説明

生体情報分析システム、及び、生体情報分析方法

【課題】生体情報を効率的に収集でき、収集した生体情報に基づいて有益な情報を出力可能な生体情報分析システムを提供する。
【解決手段】体温情報取得部により体温情報を取得すると共に、位置情報取得部により、体温情報取得部により体温情報が取得されたときの位置を示す位置情報を取得し、体温傾向DB生成部45がこれら体温情報及び位置情報に基づいて、エリア毎に、エリアの在圏者の体温の傾向が記憶された体温傾向データベース48を生成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エリア毎に、エリアの在圏者の体温の傾向を出力する生体情報分析システム、及び、生体情報分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザーの健康データを収集してユーザーの健康状態を管理し、ユーザーに適切な食事療法の情報を提供できるようにした健康管理システムがある(例えば、特許文献1参照)。この健康管理システムでは、携帯電話から健康管理サーバーに対してユーザーの健康に関する健康データが送信される。そして、健康管理サーバーは、受信した健康管理データを分析し、ユーザーにとって最適な献立を示す献立データを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−72665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した健康管理システムのように、生体情報を収集し、収集した生体情報を分析するシステムでは、より効率的に生体情報を収集できるようにした上で収集した生体情報に基づいて有益な情報を出力したいとするニーズがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、生体情報を効率的に収集でき、収集した生体情報に基づいて有益な情報を出力可能な生体情報分析システム、及び、生体情報分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、生体情報分析システムにおいて、体温を示す体温情報を取得する体温情報取得部を複数備えると共に、前記体温情報取得部により体温情報が取得されたときの位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記体温情報取得部により取得された体温情報及び前記位置情報取得部により取得された位置情報に基づいて、エリア毎に、エリアの在圏者の体温の傾向を出力する体温傾向出力部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、体温情報取得部により取得された体温情報及び位置情報取得部により取得された位置情報に基づいて、エリア毎に、エリアの在圏者の体温の傾向を出力する。このため、複数の体温取得部を用いて効率的に生体情報である体温情報を収集でき、かつ、収集した体温情報を用いて、エリアの在圏者の体温の傾向という有益な情報を出力できる。エリアの在圏者の体温の傾向とは、例えば、当該エリアの在圏者の体温が高い傾向にあるといった情報のことであり、この情報を分析することにより、例えば、体温の上昇を伴う所定の感染症が当該エリアに流行している可能性があることを把握できる。従って、エリアの在圏者の体温の傾向は有益な情報である。
【0006】
ここで、上記発明の生体情報分析システムにおいて、前記体温情報取得部により体温情報が取得されたときの時間を示す時間情報を取得する時間情報取得部をさらに備え、前記体温傾向出力部は、前記体温情報取得部により取得された体温情報、前記位置情報取得部により取得された位置情報、及び、前記時間情報取得部により取得された時間情報に基づいて、時間の経過に応じたエリアの在圏者の体温の傾向を出力するようにしてもよい。
この構成によれば、現時点におけるエリアの在圏者の体温の傾向のみならず、時間の経過に応じたエリアの在圏者の体温の傾向を出力できるため、時間の経過が反映されたより有益な情報の出力が可能となる。
【0007】
また、上記発明の生体情報分析システムにおいて、前記体温傾向出力部により出力された時間の経過に応じたエリアの在圏者の体温の傾向に基づいて、体温の傾向に係る所定の特徴を有するエリアの推移の予測を示す予測情報を出力する予測情報出力部をさらに備えるようにしてもよい。
この構成によれば、体温の傾向に係る所定の特徴を有するエリアの推移の予測を示す予測情報というより有益な情報の出力が可能となる。なお、体温の傾向に係る所定の特徴を有するエリアとは、例えば、在圏者の体温が高い傾向にあるエリアのことをいい、在圏者の体温が高いエリアの今後の推移を示す予測情報を分析することにより、例えば、体温の上昇を伴う所定の感染症が流行すると予測されるエリアを事前に把握できる。従って、予測情報はより有益な情報である。
【0008】
また、上記発明の生体情報分析システムにおいて、体温傾向出力部により出力されたエリアの在圏者の体温の傾向を、所定の対象に出力するようにしてもよい。
この構成によれば、エリアの在圏者の体温の傾向という有益な情報の活用を促すことができる。
【0009】
また、上記発明の生体情報分析システムにおいて、体温計が前記体温情報取得部を有し、前記体温計と通信可能に接続可能な携帯電話が前記位置情報取得部を有し、前記携帯電話とネットワークを介して通信可能なサーバーが前記体温傾向出力部を有するようにしてもよい。
この構成によれば、体温計及び携帯電話という広く普及した既存の製品を利用して、簡易に体温情報の収集が可能となる。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明は、生体情報分析方法であって、体温情報取得部により体温情報を取得すると共に、位置情報取得部により、前記体温情報取得部により体温情報が取得されたときの位置を示す位置情報を取得し、前記体温情報取得部により取得された体温情報及び前記位置情報取得部により取得された位置情報に基づいて、エリア毎に、エリアの在圏者の体温の傾向を出力することを特徴とする。
この方法によれば、体温情報取得部により取得された体温情報及び位置情報取得部により取得された位置情報に基づいて、エリア毎に、エリアの在圏者の体温の傾向を出力する。このため、複数の体温取得部を用いて効率的に生体情報である体温情報を収集でき、かつ、収集した体温情報を用いて、エリアの在圏者の体温の傾向という有益な情報を出力できる。エリアの在圏者の体温の傾向とは、例えば、当該エリアの在圏者の体温が高い傾向にあるといった情報のことである。この情報を分析することにより、例えば、体温の上昇を伴う所定の感染症が当該エリアに流行している可能性があることを把握できる。従って、エリアの在圏者の体温の傾向は有益な情報である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、生体情報を効率的に収集でき、収集した生体情報に基づいて有益な情報を出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】生体情報分析システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】体温計と携帯電話の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】生体情報分析サーバーの機能的構成を示すブロック図である。
【図4】体温情報データベースの構成を模式的に示す図である。
【図5】体温傾向データベースの構成を模式的に示す図である。
【図6】生体情報分析サーバーの動作を示すフローチャートである。
【図7】体温情報データベース及び体温傾向データベースを示す図である。
【図8】予測情報出力部の動作を説明するための図である。
【図9】体温計及び携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【図10】生体情報分析サーバーの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る生体情報分析システム1の構成を概略的に示す図である。
図1に示すように、生体情報分析システム1は、複数の体温計10と、携帯電話11とを備え、これら体温計10と携帯電話11とがBluetooth(登録商標)規格等の所定の規格に準拠した近距離無線通信可能に構成されている。携帯電話11は、無線基地局12を介してインターネットや移動通信網等の通信ネットワーク13(ネットワーク)に接続されており、この通信ネットワーク13を介して、生体情報分析サーバー14(サーバー)等のサーバー装置との間で各種データの送受信が可能である。
本実施形態では、無線基地局12のセル(当該無線基地局12の電波が届く範囲)毎に1つのエリアが定義されている。そして、生体情報分析システム1は、体温計10によって測定された体温を示す体温情報等を用いて、エリア毎にエリアの在圏者の体温の傾向を出力することを1つの目的としている。
【0014】
図2は、体温計10、及び、携帯電話11の機能的構成を示すブロック図である。
体温計10は、人間の脇等に挟まれ、当該人間の体温を測定する装置であり、体温計側制御部20と、体温測定部21と、体温計側表示部22と、体温計側近距離無線通信部23とを備えている。
体温計側制御部20は、体温計10の各部を中枢的に制御するものであり、CPUやROM、RAM、その他周辺回路を備えている。CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより体温計10の各部を制御する。体温計側制御部20は、体温情報取得部24を備えている。体温情報取得部24は、後述する体温測定部21からの入力値に基づいて、体温を示す体温情報を取得する。
体温測定部21は、温度センサーや、CR発信回路等を備え、温度センサーが出力する抵抗値の変化を周波数に変換した上で体温計側制御部20に出力する。
体温計側表示部22は、液晶表示パネルを備え、体温計側制御部20の制御の下、測定された体温を示す情報を含む各種情報を液晶表示パネルに表示する。
体温計側近距離無線通信部23は、体温計側制御部20の制御の下、携帯電話11との間で所定の規格に準拠した近距離無線通信を行う。本実施形態では、体温計側制御部20は、体温計側近距離無線通信部23を制御して、体温情報取得部24によって体温情報が取得される度に、体温情報取得部24が取得した体温情報を携帯電話11に送信する。
【0015】
携帯電話11は、携帯側制御部30と、携帯側表示部31と、携帯側入力部32と、携帯側近距離無線通信部33と、無線通信部34とを備えている。
携帯側制御部30は、携帯電話11の各部を中枢的に制御するものであり、CPUやROM、RAM、その他周辺回路を備えている。携帯側制御部30は、図示せぬ発振器が生成した基準クロックに基づいて各種計時動作を実行可能であり、特に、現在の日時(年月日、及び、時間)を計時できる。携帯側制御部30は、位置情報取得部35、及び、時間情報取得部36を備えているがこれについては後述する。
携帯側表示部31は、液晶表示パネルを備え、携帯側制御部30の制御の下、各種情報を液晶表示パネルに表示する。
携帯側入力部32は、携帯電話11に設けられた操作スイッチに対するユーザーの操作を検出し、携帯側制御部30に出力する。
携帯側近距離無線通信部33は、携帯側制御部30の制御の下、体温計10との間で所定の規格に準拠した近距離無線通信を行う。本実施形態では、携帯側制御部30は、携帯側近距離無線通信部33を制御して、体温計10から体温情報を取得する。
無線通信部34は、携帯側制御部30の制御の下、携帯電話11が在圏しているエリア(=セル)の無線基地局12との間で所定の規格に準拠した無線通信を行う。各無線基地局12には、当該無線基地局12のエリアを示す情報であるエリア情報が記憶されており、携帯側制御部30は、無線通信部34を制御して、エリア情報を取得可能である。
携帯側制御部30が備える位置情報取得部35は、体温計10から体温情報を受信した場合に、無線通信部34を制御して無線基地局12にアクセスし、当該無線基地局12からエリア情報を取得する。すなわち、位置情報取得部35は、体温計10を利用して体温が測定された場合に、当該体温の測定が行われたエリアを示す情報である位置情報を取得する。
また、時間情報取得部36は、体温計10から体温情報を受信した場合に、受信した日時を示す情報を取得する。すなわち、時間情報取得部36は、体温計10を利用して体温が測定された場合に、当該体温の測定が行われたときの日時を示す情報である時間情報を取得する。なお、図示は省略したが、携帯電話11は、スピーカーやマイク、通話通信のためのアンテナ等、一般的な携帯電話が備える部品、装置を備えている。
本実施形態では、携帯側制御部30は、体温計10から体温情報を受信する度に、受信した体温情報と、位置情報取得部35が取得した位置情報と、時間情報取得部36が取得した時間情報と、を含んだデータを、無線基地局12及び通信ネットワーク13を介して生体情報分析サーバー14に送信する。
【0016】
図3は、生体情報分析サーバー14の機能的構成を示すブロック図である。
生体情報分析サーバー14は、サーバー側制御部40と、サーバー側表示部41と、サーバー側入力部42と、インターフェイス部43と、記憶部44とを備えている。
サーバー側制御部40は、生体情報分析サーバー14の各部を中枢的に制御するものであり、CPUや、ROM、RAM、その他周辺回路を備えている。サーバー側制御部40は、体温傾向DB生成部45(体温傾向出力部)と、予測情報出力部46とを備えているが、これについは後述する。
サーバー側表示部41は、液晶表示パネルや有機EL表示パネル等の表示パネルを備え、サーバー側制御部40の制御の下、表示パネルに各種情報を表示する。
サーバー側入力部42は、マウスやキーボード等の入力デバイスを備え、入力デバイスに対するユーザーの操作を検出しサーバー側制御部40に出力する。
インターフェイス部43は、サーバー側制御部40の制御の下、生体情報分析サーバー14の通信相手との間で通信規格に準拠した通信を行う。
記憶部44は、ハードディスクやEEPROM等の記憶装置を備え、各種データを書き換え可能に記憶する。記憶部44には、体温情報データベース47、体温傾向データベース48、及び、予測情報49が記憶される。
【0017】
図4は、体温情報データベース47の構成を模式的に示す図である。
体温情報データベース47の1件のレコードには体温情報フィールド47aと、位置情報フィールド47bと、時間情報フィールド47cとが含まれている。体温情報フィールド47aには体温情報が格納され、位置情報フィールド47bには位置情報が格納され、時間情報フィールド47cには時間情報が格納される。
上述したように、携帯電話11の携帯側制御部30は、体温計10から体温情報を受信する度に、受信した体温情報と、位置情報取得部35が取得した位置情報と、時間情報取得部36が取得した時間情報と、を含んだデータを、無線基地局12及び通信ネットワーク13を介して生体情報分析サーバー14に送信する。生体情報分析サーバー14のサーバー側制御部40は、当該データを受信する度に、当該データに基づいて、体温情報データベース47の1件のレコードを生成する。
詳述すると、サーバー側制御部40は、体温情報と、位置情報と、時間情報とを含んだデータを携帯電話11から受信した場合、当該データを分析し、当該データに含まれている体温情報を体温情報フィールド47aに格納し、位置情報を位置情報フィールド47bに格納し、時間情報を時間情報フィールド47cに格納することにより1件のレコードを生成する。
このように、体温情報データベース47では、体温計10を利用した体温の測定について、測定された体温と、体温の測定が行われたエリアと、体温の測定が行われた日時とを対応づけて記憶する。
【0018】
図5は、体温傾向データベース48の構成を模式的に示す図である。
体温傾向データベース48は、エリア毎に、所定の時間帯と、当該時間帯における当該エリアの在圏者の体温の傾向を示す傾向情報とを対応づけて記憶するデータベースである。ここで、本実施形態では、傾向情報として、エリアの在圏者の体温が高い傾向にあることを示す高熱傾向と、エリアの在圏者の体温が平熱に近い傾向にあるとことを示す平熱傾向とがある。これら高熱傾向、及び、平熱傾向の差異や、どういったエリアが高熱傾向と判別され、また平熱傾向と判別されるかについては後に詳述する。
体温傾向データベース48の1件のレコードには、エリアフィールド48aと、時間帯フィールド48bと、傾向情報フィールド48cとが含まれている。エリアフィールド48aには、エリアを示すエリアデータが格納される。時間帯フィールド48bには、時間帯を示す時間帯データが格納される。傾向情報フィールド48cには、傾向情報が格納される。
体温傾向DB生成部45は、所定のタイミングで、エリア毎に、体温傾向データベース48の1件のレコードを生成する。本実施形態では、12:00〜13:00、13:00〜14:00、14:00〜15:00・・・というように12:00ちょうどを基準として1時間毎に時間帯が区切られており、時間帯の区切りが経過したタイミングで、体温傾向DB生成部45は、エリア毎に、当該区切りの直近の時間帯についてのレコードを生成する。
以下、体温傾向DB生成部45が体温傾向データベース48のレコードを生成する際の動作について詳述する。
【0019】
図6は、体温傾向DB生成部45が体温傾向データベース48のレコードを生成する際の動作の1例、具体的には、体温傾向DB生成部45が、エリアの1つであるエリアA1について、2009/1/1の12:00〜13:00の時間帯に係るレコードを生成する際の動作を示すフローチャートであり、図7は当該動作の説明に使用する図である。
図6のフローチャートに示す動作では、体温傾向DB生成部45が、体温情報取得部24により取得された体温情報及び位置情報取得部35により取得された位置情報に基づいて生成された体温情報データベース47に基づいて、エリア毎に、エリアの在圏者の体温の傾向が記憶された体温傾向データベース48を生成する体温傾向出力部として機能する。
【0020】
図6を参照し、体温傾向DB生成部45は、時間帯の区切りを経過したか否か、本例では、2009/1/1の13:00を経過したか否かを判別する(ステップSA1)。時間帯の区切りを経過した場合、体温傾向DB生成部45は、体温情報データベース47の位置情報フィールド47b、及び、時間情報フィールド47cを参照し(ステップSA2)、位置情報フィールド47bに格納された位置情報がエリアA1を示し、かつ、時間情報フィールド47cに格納された時間情報が2009/1/1の12:00〜13:00に含まれているレコードを特定する(ステップSA3)。ここで特定されたレコードが図7(A)に示す10件のレコードであるとする。
次いで、体温傾向DB生成部45は、特定したレコードの体温情報フィールド47aに格納された体温情報に基づいて、これら体温情報の平均値を算出する(ステップSA4)。図7(A)の例では、平均値は「37.64(℃)」である。
次いで、体温傾向DB生成部45は、1のエリアについて当該エリアの在圏者の体温が高い傾向(高熱傾向)にあるか、それともエリアの在圏者の体温が平熱に近い傾向(平熱傾向)にあるかを判別するための閾値(本実施形態では「37.5(℃)」)を、ステップSA4で算出した平均値が上回るか否かを判別する(ステップSA5)。上述したように、これら高熱傾向、又は、平熱傾向を示す情報が傾向情報に相当する。
上回る場合、体温傾向DB生成部45は、エリアA1が高熱傾向にすると判別する(ステップSA6)。本例では、平均値(37.64℃)>閾値(37.5℃)であるため、エリアA1は高熱傾向と判別される。一方、下回る場合、体温傾向DB生成部45は、エリアA1が平熱傾向に該当すると判別する(ステップSA7)。
次いで、体温傾向DB生成部45は、エリアA1に関する体温傾向データベース48の1件のレコードを生成する。本例では、図7(B)に示すように、体温傾向DB生成部45は、体温傾向データベース48のエリアフィールド48aにエリアA1を示すエリアデータを格納し、時間帯フィールド48bに2009/1/1/12:00〜13:00を示す時間帯データを格納し、傾向情報フィールド48cにステップSA5の判別の結果、エリアA1が該当すると判別された傾向情報を格納する。本例では、エリアA1は高熱傾向であると判別されるため、傾向情報フィールド48cには、高熱傾向を示す情報が格納される。
なお、各エリアについて、エリアA1と同様にして、所定のタイミングで、体温傾向データベース48のレコードが生成される。
【0021】
このように、本実施形態では、体温傾向データベース48において、各エリアと、各エリアの在圏者の体温の傾向を示す傾向情報、具体的には、エリアの在圏者の体温が高い傾向にある高熱傾向を示す情報、又は、エリアの在圏者の体温が平熱に近い傾向にある平熱傾向を示す情報と、を対応づけて記憶する。この体温傾向データベース48に記憶された情報を分析することにより、例えば、あるエリアについて、体温の上昇を伴う所定の感染症が当該エリアに流行している可能性があることを把握することが可能となる。
【0022】
次いで、生体情報分析サーバー14のサーバー側制御部40が備える予測情報出力部46及び予測情報49について説明する。
予測情報49は、あるエリアについて、当該エリアが高熱エリアから平熱エリアに移行し、また、平熱エリアから高熱エリアに移行することが予想されること、及び、当該移行が起こると予想される時間、を含む情報である。予測情報出力部46は、体温傾向データベース48に基づいて、予測情報49を出力する。
【0023】
図8は、予測情報出力部46の動作の説明のために使用する図であり、各エリアを同一平面上に展開した様子を模式的に示している。なお、以下の説明において、高熱傾向にあると判別されたエリアを高熱エリアと、平熱傾向にあると判別されたエリアを平熱エリアと称する。
予測情報出力部46は、所定時間毎に、体温傾向データベース48を参照し、高熱エリアが所定の規則性を持って広がっているか否か、又は、所定の規則性を持って収束しているか否かを検出する。
例えば、過去のある時間帯について、高熱エリア及び平熱エリアの分布が図8(A)に示すような状況にあったとする。なお、予測情報出力部46は、体温傾向データベース48を参照することにより、過去の任意の時間帯について、各エリアが高熱エリアであるか、平熱エリアであるかを取得することができる。
そして、図8(A)の時間帯から所定の時間だけ経過した時間帯における高熱エリア及び平熱エリアの分布が図8(B)に示すような状況にあったとする。この場合、予測情報出力部46は、図8(A)に示す高熱エリアの分布状況、及び、図8(B)に示す高熱エリアの分布状況に基づいて、高熱エリアの移動ベクトルを検出し、検出した移動ベクトルに基づいて、今後、平熱エリアから高熱エリアに移行するエリアと当該移行が発生する時間、及び、高熱エリアから平熱エリアに移行するエリアと当該移行が発生する時間を検出する。例えば、予測情報出力部46は、図8(B)の時間帯から所定の時間が経過した日時に至った場合、図8(C)に示すように、エリアB2、B3が高熱エリアから平熱エリアへと移行し、さらに、エリアC1、C2、C3が平熱エリアから高熱エリアへと移行すると予測されることを検出する。
この検出結果に基づいて、予測情報出力部46は、あるエリアについて、当該エリアが高熱エリアから平熱エリアに移行し、また、平熱エリアから高熱エリアに移行することが予想されること、及び、当該移行が起こると予想される時間と、を含む情報である予測情報49を出力する。
【0024】
このように、本実施形態では、予測情報出力部46によって、あるエリアについて、当該エリアが高熱エリアから平熱エリアに移行し、また、平熱エリアから高熱エリアに移行することが予想されること、及び、当該移行が起こると予想される時間と、を含む情報である予測情報49が出力され、記憶部44に記憶される。
この予測情報49を分析することにより、例えば、高熱を伴う感染症等が各地で流行している状況下において、今後どのエリアに流行が広がっていき、また、どのエリアで感染症の流行が収束していくのかについての情報を取得することができる。そして、取得した情報に基づいて、例えば、感染症が流行すると予測されるエリアの在圏者に対し、警告し、対策を促すことが可能となり、また、当該エリアの店舗の責任者等に対し、感染症に対応する商品を多く仕入れるよう伝えることが可能となる。すなわち、予測情報49は、現状から予測される事態に対応するために利用する情報として非常に有益な情報である。
【0025】
図1を参照して、通信ネットワーク13には、情報提供業者が所有や、契約により利用可能な情報提供業者サーバー15(所定の対象)が接続されている。情報提供業者とは、テレビ、インターネット、ラジオ、メールその他の手段を利用して、サービスとして各種情報の提供を実施する業者である。
本実施形態では、生体情報分析サーバー14は、情報提供者からの要求に応じて、通信ネットワーク13を介して、体温傾向データベース48を示すデータ、及び、予測情報49を情報提供業者サーバー15に送信する。なお、情報提供者からの要求ではなく、一定期間毎にこれらデータを情報提供業者サーバー15に送信するようにしてもよく、また、情報提供業者サーバー15に対し、生体情報分析サーバー14をアクセス可能に公開し、情報提供業者サーバー15側からこれらデータを取得できるようにしてもよい。まお、情報提供業者サーバー15に対し、生体情報分析サーバー14をアクセス可能に公開することにより、情報提供業者サーバー15がこれらデータを取得した場合、生体情報分析サーバー14から情報提供業者サーバー15へこれらデータが出力されたこととなる。
【0026】
情報提供業者サーバー15が体温傾向データベース48、及び、予測情報49を取得することにより、情報提供業者は、これらデータに基づいて、例えば、以下のサービスを実施可能である。
例えば、情報提供業者は、インターネット上の所定のホームページへの記載、テレビ、ラジオの利用、予め登録されたメールアドレスへのメールの配信等により、現時点で、高熱エリアにあるエリアを示す情報や、今後高熱エリアへ移行すると判別されているエリアを示す情報を報知することができる。
ホームページの閲覧者等の上記報知を認識した者は、報知された情報に基づいて、自身が在圏するエリアを認識した上で、適切な対策、例えば、自身が在圏するエリアが高熱エリアであるか、また、今後高熱エリアへと移行するのであれば、当該エリアに高熱を伴う感染症が発生し、また、今後発生する可能性があるため、感染症が自身に感染することを防止するのに有効な措置(マスクを着用する等)を行うことができるようになる。
また、店舗の責任者等は、報知された情報に基づいて、当該店舗が在圏するエリアを認識した上で、当該店舗の在庫調整、例えば、店舗が在圏するエリアが高熱エリアであるか、また、今後高熱エリアへと移行するのであれば、当該エリアに高熱を伴う感染症が発生し、また、今後発生する可能性があるため、感染症に対応する商品(マスク等)を多めに仕入れる等の措置を行うことができるようになる。
【0027】
次いで、体温計10、携帯電話11、及び、生体情報分析サーバー14の動作について図9及び図10に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図9(A)は、体温計10の動作を示し、図9(B)は、携帯電話の動作を示し、図10は、生体情報分析サーバー14の動作を示す。
図9(A)を参照して、体温計10の体温計側制御部20は、体温の測定が行われたか否かを判別する(ステップSB1)。体温の測定が行われた場合(ステップSB1:YES)、体温計側制御部20の体温情報取得部24は、体温情報を取得する(ステップSB2)。次いで、体温計側制御部20は、体温計側近距離無線通信部23を制御して、体温情報を携帯電話11に送信する(ステップSB3)。
図9(B)を参照して、携帯電話11の携帯側制御部30は、体温計10から体温情報を取得したか否かを監視する(ステップSC1)。体温情報を受信した場合(ステップSC1:YES)、すなわち、図9(A)のステップSB3で、体温計10から携帯電話11に対して体温情報が送信された場合、携帯側制御部30の位置情報取得部35は、位置情報を取得する(ステップSC2)。上述したように、位置情報は、体温の測定が行われたエリアを示す情報である。次いで、携帯側制御部30の時間情報取得部36は、時間情報を取得する(ステップSC3)。上述したように、時間情報は、体温の測定が行われたときの日時を示す情報である。次いで、携帯側制御部30は、無線通信部34を制御して、体温情報、位置情報、及び、時間情報を生体情報分析サーバー14に送信する(ステップSC4)。
【0028】
図10を参照して、生体情報分析サーバー14のサーバー側制御部40は、体温傾向データベース48のレコードを生成すべきタイミングが到来したか否かを判別する(ステップSD1)。上述したように、本実施形態では、時間帯の区切りが経過したタイミングで、エリア毎に、当該区切りの直近の時間帯についてのレコードを生成するが、体温傾向データベース48のレコードを生成するタイミングはこれに限らず、例えば、所定の期間毎にレコードの生成を行うようにしてもよい。体温傾向データベース48のレコードを生成すべきタイミングが到来した場合(ステップSD1:YES)、サーバー側制御部40の体温傾向DB生成部45は、体温傾向データベース48の所定のレコードを生成する(ステップSD2)。体温傾向データベース48のレコードを生成すべきタイミングが到来していない場合(ステップSD1:NO)、サーバー側制御部40は、処理手順をステップSD3へ移行する。
ステップSD3において、サーバー側制御部40は、予測情報49を生成すべきタイミングが到来したか否かを判別する。予測情報49を生成すべきタイミングが到来した場合(ステップSD3:YES)、サーバー側制御部40の予測情報出力部46は、予測情報49を生成(出力)する(ステップSD4)。予測情報49を生成すべきタイミングが到来していない場合(ステップSD3:NO)、サーバー側制御部40は、処理手順をステップSD5へ移行する。
ステップSD5において、サーバー側制御部40は、携帯電話11から、体温情報、位置情報、及び、時間情報を含むデータを受信したか否か、すなわち、図9(B)のステップSD4において、携帯電話11から当該データが送信されたか否かを判別する。当該データを受信した場合(ステップSD5:YES)、サーバー側制御部40は、受信した当該データに基づいて、体温情報データベース47のレコードを生成し(ステップSD6)、処理手順をステップSD1へ戻す。一方、当該データを受信していない場合(ステップSD5:NO)、サーバー側制御部40は、処理手順をステップSD1へ戻す。
【0029】
以上説明したように、本実施形態に係る生体情報分析システム1は、体温を示す体温情報を取得する体温情報取得部24を有する体温計10を複数備え、さらに、この体温情報取得部24により体温情報が取得されたときの位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部35を有する携帯電話11と、体温情報取得部24により取得された体温情報及び位置情報取得部35により取得された位置情報に基づいて、エリア毎に、エリアの在圏者の体温の傾向を示す情報を記憶する体温傾向データベース48を生成(出力)する体温傾向DB生成部45を有する生体情報分析サーバー14と、を備えている。
これによれば、体温情報取得部24を有する複数の体温計10を用いて効率的に生体情報である体温情報を収集でき、かつ、収集した体温情報を用いて、エリアの在圏者の体温の傾向という有益な情報を出力できる。
【0030】
また、本実施形態では、携帯電話11は、体温計10の体温情報取得部24により体温情報が取得されたときの時間を示す時間情報を取得する時間情報取得部36を備えている。そして、生体情報分析サーバー14の体温傾向DB生成部45は、体温情報取得部24により取得された体温情報、位置情報取得部35により取得された位置情報、及び、時間情報取得部36により取得された時間情報に基づいて、エリア毎に時間の経過に応じたエリアの在圏者の体温の傾向を示す情報を記憶する体温傾向データベース48を生成(出力)する。
これによれば、現時点におけるエリアの在圏者の体温の傾向のみならず、時間の経過に応じたエリアの在圏者の体温の傾向を出力できるため、時間の経過が反映されたより有益な情報の出力が可能となる。
【0031】
また、本実施形態では、生体情報分析サーバー14は、体温の傾向に係る所定の特徴を有するエリアである高熱エリアの推移の予測を示す予測情報49を出力する予測情報出力部46を備える。
これによれば、高熱エリアの推移の予測を示す予測情報49というより有益な情報の出力が可能となる。
【0032】
また、本実施形態では、生体情報分析サーバー14は、エリアの在圏者の体温の傾向に関する情報を含む体温傾向データベース48を情報提供業者サーバー15に出力する。
これによれば、エリアの在圏者の体温の傾向という有益な情報の活用を促すことができる。
【0033】
また、本実施形態では、体温計10が体温情報取得部24を有し、体温計10と通信可能に接続可能な携帯電話11が位置情報取得部35を有し、携帯電話11と通信ネットワーク13を介して通信可能な生体情報分析サーバー14が体温傾向DB生成部45を有する。
これによれば、体温計及び携帯電話という広く普及した既存の製品を利用して、簡易に体温情報の収集が可能となる。
【0034】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
本実施形態では、傾向情報として、高熱傾向と、平熱傾向の2つの情報であったが、傾向情報はこれに限らず、例えば、高熱傾向と平熱傾向との間に微熱傾向を設けてもよく、又は、36.0℃〜37.0℃の体温が多い傾向にあることを示す傾向情報等の他の傾向情報を設けるようにしてもよい。
また、本実施形態では、あるエリアについて、当該エリアが高熱傾向にあるか平熱傾向あるかを当該エリアの在圏者の体温の平均値が閾値を上回るか又は下回るかに応じて定めていた。しかしながら、例えば、当該エリアにおいて、所定の閾値を上回る体温の人間の数の割合によって、当該エリアが高熱傾向にあるか平熱傾向あるかを定めるようにしてもよい。
また、携帯電話11がGPS機能を搭載している場合、このGPS機能を利用して、位置情報を取得するようにしてもよい。この場合、エリアをポリゴンデータによって規定するようにしてもよい。ポリゴンデータとは、経度及び緯度からなる座標値で示される複数の点を結んで定義される多角形形状の領域を示すデータのことである。
【符号の説明】
【0035】
1…生体情報分析システム、10…体温計、11…携帯電話、13…通信ネットワーク(ネットワーク)、14…生体情報分析サーバー(サーバー)、15…情報提供業者サーバー(所定の対象)、35…位置情報取得部、36…時間情報取得部、45…体温傾向DB生成部(体温傾向出力部)、46…予測情報出力部、49…予測情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体温を示す体温情報を取得する体温情報取得部を複数備えると共に、前記体温情報取得部により体温情報が取得されたときの位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記体温情報取得部により取得された体温情報及び前記位置情報取得部により取得された位置情報に基づいて、エリア毎に、エリアの在圏者の体温の傾向を出力する体温傾向出力部と、を備えることを特徴とする生体情報分析システム。
【請求項2】
前記体温情報取得部により体温情報が取得されたときの時間を示す時間情報を取得する時間情報取得部をさらに備え、
前記体温傾向出力部は、前記体温情報取得部により取得された体温情報、前記位置情報取得部により取得された位置情報、及び、前記時間情報取得部により取得された時間情報に基づいて、時間の経過に応じたエリアの在圏者の体温の傾向を出力することを特徴とする請求項1に記載の生体情報分析システム。
【請求項3】
前記体温傾向出力部により出力された時間の経過に応じたエリアの在圏者の体温の傾向に基づいて、体温の傾向に係る所定の特徴を有するエリアの推移の予測を示す予測情報を出力する予測情報出力部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の生体情報分析システム。
【請求項4】
体温傾向出力部により出力されたエリアの在圏者の体温の傾向を、所定の対象に出力することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の生体情報分析システム。
【請求項5】
体温計が前記体温情報取得部を有し、前記体温計と通信可能に接続可能な携帯電話が前記位置情報取得部を有し、前記携帯電話とネットワークを介して通信可能なサーバーが前記体温傾向出力部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の生体情報分析システム。
【請求項6】
体温情報取得部により体温情報を取得すると共に、位置情報取得部により、前記体温情報取得部により体温情報が取得されたときの位置を示す位置情報を取得し、前記体温情報取得部により取得された体温情報及び前記位置情報取得部により取得された位置情報に基づいて、エリア毎に、エリアの在圏者の体温の傾向を出力することを特徴とする生体情報分析方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−92611(P2011−92611A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251748(P2009−251748)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】