する場合、評価者による閾値設定作業の作業量を低減することができる。
【0025】
また、本発明の生体信号測定値評価システムは、閾値設定手段が測定値に対する閾値として前記測定値の測定時刻と前記測定時刻直前の食事時刻との時間差が所定時間か前記所定時間以外かにより2つ以上の前記閾値を設定する際に、前記閾値を設定する前記時間差の最大値を設定する機能を有することを特徴とする。
【0026】
この構成により、生体信号の測定値が測定時刻と直前の食事時刻との時間差に対して変動する場合に、生体信号の測定値を正確に評価することができ、評価者による閾値設定作業の作業量を低減することができる。
【0027】
また、本発明の生体信号測定値評価システムは、閾値設定手段が測定値に対する閾値として前記測定値の測定時刻と前記測定時刻直前の起床時刻との時間差が所定時間か前記所定時間以外かにより2つ以上の前記閾値を設定する際に、前記閾値を設定する前記時間差の最大値を設定する機能を有することを特徴とする。
【0028】
この構成により、生体信号の測定値が測定時刻と直前の起床時刻との時間差に対して変動する場合に、生体信号の測定値を正確に評価することができ、評価者による閾値設定作業の作業量を低減することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、生体信号の測定値に対して、事前に閾値を設定し、その閾値として測定条件および測定時刻に応じて変動する閾値を設定できる機能を有することにより、生体信号の測定値をより正確に評価でき、かつ生体信号の測定値を評価する人にとっては、生体信号の評価設定方法に対してより柔軟性を与えることができ、かつ評価するための作業量を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、全図を通じて同一符号は同一対象物を表す。
【0031】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態は生体信号の測定値を評価するために測定条件、ここでは食前、食後に応じた閾値を設定し、その測定時刻に応じた閾値と比較することにより、生体信号の測定値を評価する処理の動作について説明する。ここで、食後とは食事時刻後所定時間内を意味し、また食前とは食事時刻後所定時間以外を意味し、所定時間は生体信号により変動するものである。
【0032】
図1は、本発明の第1の実施の形態における生体信号測定値評価システムの構成図である。図1において、生体信号測定値評価システムは入力、出力を制御したりデータ処理を行う制御部101と、測定値や測定値評価結果を保存している記憶部102と、生体情報の閾値や設定の入力を行う入力部103と、設定確認や評価結果を画面表示を行うための表示部104から構成される。また生体信号の測定値は、入力部104を介して入力し、記憶部102に保存するものとして説明する。
【0033】
但し、生体信号の測定値入力経路として、通信部を介して外部システムから測定値を入力する方式も想定でき、これに限定するものではない。また、入力部103としては説明の中でマウス、およびキーボードとして説明しているが、ジョグダイヤルやタッチパネルなど、人が機器に入力するものを全て含み、これに限るものではない。また表示部104は、画面表示として説明するが、出力方式としては、音声出力や振動出力なども想定でき、これに限定するものではない。
【0034】
以上の生体信号測定値評価システムについて、処理の流れを図2を用いて説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態における生体信号測定値評価システムの流れ図である。このシステムは生体信号の測定値を評価する評価者、例えば医療機関における医師や看護師、の利用を想定している。
【0035】
評価者はまずシステムに対して、行う処理を入力部101を介して入力し(S201)、入力された処理を制御部101で判定を行う(S202)。そして、評価者が入力として設定処理を選択した場合、生体信号の測定値に対する閾値設定処理を行う(S203)。
【0036】
また、測定者の生体信号測定値入力があった場合、記憶部102に保存し、制御部101において測定値評価処理を行う(S204)。また、評価者が入力として測定結果表示を選択した場合、記憶部102に保存されている生体信号測定値、および測定値評価結果の画面表示を行う(S205)。また、評価者が入力として終了処理を選択した場合、システムを終了する。
【0037】
以上の生体信号測定値評価システムおいて、最初に閾値設定処理(S203)について図3から図6を用いてさらに詳細を説明し、次に測定値評価処理(S204)について図7から図8を用いて詳細に説明し、最後に測定結果画面について図9を用いて詳細に説明する。以降、測定対象となる生体信号は血糖値としてより具体的に説明する。
【0038】
図3は閾値設定処理の流れを示し、図4は閾値設定画面を示す。評価者が閾値設定処理を選択すると、閾値設定画面を表示する(S301)。まず、最初に評価者が対象測定者を測定者選択リスト401から選択する(S302)。次に、評価者は測定選択リスト402から生体信号の測定項目、例えば血糖、血圧、体重などを選択する(S303)。
【0039】
ここで、この測定者リスト、および測定項目リストは、評価者が事前に入力済であると仮定する。また、ここでは測定項目として、血糖を例にとって説明するが、これに限るものではない。
【0040】
次に評価者は測定項目の測定値に対する閾値を入力する。具体的な作業としては、食前測定値に対する上限値(これをTH_Bと表記する)を入力ボックス403に入力し(S304)、食後測定値に対する上限値(これをTH_Aと表記する)を入力ボックス404に入力し(S305)、測定値に対する下限値を入力ボックス405に入力する(S306)。
【0041】
評価者が入力した設定値を保存する場合は保存ボタン406を、また設定値を保存しない場合は取消ボタン407を押し(S307)、設定保存の判定を行う(S308)。そして設定値を保存する場合は、設定値が数値であり正しい範囲に入っているか、また上限値、下限値の大小関係が逆になっていないかなどを確認する処理を行い(S309)、設定値が正常範囲であるかの判定を行い(S310)、設定値が正常範囲でない場合はエラー内容を画面表示する処理を行い(S311)、設定値が正常範囲である場合は、設定値を記憶部102に保存する処理を行い(S312)、その後、閾値設定画面の表示を終了する(S313)。ここでは、上限値についてのみ食前と食後で異なる設定を行う説明をしたが、下限値についても当然適用可能であるが、説明を省略する。
【0042】
図5は記憶部102における閾値設定の記憶形式を示しており、一例としてデータベースで設定値を保持している場合の説明を行う。図5は、本発明の第1の実施の形態における生体信号測定値評価システムの閾値設定値の保存形式説明図である。
【0043】
記憶部102(図1に記載)におけるデータベース内では、閾値設定テーブル501(図面の破線で囲ったもの)で管理している。そして閾値設定テーブル501には、複数の閾値設定を管理しており、一対の閾値設定をレコードという単位で保存している。
【0044】
そして閾値設定レコードには次の複数の項目が含まれる。1つのレコードに含まれる項目は、測定者を特定するための測定者ID,測定する生体信号を特定するための測定種別、測定が食前に行われたか食後に行われたかをしめす時刻種別、閾値設定処理で入力された閾値、測定値および閾値の単位、設定者を特定する設定者ID、設定した日時を特定するための設定日時、からなる。また、図6は閾値設定の記憶形式における各項目の具体的な設定値の一例である。
【0045】
図7は測定値評価処理の流れを示す。この処理は、生体信号の測定値が入力部104(図1に記載)を介して入力された時に、制御部101(図1に記載)で行われるものである。
【0046】
まず、入力された生体信号の測定値を読み込み、それと同時に記憶部102(図1に記載)に対して測定値および測定時刻などを保存する(S701)。
【0047】
次に、生体信号の測定値が有効であるかどうか、すなわち測定値が数値であるか、その数値は正常な範囲のものであるかなどの確認を制御部101で行い、もし測定値が有効なものでなければ、測定値評価処理を終了する。
【0048】
次に、生体信号の測定条件が食前か食後かを判断する。ここでは、入力部103(図1に記載)を介して測定値に対する測定条件、すなわち測定時刻が食前か食後が入力されているものとする。
【0049】
また別の例では、血糖計の場合、測定者が血糖計で血糖値測定を行った後に、その測定に対する食後マークの付与/非付与を測定者が血糖計に対して入力し、血糖計の記憶部でその測定に対して食後マークを保存する機能があり、この食後マークを参照すれば、測定条件が食前か食後かを判断できる。
【0050】
そして測定値の測定条件が食前の場合、食前閾値TH_Bを読み込み(S704)、測定値が食前閾値TH_Bを超過しているかを判定し、超過している場合は、その測定値に対する評価フラグに食前閾値超過として、記憶部102に保存する処理をおこない(S708)、測定値が食前閾値TH_Bを超過していない場合は、その測定値に対する評価フラグに測定値正常として、記憶部102に保存する処理を行う(S710)。
【0051】
また、測定値の測定条件が食後の場合、食後閾値TH_Aを読み込み(S705)、測定値が食後閾値TH_Aを超過しているかを判定し、超過している場合は、その測定値に対する評価フラグに食後閾値超過として、記憶部102に保存する処理をおこない(S708)、測定値が食後閾値TH_Aを超過していない場合は、その測定値に対する評価フラグに測定値正常として、記憶部102に保存する処理を行う(S710)。
【0052】
そして、測定値に対する評価結果を評価者に通知する必要がある場合は、評価結果を通知する処理を行い(S711)、測定値評価処理を終了する。
【0053】
評価結果を評価者に通知する手段としては、表示部103に対して通知内容を画面表示を行う方法や、構成として音声出力部が存在する場合は音声出力部を介して音声通知する方法や、構成として通信部が存在する場合は通信部を介して電子メール送信による文字通知や電話による音声通知などを含み、あらゆる通知方法が含まれるものとする。
【0054】
また、図7を用いた処理の流れ説明では、下限値に対する判定処理を省略しているが、下限値を超過した場合も評価フラグに下限値超過を保存し、記憶102に保存する処理も当然行うことが考えられる。また、図8は生体信号の測定値および測定値評価結果の具体的な値の一例である。
【0055】
図9は測定結果画面を示すものである。評価者が測定者リスト901で測定者を入力部103を介して選択し、測定項目リスト902から測定項目を入力部103を介して選択し、表示部104に、対象測定者の対象測定項目に対する測定結果が表示される。測定結果画面に表示されるものは、横軸が日時で縦軸が測定値、但しこの例では血糖値であり、測定値グラフ903、食後測定値に対する上限値グラフ904、食前測定値に対する上限値グラフ905、下限値グラフ906が表示される。さらに、測定値が閾値を超過した場合は、907のように表示部104を介して、評価者に通知することも考えられる。そして、評価者が測定結果画面を終了したい場合は、入力部103を介して取消ボタン908を押すと画面表示を終了する。
【0056】
本発明の第1の実施の形態では、測定条件として食前と食後で異なる閾値設定を行うことを説明したが、測定条件としては食事以外にも考えらる。例えば、測定値の測定時刻が睡眠中かそれ以外かで異なる閾値を設定を行う方式や、測定値の測定時刻が運動中かそれ以外かで異なる閾値設定を行う方式も当然考えられる。
【0057】
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は生体信号の測定値を評価するために測定時刻に応じた閾値を設定し、その測定時刻に応じた閾値と比較することにより、生体信号の測定値を評価する処理の動作について説明する。
【0058】
本発明の第2の実施の形態における生体信号測定値評価システムの構成図は図1と同じであるため説明を省略する。また、本発明の第2の実施の形態における生体信号測定値評価システムにおける、処理の流れは図2と同じであるため説明を省略する。
【0059】
以上の生体信号測定値評価システムおいて、最初に閾値設定処理(S203)について図3、図10、図11を用いてさらに詳細を説明し、次に測定値評価処理(S204)について図7、図12を用いて詳細に説明する。以降、測定対象生体信号は最高血圧としてより具体的に説明する。但し、生体信号として最高血圧に限るものではなく、他の生体信号の測定値に対しても本発明の生体信号測定評価システムは適用可能である。
【0060】
閾値設定処理の流れは、図3と一部同じであり、その同じ部分に関する説明は省略し、異なる部分の処理(S320)について説明する。この処理(S320)の流れを図11に示し、処理(S301)で表示部104を介して表示する閾値設定画面を図10に示す。
【0061】
最初に、評価者は生体信号の測定値に対する上限値を、入力部103を介して入力ボックス1003に設定値を入力し(S1101)、次に生体信号の測定値に対する下限値を、入力部103を介して入力ボックス1004に設定値を入力する(S1102)。
【0062】
次に、評価者は閾値設定を測定時刻に応じて異なった設定を行いたい場合、入力部103を介して入力ボックス1003に閾値設定時間間隔wを入力する(S1103)。ここでは、閾値設定時間間隔wは、0より大きく、かつ24以下の数字に対応するものとし、また前記数値範囲内の小数にも対応するものとする。また閾値設定時間間隔wが未入力の場合は、測定時刻に応じて異なった閾値設定ができないものとする。
【0063】
そして上記設定入力に変更があったかどうかを制御部101で判定し(S1104)、変更があった場合は表示部104を介して、閾値設定画面におけるの上限値グラフ1011の設定値更新、および上限値設定ポインタ1007の表示間隔更新、および下限値グラフ1012の設定値更新、および下限値設定ポインタ1008の表示間隔更新を行う(S1105)。ここで、異なる測定時間に対する閾値に対する番号を閾値設定番号nと表し、本発明第2の実施の形態においては0≦n<(24/w)の関係にある。
【0064】
次に、評価者が測定時刻に応じた閾値設定を簡易に入力するためには、入力部103の一例としてマウスを介して入力する手順について説明する。評価者は、マウスにより上限値ポインタ1007(n)、もしくは下限値ポインタ1008(n)を表示部104上でクリックし、上下方向にドラッグすることにより、測定時刻に応じた閾値設定を行うことができる。
【0065】
但し、上限値ポインタ1007(n)、および下限値ポインタ1008(n)は測定時刻が(nw)時以降かつ((n+1)w)時未満の測定値に対する閾値設定である。また、その他の閾値設定番号にたいしても同様で、閾値設定番号(n+1に対しては、上限値ポインタ1007(n+1)、および下限値ポインタ1008(n+1)が対応するというように、各測定時刻に応じた上限値、下限値ポインタが存在する。また、マウス入力設定する場合、上限値より下限値が大きい設定は不可とする。
【0066】
また、評価者は、入力部103を介して上限値下限値連動設定チェックボックス1006を選択することができる(S1106)。ここで、チェックボックス1006を選択した場合は、上限値グラフ1011と下限値グラフ1012が連動して設定できるため、評価者の設定作業が簡素化できる。また、チェックボックス1006を非選択とした場合、上限値グラフ1011と下限値グラフ1012を独立して設定できるため、よりきめ細やかな閾値設定ができる。上記内容で処理S320が終了となり、それ以降の部分は図3と同じであるために説明を省略する。
【0067】
次に、測定値評価処理の流れは、図7と一部同じであり、その同じ部分に関する説明は省略し、異なる部分の処理(S720)について説明する。この処理(S720)の流れを図12に示す。最初に、制御部101が生体信号の測定値に対する測定時刻を判定する(S1201)。ここでは設定時間間隔がw時間の場合で、閾値設定番号nとともに説明する。
【0068】
測定時刻が0時以降(w)時未満の場合は測定時刻に応じた閾値TH_0を読み込み(S1202)、測定時刻が(nw)時以降((n+1)w)時未満の場合は測定時刻に応じた閾値TH_(n)を読み込み(S1202)、その他の測定時刻に対しても、同様の処理を行う。
【0069】
次に、制御部101が測定値と閾値TH_(n)を比較して超過しているかどうかを判定する(S1205)。すなわち、超過している場合は、測定値に対応する評価フラグに(nw)時間閾値超過として記憶部102に保存し(S1206)、超過していない場合は、測定値に対応する評価フラグに測定値正常として記憶部102に保存する(S1207)。上記内容で処理(S720)が終了となり、それ以降の部分は図7と同じであるため説明を省略する。
【0070】
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態は生体信号の測定値を評価するために測定条件、ここでは食前かどうか、さらに食後なら食事時刻から測定時刻までの時間差、に応じた閾値を設定し、その測定条件に応じた閾値と比較することにより、生体信号の測定値を評価する処理の動作について説明する。
【0071】
本発明の第3の実施の形態における生体信号測定値評価システムの構成図は図1と同じであるため説明を省略する。また、本発明の第3の実施の形態における生体信号測定値評価システムにおける、処理の流れは図2と同じであるため説明を省略する。
【0072】
以上の生体信号測定値評価システムおいて、最初に閾値設定処理(S203)について図3、図13を用いてさらに詳細を説明し、次に測定値評価処理(S204)について図7、図14を用いて詳細に説明する。以降、測定対象生体信号は血糖値としてより具体的に説明する。但し、生体信号として血糖値に限るものではなく、他の生体信号の測定値に対しても本発明の生体信号測定評価システムは適用可能である。
【0073】
閾値設定処理の流れは、図3と一部同じであり、その同じ部分に関する説明は省略し、異なる部分の処理(S320)について説明する。図13は本発明の第3の実施の形態における閾値設定画面である。最初に、評価者は生体信号の食後測定値に対する最大食後参照時間(Nw)を入力部103を介して入力ボックス1303に設定値を入力する。
【0074】
次に閾値設定時間間隔wを入力ボックス1304に設定値を入力する。以上の設定により、食後測定値に対して設定可能な閾値を食後閾値設定個数Nと表し、(最大食後参照時間Nw)/(閾値設定時間間隔w)の関係がある。このとき、食後閾値設定個数が変動すれば、表示部104を介して閾値設定画面の表示を更新する。ここでは、閾値設定時間間隔として、(w)時間を例にとって説明する。また閾値設定時間間隔wが未入力の場合は、食後測定値に対する閾値設定は1つだけとする。
【0075】
次に、評価者は生体信号の食前測定値に対する上限値TH_Bを、入力部103を介して入力ボックス1305に設定値を入力し、次に生体信号の測定時刻と食事時刻との時間差が食後0時間以上から食後(w)時間未満までの閾値に対する上限値を入力ボックス1306に設定値を入力し、さらに一般的には、生体信号の測定時刻と食事時刻との時間差が食後(nw)時間以上から食後((n+1)w)時間未満までの閾値に対する上限値TH_A(n)を入力ボックス1307に設定値を入力し、生体信号の測定時刻と食事時刻との時間差が食後((N−1)w)時間以上から食後(Nw)時間未満までの閾値に対する上限値TH_A(N−1)を入力ボックス1308に設定値を入力する。
【0076】
次に、評価者は測定値に対する下限値を、入力部103を介して入力ボックス1309に設定値を入力する。上記内容で処理S320が終了となり、それ以降の部分は図3と同じであるために説明を省略する。また、ここでは上限値に対する説明のみ行ったが、下限値についても当然適用可能であるが説明を省略する。
【0077】
測定値評価処理の流れは、図7と一部同じであり、その同じ部分に関する説明は省略し、異なる部分の処理(S720)について説明する。この処理(S720)の流れを図14に示す。最初に、制御部101が生体信号の測定値に対する測定条件、すなわち測定が食前か食後かを判定する(S1401)。ここでは測定値に対する測定条件、および食事時刻はが入力部103を介して測定値と同時に入力さており、記憶部102に保存するものとする。
【0078】
また別の例では、血糖計の場合、測定者が血糖計で血糖値測定を行った後に、その測定に対する食後マークの付与/非付与を測定者が血糖計に対して入力し、血糖計の記憶部でその測定に対して食後マークを保存する機能があり、この食後マークを参照すれば、測定条件が食前か食後かを判断できる。
【0079】
そして、測定条件が食後の場合は、制御部101において、食事時刻と測定時刻を記憶部102から読み込み(S1402)、食事時刻から測定時刻までの時間差を算出する。ここでは設定時間間隔が(w)時間の場合で説明する。
【0080】
すなわち、測定直前の食事時刻から測定時刻までの時間差が0時間以降(w)時間未満の場合は時間差に応じた閾値TH_A0を読み込む(S1202)。一般的には、時間差が(nw)時間以降((n+1)w)時未満の場合は測定時刻に応じた閾値TH_A(n)を読み込む(S1405)。但し、nは0≦n<Nの関係を満足するものとする。
【0081】
そして次に、制御部101が測定値と閾値TH_A(n)を比較して超過しているかどうかを判定する(S1409)。すなわち、超過している場合は、測定値に対応する評価フラグに(nw)時間閾値超過として記憶部102に保存し(S1410)、超過していない場合は、測定値に対応する評価フラグに測定値正常として記憶部102に保存する(S1409)。
【0082】
また、測定条件が食前の場合、もしくは測定条件が食後であるが食事時刻と測定時刻の時間差が(Nw)時間以上である場合、測定値と食前閾値TH_Bを比較して超過しているかを判定し(S1406)、超過している場合は、測定値に対応する評価フラグに食前閾値超過と保存し(S1407)、超過していない場合は、測定値に対応する評価フラグに測定値正常として記憶部102に保存する。上記内容で処理(S720)が終了となり、それ以降の部分は図7と同じであるため説明を省略する。また、ここでは上限値に対する説明のみ行ったが、下限値についても当然適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように、生体信号の測定条件、すなわち食前、食後、さらには生体信号の測定時刻に応じて異なった閾値設定ができることにより、生体信号の測定値をより正確に評価することができ、かつ生体信号の測定値の評価する評価者の作業を軽減できることができることから、医療機関に導入する生体信号測定値評価システムとして有用である。また、このシステムを生体信号モニタ内に導入すれば、医療機関の評価者を介せずに、測定者自身が自分の生体信号の測定値を評価するシステムとしても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態1における生体信号測定値評価システムの構成図
【図2】本発明の実施の形態1における生体信号測定値評価システムの動作流れ図
【図3】本発明の実施の形態1における生体信号測定値評価システムの閾値設定処理流れ図
【図4】本発明の実施の形態1における生体信号測定評価システムの閾値設定画面を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における生体信号測定値評価システムの閾値設定値の保存形式説明図
【図6】本発明の実施の形態1における生体信号測定値評価システムの閾値設定値の一例を示す図
【図7】本発明の実施の形態1における生体信号測定値評価システムの測定値評価処理流れ図
【図8】本発明の実施の形態1における生体信号測定値評価システムの測定結果データの一例を示す図
【図9】本発明の実施の形態1における生体信号測定評価システムの測定結果画面を示す図
【図10】本発明の実施の形態2における生体信号測定評価システムの閾値設定画面を示す図
【図11】本発明の実施の形態2における生体信号測定評価システムの閾値設定処理流れ図
【図12】本発明の実施の形態2における生体信号測定評価システムの測定値評価処理流れ図
【図13】本発明の実施の形態3における生体信号測定評価システムの閾値設定画面を示す図
【図14】本発明の実施の形態3における生体信号測定評価システムの測定値評価処理流れ図
【図15】従来の生体信号測定値評価システムの構成図
【符号の説明】
【0085】
101 制御部
102 記憶部
103 入力部
104 表示部
401,901 測定者選択リスト
402,902 測定項目選択リスト
403,1305 食前測定値に対する上限値入力ボックス
404,1306,1307,1308 食後測定値に対する上限値入力ボックス
405,1004,1309 下限値入力ボックス
406 設定保存ボタン
407,908 取消ボタン
501 閾値設定テーブル
903 測定値グラフ
904 食後測定値に対する上限値グラフ
905 食前測定値に対する上限値グラフ
906 下限値グラフ
907 閾値超過測定値
1003 上限値入力ボックス
1005,1304 設定時間間隔入力ボックス
1006 上限値、下限値連動設定チェックボックス
1007 上限値設定ポインタ
1008 下限値設定ポインタ
1010 上限値グラフ
1012 下限値グラフ
1303 最大食後参照時間入力ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも入力部とデータ処理部と出力部とで構成し、
前記入力部は生体信号の測定値を入力する機能を有し、
前記データ処理部は閾値設定手段と測定値評価手段とを有し、
前記閾値設定手段は前記測定値に対する閾値として前記測定値の測定条件により2つ以上の前記閾値を設定する機能を有し、
前記測定値評価手段は前記測定値と前記閾値との比較により前記測定値に対する測定値評価フラグを付与する機能を有し、
前記出力部は前記測定値評価フラグを出力する機能を有する
ことを特徴とする生体信号測定値評価システム。
【請求項2】
測定条件は測定値の測定時刻が食事時刻後所定時間以内かまたは前記食事時刻後所定時間以外かとすることを特徴とする請求項1記載の生体信号測定値評価システム。
【請求項3】
測定条件は測定値の測定時刻が睡眠中かまたは前記睡眠中以外かとすることを特徴とする請求項1記載の生体信号測定値評価システム。
【請求項4】
測定条件は測定値の測定時刻が運動中かまたは前記運動中以外かとすることを特徴とする請求項1記載の生体信号測定値評価システム。
【請求項5】
測定条件は測定値の測定時刻が所定時間内かまたは前記所定時間以外かとすることを特徴とする請求項1記載の生体信号測定値評価システム。
【請求項6】
測定条件は測定値の測定時刻と前記測定時刻直前の食事時刻との時間差が所定時間内かまたは前記所定時間以外かとすることを特徴とする請求項1記載の生体信号測定値評価システム。
【請求項7】
測定条件は、測定値の測定時刻と前記測定時刻直前の起床時刻との時間差が所定時間内かまたは前記所定時間以外かとすることを特徴とする請求項1記載の生体信号測定値評価システム。
【請求項8】
閾値設定手段は測定値に対する閾値として前記測定値の測定条件により2つ以上の前記閾値を設定し、かつ前記閾値として上限閾値と下限閾値を設定する際、前記上限閾値と前記下限閾値の差を一定に保持して前記閾値を設定する機能を有することを特徴とする請求項1から請求項7記載の生体信号測定値評価システム。
【請求項9】
閾値設定手段は測定値に対する閾値として前記測定値の測定条件により2つ以上の前記閾値を設定し、前記所定時間の間隔を設定する機能を有することを特徴とする請求項5から請求項7記載の生体信号測定値評価システム。
【請求項10】
閾値設定手段は測定値に対する閾値として前記測定値の測定時刻と前記測定時刻直前の食事時刻との時間差が所定時間かまたは前記所定時間以外かにより2つ以上の前記閾値を設定する際に、前記閾値を設定する前記時間差の最大値を設定する機能を有することを特徴とする請求項6から請求項7記載の生体信号測定値評価システム。
【請求項11】
閾値設定手段は測定値に対する閾値として前記測定値の測定時刻と前記測定時刻直前の起床時刻との時間差が所定時間かまたは前記所定時間以外かにより2つ以上の前記閾値を設定する際に、前記閾値を設定する前記時間差の最大値を設定する機能を有する
ことを特徴とする請求項6から請求項7記載の生体信号測定値評価システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−117434(P2007−117434A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314088(P2005−314088)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】