説明

生体情報の登録装置または照合装置

【課題】 生体画像を取得し、該取得した生体画像の画像品質が確認され、所定の画像品質を満足する生体画像の登録の可否が判定され、登録可とされた生体画像について、該生体画像の特徴を抽出して登録する生体情報の登録装置において、登録管理者が生体画像をチェックする場合に、その生態画像が盗撮されても、その盗撮された生体画像が不正行為に供される危険性を排除すること。
【解決手段】 画像分割手段3-2は、上記所定の画像品質を満足する生体画像を所定の規則に基づいて部分画像に分割し、表示部分決定手段3-3は、該画像分割手段3-2が分割した部分画像の中から上記画像の登録の可否判定に供し、登録可否判定結果受入れ手段3-4は、該表示部分決定手段3-3が決定した部分画像について上記登録の可否判定結果を受入れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虹彩、指紋等、生体情報の登録装置または照合装置、特に生体情報の盗撮防止機能を有する生体情報の登録装置、又は照合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、虹彩、指紋等の生体情報を用いた個人認証システムは、あらゆる分野において採用されつつある。それに伴って、生体情報の盗撮、盗用、偽造等に基づく不正行為の発生も多くなりつつある。これら不正行為の防止策は、大きな技術的課題になっている。かかる技術的課題を解決するためのアルゴリズムの改善や、生体情報の精度向上を図る技術開発も進んでいる(特許文献1)。しかし、生体情報の偽造が巧妙化しており、アルゴリズムの改善や、生体情報の精度向上のみでは、目的を達成することが、困難になっている。
【0003】
一方、特殊なコンタクトレンズの普及等によって、登録に適さない生体画像を取得する場合が多くなりつつある。そこで、通常の個人認証システムでは、生体情報の登録時において、所定の画像品質を満足する生体画像がコンピュータの画面上に表示され、専門の管理者が、この生体画像の登録の可否について目視判定し、特殊なコンタクトレンズが着用されている生体画像等の登録を排除している。
【0004】
かかる目視判定では、登録管理者が生体画像をチェックし易くするために、取得された生体画像がそのままの形態で拡大して表示される。従って、その生体画像は、カメラ等によって盗撮者に盗撮される危険が伴う。又、何らかの事情によって、画像がコンピュータの画面上に表示されたまま放置された場合等には、不正利用者によって画像のディジタルデータそのものが盗用される危険が伴う。
【特許文献1】特開2004−362619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、従来の目視判定では、撮影された画像がそのままの形態で拡大して表示される。従って、その生体画像は、カメラ等によって盗撮者に盗撮される危険が伴い、又、何らかの事情によって、画像がコンピュータの画面上に表示されたまま放置された場合等には、不正利用者によって画像のディジタルデータそのものが盗用される危険が伴う点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、生体画像を取得し、該取得した生体画像の画像品質が確認され、所定の画像品質を満足する生体画像の登録の可否が判定され、登録可とされた生体画像について、該生体画像の特徴を抽出して登録する生体情報の登録装置であって、上記所定の画像品質を満足する生体画像を所定の規則に基づいて部分画像に分割する画像分割手段と、該画像分割手段が分割した部分画像の中から上記画像の登録の可否判定に供する部分画像を決定する表示部分決定手段と、該表示部分決定手段が決定した部分画像について上記登録の可否判定結果を受入れる登録可否判定結果受入れ手段とを備えることを特徴とする。
第2の発明は、生体画像を取得し、該取得した生体画像の画像品質が確認され、所定の画像品質を満足する生体画像の照合の可否が判定され、照合可とされた生体画像について、個人認証を行う生体情報の照合装置であって、上記所定の画像品質を満足する生体画像を所定の規則に基づいて部分画像に分割する画像分割手段と、該画像分割手段が分割した部分画像の中から上記画像の照合の可否判定に供する部分画像を決定する表示部分決定手段と、該表示部分決定手段が決定した部分画像について上記照合の可否判定結果を受入れる照合可否判定結果受入れ手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
登録管理者が生体画像をチェックする場合に、撮影された画像がそのままの形態で表示されることなく、画像分割手段によって所定の規則に基づいて分割された部分画像のみが表示される。従って、盗撮されても、その盗撮された生体画像のみでは不正行為に供される危険性が大幅に減少するという効果を得る。更に、表示部分決定手段が乱数演算の演算結果に基づいて画像の登録の可否判定に供する部分画像を決定するので表示箇所が特定されなくなり、より一層不正行為が行なわれる危険性が減少するという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記画像分割手段、上記表示部分決定手段、及び、上記登録可否判定結果受入れ手段の全てを、装置内部に備える装置全体を制御するCPU(中央演算処理装置)が、予め所定のROM(リードオンリメモリ)に格納されている所定の制御プログラムを実行することによって起動されるコンピュータ制御手段によって構成した。
【実施例1】
【0009】
図1は、実施例1による生体情報登録装置の構成ブロック図である。
図に示すように実施例1による生体情報登録装置100は、画像取得部1と、操作部2と、品質確認部3と、特徴抽出部4と、入出力インタフェース部5と、CPU6、ROM7と、RAM8とを備える。以下に生体情報を一例として虹彩に限定して説明する。
【0010】
画像取得部1は、登録者から虹彩画像を取得する部分であり、その内部に生体撮影手段1-1と、機構制御手段1-2とを有している。生体撮影手段1-1は、カメラを有し、所定の照度の基に登録者の虹彩を撮影する手段である。機構制御手段1-2は、登録者の目の位置、向き、照明灯の照度等を修正し、所定の画像品質を得るための手段である。この機構制御手段1-2は、品質確認部3によって、登録管理者による判定結果に基づいて帰還制御される。無論、登録者希望者が自分で制御しても良い。
【0011】
操作部2は、登録管理者と生体情報登録装置100との間でマン・マシンインタフェースの役割を分担する部分であり、その内部に画像表示手段2-1と、入力操作手段2-2とを有している。
【0012】
画像表示手段2-1は、品質確認部3の指示に基づいて、虹彩画像を表示するディスプレイである。又、CPU6の直接制御に基づいて装置全体の稼動情報、不都合発生情報などを表示する手段でもある。
【0013】
入力操作手段2-2は、画像表示手段2-1に表示される画像に基づいて登録管理者が自己の判定結果を入力して品質確認部3へ通知する手段であり、液晶表示板、キーボードスイッチ等が用いられる。また、装置全体の稼動情報、不都合発生情報等に対する登録管理者の対応処理を入力し、登録管理者によるCPU6の直接制御を可能にする手段でもある。
【0014】
品質確認部3は、画像取得部1によって取得された虹彩画像、又は、画像に関するデータを画像表示手段2-1に表示し、登録管理者に対して画像品質を確認させ、更に、所定の画像品質を満足する虹彩画像について、その虹彩画像を生体情報として登録しても良いか否かの判定を求め、その判定結果を受入れる部分である。その内部に画像品質合否受入れ手段3-1と、画像分割手段3-2と、表示部分決定手段3-3と、登録可否判定受入れ手段3-4とを有する。
【0015】
画像品質合否受入れ手段3-1は、画像取得部1によって取得された虹彩画像、又は画像に関するデータを画像表示手段2-1に表示し、登録管理者による画像品質の合否判定を入力操作手段2-2を介して受入れる手段である。ここで画像品質とは、例えば画像の大きさ(登録者の目の位置)、目の向き、瞼の開き具合、画面の明るさ(照明灯の照度)、反射光の大きさ・・・等、以後に進行する虹彩画像の登録の可否判定の対象画像となりうるか否かの品質状態を言う。ここでは、取得された虹彩画像を必ずしも画像表示手段2-1に表示させる必要はなく、画像に関するデータチェックのみで行っても良い。取得された虹彩画像を画像表示手段2-1に表示させる場合であっても、上記項目のチェックには虹彩画像の特徴が現れる程精密で、且つ拡大された画像は必要とされない。従って本発明では、盗撮の対象として考慮していない。
【0016】
画像分割手段3-2は、所定の画像品質を満足する虹彩画像を所定の規則に基づいて部分画像に分割する手段である。
図2は、画像分割手段の説明図である。
(a)は、虹彩画像の全体像であり、(b)は、分割規則の1例を表わす図である。
【0017】
図に示すように画像分割手段3-2は、虹彩画像の全体像(a)を(b)に示すように4分割(一例)する手段である。虹彩画像全体10aを画面上に表示することは、虹彩画像が盗撮され不正行為に供される可能性が大きくなる。10a-1〜10a-4は、虹彩画像を4つの部分画像に分割した場合を表している。ここでは、虹彩の中心となる虹彩中心10a-5を中心にして時計回りに4個の長方形を使用する部分画像として定義(上記所定の規則)している。
【0018】
このような処理は、虹彩画像の場合には、虹彩部分の検出過程で虹彩中心10a-5や、虹彩半径等の情報が得られることから、適切な矩形の切り出しが可能である。また、指紋画像等の場合においても、その生体画像を取得する過程において得られる各種の情報から適切な部分の定義が可能になる。更に、取得された虹彩画像の登録の可否判定は、該虹彩画像の一部分の目視によって、可能であるという経験則に基づいている。
【0019】
図1に戻って、表示部分決定手段3-3は、画像分割手段3-2が分割した部分画像の中から画像の登録の可否判断に供する部分画像を決定する手段である。この決定は、乱数を用いて決定される。ここでは、1例として、4個の部分画像の中から1個選択されるものとしているが、必ずしもこの例に従う必要はない、例えば4個の部分画像の中から2個選択されても良い。
【0020】
登録可否判定受入れ手段3-4は、表示部分決定手段3-3によって決定された部分画像を画像表示手段2-1に表示させ、登録管理者に対して、目視判定に基づく登録の可否判定を求め、その判定結果を受入れる手段である。ここで目視判定に基づく登録の可否判定の一例について説明する。
【0021】
図3は、登録可否判定受入れ手段の説明図である。
(a)は、虹彩画像の全体像を表し、(b)は、部分画像(ブロックNo4)を表し、(c)は、部分画像(ブロックNo2)を表している。実際の動作中では、どちらか一方が表示される。
【0022】
(b)及び(c)に示すように、この図では、虹彩と瞳孔の境界部分に歯車状の縞模様が見られる。この縞模様から、登録管理者の経験則に基づいて、登録希望者がカラーコンタクトを装着しているものと判断される。かかる場合には、登録画像として適当ではないので、登録管理者は、登録否と判定し、入力操作手段2-2(図1)を介して、登録可否判定受入れ手段3-4に、登録否の判定を通知する。
【0023】
図1に戻って、特徴抽出部4は、虹彩画像の画像品質が確認され、所定の画像品質を満足する虹彩画像の登録の可否が判定され、登録可とされた虹彩画像について、該虹彩画像の特徴(生体情報)を抽出する部分である。
入出力インタフェース部5は、特徴抽出部4によって抽出された虹彩画像の特徴(生体情報)をネットワーク40を介してデータベース50に送信して登録する部分である。
【0024】
CPU6は、装置全体を制御する中央演算処理装置である。特に本実施例では、ROM7に予め格納されている制御プログラムを実行することによって、画像取得部1、品質確認部3、特徴抽出部4、及び入出力インタフェース部5をコンピュータ制御手段として起動する部分である。
【0025】
ROM7は、CPU6が実行することによって装置全体を制御するための制御プログラムと制御データ、及びCPU6が実行することによって画像取得部1、品質確認部3、特徴抽出部4、及び入出力インタフェース部5を起動するための制御プログラムと制御データを予め格納するリードオンリメモリである。
【0026】
RAM8は、CPU6が、上記各種制御プログラムを実行中に必要になる演算領域を提供するランダムアクセスメモリである。
共通バス9は、各部分を接続する信号通路である。
【0027】
次に実施例1による生体情報登録装置の動作について説明する。
図4は、実施例1の動作を示すフローチャートである。
ステップS1-1からステップS1-10まで、ステップ順に説明する。
【0028】
ステップS1-1
生体撮影装置(画像取得部1(図1))は初期化され、動作可能になる。
ステップS1-2
画像取得部1(図1)は虹彩画像(生体情報)を撮影する。
【0029】
ステップS1-3
画像品質合否受入れ手段3-1(図1)は、画像取得部1(図1)によって取得された虹彩画像を受入れて、画像表示手段2-1(図1)を介し、登録管理者に対して画像品質の合否判定の入力を求める。ここで画像品質とは、上記のように、例えば画像の大きさ(登録者の目の位置)、目の向き、瞼の開具合、画面の明るさ(照明灯の照度)、反射光の大きさ・・・等、以後に進行する虹彩画像の登録の可否判定の対象となりうるか否かの品質状態を言う。ここでは、取得された虹彩画像を必ずしも画像表示手段2-1(図1)に表示させる必要はなく、データチェックのみで行っても良い。取得された虹彩画像を画像表示手段2-1(図1)に表示させる場合であっても、上記項目のチェックには虹彩画像の特徴が現れる程精密な画像は必要とされない。
【0030】
ステップS1-4
登録管理者が、入力操作手段2-2(図1)を介して画像品質の不合格判定を入力すると、画像品質合否受入れ手段3-1(図1)は、画像取得部1(図1)に対して、ステップS1-2、及びステップS1-3を繰返して実行させる。登録管理者が、入力操作手段2-2(図1)を介して画像品質の合格判定を入力すると、画像品質合否受入れ手段3-1(図1)は、フローをステップS1-5へ進ませる。
【0031】
ステップS1-5
画像分割手段3-2(図1)は、ステップS1-4において合格判定された虹彩画像を所定の規則に基づいて部分画像に分割する。ここでは図2のように虹彩の中心となる虹彩中心10a-5を中心にして時計回りに4個の長方形を使用する部分画像として10a-1〜10a-3に4分割する。続いて、表示部分決定手段3-3(図1)は、4個の部分画像の中から1個選択する。ここでは乱数演算の演算結果に基づいて図3の部分画像(ブロックNo2)が選択されたものとする。
【0032】
ステップS1-6
登録可否判定受入れ手段3-4(図1)は、画像表示手段2-1(図1)に指示し、図3の部分画像(ブロックNo2)を切り出す。
【0033】
ステップS1-7
登録可否判定受入れ手段3-4(図1)は、画像表示手段2-1(図1)に指示し、図3の部分画像(ブロックNo2)を拡大表示させ、登録管理者に対して、取得した虹彩画像の登録の可否判定を求める。
【0034】
ステップS1-8
登録管理者は、画像表示手段2-1(図1)に表示された部分画像(ブロックNo2)を目視して登録の可否判定を行う。一例として図3(c)に示すように、虹彩と瞳孔の境界部分に歯車状の縞模様が見られたとする。この縞模様から、登録管理者の経験則に基づいて、登録者がカラーコンタクトを装着しているものと判断し、登録否と判定してステップS1-9へ進む。かかる問題を検出できなかった場合には、登録合と判定してステップS1-10へ進む。
【0035】
ステップS1-9
画像取得部1(図1)は虹彩画像の撮影を終了しフローを終了する(登録失敗)。
ステップS1-10
特徴抽出部4(図1)は、虹彩画像から生体情報(虹彩画像の特徴)を抽出し、入出力インタフェース部5(図1)はネットワーク40(図1)を介してデータベース50(図1)へ生体情報(虹彩画像の特徴)を登録してフローを終了する(登録成功)。
【0036】
以上説明したように、本実施例では、登録管理者が生体情報をチェックする場合に、撮影された画像は、そのままの形態で表示されることなく、画像分割手段によって所定の規則に基づいて分割された部分画像のみが表示されるので、盗撮等によって不正行為が行なわれる危険性が大幅に減少するという効果を得る。更に、表示部分決定手段が乱数演算の演算結果に基づいて画像の登録の可否判定に供する部分画像を決定するので表示箇所が特定されなくなり、より一層不正行為が行なわれる危険性が減少するという効果を得る。
【0037】
上記説明では、生体情報を虹彩のみに限定して説明したが本発明は、この例に限定されるものではない。即ち、指紋等、他の生体情報の登録装置に対しても全く同様に適用できる。又、上記実施例1におけるステップS1-1からステップS1-8までの動作は、上記生体情報の登録装置のみならず、照合装置に適用することも可能である。但し、照合装置に適用する場合には、虹彩画像を履歴情報として保存し、定期的に判定するなど、若干の内容変更が伴う。
【実施例2】
【0038】
図5は、実施例2による生体情報登録装置の構成ブロック図である。
図に示すように実施例2による生体情報登録装置200は、画像取得部1と、操作部2と、品質確認部21と、特徴抽出部4と、入出力インタフェース部5と、CPU22、ROM23と、RAM8とを備える。以下に実施例1との相違部分のみについて説明する。実施例1と同様の部分については、実施例1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
品質確認部21は、画像取得部1によって取得された虹彩画像、又は、画像に関するデータを画像表示手段2-1に表示し、登録管理者に対して画像品質を確認させ、所定の画像品質を満足する虹彩画像について、その虹彩画像を生体情報として登録しても良いか否かの判定を求め、その判定結果を受入れる部分である。その内部に画像品質合否受入れ手段3-1と、画像分割手段3-2と、表示部分決定手段3-3と、登録可否判定受入れ手段3-4と、登録不適可能性強調手段21-1を有する。
【0040】
登録不適可能性強調手段21-1は、画像取得部1によって取得された虹彩画像をソフト処理することによって登録不適可能性のある部分を検出し、その登録不適箇所を強調し、登録管理者が目視判定し易くする手段である。ソフト処理によって例えば次のような現象が検出された場合に実行される。
(1)人間の瞳孔は光を吸収するため本来は黒くなっている筈であるにもかかわらず、虹彩部分から伸びる線(直線ないし曲線)が、瞳孔部分にはみ出している箇所が存在している場合、
(2)虹彩の内側から外側に及ぶ長い連続した同一輝度の線分が存在している場合、
(3)虹彩内部に同一間隔の斑点模様が規則的に並んでいる場合、等である。
かかる現象がソフト処理によって検出された場合には、人間の目とは異なるパターン部分を別の色で着色する。
【0041】
図6は、登録不適可能性強調手段の説明図である。
(a)は、カラーコンタクトが縞模様の場合を表しており、青色で着色することによって縞模様が強調されている。又、(b)は、カラーコンタクトが斑点模様の場合を表しており、赤色で着色することによって斑点模様が強調されることになる。
【0042】
CPU22は、装置全体を制御する中央演算処理装置である。特に本実施例では、ROM23に予め格納されている制御プログラムを実行することによって、画像取得部1、品質確認部21、特徴抽出部4、及び入出力インタフェース部5をコンピュータ制御手段として起動する部分である。
【0043】
ROM23は、CPU22が実行することによって装置全体を制御するための制御プログラムと制御データ、及びCPU22が実行することによって画像取得部1、品質確認部21、特徴抽出部4、及び入出力インタフェース部5を起動するための制御プログラムと制御データを予め格納するリードオンリメモリである。
他の部分は、実施例1と同様なので説明を省略する。
【0044】
次に実施例2による生体情報登録装置の動作について説明する。
図7は、実施例2の動作を示すフローチャートである。
ステップS2-1からステップS2-11まで、ステップ順に説明する。
【0045】
ステップS2-1
生体撮影装置(画像取得部1(図5))は初期化され、動作可能になる。
ステップS2-2
画像取得部1(図5)は虹彩画像(生体情報)を撮影する。
【0046】
ステップS2-3
画像品質合否受入れ手段3-1(図5)は、画像取得部1(図5)によって取得された虹彩画像を受入れて、画像表示手段2-1(図5)を介し、登録管理者に対して画像品質の合否判定の入力を求める。ここで画像品質とは、上記のように、例えば画像の大きさ(登録者の目の位置)、目の向き、瞼の開き具合、画面の明るさ(照明灯の照度)、反射光の大きさ・・・等、以後に進行する虹彩画像の登録の可否判定の対象となりうるか否かの品質状態を言う。ここでは、取得された虹彩画像を必ずしも画像表示手段2-1(図5)に表示させる必要はなく、データチェックのみで行っても良い。取得された虹彩画像を画像表示手段2-1(図5)に表示させる場合であっても、上記項目のチェックには虹彩画像の特徴が現れる程精密な画像は必要とされない。
【0047】
ステップS2-4
登録管理者が、入力操作手段2-2(図5)を介して画像品質の不合格判定を入力すると、画像品質合否受入れ手段3-1(図5)は、画像取得部1に対して、ステップS2-2、及びステップS2-3を繰返して実行させる。登録管理者が、入力操作手段2-2(図5)を介して画像品質の合格判定を入力すると、画像品質合否受入れ手段3-1(図5)は、フローをステップS2-5へ進ませる。
【0048】
ステップS2-5
画像分割手段3-2(図5)は、ステップS2-4において合格判定された虹彩画像を所定の規則に基づいて部分画像に分割する。ここでは図2のように虹彩の中心となる虹彩中心10a-5を中心にして時計回りに4個の長方形を使用する部分画像として10a-1〜10a-3に4分割する。続いて、表示部分決定手段3-3(図5)は、4個の部分画像の中から1個選択する。ここでは乱数演算の演算結果に基づいて図3の部分画像(ブロックNo2)が選択されたものとする。
【0049】
ステップS2-6
登録可否判定受入れ手段3-4(図5)は、画像表示手段2-1(図5)に指示し、図3の部分画像(ブロックNo2)を切り出す。
【0050】
ステップS2-7
登録不適可能性強調手段21-1(図5)は、画像取得部1(図5)によって取得された虹彩画像をソフト処理することによって登録不適可能性のある部分を検出した場合には、その登録不適箇所を強調し登録管理者が目視判定し易くする。
【0051】
ステップS2-8
登録可否判定受入れ手段3-4(図5)は、画像表示手段2-1(図5)に指示し、図3の部分画像(ブロックNo2)を拡大表示させ、登録管理者に対して、取得した虹彩画像の登録の可否判定を求める。
【0052】
ステップS2-9
登録管理者は、画像表示手段2-1(図5)に表示された部分画像(ブロックNo2)を目視して登録の可否判定を行う。一例として図6(a)に示すように、青色で着色することによって縞模様が強調されている。この縞模様から、登録管理者の経験則に基づいて、登録者がカラーコンタクトを装着しているものこと判断した場合には、登録否と判定してステップS2-10へ進む。かかる問題を検出できなかった場合には、登録合と判定してステップS2-11へ進む。
【0053】
ステップS2-10
画像取得部1(図5)は虹彩画像の撮影を終了しフローを終了する(登録失敗)。
ステップS2-11
特徴抽出部4(図5)は、虹彩画像から生体情報(虹彩画像の特徴)を抽出し、入出力インタフェース部5(図5)はネットワーク40(図5)を介してデータベース50(図5)へ生体情報(虹彩画像の特徴)を登録してフローを終了する(登録成功)。
【0054】
以上説明したように、本実施例では、登録不適可能性強調手段を備え、登録不適可能性箇所を強調しているので、実施例1の効果に加えて、登録管理者の判断を容易にすることが出来るという効果を得る。又、登録不適可能性強調手段は、単に登録不適可能性箇所を強調するのみであって、判断はあくまで登録管理者によって実行されるので、ソフト処理によって、誤まって強調がなされた場合であっても登録管理者によって修正可能であるという効果をえる。
【0055】
上記説明では、生体情報を虹彩のみに限定して説明したが本発明は、この例に限定されるものではない。即ち、指紋等、他の生体情報の登録装置に対しても全く同様に適用できる。又、上記実施例2におけるステップS2-1からステップS2-9までの動作は、そのまま、生体情報の照合装置に適用することも可能である。但し、照合装置に適用する場合には、虹彩画像を履歴情報として保存し、定期的に判定するなど、若干の内容変更が伴う。
【実施例3】
【0056】
図8は、実施例3による生体情報登録装置の構成ブロック図である。
図に示すように実施例3による生体情報登録装置300は、画像取得部1と、操作部2と、品質確認部31と、特徴抽出部4と、入出力インタフェース部5と、CPU32、ROM33と、RAM8とを備える。以下に実施例1または実施例2との相違部分のみについて説明する。実施例1または実施例2と同様の部分については、実施例1または実施例2と同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
品質確認部31は、画像取得部1によって取得された虹彩画像、又は、画像に関するデータを画像表示手段2-1に表示し、登録管理者に対して画像品質を確認させ、所定の画像品質を満足する虹彩画像について、その虹彩画像を生体情報として登録しても良いか否かの判定を求め、その判定結果を受入れる部分である。その内部に画像品質合否受入れ手段3-1と、画像分割手段3-2と、表示部分決定手段3-3と、登録可否判定受入れ手段3-4と、登録不適可能性強調手段21-1と、表示部分の位置明示手段31-1を有する。
【0058】
表示部分の位置明示手段31-1は、表示部分として拡大表示されている部分画像が目のどの位置に相当するかを、画像表示手段2-1に指示して画像として明示する手段である。
図9は、表示部分の位置明示手段の説明図である。
(a)は、表示部分の位置明示手段31-1によって、画像表示手段2-1に表示される画像であり、(b)は、実施例1または実施例2と同様に登録可否判定受入れ手段3-4によって、画像表示手段2-1に表示される画像である。両者は同一画面上に表示される。これらの表示によって登録可否判定受入れ手段3-4によって画像表示手段2-1に表示される部分画像は目のどの位置に相当しているかが明白になる。
【0059】
図8に戻って、CPU32は、装置全体を制御する中央演算処理装置である。特に本実施例では、ROM33に予め格納されている制御プログラムを実行することによって、画像取得部1、品質確認部31、特徴抽出部4、及び入出力インタフェース部5をコンピュータ制御手段として起動する部分である。
【0060】
ROM33は、CPU32が実行することによって装置全体を制御するための制御プログラムと制御データ、及びCPU32が実行することによって画像取得部1、品質確認部31、特徴抽出部4、及び入出力インタフェース部5を起動するための制御プログラムと制御データを予め格納するリードオンリメモリである。
他の部分は、実施例1または実施例2と同様なので説明を省略する。
【0061】
次に実施例3による生体情報登録装置の動作について説明する。
図10は、実施例3の動作を示すフローチャートである。
ステップS3-1からステップS3-12まで、ステップ順に説明する。
【0062】
ステップS3-1
生体撮影装置(画像取得部1(図8))は初期化され、動作可能になる。
ステップS3-2
画像取得部1(図8)は虹彩画像(生体情報)を撮影する。
【0063】
ステップS3-3
画像品質合否受入れ手段3-1(図8)は、画像取得部1(図8)によって取得された虹彩画像を受入れて、画像表示手段2-1(図8)を介し、登録管理者に対して画像品質の合否判定の入力を求める。ここで画像品質とは、上記のように、例えば画像の大きさ(登録者の目の位置)、目の向き、瞼の開具合、画面の明るさ(照明灯の照度)、反射光の大きさ・・・等、以後に進行する虹彩画像の登録の可否判定の対象となりうるか否かの品質状態を言う。ここでは、取得された虹彩画像を必ずしも画像表示手段2-1(図8)に表示させる必要はなく、データチェックのみで行っても良い。取得された虹彩画像を画像表示手段2-1(図8)に表示させる場合であっても、上記項目のチェックには虹彩画像の特徴が現れる程精密な画像は必要とされない。
【0064】
ステップS3-4
登録管理者が、入力操作手段2-2(図8)を介して画像品質の不合格判定を入力すると、画像品質合否受入れ手段3-1(図8)は、画像取得部1(図8)に対して、ステップS3-2、及びステップS3-3を繰返して実行させる。登録管理者が、入力操作手段2-2(図8)を介して画像品質の合格判定を入力すると、画像品質合否受入れ手段3-1(図8)は、フローをステップS3-5へ進ませる。
【0065】
ステップS3-5
画像分割手段3-2(図8)は、ステップS3-4において合格判定された虹彩画像を所定の規則に基づいて部分画像に分割する。ここでは図2のように虹彩の中心となる虹彩中心10a-5を中心にして時計回りに4個の長方形を使用する部分画像として10a-1〜10a-3に4分割する。続いて、表示部分決定手段3-3(図8)は、4個の部分画像の中から1個選択する。ここでは乱数演算の演算結果に基づいて図3の部分画像(ブロックNo2)が選択されたものとする。
【0066】
ステップS3-6
登録可否判定受入れ手段3-4(図8)は、画像表示手段2-1(図8)に指示し、図3の部分画像(ブロックNo2)を切り出す。
【0067】
ステップS3-7
表示部分の位置明示手段31-1は、表示部分として決定されている部分画像が目のどの位置に相当するかを、画像表示手段2-1に指示して画像として明示する(図9(a))。
【0068】
ステップS3-8
登録不適可能性強調手段21-1(図8)は、画像取得部1(図8)によって取得された虹彩画像をソフト処理することによって登録不適可能性のある部分を検出し、その登録不適可能性箇所を強調し登録管理者が目視判定し易くする。
【0069】
ステップS3-9
登録可否判定受入れ手段3-4(図8)は、画像表示手段2-1(図8)に指示し、図3の部分画像(ブロックNo2)を拡大表示させ、登録管理者に対して、取得した虹彩画像の登録の可否判定を求める。
【0070】
ステップS3-10
登録管理者は、画像表示手段2-1(図8)に表示された部分画像(ブロックNo2)を目視して登録の可否判定を行う。一例として図6(a)に示すように、青色で着色することによって縞模様が強調されている。この縞模様から、登録管理者の経験則に基づいて、登録者がカラーコンタクトを装着しているものと判断した場合には、登録否と判定してステップS3-11へ進む。かかる問題を検出できなかった場合には、登録合と判定してステップS3-12へ進む。
【0071】
ステップS3-11
画像取得部1(図8)は虹彩画像の撮影を終了しフローを終了する(登録失敗)。
ステップS3-12
特徴抽出部4(図8)は、虹彩画像から生体情報(虹彩画像の特徴)を抽出し、入出力インタフェース部5(図8)はネットワーク40(図8)を介してデータベース50(図8)へ生体情報(虹彩画像の特徴)を登録してフローを終了する(登録成功)。
【0072】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例2に加えて、登録不適可能性箇所が実際の目のどの部分に相当しているかを視覚的に表示するので、実施例2の効果に加えて、登録管理者が登録不適可能性があると判断した際に、登録希望者の目を実際に確認する際の確認作業を容易にすることが出来るという効果を得る。
【0073】
上記説明では、生体情報を虹彩のみに限定して説明したが本発明は、この例に限定されるもりではない。即ち、指紋等、他の生体情報の登録装置に対しても全く同様に適用できる。又、上記実施例2におけるステップS3-1からステップS3-9までの動作は、生体情報の照合装置に適用することも可能である。但し、照合装置に適用する場合には、虹彩画像を履歴情報として保存し、定期的に判定するなど、若干の内容変更が伴う。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上の説明では、本発明を虹彩情報を用いる生体情報登録装置または照合装置に適用する場合についてのみ説明したが、本発明は、この例に限定されるものでは無い。即ち、指紋等、他の生体情報を用いる生体情報登録装置または照合装置に対しても同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施例1による生体情報登録装置の構成ブロック図である。
【図2】画像分割手段の説明図である。
【図3】登録可否判定受入れ手段の説明図である。
【図4】実施例1の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施例2による生体情報登録装置の構成ブロック図である。
【図6】登録不適可能性強調手段の説明図である。
【図7】実施例2の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施例3による生体情報登録装置の構成ブロック図である。
【図9】表示部分の位置明示手段の説明図である。
【図10】実施例3の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1 画像取得部
1-1 生体撮影手段
1-2 機構制御手段
2 操作部
2-1 画像表示手段
2-2 入力操作手段
3 品質確認部
3-1 画像品質合否受入れ手段
3-2 画像分割手段
3-3 表示部分決定手段
3-4 登録可否判定受入れ手段
4 特徴抽出部
5 入出力インタフェース部
6 CPU
7 ROM
8 RAM
9 共通バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体画像を取得し、該取得した生体画像の画像品質が確認され、所定の画像品質を満足する生体画像の登録の可否が判定され、登録可とされた生体画像について、該生体画像の特徴を抽出して登録する生体情報の登録装置であって、
前記所定の画像品質を満足する生体画像を所定の規則に基づいて部分画像に分割する画像分割手段と、
該画像分割手段が分割した部分画像の中から前記画像の登録の可否判定に供する部分画像を決定する表示部分決定手段と、
該表示部分決定手段が決定した部分画像について前記登録の可否判定結果を受入れる登録可否判定結果受入れ手段とを備えることを特徴とする生体情報の登録装置。
【請求項2】
前記表示部分決定手段は、乱数演算の演算結果に基づいて前記登録の可否判定に供する部分画像を決定することを特徴とする請求項1に記載の生体情報の登録装置。
【請求項3】
前記表示部分決定手段が決定した部分画像について、登録不適可能性のある部分を検出し、該登録不適可能性のある部分に所定の処理を施して強調する登録不適可能性強調手段を更に備えることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の生体情報の登録装置。
【請求項4】
前記所定の処理は、前記登録不適可能性のある部分に他の部分とは異なる着色処理を施すことを特徴とする請求項3に記載の生体情報の登録装置。
【請求項5】
前記登録不適可能性強調手段が強調する部分は、目のどの位置に相当するかを、画像表示する表示部分の位置明示手段を更に備えることを特徴とする請求項3又は、請求項4に記載の生体情報の登録装置。
【請求項6】
生体画像を取得し、該取得した生体画像の画像品質が確認され、所定の画像品質を満足する生体画像の照合の可否が判定され、照合可とされた生体画像について、個人認証を行う生体情報の照合装置であって、
前記所定の画像品質を満足する生体画像を所定の規則に基づいて部分画像に分割する画像分割手段と、
該画像分割手段が分割した部分画像の中から前記画像の照合の可否判定に供する部分画像を決定する表示部分決定手段と、
該表示部分決定手段が決定した部分画像について前記照合の可否判定結果を受入れる照合可否判定結果受入れ手段とを備えることを特徴とする生体情報の照合装置。
【請求項7】
前記表示部分決定手段は、乱数演算の演算結果に基づいて前記登録可否の判定に供する部分画像を決定することを特徴とする請求項6に記載の生体情報の照合装置。
【請求項8】
前記表示部分決定手段が決定した部分画像について、照合不適可能性のある部分を検出し、該照合不適可能性のある部分に所定の処理を施して強調する照合不適可能性強調手段を更に備えることを特徴とする請求項6、又は請求項7に記載の生体情報の照合装置。
【請求項9】
前記所定の処理は、前記照合不適可能性のある部分に他の部分とは異なる着色処理を施すことを特徴とする請求項8に記載の生体情報の照合装置。
【請求項10】
前記照合不適可能性強調手段が強調する部分は、目のどの位置に相当するかを、画像表示する表示部分の位置明示手段を更に備える特徴とする請求項8又は、請求項9に記載の生体情報の照合装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−343995(P2006−343995A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168971(P2005−168971)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】