説明

生体器官拡張器具

【課題】バルーン上に圧縮されることにより装着されたステントが、装着時および拡張時の両時点において大きく変形する屈曲部を持たず、屈曲部に材料疲労を与えにくく、留置後長期的に安定した形態維持性を有するステントを備える生体器官拡張器具を提供する。
【解決手段】生体器官拡張器具1は、バルーン3を備えるバルーンカテーテル2と、バルーン3上に圧縮されることにより装着されたステント10とを備える。ステント10は、圧縮時に変形した複数の屈曲部21と圧縮時に実質的に変形していない複数の屈曲部22を備える。バルーン3の拡張時に、ステント10は、圧縮時に実質的に変形していない屈曲部22が圧縮時に変形した屈曲部21に比べて大きく変形することにより、拡張状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管、胆管、気管、食道、尿道等の生体管腔内に生じた狭窄部、もしくは閉塞部の改善に使用されるステントを備えた生体器官拡張器具に関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは、血管あるいは他の生体内管腔が狭窄もしくは閉塞することによって生じる様々な疾患を治療するために、その狭窄もしくは閉塞部位を拡張し、その内腔を確保するためにそこに留置する一般的には管状の医療用具である。
ステントは、体外から体内に挿入するため、挿入時は直径が小さく、目的の狭窄もしくは閉塞部位で拡張させて直径を大きくし、かつその管腔をそのままで保持する物である。
【0003】
ステントとしては、金属線材、あるいは金属管を加工した円筒状のものが一般的である。カテーテルなどに細くした状態で装着され、生体内に挿入され、目的部位で何らかの方法で拡張させ、その管腔内壁に密着、固定することで管腔形状を維持する。ステントは、機能および留置方法によって、セルフエクスパンダブルステントとバルーンエクスパンダブルステントに区別される。バルーンエクスパンダブルステントはステント自体に拡張機能はなく、バルーン上にマウントしたステントを目的部位に挿入した後、バルーンを拡張させ、バルーンの拡張力によりステントを拡張(塑性変形)させ目的管腔の内面に密着させて固定する。このタイプのステントでは、上記のようなステントの拡張作業が必要になる。
そして、バルーンエクスパンダブルステントは、拡張するバルーンによりステントを塑性変形させることにより拡張し、目的管腔(例えば、血管)の内面に密着させる。バルーンエクスパンダブルステントは、塑性変形していることにより高い拡張維持力(ラジアルフォース)を備える。
【0004】
ステント留置の目的は、PTCA等の手技を施した後に起こる再狭窄の予防、およびその低減化を図るものである。
そして、バルーンエクスパンダブルステントとしては、特開2008−86462号公報(特許文献1)、特開2005−102815(特許文献2)として、本願出願人が提案するように、軸方向先端側および後端側に屈曲部を有する環状線状体からなるものがある。
特許文献1の体内留置用ステント1は、波線状環状体2がステント1の軸方向に隣り合うように4つ以上配列されている。波線状環状体2は、ステント1の軸方向の一端側に頂点21を有する複数の一端側屈曲部、および他端側に頂点22を有する複数の他端側屈曲部を有し、隣り合う前記波線状環状体2の他端側屈曲部の頂点22と一端側屈曲部の頂点21は近接し、かつ連接部4および連接部4と形態が異なるとともにステント1の軸方向に対して連接部4と交互となるように配置された連結部3により接続されている。連接部4は、ステント1の軸方向に直交する方向に延びる屈曲部を備え、連結部3は、接続対象の2つの頂点部分(頂点21と頂点22)を一体化している。
【0005】
また、特許文献2のステント1は、略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、管状体の内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能である。ステント1は、軸方向先端側および後端側に屈曲部を有する複数の環状線状体2と複数の環状線状体2を環状となるように接続する接続部3とからなる環状ユニット4をステントの軸方向に複数配列するとともに、環状ユニット4を軸方向に連結する連結部5を備える。環状線状体2は、接続部3から先端側屈曲部21の頂点までの長さが接続部3から後端側屈曲部22の頂点までの長さより短いものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−86462号公報
【特許文献2】特開2005−102815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および2のものは、十分な効果を有する。しかし、これらのタイプのステントは、屈曲部を変形させることにより、バルーン上に装着され、バルーンが拡張するとき、変形した屈曲部が再変形することにより拡張する。このため、屈曲部が、装着時(圧縮時)と拡張時の両時点にて変形するため、材料疲労(金属疲労)を生じることがある。
そこで、本発明の目的は、バルーン上に圧縮されることにより装着されたステントを備える生体器官拡張器具であって、ステントに装着時および拡張時の両時点において大きく変形する屈曲部が形成されず、屈曲部に材料疲労を与えにくく、留置後長期的に安定した形態維持性を有するステントを備える生体器官拡張器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) バルーンを備えるバルーンカテーテルと、前記バルーン上に圧縮されることにより装着されたステントとを備える生体器官拡張器具であって、前記ステントは、前記圧縮時に変形した複数の屈曲部と前記圧縮時に実質的に変形していない複数の屈曲部を備え、かつ、前記バルーンの拡張時に前記ステントは、前記圧縮時に実質的に変形していない屈曲部が、前記圧縮時に変形した屈曲部に比べて大きく変形することにより、拡張状態となるものである生体器官拡張器具。
(2) 前記圧縮時に変形した屈曲部は、前記バルーン上への装着前において拡径しかつ高強度の波状要素が保有するものであり、前記圧縮時に実質的に変形していない屈曲部は、前記バルーン上への装着前において拡径していない低強度の波状要素が保有するものであり、前記バルーン上への装着時に、前記高強度の波状要素のみが変形し縮径し、前記バルーンの拡張による前記ステントの拡張時には、前記低強度の波状要素が初めに変形し拡張するものである上記(1)に記載の生体器官拡張器具。
(3) 前記ステントは、該ステントの周方向に延びかつ複数の屈曲部を有する波状環状要素を備え、前記波状要素は、軸方向に長い波と、前記軸方向に長い波に比べて軸方向長が短い波をそれぞれ複数有し、前記圧縮時に実質的に変形していない屈曲部は、前記長い波部間に位置し、前記圧縮時に変形した屈曲部は、前記短い波部間に位置している上記(1)に記載の生体器官拡張器具。
【0009】
(4) 前記低強度の波状要素の軸方向長さは、前記高強度の波状要素の軸方向長さよりも長いものである上記(2)に記載の生体器官拡張器具。
(5) 前記低強度の波状要素の線幅または肉厚は、前記高強度の波状要素の線幅または肉厚よりも小さいものである上記(2)に記載の生体器官拡張器具。
(6) 前記圧縮時に実質的に変形していない屈曲部には、生理活性物質を含むポリマーが被覆されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
(7) 前記圧縮時に変形した前記屈曲部には、生理活性物質を含むポリマーが被覆されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
(8) 前記圧縮時に実質的に変形していない屈曲部に被覆されたポリマーが含有する生理活性物質と、前記圧縮時に変形した前記屈曲部に被覆されたポリマーが含有する生理活性物質とは、異なる生理活性物質である上記(7)に記載の生体器官拡張器具。
(9)前記ステントは、所定の線幅を有する線状体により形成され、前記ステントの軸方向の一端側に頂点を有する複数の一端側屈曲部および前記ステントの軸方向の他端側に頂点を有する複数の他端側屈曲部を有する複数の環状体と、隣り合う前記環状体を接続する接続部とを備えるものである上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
【発明の効果】
【0010】
本発明の生体器官拡張器具は、バルーンを備えるバルーンカテーテルと、該バルーン上に圧縮されることにより装着されたステントとを備える。ステントは、圧縮時に変形した複数の屈曲部と圧縮時に実質的に変形していない複数の屈曲部を備え、かつ、バルーンの拡張時にステントは、圧縮時に実質的に変形していない屈曲部が圧縮時に変形した屈曲部に比べて大きく変形することにより、拡張状態となるものである。
このため、圧縮時に変形した屈曲部は、拡張時に大きく変形しないため、圧縮時に変形した屈曲部に与える材料疲労が少なく、留置後長期的に安定した形態維持性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の部分省略正面図である。
【図2】図2は、図1に示した生体器官拡張器具の先端部の拡大部分断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の作用を説明するための説明図である。
【図4】図4は、本発明の生体器官拡張器具に使用されるステントの圧縮時(バルーン装着前)の正面図である。
【図5】図5は、図4に示したステントの展開図である。
【図6】図6は、図5の部分拡大図である。
【図7】図7は、本発明の生体器官拡張器具に使用されるステントのバルーン装着前の正面図である。
【図8】図8は、図7に示したステントの展開図である。
【図9】図9は、図8の部分拡大図である。
【図10】図10は、本発明の生体器官拡張器具に使用されるステントの拡張時の正面図である。
【図11】図11は、図10に示したステントの展開図である。
【図12】図12は、図11の部分拡大図である。
【図13】図13は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具に使用されるステントの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の生体器官拡張器具について以下の好適実施例を用いて説明する。
本発明の生体器官拡張器具1は、バルーン3を備えるバルーンカテーテル2と、バルーン3上に圧縮されることにより装着されたステント10とを備える。ステント10は、圧縮時に変形した複数の屈曲部21と圧縮時に実質的に変形していない複数の屈曲部22を備える。バルーン3の拡張時に、ステント10は、圧縮時に実質的に変形していない屈曲部22が圧縮時に変形した屈曲部21に比べて大きく変形することにより、拡張状態となるものとなっている。
【0013】
この実施例の生体器官拡張器具1は、図1ないし図3に示すように、ステント10と、ステント10が装着されたバルーンカテーテル2とからなる。
バルーンカテーテル2は、チューブ状の本体部6と、本体部6の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーン3とを備え、ステント10は、折り畳まれた状態のバルーン3を被包するように装着され、かつバルーン3の拡張により拡張されるものである。
【0014】
ステント10は、生体内管腔への挿入のための直径を有し、管状体の内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能ないわゆるバルーン拡張型ステントである。
この実施例の生体器官拡張器具1では、図3に示すように、本体部6は、本体部6の先端にて一端が開口し、本体部6の後端部にて他端が開口するガイドワイヤールーメン15aを備えている。
このバルーンカテーテル2は、本体部6と、本体部6の先端部に固定されたステント拡張用バルーン3とを備え、このバルーン3上にステント10が装着されている。本体部6は、内管15と外管16と分岐ハブ5とを備えている。
【0015】
内管15は、図3に示すように、内部にガイドワイヤーを挿通するためのガイドワイヤールーメン15aを備えるチューブ体である。内管15としては、長さが、100〜2500mm、より好ましくは、250〜2000mm、外径は、0.1〜1.0mm、より好ましくは、0.3〜0.7mm、肉厚は、10〜250μm、より好ましくは、20〜100μmのものである。そして、内管15は、外管16の内部に挿通され、その先端部が外管16より突出している。この内管15の外面と外管16の内面によりバルーン拡張用ルーメン18が形成されており、十分な容積を有している。外管16は、内部に内管15を挿通し、先端が内管15の先端よりやや後退した部分に位置するチューブ体である。
外管16としては、長さは、100〜2500mm、より好ましくは、250〜2000mm、外径は、0.5〜1.5mm、より好ましくは、0.7〜1.1mm、肉厚は、25〜200μm、より好ましくは、50〜100μmのものである。
この実施例の生体器官拡張器具1では、外管16は、先端側外管16aと本体側外管16bにより形成され、両者が接合されている。そして、先端側外管16aは、本体側外管16bとの接合部より先端側の部分において、テーパー状に縮径し、このテーパー部より先端側が細径となっている。
【0016】
先端側外管16aの細径部での外径は、0.50〜1.5mm、好ましくは0.60〜1.1mmである。また、先端側外管16aの基端部および本体側外管16bの外径は、0.75〜1.5mm、好ましくは0.9〜1.1mmである。
そして、バルーン3は、先端側接合部3aおよび後端側接合部3bを有し、先端側接合部3aが内管15の先端より若干後端側の位置に固定され、後端側接合部3bが外管16の先端に固定されている。また、バルーン3は、基端部付近にてバルーン拡張用ルーメン18と連通している。
内管15および外管16の形成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用でき、好ましくは上記の熱可塑性樹脂であり、より好ましくは、ポリオレフィンである。
【0017】
バルーン3は、折り畳み可能なものであり、拡張させない状態では、内管15の外周に折り畳まれた状態となることができるものである。バルーン3は、図3に示すように、装着されるステント10を拡張できるようにほぼ同一径の筒状部分(好ましくは、円筒部分)となった拡張可能部を有している。略円筒部分は、完全な円筒でなくてもよく、多角柱状のものであってもよい。そして、バルーン3は、上述のように、先端側接合部3aが内管15にまた後端側接合部3bが外管16の先端に接着剤または熱融着などにより液密に固着されている。また、このバルーン3では、拡張可能部と接合部との間がテーパー状に形成されている。
バルーン3は、バルーン3の内面と内管15の外面との間に拡張空間3cを形成する。この拡張空間3cは、後端部ではその全周において拡張用ルーメン18と連通している。このように、バルーン3の後端は、比較的大きい容積を有する拡張用ルーメンと連通しているので、拡張用ルーメン18よりバルーン内への拡張用流体の注入が確実である。
【0018】
バルーン3の形成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアリレーンサルファイド(例えば、ポリフェニレンサルファイド)等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。特に、延伸可能な材料であることが好ましく、バルーン3は、高い強度および拡張力を有する二軸延伸されたものが好ましい。
バルーン3の大きさとしては、拡張されたときの円筒部分(拡張可能部)の外径が、2〜4mm、好ましくは2.5〜3.5mmであり、長さが10〜50mm、好ましくは20〜40mmである。また、先端側接合部3aの外径が、0.9〜1.5mm、好ましくは1〜1.3mmであり、長さが1〜5mm、好ましくは1〜3mmである。また、後端側接合部3bの外径が、1〜1.6mm、好ましくは1.1〜1.5mmであり、長さが1〜5mm、好ましくは、2〜4mmである。
【0019】
そして、この生体器官拡張器具1は、図3に示すように、拡張されたときの円筒部分(拡張可能部)の両端となる位置の本体部の外面に固定された2つのX線造影性部材13、14を備えている。なお、ステント10の中央部分の所定長の両端となる位置の本体部6(この実施例では、内管15)の外面に固定された2つのX線造影性部材を備えるものとしてもよい。さらに、ステントの中央部となる位置の本体部の外面に固定された単独のX線造影性部材を設けるものとしてもよい。
X線造影性部材13、14は、所定の長さを有するリング状のもの、もしくは線状体をコイル状に巻き付けたものなどが好適であり、形成材料は、例えば、金、白金、タングステンあるいはそれらの合金、あるいは銀−パラジウム合金等が好適である。
そして、バルーン3を被包するようにステント10が装着されている。ステントは、ステント拡張時より小径かつ折り畳まれたバルーンの外径より大きい内径の金属パイプを加工することにより作製される。そして、作製されたステント内にバルーンを挿入し、ステントの外面に対して均一な力を内側に向けて与え縮径させることにより製品状態のステントが形成される。つまり、上記のステント10は、バルーンへの圧縮装着により完成する。
【0020】
内管15と外管16との間(バルーン拡張用ルーメン18内)には、線状の剛性付与体(図示せず)が挿入されていてもよい。剛性付与体は、生体器官拡張器具1の可撓性をあまり低下させることなく、屈曲部位での生体器官拡張器具1の本体部6の極度の折れ曲がりを防止するとともに、生体器官拡張器具1の先端部の押し込みを容易にする。剛性付与体の先端部は、他の部分より研磨などの方法により細径となっていることが好ましい。また、剛性付与体は、細径部分の先端が、外管16の先端部付近まで延びていることが好ましい。剛性付与体としては、金属線であることが好ましく、線径0.05〜1.50mm、好ましくは0.10〜1.00mmのステンレス鋼等の弾性金属、超弾性合金などであり、特に好ましくは、ばね用高張力ステンレス鋼、超弾性合金線である。
【0021】
この実施例の生体器官拡張器具1では、図1に示すように、基端に分岐ハブ5が固定されている。分岐ハブ5は、ガイドワイヤールーメン15aと連通しガイドワイヤーポートを形成するガイドワイヤー導入口19を有し、内管15に固着された内管ハブと、バルーン拡張用ルーメン18と連通するインジェクションポート17を有し、外管16に固着された外管ハブとからなっている。そして、外管ハブと内管ハブとは、固着されている。外管ハブと内管ハブとの固定は、外管16の基端部に取り付けられた外管ハブの後端から内管15をその先端から挿入し接合することにより行われている。またこの時、内管ハブと外管ハブとの接合部に接着剤を塗布して行うことにより確実に両者を固着することができる。
この分岐ハブ5の形成材料としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。そして、内管ハブと外管ハブとは固定されている。なお、生体器官拡張器具1の基端の構造は、上記のようなものに限定されるものではなく、分岐ハブ5を設けず、ガイドワイヤールーメン15a、バルーン拡張用ルーメン18それぞれに、例えば後端に開口部を形成するポート部材を有するチューブを液密に取り付けるようにしてもよい。
なお、生体器官拡張器具の構造は、上記のようなものに限定されるものではなく、生体器官拡張器具の中間部分にガイドワイヤールーメンと連通するガイドワイヤー挿入口を有するものであってもよい。
【0022】
ステント10は、圧縮時に変形した屈曲部21は、バルーン10上への装着前において拡径しかつ高強度の波状要素23が保有するものであり、圧縮時に実質的に変形していない屈曲部22は、バルーン10上への装着前において拡径していない低強度の波状要素24が保有するものである。バルーン3上への装着時に、高強度の波状要素23のみが変形し縮径し、バルーン3の拡張によるステントの拡張時には、低強度の波状要素24が初めに変形し拡張するものとなっている。
この実施例のステント10は、図4ないし図12に示すように、所定の線幅を有する線状体により形成され、ステント10の軸方向の一端側に頂点を有する複数の一端側屈曲部21,22およびステントの軸方向の他端側に頂点を有する複数の他端側屈曲部21,22を有する複数の環状体11と、隣り合う環状体11を接続する接続部12とを備えるものとなっている。
【0023】
また、図4ないし図12に示すように、ステント10は、ステント10の周方向に延びかつ複数の屈曲部を有する波状環状要素(波状環状体)11を備え、波状要素(波状環状体)11は、軸方向に長い波部24と、軸方向に長い波部24に比べて軸方向長が短い波部23をそれぞれ複数有し、圧縮時に実質的に変形していない屈曲部22は長い波部4が保有し、圧縮時に変形した屈曲部21は短い波部23が保有している。
特に、この実施例のステント10では、各環状体11は、一端側に延び(言い換えれば、一端側を向き)、かつ圧縮時に変形した屈曲部21を有する複数(具体的には、屈曲部数として3つ)の短い波部23と、他端側に延び(言い換えれば、他端側を向き)、かつ圧縮時に変形した屈曲部21を有する複数(具体的には、屈曲部数として3つ)の短い波部23と、一端側に延び、かつ圧縮時に実質的に変形していない屈曲部22を有する複数(具体的には、屈曲部数として6つ)の長い波部24と、他端側に延び、かつ圧縮時に実質的に変形していない屈曲部22を有する複数(具体的には、屈曲部数として6つ)の長い波部24とを有している。このため、各環状体11は、短い波部23の屈曲部(頂点)21において、軸方向の内側に窪んだ形態となっている。
【0024】
また、隣り合う環状体11は、他端側に延び、圧縮時に実質的に変形していない屈曲部22aとこの屈曲部22aと向かい合う一端側に延び、圧縮時に実質的に変形していない屈曲部22bとが、接続部12により接続されている。つまり、向かい合う長い波部24の頂点(屈曲部22)間が、適宜部位にて接続部12により接続されている。また、この実施例のステント10では、隣り合う環状体11は、複数の接続部(具体的には、3つ)により接続されている。なお、接続部の数としては、1〜5が好適である。また、この実施例のステント10では、接続部12が、軸方向に連続しないものとなっている。
また、この実施例のステント10では、他端側に延び、圧縮時に変形した屈曲部21と、一端側に延び、圧縮時に変形した屈曲部21が、所定距離離間するものの向かい合うものとなっている。なお、接続部は、圧縮時に変形した屈曲部21間を接続するものであってもよい。また、ステントとしては、圧縮時に変形した屈曲部21と圧縮時に実質的に変形していない屈曲部22が向かい合うものであってもよい。さらには、向かい合う圧縮時に変形した屈曲部21と圧縮時に実質的に変形していない屈曲部22を接続部が接続するものであってもよい。
【0025】
そして、この実施例のステント10は、製造時(圧縮前、バルーン上へのマウント前)では、図7ないし図9に示すような形態となっている。
具体的には、短い波部23が有する屈曲部21が大きく開き、短い波部23の両端部に位置し、長い波部24の端部との接続部となる2つの屈曲部が、小さく開いた状態となっている。また、長い波部24が有する屈曲部22は閉じた状態となっている。このため、接続部12と接続された屈曲部22a、22bも閉じた状態となっている。
そして、図7ないし図9に示すような形態のステント10を圧縮(バルーン上にマウント)することにより、図4ないし図6に示すような形態に変形する。
具体的には、短い波部23が有する屈曲部21が閉じ、短い波部23の両端部に位置し、長い波部24の端部との接続部となる2つの屈曲部も閉じた状態となる。このため、短い波部23は、圧縮時に変形した屈曲部21を保有するものとなる。また、短い波部23の両端部に位置し、長い波部24の端部との接続部となる2つの屈曲部も圧縮時に若干変形した屈曲部となる。なお、長い波部24が有する屈曲部22は、若干圧縮される可能性があるが、実質的に変形しない。そして、この状態では、短い波部23および長い波部24における直線状部分は、ほぼすべてステントの軸方向に平行となっている。
【0026】
そして、図4ないし図6に示すような形態を持つバルーン上にマウントされたステント10は、図3に示すように、バルーン3が拡張することにより、図10ないし図12に示すような形態に拡張(変形)する。
具体的には、短い波部23が有する屈曲部21に対して、長い波部24が有する屈曲部22が、波の長さに起因して応力負荷を受けやすいため、長い波部24が有する屈曲部22が開く方向に変形する。また、拡張程度によるが、短い波部23が有する屈曲部21は、ほとんど変形しない。また、短い波部23の両端部に位置し、長い波部24の端部との接続部となる2つの屈曲部も若干開く方向に変形する。このため、短い波部23は、圧縮時に変形した屈曲部21を保有するものの、拡張時には、実質的な変形を受けないものとなり、2度の変形履歴を持たないものとなる。また、長い波部24が有する屈曲部22は、実質的に拡張時のみの変形履歴を有する。また、短い波部23の両端部に位置し、長い波部24の端部との接続部となる2つの屈曲部も拡張時にも若干、開く方向に変形する。このため、短い波部23の両端部に位置し、長い波部24の端部との接続部となる2つの屈曲部は、圧縮時および拡張時の両者において変形するものの変形量は多くない。
【0027】
この実施例のステント10では、圧縮時に変形した屈曲部21は、バルーン10上への装着前において拡径しかつ高強度の波状要素(短い波部)23が保有するものであり、圧縮時に実質的に変形していない屈曲部22は、バルーン10上への装着前において拡径していない低強度の波状要素(長い波部)24が保有するものとなっている。つまり、バルーン3上への装着時に、高強度の波状要素23が変形し縮径し、バルーン3の拡張によるステントの拡張時には、低強度の波状要素24が初めに変形し拡張するものとなっている。低強度の波状要素24の軸方向長さは、高強度の波状要素23の軸方向長さよりも長い。
図13に示す実施例のステントのように、低強度の波状要素(長い波部)24の線幅を高強度の波状要素(短い波部)23の線幅よりも小さいものとしてもよい。このようにすることにより、低強度の波状要素(長い波部)24が有する屈曲部22の変形が、高強度の波状要素(短い波部)23が有する屈曲部21の変形より、より早いものとなる。なお、低強度の波状要素(長い波部)24の肉厚を高強度の波状要素(短い波部)23の線幅よりも小さいものとしてもよい。
【0028】
このステント10では、高強度の波状要素(短い波部)23部分の変形により、ステント10がバルーンにマウントされるため、ステントのバルーンへの保持強度が強くなり、ステントのバルーンからの離脱を抑制する。また、低強度の波状要素(長い波部)24を有することにより、バルーンの拡張によるステントの拡張が容易となる。
【0029】
また、ステントは、非拡張時の直径が、0.8〜1.8mm程度が好適であり、特に、0.9〜1.4mmがより好ましい。また、ステントの非拡張時の長さは、9〜40mm程度が好適である。また、1つの環状体の長さは、0.7〜2.0mm程度が好適である。また、1つの波状環状体の一端側屈曲部数および他端側屈曲部数は、6〜20が好ましく、特に、8〜12が好ましい。また、環状体の数としては、4〜20が好適である。また、ステントの成形時(圧縮前)の直径は、1.5〜3.5mm程度が好適であり、特に、2.0〜3.0mmがより好ましい。さらに、ステントの肉厚としては、0.05〜0.15mm程度が好適であり、特に、0.08〜0.12mmが好適であり、線状構成要素の幅は、0.07〜0.15mm程度が好適であり、特に、0.08〜0.13mmが好適である。
ステントの形成材料としては、ある程度の生体適合性を有するものが好ましく、例えば、ステンレス鋼、タンタルもしくはタンタル合金、プラチナもしくはプラチナ合金、金もしくは金合金、コバルトクロム合金等のコバルトベース合金等が考えられる。またステント形状を作製した後に貴金属メッキ(金、プラチナ)をしてもよい。ステンレス鋼としては、最も耐腐食性のあるSUS316Lが好適である。
【0030】
また、ステントは、面取りされていることが好ましい。ステントの面取り方法としては、ステントを最終形状に形成した後、化学研磨、電解研磨もしくは機械研磨することにより行うことができる。
さらに、ステントの最終形状を作製した後、焼きなましすることが好ましい。焼きなましを行うことにより、ステント全体の柔軟性および可塑性が向上し、屈曲した血管内での留置性が良好となる。焼きなましを行わない場合に比べて、ステントを拡張した後の拡張前形状に復元しようとする力、特に、屈曲した血管部位で拡張した時に発現する直線状に復帰しようとする力が減少し、屈曲した血管内壁に与える物理的な刺激が減少し、再狭窄の要因を減少させることができる。焼きなましは、ステント表面に酸化被膜が形成されないように、不活性ガス雰囲気下(例えば、窒素と水素の混合ガス)にて、900〜1200℃に加熱した後、ゆっくりと冷却することにより行うことが好ましい。
【0031】
そして、ステント10は、図6,図9および図12に示すように、圧縮時に変形せずかつバルーンの拡張時に変形する屈曲部22には、生理活性物質を含むポリマー27が被覆されている。さらに、圧縮時に変形した複数の屈曲部21にも生理活性物質を含むポリマー28が被覆されている。なお、屈曲部22に被覆されるポリマーが含有する生理活性物質と、屈曲部21に被覆されるポリマーが含有する生理活性物質とは異なるものであってもよい。特に、屈曲部22は、圧縮時に変形しないため、生体内留置作業時まで、被覆ポリマーは被覆時の形態を維持するため、含有する生理活性物質を良好に保護可能であり、酸素等に対する安定性の低い生理活性物質を含有させてもよい。また、拡張時には、屈曲部22は、確実に変形するため、ポリマー27も確実に変形し、含有する生理活性物質を良好に放出可能である。また、屈曲部21は、圧縮時に変形するため、被覆ポリマーも圧縮時に変形するため、含有する生理活性物質としては、比較的酸素等に対する安定性の高い生理活性物質を含有させることが好ましい。
そして、生理活性物質を含有するポリマーは、生分解性ポリマーであることが好ましい。生分解性ポリマーとしては、生体内で酵素的、非酵素的に分解され、分解物が毒性を示さないものであれば特に限定されないが、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸−ポリカプロラクトン共重合体、ポリオルソエステル、ポリホスファゼン、ポリリン酸エステル、ポリヒドロキシ酪酸、ポリリンゴ酸、ポリα−アミノ酸、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、ヘパラン硫酸、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ポリペプチド、キチン、キトサンなどが使用できる。
【0032】
また、ステントは、ポリマーとの接着性を高めるために、外面を表面処理してもよい。表面処理としては、親和性の高い材料をプライマーとして表面に被覆する方法がある。プライマー材料としては、種々のものが使用可能であるが、最も好ましいものは加水分解性基と有機官能基とを有するシランカップリング剤である。シランカップリング剤の加水分解性基(たとえばアルコキシ基)の分解により生成したシラノール基は金属製の易変形部の接合部分(自由端部分)の表面と化学結合等により結合され、シランカップリング剤の有機官能基(例えばエポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、メタクリロキシ基)は、生理活性物質を含有するポリマーと化学結合により結合することができる。具体的なシランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤以外のプライマー材料としては、例えば有機チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、クロム系カップリング剤、有機リン酸系カップリング剤、ポリパラキシレン等の有機蒸着膜、シアノアクリレート系接着剤、ポリウレタン系のペーストレジン等が挙げられる。なお、プライマーを用いなくてもよい。
【0033】
また、ポリマー27,28が含有する生理活性物質としては、内膜肥厚を抑制する物質、抗癌剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、抗高脂血症剤、抗炎症剤、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイドおよびカロチノイド、脂質改善薬、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、抗炎症薬、生体由来材料、インターフェロン、NO産生促進物質および遺伝子工学により生成される上皮細胞などが使用される。そして、上記の物質等の2種以上の混合物を使用してもよい。
抗癌剤としては、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、イリノテカン、ピラルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、メトトレキサート等が好ましい。免疫抑制剤としては、例えば、シロリムス、タクロリムス、アザチオプリン、シクロスポリン、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、グスペリムス、ミゾリビン等が好ましい。抗生物質としては、例えば、マイトマイシン、アドリアマイシン、ドキソルビシン、アクチノマイシン、ダウノルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシン、エピルビシン、ペプロマイシン、ジノスタチンスチマラマー等が好ましい。抗リウマチ剤としては、例えば、メトトレキサート、チオリンゴ酸ナトリウム、ペニシラミン、ロベンザリット等が好ましい。抗血栓薬としては、例えば、ヘパリン、アスピリン、抗トロンビン製剤、チクロピジン、ヒルジン等が好ましい。HMG−CoA還元酵素阻害剤としては、例えば、セリバスタチン、セリバスタチンナトリウム、アトルバスタチン、ニスバスタチン、イタバスタチン、フルバスタチン、フルバスタチンナトリウム、シンバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン等が好ましい。ACE阻害剤としては、例えば、キナプリル、ペリンドプリルエルブミン、トランドラプリル、シラザプリル、テモカプリル、デラプリル、マレイン酸エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル等が好ましい。カルシウム拮抗剤としては、例えば、ニフェジピン、ニルバジピン、ジルチアゼム、ベニジピン、ニソルジピン等が好ましい。抗高脂血症剤としては、例えば、プロブコールが好ましい。抗アレルギー剤としては、例えば、トラニラストが好ましい。レチノイドとしては、例えば、オールトランスレチノイン酸、フラボノイドおよびカロチノイドとしては、例えば、カテキン類、特にエピガロカテキンガレート、アントシアニン、プロアントシアニジン、リコピン、β−カロチン等が好ましい。チロシンキナーゼ阻害剤としては、例えば、ゲニステイン、チルフォスチン、アーブスタチン等が好ましい。抗炎症剤としては、例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン等のステロイドが好ましい。生体由来材料としては、例えば、EGF(epidermal growth factor)、VEGF(vascular endothelial growth factor)、HGF(hepatocyte growth factor)、PDGF(platelet derived growth factor)、bFGF(basic fibroblast growth factor)等が好ましい。
【0034】
特に、圧縮時に変形せずかつバルーンの拡張時に変形する屈曲部22を被覆するポリマー27が含有する生理活性物質としては、抗癌剤、免疫抑制剤、レチノイド、フラボノイド、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤などが好ましい。
また、圧縮時に変形した屈曲部21を被覆するポリマー28が含有する生理活性物質としては、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、抗高脂血症薬、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、カロチノイド、脂質改善薬、抗血小板薬、抗炎症薬、生体由来材料、インターフェロン、NO産生促進物質などが好ましい。
【符号の説明】
【0035】
1 生体器官拡張器具
2 バルーンカテーテル
3 バルーン
10 ステント
21,22 屈曲部
27,28 ポリマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンを備えるバルーンカテーテルと、前記バルーン上に圧縮されることにより装着されたステントとを備える生体器官拡張器具であって、前記ステントは、前記圧縮時に変形した複数の屈曲部と前記圧縮時に実質的に変形していない複数の屈曲部を備え、かつ、前記バルーンの拡張時に前記ステントは、前記圧縮時に実質的に変形していない屈曲部が、前記圧縮時に変形した屈曲部に比べて大きく変形することにより、拡張状態となるものであることを特徴とする生体器官拡張器具。
【請求項2】
前記圧縮時に変形した屈曲部は、前記バルーン上への装着前において拡径しかつ高強度の波状要素が保有するものであり、前記圧縮時に実質的に変形していない屈曲部は、前記バルーン上への装着前において拡径していない低強度の波状要素が保有するものであり、前記バルーン上への装着時に、前記高強度の波状要素のみが変形し縮径し、前記バルーンの拡張による前記ステントの拡張時には、前記低強度の波状要素が初めに変形し拡張するものである請求項1に記載の生体器官拡張器具。
【請求項3】
前記ステントは、該ステントの周方向に延びかつ複数の屈曲部を有する波状環状要素を備え、前記波状要素は、軸方向に長い波と、前記軸方向に長い波に比べて軸方向長が短い波をそれぞれ複数有し、前記圧縮時に実質的に変形していない屈曲部は、前記長い波部間に位置し、前記圧縮時に変形した屈曲部は、前記短い波部間に位置している請求項1に記載の生体器官拡張器具。
【請求項4】
前記低強度の波状要素の軸方向長さは、前記高強度の波状要素の軸方向長さよりも長いものである請求項2に記載の生体器官拡張器具。
【請求項5】
前記低強度の波状要素の線幅または肉厚は、前記高強度の波状要素の線幅または肉厚よりも小さいものである請求項2に記載の生体器官拡張器具。
【請求項6】
前記圧縮時に実質的に変形していない屈曲部には、生理活性物質を含むポリマーが被覆されている請求項1ないし5のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
【請求項7】
前記圧縮時に変形した前記屈曲部には、生理活性物質を含むポリマーが被覆されている請求項1ないし6のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
【請求項8】
前記圧縮時に実質的に変形していない屈曲部に被覆されたポリマーが含有する生理活性物質と、前記圧縮時に変形した前記屈曲部に被覆されたポリマーが含有する生理活性物質とは、異なる生理活性物質である請求項7に記載の生体器官拡張器具。
【請求項9】
前記ステントは、所定の線幅を有する線状体により形成され、前記ステントの軸方向の一端側に頂点を有する複数の一端側屈曲部および前記ステントの軸方向の他端側に頂点を有する複数の他端側屈曲部を有する複数の環状体と、隣り合う前記環状体を接続する接続部とを備えるものである請求項1ないし8のいずれかに記載の生体器官拡張器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−72393(P2011−72393A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224963(P2009−224963)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】