説明

生体情報モニタ装置

【課題】 簡便で良好な操作性を有する生体情報モニタ装置を提供する。
【解決手段】 入力手段10から入力された生体情報が正常値にあるか異常値にあるかをCPU11で判定し、異常値にあるとの判定結果を受けてLED3から発せられた警告を、アラームカバー2を有するアラーム灯20自体への医療従事者の接触により、マイクロスイッチ6をオンして停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者から検出された生体情報をモニタする生体情報モニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、集中治療室等で治療を受けている患者の状態を監視するための患者監視用装置として、生体情報モニタ装置が知られている。この生体情報モニタ装置では、患者に取り付けたセンサを経由して患者の脈波、脈拍数、血圧、呼吸数等の生体情報(バイタルサイン)をモニタし、モニタした生体情報が異常値にある場合に警告を発するということが行なわれる。
【0003】
図5は、従来の生体情報モニタ装置の外観を示す図である。
【0004】
図5に示す生体情報モニタ装置1000の最上部には、内部にLEDが配備されたアラームカバー2が備えられている。また、この生体情報モニタ装置1000の画面上には、アラーム停止ボタン1aが備えられている。この生体情報モニタ装置1000は、患者の生体情報をモニタして生体情報が正常値にあるか異常値にあるかを判定し、生体情報が異常値にあると判定した場合は、アラームカバー2内に設けられたLEDを発光させる。これにより、アラームカバー2自体が発光することとなり、医療従事者に向けて警告を行なう。アラームカバー2の発光による警告は、画面上に設けられたアラーム停止ボタン1aを押すことにより停止することができる。
【0005】
また、患者の容体に応じて音響的および可視的な警告のレベルを変更することにより、医療従事者の煩わしさを軽減することができる生体情報モニタ装置が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−201900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の生体情報モニタ装置では、一般に、警告を停止するための警告停止ボタンは、機構的,電気的,デザイン的な理由により、その生体情報モニタ装置の前面パネルに、他の入力手段とともに、赤色もしくはそれに類する色で目立つように設けられているものの、この警告停止ボタンは、例えば図5に示す生体情報モニタ装置1000の画面上のアラーム停止ボタン1aのように、警告ランプとしての役割を担うアラームカバー2とは離れた位置に設けられている。このため、従来の生体情報モニタ装置では、警告停止ボタンと警告ランプとの関連づけが希薄である。従って、不慣れな医療従事者は、警告を停止するための方法がわからずに戸惑ってしまったり、警告ランプそのものを叩いてしまったり、また急いでいるときに警告停止ボタンを強い力で押してしまい生体情報モニタ装置が傾いてしまうというような場合もあり、緊急時に医療従事者の感情をいたずらに逆なでしてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、簡便で良好な操作性を有する生体情報モニタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の生体情報モニタ装置は、
患者から検出された生体情報を入力する入力手段と、
上記入力手段から入力された生体情報が正常値にあるか異常値にあるかを判定する判定手段と、
上記判定手段による、異常値にあるとの判定結果を受けて警告を発する警告手段と、
上記警告手段による警告を停止させる警告停止手段とを備え、
上記警告停止手段が、上記警告手段による警告を発する警告部自体への操作者の接触あるいは接近によりその警告を停止させるものであることを特徴とする。
【0009】
本発明の生体情報モニタ装置は、患者から検出された生体情報が異常値にあるとの判定結果を受けて発せられた警告を停止させる警告停止手段が、その警告を発する警告部自体への操作者の接触あるいは接近によりその警告を停止させるものである。このため、操作者は、警告を停止するにあたり、その警告を発する警告部自体に接触あるいは接近すれば済む。従って、従来の生体情報モニタ装置と比較し、警告停止手段が生体情報モニタ装置のいずれの位置に設けられているのかを意識する必要もなく、不慣れな医療従事者でも簡単に警告を停止することができ、医療従事者のストレスを軽減することができる。
【0010】
ここで、上記警告手段は、上記警告部を発光させることにより警告を発するものであることが好ましい。
【0011】
このようにすると、患者から検出された生体情報が異常値にあるとの判定結果を受けて発せられた警告を即座に認識することができる。
【0012】
また、上記入力手段が、1人の患者から検出された生体情報を入力する入力手段であることも好ましい態様である。
【0013】
このようにすると、簡便で良好な操作性を有する本発明の生体情報モニタ装置を、患者の生体情報を検出するベッドサイドモニタとして提供することができる。
【0014】
さらに、上記入力手段が、各1人の患者から検出された生体情報を収集する複数のベッドサイドモニタから送信されてきた生体情報を入力する入力手段であることも好ましい。
【0015】
このようにすると、簡便で良好な操作性を有する本発明の生体情報モニタ装置を、ベッドサイドモニタから患者の生体情報の送信を受けて患者の生体情報を管理するセントラルモニタとして提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡便で良好な操作性を有する生体情報モニタ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態の生体情報モニタ装置の外観斜視図である。
【0019】
図1に示す生体情報モニタ装置100は、患者の生体情報を検出するベッドサイドモニタとして好適に用いられ、この生体情報モニタ装置100を構成する本体1の上部には、アラームカバー2が備えられている。このアラームカバー2の内部には、後述するLEDが配備されており、このアラームカバー2の、LEDの発光色や点滅の周期等から、心電図アラームや血圧アラームなど生体から発せられる生理学的なアラーム、あるいはセンサケーブル等の抜けなどの物理的アラームといったさまざまなアラーム(警告)が判別できるようになっている。
【0020】
図2は、図1に示す生体情報モニタ装置のアラームカバー周辺の断面図である。
【0021】
図2には、生体情報モニタ装置100の、アラームカバー2を右側面から見た場合の内部構造が示されている。
【0022】
図2に示す生体情報モニタ装置100には、患者から検出された生体情報を入力する入力手段10が備えられている。
【0023】
また、この生体情報モニタ装置100には、入力手段10から入力された生体情報が正常値にあるか異常値にあるかを判定する判定手段の役割を担うCPU11が備えられている。
【0024】
さらに、この生体情報モニタ装置100には、アラームカバー2の直下にこの紙面の奥行き方向に複数個配備されたLED3(本発明にいう警告手段の一例に相当)が備えられている。尚、この図2では1つのLED3のみ示されているが、実際には適切な光量および発色を得るために数個のLEDが、この紙面の奥行き方向に並べて配備されている。これらのLED3は、CPU11による、異常値にあるとの判定結果を受けて警告を発する。詳細には、これらのLED3は、アラームカバー2およびLED3からなるアラーム灯20(本発明にいう警告部の一例に相当)を発光させることにより警告を発する。
【0025】
また、この生体情報モニタ装置100には、アラーム灯20による警告を停止させるマイクロスイッチ6(本発明にいう警告停止手段の一例に相当)が備えられている。このマイクロスイッチ6は、アラーム灯20自体への医療従事者の接触により、その警告を停止させる。
【0026】
LED3は基板4に実装されており、この基板4はスペーサ5によって生体情報モニタ装置100の本体1を構成する成型品である後ケース1bにネジ止めされている。また、アラームカバー2の後部は回転軸2aによって回動自在に固定され、これによりアラームカバー2は前ケース1aに接触しない範囲内で上下方向への微動が許される。アラームカバー2が手で押圧されるなどの理由でアラームカバー2の上部から下向きに力が加えられると、アラームカバー2が反時計方向に回動してマイクロスイッチ6がオンし、アラームカバー2およびLED3からなるアラーム灯20が押圧されたことがCPU11に伝達され、これによりCPU11はLED3を消灯する。ここで、アラームカバー2を押圧していた手が離れるとねじりコイルバネ7の復元力によりアラームカバー2上のピン2bが上方向に押され、アラームカバー2は時計方向に押し戻され、マイクロスイッチ6が再びオフ状態になる。
【0027】
第1実施形態の生体情報モニタ装置100は、入力手段10から入力された生体情報が正常値にあるか異常値にあるかをCPU11で判定し、異常値にあるとの判定結果を受けてLED3から発せられた警告を停止させるマイクロスイッチ6が、その警告を発するアラーム灯20自体への医療従事者の接触によりその警告を停止させるものである。このため、医療従事者は、警告を停止するにあたり、そのアラーム灯20自体に接触すれば済む。従って、あたかも目覚まし時計のごとき簡便さで良好な操作性を有する生体情報モニタ装置100が提供されることとなり、不慣れな医療従事者でも簡単に警告を停止することができ、医療従事者のストレスを軽減することができる。
【0028】
尚、ここでは、1つのねじりコイルバネ7および1つのピン2bを備えた例で説明したが、アラームカバー2の形状によっては複数備えてもよい。また、マイクロスイッチ6を複数備え、CPU11との間に論理回路を介在させ、確実にアラームカバー2が押されているか否かの判定をCPU11に行なわせてもよい。
【0029】
次に、本発明の第2実施形態の生体情報モニタ装置について説明する。
【0030】
図3は、本発明の第2実施形態の生体情報モニタ装置のアラームカバー周辺の断面図である。
【0031】
尚、第2実施形態の生体情報モニタ装置の外観斜視図は、前述した図1に示す生体情報モニタ装置100の外観斜視図と同じであるため、図示省略する。
【0032】
図3には、生体情報モニタ装置200の、アラームカバー2を正面から見た場合の内部構造が示されている。生体情報モニタ装置200を構成するアラームカバー2の直下には、LED3a,3b,3c,3d(本発明にいう警告手段の他の一例に相当)が備えられている。これらのLED3a,3b,3c,3dは、アラームカバー2およびLED3a,3b,3c,3dからなるアラーム灯30(本発明にいう警告部の他の一例に相当)を発光させることにより警告を発する。また、LED3a,3bとLED3c,3dとの間には、アラーム灯30自体への医療従事者の接近により警告を停止させるセンサユニット31(本発明にいう警告停止手段の他の一例に相当)が備えられている。
【0033】
LED3a,3b,3c,3dおよびセンサユニット31は、基板4に実装されており、この基板4は生体情報モニタ装置200の本体を構成する成型品である後ケース1bにネジ止めされている。ここで、センサユニット31は、内部で2個の焦電型赤外線センサが逆直列接続されてなる構成であり、周囲の赤外線の状態の変化に対して敏感に反応する。
【0034】
また、基板4の裏面にはオペアンプIC32、タイマIC33などをはじめとする、以下に説明する図4に示す回路部品が実装されている。
【0035】
図4は、図3に示すセンサユニットからの信号をCPUに向けて出力するための増幅およびレベル変換回路を示す図である。
【0036】
センサユニット31からの信号は初段の増幅器41のオペアンプ41aの非反転入力端子に導かれ、ここで初段の増幅がなされる。さらに、カップリングコンデンサを介して増幅器42のオペアンプ42aの反転増幅端子に導かれ、次段の増幅がなされる。センサユニット31からの信号は微分出力であるため、増幅器41,42同士がコンデンサ結合されていても信号が失われることはない。また、センサユニット31の出力は微弱であるが、各段(増幅器41,42)にはおよそ32デシベルのゲインがあるため、これら2段の増幅器41,42によりデジタル信号処理するのに十分なレベルにまで増幅される。このように増幅されたセンサ出力信号はオペアンプ43aおよびオペアンプ43bから構成されるウィンドコンパレータ43に入力され、パルス信号となる。このようにウィンドコンパレータ43を通してパルスとなった信号は、最後にタイマ44aによって構成されるワンショット回路44により、固定幅のパルスに整形される。こうして最終的に整形されたセンサ出力信号はCPU11に入力され、CPU11はトランジスタ12をオフして、LED3a,3b,3c,3dを消灯する。
【0037】
第2実施形態の生体情報モニタ装置200は、入力手段10から入力された生体情報が正常値にあるか異常値にあるかをCPU11で判定し、異常値にあるとの判定結果を受けてLED3a,3b,3c,3dから発せられた警告を停止させるセンサユニット31が、アラーム灯30自体への医療従事者の接近によりその警告を停止させるものである。このため、医療従事者は、警告を停止するにあたり、そのアラーム灯30自体に接近すれば済む。従って、不慣れな医療従事者でも簡単に警告を停止することができ、医療従事者のストレスを軽減することができる。
【0038】
尚、上述した第2実施形態では、警告を発するLED3a,3b,3c,3dを消灯するにあたり、アラーム灯30に手が接近した際にこれを非接触で検出する検出手段として焦電型赤外線センサの例で説明したが、輝度センサや距離センサなど他の検出手段を用いても同様に実現することができる。
【0039】
また、第1実施形態および第2実施形態では、本発明を、患者の生体情報を検出するベッドサイドモニタに適用した場合について説明したが、ベッドサイドモニタから患者の生体情報の送信(有線あるいは無線)を受けて患者の生体情報を管理するセントラルモニタにも適用できることはいうまでもない。いずれも、本発明の思想の範囲内で自由に変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態の生体情報モニタ装置の外観斜視図である。
【図2】図1に示す生体情報モニタ装置のアラームカバー周辺の断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態の生体情報モニタ装置のアラームカバー周辺の断面図である。
【図4】図3に示すセンサユニットからの信号をCPUに向けて出力するための増幅およびレベル変換回路を示す図である。
【図5】従来の生体情報モニタ装置の外観を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 生体情報モニタ装置の本体
1a 前ケース
1b 後ケース
2 アラームカバー
2a 回転軸
2b ピン
3,3a,3b,3c,3d LED
4 基板
6 マイクロスイッチ
7 ねじりコイルバネ
10 入力手段
11 CPU
12 トランジスタ
20,30 アラーム灯
31 センサユニット
32 オペアンプIC
33 タイマIC
41,42 増幅器
41a,42a,43a,43b オペアンプ
43 ウィンドコンパレータ
44 ワンショット回路
44a タイマ
100,200 生体情報モニタ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者から検出された生体情報を入力する入力手段と、
前記入力手段から入力された生体情報が正常値にあるか異常値にあるかを判定する判定手段と、
前記判定手段による、異常値にあるとの判定結果を受けて警告を発する警告手段と、
前記警告手段による警告を停止させる警告停止手段とを備え、
前記警告停止手段が、前記警告手段による警告を発する警告部自体への操作者の接触あるいは接近により該警告を停止させるものであることを特徴とする生体情報モニタ装置。
【請求項2】
前記警告手段は、前記警告部を発光させることにより警告を発するものであることを特徴とする生体情報モニタ装置。
【請求項3】
前記入力手段が、1人の患者から検出された生体情報を入力する入力手段であることを特徴とする生体情報モニタ装置。
【請求項4】
前記入力手段が、各1人の患者から検出された生体情報を収集する複数のベッドサイドモニタから送信されてきた生体情報を入力する入力手段であることを特徴とする生体情報モニタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−215581(P2007−215581A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36579(P2006−36579)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000112602)フクダ電子株式会社 (196)
【Fターム(参考)】